ミステリの部屋

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2005年12月15日

刑事ぶたぶた：矢崎存美

(2)

テーマ：ミステリはお好き？(1646)

カテゴリ：日本ミステリ

今日もぶたぶたです。シリーズ第２弾。

これまでは単行本で読みましたが、今回は古本屋さんで購入したデュアル文庫版です。
最初のページを開くと、コインランドリーの乾燥機の中のぶたぶたの写真です。
それだけでおかしいんですが、それがどういう状況なのか知りたくなります。

題名の示す通り、ここではぶたぶたは刑事をやっています。
最初の話を読み終えて、いつもと違うし、何か変だと思いましたが、初の長編でした。

初めてぶたぶたを紹介されて気絶しそうになっている時に、ぶたぶたから
「たまに僕を持ってもらうこととかあるかもしれないけど、お手数をかけます。」
なんて言われて戸惑う立川君ですが、驚いている間もなく人質をとって立てこもる銀行強盗事件に駆り出されます。

この場合、たとえ見つかっても、ただのぬいぐるみのふりをすればいいわけです。
考えてみれば、刑事の仕事というのは天職かと思える位、ぬいぐるみとしての特性を生かすことができます。
少年少女の悩みを聞いたり、潜入捜査をしたり。
今回潜入するのはおもちゃ屋さんのぬいぐるみ売り場です。

妹が生まれたけれど、母親に対して素直になれない小学生の女の子の話と、ある夫婦の赤ちゃんが連れ去られた事件。この二つが全体にわたる大きな軸となり、その合間にいくつかの事件が起こるという構成になっています。

ぶたぶたに同行する立川君の反応がいいんです。笑えます。

そしてぶたぶたがいくら丼を食べるのも、脱水されてキャーと悲鳴をあげるのも、乾燥機の中でハムスターのごとく走り回るのも、もうとっても可愛くておかしくてたまりません。

ぶたぶたは事件を解決するというよりも、その存在で凝り固まってしまった心を解きほぐすと言った方がいいでしょう。

すっきり解決してめでたしめでたしとは行かないのですが、ぶたぶたのお陰で何かが変わった人々には、その先の困難を乗り越えて明日が開けていると信じることができそうです。