全80件 (80件中 51-80件目)
スコッチモルト・ウイスキー等の輸入販売で知られる「S社」(念のためだけど、大手のサントリー社ではありません)が主催の名物企画、モルトの「ブラインド・テイスティング」コンクールに、先日応募した。 コンクールの案内はメルマガで届いたが、応募できるのは先着32名ということだったので、すぐに申し込んだ。幸いセーフ。翌日ホームページを見たら、もう締め切っていたのでホッとした。 コンクールは4種のモルトの銘柄(または地域)や熟成年数を当てるもの。参加料は送料込みで2000円弱。申し込んで数日後、20ml入りのモルト4種の小瓶(写真)が送られてきた。梱包はしっかりとして、1本1本のキャップはパラフィルムで丁寧に巻かれていた。 梱包担当者名の手紙も同封されていて、「私が梱包・発送いたしました。お気づきの点は何なりと…」と記されていた。細やかな気遣いが嬉しい。 この「S社」はきっと良心的な会社なんだろうと、僕は信じて疑わない(ちなみに「S社」は東京・西麻布の本社で、アンテナ・ショップBARを営んでいて、信じられないようなお手頃価格でモルトが楽しめる)。 さて、テイスティングした僕の解答は、後日メールで送られてきた解答フォームに記入してメールで返信する。解答フォームでは一応、4問それぞれ銘柄(または地域)は6択、熟成年数は5択の答えから選ぶ。だから答えの組み合わせは、6の4乗×5の4乗、すなわち81万通りの答えがある。 解答フォームを送信する夜、僕は約1時間ほどかけてテイスティングをし、記入した。4種の味の違いは分かる。すべて50度以上のカスク(樽出し)でボディもしっかりしていて、それぞれに個性がある。熟成年数も微妙に違うような気がする。 でも、銘柄を当てろ、熟成年数を当てろというのは、いくら5択や6択でもとても難しい(飲んだ印象&感想を自由記述する欄もあったが、言葉でうまく表現するのもなかなか大変だ)。 僕はただ自分の直感(第一印象)を信じて、解答を記し、エイヤーっと送信した。優勝者1名には「グレンリベット1979年」が贈られる。正解発表は今月下旬に「S社」のホームページ上でとのこと。さて、何問当たってるかなぁ…。こちらもぜひ見てねー!→【人気ブログランキング】
2006/07/11
コメント(10)
4月20日の日記で、ちょっと変わった「ビターズ」の飲み方について書いた。ついでに、という訳でもないが、同じく香草系、薬草系リキュールで、結構有名なお酒「アブサン(Absente)」にも触れたい。 アブサンはもともと18世紀初め、仏人医師がスイスで薬として開発したものと伝えられているが、現在ではお酒としての方が有名(ちなみに、水島新司の漫画「あぶさん」の主人公の名もこの酒に由来するとか)。 ニガヨモギ、アニス、ウイキョウ、ハッカなど様々な薬草を原料にしたもので、水と混ぜたり、氷を入れる白濁するのが特徴。アルコール度数は一般的に60~70度くらいと高めで、とてもヘビーな味わいだ(写真左=国内で流通しているアブサンのうち、代表的な商品。度数も55度とややマイルド)。 退廃的な雰囲気に満ちていた19世紀の欧州。幻覚性もあることも人気を呼び、さまざまな商品が流通するようになった。ボードレーヌ、ヴェルレーヌ、モーパッサン、ロートレック、ゴーギャン、ゴッホ、ピカソら多くの有名な芸術家もこのアブサンにおぼれ、中毒となったことも有名だ。 しかしアブサンを有名にしたのは、この酒が生み出した社会問題。このヘビーな酒がもつ向精神作用、習慣性に起因する中毒患者の増加、そして飲酒が原因とみられる犯罪の急増だった。 ゴッホは晩年起こした、有名な耳切り事件も、このアブサン中毒による精神病が原因とも言われている(写真右=先日、あるBARで飲んだアブサン=「Un Emile」という銘柄=のロック)。 1915年までに、欧州各国政府はついに製造・販売を禁止命令を出した。そして、アブサンが再びこの世に復活するのは90年後の2005年3月。WHO(世界保険機関)が条件付きで製造・販売を承認した。 僕が飲酒を始めたのは70年代末。その頃の僕の常識としては、アブサンは大麻や覚醒剤と同様、口にしてはいけないものだった。だから、アブサンが解禁になったというニュースを聞いた時、「おいおい、ほんとに認めていいのかねぇ?」と思ったほど。 WHOは中毒性、幻覚性があるニガヨモギの成分「ツヨン(ツジョン)」を10%以下に抑えることを条件に許可したのだった(アブサンの名前も、ニガヨモギの学名=Artemisia Absinthium=から来ている)。 日本国内でも、今では何種類もの輸入物のアブサンが流通している(写真左)。有名なペルノーもアブサンの一種と言っていいかも。現在では、ニガヨモギを主原料にしたものは少数派で、アニスなど他の香草を主原料としたものがほとんど。 だから厳密な意味では、今のアブサンのほとんどは昔のアブサンとは違う。成分はマイルドなものになっている(もっとも、だからと言って昔の処方でアブサンを製造するのは、危険すぎるだろう。現在でもなお禁止している国もあるくらい)。 アブサンは、何杯も飲める酒ではない。BAR巡りの最後の締めに飲む酒には強すぎる。でも、ビターズと同様、風邪をひいている時などには、これを飲めば、翌朝はきっと身体は元気を取り戻しているだろう。こちらもぜひ見てねー!→【人気ブログランキング】
2006/07/02
コメント(12)
マッカランやグレン・ファークラスの陰に隠れて、同じシェリー系シングルモルト・ウイスキーとしての知名度はいまいちかもしれない。だがシェリー系モルトとして、根強い人気を誇る、この個性的な銘柄を外すことはできない。 エドラダワー(Edradour=写真左は現行のオフィシャル10年もの)。スコットランドの南ハイランド地方パース州の小さな村にあり、「スコットランド最小の蒸留所」とも言われる。ブランド名は、蒸留所のそばを流れる小川(エドレッド)に由来するという。 創業は1825年。当時から家族的経営による、手作りのモルトとして知られてきた。生産部門の従業員は現在でも3人しかおらず、ポットスチル(蒸留釜)は、小型のものが2基あるだけだから、生産能力も推して知るべし。 1週間に14樽(250リットル樽換算)、年間でもボトルでわずか2万4千本分。これは通常、スペイサイド地方の蒸留所の1週間分の生産量なので、どれほど少ないかが分かってもらえるだろう(写真右=のどかな村にあるエドラダワー蒸留所)。 エドラダワーの味わいはクリーミーで、渋みとともにハニーのような甘味も感じられる。そして、シェリー樽熟成らしい芳醇な香りも。ただし、最近のオフィシャル・ボトルについては、「バランスに欠けて、化粧品っぽい風味がする」という不満の声も聞くのは残念な気もする(写真左=オフィシャルの樽出し「Straight From The cask」。これは旨いです!)。 確かに、90年代までのオフィシャル(10年)に比べて、最近のものは「奥行きに欠ける」印象を僕も感じる。生産部門の担当者が世代交代したのか、造り方を微妙に変えたのかは知らないが、「一定の品質と味を維持する」という命題は小さい蒸留所が故の悩みなのかもしれない。 ちなみにエドラダワー蒸留所は最近まで、仏ペルノー・リカール社の所有だったが、2002年7月に有数のボトラーズとして知られる「シグナトリー社」が買収した(写真右=昔のオフィシャルボトルのエドラダワー。Barで見かけたらぜひ1杯飲んでみてください。旨いんだから!)。 シグナトリー社は、定年で引退したラフロイグの元蒸留所長イアン・ヘンダーソン氏をエドラダワ蒸留所のアドバイザーとして迎えた。そして、カスク・ストレングスもので様々な新しいボトルを市場に送りだし、世に問うたのはご存じの通り。 ブルゴーニュ・ワインの空樽で仕上げ熟成させた「バーガンディ・フィニッシュ」(写真左)なんてユニークな商品も生み出したが、これはこれで、結構評判は良かった。 ネットで読んだ情報によれば、ヘンダーソン氏自ら陣頭指揮して造った新しいシングル・モルト(ピートを効かしたタイプらしい)も、5年後くらいには商品化されるというので、楽しみだ。きっと品質的にもかなり改善されているだろう。エドラダワー蒸留所の今後の積極的な展開に、僕らモルトファンは大きな期待を込めて見守りたいと思う。こちらもぜひ見てねー!→【人気ブログランキング】
2006/06/08
コメント(4)
日曜は家でゆっくり、のんびりしようと思っていたのだが、数日前に訪れた大阪ミナミのBAR「O」のマスターKさんから突然、「メールで送りましたけど、日曜日のテイスティング、来てくれますよね?」とのお尋ねが…。 僕が3月に催したテイスティングの集いにも来てくれたKさん。「これくらいしか御礼できませんが、参加費は要りませんので」との嬉しいお言葉も。メールが来ていたかどうかは記憶になかったが、「響30年(写真左=メーカー希望価格10万5千円)と竹鶴35年(写真右下=同5万円)の飲み比べのほかいろいろあります。S社のブレンダーの方も来てくれますよ」と、酒呑みがそそられる内容。 これは万難を排して顔を出さなければ! 「必ず行くから、よろしくね」と返事しておいた。そして、本日午後2時に「O」に集合。スタートは2時半、三々五々、参加者が集まってくる。ブレンダーのTさんはすでに、レクチャー用のパソコンのセッティングに余念がない。テイスティングをしながら、何やら、スライドを使っていろいろ説明してくれるらしい。 TさんのほかバーテンダーがKさんも含めて3名、そしてS社の営業マンの方、一般参加は僕も含めて6名と意外と少なかった。でも、ゆったり飲むにはちょうどいい人数かもしれない(欠席者が2、3人いたようだが、こんなに凄いウイスキーを一度に飲める機会なんて滅多にないこと。後で悔しがるだろうなぁ…)。 さて、テイスティングの前にまずTさんがウイスキーを含む蒸留酒の歴史、S社のウイスキーづくりの歴史、そしてこの日のメインの酒である「響」の成り立ちについて、スライドを使って懇切丁寧に説明してくれた。 「最初はちょっと簡単に…」と言っていたはずのTさんだが、話し出したら止まらない。熱い語りは休みなく続き、気が付けばあっという間に1時間。芳しい香りの漂うグラスを前にして、「お預け」をくって恨めしそうな顔をしている我々見て、Tさんはようやく気が付いて、「すみません。飲みながら聞いてください」と(Tさんは、最終的には2時間以上しゃべり続けました!)。 ようやく美味しいウイスキーにありつけた僕らは、机の上に並べられたグラスに鼻を寄せて香りを探り、琥珀の美酒を舌の上でころがし、そして喉越しを楽しんだ。 この日登場したのは、冒頭で紹介した響30年、竹鶴35年のほか、山崎蒸留所の4種の原酒(シェリー樽、ミズナラ樽、パンチョン(ホワイト・オーク)樽、スモーキー樽)、それに響17年、カスク・オブ・白州1984年(シェリー樽)、山崎12年、オールド従価税時代、ニュー・オールド、グレーンの計12種(写真左=12本のうち8本が映っています)。 響30年と竹鶴35年という最高峰の銘柄は、これまで飲んだことはなかった。S社のブレンダーが同席しているのに、N社の銘柄というのも奇異に思われるかもしれないが、Kさんは「ブレンダーのTさんたっての希望(響30年と飲み比べたい)もあって、出しました」と語る。う~ん、太っ腹! 全種類を味わった僕の感想はと言えば、響30年も竹鶴35年も確かに柔らかくて、ビロードのような極上の熟成感。例えて言えば、ブレンディド・ウイスキーの「人間国宝」。だが、正直言って、僕がこの日一番見直したのは「響17年」。「30年」ほどの熟成感はないけれど、柔らかさ、滑らかさと、しっかりしたボディ(骨格)とのバランスが実にいい。これまでじっくり飲んだことがなかったので、知らなかった自分が少し恥ずかしかった。 Tさんによれば、「響17年」はシェリー樽、パンチョン樽、スモーキー樽の17年もの、それにミズナラ樽の25年もの、そしてグレーン・ウイスキーとをブレンドしているという。上品で、まろやかな味わいは、かのマイケル・ジャクソンを感動させた「ミズナラ樽がキー・モルトになってから」とも(写真右=和気あいあいと続いたテイスティング。手前左側の後ろ姿、白っぽいジャケットがブレンダーのTさん)。 貴重な銘柄が味わえる機会に誘って頂いたKさん、ほんとに有難う。感謝、感激です。最後までおらず、途中で失礼してすみません(少量ずつとは言え、昼間からこれだけ飲むと、結構酔っぱらってしまって、正直言って、最後の方になると味がよく分からなくなってしまったけれど…(笑))。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2006/04/23
コメント(8)
またまた、ブログのネタ切れ。シュン…。酒もBARもグルメもジャズもロックも映画もミステリー小説もガーデニングも、う~ん、適当なネタがなーい。これは困った。3日おきの更新も、ついに断念せざるを得ないか? で、困った時のバーテンダー頼み。ブログの愛読者にもなってくれている、大阪キタの行きつけのBAR「C」のマスターに、「なんか、ええネタないかなぁ…」と困った顔してると、「こんなんどうです?」と目の前に1本のミニ・ボトルが。 「なにこれ。ただの、ビターズちゃうの?」と僕。「でも、このままストレートで飲んだことないん、ちゃいます?」とマスター。確かに、ビターズをストレートで飲むなんて、考えてもみもしない。そもそも、ビターズはカクテルを引き立てる「脇役」というイメージ(写真左=ビターズと言っても、結構いろいろあります)。 ビターズ(Bitters)。「苦い、つらい、痛烈な」という言葉「ビター」転じて、ハーブやスパイス、果実の皮、樹皮などを酒に漬け込んでつくる苦みの強いアルコール飲料。だが、そのまま飲むことはまずなく、カクテルの隠し味として使われる程度というのが僕の認識だった。 ビターズは別名「アロマチック・ビターズ」とも言う。なかでもよく知られているのは、アンゴスチュラ・ビターズとオレンジ・ビターズの2種。通常60mlの小瓶が、デパートなどでも市販されている(BARでは200mlの瓶か、小さなビターズ・ボトルに移しかえて使われることが多い)。 ビターズはその名の通り、苦い。ほろ苦いというレベルではない。だが、マニアックな人なら、この苦さに意外と「はまってしまう」かもしれない味わい。でも、僕はまだストレートで口にしたことはない。 「こんなん、ストレートで飲むお客さんおるの?」と僕。「それがねぇ…、まぁ飲み方はロックが多いんですけど…。意外とクセになるらしいです。好きな人、結構いてはりますよ」とマスター。「そうか、じゃぁ、モノは試しに飲んでみるわ」と言って、僕もロック(写真右)でお願いする。 さて、飲んでみたお味の感想と言えば。冷たくして飲むと意外と飲めてしまう。心地よい(?)苦さが第一印象。しかし、飲んで5分ほどすると、舌を刺すような赤唐辛子系の辛さも襲って来る。これはなかなか手強い。チェイサー(水)がないと、ちょっとつらいかも。 飲み干した僕の結論は、風邪をひいた時などこれを飲めば、きっと翌日には治っていると思う。でも、やはりどんなお酒にもその特徴が一番生かされる場(カクテル等)があると思う。ビターズも、ビターズの個性が生かされるカクテルで味わった方が、きっといい。 ビターズを使う有名なカクテルと言えば、やはり、「マンハッタン」(ライ・ウイスキー、スイート・ベルモット、アンゴスチュラ・ビターズ=写真左)が一番か。ほかにも、ジン&ビターズやバンブー、オールド・ファッションドなどが知られる。 ビターズのあるなしで、味わいは劇的に変わる。まぁ、寿司で言えば、ワサビみたいな存在かな? BAR好きの皆さん、機会があれば、ビターズのロックを一度お試しを。ただし、風邪をひいている時に、連れと2人で一緒に1杯分楽しむに限る。1人で1杯を飲むのは結構つらいから。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2006/04/20
コメント(15)
ウイスキー(モルト&ブレンディド)やカクテル、スピリッツの話題が多い僕の日記だけれど、最近焼酎を飲んでないわけではない。和風のものを食べるときは、7:3の割で、焼酎が多い(残りの3割はビールと日本酒)。 ひと月に飲む新しい銘柄の焼酎は4、5種類はあるだろうが、いい気分で飲んで食べていて、店を出てから、「あー、写真撮るのを忘れたー!」なんてことが多くて、恥ずかしい限り。 そんななかでも、印象に残った美味しい焼酎は、できるだけカメラにおさめ、記録している。ボトルの写真を見たら、その日の情景や店のこと、一緒に飲んでた相手の表情までもがよみがえる。 この数ヶ月の間に飲んだ焼酎のなかから、とくに印象に残ったのをいくつか紹介するが、もう一度飲みたいなぁとインターネットで調べても、ほとんどの銘柄は品切れ状態。改めて、「僕はとても旨い、人気の焼酎を飲ませてもらったんだなぁ」と思う。 「村主(すぐり)」(写真左上)。長崎・壱岐生まれの麦焼酎。長期貯蔵の古酒を使い、昔ながらの木桶甑での蒸米、かめ壺仕込みへのこだわりがセールス・ポイントという。白麹と黒麹をブレンドしたせいか、優しい味わいのなかにも芯の強さを感じる。ネットで販売している店でみると、一升瓶で2500円ほどのお値段なのだが、残念ながら品切れ中。 「狩生(かりう)」(写真右上)。同じ麦でもこちらは、大分県。それも「オーガニック麦」の使用をアピールしている。オーガニックだから味わいがどうだとは、うまく表現できないが、香りが高く、コクがある印象。30度と若干高めなので、確かに、ボディはしっかりしている。 「長雲・一番橋」(写真左中)。これは黒糖焼酎。当然(?)奄美生まれの美酒なんだけれど、名前の由来は創業の地のそばにあった橋とか。創業者の思いがこもったお味は、芳しい香りと芳醇な味わいで、黒糖らしい特徴がよく出ている銘柄と思う。 「水車館」(写真右下)。芋もちゃんと飲んでますということで、こちらも忘れずにご紹介。鹿児島の名水「大重谷原水」を仕込み水にして、あの「魔王」を生み出した名杜氏の方がつくったというから、味わいは推して知るべし。華やかな香りと、やわらかい味わい。う~ん、さすがという感じ。 最後に嬉しいニュースを一つ。以前に、麦焼酎「兼八」(写真左下の左側)が大好きだという話を昨年3月16日の日記で触れた。そして「兼八」を手に入れるのにいつも一苦労するということも書いた。 そんな「兼八」が、先日東京出張した折、たまたま立ち寄った八重洲・地下街の酒屋さんで見つけた。720ml瓶で、お値段はちょっと高め(4500円)だったが、「(阪神間じゃ)売ってないんだから、仕方ないかぁ…」と思い切って買った。 この話を「兼八」を置いている大阪のあるBARのマスターにしたら、「そんなん高いよ。蔵元の売価の倍近くとってるよー。うちで仕入れる時、一緒に取ってあげますよ」と親切に言ってくれたが、いつもいつも頼むのは気が引けるし、ねぇ。 そんなことに悩んでいたら、先日、会社近くの酒屋さんで、「兼八」の味わいに極めて近い、旨い麦焼酎を見つけた。上記のBARで飲んで覚えていた銘柄だが、それが「つくし 全麹」(写真左下の右側)。最近は、家でよくこれにはまっている。麦のこおばしい、強い香りが何ともたまらない。5年古酒をブレンドしているせいか、まろやかさも感じる。買った酒屋さんが今後とも、継続的に取り扱ってくれたら嬉しいんだけれど…。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2006/04/11
コメント(14)
先週末の土曜の午後、親しいバーテンダーさんたちと一緒にヴィンテージ・ウイスキー・テイスティングの集いを、2年ぶりに開いた。主催者は一応、僕と会社の同僚の計2人。 場所は、大阪キタのとあるBAR。営業時間の前に店を開けてもらった。バーテンダーさんへの日頃の感謝の気持ちとして開いているから、会費はとらない。その代わり、酒のアテの持ち込みはOK。あいにくの雨にもかかわらず、20人近いバーテンダーさんが集まってくれた。 店は一応15人くらいがキャパの店なので、定員オーバーのにぎわい。「お天気が良ければ、椅子を店の外に出して、(店内を)もっと広く使えたんだけどねぇ…」と会場を提供してくれたオーナー・バーテンダーのHさんは残念そうだったが、まぁ、肩擦れ合わせてわいわい飲むのも、それはそれで、結構楽しいもの。 今回、テイスティングしたボトルは、左上の写真で言うと、モルトでは左から、「グレンファークラス105」(従価税時代)、「ストラスアイラ“大阪ミナミ”ボトリング」(唯一のヴァッディド・モルト)、「ハイランド・パーク8年」(80年代のオフィシャル)、「マッカラン1971」(オフィシャルの18年もの)。 ブレンディドが、右の写真で右から、あの伝説の「キングス・ランサム」、「ジョニー・ウォーカー・レッド」(70年代前半のコールドベック時代のもの=760ml)、「ロイヤル・エスコート12年」(従価税時代)の3本。左端の1本はシングルモルト(あえて名前は内緒。ごめんなさい)。 今回テイスティングしたなかでは、とくにハイランド・パークとジョニ赤が結構、人気だった。もちろんマッカランやファークラスも期待通りの味わい。僕は個人的に、ファークラスが一番気に入った。60度という高い度数だが、少し加水すると香りが立って、思わずうなる旨さに変身してくれた。 そして、恒例のブラインド・テイスティングのクイズ(飲んで味わって、紙に銘柄名を書いて、投票箱に入れる)は、前回の1本から、一気に3本(種類)=写真左=に増えて、プロのバーテンダーさんらも、真剣な表情で味や香りを探り、考えてくれた。 ブラインドのテーマは、3本のうち2本は、僕とHさんで考えた。そして残りの1本は同僚が出題。その考えた問題とは、A(70年代のホワイト・ホース)、B(シェリー樽熟成の麦焼酎「夢想仙楽」=見かけや味わいはウイスキーっぽい)、C(ブラックニッカ40周年記念ボトル)。 ブラインドもしらふの時にやれば判断力も確かなのだが、テイスティングの杯を重ねて、少し酔いが回った状態でブラインドをやると、これはプロのバーテンダーさんでも結構難しいという(写真右=参加したバーテンダーの皆さんは、銘酒、珍酒の数々を味わい、口々に「うんめぇー」)。 結果から言うと、さすがプロのバーテンダーだけあって、Bがウイスキーではなく、焼酎であることは7割くらいの人は当てていた(と言うことは、プロでも3割の人は間違ってしまう銘柄!)。そしてCも、3人の人が銘柄までズバリ的中。 だが、Aのオールド・ボトルの銘柄は的中者はなし(ブラック&ホワイト、ハイランド・クイーン、シーバス・リーガルという名前を書いて、スコッチのブレンディドと見抜いた人は3人いたけれど…)。かくも、オールド・ボトルのブラインドというのはプロにとっても難問のようだ。 最終結果は3問中、2問を当てたSさんが、1位賞品のアンティーク・グラスをゲット! ほかに、「ブラックニッカ」と銘柄を言い当てたYさん、Mさんら計5人に賞品を差し上げた。 この日の酒のアテは、僕が持ち込んだスモーク・チーズのほかに、鶏レバーの薫製や生チョコレート、鮭トバ、自家製パウンドケーキ…等々、皆さんがいろんな美味しい逸品を持ち寄ってくれた。感謝感激! 2時間に及ぶテイスティングの集いは、最後に参加者で記念写真(写真左=先に帰られた方もいて、全員映っていないけれど…)を撮って、無事お開きに。次回は2年後と思っているんだけれど、「2年後と言わず、来年またやってよ」という声も出たりして、主催者としては嬉しい限り。 さて、次回はどんな趣向、企画でやろうかなぁ。クイズもまた考えるのは大変だけれど、「プロを悩ませるような問題をつくりたい」と考えるのも、また楽しいよ。忙しい中、参加してくれたバーテンダーの皆さん、ほんとに、ほんとに有難う!人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2006/03/21
コメント(15)
今年も行って参りました。明石の「太陽酒造」(写真左上)の蔵開き。好天の日曜。明石市中心部から山陽電車と徒歩で30分ほど。江井ヶ島(海に浮かぶ島ではありません。念のため)という、のどかな所にある蔵元を訪れた酒好きは、100人近くはいたかなー。昨年の日記はこちらに。 友人が主宰している同好会の新年恒例イベントとして、もう10年近く参加しているだろうか。太陽酒造は江戸末期の創業。家族経営で月産約800本という、おそらく日本で一番小さい酒造メーカー(公称「百石」)。 蔵開きでは、純米吟醸の生原酒2種、透明なタイプの「たれくち」(写真右上)と、にごりタイプの「おり酒」(写真左下)がほぼ飲み放題。「たれくち」は酒船搾りという手間のかかる手法で丁寧につくられた辛口。「おり酒」は普通のにごりのように極甘口ではなく、ほのかに甘いという程度のすっきりした味わい。 出来たての新酒が味わえるのも嬉しいが、酒の肴には寿司や、イイダコの煮付け、漬け物の盛り合わせ、粕汁、湯豆腐、かわきもの等が人数分出て、お土産に酒粕まで付く。これで2千円はホンマに安い! 蔵開きの宴は醸造所前の広場のような、屋外のスペースで開かれる(写真右下)。この時期、当たり前だけれど結構寒い。寒い中で、新酒を冷やで飲むもんだから、これはよほどの酒好きでないとちと辛い。体を温めようとピッチを上げるから、酔うのも早い。 去年あまりにも寒かったので僕と連れ合いは、毛糸の帽子&携帯用カイロ(体用&靴用)、それに熱いお茶入りの水筒持参という、ほぼ完璧な防寒準備のうえで参加した。おかげで今年は寒さなど平気で、お酒を存分に味わえたぞー。 蔵開きの帰り、一部のメンバーはさらに明石駅前の、日曜も営業している居酒屋へ「転戦」したようだが、僕らは相当出来上がってしまって、まっすぐ帰宅。お土産にはもちろん「たれくち」と「おり酒」、そして、自家製の奈良漬も購入。 夜は、お土産(おまけ)でもらった酒粕をふきんに包んで、お風呂に入れて、即席の「酒粕風呂」。これが、お酒のいい香りが漂い、体も温まって、肌もつるつるになって、とても幸せな気分になれる。 どうですか、皆さんも、一度太陽酒造の見学へぜひお越しください。蔵開きのようなイベントの時以外でも、製造直売はしています(ネットでの通信販売をしている酒屋さんもあります→YahooかGoogleで検索してみてネ!)。【太陽酒造】兵庫県明石市大久保町江井ヶ島789 電話078-946-1153人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2006/02/01
コメント(10)
「誰も飲んだことのないモルト」だと、その本(「改訂版・モルトウイスキー大全」=土屋守著、2002年春刊=写真左下)にはあった。そう言われると飲みたくなるのが酒飲みの常だ。 大手のウイリアム・グラント&サンズ社によって建てられた第5のウイスキー蒸留所という。その名は「キニンヴィ(Kininvie)」という。だが、紹介されているページには、いつ頃発売になりそうとかとかは記されておらず、「瓶詰めを待つしかないのかもしれない」と結ばれていた。 それから約4年、「キニンヴィ」のことも忘れかけていたある日、大阪キタのあるBARで、バーテンダーから「こんなん入りましたけど、どうですか?」と勧められたボトル(写真右下)。その名は「Monkey Shoulder」とあった。 「Monkey…って?」といぶかる僕に、「知りません? キニンヴィっていう、いまだオフィシャルが出荷されていなかった蒸留所のこと…」とそのバーテンダー氏。 そこで、初めてあの土屋さんの本に出ていた幻のボトルのことを思い出した。でも、ラベルには「Kininvie Distellery」の文字はない。何年物のボトリングだという表記もない。 ただ、ラベルの説明をよく読めば、スペイサイドの3つ蒸留所の27種のカスクからヴァッティドされたとあり、「From Kininvie」という文字も見えた。そして、「Willam Grant’s」の名前も。 客観的にみて、これがキニンヴィのモルトを使って生み出された初のオフィシャル・ボトルであることには間違いないだろう。だが、残念ながら、シングルモルトではなかった。 しかも3つの蒸留所というから、他の2つはおそらくはグラント社が持つグレンフィディックとバルヴェニーだろう。バーテンダー氏の見方では、「おそらくは、まだ若いモルト同士のバッティングではないか…」とも。 確かに、バニラや花のような香りが心地よく、パワフルさもあるが、まろやかさや奥行きは、まだ決して十分とは言えない。そういう意味では物足りない(ちなみに「Monkey Shoulder」とは木製スコップを使ったフロアモルティング作業で疲れて痛めたウイスキー職人たちの肩のこととか)。 1990年に創業の蒸留所。だから14~15年熟成のモルトがあってもおかしくはない。初の製品にシングル・モルトを選ばなかったのは、今の段階ではまだ自信を持って出せるカスクが見出せなかった証(あかし)かもしれない。 とは言え、ウィリアム・グラント社は、スコッチ・ウイスキーの雄。このままで終わるはずはないだろう。いずれ満を持して、「キニンヴィ」ブランドの自信のシングル・モルトが市場に出る日が来ると、僕は信じる。その日はそう遠くないだろう。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2006/01/20
コメント(2)
「ブログのネタ探しに最近困っていてねー」という話を、あちこちのBARでしているから、最近はバーテンダーの皆さん(もちろん僕がブログをしていることを知ってる人だが)が、「こんなんどうですかー?」といろいろとネタをくれる。ホントに感謝感激! という訳で、今回は先日訪れた2軒のBAR(大阪&徳島)で教えてもらったモルト・ウイスキーの話題。僕の大好きなモルト、ボウモアがオフィシャルの新製品2種を出した。「ボウモア・エニグマ」(写真左)と「ボウモア16年・ノンチルフィルタード(無濾過)」(写真右下)。 前者「エニグマ」はこの秋発売されたばかりで、シェリー樽熟成がウリ。味わった印象では、これまでボウモア・オフィシャルの、シェリー樽熟成の定番となっていた「ボウモア・ダーケスト」よりも、マイルドで、シェリー香はダーケストよりも強い。でも喉越しはソフトだから飲みやすい。女性向きかもしれない。 色もダーケストよりはやや赤みがかっている。気になる中身だが、噂では12年熟成のものがメインになっているという。こんな新製品を世に出すのは、たぶん世界的なシェリー樽熟成ブームを睨んだオーナーの、日本のS社の戦略かな? ちなみに「エニグマ」とは、スペイン語で「謎」という意味らしい。第二次世界大戦中は、ドイツ軍の暗号機の名だったことでも有名だ。それに関係あるのかどうかは知らないが、このエニグマはドイツの免税店向けに製品化(1リッター瓶のみ)されたという。 ところが、このエニグマのことを教えてくれたバーテンダーは、イタリアに行った帰りにロンドンのヒースロー空港の免税店で買ったと話していたから、「ドイツの免税店オンリー」というのは、若干怪しい。 もう一つの新製品、「16年・ノンチルフィルタード」の方は、先日訪れた徳島のBAR「鴻(kohno)」で初めて頂いた(「エニグマ」と出合った大阪のBAR「C」にも置いていたが…)。オフィシャルだけれど、12年でも17年でもない、「16年」というのが微妙なコンセプトだ。 「無濾過ボトリング」というのも、最近、世界的に流行りになっているが、無濾過という割にはクリアな味わいだったりして、飲んでがっかりすることも多い。このボウモア16年もはっきり言って、無濾過というには若干上品過ぎて僕には物足らなかった。 そう言えば、国産で「無濾過」をウリにしているウイスキーもあるけれど、クリア過ぎてせっかくの無濾過というキャッチフレーズが看板倒れになっているものが多い。「無濾過」というからには、もっと荒々しい、素朴な味わいがほしい(樽由来のオリが入っててもいいじゃないか)。 ボウモアの話に戻れば、今後はどういう方向を目指すのだろうか。オフィシャルのクオリティをさらに高めていってほしいのはもちろんだし、「変化球ラインナップ」を増やしていってくれるのもいい。でも中途半端は嫌いだ。どうせ、商品化するなら「変化球」に徹してほしい。 ところで、この「ボウモア・エニグマ」。日本のボウモア愛好家が簡単に飲めるのか心配だが、ネットで検索すると、通信販売で取り扱っている酒屋さんもあるようで、ひとまず安心。あの手この手で愛好家心理をくすぐるボウモア蒸留所の戦略には目が離せない。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2005/12/16
コメント(10)
ブログの友人の間では最近、シェリーがちょっとブレイク中。最近の静かなシェリー・ブームのきっかけは何なのかは知らないが、僕も近頃は、BARのカウンターで「マンサニーリャ」や「アモンティリヤード」を頼むことが多くなった。 以前にも書いたけれど、シェリーという酒とは、モルト・ウイスキーを通して出合った。ウイスキーの熟成樽として、シェリーは昔から重要な役割を果たしてきた。マッカラン、エドラダワー、グレンドロナック、ボウモア・ダーケスト、モートラック、オスロスクなどシェリー樽熟成で有名なモルトは、シェリーなくしてその存在は考えられない。 ブームに便乗し、最近は、熟成の最後の1~2年だけシェリー樽に移しただけで、「シェリー・カスク」と銘打って販売する蒸留所やボトラーズ(独立系の瓶詰め・販売業者)も目につくが、こんな商法にはちょっと首をかしげる。 モルト・ウイスキー好きの僕だが、なかでもアイラ系のモルト・ウイスキーと並んで、シェリー系のモルト・ウイスキーが好きだ。BARでモルトを飲むときの3回に1回は、シェリー系のものを頼んでいるような気もする。 シェリー系のモルトなかでも最近僕のお気に入りは、グレンドロナック(Glendronach=写真左)。ゲール語で「黒いちごの谷」を意味するその名は、シェリー樽熟成のモルト・ウイスキーにとてもお似合いだと思う。 赤みがかった深い琥珀色は、まさしくシェリー樽由来の証(あかし)。香りはスイートで、かすかにスモーキー。味わいはリッチで、フルーティ。ブレンディド・ウイスキー「ティーチャーズ」のキー・モルトとしても知られる(写真右=石造りの建物が美しいグレンドロナック蒸留所)。 マッカランはしばしば「モルトのロールスロイス」と形容されるが、グレンドロナックは、さしずめ伝統の名車「ベントレー」か「ジャガー」か(写真左=この夏、イタリア帰りにヒースロー空港のリカー・ショップで購入した「グレンドロナック25年(1968年蒸留)」。見るからに旨そう! 日本国内にはほとんど出回らないボトルらしく、ネット・オークションでは、5万円以上の値も。ヒースローでは3分の1くらいの値段で買えました!)。 グレンドロナック蒸留所は1826年の創業。創業主は当時の田舎の地主の息子という話だが、その後何人かの人手に渡ったあと、現在はアライド・ディステラリーという会社の所有になっている。 同蒸留所の特徴は、頑固なまでに伝統的な製法を今も守っていること。地元産の大麦を使い、フロア式の麦芽づくり、オレゴン松を使った木桶発酵、石炭による直火蒸留…。そして、もちろんオロロソ・シェリーの樽を使った丁寧な熟成。 以前は、オーク樽熟成のオフィシャルの12年物も出していたが、現在の12年物は「シェリー樽熟成&オーク樽熟成」のバッディド・モルト。シェリー樽100%のものは15年物がメインになっている。 ただし、このグレンドロナックという銘柄は、ボトラーズ物でさまざまな種類のものが商品化されており、我々にとっては嬉しい限り(写真右=これは「ノン・チルフィルター(無濾過)・ノン・カラーリング」をうたい文句にしたあるボトラーズのグレンドロナック。でもシェリー樽熟成がウリなのに、この色って何なのだろう?)。 僕は、これからもこのグレンドロナックを愛し続けていく。願わくは、18年ものとか、21年ものとか、もう少しオフィシャル・ボトルにバリエーションを持たせてほしいんだけれど…。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2005/11/24
コメント(8)
先日、「最近、Blogに書くネタ探しが結構大変なんだよー」と言う話を、親しいバーテンンダーにしていたら、「こんなネタはどうですか?」と教えられた。 それは、貴方もスコットランド・アイラ(Isle of Islay)島の土地の「生涯貸借権」が得られるという話。あのラフロイグ(Laphroaig)蒸留所=写真左=が、保有する蒸留所内の30cm四方の土地をプレゼントするという”愉快な”キャンペーンをおこなっているんだという。 ラフロイグ蒸留所の公式サイトから申し込めば、誰でもその土地の権利証明書を数カ月後に貰えるのとのこと。うれしがりの僕は、早速トライしてみた。公式サイト内の「ラフロイグ友の会(Friends Of Laphroaig)」というリンクへ飛ぶ。 そしてそのページの指示通り、手元にあるラフロイグのボトルの背ラベルにあるバーコードの13ケタの数字を打ち込むと、申込書のフォーマット(用紙)が現れる。 名前、住所、生年月日、Eメ-ル・アドレス、自己紹介、ラフロイグ歴など、書き込むところが結構あって、少々疲れるが、終わって送信(Submit)すればめでたく完了! 画面はただちに、「Mr. ※※※※、Welcome to Friends Of…」というものに代わり、「Your plot number:269328」という土地番号が送られてきた。ご丁寧に、権利を獲得した土地の衛星拡大写真(写真左=赤い点が僕の土地らしいです)まで!見られる。 蒸留所内の土地のオーナーになったからと言って、地代が貰えるわけではない。単なるお遊びと言ってしまえばそれまでだが、あのアイラ島の小さな土地のオーナーになった気分は、なかなかいいもんだ。 僕より先に会員登録した人の話によると、忘れられた頃送られてきた権利証明書「Lifetime Lease On A Square Foot Of Islay」(写真右)には、こう記されていたという。 「もし貴方が(この証明書を持って)ラフロイグ蒸留所を訪れたら、地代(つまり僕がこの土地をラフロイグ社に貸している形)として、年に1杯のラフロイグが与えられ、その土地にも案内してもらえます。野生生物から身を守る装備一式も提供いたします」と記してあったという。 キャンペーンのチラシには、こんな泣かせる話もあった。ある時、骨壺を持った未亡人がいきなり蒸留所に現れた。彼女は蒸留所の関係者に「夫に与えられた土地へ連れて行ってほしい」と頼み、そして、その30cm四方のヒースの土地にうらうらしく遺骨をまいたのだという。 僕も、死んだら「遺灰を自分の土地(No.269328)にまいてほしい」と遺言に記しておこうかなと思ったが、「残された家族が迷惑するだけやろ」という友人の声を聞いてやめた。 それよりも、近い将来、アイラ島を訪れたら、自分の土地を訪れて、その上に立って、記念写真くらいは撮りたいな。あー早く実現させたいアイラ島への旅。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2005/11/12
コメント(19)
シェリー(Sherry)と言えば、「一部のウイスキーの熟成の使われる樽の元になったお酒」という知識くらいしかなかった。以前は、ほとんど飲まなかった。だが最近、シェリー好きのブログの友人たちの影響もあって、BARで、シェリーを飲むことが多くなった。 ワイン同様ぶどうから造るシェリーは、ワインに似ているが、味や香りやボディーはかなり違う。腐敗防止(酒精強化)のためブランデーも添加されているので、味わいはとてもしっかりしている。ワインというより、ブランデーやダーク・ラム、グラッパなどに近い感じもするし、僕はむしろ食後酒として飲む方が好きだ(写真左=辛口のシェリーは大好き!)。 主な産地はスペイン・アンダルシア地方(ちなみに、スペイン(語)ではシェリーのことを「ヘレス」と呼ぶとか)。海に近いこの地方は、地中海性の温暖な気候に加えて、石灰質の土壌に恵まれ、シェリーに合うぶどうの栽培にとても適しているという。 シェリーの樽は、ワインで満杯にはせず、上部に空間を少し残す。その方が発酵がうまく進み、発酵後しばらくすると、液の表面に白いカビのような膜が出来てくる。この膜(フロール=「花」という意味)が、シェリー独特の香りを生む秘密だという(写真右の2枚=多彩なシェリーは奥が深い)。 スペインにはたくさんのシェリーがあるそうだが、残念ながら、日本ではあまり多くの種類は飲めない。美味しいシェリーが飲みたければ、シェリーの品揃えに力を入れているBARに行くのが一番。大阪だと、キタにある「A」や、ミナミの「H」などが有名だ。 僕は勤め先の関係で、前者の「A」に行くことが多い。この「A」のマスター・バーテンダーのMさんは、シェリーに魅せられて、アンダルシア地方にも何度も足を運んだというだけあって、シェリーについてはとても詳しい。 「A」には50種類近いシェリーが用意されている。「食前酒」のイメージが強いシェリーだが、僕はこの「A」でシェリーにもいろんな種類があり、食後に飲んでも十分美味しいことを教わった(写真左=シェリー・ブランデーなんて酒もあります)。 それまでは、フィノ(きりっとした辛口)と、マッカランなどの熟成樽として有名なオロロソ(芳醇な味わい=甘・辛口両方ある)くらいしか種類を知らなかった僕だが、アモンティリヤード(優しい口当たりの中甘口~辛口)、オロロソ(芳醇な味わい=甘・辛口両方ある)、ペデロ・ヒメネス(甘口)、マンサリーリャ(繊細な辛口)、パロ・コルタド(オロロソとアモンティリヤードの中間)など…、実に多彩な世界があることをMさんから学んだ。 シェリーにはもう一つ、「ヴェネンシア」という欠かせない道具がある。長さ1mほどの弾力性のある金属製の棒の先に、円筒形のカップが付いていて、シェリーを満たしたカップを、頭のやや上くらいの高さにまで一気に引き上げながらグラスに注ぐ。そうするとグラスに落ちるまでの間、シェリーが空気に触れて、よりまろやかな味わいになるという。 「ヴェネンシア」を使ったこのパフォーマンスをする人のことを、「ヴェネンシアドール」(写真右)というが、その注ぐ動作の美しさは、見ているだけでも楽しい。初めての人は、「おーっ!」とびっくりすること間違いない。 Mさんはスペインにまで行って「ヴェネンシアドール」の資格を取った本格派。僕はひそかに、「西日本No1のヴェネンシアドール」と思っている。機会があれば、ぜひMさんに「シェリーを、ヴェネンシアで」と頼んでみてください。 そして、できれば「ヴェネンシア」したものと、しなかったものを飲み比べ、その微妙な味わいの違いを楽しんでみるのも一興だ。たかがシェリー、されどシェリー。ほんとに奥が深い酒だと思う。人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】
2005/10/29
コメント(8)
ラフロイグ(Laphroaig)。ゲール語で「広い入り江の美しい窪地」という意味のモルト・ウイスキー。ブレンディド・ウイスキー「バランタイン」のキーモルトとしても使われ、「スモーキーでピーティー」あるいは「ソルティ」と称されるアイラ・モルトの中でも、群を抜いて個性的なモルト。 初めて飲んだ人は、「何だ、この消毒薬のようなウイスキーは!」と、その強いアタックに腰を抜かす。そして、そのままはアイラ・モルトの奥深さにはまっていく人と、「こんな酒は二度と飲まんぞ」と離れてしまう人と、二つに分かれることが多い。 蒸留所は、アイラ島の南、静かな湾に面して建てられている。1815年の創業。周辺には、同じくアイラの人気モルト、ラガヴーリンとアードベッグの蒸留所もある(写真左上=白壁が美しいラフロイグ蒸留所の建物。 (C )バランタイン社のHPから ) ラフロイグは、ボウモアやラガヴーリンと並んで、今では世界で最もよく飲まれているアイラ・モルトの銘柄。シングルモルトで最初に「プリンス・オブ・ウェールズ御用達」の称号をもらったという事実からも分かるように、チャールズ皇太子の最も好きなウイスキーとしても有名だ(写真右=ラフロイグのオフィシャル10年。この強烈な個性に圧倒された人数知れず)。 しかし1940年代までは、英国内でもさほど人気のある銘柄ではなかった。現在の名声の基盤は50年代に入り、蒸留所長になったベッシー・ウイリアムソンという女性に負うところが大きい。 ベッシーは、約20年の歳月をかけて製造工程の大改修に取り組んだ。そして、現在のようなバランスに優れ、ボディのしっかりしたラフロイグをコンスタントに生産できるような体制を整えたという。 ラフロイグがなぜ、同じアイラ・モルトの中でもとりわけスモーキーなのかはよく分からない。独自のフロアモルティング、サーネイグ川から取る独自の仕込み水、独自の採取場から採れる多量の苔を含んだピート、海に直接面した熟成庫等々…、様々な要因があり、その融合の神秘がラフロイグを生む。それは、人智の及ばない神の魔法かもしれない。 僕は、徳島時代にラフロイグと出会い、その後、しばらく別れた時間がかなりあった。嫌いになったという訳でもない。他のシングルモルトもいろいろ味わってみたくて、ただ「蒸留所巡り」に忙しかったこともある。そして、最近になって、またラフロイグとの邂逅が楽しいと思えるようになってきた。 そんなきっかっけをつくってくれたのが、今年、ラフロイグ蒸留所が創業時の味を、創業当時の手法で再現すべく創り出した「クォーター・カスク」という記念ボトル(写真左下)。普通サイズのオーク樽(バーボン樽)で前熟された後、4分の1サイズの樽に移して後熟されている。 小さいサイズの樽で熟成させると、当たり前だが、樽とウイスキーの接触面積が3割ほど増える。その分、熟成が早く進み、樽材の影響(樽由来の香りや甘味等)を短時間で受ける。言い換えれば、樽の個性がウイスキーの個性に大きく反映することになる。 「クォーター・カスク」は、やや明るい琥珀色をしている通常のラフロイグの10年もの等とは違って、やや深みのある濃い琥珀色。口に含むと、ラフロイグ独特のスモーキーさだけではなく、オイリーな熟成感も十分に味わえる。また、ココナッツのような甘味もほのかに感じられるなど、バランスの良さが素晴らしい。 大阪のBARでその上質な味わいを体験した僕は、たまたま神戸の酒屋さんで予約販売していたのを見て、手に入れることができた(お値段はオフィシャルの普通のボトルと変わらないくらいで、とても良心的だった)。 でも、気になることも一つ。酒屋さんは「世界で限定5000本とか言ってますので、次また造るかどうか…」と言っていた。これっきり飲めなくなるのは、ファンとしては困る。できれば、毎年この「クォーター・カスク」を出し続けていってほしいと思うのだが…。
2005/09/19
コメント(6)
夏ということで、ビールの話題を。ウイスキーに比べて、さほど銘柄にこだわりのない僕だけれど、やはり好きなビールはある。 まず我が家でいつも一番よく飲んでいる定番ビールは、サントリーのモルツ(写真左上)。そして時々、キリンの「一番搾り」の生。これは一応、あの家庭用の生ビール・サーバーで注ぐ(先日も友人6人を招いた我が家の宴会でも、活躍してくれました)。 別にアサヒやサッポロのビールが不味いなんて全然思わない。むしろ、アサヒの「スーパードライ」やサッポロの「黒生」なんて、日本が世界に誇る素晴らしいビールだと思っている。モルツを第一選択として飲むのは、「長年の慣れ親しんだ味」という以外に理由はない。 さて、では外では何を飲むかということなると。選べる店ではこだわりがある。昔はバドワイザーやハイネケンも好きだったのだけれど、最近は、カールズバーグ(写真右上)かバス・ペールエールが多い。時々、キリンのハートランドや、ニュー・キャッスル・ブラウンエール(英国)も飲むけれど、これは置いている店が少ない。 カールズバーグは、1847年創業のデンマークの伝統あるビール。「下面発酵」(下記の注ご参考)タイプ・ビールだが、独特の酵母培養技術で爽快な喉越しとコクを併せ持つラガー・ビールを生み出し、世界的な人気を集めるようになった。今日では、なんと世界40カ国に生産拠点を持つ、ワールドワイドな銘柄である(現在では日本のS社も資本参加し、生ビール・タイプも販売している)。 その日の気分にもよるけれども、カールズバーグのあるBARでは、まず迷わず、これを頼む。次によく頼むのが、英国生まれのバス・ペールエール(写真左下)。これも最近はBARによっては、缶ではなく、生タイプを置くところも増えてきたのが嬉しい。そんな店では、もちろんバス・ペールエールを飲む。 エール・タイプのビールだから、赤茶色をしていて濃厚な味わいだけれど、ギネスのような苦みはほとんどない(「ペール・エール」とは「濃い色のエール」という意味)。ひと頃の僕は、ギネスも好きでよく飲んでいたが、最近はあの独特の苦みが少し苦手になって、パブでは、バス・ペールエールか、キルケニーというもう一つのエール・タイプの生を頼むことが多い。 バス・ペールエールのバス社は1777年の創業というから、カールズバーグよりも歴史は古い。醸造所はイギリス中部のスタッフォード州にある。バス・ペールエールは、カールズバーグとは違って「上面発酵」(下記の注ご参考)タイプ。芳醇な酸味とカラメルの風味を併せ持ちながら、キレも良い絶妙の味わいが特徴だ。 さて、そこで現時点で僕が一番好きなビールの話に変わるが、その銘柄とは、残念ながら、日本のBARやPUBではなかなかお目にかかれないので、いつも悔しい思いをさせられる「ブルックリン・ラガー」(写真右下)。 ブッシュが大統領になってからのアメリカは昔ほど好きになれないが、このブルックリン・ラガーに対する愛情は変わらない。初めて飲んだのは、6年ほど前の徳島のBAR「F」(いまはもうないが)。地方都市だから、おそらく「F」のマスターのこだわりだったのだろう。ただし、入荷する時としない時があって、飲めたらラッキーという感じだった。 「ブルックリン・ラガー」の誕生は1988年、その歴史は意外と新しい。禁酒法(1920~1933)が施行される前、ビール醸造の中心地だったニューヨーク・ブルックリンの伝統の味を蘇らせたいという2人の事業家が造り出した。「ブルックリン・ラガー」は、翌年のテイスティング・コンテストで1位になり、その名は一躍全米で知られるようになったという。 ブルックリン・ラガーの特徴は、発酵、醸造の時間を通常の2倍かけた、まろやかな味わい。ラガー・タイプだが、色は赤茶色でエールっぽい。喉越しはクリアで、フルーティーさもあって、爽快だ。 これまでに飲んだビールの「ベスト1は何?」と聞かれたら、(個人的な好き嫌いなので申し訳ないが)僕はやはり、この「ブルックリン・ラガー」と答えてしまう気がする。残念なのは、日本国内ではこの銘柄を置いているBARやPUBも、取り扱っている酒屋さんも少ないことだ(まぁ、その希少価値がまたいいのかもしれないが…)。 しかし、今回ネットで検索してみると、通信販売している酒屋さんもいくつかあることがわかった。もしご興味のある方はぜひ一度、この「ブルックリン・ラガー」をお試しあれ(350ml入り瓶で320円~400円くらいで売ってます)。【注】下面発酵と上面発酵:「下面発酵」は、低温(6~15度)で酵母を発酵させる製法。すっきりした味わいになる。タンクの底に酵母が沈降することから、こう呼ばれる。19世紀以降、ビール造りの主流。これに対して常温(18~25度)で発酵させるのが「上面発酵」(酵母が浮上し、液面に酵母の層ができる)。フルーティな味わいが特徴で、英国では今もこの製法のビールが多い。
2005/08/18
コメント(16)
スコットランドには、モルト・ウイスキーの蒸留所が約100カ所ある。蒸留所が違えば、原料の大麦も仕込み水も、蒸留釜の形も違うし、職人の流儀(造り方)も微妙に違う。だから、蒸留所の数だけモルトには個性があると言っていい。 ボウモアのようなアイラ系でもないし、マッカランのようなシェリー系でもないし、あるいはマッカラン以外のスペイサイドのモルトでもない。そんな不思議な味わいモルト・ウイスキーもある。スキャパ(SCAPA)はそんなウイスキーの一つ。 スキャパ蒸留所は、イギリス本土ではなく、スコットランドの北、北海に浮かぶオークニー島という辺鄙なところにある。その名は、バイキングの言葉(ノース語)の「貝床(オイスター・ヘッド)」に由来するという。最近は、スコットランドの蒸留所を訪ねる日本のバーテンダーも多いが、オークニー島まで行ったという人は数少ないだろう。 アイランド(島)系のモルトだから、当然、潮の香やスパイシーさもある。しかし、麦芽系やバニラ、ラム・レーズンのような香りも残しつつ、味わいはどこかオイリーな雰囲気もある、とても複雑な酒(写真左上=オフィシャルの12年ボトル。濃いゴールドっぽい琥珀色が特徴だ)。 そんなモルトのことを思い出したのは、昨日、徳島から遊びに来た友人と飲んだ際、彼が「家の近所に最近、『SCAPA』という名前のBARが出来た」という話をしていたから。スキャパは、BARで時々頼むけれど、たまに飲むと、なかなか忘れがたい印象を残してくれるモルト。 スキャパの創業は1885年。もちろん、それ以前にこの島に住み着いたノルウェーのバイキングの子孫たちが、密造酒を盛んに造っていたというから、ウイスキーづくりの下地はあったのだろう(写真右=スキャパ蒸留所遠景 =Suntory社のHPから。 大戦中は英海軍の宿舎にも使われたという)。 オークニー島にはもう一つ、「ハイランド・パーク」という有名な蒸留所もある。しかし、同じ島でも二つのモルトの性格は全然違う。シェリー系の風味が特徴の、優しいハイランド・パークに比べて、スキャパはバーボン樽熟成で、華やかなピート香が効いていて、どちらかと言えば荒々しく、男性的。 スキャパ蒸留所のもう一つの特徴は、その蒸留釜の形。ネジクギの天地を逆さにしたような「ローモンド・スチル」という特殊な形状で、これが「オイリー」と評される個性的なモルトを生み出す理由だという。 スキャパは長く、バランタインのブレンド用モルトしか出荷せず、シングルモルトとしてオフィシャル販売はなかった。しかし97年に発売された「12年もの」のオフィシャル・ボトルが愛好家の人気を集め、その後は生産本数は少ないながらも、一応きちんと市販されている(最近では、フルタイム操業を記念して、「14年もの」のオフィシャル・ボトル=写真左下=も発売された) 徳島の友人の話では、そのBAR「SCAPA」ではモルトの品揃えも充実しているという。「SCAPA」と名付けたからには、マスターはおそらく「SCAPA」に何らかのこだわりを持っているのだろう。これは次回、徳島を訪れた際には、ぜひ酔っぱらう前に覗いてみなければならない。
2005/08/16
コメント(12)
モルト・ウイスキーを飲み始めた頃、アイラ系、シェリー系以外で一番飲むことの多かったのは、「プルトニー」(Pulteney、「オールド・プルトニー」とも言う)という銘柄(写真左上=プルトニー・オフィシャルボトルの12年もの)。 スコットランド本土では最北の、北海に面したウィックという港町にある蒸留所。ウィックはニシン漁で栄えた町だが、あの「宝島」を書いた作家、スチーブンソンの故郷としても有名だ。プルトニーという名前は、漁業の町としての発展に尽くした国会議員の名前にちなむという。 プルトニーの特徴は、スパイシーな潮の香りとともに、「オイリー」ともしばしば表現される、バターのような不思議な味わい。舌ざわりも、実際ねっとりとしている。それに加えて、ナッツやハチミツのような香りも感じられる複雑さが魅力だ。 複雑な味と香りの理由は、海岸のそばという地理的な条件、ひょうたん型の蒸留釜、ヤーロー湖という湖水から引いている仕込み水など、さまざまな理由があるようだが、ブレンダーではない僕には、ほとんど謎の領域である(写真右=プルトニー18年もののシェリー・カスク。昨今のシェリーカスクばやりの流行を追うことには賛否両論があるけれど…) 蒸留所が出来たのは、1826年。当初は、ブレンディド・ウイスキーの「バランタイン」や「インバーハウス」のキー・モルト用にのみ生産されていたが、オーナーが変わった1995年になってからは、モルト・ウイスキーとしても発売されるようになった。 プルトニーは、その味だけでなくボトルの形も、蒸留釜(ポットスチル)のような独特の丸み、ふくらみを帯びていてユニークだ。こんな形をしているスコッチ・モルトは、おそらくプルトニーだけだろう(写真左下=プルトニーの26年もの。飲んだことないけど、きっとまろやかで、旨いだろうなぁ…)。 ひと頃は、BARでモルトを何杯か頼むときは、必ずと言っていいほどこのプルトニーをまぜていた時期があった。あるとき、バーテンダーさんから、「百幾つも蒸留所があるのに、同じ銘柄ばかり飲まず、もっといろんなモルトを味わってみてくださいよ。人生、一度だけなんだから」とたしなめられた。 確かに、それもそうだ。一度だけしかない人生なのに、自分から「出合いのチャンス」を放棄してしまうのは、なんともったいないことだろうか。僕は、これからもプルトニーをきっと飲み続けるだろうが、それ以外のいろんなモルトも、きちんと味わってあげよう。どんなモルトだって、職人の愛情と汗が一杯こもっているのだから…。
2005/07/23
コメント(6)
「モルト・ウイスキーのロールス・ロイス」の異名を持つ偉大な銘柄と言えば、マッカラン(Macallan)。そのバランスの良さはスコットランドのモルトの中でも傑出した存在。バーテンダーはもちろん、ほとんどのモルト愛好家が、おそらく好きな銘柄の上位に挙げるだろう。 創業は1824年。熟成には、シェリー樽しか使わないのが最大の特徴(とくにドライ・オロロソの樽を使う)。原料の大麦も最高級の品種を用いる。だから、シェリー樽熟成の上質のモルトと言えば、まず、マッカランを思い浮かべる人が多いだろう。ちなみにマッカランとは創業者の名前でなく、「聖コロンバの丘」を意味するゲール語(「聖コロンバの丘」って何?と聞かれても、僕は知らないので悪しからず…)。 モルト好きの人は、大きく分けてアイラ系のスモーキーで、ピーティーな銘柄が好きな人と、シェリー樽熟成系のモルトが好きな人、それ以外の人に分かれるんじゃないだろうかと思う(写真左上=マッカランの現行ボトル。最近ボトルがこの背の高い形に変わりましたが、僕は以前のボトルの形の方が好き)。 僕のモルト好きの友人にも、アイラのボウモアやラフロイグ大好き人間がいるし、マッカランやグレン・ファークラスなどのシェリー系大好き人間もいる(もちろん、あまりこだわりのない人間もいる)。 僕は、と言えば「どっちも好き人間」。でも好みは、なぜか自分でも理由はうまく言えないが、年ごとに若干変わる傾向がある。今年は、BARでシェリー系を頼むことが多いから、なんとなく、「シェリー系嗜好」な年なのかも…。 マッカラン以外にも、シェリー樽熟成のモルトを産み出す蒸留所はいろいろある。上記の2つ以外にも、エドラダワー、グレンドロナック、ハイランドパーク、バルベニー…等々。でも迷った時はやはり、マッカランを頼むことが多い。 他のモルトにも言えることだが、60~70年代のマッカランは旨かった。原材料の大麦の出来が素晴らしかったこともあるが、機械化された現在と違って、優れた職人が丁寧に造っていたせいもあるだろう(写真右=マッカラン18年のオールドボトル=この写真のものは1973年の蒸留。60年以前のものにはもっと旨いものもあるが、今や入手は困難!)。 マッカランでも、僕がとくに好きなのはオフィシャルの「18年」という銘柄。家でも、昔はよくこれを飲んでいた。シェリー樽がウリのマッカランでも、とくにシェリー香がよく残っていて、色も赤みがかった濃厚な琥珀色をしている。 「昔は」と書いたのは、ひと頃は、近所のディスカウントのお酒屋さんで、5500円~6500円くらいで買えていた「18年」が、最近はシェリー樽が品薄なのか、1万円近くまで高騰していて、普段用では気安く飲めなくなってしまったから…(まぁ、独立系業者から実にたくさんのマッカランのボトルが出ているから、美味しいのを探せばいいのだが…)。 マッカランと言えば、愛好家ならすでにご存じだが、最近オフィシャル・ボトルの形やラベルのデザインを一新した(写真左下=マッカラン蒸留所のオールドボトルの公式ガイドブックでは、1930~50年代のボトルも販売している。お値段は1本50万円(!)前後、お一つかが?)。 外見的イメージの一新には賛否が渦巻いている。「威厳がなくなって、安っぽい感じになった」「長い伝統を軽んじるものだ」という批判もある一方、「時代に合わせて変えていくのも仕方がない」「21世紀のマッカランはスタイリッシュでいい」と支持する声もある。 僕は、どちらか言うと批判的だ。ラベルのデザインのマイナーチェンジは認めるにしても、伝統のボトルの形は変えてほしくはなかった(もっとも創業当時のボトルがどうだったかのは知らないが…)。ボトルの形やデザインなんて、どうでもいいことかもしれない。上質のモルトを、これからもきちんと作り続けてくれさえすれば、それでいいのかもしれない。それでも…、と思う。 マッカラン。それはモルト・ウイスキーとオロロソ・シェリーの偉大なマリッジ(融合)。ウイスキーをシェリー樽で熟成させようと考えた人に、僕は重ねがさね感謝しなければならないと思う。
2005/06/19
コメント(9)
我が家では、ビール、ウイスキー、ワイン、日本酒、焼酎、紹興酒、カクテル等々、おおよそアルコールと名の付くものは何でも飲む(連れ合いも結構飲める方だ)。その中でも最近、我が家で若干、出番が減ってきたのは日本酒である。別に嗜好が変わった訳ではなく、焼酎、泡盛の出番が増えて、相対的に機会が少なくなっただけである。 もともと日本酒の銘柄にそうこだわりはない。その昔、「越の寒梅ブーム」があった時もほとんど興味は起きなかった。家で飲む日本酒は、いつもは信用できる馴染みの酒屋さんに、予算を言って(一升瓶で、2500円前後のもの)、お任せして届けてもらっていた。しかし、その頼りにしていた酒屋さんが1年半ほど前、交通事故に遭い、後遺症で体調を崩され、配達できなくなった。 日本酒を選んでくれる人がなくなり、我が家は独自で探さざるを得なくなった。基本的には、僕も連れ合いも辛口の酒が好き。試飲できる時はできるだけ味わってみるが、試飲できない時は、ラベルのデザインがおしゃれな方を買う。 ラベルのデザインがおしゃれ→蔵元にこだわりがある→酒の造り方にもきっとこだわっている、と言う単純な見方からだが、案外当たっていることもあるんじゃないかと思う。現在家で飲んでるのは、福島県の蔵元がつくった「奥の松」という銘柄(写真右上=ラベルのデザインや文字がなかなかおしゃれ)。かなりさらっと、すっきりした味わいで、喉越しも良いうえ、澗でも冷やでも楽しめるのがいい。 焼酎に押されて、最近はあまり元気のない日本酒メーカーだが、やはり灘五郷の酒どころに住む者としては、地酒の作り手を応援したくなる。同じ関西でも、伏見ではなく、やはり灘五郷である。 灘五郷とは、西宮郷、今津郷、御影郷、魚崎郷、西郷の総称だが、僕が今一番応援しているのが、いわゆる灘五郷には入っていないが、俗に「西の灘」と言われるエリア、兵庫県明石市の江井ヶ島というところにある太陽酒造(写真左上)という、わずか百石の小さな造り酒屋である。 太陽酒造は、江戸時代末期の創業(写真の母屋は明治25年の建築)だが、規模を拡大する戦略はとらず、家族経営で、こだわりの酒造りを続けてきた。月産約800本というから、大手メーカーなら1日で生産してしまうような量である。でも、小さいことは、味や品質になんら関係ない。 実際、太陽酒造は、昔ながらの甑(こしき)で米を蒸し、酒糟絞りも手作業。今どきの蔵元にしては、機械化というものにはほとんど無縁な造り方である。その結果として、実に素晴らしい、フルーティで、豊潤な辛口系の酒が産み出されている。 僕はここ10年近く、この酒蔵が好きな友人に誘われて、毎年正月の第2日曜にある「蔵開き」にお邪魔している。この蔵開きでは、出来たての新酒などがほぼ飲み放題なのに加えて、酒屋さん手作りのアテや粕汁なんかもいろいろ出てきたりして嬉しい。参加費は1人2500円という涙もののお値段なので、満足度は高い。 我が家からは当初僕1人だけだったが、3年くらい前からは、連れ合いも一緒に参加するようになった。蔵開きの際の宴会は、その酒蔵の前の屋外で催される。1月の上旬ということで、防寒の装いで行っても、年によってはかなり寒いが、昼間から美味しい新酒を飲んでいると、そのうちお酒で体がぽっかぽっかと暖かくなってくる。 太陽酒造の主な銘柄は「赤石」(写真右下=赤石は、明石という地名の古称)や「太陽」「たれくち」「江井ヶ島」などだが、僕は「おり酒」(写真左下)という名で造られている、にごり酒も好きだ。普通、にごり酒は甘いタイプが多いが、この「おり酒」は珍しいすっきり辛口系である。 残念なのは、太陽酒造のお酒は生産能力が限られているので、大阪や阪神間の酒屋さんでは、ほとんど売っていないことだ。ただし、ネットで検索すると、大阪、神戸でも取り扱っている酒屋さんもあるようだ。皆さんも機会があれば、ぜひ一度味わってみてほしい。【太陽酒造】兵庫県明石市江井ヶ島789 電話078-946-1153 山陽電鉄・江井ヶ島駅下車、海の方へ歩いて10分ほど。
2005/06/05
コメント(12)
日記のタイトルに「酒とピアノと…」と銘打ちながら、方言や「サイバラ」の話ばかり書いていると、そのうちお叱りを受けそうそうなので、久しぶりにお酒の話に戻ろう。 ボウモア(BOWMORE)と言えば、スコッチモルト・ウイスキーのなかでも、ベスト5に入るであろう人気銘柄。僕も、大好きなモルトの一つ(写真左上=オフィシャルのボウモアでも僕が一番好きなのは、シェリー樽熟成の「Darkest」。)。その蒸留所は、スコットランド本土ではなく、西方に浮かぶアイラ(アイレイともいう=Islay)島にある。 アイラ島には現在、7カ所の蒸留所(ボウモア、ラガヴーリン、アードベッグ、ラフロイグ、カリラ、ブナハーブン、ブルックラディック)から、モルト・ウイスキーが出荷されているが、その特徴は、俗に「スモーキー」とか「ピート香」とか「潮の香り」などと形容されている。 1779年創業のボウモアは、アイラ・モルトのなかでは、アイラの特徴を最もよく体現し、そして最もバランスのいいモルトだという定評がある。だから、アイラへ入門編としては一番お勧めのモルトかも(同じアイラでも、ラフロイグから始めると、その消毒薬のような強烈な香りが故に、その後、モルト全体を嫌いなってしまうこともあるから)。 そのバランスの良さとともに、ボウモアにはもう一つ、「柑橘系(とくにオレンジ)やパッション・フルーツのような独特の香り」という素晴らしい特徴がある。ボウモアからは、なぜそんな香りが生まれるのか。 「海岸のすぐそばの、海水面よりも低い場所(倉庫)で保管しているから」という説も聞いたことがあるが、海水面より低いという環境と柑橘系の香りの因果関係について、説得力のある説明はまだ聞いたことはない。 「アイラ大使」の称号を持つ、あるバーテンダーにも尋ねてみたが、「う~ん、まだ謎の部分が多いんですよね」と言う。高級品を生むモルトの樽ほど海水面より低い場所に置かれている(「1番倉庫」という呼び名で有名)らしいが、実際、すべての樽が同じ場所(条件)で熟成される訳でもない(写真右は、69年蒸留のボウモア32年熟成もの=ダンカン・テーラー社の「ピアレス・コレクション」から)。 もっとも、いつの時代のボウモアでも同じ香りがするのかと言えば、そうではない。70年以前に生産されたものに、著しくその特徴が出ていて、モルト好きには垂涎の的。しかしもともと、モルト・ウイスキーがそう注目されていない時代でもあり、当時の生産能力の限界から出荷本数も少なく、今では手に入れるのはとても難しい。 ボウモアはその後、モルト・ウイスキーへの需要が増えたおかげで、70~80年代にかけて生産設備の拡大と近代化(オートメーション化)を押し進めた。この結果、従来の手作り的な作業も機械化される部分が多くなった。 そして当時、蒸留所内に設置された省エネ設備のコンデンサー(冷却装置)に由来する化粧品くさい、「パフューム香」が「70年代後半~80年代のボウモアの特徴」という不名誉なレッテルが張られてしまった。そして、従来のボウモア・ファンは離れてしまい、ボウモア自体の評価も大きく下がってしまう。 「パフューム香」の原因について、後に、ボウモア蒸留所のオーナーとなる日本のS社のブレンダーが、「ウイスキー・ボイス」という雑誌(04年2月の第17号)で次のような解説をしている(写真左下は、オフィシャル12年の旧ボトル。昔懐かしいボウモアの味と香りが凝縮されている)。 「チンチンに熱した鍋にウイスキーを垂らすとどうなるか。ジュっと音を立てて蒸発します。その時かすかにパフュームライクな香りがします。それと同じで、熱効率を上げるための省エネを優先するあまり、コンデンサーの一部が乾いた状態になっていました。その表面に気化した液体の蒸気が触れて、一種の焼け焦げのような状態になって、パフューム香が生まれたのです」。 S社はボウモアに1988年から資本参加を始めた。そして現状に危機感を抱き、省エネ装置を取り払い、従来の冷却工程に戻すよう、現地のスタッフを根気よく説得した。自家精麦にこだわり、発酵時間や樽の材質などにも目を光らせ続けた。 そして再び旧来の方法で、丁寧につくられ始めたボウモアからは、パフューム香が消え、再び柑橘系の素晴らしい香りがよみがえり始めているという。数年前から登場したオフィシャルの8年物などは、コストパフォーマンスを考えると素晴らしいボウモアに仕上がっていると思う。 その後、S社は94年、ボウモアを買収して100%のオーナーになった。同社の営業マンは「12年物のモルトでも、03年以降から出荷されているオフィシャルのものは、相当に改善されてきています。将来は、確実にもっといいものになっていきますよ」と自信たっぷりにコメントをしているので、期待していいのかもしれない。 僕はできれば、昔の味や香りがよみがえった17年物か、25年物くらいのボウモアを飲んでみたいが、そうなると、常識的に考えて、少なくとも2010年以降の話か。もうしばらくは、8年物や12年物で辛抱することにしよう。
2005/04/30
コメント(12)
前回(17日)の日記で沖縄の旅のことを書いたが、なかでも印象的だったのは、那覇・牧志の市場だった。魚も肉も果物・野菜も、本土ではちょっとお目にかかれないようなものが山ほどあり、見るものすべてが興味深かった。 お土産にトロピカル・フルーツを少し買ってきたが、本土に比べて、当たり前だが、値段も安いし、種類も豊富だった。本土だと1個300~600円はする形のいい、大ぶりのパッション・フルーツ(写真のなか、上)で1個150円~200円。値段と形の良さを見て、もちろん3個ほど買ってしまった。 ほかにもいくつかフルーツを買ったが、そのなかに、生まれて初めて見るようなものがあった。店先の、その果物を積み上げていたところにあった紙札には、「メロンの味、ペピーノ」「クリの味がします、カニステル」と記してあった。 ペピーノ(写真の手前右)は、ビワくらいの大きさで1個200円、カニステル(写真の手前左)はもう一回り大きくて、イチジクくらいの大きさ。1個250円だった。 名前を聞くのも、見るのもまったく初めて。店のおばちゃんが「3、4日経ったぐらいが食べ頃だよー」と言っていたので、まだ味わっていないが、果たしてどんな味や食感なのか、楽しみだ(どなたか食べた方はいらしゃれば、感想なりを教えてほしいけれど…)。 昨日、早速行きつけのBAR「C」のバーテンダーHさんに、沖縄に行ってきた話をしたが、生フルーツのカクテルが得意なHさんも、「ペピーノ、カニステルですか? 聞いたことない名前ですねー」と言っていた。 ところで、沖縄のBARには当たり前のように泡盛を置いている店が多いが、泡盛ベースのカクテルも、いまや定番になっている。泡盛にシークヮーサー・ジュースを入れ、ソーダで割ったりすると、簡単だけれど、爽やかな味と香りで実に旨い。 今回は行けなかったが、牧志の市場近くにある、Bar「Dick」(那覇市牧志1-1-4 電話098-861-8283)というお店が、泡盛カクテル発祥のBARなんだそうな(写真右&左は、Dickのオリジナル・泡盛カクテル。右はココナツとパイナップルを使った「ちむぐくる」という名のカクテル=「ちむぐくる」とは直訳すれば、ちむ(肝)+ぐくる(心)で、肝心ということだが、沖縄弁では「心そのもの」を意味するとか。左は、見た目の通り「ゴーヤーのフローズン・カクテル」。どんな味なんだろうか興味深々)。 独特のクセのある泡盛はカクテル・ベースとしては、敬遠されがちだったが、意外や意外、生フルーツなどとの相性もいいし、面白い、個性的なカクテルができる(テキーラだって、相当クセがあるけど、「マルガリータ」なんて素晴らしいカクテルになるんだから、ね)。 で、せっかくだからと、「泡盛ベースで何かショート・カクテルを作ってよー」と無理をお願いする。Hさんは「う~ん、泡盛ですか…、クセがあるから、フルーツはやはり柑橘系がやはりいいかなぁ…、ちょっと考えさせてねー」と、熟考すること約10分。そしておもむろに作り始めた。 そして、作ってくれたのは土佐文旦を使った泡盛ベースのカクテル。(写真撮るのを忘れちゃったので、写真ありません。ごめんなさーい)。ハード・シェイクでできた細かい氷が浮かぶ、そのカクテルは、泡盛の味わいをしっかりと残しながらも、文旦の爽やかで、新鮮な美味しさを生かした素晴らしい味わい! 「何かいい名前を考えてくださいよー。漢字が入った名前がいいかなぁ…」とHさんに言われたので、沖縄弁の「まーさん」(美味しい)を使って、「『まーさん文旦』ってどう?」と提案したが、連れの同僚に「そのままやないか! もうひとひねりやなー」と却下された。次回、「C」にお邪魔する時までに、真面目に考えなくっちゃ。
2005/04/19
コメント(16)
「兼八」という麦焼酎にはまっているという話を以前に書いた(3月16日の日記参照)。はまっている理由は、その香ばしい麦の香りだ。 先日、あるBARで、そんな話をバーテンダーにしていたら、「じゃぁ、**さん、きっとこれお好みのタイプですよ」とある酒をサーブしてくれた。見かけは普通のスコッチ・ウイスキー。でも、ストレートで味わってみると、「兼八」に通じるような、麦の香りがぷんぷんする。 バーテンダーは「モルト・ウイスキーです」と言う。でも、これほどまで麦の香ばしい香りがするモルト・ウイスキーは、僕は知らない。よく見ると、酒の色にはやや濁りがある。にごり酒までの濁りではないが、無濾過処理(ノン・チルフィルタード)のウイスキーによく見られる、あの濁りである。 「こんなモルトは飲んだことないよ。スコットランドのどこの蒸留所?」とバーテンダーに聞くと、ウイスキーではあるが、スコッチではないと言う。「えーっ?」と驚く僕。「こんなボトルです」と見せてくれたのは、ちょっと変わった四角形っぽい形(グレンフィディックみたいな)。 ラベルはまるでフランスワインの様。それもそのはず、このウイスキーは、ミッシェル・クーブルー(Michel Couvreur)というベルギー人のつくった会社が、スコットランドのある蒸留所からモルトを買い、仏・ブルゴーニュ地方・ボーヌの蒸留所で、シェリー樽で熟成させてつくったもの。その名は「Couvreur‘s Clearach」(写真左)という。 しかし、「スコッチ・ウイスキー」とは名乗れない。スコッチと名乗るには最低3年以上スコットランドで熟成されることが必要という法律があるからだ。だから、その条件を満たさないこのウイスキーは、スコッチではない。強いて言えば、「ブルゴーニュ・ウイスキー」だろうか。元になるモルトの蒸留所について、クーブルー社は明かしていないが、バーテンダーは「エドラダワーやハイランド・パークを使ってるちゅう噂です」と語る。 こんな味に一目惚れしやすい僕は、早速、バーテンダーに「次回、仕入れるとき、僕の分も余分に1本お願いね」と頼んだ。値段も4千円とお手頃だ。その頼んだウイスキーが先日、届いた。早速開栓。キャップは、バーボンのメーカーズマークのように、蝋(ろう)で固められていて、中はワインのように単にコルクで栓がしてあるだけという変わったウイスキー。 味は、あのBARで飲んだ如く、アーモンドやドライ・フルーツのような香りの中に、麦の香ばしい味わいが凝縮されていた。「4年熟成」とあるが、ボディはとてもパワフル。クーブルーの信念によれば、「ウイスキーの味を決める95%は、どんな樽でどの程度熟成させるかだ」という。 シェリー樽熟成にこだわったクーブレーのウイスキーの味わいは、あのマッカランに通じるものもあるが、4年ものについて言えば、無濾過処理で樽由来の雑味も一緒に瓶詰めしているので、ほんとに素朴な味わいが楽しめる。「兼八」のようなタイプの麦焼酎がお好きな方なら、きっとお気に召すと信じる。機会があれば、ぜひ一度お試しを!【追記】ミッシェル・クーブルーのウイスキーはほかにも、12年ものから38年ものまであり、お値段は8000円~42000円。なお、日本語(カタカナ)では「クーブレー」「クーブレイ」と表記されることが多いが、この日記では、仏語の音に近い「クーブルー」とした。
2005/04/03
コメント(11)
世の流行には、だいぶん遅れをとっているかもしれないが、我が家でも最近は、和食での夕食時に、焼酎を結構よく飲む。連れ合いも、結構酒に強いもんだから、二人で、ボトルを半分近く空けたりすることもある。 どんな焼酎を飲むかはそのときの気分にもよるが、一応、家にはいつも麦、黒糖、芋の最低3種類(時々、米やそばなんかも)は常備している。最近は、樽や甕(かめ)に入った銘柄を、好きな量だけ計り売りしてくれる店もあって、嬉しい。 もちろん、昔から麦の「いいちこ」なんかは好きで、よく飲んでいた。スダチを絞ってのソーダ割りなんかは大好きで、今もよく飲む。芋は、昔はあの独特の匂いが嫌でまったく飲まなかった。それが今や、飲み続けているうちに、その匂いが気にならなくなったのだから、人間って変われば変わるもんだと我ながら思う ただ、最近の焼酎ブームに便乗したのかどうか分からないが、わずか数年前は普通の値段で飲めた焼酎が、とんでもない値段で売られているのを見ると、腹立たしさを通り越して、悲しくなる。 今めちゃくちゃ高騰している「百年の孤独」(1万円前後の値が付いている!)なんて、昔は、近所の酒屋で、3千円台で売っていた。ちなみに、近所の別のディスカウント・ストアでは今、「魔王」が他の知らない3銘柄の一升瓶と計4本の抱き合わせ販売で、なんと3万8千円(!)。 「伊佐美」なんかも数年前まで、会社近くの焼き鳥屋で普通の値段で飲めた。きっとブームに便乗し、買い占めて、値段を釣り上げてる人間がどこかにいるに違いないと、僕は思っている。 最近の、僕の一番のお気に入りは「兼八」(写真左上)という麦焼酎。麦茶を沸かしたときのような香ばしい麦の香りがぷんぷんする、とても旨い焼酎だが、これがまた最近のブームのあおりで高騰し、かつ品薄になって買いにくくなった。知り合いの酒屋さんも、「昔は簡単に手に入ったけど、最近はもう、運がいいときしか…」と嘆いている。 そんなわけで、僕は、飲みたいときは置いている居酒屋か、焼酎BARへ行って飲むしかない。「兼八」を家で気軽に飲めない僕は、よく似たタイプの麦焼酎を探すしかない。2、3のよく似た感じの銘柄は見つけたが、それでも「兼八」とは、どこかが違う。 どなたか、「兼八」に似たタイプで、普通に手に入る麦焼酎を知りませんかー?
2005/03/16
コメント(18)
今年の冬はホット・カクテルに凝っているという話を以前書いたけれど、とくに、ラム・ベースのホット・カクテルが気に入っている。ただし、ラムはラムでも、ホットで飲む場合、ダーク・ラムかゴールド・ラムが多い。ホワイト・ラムはまず使わないし、実際ホワイト・ラムをレシピに指定したホット・カクテルは少ない。 僕はなかでも、ダーク・ラムが好きだ。ホット・ラムなどラム・ベースのカクテルでは、たいていダークを使う。ホットにした場合、立ち上がってくる紅茶のような甘い香りがたまらない。これに、シナモン・スティック、クローブ、レモン・ピール、バターなどの小道具があれば、もう最高の気分である。 だが、どの銘柄のダーク・ラムを使うかで、完成した味が微妙に変わってくることに最近、気がついた(そんなこと、当たり前じゃないかと言われるかもしれないが…)。とは言っても、身近なディスカウント・ストアや酒屋さんでは、ダーク・ラムは、それほど種類は置いていないので、選択肢は限られてくる。 比較的多く置いてる店でも、マイヤーズ、バカルディ、ハバナ・クラブ、キャプテン・モルガン、カリビアン・クラブ、レモンハート・デメララくらいか。大きな酒の専門店だと、珍しいダークの銘柄も置いているけれど、それでも10種くらいだろう。 最初に挙げた代表的なダーク4種(写真)は、比較的手に入れやすい。味のバランスは、どれもそれなりにいい。価格もほぼ似たようなもの。後は、好みの問題になってくる。我が家で一度、連れ合いとホット・ラムでブラインドした結果では、 (1)キャプテン・モルガン(2)バカルディ(3)ハバナ・クラブ(4)マイヤーズの順位になったが、まぁこれも個人の好みや、その時の体調で変わってくるのかもしれない(ダークに近い感じでは、あるBARで飲んだレモンハート・デメララのホットも、結構濃厚で旨かった)。 先日、大阪・キタの行きつけのBarで、「ホットで飲みたいんだけど、なんか変わったダーク・ラムはない?」とバーテンダーさんに聞いたら、「ちょっと面白いラムありますけど、これで作ってみますか?」と、僕が見たこともない銘柄のダークを出してきてくれた(うっかりしてその時メモをし忘れたので、名前は思い出せなくてごめんなさい…)。 そのダーク・ラムで作ったホットはとてもなめらか、まろやかな味に仕上がっていた。たぶん上等、上質のラムだったので、旨いのは当然だったかもしれない。でも、家で普段飲むのに、高級ラムばかり使って、ホットで飲むわけにもいかない。 今後は、もう少しいろんな銘柄のダーク・ラムも試してみたいのだけれど、どなたか、お手頃の値段で、これはという銘柄をご存じの方、ぜひお教えくださーい。
2005/03/08
コメント(10)
ウイスキーという酒を飲み始めたのはいつからだろうか。亡くなった父は、僕が小学生の頃、ときどきジョニー・ウォーカーの黒を飲んでいた。(当時は1本1万円近くした。大卒の初任給が8~9万円くらいの頃だった。父は、「舶来の酒なのだ」と、とても大事そうにしていた)。高校生の時、一度盗み飲みしたことがあったが、美味しいとは全く思わなかった。 大学時代も、ほとんどビールかワインが中心。ウイスキー(ブレンディド)を飲むのは、ゼミのコンパとかで、大勢で騒ぐときくらい。そんな時の銘柄は、たいていバランタインかヘイグが多かった。 ウイスキーを本格的に飲み始めたのは、社会人になってから。とは言っても、昔は今ほどたくさんの銘柄はなかった。20代の前半、僕は、北陸・金沢で仕事をしていた。銘柄には地域的な偏りがあるかもしれないが、当時よく目にしていたのは、次のようなもの。 国産ならリザーブ、オールド、角、ホワイト、スーパーニッカ、ブラックニッカ…。輸入ものなら、シーバス・リーガル、ジョニー・ウォーカー、ブラック&ホワイト、ヘイグ、デュワーズ、バランタイン、ホワイトホース、カティ・サーク…くらいかな。 ウイスキーの銘柄は、転勤して住んだ各地の思い出と重なる。今はもうないが、金沢の繁華街・香林坊に、僕が行きつけだった「ガリバー」というBARがあった。そこでは、ブラック&ホワイトが、お店のメインの銘柄だった(写真は、当時よく飲んでいたラベルのボトル)。僕は、もっぱら水割り一筋だった(と言うか、当時は、水割り以外で飲む人は、ほとんどいなかった)。 金沢のBARと言えば、だからブラック&ホワイトを思い出す。ブラック&ホワイトと同じメーカー、ブキャナン社の最高級銘柄である、ロイヤル・ハウスホールド(当時はもちろん、名前に「The」がついていた)も、もちろん「ガリバー」にはあったが、その頃の僕の給料では、とても手が届かなかった。 その後、神戸で仕事をしていたころは、デュワーズかカティが多かった。洋酒は次第に安くなってきたとはいえ、スタンダードクラスでも、当時はまだ、2500円~3000円以上した。だから家では、もっぱら国産を愛飲していた。徳島では、フェイマス・グラウスを一番よく飲んだが、後半はモルトにはまったので、ブレンディドはあまり飲まなくなった。 今まで飲んだブレンディドの中で、「一番好きな銘柄は何か?」と聞かれたら、しばらく考えてしまうが、やはりデュワーズ・ホワイトラベルと答えるだろう。それも、昔の60~80年代のデュワーズが好き。 デュワーズの上位銘柄、「アンセスター」や「ネ・プラス・ウルトラ」も大好きだが、ともに今では幻の品。「ネ・プラス…」は、故・向田邦子さんが溺愛したウイスキーだった(東京の実践女子大図書館内にある向田邦子記念文庫では、生前の彼女愛飲の「ネ・プラス…」のボトルが、飲みかけのまま保存されているとか)。 「デュワーズは、最近は味が落ちたね」という評判をよく聞く。なぜだろう? キーモルトの質が落ちたからか? それとも腕のいい職人が減ったからなのか? 昔のデュワーズの復活とともに、できれば「アンセスター」と「ネ・プラス…」の再リリースも心から願っているのだけれど…。
2005/01/25
コメント(12)
「ブラインド・テイスティング」と言っても、何のことかわからない方に少し解説しておくと、未知の酒の味や香り、時には銘柄を、鼻と舌だけで見分けること。 ひと頃、このブラインド・テイスティング(以下、ブラインドと略)にはまった時期があった。きっかけは、あるBARのバーテンダーからの「こんなお遊びしてみませんか」の一言。一人で遊ぶのは面白くないから、ブラインドをする時は、たいていいつも、会社の酒好きの同僚と、競い合うつもりで一緒にやった。 最初のうちは、ある特定のモルト・ウイスキーと、それをキー・モルトに使ってブレンドしているブレンディド・ウイスキーとの飲み比べだった。例えば、ブレンディド・ウイスキーの代表的銘柄でもある「シーバスリーガル」と、シーバスのキー・モルトである「ストラスアイラ」というモルト・ウイスキーを、2つのグラスに(バーテンダーは僕らにどっちに入れたかは言わずに)入れてもらって、鼻(香り)と舌(味)だけで、それぞれを言い当てることに挑んだ。 モルトは文字通りモルト100%。ブレンディド・ウイスキーには、モルトと、トウモロコシなどで作るグレーン・ウイスキーがブレンドされている。そんな違いくらい、「飲めばわかるだろう」と思われるかもしれないが、これが案外難しい。プロのバーテンダーなら、モルトとブレンディドを、鼻と舌だけで言い当てるのは簡単だろうが、素人である僕らは最初、結構よく間違った。 銘柄やBARを替えながら、何度かそんなことを繰り返しているうちに、モルトとブレンディドを間違える確率は少なくなったが、バーテンダーは次に、少しレベルアップしたブラインドを提案してきた。 例えば、スコットランドの各地域(ハイランド、スペイサイド、ローランド、キャンベルタウン、アイラ島など)を代表するモルトの地域別&銘柄当てや、アイラ島の8つの蒸留所モルトの銘柄当て、国産モルト・ウイスキーの銘柄当て(またはメーカー当て)等々。 これはかなりハイレベル。各地域や各蒸留所のウイスキーの特徴を、あらかじめ舌に覚え込ませていないとかなり難しい。言い当てられる「勝率」は、最初は2~3割だったが、経験を積んでくると5~6割くらいの確率で当てられるようになった。(このブラインドでは、問題として出す銘柄をバーテンダーが事前に僕らに伝える場合と、まったく「お任せ」という場合の2つがあった。「勝率6割」というのは前者の方で、後者の場合は当然、勝率は3~4割に落ちた)。 でもバーテンダーは、僕らが6割当てられるくらいレベルアップしてくると、さらに闘志をかき立てられたのか、「変化球」を投げてくるようになった。例えば、あるBARで「ハイランド、スペイサイド、それ以外の計3種類、銘柄はお任せ!」と頼んで、ブラインドした時のこと。一つだけ、どうしても分からないモルトがあった。 悩んだ末に、僕らは紙に答えを書いて、バーテンダーに見せた。すると彼は、「違いますねぇ…」と、してやったりの表情。もう一度口に含み、別の銘柄を書く。「う~ん、まだ違いますねぇ」と彼。さらに味わっても、五感はますます混乱してくるだけ。僕らは、「もうギブアップ!」と降参した。 このときブラインドしたのは、グレンモーレンジ(カスク)とグレンリベット(ボトラーズもの)、そして、僕らを最後まで悩ましたのは、何と「夢想仙楽」というシェリー樽で熟成された焼酎。「してやられた!」と思ったが、後の祭り。それほど、ブラインドというのは難しい。 今は、BARでのブラインドはほとんどしない。ブラインドに挑むと、五感や神経が張りつめて、はっきり言ってかなり疲れる。モルトの味を深く味わうどころではない。楽しく、心地よく飲むのが、BARではなかったのか? そんな疑問を持ち始めてからは、やめた。 ブラインドもたまにやるとゲーム的には面白い。だが、あんまり度が過ぎるのも、どうかということだろう。毎日のようにブラインドをしている蒸留所のブレンダーは、ホンマに偉いと、改めて感心した次第。
2005/01/11
コメント(7)
もう随分前の話だが、「オールド・ボトル」集めをしていた時期がある。オールド・ボトルというのは、一般的には1950年代から90年までの古い酒を言う。具体的には、ボトルのラベルに「ウイスキー1級」などと書かれていた、いわゆる「従価税」時代の酒類のこと。 もともとはオールド・ボトルなんて、全く興味がなかった。ある時、大阪のあるBARで、マスターから「これ、飲み比べてみて」と2つのグラスを差し出された。「どちらも同じ銘柄だよ」というブレンディド・スコッチ・ウイスキー。 恐る恐る、ゆっくりと口を付ける。「う~ん、違う。明らかに違う!」と、僕は唸る。「そうでしょうー、これは今売ってるやつ。もう一つは60年代後半のボトル」とマスター。明らかに60年代のものの方が、味もなめらか、香りもふくよかで旨い。 「ブレンドの基になっているキーモルトの出来が、今とまったく違うんですよ」。 マスター曰く。昔は手作業の部分も多く、ずっと丁寧に作っていた。今は、コンピューター管理している蒸留所も多いから、均質だけれど、どこか奥行きのない、薄っぺらなウイスキーが生産されてしまうという。 こんなにも違うものかと、僕はただ驚くしかなかった。それからと言うものの、地方都市に出張に行った際などに、その街の酒屋さんを回って、古い時代のウイスキーがあれば、買い求めた。 集めたオールド・ボトルは、一部は飲んで、一部は今も家に残る。珍しいボトルは、馴染みのBAR持ち込み、バーテンダーと一緒に味わい、そのまま店へプレゼントしたりした。 だが、ある時期から、オールド・ボトル探しはもう止めた。一つには、当然と言えば当然だが、地方都市へ行っても、オールド・ボトルと出合える確率は非常に少なくなった。日本全国、バーテンダーのコレクターが訪れていない酒屋は、もうほとんどないと言ってもいい。 もう一つの理由は、あるバーテンダーから言われた言葉だ。そのバーテンダーは、「僕は、オールド・ボトル集めなんてやりません。今流通しているものの中から、美味しいものを見つけるのが、バーテンダーの努めだと思っています」と僕に言った。 彼はさらに、こうも付け加えた。「オールド・ボトルとか言っても、そのボトルが流通していた時代の人間にとっては現行品だったわけです。有り難がって飲んでいたわけではありません」「それに、いったん瓶詰めされたら、あとは品質は劣化するだけ。せいぜい40年が限度ですよ」とも。 僕は頭をガーンと殴られたような気がした。「オールド・ボトル信仰」に惑わされた自分が、少々恥ずかしいような気持ちにもなった。 今は、地方へ出張に行っても、あえて酒屋さんの前も素通りする。それよりも、その街の素敵なBARを探して、旨い酒を飲むことにしている。
2004/12/22
コメント(8)
初めてスコッチ・モルト・ウイスキーなるものと出逢ったのは、仕事で徳島に住んでいた頃だった。行きつけだった「FULLHOUSE」というBARの若いマスターが、「こんなウイスキーありますけど飲みますか?」と勧めてくれたのが、ラフロイグだった。 今思えば、そのFULLHOUSEには、ブレンディドよりモルトの方が多く種類があった。そして、モルトもアイラ系がほとんどという変なBARだった。 最初のモルトがラフロイグだった人なら、誰でも同じ思いを持っただろうが、「何だこれ、まるで消毒薬みたいだ」が第一印象だった。こうして僕のモルトとの出逢いはアイラから始まった。 それからモルト狂いが始まった。徳島にもなぜか、モルトをいろいろ置くBARができた。「Standard」という名のそのBARでは、アイラ以外のモルトもいろいろ並べて、都会では考えられないくらい良心的な値段で楽しめた。 ハイランド、スペイサイド、ローランドなどスコットランドには地域ごとに、いろんな個性あるモルトウイスキーがあることも知った。徳島を去った後、一念発起して、スコットランドの約120ある蒸留所の、(もちろん、今は閉鎖されているところも多いが)モルトを、「すべて味わってやろう」という目標を立て、実行に移した。 一応オフィシャル・ボトルをまず味わい、オフィシャルがもうない蒸留所については、ボトラーズの一番スタンダードなものを飲んだ。キンクレイス、レディーバーン、ベン・ウィヴィスの3つは、持っているBARを探すのに苦労したが、何とか見つけて味わえた(1ショットのお値段もなかなかのものだったが…)。 「目標」は約3年かかって達成できた。「で、どうなんや、一番旨かったのはどれやった?」と、飲み友達は僕に尋ねた。 僕の答えは、このページの「MY FAVORITES」に出ている。1つに絞るのは不可能だったので、5つの蒸留所(ハイランド・パーク、ボウモア、オールド・プルトニー、グレンファークラス、タリスカー)を選んだ。 もちろんこれ以外にも旨いモルトはたくさんあった。酒はしょせん嗜好品だ。結局は、個人の好き嫌いに行き着くのだという当たり前のことが分かっただけかもしれない。「全蒸留所制覇」は、ある意味むなしい挑戦だったが、蒸留所に秘められた深い歴史の勉強にはなった。 僕にモルトを教えてくれたFULLHOUSEは、その後なぜか、「St.Patrick」というアイリッシュ・パブに衣替えした。マスターも元気で頑張っている。素敵なアイリッシュ・パブなので、徳島へ行かれる機会があれば、ぜひ一度訪ねてあげてほしい。
2004/12/07
コメント(7)
ページのタイトルに「酒」という言葉を使っているが、実は、そんなに飲める方ではない。持って生まれた体は、飲めば顔が真っ赤になる体質だ。 「赤くなるのは生まれつき肝臓にアルコールを分解する酵素がないからで、警戒警報みたいなもんだから、赤くならない人間よりも得してるのだ」なんて友人は言うが、私自身は、いくら飲んでも顔に出ない人がうらやましい。 今はそれなりに飲めようになったが、社会人になったばかりの頃は、ビールでコップ1~2杯くらいが限界だった。そう言っても、昔の私を知らない人はまず信じてくれない。 酒は決して嫌いじゃない。だから、それから長い時間をかけて自分なりに努力(?)した。ビールから始まった付き合いも、日本酒、ウイスキー(ブレンディド)、紹興酒、バーボン、カクテル各種、ワイン、スピリッツ各種、モルト・ウイスキー、焼酎と遍歴を重ねた。およそアルコールと名のつくものは、ほとんどを経験した。 不思議なもので、「ウン十年」経った今の私は、顔が赤くなるのは変わらないが、修業の成果か、水割りなら4~5杯は普通に飲めるまでに成長した。(肝臓はきっといささか疲れ気味だろうが…)。 もっとも昔と違って、今は無茶な飲み方はまずしない。BARでも家でも、ゆっくりと味わいながら飲むスタイルを貫いている。肝硬変では死にたくない。じっくり味わいたいヴィンテージものウイスキーも、未開封のまま僕を待っている。ボトルを開けないうちに、飲めない体になってしまっては、悔しくて死ぬに死ねない。 酒はゆっくりと味わい、(量もほどほどに)楽しむものでありたい。人生最期の日まで、心地よく飲めるのが究極の夢だ。
2004/12/03
コメント(1)
BAR好きが高じて、家でも時々、バーテンダーのまねごとのようなことをする。シェーカーを振ったり、ミキシング・グラスを使ったりして、いろんなカクテルをつくる。 スタンダードと言われるカクテルの、ほぼ半分くらいは一応つくれるだけのスピリッツやリキュールは常備しているが、悲しいかな、やはり本物のバーテンダーがつくってくれて、BARで飲むカクテルの方が断然旨い(当たり前か?!)。 客人を家に招いて、一緒に飲んだり食べたりするのも好きなので、そんなとき、「にわかバーテンダー」に変身して、シェーカーを振る。客に人気があるのは、ジャックローズ、コスモポリタン、モヒート。(もっともモヒートはシェイクではなくビルドでつくるが…)。 晩秋なら、ジャックローズのグレナディン(ザクロ)には、我が家に育つ「ヒメザクロ」の実が役立つ。(ただし小粒なのでそんなに汁は出ない。香り付け程度)。モヒートで使うミントも栽培しているが、なぜか毎年出来が悪く、客人が多いときは市販のものを買い足すことになる。 5、6種類もの違うカクテルの注文が一度に来ると、どれから順番につくればいいのか、頭が混乱して、もうパニックだ。顔色ひとつ変えずテキパキと仕事をこなしてしまう、プロのバーテンダーは「やはり凄い」と感心してしまう。 最近のお気に入りカクテルは、あるプロのバーテンダーが著したフルーツカクテルの本に出ていたものだが、「焼酎と和ナシとすだちのフローズン・カクテル」。ナシ2分の1個に焼酎30~40ml、すだちの搾り汁2分の1個分を、ミキサーにクラッシュ・アイスと一緒に入れてただ混ぜるだけ。 いたって簡単なレシピだが、これがめちゃ旨い。風呂上がりなどには最高だ。すだちの香りが、かつて住んだ徳島を思い起こさせてくれることも嬉しい。ただ、ナシのシーズンしか飲めないのがさびしい。1年中ナシが手に入る果物屋さんってあるんだろうか…。
2004/12/01
コメント(3)
全80件 (80件中 51-80件目)