ミステリの部屋

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2005年06月02日

御手洗潔の挨拶：島田荘司

(2)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ（さ行作家）

かなり以前に一度読みましたが、特集“犬にまつわるミステリ”で紹介したので読み返しました。

この作品は短編集で４つの事件が収められています。

「数字錠」
これはほとんど覚えていました。
御手洗潔がとても優しい顔を見せます。
東京タワーから広がる夜景を見下ろしながら、悲しみを抑えてそこに生きる人について語る場面が印象的です。

「失踪する死者」
嵐の夜、マンションの十一階から姿を消した男が、その直後に走る電車に飛び込んだ。首には絞殺の跡があり、しかも全力疾走しても現場には間に合うはずがない。

語り手は石岡さんではなくてサックス吹きの隈能美堂巧。

「紫電改研究保存会」
紫電改の保存のために封筒の宛名書きをさせられるはめになる男の話。

これはホームズのある作品が浮かびます。
人も死なず読後感もいいです。

「ギリシャの犬」
モナコで知り合った富豪は素晴らしいシェパードを飼っていた。
彼の妹から依頼されたのは消えたたこ焼き屋の捜索だったが、事件は意外な展開を見せる。

御手洗潔は女性より犬が好きに違いないと思われます。
天才探偵のそばで、石岡さんがあまりに頼りなくて心配になってしまいました。

あとがきで「御手洗潔の志」として、作者の思いが書かれています。

ちょっとレトロな雰囲気の中、温かみのある名作ぞろいでした。

御手洗潔シリーズは実はこれしか読んでいないんですが、
このホームズとワトソンのコンビは読まなくては損という気になります。
今度は長編を読んでみたいです。
なぜこれまで読まなかったんでしょう。

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