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2005年05月25日

芭蕉・広重・ゴッホに愛された「新大橋」　　　　（江戸・深川）

テーマ：旅のあれこれ(10285)

カテゴリ：東京のいい話

たまには地元の江戸は深川の話を。

隅田川には多くの橋が架かっているのはご存じのことと思いますが、
今日は「新大橋」のことです。

新大橋というのは、「大橋」があったから、
新たに架かった橋というので、新大橋です。
これはフランスはパリのポン・ヌフとか、
イタリアのポルタ・ヌオヴァと同じなのですが、
どれも「出来たときは新しかったんだけどなあ」、
と言う、その地域で一番古い橋だったりして

ちなみに、新大橋の前にあった大橋とは、
万治２年（1639年）に架けられた「両国橋」の昔の名前です。
両国って、江戸と下総の国の間の橋って訳なのでしょうけど。
ついでに言えば、隅田川も昔は「大川」と呼ばれていたそうです。

現在の「新大橋」は、たぶん三代目です。
(江戸時代の初代は、木造だったので、燃えたり流されたりして、
数回架け替えられていますので正確には何代目かわかりませんが。
幕府にとって金食い虫だったので、もう少しで廃橋されるところだったとか）

昭和５２年(1977)に完成したオレンジ色の鮮やかな高い柱を持つ、
直線的な美しさの斜張橋で、橋の長さ１７１．４Ｍの長さがあります。

先代（2代目）は、明治４５年(1912)に現在と同じところに架橋されました。

その一部が明治村に保存されています。
当時としては珍しく、橋床がコンクリート製だったため、
関東大震災（大正１２年・1923)や、東京大空襲（昭和２０年・1945)でも
焼けずに残り、多くの人命が救われました。そのため「お助け橋」と
呼ばれているそうな。(ボクはその呼び方聞いたことないのですが)

元禄六年（1693年）１２月７日に、現在の場所より下流に、
木造の橋で架けられたそうです。　
　架橋当時、俳人・松尾芭蕉は、橋の近くに住んでいて、
新大橋の架橋を喜んだ句を２句残しています。
それも、工事中の時と、出来上がった後と。

　初雪や　かけかかりたる　橋の上
　ありがたや　いただいて踏む　橋の霜

こんな話を書いたのは、
ここ、深川には就職してからずっと縁が続いていて、
たまたま飲食店で、「新大橋は明治村にあるのが初代だ」
と主張されて、多数決みたいなことで、ボクの主張が通らなかったのです。
が、
もう一度年配の方から歴史をひもといていただき、
インターネットでも読み比べました。
是非、正しいことを知っていただきたいと思ったからです。

実は、その方々が間違えた理由の一つに、
安藤広重の「江戸名所百景・大はしあたけの夕立」の絵があります。
この題が、「大はし」とあるので、両国橋のことだと勘違いされているようなのです。

実は、この「大はしあたけ」が地名なのです。
　この新大橋１丁目の辺りは、安宅町と言われていました。この辺りに、
幕府の御舟蔵があり、御座船安宅（あたけ）丸が置かれていた事に因んで
付けられた地名です。
この版画は、太田記念美術館に所蔵され、営団地下鉄(現・東京地下鉄)の
メトロカード・江戸百景シリーズのトップバッターで
1990年5月に発行されました。(画像1番上に載せてあります)

　また、あのヴィンセント・ゴッホは、浮世絵から大きな影響を受け、
この絵と同じ構図の油絵を描きました。

芭蕉・広重・ゴッホとこんな多くの有名人に愛された橋は、
なかなかないと思います。

現在の「新大橋」のオレンジの柱には、
「旧新大橋」、「大はしあたけの夕立」、「新大橋由来記」の
３種類の銅板レリーフが左右１枚ずつ飾られています。

もしお近くにお越しの節は是非見ていってください。
近くには、芭蕉記念館、芭蕉庵跡(場所は特定できていない)、
万年橋、清澄庭園、江戸深川資料館と、多くの見所があります。

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