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映画「愛を読む人」


2005年02月14日
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カテゴリ: 読書
この本は、1977年(昭和52年)に東京都で起きた「開成高校生殺人事件」と、

公判の傍聴記録や、当事者・関係者へのインタビュー、座談会など通して、
殺人事件の背景にあるものを検証したものである。

「開成高校生殺人事件」は、一人息子の家庭内暴力に耐えかねた父親が、息子の将来を悲観して自宅で絞殺し、心中しようとしたけれども果たせずに自首した事件。
裁判の途中で母親は自殺している。

「祖母殺し高校生自殺事件」は、有名私立高校生が祖母を殺したあと、飛び降り自殺をした事件。
彼の祖父・父親は大学教授、母親は脚本家ということで、当時は話題になった事件のようだ。

二つの事件は25年も前のことである。

まだ息子達が幼かったこともあり、
事件の背景にあると思われる「受験戦争」や親の過干渉などについて、
さほど身近には感じなかったような気がする。
しかし、いずれも東京の有名進学高の少年事件ということで、
息子を育てている身としては、他人事というわけでもなかった。
(「いい子」が必ずしも安心できないのだと思ったような気がする)

この本を読む気になったのは、
某サイトで「エリートから落ちこぼれた人間の持つルサンチマン(恨み)を的確に描いたもの」と紹介されていたからである。
そんなに古い本とは思わずに図書館から借りてきて、
25年も前のものと知って驚いた。
そして、読み終わった時に思ったのは、

大人への復讐が始まっていたというのに、
私たち大人は真剣にそれへの反省もせずにきたのではないかということである。
そして、この現状から、私達は何をしたらよいのか、何が出来るのかと、暗澹たる思いに捉われてしまった。

この事件の頃に高校生だった子ども達は、今子育ての真っ最中である。
昨今の様々な子どもを巡る問題は、この頃からジワジワと増え始め、

「世間並みになれない若者のルサンチンマン」になってきているのではないか。
「世間並」というのもいい加減な概念であるが、
そこからの「落ちこぼれになる」という不安感は、
かなり大多数の子ども達に覆いかぶさっているようにも思う。
子供たちの復讐は、このままでは決して減ることはないだろう。
それに加えて、「あの時代には何とか暴発せずに過ぎたかつての子ども達」の復讐問題もクロスしたり重なったりで、
問題はいよいよ複雑になっているのだろう。





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最終更新日  2005年02月15日 15時13分29秒
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