[京都] カテゴリの記事
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紅葉の嵯峨野路（下）
（昨日の続き）石畳の愛宕街道の登り坂、両側には柱を黒く塗った瓦屋根のどっしりとした古民家が並び、土産物店、民芸品店、陶器店、茶店、キョロキョロはするが店の中に入ってひやかしはせずに通り過ぎていくと、ここでは珍しく紅がら格子の土産物店が見えてくる、そこから化野念仏寺は一段高いところにあり、そこへの石段が始まる、その登り口のもみじも鮮やかに紅葉していて、石段の途中で振り返り、紅葉しているもみじを上にして、愛宕街道とその紅がら格子の土産物店を写す、数年前から紅葉の時期にはここに訪れていて、この辺りで写真を撮っているが、これだけ鮮やかに紅葉しているもみじを入れてとるのは初めてのような気がする、入り口の小さな山門の向うに、境内の紅葉が見えてくる、石段と山門とその中の紅葉、手前の建物を額縁にして、その中の紅葉の絵、好きなアングルで、今年になってからも数枚撮っていて、今日もすでに数枚撮っている、この石段を上る時は妙にドキドキしながらが登っていき、小さな山門をくぐると目の前に鮮やかな紅葉が広がる、そして周りを石塔で四角く囲まれた、数千体、いや数万体の石仏、長く風雨に晒された石塔と石仏、その周りを取り囲むように、色とりどりに、鮮やかに紅葉したもみじ、色のコントラストだけではなく、生と死のコントラストを、無表情な石仏とやがて散り行く、ほんの少しの間の鮮やかな紅葉、この極端なコントラストを描き出した風景、これが毎年ここへ足を運ばせるように思う。 この地は克っては西の果ての地で、葬送の場であった、古くはまさに骸をこの地に投げ捨て、朽ち果て、烏に啄ばまれて、やがては土に帰る、風葬であったが、いつからか土地に埋める土葬となり、埋めた場所の目印代わりのその場所に石塔や石仏が置かれるようになり、大雨で流されたり、土で埋まったり、雑然としていたのをこの念仏寺が建てられて、１ケ所に纏められた、おびただしい数の石仏、しかしこの石仏の数の数百倍、数千倍の人のなきがらこの地で葬送された、周りに植えられたもみじはその事を知ってか、知らずにかは定かではないが、毎年秋のこの頃にひときわ真っ赤に紅葉するのであろう、農家のように見える寺務所、その前に大きな床机が２つ置かれていて、そこには陶器の大きな灰皿が置かれていて、書いてはいないがここが喫煙所兼休憩所、いつもここで床机に腰をかけて、タバコに火をつける、前に枝垂れ桜の木があって、その向うに鐘楼、この鐘楼の下が、石塔に四角く囲まれた石仏が安置されている、「賽の河原」、の入り口で、ここでは、「西院の河原」、と書かれている、この入り口の向うにもみじの木がある、そこに番をするように大きい石仏が置かれていて、この石仏の横から、その向うにもみじ、何度訪れてももう枯れてしまっているか、まだ紅葉していない、今年になって真っ赤な紅葉のもみじを背景にした石仏を漸くカメラに収めることが出来た、例年ならここから引き返すところだが、ここからほんの少し先にある愛宕神社の一の鳥居の脇にある、創業４００年余り、江戸時代から営業を続けている大きな茅葺屋根の茶店、平野屋がある、今年はそこまで足を延ばす事に。 念仏寺の横の急な石段を下り、石畳の愛宕街道に出る、念仏寺までは、瓦屋根の柱を黒く塗ったどっしりとした古民家が建ち並び、念仏寺から愛宕神社の一の鳥居までは茅葺屋根の古民家が建ち並んでいて、ひときわ存在感を放っているのが古い茶店の平野屋である、オレと同じようなアマチュアカメラマンが店の前に群がっていて、テレビの取材班もいる、平野屋の古い暖簾の前の緋毛氈を敷いた床机に腰掛けている、ネイビイ色の上品なパンツスーツ姿の細いふちなしフレームの眼鏡をかけ、にこやかな笑顔を浮かべた中年女性が腰をかけていて、茶店から出されるお菓子を食べるところ、アッ、黒田福美や、とカメラを向けると、テレビ撮影の助手が、たしなめるように、「撮影中です」、言われなくてもわかっている、邪魔にならないように撮っている、こういう時には、「スミマセンが」、と断るモンや、テレビの取材撮影、ン～、何様や、街中ならイザ知らず、こんなところまで来ているこちらのことを考えろ、と思っているところに、「スミマセン、シャッタを押してください」、リュックを背負い、眼鏡をかけた韓国の女性が声をかける、「あ、あ～、良いですよ」、いいデジカメの一眼レフ、モニターではなく、ファインダーをのぞくように切り替えている、「鳥居も入れるのかい」、「ハイ」、「もうチョッと前へおいで」、「よし、よし、韓国ではなんと言うのかしらないけど、ニッコリとな」、意味が通じたらしくニコッ、そこでシャッターを押す、ただシャッターを押すのを頼まれる事も多い、少しむかつくのは、モニターで写した写真をチェックされる事、「もう一枚撮ろうか？」、「きれいに取れていますので、ありがとうございました」、と足早に去っていった。 昔は家の台所に、「おくどさん」、というのがあって、ここで薪などの火を使ってご飯を炊き、湯を沸かし、煮焚物をした、そして昔の家は隙間が多く、風の強いなどには家の中に隙間風が入り、このおくどさんの火を消したつもりがその風でまた火がいこりだして火事になることも多く、火の用心に心がけていた、注意していてもおきる可能性がありそこで、そこで神頼み、この台所のおくどさんのそばに、「火廼要慎（ひのようじん）」と書かれた愛宕神社の火伏札は殆どと言ってよいほど京都の家庭の台所に貼られており、飲食店の厨房や会社の茶室などにも貼られている、古より参拝のお客さんで賑わい、嵯峨鳥居本辺りには茶店などの休憩所が出来ており、昭和４年から昭和１９年まで、電車とケーブルカーに乗り換えて頂上まで登れ、ホテル、遊園地、スキー場まで出来ていて、今の比叡山に山頂のようであったが、戦争の激化と共に鉄の供出のために廃線になり、現在では夜は電気もなく、飲み物の自動販売機が在るだけになっている、清滝トンネルなど幾つかの当時の遺構が残っているのみであり、インターネットなどで僅かに往時を偲ぶことができるが、実際の乗った事のある人の話しを聞こうとするがいまだに聞けていない、幻の鉄道でもある、ワインレッドのレンタルの着物を着た女性が、風で舞い落ちるもみじの葉っぱを見上げたところ、この写真は来年に持ち越し。■「今日の言葉」■ 「 物を大切にする暮らしの中に 心豊かな生活がある 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Nov 26, 2010
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紅葉の嵯峨野路（上）
午後１時に家を出て、数分歩いたところに嵐電の西院駅、桜のシーズンや紅葉のシーズンにはこの嵐電が便利で、約２０分ほどで嵐山駅まで運んでくれる、右京区区役所の移転で新しく嵐電天神川駅が出来て、昔よりも２分ほど余計に時間がかかるが、この時期の交通渋滞に比べるとやはり便利である、小学生の頃、当時はプールのある学校が少なく、夏前に何度か水泳の授業、この嵐山まで来る、渡月橋のホンの少し上流のところに、川の端からから端まで臨時の堰が作られて、殆んど川の流れがなくなり、そこが臨時の市営のプールになったと記憶している、水泳の時間にはここで泳ぐ、男の子の殆んどが晒し木綿のふんどし、六尺ふんどしと言うヤツで、別段更衣室などなくても、パンツ一丁になってから、ふんどし片方の端を肩にかけて、もう片方をパンツの前から、前をしっかり包んで、お尻のほうに回す、腰骨のところぐらいから、腰に一周回して、腰骨の上辺りで、前からお尻に回した布に引っ掛けて、逆回しで腰に一周回して、端を腰に回すた布に巻き込む、先に方にかけたほうで前を包んで、それをお尻のほうに回して、腰に巻いている布の下をくぐらして、余った先を縦の布に捲き込んで、これで一丁あがり、それからパンツを脱げばよかった、この六尺ふんどしと言うヤツは泳いでいる途中に、アップアップし始めても、六尺ふんどしをつかんで引き上げれば良い、泳げる者は白帽をかぶり背の立たないところで泳いでもＯＫ、泳げないものは赤帽をかぶり、縄の張ってある立てる所まで、ただこの話は極限られた地域の小学校で、極めて短期間の間に行われていたようで、同窓会以外でこの話しをすると、余り信じてもらえない、嵐山駅に着いて、その渡月橋のほうには向かわずに、最後の連休の頃に比べると随分とすいているだろうとおもうが、それで嵐山は紅葉の見頃、大勢の観光の人、人、人、で賑わっている。 駅前の車道は両方とも交通渋滞、車やバスの間を縫って向かい側の天竜寺のほうに道を渡る、毎年ここは帰りに時間があればと思いながら、ここへ戻ってくるのは大体、午後４時が過ぎる、ボチボチ薄暗くなりかけ、西山に日が沈むと急に冷え込んで来る、歩いて汗ばんでいた身体が冷え込み、また今度、もう何年も中に入っていない、二尊院も紅葉の名所だが、１０年以上前は無料で境内の中には入れたが、現在は要入場料となっていて、ここも同じである、ただ切符売り場の直ぐ前のところまで行って写真は数枚撮っている、天竜寺の横の昼でも尚うっそうとしている両側の背の高い竹藪、このあたりに来ると前や後からひっきりなしに人力車、この人力車も今ではすっかりと市民権を得ていると言うか、お客さんを乗せてこのあたりの観光案内をしながら曳いている、その気配で歩いているお客さんは気持ちよく道を空けている、オレなどは人力車の車夫と言うと、無法松の一生の松五郎が直ぐに頭に浮かぶのだが、今では、細身の背の高い、ジャニーズ系の若い車夫が殆んど、もう２０年以上も前の事になるが、知人の紹介で高校を中退した若い男性を会社で預かる事になった、細くて、背が高くて、足が長くて、小顔で、パンツ屋で丁稚見習いをするより、ジャニーズ事務所へ行けば良さそう、特にパートのオバちゃんを初め、全員が可愛がっていたつもりが、長く続く事が出来ずに、些細なきっかけで、会社を辞めてしまい、家にも戻らずに行方不明状態が暫く続いていた、そんなある時、テレビの番組で、京都市内で観光用の人力車の走り出した頃、嵐山での人力車を紹介、その中でテレビのクルーにインタビューを受けていた、背中に、「嵐」、の大きな文字を入れた法被を着た若いスラリとした車夫を見ると、今も人力車を曳いている筈がないのに、もしや彼ではと覗き込んでしまう。 どこを向いても紅葉の中の嵯峨野路を野々宮神社の前を通り、いつもホッとするのだが、刈り入れが済んだ田圃のはるか向うに、実がたわわに実った柿木の横に茅葺屋根の家、落柿舎、今年は畑のにコスモスがない、のっぺりした風景ながら今年も写真を撮る、常寂光寺、妓王寺も横目で見て通り過ぎて、このあたりまで来ると去年痛めた左足が痛み出す、もみじの綺麗なところで写真を撮る、実際は足を休めている、写真を撮るだけでなくタバコも一服、普段よりも煙を深く吸い込み、鼻からも、口からも思いっきり煙を吐き出す、例年思うことだが、秋にこのあたりで吸うタバコは格別旨く、目指す化野念仏寺までは距離も充分残っている、チェーンスモークで２本目に火をつける、足が痛いのに何故、遠くの化野念仏寺まで行くのか、１０月の２０日ぐらいに１１月の仕事のシフト表の作成、この時に１１月２５日は嵐山に来て、化野念仏寺に来て、いつもは行かないその向うの愛宕神社の一の鳥居のところにある、創業以来４００年の江戸時代から続いている茅葺屋根の茶店、平野屋まで足を伸ばすことに決めていた、長い目の休憩をはさんだために、その後は余り足が痛む事無く、落ち着いて、どっしりとした家並みが続く嵯峨鳥居本の端に着いた、好きな場所を歩き出すと足の痛みが無くなって来る、決して許される事のない２人が人目を避けるように、足早に嵯峨鳥居本の石畳を通り過ぎて、清滝で心中のために先を急ぐ、ここではいつもそんな事を考えながら歩く、だから不似合いな急ぎ足のカップルを見ると、もしやそうではなどと傍迷惑な事を考える。（続きは明日）■「今日の言葉」■ 「 金に対する執着が強くなるほど 金の苦労が多くなっていく 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Nov 25, 2010
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間もなく見頃の京の紅葉。
ほんの２ケ月前まで、記録的な猛暑、酷暑、いつまで続く残暑、熱中症、こんな言葉が紙面を飾っていた、ところが今朝は冷え込みがきつく、朝食の時にガスストーブをつけて、「また、携帯カイロを買っといて」、四季があるということは、いくら暑い、長い夏でも、異常気象だなんだかんだといっても、終わりがあり、多少の長い短いはあるが、確実に秋がやってきて、そして冬がやってくる、街中の街路樹は今が紅葉の盛りで、緑、黄色、茶色、オレンジのグラデイエーションで街を飾ってくれている、どちらかと言えば不信心のオレ、お盆のお参りも、お彼岸のお参りも、保冷剤持参でも行く気になれず、パスをしていた、先日のヨメの誕生日に久し振りに花屋さんからシクラメンの鉢を届けてもらった、その日の夜に夕食後の食器洗いもした、その時、「象の背中」、という映画のことを思い出した、中年のサラリーマンが、癌の余命宣告を受ける、すると昔の些細な解決していない事、雨宿りしている時に赤い傘を貸してくれた女性にキチンとした御礼をしていない、実際に会ってみるとその女性はそういう事があったことも覚えていない、幼馴染と喧嘩をして、そのままになっている、その幼友達に会ってみると、その幼友達もそんなことは忘れている、余命宣告を受けてから、昔の未解決の些細な事を解決していこうと考える、遣り残した事や、未解決の事を生きている間に済ませておこうという、「死に仕度」というやつをする、その事を考えていると、急に久し振りにヨメに、「お参りに行こう」、その帰りに、「スーパーへ買い物に行こう、吉野家で牛丼も」、実は結婚以来約４０年、一度もヨメと一緒にスーパーで買い物をしたことが無い、それと希少人種に近いだろうが、「牛丼も食った事が無い」、これを聞いたヨメは、「体調が悪いの？」、「いや、別に、ただオレの部屋の整理や、整頓を始めたら、いよいよ、死に支度かな」。 お参りといっても墓は無い、大谷祖廟、生憎１２月まで改修工事中、花を供えて、ローソクと線香を手向けて、帰りは長楽寺のほうへ出て、この辺りのもみじがチラホラ紅葉、階段を降りて行くと、そこには立った坂本龍馬とひざまずいた中岡慎太郎の銅像、この前は修学旅行生とシニアクラブの人達でいっぱい、さすが、ＮＨＫの人気大河ドラマのすごさ、そこを人を掻き分けて円山公園に池の辺りへ行くと、池の周りの何本かのもみじが紅葉、色はきれいなみずみずしい赤ではなく、オレンジがかっているか、黒ずんでいて、葉が巻いていて、カリカリ、横を他府県から訪れた女性のグループが通り過ぎる、「わあ～、きれい」、と、すると、別にオレのセイではないが、こんなんできれいといわれると申し訳ない気持ちになり、「京都の紅葉はもっときれいですよ」、この１０年余り、紅葉の時期には随分とあちこちの出かける機会が増えた、文化の日が過ぎるともううずうずとしてきて、早い紅葉の場所を探して、マウンテンバイクで出かける、オレの記憶の中での紅葉は、もっとみずみずしい、鮮やかな紅葉である、ただ、この１０年間の間でも西賀茂車庫の近くの神光院、１本のおおきなもみじの木で、黄色、オレンジ、赤の見事なグラデイエーションに紅葉、この１本の木を撮る為に出かけたが、次の年に出かけると、木の勢いがなくなっていて見る影もなかくなっていた、また修学院離宮の奥のほうの赤山禅院、神仏混交の寺院で不思議な雰囲気の寺、この山は赤山と呼ばれているくらいだから紅葉の時期には山全体が赤くなる、ところがこの山にはもみじが多く、紅葉はしていたが黄色、オレンジばかりで赤山というよりもむしろ黄山という感じであった、記憶の中のみずみずしい、鮮やかな紅葉を毎年探しているが、残念ながらまだ見ていない。 この１０年間の間でも紅葉の時期が遅くなっているのがわかる、１１月の中旬までは紅葉を探して出歩かなくなってきている、勤労感謝の日を挟んだ最後の連休が紅葉の見頃になっている、ただこの連休の時の人出が問題で、物凄い交通渋滞で、ある時など永観堂に入る時に見かけた派手な車、中で２時間ほど時間を過ごして出てくると、その車はその間に２０メートルほど前へ進んだだけでであった、また家から真如堂までバスに乗る、普段は３０分ほど、それが２時間程かかって漸く到着、この物凄い交通渋滞を解消のために、「パーク・アンド・ライド作戦」、が行われている、大きな企業の広い駐車場、土・日・祝日は止める車は無く、ガランと空いている、その駐車場を会社の休みの日に格安にて解放、そこまでは車で行って、そこで車を駐車して、そこから先の観光地へは公共の乗り物で行きましょうという呼びかけ、徐々に認知はされてきているが、交通渋滞の緩和とまではいっていない、だからこの時期に出かける時には、専らマウンテンバイクを利用、市バスに乗るコースへ絶対に行かない事にしている、東山方面には銀閣寺から清水寺まである、朝から出かければ、車がすいている時間にバスで銀閣寺、そこから南へ清水寺までのコース、これは一日ではきついコース、どこも結果として、ユックリと観光が出来ない、地下鉄の東西線に乗って蹴上で降りてここから北へ行くか、南へ行くか、そのいずれか。 北へ行くなら蹴上から南禅寺、永観堂、哲学に道に出て、この道の西側に階段を降りた所に若王子というカフェ、店の中に犬や猫、鶏が出入りする店で、新撰組のブームに火をつけた栗塚旭が経営する店で仕事が休みの日には本人も店へ年配のフアンのお客さんも多い、声が矢鱈によく通る、大柄な、頭のはげたオッサン、ここでチョッとコーヒーでも飲んで休憩して、哲学の道を北へ、霊鑑寺、安楽寺、ここへ外から見る程度、法然院、苔むした茅葺の山門、門の傍にもみじの木、しかしこの辺りは日のあたらない場所と見えて、このもみじの木が紅葉しているのを見た事が無い、そして最後が銀閣寺、ここで拝観が終わるともう夕暮れ、蹴上から南のコースとなると、永観堂から南禅寺、青蓮院、ここは外からは想像できないが、庭に入るともみじの気が沢山、知恩院の前を通り過ぎて八坂神社を通り抜け、ネネの道に出てすぐに高台寺、霊山観音の前を通り過ぎて、産寧坂、ここに京都のコーヒーショップの老舗のイノダの店がある、店の奥が大きなガラス窓、その向うに古い茶室があり、小さな池も、池の傍らにもみじの木、この木が結構みずみずしく、鮮やかに紅葉する、コーヒーを飲みながら休憩するのにお勧め、一休みした後は、一層急になる産寧坂を上りきると清水道、左に曲がり、坂を上ると清水寺、清水の舞台から西を見ると夕日が西山に沈みかける時刻。 この勤労感謝の日を挟んだ最後の連休、嵐電に乗れば約２０分で嵐山、この時間は確実、だから嵐山へ行く機会が増えた、駅前から暫くの間は、人が多く、その中を人力車、歩くのに渋滞、嵐山では一番遠くにあたる化野念仏寺、ここは本堂の前に床机が出されていて、灰皿がおいてある、嵐山界隈のお寺には喫煙所が設けてあって、タバコを吸う物にとってはありがたい、タバコを吸いながらユックリと紅葉見物、ただ西山のすぐ近く、午後３時が過ぎると日がかげる、すると先ほどまで歩いて汗ばんでいたからだが急に冷えだしてくる、嵐山駅まで戻る途中で必ず寄るのが、常寂光寺、日の光がなくなっていて、ここだけもう一度で直す事がある、と京都以外の人や京都に不案内の人が京の紅葉めぐりをする時用に書いている、半日で数箇所を回れる場所へ行くべきで、いくら更新を頻繁に行われている、「びらりと京都」、のサイト見て出かけても早すぎたり、遅すぎたという事がある、数ケ所を回るとそのどこかにあたりがあるもので、京都の紅葉を満足する事が出来る。 例年、紅葉の頃には５度ほど出かけている、定番のように毎年行く場所、今まで紅葉の時期に行ったことのない場所、昨年も桜の季節にはよく行く醍醐寺、地下鉄東西線で行くのに便利になった、しかし紅葉の季節には初めて、広い境内の一番奥の弁天池、この池の周りにはもみじとドウダンツツジ、両方が真っ赤に紅葉していて、池が燃えているように真っ赤であった、最近はフットワークが鈍って、１ケ所しかまわれ無い事も多く、京阪沿線の東福寺、マウンテンバイクで行ける、二条城と金閣寺と大徳寺、特に大徳寺の中の、細川ガラシャ婦人の墓がある、高桐院、ここの散紅葉が素晴らしい、もみじが終わる頃に行くと良い、阪急電車と阪急バスで行くことができる善峰寺、地下鉄東西線でいける山科の毘沙門堂、そして黒谷の金戒光明寺、そこの真如堂、ここへは市バスでは行く気にならない、しかし今の足ではマウンテンバイクで急な坂を登る自信がない、将来、電動アシスト付きのマウンテンバイクを買うまでの辛抱。■「今日の言葉」■ 「 自分の立場を見極めることで 今何をなすべきかはっきり見えてくる 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Nov 16, 2010
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ある組合の解散。
今朝の朝刊に、嶋原の、「嶋原貸席業組合」、の解散に伴い組合の余剰金を処分するために、実際には嶋原という地名は存在しなのだが、克っての島原の道を御影石調の舗装道路を作り、その通り初めとして、同地で唯一の現在も営業を続ける置屋兼お茶屋でもある、「輪違屋」、の如月太夫が２人のかむろを先頭に、浮き舟と日傘をさしかける男衆を従えて、白檀の３枚歯の独特の高げたを素足にはいて、内八文字歩きの太夫道中を行ったと出ていた、知っていれば昨日は休み、写真を撮りにいったのにという残念な想いと、この地にまだ組合が残っていたのかという驚きと、この組合が解散されれば、嶋原はどうなるのだろうかという不安を感じる。 組合というのは、オレが長く関わっていた、京都の繊維製品関係の組合で説明すると、戦前と戦後の昭和２０年代にかけて、祇園当たりで派手な遊びをする人を見ると、「あの人は糸偏や、羽振りがエエ」、そういわれる時代もあった、大阪は１本の糸で編みたてた生地で製品を作るニット及びメリヤスが盛ん、京都は経糸と横糸で織る織物の生地での製品の布帛が盛ん、そこで戦前に京都で布帛の製品を扱う問屋、メーカー、工場の３業態が集まって、「京都布帛製品同盟会」、なる厳しい会を任意で結成、これは年２回、春の総会、秋の臨時総会と称して、１泊２日で、大手を振って、ドンちゃん騒ぎをして、ハメをはずして、幾つかの武勇伝をおこす会に参加するだけの会であり、この会で遊びだけではなく、お互いの仕事にプラスになるようなことが出来ればいいのに、そこで戦後に、中小、零細企業振興のために組合法がつられて、１９５９年、（昭和３４年）、に京都の布帛製品を扱う業者の問屋、メーカー、工場の３業態、１２０数社が集まって、「京都布帛製品工業組合」が結成された、京都の繊維関係の他業種の組合で、染色関係の組合など、京都の地場産業でもあり、最盛期には組合員も多く、組合費も潤沢、そこで組合の事務局などの不動産も取得、繰越金を資産運用にまわして、組合の所有財産が増加、しかし時代の流れと共に京都の染色業も衰退、広い工場の敷地を利用して、染色業を廃業して、マンション業に転業、それでも組合費を払い続けて、染色業の組合員のママでいる、組合が豊富な資産を所有、組合が解散の時には多額の配当、それを期待しているのである、京都布帛製品工業組合も最盛期には京都産業会館内に事務局と専従職員を抱えていたが、組合員減少と共に、事務局家賃と専従職員の人件費を他の組合と割り勘、それでオレが理事長に就任した頃は、組合員数２０数社、年間の組合費は事務局の家賃と、専従職員の人件費と、総会の費用でパー、これでは何も出来ないと組合の大リストラ、組合の事務局は理事長の会社内に置き、事務関係の作業は理事長の会社の事務員が処理、こうすると、乏しい組合費ながら、総会、臨時総会を開催しても、７、８０万円の活動費が捻出できる、サアこれどのようにして組合員のために使おうかと議論を始めた矢先。 １９９９年、オレの会社の清算を決心、同時に組合の迷惑をかけないように理事長職を辞任、副理事長が残りの任期の間は理事長に就任という規則があるが、副理事長は、「理事長をしなければならないのなら組合を退会」、急遽、時期理事長決定のための臨時総会を開催、ところがこの時に次期理事長の受け手が無く、組合の解散動議が提出されて、議論は紛糾したが最終的に多数決の決議となって、圧倒的多数で以って組合の結成４０年目にしての解散の議決となり、解散手続き終了で以ってオレの理事長の辞任となった、通産省へ組合の解散をしたい旨伝えると、解散届けと組合解散までの手続きを流れを書いた書類が送られてきて、まず解散届けを出す、管財人を任命して、組合の資産目録を作成し、臨時総会を招集して、組合資産の配分方法を決議し、組合の資産をゼロにする、そこで司法書士の手で法務局で組合解散の手続きをし、３ケ月以内にこれらの全てを終了し、これらの全ての書類を通産省へ送付、ここで始めて組合の解散が認められる、京都布帛製品工業組合は不動産などの資産は何もなく、組合費と商工中金の出資金１０万円ののみであった、解散時の組合員１９社に組合費の賦課金に応じて配当を決定、当然のことながら全組合員異議なし、この点に於いては非常に楽であった、嶋原貸席業組合の場合、最盛期に不動産などの資産を保有、組合の解散価値が高く、貸席業を廃業した組合員が存在すると、組合解散時の組合財産の処分方法でもめることが想定される、この組合解散時に貸席業を現在も営んでいるのが輪違屋、ただ１軒のみである、そして現役の組合員もただ１軒のみとする、と組合の資産は輪違屋のみがその配当を受ける、これをすると、こういう話には尾ひれがつき易い、組合を解散してだれそれがその資産を懐に入れた、この手の話は世間にゴロゴロ存在、組合の財産目録を作成、それを換金して、そのお金で世話になった島原の道を御影石調の舗装道路の費用に使う、なかなかきれいな組合の解散方法、輪違屋の当主は十数代目の当主、お金は一代でも稼ぎ方を覚えるが、お金の使い方を覚えるには３代かかる、まさにその通である。 嶋原のこの組合、貸席業とある、よく似た名前の席貸業というのもあるが、この２つは似てはいるが非なるもので、席貸業は空間スペースのレンタル業であり、旅館業やホテル業がこの業種に属する、貸席はその昔、「おちゃや」、と読んでいたのである、その空間スペースで、舞妓や芸妓を呼んで歌舞音曲を楽しむ場所が、「貸席（おちゃや）」、であり、時を経て、「お茶屋」、となった。■「今日の言葉」■ 「 相手の欠点を嫌がるよりも 自分に無い良さに気付こう 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Nov 8, 2010
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時代祭の四方山話。
葵祭、祇園祭、時代祭、この３つの祭りが京都の３大祭りで、その一番最後に行われる時代祭が１０月２２日（金）に行われる、葵祭と祇園祭は長い歴史のある祭りだが、時代祭はそれらに比べると新しい祭りで、１８９５年（明治２８年）、平安遷都１１００年を記念して平安神宮が創建され、その時、平安神宮の大祭、建造物、神苑の保存のため、市民により平安講社が組織され、記念事業として時代祭が始まり祭が行われる１０月２２日は、桓武天皇が７９４年（延暦１３）に長岡京から平安京に都を移された日で、この祭の特色は、神幸祭、行在所祭、還幸祭の神儀のほか、時代風俗行列が行われることで、行列の順序は明治維新から延暦時代へさかのぼって、順次風俗、文物の変遷を再現、現在は２０列、２０００人に達し行列の長さは２キロに及ぶ。 始まった当初は仮装行列程度のようなものであったが、明治維新で東京へ遷都、寂れていく一方の京都に様々な近代化がなされたが、この平安神宮の造営と時代祭、この２つで京都市民は大いに元気つけられた、京都市民の神社であり、宮大工や職人さんの巧みの技を結集、京都市民の祭りであり、回を重ねるごとに規模が大きくなり、衣装や道具類も本格的な物が作られ、参加人数も増え、時代絵巻の行列とまで言われるようにまでなった、その行列は・明治維新時代 （維新勤王隊列→幕末志士列）・江戸時代 （徳川城使上洛列→江戸時代婦人列 ）・安土桃山時代（豊公参朝列→織田公上洛列 ）・室町時代（室町幕府執政列 →室町洛中風俗列 ）・吉野時代 （楠公上洛列 →中世婦人列 ）・鎌倉時代（城南流鏑馬列）・藤原時代（藤原公卿参朝列 →平安時代婦人列）・延暦時代 （延暦武官行進列→延暦文官参朝列 →神饌講社列→前列 → 神幸列 →白川女献花列 →弓箭組列 ）、この順序で行列、平成１９年より、「室町幕府執政列」、と、「室町洛中風俗列」、が室町時代列として新たに行列に加わりました、足利尊氏の室町幕府の設立の折の経緯が経緯だけに、長い間行列に加わる事はなかった、「天皇陛下が東京へいかはったんは一時的、直ぐに戻ってきやはる、その時にこの行列を見て、気分を悪うしやはったあかんしぃ」、といういかにも京都らしい気遣いがあったといわれている。 この時代祭りの日には仕事のシフトを休み、時代祭は正午にスタート、午前１０時頃に御所の中に入る、各時代の衣装に着替えて、三々五々御所に集合して、行列のスタンバイ、ウマも多く、京都市内だけでは調達が出来ずに、中国地方や四国からも、夜通しの移動のために、つながれている馬も睡眠不足で、居眠りをする馬も、毎年時代祭は行列ではなく出発前にここへ来ている、撮る写真の殆んどが女性、そしてたまに子供、皇女和宮から始まって江戸時代の女性の風俗、吉野太夫、出雲阿国、淀君、静御前、行列の時には横に名前を書いた札がもたれるが、ここはまだ出発前、しかし、７､８年も続けてここで写真を撮っていると、衣装で大体誰だかわかるようになる、有名な人の役の女性は白塗りの化粧が殆んどである、その中で桂女や大原女の女性達は普段より少し濃い目くらいの化粧、モニターで見ていると物凄く健康的で美しく見える、周りにはアマチュアカメラマンが群がっている、知り合いの人たちと記念撮影、アルバイトで祭りに参加する人たちも、「一緒にいいですか？」、と横に並んで写真を撮ってもらう、中世婦人列、平安時代婦人列、京都の花街の輪番制で参加、カメラマンがひときわ多いのが平安時代婦人列で、常盤御前、横笛、紀貫之の娘、小野小町、紫式部、清少納言、何重にもアマチュアカメラマンが周りを取り囲んでいて、一番最後に到着するのが、時代祭の行列の中でただ１人、白馬にまたがる巴御前、一気に巴御前の周りへアマチュアカメラマンが移動する、そこで、今まで人垣に囲まれていた人たちのところへ移動する、このタイミングだと比較的好きな場所から写真が撮れる、そうこうしているうちに巴御前の周りも一段落する、気の弱いアマチュアカメラマンは時間差で写真を撮る、巴御前が白馬にまたがり、右手に長刀を持つと、例年シャッターを押すのも忘れて、戦装束の女武将の凛々しい美しさにしばし見とれるのである。 時代祭の日は晴天が多く、贅沢を言えば天気がよすぎる日が多く、時間は正午頃、太陽は真上、白塗りの化粧の女性を撮るのには光線がきつすぎる、珍しい事に太陽が雲に隠れるのを待つ事もある。 ■「今日の言葉」■ 「 素直に聴く心がないと人は 本当のことを言ってくれない 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Oct 17, 2010
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京の紅葉の四方山話。
連休の頃から東山の峯々にまるで紅葉したような赤い木、今年異常発生している害虫に食われて立ち枯れした木が紅葉したように赤く見えている、中国から飛来する黄砂の影響で、比叡山から東山の峯々が霞んで見えない日も多くある、今朝は靄がかかったように霞んでいる、いよいよ本格的な秋の到来で、鴨川の河原の銀杏も黄色くいろつき始めている樹もある、１０年、いやもっと前のことだろうと思うが、繊維メーカー時代の会社、今の仕事先のマンションよりも東北、比叡山に近い場所、そんなある年、物凄く紅葉が鮮やかで、きれいな年、頂上付近から紅葉が始まりだし、日一日とそこの紅葉がふもとのほうに向かって降りてくる、まるで頂上付近の山火事の火が麓に向かって燃え広がってくるような錯覚、京阪電車が出町柳まで繋がっていなかった時代、大坂へ商売に行くのは阪急電車を利用、その帰り阪急電車の河原町駅からタクシーで会社へ戻る、後ろの席のシートにもたれてぼんやりと、空は今にも時雨だしそうな黒い雲、夕日は西山に傾いていて、黒い雲の間から太陽がのぞく、黒い雲の向うの比叡山にだけ太陽の光当たっている、比叡山の山全体が赤、オレンジ、茶色、黄色、グリーン、それぞれの色の濃淡があり、色のグラデーション、「運転手さん、比叡山がきれいなんで、タバコを一服吸いながら、ゆっくり比叡山を見ていたいから、どこかその辺りで止めてくれる」、タクシーを止めてユックリと比叡山を眺めていた事がった、以来、紅葉の比叡山を楽しみにしているが、その年の様な鮮やかで、きれいな比叡山の紅葉は見る事がなかった。 インターネットのサイトで、京都観光タクシー協会のサイトの中の京の花便りのコーナー、１年中、梅から始まって、桜、霧島、躑躅、皐月、山吹き、杜若、あやめ、藤、紫陽花、睡蓮、蓮、桔梗、百日紅、萩、紅葉、と京都のそれぞれの有名な名所、何人かの協力者を得て、個人タクシーの運転手さんが、５日から、３日おきに定点から撮影した写真を更新、そのサイトを見ながら、次の休みの日によさそうな場所を予想して出かけていく、このサイトを参考にすれば、外れる事は無かった、ここの紅葉がこんなにきれいなのかと、初めて訪れる場所も随分と増えた、ところが、２、３年前からこのサイトが桜の季節と紅葉の季節だけが更新されるようになった、こうなるとついついこのサイトを見る機会が少なくなり、オレの行動範囲もそれにつられて狭くなってしまっている、京都の紅葉は１１月の１０日ぐらいに始まって、勤労感謝の日の連休の頃は散紅葉、それが最近では２週間から３週間は後ろにずれて来ている、１１月中旬には辛抱が仕切れなくなって、紅葉を求めて出かけるが、少しまだ早かったな、最近はデジカメの画像処理で、紅葉の雰囲気が出ている、そんなことも多い。 それと不思議なもので１２月になってから紅葉の盛りという場所もある、ところが１２月になると紅葉の写真を撮りに行く気が起こらない、勤労の日の前後の連休、この辺りが見頃になってしまっている、悩ましいのは交通渋滞である、ある年、黒谷の真如堂へ行こうと思ってバスに乗る、普段は４０分くらいでつくところが、バスがぜんぜん動かずに、ついに２時間余り、真如堂の後、行く場所の予定を立てていたが、時間的にと、気力、次の場所へ行く気になれず、それとここは会津藩士の怨霊があるのか、ここへ来ると、カメラのトラブルが起きる、デジカメとフイルムカメラの２台を持ち歩いていた頃、フイルムカメラはハーフ版のフジ６４５ズームというヤツで、フイルムはブローニングの１２枚撮り、すぐにフイルムの取替え、前にもここで一度あったことなのだが、フイルムを取り替えようとすると蓋が開かない、確かにここへきた時に、その時の記憶が頭をよぎった、その同じ事がおきた、結局カメラはそのままリュックにしまい、写真屋さんへ持ち込み、メーカー送り、この真如堂への到着が午後の３時、１時間もすると太陽は西山に傾く、真如堂は黒谷の小高い場所にある、西山に沈みかける太陽の光が下から紅葉を照らし始める、真如堂の周りの紅葉が燃えたように輝き始める、燃える紅葉という表現がある、まさにこの事、怖いほどの美しさ、交通渋滞のお陰でこのような紅葉に出会えた、しかしその時以来、この時期はバスでの移動はせずに、マウンテンバイクでの移動をする事にしている。 紅葉のシーズンはマウンテンバイクでの移動か嵐電で嵐山方面は行く事にしている、家を出てから確実に３０分でつくことが出来る、嵐山駅を降りると物凄い、人、人、人である、歩道からはみ出して車道を人が歩いている、嵐山へ来るとまず目指すのは駅から一番遠く離れた化野の念仏寺である、何年か前までは人ごみを通り抜けると、急に人が少なくなって、歩いている人もまばら、この辺りの葬送の地にあった石塔や石仏がこの念仏寺に集められて、周りの紅葉の木は無縁仏を回向するかのように一層鮮やかに紅葉する、人気の少ない嵯峨鳥居本を通って、ここへ来ると、如何にも秋らしい、少し淋しい、かすかに侘しい、そこに一層鮮やかな紅葉、石仏が集められた賽の河原の入り口にある床机、ここに灰皿が置かれている、普段よりもユックリとタバコを２本ほど吸う、例年ここへ１人で訪れている、数日前に、「１１月２５日頃に紅葉の嵐山を案内しましょうか」、と誘ってみた、いつもの笑顔だったが、ハイと頷く事は無かった、恐らくここへ訪れた事は無いだろう、ここを見せたくて、喜んだ君の笑顔が見たくて、散り落ちてくる紅葉の葉を見上げる写真が撮りたくて。
Oct 5, 2010
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秋に思いを馳せて、京の萩巡り。
猛暑日、熱帯夜、熱中症、新聞を見るとこれが３点セットのように書かれている毎日、先日夕方の勤務のために、西大路四条の交差点を北西のバス停に向かう時、花壇の傍に１人の女性が倒れている、高齢者ではなく、かなり肥満で、サングラスをかけていて、髪の毛は薄い茶髪、仰向けに倒れていてその周りの警察官が５、６名、救急車の手配はすでに済んでいたのだろうが、西日が照りつけている路上に、少々風体が怪しいながら女性が倒れている、警察官は立った間覗き込んでいるだけで、別段厳しい陽の光をさえぎるようなものを準備するとか、何かをするでもなく、立った侭、覗き込んでいるだけ、信号の東向かいの交番所の警察官が出てきているのであろう、やがて救急車がサイレンを鳴らして到着、ストレッチャーが降ろされて、倒れている女性がそれに乗せられて、救急車の中へ、５、６人も警察官がいて、１１９に電話を入れて、救急車が到着まで恐らく約１５分、その間に何もしないで立ったまま、覗き込んでいるだけ、もし一般の人なら、救急車が到着まで簡易救急措置のために、何かのアクションをするだろう、例えば目の前の商業ビルのパン屋さん、ここで保冷剤でももらってくるだろう、何もしないで立ったまま、覗き込んでいるだけの警察官に無性に腹が立った、腹が立つだけならいいのだが、黙っていられないのが性分、１人の警察官をつかまえて、「こういう場合に警察官は覗き込むだけで何もしないのですか」、というと、横を向いたままオレの顔も見ないで、「医者ではないのでね」、これにはムカッが倍増、「医者でないのは百も承知、覗き込むだけがこういう時の警察官のすることか」、そこへ待っていたバスがやってきた、「医者でなくても日陰を作ってあげることくらいは出来るやろう、一般の人間ならそうするでェ～」、と言い残してバスに乗り込む。 今年の暑い夏、家ではクーラーを殆どつけていない、さすがに寝る時には、寝る１５分前にクーラーのスイッチオン、１時間でスイッチオフのタイマーをセット、目が醒めるとパジャマの上着代わりのＴシャツと枕が汗グッショリである、ところがこの数日前から、その汗で濡れ具合が少なくなってきている、そして枕もとの窓のカーテンを開くと涼しい風が入ってきて、新聞を取り込みに外へ出ると、家の中よりも涼しく感じる、昼間は相変わらず３５度を越す猛暑続きだが、空の厚ぼったい雲も薄くなり、朝の空気は確実に秋が近づいている気配が感じる、ここ数日。 阪急の西院駅から西大路通を南へ、一筋目の北角に４台ほどのコインパーキング、ここの西大路通に面した端っこに、ワンオックスカーを止めて、敷物を強いて古着屋中古スニーカを売る移動式ショップが約１年ほど前から週末にオープン、結構個性的なスニーカーが出ているので、時折立ち止まって品物を見たりしていて、顔馴染みになっていて、丁度、昨日は品物を並べ始める前にその前を通りかかり、「暑いのに気張ってるねェ」、と声をかけると、いかついスキンへッドの髭面をほころばせて、「ほんまに暑いですねェ」、と言いながら、目ざとくオレのサンダルを見て、「大将、キーンですよね、今年のモデルですか」、「イヤ、３年前の」、「つま先が安心で、足入れがいいですよね、どこで？」、「新京極のモンベルで」、チョッとしたサンダル談義、コインパーキングに車を止めて、そこで古着や中古のスニーカー販売の店、一見怪しげであるが、こんな商売を考え付いて、京都市内の人通りの多い場所のコインパーキングで店開き、大商いは無理として、小商いでも、胡散臭い目で見られながらも、逞しくこういう商いをするやつは、基本的に好きである、ストリートミュージシャンならず、ストリートマーチャント、「店だしの邪魔をしたね」、「いえいえ、時々冷やかしに来てください」、いかついながら愛嬌のある笑顔で。 例年、夏場はカメラを休憩、９月の中旬の萩の咲く頃からか再開、高校は桂高校で通っていた当時は、校門の左右に野生の萩、担任の国語の教師が、ここは京都市内での有数の萩の名所、秋が実に楽しみ、「へえ～、こんな小さな、咲いているのか、咲いていないのかわからないような花が」、当時はそう思っていた、その萩の花、クローズアップで写真を撮ると、思っていた以上に艶かしくて、色気さえ感じる花で、御所の北東に位置する梨の木神社、普段はここの境内にある、「染井の井」、平安時代より御所の装束の染めに使う水の井戸でこの名がつけられ、度重なる地震等で水脈が変わり、井戸枯れ、その度に井戸を掘りなおして、今でも美味しい水をくみ上げており、この水を求めて行列が出来るほどであり、この境内の背の低い萩が多くあり、９月の中旬には萩祭りが行われて、その時に句会もあり、俳句の短冊がぶら下げられる、ここは人工的に手入れのされた萩の名所、ここから寺町通りを今出川通に抜けると出町、今出川通を東へ、鴨川を渡って、川端通を北へ、すぐのところにある常林寺という小さなお寺、萩の寺と書いてあるが、ここはまだまだ知る人ぞ知る、比叡山や鞍馬方面へ行く人が、たまたまこの寺の前を通りかかって気がつという人が殆どで、萩の花が終わると株だけを残してばっさりと刈り取られると、本当に何もないお寺で、石畳の向うに本堂があり、ショショウ寺の狸囃子に出てきそうなお寺で、５月のゴールデンウイークが済んだ頃から萩が伸び始め、７月、８月くらいになると、人の背丈よりも高く伸び、９月になって萩の花の蕾が突き出すと、真ん中の石畳の参道が見えなくなるほど覆いかぶさるようにして花をつける、野性味、野趣溢れる萩の名所、ここへ来ると必ずよる手打ち蕎麦屋さんがある、オレよりも少し若い女主が１人で手打ちの蕎麦、色の濃い、男性的な手打ち蕎麦で、出身が島根ということで島根産の蕎麦粉を使用して、女主のこだわりで色の濃い蕎麦の風味とワサビの風味は喧嘩をして相性がよくない、ということでこの店にはワサビが置いてなくて、薬味は自家製の一味唐辛子だけである、ここでおろしそばを食って、隣の元自家焙煎の喫茶店による、苦くて、香りのきついコーヒーで、その割りに飲んだ後が軽くて、店の親父が自慢のカイゼルヒゲをピクツかせて、長年の試行錯誤の末にこの味にたどり着いた、といつも自慢していた、その親父がなくなって、古くからここへ勤めていた女の子が見よう見まねで焙煎にチャレンジするが、ギブアップ、メーカーで焙煎したコーヒーを使うが、この店に訪れるのは最近では年に一度の萩の時期、その度にコーヒーの味が変わっており、店の親父の焙煎していたコーヒーの味へのチャレンジが未だに続いていて、古い焙煎機は店のインテリアになっている。 梨の木神社と常林寺はマウンテンバイクで約１０分余りの距離である、そこからは少しはなれているが黒谷の真如堂の東にある迎称寺、お寺を取り巻くように萩が植わっていて、この寺の南側に回ると、土塀が崩れて、茶色い土がむき出しになって、一部が崩れ落ちていて、そこに萩が咲いていて、うら寂しい風情の萩で、福本清三さんが扮するやせこけた浪人がその朽ち果てた塀の割れ目から、返り血を浴びて、自らも刀傷を負って、血刀を片手によろめき出てきて、物凄い形相でばったり倒れる、「ハイ、カット、オーケーです」、そういうシーンにピッタリの場所で、この寺の住職は意識的に土塀が崩れた状態を保っておられるということである、ただこの寺は黒谷の上である、どの道を通ッても急な坂道であり、苦労して辿り着いても、土塀の崩れたところに萩が咲いていないと絵にならない、ここ数年はついつい弱気で、ここへはパスをしている、これが９月中旬の萩めぐりのコースである。■「今日の言葉」■ 「 素直に聞いてそのまま実行する ことが習得の基本である 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Aug 28, 2010
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京のお盆の精霊迎え。
昨日と順序が逆になりましたが昨日は、「京のお盆の送り火、大文字」、これは精霊送り、精霊とはご先祖の霊で、京都では、「おしょらいさん」、ともっぱら言われていて、今日はそのお迎え、精霊迎えの事を書きます、地方によっては初盆の時には、門から屋敷まで迎え火を焚いて、葬式の時と同じほど多くの人のお参りというところもあるようですが、京都は古くから町家が建て込んでいて、各家々で迎え火を焚くのは火の用心にも悪く、各家々の前で迎え火も、送り火も少ないです、８月７日ごろに知り合いなどとバスの停留所辺りで出会うと、「お迎えは？」、「いやァ～、うちは浄土真宗やから、そんなんはせえへん」、という事になる、だから盂蘭盆で精霊迎えには行った事がない、だから、「どこへ行くの？」、「六道さん」、「暑いし、陶器市とかち合うし、込んでるやろう」、「浄土宗はお盆になんやかんや、せんならんことが多うて」、「その点、オレのとこは楽や」、とそんな会話を交わすことが多い。 ８月７日から１０日ぐらいに、精霊迎えをする、彼との会話の中で、彼が、「六道さん」、といったのは東山松原の少し西に六道の辻というのが会って、ここに六道珍皇寺というお寺があって、ここで高野槙を買い求めて、水塔婆を書いてもらい、高野槙で水を振り掛けて、水塔婆をお納めて、ここのお堂の中に納められた鐘、その頃には長い行列が出来ていて、撞き綱だけが外に出ていて、それで鐘を撞く、これが精霊迎え鐘であり、これが精霊迎えであり、ここで買い求めた高野槙は家へ持ち帰って盂蘭盆の間仏壇にお供えをする、ここの東には鳥辺野という古くよりの葬送の地があり、火葬もあったが、多くはこの地の野辺に投げ捨てもあったが、また木につるして鳥に食わせる鳥葬がもっぱら行なわれていて、それが変化をして地名の鳥辺野となり、死体や白骨が累々と横たわっていて、この六道の辻は轆轤（ろくろ）町、近くに清水焼の窯元も多く、ふさわしい町名のように思えるが、江戸時代以前は髑髏（どくろ）町であり、その地との境界が六道の辻で、その古の埋葬の地の近くにある六道珍皇寺で鐘を撞いて、死後の世界は地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人道、天道、六道の世界で、そこから精霊を盂蘭盆の間に現世に呼び戻す、これが京都でのお迎えである。 古の京都の葬送の地、東はこの鳥辺山の鳥辺野であり、北は紫野の蓮華谷の蓮台野、西は嵯峨野の化野、南は桂川と鴨川の合流地点の河原、佐比の河原、であったようです、精霊迎えは六道珍皇寺、千本釈迦堂、千本閻魔堂、で行われているようで、機会があれば訪れようと思っている。 盂蘭盆のお迎えではなく、写真を撮るために六道の辻方面へ、出かけたことがある、いささか霊感を感じるタチであり、ここを訪れる時は鳥肌立つという事ではなく気分が重苦しくなる、という事はこの六道珍皇寺には、小野妹子の血筋で、小野小町のお祖父さんに当たる小野篁、昼は朝廷に仕えて、夜はここの本堂の脇の井戸から冥界に入り、閻魔大王（地蔵菩薩）の手助けをしていた話が伝わっており、篁が罪を犯したときに助けられた恩人が亡くなって、閻魔大王の前で裁きを受けてる時に、篁は、「この人は大恩のある人です」、と閻魔大王に掛け合って、生き返らすことが出来、このはなしが広まって、他人から恐れられる存在になったと伝えられている、また、この篁は一度死んだが、生き返って、桜の木で六体の地蔵菩薩を作り、お寺に納められて、平清盛によって京都の入り口、各口にあるお寺に祀られる事になり、現在でもその六地蔵めぐりが行われており、また篁は冥界で様々な地獄で民衆に成り代わって閻魔大王が身代わりになっている様を見、閻魔大王は、実は地蔵菩薩であると言い、篁をルーツとした地蔵伝説が地蔵盆の起源と言う説もある。 ここは六道珍皇寺だけではなく、ここの向かい側に、六道地蔵を祀った小さなお寺もあり、盂蘭盆の間にきれいな皇后が亡くなられて、人間は死んでから土に返るまでどのような姿になるか、その変化を九段階に分けて描かれたおどろおどろしい絵図や地獄絵図が一般公開される、また六道珍皇寺の並びの少し西に古い小さな飴屋さんがある、看板には、「京名物・幽霊・子育て飴」、とある、名産品のコピーにしては実にユニークなコピー、慶長４年（１５９９年）、京に住む江村という武士の身重の妻が亡くなり、高台寺の墓地に葬られる、（高台寺の墓地、子を大事の下げまでついている）、埋葬された夜に、一文銭を持った女性が、「夜分に恐れ入りますが、飴を下さい」、と飴を買っていく、これが毎夜続く、六日目の夜までは、一文銭を持ってきたが、七日目の夜には、「お金はございませんが、飴を下さい」、飴屋のご主人は、何日目かにこの女性は幽霊ではないか、もし幽霊なら埋葬された時に棺おけに六文銭が入れられる、それを使えば六日目の夜までは、それを使えば飴を買える、思っていたとおり七日目の夜にはお金がない、飴を渡してから、ソット後をつけると高台寺の墓地へ戻っていく、すると墓の下から赤ん坊の泣き声がし、急いで墓を堀起こすと土の中に赤ん坊、その夜以来女性は飴を買いに来なくなった、身重の妻は埋葬された後で赤ちゃんを産み、この飴を赤ちゃんに与えて、赤ちゃんの命をつなぎ、以来この店の飴は、「幽霊・子育て飴」、として今日まで売られている、その時に助けられた赤ちゃんは８歳で出家して、高僧になり、６８歳で亡くなったと伝えられている。 こういう、曰く因縁のある場所のために、オレの霊感は凄く刺激される、こうしてこの話しを書いているだけで、今夜も蒸し暑い夜であるはずが、首筋と背筋にひんやりしたものを感じる。■「今日の言葉」■ 「 さっさと実行しないと怠け 心がやる気を削いでいく 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jul 30, 2010
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京のお盆の送り火、大文字。
我が家の宗派は浄土真宗東本願寺大谷派で、お盆といっても特別何もしない、檀家寺の住職のお盆のお参りも断っている、仏壇のお花が新しくなり、お供え物が普段よりも多い事ぐらいで、お迎えも、送りもしない、ただ送りとなると、京都には８月１６日に五山の送り火というのがある、所謂、大文字である、（大文字焼きではない）、午後８時に東山如意ケ岳の、「大文字」、が点されて、松ケ崎万灯篭山と大黒天山の、「妙と法」、西賀茂山の、「舟形」、大北山（大文字山）の、「左大文字」、嵯峨仙翁寺山（曼荼羅山）の、「鳥居」、が東山、北山、西山と時計の針回りに５分おきに点されていく、克っては市原野に、「い」、鳴滝に、「一」、西山に、「竹の先に鈴」、北嵯峨に、「蛇」、観音寺村に、「長刀」、が点されていたといわれている、松ヶ崎のその山の所有者の人の１人娘さんと結婚した知り合い、毎年、８月１６日には義父と２人で、地下足袋を履いて、六尺褌を締めて、神輿を担ぐ時の法被を着て、鉢巻を締めて山に登って火をつけているという、このようにそれぞれの大文字は神社や寺の行う宗教行事ではなく、それぞれの山の所有者がそれぞれの大文字の保存会の代表を勤め、仕切るという民間行事である、長い歴史の中でその民間の保存会が大文字の継続が困難になって、消えて行き、現在では五山の送り火という事になっている。 その昔、全ての大文字が燃え盛る様は、鳥肌立つような壮観さであった事が想像される、真っ暗な闇の中で、京都の三方の山で大文字が燃え盛る様、「地獄の蓋が開いた」、といわれる事もある、この大文字の起源は定かではないが、室町時代の応仁の乱、京都の殆どを焼き尽くす長い戦、多くの人が悲運にも、無念にも死んで行き、お盆になると、迎え鐘に迎えられて、縁者のいない多くの霊までが迎えられて、それらの霊の全てをお盆の終わりに送るには、かくも巨大な仕掛けが必要になり、極楽ではなく、地獄の蓋が開いたという表現は、そこには良い場所へ送るということではなく、悪い場所へ送るという意味もあり、応仁の乱の後に行われるようになった様に思う、それぞれの大文字を見るのには最適なポイントがあり、近ければいいというわけでもない、余りに近すぎると、煙たいし、全体がわからずに、「何を見てるんだったかな」、適度に離れた場所が良い、勤めているマンションの東側の住人さん、大文字がほんの少し角度が斜めだが、大きくて、迫力さえ感じる場所で、ベランダに出て、お客さんを招いて見物、盃に大文字を映して飲み干せば、中風にならないといわれていて、また２人で飲み干せば、絶対に別れる事はないともいわれている、ただ高い建物など全くない時代に始まった、出町の橋の上から、「妙と法」、を見ると山の中腹いっても実に低い低いところにある、厳しい建物高さ制限などのお陰で、遠くのビルからでも良く見えていると感心させられる。 子供の頃から西大路四条から左大文字と舟形を毎年見ていた、左大文字は正面に見えるが、船形は少し船岡山が邪魔をして、半分くらいしか見えない、今でも同じような場所で見ている、ただビルではないが、交差点の大きな道路標識が邪魔をするようになって、最近では仏光寺の信号あたりの中心帯で見ている、お袋と親父の初盆の年には、そこの公団の１２階建てのマンションで、屋上は解放、屋上に上がる、屋上を移動すれば、「妙と法」、は少しかけるが、鳥居まで全てが見える、それぞれの初盆の年の大文字では、炎の色が例年よりもは不思議なほど赤みが強く見えた、例年午後８時１５分頃に左大文字がくっきりと夜空に浮かぶ、お袋と親父が、「ほな、いにますわ」、と軽く会釈をして、左大文字に吸い込まれる様の遠ざかっていく、円町を過ぎて白梅町当たりで毎年振り返る、いつまでも振り返っている親父の腕をお袋がつかんで、「早ようかえらんと」、相変わらずいちびって、やんちゃをしている割に最近は涙もろくなり、このあたりになると２人の姿も左大文字もにじんでくる。 ■「今日の言葉」■ 「 食べ物は感謝していただいてこそ 生きる力となっていく 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jul 29, 2010
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京都の真ん中の住所表記。
高校３年生の終わりごろ、ラグビー部の友達が、「大学の運動部のセレクションで何度もいい場面、手ごたえは充分、そうやけど、数学の単位が取れへんと卒業のほうが心配なんや」、「それやったらなんとかせんと」、「数学のテストの時に前に座って、肩越しに答案を見せてくれ」、「ヨッシャわかった」、という事になったのだが、数学のテストの時に監督が２人、少しでも変な動きをすれば、「おい、そこ」、と注意をされる、結局、テストの時間内に答案用紙を見せることが出ず、見る事も出来ずに時間が終了、答案を提出の時に、「オレの答案用紙にお前の名前を書くわ」、そして彼の答案用紙にはオレの名前を書いて提出、その日の放課後に担任の国語の教師から呼び出し、机の上に数学の２枚の答案用紙、お互いに名前を書き換えた、２人の答案用紙、友達の名前を書いた答案用紙を指差して、「これはお前の字やナ」、「ハイ、そうです」、「そうやったらお前の名前を書け」、「そんな事をしたらアイツの卒業が」、「この間のアイツの大学のラクビー部のセレクションの結果は高校へ正式の連絡が来ている、そうやから卒業云々の事は学校で考えている、ショウも無い事をするな」、という事で一件落着、担任の教師は、「お前の字には癖がありすぎる、こういうことには向いてないぞォ～」、とニヤリ。 確かに漢字でも、ひらがなでも、数字でもオレの字は癖がある、零細企業の経営者は社員の社会保険の資格取得届、資格喪失届、等々は自らがする、労働保険の資格取得届を提出に行った際に、窓口で自動読み取り機で読み取りが出来ません、書き直してください、そこで用紙を書き換える、やはり読み取りが出来ない、窓口の係員が、「仕様がないですね、私が書き込みましょう」、という事でそれで漸く読み取りに成功、以来、そこでの届けは窓口で係員に記入してもらっている、癖のある字を機械が読み取れない、音声でも、声の高さ、話すスピード、言葉使い、言語の明瞭さなどによって音声認識装置が正確に作動しない、１１０或いは１１９の緊急電話の折、場所の説明の折、電話をかけた人の声で認識するのではなく、電話を受けた人が鸚鵡返しに住所を言う、音声認識装置はその人の声で認識するのである、大きい京都市の地図のコントロールパネルが音声認識して、その場所のクローズアップの地図に切り替わり、１１０の場合はその場所の一番近くにいるパトカーが現場に急行、１１９で火事の場合は一番近くの消防署から消防車が、救急の場合は一番近くの病院から救急車が出動する。 勤務先のマンションで防火訓練、１１９に電話をかけて、訓練ですと告げて、「火事です」、「場所はどこですか」、という事になる、「ここが火事です」、「ここではわかりません」、「ここの４階です」、「そうではなくて住所です」、これはいかにも笑い話であるが、気が動転していると実際にこういう事がある、また、「住所は」、「京都市中京区、・・・・・・」、その後が出てこない、今の仕事先のマンションは、「○○通○○○通上る○○町○○○番地の○○、○○○○○○○○邸」、（ヨメは鳥取県出身で年賀状など鳥取県の住所を１０枚ほど書く、鳥取市○○町○○○ー○○、住所はこれだけで宛名下記は随分とラクである）中京区の後これだけいわなければならない、常時居住の住人さんでも住所を正確に言える人が少ない、訓練の時に消防所員から、「管理人さん１１９に電話をしてください」、と指名されることが多く、訓練の前には正確に住所を言う練習もしておく、京都の歴史のある市街地、上京区、中京区、下京区、いわゆる仁丹のホーロー製の住所表示板が家の２階の柱などに取り付けられている地域、少し余談になるがこの仁丹のホーロー製の住所表示板、この写真を撮りだしているのだが、家の建替えなどで、最近は随分と少なくなってきている、休みの日などで、カメラを持っているときにこれを見かけると写真に撮っている、四条堀川の東の北側にある和菓子屋さん、鉄筋の立派な建物、昔の手手物に打ちつけられていたこれを大事に残しておき、新築のビルの西側の壁に硝子ケースに入れて取り付けてあり、この仁丹のホーロー製の道路標示版の説明もカかかれている、昭和のはじめにこれが作られていて、当時は上京区と下京区で、中京区がなかった時代で、現在の中京区に下京区と表示された道路標識板があるのはそのためであると説明されている、ここのこれを見たときは少々感動物。 この京都の古くからある行政区、洛中、洛外と別けて、洛中は道路が殆ど正しく碁盤の目状になっていて、南北の通と東西の通と東入る、西入る、上がる、下がる、これだけでその場所が頭に浮かぶ、例えば京都市役所、河原町御池西北、或いは寺町御池東北、というのは頭に浮かぶが、上本能寺前町という町名は頭に浮かばないし、町名を言われても京都市役所だとわからない、しかし市役所の職員の人は３種類の住所表記の名刺を所持していると聞く、ＰＣなどで検索の折に古い南北の道、東西の道、東入る、西入る、上る、下る、では検索が出来なりつつあり、住所表記を変えようという動きがあると新聞に出ていた、大丸でも四条高倉、高島屋でも四条河原町、ＰＣはどうか知らないが、京都の人にはこれでピンと来る、住所表記を変えようという乱暴で、理不尽な意見があるようだが、長い間に頭と身体に染み付いた住所表記を変えなくても、ＰＣの方を替えればいい話のような気がする、人間がＰＣにあわすのではなく、ＰＣが人間に合わせて当然である。■「今日の言葉」■ 「 素直に聞いてそのまま実行する ことが習得の基本である 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jul 28, 2010
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地蔵盆。
週に一度か二度立ち寄る本屋さん、本を買いに行くのか、飛び切りの素敵な笑顔で、「いつもありがとうございます、またおいでください」、この笑顔と、ほんの二言、三言の会話、そのために立ち寄るのか定かではない、本当のところは後者である、東京出身でここに出店した時に京都へ来て１年半、去年の秋ごろだろうか彼女の事を始めて気付いたのは、お友達になりたい、一目惚れというヤツである、遠くから見ているだけ、或いはレジのところでほんの一瞬、いつまでたってもまどろっこしいほど距離は縮まらない、今年の春前に、探している本のある場所を尋ねた、半年間もこんな事に気付かなかったとは、そのお陰で彼女に顔を覚えてもらった様子、漸く彼女の飛び切りの笑顔に出合うことが出来るようになった、以来店で会えばほんの二言、三言の話をするようになった、京都の街の生活を楽しんでいる様子、京都のガイド役でも出来れば、こういう言い方は邪である、お友達になりたいわけである、念じれば通じる、店は家の近くである、店の近くでバッタリという事もありえる、その時こそ、「時間があればお茶でも」、何という事を期待している、昨日その店に立ち寄って、レジで勘定を済ませると、「地蔵盆のこと詳しいですか？」、この事には少々自身がある、「説明いましょうか」、という事で地蔵盆の話をした、少々緊張気味で、我ながら話が長がった割に要領を得なかったようで少々反省している。 京都では８月の２３日、２４日（２４日は地蔵菩薩の命日）に行われてきた行事で、最近では町内の世話役さんの都合でその近辺の土曜日と日曜日に行われるようになった、現在では京都市の全域、大阪・滋賀・奈良の極限られた地域で行われている、古くより全国各地で地蔵信仰があり、賽の河原伝説も各地であるが、京都の桂川と鴨川の合流地点が埋葬の地で佐比の河原といわれていて、ここが賽の河原ではなかったかといわれている、「幼くして死んだ子供達が、両親の嘆き悲しみを少しでも和らげようと、賽の河原の出て、『一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため』、と石積みをしていると、鬼が出てきて、それを壊す、それを見ていた地蔵菩薩が鬼を退治した」、これが賽の河原伝説で、地蔵菩薩は幼い子供の守り神、延命地蔵として地蔵信仰が生まれて、特に京都は古より栄えた都で、昔から人の出入りも多く、それによってはやり病なども度々流行、当時は天候異変による凶作、疫病の流行などに対して抗する術はなく、祇園祭の起源も怨霊退散、病気平癒に祈りの行事であった、子供が幼くして亡くなるということも多く、家庭内に於いて大事に育て、地域に於いても大切に育て、それでも及ばない故に信仰、地蔵信仰、町内や部落に延命地蔵を祀る、特に京都では地蔵信仰が篤く、根強く地蔵信仰が残った地域といえる、現在でも京都市内には各町内の数以上に延命地蔵が祀られていて、克って豊臣秀吉が京都にお土居を張り巡らし、その基礎にお地蔵さんを使った、だから京都のいたるところに、物凄い数のお地蔵さんがあったと思われる。 この地蔵盆という行事は、お寺の由緒ある地蔵菩薩ではなく、町内に普段はひっそりと祀られている、その由緒も不明な延命地蔵に、町内の子供達を見守り続ける事に感謝の気持ちを表す行事であり、延命地蔵像をきれいに洗い、新しい前掛けに替え（町内の篤志家が孫の名前で寄進）、祭壇を設けてお花を供え、お膳を供え、紅白の餅、お菓子、果物、飲み物などをお供え、２３日の午前７時くらいからテントを張って祭壇を設けて、飾り付けの準備、午前１０時頃に近くのお寺からお坊さんが読経に来て、幼児から中学生の子供達に午前のおやつ、昼食、午後のおやつ、夕方より花火、オレの子供の頃には、その間に人形劇や、映画、一番の人気は紙芝居であった、翌日の２４日もほぼ同じスケジュール、午後の３時頃には地蔵盆のクライマックスともいえる福引、この２日間には町内の子供達が全て、祀られているお地蔵さんの前に来て遊ぶ、「この通、町内の子供達はお陰で元気に、健やかに育っています、ありがとうございます、これからもよろしくお願いいたします」、といったこのような伝統行事でもある。 昔、マンション住まいの時に、子供が１０数人の町内に、２０５世帯のマンション、子供が約６０名、そこの町内では急に子供の人数が大量に増加、無理だからマンションだけで開催して欲しいという要望、マンションの管理組合で地蔵盆の開催を巡って紛糾、地蔵盆と名がつくと宗教行事になるからといって、「子供夏祭り」、という名目で地蔵盆と同じ時期に開催、それが今も続いている、この宗教行事云々、確かに祀るのは地蔵尊であり、お寺のお坊さんのお参り、数珠回しという遊びもある、仏教の行事には違いないが、家を出てすぐに町内のお地蔵さん、ことさら手を合わせて拝むわけでもないが、「おはようさん」、「こんばんは」、と軽く会釈、原始宗教に近い感覚でお地蔵さんと付き合い、子供が出来ると、地蔵盆用の提灯に子供の名前を書いてあつらえる、お地蔵さんを飾りつけたテントの周りにその提灯をぶら下げる、町内にはお地蔵さん当番というのがある、各戸に輪番制で、バケツと雑巾がまわってくる、当番は１週間、その間にお地蔵さんの祠の掃除、花の取替え、水の交換、身体の不自由なお年寄りの１人住まいの家は飛ばす事になっているが、ほかは全家庭に当番が回ってくる、京都の子供にとって夏休みの最後の、最後の大切な行事という事です。■「今日の言葉」■ 「 現在の生活の中に喜びを 見出せ幸福はそこから始まる 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jul 21, 2010
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今年の山鉾巡行見物は籤改め所。
ここ１０日間ほど家の中のフローリングが湿気で歩くと足の裏にへばりつくような嫌な感覚、それだけではない５年ほど被っているパナマ帽、５年も被るとパナマが汗を吸っていて、染込んでしまっている、乾燥している時にはなんともないのだが、これだけ湿気が多いと濡れたように変色していた、それが昨日あたりからフローリングの床も乾き、パナマの帽子も陰干しすると乾きだしてきた、暴れ梅雨もどうやら終焉で、祇園祭の山鉾の巡行に合わせたように梅雨明け、今朝は休みの日に珍しく早起き、午前９時頃の四条堺町の籤改めで祇園祭の見物に出かける、さすがに今日の天気と土曜日という事もあって、午前８時３０分頃に阪急西院駅から阪急電車に乗って烏丸まで、ついた電車は満員で、ドアーが開くと数人が車外にはじき出されてくる、通勤の時にはこれだけ満員の電車ならパスするところだが、駅前のコンビニで黒酢にんにくを飲んで気合を入れているだけあって、斜め横を向きながら、グイッと入り込む、右足は床についているが、左足は浮いたママの不自然な姿勢、やがて電車が走り出すと、左足を床に下ろすスペースが出来て、ようやく自然な姿勢。 烏丸駅につくと、ごっそりと電車から吐き出されるように降りる人、人、人、去年は河原町で辻回しを見ている、その時に比べると人出はかなり多く、大丸横のエスカレーターはまだ動いていない、階段を昇っていく、地上へ出ても凄い人出の予想は付く、普段は滅多に歩かない地下を東へ向かい、堺町の出口の階段を登る、地上に出ると紅白の幕が張られている、丁度、籤改めの真後ろ、東へいこうか西へいこうかと迷いながらも西へでる事に、来賓席の横に一般の有料席が設けられており、紅白の幕が切れたところはかなり西の方、信号を渡って四条通の南側の方が良さそうと思いそこへ向かうが、もうそこは５、６重の人垣、もう少し人の少ないところを求めて東へ向かう、ようやく３重くらいの人垣の場所へ、午前８時５０分、先頭の長刀鉾が来るまでまだ後、約１０分余り、柳の馬場通を綾小路まで下がって、ここへ来ると路上喫煙禁止区域外、暫くタバコ吸えないので、ユックリとタバコを一服、ジャーに入れた冷えたお茶を飲んで、そして四条通へ戻る、カメラを構えてズームを一杯、シャッター優先で５００分の１、天気が良いから絞りも充分絞れる、右手カメラを持ち上げる、液晶モニターが３６０度回転出来る、こういう姿勢でもモニターが見られる、これは精神衛生上良い事だ、手前の人のはげ頭もよけることが出来る、後は携帯電話だけ、携帯電話で写している人を少しよけて、これで準備完了、長刀鉾が大丸の前を通り過ぎてくる、いよいよ、その時に、籤改めの少し東のところへ、報道の腕章をつけた、脚立持参のカメラマンが四条通の端から端まで横一列に並んでカメラを構える、報道の腕章をつければ何でも許されるのか、７月５日の日、長刀鉾の吉符入り、それが済んでから長刀鉾の会所の２階で、お稚児さんが始めて人前での稚児舞の披露、午後３時半から、オレは午後の３時頃からそこの前でスタンバイ、通りがかりの人も、「何があるのですか？」、説明をすると、立ち止まってにわかカメラマン、人がどんどん増えてくる、始まる少し前に報道の腕章をつけて、脚立を持ったカメラマン、オレの前の人は場所を譲る、オレは場所を譲らない、するとオレの前で脚立を立てて、脚立の上に乗ってカメラを２階に向ける、オレのカメラには汗ばんだ彼の背中だけしか写らない。 そこで彼の背中をこんこん、脚立の上からなんだという顔つき、「報道の腕章をつけているから報道関係の人でしょう、という事は一応プロでしょう」、声を出さずに頷く、「最近は素人のカメラマンのマナーも悪いが、報道関係のカメラマンも、良い場所で写すのは当然という思い上がりがないですか、こういう写真は報道というよりも観光写真でしょう、３０分以上も前から来て待っている人の前で、挨拶無しに脚立を立てる、それはないでしょう、後ろの車道は開いていますよ」、周りの素人カメラマンも、「そうだ、そうだ、どこの新聞社や」、という事になって、「すみませんでした」、脚立をたたんで、車道へ出てそこでまた脚立を立て直す、そういう事があった後だけに、いくらなんでも横着過ぎる、そう思っていたところ、何時間も前から席取をして、三脚をたてて待ち構えていた人辺りから、「こら報道陣、邪魔やァ、どけェ～」、暫く怒声が飛び交っていた、報道陣がたとえ１時間でも、３０分でも前から、良い場所でスタンバイしているのなら、彼らも仕事と大目に見るが、ギリギリにやってきて、人の邪魔になるのも平気で一番良い場所で撮影、これには思いを同じくする人も多いことだと思う。 暑くて、タバコも吸えない、３分の１ほど観終わって、阪急電車に乗るために、西へ向かう、これは極少数派、東へ向かう人が殆んどで、先頭の長刀鉾は河原町通で辻回しを終えて、北へ向かっている時刻、この人たちは人の多い四条通を東へ行き、河原町通を北へ追いかけるつもりだろうか、オレならこの時刻なら迂回して河原町御池に先回りをするだろう、山鉾巡行の見物、時刻も関係無しに、兎に角、四条烏丸へ、そういう観光の人が随分と多かった、ご苦労さん。■「今日の言葉」■ 「 素直に聴く心がないと人は 本当のことを言ってくれない 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jul 17, 2010
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祇園祭は女人禁制のお祭。
祇園祭は女人禁制の祭りである、しかし、江戸時代の祇園祭の山鉾巡行の古い絵巻物などによると巡行する鉾の上えに女性の姿が見られれる、現在では長刀鉾のお稚児さん、１３日の日のお位いもらいの後、１７日の巡行がすんで、お位を返すまで、食事を始め、身の回りの世話全てを男性が行い、長刀鉾以外には女性も鉾の上に登る事は出来るが、１７日の巡行の当日は鉾に乗ることも、曳き手として参加する事は出来ない、女性や子供が曳き手として参加できるのは曳き初めの時である、各山鉾町における女性は粽つくりなど、様々な仕事はあるが、表立った事は一切せずに、完全な裏方に徹するわけである。 祇園祭は町衆が営々と受け継いできた祭りで、基本的に資金と人出はその各山鉾町で分担、時代の移り変わりと共にその町内に住む人が減少、鉾の巡行となると囃し方の人が約３０名ほど乗り込む、この人数が足りなくなって、やむなく子供の頃からその町内で育った女性が１７日の巡行の日に鉾に囃し方として乗り込む、髪の毛は短く、化粧もせずに、アクセサリーもつけず、遠目からは女性分からないようにして乗り込む、狭い鉾の上に約３０人ほど、物凄い暑さ、一旦鉾に乗り込むと約７時間ほどの間は鉾の上、問題はトイレ、男性はバケツで済ませるようだが、女性はそういうわけにも行かず、女性が鉾に乗り込むのはそれ相応の覚悟のようなものが居る、「最近あの鉾に女性が乗っている」、「町内の人が少ないから、しょうがない」、と言う事ですんでいたが、以前この事が問題になった事がある、平安遷都１、２００年の記念行事が行われていた頃、この行事の中心的な人物、発言力のある若手財界人、「幾つかの鉾に１７日の巡行の日に、女性が囃し方として鉾の上に乗って巡行している鉾がある」、と発言、これを受けて各山鉾町が、巡行の日に女性の囃し方が鉾に乗ることの是非が問われる事となった。 また平成女鉾が作られて、１７日の巡行の日にこの鉾の参加云々で紛糾した事があった、この時に出された結論が、建前は巡行の日に女性を鉾に乗せないという事になっているが、住人の少ない鉾町ではそういうわけにもいかず、ここで結論を出す事は、鉾町の分裂を招きかねない、現状の女性が囃し方として乗り込む時には、華美にならずに、節度を持って乗り込むことには黙認し、後の世に、１００年ほど後に、もし、その時にもこの事が問題視されるようなら、その時の人達の判断にゆだねようではないか、実に京都らしいか結論が出された、そしてこの問題を提起した、リーダー格の人が財界を去ることとなった、するとこの問題も下火となった、直ぐに滅論を出そうとしない京都独特のやり方、オレは好きではないのだが、この時の結論、「今すぐに結論を出さんと、１００年後の人に判断してもろうたらよろしいですやん」、それがほんまモンやったら、確実に京都ではいつの間にか認められて変わる、１．０００年余り続けられてきた祇園祭、その伝統に裏打ちされた山鉾連合会の自信のようなものがうかがわれる。■「今日の言葉」■ 「 国があってこそ個人の生活 である国の恩恵に感謝しよう 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jul 15, 2010
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大雨で増水した鴨川の納涼床。
今日は休み、仕事のシフト上、今日の休みは昼間、鉾建ても終わり、曳き初めも終わり、祇園祭の写真を撮りに出かける予定だったが、昨日も時間によって土砂降りの雨、夜中からは断続的に激しい雨、根が横着なものだから雨降りの日にカメラを持ち出すと、後の手入れが大変なために天気の悪い日には、よほどの事がない限り写真を撮りに出かけることはない、という事で祇園祭に出かけるのは中止、テレビのニュースで九州、中国地方の豪雨による河川の増水、そして京都の鴨川の風景も、鴨川の河川敷、西岸、鴨川の流れ、遊歩道、その西の端に小さな人工的な川、丸太町の橋から１００メートルほど下流から始まっていて、この川の始まるあたりの草むらに、地域の人たちの努力で蛍が戻ってきて、夏の始まりの頃に、蛍を見ることができる禊川、二条大橋から五条大橋の間に鴨川の西岸に隣接する、飲食店、約１００軒ほどが、この川にせり出して、現在では、５月１日から９月３０日まで鴨川納涼床が出されている、鴨川が増水して、遊歩道が水没、鴨川と禊川が一つの川のようになっていた。 オレが今勤めているマンション、鴨川の西岸、丸太町橋より７０メートルほど下流に立つ、建築の時に大文字山に近く、高さ制限によって、当初は６階建ての予定であったが、１階部分を掘り下げることによって７階建の建物を建てる事が可能という事で、７階建のマンションとして完成、裏出口を出ると直ぐに鴨川河川敷公園、住むロケーションとしては申し分ないのだが、住人さんから鴨川は大丈夫かと聞かれることがある、無責任に大丈夫ですと言えば良いところなのだが、大丈夫ですとは言った事がない、この川の源流がそう遠くない場所で、直ぐに市街地を流れる川であること、それと古く平安時代以前に優れた土木技術を持っていた帰化人の秦氏によって、鴨川と高野川の流れを強引に変えて、出町で合流させた川であること、後白河法皇をして、思いのままにならぬもの鴨の流れと賽の目と比叡の山法師、と嘆かせた鴨の流れである、度重なる大雨で氾濫して、何度もその流れを大きく変えて、現在の鴨川流れに落ち着き、大掛かりな河川の改修工事が行われて、京都の地は災害の少ない地であり、よほどの大雨が降らない限り、そのよほどの大雨が降らないからという条件付で大丈夫なのである、ストレートに大丈夫ですといわない、実に嫌な管理人でもある。 鴨川の納涼床、京都の蒸し暑い夏を少しでも涼しく過ごそうと言う庶民の知恵である、江戸時代に現在のような床でなく、河原の浅瀬に床几をおいて、足を川の水につけて涼をとりながら飲食するという形であり、鴨川の両岸にこのように床几を出す店が増え、一方で鴨川の護岸工事も行われ、鴨川の浅瀬が無くなり、流れも早くなり、夏場に河原に床几を出す事が出来なくなり、禊川も作られて、西岸に隣接する飲食店がこの禊川に納涼床が出されるようになった、この床に関しては建築の基準が無く、豪華な床や店の増築部分のような常設の床などが作られ、景観上の問題などが起きていた、ただ昭和９年の室戸台風のとき、そして翌年の昭和１０年の大雨の際には、この鴨川の納涼床が増水のために全て流され、固定式の常設の床の店は店本体にまで大きな被害を受ける事になり、床開きの前に納涼床を作り、床終いの後に床を撤去する、簡易型の納涼床となった、この鴨川の納涼床は夜間の営業が主で、食中毒の防止のために、５月、９月のみ昼間の営業が認められている、またけばけばしい色や、中国風やフランス風などの、京都の鴨川の景観にそぐわないような納涼床は禁止されている。 まだ６月１日が床開きだった頃に、同業のクレープ屋がこの日の午後３時頃に毎年電話がかかってきた、「今日は何の日や？」、わざととぼけて、「さあ、なんの日や、知らん」、「それでも京都人かいな、今日は床開きやないか、６時頃に、『いの一番で』、で」、二条の橋の直ぐ下流の、鴨川の納涼床の、「いの一番」、の床で待ち合わせ、ただ納涼床といっても、貴船あたりだと８月の真夏でも温度が随分と違い、初めにビールを飲んだ後、肌寒さで熱燗にしようかという事になるが、街中の鴨川である、自動車の廃棄ガス、クーラーの室外機の温風、余り涼しくない、その上に河原での花火の煙、「突き出しと、刺身くらいは床で、その後は部屋に入る、冷房をガンガンきかしといて」、という事になる、この同業の彼、２０年ほど前に東京へ出て行き新事業、半年あまりでその事業に行きつまり、電話がかかってきて、「なんぼでもええさかいに、これか言う口座にお金を振り込んで欲しい」、これが最後の電話で、以来、行方が知れない、しかし鴨川の納涼床を見るたびに彼の事を思い出す。■「今日の言葉」■ 「 きちんとした躾が土台となって 子供の個性が輝いてくる 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jul 14, 2010
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祇園祭の四方山話（後）。
祇園祭の７月１７日の山鉾巡行、午前９時に巡行の先頭を行く長刀鉾のお稚児さんが刀で四条麩屋町にはられた注連縄、これより東は八坂神社の神域、これより町衆の山や鉾が神域に入ります、一刀両断によって巡行がスタート、四条河原町で河原町通りを北へ進むために、方向転換、轍が固定式のために轍の下の割り竹を敷いて、水を撒いて、鉾を滑らせて９０度の方向転換をする、これが豪壮な辻回し、河原町御池でもう一度９０度の方向転換をして、御池通を西へ、ここへ差し掛かると祇園囃子が戻り囃子のテンポの早い囃子に変わり、御池新町で流れ解散で、各山鉾町に戻っていく、急なにわか雨で装備品に大きなダメージを可って受けた経験や、巡行によって、市中に散逸する悪霊や厄災を山や鉾が折角かき集めて巡行、それらが再び市中に飛び散る事のないように、各山鉾町に戻ると、大急ぎで片つけてしまう、だからこの日の午後３時頃にこのあたりを歩いていると、観光に訪れた人から、「鉾はどこへ行けば見られますか？」、「もう、巡行が終わって片付けられています、だから見れないです」、観光のお客さんの中には祇園祭は１ケ月間にわたる祭りで、この間にいつでも鉾が見られると勘違いしている人もいる、「祇園祭は終わったのですか？」、「いや、まだ終わっていないです」、「しかし、鉾はもうないのでしょう」、と恐ろしく噛み合わない会話になる、「鉾と違いますが夕方には八坂神社から３基の神輿が出ます、祇園の石段下あたりで見られたいかがですか、山鉾巡行も祇園祭の行事で、この神輿も祇園祭の行事です」、というと、少し首をかしげながら去っていく。 １７日の夕方、３基の神輿が八坂神社を出て、それぞれの神輿の氏子区内を回って、午後の８時過ぎに、四条寺町南側の少し東に、左右に小さな神社があり、その真ん中に四条センターというみやげ物を売る店があり、この期間は一時的に土産物店を撤去して、３基の神輿が八坂神社の御旅所として、１週間後の２４日の夕刻まで安置される、八坂神社のご神体が鴨川を渡って、町衆の住む場所へ、この間にお参りが多く、お参りの人がここで知り合いと出会う、言葉を交わさないで頭を下げるだけの挨拶、相手の人も心得たもので、「無言参りどすか、おきばりやす」、とこんな挨拶で、神輿が御旅所に安置されている１週間、この七日七夜、無言参りを続けると、どんな願い事も聞き届けてもらえるということで、無言参りをする人も多い、普段着の浴衣姿の花街の舞妓・芸妓の無言参りの姿も見かけることがあり、ついついどんな願い事と興味を引かれる。 １７日と２４日の神輿、３基の神輿で担ぎ手は千人以上、途中に腹ごしらえの弁当が配られる、竹の皮に包んだニギリ飯と真ん中に梅干、数切れのたくあんといった、極めて質素なもので、但しこのおにぎりつくり、人数が人数だけに手で握るのではなく、握り飯の形をくりぬいた木枠にご飯の詰め込み、ぎゅっと押し付ける、この後、握り飯を取り出すのに木枠のふちを、木槌でたたき出す、弁当タタキである、神輿を担いでいる途中に休憩で、担ぎ手がこの弁当を食べる、この時におなかの大きい女性を見かけると、「握り飯を一口食べていかんか、安産のまじないやから」、と声をかけることもある、母親とおなかの大きい娘が神輿見物、若い衆が握り飯を食いだすと、母親が、「娘が来月出産で、お産が軽くなるように、おにぎりを一口」、というときもある、この神輿の担ぎ手の弁当の握り飯を妊婦が食べるとお産が軽くなると言い伝えられている。 １７日の祇園祭の巡行の日、巡行に数千人が参加、子の中で一番えらいのが、小学生の長刀鉾のお稚児さんで、７月１３日の八坂神社でお位もらいなる儀式があり、この時に正五位少将十万石の地位を授かり、祭りに参加する人中で一番位の高い地位となる、お稚児さんはこの日から、巡行が済んで位を返すまで、食事の時には一番上座、土を踏む事がなくなる、馬にまたがるか、巡行当日に鉾に乗り込むときには、強力さんの肩に担がれて乗り込む。 祇園祭の長い歴史の中で、火災で消失したり、ひどいにわか雨でひどく痛んだりして、復旧できなかった鉾や山、昭和の末期に蟷螂山や綾傘鉾や四条傘鉾が復旧されて、記録には残っているが復旧されていない鉾１基、（大船鉾）、山２基、（布袋山・鷹山）、平成の時代になって未だに復旧されていない、僅かに残っているものを会所で展示するだけのひっそりとした居祭が行われている、記録や図面も残っていないものもあると聞く、焼山、休山鉾、といわれて久しく、図面や記録が残っているものの早期復活が望まれる。 ■「今日の言葉」■ 「 社会に役立ちたいと願ってこそ 身に付けた能力が生きる 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jul 4, 2010
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祇園祭の四方山話（前）。
７月になると、１日には長刀鉾のお稚児さんが八坂神社へ祇園祭の無事開催を祈願するためにお参り、「お千度の儀」、が執り行われ、２日には１７日の山鉾巡行に於ける、始めから順番が固定されている山鉾、「くじ取らず」、以外の山鉾の巡行時の順番をきめる、「くじ取り式」、が京都市長立会いの下で京都市市議会本会議場で行われて、平山郁夫画伯の原画の幻想的な月夜の砂漠を行くらくだに乗った隊商の緞帳の胴かけを新調した、「孟宗山」、が１番くじを引きあてた、そして各山鉾町の今年の祇園祭の打ち合わせを始める、「吉附入り」、が行われ、四条繁栄会のアーケードには祇園祭の駒形提灯が飾られ、スピーカーからは祇園囃子が流れ、夜には祇園囃子の練習が始まり、いよいよ祇園祭の雰囲気が盛り上がりだしたところだが、「祇園祭は鉾建てが始まって本番」、といわれているように、１０日くらいまで各山鉾町内に中での行事で、祇園祭が多くの人の目に触れだすのは１０日から始まる鉾建て辺りからである。 １０日、１１日の２日間に亘って鉾建てが行われて、１２日、１３日の２日間に渡って山建てが行われ、どの山鉾も祭りが終わればすぐに解体され、毎年一から組み立てられて、実際に動かす事が出来るか、担ぐ事が出来るかのテスト、曳き初め、担ぎ初めが、それぞれの山鉾町で行われる、細い道をギシギシと、本番の巡行のときには広い道で、高いビル群の中、この曳き初めの時のほうが鉾の大きさや迫力を感じる、この鉾建てというのはどのようにして建てられるのか実際に見るまでは良くわからなかった、鉾を建てるのに車輪周りは、「車方」、胴体部分は、「大工方」、屋根部分は、「屋根方」、と分業制で、まず鉾の胴体部分の柱を、釘を使う事無く、荒縄だけで、独特の、「縄かけ」、組み立てていき、これを一旦仰向きに寝かす、四角い底の部分の真ん中に、梁のように太い、長い柱が取り付けられていて、寝かされるとその柱がぽんと高く飛び出している、これが鉾を建てる時のテコ柱となり、仰向けになった枠が建てられると、この柱は用済みで、取り外される、仰向けに倒された枠の真ん中に、「真木」、という長い柱が差し込まれる、巡行の時に鉾の真ん中に高さ約２０メートルほどに聳え立っている柱である、この柱に紅白の布が捲き地けられて、飾り縄がつけられ、こより紐のついた白い、「紙札」、鉾建てに立ち会うとその町内の世話役人が願い事をしてから榊の枝にしっかりと結び付けてくださいと持ってこられる、その榊が取り付けられて、柱の一番上には、その鉾のシンボルともいう鉾頭を取り付ける、この祇園祭の期限は都に疫病が蔓延、それは怨霊に起因すると考えられて、怨霊退散、疫病平癒を祈願して、鉾を神泉苑に打ち立てたのが始まりとされていて、当時の鉾は７，８メートルの柱の先端に剣鉾が取り付けらたもので、幾つかの神社の祭りの時に見かけることが出来、西院春日神社の秋季祭の巡行の折にも、５基ほどの剣鉾が行列に加わり、これが鉾の原型といわれていて、現在の鉾の形にいつごろ、どのようにして変化したかは定かではない、ただ現在でも山鉾の巡行は都の中の邪悪なもの、怨霊退散、疫病平癒のためであり、鉾の真ん中のこの柱に上のほうに、各鉾のご神体が取り付けられる、このご神体の取り付けは一番最後で、飾り付けが終わると塩とお酒がこの柱に振りかけられて、お清め、テコ柱にウインチのワイアーが取り付けられて、鉾建ての準備完了、ここで町内の世話役さんが、ご神体に息がかからないように半紙を咥えてご神体を捧げ持って、取り付けて、人目にご神体が触れないように袱紗で覆われていて、やがてウインチがうなりを上げて鉾を引きお越しにかかる、寝ていた鉾がユックリと起き上がる、ご神体が人の頭よりも上に行った頃に、袱紗の端の紐が引かれて、この特に始めてご進退の覆いが取れるが、ご神体が決して人の目に触れる事はないのである、細い道で、電線を避けなが鉾が建てられる風景は圧巻である、鉾によってクレーン車による鉾建てが行われる鉾もある。 この鉾建ての頃、鉾町で育って嫁入りをした娘さんが子供をつれて里帰り、鉾建てを子供に見みせていて、鉾建てが終わった後は荒縄のきれっぱしが道に落ちている、それを拾いながら後片付け、女の子がそれを手伝いながらも、その荒縄のきれっぱしをまたいだりする、「女の子が、縄をまたいだらアカンいうてるやろう」、こうして建てられた鉾に、車方に轍を取り付けられて、胴体部分は大工方に胴書けなどで飾られ、屋根は屋根方に取り付けられて、飾られて、こうして出来上がった鉾が無事に動くかどうかのテストが曳き初めである、本番と同じ人数が鉾に乗り込み、この時だけは引き手の女性の参加もＯＫ、町内を少し行ったりきたり、無事に動いて会所に戻ってくると、拍手が起こり、町内の人は、「今年も無事に動いてよかったなァ」、と口々に、鶏鉾の曳き初め、同じ町内に池の坊女子短期大学があり、浴衣姿の女子大生が曳き手に参加、オレも写真を撮り行く、車方に、「ここの曳き初めはいいですよね」、満更でもない顔付きで、「そうやけで、いう事を聞きよらんさかいに、こわいねん」、そんな会話の途中に浴衣姿の女子大生が出てきて、長い曳き綱の向うへまわるのに、次々と綱をヒョイとまたいで向うに、車方はニヤついた顔を急に鬼のようにして、「こら～、曳き綱はまたぐなァ、くぐって向うに回れ」、と怒鳴り声、八坂神社の紋が胡瓜の切り口に似ている為に祭りの間中は胡瓜は食べないという人も、祇園祭は別名鱧祭りともいわれていて、海から遠い京都では昔は鮮度のいい生魚を口にすることが難しく、鮮度が長持ちはするが、小骨の多い鱧、職人が骨きりという技術を考え出して、京都の人はとりわけ鱧が好きで、一年中で鱧に一番脂が乗って、梅雨の雨をたっぷり含んだ海水で育ち、旨い時期からこう呼ばれていた、また屏風祭りともいわれていて、山鉾町は室町で、呉服屋さんの町として栄え、老舗の、大きな呉服屋さんも多く、景気のいい時代には、書画骨董、掛け軸、屏風、ゴブラン織りの敷物、美術工芸品を買い集め、その収集品が蔵の中にどっさり、年に一度、虫干しを兼ねて、家の中に飾りつけ、宵山が近くなると競って道路から飾り付けたそれらを見えるようにする家が増えて、美術的に、骨董的に貴重で、価値のある作品、その日にしか見られないような物もあり、可って若き日の上村松園さんはそれをスケッチに出かけたといわれていて、「屏風祭」、ともいわれている、時節柄、最盛期に比べて、その数は随分と少なくなっているが、豪華で、優美である。■「今日の言葉」■ 「 楽な事は明日に延ばしても 苦しい嫌なことは今始めよう 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jul 3, 2010
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７月になると京の町は祇園祭ムード。
四条通のアーケードの飾り付けが、祇園祭バージョンに変えられる頃、そしてスピーカーから祇園囃子が流れ出して、７月にはいると京の町は祇園祭一色になる、祇園祭は７月１日に始まって、７月３１日に終わる１ケ月の長い祭、正確には唯一長刀鉾に乗る生稚児、かむろ２人はすでに新聞にも発表されていて、その人選は既に早くから始まっていて、その年、その年の最初の山鉾町における祭りの打ち合わせの行事、「吉符入り」、という行事も、世話役の人は日曜日の方が都合が良いという事で、明日当たりの日曜日に行われる町内もある、場所柄、夜間人口の少ない町内では、そこの町内に住む１０軒以下の家の人の手で祭りが行われている町内もある、そこで、「今年の１月にお祖父さんが亡くなり、喪中につき、お祭は遠慮させていただきます」、という風に喪中の間はお祭のお手伝いができないことになっている、同級生で山鉾町の町内へ嫁いだ人もいて、「結婚して以来、２０年ほど経つけど、「今年始めて祭りの間にユックリさせてもらう」、そんな話を聞いた事があった。 １ケ月間の長い祭、７月１日の長刀鉾の稚児とかむろが八坂神社に参拝して、祭りの無事を祈願する、「お千度の儀」、に始まって、７月３１日の八坂神社境内の疾神社の夏越払いで終了である、祇園祭は八坂神社の祭り事、１７日の山鉾巡行がメインの町衆が中心の祭り事、華道・茶道・能・狂言・舞踊などの家元の多くが京都にあり、それらの八坂神社への奉納の行事、この３つが７月の１ケ月の間に執り行われて、祇園祭とされている、その昔は７月１７日に鉾の巡行、７月２４日に後祭りとして山の巡行が行われて、それぞれのその前日の宵山が行われていたのだが、巡行のコースの変更や、交通量の増加、等々の諸問題により、７月１７日に全ての山鉾が巡行されるようになった、その昔には巡行の順序が決められておらずに、巡行の順番を巡って争い事や事故が起こり、運行の順序をくじ引きで決めるようになり、各山や鉾のある町内、随分と道の狭い時代に、その町内の立地によって、巡行のためにスルーする事が難しい鉾に関してくじを取る事無く順序を固定、例えば毎年の先頭は長刀鉾で、まず四条通を八坂神社の方角に向かって東へ向いて巡行、この鉾が四条通の一番東にあり、先頭で巡行するのに都合が良かったと思われる、このように数基の山と鉾が籤を取る事無く順序が決められていて、「籤取らず」、と呼ばれている、その他の山と鉾は７月２日に京都市会本会議場内において、裃姿の京都市長の立会いの下で、「籤取り式」、で籤を引いて巡行の順序を決めている、また７月１７日の巡行の日には、祇園祭の奉行役の京都市長が裃姿で四条堺町で控えており、この籤取り式の順序通の運行をされているかを検分、「籤改め」、が行われる、祇園祭は八坂神社の宗教行事である、その宗教行事に京都市長が立会い、行われる場所が京都市会本会議場内である、共産党や公明党の市会議員から、宗教行事云々の文句の一つがあってもおかしくないのだが、さすがは長い歴史のある祇園祭、世界的にも知られている伝統行事でもあり、京都の大きな観光行事でもある、その歴史と伝統の重みに敬意が表されているのであろう、それに対して文句や苦情を言う人は無いのである。 山や鉾町、祭りの巡行のための費用、山で数百万円、鉾で１千数百万円といわれていて、京都府、京都市、京都商工会議所、等々からお金が出ているが、これとて約半分、残りの半分はその町内から、各山や鉾町で販売されている、「粽」、これが大きな収入源で、この粽は食べる粽ではなく、山や鉾の名前が書かれていて、「蘇民将来之子孫也」、と書かれていて、スサノオノミコトが南海へ旅行中に嵐にあって難儀をしている時、蘇民将来の家で休み、食べ物が供されて、お礼にスサノオノミコトが、「蘇民将来之子孫也」、と書いたお札を渡して、「これを家の入り口の貼り付けておくと、あらゆる災いから逃れられるであろう」、と言い残したといわれていて、ご利益は殆んどが厄除けであるが、中には安産、立身出世、学業成就、火事除け、雷除け、などのご利益のあるものもあり、各家庭では好きな山や鉾があって、毎年そこの粽を買い求めている、粽のご利益と共に、粽を買って祭りに参加している意識もある。■「今日の言葉」■ 「 物を大切にする暮らしの中に 心豊かな生活がある 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Jun 26, 2010
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嵐電北野線の桜のトンネル。
昭和１７年（１９４２年）、に生まれて戦争が激しくなり、京都の五条通の拡張、空襲を受けたときに道路を広げて類焼を食い止めたり、イザという時には道路を滑走路に使用、等々の計画で、当時、住んでいた家がその拡張工事にひっかかる予定、オヤジは徴用で中島航空の資材係りで、全国を飛び回っている、家には祖母とお袋と生まれて間もないオレの３人暮らし、移動が可能な間に亀岡へ疎開、終戦後の昭和２２年（１９４７年）に今住んでいる西院の街に引越し、その子供の頃、西大路通りには市電が走っていて、車道はまだ未舗装で、荷馬車が土ぼこりを上げて走っていた、運送用の自動車といえば、エンジン音がバタバタというけたたましい音で、通称、バタバタと呼ばれていたオート３輪車、市バスは勿論ボンネット形で、ほんの短い期間だが木炭バスとか米軍の払い下げのトレーラーバスなんかも走っていて、時折、派手なアメ車は京都の撮影所で仕事の俳優さん、お医者さん、エンストすれば降りて前にハンドルを差込、それを廻してエンジンを始動させる、自転車の横に幌つきのサイドカーを取り付けた輪タクなども走っており、四条通には四条大宮から梅津車庫までトロリーバスも走っていた、しかしその交通量は今とは比べ物にならないほどひっそりとしていた。 そういう道路事情だから、子供の行動範囲は今に比べて随分と広く、竹が欲しいとなると太秦辺りまで出かけていき、秋にはどんぐりや椎のみを探しに妙心寺まで、また桜のシーズンには御室や嵐山への町内会での花見、当時の大人の人達にとっては、たまの楽しいリクレーション、昼間から酒をたらふく飲んで、酔っ払ってとなりの花見客との喧嘩、一升瓶を振り回しての、当然のことナが流血騒ぎ、最後には警察のご厄介、しかし懲りる事無く翌年も、小学校の体育の時間、夏の水泳となると学校にプールがあるわけではない、夏場には渡月橋の少し上流で、水がせき止められて、そこが臨時の市営プール、そこで水泳の練習、四条大宮から嵐山まで走っている嵐電とは縁がある、この嵐電の駅名、観光で全国的に知られてはいるが実に読み難い駅名が多く、西院（さい或いはさいん）、蚕ノ社（かいこのやしろ）、太秦（うずまさ）、帷子ノ辻（かたびらのつじ）、車折神社（くるまざきじんじゃ）、鹿王院（鹿王院）等々、この嵐電は克っては京福電鉄で福井県に本社があり、出町柳から八瀬遊園地＆鞍馬までの路線と同じ私鉄の会社であった、両方の路線とも桜や紅葉にシーズン、鞍馬の火祭りの火には混雑するが、普段では２両連結の電車にお客さんが３人、運転手１人と車掌が２人、高架では無いために踏切が多く、その殆どが有人踏み切り、３人のお客さんを運ぶために、電車を走らせ、何人の手をかけているか、当然のことながら経営の効率化、京福電鉄から独立、出町柳の始発の路線は比叡山線と鞍馬線に別れ、四条大宮の始発の路線は嵐山線と北野線に別れ、無人踏切、ワンマンカーに変化、京阪電鉄が資本参加と共に観光私鉄路線を歩む事になる。 第３回西院ＮＵＳＩＣ ＦＥＳＴＩＶＡＬの時から西院駅発、嵐山駅まで走る電車内で音楽ライブ、当初はイベント側と一担当の社員との取り組みであったが、ここ数年前から全社的な取り組みに変わり、独自で夏にはお化け電車、春には北野線で夜にライトアップをした桜並木の中を走る桜のトンネル電車、クリスマスにはクリスマス電車、積極的に面白い企画の催しの電車を走らせている、車内アナウンスも平日と土・日・祝日とでは変えていて、駅名の由来などを説明、子供の頃から嵐電と呼んでいて、社名も数年前に嵐電となる、子供頃から馴染むの深い嵐電とイベントを通じてかかわりを持つようになり、余計にこの小さな私鉄が観光用私鉄としての生き残り作戦、応援したくなるのも人情というもので、何年か前からイベントの時の音楽ライブ電車で夜にはイルミネーションをつけた電車の提案をしている、オレの孫が小さいうちに夏の夜にイルミネーションで飾られた電車が目の前を通り過ぎていき、その電車の中では楽しそうに音楽ライブ、きっと驚くだろうなという思いつき、ところがこの企画には幾つかの大きな障害があるとの理由で、却下され続けているが、きっと近いうちにイルミネーションつきのイベント電車が走るという予感がある、嵐電車内での音楽ライブは西院フェスが最初、イルミネーションで飾られたイベント電車も西院フェスが最初と思っているが。 この因縁の深い嵐電が四条大宮から嵐山までの嵐山線が開通して今年で１００年目の記念の年、嵐電にはこの嵐山線のほかに、白梅町から帷子ノ辻までの単線の北野線というのがあり、これが大正１５年３月に開通した、嵐山線に比べて乗る回数が極端に少ない路線である、この路線の間の宇多野から鳴滝までの間の線路脇に２００メートルに亘って桜の木が開通に記念に植えられた、さくらの時期に夜にはこの桜並木にライトアップをして車内の電気を消して、最徐行で走り、桜のトンネルのライトアップの企画がされていた、残念ながら一度も足を運んだ事がなかった、ところが今年になってテレビ番組などで、京都の隠れた桜の名所としてよく取り上げられるようになった、京都でも疎水や川の両側の桜並木はよく見かけるが、線路の両脇というとここしか無いような気がする、嵐電の車両はチョコレート色のレトロタイプの車両、企業の広告用の車両、殆どの車両がどちらかといえばレトロタイプ、そして開通１００周年を記念して、赤紫色の車両でユニークであり、この桜並木をレトロな嵐電が通り抜ける、写真のイメージはわいてくる、という事で昨日の休みに今年初めての花見にここを選ぶ、久し振りに帷子ノ辻で嵐電の北野線に乗り換える、鳴滝駅から宇多野駅まで列車の中から桜並木を見る、その間の踏切など４ケ所ほどに、それぞれにカメラを構えた人が約１０人ほど嵐電の通過を待ち構えている、兎に角、先に竜安寺へ行き、帰りに宇多野で降りて鳴滝まで歩いて撮影のスポットを探す事に、２年ぶりの竜安寺、紅枝垂れ桜の開花には少し早く、ソメイヨシノは満開、この有名な石庭、中央から撮ると、いつも、誰が撮ってもほぼ同じ写真になるが、両サイドから撮ると、この庭が途轍もなく広く見えて、それぞれが違った写真になる、余り天気がよくて日差しが強く明るいと、砂が白く、白飛びがして、昨日は晴れたり曇ったり、少し曇っている時のほうが油壁の独特の模様がはっきりと映って、明るい目の曇り空が最適、そういえば白塗りの女性を撮影するベストコンデイションとよく似ている。 昨日の目的は竜安寺ではない、すぐに嵐電に乗って宇多野駅まで引き返す、先ほど電車の中からカメラを持った人のいた場所へ急ぐ、宇多野といえば公営のユースホステルとサナトリウムが思い浮かぶ、その昔は辺鄙で、周りは田圃や畑ばかり、そこにこの北野線が開通、だから信号機のある踏み切りはポツン、ポツンと、ところが今ではほぼびっしりと住宅が建て並んでいて、ここに住み人達にとっては間隔の離れた信号機のある踏切までは徒歩では遠すぎる、踏み切りの中間地点あたりに、踏み切りの無い場所に線路を横切れる場所が作ってある、ここが少し開けていて、約１０人ほどの人がカメラを構えて通過する嵐電を待ち構えている、信号機がなると、間も無く嵐電が近づいてくる、こうなると約１０人ほどがいい場所でカメラを構えようと場所の取り合い、ついつい前へ、前へとなる、電車との間隔が随分あっても、カメラのモニターを覗いたままで、横を嵐電が通り過ぎていく、すれすれを通過したようで、ヒヤッとする、今年はテレビで随分とここが紹介されている、人出は思ったほど多くはなかったが、来年、再来年あたりには人がもっと増えるだろう、立ち入り禁止の看板とロープが張り巡らしてあるだけ、もう少し人が増えると、人を整理する必要が出てくるだろう、この桜並木以前はもっと線路の方に向かって枝を張っていたらしく、もっと桜のトンネルらしかったのだがある年に線路側に伸びる枝を払ったらしく、以来線路に覆いかぶさるように枝が伸びなくなったといわれている、マウンテンバイクで出かけようと思いながらも昨日は嵐電で移動。■「今日の言葉」■ 「 社会に役立ちたいと願ってこそ 身に付けた能力が生きる 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Apr 4, 2010
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円山公園の枝垂れ桜の正式名称は一重白彼岸枝垂桜。
一週間ほど前にヨメから、「今年は桜の写真は？」、「ん！」、１９日の午後に西京極でのヨガ教室の帰りに、京都の西の方、梅津段町あたりの満開の桜を見てきたから、桜が満開なのに出かけないので、確かに今年の京都の桜の開花宣言は早かったが、仕事場のマンションの７階からいつも冷泉通の疏水端の桜並木を見ている、毎年ここの桜の樹が花が咲く前に枝がピンクがかって見え出してくる、そうすると桜の写真をどこへ撮りに行こうかと仕事のシフト表とにらめっこが例年の桜の頃、年によっては早咲きの枝垂れ桜を求めてマウンテンバイクで市内を駆け回る、確かに春分の日に見た四条中学校の桜は満開、しかし、今日バスの車窓から見た高瀬川畔の桜並木も未だちらほら程度、ここ数日は冷たい雨、クリーニングに出す寸前のダウンのジャケットを着ている、今年は同じ京都市内でも桜の満開が随分と異なる年になりそうな気配。 こういう現象は喜んで良いのかどうか複雑、京都には桜の名所は多く、満開の桜の樹の下を散策する場所は多いのだが、宴会の出来る場所となると随分と限られる、パッと頭に浮かんでくるのが平野神社と円山公園ぐらいである、だから円山公園の夜桜見物は随分と多く、夜桜見物の折の花冷え、これは何度も経験している、数年前の茶店の床几を予約、その日はあいにく雨降りで、花冷え、料理をちゃんこ鍋に変更、直ぐにビールから熱燗に切り替え、それでも身体の心から冷えてくる、茶店のオヤジから毛布の差し入れ、初めは膝にかけていたが、ついには肩から毛布をかけて、冷え込むからトイレが近くなる、トイレの帰りに遠目からオレタチの床几を見ると、ホームレスの夜桜宴会、またバブルの最盛期には１週間続けて夜桜見物、円山公園の枝垂れ桜の西側にはびっしりとブルーシート、満員状態で宴会、野球拳で負けた女の子がついには素っ裸、是非はあるもののバブル期というのは元気な時代でもあった、円山公園の夜桜見物の時にいつも思い浮かぶのは与謝野晶子の、「清水へ 祇園をよぎる 桜月夜 こよひ逢ふ人 みなうつくしき」、この桜の時期となると心もうきうき、その気持ちが、「こよい逢ふ人 みなうつくしき」、という気にさせるという解説を読むことが多いのだが、円山公園から清水へ、この道は上り坂である、季節は違うが秋の夕暮れに未だ太陽が残っている頃に、オレもこの道を急いで歩くことが多く、人が多く、上り坂、まどろっこしい思いでこの道を急ぐ、何故かこの時の与謝野晶子も急いでいるような気がし、与謝野鉄幹が誰か他の女の人と夜桜見物をしているのではないか、そんな嫉妬に似た胸騒ぎを覚えてこの道を急いで歩き、「こよい逢ふ人 みなうつくしき」、と詠んだのではないかと、勝手な解釈をしている。 この頃に京都の桜のシンボルとも言うべき、円山公園の枝垂れ桜があったのだろうか、もし、あったとしても現在の枝垂れ桜の親とも言うべき初代の枝垂れ桜であっただろう、 これは一重白彼岸枝垂桜という名前の桜で、初代は樹齢２２０年で、昭和２２年に枯死した、昭和３年に初代より種子を採って育成された桜を、１５代佐野藤右衛門により昭和２４年に寄贈・植栽され，平成１０年現在７０歳を向える、当初は簡単にこの枝垂れ桜が根付いたのではなく、大変な苦労があったと聞く、翌年の昭和２５年に京都をジエーン台風が直撃、１５代目が桜の幹にしがみついてこの桜を護り、その翌年に始めて花が開いたという事で、この時に現在の第１６代佐野藤右衛門が桜守になる決心を固めたという事であり、「桜守」、とは実にきらびやかな名前である、造園業としては１６代目であるが、桜守としては３代目になり、「たった５日の美しい花を咲かせるためには、残り３６０日を、誰も見向きもしない桜を気にかけて世話をする人間が要るのである。何処であろうとかまわず出かけていって、手入れをし、貴重な種は絶えず保存していかなければならない」、と自著で述べている。この言葉に桜守の基本的な役目が凝縮されている、現在の円山公園の枝垂桜、２０００年あたりから眼に見えて樹勢が衰え始め、一時期、病気や害虫からこの枝垂れ桜の樹を護るために、幹に石灰が塗られて白塗りになっていた事があった、観光客の人が、「さすがに京都の桜、舞妓さんみたいに白塗り」、と奇声をあげたと笑い話が残っている、白塗りは数年で終わり、それでも強い風で弱った枝が折れたり、観光の人の食べ残しをあさるカラスの羽の休め処にこの樹がなっていて、多くのカラスが止まり、花目をつぶしたり、枝がいためつけられ、枯れた枝を切り落とされて、この枝垂れ桜の最盛期は１９８９年頃で、当時の満開の頃に比べると実に寂しくなっている、第１６代目の佐野藤右衛門の生まれた年に先代の枝垂れ桜の種が植えられた、まるで分身である、昭和２４年に植え替えられて、約６０年余の間、京都の桜のシンボルであり続けた、オレもこの桜に自分の人生を重ねる事ができる、丁度、植えられた年が小学校の入学、最初に花が咲いた年がオレが栄養失調で心臓脚気を患い、病気が完治した年で、樹勢が一番強かった頃、オレも商売の絶好調、ここ最近のこの枝垂れ桜を見ていると、克っての樹勢に比べると見る影もないが、この時期になると精一杯、誇らしく咲いている、今年の花が終わると、カラスが止まりにくいように特殊な糸を枝に張り巡らされると聞く、数年後に新しい枝を出して、また樹勢が戻る日を願っている。■「今日の言葉」■ 「 金に対する執着が強くなるほど 金の苦労が多くなっていく 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Mar 25, 2010
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京の桜の開花まで、後何日？
仕事場のマンション、最上階の７階、エレベーターを降りると、左側、東に大きな窓があり、真下に鴨川、正面に東山の峰々、比叡山、大文字山、東山の手前に吉田山、黒谷、そこの真如堂の建物、東山の麓に銀閣寺、永観堂、南禅寺、夜ともなるとこの１３日から始まっている東山花灯路の期間中に知恩院、から清水寺のかけてのお寺でライトアップ、仕事中に四季折々の風景を楽しませてくれる、秋が終わり、鴨川にユリカモメがやってくると、周りの景色が冬景色に変わり、鴨川の河川敷公園で遊ぶ人も極端に少なくなる、やがて２月になると、岸の柳に新芽が出だしてくる、仕事中に時折裏出口から河川敷公園に出て、タバコを吸う事がある、犬を連れて、或いはウオーキング中の人、鴨川の冬鳥を写真撮影の人など、視線が会うと軽く会釈、それだけでなくしばしの会話、「柳はね、一番最後に葉が散って、一番最初に芽が出るんです」、そんなことを教えられたりもする、マンションのほんの少し南側の冷泉通、この道の北側に岡崎から疎水が流れていて、鴨川に直角に流れ込む、普段は水門が閉じられているが、量の多い雨が降ると、サイレンがけたたましく鳴らされて、「水門を開けて放流します、河川敷にいる人は急いで避難してください」、とアナウンスを何度か繰返して、水門を開けて、大量の水が鴨川に流される、この冷泉通の疎水の両側が桜並木になっていて、３月の中旬くらいまでは枝だけの樹に花をつける細い枝が伸びだし、気が大きく立派に見え出す、遠くから見ると薄い茶色、それが次第に灰色に変わり、そしてその灰色がピンクがかってくる、こうなると桜の花の蕾が膨らみかけてきている兆し、こうなる時が一層大きくなり、枝が疎水の水面のほうにたれだしてくる、そして手前のほうの樹から順に咲き始めて行き、数日のうちに見事な桜並みに木になる。 オレの早咲きの枝垂れ桜めぐりが始まる、洛中で一番先に咲くといわれている、千本釈迦堂のお亀桜、平野神社の魁桜、御所の糸桜、そしてオレのお気に入りの清水道から産寧坂を降り出してすぐの甘味所の店の入り口にある枝垂れ桜、産寧坂には枝垂れ桜はこの樹が１本だけ、甘味所の２階からこの枝垂れ桜が良く見えるようにガラス張り、そのガラスに映った桜を撮るもよし、狭い石段を隔てた向かい側の店の赤壁、枝垂れ桜の先が赤壁をバックによく栄える、この枝垂れ桜の好きなポイントは、足断の上のほうからのアングル、多くの電線を掻き分け、波が産寧坂に覆いかぶさるように咲く姿、京都の桜の銘木とは言いがたいのだが、毎年この桜を撮るために、この桜に会いに行っている、それと俗っぽいとは思いながら祇園白川の枝垂れ桜、１０年程前の満開のごろ、枝垂れ桜の先端が、白川の水面に着きそうなほど垂れ下がっていたが、最近はそれほど満開の時期に訪れていない。 夜桜といえば花冷え、円山公園での花見の時に、不思議とこの花冷えにあう、桜が咲くとどうしても服装も春物になる、そこへ花冷えの寒さ、燗酒と篝火で暖をとる事も、バブルの最盛期などには、数日続けて店が終わってから、真夜中の夜桜見物、ある時、折悪しく店が終わる頃から降り出した雨、さすがにそんな天気では夜桜見物の人もまばら、真ん中の枝垂れ桜の真下に立って見上げていると、何となく桜の樹も気味の悪いもので、根っこのところに死骸が埋まっているわけではないが、思わず背筋のほうがゾクゾク、「帰ろうか」、京都の桜シンボルともいえる円山公園の枝垂れ桜、樹勢の衰えがひどく、数年間太い幹に薬品を白塗りして回復がはかられたが、年々枯れた枝が切り払われて、最近では見るのも痛々しいほどの姿、こんなに小さい樹だったかなぁ～、それでも満開の頃には、この枝垂れ桜の周りには何重もの人垣、毎年もう来年は見に来ないでおこうと思いながら、今年が見納めではと、言う思いに駆られて出かけていくことになる、今年の桜の開花予想は少し早い目、孫のコウタの入学式は４月の６日、桜が残っているだろうか。 ■「今日の言葉」■ 「 素直に聴く心がないと人は 本当のことを言ってくれない 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Mar 17, 2010
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時折、「京都人のいない京都が好きだァ～」、と叫ぶ事も。
繊維製品の製造メーカーというのは因果な商売で、年間の半分は問屋から納期で追いまくられて、残りの半分は工場から仕事の投入で追いまくられる、だから、知り合いから納期の無いいつでもいいよという仕事をもらえるとありがたいことである、工場の閑散期にその仕事をすれば良いわけで、ところが京都での、「せいてせかん仕事やけど」、と言いながら持ってこられた仕事、実はこれほど怖い仕事はないのである、というのはこういう仕事を請負うと、翌日には決まったように、「昨日持って行った仕事は、いつごろできまっしゃろか」、「せいてせかん仕事と、・・・・」、もうこういっても手遅れなのである、逆に、「急ぎの仕事やけど」、と仕事を持ってこられると、木で鼻をくくったように、「こっちが逆に仕事をすけて欲しいくらいや」、とこうなるわけで、京都で言う、「せいてせかん仕事」、というのは大急ぎの仕事と考えていいのである。 京都のこのような他府県の人に誤解を生んだり、馴染み憎い、理解しにくい言い回しのようなものがある、他府県から転勤してきた銀行の銀行の外交さんとしばしばもめるのが、「考えとく」、「考えときます」、こう言う方は１００％に限りなく近い否定の言葉であるが、受け取るほうは、「イエスかノーか考慮する」、という解釈をして、後日、「先日の件、いかがですか」、かと聞かれると、「はぁ～」、という事になり、聞いた方も、「はぁ～」、という事になり、暫くの間は、京都に不信感を抱くようになり、その後に、懇意になった先で、「あほうやなぁ、京都で考えときます言うのは、否定を柔らこういう言葉なんや」、とこうして今日と独特の言い回しを覚えていくのである。 ある工場のオヤジさん、このオヤジさんの小さい工場として独特の生産方法が物凄くユニークで、工場外に数１０軒の内職を抱えて、狭い工場内にミシンを７、８台、パジャマを日産４００枚ほど生産、工場内でパジャマの最終工程で４００枚完成させる、外の内職で工場内で日産４００枚の完成が可能になる工程まで部分縫いを進める、夕方の５時に４００枚の完成品を入り口の１畳くらいの場所に積み上げておく、これをメーカに午後５時半くらいまでの引き取りに来させる、そして空になった１畳部分に、工場の外回りの人が午後７時頃に翌日工場内で完成させる仕掛品を回収してきてそこに積み上げる、最初この狭い工場でパジャマを日産４００枚が生産できるとは思わなかったのだが、暫くの付き合いでこの工場のオヤジさん独特生産方法がそれを可能にしている事を実感した、狭い工場でこういうオリジナルな独特の生産方法を考え付くだけあって、実に偏屈で、スポットで仕事を頼みに行くと、納期、数量、デザイン、加工賃の打ち合わせ、そこでこの仕事を請けたくないと思うと、実に白々しく、「へえ～、おおきに」、を連発しだす、何を聞いても、何を言っても、「へえ～、おおきに」、の連発で、タバコをプカプカ、渋い、苦い濃い目のお茶を、次から次へとお代わり、この工場のオヤジさんの、「へえ～、おおきに」、この商売の打ち切りの合図のようである。 おしゃべり好きだが、議論好きでは無い、自論を押し付けれるのも、自論を押し付けるのも好きではない、議論が白熱してくると、「おお～、こわぁ～、怖いことぉ～」、平安京遷都以来１、２００年余、各時代ごとに様々な権力者が入洛、一つ間違えば皆殺し、しかし、そうい目に合わずに京都人は生き延びてきた、時の権力者に対する術というものを身につけていた、それらが今でも残っている京都独特の言い回しとして残っている、ある人の本によると、戦国の世を統一した、３人の武将、啼かないホトトギスを、殺してしまおうと織田信長、啼かしてみせようと豊臣秀吉、啼くまで待とうと徳川家康、３人の武将は征夷大将軍として入洛、自らは日本の国の最高権力者という自覚で入洛、ところが迎える京都人は、平安京の遷都以来京都の御所に住まわれる桓武天皇以来の歴代天皇が日本の最高権力者、最高権力者の征夷大将軍の３人の武将でさえも、日本の国のナンバー２、迎えはするが決して歓迎はしないという京都人の態度、３人の偉大な武将はそれを敏感に感じて、京都人をホトトギスにたとえた、３者３様の京都人への対応の気持ちを詠んだのではないかと書いてあった、３人の偉大な武将の京都人に対する考え方、言いえて妙である、こうして京都独特の言い回し、京都生まれで、京都育ちであるオレ、京都のど真ん中で産まれて育った生粋の京都人から言わすと、「お前は産まれは洛中だが、殆どが洛外で生活、京都人で無いといわれる事がある」、そういわれると思い当たるフシがある、時折、「京都人のいない、京都が好きだぁ～」、と叫ぶ事がある。■「今日の言葉」■ 「 周りの働きに気付いたとき 自分の働きは一層生きてくる 」 (自然社・平成２２年・新生活標語より）
Mar 13, 2010
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日航プリンセスホテルで太夫道中と嶋原の餅つき。
今年の秋ぐらいから永井荷風や谷崎潤一郎（鍵・ふうてん老人日記・痴人の愛・卍）、そして川端康成（眠れる美女）、老人と性に関連した小説を読み、戦後の京都のフーゾク史なるものをブログに書き出し、京都は古くからの都、室町時代から集団売春街が形成されたというフーゾクにおいても古い歴史があり、江戸時代の滝沢馬琴の京都を訪れた時の紀行文に、「妓院」、に関する所で、当時の京都にあった公娼街、私娼街の地名を列挙して、「凡そ洛中なかば皆妓院なり」、と書いていて、その京都の戦後のフーゾク史、戦後からスタートするのは余りにも乱暴、日本最初の公許の遊郭の嶋原、この地に関して、戦後の赤線地帯としての嶋原、中学校の卒業の年に売春防止法の全面施行、当然の事ながら、当時の嶋原に足を踏み入れた経験はない、近所のアンチャン連中に夏の宵物語に聞いただけである、しかしオレの中で嶋原に関しては、嶋原ができた経緯、嶋原に残っている遺構といえば、東の大門、元揚屋の角屋、置屋の輪違い屋、現在も現役の太夫さんが数人いる、という事ぐらいで、赤線地帯当時の事しか頭に残っていなかった、にも拘らず、恥ずかしながらも、「嶋原の太夫道中」、「嶋原の餅つき」、などの復活を願うというような事を書いた。 「嶋原の餅つき」に関しては、オレの小学校の同級生に、西大路三条の組の親分の次男坊がいた、例年年末になると、大勢の刺青を入れた、怖そうなお兄さん連中が組事務所前で、次から次へと威勢良く餅つき、つきあがった餅を小さく丸めて、近所の人たちに配っている光景、まだこの世界に任侠道などという物が存在、堅気の衆には迷惑をかけない、近所の堅気の皆さんに年に一度の感謝とお礼、まだそういうものが残っていた時代で、その日の若い衆は、妙に粋で、いなせで、威勢がよくて、格好が良かった、この光景を見なくなって久しい、嶋原の餅つきというと、オレの頭の中では、その家の近所での組の餅つきと混同している部分がある、笹田次郎の、輪違い屋糸里の小説を読んだ、嶋原の遊郭の事が詳しく書かれている、また輪違い屋の１０代目の当主が出された本も読んだ、嶋原について知っているようで、実は知らない事ばかりで、驚いている、今はもてなし館、嶋原の博物館のようになっている角屋へも時間ができれば訪れようと思っている、この嶋原の事をもう少し詳しく知らなければ、戦後の京都のフーゾク史が前に進まない。 ちょっと横道にそれるが、浅田次郎の、「輪違い屋糸里」、を読んだ後で続いて、「壬生義士伝」、も読んだ、あまりに面白いので、仕事中に時間があれば呼んでいた、それを見てクレーマーのオバちゃんが、管理会社へクレーム、仕事中の小説の読書、ＰＣのブログ作成禁止、「いう事を聞かなければやめさせろ」、とまでエリアマネージャーに言ったらしい、こういう事を言われると、「ハイ、わかりました」、と素直にいう事聞くタマではない、典型的な煽てて使われるタイプ故、エリアマネージャーに、「ハイ、わかりました」、といっていたと伝えて欲しいと依頼、「暇な時間には小説を読んだり、ＰＣでブログを書いたりします」、次にそのことで文句が出れば、その住人さんが気に入らないから、別のマンションへ移動願いを出します、「壬生義士伝」、を読んでいて、何度か、余りにもまっすぐな生き方、健気さに随分と泣かされた、出てくる人は皆良い人ばかり、それにも泣かされた、上手過ぎる。 今日、烏丸高辻の日航プリンセスホテル京都で午後から嶋原の太夫さんの餅つきが行われた、午後１時からホテル周辺で太夫道中がある時いていた、有料の餅つきに付き合う時間はなかったのだが、ホテルの東側から、高辻とおりに面した正面入り口まで太夫道中、振袖太夫と司太夫の２人の太夫、それぞれ２人づつのかむろの先導で、世話役の引き舟を引きつれ、後から柄の長い日傘を差しかける男衆、素足ではいた白檀の３本歯の高下駄を外側に踏み出してから、内側に、太夫独特の、「内八の字」、歩きでゆっくりと正面入り口へ向かう、花街の舞妓・芸妓が見られるセレモニー、八朔の日、正月事始、時代祭の日の御所の中、かにかくに祭、等々の時のアマチュアカメラマンの数に比べると、随分と少なくひっそりしている、いささか寂しい気もするが、お陰でユックリと太夫道中を撮影する事ができた、ホテルの中の正面の大理石の２階への階段前で、２人の太夫と４人のかむろが並んで、写真撮影のために左右と正面に向かってしばしのポーズ、そして餅つき会場へ消えていった、なかなか豪華で、華麗で、雅で、凛として、良いものである、こういう場を提供してくれる、ある種の太夫フアンのお店、こういう店が増えれば、見物する機会が増える、次は節分と花見の頃、ただまだ今の段階ではこちらがこまめに情報をチェックしなければならない状態、オレ的には今日ぐらいの人出の方がユックリと撮影ができてよかった。 ■「今日の言葉」■ 「 気付いた今を逃してしまえば 実行の機会はなかなか訪れない 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Dec 23, 2009
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紅葉の醍醐寺も捨て難い魅力。
正月風景、十日えびす、節分、梅、桜、杜若、霧島、躑躅、藤、葵祭、祇園祭、萩、時代祭、紅葉、クリスマスイルミネーション、師走風景、その他、赤線地帯跡、暖簾、最近になってお地蔵さん、仁丹の琺瑯製の地名表示板、一年中カメラを持って京の街をぶらついている、中でも桜の時期と紅葉に時期になると、一度も行っていない所へ出かけてみよう、しかし毎年訪れているところへも行かないと義理が悪い、しかし時期は限定、期間が短い、シーズンが終わるとあそこへ行けばよかった、ここへも行けばよかったと、シーズンが終わると少々悔やむ事もあるが、まあ、良いか、来年もあることだし、ただ最近オレのオヤジが９０歳を前にしての秋、毎日のようにカメラを持って出かけていたことを思い出す、フト、どんな気持ちだったのだろうかと思うこともある、それとある年の秋、紅葉を求めて東山界隈、こういう時には自分の癖のようなものがあり、必ず北のほうから南の方へ移動、銀閣寺から哲学の道、法然院、安楽寺、霊鑑寺、そこから永観堂、南禅寺、そこから最後に清水寺、午後４時を過ぎると日が西山に傾く、日のあるうちにと混雑する産寧坂を急ぎ足で、最後に清水坂を登って山門に着く頃には、もう日は西山に沈んでしまっているという年が続いていたある年、オレよりも３つ年下だが、子供の頃となりの町内で、その町内は阪急の西院店、パチンコ店、飲食店が多く、子供がいないために隣の町内へよく遊びに来ていた、小さいために遊びの邪魔で、いつも邪険に扱っていたが、懲りずに遊びにやってくる、それでよく覚えているのだが、以来、殆んど会うことはなかったのだが、今の家に住むようになって家の近くのホテルのスポーツクラブへ入会、嫁、息子、娘はジムを利用していたがオレは終末の休みの日に、１週間分のアルコールを抜くためにもっぱらサウナとスチームバスのみを利用、サウナの中で、「やあ、久し振り」、と挨拶をして、そのホテルの北側の昔の家で割烹店を経営、仕込が終わって、店の暖簾を上げる前に、ここでサウナに入って汗を流して、店に戻ってビールを１本飲んでから店を開けるという事であった、その時間と週末にオレが行く時間とが同じでよく顔をあわせていたのだが、暫く顔を見ない時期があって、人から内臓の手術をしたと聞いていた、その年の大文字の夜、そこの店でバッタリと、でっぷりと太っていたのがオレよりも細身の身体になって、「もう少しで死ぬとこやった」、とシャツをまくって手術の跡を見せていた、「無理したらアカンでェ」、「年内はリハビリで、来年当たりからや」、その彼と八坂の五重塔の前でバッタリとであった、「珍しいところで会うなァ、どうや」、「歩いて足を鍛えんとと思って、もみじもみたかったし」、と笑顔だったが、その笑顔は子供の頃、遊びにやってきて邪険にされると半べそをかいていた、その時の顔にソックリだった、「では」、といって直ぐに分かれたが、翌年の節分を待つ事なく亡くなってしまった、その年も清水寺に着くと、もう秋の日暮れになっていた。 今年の秋は今月の１６道から紅葉を求めて出かけている、まず嵐山、東福寺、清水寺と３度出かけている、色鮮やかに真赤に紅葉した紅葉は殆んど見かけていない、せいぜいオレンジかかった赤でであり、オレンジ色であり、黄色であり、まだ青々とした緑色もあり、そして石畳や苔の上にはもみじの葉っぱが散り落ちている、今年は梅雨明けも遅く、夏も短く、もみじのコンデイションが良くなかった年か、それとも京の紅葉の鮮やかな色はオレの錯覚なのか、そんな事を考えながら今日が１１月最後のオレの休みの日、紅葉の写真を撮りに出かけるのは今年の最後、行きたい所はいくらでもあるが、どこか１ケ所となると、大いに迷う、昼食を食べる頃にも行き先が決まらない、散々に迷いに迷った挙句の果てに、桜の頃には訪れているが紅葉の頃には一度も行っていない醍醐寺へ行く事になった、西大路御池駅から醍醐駅まで地下鉄の東西線、この地下鉄がなければ醍醐寺には行く気にならなかっただろう、道が混雑する近くへバスで行くよりは、はるかに早く着く、入り口から山門が見える、桜の頃は山門の手前にも桜が咲いていて随分と華やかだが、それに比べて秋は何もない、広い境内に人影もまばら、しまった、秋の醍醐寺は間違ったかな、そう思いながら山門に近づいていくと、山門から中の木の紅葉が見え出してくる、歩き出すと直ぐに左足が痛くなりだす、その点、１人で来ると気楽である、誰に気遣う事無く一休みが出来る、杖をついた人に追い越されていく、これにももう慣れた、入り口の入場券売り場で、「紅葉の一番綺麗な所は」、と聞くと、「一番奥の弁天堂の所」、広い境内が恨めしい、五重塔を過ぎ、本堂を過ぎると向うに小さな山門が見える、その向うと、手前あたりから紅葉が見えてくる、ここでようやく秋に醍醐寺に来て良かったと思い始める、もみじだけではない、背の高いドウダン躑躅ももみじにまけないように紅葉、弁天堂の前に池があり、弁天堂の横に朱色の太鼓橋が架かっていて、風がなく池に波立ちもせず、地上の景色、赤く紅葉したもみじ、ドウダン躑躅、一段高いところにある弁天堂、朱色の太鼓橋がくっきりと、きれいに池の水に映っている、池を一週回って写真を撮っていると服の袖に小さなもみじの落ち葉、着物を着た女性の白いうなじ、そこにもみじの落ち葉がハラハラと舞落ちる、そんな瞬間の一枚が欲しいとかねがね思っている、これはまた来年に期待、紅葉の醍醐寺、来た値打ちがあった。■「今日の言葉」■ 「 人を尊ぶ心に目覚めてこそ 自分の働きが周りに役立っていく 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Nov 28, 2009
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途絶えて久しい嶋原の年中行事の復活を望む。
今朝の新聞によると、江戸時代に花街として栄えた嶋原で太夫道中が５年ぶりに復活され、創業１６８８年（元禄元年）の置屋、輪違屋に所属するの現役の太夫２人がかむろをと呼ばれる童女を従え、男衆が捧げかける普段は日傘として用いられる道中傘で雨を避けながら、素足に高げたを掃き、足を外側に運んでから内側に戻す内八文字歩きで約３５０メートルを艶やかに練り歩いたという記事が出ていた、輪違屋という現在も営業中の置屋さん、江戸時代の置屋建築の名残を今にとどめている建物で、余り広く知られていないのだが、太夫さんもいて、かむろもいている、もう２０年ほど前のことになるが、信用金庫の若手経営者の例会の時に、嶋原の太夫さんによる嶋原の歴史の講演と、扇を投げて的を落とす、投扇興なるお座敷遊びの実演をしてもらった事もあった、しかし現在に克っての遊郭を偲ばせるものといえば、江戸時代の島原の大火の折に、遊女が逃げ出さないように門の扉が閉められて、多くの遊女が焼死し、それ以後大きな防火用水桶が設置され、その上に消火用の桶が積み上げられ、お客さんを見送る遊女の姿に似た、「見送り柳」、帰りのお客さんが、振り返った時に見送りに出ている遊女の姿に似ているために、「見返り柳」、この名前の方が好きだが、「出口の柳」、と言われている、１本の古い柳の木、そして頑丈な竹垣、見送る遊女と、帰る客さんとの別れは、ここまでという目印の竹垣、「さらば垣」、門の上には見張り部屋もついている、嶋原の東の大門、そして以前には京都市内観光の夜の観光コースの一つで、江戸時代の太夫さんが体験できる、江戸時代の揚屋建築を今にとどめている、新撰組の初代局長の芹澤鴨が、酒に酔い、嶋原の格式に腹を立てて、鉄扇で大暴れをして、その時の鉄扇の傷跡が柱に残っている、今では、「京のもてなし館」、として、江戸時代の嶋原を偲ぶ資料館として営業をしている、角屋、この３つだけである、克っては島原の西門もあったのだが自動車がぶつかり倒壊、当時は再建の動きもあったのだが、現在では忘れ去られたかのようでもある、現役の太夫さんも何名かいる、しかしホームグランドともいえる嶋原には、上がるお座敷もない、太夫道中も、１２月の嶋原の餅つきも、（１２年ぶりに復活をされている）、が恒例行事とは言いがたいのが現状である。 嶋原には３つの顔がある、１つは現在の顔である、大宮とおりの嶋原口から西へ嶋原商店街があり、突き当たったところに東の大門、西に輪違屋、その西に角屋、江戸時代からの遊郭、赤線地帯の名残をとどめている建造物は僅かにこれだけ、嶋原商店街、その他は殆どが一般に住宅街、ワンルームマンション、一般マンション、ここのこの地を知る人は少ないであろうが、この地に住む人だけでなく、京都のほかに地に住む人も、この地の歴史に関して知らない人も多くなっている、そんな時代の過去の行事の復活に消極的というのも頷ける、これが嶋原の現在の顔である、もう１つは京都の中で一際格式のある遊郭から京の近代化とともに、京の都市交通網の発達から取り残された地域としての斜陽化、格式のある芸妓の花街から、娼妓の遊郭地としての業態変更、それなりの賑わいを維持しつつ、戦後の赤線地帯、昭和３３年４月１日の赤線防止法の全面施行、これによりもう一度、芸妓を中心とした花街への転向、この時期には京の５花街はその花街としての地位を確立、ここへ割って入ることは困難を極めて、結果としての嶋原地域の廃業、この間の赤線地帯としての顔。 それともう１つは嶋原の古い顔、足利時代に、幕府が公許を与えた遊郭、二条柳町、ここは余りにも御所に近く、眼ざわりという理由で、秀吉が六条三筋町へ移転、ここも本願寺に近く、西新屋敷に移転、この移転が京の街で蜂の巣をつついたような大騒ぎになり、まるで天草四郎の島原の乱のような大騒ぎという事で、嶋原と呼ばれるようになり、ただ島原の乱と区別するために嶋原という字が当てられた、公許の遊郭であり、五位の位といわれる太夫も存在、京都市内に新しく遊郭地が出来ても、新しく認可を与える事をせずに、嶋原の出稼ぎ地（支店）として認められた遊郭も多く、この嶋原が小説などでよく登場するのは幕末の新撰組とのかかわり、しかし新撰組はあくまで下級武士の集団、嶋原が壬生に近いという事もあってよく遊びに行った場所であるが、この地が新撰組の隊士辺りの遊び場になるということは、太夫のいる公許の遊郭として終焉を告げる時代でもあった、嶋原で太夫と遊ぶことの出来るのは諸国の大名、或いはそれに準ずるクラスの武士で、或いは高名な文人、商人、嶋原の長年かけて築き上げてきた格式とは余りにも不釣合い、客として分不相応といえる、ただ幕末を迎えて幕府の財力が不足、幕府だけではなく諸国大名も財力が不足、嶋原でお座敷遊びをする余裕もなくなり、仕方なく、嶋原の格式も、遊びのマナーも知らない下級武士の新撰組の隊士を迎い入れる事となった、季節の挨拶も済むかすまないうちに袴を脱いで、いざァ～、というこの程度のお客さんを迎えなければならなくなった、嶋原の格式のあるサービス、大名クラスなら揚屋の角屋へいき、輪違屋の太夫を指名する、角屋の店の者が輪違屋へ文による指名を届ける、太夫を生かせますという返事が輪違屋から届く、太夫はお座敷の仕度をして、かむろを従えて、太夫道中の時と同じ歩き方、高げたを外に運び、それを内側に戻す、礼の、「内八文字歩」、置屋さんと揚屋さんの距離が目と鼻の先でも気が遠くなるほど時間、小半時もかかる、漸く太夫が揚屋さんに到着しても、すぐにお座敷にてお酌というわけには行かない、指名をしたお客さんと指名された太夫とのお見合いするような部屋に通されて、そこで暫く時を過ごして、それから漸くお客さんのお座敷へ、お客さんがこういうまどろっこしい嶋原のしきたり、これも遊びの内と考えるような粋な遊びに理解、それとお付のかむろ、日傘を指しかける男衆、指名の文を届ける男衆、等々、指名しても太夫１人が来るわけではない、大人数である、それぞれにご祝儀を弾む、余程の遊び心と、余程の財力が必要、太夫は歌舞音極だけではない、お茶にお花、書に絵画、歌も読む、太夫が身につけたものを理解ができる教養も見識も必要とされる、嶋原は遊郭であっても、俳句や絵画の文化さえ生み出したこのような場所であった、新撰組の初期の局長の芹澤鴨暗殺事件とそれらに巻き込まれていく女達を描いた、浅田次郎の、「輪違屋糸里」、のなかに幕末の頃の嶋原が詳しく描かれている、嶋原の女達の話の端に、当時の嶋原と祇園の格式の違いがことばの端々にうかがい知る事ができる。 オレの子供時代、今から約６０年前の映画の嵐寛寿郎の鞍馬天狗に出てくる、新撰組は完全な悪役であった、しかし、幾つかの映画やテレビドラマなどでは、一概にそういう描き方ばかりではなく、武士の生まれではないが下級武士になろうとして、本物の武士よりも武士らしく生きる事を潔しと考えて、時代に翻弄されながらも頑なに幕府を護るために命を捧げた男達、多くのフアンさえも存在する、しかし新撰組の初代局長で、近藤勇・土方歳三などの試衛館出身の隊士達に、剣の腕はたつが、その理不尽な、傍若無人な乱暴狼藉、酒癖の悪さゆえに暗殺された、芹澤鴨、彼は約６０年経過した後も悪人のままであった、「輪違屋糸里」、で酒癖の悪さゆえの理不尽な、傍若無人の乱暴狼藉、その裏にある彼の人間像が始めて描かれていて、幕府の大きな力に初めは汚れ役として利用され、その後に彼よりも新撰組の局長として近藤勇のほうが御しやすい、という事で暗殺が仕向けられた、そのように始めて彼の人間像と人間としての内面と、武士として幕府に対する忠誠心などが描かれていた、赤線地帯としての嶋原が消滅して約５０年、それよりも嶋原の発祥から江戸時代末期までの、最初の公許の花街としての嶋原が見直されても良い時期が来ているように思う、「太夫道中」、「嶋原の餅つき」、その他途絶えて久しい嶋原の行事の復活を望んでいる。■「今日の言葉」■ 「 気付いた今を逃してしまえば 実行の機会はなかなか訪れない 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Nov 23, 2009
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京の紅葉の時期も短くなった。
桜の時期は短いが、紅葉の時期は長い、これはどうも昔の話で、最近では紅葉の時期も随分と短くなってきた、以前は１１月始めの文化の日が済めば、マウンテンバイクに乗って洛中を紅葉を求めて走り回り、勤労感謝の日当たりが紅葉の最終であり、ところが場所によっては１２月の初めでも紅葉がまだ綺麗な所、忘年会へ出かける途中に見かけることもあった、ただ１２月の声を聞くと、もう紅葉の写真を撮る気にはならい、ところが最近では、１１月の中旬くらいに、待ちきれずに何処かへ出かける、殆どが一部紅葉、一部まだ青々としている、そして一部カリカリになって散紅葉も多い、来るのが早かったのか、それとも遅かったのか、わかりにくい紅葉ぶり、何年か前の写真で、南禅寺の本堂横、南側に大きなもみじの樹と銀杏の樹があって、もみじは真っ赤に紅葉、銀杏は真っ黄色に紅葉、そんな風景を撮影している、以来何度か同じような風景を撮ろうと南禅寺を訪れているが、銀杏が真っ黄色の時にはもみじが青々としていて、もみじが真っ赤に紅葉すると、銀杏はもう落ち葉、両方がきれいに紅葉しているのには出くわさない。 京都の紅葉は勤労感謝の日を挟んだ連休あたりが盛りになっている、以前にその連休に真如堂へ行くのに西大路四条からバスに乗る、普段は約３０分で到着する予定が、道がひどい渋滞で、なんと２時間かかりで到着、真如堂から、銀閣寺を経て、哲学の道を通って南禅寺の予定が、真如堂でおしまい、この真如堂はオレにとっては縁起の悪い場所で、この頃はデジカメとフイルムカメラの２台を持ち歩いていた時期で、その前年にフイルムが終了して、フイルムを取り替えようとするが蓋が開かない、仕方なく、フイルムでの撮影を諦めて、デジカメだけで撮影、帰りにカメラ屋さんへ持ち込み、そのままメーカーへ直送、メーカの暗室でフイルムを取り出す時には、別段、何の異常もなく取り出せたという報告、そしてこの年にも又もや同じ事がおきた、フイルムが終わって、フイルムを取り出そうとすると、また蓋が開かない、縁起が悪いといよりも少々気味の悪い場所でもある、交通渋滞のために予定より大幅遅れで真如堂に到着、到着した頃にはもう陽が西山に傾きかけていて、この真如堂は黒谷という小高い場所にあるために、西山に沈みかけている夕日が、真っ赤に紅葉したもみじの、横や、下の方から照りつける、真っ赤なもみが一段と色鮮やか、陽が西山に沈む少しの間、その陽の光がより下の方からあたる、もみじの鮮やかさがそれにつれてます、まるで周りが火事で、炎に囲まれているよな錯覚さえ覚える、燃えるような見事な紅葉を経験、これもバスが渋滞に巻き込まれて、到着が大幅に遅れたお陰ともいえる。 今年は紅葉を見に出かけたのは１５日に同級会を兼ねて日帰り旅行で長野県の富士見台高原、１６日は京都の嵯峨野方面、ここの一番奥の化野の念仏寺、この近辺の嵯峨鳥居本の町並みも好きだし、その昔、あちこちの点在していた小さな供養石塔、無縁仏をここに集められて供養されていて、普段は殺風景ながら、紅葉の時期になると周りや、中のもみじが、まるで供養でもするかのように一段と色鮮やかに紅葉する、ただ観光のお客さんの混雑と、今のオレの足では遠すぎる、という事で化野の念仏寺は諦めて、その次にこの辺りで好きな小倉山に建てられた常寂光寺へ行く事に、入り口の門から中を覗くと、赤というよりもオレンジがかった紅葉、まだ青いのもあり、苔の上に葉っぱが随分と落ちていて、庭師の人が苔を守るために庭箒で落ちたもみじの葉っぱを掃き落としていた、それでも観光に訪れたお客さんは口々に、「きれい」、「ここに来て良かった」、と、写真に撮るときれいに紅葉しているところだけ写真に撮り、写真をカラー補正、そこそこきれいに紅葉しているように見えるが、それでも毎年、ここの紅葉はこんなんではなかったはず、もっと鮮やかだった、ただ昔もこんな程度だったのかは、むしろオレの思い込みかも知れないと最近思うようになってきている、毎年思うことなのだが、嵯峨野方面の日没は早い、午前中から出かけてこないとと思いながらも、例年、午後から出かけてきて、午後３時が過ぎると日陰になる、日陰になると急に寒さが厳しくなる。 仕事のシフトとにらめっこ、１９日、２２日、２５日が休みの日、２２日は３連休の中間、この日はマウンテンバイクで行ける所、１９日は平日という事で昨日は東福寺へ、来た門を入ってから少し行くと、屋根つきの橋、ここから通天橋が正面に見える、周り一面のもみじが紅葉、その真ん中に通天橋、この風景の撮影ポイント、ここが満員電車状態で、カメラを構えられない事もある、昨日はそこまで混んでいなかった、ただ昨日では紅葉には少し早すぎた、残るは２２日、この日は交通渋滞のピークになるからマウンテンバイクで移動、銀閣寺から永観堂、南禅寺、そして清水寺、東山を訪れる時は決まったように北から南へ、数年続けて、清水寺では完全に日没、だから今年は南から北へ移動、１番最初に清水寺へ。■「今日の言葉」■ 「 社会の恩恵を忘れると 社会に対する不満が多くなる 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Nov 20, 2009
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東山安井のラブホテル街の起源と推移。
京都市内の代表的なラブホテル街というと、岡崎と東山安井である、岡崎も東山安井も近くに京都の代表的なデートコースがあり、デートコースを回った後に食事、お腹もふくれ、少しアルコールも、もう暫く辺りを散策、そうこうしている内にラブホテル街のネオン、成り行きでその中へ、重要と供給、その接点に市が立つではなくて、ラブホテル街が形成された、と極単純に思いこんでいたのだが、京都のフーゾク史を調べているとそうでもないことがわかった、その本はフーゾク史をそれを欲求をする男の需要と、その欲求に対して供給する女性がいて、発展をしてきた、何を以って発展といえるのか、それは今日ではフーゾク市場が約４兆円の市場であるといわれている事実がフーゾク市場の発展の証明といえる、このフーゾクの発展を空間スペースのレンタル業として捉えて、フーゾクの発展を考証した本である。 空間レンタル業として、貸席業と席が席貸業があって、実に紛らわしい言葉ではあるが、両者は全く異なった業種である、まず貸席業、これは古くは、「ちゃや」、とルビをふられていた頃があって、今現在京都の五花街に残っている、「お茶屋」、お客さんはこの座敷に上がり、ここを通じて置屋さんから舞妓、芸妓を送り込んでもらい、食事をしたければここを通じて料理の仕出しを頼む事が出来、「お茶屋」、お茶が出るわけでもなく、お茶を飲むわけでもなく、お座敷、お座敷遊びをするための空間レンタル業である、一方、席貸業は現在の旅館業に近い業種で、ここでは直接に舞妓、芸妓を呼ぶ事も出来ず、料理を出すということもせず、宿泊のための空間レンタル業といえる、これが比較的密集している場所が、先斗町の近くの木屋町であり、祇園町の近くの下河原、お座敷の馴染みのお客さんが長逗留、当然の事ながら舞妓、芸妓の出入りや泊まりもあったと考えられる、東山安井も祇園町の南に隣接する地域である、祇園町で遊んだお客さんがお座敷の後、お気に入りの舞妓、芸妓と今夜は泊まりという段になった時に、「よろしく頼む」、とお馴染みさんにだけ寝る場所を提供する、会員制に近い席貸業があった、ただ東山安井の席貸業が増えた原因として、京都独特の、「やとな」、の存在も大きく、この、「やとな」、というのは、先ごろ亡くなった森繁久弥の代表作の、「夫婦ぜんざい」、浮気性の気の良いだけの、甲斐性なしの亭主を支える、しっかり者の嫁さん、大阪で、「やとな」、をして家計を支えていた、料理屋が直接仲居を抱えていると、忙しい日もあれば、暇な日もある、コンスタントにお客さんがいるとも限らない、そこで仲居さん派遣業、バンケットサービス派遣業、なるものが出来、そこへ登録しておくと、料理屋さんの中居として派遣される、純粋の派遣仲居さんであった、ところが京都ではこの、「やとな」、独自の発展を遂げた、料理屋さんへやとなが派遣、やとなも仲居の給料ではたかが知れている、そうなるとお座敷の後のサービス提供、アフターが主な収入源となる、そうなると仲居としてのサービスがエスカレート、踊りや、三味線や、唄などチョッとした芸のできるやとなも増えてくる、そうなるとついつい食事の後の約束という事になる、舞妓、芸妓と遊ぶよりも料金が安い、格式ばる事も無く敷居も低い、花街で遊ぶよりもやとなと遊ぶほうが安い、それと厳しい芸事の修行はいらない、若い素人の女性でもその気になれば出来る、お客さんはいつの時代でも若い女性と、素人っぽさを求めるものである、お客さんはコストパフォーマンスの高いほうにおのずと流れる、花街が脅威に感じるほどやとなクラブが東山安井あたりに多くできる、こうなるとやとなクラブのすぐ近くに、やとながアフターの仕事をする空間レンタル業がとなってくる、ここで東山安井のそういう席貸業が多く出来た。 ただフーゾクの世界は川の流れと同じで、留まる事な絶えず変化する世界である、若くて、素人っぽい、安いフーゾク遊びもやとなとの遊びに留まる事無く、大きく変化、ソープランドを見てみると、昭和３０年頃に単なる健康志向のスチームバス娯楽場として誕生し、そこで勤める女性の制服は、ショートパンツで、申し訳程度に上着が切り離されていたセパレートタイプの制服が、お客さんの要望か、経営者の策略か、露出度が多くなり、健康志向型のレジャー設備から、健康志向型のフーゾク産業へと移行をする、以来、トルコ風呂というネーミングと共に、（ここからソープランドの技術革新を、「オスぺ」の開発から、「泡踊り」、に至るまでの猛スピードのこの業界の技術革新について書いたのだが、どれかの表現に公序良俗に反する表現ありと、投稿をはねられ続けて、どの言葉か表示されず、どの言葉か特定できませんので、中略しますが、本日書きたい趣旨とは余り縁のない部分ですので、省略します。） 画期的な技術革新はなされていない、 ソープ業界に取って代わるように登場したファッションヘルス、ここのいたるとフーゾク業界のコンビニエンス化、ちょっと話が長くなったがこの業界の栄枯盛衰は世の習い。 という事で京都の花街でさえ脅威を感じたやとな、しかしより安い、より若い、より素人っぽい、フーゾクの登場と共に料理屋でやとなを呼んで宴会、その後のやとなのアフター、これに取って代わられるようになった、ここで東山安井のやとなと遊ぶ席貸業は業態変更として、誰でも入ることができる、逆さくらげマークの、当時は連れ込み旅館と呼ばれていた業種に転向、部屋に通されて、やがておばあさんがお茶を持ってきて、「ご休憩ですか？、お泊りですか？」、のこのシステムは利用者にとっては好ましいシステムではなく、世の中の住環境も洋風に変化、建て替えをして、連れ込み旅館からラブホテルに変化、ここにきょうとで１、２を争うラブホテル街となり、東山安井というと、安井の金毘羅さんの縁きり碑よりも、ラブホテルの方が有名になった。 このラブホテルもバブル期には、様々な遊び心のある部屋、豪華な部屋、シテイホテルのような雰囲気、が求められて東と南の京都インターチェンジのそばや、ホテル街以外の場所にぽつんと建っているラブホテルが好まれるようになり、東山安井にあるラブホテルは古くなり、小さくて、汚くて、いかにもという感じで、若い恋人たちには徐々に敬遠されるようになり出したが、ソープランドに取って代わるように登場したファッションヘルス、フーゾク産業のコンビニエンス化、立地条件は便利の良い場所が要求される、しかも安い料金、となると新規にこの店用にビルの建設は初期投資が大きすぎる、古いビルを無理に改造して、小さい部屋を幾つも作り店舗型ファッションヘルスが急激に増加、気軽に飛び込めて、安く遊べるが、狭い部屋の、薄汚い雰囲気、これが最大のネック、ここで無店舗型のデリバリーヘルス（デリヘル）、ホテルファッションヘルス（ホテヘル）、が登場する、デリヘルも、ホテヘルも、紹介用の事務所だけがあるという形態、ここに遊ぶ空間スペースのレンタル業が必要になってくる、これらの業者は東山安井のホテル街に目をつけ、このホテル街の近くで事務所を開設、幾つかのホテルの、幾つかの部屋を専属契約、東山安井は克っては、祇園街が近いという条件で席貸業ができ、やとなの出現でその数も増加、フーゾクに対するトレンドの変化で連れ込み旅館を経て、ラブホテル街、そして現在では無店舗型ファッションヘルスに部屋を提供、江戸時代より今日までフーゾク産業の空間スペースのレンタル地とホテル街となっている。■「今日の言葉」■ 「 子供の我が侭に妥協していると 親も子も物事にけじめを失う 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Nov 14, 2009
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ある老舗の料理屋さんの意思表示。
銀行の支店の親睦会、年に数回の料理屋さんでの宴会が殆ど、そして気の会う者同士が２次会に流れる、メンバーは８５歳以上の最長老から、若手は４０歳くらいの年齢の人まで、会社の規模もまちまちで、そんなメンバーが集まって宴会、コンパニオンも入って、美味しい料理を食べて、お酒も飲んで、この料理屋さんでの宴会、靴を脱いで座敷に上がる、ちゃんと下足番の人がいて、下足札を渡して、とこういう店では起こらないのだが、お客さんが勝手に靴を脱いで下駄箱へおく、帰りには各自が勝手に下駄箱から靴を出してはいて帰る、いささか信じられない事だが、靴の間違いが起きる事がある、滅多に革靴をはかない人が久し振りに革靴をはく、そうすると自分の靴の形を覚えていない、往々にしてこういう人が先に帰る、一番先に帰った人が靴間違い、そして靴をはき間違えられた人が、残っている靴の中ではき間違えて帰る、こうなると最後には、「俺の靴がない」、と大騒ぎになる事がある、間違いが１人だけではなく、２、３人も間違ってしまうと収拾が付かなくなる、傘なんかもそういう事がある、新しい良い傘が、最後に残った傘となると、安物のビニール傘である、オレの傘とビニール傘をなんで間違うのか、と腹が立つときもあり、当然の事ながら、その怒りの矛先がその店に向かう事になる。 だから予防策として靴は、黒のありふれたデザインの、スリッポンは絶対にはかない、色は明るい目のブラウン、ひも付きの多少デザインに特徴あり、そしてソールはビブラムソール、最近の１０年間はスニーカーオンリーだが、それ以前の１０年間は寺町三条近くの小さな靴屋で、輸入物のこのタイプの靴を見つけて、革靴にしては歩くのが非常に楽、このタイプの靴が最近では滅多にはかないが靴箱の多くのスペースを占領している、そういう靴ばかりはいていたから、こういう場所で靴を間違われる事はなかった、その代わりに傘を間違われる事はしょっちゅうあった、ただこういう店は自分が幹事の時には絶対に使わなかった、商売をしていた頃、大阪の得意先のお客さんの接待、それように１０数軒の馴染みの料理屋さん、目先を変えようと、その馴染みの料理屋さんをローテーションで使う、するとその得意先の人が口をそろえて、次は以前に行ったあそこへ行きたい、とある１軒の店をリクエスト、ここは格別に広い店でもなく、格別にきれいな座敷でもない、料理もいついっても余り変化がない、料理も大仰な仕掛けもなく、請った演出もなく、どちらかといえば素材で勝負するといった地味な料理、その店をリクエストで一致、これには少なからず驚き、ただオヤジもオレも好きな店ではあったが、ある時期から値段が随分と高くなった、そうなるとついつい、１万円で会席料理の食べられる店を探すようになる、その気になって探せばさすがに和食に関しては京料理の本場、いくらでも良い店がある、少し馴染みの店になると接待に利用。 ただ１０数軒の店の中で、大阪の得意先の人が口をそろえてリクエストの店、この店は今話題になっているミシュランの関西版に掲載拒否を表明していたと話に聞いている、店の写真を掲載する事無く星が付けられている、この店が表面だってこの本に掲載拒否をした気持ちもどことなくわかる、何代も続いて守り続けてきた一子相伝の味、お客さんに評価されるのはいとわないが、いくら世界的に権威があるとはいえ、ミシュランに評価されるという事に耐えられなかった、この本による新規のお客さんは要らないという意思表示。■「今日の言葉」■ 「 未来を共有するからこそ平和と 信頼関係が重要なのである 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Oct 15, 2009
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時代祭の四方山話。
京都の３大祭、葵祭、祇園祭、時代祭、この３つの祭の中で１番に馴染み深いのは祇園祭、鉾建てに始まって、曳き初め、宵々々山、宵々山、宵山、巡行とクライマックスの期間が長いセイもある、葵祭となる何度見ただろうかというほどであり、１番なじみの薄い祭である、今月の２２日に行われる３大祭の中でその年の最後に行われる、時代祭、この祭も日は固定であるが、子供の頃から巡行コースの沿道でよく見ている、ただここ数年は巡行の前に、この時代祭の巡行の行列の順序は新しい時代から、古い時代となっている、先頭は明治維新であり、最後は平安時代以前の白鳳時代となっている、巡行の出発時刻の前、スタート地点の建礼門の近くに明治維新の時代、江戸時代、戦国時代と、時代の衣装に着替えた参加者が、三々五々、集まりだしてきてスタンバイをしている、家族や知り合いの人たちと参加の記念写真の撮影、ある年マウンテンバイクで時代祭見物、早く着いたので御所の中へ入り、この光景に出くわした、それまでは御所の傍や、平安神宮の傍、神宮道などで巡行の写真を撮っていたのだが、出発前の光景、これがなかなか面白い、以来時代祭というと、出発前の御所での光景を写真でとって、巡行が始まりだす頃には帰り道。 この時代祭りは京の３大祭の中で１番新しく出来た祭で、明治時代になって、天皇が東京へ、京の街が急速に寂れて、その復興策として万国博覧会を開催、この時にパビリオンとして克っての平安京の応天門などの縮小版を造営、博覧会が終われば取り壊し予定、ところが当時の大工さんや職人さんたち、同じ作るならば技術の粋を凝らしたものという心意気で造営、余りにも見事なできばえ、博覧会終了後に取り壊すのは忍びびないという事で、平安京遷都の桓武天皇を神として祀り、平安神宮となった、神社として非常に歴史の新しい神社でもあり、京都市民の神社という性格も持ち合わせている、そののとに平安京遷都の日、１０月２２日にそれを記念して時代祭が執り行われるようになった、当初は学園祭の仮装行列程度のものであったが、年々時代装束も取り揃え、巡行参加者も増えて、現在のような盛大な祭りとなった、この時代祭りの行列に室町時代は長い間参加していなかった、天皇が東京が嫌になって京都に戻られた時に、足利尊氏や足利幕府の室町時代の列がこの時代祭りの参加しているのをご覧になられた時には、さぞや気を悪くされるであろうという気遣いが合ったとも言われている、数年前に室町時代が行列に抜けているのは不自然という事で、漸く行列に参加する事となった、平安神宮が京都市民の神社、この時代祭りも京都市民の祭という性格を持っている。 御所の中での参加者のスタンバイ、お目当ては各時代の有名な女性である、皇女和宮、京都の五花街の輪番制で舞妓、芸妓が参加する、出雲阿国、淀君、静御前、藤原為家の室、常盤御前、横笛、紀貫之の娘、清少納言、紫式部、このあたりになると大勢のアマチュアカメラマンが群がって、取り囲んで、「こっちを向いて」、とか勝手にポーズを要求、押し合い、へし合い、チョッとした修羅場状態、そして行列の先頭の勤皇鼓笛隊が行列のスタートを始めた頃に、１番しんがりに御所へ登場、時代祭りの一番の主役ともいえる、女性でただ一人、白馬にまたがって巡行する、戦装束の巴御前の到着、ひとしきり顔馴染みのお客さんへ挨拶と並んで記念撮影、一段とカメラの列が多くなる、時折、「そこのオッサン、どけや」、と怒声も飛ぶ、何年もここで写真を撮っていると大体衣装などで、誰がどの役かわかってくる、しかし、アマチュアカメラマンが、「あんたは、誰？」、と声をかける、「紫式部どす」、「清少納言どす」、と返事が返ってくる、誰でも知っている有名人の役の人は良い、ところが比較的なじみの薄い人の役、訴状を帯に挟んだお内儀、藤原為家の室、この役の人は聞かれると毎年困っている、「お母さん、私は誰どしたぁ」、と助け舟を求めている、それと各役の人の巡行の時に手にする小物、常盤御前の牛若（赤ん坊のために人形）、紫式部の扇、男集が髪を直した後、小物を手渡していく、「この梅の枝は？」、「紀貫之の娘のやぁ」、アマチュアカメラマンから声が飛ぶ、紀貫之の娘が照れながら、梅の小枝を取りに行く、そして最後に記念撮影を終えた巴御前が髪の毛と化粧直し、それが終える頃に白馬が引かれてくる、巴御前が白馬に近寄り首筋を撫でながら、「今日は、よろしくね」、歩みをとめられて、イラ付いていた白馬も心なしか大人しくなる、踏み台の上に乗って巴御前が白馬にまたがり、長刀を渡されると、右手に長刀、左手の手綱、背筋をピンと伸ばして、美しいながらも漂う凛々しさ、しばし、見とれていて思い出したように、シャッターを押す、メモリーが足りません、とか電池の残量がなくなる、メモリーの残と、電池の残量を気にしながらとっていても、撮り始めてから小一時間、毎年この頃になると同じ事が起きる、「もう、充分に撮ったから、いいかぁ」、今年の２２日は休みのシフト、余り天気が良すぎると、白塗りの化粧には撮影コンデイションが悪い、出来れば明るい目のうす曇を期待、そう上手くはいかないかぁ。■「今日の言葉」■ 「 進んで当たれば困難の中から 自分に必要なことが学べる 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Oct 4, 2009
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梨木神社の萩の見頃はもう少し先。
休みの日の午後、マウンテンバイクでふらりと出かける、朝晩めっきりと涼しくなって、昼になると強い日差し、しかし空気が乾燥しているので、走り出すと当たる風が気持ち良い、陰に入ると風もひんやりと、にじみかけていた汗も急にひいていく、１年の間にこういう日はそう何日もない、ブレーキとギアーの切り替えようのワイアーのシールドのビニールが紙のようにボロボロになってめくれてきて、中のワイアーがむき出しになってきている、雨などで寂びてきて、弱っていくのだろう、そしていつかプツンと切れる日が来るのだろう、チェーンも随分と伸びてきて、前の３段ギアーの一番小さいギアーに入れるとチェーンが外れてしまう、後の７段のギアーもあまり頻繁に入れ替えすると、はずみでチェーンが外れる事がある、時折、このマウンテンバイクはいつまで動くのだろうと考える事がある、大事に乗って後１０年、その時は７７歳、丁度オレ自身がマウンテンバイクを卒業する時期、それまで走ってくれると良いのだが。 サドルにどっかとお尻を下ろして、しかも歩道を走っている、あまり肉付きの良いほうではない、２日おきにマウンテンバイクで走る日が続くと、サドルにあたる部分に痛みが出てくる、お尻を後ろの方にずらして、座る姿勢を変えていくと、丁度良い場所が見つかる、季節はもう秋、この時期に決まったように出かけるのが、萩が咲き、句会が開かれる御所の東北にある梨木神社、以前は西大路通りを北へ、御池通を東へ、寺町通りを北へ、大体この道を通っていたのだが、最近から暖簾の写真以外にお地蔵さんの写真と仁丹のホーロー製の道路標示版の写真を撮りだしていて、この道路標示版が随分と少なくなって来ていて、京都の真ん中辺りの、昭和の初め以前からあった家の柱などに取り付けられていて、そういう家の残っている道を通らなければ、なかなか見つからない、但し、マウンテンバイクで走りながらであるから、そうきょろきょろするわけには行かない、走りながら、あの辺りのありそうではと勘のようなものを働かせながら走っている、一度、通ったことのある道でも見落として通り過ぎているようなこともある、それと気をつけなければならないのは２度撮り、ジグザグに、兎に角東北の方角へ向かって走っていて、一条通の堀川、一条戻り橋をわたって、御所に突き当たる、御所の中を走ろうかと一瞬迷ったが、タバコもユックリと吸いたい、喉も渇いている、ここまで来たのだから、学生時代に通っていた古い喫茶店を覗いていこう。 その喫茶店というのは、当時はすらりとした、美人の中年の女主人の経営の店で、アルバイトのウエイトレスもスタイルが良くて美人ぞろい、マージャンのメンバー待ち、マージャンが終わった後などに、ほぼ毎日通っていた、それが卒業以来、約４０年ほどご無沙汰で、数年前に一度この喫茶店の前を通りかかって、学生時代とほぼ同じ店構え、黒い四角いカンバンに、店の名前の漢字が一字だけ書いてある、店の中には白髪の上品そうなお婆さん、コーヒーを注文してから、店の中にはオレ１人、「あの～、４０年ほど前に、この店に来ていたのですが」、「私がこの店を始めたのが４０年です、何年の卒業ですか」、と聞かれたが直ぐに卒業年度は思い出せない、「え～と、え～と、４２年の卒業です」、開店したのが４０年という事で、卒業年度が１年や、２年違ったところでどうという事はない、適当に４２年といったが、本当は４１年の３月に卒業していたのだ、話し好きな女主で、小一時間ほど取り留めのない話を途切れる事なく話しこんで、ようやくお客さんが入ってきたので、「長いこと話し込んで、ごちそうさん」、「また、近くを通かからはったら、忘れんと、寄っとうくれやっしゃ、今日は嬉しい日や、きいつけて」、よく話し、よく笑う女主に送られて店をでた。 それからもう数年経っていた、オレと入れ違いに先の一人のお客さんが帰っていった、今日も店の中はオレ１人、「お元気そうですね」、「へえ、お客さんに元気をもうて、４３年間やらしてもうてます」、店の中にはコスモスなどの花の写真が飾られていて、各テーブルの上には小さい一輪挿し、御所の中に生えていそうな雑草が、綺麗にいけてあり、白い壁にも花瓶がぶら下げてあり、そこにも名もない雑草のようなものが綺麗に生けてある、聞いてみると、朝、店を空ける前に、御所へ行って、小さい花をつけている草などを摘んできて、活けてから店をオープンするのが日課になっているという事、雨が続くとレインコートを着て花を摘みに行く、濡れるのは嫌だけど、濡れた花や草が本当に綺麗です、「この壁の写真も主さんが？」、「これは弟がカメラマンだったもので、その弟の形見です、その時期におうた写真を飾っています」、「数年前に久し振りに来たのですが、お変わりなくお元気で」、「１人で店をやっているので、それが張り合いみたいなもので、もう８３です、いつまで出来る事やら、先の事は考えんと、その日、その日を、元気で楽しんでます」、皺だらけの顔を、くしゃくしゃにして、明るい笑顔、なかなか素敵な笑顔、カウンターから出て、向かいの席に座って話し込んでいるところへ、１人のお客さん、「これから梨木神社へ萩の写真を撮りに行きますので、ごちそうさんでした」、「また、寄っとうくれやす、今日は有難うございました、お元気で」、とこの喫茶店を後にして梨木神社へ向かう、萩祭りはまだのようで萩には花もなく、短冊もついていなかった、ひっそりとして、時折、訪れる人はここの名水の染井の井の水を汲みに来る人だけだった、萩の見頃は４連休あたりの日か。 ■「今日の言葉」■ 「 自己中心の思いになると 不満なことばかり起きてくる 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Sep 11, 2009
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すっぽんの大市から五番町にかけて、
有名な政治家、大物財界人などが大きな手術、或いは大病をした後の療養生活中に、少しでも早く元気の回復を願って、新幹線に乗って、京都の有名料亭のすっぽんのスープを求めて、トンボ帰り、という話を聞く、古よりすっぽんは滋養強壮剤、古くは弥生式時代の登呂の遺跡跡からも、すっぽんを食用にしていた事がわかっている、京都の寿司屋さんのカンバンに、寿司・すっぽん料理と書かれているのをよく見かける、オレにとっては冬場はてっちりや鮟鱇鍋よりもすっぽんの鍋、マル鍋のほうがなじみ深い、以前に長い話で書いたある祇園の小さな割烹屋さん、この店でも流し台でごそごそと物音がしていると思うと、すっぽんが動いている、それもいろいろと食べている途中、「すっぽんを潰してもらおうか」、と注文しても、血の焼酎割り、卵を海苔で巻いて食べて、まだ動いている心臓と胆嚢と僅かな身の刺身、細かい肉を串にさして照り焼きにして、山椒を降りかけて食べる、鍋やスープに行く前にお腹が一杯、スープをとっといてと大将に、ここで食べて飲んで、最後の仕上げは冷凍にしておいたすっぽんのスープで汁かけご飯、これが大好きだった。 京都ですっぽんというと、千本丸太町を少し北へ、下長者町通を少し西へ行くと、直ぐに突き当たり、ここの古い建物、江戸時代の中期の元禄時代に創業、現在で１７代目の当主、３００有余年の歴史を誇る、すっぽん料理の老舗、大市、座敷に通されると、座敷の真ん中に食卓、これが通常よりも１０数センチ高さが低い、これには訳があって、食卓の中央に木で出来た四角い箱、その中に五徳、その上にすっぽんの鍋が置かれると丁度良い高さになる、すっぽん鍋に対するこだわりである、すっぽんも代々同じ浜松の養殖業者で、大市専用の生簀があり、こだわりは材料のすっぽんだけではなく、使用する土鍋にも大きな拘りがあり、ここでの調理は火力の強いコークスを使用していて、新しい鍋ですっぽんを焚き、コークスの強い火力で鍋の底が赤くなるまで炊き続ける、この火力に耐えられる土鍋は僅かであり、その選ばれた土鍋に、すっぽんのエキスがしみこむまで炊き込まれる、ここでは土鍋までが一種の調味料でさえある、出されるメニューは一種類のコースだけ、まず突き出しにすっぽんのしぐれ煮、頃合を見て仲居さんが、「お鍋を始めさせてもらって良いでしょうか」、するとまだぐらぐらと煮立った土鍋が運ばれてくる、その鍋はというと、すっぽんのスープ、その中に数切れのすっぽんの身、それ以外の物は一切入っていない、焼き葱が欲しい、焼餅が欲しい、そんなものが欲しければ他店へ行けば良い、恐ろしいほどまでの自信とこだわり、まるでお客さんとの真剣勝負である、許されるのはスープのお酒割り、いやお酒のスープ割かな、一度に一人前を出し切ってしまうと冷めるから、二度に分けて出てくる、鍋のお代わりはオプションで出来る、お代わりをしなければ、次は雑炊である、最後に水物、愛想がないほどシンプルである、ちなみに、この一人前の値段は諭吉さんが２人と漱石はんが数人、若い食欲旺盛の人を連れて行って、鍋を何杯もお代わり、雑炊もお代わり、勘定の時に大いに慌てたという人もいる。 この大市の直ぐ傍に克っての赤線地帯の五番町がある、古い文献によると内野と呼ばれていて直ぐ傍に下の森、上七軒と北野天満宮へお参りの人たちの遊郭で、江戸時代五番町遊郭、四番町遊郭となり、２つが合併されて五番町となり、やがて下の森遊郭が寂れて、上七軒が西陣の旦那衆の遊び場となり、五番町は西陣の職人さんたちの遊び場となり、上七軒は元来娼妓も存在したのだが、やがて芸妓一本の花街となり、五番町は娼妓一本の遊郭となり、戦後は京都の嶋原と共に京都の２大赤線地帯となり、大いに賑わいを見せていたのだが、昭和３３年４月１日の売春防止法の全面施行と共に、廃業に追い込まれて、今では完全な住宅街に変わっている、千本通をはさんで東側に西陣京極という小さな店の並んだ飲食店街が残っている、むしろこのあたりのほうが、克って赤線地帯であったといわれると、なるほどそうかなという雰囲気をたたえている。 五番町遊郭を全国的に有名にしたのが水上勉作の、「五番町夕霧楼」、何度も映画にもなり、テレビドラマにもなった、作者自身もこの界隈で遊んだ実体験があり、１９５０年の金閣寺放火事件を元にこの小説を書き上げて、五番町夕霧楼と薄倖のヒロイン・片桐夕子、一躍有名にした、千本中立売通を西へ、一筋目を南へ出水通の方面へ、細い道をマウンテンバイクでユックリとくねくねと曲がっていくと、殆んどが新しい家やマンションが建っている中で、数軒の古そうな家、ところどころに遊郭の名残のある２階の窓際の格子、１階の格子、などが残っている家、建物全体があまり姿を変えずに残っているのが２軒だけぐらいしか、もう残っていなかった、一部をカフェ風に改装、カラータイルや色とりどりの豆タイルを使ったり、ステンドグラスの入った窓や、入り口の丸い柱や、変形の窓、往事にこの地にそういう店があったかどうかは、オレは知らない、マウンテンバイクで走りながら、まず写真を撮るポイントを頭に入れて、「仁和寺街道千本五番町」、の道路標識を探したが発見できず、かろうじて赤い消火器入れに、「五番町」、の文字を見つけただけであった、実際に夕霧楼のあった場所というのは知らず、丹波から貧しい父親、結核をわずらう母、三人の妹、生活費を稼ぐために夕霧楼で働き、幼馴染の修行僧と店で出会い、恋をし、そこへお金に任せて夕子に迫る商人、修行僧の身でありながら赤線通いを寺へ密告、あまり美しくない宗教界の裏を知り、住職ともいさかい、怒りと絶望の果てにお寺に放火し、自らは自殺、夕子も体調を壊し結核をわずらい、彼の後をうようにして自殺、写真を数枚撮影して、ここで３ケ所ほどのお地蔵さんも撮影、どこかに夕子が祀られているのではと、帽子をとってそのいずれにもお辞儀、そして五番町の街にも写真のお礼を。 ■「今日の言葉」■ 「 考えていても負担は無くならない 実行こそが心を楽にする 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Sep 8, 2009
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京都の粉モン屋。
１０年ほど前に娘とヨメと３人で大阪へ行き、難波で丁度昼、その頃娘は香港に住んでいて、「昼は何を食べる？」、即座に、「お好み焼き」、丁度、眼の前に昔からある大阪で有名なお好み焼き屋、大阪はいくら粉もんで有名とはいえ、立派な８階建てのビル、最上階はオシャレなステーキハウス、子供がまだ小さい時分にはよく家の近くのお好み焼き屋へ行ったものだが、大阪では本当に久し振りで丁稚奉公のとき以来、値段もそこそこしていたがボリュームもあって、兎に角、旨い、「ビルが建つなんて大したモンや」、京都に比べて粉モンはヤッパリ大阪や、と思ったものだが、第２、第４日曜日の西院フェスの会議の後、親睦を兼ねての呑み会、スポンサー先の店も数軒、それ以外にも随分と出来ている、西院といえば阪急沿線という事もあって、大阪からの京都の玄関口の一つ、お好み屋の多いのはそのセイのような気がする。 周りのスタッフは高校生を初めとして皆若い、最近のお好み焼きやさんは注文すると店の人が焼いてきて、焼き上がりを大きなステンレスの塵取りのようなやつに入れて、座っているテーブルの鉄板の上に持ってくる、これが主流のようであるが、オレが子供の頃からあった古いお好み焼屋、普通のお好み焼は、注文の品をボウルに入れてきて、お客さんが鉄板に油を引いてから、アルミのボウルに入ったヤツを適当にかき混ぜて、鉄板に乗せる、面白かったのはオレのテーブルに座っている若い人は、こんな事をするお好み焼屋は、初めて、「どうして良いか、分からない」、「ボウルの中で混ぜてから焼いてもエエし、豚やいかを別のところで焼いて、焼けたやつを乗っけてからひっくり返してもエエし、食べ比べをしても」、片面や焼けてきてひっくり返すとき、大きなコテ、「私がやりたい」、「チャンとひっくり返せよ」、「大丈夫」、お好み焼を焼き上げるまでワイワイ、キャー、キャーとうるさい事、考えて見ると最近はマヨネーズやソースやケチャップを細く綺麗にかけて仕上げてあるが、焼くときのこういう楽しみがなくなっている、それに焼くための人件費がかからないから、値段の安さに少し驚き。 このお好み焼きというヤツ、初めて食べたのが、節分や、祭りや、夜店の露店、鉄板にお玉でメリケン粉を丸く伸ばして、キャベツや葱の刻んだのをのせて、細かく切った蛸、こんにゃく、テンカス、紅しょうが、そして薄い肉をのせて、その上からメリケン粉をかけて、ひっくり返して、コテでジュ～、ジュ～、と押さえつけて、もう一度ひっくり返して、刷毛でさらっとした辛いソースを塗って、これが鉄板に零れ落ちる、このソースが音を立てて、湯気を上げて焼ける匂いにひきつけられる、粉の鰹ブシと粉の青海苔を振りかけて、二つ折りにして、次にドロッとした甘いソースを塗って、新聞紙にはさんで、「ハイ、あついで、気ィつけや」、「あつ、あつ～、あつ」、と言いながら至福の時を迎える、当時はお好み焼といわずに、ベタ焼きと呼んでいた。 四条通を鴨川を越して東へ、南行きは大和大路通で、北行きが縄手通、この東側に京都では一番有名な粉モン屋、以前は祇園の白川にあった店がこの地に引越し、コミック＆レトロな店構えの、「一銭洋食の店」、この一銭洋食は商標登録がされていて、オレが子供の頃のベタ焼きに超半熟卵が挟まれている、クラブなんかで小腹が空いた時に、店の帰りに、無性に食べたくなる時もあり、店の中もユーモアーがあって、ちょっとエロっぽい小物が多く置いてあり、観光客の人も、地元の京都の人も、旨いだけではなく、なかなか楽しい、遊び心のある店、入り口の歓迎団体様の名前に、赤穂浪士御一行様、水戸黄門御一行様が出ているが、まだ一度も出あったことはない。 ■「今日の言葉」■ 「 人を尊ぶ心に目覚めてこそ 自分の働きが周りに役立っていく 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Aug 28, 2009
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別名、鱧祭りとも。
埼玉から里帰り中の男の双子の孫、兎に角、よく食べる、普通子供の嫌いなもの、ピーマン、人参、これが大好物、茄子の炊いたもの、味噌汁の中のわかめ、海苔も大好き、出されたものはきれいに片付ける、食事が終わるとすぐに玩具箱をひっくり返して、遊び始める、急に静かになったかと思うと、玩具をつかんだまま昼寝、ぐっすりと眠った後はオヤツ、それを食べ終わるとまた玩具箱をひっくり返して遊ぶ、風呂の時間、湯船の中に風呂用の玩具を放り込んで、これでひとしきり風呂の中で遊んで、そして夕食、鱧の照り焼きを細かく切って、生卵の中へ入れて、少し醤油をたらして、それをご飯にかける、我が家の特製の鱧丼、これはオレが子供の頃、近くの仕出屋が毎朝御用聞きに来る、２日に一度はこの仕出屋へ注文、夏場は鱧が多くなる、子供の頃は鱧の落しも嫌い、照り焼きも嫌い、しかしオヤジには鱧の落とし、オレ達子供には鱧の照り焼き、ところが兄弟が揃ってこれを食べない、そこでお袋は生卵の中に細かく切った鱧を入れて、鱧いり卵かけご飯、こうするとオレも、妹２人も良く食べた、以来これが我が家特製の鱧丼となった、子供たちもこれをよく食べた、そして今、孫達もおいしそうにこれを食べている。 祇園祭の頃、梅雨の雨をたっぷり含んだ海水で育ち、脂もたっぷりと乗って、鱧が１番旨くなる時期、京都は海から遠く、昔は鮮度の良い生魚を口にすることが出来ず、例えば乾燥した鰊をなすびと炊いたり、棒鱈を海老芋と炊いたり、料理の苦労と知恵が様々な料理を考案してきた、その昔に於いても生命力の強い鱧は鮮度の良い状態で京都に到着、この鱧は小骨が多く、そのままでは食するのに適さない、現に海の傍の漁師さんたちは鱧を外道として嫌っている、それを今日の料理人は、皮を切る事無く鱧の身に細かく包丁を入れて、小骨を細かく、舌や口の中にさわらないほどに細かく刻んでいく、骨きりなる技術を開発、また大きい、重い目の包丁で、包丁の重みで細かく刻んでいく、骨きり包丁なるものも考案、他の地方よりも京都に於いては夏場に好んでこの鱧料理を食べられ、しかも祇園祭の頃は鱧の一番旨くなる時期で、鱧祭とも言われている所以でもある。 突き出しで鱧の子を卵や葛で寄せたもの、焼いた皮ときゅうりの酢の物、椀物の中の鱧、土瓶蒸の中の鱧、鱧の落とし、照り焼き、鱧鍋、鱧しゃぶ、鱧の柳川仕立て、鱧のてんぷら、夏場には鱧会席なるものの店もある、この鱧料理を食べていて、ほんの一かけの骨が舌に触ると、もうそのあとは食べる気にならない、完璧な骨きりの技術の要求される料理である、韓国で水揚げされる大振りの朝鮮鱧よりも、日本国内で水揚げされる小ぶりの和鱧、淡白な味の中にもしっかりした鱧の味、ただ最近の鱧の落とし、店の開店前の仕込みの時に、手間のかかる骨切りをして、熱湯にくぐらせて、素早く凍り水にくぐらせて、落としにしてしまい、冷蔵庫の中へ、お客さん注文があると、ガラスの器に氷を敷いて、その上に並べるだけ、しかも梅肉をつけて食べる、味は鱧の味よりも梅の味、鱧の香りもなくなっている、冷たくて、独特の舌触りの淡白な味だけ、時期のモンだからついつい注文をするが、旨いともなんとも思えなくなっている、ある割烹屋さん、鱧の落としの注文が入ると、開いた鱧の身を冷蔵庫から出してきて、骨きりを、ザクッ、ザクッ、と小気味良い音を立てながら、８切れ分ほど切って、熱湯にサッとくぐらせて、白い花が開いたようになった身を掬い上げて、冷たい氷水で身を引き締めて、水分を充分に取ってから盛り付ける、淡白な中に脂の乗った鱧の味と鱧の香り、胴の太いところよりも、真ん中辺りの身のところが好きで、後２人ほど注文すれば丁度好きな場所になる、丁度良い頃合を見計らって、「大将、鱧の落とし」、と注文をする、「もっと頭に近い所の方が脂が乗って旨いのに」、「いや～、これぐらいが切り身の大きさとして丁度ええのんや」、なんて事を書いていると、夕方に魚屋さんに珍しく残っていたので、鱧の落としを買ってきた、という事になれば。 ■「今日の言葉」■ 「 よく話し合うことは安らぎの ある家庭を築く始まりとなる 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Jul 18, 2009
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祇園祭の四方山話。
その昔、子供の頃、オヤジに連れられて随分と多く祇園祭の山鉾巡行の見物、ある年、雨の中の巡行、ビルとビルとの間の雨のかからない場所で見物、雨が降っているだけではなく、山鉾巡行の日にしては珍しく涼しくて、いや涼しさを通り越して寒さに震えながら巡行を見物していたのが印象に残っている、それとオジキがフジイ大丸に勤めていて、四条寺町の角の２階にガラス張りの美容室があって、そこで見物した思い出がある、現在は四条河原町の辻回しを経て北行しているが、当時は寺町通りで辻回しをして北行、今の河原町通よりも随分と狭く、辻回しに苦労して、家のひさしすれすれで通っていく、今から約６０年ほど前、この時の山鉾巡行の記憶が鮮やかに残っている。 一番直近の山鉾巡行見物はいつだったのか、平成になってから一度くらいは見物していると思うが、定かではない、今日は仕事が休み、桜の頃からの足の怪我以来、長らくカメラとはご無沙汰、ようし、山鉾巡行見物、休みの日にしては早起きして、ＫＢＳの中継が始まりだし、先頭がくじ改めの所へ着いた時に、家を出る、阪急電車に乗って河原町駅まで、このあたりはもっとごった返しているのかと思っていたが、この分なら四条河原町での豪快な辻回し、鉾の轍はまっすぐには進むことが出るが、曲がる事は出来ない、アスファルトの舗装された道も、側溝に水が流れ込み易いように傾斜がついていて、鉾は絶えず歩道側に向かっていく、この方向の調整のために車方が、太い木の錐形のかぶらといわれる道具を轍の横から差し入れて、轍がそれを乗り越えて、その反動で方向の調整をする、四条河原町の角で９０度の左折、これが辻回しであり、割り竹を敷き詰めて、前の車輪が割り竹に乗り上げて、轍を回転させないように太い綱で撒きつけて、すべりを良くする為に割り竹に水をかけて、鉾をその上で滑らせて、まず４５度、向きを変えて、同じ事を繰り返して殆んど２度で９０度、鉾の向きを変える、これが辻回し、鉾が曲がるというよりも、鉾が回るのである。 見物のお客さんが案外少ない、では四条河原町の西北の角、と思ったが、ここばかりはカメラを構えた人が何重にも人垣、歩道の端の人が一人ギリギリの通れるくらいの隙間しか空いていない、ここの傍には寄る事が出来ない、先頭の長刀鉾がまさに辻回しにかかろうというところ、四条通を西に移動して、新京極通りあたりで、車道に少しはみ出して、辻回しの様子をカメラに収める、ピクチャーカードのメモリーの容量が小さいので、余り枚数が撮れない、メモリーがなくなれば、イノダでアイスコーヒーでも飲みながらタバコを吸おう、その思い出巡行とは逆の方向の西へ向かう、孫に、「どの鉾がすき？」、と聞くと、直ちに、「カマキリ」、と答える、御所車の上に大きなカマキリの乗った蟷螂山の事である、昭和の終わり頃に復活された山で、このカマキリはからくりで手足や大きなカマを動かしたり、羽を広げたりする、長刀鉾や月鉾や船鉾ではなく、蟷螂山と答えるところが、どこかマニアックでもある。 数日前、仕事場のマンションで、福岡出身の奥さんが、「２０日ごろに友達が鉾を見に京都へ着ます」、と話しかけられて、なんと返事をしていいのかと迷いながら、１７日の巡行が終われば、直ぐに飾り付けを片付けて、骨組みだけになり、１８日の午前中には何も無くなります、「そんなに直ぐに片付けて、勿体無い、祇園祭は７月中続くのではないですか」、とまるで巡行が終われば直ぐに取り壊してしまうのは、オレが意地悪しているような顔つきで、どこまで何をどう説明していいのか迷いながら、「あの～、少し時間がかかりますが良いでしょうか」、「ハイ、良いですよ」、という事でホンの少し祇園祭の説明、確かに祇園祭は７月１日に始まって、７月３１日で持って終了です、１７日の山鉾巡行でクライマックスを迎える町衆の行事と、神輿の巡行、還幸、夏越払、等の八坂神社の神事、茶道、華道、能や狂言を初めとした古典芸能などの奉納行事、これらが７月１日から７月３１日まで行われて、祇園祭は７月の１ケ月間といわれています、それと、１、０００年以上の歴史のある祇園祭の山鉾の巡行、これが観光行事となったのは、最近のホンの僅かの期間で、この起こりは京の街に流行っていた流行病の退散、その流行り病の元凶ともいえる、怨霊、悪霊の退治、このために長く営々と鉾町の人たちの手で続けられてきた、だから鉾と山の巡行コース、京の街の疾病、怨霊、悪霊を鉾と山がかき集めてきた、だから、折角のそれらがまた飛び散って、京の街にばら撒かれたら大変という思いもあって、一刻も早く蔵の中へしまいこもう、というわけで、直ぐに飾り物が片付けられてしまうわけです、説明している途中でその奥さんの顔つきが険しくなっていく、説明をキチンと聞かないで、２０日ごろに友達がやってくる、その頃には鉾も山も跡かたなく片付けられている、どうやらやはりオレのセイだと思われていたようである。■「今日の言葉」■ 「 分っているという思いになると それ以上学ぶことはできない 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Jul 17, 2009
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祇園祭四方山話。
７月にはいると、京都の街中のアーケードには祇園祭の駒形提灯の飾り、スピーカーからは祇園囃子、バスの中から見える四条通に面した、ビルの２階の函谷鉾の会所では、そろいの浴衣を着た人たちが、お囃子の練習、昨日あたりに聞いたお囃子、どこかぎこちなく、全員の息が合っていない、これが数日経つと、ぴたっと息が合い熱気を帯びてくる、１日は長刀鉾の稚児が八坂神社へ祭りの成功と無事を祈願する、お千度の儀、今日は京都市市議会本会議場にて市長立会いの下で、先頭の長刀鉾、しんがりの船鉾、をはじめ最初から巡行順序の決まっている、くじとらずの鉾や山、それ以外の鉾と山の巡行順序を決める、くじ取り式が行われる、この祇園祭は一口でいうと、７月１日、長刀鉾の稚児のお千度の儀から始まって、７月３１日の八坂神社内の疾神社の夏越払えでもって終了という、１ケ月間も続くお祭である。 この祇園祭、１７日の山鉾巡行でクライマックスを迎える町衆の祭りと、１７日の夕方から八坂神社を出発して、各神輿が氏子区内を巡行して、四条通のお旅所に１週間安置、２４日に氏子区内を巡行して、八坂神社へ戻っていく八坂神社のお祭と、様々な古典芸能の八坂神社への奉納行事、この３つが祇園祭という一つのお祭になっている、オレ自身も実はこのブログを書くようになってから、祇園祭に関することを下調べ、そのお陰で随分と詳しく知る事となったのだが、ただ残念ながら、昭和１７年（１９４２年）に生まれて、１年余りは洛中洛外の洛中で暮らしたのだが、戦争が激しくなって、亀岡へ疎開、終戦後の昭和２２年（１９４７年）に京都市内の戻って、その戻ったのが西院である、７、８０メートルほど東の道が土居の内通であり、この道が洛中洛外の西の境界線である、今住んでいる家はもっとその境界に近い場所であるが、京都人でありながら、殆んどの人生の期間が洛外での生活、だから鉾や山のある鉾町といわれる場所にも住んだ事がない、その数多くの鉾町には、その鉾町に伝えられてきている、それぞれのこの祭りを行うしきたりのようなものがあって、そういう事に関しては全く疎いのである。 祇園祭は鉾建てが始まってからが本番、といわれているが、１７日の巡行の日、四条烏丸に勢ぞろい、２日のくじ取り式で決めたとおりの順序かどうか、四条堺町のところで市長が奉行役で立会い、くじ改めが行われて、その先の四条麩屋町、この道に横に張られた注連縄、この注連縄より東は八坂神社の神域、その境界線に張り巡らされた注連縄であり、巡行の先頭の長刀鉾の稚児が、「これから町衆の鉾や山が、八坂神社の神域へ入ります」、という合図、真剣でこの張り巡らされた注連縄を一刀両断、そのまま東へ進み、河原町通りで左折、ここの西北角、割り竹を敷いて、水をかけて、鉾の前の車輪がその上に乗り、車輪をその上で滑らせて一気に９０度の方向転換、この豪快なシーンをカメラの収めようと、多くのアマチュアカメラマンが重装備で行列が始まる前から、好位置を確保のためにスタンバイ、左折した後、河原町通りを北へ進み、御池通でもう一度、辻回しをして左折、この御池通を西へ進み、烏丸通を越して新町通、この通が巡行の終点、ここから鉾や山は、三々五々、それぞれの鉾町へ戻っていき、あっという間にご神体や装飾品や懸想品を蔵の中へ仕舞い込み、鉾や山を解体、１時間後くらいには木の骨組みだけが残っているという具合である、この祇園祭の起源はその昔、京の街に疫病が大流行、その疫病退散が目的で始められたといわれている、鉾や山の巡行によって、京の街や街の人々の厄払い、悪いものを吸い取る、そういう神事である、そういう京の街や街の人々の厄を巡行によって吸い取り、折角、吸い取った厄がまた飛び散らないように、慌てて蔵の中へ仕舞い込む、そのために巡行が終われば慌てて片付けてしまうともいわれている。 毎年鉾や山は巡行が終われば完全に解体、だから毎年、７月の１０日から、鉾や山の組み立て、鉾建て、山建てが行われる、釘を一切使う事無く、荒縄だけで組み立てが行われる、そして、その数日後に、組み立て鉾がちゃんと動くか、山がちゃんと担げるか、その試運転ともいえる、鉾の曳き初め、山の担ぎ初め、特に狭い道にある鉾、この曳き初めは、本番と同じ囃子の人たちを乗せて、鉾町を少し走らせるだけである、この時だけは引き手に女性も子供も参加がオーケー、道が狭いために動く鉾の真傍で見ることができる、轍や鉾のきしむ音、鉾の大きさ、鉾の大きさを一番感じる事が出来る、町内を少し走って、会所へ戻ってくると、見物の町内の人から一斉に拍手、そして口々に、「よかった、よかった、今年もチャンと動いて」、こういう気持ちは鉾町の人でなければ分らない気持ち、以前、鉾建ての日に、若いお母さんと女の子、道には鉾の組み立てに使った荒縄のきれっぱしがあちこちにおちている、その女の子が荒縄のきれっぱしをまたいでいく、お母さんは甲高い大きな声で、「女の子は、縄をまたいだらアカン、いうてるやろう」、と叱る声、鉾町で育ち、嫁にいき、祇園祭で里帰り、鉾町育ちだからこそ、こういう叱り方、オレには残念ながらこういう記憶はない。■「今日の言葉」■ 「 目的をはっきりさせれば 今なすべきことが見えてくる 」 (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Jul 2, 2009
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新京極雑話。
映画小僧だった中学生の頃、日曜日のたびに新京極、それが高校生になると、映画へ行かずにただただ新京極の四条から三条までを、何度も何度もウロウロ、こちらは大概、誰かと２人、すると同じ女性の２人連れとも、２、３度とすれ違う、「何してるのん」、「別に」、「お茶でも行かへん」、「いいよ」、という事で喫茶店へ、その後、鴨川べりでも散歩、次の日曜日に会う約束をしてわかれる、約束をしながら行かなかった事も、逆の場合もある、きっかけ小路、この新京極通、その後はトンとこの道を通らなくなった、出かける時にデジカメを持ち歩くようになってから、最近の１０年くらい前から、時折、通るようになった、改装はされているが中学生の頃にあった店もところどころに残っている、しかし映画館のハシゴをしていた頃の安いうどん屋はもう残っていない、だから少し小腹が空いた時でも飛び込める店はがない、今日も仕事が休みで、朝昼兼用の朝食、午後の３時頃、小腹が空いてくる、下手に食べると今度は夕食が食えなくなる、四条と三条の真ん中あたりに、古いうどん屋がある、ここのきしめん、小腹が空いた時に丁度良い、麺類は好きだが、讃岐うどんや名古屋のきしめんは苦手、コシのある歯ごたえというのが苦手である、昔、香川県に縫製工場があった頃、昼食と３時のおやつ代わりに讃岐うどんが振舞われる、箸でうどんをすくうと、コシの強いうどんが、箸にしなだりかかるのではなく、偉そうに肩肘を張っているように見える、２食もこのうどんを食べると、京都駅に着くとうどんが無性に食べたくなる、余りコシの強くないうどんをつるつる、うどんはコシよりも喉越しやでェ、と独り言。 ラーメンは極細縮れ麺、そばは手打ちの極細めん、スパゲッティはエンジェルヘアー、うどんはここのきしめん、ここの店のきしめんは一見きしめんのよう平べったい形をしているだけで、コシのないつるつる、ぺらぺらしたうどんのようである、名古屋の人にいわせれば、「こんなのはきしめんではない」、といわれるだろう、オレはここのきしめんの歯ごたえのなさ、喉越しが大好き、暖簾を分けると自動ドアー、表は新しくなっているが店の中は昔のまま、店の奥にレジがあって、そこに立っている店員さんの頭の上には神棚があり、昔は店の右端に座敷席のようなものがあった気がするが、それはもうない、店の左右に４人掛けのテーブル席が幾つか並び、真ん中に混んでいる時に１人のお客さんを追い込みができるように、１２人掛けのテーブル、午後３時という中途半端な時間、オレが入ると、入れ替わるように２人連れが出て行き、店にはオレ１人、「きしめん」、と注文をしてから、タバコに火をつけて、店の中をユックリと見渡す、床には昔の市電の敷石が引きつめてある、昔からこの店には、こういう中途半端な時間に小腹が空いて、飛び込んでいる、店が空いているから、注文して、出てくるのも早い、きしめんの上に甘辛い油揚げが２切れ、鰹節と、ネギ、だけのシンプルなヤツ、少し猫舌なので、口に入れるまでに、２度ほどフー、フーと息を吹きかけて、つるつる、この歯ごたえのない、つるつるとしたきしめんというヤツ、ここでしか口に出来ない、油揚げの甘辛さも変わらない、猫舌のオレには丁度良い熱さ、という事は他のお客さんにはちょっとぬるめであろう、小腹が空いていたのであっという間にどんぶりには出汁だけが残り、油揚げの甘みのついた、鰹節の風味のよくきいた、オレの好きな出汁の味、一滴も残さずに出しを飲み終わって、腹もふくれて、身体が温まった。 帰りのバスに乗るために新京極を、道にまではみ出たデイスプレイ、人込みの中を三条まで、ここまで来るとついつい寄りたくなる喫茶店、西洋骨董店の中のカフェ、ギィ～と音のするドアーを押して店の中へ、オレのお気に入りの席が空いている、コーヒーを注文して、タバコに火をつけて、視線の先、小物の骨董品を入れたガラスのショウケース、そのケースの向こうにいつもそこのイスに置かれているアンテイックドール、まるでケースの向うからオレを覗いているような目つき、その目つきは好意的な目つきではなく、恨めしげな目つき、余り視線を合わしたくはないのだが、座った位置からはどうしてもそこへ視線が行く、ついつい視線を合わせてしまう、ところが今日はその視線が少し柔らかくて、優しい表情、今日は人形の顔のライトがあったっている、案外可愛い顔をしているんだ、ウエイトレスさんに、「いつもは視線が会うのが怖かったけれど、今日はライトがあたっているの表情も柔らかくて、案外可愛いですね」、「これはフランス製ではなくてドイツ製のアンテイックドールです、ライトを消しましょうか」、といってライトを消して、オレのいる前方から覗いて、「本当ですね、この位置から見ると怖いですね」、お客さんが少なかったので、オヤジの残したフランス枕時計、大きい方はネジをこまめに巻いていて、動いていて時間も正確、所は小さい方、オヤジが元気な頃に動かなくなって、修理に出そうとしていたが、修理の出来るところが見つからずに、止まったままになっている時計がある、それの修理の事を聞いてみた、「大概の時計は直せます、使い物にならなくなったネジや歯車は、作り変えて修理です、京都の骨董屋さんの時計の修理は殆んど全てがそこでです」、「そんな職人さんが居られるんですか、さぞ高齢でしょうね、その職人さんが元気なうちに修理に出さないとダメでしょうね」、「大丈夫です、まだ５０代です」、「それなら当分に間は」、「先代が後継者として、今の職人さんを育てられたのです、先代は９０歳を過ぎても時計の修理を続けていて、時計の修理中に右手にドライバーを持ったまま亡くなられたときいてます」、とウエイトレスさんはさらっと話をしたが、実は凄い時計の修理の職人さんの話であった。 ■「今日の言葉」■ 「 人は自然と共に生きている 自然を粗末にして幸福はない ｣ (自然社・平成２１年・新生活標語より）
Jan 27, 2009
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今日は、「正月事始」。
現在では正月の準備といっても、大晦日一日にあれば何とかなるが、その昔となると、門松や注連縄つくりも、自らの手で、山に入り、松・竹・梅、裏白をを持ち帰り、稲穂を綯って縄つくり、門松も注連縄も買うのではなく手作り、正月の準備といっても日数がかかった、という事で１２月１３日が、「正月事始」、この日から新年を迎える準備を始める日という事になった、時代が移り、正月の準備に必要なものは、門松、注連縄、お節料理、餅、等々は作るものではなく、買うものとなった、そしていつの間にかこの１３日の、「正月事始」、という言葉は殆ど使われなくなってしまった、京都の北野天満宮の梅林の梅の実で漬け込まれた、梅干、これは普通の梅干と違ってからからに干からびた乾燥した梅干で、正月の大福梅として、縁起物として重宝されている、この大福梅が正月事始の日の１３日から北野天満宮にて売り出される、克ってバブル期の頃、縁起のの良い大福梅を京都の商店や企業が粗品として配ったりするために、発売と同時に売り切れ、午後から行くと買い逃し、という事もあった、最近では１２月２５日の終い天神の日にも買う事が出来るようです。 この、「正月事始」、が「事始」、として祇園町を初めとした京都の花街で、その風習が未だに残っていて、南座の顔見世、鴨川のユリカモメ、等と供に京都の師走の風物詩となっている、舞妓・芸妓・置屋の女将さんが揃って、踊りを初めとした様々な芸事のお師匠さん宅、お茶屋さん、美粧院、などの日ごろからお世話になっているところへ挨拶回り、「おめでとうさんどす、今年もよろしゅう、お頼み申します」、このおめでとうさんの後につく、「どす」、この事で昔呑んでいる時に、これはオレの完全な思い違いなのだが、「『どす』、なんてつけないよな、アレはドラマや吉本新喜劇などの誇張した世界の話やな」、というと一緒にいた５人が、「何を寝ぼけた事を言うてんねん、『どす』、やがな」、と一斉に声をそろえて反論、「そうか」、で済ませれば良いものを、「なにが、『どす』、や、おめでとうさんに、『どす』、なんかつけるか、『おめでとうさんです』、や」、それから暫くの間は、『どす』、がつく、つかない、やくざの出入りでもあるまいが、物騒にも、そのテーブルで、『どす』、が飛び交っていた、なら、ここから近い事だし、確かめにお座敷へ行うという事になった、勿論、花代をかけて、そこのお茶屋さんへ別々に行っていたが、６人が一緒という事は始めて、女将さんが、「珍しい顔ぶれで」、と挨拶が済んで、「祇園で八朔や、事始や、正月の時にどんな挨拶をする」、「なにをいうたはりますのん、『おめでとうさんどす』、に決まってます」、チャン、チャン、勝負は一瞬についた、オレの負け、その日の花代はオレもち、今でもオレの耳には、「おめでとうさんどす」、と言っているのだが、オレの耳には、「おめでとうさんです」、と聞こえているのである。 この祇園町の事始は師走の京都の風物詩になっていて、今日の午前９時過ぎには三脚を立てて、長い望遠レンズで重装備のアマチュアカメラマンが挨拶に出入りする大勢の舞妓・芸妓のスナップ写真を撮ろうとして、花見小路の一力の前の車道の向かい側に、４重、５重の列を成して待ち構えている、前列は石畳の上に座り込みである、正午までの約３時間、例年、物凄い忍耐力と敬服する、今日は土曜日という事で、この花見小路の一力の少し南に場外馬券売り場があって、普段よりも人が混雑、事始の事は知らずに、馬券を買いに来た人まで携帯電話のカメラを構える、知らないものの強みというか、大勢のカメラマンを尻目に、カメラマン同士の暗黙の了解、この道の東側に一力の店、店側の歩道では挨拶の通行の邪魔になる、という事でそちら側の歩道ではカメラを構えない、ところが人のいない、空いている店側に立って携帯電話のカメラで撮影、こんな時に綺麗どころが一力に出入りでもしようなものなら、寒いにも拘らず石畳に座り続けて、ほんの一瞬の為に待ち続けていたシャッターチャンス、そこへ通りがかりの人がその間に割って入って携帯電話のカメラで、パチリ、パチリ、「こら～、どかんかい、邪魔になるのが分らんのか」、数人のアマチャカメラマンから怒声が飛ぶ、驚いてその場を直ぐにどけば良いものを、驚いて、自分が何故、怒鳴られているのか理解できずに立ち尽くす人もいる、何もそこまで声を荒げて怒鳴らなくてもと言う思いもあるが、この異様なほどの人だかりのアマチュアカラマンの列、見れば直ぐに状況の理解が出来そうにも思う。 オレはここよりも少し離れた場所でぽつんとひとり、「人の行く道の裏に道あり、・・・・・」、そんなところで待ち構えていても、たまたま通りがかる綺麗どころ、カメラを構えて、２度ほどシャッターを押して、後や前のカメラマンを確認して位置を変えたりしながら、シャッターを押し続けている、余りにも多い、厚かましいカメラマンに綺麗どころはいささか迷惑顔で、急ぎ足、こうなるとデジカメというやつは連写が効かない、横でフイルムカメラの、バシャバシャと音を立てている連写の音を聞いていると、少し羨ましい気もする。 ■「今日の言葉」■ 「 怠けても努力しても同じ一日だが 充実感と結果大きく違う 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Dec 13, 2008
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今年の時代祭。
京都の三大祭、５月の葵祭、７月の祇園祭、そして今日の時代祭、今年は仕事のシフトの都合で休みが取れたのが今日、ここ最近は行列の道中よりも、出発前の御所の中、出発が正午、この時代祭りの行列は明治維新を先頭にして、時代をさかのぼっていく、出発地点の建礼門の近くに明治維新、そこを先頭にして、各時代の控え場所がある、お目当ては京都の花街の輪番制で当番を務め、そこの花街の舞妓、芸妓が参加する中世婦人列、平安時代婦人列の写真撮影がこの待機中にはユックリと写真撮影ができる、午前１０時半くらいにここへ到着して、新しい時代の婦人列から、マウンテンバイクで移動しながら、写真を撮っていく、だから長年行列は見ていない、午前８時に起きる予定が、今まで睡眠導入剤、レンドルミンを寝る３０分に半錠飲んでいたが、１ケ月ほど前から、夜中にトイレに起きると、その後の寝つきが少し悪くなりだして、量を増やして１錠を飲むようにした、（これで普通）、それで夜中のトイレの後の寝つきがよくなり、仕事の日の午前６時起床もさっと起きる事が出来る、ただオレが休みの日、ヨメは午前７時起床、午前９時過ぎにパートの仕事に出かける、出掛けに声をかけられても、返事だけして、そのまま寝ていると、次にトイレに行きたくなる昼頃まで寝ている時がある、（歳の割りにユックリ寝る）、今日はヨメが出かける時にさっと起きて、朝食を済ませてでようとするが、大のほうがなかなかでない、大を出さずにマウンテンバイクで出かけると、サドルで腸が刺激されるのだろうか、暫く走るともよおしてくる、だから大を済ませてから家を出ようとするが、こういう時にはなかなかでないものである。 タバコを立て続けに吸ったり、コーヒーを飲んだり、水を飲んだり、ストレッチをしたり、午前１０時過ぎに家を出たいと思いながら、でるものがでない、こうなると少し苛々してくる、これが腸の刺激には一番良いようだ、イライラが始まると途端にもよおしてくる、持て待て、もう少し、タバコをもう１本吸う、吸っている間にますますもよおしてくる、こうなるとトイレに入ると直ぐに出る、スカッとしてトイレから出て、着替えて、リュックにデジカメと、１脚を入れて、マウンテンバイクにまたがる、ちょっと待て、この間、カメラの電池を充電しておいて、それをカメラに入れたかな、結構オレはこう見えても、気が小さい苦労症、リュックを下ろしてカメラを取り出して、電池ボックスの蓋を開ける、こういうときには往々にしてチャンと入っているもので、横着をした時に往々にして、電源をオンにするが、レンズが動かない、モニターも点かない、そこで初めて電池ボックスボックス、カメラ本体の価格に比べてスペアの電池は妙に値段が高い、長い時間の撮影の時には電池の残量が気になる、スペアの電池が欲しいと思いながら、買う気にはなれない、しかしスペアの電池を持っているという事は、過去にこういう事があって、慌ててカメラ屋さんを探して、電池を買いに走ったからである。 家から御所まで３０分で着ける、ところが最近マウンテンバイクで走るのが遅くなっている、走るのが遅くなっているというよりも、信号や４つ角で慎重になっている、律儀すぎるほど停まっている、ぶつかるのは勿論だが、ヒヤッとする事も嫌になっている、信号が青でも、信号無視の自転車が怖い、そんな走り方だから御所の堺町御門に着くと午前１１時を回っている、有料観覧席の横、物凄い人出の中の砂利道を目指す場所へ、「もしもし、人が多いですから自転車を降りてください」、係員の人に注意される、「はい、わかりました、どうも」、素直に自転車を降りて、有料観覧席の紅白の幔幕の切れ目から、東側へ移動して、暑くもなく、寒くもなく、丁度、良い気候だがマウンテンバイクで３０分余り走ってくると汗ばんでいる、自転車を止めて、ペットボトルホルダーの水を飲む、もうここまで来れば慌てる事もない、帽子を脱いで、ハンカチで帽子の内側の汗で濡れている部分を丁寧に拭いて、額の汗もぬぐい、帽子をマウンテンバイクのハンドルのエンドバーに引っ掛けて、タバコの火をつける、普段、御所の中で吸うタバコに比べて、多くの人が歩く砂利道の舞い上がっている砂埃、これのセイで余り旨くない、天気予報では夕方辺りから雨、空は明るい目の曇り空、余り天気が良すぎると白塗りの化粧にコントラストがつき過ぎて、折角の綺麗なお姐さんに申し訳ないような写真になるが、今日ぐらいの天気が丁度コンデイション的には良い、時間的に明治や江戸の場所へ行っていては無理かなと思い、カメラマンの人だかり、これは多分中世夫人列だろう、自転車を止めてから近づくと、静御前、藤原為家の室、淀君、毎年この辺りで写真を撮っているので、衣装や持ち物、被り物などで大体見当がつくようになった、毎年思うことだが、ジャンクショット派、（じっくりと写真を撮らない）、のオレからすると、前の方で重装備のカメラで何枚も、何枚も、シャッターを押していて場所を替わろうとしないアマチュアカメラマンが余りにも増えすぎている、オレなどは、「こっちを向いてください」、と声をかける事さえ、遠慮をしている、後でもうほんの少し前へ回り込めばよかったといつも反省をしている、「反省はするが後悔はせず」、ただ少しばかり白塗り化粧の女性を撮るのに飽きてきたみたい、余り化粧の濃くない白川女、大原女、桂女の人達のほうが健康的なお色気があって、長くカメラを向けていた。 中世婦人列で時間がかかり、気がついたときには巴御前が馬上の人、慌てて、そちらへ向かう、多くのカメラマンに取り囲まれても、今年は落ち着いた白馬、多くの見物客、カメラのフラッシュ、長旅の疲れ、（行列の人数は２、０００人余り、馬も相当数必要、そのために四国や山口県辺りからまでも運ばれてくる様子）、巴御前、女性ながらの戦装束、白馬にまたがり、長刀を持ち、恐らく実物よりも遙に美しいのだろうなと思いながら今年の巴御前をカメラに収め、「出発で～す」、の声と共に馬が歩みだす、一層、馬上で背筋をピンと伸ばし、いかもも凛々しい後姿、夜だと思っていた雨がポツリ、ポツリ、またポツリ。 ■「今日の言葉」■ 「 互いに欠点を認め合うようになら ねば夫婦の愛情は育たない 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Oct 22, 2008
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千本鳥居を見た事があるのか、ないのか。
全国に稲荷神社は多数あり、京都市内でも多くある、八坂神社を東へ円山公園へ抜ける手前の稲荷神社、（玉光稲荷社）、ここへは小さい頃から、正月とお盆、春と秋のお彼岸、オヤジに連れられて大谷祖廟へお参りの帰り道に、円山公園を通って、八坂神社の鳥居をくぐると直ぐ左手にあり、そのたびにこの稲荷神社へお参り、また河原町の三条と四条の中間辺りの、木屋町へ抜ける道に、馴染の居酒屋、その店のほんの少し西に、克ってはこの辺りに土佐藩の屋敷があり、その屋敷内にあったとされる小さな土佐稲荷・岬神社、「今夜こうして飲めるのも、商売繁盛のお陰」、チョイッとお参りを済ませてから、居酒屋の暖簾をくぐる、この２つの稲荷神社にはよくお参りをしたが、お稲荷さん、（伏見稲荷大社）、へは商売人の割には随分と長くお参りをしていない。 京都の観光の名所めぐり、どうも好きなところがあって、よく行く場所、余り行かない場所というのがある、この余り行かない場所というのが京阪沿線である、だから京都市内の中で広い伏見区、ここに関して他府県の人並みの土地勘、数年前に伏見でショットバーをしている知り合い、そこの店で好きな女性シンガーのライブ、始めてその店に行く事に、四条京阪駅から京阪電車、切符を買う前に店へ電話、「これからそっちの店へ行こうと思ってるんやけど、伏見稲荷駅で降りたらエエんかいな」、「伏見いうたら、伏見稲荷駅だけと違いますよ、京阪電車には伏見区の駅がぎょうさんありますよ、伏見桃山駅で降りてください、駅に着いたらもう一度電話をしてください」、その時まで彼の伏見のショットバー、そこへ行くには京阪の伏見稲荷駅で降りたら、エエンやァ、とそう考えていた、京阪沿線の観光地へ出かけるのは、ここ４、５年である、藤の頃に宇治の平等院、紫陽花の頃に三室戸寺、藤森神社、冬に酒蔵、遊郭の跡を訪ねて中書島、しかし、お稲荷さんはまだいっていない、その前はというと約５０年ほど前の初詣。 この初詣の時には本殿にお参りをしただけで、続きに八幡の八幡さんへも行った、だから千本鳥居へは、行っていないのでは、記憶が定かではない、余りにも有名過ぎて写真や映画やテレビなどで何度も見ている、だからよく知っている、しかし記憶をたどってみると、実際に行ってみた事があるのかどうもはっきりとしない、ヨメに聞いてみる、「お前と伏見稲荷へ行ったことがあるか？」、「私は連れて行ってもらってない、他の女と行ったかどうかは、しらん」、どうも雲行きが怪しくなる、さわらぬ神にたたりなし、ヨメに聞くのは止めにする、オレの弱気や、すねの傷につけ込むように、「お稲荷さんへ行かんかったからや」、夫婦というもは３０数年も連れ添っていると皆まで言わなくても話は通じる、「そやから、商売が行きつまったんや」、という意味である。 こういうはっきりとしない事はどうも気持ちが悪い、思考、記憶の迷路に入り込んだようである、今度の休みには行こう、と思いながら時間だけが経過する、睡眠導入剤のお陰で夢にまでは見ない、昨日、今日と２日間の連休、休みの日の割には早く起きて、朝食後、ＰＣの前に座ってごそごそと、昼食をキチンと食べて、カメラと一脚をリュックに入れて、電気ようし、ガスようし、テレビようし、タバコの後始末ようし、声だし確認をして家を出る、阪急電車、京阪電車と乗り継いで、伏見稲荷駅まで約３０分、ここへ来るの億劫な割りに、大して時間はかからない、駅からは平日のセイで人は少ない、会う人の半分くらいは外国人、しかもアメリカやヨーロッパ系の人達、東山界隈はアジア系の人が多く、外国の人、その地域によって京都の観光地に好き嫌いがあるんだろうか、拝殿横の休憩所でタバコの吸いだめと水分補給、千本鳥居のとっかかり、オレの頭の中の記憶では鳥居がもっと真赤な記憶、ところが眼の前の鳥居は色あせていて、オレンジに近い、かって来た事がある、始めてきた、記憶を確かめながら坂道や階段を昇っていく、足がだんだん痛くなってくる、少し歩いては写真、少し歩いては写真、数日前に急に冷え込んだ、肌着は寒さガード、汗ばんでくる、茶店のある場所で休憩、帽子をとると風が気持ちが良い、汗を拭いて、ペットボトルのお茶を飲んで、茶店の人に、「ここでタバコ良いですか」、「吸殻はそこの缶の中にお願いします」。 タバコは今や嫌われ者になっている、周りには一度もタバコをすった事のない人が多い、こういう時のタバコの旨さ、普段は肩身の狭い思い、それを知らない人が少し不幸に思える、ここの鳥居、１万本とも、それ以上とも言われている、神社には何のために参るのか、ご利益のために、もしそうならばここほど凄いセールスプロモーションのところはないだろう、このおびただしい鳥居の数を眼の前に見せ付けられると、商売繁盛のためにお参りをしようという気持ちになる、そしてご利益のお礼に鳥居を寄進、そのこと自体がセールスプロモーション、参拝、ご利益、お礼の循環、いつの日にか鳥居を設置する場所が無くなればなんて、余計な心配をしていると、若い２人連れ、女性が男性に無邪気に、「何でこんなにイッパイあるの」、男性は、「・・・・・・」、無言、その時に野良猫が鳥居の間から顔を出す、シャッターチャンス、レンズキャップをはずして、電源オン、モニターをひっくり返したところで、猫は素早く鳥居の間を通り抜けてどこかへ、帰り道、千本鳥居は始めてみた、それがはっきりとした。 ■「今日の言葉」■ 「 言われて嫌だと思うことほど 自分にとっては大事なことである 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Oct 3, 2008
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「また、来年、萩の咲く時期に・・・・・」。
夏に蓮の花を写真に撮ってから、真夏の百日紅、これはどうも写真に撮りづらい、だから萩の花が待ち遠しい、例年、御所の東北にある梨木神社、出町柳の常林寺、そして真如堂の北門の東の、朽ち果てた土塀を朽ち果てたままに維持をして、朽ち果てた土塀と萩の花、秋の寂しい、どこか侘しい風情を提供し続けてくれる迎称寺、今年はお彼岸が過ぎてから数日後に萩めぐり、梨木神社の萩はもう終わり、短冊だけが秋風に揺れていた、常林寺ももう晩期、迎称寺は少し離れている、それに急な坂道、そこの萩ももう終わっているだろうと勝手に決め付けて、京都の四季の花は観光タクシー協会のＨＰの京都の花速報というコーナーで、その季節季節で、その頃に咲く花の有名寺院や観光スポットをほぼリアルタイムで更新、これを頼りに見頃を探して出かけていたのだが、何故だか、今年の４月の桜の季節の後、ぷっつりと更新が滞っている、このサイトを頼りにしていただけに、いささか不便である、更新の再開が望まれるところである。 ただ、今年の萩めぐりをした日、あらかじめ情報がわかっていたなら出かけなかったかもしれないほど例年に比べて遅かった、情報が無かったから出かけたのかもしれない、出町柳、繊維メーカーの頃、会社は叡電で２駅の茶山駅の近く、３０数年間、出町柳駅のまん前のコーヒー店でコーヒーを飲みながら出勤時間の時間調整、ここの店は入り口の左側に大きなコーヒー豆の焙煎機が備え付けられていて、店の奥にはドンゴロスの袋に入った焙煎前のコーヒー豆が高く積み上げられていた、ここの店のオヤジ、大柄な人で、鼻の下にカイゼルヒゲ、長い目に伸ばして、髭の両端をピンと跳ね上げていた、始めて見た頃は若かったセイで髭の先がピンと跳ね上がっていて、威厳があった、このオヤジは頑固で、偏屈で、しかも凝り性である、まず店のオーデイオセット、スピーカーはアルテックのでかい箱のスピーカー、その箱の上にはホーン型のツイーター、マッキントッシュのプリとメインアンプ、真空管式のチューナー、プレイアーは重量級のデュアル、ＦＭ放送をＢＧＭ代わりに流しているだけで、本気で音を出した時にどんな音が出るのか聴いた事はない、長さが１メートル以上もある帆船のプラモデル、店の仕事の合い間に長い時間をかけて完成、透明のプラスチックのケースを別注であつらえ店のインテリアに、昔は上下皮のオートバイのライダー服を着て、長靴を履いて、大型のＢＭＢのバイクで颯爽とツーリング、ある時これで転倒して骨折、リハビリの甲斐なく、以後は松葉杖の世話になることになる、しかしそれでも腕だけで運転できる自動車を別注してそれに乗っていた、それでもこのオヤジが一番凝っていたのはコーヒー豆の焙煎だったように思う。 店のコーヒー用と通信販売用の豆の焙煎、ここの豆を良く買って帰ったが、ペーパーフイルターで店の味とほぼ同じ味が家で飲める、宣伝などは、一切していないが口コミだけで日本全国からの注文、結構、焙煎に追われていて、朝早くから焙煎、オレがその店へ行くのが、午前８時２０分頃、焙煎の最後のほう、焙煎機の小さな窓から釜の中のコーヒー豆をジッと見つめている、火を止めて、コーヒー豆を釜から取り出すタイミングを計っている、こういう時には誰が横を通っても気がつかない、白っぽいコーヒー豆がこげ茶色にロースト、焙煎機の中のコーヒー豆と会話をしているようである、自らコーヒー職人と呼んでいる、苦くて、濃くて、コクがあって、香りが高い、それでいて飲んだ後はさっぱりとしている、これが自慢の味、オヤジ曰く、長年かかってやっと辿り着いた味、焙煎をするたびに同じ味、ここが難しいところ、こういって自慢のカイゼル髭をピクピクさせる、口には出さないが、「でや、うちのコーヒーは旨いやろう」、と自信に溢れている、ただこのオヤジもある時期２ケ月ほどまるで自信のない表情をしていた事があった、ガスが天然ガスに切り替わった時期である、従来のガスとは熱量が違う、だから火の調節の加減と時間が上手く出来ない、店のコーヒーも旨くなくなった、「もうチョッとだけ待ってな、すぐにコツがつかめるから」、しかし、コツがつかめるまでに２ケ月の時間が必要であった、やっと、「どうです、前の味に戻ったでしょう」、「オヤジさん、この店に何年きてると思う、そんなことは言われんでもわかる、昨日の朝に気がついていたわ」、天然ガスのカロリーアップしたガスの炎で前の味通りの焙煎、それが何度でも同じ味に焙煎できる、２ケ月かかってその焙煎のコツをつかんだ、その事がよほど嬉しかったのか、「コーヒーの道は奥が深い」、といいながらも、その目は嬉しそうに笑っていた。 オレが会社を閉めてからはこの店へ行くのは、葵祭りの日と萩の咲く頃、４年前の９月、オヤジは店の中の自分の専用席でコーヒーを飲んでいた、オレはその隣の席で、他愛のない世間話、店の女の子が、「大将、電話です」、席を立って電話の方へ行く時に、「もう歳や、ダンダン、えらいわァ」、と泣き言、大きな背中が丸く小さくなっていた、その年の１２月に阪急電車の中でこの喫茶店でウエイトレスを長くしているおばさんにバッタリと、「先月の末に大将が亡くなって、やっと落ち着いたところ」、「悪かったんか？」、「急に」、「コーヒーの豆はどうするノン」、「大将はあんな人やから、焙煎の事で書いたモンは何も残ってへん、古くからいる、細いあの子が焙煎にチャレンジしているけど」、「店は続けるんやね」、「奥さんは続けるつもり」、「近くを通りかかったら、また寄るわ」、「寄ってください」、といって別れたが、この店に行く事が出来たのは翌年の９月の萩の花咲く頃、コーヒーの味は以前とは似ても似つかない 、個性のない味、「もう、自家焙煎は諦めたん」、「残っている豆で、チャレンジしたけど、８種類ほどのコーヒー豆のブレンド、ブレンドの量も、それぞれのコーヒー豆のロースと加減も違っていて、私には難しすぎたんで、ただコーヒーの豆屋さんでいろんなブレンドを試してもらッているところ」、それから年に、１、２度、この店に訪れる、その度にこの店のコーヒーの味が変わっている、ポパイの恋人のオリーブのように細い女の子に、「このコーヒーの味、これはこれでエエで」、「そうですか、でも、・・・・・」、彼女はもうひとつ気にいっていない様子、今年はまた味が変わっていた、苦味が強い、オレの腹はやや空腹に近い状態、半分ほど飲むと、胃にドスンと来る、水で少し薄めてみた、それで丁度良い味になった、来年来た時には、またコーヒーの味が変わっているだろう。 帰り際にチラリと焙煎機のほうを見てみた、店の入り口のウインドウに、Ｓｉｎｃｅ１９５９、と書いてある、４６年動いていた、入り口の横に開業当初から使っている旧式の骨董品のような焙煎機、ドイツ製の直火式のブロバット焙煎機がデンと居座っている、この焙煎機とあのコーヒーの味、この店のオヤジの一代限り、「また、来年の萩の咲く時期に」。 ■「今日の言葉」■ 「 世の中の為に育てる気持ちが 子供を健全に成長させる 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Sep 29, 2008
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少々、史実と違ってもエエやないか。
今から３０数年前に取引のあった信用金庫、その時の理事長が取引先の若手の経営者、２世経営者の育成のためにクラブを作成、本部例会に於いては普段は聞くことの出来ない大物財界人を招いて特別講演会、時には約５００人ほどが集まる事もあった、幾つかの支部をに分けて、様々な取り組みや活動、当時ではまだ聞きなれない異業種交流を目指した、その結果として異業種交流が実が結んだかどうかは定かではないが、同年代の若い経営者同士の交流は大いに深まった、飲食関係の会社も多くそれなりにこのクラブが売り上げに貢献するという事があった、しかも途中にバブル期があり、丁度その最中、支部の忘年会が貴船の老舗の料理旅館で開催、参加者が約３０名、当時は宴会というとコンパニオン付が当たり前、宴会が始まる前のコンパニオンが宴会場に入場、ぞろぞろと入って来る、「オイ、オイ、何人なんや」、２０人くらいが入ってきた頃から人数を数えだす、２８，２９，３０、「これでは、参加者よりもコンパニオンの方が多いぞ～」、と嬉しい悲鳴、結局お礼にやってきたコンパニオンクラブの社長も含めて、３５人、牡丹鍋のテーブルは４人席、かくテーブルには４人のコンパニオン、全員が着席すると、身動きが取れないほどの満員状態、忘年会の幹事が開会の挨拶、「今日はコンパニオンの皆さん、ご覧の状態です、動いてサービスなんて事は出来ません、今、座った席で、一緒に忘年会を楽しんでください、それでは良いお年を、カンパ～イ」、続いてコンパニオン会社の社長の挨拶、「本日は大勢を呼んで頂き有難うございました、幹事さんのお言葉に甘えて、ユックリと全員で年会を楽しませていただきます、今日はコンパニオンも延長料金無しで忘年会の最後までお付合いさせていただきます、よろしくお願いします」、当時はバブリーな宴会も多かったが、この忘年会の時が一番凄かった、当然の事ながら、貴船から祇園に戻って、２次会、３次会、４次会と。 こういう支部の集まりが年に４回、そのある時に、伏見の、「寺田屋」、で懇親会、午後の６時から、まず寺田屋の当主が寺田屋の歴史についての講演、引き続いて懇親会の宴会、という段取りになっていた、そしてその時の案内には、時間の都合のつく方は早い目に寺田屋につくと、坂本竜馬とお龍さんが一緒に入った当時の風呂が残っています、その風呂に入浴する事が出来ますので、どうぞご自由にという事であった、オレもその時には寺田屋の中に入るのが初めてだった、他のメンバーも殆どが始めてのことだった、何人かは仕事の段取りをつけて、先に着いて、その風呂に入っていた、午後の６時に１階の部屋に集合、長火鉢の横に当主らしき小柄な、人のよさそうな、当時のオレからはお爺さんに見えた、２階の宴会場の大広間からから、ぞろぞろと降りてきて、その部屋に全員が座る、まだざわついている、当主は小さな声で、「私が、１６代目の寺田屋の当主の伊助でございます、本日は大勢のおこしありがとうございます、これから３０分ばかり、この寺田屋についてのお話をさせていただきます、よろしくお願いします」、話が上手そうな話方ではない、しかも声が小さい、しかし不思議なもので、聴きたい興味ある話の時は、寺田屋、坂本竜馬、お龍さん、寺田屋事件、話だけではない、実際のその舞台となった場所で聞く、こういう時にはそれぞれがじっくり聞こうとするから、すぐに静かになる、そして話に集中する、だから話ので出しは、小さな声で、ぼそぼそと、プロの話のつかみである。 この旅籠は、慶長２年に、初代当主の伊助の手で建てられ、数えて私が１６代目の当主でございます、元々は船宿で、幕末の頃、６代目当主の伊助は放蕩者で若死にし、女将さんのお登勢がこの船宿を切り盛り、男勝りの面倒見のよさが、勤皇の志士達に慕われて、勤皇の志士達の定宿となる、そこで寺田屋事件といわれている、一つ目の事件が起こる、薩摩藩士粛清事件、暴走しようとする若き島津藩士を藩主・島津久光の命を受けた刺客がこの寺田屋で説得、その途中に劇昂して、斬り合いが始まった事件、二つ目は一時期、坂本竜馬が当館に滞在、勤皇の志士達が度々寄り合いに利用、勤皇の志士達の命を狙うのは京都所司代や新撰組だけではない、勤皇の志士達同士の意見の食い違い、裏切り、仲間割れ、絶えず坂本竜馬も命を狙われていた、先ほど何人かが入られて風呂、お龍さんが入浴中、外の怪しい気配を察知したお龍さん、咄嗟に裸のままで風呂を飛び出して、２階の坂本竜馬に危険を知らせて、２階の窓から屋根伝いに伏見奉行の捕り方の手から拳銃を発射しながら逃げた事件、話がこの辺りに来ると始めのぼそぼそと、小さな声とは大違いの語り口、まるで講談師の如く、立て板に水を流すが如く、斬り合いが始まると、人差し指で部屋を指差し丁度その辺り、刀を抜きあって斬りあう薩摩藩士たち、そこの辺りで斬り合い、女将のお登勢はこの長火鉢の向うに身をかがめ、養女のお龍さんも長火鉢の横で身を潜め、この柱や欄間のキズはその時の刀キズ、ただの講談師の話ではない、実際にこの場所で起こった事の話である、臨場感が違う、それとオレはこの話を始めて聞くが、この当主はお客さんがある時にはいつもこの話、上手く話すのも当たり前。 約３０分間の話が終わって、また２階の宴会場へ戻って、宴会のスタート、ここで作った料理ではないのだろう、近くの仕出屋からの料理、余り旨くない、しかし別段旨い物を食べにきているのではない、同じような立場に身を置く仲間との話に来ている、話は先ほどのこの寺田屋の話、コンパニオンがその話の中に入ってきて、「本当の話やろうか」、「そんな事はどうでもええネン、チョッとしたロマンなんや、ロマンには浸らんと損なんや」、ロマンとなると無分別な子供のようである、そのコンパニオンの言った、「本当の話やろうか」、こんな事は気にも留めていなかったのだが、実は２年ほど前に、中書島へ旧遊郭の名残を求めていった時に、遊郭の名残は殆ど残っていずに、伏見城の濠が綺麗に整備され、酒蔵街が観光化されて、そこをふらついているうちに寺田屋のすぐ近く、寺田屋の写真を数枚撮影、そこでこの寺田屋のことを少し調べてみると、幕末の伏見鳥羽の戦いで寺田屋も焼失、現在ある寺田屋は元の寺田屋の隣接地に明治に入って建設された、このことは登記簿で確認が出来る事実である、という事であった、一瞬そうだったんか、という思いもあったが、何十年もの間、来るお客さんに寺田屋にまつわる話を続ける１６代目当主の寺田屋伊助、いまさら、もう２度と行く事もないだろう、まあ、エエやないか、そんな気持ちでいた、何かの話の間に、以来、数人ぐらいにはこの話をしたであろう、ことさらに騒ぐような事ではない、そんな風に思っていたのだが、最近になって京都市のＨＰの観光案内から、現在の寺田屋は寺田屋事件が起こった当時の建物ではないという理由から削除するということか決まったようで、当の寺田屋も伏見鳥羽の戦いで火事になったのだが、全焼したわけではなく、残りの建材を使って、元の寺田屋を忠実に再現して再建、刀傷のある柱などは元の寺田屋の柱を使用、実に苦しい、弁解がましい、京都市側と争うような事もなく、事実を半ば認めている、どこか正直なところもある、変に騒ぎ立てなければ、すぐに忘れられてしまう、歴史的に由緒のある建物として、維持、管理に税金が使われているわけでもない、人気のある坂本竜馬、ロマンがある人物、それゆえに脚色された部分もあるであろう、その坂本竜馬と縁のある旅籠、その旅籠の寺田屋、少々史実と食い違っていてもこれもロマンである。 ■「今日の言葉」■ 「 約束を違えることは自分への 信頼を自ら奪うことになる 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Sep 28, 2008
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地蔵盆は子供の頃の夏休み最後のイベント。
この週末、京都では殆どの町内が８月２３日（土）、２４日（日）、この２日間は地蔵盆、京都はその昔より地蔵信仰が篤く、地蔵菩薩の縁日、２３日、この辺りの日の近くの週末に地蔵盆が執り行われる、普段は祠に納められているお地蔵さんをきれいに洗い、新しい着物に着替えて、テントを張って祭壇を作り、そこには沢山のお供え物、毛氈を敷いて、近くのお寺の住職がお参り、おやつの時間があったり、ゲームや遊び、その昔は紙芝居などを呼んだり、数珠回しをしたり、クライマックスは福引、子供達は普段はあまり外で遊ばなくなってきているが、この日ばかりは朝から日が暮れるまで、この町内にこれだけ多くの子供がいたのかと思われるほど、多くの子供達が一日中、お地蔵さんを祭壇に飾ったテントの中で遊んでいる、この地蔵盆の日には親も、宿題をしろとか、勉強をしろとかを言わない、夏休み最後の楽しい日。 この地蔵盆は町会長さんや世話役さん、そして様々な中学生がお手伝い、小さい子供を遊ばせたり、喧嘩を止めたり、子供のいない家へ、お供えのお下がり、オヤツ、代理で引いた福引の景品を届けたり、鐘を叩いて町内中を回って、おやつの時間や、福引の時間を知らせたり、小学校の高学年になると、中学生のお手伝いを、間も無く自分達がする時のために背中を見て覚えていく、こうして代々、子供達にも受け継がれていく、だからこの日は京都市内のいたるところで、地蔵盆につき通行止め、市外の車は行きたいところへ行く事が出来ずに道に迷うという事も、京都市内の多くの町内には祠に納められたお地蔵さんがある、それだけではない、天道大日如来さんのある町内もあって、８月２８日に大日さんが地蔵盆と同じように執り行われるところもある、町内のお地蔵さんのある場所にビルやマンションが建てられる時、施工主と町内とでお地蔵さんをどうするかの話し合いが先に行われる、オレの今住んでいるところも、古い家を壊して、不動産屋さんが８軒分を分譲、そこにお地蔵さんがあって、お地蔵さんを北の端へ移動、新しい祠を作る事で町内との話し合いで決定、８軒分の分譲を終えて、家が完成した後、お地蔵さんは新しい祠に納められた、また、たまたまお地蔵さんの無い町内、隣のお地蔵さんのある町内と地蔵盆を共同開催したり、壬生寺へお地蔵さんを借りに行って、借り物のお地蔵さんで地蔵盆を執り行う、昔、オレが住んでいた２０５世帯のマンション、そこで子供達のために地蔵盆をしようとことが管理組合の議題に上った、地蔵盆は宗教行事であるために反対という意見が出て、伝統行事か、宗教行事かという事で紛糾し、結局、宗教色を一切排除した、「子供夏祭り」、として、地蔵盆の頃に行われるようになり、今も続いている。 幼くして亡くなった子供達が、嘆き悲しむ親達を慰めようと、賽の河原で石積みをする、鬼が出てきてその石積みを壊す、それを見て地蔵菩薩が鬼を退治する、これが各地に残っている賽の河原伝説で、延命地蔵として子供達の守り神として信仰を集めている、オレがすんでいる町内、５０数世帯、１週間交代で、年に約一度くらいの割合で、輪番制でお地蔵さん当番というのが回ってくる、バケツと雑巾と当番ノートが隣から、１週間の間、お地蔵さんのお供えの水替えと、祠の掃除と、お供えの花の交換、１週間の当番を終えると、バケツを始めお地蔵さん当番道具を隣の家へ、宗教云々と文句を言う人はダレもいない、お地蔵さん当番が隣から、隣へと途切れる事無く引き継がれていく、４軒北隣の角にお地蔵さんの祠、前を通り過ぎる時には、止まって手を合わしはしないが、帽子のひさしをつまんで軽く会釈をして通り過ぎていく、子供の頃は地蔵盆が済むと、もう夏休みはお終い、残るは宿題だけ、少しだけ気分がブルーに。 ■「今日の言葉」■ 「 相手の立場で考えてみると 見落としていたものが見えてくる 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Aug 18, 2008
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ぼやきながらも、どこかに誇りが。
今日はヨメがパートの休み、友達と祇園祭りの山鉾の巡行を見に行く、「お前、見た事があるノン」、「結婚して何年目かの年の祇園祭、お母さんと一緒に、もう約３０年ほど前、何処で見たらエエのん」、「希望は？」、「くじ改めのところか、辻回しのところ」、「残念やけど、その２ケ所と、麩屋町の注連縄きりの所は早い時間から人が一杯で、そこを見たかったらＫＢＳのテレビ中継やな」、この３ケ所は早い時間から重装備をしたアマチュアカメラマンが、かなり早い時間から、最前列は座り込んで、道の向かい側にも陣取っていて、まあ、お前の背では、殆ど見えヘンやろうな、河原町通りの四条通から御池通までの比較的に空いた場所を探して、そこで見物するのがエエやろうなァ、さてオレはというと勿論、平成になってから山鉾の巡行は見ていない、大学の４回生の時に名古屋から来て、下宿していた友達に、「京都も今年が最後、祇園祭ぐらいは見ておかんと」、ということで、その友達に付き合って、巡行を見物、約４０年も前の事である。 保昌山の会所の前で写真を撮っていると、入り口のところで保昌山の法被を着た当番のお年寄りが、「２階のご神体も撮っていってや、首から上は室町時代の物で、胴体は火事で焼けて、自分の家はほったらかして、ご神体を真っ先に持ち出し、それでも胴体は焼いてしもうて、後に作ったもの」、「昭和の終わりにパタパタと、続けて、綾傘鉾、傘鉾、蟷螂山が復活したけれど、平成になってから復活した鉾や山はないねえ」、「せやねえ、一度休んでしまうと、お金も要るけど、町内が祭りを引継げんようになってしまう、それのほうが」、記録には残っているが、巡行の途中で激しい夕立に会い痛みがひどく、また火事やどんと焼の際に燃やしてしまって、復活する事が出来ずに、巡行を休止したまま、休んだままの、休山鉾、焼山、と呼ばれる山が２つに、鉾が１つある、現在巡行に参加している鉾で、船の形をしている一風変わった形の鉾、「船鉾」、がある、休山鉾の中にこれよりも一回り大きな船の形をした、「凱旋の船」、と呼ばれる鉾がある、鉾の図面も残っている、燃えたといっても全てがもえたわけではない、幾つかのものが残っている、会所にはそれらのものが飾りつけもされている、その町内の人も他所の鉾へ囃子の練習にいっていると聞いている、巡行しなくなって久しい、鉾が復活しても、鉾を収納する場所、祭りを取り仕切る人、囃子をする人、巡行の時には囃し方が鉾に約３０人ほどが乗り込む、鉾によっては囃し方が不足、克って女人禁制の鉾に女性が乗り込んでいると問題になった事があったが、女人禁制を貫くと巡行に参加できないという町内の事情も考慮して、女性の乗り込みを事前に届け出ればＯＫという事になっていて、２基の鉾に数人の女性が囃し方として現実に乗り込んでいる、このように祭りの巡行に再び参加するための人の問題これが大きい。 鉾を１基再建するとなると、億近い金が必要となる、お金はそれだけではない、毎年、鉾の巡行となると、数千万円のお金がいる、約半分ほどは、京都府、京都市、京都商工会議所等々からお金が出るが、残りの約半分は町内から捻出、ちまきの売り上げなどが貴重な収入源、例年思う事だが、１４日の夜辺りから、１６日の宵山、１７日の山鉾巡行にかけて、約１５０万人ほどの人出、１人につき、例え１００円でも見物料として、あちこちに料金箱を置いて置き、見物の人が入れていく、それだけでも１億５千万円の収入、１７日の山鉾巡行の折には御池通に有料観覧席が作られて、これも収入源になっているが、席数の数が限られている、見物の人も１００円ぐらいな文句言うまいと思う、ヨメのパート先の本社が鉾町、そこの鉾の厄除けちまきは毎年買っている、多くの人はこのちまきを買う事によって少しでも祇園祭に協力、そういう気持ちも多分にある、山鉾町の友達や同業者の人達がいる、口では祭りの時には身体とお金が大変とぼやいてはいるが、ぼやきながらも心のどこかで、１、０００年以上も続いているこの祭りを支え続けているという誇りのようなものが感じられる、それを少しうらやましく感じながらぼやきを聞く事もある。 ■「今日の言葉」■ 「 思い通りにしたいという心が 苛立ちと不満を生んでいる 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Jul 17, 2008
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喫茶店のマスターと京の雑談。
家の近くの喫茶店のマスター、約４０歳くらい、京都の古い話が好きで、お客さんのいないときには暫く話し込むこともあり、今日は嵐電の四条大宮駅と西院駅の間に、克っては壬生駅があった、この駅の話、オレは子供の頃に四条大宮駅から西院駅まで、嵐電に乗って壬生駅があったのを覚えている、今でも西院駅を出て大宮駅方向に向かうと途中から高架になっている、その高架の土手の部分が少し幅が広くなっている場所がある、その場所が壬生駅の名残、そう話すと、「今度、乗った時に見てみます」、この喫茶店は前のオーナーの時から行っている喫茶店で。内装はコンクリートの打ちっぱなしで、矢鱈に奥行きの深い店で、奥のテーブルの４席ほどは、碁会所のようになっていた、喫茶店のお客さんで碁の好きな人はどうぞ、だからオレはいつも入り口の方の席で飲んでいた、結構はやっている店のように見えていたが数年前に店を閉店、そして次に店を殆んど改装することなく、彼がこの店の２人目のオーナー、西院にも、結構、喫茶店があったが、新しく出来ては、閉店、その繰り返しで、長年自宅で喫茶店を営業している、比較的古い店ばかりになってしまっていた。 という事は内装替えも長いあいだせずに古びた喫茶店だけが残っていた、気にいった喫茶店もなく、格別好きなコーヒーの味という店もなかった、その中でこの店の雰囲気、ユッタリとした大きなテーブルが好きで、コーヒーの味も好きであった、オーナーが変わってもつい立ち寄っていた、日に一度立ち寄るというほどではなく、立ち寄るのはたまに、であった、オーナーは比較的無口で、余り話し込むという事はなかったのだが、たまたま座った席に版画、山にケーブルが登っていて、途中からロープウエイ、頂上に旗がひらめいていて、山全体が遊園地、山上のパラダイス、山上の楽園という題であり、比叡山の版画かなと思ったのだが愛宕山の版画であった、オーナーに、「この版画は？」、とたずねると、「戦前に愛宕山に、愛宕鉄道が走っていて、その案内のパンフレットの版画です、昭和１９年に廃線になって、戦後復活の話は何度かあったようですが、実現せずにいます、清滝へハイキングに行く時に通る清滝トンネルはこの愛宕鉄道の名残です、何年か前に、この愛宕鉄道の名残をたどって頂上のホテル跡まで行った事があります」、以前に愛宕山にケーブルが走っていた事は聞いた事はあったが、こんな楽しい、大掛かりなものだとは知らなかった。 不思議なものでこの日をきっかけに、この店のマスターとはヒマな時によく話し込むようになった、今日も、戦後の間もなくの頃、京都の市バスで木炭バス、トレーラーバスが走っていたよ、トロリーバスは知っている、チンチン電車は、とかそんな話をしていて、「四条大宮のターミナルでジャズコンサートをしていて、西の鯖街道復活、のスローガンが上っていた」、「西の鯖街道？」、「鯖街道の京都の入り口は出町と違うノン」、「四条大宮へ丹波口から入ってきたんやろうか」、「丹波口から鯖が？」、とそんな話をしていて、その昔の全国からの京都への入り口、京の七口の話になった、「どことどこやろう、丹波口、粟田口、荒神口、あと４つは？」、以前にブログに書いた事もあるのだが直ぐには思い出せない、「また調べておきます」、という事で店を出た。 最近では殆んどの観光客は、ＪＲで京都駅か、車での名神の京都南か東のインター、国道一号線から市内へ。その昔はというと京都は平安時代から都として栄え、三方を山に囲まれた盆地のため、全国各地から多くの人たちがこの地をめざしして過酷な旅を続け、幾つもの山を超え、街道をひたすら歩きに歩き、出発地によってそれぞれ違った京都の入り口に到着、その入り口として鞍馬口、丹波口、粟田口、荒神口など比較的なじみ深い地名を始めとして、七つあって、「京の七口」と呼ばれていて、実際には「口」は七箇所以上あって、場所についても様々な説がありますが、豊臣秀吉が天下統一を果たした時、京都の都市改造のひとつとして、市街地の外辺を、「御土居」、を築いてとりかこみ、その「御土居」の何箇所かに街道の出入り口を開けたのが「口」。■「京の七口」（諸説ありますが） ○三条大橋口（東海道に接続する、最も重要な出入り口） ○丹波口（山陰街道の出入り口） ○長坂口（清蔵口とも呼ばれる北の玄関口、丹波の出入り口） ○大原口（「鯖街道」として知られる、若狭の出入り口） ○鞍馬口（鞍馬へ抜ける道、花背峠を越えて丹波へ） ○東寺口（京都から大阪へ向かう、南の玄関口） ○五条大橋口（奈良へ向かう道の始まり） ■「今日の言葉」■ 「 利害を離れて客観すれば 物事の判断が正確に出来る 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Jul 16, 2008
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祇園祭は別名鱧まつり。
京都の祇園祭りは別名、鱧祭りともいわれて、京の街は海から遠い、その昔はなかなか鮮度の良い魚を口にすることは珍しかった、そこで生命力の強い鱧、鮮度を保ったまま京の街に到着、しかしながらこの魚は恐ろしく小骨が多く、そのままでは食べにくい、そこで京の板前さんが考え出した、骨きりという技法、皮を切る事無く、身に細かく包丁を入れて、口に入れても小骨が口の中に当たらないほど細かく包丁を入れる、この技法に適した大きくて重い骨きり包丁、力を入れる事無く包丁の重みで身を、ザクッ、ザクッ、と小骨を切りながら、皮を残して身を刻んでいく、３センチほどが一切れ、サッと熱湯に潜らせると、細く包丁目を入れられた身が花のようにパーッと開く、素早く熱湯から引き上げて、氷水につけて身を引き締める、これに梅肉やカラシ酢味噌につけて食べる、これが鱧のおとし、丁度祇園祭の頃には、梅雨時の雨水をたっぷりと含んだ海水で育って、一年中で一番脂が乗り切って旨い時期、京の街では欠かすことの出来ない食材、おとしだけではない、焼き物にしたり、てんぷらにしたり、から揚げ、鱧の骨センベイ、突き出しには鱧の子を卵やゼリーで固めた吹き寄せ、きゅうりと合えた酢の物、最も鉾町の人達はきゅうりの切った断面が八坂神社の紋に似ているために、祇園祭の間はきゅうりを食べないとも言われている、鱧寿司に鱧しゃぶ、焼き物を細かく刻んでご飯に載せて生卵の鱧丼、京の人達は無類の鱧好き、そのことから祇園祭が別名、鱧祭りといわれた所以。 河原町から木屋町へ抜ける蛸薬師通、小さな土佐稲荷の鳥居を越してすぐのところの古い居酒屋、ここは戸が閉まっていると満席、戸が半分あいていると空席あり、こういう時には、暖簾の下から店の中を覗く、河島英伍の時代遅れの唄に出てくるような居酒屋、店の中は煙で燻されたような色をしている、カウンターの中には、ポツンと店のオヤジが独酌でビールを旨そうに飲んでいる、オレと同い年だがおつむの毛は随分薄く、やせていて、頬骨だけが出っ張っていて、頬はこけている、見るからに偏屈そうな面構え、それだけではない、このオヤジは年がら年中作務衣、海外旅行、ヨーロッパやアメリカ旅行の時でも作務衣に下駄履き、暖簾の下から覗くオレに気がついて、急に偏屈そうな顔が笑顔に変わる、「久し振り」、ここは毎日来るお客さんが多い、５日も顔を見せないと久し振りということになる、「珍しいなァ、オレが一番乗り」、オシボリとその日の小鉢の突き出しを出すと、サッポロのラガーの栓を抜いて、「ハイ、どうぞ」、その当時は今と違って手が熱い、ついでもらうとビールが泡ばかり、「大将も、一杯」、と返すと、泡は殆どない、「まあ、まあ」、と乾杯して一気にビールを飲み干す、「鱧のおとし」、を注文する、普段は早い時間の仕込みの時に鱧のおとしを作って冷蔵庫に入れておく、ところがお客さんの少ない時には、注文を聞いてから骨きりをする、骨きりを仕立ての身を熱湯に入れて、サッと掬い上げて、氷水につける、こうした鱧のおとしの方が鱧の風味と香りが違う、はるかに旨い、誰もいない店でオヤジの骨きりの音、ザクッ、ザクッ、ザクッ、が小気味良い、骨きりの音だけではない、ガラスの涼しげな器に鱧のおとしを盛り付ける、鱧の下にかき氷を敷き詰める、このかき氷を作る、氷の塊を小ぶりの出刃包丁で削ってかき氷を作る、ジョリッ、ジョリッ、ジョリッ、氷を削る音も小気味いいが、氷を削る包丁さばきもなかなかのもの、ここの店は飛び切り高級な食材は使わない、しかしこのオヤジの料理は実に丁寧、宵の口からビールを飲んで、お客さんから勧められると、断る事をせず、かなり飲んでいても料理を作るときは素面と同じ。 ここの蛸ブツは絶品、店の中に蛸がぶら下がっている、常連のお客さんはカウンターに８人が揃うまで蛸ブツを注文しない、顔見知りの客が８人揃うと、「オヤジ、ボチボチ蛸を風呂に入れようか」、大きな鍋に湯を沸かし始める、「オレも」、「オレも」、と蛸ブツの注文が８つ、１人あたり蛸の足１本、湯がきあがる少し手前でたこを揚げて、まるっぽの侭、出汁でサッと煮る、蛸の足をザクッ、ザクッ、と切って、チョッと塩をつけて食べる、旨くて、柔らかい、ここの店はこのように幾つか注文が揃わないと注文しても出てこないものがある、フワフワの出し巻き、オヤジ曰く、４人前の注文を作る時が卵の量と出汁の量が一番合うということである、だからこれも４人前揃わないと作らない、出汁巻を作るときの手さばきが良い、それを見ていると誰でもフワフワの出汁巻きが作れそうなほど手際が良い、それを見ていた誰かが、「きっと、鍋やでェ」、「イエ、イエ、腕、腕」、ここのオヤジ偏屈そうに見えても気が弱いところがある、４人前の卵と出汁をあわせて巻き始める、足らなくなるといけないと思うから、どうしても３人前までと、最後の４人前が大きい出汁巻きになってしまう、それを知っていて、最後の４番目に作る出汁巻きの指定の注文ばかりになる事がある。 アスパラガスをフライパンでバター焼にして、それを焼き海苔で包んで塩をつけて食べる、これは好きだった、たまねぎのスライスにブルーチーズ和えというのもあった、それとここの肉のたたき、ステーキ用の厚さ２センチくらいのサーロイン、グリルで表面だけをサッと焼いてレアー、それを薄い目にスライスして、上に大根おろし、にんにくおろし、おろししょうが、貝割れを乗せて、たっぷりと一味を振りかけて、ごま油を少々振り掛けて、その上にたっぷり目のポン酢を振りかけて、出来上がり、スライスされた肉と上に乗かったものをグチャ、グチャニ混ぜ合わせる、すぐに食べない、やおらタバコを吸う、タバコを吸い終わった頃、その頃に混ぜ合わせたものの味が馴染む、この肉のたたきもここだけのメニュー、この時期になると、鱧のおとしの時の小ぶりの出刃包丁で氷を削るのを思い出す、９年前に会社を整理してからオレはぷっつりと行かなくなった、６年前にこの店のすぐ近くでイベントがあった、少し時間があったので、立ち寄ってビールを１本だけ飲んだ事があった、１５分ほどで店を出ようとすると、久し振りに顔を見せてくれるなんて嬉しい、ビール代はいらない、それはアカン、と押し問答をしているところにお客さん、「じゃあ、大将、ごっつあんです」、ですと店を出た、その時はまたいつか行けば良いと思っていたが、それから間も無くして街角で昔この店で働いていた女性とぱったりとあって、「ついこの間、大将が亡くなったん」、「そうかあ、オレもあんたが辞めた後ぐらいか殆ど行ってないんで」、「私も、葬式が済んでから聞いたんで、まだ、お参りにもいけてないねん」、「オレと同い年やモン、早過ぎるなァ」、「げんきそうやね」、「お蔭さんで」、と言葉を交わしてそのまま分かれたが、以来ほんのたまに、昼間に店の前を、かんばんの屋号はそのまま、ビールを奢ってもらったのが最後、お返しは出来ないが、２年に一度くらいはこうして、思い出を書いている、「大将、一杯、どう」、とビールを勧めた時のなんとも嬉しそうな笑顔で、「書いてくれるのは１回きりでエエでェ」。 ■「今日の言葉」■ 「 子供は親の姿を見て先祖や親を 大切にすることを覚えていく 」
Jul 10, 2008
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祇園祭には、まだまだ、見た事も無い、知らない事も一杯にある
イベントの、「西院フェス」、のプレスリリース、このプレスリリース、若くして企業を立ち上げた人等がこれを巧みに使い、自社のコマーシャルを新聞社へ発信、新聞が取り上げるにはそれなりの情報やメッセージ性も必要なのだが、新聞広告を出せば大きな費用が必要なところ、ただで企業の広告も出来る、これを巧みに、有効に利用する事によって自社の知名度をアップさせている、また新聞社の方も、その日によって記事が埋まりにくい日などに、そこの記事を紹介するといった、少し語弊があるが、それを利用する企業と新聞社との互助的な関係もある、こういう事をあるセミナーで聞いたことがある、そこで如何にプレスリリースをするか、プレスリリースの仕方のセミナーを受講したことがある、新聞社へは、毎日、おびただしい数のプレスリリースがＦＡＸで送られてくる、記者の目に止まる為には始めの３行が大切、３行の間に、いつ、どこで、何をするのか、ここで記者の目を引くかどうか、この３行が勝負、という事であった。 そして毎年、主要新聞へ、「西院フェス」、のイベントのプレスリリースを送っている、第１回開催の時には、数社に取り上げてもらった、しかし、第２回目以降はイベントの翌日の新聞には写真入で紹介されるが、イベントの側としては、イベントの前に取り上げて、イベントの紹介をして欲しい、教わったプレスリリースの書き方通りに送っているが、なかなか、取り上げてもらえない、８月の第１週のイベントだから、ついつい、７月始めの頃に各新聞社へプレスリリースを送っているが、７月といえば１日から祇園祭の始まり、このブログを書くようになってからは、どうしても祇園祭の事を書いてしまう、そのために書いたものを参考にしている、結構、下調べもしている、それで毎年、毎年、まだまだ知らない事が一杯にある、だから、７月の京都市民版は祇園祭関連の記事で、いつでも紙面を埋めることが出来る、だから７月のこの時期はよほど目の引く事のプレスリリースでないと取り上げてもらえない、そんな気がする。 鉾町に嫁いだ女性が、「結婚して３０年になるけど、今年はお姑さんが亡くなり喪中、お祭のお手伝いはお役御免、（喪中の人はお祭を手伝う事が出来ない）、この町内へ嫁いから、始めてゆっくり祇園祭が見られる」、と話しているのを聞いた事がある、その山鉾町の人でないとわからない事が多くある、しかしながら自分の町内の山や鉾の事は詳しいが、他所の町内の山や鉾の事については全く知らない、そんな話を聞いたこともある、今日は休みで、長刀鉾の、「吉符入りの儀」、がある日、時間は１３時から、各山鉾町で今年の祇園祭の初めての打ち合わせの日の事である、各山鉾町の人達、極端に夜間人口の少ない町内もある、世話役さんの都合もある、昼間が日曜日にしか集まれないという町内、こうなると７月末の日曜日に、「吉符入り儀」、を済ませてしまう町内もある、１７日の巡行の日の先頭を行く、現在では唯一の生きた人間のお稚児さんが乗る長刀鉾の、「吉符入りの儀」、が今日の１３時から、京都の大丸の少し西の２階建ての長刀鉾の会所で行われた、この儀式は公開の儀式ではないので、見る事は出来ないのだが、それが終わった後、会所の２階の窓が取り払われて、窓枠に緋の毛氈がたらされて、長刀鉾の前の部分のお稚児さんが乗った雰囲気の中、お稚児さんは鶴のクジャクの羽がついた、「チョウトンボ」の冠を頂き、青海波に鶴模様のふじ紫色の振り袖に、若草色の紗の裃姿で時折、前に身を大きく乗り出しながらゆったりと舞い、天下太平と五穀豊じょうを願った、これは１７日の巡行の際にも長刀鉾上で舞われる、「太平の舞」、今年の初お披露目、数日前より急に蒸し熱くなった、１５時３０分過ぎ、四条通の北と南で待ち構える大勢のカメラマン、通りがかりの人は携帯を取り出す中で、蒸し暑さと緊張の中でお稚児さんと両脇の２人の禿に多くのカメラマンのシャッターが切られ、拍手と歓声が沸きあがっていた、じっくりとこれを見るのは初めての経験、祇園祭には、まだまだ、こういう知らない、見た事も無い事が一杯にある。 ■「今日の言葉」■ 「 あやまちを素直に認めること から向上への道が開ける 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Jul 5, 2008
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今年の祇園祭の長刀鉾のお稚児さんの発表。
昨日の夜のヨメとの会話、「去年の今時分に比べて今年は涼しいね」、「そやなァ、去年は連休のあたりから蒸し暑かったね」、「今年勝て、祇園祭の頃は蒸し暑うなるやろう」、「いうてる間に祇園祭」、「すぐに西院フェス」、「お盆に大文字」、「涼しなったと思うたら春日祭」、「時代祭」、「今年は遅いなあと言いながら紅葉」、「顔見世の招きが上って師走」、「正月の支度はまだまだと言いながら事始」、「ホッと一息ついたら除夜の鐘」、「おめでとうさん、と言うたらすぐに梅便り」、「言うてる間に桜が咲いて」、「・・・・・・」、１年が早いなあァ。 とこんな話をしていたら、まだ６月の始め、祇園祭とは気が早いと思われるだろうが、今日の夕方のニュースで、祇園祭の山鉾巡行の日、７月１７日、祭りの先頭を行く、くじ取らずの鉾の長刀鉾、現在の鉾で唯一、生きた人間のお稚児さん（生稚児＝いきちご）が２人の禿（かむろ）を従えて乗り込む、その稚児さんと２人の禿が報道関係者に発表された、今年のお稚児さんは長刀鉾の鉾町にある小学校、洛央小学校の生徒さんから選ばれた、これは３４年ぶり、このお稚児さんというのは実に大変という事は何となく知っていて、お金も随分とかかる、そのことぐらいは知っていたが、京都の四条通の烏丸通から鴨川の四条大橋の西までの両側の商店会、京都四条繁栄会商店街振興組合、が年４回発行している、「きょうと、しじょう」、という旬刊誌、長刀鉾の会所もここにある、この、「夏号」、時節柄、例年、記事は祇園祭の関連記事が多い、祇園祭関連の記事といっても、オレもブログを書くようになってから、７月は祇園祭関連の事を多く書いている、そのために下調べもする、しかしそんなことぐらいでは到底、知り得ないような記事、鉾町の人しか知らない様な興味のある記事が多く、２００６年の夏号に、「長刀鉾の生稚児」、の特集記事が掲載されていた、この記事で漠然と知っていた、「長刀鉾の生稚児」、の大変さを具体的に知った。 それに書いてあった長刀鉾の稚児の日程 ・５月上旬 鉾町関係者初顔合わせ・６月上旬 報道関係 八坂神社ご挨拶 中村楼社参打ち合わせ 配膳・化粧・人足・馬方・車方打ち合わせ 前年度稚児家ご挨拶 稚児・禿衣装合わせ・６月中旬 稚児家お祓いと結納の儀・６月下旬 京都市長表敬訪問 八坂神社宮司稚児家訪問 理髪の儀・７月１日 お千度の儀 囃子方保存会初顔合わせ・７月上旬 乗馬の練習 稚児舞の稽古・７月５日 吉符入り（稚児舞披露）・７月１０日 清祓いの儀（鉾建て）・７月上旬 囃子方披露・７月１２日 曳初めの儀・７月１３日 社参の儀（お位貰い）・７月１４日 松仲之町表敬訪問 八坂神社参拝・７月１５日 八坂神社参拝（宵々山）・７月１６日 注連縄切りの練習 八坂神社参拝（宵山） 日和神楽・７月１７日 神幸祭（山鉾巡行） お位返しの儀・７月２６日 ご挨拶（日程は年毎に変わる場合があり、一般に公開されていない行事もある） 以上がお稚児さんの日程となっている、１０歳前後の男の子が選ばれ、結納の儀を経て長刀鉾町の養子になり、「長刀鉾町の子」、として、「神の使い」、になる、本人だけではなく家族もそれなりの覚悟がいる大役、１７日の巡行の時、四条麩屋町の両側に建てられた斎竹、そこに張られた注連縄、これが神域との境界、稚児がこの注連縄を一太刀で切る事によって境界を解き放ち、鉾や山は前へ進むことができる、いつ見ても息をひそめて、注連縄が切られた瞬間には安堵の溜息。 ■「今日の言葉」■ 「 物事が成就する鍵は自分の 意志を固く決めることにある 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Jun 4, 2008
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京都独特の言い回し。
「金波、銀波の鴨川で産湯を使い」、京都生まれで京都育ち、とはいうものの、戦争が激しくなってから亀岡に疎開、それと大学を出てから５年弱の間、大阪の莫大小屋さんで住み込みの丁稚、という事で６５年のうちで約１０年ほどのブランク、しかし、豊臣秀吉が作った、京都の洛中洛外、その境界線にお土居を張り巡らした、そのお土居の内の洛中、間之町五条で生まれ、しかしそこで暮らしたのは１歳過ぎまで、亀岡に疎開、京都に戻ったのは昭和２２年（１９４７年）、住んだのは西院、西大路綾小路西３０メートル、このあたりの洛中洛外の境界線は、その通り名にその名をとどめている、土居の内通、この通よりも約１００メートルほど西に当る、そして１０数年前から住んでいる今の家、土居の内通よりも１筋西の道に面している、洛中との境界線よりも約３０メートルほど西に当る、だから６５年余りの人生のうちで、京都の洛中で過ごしたのは僅か１年余り、京都の生まれも、育ちも洛中の、口の悪い連中には、「お前は本当の京都人ではない」、からかわれる事がある。 このセイではないが、このブログに書いた事もあるのだが、「京都人のいない京都が好き」、である、社会に出て５年間の大阪での丁稚、商売のやり方も、どちらかといえば大阪風、だから他府県の人が京都の独特の言い回しに戸惑うように、オレも戸惑う事があった、繊維メーカの時代、メーカーでありながら自家工場を持たず、外注工場１００％のメーカー、数１０年昔はペーパーメーカーなどと、一段下の呼び方をされた、問屋さんから注文を受けて、それから縫製工場を探す、こういう事が当たり前の時代もあった、その頃に他人の紹介で出かけたある工場、ここの工場もユニークな工場で、普通の狭い家で、ミシンが１０台ほどの工場、１つの製品を縫い上げるのに、部分縫いは全て内職で縫製、その部分縫いしたものを前日に全て集めてくる、そして翌日に工場の中で、約４００枚ほどの製品を縫い上げる、その縫い上げた製品をメーカーに取りにこさせ、ほんの空いた狭いスペースに翌日仕上げる部分縫いしたパーツを内職先から回収してきて、そこに置く、毎日、毎日、これをきっちりとしていく、そうでないとこの狭い工場に物が溢れてしまい、身動きが取れなくなり、日産、約４００枚の生産が出来なくなってしまう、オレの会社もここと同じように手狭、後にここの工場のやり方が大いに参考になった、縫製を依頼したい製品のサンプルと仕様書、数量、納期、加工賃、商談を進めていくが、この工場のオヤジさん、様々な条件面で仕事を請ける気がなくなったのだろう、話の途中から何を言っても、「へえ、おおきに」、の繰り返しである、この、「へえ、おおきに」、「おおきに」、は、「ありがとう」、の意味である、ところが、「へえ」、がついて、「おおきに」、のトーンが変わり、心がこもっていない言い回しに変わると、この、「へえ、おおきに」、の意味が全く変わってくる。 その後、ここで縫製の仕事を頼むようになって、こことの付き合いが始まって暫くした頃、納期が充分すぎるほどある仕事を持ち込んだ、ここのオヤジさんがこの仕事に乗り気ではなく、ぴしゃりと断られた、ここは少し粘って、「いつでもよろしいからお願いします」、「せいて、せかんのやけどォ～、・・・・・、の口やなァ」、とにやりと笑って、「明日になったら、あれいつできますのんやろう、京都のせいてせかんのやけどは、いつもせき仕事なんや」、このオヤジさんのいうとおり、オレも、ツイツイ、「せいて、せかんのやけど」、の言葉を真に受けて、仕事を預かったばっかりに、翌日からその仕事を、せきたおされたという事が何度もあった、「京都のせいて、せかんのやけどは、せき仕事」。 「そら、よろしおましたなァ」、これも言葉の表面とは随分違う事が多い、例えば１人が、「アア」、だと言う、もう１人が、「こう」、という、「アア」、だ、「こう」、だとなる、そこで決着がつくことがない、こうなると延々と言い合い、しかし、ここで、どちらかが、「そら、よろしおましたなァ」、言葉だけを捕えると、不承不承に同意したように聞こえるが、この言葉の裏には、「それでも、地球は回っている」、と同じような気持ちが込められている、「考えときまっさ」、「考えときます」、この言葉、オレもこれを使って誤解を与え、友達も失ったが、逆に誤解をして怒り狂った事もある、あたりの柔らかい強い拒否の言葉、と受け取る方が正しい、ぴしゃりと断ったらそこへは２度と足を運ばない、断りながらもまた足を運んで欲しい、こういう相手の気持ちを考えて、余裕を持った言葉のコミュニケーション、そう思うと京都のこういう言葉のやり取りも奥が深く、なかなか面白い、と冷静な時にはそう思うのだが、西院フェスのイベントのスポンサー取り、「考えさせてもらいます」、という言葉、何度も、何度も、足を運ぶ、そして最後の最後に、「やめときますわァ」、「それやったら、最初に・・・・・」、という気持ちになってしまう、最近この、「考えときます」、の代わりに使われるのが、「また、電話をさせてもらいます」、これも、断れたと考えるのが妥当で、何軒ものお店でこのようにいわれた、携帯電話の番号のメモを渡す、しかし、たったの１軒も電話がかかってきたためしがない、「また、電話をします」、京都でのこの言葉も、拒否の意味が含まれていると考えた方が正しいようだ。 ■「今日の言葉」■ 「 他人への批判は平気で言えても 自分への批判は平気で聞けない 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Apr 12, 2008
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下鴨神社の、「蹴鞠はじめ」。
例年、１月４日に下鴨神社で行われる、「蹴鞠はじめ」、テレビのニュースか新聞の記事で見て、「あ、あ、昨日だったのか」、という事で、まだ一度も見た事がなかった、昨日にインターネットで調べて、午前１０時半からと出ていた、だから今日は８時に起きて、午前９時過ぎには家を出られるようにしていた、出かける前にもう一度時間を調べてみると、サイトによっては午後１時半からというサイトがあって、アレッ、どちらが正しいのか、幾つかのサイトを調べてみると、午後の１時半からというサイトが圧倒的、中には午後の２時からというサイトもあった、家を１２時半頃に出ると、遅くても午後の１時半には下鴨神社に到着、早過ぎれば先に初詣を済ませればいい、今出川通を通るバスだと途中に北野天満宮がある、合格祈願もかねての初詣の人が多く、バスも道路も混雑、円町を曲がって丸太町通りを東へ行くバス、これで河原町丸太町へ出て、ここで河原町通りを北行きのバスに乗り換えて、下鴨神社前で下車、境内へついたのは午後の１時半を少し回っていた、境内中央の舞殿と拝殿は有料の観覧席、もうここにはぎっしりと見物の人、そして無料の観覧場所には何重もの人垣、１７２センチのオレで人の頭しか見えない。 この、「蹴鞠はじめ」、１月の午後の１時半から、まず、「蹴鞠」、についてのルールその他の説明、間もなく出場者が神官を先頭に、舞殿と拝殿の間の蹴鞠場に入場、一番後ろに神官が松の枝を捧げ持ち、その枝の股に蹴鞠の時に使用する、白い鹿革の、バレーボールよりも小さめの蹴鞠がはさんである、蹴鞠を始める儀式のようなものが始まりだす、このあたりで午後の２時頃、１５分ほどで休憩、これが３度ある、終了するのは午後の３時頃である、最初の１５分、人の多さで、デジカメを片手で持って、思いっきり手を伸ばして、背伸びをする、カメラのモニターは３６０度回転する、そのモニターを覗いてみても映るのは人の頭と前の人の捧げ持つデジカメと携帯電話のカメラばかり、今日は写真はダメか、前の人が場所を替わってくれればいいのに、そんな事はないよな、ところが最初の１５分の演技が終わったところで休憩になる、この時に前方にいた人がかえりだす、人垣が３分の１程少なくなる、ここでカメラのモニターに蹴鞠をする人が映るようになる、そして２度目の休憩、人垣が更に少なくなる、ここで少し場所を移動して、蹴鞠をする人のバックに鮮やかな朱塗りの入り口の楼門が映る場所、ここでやっと蹴鞠をする人の足元まで映すことが出来るようになる、この蹴鞠の写真を写すだけなら、午後の２時半頃に来るのがお勧め、ただ四角い囲いの中で、一定の高さ以上に蹴り上げないで、しかも着ている衣装が平安時代の衣装、蹴鞠をするのにふさわしい衣装とはいえない、それと普段の練習の機会が少ない、それと鞠が軽そうである、風にも流される、扱いが難しそうである、だから余り長続きがしない、１０回以上続くと拍手が沸きあがる、せめてパープルサンガの選手辺りが暫く練習すれば、お客さんを唸らせるような妙技の披露という事があるかもしれない、という事はこの行事を一度、見てみたいと思っていたが、来年もまた来るかと聞かれると、返事に困る、余程、誰かに見たいと誘われれば来るかもしれない、かの清少納言が枕草子の中で、「蹴鞠は面白い」、といっているが、悲しいかな、オレにはそこまで思い馳せる事は出来ない。 ■「今日の言葉」■ 「 物事が成就する鍵は自分の 意思を固く決めることにある 」 (自然社・平成２０年・新生活標語より）
Jan 4, 2008
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かなり浸透した京都の路上喫煙禁止。
最近、休みの日、午前８時に起きるのが習慣、ここ１ケ月は、起こされても、サッと起きれない、後１時間、もう後１時間と思いながら、アッ、昼だと思って慌てて起きる、遅い朝食をとって、しまった、休みの日を半分損をした気分、今日も午後３時頃までテレビを見ながらゴロゴロ、久し振りに繁華街に出てみよう、家を出て、西大路通り、コンビニの前に息子の嫁とバギーに乗った孫のユウちゃん、コウタの幼稚園の送迎バスのお迎え、近ずくとユウちゃんが珍しい事に手を上げている、オレに気付いて手を上げたのかなァ、と思いながら近づくと、それはどうやら違う様子、お兄ちゃんがバスから降りてくる時の出迎えの準備運動の様子、傍まで行くと視線を合わさない、「やあ、ユウちゃん」、と穏やかに声をかける、すると口をへの字に曲げかける、そして暫く我慢、少し後ずさりすると、普通の顔に、息子の嫁と話をしていると少し笑顔、屈み込んで手を握って、「ユウちゃん」、こんどは、急に、ワ～ん、最近は仕事場のマンションの４歳、３歳、２歳の将来の美人トリオ、挨拶もするし、お喋りも良くする、きっとオレの顔の表情が穏やかになったのだと思い込んでいたが、どうやらそうではないらしい、そうかお兄ちゃん譲りで人一倍人見知りが激しいのか。 オレが繁華街へ出るというのは四条烏丸から河原町にかけてぶらつく事、阪急電車の烏丸駅を降りて、大丸の西側のビルのイノダコーヒーショップ、ついこの間までは長らくアイスコーヒーだったのだが、今日はホットコーヒー、ここは砂糖とミルクが先に入っている、スプーンには一番小さな角砂糖、お好みによって入れてくださいというヤツ、ここのエスプレッソのコーヒーは最近のオレにしては濃い、この予備の小さな角砂糖を入れて、底の方に砂糖が残るのが嫌なので、丁寧にかき混ぜて、熱いコーヒーを、ふーッ吐息でさまし、香りを楽しみながらすするように飲む、ところがオレがこれができない、最初の一口はがぶりと飲んで、苦いアジが先で後から香り、ところがこのコーヒーは温めたカップに熱いコーヒー、猫舌のオレにはこれは無理で、水の中の手ごろな大きさの氷を探してそれをカップの中に入れる、この店には大阪で住み込みの丁稚時代、京都大丸のセールスマンの時代、昭和４２年（１９６７年）、百貨店のセールスはコーヒーを飲むのも仕事のうち、一日に数杯この店でコーヒーを飲んでいた、以来、約４０年、その味。カップ、灰皿、殆んど変わっていない。 コーヒーを飲みながらタバコを３本吸うのがいつものパターン、ところが最近はこのあたりの路上喫煙が禁止、禁止区域に喫煙場があるのかは知らない、だからいつもよりも１本多い目にタバコを吸ってから地上に出る、大丸の１階を通り抜けて錦通の出口へ、学生時代のアルバイト、丁稚時代の百貨店のセールス、この時代の百貨店の１階は男性洋品の専用売り場、正面の入り口近くにインフォメーションとタバコ売り場、喫煙具売り場、ネクタイ、カッターシャツ、ネクタイピンやカフスボタンなどの男性アクセサリー、鞄、マフラー、手袋、帽子、革、ステッキ、靴、等々の男性洋品の売り場だった、ところが今や１階には男性物は殆んど並んでいない、それだけ良く売れるから広いスペースの化粧品売り場、ここをひとりで通り抜けるのが苦手な人もいるが、オレは好き、いい臭いがするのと、さすが化粧品売り場、それなりに化粧栄えする美人達のオンパレード、そこを通り抜けて錦通の出口、錦市場を東へ、まだ１１月の平日、そぞろ歩きには丁度手ごろな人出、これは何かなと立ち止まってみていると、「らっしゃい、美味しいよ」、と威勢の良い声、オレがここで買い物するには大晦日だけ、古くからある店の間に新しい店、何となく毛色の違った店もある、しかし、空き店舗のままで放置してあるよりはまだ良い、観光のお客さんや、買い物よりも写真撮影が目的の人も多い、やがて寺町通り、ここを北へ、靴屋さんや、ダウンのジャンパーを見ながら、勿論、最近数が増えた帽子屋さんへも、ダークオリーブグリーンのソフト帽を探しているが、深みの或る小粋なこの色というのが見当たらない、あっても被ってみるとオレには似合わないという事もある、三条の一筋手前の細い路地、時々そこのショウウインドウを写真に撮る西洋骨董店の前を通り、新京極通に出る、一筋西の寺町通りにも、一筋東の河原町通りにも坂はない、ところがこの新京極通にだけは三条通までの間の数１０メートルに少し急な坂がある、何でだろう、ここを通るたびにふと思う、新京極通には修学旅行生も多く、混雑してごちゃついており、それをよけて、蛸薬師通りから河原町通りに出る、イノダコーヒーショップを出てから約２時間、タバコを１本も吸っていない、その後、四条河原町まで歩きながら注意深く周りを見る、歩きタバコをしている人に出くわさない、１１月の初めから路上喫煙の監視員の人の巡回が始まったらしい、罰金はまだと思う、しかし、今はまだ広報期間中のはずだが、かなり浸透している、タバコが吸いたくなれば喫茶店に入るか、路上喫煙禁止区域の外に出るか、鴨川の河原へ降りるかしかない、条例とか罰金ではなく、他人への迷惑、これがスモーカーの泣き所。 路上喫煙禁止区域での喫煙は見事なほど減ったが、自転車を乗ってはいけない地域の歩道で自転車に乗っている人はまだ多く見かけた、喫煙者よりもこちらの方のマナーが悪い、バスで家の近くのカフェまで戻り、カウンターのいつもの席で、座るなり注文よりも先にタバコに火をつけて、一息、思いっきり煙を吸い込んで、ユックリと煙を吐き出し、「カプチーノ」。 ■「今日の言葉」■ 「 人の思惑を気にし過ぎると 判断力も実行力も鈍る 」 (自然社・平成１９年・新生活標語より）
Nov 20, 2007
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「かにかくに祭」。
祇園の白川、映画やテレビドラマなどに良く使われている、巽神社、巽橋、川の流れに沿って西へ行くと、茶色い石碑、白い文字で、「かにかくに 祇園はこひし 寝るときも 枕のしたを 水のながるる」、という京都をこよなく愛した歌人、吉井勇さんの歌碑、明治１９年（１８８６年）生まれ、昭和３９年（１９６０年）没、昭和１２年（１９３７年）に浅草仲見世の近くの料亭、「都」、の看板美人と２度目の結婚、その翌年に京都の北白川周辺に居を移し、その後に祇園かよいが始まったといわれ、文人仲間が良く利用していたお茶屋、「大友」、この店の女将の、「お多佳さん」、も文芸芸妓いわれており、吉井勇さんも常連客、現在は白川の北側は石畳の散策路になっているが、当時はこの道がなく、お茶屋さんが並んでいた、「大友」、の座敷は白川にせり出して建てられており、ここのお茶屋さんの座敷で、先の歌碑の歌を読んだといわれている、昭和３０年（１９５５年）１１月８日に古希を祝って、友人の谷崎潤一郎さんらの手によって、丁度、その昔、「大友」、の店があったあたりに、この歌碑が建てられた、昭和３５年（１９６０年）８月１９日、肺癌で京大病院で亡くなった。 歌碑が建立された１１月８日、この石碑に祇園甲部の芸妓さん、舞妓さんによる白菊の献花、献茶が行われ、吉井勇さんを偲ぶ、「かにかくに祭」、が執り行われている、祇園の地で遊んだ文芸人が数多い中で、祇園かよいは晩年の２０数年、むしろ、たったこれだけの年数という感があるが、それでもこれほどまでに祇園町の人々の思い出に長く残り、愛され、偲ばれている人は類を見ない、ただ吉井勇さんの作詞、「ゴンドラの唄」、 いのち短し 恋せよおとめ 赤き唇あせぬ間に 熱き血潮の冷えぬ間に 明日の月日はないものを いのち短し 恋せよおとめ いざ手を取りて彼（か）の船に いざ萌ゆる頬をきみが頬に ここにはだれも来ぬものを いのち短し 恋せよ少女 波に漂（ただよ）う 舟の様（よ）に 君が柔手（やわて）を 我が肩に ここには人目も 無いものを いのち短し 恋せよ少女 黒髪の色 褪せぬ間に 心のほのお 消えぬ間に 今日はふたたび 来ぬものを 実のところ吉井勇さんの詩の事はよく知らない、波乱に飛んだ人生と聞く、人生の転換期において、その作風の大きな転換があったと思うが、歌碑の歌ととこの歌詞だけでも、５０年以上もの長きに亘って、祇園町の多くの人達に親しまれ、「かにかくに祭」、が毎年行われている事がわかるような気がする。 今日の午前１１時から始まる、１５分ほど前に白川に到着、歌碑は何重にもそれを取り囲んだカメラマンで見えない、人垣の外側にはその上に乗って撮影用の幾つもの脚立、どこかの新聞社のカメラマンが人垣を掻き分けて、強引に前のほうへ割り込む、すると、「オイ、そこの報道屋さん、お前は何様や思うてんねん、そんな位置で撮りたかったら、もっと早う出て来い」、と怒声が跳ぶ、さすがに厚かましいプロのカメラマンも、「わかりました、すみません」、と引き下がる、車を通行止めにはしていない、時折、車が通る、散策路の北側の歩道の端に、重装備のカメラマンが横に並んでいる、祭りの関係者に、「おねエーさんたちが出てくる前に、前にいる人達を交通整理してくれ、３時間も前からここの場所を取っている、後から来て前に立っている人をどかしてくれ、それから始めるように」、すごいなァ、これは修羅場やなァ、それに時間から行くと太陽が真上、天気もよすぎる、白塗りのオネーさん達の撮影にはコンデションが悪い、その上に人垣の一番後ろ、背伸びをしてカメラを片手で持って思いっきり手を伸ばして、幸いな事にオレのデジカメのモニターは３６０度、回転できる、普通なら見当をつけて、メクラ押しのところを、モニターの角度を調整して、こんな恰好ででもモニターを見ながらシャッターが押せる、芸妓さんが１人、舞妓さんが３人、献花が終わると１列に並んで、右、真ん中、左と暫く写真撮影のためにポーズ、後ろの方の人から、「前の人、もうぎょうさん撮ったやろう、後と変わってくれ」、と声が飛ぶ、そんな事ぐらいで、場所を変わってやろうという奇特な人はいない、それに前の人も後ろに下がろうとしても、押し合いで動きが取れない、もう少し、しっとりとした雰囲気が似合う、「かにかくに祭」、だが。 ■「今日の言葉」■ 「 体調を気にする人は多いが不規則 な生活を反省する人は少ない 」 (自然社・平成１９年・新生活標語より）
Nov 8, 2007
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