私訳・源氏物語

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March 16, 2006
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カテゴリ: 古典文学



額田王は、万葉で一番好きな歌人です。

とくにこの歌には、彼女が船の舳先で風を受けながら「さあ、今こそ漕ぎだす時が来ました!」と片手を高く差し上げて、兵士を鼓舞しているような、そんな勇ましい情景が浮かんでくるのです。

ところで私はこの歌に、なぜかサモトラケのニケ像が重なります。

ニケの衣も風をいっぱいに受け、その若い胸や腹に張り付き、うつくしいからだの線を浮き彫りにしています。
背中の羽は力強く盛り上がり、衣の後ろは風をはらんでふくらんでいます。前に踏み出した足には安定感があってゆるぎなく、勝利を確信させる頼もしさがあります。

その「力強い頼もしさ」が、額田王の「今は漕ぎ出でな」を連想させるのかもしれません。

ニケには両腕がありませんが、何十年か前に右手が発見されたと何かで読みました。それによるとニケの手のひらは開いていて、高く差し上げられたかたちになっていたそうです。
そんなポーズも、額田王のこの歌のイメージにぴったりという感じがします。

額田王は男たちの勇気を奮い立たせ、勝利をもたらす女神のような存在だったのではないか、そんなふうに感じるのです。





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最終更新日  March 8, 2017 06:49:27 PM
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