ミステリの部屋

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2009年06月11日

サクリファイス：近藤史恵

(2)

テーマ：ミステリはお好き？(1646)

カテゴリ：日本ミステリ（か行作家）

初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。
それは、単なる事故のはずだった――。
二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動!
青春ミステリの逸品。
（出版社より）

自転車ロードレースの世界が舞台。
日本では　あまり馴染がないかもしれませんが、アニメーション映画の『茄子アンダルシアの夏』を見たことがあれば、わかりやすいはずです。

私はスポーツを描いた作品が　好きです。
自分では体験できないことを疑似体験できるから。
努力と苦難を乗り越えてつかんだ勝利の味も、爽快感も感じることができる、これはすごいことだと思うのです。
スポーツに人生をかけ、命をかける気持ちまで理解するのは　無理かもしれませんが。

主人公は、高校時代に中距離走でインターハイに優勝しながらも、走ることが苦痛でしかありませんでした。
その彼が、テレビで自転車のロードレースを見て、一番早く走ることを目的としていない者がいることを知ります。

私も、エースを勝たせるために走る　アシストという役割があることなど、知りませんでした。

レースのシーンも臨場感溢れていて、ミステリだということを忘れそうです。文章も読みやすく、あっという間に読んでしまいました。

さて、最後にはミステリであったこともわかるのですが、そこで大変衝撃を受けました。
タイトルの意味もわかります。

これで良かったとは決して思いませんが、あまりに純粋な思いに胸が熱くなりました。