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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2009年11月25日
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軍の総務部に勤務するリフィアは、すらりとした身体をレモンイエローのシンプルなドレスに包んで、同僚の女性士官達と会話に花を咲かせていた。

パーティーには若い青年士官も大勢出席しており、彼女たちの話題は尽きることがない。
それは青年達も同様であり、明るいシャンデリアに照らされた大広間のあちこちで、グラスを手に話している人々がいた。

ざわつく会場で、リフィアは同僚四人ほどと、左手奥のグランドピアノの脇に立っていた。ピアノは今自動演奏になっている。
向かいの壁際には青年士官のグループがいて、先日の出撃について話しているようだった。

「まあ、アルディアスさまがいらしてよ」
「この間の出撃でかなりの戦果をあげられたのでしょ? そうは見えないお姿なのにね」

「ねえ、どの方?」

リフィアは隣の友人にささやいた。ピンク色のシフォンドレスを着たアンナは、目線でひとりを指しながらささやき返した。

「あの背の高い銀髪の方よ。聞くところによると、大神殿にも籍をお持ちなのですって」
「ふうん、そうなの」
「軍人と神殿職の掛け持ちなんて、普通はありえないわよねえ。どういうお方なのかしら」

リフィアの反対側から、大胆なスリットの入った緑色のドレスを着たジェズが会話に混ざってくる。なんとも神秘的な雰囲気よねえ、などと彼女たちはひとしきり盛り上がり、話題は別の男性に移った。

リフィアは黙ってそれを聞きながら、教えてもらった青年士官を失礼にならない程度に眺めてみた。
均整のとれた長身に背を流れる長い銀髪。軍礼服に身を包み、どちらかといえば聞き役を務めているのか、時折やわらかな微笑が口元にうかぶ。瞳の色は藍色のようだ。優しそうで、たしかにあまり軍人らしくは見えない。

それからリフィアは同僚達の会話にまた混ざっていったが、しばらくしてふと、アルディアスがするりと輪を抜けて暗いテラスに出て行ったのに気づいた。
場は話し上手の青年士官が人気を博していて、男女のグループが混ざって盛り上がっている。他には誰も彼のことを見てはいないようだった。

リフィアはなんとなく好奇心で、そっと人々の後ろへ抜けて、自分もテラスに行ってみた。
大きな掃出しのガラス窓を少し開けてすりぬけると、ほてった身体を夜の冷気がさっと取り巻く。窓を閉めると、賑やかな音も光も一瞬にして遠くなり、まるで別世界にいるように感じられた。

その静けさの中で、一人の男がこちらへ背をむけ、テラスの手すりによりかかって空を眺めている。広い軍服の背に、銀髪が風にゆれていた。

「アルディアスさま」

彼女の呼びかけに、アルディアスはよほど深い思索にでも沈んでいたのか、肩をびくりとふるわせて顔半分ほど振りかえった。

月光に照らされたその綺麗な藍色の瞳が、ふっと色が消えたと思うと紫味の淡い色になり、また青に戻る。
クリスタルの遊色効果のようなその色の変化に、リフィアは心を奪われた。

「…………か」

なにか言われたようだったが、耳に入ってこない。 自分が何を言うつもりだったかも忘れてしまい、ただ今目にした美しい色の変化だけが、ちらちらと目の前を踊っていた。




暗いテラスに出て、アルディアスはほっと息をついた。賑やかなパーティーは嫌いというほどではないが、すすんで参加したいほうでもない。上司の命令という強制力がなければ、欠席の算段をするところだった。
酒で上気した顔に、冬の冷気がここちよい。彼はゆっくりと深く息をすいこみ、目前に浮かぶ大きな月を眺めた。

今宵の満月は大きい。銀色に輝くその姿は、なにかを彼に伝えようとしているかのようだった。

<……めぐる>
<輪が>
<運命の輪が>

(運命の輪がめぐる?)

「アルディアスさま」

彼が月の言葉をひもとくのと、彼女が声をかけたのは同時だった。
思わず肩を揺らして顔半分ほど振り返ると、室内の灯りを逆光に、明るい黄色のドレスを着た細身の女性が立っていた。

「……なにかご用ですか?」

完全に身体の向きを変え、驚きを取り繕って彼は微笑んだ。
しかし彼女はぼんやりとして反応しない。予想外の様子に、アルディアスは目をしばたたいた。

「どうかされましたか?」

一歩近寄ってみたが、どうやら完全に視界に入っていないらしい。神殿で医術もひととおり習っているが、具合が悪いのではないようだ。
大丈夫ですか、と指先で肩をとんと叩くと、彼女はびくりと震えた。

「あ、ああ……ええ」

「戻りましょう。ここは冷えますから」

微笑んだアルディアスは触れるか触れないかの加減でそっと彼女の背を押し、掃出し窓から会場に戻った。幸いと言うべきか、青年士官の話がちょうど佳境に入ったらしく、こちらを見ている人間はいない。
彼女が自動人形のような動きで同僚の元にもどってゆくのを見届け、内心ちゃんと帰れるだろうかと少し心配になる。

観葉植物の陰に戻ったアルディアスに、仲間が低い声をかけてきた。

「おい、やるじゃないか」
「そろそろ話が佳境だからと呼びにきてくれただけさ」
「なんだ。俺はてっきり、このパーティの目的を果たしたんだと思ったぞ」

黒髪の仲間はにやりと笑った。総務部の女性士官は、ほとんどが中央のギルドに属する商家の出だ。ギルドと良好な関係を築いておきたい軍部は、積極的に彼女達と青年士官とを近づけようとする。
ギルドのほうは、その強力な経済力を基盤にしっかり自立しているから、軍部との関係は必要な程度に賢くバランスをとっているが、昇進しそうな婿がいれば儲けもの、という姿勢もあるのはたしかだった。

「まさか。名前も知らないよ」
「総務部後方支援課のリフィア・ルーテウス伍長だよ。中央のけっこう大きい商家の出だ。兄弟姉妹も多いから、まあ親としてもいいところへ片付いてくれれば、くらいに思ってるだろうな。性格は、総務部のじゃじゃ馬だって噂だ」

「……よく知ってるな」
立て板に水の解説に、あきれて思わず仲間の黒い目をまじまじと見直してしまう。
すると彼はふんと鼻をならした。

「ばーか、常識だ。お前が疎すぎるんだよ。ほんとに浮世離れしてるよなあ、そういうとこ」

まあその天然のおかげで俺達は助かってるんだけどさ、とごにょごにょ付け足す。

アルディアスはそれを聞かずに、グラスを傾けながら窓の外を見ていた。
最初は逆光でよく見えなかったが、近づいた時に見えたのでは、瞳は黄色のドレスによく映えるペリドットの色だった。
輝ける太陽の石。

リフィア、か。

lifian、躍動する生命の響き。
いい名前だな、と彼は思った。



















<Lifia - Quadro ->
http://blog.goo.ne.jp/hadaly2501/e/219af2732e80db58f801e11c3229cd3a







【銀の月のものがたり】 道案内
http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/diary/200911230000/

【第二部 陽の雫】 目次
http://plaza.rakuten.co.jp/satukinohikari/diary/200911240000/



すみません、伸び伸びになってたので、なにはともあれ本編に入っておきたくて 笑
これからメール等、じわじわお返事させていただきます!


街区情報については、リフィアさんがすごいです。
ぜひリンクから見てみてくださいね♪
特に関係者の皆様は、なにか思い出すかも 笑



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最終更新日  2009年11月25日 11時03分47秒
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