♪ 落し物の仲介をして帰り来るウォーキングの隣の町ゆ
公園に着き、ベンチに座って一休み。目の前の池で、若者が一人バス釣りをしている。午後5時前、多くの中高年の男女が後ろを通り過ぎてゆく。ポカリと浮かんで顔を出している亀を何とはなしに眺めながら、歌会始の歌がまだ出来ていないので、”いいヒントが欲しいなあ”とか思ったりしている。
しばらくして、その若者は帰るらしく、駐車場の方へ引き上げて行った。
みんながよくバス釣りをしている柵の内側に4人の小学生がいる。何やら探しながら散策している風でこちらに向かってくる。
その中の一番年長らしい一人が近くまで来て、「サイフ!」と指を差して叫んだ。年下の小学生に「財布がある!」ともう一度言ってそれを拾わせた。若者がズボンの後ポケットに半分入れて、残り半分を出したままにしているあの長財布だ。手に取って持て余し気味に眺めている。
傍で見ていた私は「中身、入っとるのか?」と聞くと、「入っとる」との返事。
開くと、何かのカードが数枚見える。
どうしようかと迷っている風なので、「(管理)事務所に届けておいで!」と進言。
暫らく迷っていたが、連れと二人で持って行く事にしたようだ。私が指さした方向に向かって、いそいそと歩きだした。
私も同行するという選択肢も有ったが、子供たちの自主性を尊重し、正直なところを信じて子供だけで行かせることにした。
子供たちの姿が見えなくなって間もなく、さっきの若者が青い顔ですっ飛んで来た。
「どうした!サイフか?」と聞くと、そうだと言う。
ああやっぱりこいつが落としたんだ。
「今、拾った小学生が事務所に向かっているところ、走れば追いつくはずだ」と、子供たちが行った方を指して教えてやる。上下2コースあるうちの「上の道だね」と確認して、走っていった。
少し経ってから彼らのその後の事がやや気になって、休憩を終えて管理事務所まで行ってみる事に。
事務所に着くと、何と、閉まっているではないか。
時計を見たら5時15分。そうか終了してしまったのだ。公務員は時間に正確で、きっかり5時には閉めてしまうのだ。
事務所の周辺には誰もいない。彼らはどこへ行った?
辺りを見回してみると、向こうの方に、居た居た。若者と一緒に少年が二人、元来た方に戻って行くところだ。
一緒にいるという事は、ちゃんとサイフは渡すことが出来たということだ。それだけ確認できれば、それ以上の用はないのでそのまま見送り、声は掛けなかった。
池を巡る右回りのコースを歩く。そうして最初の場所までやって来たら、少年たちはまだそこに居て、打ち捨ててあるルアーを拾って遊んでいるようだ。結構落ちているらしく、ソフトタイプのワームを幾つか手に持っている。
さっきの子供に「サイフ渡せた?」、「事務所開いてた?」と聞くと「事務所の手前で追掛けて来た」と。
「そうか良かった。」
私が居る間に彼が戻って来たこと、直ぐに追いついたことなど、タイミングが良かったのだ。
お互いに私とのやり取りを説明したのだろう、無事にサイフは持ち主に戻ったようだ。
「偉かったね」、「お礼は貰った?」。
一人が、”これがお礼”とばかりに、持っていたコーラの瓶を持ち上げた。
「良かったなぁ。」
最年長の少年が「発見したのは僕だから、僕が貰ってもいいんだけど・・・」と口ごもっているのを尻目にそこを離れた。
◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
★ 「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)
☆ 短歌集 「ミソヒトモジ症候群」 円居短歌会第四歌集2012年12月発行
● 「手軽で簡単絞り染め」
◆ 満10年となりました。 2016.05.07 コメント(2)
◆ 長年の便秘が治った様な爽快な気分。 2016.05.06
◆ 思い付きの出たとこ勝負 2016.05.05
PR
カレンダー
キーワードサーチ
サイド自由欄
コメント新着