仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2006.09.12
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カテゴリ: 宮城
何度か「苗字」をテーマにして勉強した。今回は宮城県の苗字に関する本を読んでいるが、冒頭に姓氏(この本では苗字を「姓氏」と総称している)の一般論が述べられている。

 ○鈴木常夫『みやぎの苗字 あなたはどこから来たか』本の森、1998年

 ■関連する過去の日記
  ○ 姓と苗字の違い (06年08月23日)
  ○ 苗字と名字の違い (06年5月22日)
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 「姓」は家筋や世襲の職業を、「氏」は家の血筋を、「苗字」は土地所有から来た(稲の苗の意)と言われるが、現代では混同して用いられる。

 鎌倉期には武将が戦いの恩賞に土地をもらい支配していく。平安期以降、貴族や社寺は地方に荘園を私有し、多くの場合家族、一族、配下を派遣して支配させた。そのため、代理人の職名から、留守、庄司(庄子)、東海林などの姓が生まれる。また、定着することにより、その地名や出身地名、前住地などを姓として名乗るようになった。
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そして、この本では、頼朝以後の関東武士団の移住などの歴史を踏まえた後、県内各地の姓氏を、まず市町村別にどの名が多いか、特徴的な名は何か、次いで宮城県の主要な姓氏100件を順にルーツを解説している。

丹念な労作に、素直に頭が下がる思いだ。

さて、宮城県の姓氏のランキング。

佐藤、高橋、阿部、佐々木、千葉、伊藤、斎藤、菅原、渡辺、遠藤、三浦、加藤、小野寺、菊地、相沢、木村、今野、及川、熊谷、吉田、後藤、小野、早坂、村上、菅野、山田、大友、石川、庄子。以上が30位まで。

いかにも身近に居そうですね。この本の市町村別の説明は、地域ならではの姓氏とその解説があってとても面白い。

例えば、牡鹿町(10年前の本なので合併前)の多姓はダントツで阿部。全世帯の4分の1だ。気仙沼市は小野寺がダントツ。次いで、熊谷、佐藤。小野寺氏は葛西氏の家臣。熊谷は、頼朝の奥州攻めに加わった直実の子直家が本吉郡桃生郡に領地を賜り、子孫が赤館城を築いたことに始まる。

蔵王町は、佐藤がトップだが、我妻が次ぐ。小野田町、色麻町は早坂。早坂は平家の落ち武者で、山形県に多く、宮城県内でも山形寄りに多い。

宮崎町は猪股。花山村のトップは狩野。

富谷町は渡辺。室町期に黒川氏が御所館を本拠にしたが、家臣に渡辺氏がいた。


ほかに、市町村別で特徴的な主な姓をあげると、登米町の佐竹、志津川町の山内、津山町の西條、七ヶ浜町の星、東和町の及川、松島町の桜井、唐桑町の小山、雄勝町の山下、北上町・河北町の武山、鳴瀬町の尾形、山元町の岩佐、白石市の日下、など。





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最終更新日  2006.09.12 00:48:28
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