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~ 天国からの贈り物 ~ 誰よりも大切な家族を亡くした日。 もう、生きる意味が分からなくて、死んでしまいたかった。 「...あの、結城刹那さんですか?」 絶望感に陥り、雨に打たれる俺に傘を差して、訊ねる声がした。 「...そうだけど、君は...」 「初めまして...お母さん...いえ、美奈さんから引き取られて、養女になった。姫乃です。」 突如、現れた彼女は、僕にとって救いの天使で、彼女に一目惚れした。 しかし、彼女は、母が引き取って、一緒に暮らす筈だった義妹だという、なんたる運命の悪戯。 好きになった人は、義妹でした。 それから、一年が経ち... 「...ただいま。お兄ちゃん!お店、手伝うね!」 学校から、帰ってきたばかりの義妹の姫乃は言う。 僕は、養女となったばかりの彼女を、母の代わりに引き取り、兄妹二人で、生活を始めた。 ずっと、一人っ子だった僕の憧れだった。最愛の母を失った代わりに、素直で、優しい妹が家族になった。 しかし、可愛い義妹に恋している。棄てなくちゃいけない感情なのに、彼女を女の子としてみる自分がいた。 俺は、大学で、経済学を学びながら、母が残した喫茶店の切り盛りをしながら、姫乃を養っている。しかし、学校に行っている時は、母の弟の夏樹叔父さんに手伝って貰っているのだ。 「...叔父様。もう少し、待っていて下さいね。すぐに、荷物を置いて、戻って来ますので...」 セーラー服姿の姫乃が言う。 「姫。良いから、上でゆっくり休んでいなさい!」 「...でも、こっち、大変そうだから、手伝うわ!」 こんな風に気を利かせてくれる義妹に、感謝しつつ、正直、あまり店に出て欲しくないのだ。 「大丈夫だよ。姫は、勉強とか、自分の好きなことをやりなさい!」 そう言って、彼女を上に行かせた。 僕のエゴだ。 そんな姿を毎回、見る叔父さんは 「過保護だね!あれだけ、可愛いと確かに心配だな!」 ニヤニヤしながら、楽しそうに言う叔父さん。言いたいことは、解ってる。だけど、穢れを知らない天使の様な義妹を、他の誰かに触らせるなんてごめんだ。 時々、店の手伝いをする姫乃は、とても人気があり、ここいらの男子学生の心を鷲掴みするほどの人気。 「...姫乃さんは、いないんですか?」 そんな一言に、一睨みし、目を光らせる。 「...刹那お兄ちゃん。」 こう呼ばれる度に、罪悪感に駆られる。“お兄ちゃん”と言う言葉が、彼女と僕を繋ぐ鎖で、家族の絆。だけど、そう呼ばれていなければ、理性が吹っ飛んで、彼女を穢してしまいたくなる時がある。 店が、終わると次の日の仕込みに勤しむ。 「...お兄ちゃん。お疲れ様。コーヒー、淹れたから飲んでね♪」 彼女の労いの言葉が日々に癒される。 「ありがとう。姫乃、もう遅いから先に休みなさい。」 「...お兄ちゃん。もう少し、ここにいちゃダメ?」 こんな風に、可愛く言われるとダメと言いづらくなる。 「ん~。...もう少しだけだからな!」 「うん。」 彼女の表情がパッと明るくなり、嬉しそうに笑う。 彼女の何気ない笑顔を見る度に、胸が熱くなる。 「...お兄ちゃん。私、ずっと、この家にいていんだよね?」 何を思ったのか、そんなことを言う。 「...まあな。だけど、何時かはお嫁に行ってしまうだろ。真っ白なウェディングドレスに、身を包む姫は、きっと綺麗だろ。お兄ちゃんは、ちょっと寂しくなるな。」 誤魔化しながら、言うと、彼女は頬を膨らませ、怒りながら言う。 「お兄ちゃん!気が早いよ!私は、ずっと、この家にいたいよ。やっと、私の居場所を見つけたんだもん!お兄ちゃんのお嫁さんになりたいな。」 飲んでいたコーヒーをふいてしまった。 「...ケホ...ケホ...。...馬鹿なことを言うな。俺だって、いつ、可愛い彼女が出来て、その娘と結婚するかもしれないだろ。妹なんだから、結婚出来ないよ!ほら、もうだいぶ、遅いんだから!もう、寝ないとダメだろ!じゃあ、お休み。」 無理やり、上にやった。 「...全く。とんでもないことを言いやがって...」 と呟きながら、内心、嬉しかったりする。 だけど、血の繋がりは、無くても、母が残してくれたたった一人の家族だから、好きになっちゃいけない。 「...刹那お兄ちゃんの馬鹿。...私、本気だよ!」 階段を登りながら、呟いていたことなど知らずに、仕込みをしていた。 何事も無かったように、互いに暮らしていた。 もうすぐ、母の一周忌であり、母の日が近いことを思い出し、店が終わった後、その話をする為に、台所に来るように呼んでいた。 「...話って、何?」 「...母さんの一周忌なんだが...」 そう切り出し、どうするか話し合った。 結果、ごく親しい身内だけで、一周忌をやろうと言うことになった。 身内と言っても夏樹叔父さんくらいだ。祖父母や親戚は、姫乃の存在を疎ましく思い、養女として拒否した。しかし、法律的な手続きは、済んでいて、この時は、まだ中学生だった彼女の居場所はない。親戚達の反対を押し切り、彼女を義妹として、引き取り、育ってきた。 店のことや彼女の将来のことを考えれば、働いて養っい、進学を諦める選択肢に迫られていたのだが、夏樹叔父さんだけは、味方し、店のこと、姫乃の保護者の役割を買って出てくれた。 叔父さんは、売れっ子小説家で、その傍ら、店を手伝ってくれている。叔父さんは、進学するように薦めてくれた。迷ったが、店を経営する為の基礎知識を得る為、大学の経済学部に、進学したのだった。 夏樹叔父さんは、言わないが、姫乃に恋しているのに、気付いていると思う。 小説家だけあって、観察力が優れている。 だけど、このことを言ったら、僕は、義妹と離されてしまうんじゃないかと思うと怖くて、言えない。今は、彼女が僕の傍で笑う日々が続くことだけを願っていた。 しかし、神様は、こんな、一時の幸せすら、許してはくれないのか......? それは、母の日と母の命日まで後一週間を過ぎた頃だった。突然、嵐が舞い込んだ。 それは、夕方、丁度、学生達の帰宅より少し早い時間帯で、今し方、客は帰り、静かになった所だった。 玄関の鐘がなり、お客様の来店を意味した。 「いらっしゃいませ!」 「...あの、こちらに、結城姫乃がいると聞いたのですが...」 お客様は、注文よりも義妹について聞く。動揺して、言葉が出ない僕に代わり、叔父さんが訊ねた。 「...そうです。失礼ですが、どちら様でしょ?」 帽子とサングラスを外し、女性に、僕達は驚いた。 そこにいたのは、大物女優の杉崎陽菜乃。 「...杉崎陽菜乃です。姫乃の母です...。」 突如、現れた義妹の実母。なんとなく嫌な予感がしていた。理由は、分からないけど... 予感は、的中してしまった。 「...姫乃を引き取りたい?!何を仰っているんですか。貴女は、彼女を天涯孤独な人生を歩ませておきながら、今更、引き取りたいなんて...!!」 怒りに満ちていた。 「...刹那。止めなさい!杉崎さん、色々、あったのでしょう。しかし、刹那は、甥は、だった一人の家族を亡くして、絶望の淵に追い込まれました。しかし、姫乃ちゃんが、姉の養女になって、生きる理由を見つけたんです。姉が残した喫茶店を経営する片手間、姫乃ちゃんを学校に行かせ、必死にやってきたんです。そりゃ、まだまだ子供で至らない所ばかりで、周りの大人の力も借りていますが、私は、立派だと思います。家族になるのに、約一年。甥は、一人でやってきたんです!その努力を簡単に、引き取るの一言で終わらせるのは、酷くありませんか?それに、姫乃ちゃんの意思もありますし、少しお時間を下さい!」 叔父さんが、猶予期間を設けて貰った。 暫くして、彼女は帰って行き、俺は、頭の中を整理、出来ずにいた。 「...姫乃ちゃんを母親の所に戻すのが、正しいのかもしれない。しかし、彼女の意思を無視は出来ない。話し合う必要があるな。」 叔父さんの言葉が、耳にあまり入らない。 愛している 君だけを... この胸に君の笑顔を刻み込みたい だけど 君は愛してはいけない 僕の義妹 可愛い義妹 君を失いたくない だけど 許されない 何事もなかったように、仕事をする。 いつものように何も知らずに帰って来る君に、実母の訪問、そして、引き取ると言う話をしなければいけない。だけど、いつものように笑うので、精いっぱいで、名を呼ぶ時でさえ、いつもより愛しさが込み上げ、涙が零れ落ちそうになった。 彼女が上に行ったのを確認した叔父さんが、耳元で言う。 「...さっきの話だが、やっぱり、俺から話そうか?」 「...いえ。僕から、言います。もう少し、時間を下さい!」 そう言った。そうは、言ってももう気持ちは決まっている。 “不謹慎かもしれない。君と家族じゃなく、一人の女の子として好きになって良いチャンス。だけど、また、家族を失い、独りぼっちなるかもしれない。二つの想いに揺れている。だけど、姫乃を想うだけで、胸がいっぱいになる。義妹を好きになって良いのか?君を愛して良いのか?何度も頭の中を駆け巡る。...姫乃、好きだよ。君は、僕が義兄でなくなるとしたら、どう想う?君に恋する気持ち、許されるかな?” 仕事が、終わると姫乃がコーヒーをもって来てくれたので、あの話をするきっかけを作ろうとした。 「...姫。次の休み、空いてるか?大事な話があるんだ。時間をくれないか?」 何も聞かずに頷いた。何かあると勘付いていると思うが、了承してくれた。 ーそれから次の土曜日(母の日の前日) 友人から貰った水族館の割引券を持って、初デートに出掛けた。 「わぁ!大きな水族館!お兄ちゃんの友達に感謝しなくちゃね!イルカさんとか、ペンギンさんとかいるかな?」 とても喜ぶ姫乃。今日の服装がいつも以上に可愛い。白いカーディガンに、花柄のワンピース、胸にコサージュ、カチュシャで、どんな女の子よりキラキラ輝いている。 これが彼女とデートだったらと思う。 「お兄ちゃん?行かないの?早く行こうよ!」 無邪気に言いながら、腕を絡ませ、引っ張っていく。 あまりの可愛さ、甘え方に、鼻血を出そうだった。 「...お兄ちゃん!イルカショー始まるよ!急ごう!」 あっちこっち、周りながら、イルカショーに慌てて向かう。こうして、二人でどこかに出掛けるのは、初めてかもしれない。 イルカショーが始まった。 子供のように目を輝かせる。
May 31, 2009
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~ 嫉妬する心 ~ 何もかも叶わない 解っているけど 君が好き どんなに一緒にいても 君の心は いつだって 私にない 遠い空の下の恋人に恋い焦がれてる 間違った恋ですか? 遠い空の下にいる人に いつも 嫉妬心が 溢れ出す どうしてなの? 涙が止まらない 君が好きで 堪らない 君が想う人になりたい その人が羨ましい 君が呼ぶ名に 嫉妬する snowの日記 今日は、また、昨日の小説の主人公の思いです。 今日は、先輩にまた、苛っとした。私の仕事の代番と言う割に、頼んだことをスルーし、やらなそうなので、自分でやりました。 自分でやらなっきゃと言ったのに、最近、そんなのばっか! 仕事の掛け持ちは、しょうがないとは言え、やって欲しいことはやらないで、放置。 洗濯物も休み前に干した物が残ってたり、ちょっといい加減な癖に、人に文句だけは一人前で、苛っとした。 私の先輩と代番の先輩を比べちゃいけないとは思うけど、酷過ぎます! 今日も苛っとした。
May 31, 2009
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~ 偽りな関係 ~ ずっと 望んでいた だけど いつかは終わる関係 その瞬間が 一分一秒でも長くありたい 貴方のくれる笑顔が 今だけは 私に向けられる それが たとえ偽りでも良い 貴方といられるなら 偽りの恋人 どうせ手に入らない あの人が帰るまで 続く関係 永久に続いて 欲しい 偽りの関係 最後の幸せ snowの日記4月分を今、作っています。今日は、お母さんが午後からお出かけでゆっくりしています。仕事もバタバタ、また始まりました。もうすぐ夏なんで、楽しみです。
May 30, 2009
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~ 歩み寄る心 ~ 世界が 怖かった 広がる世界 見れば見るほど 憧れ 手を伸ばすこと 躊躇う 初めは 怖かった人も 時間と共に 歩み寄る心が生まれる 知りたい でも 怖い そんな私の世界の色も 目を開いて 歩めば 心が生まれ もっと近付ける 怖くても 迷っても 望み 歩み寄れば 明日も変わる 君がいるから もっと歩きたい 歩み寄る心 貴方の世界に 一歩一歩 歩んでいく snowの日記 今日は、ずっと苛々していました。その衝動とかで、買いまくり。ダイソーのアクセサリーを作ろうと思いました。 で、サッシュとか買ったりしちゃいました。 バーベキュー、仕事は終わってからちょろっと焼きそば貰ってみました。 出れなそうで、ガックリしていたら、会社のおっさんに絡まれ、ちょろっと参加しました。
May 29, 2009
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~ 初恋 優しい痛み ~ 早く知りたかった 甘く 切ない痛み こんなに積もるなら想い 知らなかった 君が誰よりも 愛しくて この手に残る温もりすら ずっと 残ること 願う だけど 君はもう手の届かない人 甘く 優しい痛みが胸に広がる 目を閉じれば 君を想い出す 辛い恋なら 知りたくなかった どうして?と何度 問い掛けても 胸の痛み 君への想いは消えない 今なら言えるよ 君が好き 君が初めての恋した人 snowの日記 難しいな。 今日は、本当に寒い。明日、バーベキューをやるらしいです。で、呼ばれたんで、仕事が片付いたら、行ってみたいと思います。
May 28, 2009
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~ 永久の祈り ~ 誰よりも好きな方 この腕から すり抜けていく 温もりさえ 愛しい人 名前を呼ぶ度に 笑うあの方 だけど 愛してはいけない人 誰にでも 優しくて 本当に 本当に大好きな方 たとえ離れても 永久に願う 大切なあの方が幸せでありますよう 私の大切な人 あの方が幸せなら 後悔なんてしない だから 逢えなくても 永久に祈る その笑顔 続くように snowの日記 髪が傷んでいて、ショック。ダメージヘアなんで? 今月もあと僅か。 来月はどうなるかな。
May 27, 2009
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何か、青年が偉そうだし、水神様と巴様の御子息の名と同じだなと皆、思っていた。 「...薄々、気付かれているかと思うが、氷月様は、水神様の御子息である。彼もこの名を聞いて、耳を疑った。『氷月様?でも、まさか...。水神様の御子息様であられるんですか?』青年は、もんくでもあるのかと言わんばかりに、返答すると、彼は嘘であって欲しいと思った。驚きを隠せない。『九条辰徳様。お願いがあります!私に変わって、北条家で亡くなった方を供養していただけませんか?私は、実体を持たない幽霊です。そして、地上に足を運ぶことすら許されません。私が歩き、触れてしまえば、その地、その者は、穢れになります。どうか、私に代わって、供養していただけませんか?』突然、そんなことを言い出すから、困った。『君は、北条家の人間なのか?』娘は、ニコッと笑い『はい』と答える。戸惑いを隠せない。『私は、北条鈴乃。邪悪なことを企み、我が力を手にしようとした邪神の花嫁にされかけました。私が拒絶をした為に多くの者の命が奪われ、この体も奴に触れられ、穢れを知りました。どんなに洗い流そうと、この匂いは消えない。しかし 、奴は完全に我が力を得ることは出来なかった。』と言った。」 彼女は、あの娘か確信に迫っていた。 「穢れと聞いた彼は、何も言えなくなった。『辰徳様。貴方様を殺せば、巴様と水神様の絆も途切れ、互いの一族を滅びに導こうとしていました。それとこれを貴方様に...』娘が言うと氷月様が白い布に大切に包んでいる物を渡した。『我が鈴乃を助け、天上界の住人にした。母様と違って、こいつは、現世から、魂を切り離され、穢された。聖なる力を宿す者の体に触れれば、そこから、広がり、全身が穢れていく。そなた達の約束は、穢れを知らない者同士でなければならかったはずだ。鈴乃は、そなたと婚礼を果たした末にこれを一緒に納めるはずだった。しかし、その約束を果たせなかった。これに触れられない鈴乃に代わり、我が渡す。』その布の中には、丸い鏡。九条家が持つ物は、剣。二人が納めるべきはずの場所には、マガ玉がある。これは、三種の神器と同じ様な物だが、流月様と巴様が作った絆の証で、神の末裔として、それぞれ、持っていた。だから、二つの一族が交わる時、儀式で、使われる。『君は、やっぱり、あの時、私を助けてくれた娘で、私の花嫁になるは ずだった者か...。』辰徳様は、悲しそうに、言うと彼女は申し訳なさそうな顔をした。『皮肉だな。』」 初めて好きになった人は、幽霊として、再会するなんて、夢にも思わなかっただろ。 「皮肉と言った辰徳様は、優しい眼差しで見つめる。『私は、一族の役目を果たせなかったばかりではなく、仕えてくれた者達まで、傷付けてしまった。だから、あのまま、消滅しても構わなかった。だけど、氷月様が助けていただいた命だから、一生懸けて、恩返しするつもりです。辰徳様、貴方様は一族の為じゃなく、自分の為に、幸せを掴んで下さい。』笑いながら言う。『...氷月様。どうしても、もう戻ることは出来ないのですか?』問い掛けるが、答えは分かりきっていた。『当たり前だ!本来なら、人間に干渉し、助けた時点で、重罪なんだ。色々、手続きが面倒なんだ。そなた達は、いつしか、神を祀る意識すら薄れている。だから、助けた代償とし、神の捧げものとして、我の花嫁として、生きてもらう契約を交わした。だから、もう無理だ。』それは、恋を失ったことを告げる瞬間であり、彼は苦しそう。鈴乃さんは、泣いていた。『私は、生かして貰った代わりに、生涯懸けて、仕え、一族の繁栄を願います。だけど、貴方の花嫁になれなくて残念に思います。私が自ら 、買って出た役、結局、果たせませんでしたね。』」 酷い神様と思うかもしれないが、衰弱し、今にも朽ち果てしまいそうな彼女を助ける為には、最良の手段だった。 「『彼女の一族には、この話はもう...』苦し紛れの質問。『まだだ。やらねばならないことが、山積みだからな。』と氷月様は言う。『辰徳様。私は、あの者を封じ込めて、死ぬ覚悟はとうに出来ておりました。衰弱し、瀕死の状態である私を助け出し、封じ込めていただいたのです。だから、氷月様を責めたり、ご自分を責めないで下さい。そして、花嫁になるか、そのまま、死を選択するか選ばせていただいた結果でございます。私は、貴方様にずっと憧れ、貴方様に仕えることを夢見てきました。辰徳様は、私の初恋の方です。どうか、幸せになって下さい。貴方様が好きでした。』死んでから、彼女の顔を見て話し、好きだったと告げられ、もう逢えなくて、他の者の花嫁。なんて酷なんだと思った。だから、彼女を愛したことを忘れないように、そっと、唇に触れ、離した。『...ごめん。だけど、これだけは、憶えていて欲しい。君が花嫁で良かった。もっと早くに出逢いたかった。そして、もっと早く君を好きになれたら良かったのに...。氷月様。絶対に幸せにし て欲しい。約束は必ず果たすよ。』」 物分かりの良い青年と皆は思った。 「彼は、本当に辛かったと思う。流月様は、約束した。辰徳様には言わなかったが、鈴乃さんに同じように一目惚れした。権威を振ることを避け、誠心誠意、神として出来ることはやった。しかし、若干贔屓目だったかもしれない。鈴乃さんは、母の面影が見えるくらい似ていたらしい。だが、決して、言わなかった。彼女を連れ、帰り、夢から覚めて、枕元には、夢で見た鏡が、桐の箱に納められていた。『...夢じゃない。ちゃんと、返還しよう。そして、君のことをちゃんと告げるさ...。』彼は、自分では気付いていないのか、判らないが、涙が自然に溢れ出していた。胸にシコリの様に痛みが残り、消えない。彼女がいないんだと実感すればするほど、胸がいつまでも痛み、思い切り、泣き叫んでしまいたかった。心を落ち着かせ、正装に着替え、身支度を整えて、置き手紙だけを残し、北条家に向かって馬を走らせた。彼には、似つかわしくない花を持ち、やって来る。馬を走らせながら、彼女のことばかり考え、胸がいっぱいになっていた。北条家に、突然の訪問に、北条 家の方々は驚かれたそうだ。北条家の姫との結婚についての苦情じゃないかと、ビクビクしていた。本当は違う。」 ある意味、鏡を返さない方が、九条家は、得をするんじゃないかと思った。 「お茶を出された。直々に、当主に面会。彼は、桐の箱を取り出し、渡した。『今日、私が参った理由は、ある姫君から供養のお願いとある物の返還を求められ、陰陽師、九条辰徳として、参りました。』当主もやはり予想外の言葉にポカーンとしていた。『こちらの箱には、嫁入り道具の一つとして、持って行かれたと思われる、鏡が入っております。』箱を開け、中を見せると、驚いていた。『どうして、それを...?!』『夢で、神様と姫君からお願いされました。本当の話とは、信じがたいでしょ...。しかし、現にこれがある限り、私は約束を果たす義務があります。どうか、お受け取り下さい。』箱を差し出した。『ありがとうございます。我が家の家宝でもあります。ですが、何故、返すのですか?貴方様が持っていれば、得にもなるでしょうに...。』返還されたことに驚きを隠せない。『私には、持て余す宝。姫君の純粋な優しさに、水を差すことは出来ません。今回の件、誠に残念に思います。しかし、九条家と北条家は、これで絆を断ち切れると思いません。で すので、これからも末永くお付き合いを出来ることを祈っております。』」 辰徳様の真っ直ぐさに、良い人と感心。 「こうして、役目を終わったのだが、この事態を知った北条家の当主達に、後に叱られることになったが、悪びれることもなく謝罪。中には、持って置けば良かったのにと欲深い者の発言を聞いた。それに対しては、ハッキリといけないと告げた。彼は、そのことで後に蔑まれることになったが、後悔はしておらず、自分の信じた道を貫いたそうだ。彼が訪れてから数日後、氷月様から、謝罪文と花嫁として娶ると言う話がいったそうだ。これには、九条家の者達は、嫉妬したそうだが、辰徳様は、慣れない舞を毎日、練習し、彼女を祝福しようとした。それから後日、約束通り、亡くなった者達の供養と埋葬を丁寧に彼は行った。北条家に贈られた手紙と同じ様な手紙が、辰徳様にも届いたので、正装し、指定された場所に行く。北条家の人ばかりの所に、一人でやって来たから、視線を感じたが、長である当主は、中心に招き入れた。笛で、歓迎し、現れた二人に、皆が涙ぐんだ。姫君の花嫁姿を見た両親は、思わず抱き締めようとしたが、辰徳様と氷月様が制止した。『触ってはいけません! 』酷いと言ったような顔をしたので、すかさず辰徳様が説明を行い、理解して貰った。」 家族に再会したのに、抱き締めて、再会を喜べないのは、非常に辛いと思った。 「北条家の姫君は、本当は、九条家に嫁ぐ際に述べたことを、述べ、そして、辰徳様に笑い掛け、『ありがとう』と告げた。この婚礼が終わった後、もう彼女達に逢うことなく、北条家はやっぱり自分達が、水神様と生粋な繋がりを持つ一族だと騒ぎ出したので、当主達もその言葉を禁じたのだが、九条家が耳にするのは遅くはなかった。そのせいで、多くの者達が、彼を非難し、裏切り者など追い討ちを掛け、切腹をすることになってしまった。そのことを知った北条家の姫君は、助けて貰った命を捨てでも、彼を助けようと氷月様との約束を破ってまで行ったが、間に合わなかった。泣き崩れ、まだ息のある彼を腕に抱え、抱き締めた。しかし、これは罠だった。封じた筈の大蛇は、小さな欠片となって、人々の欲や憎しみ、怒りに紛れていた。その憎悪心から復活し、彼女を再び、手に入れた。しかし、この事態を知った氷月様は、自分の迂闊さに悔やみ、再び、彼女を助けようとしたのだが、彼女は、何度でも復活する大蛇を自分ごと封じることを願った。氷月様は、許したくはなかったが 、選択肢はなく、封じることにした。辛い選択肢だった」 最悪な結末に涙が止まらない。 「氷月様は、自分の無力さを知った。絶望する彼の前に、水神様で、父神様である流月様が現れた。そして、無惨な姿を残した九条辰徳様の亡骸と残っていた北条家の姫君の亡骸と欠片を次の世で、幸せになれるようにと埋葬した。人形の様に絶望した息子を抱き締め、言った。『もっと、強く優しい者になりなさい。』ただその言葉だけ。普通ならもっと言って励ますのだろうが、大切な人を失った悲しみを知っているからこそ、そう述べたのだろう。だが、彼はこう述べた。『こんな形で奪われた悲しみは、父上には解らないですよ。どうして、消えていくのだろう...』その言葉に父は、抑えていた感情が爆発し、頬を叩いていた。『綺麗事を述べているんじゃない!確かに、私は寿命だったが、巴を娶ったことにより、彼女に負担を掛け、後に混乱を起こしてしまった。私は、それでも、生きていかねばならない。だからこそ、人の痛みを知り、お前には、母さんの様に、強く優しい者になって欲しい。巴の望みでもあるんだ。せめて、犠牲になった者達の魂を今は安らかに眠りにつか せてやりたい。生きることは、喜びと悲しみは常に隣合わせだ。だから、生きて、命の大切さを知るんだ。』」
May 26, 2009
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~ 変わらないで ~ たとえ僕が 深い闇に堕ちて 光の下 もう歩けなくても 君は 僕がミツケた太陽 どんなに太陽を追い求めても 僕には 眩し過ぎて見られない 優しい太陽 まるで母のよう ミツケた大切な人 失くして 光を恨み 心を捨て 復讐する だけど 君は優しい太陽な人 こんな 醜い僕にも その手を差し伸べてくれるんだね とても 優しい君だから 逢えなくなっても 変わらないで いつも 心に君の姿 刻み ずっと 忘れないから 君だけは 変わらないで snowの日記 腰、肩が痛い。筋肉痛っぽい。 今日は、怪盗Rの想いです。 読み切りから連載に。だけど、更新できない。 でも、頑張ります。
May 26, 2009
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「...小癪な真似をしやがって...!」男は、そう呟くと術を力任せに解き、気が付いた樹さんが再び、拘束するよりも動きが早く、彼を凪払い、みー御婆様の元に行き、その場から離され、首を絞められた。絶体絶命の危機に、和樹お爺様は一人で立ち向かおうとした。「...みっちゃんを離せ!貴様の好き勝手にはさせない!」しかし、投げ飛ばされた。「...和樹ちゃん。」みー御婆様は小さな声で呟いた。“和樹ちゃん...。もう、護らなくて良い...貴方が傷付くのを見たくない。貴方に護られるだけじゃ嫌!だから、今度は私が護る!”近くにある刀を必死に手探りで探り当て、掴み、視線が逸れているのを確認し、背中に刺した。「...グワァ。」緩んだその隙に、逃げ、少し距離を取り、噎せながらやっとのことで、呼吸をし、男を睨み付ける。「...大丈夫ですか?!」樹さんは、駆け寄り、尋ね、かろうじて頷く。「...和樹ちゃんを傷付けるなんて、許さない!鈴乃さんをあそこに呼び出した理由は何?答えなさい!じゃなければ、貴方を今すぐにでも...」殺気立っている。温厚なみー御婆様から考えられない。だけど、男は馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに笑い飛ばし、苛つく。吐く気はないようで、みー御婆様は人が変わったように、男を斬り掛かる。「...鈴乃さん達を早く解放しなさい!」男は、面白いと言わんばかりに、ヒョイとヒョイと逃げる。まだ、痛みが酷く、ただ見ているだけしか出来ない和樹お爺様は、立てない悔しさと動けない不甲斐なさ、闘う彼女を止められず、護ることすら出来ない自分に苛立ちを感じる。みー御婆様は、鬼が取り憑いたのかのごとく狂気に満ち溢れた表情で、恐ろしかった。「...どうして、彼女は...」やっとのことで、立ち上がった和樹お爺様は言った。「...みっちゃん、怒っているよ。...知ってるかな?我が一族には、神隠しにあった姫君がいた。その姫君は、九条家に嫁ぎ、両家の縁を取り持つはずだった。姫君は、九条の次期当主に一目惚れし、自分からその役目を買って出たそうだ。しかし、婚礼の儀の日、神社に向かう途中で、濃い霧の為に、姫君を乗せた籠は止まって、霧が晴れるのを待ったそうだ。しかし、霧がもう少しで晴れそうな頃、その姫君の悲鳴が上がり、籠の中を周りにいた者が見たんだそうだ。しかし、そこに彼女の姿はなく、ただ、蛤の貝殻が一つ残されていただけ。慌てて、姿を捜せど、見つからない。」御伽噺の話をする中、みー御婆様は、刀を男の胸に刺そうとした。「...美雪様。お止め下さい!そんなことをしても、誰も喜びませんよ!」樹さんは、みー御婆様を止めながら、再び、術で男の体を拘束した。「...離してよ!こいつが...こいつが...」和樹お爺様は、いつの間にやら、みー御婆様のすぐ近くにいて、刀を取り上げ、鞘に戻し、彼女を抱き締めて言う。「みっちゃん。もう、頑張らなくて良いんだよ。みっちゃんが傷付いたら、皆、悲しむよ!鈴乃さんだって、巴様だって、望まない。俺は、そのままの優しい君が好きだから、頑張らなくて良い。」「...私、護られてばっかりで、もう嫌だよ。和樹ちゃんが傷付くのも、他の誰が傷付くのも、嫌だよ!無力なのは、怖いよ...」泣き出しそうな彼女を強く抱き寄せ、言った。「...無力じゃないよ!みっちゃんの優しさに助けられ、みっちゃんの笑顔に癒されてる。だから、もう一人で背負い込まないで!大丈夫だよ!傍にいるから。」「和樹ちゃん...」今でも好きあっているような二人に、さっきから、胸がチクチクと痛む咲御婆様。気が付かない内に、嫉妬の心が大きくなっていた。“ミツケた。”恐ろしい声が響いた。咲御婆様にだけ聞こえた。次の瞬間だった。術で縛られている筈の男は、姿を変え、咲御婆様に忍び寄っていることを誰も気付かない。「...キャーッ!」その悲鳴と共に、みー御婆様達は離れ、声のする方に振り返った。目の前に、黒くて、不気味なオーラを放つ蛇が襲い掛かろとしていた。みー御婆様は、いち早く、何なのか、正体に気が付いて、走り出すが、蛇はすぐ傍にまで来て、噛もうとしていた。咲御婆様は、恐怖のあまり、立ちすくんで、目を瞑った。しかし、来るはずの痛みはなく、変わりに、目の前で血を流す者がいた。「...卑怯者!咲さんに噛み付いて、体を乗っ取るつもりだったのね!...元々は、私が狙いでしょ...私を殺せば良い。だけど、あんたの思い通りにはさせないわ!」咲御婆様が一番、驚いていた。みー御婆様が咬まれながら、啖呵を切っていた。「...どうして...」投げ掛ける言葉に、ただ笑い、蛇に刀を振り下ろした。「...弱き心に漬け込み、人の心を操るなんて許さない!」蛇は逃げようとしたが、振り下ろされる方が早かった。「...これで、おしまいよ!」銅を真っ二つにされたが、まだ生きているので、完全に消滅させようとすると「...ククク。そんなことをして良いのか...?あいつ等が戻って来れなくなるぜ...」蛇は、負け犬の遠吠えと言わんばかりの負け惜しみを言う。周りは、焦るが、みー御婆様は、躊躇することなく言う。「...別に、貴方がいなかろうと変わらない。」「...待って、みっちゃん!本当に大丈夫なの?この蛇が言うように、まずいんじゃ...」和樹お爺様は、慌てる。「大丈夫よ!この蛇は、さっきの男が蛇に姿を変え、私達を脅そうとしているだけ。」「...どこにそんな根拠があるんだ。」蛇は言う。彼女は指を指した先には姿はない。「...あっ、いないわ!でも、椿ちゃん達は...」「さっきの男が言ったこと、憶えてます?こいつは、流月様達がいらっしゃると言った。私は、椿ちゃんの心の中に、巴様達が隠れていると言った。ついでに、流月様が贈った巴様の懐刀を持っている。つまり、この男が滅びようと、この結界は解かれているし、流月様達がなんとかすると思うわ。ただ、鈴乃さんの時間を止めてしまったのは、こいつと言うことは変わらない。」残酷なほど冷静に刀を刺し、術を唱える。誰もが、信じられないと言った表情で見ていた。特に咲御婆様は、誰よりも強く感じていた。そして、血を拭い取り、聖水を掛け、何かを呟いた。その姿は、さっきの鬼の様に、恐ろしい顔のみー御婆様ではなく、いつもの優しくて、慈悲深い、みー御婆様の姿だった。涙を零して、呟いた。「...鈴乃さん。貴女の仇を取ったよ。だから、今度こそ幸せになって...」いきなり糸が切れたのかの様に、ブッツンと意識を失い、倒れていく。「...みっちゃん?!」和樹お爺様は誰よりも早く駆け付け、倒れていく彼女の体を受け止めた。中心の結界が、さっきより、開き掛けていたが、これ以上は、手出し出来ない。だから、さっきの話の続きを話し始めた。「...みっちゃんは、気を失ってしまったようじゃな。さて、さっきの話の続きだが、鈴乃さんが行方をくらましたので、当然、結婚をさせない為の嘘とかと疑われた。その結婚式の日から、数日経ってから、彼女と一緒に神社に向かっていた従者達は、次々と原因不明な病に侵され、吐血、高熱、意識不明、死に陥ったそうだ。呪いだと騒いだらしい。残された貝殻を九条家の次男坊に渡したんだとさ。それから、不思議な夢を見たらしい。毎晩、黒くて、不吉な雰囲気を醸し出す蛇と、その近くで、着物の袖で顔を隠しながら、泣く女性を見たらしい。」貝殻を渡す方もどうかと思うが、受け取った九条の婿様も気があったのかなと聞いている人達は思った。「貝殻が夢は、夢が見せた誠かそれとも九条家の彼が、迎えられる筈だった花嫁のことが、ほんの少しでも気になり見てしまった幻か、定かではない。しかし、こう毎晩のように見る、女性の後ろ姿に泣き顔、そして不吉な予感をさせる蛇が出て来ることが、寝ても、覚めても気になってしょうがなかった。それから、北条家に相次ぐ、原因不明な病や病死と言う噂も耳に入り、神社の者で、陰陽師としては、解決しなくてはいけないと思ったそうだ。それに、嫁ぐ筈の花嫁のことも気掛かりであった為、自ら、調査を始めた。調べて行くと、龍脈が穢れ始め、いなくなったとされる場所には、ハッキリとした手掛かりはないが、その場所だけ嫌な感じがして、異空間に繋がる道の様な物が一瞬見えた。それから、何度も足を運び、探し回った。しかし、何も見付からない。諦め掛けたある日、突然、若い女性の声が聞こえた。『...逃げて...どうか御逃げ下さい。早く...』というような声だったそうだ。目の前に扉があり、若い女性の後ろ姿が見えた。何故、そんなことを言うのか解らない。そして、恐ろしい声が聞こえた。」皆は、もしかして、北条家の姫君かと思った。「『そこを退け!そなたが、私の花嫁になるなら別だがな。』彼女の目の前には、夢で見た蛇とそっくりな蛇がいるのが、見えた。『これ以上、誰かを傷付けるなんて、許さない!我が身は、何をされても構いませんが、私の大切な人達を傷付けること、許せない。そこの若い方。どうか、御逃げ下さい!この者の生け贄になる前に...。私は、もう現世に戻れない身だから...。どうか、どうか御逃げ下さい!』顔は見えないが、行方不明な姫君なのではと、彼は思って尋ねようとしたところ、彼女は扉を閉め『さようなら。お元気で...』と言葉を残していった。扉は消え、その後、病に伏せていた人達も、回復していったそうだ。しかし、彼は、腑に落ちない。やり切れない思いと陰陽師として、男として、目の前の女性を護れなかったことが悔しかった。だけど、いつもの失敗した時よりも胸が痛い。頭に、行方不明の花嫁の存在がチラつき、彼女の顔も、声も知らないが、初対面の彼女がもしかしたらと考えたら、愛しさと切なさが込み上げ、彼女を重ね合わせた。これが初恋で、彼女と最初で最期の出逢いだった。それから、夢を見なくなり、平穏な日々が続いたそうだ。」悲しい話だと思った。「...北条家の姫様はどうしたの?」「まあ、慌てないで!まだ、続きがあるんじゃ。九条家の次男坊は、不甲斐ない自分を責め、一緒、誰とも結婚せず、陰陽道を究めるつもりでいたが、彼の母君を筆頭に猛反対。彼は、九条家の長男に並ぶ程の美形で、世の女性が放って置かない。だから、早く身を固め、九条家を支えて欲しかったそうだ。あまりに落ち込むので、色々試してみるが、何も変わらない。皆がガックリする中、彼は夢を見たそうだ。彼の夢の中で、一人の仁王立ちした青年と顔はよく見えないが、綺麗な娘が立っていたそうだ。『おい!何だ。その情けない面は!そなたが何に悔やんでいるか知らぬが、ちゃんとしてもらわれねば困る。この娘だって、安心出来ないだろ!』偉そうで、訳が解らない言い掛かりを付ける青年に苛っとしたが、顔には出さないでいた。『...どうか自分を責めないで!貴方様がご無事であられたことが嬉しいのです。』娘が言うと、彼は何を言っているんだろうと思った。その娘をじっと見て考えた。『おい、時間はあまりない。言うことがあるんだろ!ささっと言っちまえよ。』青年が言うとハッとしていた。『すみません。氷月様。』娘は、青年に謝った。」
May 25, 2009
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~ 一途 ~ 誰が何と言っても 君しか見えない 一緒にいるだけで 幸せで ずっと 傍にいて欲しい人 ただ君だけを愛し 変わらないと 信じてる 離れても 僕には君しかいない 眩し過ぎる笑顔も 呼ぶ声も 全てが愛しくて 離したくない 君以外 この瞳には写したくない 君がいれば 何も要らない だから 離れても 信じてる 君と心 繋がっていると snowの日記 何かドッと疲れて眠かった。 夜は熟睡。朝は、まだ眠い。 先輩、ミスが多いらしい。疲れかな?
May 25, 2009
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~ 隠れた愛 ~ 愛しているなんて 簡単に言えない 貴方を 思い付く限りの言葉で 言い表せないくらい 愛してる 太陽の様に眩しくて 向日葵の花の様に いつでも この胸いっぱいに 貴方を密かに想ってる 口にすることすら 勿体ないくらい 貴方が好きで この胸が痛む 言葉に出来ないくらい 愛しているから 貴方を密かに想う たとえ 離れても貴方を想う 言葉では 言い表せないから ずっと胸に秘め 貴方を想う snowの日記 休みだけど、スッキリ寝れない。 毎日が苛苛する。カルシウム不足ではないけど、家にいるとお母さんのお小言が多くて苛々。 昨日の夕飯の味付けも味見して貰ったのに、嫌味だし。 そこまで言うなら、全部やってくれれば良いと思う。 ことあるごとに本当に家政科だったのかしらと言うけど、そんなに細かくやらないし、そんなネチネチ言わなくてもと思う。 ラジオは、時間がズレていて苛々。 妹はキレて、私に怒るわ、休んだ気がしない。 ストレス解消出来ないよ。
May 24, 2009
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~ 見付けて ~ 私は ここにいるよ 私は誰でもない 私 たった一人で良いから 私を見付けて下さい 暗闇に さ迷う心 見えない場所で 心は病んで 光を求め 足掻いてる だけど 何度も何度も 見た絶望 私の居場所なんてない 私の存在する意味 解らないよ そんな私だから 見付けて下さい 今にも 折れてしまいそうな心 誰かに 気付いて欲しい 自分から 口に出せないから 気付いて欲しい 私の寂しさを どうか 私に気付いて下さい snowの日記 遅くなりました。 洗浄に時間、掛かってしまった。 タイムカード、時間ギリギリに切りに行ったら、先輩が朝、押してくれなくて、出勤の表示。 朝、タイムカードを押してくれると言っていたのに、やられました。 最近、先輩は、こんなのばかりで、ちょっと苛苛してます。 責任を持ってやって欲しいですね。私もミスは多いけど、酷過ぎです。優先順位も解らなくはないけど、先にやらなければならない所はやってくれないし、私もいっぱいいっぱいで、まだ半人前で、不安定なのです。 期待されても、頑張れないのです。 今日の詩は、主に家や職場の立ち位置が不安で悩んでます。 褒められているらしいけど、私はまだまだ、半人前で、私の職場のお兄さんの足下に及ばないので、辛いです。
May 23, 2009
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~ 貴方に届かない想い ~ どんなに想っても 貴方は 私を見ない 私は空気のような存在 貴方のことを知れば知るほど 好きな気持ちが溢れていく だけど 貴方に想いは届かない 貴方の心は いつだって真っ直ぐ たった一人にしか向かない そのこになりたいよ 貴方の知らないところで泣いて 貴方に届かない想いを 消せたらどんなに良いのだろう 辛いけど 貴方に恋してる snowの日記 動物園に来ています。 エアコンのフィルターの汚れがすごくてびっくりした。 今日は、なんだかんだ言っても暑い。 半袖で動き回って、汗だく。 乾燥してます。
May 22, 2009
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~ 駆け引きの恋 ~ この恋に 未来なんて 望んではいけない 貴方の心 私には向かない 嘘でも 笑ってくれる貴方 そんな風に笑わないで 諦められなくなってしまう 貴方のことが ずっと好きだった 貴方が振り向かないかもしれない だから 貴方の心を私に向けさせる その為なら 涙も笑顔も 貴方に見せてあげる 駆け引きだらけの心 たとえ振り向かなくても良い 一瞬で良いから 私を見て その為なら 私は嘘を付く 貴方と私の駆け引きの恋 snowの日記 新ネタの主人公です。黒いです。 今日も何時もより30分以上オーバーして、仕事をした。疲れた。終わらないし、まずいよな。 先輩に何言われるやら...。 でも、頑張ったんです。 明日はお休みです。
May 21, 2009
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~ 君が残した繋がり ~ 君が 世界の繋がりだった 君は 太陽のような人 世界で ただ一人の僕の太陽 君がいる世界だから 生きてきた 君は もういない あの頃の様に 眩しい笑顔 もう 見られない 君を失うこと 世界との繋がり 失い 生きる意味 見付からない 記憶の中で無邪気に笑う君の姿 君がいない世界という絶望 こんなの要らない 君さえいれば良かった 君は ただ一つ 繋がり残した 小さな小さな光 残してくれた 君が残した繋がり 身近にずっとあった だから 君の残したもの これからも 愛していく snowの日記 今日は、なかなか仕事が終わらず、換気扇のネジは外れない。先輩は、余計な仕事を作ってたし、やりたいことは終わらないし。バスは遅れ、電車には乗れない。ありえない! プチ厄日? クレープ買ったら、バナナを渡されたし、あまり良い日じゃなかった。 明日も仕事いっぱいいっぱい。 牛のブラッシングは、私の役目みたいに言われたし。 試験が終わったばっかりで、慌てて洗浄や消毒をやらないといけないから大変だ。 いなくなった先輩はやっぱりすごいなと思う。 気遣いが出来て、困ると助けてくれるお兄さんだった。今、代番の先輩は、疲れ気味らしいが、もう少し、そのお兄さんの半分位で良いから心配りが欲しい。 仕事が上手く消化できないよ!
May 20, 2009
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~ たとえ傷付けても ~ 愛してる 言葉にするには 少し重くて 君への想いを その一言で終わらせたくない ずっと 触れていたい 君の笑顔やありのままの君に どうして 叶わないのだろう? ただ 幸せになりたいと願っただけ 君を愛することで 僕の生きる理由 軽々しく愛の言葉 もう 囁けないよ 傷付けて 泣かせることしか 出来ない僕を 愛しているなんて あの頃と変わらない瞳で 囁かないで 君を忘れらなくなる 傷付けても 君をまだ 愛している たとえ傷付けても この想いだけは 変えられない 愛さなくても良いから 君だけは 変わらないで 変わってしまった僕を 君は 愛してくれますか? snowの日記 大変、遅くなりました。今日の詩は、月の俊さんの想いです。 切ない恋の詩です。 まだ、wingは連載中です。 まだ、出てくるので、今後も宜しくお願いします。
May 19, 2009
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~ 記憶の中の声 ~ 逢いたいと願っても 君に もう逢えない 愛しいと想えば 想うほど 君の姿が鮮明に思い出される 零れ落ちる涙すら 今は愛しい 零れ落ちる涙なんて 俺には相応しくないと思ってた だけど 君を想う涙は 君をいつだって 愛していた 記憶の中の声 君が誰よりも愛しい 聞きたいよ 君の声 だけど もう聞こえない snowの日記今日は、友達と遊びに行って来ます。今日の詩は、風の国の姫の本当のお父さんの想いです。
May 18, 2009
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~ お父さん ~ 誰よりも怖くて だけど優しい人 誰よりも強い味方で 時に 厳しく いつも優しい お母さんの様に 口数多くないけど 私を護ってくれた人 ありがとう 言えない自分 心配しているけど 見守る 時に何か言って欲しい 言ってくれないと不安にもなる だけど 躓きながらも いつも見守ってくれるお父さん 誰よりも 頼りになって 誰よりも頑張っている人 そんなあなたの背中は 私の憧れ snowの日記 今日は、お父さんの誕生日です。 プレゼント代奮発したから、今月痛いな。 私のお父さんは、詩の通り、怒ると怖いです。でも、母よりは優しいです。ちょっぴり我が儘だけど。最近、お母さんに怒られてばかりで凹みます。時々、腹も立ちます。 お父さん、喜ぶかな?
May 17, 2009
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~ 君の為に ~ 機械仕掛けの音色 誰よりも 愛する君 子供の様にはしゃいだり 喜び姿 その姿が 愛しくて 君に惹かれた 君が 笑顔になってくれるなら このオルゴール 贈りたい 出逢った頃の笑顔みたいから 君の為に 作る優しいオルゴール 不器用だから 伝えられない想い 精一杯 想いを込めて作るから どうか 君だけの贈り物 受け取って オルゴールの君 snowの日記 オルゴールの職人の想いです。 難しいな。 また、八王子で風鈴とオルゴールを買いました。 風鈴の職人さんが覚えていらっしゃいました。まあ、2日前に来たしね。 今日は、贈り物で買いました。ひまわり柄で可愛いんです。 私のは、トンボ柄、この間のは、金魚柄なんです。 衝動買いし過ぎだな。 結構、気に入りました。
May 16, 2009
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~ 涙の願い ~ 貴方を愛してる ずっと 溢れんばかりの愛情を注いでくれる 愛しい貴方 甘い言葉 笑顔 全て愛しい 貴方と離れるなんて 考えたくない 今は 幸せだから 私が 貴方と離れることになっても 貴方の幸せ 願ってる 逢えないから 涙して 逢いたいと願っても 逢えない 寂しさで 泣いても 埋まらない 涙しても 願ってる貴方の幸せ 誰よりも 愛しい人 ずっと 愛してる 貴方だけを snowの日記 昨日、お母さんの機嫌悪く、怒られ、しかも、ゲームに、アニメ禁止になり、楽しみがない。 で、夕飯失敗で嫌味。 早く、寝ようと思ったら、カーディガンの袖の下が破けて、糸がなかなか解けず、いつもと同じ時間。 なんだかんだ言って、1日、遊んでいるように思えた。ストレスが溜まるだの言われたけど、私の方が溜まるし、家にいたくないな。 体調を崩すのも、嫌だな。インフルエンザの試験をやっているから、衛生管理に気を付けなくては。 今日の詩は、風の国の姫のお母様の願い。 悲しい話です。
May 15, 2009
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~ 夏の音 ~ 優しい風に揺られて チリン チリンと響く音 蒸し蒸しする夏も 風が吹く度に なる鈴の音 夏を感じる 優しい音色 涼しい音色 聴くだけで 夏が 待ち遠しい 夏の音 涼風な音色 風に吹かれながら 時々 風と一緒に奏でる 色とりどりのカラー 夏色に 染まりながら 風が歌い 夏に歌う チリンチリンと優しい風鈴の音 snowの日記 八王子のSOGOで、風鈴を衝動買いしちゃいました。可愛くて、感激です!
May 14, 2009
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~ 秘密の願い ~ 貴方は知らなくて良い 貴方が 好きだけど 届かない 届かないなら 願うだけ 私の大切な貴方が幸せであること 貴方は 馬鹿と言うかもしれない 言わない代わりに 貴方が 今より幸せにあること ずっと密かに願う 秘密の願い 貴方のこと この想い 伝わらなくて良いから 貴方の世界が 今より広がって 長く生きて 笑っていて 貴方が生きることが私の願い snowの日記 眠い。外は、肌寒い。 半袖、失敗だったな。
May 13, 2009
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~ 目標 ~ 今は まだ 辿りつけないけど いつか その場所に立ちたい そう 秘かに願いながら 今の自分を 見つめる 弱くて 投げ出してしまいそう でも 私を支えてくれた人がいる だから 夢を諦めない 今は もう離れて逢えないけど いつか 逢う日まで 支えてくれた人達は 私の目標 だから 今をゆっくり歩く snowの日記今日、動物園にいたお姉さんと再会をしました。びっくりしました。また、メールをしてみたいと思います。
May 12, 2009
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~ 最後の1% ~ 最後まで諦めたくない たとえ 無謀なことであっても 諦めたら 終わってしまう 夢も恋も 現実も 逃げないで 闘う勇気 鳥の様に 翼はないから飛べない それでも 負けない 描く未来が 光輝くように 振り返って 泣いて 嘆いても 最後の1%まで 望みを捨てないで 諦めたら 何も変わらない どんな過酷な運命でも 負けない 最後の1%まで 強く 真っ直ぐに snowの日記 暑かったな。 給料日、いつもより遅いし、前倒しにしてくれたら良いのに。 仕事の最後の方は眠かった。牛の背中で寝たくなった。
May 11, 2009
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~ 言えない恋心 ~ 一緒にいるから 言えなくて 誰よりも大切で 愛してた お日様の様な笑顔 君らしく いつも輝いてた 壊れるの 恐れて 言わなかった 君に ずっと恋して 君の名を呼ぶ時 いつだって 愛しさ 込み上げているの 隠して 君を護ろうとした だけど 君を愛すれば 愛するほど 臆病になり 君の優しさに甘えた ずっと 握っていたかった 君の手 もう許されない 愛してる でも 言えなかった この恋が 静かに終わるなら 胸の中に秘めて 恋心 終わらす 君は 振り向かないで 君は 誰よりも眩しいから 願わくば 永久に 隠す恋心 snowの日記 仕事、ちょー大変だった。 先輩にキレたくなった。 やりかけの仕事が多いし、雑だったし。私も人のこと、言えないけど、洗い物の山で苛々した。 ミニブタの所の掃除、暑くて、大変だったけど、可愛さに癒された。 今日が、母の日だった。勘違い。
May 10, 2009
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~ 欲しくない嘘 ~ 嘘 聞きたくないよ 誰でも 言い訳じゃない 君だから 嘘の言葉 欲しくない 周りに素直で 私の前で 偽る どうして 見せてくれないの 素顔の君を もっと知りたいよ 私には見せられないの? 偽りの言葉や態度なんて要らない ありのままの君を 見せてよ 嘘なんか欲しくない 君に夢中で 君しか映らない 安い言葉 傷付けない為の嘘なら 要らないよ 知りたいよ 君の想い 偽る為の優しい嘘なら欲しくない 君の素直な想い 教えて 大切な人 snowの日記 遅くなりました。 休みでしたが、かなり苛々した日でした。何かにつけて、言われ、何もやってないみたいにまで言われ、終わったことをネチネチ蒸し返され、すごいストレス溜まる! 休みで、ネチネチ、朝からネチネチ、嫌みとか言わなくても良くないですか? しまいには、妹には、傷付かないとか冗談混じりで言われ、その時、既に苛々してるのに。 私ばっかり言われてる気がする。 ああ、苛々する日だった。
May 9, 2009
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~ 願い桜 ~ どうか この願い叶えて下さい それは 叶わない願いでも 願わずにいられない 私の分身の様な花 あなたに打ち明ける 私の悩み あなたに言ったって 変わらない 解っていても あなたに願う 馬鹿と言われても 構わない ただ あの流れ星のように 叶えるのが 難しくても 一輪の花や蕾に 夢を見る 願い桜 この願い 叶えて下さい 叶わなくても 願う ずっと snowの日記 かなり失敗してしまった。 仕事、疲れた。頭がちょっと痛い。疲れかな? 朝は、自転車パンク、そして、バスは遅れて最悪だった。
May 8, 2009
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~ 歌姫の涙 ~ 忘れたいのに 忘れさせてくれない 失った恋 同時に失った信頼 色々 奪っていったのに 今更 何を求めるの 貴方と別れて 心 一度 壊れた だから この歌 貴方の為じゃない あの人に 贈りたい だけど 貴方は許さない また 心縛り付けるの? あの人を想う心あるのに 昔のように 呼ばないで 昔以上に 触れないで 貴方に触れられるだけで あの人への想いが罪悪感 どうして 私を苦しめるの? あの人に逢いたい だけど 貴方が触れた唇 貴方が付けた痕 消えない あの人に 嫌われるの 怖い あの人に対しての罪悪感が 涙に変わり 私を苦しめる 私は もう戻れない 何も 知らなかった頃に snowの日記 今日の詩は、指先シリーズの歌姫より! 明日、出勤になってしまった。ちょっと残念。
May 7, 2009
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「懐かしむ?他には?」神様達の表情が変わった気がする。「...私だけなんですが、とても懐かしい感じがするんですが、逢ったことがないんです。でも、知っている感じがします!あっ!それと刀に触れた途端に頭を押さえ、苦しみ出しました。それで、辰之介様と...」さっき、喧嘩したことを思い出すと悲しくなった。「喧嘩しちゃったかな?大丈夫だよ!きっと、心配しているはずだから、そこまで、案内してくれるかな?」頷いた。「...あの、ありがとうございます。...あの懐かしい感じは、氷月様と似ている気がして、ほんわかしているんです。鈴乃さんは、記憶喪失みたいなことを言っていたので、もしかしたら、巴様...」「っし!少し、黙っててくれたまえ!」言い掛けた言葉を制止し、氷月様は言う。ちょっと話し方に苛っとしたが、抑え、何か音が聞こえてきた。「...そうだ。彼女と出逢った時、鈴の音が聞こえました。」思い出し、小さな声で囁いた。「そうか。今は、鈴の音ではないようだね。どちらにしても、ここは危険地帯であることには違わない。慎重に動かなければならないね。彼らにも危険が迫っていると不味い...」そうここは決して、安全とは限らない。言われて、冷静さを取り戻した。よく考えれば、判ることなのに、私は感情のまま、走って来てしまった。「...どう行くにしても、手探り状態だな。よし...」そう、氷月様は呟きながら、何やら呪文の様なものを唱えた。暫くすると、彼は小さな声で、私達に仰った。「周りを透明化し、最小限、音を無くした。慎重に出来るだけ早く進むぞ。」そう言って、足早に、でも、慎重に歩き出した。それからすぐ、悲鳴が上がった。「...キャーッ!」それは女性の悲鳴だった。何か良からぬ事態が発生したのではと、私達は顔を見合わせた。流月様が、何か取り出し、呪文の様なものを掛けていた。そして、船の形をした箱が現れた。「...さあ、これに乗りなさい。これは、私の力で出した乗り物だ。これで一気に向かおう。言われるがまま、乗り込むと、宙に浮かび上がった。水があるわけではないのに。そして、風があるわけではないのに、グングン、前に進んでいた。目の前で、起きていることは、摩訶不思議な出来事だから、誰に話しても信じては貰えないだろ。事実、私ですら、不思議な夢を見ているんじゃないかと思う気持ちに陥っていた。「...このまま、真っ直ぐかな?」頷くと、更にスピードを上げた。「...うわぁー」舟から落とされそうになった。後ろに転がり掛ける私をガチッと掴まれ、耳元で鼓膜が破れそうになるほど、大きな声で、怒られた。「馬鹿タレー!!しっかり捕まってなくてどうする!ッタク、これだから人間は...」そう仰った傍から、とても良い音の拳骨を喰らわされていた。「...痛っ。」「お前は、自分で静かにと忠告しながら、何で大きな声を出すかな?」小さな声で、流月様のお説教が始まった。ダラダラ、ネチネチ仰いながら「...ごめんね。急に高速に、スピードに上げて。危ないから、船に捕まっててね。」私には、優しい口調と笑顔なのに、息子の氷月様には、ずっとお説教ばっかり。しかし、叱られるようなことばかりしているなと、感じられる。で、フッと目を向ければ、ムッとし、こちらの視線に気が付くと、彼は「何見てやがるんだ!」と言うような目をしていて、恐ろしかった。怖いと思いながら、可笑しいと感じ始めていた。「...あの、流月様、氷月様。私、可笑しいと思うんです。」「何がだ?」「はい。私は、走って、あの場所にいましたが、おそらく10分から15分程の時間だったと思われるのですが...」私の行った言葉に、二人は可笑しいと思い始める。「...一向に逢わない。それに二人の姿が見えない。何だか、可笑しくありません?」「そうだね...。......これは、いつの間にやら、道を変えられている。椿さん。彼らを想って下さい!」「彼らを想う?こうですか?」お祈りをするように、手を合わせ、辰之介様達に逢いたいと願った。 「...シャン...シャン...」鈴の音がしたと思った次の瞬間、目を開ければ、船は宙に浮いたまま、目の前に、氷の世界が広がっている。そして、氷の中には、幾人ものの人達が、氷の中で人形の様に、飾られていた。辺りを見回すと、なんと!「...辰之介様!」その名を口走りそうになり、氷月様に、口を塞がれ、耳元で囁かれた。「...静かにしろ!罠かもしれないだろ?父様...」流月様の方を見ると別のことで釘付けになっていた。「...巴?」彼の目線の先にいたのは、蜘蛛の糸の様な物で、括り付けられている鈴乃さんだった。「...うう...あっ、辰之介さん...私は、また...マ...モレ...ナイ...」さっきとは、様子が違い、何だか壊れたカラクリ人形みたいだった。「...氷月様。あの人です。さっき、出逢った人!」「...マジかよ。だって、どう見たって...」信じられないと言ったような様子だった。「...巴!」自分で、静かにするようになった言った流月様は、抑えきれないと言わんばかりに、その名を呼んだ。すると、私達に掛けられていた。術が解かれ、実体がハッキリ写し出されていた。「...ミツケた!」恐ろしい声が、響き、振り返れば、よく見えないが、何か振り下ろされるのが、見えた。「キャッー!イャー!!」そこから先の記憶は残っていない。 ーIN 外界「...ここに二人が?」「はい。そうでございます。」樹さんは、一人で立ち向かおうとした所に、救世主として、みー御婆様、お爺様達がやって来た。「...かなり不味いわ。これの中に、別な空間が出来ているわ。......和樹ちゃん。椿ちゃんの笛を貸して、道を開くわ。開いたら、この刀で、切り裂いて!」暫く考え込んだ末に、出た結果は、意外なことで皆、驚いていた。「...この刀は巴様の懐刀。もう一本は、あの子が持っているから、大丈夫!きっと、護ってくれるはず...。やりましょう!」みー御婆様は促し、笛を借り、静かに笛を奏で始めた。澄んだ音色、優しく響き、ゆっくり解かれていく。解かれていく結界、切り目を入れようと、和樹お爺様が時期を見計らい、待機中。緊張し、手に汗を掻きながら、懐刀をギュッと握り締める。いつ何が起こっても良いようにと、周りで恵御婆様と咲御婆様、辰葵お爺様が待機して、準備万端だった。樹さんは、あらゆる敵から、中心にいる和樹お爺様、みー御婆様を護るべく、武器を装備し、構えて待ち構えていた。みー御婆様が、目で合図を出すと共に、和樹お爺様は、高く飛び上がり、結界の割れ目付近を目指す。風はざわめき、木々が揺れる。割れ目付近に到達したのを見計らって、次の指示を送った。笛の音色が、穏やかな優しい音色から明るく弾むように奏でられる。この音色こそ、決行の合図だった。合図を聞いて、数え始めて、時期を見計らう。「...1、2、3...せーの!」刀を高く振り上げ、勢い良く突き刺した。“どうか、二人が無事でありますように!どうか、二人を御守り下さい!”願いをこの懐刀に託し、弾き返されないように、押さえつけ、奥にもっと進むようにと力を入れた。周りで見守る者達にも緊張が走る。ピキピキと亀裂が入り始めたので、御婆様達が、何やら呪文の様なものを唱える。周りに、透明な壁が中心を全て覆うように、張られていく中、カラス達の大群が、こちらに向かって、飛んでくる。「...カァーカァー...」黒い羽が舞い落ち、何やらよからぬ気配を感じる。「そして、和樹お爺様に向かって、クナイが飛んで来た。「カキン...」「和樹様!大丈夫でございますか?」目の前に、クナイを弾き返した樹さんがいた。「...ああ、大丈夫だ。」「...ククク。人間如きが、我らの邪魔するとは、なんたる侮辱だ。」何もない場所で、宙に浮かぶ男が現れた。「...和樹ちゃん!気にしないで、早く開けて...じゃないとしまって、逃げ道がなくなってしまうわ!」みー御婆様が言うと、宙に浮かぶ男は、下を見て、見下すような目をしていた。「...確か、貴様は水神のお気に入りの娘!益々、美しくなったな!」普通に聞いていたら、この男は知り合い?何を言っているの?みたいな反応をするはずだ。現に、皆、そう思っている。「...相変わらず、お口は、達者でいらっしゃるのね!美しいとは言えない年齢よ。邪魔するなら、許さないわ!」睨み付ける。「あの頃より、気が強くなったな。益々、俺好みだ。俺の目には、狂いはなかったようだな。」男は、ペロリとしたので、ゾッと寒気を感じていた。関わりたくないと思うが、今は、作戦を成功させる為には、手段を選んでなんかいられない。再び、笛を手にし、吹き出した。「...貴様。何のつもりだ!どんなに足掻こうとも...」「パリン!」周りの壊れ掛けていた結界は、硝子が壊れるような音と共に、弾け形を崩した。「...あんたが何もか知らんが、これ以上、みっちゃんを傷付けるなんて、許さない!今度こそ...今度こそ、みっちゃんを命を掛けて護るんだ!」みー御婆様の前で、構え、護る姿勢を取る和樹お爺様。その姿を見た咲御婆様は複雑な心境だった。“大切なのは、解ってはいるけど...。私は...”「...咲ちゃん!しっかりして!椿ちゃん達は中で、闘っているのよ!」恵御婆様は、不安気な咲御婆様を叱咤した。「ごちゃごちゃ煩い奴らだ!良いことを教えてやろう。ククク...。今頃は、餌になっているだろ。ゆっくり時間を掛け、目の前で、調理されていく。ああ、なんて愉快なことだ!しかも水神のくせに流月達までいる。奴の命もこれまでだな。ワハハハ。」嫌な笑いをし 、皆がムッとし、怒りが増す中、みー御婆様だけは、違った。「そう。あの方が...」不敵に笑う彼女に誰もが、疑問を感じる。「...流月様達が簡単にやられるわけないじゃない!それに、椿ちゃんの心に隠れてる巴様と行方不明になった、鈴乃さんをダシに使って、お二方を呼び出したのは...。でも、貴方に何か屈したりするほど、弱くない。唯一、誤算があるから言っておきますが、巴様の懐刀を持っているわ!外と内で、その刀を使ったら、どうなるんでしょうね!」勝ってると自信を持っているような言い方をした。「何を馬鹿な...。?!何故、そんな物を...」みー御婆様と和樹お爺様の手に持つ物を見て動揺している。「巴様が覚醒するのも時間の問題ね!誰も傷付けさせないわ!私は、あの頃の私じゃないんだから!」彼女は、そう言うとまた、笛を吹き出した。すると男は苦しみ出し、逃げられないように、樹さんが術で、体を拘束した。「...な、何をした!」「~♪」更に音が下がり、男は苦しみ、ジタバタと足掻こうとするが、解けるわけもない。抵抗がなくなるのを見計らって、みー御婆様は、お爺様から刀を受け取り、目の前にいる木の化け物に勢いよく、刺しながら願った。“巴様。鈴乃さん。目を覚まして...。皆を...皆を助けて!どうか...どうかお願い!”
May 6, 2009
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夢だったら、良かったのに......どんな顔をして、あの人に逢えば良いの?誰にも、知られたくない。だけど、それは無理な願い 目覚めれば、見覚えある部屋にいて、男の人のシンプルな部屋だった。「...雛。目が覚めたか。俺は、まだ、仕事が残ってるから、学校に帰るけど、お前は、暫く家に泊まっていけ。母さん、後は宜しく!」「はい。雛ちゃん、ゆっくりしていって!そうだ!お腹空いてないかしら?」和巳お兄ちゃんのお母さんは、何か思い出したように言う。「おいおい。母さん、雛は目を覚ましたばかりだから、そんなに急かすなよ!」「そうよね。ごめんなさい、雛ちゃん。」おばさんは、しょんぼりする。だから、私はまずいと思い、否定する。「えっ、あの、大丈夫ですよ!私がお邪魔していんですか?」「良いのよ!我が家だと思って、くつろいで!」おばさんは復活した。「じゃあ、雛。また、あとでな!着替え、持ってきたから!それ、着ろよ。」「うん。ありがとう。」何で、着替えがあるのと言う疑問が上がった。和巳お兄ちゃんは、学校に戻って行った。私は、お兄ちゃんの部屋から着替えを持って、お風呂場に向かった。さっき、全力で走ったので、汗をかいていた。汗が服と肌にベッタリくっ付いて、気持ち悪さを感じていた。脱ぎながら、脱衣場の鏡の自分の姿を見て、嫌悪感を憶えた。白い首筋に、赤い花が散っていた。その場に崩れ落ち、さっきの出来事を思い出し、涙を流した。それから、何度もその場所を掻き消そうと擦る。擦っても、擦っても、消えない。穢れてしまったと思うと、汚いと感じられ、消えてしまいたいと思った。 風呂から上がり、人形の様に脱力感で、部屋に戻り、布団を被り、消えない事実に苦しみながら、声を殺し泣いた。 「...ただいま。あれ、雛は?」姿が見えないので、和巳お兄ちゃんは心配になり、おばさんに聞いた。「それが、お風呂から上がったみたいだけど、部屋に籠もりきりで、出てこないのよ。今、呼びに行こうと思っていたのよ!」おばさんがいると私の居場所を聞き、部屋に向かった。 「...雛。起きてるか?」恐る恐る、布団から顔を出すと「目、だいぶ腫れているが大丈夫か?母さんが心配してたぞ。」「ごめんなさい...。」「何か食べるか?」首を横に振った。「...どうして、泣いていたか、聞かないの?」そう言った私の頭を撫でながら言う。「聞かれたいの?雛は、言いたいことがあれば、時間が掛かっても言うだろ?辛いから話したくないんだろ?」この人は、私の涙の訳をいつだって、無理やり問い詰めたりしない。いつだって、優しくしてくれた。「...私ね。楠田...君に...」声を震わせながら、紡ぎ、首輪の赤い印を見せた。「...無理やりキスされて...舌まで入れられて、気持ち悪かった...屋上の壁際に...追い込まれて...」思い出すと怖くて、涙が止まらなく、胸が苦しくて、言葉が続かない。頭を撫でながら、抱き締めてくれた。「...大丈夫だ。雛に、もう手出しはさせない。」「...穂乃香に見られちゃった。...滝さんに逢えない...私、穢れてる...」その言葉に驚き、さっきよりも強く抱き締め、言った。「穢れてない。...滝が好きなのか?」「...うん。...滝さんと一緒にいるの楽しいの。だけど...」「...滝は、嫌いにならないさ。寧ろ、あいつと一緒に怒って、ボコボコにするだろ。滝達、いなくなって心配してたぞ。」「...えっ!?あっ、和沙からメール来てた。でも、なんて言えば...」「...二人には、適当に言っておいた。」そう言われ、少し安心した。
May 6, 2009
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~ 貴方が傍にいないと ~ 貴方が傍にいないと 寂しい 本当は どんな顔して逢えばいいか 解らなくて 迷っている 貴方との約束 信じても良いですか 貴方が好きなのに 傷付けた 傍にいないと 私でいられない ありのままでいたいのに いられない そんな私 嫌いよね? 逢いたいよ でも 怖い 貴方は 許してくれますか? snowの日記行って来ます。今日は帰国ラッシュかな?
May 6, 2009
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~ 満たすことの出来ない心 ~ 独りぼっち 怖がる僕を 君は 傍にいてくれた だけど 他人に交じるのが嫌で 一人 好んでみたけ やっぱり 独りぼっちは怖い 君が握ってくれた手 今でも 温もり感じるよ 君が呼んでくれた名前 ちょっぴり 照れくさかったけど とても嬉しくて 心温まったよ だけど 君はもういない 君の名を何度 呼んでも もう 応えてはくれない 君がいない日々は 独りぼっちより ずっと怖いよ 満たすことの出来ない心 君に逢えないから 僕の心 空っぽ 心の中 君との思い出がいっぱい 満たすことの出来ない心は 君が 誰よりも大切だった証 逢いたいと願っても もう逢えない snowの日記 寒いです。気温、下がり過ぎだよ! 今日の詩は、風の姫の本当のお父さんの想いです。 悲しい想いです。
May 5, 2009
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~ 満たすことの出来ない心 ~ 独りぼっち 怖がる僕を 君は 傍にいてくれた だけど 他人に交じるのが嫌で 一人 好んでみたけ やっぱり 独りぼっちは怖い 君が握ってくれた手 今でも 温もり感じるよ 君が呼んでくれた名前 ちょっぴり 照れくさかったけど とても嬉しくて 心温まったよ だけど 君はもういない 君の名を何度 呼んでも もう 応えてはくれない 君がいない日々は 独りぼっちより ずっと怖いよ 満たすことの出来ない心 君に逢えないから 僕の心 空っぽ 心の中 君との思い出がいっぱい 満たすことの出来ない心は 君が 誰よりも大切だった証 逢いたいと願っても もう逢えない snowの日記 寒いです。気温、下がり過ぎだよ! 今日の詩は、風の姫の本当のお父さんの想いです。 悲しい想いです。
May 5, 2009
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~ コンプレックス ~ 見た目も 性格も似ているけど いつも 選ぶのは あの娘 どうして 私じゃないの? 好きになる人ですら 私じゃなくて あの娘 私にあって ないものって 何? 誰か 一人で良い 私を見つけてください 私だけを見てくれる 誰かに出逢いたい 比べないで 私は私なんだよ 愛されたい 願わずにいられない あの娘より 劣っていても 私だけを見て いつか snowの日記かなり前に、姉妹で書いた小説ネタです。今日も仕事で、まだ眠いです。
May 4, 2009
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~ 二人の関係 ~ 好きと言いたいけど 関係が 壊れるの恐れてる 近くて 程良い距離 一緒にいられるけど 友達で 友達だけど 感情はそれ以上で 進みたい でも変わるのが怖い 君に 名前を呼ばれていたい 近くにいられるなら これ以上 望んじゃいけない もっと近付きたいよ 君好みの人になりたい だけど 近過ぎて 進めない 二人の関係 進むこと 恐れて 君に 密かに恋してる snowの日記 ミヤケ円先生の漫画が売ってるの知らなかった!(泣) で、買いました。 今、感動中です!
May 3, 2009
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~ 消えない願い ~ 君に逢いたい 解っているけど 心の中で 君はいつだって笑ってる 愛しくて 涙が溢れるほど 君に逢いたい だけど 逢えない 君を忘れようとしても いつだって 君の眩しい笑顔 小鳥の歌声の様に 優しく囁く声 可愛らしい声で 名を呼ぶ姿 忘れられない 誰よりも愛しい人 消えない願い 君に逢いたい 昔のように 君と一緒にいたい そう 願うことは罪ですか? snowの日記 今日は、山梨まで、芝桜を見に行きました。 富士山バックに写真を撮りました。 目的地に着いたのは、3時過ぎでした。 今日の詩は、風の国の姫の本当のお父さんの想いです。 逢えなくなっても、ずっと恋人をおもっている一途な人です。
May 2, 2009
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田邊君からメールや電話があったけど、全て無視してしまった。 それから、数日。何事もなかったように、振る舞うのだが、家では覇気がなく、抜け殻のようだった。 「...結花。大丈夫か?」 父に話し掛けられて、上手く笑おうとするが、笑えない。 「...無理に笑わなくて良いんだ。辛い時は泣きなさい。」 父の言葉に堪えていた涙が止まらない。 一つの恋の終わりを認めること、恋の重さを知った。忘れようと思った。 桜がもう散り、葉桜になり始めた頃、田邊君と廊下ですれ違った。ただ、それだけのことなのに、胸がギュッと痛む。 そして、ジワジワと涙が溢れ出し、座り込んでしまった。 “これから、何度もすれ違ったり、ただの同級生になるのに...。これじゃ、いけないのに...” 桜を見ると、また、更に切なくて、涙が溢れる。 「...大丈夫?」 振り返ると、そこにいたのは、今は、会いたくない人。 「大丈夫です...」 涙を拭い笑おうとした。 「...結衣さん。どうして、無理して笑おうとするの?」 地味で目立たない存在で、真面目な姿をした私を“結衣”と呼んだ。少し動揺したが、そんな風に見えない様に振る舞う。 「...私は結衣じゃないわ。田邊さんでしたよね?私が泣いたのは、ただ、目にゴミが入っただけです。」 こんな言い訳が通用すると思っていない。だけど、このまま、一緒にいたら、また泣きたくなる。 好きな人には、最後まで、綺麗な笑顔を見せていたいから... 「...嘘が下手ですね。貴女は、紛れもなく、大胆不敵な結衣さん。...いや、君は3年E組の杉本結花さん...。先生に信頼が厚く、生徒にも頼られる存在である杉本さん。君の名は...結衣さんじゃなく、結花さんなんでしょう?」 正直、ここまで言い当てられしまうと、返す言葉に困ってしまう。 「...ずっと、気が付かなくてごめん!......君なんだろ?中学の頃から、匿名希望で差し入れやメッセージカードをくれたのは...」 人魚姫の様に気付いて貰えないままの人生を送ると思っていたから、気が付いたことに、驚きを隠せない。 「...どうして、私だと思うの?私が結衣だって確証だってないんでしょ?」 また、泣き出しそうになる私をそっと抱き締めるから、ビックリした。 「...確証。そんなものは、初めからないよ。だけど、その無理して、笑顔を作るところや甘い匂いが、結衣さんで、差し入れしてくれたと思うのが理由だよ。」 彼の的確な指摘に返す言葉はないが、状況としては、訳が解らない。 「...優しくしないで!貴方には、日生先輩がいるでしょ!...私が結衣よ。だけど、貴方の彼女が戻るまでの偽りの恋人。好きじゃないと判っているのに、優しくしないで...」 “錯覚してしまうよ。優しくされると...” 突き放して、逃げようとしたが、彼が後ろから抱き締められたから、抵抗するが、彼の!一言に耳を疑った。 「...好きだよ。...流未さんより...」 「嘘...。私は、ただの嘘付きで、狡い娘。」 「だけど、素直な感情をさらけ出してくれる。......流未さん...また、フランスに戻るんだ。だから、俺も一緒に来て欲しいって言われた。だけど、嬉しい筈なのに、君が見せてくれた笑顔がチラついて、頭から離れなかった。流未さんより、いつの間にか、君を好きになった。...いや、中学の時からの応援してくれた匿名の人魚姫にずっと、逢いたかった。...やっと、見つけた。俺の人魚姫。君の想いにずっと、気が付かなくて、ごめん。...これからは、俺だけの人魚姫になってくれないか?」 「...はい。」 彼の腕に抱かれ、涙を流した。 甘いキスに、溺れながら、これから、二人で世界を一緒に描いていく。 あとがき 大変、遅くなりました。 非常に手こずり、出来は酷いと思いますが、読んでくれた方!ありがとうございます! 田邊君は、結構、ロマンティストなんです。 本編では、描けませんでしたが、多分、今後も流未さんとは、芸術家同士で、逢ったり、話すでしょう。ただ、芸術家として、良き理解者であり、お互いに良い刺激を与え合う友人として交流していくと思います。 長々とお付き合い戴きまして、ありがとうございました。また、良かったら読んで下さい!
May 1, 2009
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次の日のデートは、恋人が出来たら、行ってみたいと思っていた場所。 なのに、私は、38.9°の発熱が出て、デートを中止にしてもらった。 「...逢いたい。でも、いつもみたいに笑っていられるかな?」 そう呟いた。昨日の会話からいけないことをしていると言う罪悪感にずっと駆られている。 日生先輩と話したことはないが、日の打ち所がないほど、素敵な人で、彼女を嫌いな人はいないくらい優しい人。もし、友達とかなら、とっくに諦めてしまうと思う。 考えれば考えるほど、自分が嫌いになりそうだ。 「...結花。具合はどう?」 母が帰ってきて、尋ねるので、熱を計ってみるが、朝よりは下がった。しかし、まだ高い。 「...食欲はある?」 考えてみると朝、お粥を少し食べたきりで、その後、何にもお腹に入れていない。 「...ちょっとお腹空いたけど、あまり食べたくない。」 食べる気力までない。 「そう。プリンは?戴き物だけど、喉に通らない。」 「少しなら...」 「...このプリンね、昨日のあんたのご学友の男の子がくれたのよ!しかもあの有名店のなんだけど、すごい人気でなかなか買えないのよ!本当に良い子ね!」 母が誉めているが、私は驚いた。 「...ハァ?それて、田邊君?どこで?どこで逢ったの?」 食べるよりも、どこで逢ったのかの方が気になる。 「駅前よ。偶々、逢ってあんたに渡したいけどと悩んでたから、家に来ればと誘ったんだけど...「お母さん!私に、他の人に正体バラすなって、言っていたじゃない!バレたらどうすんのよ!」 具合が悪いのにも拘わらず、母の発言に思い切り、突っ込んだ。 「ごめん、ごめん!」 「全く!」 笑いながら言った。 “笑い事じゃないわよ!言うなって言うから、こっちは必死に隠してる。初めてやる時に、釘をさしたじゃない。バレたら、お小遣いなしとか言うしさ。本当、勝手だし!私だって、今、バレるわけにはいかないのに!” 眉間に皺が寄るほど、苛ついていた。 「本当にごめん。でもね、あの子は...『いえ、行けません。僕が行ったら、結衣さんにかえって、気を遣わせてしまいますので、行けません。』って言ったのよ。で、くれたのよ!母さんもあと10歳若かったら、いけると思うのよ!」 馬鹿らしくなってきた。 「で、本当にただの友達?」 ただのを強調する。 「...そうよ!ただの友達。」 だって、本当にそれ以上でも、それ以下でもない。 未来なんてない。 次の日から3日ほど、学校を休むと嘘を付いた。本当に休みたいけど、次の全国模試が近いから、休めない。 今の状態で逢えば、ボロが出まくってしまう。 それとプリンのお礼をメールで送った。 ーIN学校 「...碧(あお)。愛しの流未先輩から、あれからメールあったのか?」 いくら、結衣としていないと言うことになってても、好きな人のことは、気になる。耳をダンボの耳の様に傾け、続きを聞く。 「...松井。あれからも何の音沙汰もないんだ。流未さん、本当に帰って来るか、不安だな。」 「まあ、気を落とすなよ!流美さん、気まぐれな面もあるけど、碧にベタ惚れだから、平気だろ!だから、気にすんな!」 松井君の励まし、元気になった。 「そうだよな!ありがとう。」 笑う彼を見ていたら、辛くて、胸が張り裂けそうなくらい痛い。 だけど、傍にいることを望んだから、目を逸らして、逃げるわけにはいかない。 だけど、あまりに辛くて、トイレで泣いた。 そして、放課後、頭が割れそうなくらい痛いので、授業が終わると、急いで帰ることにした。頭が痛くて、壁伝いに手を充てていると 「...大丈夫?顔色、悪そうだけど...」 話し掛けられ。 顔を見上げれれば、そこにいたのは、田邊君。心臓が飛び出そうなくらい驚いた。 「...はい。大丈夫です。」 出来るだけ関わらないようにと気を付ける。 「本当に?熱あるんじゃない?」 どうして、関わりたくない時に限って、変わってしまうのだろうと、思うと泣きたくなった。 「...いえ、本当に大丈夫です。えっと、貴方は...」 わざと知らないフリをした。 「田邊碧。」 「田邊さんと仰るんですか。心配していただきありがとうございます。私は、迎えに来て貰う約束をしていますので、心配なさないで下さい!では、失礼しますわ。」 真面目ちゃんを通した。 家に着くなり、熱とさっきほどの出来事で、かなり精神的に疲れ、そのまま、ベッドに倒れ込んだ。そこから、先の記憶がない。 目が覚めると、じんわりと心地良い冷たさがあった。 「...気持ち良い...」 「あっ!目が覚めた!馨!結花、目覚めたわよ!」 母の声がし、ドアを開け、廊下に向かって、叫んだ。 「...本当か?結奈。結花、大丈夫か?」 お粥を持って、現れたのは医者である父。 「お父さん?...どうしたの、その格好?」 父は、エプロン姿。しかもフリルの付いたエプロン。 「結花が熱があると聞いて、お粥を作ったんだ。あと、解熱剤を飲みなさい。」 お粥を差し出され、食べながら、今での、状況を聞くと、先に帰って来た母が、グッタリして、眠る私を見て、焦り、父にパニックになりながら、連絡し、この状況になったという。 「...美味しい!お父さん、ありがとう!」 「結花。無理しなくて、良いんだぞ!」 優しい父は、心配する。 「...大丈夫!これ、飲めば良いんだよね?」 「...ああ。ゆっくり休みなさい!」 お父さん達は、部屋を後にした。私は、父の様な人に恋をすることを夢見て来た。 もし、この熱が辛い恋が原因と知ったら、悲しむかなと思った。 それから父が出してくれた薬を飲み、眠りについた。 懐かしい夢を見た。 それは、田邊君と出逢った日のこと。 中学に入学して、間もない頃、彼が描いた絵を見た。 絵なんか、何が良いと全く解らなかった私が、一目で魅了されてしまった。 それは、学校の通学路の坂道から見える海の絵。 別に特別、珍しい絵ではないが、当時の私にしてみれば、長い坂道は、苦手で、周りの景色を楽しむ余裕なんてなかった。 だけど、この絵には、見る者の心に温もりを与えた。 その後、絵の作者の名前を知り、探したら、偶然にも、同じクラスだった。 それが、彼との出逢い。第一印象は、大人しく無口な人だった。しかし、美術になると、人が変わったように、話したり、情熱的になる。 本当に、見ているこっちまで、美術が好きなことが分かる。 特に、絵を描くのが好きならしい。 何度も、彼の絵を描く姿を見る度に、惹かれ、彼の描く世界に興味をいただいた。 そして、頑張る彼を応援したくて、時々、コーヒーやお菓子の差し入れをしていた。そして、いつも、メッセージカードを付ける。決して、名前は入れないが、応援メッセージを書いて、一緒に添えた。 中学3年間、ずっと繰り返し、続け、卒業する時に、告白も考えたのだが、彼を好きな女の子が、他にも何人もいて、告白して断られていく姿を見た。 だから、言わずに胸に留めながら、彼の傍にいようとした。 高校に入り、益々、モテるようになり、正直、不安だった。予感は見事に的中した。 日生流美先輩に出逢い、互いの芸術に思い入れなどが、きっかけだったのだと思うが、一気に距離が縮まり、いつしか交際が始まってしまった。 そうなってから、差し入れとか、一時期、止めた。 だけど、やっぱり好きだから、偶に、差し入れとか置いておく。 「...あれ、また、いつもの子?」 「うん。誰だか判らないけど、絶妙なタイミングで、差し入れとメッセージがちょっと、嬉しくて、逢ってみたいなと思った。中学生の頃からの子が気がする。中には、しつこい人もいるけど、まるで、人魚姫やシンデレラの様な人だと思う。とても、素直で優しい人だと思う。ただ、流美さんには、申し訳ない気持ちになる。でも、純粋に、応援してくれるのは、嬉しいよ。」 偶々、聞いた会話、実際、迷惑なんじゃないかと思っていたが、こういう風に、言って貰えただけで良かった。 「...碧。ある意味、ストーカーの様で、怖くないか?」 「...まあ、そうも思ったけど、このメッセージカードを毎回、書いてくれると、励みになるんだ。」 やっぱり引かれていると判っていたが、ちょっとダメージを受けた。だけど、励みになると言われると良かったと思う。 夢から、覚めると胸がいっぱいで、涙が溢れていた。 「...田邊君...好き。...好きだよ...」 呟きながら、泣いた。 “...期間限定だから、これ以上、好きになっちゃいけない。だけど...この胸に溢れる程、好き...。” それから、数日間、思うように熱は下がらない。彼の顔を見る度、苦しくて、罪悪感に駆られる。 そして、一刻一刻と迫る時間に、決意した。 “...次で、最後にしよう。” 私は、彼に次の休みに逢えないかとメールを送ると、了承の返事と心配するメールが届いた。この優しさがかえって、辛い。 だけど、自分が決めたことだから、最後まで、戦う覚悟を決めた。 ー最後のデートの日 ミュールに、ワンピース、カーディガン、コサージュ、髪は巻いて、ちょっと、アップ・スタイルにした。イメージは、お姉様系ファッション。 こうして、フル装備で、出掛ける。 今日のデートは、公開になったばかりの映画を見に行く約束をした。 映画のタイトルは「雪桜」だ。切ないラブストーリーである。元々、好きな漫画が原作で、見たかったから、誘った。 これが、最後だから。 「...お待たせ!」 「別に、まだ時間前だから、大丈夫。」 ちょっと、私の服装に戸惑いがち、そんな彼が可愛いと感じる。 「...じゃあ、行きましょう。」 結衣として出逢った日の様に、勝ち気な台詞に、彼に笑顔を向ける。 “この笑顔を一瞬で良いから、彼の記憶に刻めたら...” 「雪桜」は、思った通り、人気だった。雪女が、桜の咲く頃、出逢った人間に恋する切ない話。 映画を見終わって、私は、感動。グッズを買い込んでしまった。次に、カフェに行こうと思い歩き出していた。 「...もう、体調は大丈夫?」 「うん...。ごめんなさい。心配掛けて......。あのさ、私...」 今日で終わらせようと、言おうとすると... 「...碧?」 彼の名を呼ぶ声、彼が振り返った。 「流美さん...?!」 彼は驚きを隠せない。 「...ありがとう!私、行くね...」 逃げるように去った。彼が後ろから、何か叫んだ気がするが、聞こえない。 走るように逃げ去った。 “さようなら。田邊君...” あの後、私はどうやって帰って来たか分からないが、部屋で泣いていた。メールで、謝罪の言葉と期間限定の恋人の契約を終わりにすることを告げる文章を送った。 「...馬鹿だよね!田邊君を振り向いて貰える訳じゃないのに...。好きだよ...」 一人呟いた言葉。本気で、好きだったから、涙が止まらない。 想いが止めどなく溢れて止める術を知らない。 “貴方と過ごした奇跡の時間、忘れなくちゃ...。忘れられない。好きでいたいよ”
May 1, 2009
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~ 君に恋してる ~ 遠くから ずっと見つめてる 君は 気付いていないかもしれない だけど 君と目が逢うだけで 胸が高鳴り ドキドキが止まらない 話すだけで 夢心地 毎日が お祭りみたいに楽しい 君と一緒にいられるだけで 幸せ ツレナくされて 傷付いても この想い 消すこと出来ないよ いつだって 君に恋してる 誰よりも 愛しくて この想い 溢れ出すほど 君が好き 振られても この想い 伝わらなくても 誰よりも 君に恋してる だから 簡単になんか 諦めない 君にいつも 恋してるから snowの日記 遅くなりました。 本日の私は、少女コミックを読んで、ハイテンションなのです。 と言うわけで、こんな詩になりました。
May 1, 2009
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