歌 と こころ と 心 の さんぽ

歌 と こころ と 心 の さんぽ

2015.01.15
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カテゴリ: 一日一首


♪ モーニング着る妄想を抱きたる歌会始をリビングで観る








  詠進歌数(応募総数) 21,652首(失格791含む)、選歌 10首、佳作 17首。

 三度目の応募はしたもののお題「本」が存外に難しく、ずるずると日が過ぎて行った。締め切り間際になって慌てて作って送ったので、入選などは望めるべくもない。
 それでも人間は欲が深い。よもやという思いも有って待っていたが、案の定、2万通余の藻屑の中に消え去った。それにしても失格が791も有ったのには驚くばかり。毛筆で書くべきをそうしてなかったものが大半だったのではないかと思う。このハードルは結構高い。

 入選された愛知県名古屋市の森明美(74)さんは10年間応募を続けての初入選。県内の私立高校で理科や数学の教師をする傍ら、余暇を利用し、50年以上にわたって、独学で創作活動を続けてきた。
 昨年6月、自宅の庭にフトイを植えた際、風が吹き抜け、茎の先に実る小さな穂が揺れた時の涼しげな情景をありのままに表現。「ふっと頭に降りてきた」という言葉をわら半紙に書き留めたもの。自然の偶然が初夏の陽気に汗をかいていた森さんの気持ちを涼ませてくれたという。

 横浜市の中学3年生、小林理央さん(15)は、通学の電車内で本を開くことが多いという小林さん。有川浩さんの小説「図書館戦争」のシリーズは一気に10回も読んだ。本を読み終えたとき、「登場人物ともうお別れだと気付いて、いつも寂しくなった」。小説の世界にいつまでもとどまるわけにはいかない。そんな気持ちを昨秋、短歌にした。人生は、大好きな本の中にはなく自分自身で切り開いていかなければならないという気持ちを、「この本に全てがつまつてるわけぢやないだから私が続きを生きる」と詠みました。

 千葉県市川市の平井敬子さん(59)は、元司書の恩師が東日本大震災の被災地で移動図書館のボランティアをした際のエピソードを詠んだ。天皇陛下から「子どもたちがたくさん本を借りていくんでしょうね」と尋ねられ、平井さんが昨年は2405冊の貸し出しがあったと答えると、皇后さまは「本の力ですね」と感心されていたという。

 長野県飯田市の木下瑜美子さん(72)は、短歌を始めたのは結婚後の1971(昭和46)年ごろ。雪かきをしてやっとの思いで道ができたときの感動を歌にした。皇后さまから「それが本当の一本の道ですよね」とやさしく語り掛けられたことが印象深かったという。




*天皇陛下
  夕やみのせまる田に入り稔りたる稲の根本に鎌をあてがふ
*皇后さま
  来し方に本とふ文の林ありてその下陰に幾度いこひし
*皇太子さま
  山あひの紅葉深まる学び舎に本読み聞かす声はさやけし
*皇太子妃雅子さま
  恩師より贈られし本ひもとけば若き学びの日々のなつかし
*秋篠宮さま
  年久しく風月(ふげつ)の移ろひ見続けし一本の巨樹に思ひ巡らす
*秋篠宮妃紀子さま
  日系の若人かたりぬ日本へのあつき思ひと移民の暮らしを
*秋篠宮家長女眞子さま
  呼びかける声に気づかず一心に本を読みたる幼きわが日
*秋篠宮家次女佳子さま
  弟に本読み聞かせゐたる夜は旅する母を思ひてねむる
*常陸宮妃華子さま
  新しき本の頁をめくりつついづく迄読まむと時は過ぎゆく
*三笠宮家寛仁親王妃信子さま
  松山に集ひし多くの若人の抱へる本は夢のあかしへ
*三笠宮家彬子さま
  数多ある考古学の本に囲まれて積み重なりし年月思ふ
*高円宮妃久子さま
  来客の知らせ来たりてゆつくりと読みさしの本に栞入れたり
*高円宮家長女承子さま
  霧立ちて紅葉の燃ゆる大池に鳥の音響く日本の秋は

▽召人(敬称略)
*春日真木子(88)
  緑陰に本を繰りつつわが呼吸(いき)と幸(さき)くあひあふ万の言の葉

▽選者(敬称略)
*篠弘
  送られし古本市のカタログに一冊を選るが慣ひとなりぬ
*三枝昂之(71)
  音読の声が生まれる一限目明日(あす)へ遠くへ本がいざなふ
*永田和宏
  本棚の一段分にをさまりし一生(ひとよ)の量(かさ)をかなしみにけり
*今野寿美
  秋の気の音なく満ちて指先に起こしては繰る本こそが本
*内藤明
  開かれて卓上にある一冊の本を囲みて夕餉のごとし

▽入選者(敬称略)
*奈良県 伊藤嘉啓(78)
  若き日に和本漁りぬ京の町目方で買ひし春の店先
*新潟県 吉楽正雄(77)
  おさがりの本を持つ子はもたぬ子に見せて戦後の授業はじまる
*愛知県 森明美(74)
  竹垣の露地に仕立てた数本の太藺(ふとゐ)ゆらして風わたりけり
*長野県 木下瑜美子(72)
  大雪を片寄せ片寄せ一本の道を開けたり世と繋がりぬ
*千葉県 平井敬子(59)
  「あったよねこの本うちに」流された家の子が言ふ移動図書館
*埼玉県 森中香織(58)
  本棚に百科事典の揃ひし日に父の戦後は不意に終はりぬ
*茨城県 五十嵐裕治(57)
  二人して荷解き終へた新居には同じ二冊が並ぶ本棚
*神奈川県 古川文良(46)
  雉さんのあたりで遠のく母の声いつも渡れぬ鬼のすむ島
*岡山県 中川真望子(17)
  暑い夏坂を下ればあの本のあの子みたいに君はゐるのか
*神奈川県 小林理央(15)
  この本に全てがつまつてるわけぢやないだから私が続きを生きる

 来年の歌会始のお題は「人」で、「人」の文字が読み込まれていればよく、「人材」や「若人」のような熟語にしてもかまわない。作品は、14日から9月30日(当日消印有効)まで受け付けられる。

 今からでも、お題を念頭に置いて生活するぐらいでないと、いい歌をモノにすることは出来ないのかも知れない。5年先を目標に、今年はもう少し良いものを作って応募しよう。毛筆も練習しないと・・・。




◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。

「ジグソーパズル」  自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

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最終更新日  2015.01.15 08:54:09
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
「ジグソーパズル」  自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

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