ミステリの部屋

ミステリの部屋

2005年10月06日
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カテゴリ: 海外ミステリ
先日読んだ「 誰の死体?  」に続く、貴族探偵ピーター・ウィムジー卿シリーズの2作目です。

前作で知人のピンチを救ったピーター卿ですが、気分転換のためコルシカで山歩きを楽しんだ後、パリのホテルに滞在中にとんでもない知らせを受け取ります。
兄のジェラルドが殺人の容疑で逮捕されたというのです。しかも被害者は妹メアリの婚約者です。
一家の危機に、ピーター卿はすぐさまリドルズデール荘へと駆けつけたのですが、待っていたのは食い違う証言の数々でした。


今回は身内のピンチです。
しかも兄は隠し事をして、妹はうそをついていると言う困難な状況の中で、ピーター卿は身体を張って捜査にあたります。
それでも全然重苦しくないのは、飄々としたピーター卿のいつもと変わらない態度と言葉があるからです。

謎解き自体はそれほど驚くべきものではありませんが、今回は裁判のシーンが見所の一つとなっています。

終盤の貴族院議員の裁判における、検察側と被告側の手に汗握る駆け引きが面白かったです。
やり手の弁護士サー・インピィ・ビッグズ氏による最後の大弁論には感動すら覚えました。

そして、ピーター卿のファミリー総出演であることも見所の一つ。親友パーカーの恋の行方も気になります。
バンターは相変わらず有能で、ピーター卿との絆の強さを確認することができるような場面もあります。でも、いくら有能だからって、先週の木曜日の新聞の記事のことをピーター卿に聞かれて、すぐにどこからか切り抜きを取り出すなんて、有能すぎませんか?

この作品を読んでいると、癒されるような気がします。
一言で言うと、豊かな、と表現したいですね。
優雅でユーモアあふれた豊かな時間を私にくれました。



 雲なす証言 : ドロシー・L.セイヤーズ









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最終更新日  2005年10月07日 14時28分34秒
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