新 松磯山荘住人のつぶやき

新 松磯山荘住人のつぶやき

2025年02月15日
XML
カテゴリ: その他
先日、韓国ドラマ「モーテル・カリフォルニア」について、実は「深刻な心の傷を負った主人公の生きづらさ、そして、大きな痛みを伴いながら過去と向き合っていく自己統合の過程が赤裸々に描かれている」ドラマであると言及しました。過去の記事は​ こちら

「心の傷」 ― 最近でこそそれなりにいろいろなところでとりあげられる話題ではありますが、そうだとしても、まだまだ周囲の理解が得られにくい分野ではないでしょうか。ある心理士さんが、「トラウマを抱えている人は、トラウマ症状そのものでも苦しんでいるが、周囲の人になかなか理解してもらえないがゆえに、生きづらさが増幅される。周囲には、性格が悪いとか、本人が悪いとか決めつける人も多いので」と仰っていましたが、このドラマについても、虚構の話ながら、ヒロインに対して、そういう風当りのようなものが発生している可能性があるかもしれないな、と感じています。いえ、それだけ、ヒロインを演じた女優さんの演技が素晴らしいということでもあるのですが。

さて。前回は、ドラマで提示されていた心の傷が、どのようなものであるのか、思うところを書いてみたわけですが、今回は、トラウマからの回復過程について、少し言及したいと思います。実は、このドラマ、キャストとして精神科医や心理士は登場しないものの、男性主人公(獣医師さんという設定でした)が恋人であると同時に「医師」のマインドを持っていたことが功を奏したのでしょうか、結構有効な対処を行っていた場面が随所に見られたように感じましたので、そのあたり少しだけ言及してみたいと思います。

まず、ヒロインのトラウマに対して、男性主人公が実質的にナラティブ精神療法的なアプローチになるようにサポートしていた点はさすがだな、と思って見ておりました。トラウマ経験に対する断片化された記憶は、必ずしも過去のファクトを正しく反映しているとは限らないところもあるのですが、トラウマと向き合いつつ再構築し、過去のできごとや経験を新しい視点から見直し新しい意味を与える、というまさにトラウマ対処の王道を行っていました。

あるいは、多くの方がお気づきになったと思いますが、インナーチャイルドを癒す文脈がしっかり映像化されていた点、お見事だったと思います。

そろそろ最終回を迎えるということらしいのですが、最後に少しだけ。やはり、仮に今回のドラマのような状況であれば、精神科医・心理士・薬剤師・家族がチームを組んで、粘り強く適切に対処する経過を辿る方が本当は望ましかった、と思いますね。そういう適切な処置を経ることによって、トラウマを克服する力を得た人は、魅力的な人物へと変容していくことが可能なのです。…と書いてみたところで、あくまでドラマでのお話ですから、という話になるでしょうかね。

それにしてもこのドラマ、ある意味「問題作」と言ってもいいのかもしれません。少なくとも、ドラマで繰り広げられたようなことは、全くの絵空事ではなく、現実の世界でも普通に起こりうる事象であることを明確に人々に提示した、というべきでしょう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2025年02月15日 19時33分27秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: