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2006.02.12
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テツの携帯が鳴った。
こんな時に鳴らすのは、ただ一人、依頼人しかいない。
やっと連絡してきやがった。

心配そうにイクオが見ている。
サトシは・・・赤石のトイレに付いていってから少し様子が変だ。
赤石は再び手足を縛っている状態に戻した。
ヒロはじっとこちらに視線を向けている。

素早く手に持ち、耳に当てた。
「・・・・はい」


「すまない。手違いがあり、連絡が遅くなった。」
そう、この声だ。
顔は知らないが、テツに話を持ちかけてきた依頼人の声に間違いない。

「手違いどころじゃない。一体どうなってやがる。誘拐だけさせておいて。その後の行動が全然じゃねえか。勝手に電話切るし、監視役のヒロも一切答えやがらない。」
自分にしては珍しく捲くし立てた。

「本当にすまない、早速だが、これからの段取りを言う、至急取り掛かってくれ。まずは事務所へ電話をしてくれ、脅迫電話だ。あとの段取りはそこのヒロに伝えている」

その言葉を聞いて、テツは被せるように話した。
明らかにおかしいところがあるからだ。
「ちょっと待て。ヒロが段取りを知っているのなら、最初から動かせればいいだろーが。こいつは俺達が何を言っても無視しやがる。何を考えているのかわからねえ」

「彼はね、僕の指示しか聞かないんだよ。ヒロに言ってくれ・・・オージへの段取りを始めろ・・・と。」

「ちょっとまて」

ヒロは無言でメモ用紙を取り出し、テツに渡した。
そこには、脅迫電話先の番号、金額などが書かれていた。
何なのだ、このヒロという男は。
依頼人の奴隷なのか。

「それから、ニュースで知ったかもしれないが、あの目撃者殺人は、偶然だ。心配しないでくれ。確かにあの殺された彼は君達が林に突っ込んだのを見たのだろうが、結果的には良いことに転がっている。殺した犯人に礼を言いたいくらいだな。・・・・まあ余談はそこまで。健闘を祈る。」


テツはメモを広げた。
事務所オージの電話番号。
必ず社長と交渉をすること。
身代金額は・・・・・・・!?
なんだ、この途方もない金額は。
そんな金額を、ただの芸能事務所が簡単に払えるのか?
そんな金額を、このクソガキのために払うのか?
一旦電話を切って様子を見る。
その後、しばらくして再度電話をかけて、相手の状況、意思を聞く。
そこで初めて金の用意する時間などの指示・・条件・・。

まずは電話だ。
テツは携帯にオージの番号を入れようとした時、横からヒロが自分の携帯を突き出した。
そうか、自分の電話だと例え非通知でもすぐにアシがつくかもしれない。
この電話は恐らくある程度は調べられていてもすぐにはアシがつくことがないのだろう。
相変わらず無言のヒロから携帯を受け取り、電話番号をプッシュした。

「・・・・・?」
何か変な違和感がテツの頭を駆け巡る。
おかしいところがあったのだろうか。
何か・・・変なところが・・・。

確かにあの殺された彼は君達が林に突っ込んだのを見たのだろうが・。
・・・・・?
確かに・・・。
林に突っ込んだ・・・。
見たのだろうが・・・。

「はい、オージです」

テツを現実に戻したのは、若い男の声だった。

つづく。

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最終更新日  2006.02.12 22:17:43
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