ミステリの部屋

ミステリの部屋

2005年05月20日
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オックスフォードで催されるワーグナー歌劇の稽古中、歌手としては一流ながら人間的には最低の男ショートハウスが様々なトラブルを引き起こしていた。

そして初日も間近に迫ったある夜、歌劇場の楽屋でショートハウスの首吊り死体が発見される。

死亡時刻には現場は密室状況にあり、作曲家で奇行で知られる被害者の兄、恋敵の歌手、理不尽な扱いを受けていた新人指揮者など、殺人の動機を持った容疑者には事欠かなかった

友人の求めに応じて事件の解明に乗りだしたオックスフォード大学の名物教授ジャーヴァス・フェンだが、歌劇場の周辺ではその後も怪事件が相次いだ…。

本格黄金時代の後継者クリスピンが、J・D・カーばりの不可能犯罪に挑んだ円熟期の傑作。 <本の扉より>



「愛は血を流してよこたわる」は題名にひかれて読みましたが、そこはかとなくユーモア漂うのどかな学園が舞台のミステリでした。

今回の舞台となるのはオペラです。
オペラ歌手のアダムと作家のエリザベスのの恋からはじまり、いかにも悪役の恋敵や男勝りのプリマドンナ、野心に満ちた作家志望の若者などオペラに関わる人々が魅力的に描かれ、
ひとりひとりスポットライトをあてるかのようにその人生が浮かびあがってきます。

そして登場するジャーバス・フェンはオックスフォード大学の英語英文学教授、地道に推論を積み重ねてみごとな推理を披露するのですが、これがかなりおちゃめです。
車の運転は隣に乗っている人は生きた心地がしないくらい無茶苦茶だし、事態を打開するためには平気でうそをつくんですから。

事件はオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のリハーサルからきざしを見せ、公演初日の盛り上がりとともに大詰めへとのぼっていきます。

トリックを解き明かす場面も、ミスディレクションもなかなかのものでした。そしてちりばめられた品のいいユーモアも。



オペラの内容についてはあとがきに詳しく書いてあるので、知らなくても大丈夫ですが、このオペラを知っている人は、もっともっと楽しめるだろうと思います。













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最終更新日  2009年05月29日 16時39分43秒
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