選挙は多数決です。
そして権力を握ります。
でも、もし、今回の選挙も、選挙の結果がすべてで、
だから、民主党が正義で、
自民党が、唾棄すべきもの、
政策もすべて間違っていた
だから、全部ひっくり返せばいいんだ、
という風潮になったら、怖いことになります。
当たり前のことですが、真理は多数決では決まりません。
(科学実験をすると、
実験と言っても、教科書にある単なる「作業」ではなく
複数の仮説を闘わせての、検証という意味ですが、)
つくづく身にしみるのが、
「真理は多数決では決まらない」ということです。
もちろん、多数派が勝つこともありますが、
往々にして、真理は意外な結果を告げてくれます。
なぜなら、人間の直感は、当てにならないからです。
たとえば、近代科学は、ガリレオの力学から始まったとすれば、
物理学の第一歩は、
「人間の直接の観察に基づく、
直感的な結論は、誤った方向に導くことがあるから、
信用のおけるものではない」、
ということを明らかにしたことです。
それは、2000年間、自明のことと信じられてきた
アリストテレスの「力学」の書の
『運動体はこれを押す力がその働きを失ったときに、静止する』
という論理を打ち破ったことに象徴されます。
現代の子どもたちも、理屈では、「慣性の法則」を習うのですが、
いざ、現実の実験となると、直感から自由になることは、
たいへん難しいことです。
(つくづく、科学理論が、本当の「わかった」になっていないことを
感じさせられます。)
だから、科学教室は、「真理とは予想外のこともある」こと
「真理は実験しなければわからないこと」
を印象深く体験していくことが大切なのです。
また、同時に、
「真理は実験しなくてもわかることもある」
ということも、体験しなければなりません。
つまり、一通りではないということです。
選挙も、実験です。
どの政党が良いと思うか、
どの人が良いと思うかの、予想であり、仮説に基づくものです。
そして、その実際の政治の結果が、
実験結果です。
(そして、ほとんどの場合、予想がはずれます。失敗です)
でも、同じ失敗でも、これを、注意深く観察して、検証すれば、
だんだんと、精度の高い予想をすることができるようになるのでしょう。
いずれにしても、世の歴史を振り返ると、
もっともらしい、「優等生の発言」が正しいということは、
意外に少ないものです。
普段とんでもないことをしている人の方が
鋭い仮説を立てているものです。
人類がよりよい予測を立てられるためには、
少数意見をちゃんと聞くという姿勢を
小さい時から、育てておくことが、
失敗から学ぶためにも、ぜひ、必要だと思います。
そういう意味で、科学実験教室も、
より良き市民教育、政治教育と結びついているんだ、
っていう、寅さんの強引な論理でした。
科学は確率でしかない 2010.05.30
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