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真木柱の巻はコミカルな髭黒大将やうつ病気味の北の方のドラマが風俗的で、
とても面白い。
髭黒大将は玉鬘に恋をするまで外に女性をつくったことがなく「堅物」と書かれているが、
邸内には木工の君というお付きの女性がちゃんといたのだから、
単に出かけて行くのがめんどうなものぐさだったのだと思う。
以前にも「髭黒の北の方」で書いたが、
私は髭黒が、太宰治のお伽草紙に出て来る魯鈍なタヌキに思えてならない。
源氏やその弟・兵部卿の宮はもちろん、帝からも求愛される玉鬘が、
彼らとは正反対の髭黒大将と結婚することになるのは面白いことだと思う。
私はこういった物語の展開に、リアリスト・紫式部の思考の癖を感じる。
つまり「人生は理不尽な出来事に満ちている」という思いだ。
また「光源氏のような人間などいるわけがない」と、日記で皮肉を言っているが、
それが物語の人物に反映されているようにも思う。
「タヌキ」で思い出して久しぶりに「お伽草紙」を読み返してみたところ、
「あれ、誰かに似ている」と思った。
「お伽草紙」には冗長な部分があるが、
宮澤賢治の「洞熊学校を卒業した三人」に、何となく似ているような気がした。
★
実はもっと書きたい事があるのだが、
どうも最近疲労がたまっているようで、頭がうまく回らず言葉が出てこない。
先月中ごろから家人が三度目の入院となり、
三週間ぶりにやっと今週退院できることになった。
家族が二人も長期入院すると、仕事を持つ身にはちょっと辛い。
水泳教室は週二回に減らした。
年代や練習間隔も影響すると思うが、
週二回では泳力の低下が自分の身体ではっきり分かる。
仕方のない事とは言え、やはりそれも辛い。
饗応夫人はママのお世話にかかりきりの上に、
帰国中の長女が仕事でどうしても必要なため、
クルマを三カ月貸してあるので会う機会がめっきり減った。
避暑夫人は、結婚した娘が怪我をしたとかで、
孫を預かる事になって急きょ帰省してしまった。
「さも心にかなはぬ世かな」
人生は本当に思うようにいかないものだ、としみじみ思う。
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