私訳・源氏物語

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July 12, 2010
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カテゴリ: 源氏物語

どんなに思ってもみても夕顔の死は心残りな出来事で、ご自分が残されたという
悲しいお気持ちを、年月が経っても忘れることがおできになりません。

左大臣の姫も六条の人にしても気の置ける方々ばかりで、打ち解けることがなく
気取った風で競い合っておいでですので、親しみやすく離れがたかった夕顔の女の可憐さを、
類なく恋しくお思いになります。

「軽い身分で構わない。
何とかしてあのように可愛いらしく遠慮のいらない女を見つけたいものだ」

 と、性懲りもなく思い続けておいでです。

  それで少しでも評判の良い人の事は、源氏の君がすぐにお耳になさり、
知らぬ事がないほど詳しくご存知なのです。

「ひょっとすると」と期待をこめて、ひとくだりの御文でほのめかしてご覧になれば、
すぐ手応えがあるというのも、つまらないのです。

 冷淡で気の強い女は情味が薄く生真面目で、あまりにも物の程度を弁えぬようですが、
かといって最後まで自分の意志を貫き通さず、途中ですっかり崩れてしまい、
その結果平凡な男の妻におさまる女もいるもので、源氏の君からお止めになった恋も多いのでした。

 あの空蝉の女の事を、その時々に恨めしくお思い出しになっていらっしゃいます。

 荻の葉へも、適当な機会のある折には源氏の君から御文をおやりになって、
気をお引きになる事もおありなのでしょう。

 二人が火影で碁を打っていた時の、しどけなく乱れた様子を
また見たいものよとお思いになります。

 大体が過去の女ことを、すっかり忘れてしまうことがおできにならないようなのでした。






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最終更新日  March 7, 2017 04:54:36 PM
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