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避難所の昼下がり一人離れて、横になっている体格の良い男性がいた。『お昼寝中ですか?』声をかけると、白いTシャツを持ち上げて指差した。(視覚障害者なので、助けて下さい)とマジックで大きく書いてあった。「目が見えないんもんで、ここの避難所の人が書いてくれたんだよ」黄変部網膜色素変性症という目の難病で数年前に失明したと言う。奥様もすでに亡くなられて、息子さん夫婦と暮していて、今回の津波に遭った。『目がご不自由で大変でしたでしょ?』『どうやって逃げられたのですか?』「嫁っこと息子が両手持って、早く!早く!!!って必死でひっぱってくれて・・・」「ゴォーーーッ!!!ていう地鳴りのようなすっごい音が聞こえて急いで逃げたんだよ~」「あの音が津波の音だっんだな~、聞いたことないおっそろしい音だった」「ここの人達はみ~んな親切にしてくれるけど・・・」「若いもんがたくさん流されて、こんな年寄りが助かって・・・」「みんなのお荷物だもんな~」「何で助かったんだろうな~」私は言葉が見つからなくて・・・『あっ、そうだ!手を見せていただけますか?』『私、占い師じゃないけど、手相少しだけならね・・・』と言った。「こんなベッピンさんに手、握ってもらえるんなら見てもらおうかな~」『あら?ベッピンさんんてどうしてわかるんですか?(笑)』冗談を言いながら、手を見せていただくと・・・すっご~~く長い生命線!『素晴らしい手相ですね!』『長寿の相で、100歳以上生きられる可能性大!ですよ』「そんなに長生きせんでいいわ~」『でもね、それだけ運が強いってことだから・・・』『今回の津波に遭われてもご無事だったんだと思います』『こうやって無事にここにいらっしゃる!それだけでみなさんの希望の存在ですよ!』「わしみたいなもんが?」『そうですよ。こんなに運が強いんですから・・・』『これからも大丈夫ですよ。元気でいて下さいね!』いつの間にか、笑顔になった秋男さん。『私の父の名前も字は違いますが、アキオなんですよ』窓からやわらかな風が入って、カーテンが揺れた。『津波さえなけりゃな~~』『ここはいい所なんだけどな・・・』秋男さんが、ポツリと言った。。。分厚くて立派な手!
2011.05.22
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遅咲きの八重桜が咲いているあれから2ヶ月・・・北国の海は穏やかで、吹き渡る風が心地良い瓦礫の陸から目を移せば、青い水平線がどこまで続いているあの日のことは夢だったのか・・・夢であってほしかった!小さな避難所の昼下がり92歳の小柄なみや子さんがぽつりと語る「おどっさんも、息子も漁師だったからね」「漁師は、危ない仕事だからさ・・・」「孫だけは、陸の仕事につかせたいって思って・・・」「役場さ安心だからって、役場の職員になったんだよ」「そしたら、あの津波で役場もみ~~んな流されて・・・」「孫も流されたんだけんど・・・」「すぐに見つかったの」「胸のポケットに名刺が入っていてさ、免許証もあってさ・・・」「すぐにわかったの」「まんだ、わからない人もいるんだから、ありがたい、ありがたい」「男の子がいてね、、、嫁さんのお腹にも赤ン坊がいてさ・・・」「4月25日に女の子が産まれたのよ」「孫は33歳だったけど」「孫の生まれ変わりだと思ってさ、こんな時にね~」「ありがたい、ありがたい事だよ~」みや子さんの目には涙はない聞いている私は涙を必死でこらえていた北国の穏やかな青い海あの日の壮絶な光景は夢のようだ夢だったらいいのに。。。
2011.05.18
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地震、原発関連のニュースが続く中、飛び込んできた、ビンラディン殺害の速報。ツインタワービル崩壊のテロの首謀者とされているビンラディン。そのニュースに歓喜するアメリカの人々。その映像が昔の映像と重なって見える。日本が無条件降伏をして、第二次世界大戦が終結した日、アメリカは歓喜に沸いていた。NYのタイムズスクエアは祝勝の花吹雪が舞い、人々は抱き合い、踊り、歌っていた。そして、我が国、日本は、、、みな無口にうなだれていた。。。確かに、たくさんの命を無差別に奪うテロは許されることではない。私はビンラディンのやり方を支持するわけではないけれど・・・ただ、なんだかな~~~(-- そんな気分になってしまった。情緒的過ぎると言われるかも知れない。彼は首謀者なのだから、殺されるのは当然なのかも知れないけれど・・・このブルーな気分はなんだろう?未曾有の自然災害、今回の大地震でたくさんの命が一瞬で奪われたばかりの日本。未だに収束のメドのつかない原発。家を追われた避難地域の人々。そんな中に飛び込んできた殺害のニュース。。。最近、テレビCMで頻繁に流れていた、金子みすずの詩を思い出す。26年の短い生涯でたくさんの詩を遺した、金子みすず。印象的な詩があるので、忘れないように自分の為に書いておこうと思う。「大漁」朝焼け 小焼け大漁だ大羽鰯の大漁だ浜は祭りのようだけど海のなかでは何万の鰯のとむらいするだろう
2011.05.03
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久しぶりにかかってきた電話地震のことやら、福島の原発のことやら・・・仕事の話やら・・・話題は尽きず、気がつけば夜も更けて・・・節電の為に早く寝ないと、、、なんて言いながらの長話し。「ね、ちょっと聞いてみたいんだけど」 「こんな時だから、明日、また大地震が起きるかも知れないでしょ?」「もし、緊急予報が出て、明日、大地震が起きるとわかったら、どうする?」『確実にわかった場合のこと?』「そう、確実な場合よ」『そうか、そうだったら、、、Hする!』「地震が来るのに?」『だってその後、どうなるかわからないんだったら、Hするな~』『相手は誰でもいいんじゃなくて、本気で好きな人だよ』「じゃ、これから探さないと間に合わないんじゃないの?」『そうなんだよね』『やっぱり本気で恋愛している時が一番、生きている気がするね』「かなり恋愛体質なのね~」真面目な質問に正直に答えてくれてありがとう。思わず笑ってしまったけれど、、、確かに、それはそうかも知れないな~って・・・ほんの一瞬、遠い記憶が心をよぎったわ~(^^)
2011.05.01
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