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2012.04.20
XML
カテゴリ: 読んだ本
2005年   東京創元社より
2009年4月 文庫化

ええ、はい。あの事件のことでしょ?
―幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。
深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家四人が惨殺された。
隣人、友人らが語る数多のエピソードを通して浮かび上がる、「事件」と「被害者」。
理想の家族に見えた彼らは、一体なぜ殺されたのか。
確かな筆致と構成で描かれた傑作。『慟哭』『プリズム』に続く、貫井徳郎第三の衝撃。

(裏表紙 紹介文より)

エリートサラリーマンの田向氏、その妻でありお嬢様育ちの田向夫人(旧姓・夏原友季恵)、
可愛い2人の子供。
裕福で幸せそうな一家が突然、何者かによって惨殺される。
夫婦を知る人々によって、その人となりが語られていく、という形で話が進みます。

田向夫人について語るのは、近所に住むおしゃべりな中年主婦、
息子同士が小学校の同級生である田向夫人のママ友、

宮村の恋人だったが宮村と別れて田向夫人と付き合って後にふられた尾形の4人。
田向氏について語るのは、同じ会社に勤める親友、
田向氏の大学のサークルの後輩・稲村の2人。

読んでいると、誰が殺したのかはどうでもよくなってきて、そんな人だったのかという
驚きがあります。
誰が語るかによって、田向夫妻の多面性が明らかになっていくのが興味深いです。

最終的に犯人もちゃんとわかりますが、その他もろもろ意外性にびっくりでした。



以下、ネタバレとなりますので間を開けておきます。


























田向氏より田向夫人の方が強烈です。
ご近所さんとママ友は、清楚で頭が良くて優しくてと概ね高評価。
でもママ友は、スイミングスクールに連れて行ってくれた田向夫人が夫人の子供の髪だけ拭いて


そして大学時代のエピソードを語る宮村。
慶応大学って、中学・高校と慶応だった内部進学者と、大学から慶応にきた外部進学者とで
交友関係に深い溝があるそうで。
外部だったけど毛並みがいいので内部連中に引っ張られて内部扱いになった田向夫人、
それに憧れて内部への橋渡しをしてもらたい田向夫人の取り巻き、


宮村の話では、内部に興味がなかった宮村に田向夫人が接近したらしい。
宮村のファッションを真似て、ワンランク上のセンスで再現したり、
付き合っている恋人・尾形に接近したり。
本人に対しては「宮村さんのような人に憧れる」と言っていたとのこと。
ああ、こういう女の子っているよなあという印象でした。
自分に興味がない人が我慢ならない、その場のすべてを支配したい人。

話の中に、田中光子のエピソードがあるのです。
田中光子は田向夫人に勝るほどの美人なんだけど、外部の人。
内部の男子と付き合いたいと狙っている人です。
そんな田中光子に、田向夫人は内部男子を紹介するのです。
フラれるとまた別の人、またフラれるとまた次の人と、ひっきりなしに。
田中光子は男子達から都合のいい女として、次々と体の関係だけ持たれてしまう。
それなのに紹介しつづける田向夫人はひどい、と宮村。

後に、宮村の恋人だった尾形の証言があります。
尾形の見方は違う。
宮村は田向夫人に強烈なコンプレックスを抱き、ライバル心を抱いていた。
自分は宮村と付き合っていたが、田向夫人を好きになったから別れたわけではなく
その前から自分とは合わないと感じていた。
田向夫人が宮村から自分を奪い取ったなんてことはない。
宮村と別れてから田向夫人と付き合って、結局別れてしまったがあの頃が一番輝いていた時代、
と言っています。

天才詐欺師は相手から恨まれることなく騙す、という話を思い出しましたよ。
「あの人は私を騙そうとしたんじゃないんです。結果としてうまくいかなかったけど
 私達は本当に愛し合っていたんです」
ってヤツ。
だって尾形が語っている内容が、明らかに田向夫人が仕掛けている罠の数々があり、
別れ方もなるほど~的なのに、全然疑ってないんだもん。

とまあ、そんな感じだったんですが、本の解説が笑えました。
書いたのは大矢博子という書評家。

この愚行録は田向夫妻を語っているようで、実はそれを語る証言者達の愚かさを描いている。
他人について語る時、人はどうしても自分というフィルタを通してものを見てしまう。
そこに浮かび上がるのは評者の性格であり考え方であるから、他人を語るというのは
自分を語ることに他ならない。
だから書評家としてこの本の解説を書くのが怖い、と言いつつ、
登場人物の宮村について「イヤな女だ」と評価しているのです。

その部分を抜粋。
彼女は田向夫人のことを話しながらも、その実は、自分がいかに田向夫人より上位にいたか、自分がいかに田向夫人のことを歯牙にもかけていなかったかを喧伝している。
彼女が話したいのは殺人事件の被害者となった人物のことではなく、自分のことだ。
彼女はことあるごとに繰り返す。
「貶めたいわけではないんです。ただ、私とはちょっと感覚が違うなと思うだけ」
「今から言うことは私自身の考えやものの見方とはぜんぜん違いますから」
いや、間違いなくアンタの考えでしょーが! はっきり貶めたいんでしょーが!
……不思議なもので、彼女の独り語りであるにも関わらず、読者は彼女の証言に胡散臭さを
感じる。
自己防衛と自己喧伝ばかりだということが透けて見える。

これはどういうことか。
他人を評価し他人を語ることは、自分を評価し自分を語ることに他ならないからだ。
例えば、田向夫人は人目をひく美人だった。事実だけを述べるなら、それで終わりだ。
けれどそこに、一人目(中年主婦)は「清楚」「感じのいい奥さん」という印象を加える。
二人目(ママ友)は「華やか」「無邪気」と言う。
そして四人目(宮村)は「ひどい人」と断言した。
この印象の違いは、証言者の主観が大きく入っているからなのは明らかだ。
この場合の主観とは「自分がそう思いたい」と言い換えてもいい。
二人目の証言者にとっては、出自をさらりと自慢する田向夫人は決して気持ちのいいものでは
なかったが、そう感じてしまう自分の僻みや卑しさを認めたくないが故に、
「無邪気」「育ちがいい」という表現を使った。
四人目にとっては、自分が田向夫人に負けているとは決して認めたくないが故に、
美人ではあったが性格は悪いという点をことさら強調した。

確かに、コンプレックスもあったろうし、宮村は田向夫人を嫌いだったろうと思います。
ただ、誰かを嫌いだということを認めたくない人って普通にいますよね。
「あの人、いい人なんだけど、○○なところがよくないと思う」という言い方をし、
かつ、○○な点について複数述べる人って、つまり相手を嫌いなんだろうなと思うんですが、
「嫌いなわけじゃないの、○○がイヤなだけで」って言う人。
たぶん「誰かを嫌うワタシ」がイヤなんだろうなと思います。
別に珍しいことではないし、私は「ああ、そういう人なのか」と思うだけなんですが、
この解説者はそれが許し難いのかな?

宮村について別に胡散臭くもないし、自己防衛と自己喧伝ばかりだとも感じなかった。
宮村が田向夫人に負けているとも思わなかったし。
というか、価値観が違う者同士で何の勝ち負け?
そこで「負けを認めたくない」と評価するということは、家柄・ルックス・経済的優劣に
価値を見出したい人なのかな、この解説者は、と思ったわけです。

そうなると、この解説も込みで愚行録が完成していると見えてきて
ちょっと笑ってしまった。
と、こんなふうに解説者を評価する私もまた、愚行録の参加者なのかもしれないと思うと
きりがないですね。
人はみな愚か者ってことで。(笑)


ちなみに、惨殺事件の犯人は田中光子でした。
驚いたのは、動機が学生時代の恨みではないってこと。
光子は幼少の頃より、両親から虐待(父親からの性的虐待も含む)を受けて育ったため
価値観が正常ではありません。
育ちのいい金持ちの男性を夫とすれば、虐待や貧困などのつらい生活と縁が切れると思って、
そういう相手を探していただけ。
そのために自分の体を弄ばれることに関して罪悪感も悲しみもなく、
根が努力家なので、1人ダメだったらまたすぐに次と、積極的に取り組んでいけばいいと
考えていたのです。
だから、むしろ次々と相手を紹介してくれる田向夫人を好きで、感謝もしていた。

では、なぜ殺したか?
未婚の母となった光子は、たまたま田向夫人を見かけた。
学生時代と変わらない若々しさで、躾の行き届いた様子の可愛い子供の手を引いて
1個500円もするようなケーキを幾つも買っていた。
それを見て、世の中の不公平さに、何かがプツンと切れてしまったから、というのが動機。

人々の証言に混じって、誰かわからない女性が「お兄ちゃん」と呼びかける相手に向けての
語りがあったんですよね。
誰だろうと思っていた。
また、小説の冒頭に育児放棄により子供を死なせた母親の逮捕記事もあって、
これがどうつながるんだろうと思っていたんです。
そうしたら、その女性が光子で、育児放棄で逮捕された母親でもあった。

惨殺事件では逮捕されず、まったく関係ない育児放棄で逮捕されたという皮肉。
しかも子供が憎かったわけではなく、むしろ子供は可愛くて、
育児書を一生懸命読んで勉強もしたのに、その通りに子供が育たなくて泣きたい思いだった。
虐待をしているという意識はなく、親が放っておいても子供が死んだりするとは思わなかった、
自分がそうされて育ったから、というのが哀れでした。

そして「記事を書くため」と人々を訪ねて証言を聞いているライターが
実は幼少の頃から唯一彼女の味方であった「お兄ちゃん」であり、
今回も光子を守りたいが故に、彼女に不利な証言をする者がいないか確かめていた、
というのは予想もしなかったです。

結果として「お兄ちゃん」は、通り魔を装って宮村を殺しています。
宮村は
「田中さんが犯人?それはないと思いますよ。当時ならともかく、今更そんなことで殺したり
 しないですよ」
とハッキリ言っているのに。
宮村は光子に同情的でもあったのに、「お兄ちゃん」には危険人物と見えたのか。
これも愚行録の1つなのかも、と気付いたのは読み終わってしばらく経ってからでした。

なかなか深い話でした。





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Last updated  2012.04.20 12:39:29
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