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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2018.09.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 グアテマラ共和国は太平洋とカリブ海に面した中央アメリカ北部の共和制国家で、北にメキシコ、北東にベリ-ズ、東にホンジュラス、南東にエルサルバドルと国境を接しています。


 地形的には、北緯16度で北と南の二地帯に分け、さらに南部を山岳高原地帯と太平洋海岸地帯の二つに分けると、全体としては三地帯に分けられます。


 “グアテマラを知るための67章【第2版】”(2018年7月 明石書房刊 桜井 三枝子編著)を読みました。


 先住民の言葉で”薪になる木の豊かな場所”に由来し、先コロンブス期にはマヤ文明が栄え、現在も国民の過半数はマヤ系インディヘナの、新たに発展を目指すあるグアテマラの現況を活写しています。


 グアテマラは、緑豊かな森林と霊鳥ケツァル、世界遺産マヤ文明のティカル遺跡の国、として知られてきました。


 美しい刺繍の民族服をまとう先住民マヤ人は、遺跡とともに旅行社の観光案内の広告塔として登場します。


 本書はマヤの国と言われているグアテマラの現実を知ってもらうために、考古学年代から本書刊行の2018年という現代に至るまでを扱っています。


 内容は、自然、文化・言語、歴史、政治・経済、社会・人権・教育、芸術・観光などについて総合的に理解できるように9部67章で構成されています。


 編著者の桜井三枝子氏は1944年生まれ、元大阪経済大学人間科学部・人間科学研究科教授で、京都外国語大学ラテンアメリカ研究所客員研究員です。


 博士(上智大学、地域研究)で、専攻は文化人類学、メソアメリカ地域研究です。


 執筆者は、


 茨城大学人文社会科学部教授・青山和夫氏、
 デロイトト-マツファイナンシャルアドバイザリ-合同会社国際開発アドバイザリ-シニアアナリスト・大木雅志氏、
 京都外国語大学外国語学部教授・大越翼氏、
 アタバル言語センタ-経営者・片桐真氏、
 関西外国語大学外国語学部特任教授・加藤隆浩氏、
 外務省参与・前駐グアテマラ特命全権大使・川原英-氏、
 文化人類学専攻・小坂亜矢子氏、
 専修大学経済学部教授・狐崎知巳氏、
 タペストリ-ア-ティスト・小林グレイ愛子氏、
 神戸市外国語大学・京都大学名誉教授・小林致広氏、
 グァテマラマヤ文化友好協会理事・近藤敦子氏、
 たばこと塩の博物館主任学芸員・榊玲子氏、
 名古屋文理大学健康生活学部准教授・杉山立志氏、
 グアテマラデルバジエ大学考古学人類学研究センタ-准教授・鈴木真太郎氏、
 元京都外国語大学教授・高林則明氏、
 京都市立芸術大学芸術資源センタ-非常勤講師・滝奈々子氏、
 京都外国語大学名誉教授・辻豊治氏、
 明治大学商学部特任准教授・敦賀公子氏、
 デルヴァジエ大学講師・テロン、アンドレア氏、
 国際フェイアレグリア連盟事務局イエズス会士・トゥリオ・ゴメス,マルコ氏、
 弘前大学教育学部准教授・富田晃氏、
 金沢大学人間社会研究域附属国際文化責源学研究センタ-教授・中村誠一氏、
 摂南大学職員・最谷川来夢氏、
 公益財団法人日本博勧館協会専務理事・半田昌之氏、
 摂南大学外国語学部准教授・藤井嘉祥氏、
 慶塵義塾大学法学部教授・本谷裕子氏、
 兵庫県立大学名誉教授・眞鍋周三氏、
 グアテマラデルヴァジエ大学大学院研究科教員・マルティネス,アラセリ氏、
 京都産業大学文化学部教授・村上忠喜氏、
 国立民族学博物館名誉教授・八杉佳穂氏、
 南山大学国際教養学部教授・安原毅氏、
 上智大学外国語学部教授・吉川恵美子氏、
 在エルサルバドル日本国大使館動務・吉田和隆氏、
 米国テキサス大学オ-スティン准教授・ロメロ,セルヒオ氏


と、きわめて多数です。


 経済的には、エルサルバドルと共に中央アメリカの中位グループに属しますが、1960年から1996年まで続いたグアテマラ内戦により治安や政治においてグアテマラ社会は未だに不安定な状態にあります。


 グアテマラでは、36年間におよぶ陰惨な内戦がアレバロ・アルス大統領とゲリラ側最高司令官ロランド・モランの間で締結された1996年の和平協定で終わりを告げ、それから22年間が過ぎました。


 2006年に旧版『グアテマラを知るための65章』が上梓されてから12年が経ち、内戦終了後の混乱を経て急激な変貌を遂げる現状を見ると、旧版を改訂する必要が生じました。


 本書では、旧版の執筆者を主体として現状の追加補足を行いました。


 専門分野で活躍し、グアテマラに関する優れた専門書や論文を出版したベテラン研究者、新進気鋭のグアテマラ人と邦人の若手研究者や、グアテマラ在住のグアテマラ通の各氏が筆を競っています。


 読者はどの章から読み始めてもよく、本書内でテ-マや視点が重なる場合には、その章へ誘導されるように工夫がなされています。


 また、巻末に掲載した執筆者各氏が提供した内外の参考文献こそが、さらに奥深く調査研究を進めたい読者には最強の知的宝庫として役立つでしょう。


Ⅰ グアテマラへの誘い/第1章 「薪になる木の豊かな場所」-多様な自然環境/第2章 歴史的変遷-行政区分と経済構造/第3章 グアテマラの地名-多くはナワトル語を起源・第4章 多様な人-と多様な文化-インディヘナとは、ラディーノとは/第5章 トウモロコシを育て食べる最高の技術をもつ人-食事の科学/第6章 旧都アンティグア市-世界遺産都市を散策する/第7章 新都グアテマラ市-拡大する都市化の光と影/第8章 交通インフラ事情-首都における深刻な交通渋滞/第9章 グアテマラと日本との関係-外交関係樹立80周年
Ⅱ マヤ文明の時代/第10章 ティカルとキリグア-マヤ文明の世界遺産/第11章 ティカル国立公園-日本の協力がきわだつ複合遺産/第12章 グアテマラ考古学界の現状-マヤ文明研究の最前線/第13章 ペテン県セイバル遺跡の調査から-マヤ文明の起源と盛衰の探求/第14章 西部高地三都市を訪ねて-ケツァルテナンゴ、チチカステナンゴ、ソロラ
Ⅲ スペインの征服と植民/第15章 ペドロ・デ・アルバラ-ドのグアテマラ征服-間断なく続く戦い/第16章 初代グアテマラ総督-アデランタ-ド・ドン・ペドロ・デ・アルバラ-ド/第17章 異文化との衝突と植民地支配体制の確立-スペイン人支配者と先住民/第18章 キリスト教の布教と先住民-神の名におけるマヤ先住民の支配/第19章 『ポポル・ウ-フ』と先住民文書の世界-植民地時代を生き抜く叡智/第20章 征服者セバスティアン・デ・ベラルカサル-中南米の歴史に大きな影響を及ぼしたコンキスタド-ル/21章 現中米5カ国を包含するグアテマラ総監領時代-メキシコ市やリマ市に次いで
Ⅳ スペインからの独立と近現代/第22章 独立前後-中米連邦共和国の成立と解体/第23章 独裁の時代-独裁者たちとアメリカ資本/第24章 民主主義の芽生え-10年間の春の季節/第25章 民主主義の挫折-内戦の勃発/第26章 あそこに火を放ったのは誰だ-スペイン大使館の悪夢/第27章 2015年大統領選挙-コメディアン出身の大統領誕生
Ⅴ 現代の政治と経済/第28章 新自由主義-開発につながらない自由化・開放化/第29章 米国企業の利権-バナナ産業を中心に/第30章 新経済政策-貧困問題をどうとらえるか/第31章 マキラド-ラ-韓国資本に支えられるアパレル産業の発展/第32章 マキラド-ラの労働問題-深まる労働者の窮状/第33章 拡大する中国のプレゼンスと台湾-近年高まる中国との経済関係/第34章 ディア・デ・プラサ-買い物・情報交換の重要な場である定期市/第35章 ソロラ地方の市場網-アルティプラノ南部の市場から/第36章 先住民の商人-9割以上がマヤ系先住民/第37章 大規模卸売商人の活動と生業構造の変動-1990年代のマヨリスタたち/第38章 米国のグアテマラ人-移民組織と国際送金/第39章 グアテマラとメキシコの国境-トランスナショナルな空間から考える移民問題
Ⅵ 紛争を乗り越え多文化主義へ/第40章 反乱と抵抗の500年-先住民による大地と尊厳の防衛/第41章 先住民族の権利-多文化性認知と自治権行使/第42章 国内武力紛争・ジェノサイド-長期内戦の構図/第43章 和平協定と残された課題-道半ばの協定履行/第44章 市民の安全保障・マラス-治安悪化のコスト/第45章 女性の権利拡大に向けて-女性運動のプロセス/第46章 エリ-ト教育から大衆教育への歩み-フェ・イ・アレグリア(信仰と喜び)教育の定着/
Ⅶ 宗教と伝統/第47章 プロテスタントの布教とカトリックの対応-カトリック改革派の浸透/第48章 中西部高地先住民の織りと装い-民族衣装の語り①/第49章 村ごとに異なる華やかな祭礼衣装-民族衣装の語り②/第50章 布が語るマヤ十字-グアテマラの民族衣装に魅せられて/第51章 グアテマラの仮面-伝統と変貌/第52章 マシモン(サンシモン)儀礼の諸相-甦るマヤの祖先神/第53章 サンティアゴ・アティトランの守護聖人祭-祭儀でまとまる強い絆/ 第54章 エスキプラスの黒いキリスト-中米和平樹立の地に教皇訪問
Ⅷ 言葉と人々/第55章 インディヘナの言語-マヤ諸語・シンカ語・ガリフナ語/第56章 マヤ文字-高度なメソアメリカ文明の象徴/第57章 テキスト-低地と高地に見られる特徴/第58章 現代の先住民言語状況-社会言語学的観点から/第59章 グアテマラ総監領のナワ系言語の役割-多言語社会におけるリンガ・フランカ/第60章 ガリフナの町-リビングストンの賑わい
Ⅸ 文化と芸術/第61章 アストゥリアスと〈魔術的リアリズム〉-時代に先駆けた中南米的現実への覚醒/第62章 モデルニスモにはじまる現代文学-トラウマとしての反革命クーデター/第63章 屋須弘平-100年前のアンティグアに暮らした日本人写真家/第64章 グアテマラ映画-映像文化の創成をめざして/第65章 グアテマラ現代演劇小史-「グアテマラの春」に双葉が芽吹いた/第66章 豊潤なグアテマラ音楽-祭礼音楽からロック・マヤまで/第67章 21世紀グアテマラの博物館-様-な貢献と新しい着眼点
グアテマラを知るための参考文献






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Last updated  2018.09.15 10:05:25
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