真夜中の鐘を合図にやって来るプジョーに乗って、1920年代のパリにタイムスリップする設定は如何にも彼らしい話で、往年の著名人が続々登場する。
それ等の人物が彼独特の諧謔でひねられた姿で登場する。その登場人物象を知っているほど面白いという趣向に富んだ演出がいい。
ダリやらピカソやら、ロートレックにヘミングウェイ等など・・・。マキシム・ド・パリからムーランルージュへ、そこで今でも踊られているというフレンチカンカンが派手に登場したりする。
ジプシー・ジャズのギター奏者ステファン・レンベルの演奏する「ビストロ・ファダ」が、全編にわたって効果的に流れるがこれがなかなか良い味を醸し出している。
詳細はこちらに任せて ガートルード・スタインに扮するキャシー・ベイツがやはり良い雰囲気に存在感を出している。こうした実力者が一人いるだけで映画は締りが出て格段に良いものになる。
パリの文化、芸術に憧れる主人公ギルは、1920年代の人物との邂逅に、驚き喜ぶが、当時の文化人たちは、さらに過去の1890年代のパリにこそ、真の文化があったと口を揃える。
そしてさらに、1890年代の文化人たちはルネッサンス期に憧れると言い出す始末。現実に満足せず、未来への希望を持とうとぜす、ただ過去に郷愁を募らせる文化人を、アレンは痛烈に皮肉っている。
ウディ・アレンは、子供の頃からジョークが得意でその才能を発揮していたらしい。放送作家、マジシャン、コメディアン、音楽家でもあり、映画作家として、その豊かな才能を発揮し続けている。
皮肉を込めた人間観察、シリアスなドラマからコメディ、サスペンスまで、何でもこなす技量は並ではない。脚本を書き、監督し、演じる、こういうことが出来る映画作家は、チャールズ・チャップリン、オーソン・ウェルズと彼くらいだろうと言われている。
賞が嫌いで授賞式に一度も出た事がないのでも有名で、その辺りも映画同様にアイロニー溢れた価値観が彼の根源に流れていることがよく分かる。
往年の芸術・文科系に興味のある人には絶対面白い映画だと思う。
◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。
★ 「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)
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