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私は過去に一度、「クロワッサン」という雑誌のインタビューを受けたことがあります。この時の正確なタイトルは忘れてしまいましたが、確か「魅力を感じる男性」についてだったように記憶しています。
ちょうどマイホームを建てたばかりの頃で、当時担当だった建築業者の部長をイメージしながら「仕事のできる男に魅力を感じる」と、書いたのです。
「蛇のようにずるく、狼のように賢くしたたかで、不可能な要求も何とかこなし・・・」というようなことを書きましたが、これが編集者の目に止まったようで、やはり電話が来て、この内容をもっと詳しく聞きたい、しかも内容によっては、「取材に伺ってもよろしいですか」と言います。
こんな経験は初めてでしたから、私はまるで何かに選抜されたかのように嬉しく、ウキウキしたものです。
電話で一通りの事情を話した後、彼女が私に
「その男性と、肉体関係を持ちたいと思いますか?」
と問うたのです。
私は一瞬唖然とし、そして相手がこのインタビューに何を求めているかに気付きました。
私はあくまで魅力を感じた男性の「外側」から書き、話しただけであって、それを現実の生活の「内側」に引き入れるなど、考えられないことでした。
私は「いいえ」と応えました。
数日後、彼女から
「取材に行く予定でしたが都合がつかないので、失礼ですがお写真を送っていただけないでしょうか」
と、丁寧な電話がありました。
私があの時「イエス」と応じなかったので、食指が動かなかったのだと思います。
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