再出発日記

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2021年11月22日
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テーマ: 本日の1冊(3690)


「メランコリア」とその他の詩 池澤夏樹 書肆山田

古代、詩は謳われるものだった。
必ず長詩であり 物語だった。
「日本文学全集」の編集を終えて
池澤夏樹にまた詩の季節がやってきた。
このように始まる。

メランコリア

1 失踪

ある日、アンナがいなくなった
愛が失われたからではなく
何かが彼女を迎えにきたから

私はアンナを探した
何日もこの大都会を歩いて探しつづけ
遂に彼女の新しい家を見つけた
しかし、私がそこに行った前の日に
アンナはそこを出ていた
手掛かりはあった
後を追えと言わんばかりのメモが‥‥
「次の新月の晩
ラトヴィアのリガのグランド・ホテルのコーヒーハウス」
私は待った 私は行った
そこにまたもや本人ではなく
手掛かりだけを見いだした‥‥
「今年の夏至の日 赤道が横切る首都 大統領官邸の前」
行ってみると、アンナの残り香が漂っていた

そういうゲームが始まった
いつもドアのところに出てゆく姿がちらりと見える
走っていって外を見ても
街路には誰もいない

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そうやって12の詩(物語)が謳われる
まるで「エレニの旅」のように
人生と世界と歴史が交差する


全面再開した県立図書館の
新書コーナーの棚で見つけた
未だ誰も紐解いていない歌が
何処からか聞こえてきた





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最終更新日  2021年11月22日 17時28分39秒
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