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Rakugan is Kitten

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2011.07.26

２００３年１０月　講談社より
２００８年１０月　文庫化

「手首だけの」賄いさん－－－。
１３歳で両親を失った俺が高校進学と同時に入居したのは人呼んで"妖怪アパート"！
次々と目の当たりにする非日常を前に、俺の今までの常識と知識は砕け散る。
大人気シリーズ、待望の文庫化。
（裏表紙紹介文より）

主人公・稲葉夕士は中学１年の時に両親を事故で亡くし、叔父夫婦の家に引き取られて生活。
叔父夫婦は特に意地悪をするわけではないが、裕福でもなく広くもない家で
夕士の存在が迷惑なのは一目瞭然。
また２歳年上の従姉・恵理子は神経質な受験生な上に、思春期で家庭の中の異性の存在を嫌う。
気を遣う肩身の狭い暮らしから抜け出すために、寮のある高校に進学した夕士だったが、
春休みの間にその寮が火事で全焼してしまった。

賄い付きのアパート。
それはオバケが出ると曰く付きの妖怪アパートだった、という話。

オバケ（幽霊）も出ますが、妖怪も出ます。
しかしアパートにいるのは悪意のないもの達ばかりなので、楽しそうな日常です。
賄い付きで、食事を作ってくれるのは手首だけの「るり子さん」。
目覚ましをかけ忘れても、揺り起こしてくれる誰かさん。
おはようと挨拶をしてくれる３羽の小鳥。
玄関にいて「いってらっしゃい」「おかえりなさい」を言ってくれる「華子さん」。

シリーズの第１巻ということで、特に大きな事件は起こりません。
登場人物紹介って感じで、アパートの住民達が描かれていきます。

オバケと縁遠かった夕士は、最初は怖いと思っているんですが、だんだんその存在を

「普通って何だろう？」というのが１つのテーマかな。

個性の強いキャラが多いので、先が楽しみ。
そしてるり子さんの御飯は異常に美味しそうで、読んでいると食べたくなります。(笑)

【送料無料】妖怪アパートの幽雅な日常（1）
価格：470円（税込、送料別）

以下、ネタバレとなりますのでご注意ください。

夕士は両親の死後、気を張って生きてきたため、他人に素直に接することができずにいます。
距離をおいているというか、常にきちんとした子でいようとするというか。

それが妖怪アパートで、ありのままをありのままに受け入れることを覚え、
両親の死後、初めて泣くことができるのです。
長谷に向かって「腹減った。なんか食わして」と、初めてオゴってくれと意思表明するのが
少し自由になった感じで可愛かったです。
長谷的にも可愛かったみたいで、ちょっと喜んでいたみたい。(笑)

他にも、人間関係が希薄な現代のあり方に疑問を投げかけたりもしていましたが、
ページ数が少ないので、あまりそちらは訴求力がなかった。
欲張り過ぎかな。
テーマが分散して主張が浅く広くなりすぎな印象でした。

せっかくなので主要人物紹介。

長谷
小学校からの付き合いの夕士の親友。
卒業時には「一度思い切りやりあってみたかった」と夕士と殴り合いのケンカをした。
中学校では裏番だったが、成績優秀で進学校へ進む。
夕士のことをとても大切にしていて、その面倒見の良さはお母さんのよう。

妖怪アパートの住民
久賀秋音（人間）
夕士より１年上の高校２年の女子。除霊師。人の３倍食べる大食いの明るい女の子。

一色黎明（人間）
マニアに人気の詩人で童話作家。男だが一人称は「アタシ」。

深瀬明（人間）
画家。犬とタンデムしてバイクに乗る。

骨董屋（人間）
あちこち旅をしては怪しげな商品を仕入れて売る商人。
オールバックで薄い口髭、黒いコートを纏い、左目には幅の広い眼帯。

龍（りゅう）
かなりの力を持った霊能力者で、妖怪たちに畏怖されている。

るり子さん（幽霊）
妖怪アパートの賄いさん。
小料理屋を開くのが夢だったのに、殺されてバラバラ死体にされたため手首だけの姿。
ものすごく美味しい愛情料理を作る。

華子さん（幽霊）
玄関で「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」を言うだけの和装の幽霊。
最初、夕士には見えないのだが、妖怪アパートの姿をあるがままに受け入れたラストには
桜柄の華やかな着物だったことが判明。

鈴木さん（幽霊）
アパートを掃除してくれているおばさん。

クリ（幽霊）
母親に虐待されて死んだ男の子の赤ん坊の幽霊。
目がクリクリしているから「クリ」と詩人に命名され、皆に可愛がられている。

シロ（幽霊）
犬の幽霊。生前はクリの世話をしていたため、死後もクリと一緒にいる。

大家さん（妖怪）
妖怪アパートの大家。黒い大きな体の何か。

佐藤さん（妖怪）
人の姿で、ソワール化粧品という大手企業で働いている。人間が好きみたい。

山田さん（妖怪）
庭いじりが趣味の妖怪。

茜さん（妖怪）
山神「大神」に使える霊獣。巨大な狼人間っぽい姿。
母性が強く、時々クリの母親の怨霊(?)がクリを殺しに来ると、やってきて守ってくれる。

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