仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2011.02.27
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カテゴリ: 宮城
ある本に出ていた。

鎌倉時代の御成敗式目には、他人の悪口は重罪とされている。これは名誉感情の高い武士の喧嘩の原因となるからだそうだが、悪口には人を動かす言霊の力が宿るとも考えられたという。

各地に「悪口祭り」が伝わっており、例えば悪口で見事言い負かした側が一年間福に恵まれるというのが典型だ。栃木県足利市の最勝寺の悪態祭、茨城県岩間町の悪たれ祭などが知られる。昔は京都祗園社の「おけら詣で」でも行われた。

これらの祭には、素行の悪い人間を戒めることで共同体の秩序を保つ効果がある。祭の日に神様の名を借りて不心得者を思いきり罵倒し、不満をぶちまけるのだが、糾弾の矛先がたとえ村の有力者であっても、背景に神様がいる以上、怒りたくても怒れないだろう。

宮城県塩竈 (注) の「ざっとな」 :夜中に子ども達が集まり行状の悪い人物の家の戸口で悪口を大声で言い立てる
(おだずまジャーナル注:下記文献中では「宮城・塩釜の...」と表記されています。)

千葉寺の「笑い」:夜に顔を隠した人が集まり、素行の悪い人物を笑いのめす

などの記録もある。子どもに言わせたり、顔を隠し匿名性を持たせるのは、その後の人間関係への配慮だろう。悪口祭は庶民の知恵とも言える。

■奥武則・大島透『にっぽん一千年紀の物語』毎日新聞社、2001年 から



■関連する過去の記事(奇祭と匿名性)
奇祭 鶴岡化けもの祭り (2011年1月3日)
秋田ナマハゲは秘密結社か 再論 (2010年5月20日)





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最終更新日  2011.02.27 18:38:45
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