つまりプラッターもカートリッジも共に磁気を帯びている。 その僅かなプラッターの磁気がカートリッジに影響して、音を歪めてしまうんですね。 そこでAir Force One では、ステンレスから磁気を取り除く特殊な技術を持った企業に頼んで消磁してからプラッターにしているのです。
こっちはもっと高くって1,320万円です。 こうした特殊技術がAir Force One にはゴマンと満載されてるのですが、最大の特徴は外部振動を完全遮断する技術でしょう。 つまりレコードプレーヤーは床と接地しているので、スピーカーの振動や生活振動がレコードプレーヤーに伝わります。 これがレコードプレーヤーの音質を決める最大のカギなんですね。 大抵のレコードプレーヤーはスプリングで振動を軽減したり、安いものだと緩衝材で対策してます。 ところが、これだけでは完璧では無いのです。 なぜならレコードプレーヤーのプラッターはモーターで回転させてます。 このモーターの振動がレコードプレーヤーの最大の敵なんですね。 そこで高級レコードプレーヤーでは、モーターの回転をプラッターに伝えるのに普通ベルトを使うのを、「糸」を使って振動が極力伝わらないよう工夫されてます。 糸を使っても完璧ではありません。 糸を通じて、わずかながらモーターの振動は伝わります。 そこでAir Force One は全く違うアプローチをしてます。
Air Force One はレコードプレーヤー本体の他に、モーターに電気を供給する電源を別ユニットにしてもってます。 これは高級レコードプレーヤーではよく使われる手で、モーターを駆動する電気を家庭用電源そのままでは電圧が微妙に変化したり、ノイズが多いのでその対策として取ってる手法です。 Air Force One は、もうひとつ別ユニットがあります。 それは「エアーポンプ」です。
ちょっと待ってください! 浮遊と吸着って、全く真逆のことしてるぢゃないですか。 そんなことが現実に可能なんでしょうか? そこがAir Force One のスゴイとこなんですね。
Air Force One のプラッターを支える軸は1本ではなくて、1本の中が何ミクロンと云う精度で二重構造になってるのです。 そして外側の軸で空気を送り出してプラッターを浮かせると同時に、内側の軸は反対に空気を吸い込んでレコード盤を吸着させてるのです。 その二重構造の軸の間に、何十年使っても劣化しないグリスを封じ込めて、軸と軸の回転をスムーズにしてるのです。 何ともスゴイ技術です。 それに加えてレコードプレーヤー本体は物性の異なる2種類のアルミ合金による3層サンドイッチ構造で共振の発生を抑えています。 最下部のベースシャーシとトップシャーシはマグネシウムとの合金なんですね。 レコードプレーヤー本体の重量は合計で43kg もあって、これも音に素晴らしい効果を生み出してます。
とにかくAir Force One は最新で独自技術の集大成みたいなレコードプレーヤーです。 こんなスゴイものを、自社製品第一号で作り上げたステラはあっぱれですね。
それに加えて、レコードプレーヤーのカートリッジは「針」でレコード盤の音溝をトレースして音を拾うワケですが、この針を無くしてLEDと太陽電池の「光」でトレースするカートリッジを開発した会社も日本にあります。 このカートリッジで拾った音が抜群に良くて評判なんですが、これを作れるのも世界中で「DS Audio」と云う日本のメーカー1社のみです。 そこでAir Force One にDS Audio の光カートリッジを載せると、世界最高のレコードプレーヤーが出来上がるのですね。 「ステラ」も「DS Audio」も非常にちいさい会社です。 だけど技術力は世界中が束になってかかっても敵わない、まさに日本の中小企業そのものなんですね。