「卒業」 や 「15の夜」 の歌を、「自己中心的なだけじゃないか」「何が不満か分からない」と、批判的な感想を持っているらしい。朝日新聞が、成人の日(1月9日)の社説に書いていた。
大人や社会への反発、不信、抵抗。恵まれていないわけじゃないのに「ここではない、どこか」を探し、ぶつかり、傷つく。
その心象が、若者の共感を呼び、その歌が教科書にも採用された。20年前になる、彼が死んだ雨中の追悼式には4万人が長い列を作った。
尾崎豊ならこんな風に詠ったかもしれない。
♪ 従順な飼い犬となり吠もせず噛みつきもせず老いゆくは罪
精神科医の香山リカさんは毎年、大学の授業で尾崎豊の歌を聞かせ、その感想を問うて来たが、ここ数年は先の様な反応が増えているのだという。
26歳新進気鋭の社会学者・ 古市憲寿 の近著「絶望の国の幸福な若者たち」では、20代の7割が現在の生活に満足している、との調査結果( 国民生活に関する世論調査 )を示し、過去40年間で最高だという。
そこにはこんな記述があるらしい(私はまだ読んでいない)。「ユニクロとZARAでベーシックなアイテムをそろえ、H&Mで流行を押さえた服を着て、マクドナルドでランチとコーヒー(略)。家ではYouTubeを見ながらSkypeで友達とおしゃべり。家具はニトリとIKEA。夜は友達の家に集まって鍋。お金をあんまりかけなくても、そこそこ楽しい日常を送ることができる・・・。」
色んな現代の固有名詞が出てくるあたり、田中康夫が1980年に発表した小説「なんとなくクリスタル」に似ていないでもない。
物質的にはかなり恵まれている現代の生活環境。負の部分に目をつむり、これ等のアイテムの中に埋没していれば幸せ感は感じることができるというわけだ。
将来の希望が見えないなか、未来を探すより、親しい仲間と「いま、ここ」の身近な幸せをかみしめるという様な価値観が広がっている。就活の道は険しいし、滑り落ちたら這いあがるのも大変だが、「自分にスキルが欠けているから」、格差も貧困も「自己責任さ」と受け入れてしまう。と、新聞の社説は続く。
抵抗することさえ出来ない無力感に包まれ、夢を持つことすら放棄せざるを得ないというのが現状だ。
そんな中で、「怒れ」と言っても無理かもしれない。
♪ 諦めと卑下とが夢を追いやりて謙虚を演ずる他なきものよ
◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。
★ 「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)
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