ミステリの部屋

ミステリの部屋

2008年12月10日
XML



遺されたのは母と頼りない四兄弟。
長兄・矢一郎は生真面目だが土壇場に弱く、次兄・矢二郎は蛙になって井戸暮らし。
三男・矢三郎は面白主義がいきすぎて周囲を困らせ、末弟・矢四郎は化けてもつい尻尾を出す未熟者。
この四兄弟が一族の誇りを取り戻すべく、ある時は「腐れ大学生」ある時は「虎」に化けて京都の街を駆け回るも、そこにはいつも邪魔者が!
かねてより犬猿の仲の狸、宿敵・夷川家の阿呆兄弟・金閣&銀閣、人間に恋をして能力を奪われ落ちぶれた天狗・赤玉先生、天狗を袖にし空を自在に飛び回る美女・弁天―。
狸と天狗と人間が入り乱れて巻き起こす三つ巴の化かし合いが今日も始まった。
(「BOOK」データベースより)


京都には、狸と天狗と人間が暮らしているのだそうです。
教科書に載っている歴史上の人物だって、もしかしたら狸が化けていたのかもしれないのです。

そんな摩訶不思議な京都を舞台に繰り広げられる 大活劇ファンタジー。

主人公は 下鴨家の三男、狸の矢三郎です。
偉大な父は狸鍋となって散り、残されたのは 宝塚ファンで雷に弱い母と、4人で一人前のような四兄弟です。
それでも 彼らはどこにいようと雷が鳴ると、怖がる母のもとに駆けつけるのです。


狸と天狗と人間と、一癖もふた癖もある 個性的な登場人物たちが出そろったところで、一気に怒涛の展開が始まります。

欲望、失望、孤独、嫉妬、恋、謀略。
天狗だって、狸だってとっても人間臭いのです。



独特の文体は健在ながら、ひねくれ度が減ってかなりストレートになっているので、森見ファンでなくとも入り込みやすいのではないかと思います。

私はもともと森見節が好きなこともあって、父の死の謎に関わるあたりから、読むことをやめられなくなりました。

読後はすっかり気分が高揚して、 「面白きことは」 と私が言えば、娘が 「良きことなり!」 と答えるおバカぶりを発揮しました。

森見さんにハマった私たち親娘が調子に乗るさまは、まさに 「阿呆の血のしからしむるところ」 でございましたw

続編もあるらしいので、再び愛すべき毛玉たちに会うのが楽しみです。




有頂天家族 :森見登美彦








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年12月10日 23時50分54秒
コメント(4) | コメントを書く
[ミステリ以外の小説] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

バックナンバー

2025年11月
2025年10月
2025年09月
2025年08月
2025年07月
2025年06月
2025年05月

コメント新着

月見草@ Re:夜のピクニック:恩田陸(07/06) 「夜のピクニック」のご紹介ありがとうご…
アルビレオ@ Re:白馬への旅、2日目(07/30) 白馬 行って見たくなりました。ワタスゲ…
アルビレオ@ Re:マフラー(01/29) samiadoさんの優しさがしみます。36ufh
アルビレオ@ Re:冷凍ロールケーキ(02/07) 書き出しの「待っていたロールケーキが届…
アルビレオ@ Re:節分もどき(02/03) 恵方巻きって確かに子どもの頃 福岡には…
アルビレオ@ Re:つらいときは(02/02) 「情けは人のためならず」って、何か辛い…
アルビレオ@ Re:マフラー(01/29) samiado さん 編み物も🧶されるんですね…

お気に入りブログ

『新訳 冬物語/シ… shovさん

未定の予定~ラビ的… みっつ君さん
留年候補生W2.0… 留年候補生W2.0さん
魔女の隠れ家 たばさ6992さん
ちょっと休憩 ときあさぎさん

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: