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2006年03月19日

さらば愛しき鉤爪：エリック・ガルシア

(4)

テーマ：ミステリはお好き？(1644)

カテゴリ：海外ミステリ（カ行作家）

洒落のきいた軽口に負け惜しみ、アル中ならぬバジル中毒の私立探偵。
ハードボイルドの定番ですが、その正体は前代未聞なことに、人の扮装をした恐竜です。

6500万年前に死滅したはずの恐竜は、巨大隕石の影響を受けて数を減らしながらも、人間社会に紛れ込んで生き続けていたのです。
何とおかしな設定でしょう。

世界中で熱狂の渦を巻き起こした恐竜ハードボイルド。

いくら精巧でも、人型の皮の中に恐竜の身体をどうやって押し込むことができるのだろう、とか、立派なしっぽをどこにしまうのかとか、初めのうちは疑問が浮かんできたりもしましたが、読み進むうちにそんなことはどうでもよくなりました。
いつしかこのＳＦっぽい不思議な世界に、すっかりはまり込んでしまいました。

イグアノドン、トリケラトプス、ステゴザウルスなど数種類の恐竜が登場するのですが、主人公はヴェロキラプトル。
そうです、ジュラシックパークで頭の良さと獰猛さを披露したあの恐ろしい恐竜です。

恐竜たちは助け合い、人に存在を悟られないよう手を尽くしています。

怖い顔の恐竜が人間たちに本当の姿を見られないように苦労する姿は滑稽でもあります。
仕事中はトレンチコートと帽子にこだわるなど、ハードボイルドを気どるパロディとしての面白さもあります。

これらが混じり合い、ペーソス漂う独特のおかしさが感じられる作品でした。

ルビオは時には危険な目にあい、時には命をかけて闘い、そして恋もしますが、友人の命を奪った事件のことは決して忘れません。

きちんと伏線の張られた謎は、人々の中で恐竜が暮らしている、という設定ならではの解決を見せます。

最後はちょっとほっとするような洒落た終わり方で、次の作品も期待できそうです。

現在3作目まで刊行されています。

さらば、愛しき鉤爪　：エリック・ガルシア　表紙の写真がなくて残念！

2作目は鉤爪プレイバック
3作目は鉤爪の収穫

題名もハードボイルドのパロディですね。

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最終更新日 2006年03月20日 00時24分30秒
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■コメント

Re:さらば愛しき鉤爪：エリック・ガルシア(03/19)

dai583 さん

すごくユニークな設定ですねぇ。
恐竜が人間に変身するんじゃなくて、変装するんですね。話はコミカルにすすむんでしょうか。
読みたくなってしまいました。 (2006年03月20日 21時26分50秒)

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Re[1]:さらば愛しき鉤爪：エリック・ガルシア(03/19)

samiado さん

dai583さん、こんばんは！

＞すごくユニークな設定ですねぇ。
＞恐竜が人間に変身するんじゃなくて、変装するんですね。話はコミカルにすすむんでしょうか。

かなりコミカルです。
シリアスな場面もありますが、扮装のせいかそれほどシリアスに感じられないです。

＞読みたくなってしまいました。

恐竜と人間が共存する世界に入り込めたら、こっちのもの。不思議な面白さが味わえますよ♪
(2006年03月20日 22時56分05秒)

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Re:さらば愛しき鉤爪：エリック・ガルシア(03/19)

ときあさぎさん

そんな小説があるんですね～（感嘆）。
恐竜と人間の共存……サイズ的問題はどうなんだろう？とか、人間は恐竜の存在に全く気付いてないのか？とか、その設定段階だけでいろいろ論じることができそうなくらい、ある意味「画期的」と思える小説ですね。
ちょっと読んでみたくなります。
(2006年03月21日 01時02分51秒)

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Re[1]:さらば愛しき鉤爪：エリック・ガルシア(03/19)

samiado さん

ときあさぎさん、こんにちは！

＞そんな小説があるんですね～（感嘆）。
＞恐竜と人間の共存……サイズ的問題はどうなんだろう？とか、人間は恐竜の存在に全く気付いてないのか？とか、その設定段階だけでいろいろ論じることができそうなくらい、ある意味「画期的」と思える小説ですね。
＞ちょっと読んでみたくなります。

確かに画期的です。
これだけぶっとんだ設定なのに、これがなかなか読ませる作品なんですよ。

突っ込みどころは多々ありますが、それは置いておきましょう（笑）
ハードボイルドを読んでいる方なら、笑えるところも多いですよ。
(2006年03月21日 11時47分32秒)

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