ミステリの部屋

ミステリの部屋

2007年12月14日
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それを目撃したヴァランタン・ムーフラールも水死体となって、所もあろうにエッフェル塔の上に現われ、おまけに幽霊船『飛び行くオランダ人』号船長の契約書までも添えてあった。
血の気の多いパリっ子を巻き込んで次々おこる怪事件、登場する怪人物、深まる謎…。
エッフェル塔の構造の秘密という奇抜な着想から繰り出される奇想天外な物語。
(「BOOK」データベースより)


これは フランスのユーモア作家ピエール・カミが1929年に書いた作品です。
娘のおすすめメモにあったので読みました。

カミは1920年代を中心にコント作家として活躍し、チャップリンと親交があったことも知られています。
代表作は、シャーロック・ホームズのパロディ「ルーフォック・オルメスの冒険」
です。

舞台はパリ。
セーヌ川に身投げした青年はお化け潜水夫に連れ去られ、それを川底で目撃した潜水夫のムーフラールも翌日水死体となって、潜水服のままエッフェル塔の4階で発見されました。
ところが警察が目を離したすきにその死体は4階から突き落とされ、あわてて人々が駆け付けると、潜水服の中はからっぽだったのです。

その後も、怪しい交霊会、幽霊船、フライング・ダッチマンと次々に怪事件が起こります。

もちろん頭の中にはシャンソンが流れ続けていました、というのは嘘ですが、フランスの香りが漂い 想像力をかき立てられる場面は続きます。
そしてついにエッフェル塔の謎があきらかになるのです。

エッフェル塔で育ったファンファンの話から始まり、魅力的な登場人物が多数出てきて、途中で誰が主人公か見失いそうになりますが、生き生きと描かれた人物たちの活躍は楽しいです。
とくに、やせるために毎日エッフェル塔に登るというモンパパは なごませてくれました。

昔の作品ですからどうしてもレトロな印象はありますが、テンポのいいまま奇想天外な解決とハッピーエンドへなだれ込む、読んでいて愉快な話でした。
読んだあとは、ぜひエッフェル塔に登ってみたくなります。


エッフェル塔の潜水夫 : ピエール・カミ

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最終更新日  2007年12月14日 15時58分35秒
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