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August 7, 2006
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カテゴリ: 教授の読書日記



たとえば「女性は自分の業績を過少評価する」というところとか。これなんか、私の姉そのものズバリです。子供の頃、姉は試験か何かがある度に、「難しかった」「できなかった」と言いながら帰ってくるんです。で、私は逆に「ちょろい、ちょろい」とか言って帰ってくる。しかし蓋を開けてみると姉の試験は満点、私はせいぜい70点、なんてことがよくありました。子供の頃だけでなく、私の姉はいつもそんな感じで、私なんかよりよっぽど賢いのに、いつも謙遜していた。

で、自分の業績を低く見積もる女性は、常に「成功」を他者のせいにするんですって。「たまたま運が良かった」「周囲の人に助けられた」ってな感じです。つまり、「成功恐怖」というのがあって、成功を自分で引き受けられないんですな。で、逆に、「失敗」の方は進んで自分で引き受けちゃうんですって。「うまく行かないのは、自分のせい」と思い込みがちなわけ。つまり「自己否定」をすることに慣れちゃうんです。

で、こうなるともう悪循環ですよ。学校で勉強している時はすごく成績のいい女の子が、将来を嘱望されながら、「いや、自分にはそんなこと、勤まらない」と自分から引いてしまって、つまらない(と言っては失礼ですが)事務職かなんかをちょろっとやって、すぐに結婚してしまう。キャリアなんて積んでいたら女性として魅力がないと思われるのではないか、という自己否定の恐怖があるからです。

で、一旦結婚してしまうと、例の「依存体質」が全面に出て、夫に全面的に依存してしまうわけですよ。でまた、自分は夫の収入に依存しているという後ろめたさがあるので、夫の要求には必死で応えようとしてしまう、と。

そうなると、もう召使ですよ。「夫:飯。」「妻:はいはい。」、「夫:風呂。」「妻:はいはい。」、「夫:これやれ。」「妻:はいはい。」「夫:あれやれ。」「妻:はいはい。」ってなもんです。これは結局、夫に対して「あなたは何もしなくていいです、家のことは私が全部やりますから」というメッセージを終始発しているようなもんですから、夫は家庭のことをどんどん顧みなくなっていく。

で、召使に成り果てた妻は、夫のこと、子供のこと、家のこと、ぜーんぶさせられ、その挙げ句、夫には浮気されちゃったりするわけですよ。で、そうやって家庭が崩壊したとき、妻は「何で?」と思うわけですが、夫をそのような方向に駆り立てた責任の一端が自分にもある、ということには気づかないんですな。

もちろん、家庭と仕事を両立させようという女性もいます。しかし、それなりの収入を得ている女性ですら、自分の収益は家系の「足し」に過ぎない、と考えがちで、やはり依存体質からは抜けきらず、夫に悪いと思って家事を引き受けてしまう、というのですって。で、仕事で疲れ、家事で疲れ、年がら年中くたくたになってしまう、と。

それから、たとえば同じような学歴を持ち、同じような将来の目標があるカップルなんかでも、まず女性の方が自分から身を引いて、「私が働いて稼ぐから、その間、あなたは勉強を続けて」みたいな感じになるらしいんです。そう言われたら、男の方は「ラッキー!」ってな感じで勉強を続け、自己実現してしまう。しかし、一旦、男の給料で生活が成り立つようになると、例の依存体質が出て、奥さんの方は中断した勉強を続ける気にはならなくなるらしいんですな。そうなると、奥さんの方は「夫を立たせた偉い妻」という美談にはなるかも知れないけれど、ただそれだけの話で、結局自己実現はできなかったということになってしまう。



だからこそフェミニストたちは、こういう女性に押しつけられた損な役割は不当だ、と言ってきたわけですが、『シンデレラ・コンプレックス』の著者は、そうではない、こういう損な役割は女性に「押しつけられた」のではなく、「女性自身が勝手に引き受けた」んだ、ということを主張したんですな。そこが新しいところ。

つまり、コレット・ダウニングによれば、「女性の自立」という時に必要なのは、経済的な自立ではない、と言うわけですよ。必要なのはもっと精神的な意味での自立、すなわち「自己否定」からの自立であり、「成功恐怖」からの自立であり、「依存体質」からの自立だ、というわけ。それらを踏まえた上でないと、いくら経済力をつけてもダメなんだ、というんですな。まず己を知れ、ということでしょうか。

とまあ、『シンデレラ・コンプレックス』の言わんとしているところをかい摘んで述べてみましたが、上に述べたようなことを、著者が見聞きした実例を踏まえて実証しているので、とても説得力があります。実際、よく似た例が読者の身の回りにいくらでもありますからね。というわけで、この本、特に女性の方にはお薦めします。男の私だって「なるほど」と思うのだから、女性だったらなおさら、「!」と思われるのではないか知らん・・・。ちなみに、楽天ブックスではすべて「在庫なし」になっていましたので、興味のある方は古書店で捜してみて下さい。ベストセラーになった本ですから、案外簡単に見つかると思いますよ。


ところで、偶然というのはオソロシイもので、私がつい先日読み終えた『マージョリー・モーニングスター』という小説、あれもよく考えてみれば、才能もあり、美貌もあり、チャンスもあった女優志望のマージョリーが、結局自己実現することなく、平凡な家庭の主婦になってしまう話だっんですよね・・・。それから、今読んでいる『ダ・ヴィンチ・コード』、あれだって結局、古代からの「女性信仰」が、キリスト教、特にカトリックの父権的世界観によって潰され、歴史から抹消される、という話でしょう? そこへ持ってきて『シンデレラ・コンプレックス』ですから、なんだか「女性の受難・3部作」みたいになっちゃった。

女に生まれるってのはしんどいもんだなあって、つくづく思いますね。





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Last updated  August 7, 2006 11:16:06 AM
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釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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