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长歌行 The Long Ballad最終話「未来の旅路へ」李淑玉(リシュクギョク)は直ちに蕭(ショウ)皇后と隋(ズイ)王を長安へ護送することになった。ここで李長歌(リチャングァ)ともお別れ、次はいつ会えるか分からないだろう。「長歌、元気で」「あなたも…」すると淑玉は兄として阿詩勒隼(アシラシュン)に長歌を託した。「長歌を頼む、幸せにな」「魏兄、感謝します」その夜、長歌と阿隼は2人で遠乗りに出た。この地に埋葬された弥弥古麗(ミミクリ)、彼女は安住の地を得たのだろうか。すると長歌は照れ臭そうに母の霊廟で阿隼の縁談書を見たと話した。しかし2人の間に堅苦しい段取りなど必要ないという。「…あなたがいれば十分よ」「俺もだ、君がいればそれでいい!」阿隼は喜んで思わず長歌のおでこに口づけした。長歌は定襄(テイジョウ)に捕らわれていた阿隼がどうやって李靖(リセイ)と通じていたのか分からなかった。実は第45話で阿隼は李世民(リセイミン)から長安を去る前に李靖と会うよう命じられたという。洛陽(ラクヨウ)で阿隼を見送った李靖はその後、長安で兵部尚書に就いていた。『平和を望む思いは同じはず、天下の民のため国や部族を越えて共に立ち上がらないか?』『…条件がひとつ、延利(イエンリー)可汗の救出だ』『はお、約束する』すると李靖は定襄に鷹団を集結させるよう頼んだ。長歌は結盟が叶ったら争いから離れて阿隼と悠々自適に暮らし、放浪しようと約束していた。しかし今ここで手を引くのは良心が許さないという。「ごめんなさい…」「長歌、2つ目の約束だ…俺には謝罪も礼も必要ない」「そんな簡単なことでいいの?じゃあ3つ目も言って!」「それは…今度でいい、先は長いしな」長歌と阿隼は再び軍営に戻った。するとすでに婚礼を済ませ、駙馬(フバ)となった皓都(コウト)がいる。長歌は新婚早々で出征したのかと呆れたが、皓都は李楽嫣(リラクエン)の願いでもあると安心させた。そこへ伝令兵が駆けつけ、白道で定襄軍の形跡あると知らせる。李靖は直ちに出陣することにしたが、阿隼には気になることがあった。実は阿隼は斥候(セッコウ)を二手に分けて送っていたが、一方が戻って来ないという。恐らく敵がいなくて戻れないのではなく、敵の襲撃に遭ったのだ。そこで阿隼は鷹団を率いて偵察へ、軍営は長歌と皓都が守ることにする。すると李靖はあのじゃじゃ馬の永寧郡主が今や国のために重責を担うようになったと感慨深かった。「これまでご苦労様でした」雷蒙(レイモン)は小可汗を連れて逃げていたが、山道で追っ手が迫っていると気づいた。そこで小可汗と狼団を先に逃し、雷蒙は定襄軍と敵を迎え撃つことにする。すると阿隼率いる鷹団が現れた。「ここで会ったが百年目…」穆金(ムージン)は弥弥の敵と出会えたことに感謝し、阿隼を先に行かせる。「奴は俺に任せろ」「はお!」阿隼たちは山道を先回りし、阿詩勒渉爾(アシラシャアル)たちの行く手を阻んだ。図魯克(トルカ)は小可汗を守るため刀に手をかけたが、渉爾が狼団に引くよう命じて馬を降りる。一方、穆金は愛する人のため命をかけて戦っていた。腕を突き刺されながらもあきらめず、隙をついて反撃、穆金はついに雷蒙を仕留める。「弥弥が何のために死んだと思う?…自由になるためあの矢を受けたんだ! お前のように命令に従うだけで命を大切にしない奴には分かりっこない…」「ググググ…命令ではない…託されたのだ…あのお方を…」実は雷蒙も愛する人の願いを叶えるため、命をかけて戦っていた。しかしついに倒れ、事切れてしまう。渉爾は阿隼に決闘を申し込んだ。「手加減なしだ」同時に飛び出した阿隼と渉爾、2人はまさに刺し違える勢いだったが、渉爾が直前で刀を捨て、目を閉じてしまう。驚いた阿隼はギリギリのところで回避、渉爾は無事だった。「なぜだ?!」「…お前の刀なら斬られてもいい、母の罪は俺が償う、その代わり狼師を見逃してくれ」「狼師は定襄軍ではない、小可汗のお前が自分で率いろ…西に行くんだ、遠いほどいい」すると鷹団と狼団は一斉に馬を降りて互いに礼を尽くし、再会を願って別れた。一方、李靖率いる唐軍はアニメ化して疾風のごとく定襄軍を追撃していた。しかし各部族の首領が奕承の馬車を連れて西から逃走、軍営に援軍を要請する。知らせを受けた皓都は騎兵を率いて先回り、見事な連携で奕承たちの一行を包囲した。奕承に脅されていた首領たちは早々に刀を捨て戦いを放棄したが、実は馬車の中が空だと判明する。戦場にも馬車にもいない奕承、一体、どこへ消えたのか。「…逃げなかったのかも」長歌は奕承が定襄の王宮にいると気づいた。長歌は阿隼の帰りを待たず、定襄に乗り込んだ。大殿の前には李靖と皓都の率いる大軍が集結、状況を見守っている。すると長歌は殿内でひとりうずくまっている奕承を見つけた。復讐のため策を練り尽くし、無数の命を奪った奕承、長歌は自分も同じ道を歩むところだったという。しかし奕承は長歌に自分の気持ちなど一生、分からないと反発した。「隋は私の故郷、必ず助けてみせる!」「故郷は消えたわけじゃない、土地や民はまだ健在よ?その民を苦しめてもいいの? たかが皇室の栄光のために…栄光がそんなに大事?」「皇室?…私が皇室の者だと?」奕承は本来、ただの宗室の女子でしかなかった。参内したこともなければ豪華な礼服を着たこともなかったが、ある日、突然、公主という身分が与えられる。和親のため草原に嫁がせる娘が必要だったからだ。奕承は公主となり万人に称えられ、百官に迎えられた。その時、衛兵として挨拶に来たのが雷蒙だったという。奕承は隋の公主となり草原に嫁ぐことが自分の運命だと受け入れ、隋のために全て捧げると決心した。しかし隋は没落、しかも国を守るべき皇女たちは生き延びるため、国を捨てて命乞いしたのだ。「私だけが、草原に30年も捕らわれていた私だけが、隋を見捨てなかった!」そこで長歌は長安に戻って帰順するよう説得した。李世民なら奕承を殺したりしないだろう。「ぶははは〜!私が膝を折って命乞いするような人間なら、初めからこの道を選ばない …李長歌だったら長安に戻るかしら?」「そうね、私が間違っていた」すると奕承は最後に李長歌という道連れができたことを感謝し、燭台を倒した。大殿が出火、激しい黒煙が噴き出した。驚いた李靖と皓都が駆け出そうとしたその時、2人の横をすり抜けて阿隼が石段を駆け上がって行く。阿隼は激しく燃え盛る大殿に飛び込んだが…。淑玉は無事、蕭皇后と隋王を長安へ送り届けた。それからしばらくして皓都が杜府に帰ってくる。すると定襄を平定したと聞いた杜如晦(トジョカイ)は安堵し、皓都と楽嫣に見守れながら息を引き取った。李世民は李靖から長歌の訃報を聞き、涙した。「ウッ…最期に言い残したことはあるか?」「ぁ~感謝していました」「…他には?」「他?え~と読書が好きなので、寒食節では書を焼いて欲しいと…」「ん?…永寧が読書好きとは初めて聞いたぞ?」李世民は李靖の嘘を見抜き、激怒した。「いやそれが…あの小娘と来たら…私も仕方なく…」すると笑いをこらえていた李世民は思わず噴き出し、長歌らしいと言った。火の中に飛び込んだ阿隼は倒れていた長歌を発見、危ないところで助け出していた。李靖は一緒に長安へ戻るよう説得したが、長歌はこの火事で全てが消えたという。「陛下に尋ねられたらこう言って、史書から私の名前を消して欲しいと… この世にもう李長歌はいなくなったの、ご苦労様でした」「何の話です?」皓都だけは全て李世民の計画だったと知らずにいた。「ではこれからどこへ?」「聞かないで、どうせこの世からは逃げられない、陛下にはこう伝えてくれる? ″縁に任せる″と…」李世民は長歌を連れ戻すつもりだったが、結局、自分の手を離れて行った。そして戦はなくなり、天下が安寧となる。…長歌、今の唐こそお前の望む国の姿だ…長歌は遊歴しながら、国が安泰なら民の生活も安穏なのだと実感していた。″国が強ければ民も憂いはない、過去の栄辱も国の大義には勝らず″なのだと…。目下、政は行き渡り、民を潤して才を発揮させていた。天下は盛世を迎えつつある。…二叔、ありがとう、唐と民に報いてくれて…これからも長歌の旅は続くだろう。そんな長歌の姿を阿隼の鷹が空から見ていた。終わりエンディング@インコ入りw( ๑≧ꇴ≦)終わった〜!最終回にもイールンの出番があって良かった!ってそこ?w後半の失速は残念でしたが、エンディングを見ると名シーンが蘇って胸熱ですやっぱり草原とウマーっていいですねではまたお会いできる日まで〜♪〓追記〓最後のシーンですが、管理人は長歌が一人で遊歴をしていると想像しましたしかし本国の方のコメントで『誤解している人が多いが、長歌と阿隼は結婚して二人で旅をしている』とありました恐らくこれが正解なのかもしれませんただ原作の漫画は完結しておらず、ドラマのストーリーもオリジナルのため、個人的には視聴者の想像で構わないと思っています(^ꇴ^)<現場からは以上で〜す
2022.06.17
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第20話義兄の霍言斉(カクゲンセイ)から雲刺泉(ウンシセン)に呼び出された霍擎雲(カクケイウン)。細やかな酒席を準備していた霍言斉は子供の頃を懐かしみながら、かつて兄弟喧嘩して弟から奪い取った玉佩を今さらながら返した。「たかが玉佩、必要ありません」「これは父親がお前に贈ったものだ」「兄長の物は他の誰の物でもない、私は奪いません」霍擎雲はそれとなく自分が脅威になり得ないと伝えたが、霍言斉は頑なだった。「もし来世で再び兄弟の縁を得たら、その時は平民の家の子になろう」すると劉啓(リュウケイ)の号令で衛兵が剣を抜いて霍擎雲を包囲した。「兄長、惑わされてはなりません…皆の者!」実は兄の襲撃を予測した霍擎雲は沙曲(サキョク)たちを潜ませていた。沙曲たちが駆けつけ形勢が逆転。霍言斉はやはり義弟に裏切られたと憤ったが、霍擎雲から思わぬ事実を知らされた。「私からも兄長にお渡ししたい物が…」それは那戦(ナセン)から劉啓に届いた密書だった。霍言斉は腹心が裏切り者だと知り逆上、しかし霍擎雲は大事な証人を殺さぬよう止め、劉啓を投獄するよう命じる。「我らは城主大人に忠誠を誓います」霍擎雲は義兄の不安を払拭するため、その場で配下と共に拝跪した。劉啓は両親を人質にされ、雲沛(ウンハイ)と2年ほど内通していた。全ての密書を手に入れた霍擎雲だったが、そこで思いがけない文を見つける。…麻随(マズイ)の九夫人と九公主が天都に向かった、2人が到着したら機をうかがい殺せ…当時、縁談を断ち切ろうと考えた霍擎雲は劉啓に追っ手に矢を放って2人を救うよう命じ、九公主との対面を避けた。九夫人の死はてっきり混乱に巻き込まれた事故だと思っていたが、実際は劉啓が那戦の密書により皆殺しにするよう指示、九夫人が犠牲になったと分かる。霍擎雲は愕然、激情に駆られて劉啓に襲いかかったが、沙曲が寸でのところで制止した。「門主!大事な証人です!」その夜、沙曲は氷刺(ヒョウシ)府へ劉啓の供述書を届けた。しかし霍擎雲は折を見て沙曲から皇北霜(コウホクソウ)に渡し、事情を説明して欲しいという。「今は情愛に溺れている時間はない」「実は霜姑娘が厄娜泣(ヤクナキ)を見送って雲沛へ帰る途中、若問(ジャクモン)にさらわれました」(꒪ꇴ꒪〣)早く言ってよ!@イールン一方、若問は皇北霜を連れ去り、汾天(フンテン)へ戻った。まだ建築編は見つかっていなかったが、先に贈り物があるという。実は14話で若問が麻随を1ヶ月で落とすと約束した時、皇北霜は麻随の内情と引き換えにある条件を出していた。『これは麻随城の各府の位置と侍衛の交代時刻…大漠奇巻(タイバクキカン)の建築篇を見つけて』『交渉成立だ』若問は皇北霜を和煙(ワエン)府に案内し、格爾勁勤(カクジケイキン)を引き渡して短剣を貸した。しかし叔父はすでに気が触れている様子、今も自分を麻随城主だと訴え、簒奪したことも正当化する。「ぶははは~あいつは優柔不断な奴だった!善人だとしても良い城主じゃない! 那戦から何度も和議を求められても拒み続けたのだ、だから代わってやった!」「那戦ですって?」皇北霜は叔父に簒奪をそそのかしたのが那戦だと知り呆然、格爾勁勤に止めを刺して父の敵を討った。皇北霜は自分の寝閣に父と母の位牌を祀った。…父親、母親、私の目が曇っていたせいで本当の敵が誰なのか見抜けませんでした、必ず敵を討って血で償わせる、全て終えたら孝行に努めます、でも霍擎雲との愛憎は簡単には断てません、母親の敵だと分かっていても霍擎雲を殺せませんでした、こんな私を許してくれる?…その時、若問が現れた。すると若問はいきなり皇北霜を寝台に押し倒し、その瞳から目が離せなくなる。なぜ取り憑かれたように皇北霜の瞳に惹かれるのか自分でも分からない若問。しかし格心微(カクシンビ)が駆けつけ、皇北霜をかばって若問を追い出してしまう。格心微はやはり皇北霜が故郷へ帰りたいのだと誤解した。しかし皇北霜はもう格心微ではないと否定、大漠奇巻さえ手に入れたら出て行くという。「はお、手を貸すわ」その頃、雲沛に巫(フ)将軍が帰還、若問に城主夫人を連れ去られたと報告した。那戦は想定外の結果に激怒し、対面を保つため情報を決して漏らすなと厳命する。しかし夫人を取り戻そうにも大々的に軍を派遣することもできず、皇北霜が今回も自分で逃げ出してくることを期待した。霍擎雲は天都の使者として堂々と汾天に乗り込んだ。「汾天の誕生を祝いに参りました…歓迎してくれないのか?」若問は仕方なく場所を変え、霍擎雲と2人きりで話すことにした。2人は酒を飲んでこれまでの恩讐を水に流したが、霍擎雲は皇北霜と引き換えに容豁(ヨウカツ)に会わせるという。しかし若問はなぜ見ず知らずの老臣に会う必要があるのかさっぱり分からなかった。…若問は知らないふりをしているのか?それとも容安(ヨウアン)ではないと?…「お前の叔父だと聞いたのだが…」「子供の頃の怪我で記憶が曖昧なんだ」「会ってみるか?」「必要ない」仕方なく霍擎雲は莽流(モウリュウ)の令牌と皇北霜を交換するよう迫った。「これがあれば莽流からの情報を得られるぞ?」「いいだろう、だが会わせるだけだ」皇北霜は顔を見せてくれたが、相変わらず冷たかった。「九夫人のことで話がある、殺した者が他にいたんだ」霍擎雲の言葉を聞いた皇北霜はにわかに信じられなかったが、両親の前で話を聞くことにした。霍擎雲は麻随先主と九夫人の霊位に拝礼し、皇北霜に劉啓の供述書を渡した。…那戦の誘惑にあらがえず雲沛と内通していましたあの時、城楼で麻随夫人と公主を射たのは那戦の指示でした…その証拠に当時、那戦が劉啓に送った鳥文がある。…九夫人と九公主が天都に向かった、2人が来たら殺せ、那戦…「でも確かに北靖領主の命だと聞いたわ」「私は追っ手を射て2人を救えと命じたのだ、だが劉啓が偽りの命を 私には誤って殺したと言い訳した、どちらにしても私のせいだ、すまない」両親を殺したのは那戦だった。全てを知った皇北霜は呆然、霊位の前で泣き崩れてしまう。霍擎雲はかける言葉もなく、黙って寝閣を出て行った。つづく(´-ω-`)うーん、離ればなれだとつまらんw
2025.11.26
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace最終話「緑梅の記憶」乾隆帝(ケンリュウテイ)弘暦(コウレキ)は慣例に従い秋の狩猟で皇室の狩り場・木蘭囲場(モクランイジョウ)に出かけた。人影もまばらとなった宮中、そこで烏拉那拉(ウラナラ)如懿(ニョイ)は思い出の城楼に登り、ひとり感慨にふける。その日、如懿は夜になっても亭に座っていた。侍女・容珮(ヨウハイ)は夜風が冷たいので中に入るよう勧めたが、如懿はもう少しここにいるという。「あなたもお座りなさい…」「掟に反します」「掟など、どうでもいい、今までずっと忙しく立ち働いてきたでしょう?座って、私の相手を…」容珮が腰掛けると、如懿は容珮と初めて会った時のことを思い出した。あの時、無謀にも内務府の太監に詰め寄っていた容珮、あれからもう何年も経つ。「あの日のことは死んでも忘れません、私は身寄りがいません 娘娘に目をかけられ、お仕えできて、幸運でした」「幸運だったのは私の方よ…」恐縮した容珮は茶を献上すると、如懿は喉を潤して器を返した。「あなたとの出会い以外にも色々なことを覚えているわ… 叔母上に会うため初めて皇宮を訪れた日や、赤い壁と瑠璃瓦、特に赤い壁はとても高く感じたの ″墻頭馬上(ショウトウバジョウ)″を見た時、初めて弘暦に出会った、2人で抜け出し、城楼へ登ったわ 数年後、その城楼で″一緒になろう″と言われた、″私がついている、安心せよ″と… 私が側福晋として王府に輿入れした夜は、面紗をめくり、私の様子をうかがっていた 皇后に立てられる時はこう言われたわ ″ルーイー、誰もおらぬ頂きは寂し過ぎる、そばへ来てくれ″ 私は無意識にうなずいていた、一歩ずつ彼の元へと歩き、ここまで来たの」容珮はうっすら涙をうかべ、主人の気持ちは見ていて理解できたと告げた。「にゃんにゃん…皇上が恋しいのでしょう?」しかし如懿の気持ちは違った。「色々あったわ、思い出すと昨日のことのよう…でも何もなかったようにも感じるの 恋しいかしら?…いいえ」「娘娘、宮中であまりにも苦しまれたからでは?」「宮中では誰もが苦しむ、ここ何日か多くの人を思い出すの… 叔母上、阿箬(アジャク) 、琅嬅(ロウカ)、晞月(キゲツ)、緑筠(リョクイン)や玉妍(ギョクケン)、 意歓(イカン)のことはもちろん衛嬿婉(エイエンエン)でさえも… 以前、皇上に言ったわ、後宮の争いや謀(ハカリゴト)には嫌気が差すとね 寵愛や一族を守るため、多くの命が犠牲に…馬鹿げているわ 永璜(エイコウ)と永琪(エイキ)が生きていて、璟兕(ケイジ)と永璟(エイケイ)が成長していればどんなにいいか」すると2人は美しい月を眺めた。「容珮や、想像して見て…何も起きなかった後宮を… ←imagine?w 琅嬅や晞月、緑筠、玉妍、意歓が生きていれば、どうなっているかしら? ここで彼女たちも私たちと一緒にお茶を飲んでいるかしら?…きっと皇上もいるわね」如懿はいたずらっぽく笑うと、お茶を所望した。そして容珮にも飲むよう促す。2人はまるで別れの杯を交わすように一緒に茶を飲むと、如懿は新しい茶葉に替えるよう頼んだ。如懿は枯れた緑梅の植木を見た。禁足になってから面倒を見てきたが、やはり芽は出ない…。やがて容珮が茶葉を持って戻ってきた。「にゃんにゃん?」如懿は背もたれに寄りかかって寝ているようだった。しかし声をかけても返事はなく、肘掛に第12皇子・永璂への手紙が置いてある。容珮はすでに如懿の息がないと気づき、崩れ落ちるようにひざまずいた。木蘭囲場では慶嬪・陸沐萍(リクボクヘイ)が皇帝と共寝していた。すると早朝から太監・進保(シンホウ)が駆けつける。進保は慌てた様子でひざまずくと、翊坤(ヨクコン)宮の娘娘が亡くなったと報告した。知らせによると長らく労咳(ロウガイ)を患っていながら薬を飲まず、夜更けに亡くなったという。死に顔は穏やかで、容珮もすでに殉死していた。慶嬪は好い気味だとばかりに″翊坤宮の方″なら金冊(キンサク)も印璽(インジ)も受け取っていないと揶揄し、重病を秘密にしていたのは皇上への当てつけだと非難する。しかし呆然としていた弘暦が突然、激昂した。「朕と皇后のことに口出しするな!恥知らずめ!失せろっ!」逆上した弘暦は如懿を蔑んだ陸沐萍を追い出した。驚いた進保は皇帝をなだめ、葬儀はどうするか確認する。しかし弘暦は何も聞きたくないと声を荒げ、幕舎から全員を下げた。…出発前に会った時は元気だったのになぜだ、なぜ秘密に?…薬も飲まぬとは…なぜだ?翊坤宮で如懿の葬儀がしめやかに営まれた。悪事を尽くした衛嬿婉が報いを受け、これからだという時に…。妃嬪たちは涙に暮れ、その早すぎる死を悼んだ。しかし容妃(ヨウヒ)・寒香見(カンコウケン)だけは悲しいとも限らないという。「今ごろ昔の想い人と一緒にいるはず…」弘暦は翊坤宮にやって来たが、門の前から動けなかった。そこへちょうど永璂がやって来る。「額娘は…額娘は″自由になった″と仰せでしたが、本当ですか?」すると永琪は父に母の遺書を渡した。…永璂へ…わが子よ、どうか泣かないで…額娘は重い病から、やっと解放されたわ、自由になれたの…以前に話した通り、私の望みはあなたの幸せ…やりたいことをやり、額娘と同じように自由になって欲しい…己を大切に弘暦は如懿の本心を知り、永璂に遺書を返した。「額娘の遺品だ、大事に取っておけ」すると弘暦はそのまま引き返して帰ってしまう。養心殿には切り取られた肖像画と枯れた緑梅の植木があった。李玉(リギョク)は確かに如懿が労咳だったと皇帝に報告し、薬を拒んでいたので手の施しようがなかったという。「最期は安らかでした、昼間は容珮を連れて城楼へ登られたそうです その夜、外で茶を飲みながら眠るように逝ったと… そばには12阿哥への文と、この枯れた緑梅が置いてあったそうです」「…この絵は如懿が切断を?」「はい、ご自身の部分だけを切り取り、焼いたと…」弘暦は肖像画を持って宮廷画家・郎世寧(ロウセイネイ)を訪ねた。そこで如懿が切り取ってしまった肖像画を復元するよう命じる。しかし郎世寧は無理だと言った。「皇上?この絵を描いた当時をご記憶でしょうか? お二人はとても仲むつまじく、手を握り合っていました 私が手を握った姿を描きたいと申し出たら、皇后は″しきたりに反する″とおっしゃった でも皇上は″朕の気持ちには沿っている″と仰せになりました 皇上、このような言い伝えがあるでしょう?″絵の命は人より長し″と… ですが私が思うに、時として絵は最も無意味なものです 美しく忘れがたいものは目や心に記憶が残る、絵とは比較にはなりません 絵は一度、破れたらおしまいです、だからいかに良い絵でも執着するのは無駄なのです」「描きたくないのか?」「そうではありません、復元は不可能なのです 無理して描いても同じ絵にはなりません、お許しください」弘暦はひとりで城楼に登った。2人の美しい日々はもう2度と戻って来ない。弘暦は如懿の存在の大きさを改めて思い知らされ、後悔の念に苛まれた。ひとしきり泣いていた弘暦はようやく城楼から降りた。宮道で待っていた李玉は心配していたが、皇帝から勅命を伝えられる。「皇后は奇行を重ねた、よって皇后として埋葬はせず、皇貴妃の慣例に従う 皇后に関する史書の記載や絵は全て抹消し、天下にこう告げよ、″烏拉那拉氏、死去″と」皇太后は皇帝の如懿の布告に驚いて養心殿にやって来た。「ルーイーは皇后でした、皇后として葬らぬだけならまだしも、なぜ″烏拉那拉氏、死去″と? ″崩御″とするべきでは?ルーイーは廃后だと言いたいのですか?」しかし弘暦は廃后するつもりはないが、ただ如懿が自ら皇后を降りたのだと訴えた。結局、金冊と印璽を受け取らず、薬も飲まず、肖像画まで台無しにしたという。皇太后はそれでも如懿の亡骸を純恵(ジュンケイ)皇貴妃の墓に葬り、墓碑もなく、如懿に関する記述や絵も全て記録から抹消するとはやり過ぎだと諫言した。「あの者は公然と髪を切って何度も逆らい、朕の顔を潰した 横暴な振る舞いは厳しく処罰せねば、天下に示しがつきません! …皇額娘もおっしゃいました、如懿は寵愛や権勢、皇后の位に目もくれなかったと 本人が望まぬのに無理に与えるのですか?」弘暦は如懿が宮中には合わぬ者だったという。「…あいじゃー分かりました、皇帝はルーイーを自由にしたいのですね」皇太后はならばこれ以上、何も言わないと告げ、席を立った。しかし皇帝の机の上にある設計図に気づき、思わず警告する。「懸命に消し去ろうとするのは向き合えないからでは? 忘れようとするほど記憶に刻まれるものです」弘暦の設計した図面には″梅塢(バイウ)″とあった。それから9年後、弘暦はもっぱら養心殿の梅塢にこもってばかりだった。李玉は心配して散歩でもどうかと勧めたが、そこへ進保がやって来る。「皇上、慈寧(ジネイ)宮から使いが来ました、皇太后がお呼びです」すると弘暦はようやく重い腰を上げた。殿内に飾られた梅は美しい花を咲かせていたが、如懿が残した枯れた緑梅はやはり芽が出ない…。衛嬿婉の息子である第15皇子・永琰(エイエン)が妻を娶って親王に封じられた。弘暦はこの数年の活躍を見る限り永琰が皇太子に一番ふわさしいと話す。衛嬿婉の娘である第7公主と第9公主もすでに嫁いでいた。すると皇太后は皇貴妃だけが錯乱した老婆のごとく生きていると失笑する。「永琰が立派に育ったのに、あんな母親がいては体裁が悪い…片をつけてはいかがですか?」こうして生き永らえていた衛嬿婉は皇帝から鶴頂紅(カクチョウコウ/ヒ素)を賜る。乾隆40年、皇貴妃衛氏は逝去、炩懿(レイイ)の諡号を与えられた。弘暦は第15皇子・永琰を皇太子とする密建書をしたため、小箱に入れた。「…皇阿瑪が太子を選んだ時も、こんな心境だったのか?安堵と不安が交錯しておる」すると李玉は先帝が千古稀(マレ)な名君だったからこそ、皇帝を選んだのだと告げる。そんな皇帝は出藍の誉れ、慈悲深い君主と語り継がれるだろう。しかし弘暦はふと虚しさに襲われた。確かにこの生涯、夫婦の恩情と妃嬪からの敬慕、父母の恩や子女にも恵まれたが、その半分を失っている。「…もはや朕は一介の寡夫に過ぎぬ」嘉慶(カケイ)4年、太上皇となった弘暦はすでに髪も真っ白になっていた。今でも机の上には如懿の残した緑梅がある。弘暦は久しぶりに小さな化粧箱を出すと、如懿が刺繍した紅荔(ホンリー)と青桜(チンイン)の手巾が現れた。その下には如懿が断髪した時の髪の毛が入っている。弘暦は真っ白な辮髪から少しだけ髪を切り、如懿の髪と一緒にして再び蓋を閉じた。しばらくしてまだ若い宦官がお茶を運んできた。宦官は机にお盆を置いたが、その時、枯れ木の緑梅に新芽を見つける「太上皇…太上皇!緑梅が芽吹きました!」しかし弘暦は2度と目を覚ますことはなかった。「太上皇…太上皇!」西暦1799年、清高宗乾隆帝崩御、享年89歳だった。乾隆帝の死後、清の時代に烏拉那拉氏の女子が再び妃として入宮することはなかったという。終劇全87話、約11ヶ月に渡りご紹介してまいりましたが、ついに最終話を迎えましたジョウシュンの圧倒的な演技力、バッドエンドだと分かっていても見届けられたのは主演の2人のおかげかもしれません確かに″ドロドロの後宮ものは苦手〜″と言う方には無理(断言w)でもその奥にある世界観に入れる人には忘れられない作品の1つになると思います
2020.04.05
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长歌行 The Long Ballad第18話「新しい家族」阿詩勒隼(アシラシュン)の幕僚に迎えられた李長歌(リチャングァ)。その夜、娘の叫び声を聞いて天幕を出てみると、酔った兵士が女の奴隷を無理やり連れて行くところだった。長歌は横暴な兵士から娘を救出、弥弥古麗(ミミクリ)は眉目秀麗な十四郎にすっかり心を奪われてしまう。長歌は弥弥に食事や着替えを与え、寝台で寝るよう勧めて天幕を出た。やがて夜が明ける頃に戻ってみると、弥弥は机にうつ伏したまま熟睡している。長歌はそのうち出て行くだろうと思い床についたが、目が覚めると弥弥は追い出さないで欲しいと懇願した。そこへ昨夜の兵士から報告を聞いた穆金(ムージン)がやって来る。穆金は弥弥を鷹団の幕営から追い出すと伝え、無理やり腕を引っ張った。すると驚いた弥弥は穆金の手に噛みつき、十四郎の後ろに隠れてしまう。騒ぎに気づいた阿詩勒隼が長歌の天幕にやって来た。長歌は弥弥をそばに置きたいと頼んだが、隼は間者となり得る者を留め置くことはできないという。しかし長歌は弥弥を自分が管理すると断言した。隼は確かに長歌の世話係には女が適任だと気づき、結局、黙って見逃してくれる。驚いた穆金は慌てて隼を追いかけ、十四郎を少しは疑うべきだと諌めた。「中原人は腹黒い!…あ、隼、別に他意はないんだ」穆金はうっかり口を滑らせたが、隼は笑顔で天幕の中へ消えて行った。長歌は昨夜、外で時間を潰したせいか風邪を引いた。今夜は早めに床に入ったが、やがて長歌は激しく咳き込み、うわごとのように寒いと訴え震え始める。責任を感じた弥弥は寝台に入って十四郎を温めたが、そのうち一緒に眠っていた。翌朝、長歌が目を覚すと弥弥が横で寝ていた。「…歩真(ブジェン)、動かないで」「ぶじぇん?…歩真って誰だ?!」寝ぼけていた弥弥は驚いて起き上がると、そこへちょうど穆金が入って来た。穆金は2人が共寝していたと誤解、慌てて出て行ってしまう。弥弥は天幕を飛び出し、穆金に李軍師の天幕に食べ物が足りないと訴えた。しかし穆金は天幕ごとに割り当てが決まっていると冷たい。弥弥は仕方なく勝手に食べ物を見繕って持ち帰ろうとしたが、穆金が立ちはだかった。すると弥弥は穆金を蹴飛ばし、天幕へ戻ってしまう。長歌は″歩真″が弥弥の家族だと分かった。しかし弥弥は阿詩勒部の侵略で大勢が亡くなり、家族はいないという。長歌は自分も家族がいないと話し、仇敵に殺されたと教えた。「これからは私を家族だと思って」「うん!」一方、雲州の西郊織坊(セイコウショクボウ)では明日の納品に向け、織子たちが夜を徹して布を織っていた。織り機どころか糸を巻き取ることさえできない李楽嫣(リラクエン)は少しでも手伝おうとするが、かえって迷惑をかけてしまう。柴(サイ)女将は邪魔ばかりする楽嫣に激怒して工房から追い出し、陽が昇る頃にはようやく商品が完成した。女将たちが工房を出ると楽嫣が待っていた。楽嫣は謝罪してもう一度だけ機会が欲しいと訴えたが、女将もただ飯を食わせる余裕はない。「早く出て行って…こんな人が生きていても食糧の無駄よっ」すると楽嫣は泣きながらどこかへ行ってしまう。織子たちはさすがに言い過ぎだと心配したが、女将はどうせ死ぬ勇気などないと言い放った。弥弥が穆金の股間を蹴り飛ばした武勇伝はあっという間に広まった。面目を潰された穆金は怒り心頭だったが、弥弥はこれを機に一目置かれるようになる。鷹団で十四郎という家族と出会い、自信まで取り戻した弥弥、すると川で洗濯しているところへ穆金が現れた。弥弥は穆金の恨み節など何処吹く風だったが、十四郎の悪口を言われた途端に食ってかかる。「彼の悪口は許さないから!」激怒した弥弥は穆金に殴りかかったが相手にならず、急にへそを曲げて帰って行った。穆金は呆然と弥弥の背中を見送りながら、ふと自分の激しい鼓動に気づく。「(はっ!)俺はバカか!李十四郎の女だぞ?!」織物工場を追い出された楽嫣は死ぬしかないと思い詰め、林の中で縄を枝に引っ掛けていた。「長歌…私が枕元に立ったら怖がるかしら?」するとそこへ柴女将が現れた。女将は死ねと言われてすぐ死ぬほど軽い命なのかと呆れ、死ぬも生きるも本人次第だと諭す。「さっきは言い過ぎたわ、ごめんなさいね」女将は楽嫣に笑顔が戻ると安心し、帰って行った。楽嫣はもう一度、雇ってもらえるよう女将を追いかけ西郊織坊に戻った。すると楽嫣に気づいた織子が胡(コ)商人に手巾の刺繍をしたのはこの娘だと紹介する。商人が見ていたのは偶然、布の間に紛れ込んでいたうさぎの刺繍だった。「これは素晴らしい!もっとたくさん売ってもらえるかい?」驚いた女将は咄嗟に楽嫣を工房の織子だと紹介、思いがけず大量注文をもらうことに成功した。その夜、阿詩勒隼は長歌だけに羊肉を振る舞った。穆金と弥弥が食糧で揉めていたと耳にし、軍師に相応の待遇をする必要があるという。「…穆金たちに肉を焼いたことがある?」「ない、これが初めてだ…幼い頃、義父と羊肉を焼いたことがあった 自分でやりたいと言い張った結果、焦がしてしまい、義父が焦げた部分を食べてくれた それで義父のために焼き方を学んだんだ」幼い頃は義父も隼を可愛がってくれたが、頭角を表してくると徐々に態度も変わって行った。「お前の父親は?」「話すことなんて何もない、そばにいなかったから…」「だろうな、太子ともなれば忙しくて当然だ」「(はっ!)いつ知った?」「幽州で都督府に自由に出入りしていただろう?それに…永寧郡主と呼ばれているのを聞いた」驚いた長歌は身分を知りながらバラさなかったのは利用するためだと誤解した。これまで長歌を助けるために奔走してきた隼は感謝されるどころか疑われ、思わず肩を落とす。「確かにこうして草原でお前のために肉を焼いている…必死で利用しているよな?」( ̄▽ ̄;)ぁ…@チャングァ阿詩勒隼は倒木に座っている長歌に羊肉を渡し、隣に腰掛けた。「私の本当の名前は李長歌よ、長歌という名前が好き」「チャングァか…チャングァ」隼は長歌を見つめながら初めて名前を呼んだが、急にこそばゆくなって顔を背けてしまう。すると長歌が隼の肩に頭を乗せて身を委ねた。(๑°⌓°๑)ハッ!.oO(何の真似だ?まさか俺に身を捧げると?!「オイッ!暗闇の中だぞ?俺はこれでも男だ…さすがに良くない」その時、長歌の手から羊肉が落ち、腹部を押さえて苦しんでいると分かった。「長歌?!」阿詩勒隼は長歌を抱きかかえ、急いで天幕へ連れて帰った。その様子をちょうど穆金に見られてしまう。弥弥は具合が悪くなった十四郎をひとまず寝かせたが、その時、出血に気づいた。顔を見合わせる隼と弥弥…。弥弥は十四郎が女だと気づき、慌ててお腹を温めることにした。そこへ何も知らずに穆金がやって来る。「(はっ!)どうした?十四郎は負傷したのか?!」焦った隼は穆金を外へ引っ張り出し、怪我ではないと安心させた。「怪我じゃないって…え?…まさか?」穆金はこれでようやく隼がなぜ十四郎を特別扱いして来たのか分かった。弥弥は淡い恋心を抱いていた相手が女だと知った。しかし長歌がただ男装しているのとは違い、女である自覚がないと呆れる。「どういうつもりなの?」「私にもわからない…今まで考えたこともなかった」思えば師匠たちは皆、天下を支える男たち、一方で妻妾は美しい身体に豪華な衣装をまとい、各自が思惑を抱いていた。「私とは無縁だわ…」「とにかく数日はおとなしくして、男たちと野ざらしになっちゃだめ」すると弥弥は特勤がこの秘密を知りながら隠していたと知り、長歌に気があるという。長歌は特勤が自分を利用しているだけだと否定し、だからこそ気にかけているのだと認めなかった。楽嫣は刺繍の腕を見込まれ、ようやく織物工場で自分の居場所を見つけた。これまで世間知らずだった楽嫣だったが、自分で働き、生きることの大切さを身をもって知る。そして皇族が国や民を守る代わりに、民たちは懸命に働いて皇族を支えているのだと実感した。長歌は体調が戻り、気分転換に外へ出た。すると阿詩勒隼が現れ、赤い外套を贈る。長歌はいらないと言ったが、隼は寒い時に着るよう勧めた。「何もしないうちに倒れては困るからな…世話係は?」「衣を洗いに行った」「お前のような主に仕えられて幸運だな」「主従じゃない、大切な友だちだ、人の人生は別れの連続でもある …幸運なのは私の方、大切にしたい人に出会えたんだもの」「俺もだ…」長歌は隼の言葉を聞いて気恥ずかしくなり、暗くなる前に巡回に戻るよう促した。しかし隼は長歌を連れて行きたい場所があるという。阿詩勒隼は赤い外套をまとった長歌を連れて蛍を見に行った。「なんて美しいの~蛍を見るのはきっとこれが今年、最後ね」「来年もあるさ」「来年なんて自分がどこにいるのかさえ分からない、もうこんな機会はないかも…」「来年も見たくなったら俺を呼べばいい、どこにいても駆けつける」「…たぶん無理よ、蛍のように美しいものは儚いのが常、期待してどうするの?ふっ」(´・_・`)、しゅんとする隼…wつづく(๑´ω`๑)すぁんったら~にしても長歌の設定が無理くり過ぎるwまあ~チャンツィが15歳だからねwww
2022.02.20
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惜花芷 Blossoms in Adversity第40話皓月仙師(コウゲツセンシ)は天寿節の宴で皇帝・顧成燾(コセイトウ)の命を狙った。しかし暗殺計画を知っていた皇帝により失敗に終わってしまう。「捕らえよ!」皇帝は余裕の表情、その時、思いがけず皓月も号令をかけた。「かかれっ!」実は儀式を手伝っていた宦官は全て皓月の配下だった。宴席は騒然となった。長青(チョウセイ)は禁軍が応戦している間に皇帝を連れて逃げることにしたが、今度は給仕の女官が短剣を抜いて襲いかかって来る。咄嗟に皇帝をかばった長青は背中を切りつけられ、ついに皇帝は孤立無援。その時、袖箭(シュウセン)の矢が女官に命中し、顧晏惜(コアンセキ)が現れた。司使と共に会場に雪崩れ込んだ七宿(シチシュク)司が謀反を制圧、皓月はその場で拘束された。「皇伯父、禁足を破った私に罰を…」「イエンシー、罰など与えるものか、七宿司のおかげで火球を見つけ、撤去できたのだ」皇帝は期待に違わず自分を救いに来た甥に顔をほころばせたが、顧晏惜は火球を見つけたのが花芷(カシ)だと明かした。「お前だったとは…皆、死んで当然の者たちなのに!」花芷の仕業だと知った皓月は憤り、皇帝への積年の恨みをぶちまけた。皓月は昭(ショウ)国の間諜だった。苦水河の戦いで父や兄たちが戦死。母はまだ幼い娘を連れて戦場へ赴き、家族の遺体を探し回ったという。しかし見つけられないまま母は餓死した。天涯孤独となった皓月は流民に紛れて都へ行き、懐(カイ)王に仕えて間諜として育てられたという。「家族の仇を討てるなら何でもできる!@ボンバイエ 私の仲間も次々と大慶にやって来たのに、その大半が七宿司に人知れず消されたわ でも私は生き残った、あと1歩でお前を殺せたのに!」皇帝は皓月を身の程知らずだと蔑んだ。しかし皓月から鼻で笑われてしまう。「そうかしら?顧晏惜が助けに来なければお前はとうに死んでいた、本当は怖かったのでは? 大慶の皇帝とはどんな勇猛で恐ろしい男かと思ったら、ふっ… ただの弱くて疑り深い年寄りじゃないのっ! 臣下の非難におびえ、己の兄弟や子供まで恐れた、孤独をかこつあまり顧晏惜まで遠ざけ 怪しげな私を利用するしかなくなったくせに!知ってるの?お前の息子も…ウッ!」その時、突然、惠(ケイ)王・顧晏睿(コアンエイ)が落ちていた剣を拾い、いきなり皓月を刺し殺してしまう。「それこそ世継ぎのあるべき姿だ」皇帝は珍しく惠王を褒めた。皇帝は自分を憎んでいるはずの花芷がなぜ自分を救ったのか聞いた。すると花芷は皇帝だけでなく、混乱が起きて両国の民が犠牲になってしまうからだと上奏する。皇帝は相変わらず正論を振りかざす花芷に嫌気が差し、下がらせろと命じた。「なぜ功績者を罰するのですか?!」驚いた顧晏惜は花芷を守ったが、その時、皇帝の顔色がみるみる青くなり、激しく喀血してしまう。実は顧晏睿は美しい天枢使に惑わされ、皓月から皇帝に毒を盛るようそそのかされていた。『占いによると殿下は天子になる運命…すぐ玉座に就けるでしょう 皓月、喜んでお仕えいたします この碧真(ヘキシン)という毒を飲ませれば1刻も経たずに死にます』 顧晏睿は慌てて父の元へ駆け寄り、咄嗟に七宿司が謀反を起こしたと濡れ衣を着せた。わけが分からず呆然と立ちすくむ顧晏惜、しかし長青がある証拠を思い出す。「違います!陛下は恵王の杯しか口にされていません!」「宦官ごときが皇子を疑うとは!」顧晏睿は激怒して長青を切りつけると、顧晏惜が対峙する七宿衛と衛兵をなだめた。「落ち着け!陛下はまだご存命だ!逆賊は恵王かもしれぬ!」「黙れ!」すると皇帝と同じ酒を飲んだ顧晏睿も激しく喀血、ようやく皓月に騙されたと気づいた。「あの女…」『解毒薬を渡しておきます、口に含めば碧信の毒は解けます』顧晏睿は自暴自棄になり、皇帝の首に剣を突きつけた。「下がれ!近寄るな!」しかし毒が回り始めた顧晏睿は再び血を吐き、その隙に顧晏惜の放った袖箭が命中、顧晏睿は絶命してしまう。顧晏惜は皇帝を寝宮へ運び込み付き添った。「皇伯父、逆賊を全て捕らえますのでご安心を…」しかし虫の息となった顧成燾は声を出す力もなく、かろうじて甥に手を伸ばす。顧晏惜は伯父の手を握りしめながら、何を訴えようとしているのか察した。「皇伯父、私は少しも恨んでなどいません、幼い頃から父のように思っていました 北地にいた時も頭から離れることはなかった いつか必ず皇伯父がそばに呼び戻してくれると信じていました」顧成燾は涙し、顧晏惜の手を弱々しく握り返した。「斉如海(サイジョカイ)に誣告させたのは私が皇伯父や国に必要な存在だから 私は皇都に戻る運命だった…ご安心ください 七宿司がある限り、私は皇伯父と大慶を守る刀であり続けます」顧成燾は顧晏惜の許しでようやく真心を知ったが、そこで息絶えてしまう。「イエン…シィ…」それが皇帝の最後の言葉になった。皇帝の崩御を知らせる鐘の音が響き渡った。承露(ショウロ)宮の前に駆けつけた臣下たちは悲しみに暮れながら、皇家の世継ぎがいないことを憂慮する。「いずれ噂が広まり、天下は大混乱に陥るだろう」その時、皇太后が到着した。「皆の者、心配はいりません、顧家の跡取りはまだいます…」皇太后が手を差し伸べると、まだ幼い六皇子・顧晏昭(コアンショウ)がその手を取った。花家の男たちが赦免された。採石場で聖旨を受け取った大郎・花平宇(カヘイウ)は俄かに信じられず呆然。実は皇帝が代替わりし、皇都へ戻れることになったという。「早く支度しよう!父親に知らせねば!」その時、これまで不遜だった官兵が急に態度を一変させ、家族に文を届けて欲しいと懇願した。花平宇は確かに官兵たちも家族に会えずにいるのだと気づき、引き受けることにする。すると他の罪人たちも一斉に家族への文を頼んだ。新帝・顧晏昭は顧晏惜と一局、手合わせしながら気もそぞろだった。「イエンシー哥哥、花家の男たちはそろそろ皇都に着く頃だろうか?」「陛下…」顧晏惜は答えようとしたが、そこへちょうど仕官した沈淇(シンキ)が現れる。「ちょうどいい、碁は苦手だ、交代してくれ」「急いでどこへ行く?」「聞いてないのか?花家の男たちを出迎える」「花芷からは何も聞いていない」「あ、沈大人は家族じゃないからな、ではこれで」(  ̄꒳ ̄)沈淇はイエンシーより大人w万勝(バンショウ)門では花家が男衆の帰りを今か今かと待っていた。すると顧晏惜が馬を走らせ駆けつける。「一緒に待つよ」花芷は笑顔で顧晏惜を迎え入れた。今なら愛する人を祖父に紹介できる心の準備ができている。その時、ついに祖父たちを乗せた馬車が見えて来た。門衛が馬車に気づいて門を開くと、待ちきれずに花芷たちが一斉に走り出し、ついに家族の再会が叶う。花屹正(カキツセイ)は花芷の元気そうな姿を見て安堵したが、その時、顧晏惜が現れた。黙って顧晏惜の手を握りしめる花芷。花屹正は花芷にも運命の人が現れたのだと分かった。( ;∀;)アアアアア~感動!屋敷へ戻った花屹正は花芷と顧晏惜と一緒に霊廟を訪ね、林婉(リンエン)に帰京を報告した。「婉R、戻ったよ、直言が天子の怒りを買い、花家は災いに遭った 当初は悔やまぬつもりだったが、しかし… 婉R、すまない、あの日の別れが最後になるとは… 幸い遠くないうちに私も朽ち果て、そなたの元へ行ける、その時は好きなだけ罵ってくれ」すると花屹正は花芷たちに祖母へ報告するよう促した。花芷と顧晏惜はひざまずき、それぞれの想いを林婉に告白した。「祖母、当時の私は愛についてまだ何も分からなかった あの時、本心をさらすのが怖くて、彼の名前を言えませんでした でも今は何の迷いもない、ご安心を、私はもう孤独ではありません」「老夫人、私の答えは全て花芷に伝えました あの時、背中を押されながら私はためらい、花芷を傷つけてしまった 結果、多くの時を無駄に…これからは2人の時間を何より大事にします」花屹正は顧晏惜と2人で花園に出た。かつて自分が厳しく糾弾し、花家の没落のきっかけとなった七宿司、その司使が孫娘の相手となるといささか不安になる。実はあの時、顧晏惜は花公の諫言を聞いていた。「あれからやむなく司使になりました しかし花公の言葉を胸に刻み、今の七宿司はもう″腫れ物″ではなくなりました …お疑いならどうぞお調べください!」「はっはっはっ!無用だ、芷Rが選んだ人なら間違いない、ここ数年の評判も耳にしておる」花屹正は少し顧晏惜をおどろかせただけだった。「ただ約束して欲しい、芷Rをずっと大事にすると」「必ず」花芷と顧晏惜の婚儀当日。顧芍薬(コシャクヤク)が屋敷の飾り付けを手伝っていると、久しぶりに沈煥(シンカン)がやって来た。実は身分を回復して和楽(ワラク)郡主となった芍薬に相応しい相手になろうと、科挙を受けることにしたという。「合格したら…その~…してから言うよ」「じゃあ不合格だったら私を娶れないの?!私が本の虫を好きだと思う?! 哥が言っていた、思い合っていれば婚姻を結べる、それ以外のことは大した問題じゃないって」「うん、分かった」婚儀は花芷の希望で皇家ではなく民間のしきたりに従って花府で行われることになった。すると顧晏惜が正殿で待たずに花芷の控室まで迎えに来てしまう。その時、思いがけず賓客が現れた。「陛下っ!」「今日は阿撿(アケン)だと思って楽にして欲しい」しかし早速、顧晏惜からお忍びでの外出は感心しないと諫言されてしまう。「贈り物を届けに来ただけだ、すぐ帰る」皇帝は顧晏惜に摂政王の印章を授け、花芷には女子用に仕立てた太傅(タイフ)の官服を贈った。「それからこれは祖母に教わって作った同心結びだ、出来は良くないが受け取ってくれ では行くよ」「あ、陛下!お返しにこれを…」花芷は返礼の代わりに昔のように飴を渡した。「菓子は禁止ゆえこっそり食べる、長青にも分けよう」吉時となり花芷と顧晏惜は家族に見守られる中、拝礼の儀を済ませて夫婦となった。しかし翌朝、2人は印章と官服を残して旅に出てしまう。花芷が留守にしても三夫人・夏金娥(カキンガ)がいれば花記は安泰だった。孫(ソン)家の女当主となった花琴(カキン)もやり手の迎春(ゲイシュン)に帳簿を任せ、左団扇で暮らしている。帳場ではあの泣き虫だった念秋(ネンシュウ)が2人の侍女にそろばんを教えていた。その厳しさはかつての夏金娥を彷彿とさせる。すると拂冬(フツトウ)が夫・白銘夏(ハクメイカ)に子供を任せ、決算報告を持ってやって来た。実は沈煥が考案した飲み物が良く売れているという。沈煥の昔の道楽も無駄ではなかったらしい。今や精力的に仕事に取り組み、昼は人形劇や一座を運営していた。こうして久しぶりに顔を揃えた四季の侍女たち。どうやら一番、幸せなのは抱夏(ホウカ)のようだ。姉妹たちが仕事で忙しい中、昼寝していた抱夏は楽しい夢でも見ているのか笑っていた。花芷の母・朱盈貞(シュエイテイ)は夏金娥に届いた花霊(カレイ)からの手紙を借りて夫に聞かせた。鄭知(テイチ)が皇都に転勤になるため、もうすぐ夫婦で戻れるという。花平宇はやはり皇都が1番だと言ったが、朱盈貞はそうとも限らないと反論した。実は四房の花平陽(カヘイヨウ)と呉玉娘(ゴギョクジョウ)が幼い花鳶(カエン)を連れて旅に出たのは娘を花芷のように育てたいからだという。花平宇は呆れたように茶を飲んだが、朱盈貞の入れた茶が不味かった。「邱(キュウ)氏はどうした?邱氏を呼んでくれ」その時、怒った朱盈貞が茶を捨ててしまう。「気に入らないなら自分で入れて!」花平宇は妻の変わりように目を丸くしたが、その時、花柏林(カハクリン)が慌てて回廊を走ってきた。「柏林?!どうした?」「祖父の書が発刊されて大人気です!やっと1冊、買えたので祖父に見せたくて!」「行きなさい!」朱盈貞は夫に花芷が守ってくれた原稿だと話した。「芷Rに感謝だな…」すると花平宇は自分が悪かったと茶の件を素直に謝った。花府の学堂は孤児にも開放された。学堂を任された二夫人・斉蕙蘭(サイケイラン)は花柏礼(カハクレイ)への執着を手放し、忙しい毎日を送っている。花平源(カヘイゲン)も妻の変わりように驚きながら、斉蕙蘭に頼まれて答案を子供たちに返しに行った。すると一人娘を失って失意の底にいた長房姨娘・邱氏が楽しそうに孤児たちと遊んでいる。その様子を見た花平源は妻たちの生き生きとした姿に感銘を受けた。宮中では太医院の仕事を終えた芍薬が皇帝を訪ねていた。ちょうど沈淇と一局、手合わせしていた皇帝だったが、花芷から手紙が届いたと聞いて大喜びする。「花姐姐は今どこにいるの?!」その頃、花芷は幼い頃の夢を叶え、顧晏惜と一緒に航行で各地を巡っていた。「このまま進めば天地の果てまで行ける?この先はどんな所かしら?」「分からない、だがどこへ行こうと私たちは永遠に離れない」おわり(^ꇴ^)ノシ″ タイタニックでお別れで~す!あああああああ~終わってしまった( ߹꒳ ߹ )話数がカットされたのか後半は急ぎ足で雑になってしまいましたが、やはり家族の再会は涙涙でしたいや~長青が生きていて本当に良かった!←え?そこ?w久しぶりにハマりました!楽しかった!銀河さん、放送してくれてありがとう!″重紫″もお願いします(人-ω•`)✨
2025.08.14
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace第86話「暴かれた真実」烏拉那拉(ウラナラ)如懿(ニョイ)がようやく最後の経幡(キョウバン)を完成させた頃、炩皇貴妃(レイコウキヒ)・衛嬿婉(エイエンエン)は養心殿にいた。太監・王蟾(オウセン)に見張りをさせ、ゆっくり皇帝の寝所へ入って行く嬿婉…。その時、寝台の側で付き添っていた江侍医が急に視界に入り、思わず息をのむ。「(はっ!びっくりした)江侍医だったの…皇上のご容体は?」「(ハァ~)なす術がございません」そこで嬿婉は今夜はもう休むよう命じ、江与彬(コウヨヒン)はそこで下がることにした。衛嬿婉は何度か皇帝に声をかけ、目を覚まさないことを確認した。そして密建書を入れる小箱に第15皇子・永琰(エイエン)の名を書いた紙を入れようとしたが、突然、目を覚ました皇帝に見つかってしまう。衛嬿婉と王蟾はその場で取り押さえられた。しかし嬿婉は皇帝の病が重いと知って、国事が滞らないようにしただけだと取り繕う。そこへ愉妃(ユヒ)・珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)が現れ、嬿婉が我が子を皇太子にするため、永琪(エイキ)を亡き者にしたと告発した。実は永琪の格格(ゲゲ)だった胡蕓角(コウンカク)は嬿婉の駒、この駒を操って永琪を死に至らしめたという。しかも永琪の死に乗じて如懿を讒言で陥れるよう命じていたのだ。寝耳に水だった乾隆帝(ケンリュウテイ)・弘暦(コウレキ)は愕然とし、確固たる証拠はあるかと尋ねる。嬿婉も全くの言いがかりだと否定したが、予想外の証人が現れた。「私が生きていて驚きましたか?」それは毒殺したと思っていた春嬋(シュンセン)だった。春嬋は口封じのため皇貴妃に殺されそうになったと訴えた。これまで拷問を受けても口を割らぬ覚悟で仕えて来たが、ここで自分の罪を認めると同時に皇貴妃の罪業を白状するという。実は胡蕓角は産婆の田氏の娘・田蕓児(デンウンジ)だった。衛嬿婉は田氏の死後、田蕓児を数年にわたり養って手なずけ、その後、書記官の娘に仕立てて永琪に仕えさせ、死に至らしめたという。これも如懿を陥れるためで、田蕓児に如懿が母の敵だと誤解させて復讐するようそそのかしていた。弘暦はようやく永琪と永璟(エイケイ)を殺したのが衛嬿婉だったと知り、沸々と怒りがこみ上げる。しかし嬿婉は春嬋の妄言に過ぎないと必死に否定した。そこで海蘭はもうひとり証人を呼ぶことにする。すると服役中の辺地から姿を消した衛嬿婉の弟・左禄(サロク)が現れた。衛左禄は母が呪術を使ったのは事実だが、第13皇子の命を奪っていないと話し、母は姉の罪を被ったと証言する。「何を言い出すの?!姉の私を陥れるために帰京したの?!」「だって愉妃を陥れるため、扎斉(ジャチ)に銀票を渡したじゃないか? 事が露見すると罪を母上に押し付けた、母上は産婆の田氏など知らないのに…」「皇上!今の証言は全て真実です! 皇貴妃は13阿哥以前にも10阿哥、5公主、6公主を手にかけました! ですが5公主と6公主については計算外で、標的は12阿哥でした」春嬋はあの時、淑嘉(シュクカ)皇貴妃の飼い犬を王蟾が盗んでしつけたと証言、王蟾も罪を認め、ただ自分の立場では拒めなかったと訴えた。海蘭はついに衛嬿婉に死罪をと嘆願した。焦った嬿婉は潔白を訴えたが、逆上した皇帝に引っ叩かれてしまう。「黙れ!よくも朕の子供を?!」「皇上!私は潔白です!当時は私に子がおらず、殺す理由がありません!」すると春嬋が動機は皇后の座ではなく、嫉妬だと指摘した。実は衛嬿婉は凌雲徹(リョウウンテツ)が如懿に好意を抱いていると知って如懿を逆恨みし、何度も陥れようとしたという。凌雲徹の妻・茂倩(モセイ)と豫(ヨ)妃が私通を告発したのも、他ならぬ衛嬿婉の仕業だった。さらに胡蕓角に最期の告発を命じて如懿を廃后に導いたのは、自分が皇后になるためだったという。そこで海蘭は凌雲徹から死の直前に預かった指輪を皇帝に渡した。「衛嬿婉との愛の証しだと…凌雲徹は悔やんでいました ″衛嬿婉との旧情が皇后娘娘の名誉を傷つけてしまった″と…」嬿婉は凌雲徹との旧情なら皇帝も知っていると言ったが、春嬋はならば凌雲徹に媚薬を嗅がせて誘惑したことも話したかと迫る。「目的は何だ?」「懐妊するためでした、凌雲徹の抵抗に遭ってあきらめましたが…」弘暦は思わず嬿婉に指輪を投げつけ、激高した。「恥を知れ!皇族の血を汚す気か!」衛嬿婉は窮地に追い込まれたが、ふと自分は陥れられたのだと気づいた。春嬋や弟は今までどこに隠れていたのか。恐らく王蟾は自分を陥れるため、わざとそそのかしたのだろう。「皇上!私が箱を開けた途端に皇上が目覚め、その直後に愉妃が入って来ました! 偶然にしてはあまりに出来すぎています! それに拝見したところ、皇上は危篤というほどではありません」考えてみると妙なことばかりだった。病床の皇帝のそばにいたのは江侍医だけ、江侍医だけが皇帝の病を把握しているなど不自然すぎる。「愉妃、翊坤宮の娘娘と結託して仕組んだわね?! 春嬋、お前は安華殿で拘禁された時、私を陥れるよう命じられたんでしょう?!」嬿婉は皇帝の足にすがりつき、すべて如懿が自分を恨んで仕組んだ罠だと訴えた。皇帝が危篤だと思わせ、自分に罪を犯させたに違いない。「まったく次から次へと弁の立つことだ…」そこへ皇太后がやって来た。皇太后は自分も衛嬿婉に尋問したいことがあると言った。それは永璂(エイキ)殺害の件だという。皇太后は永璂の偏食が過ぎるため、尚書房での食事を調べていた。その結果、御膳房の食事には毒茸が含まれていると分かったという。皇太后はその茸を皇帝に見せると、確かに毒性は弱いが、長期間の摂取で内臓が弱まり、いずれ死に至ると説明した。すると春嬋が第15皇子を世継ぎにするため、栄親王の死後から皇貴妃の命で第12皇子の食事に混ぜていたと証言する。しかしその後、皇太后が第12皇子を養育することになり、計画は中止になっていた。皇太后は衛嬿婉に罠を仕掛けたのが如懿だったと認めた。しかしこの罠は避けることもできたはず、罠に落ちたのはそもそも衛嬿婉の心根が卑しいからだと一蹴する。弘暦は皇太后が翊坤宮に行ったと知り、目を丸くした。すると皇太后は如懿から伝言と″ある物″を預かってきたという。それはこれまで衛嬿婉の策略により亡くなった皇子らの経幡だった。「衛嬿婉よ、どれほど多くの者を葬ってきたのか覚えておるか?忘れたであろう? ルーイーは全て覚えておるぞ?無辜(ムコ)の命を弔うべく、如懿は経幡を作ったのだ その目でしかと見るがよい!」弘暦も海蘭も順番に並んだ経幡の名前を目の当たりにし、胸が締めつけられる思いだった。如懿は衛嬿婉の処遇は皇帝に任せるが、その前に衛嬿婉には経幡1枚1枚に叩首(コウシュ)して謝罪させて欲しいと嘆願したという。嬿婉はこの期に及んでも無実だと訴え続けた。しかし皇帝の命で侍衛たちに引きずられ、無理やり叩頭させられてしまう。その頃、如懿は翊坤宮の仏殿で手を合わせていた。すると容珮(ヨウハイ)が駆けつけ、ようやく罪人が犯した罪の報いを受けたと報告する。如懿はついに敵を討ち、肩の荷が下りた。「…だけど亡くなった者たちは生き返らない」皇太后は使命を果たし、愉妃を連れて経幡を届けに安華殿へ出かけた。すると弘暦は皆を下げ、毓瑚(イクコ)に牽機(ケンキ)薬を持って来るよう命じる。衛嬿婉は罪を認めて命乞いし、後宮で悪事を犯すのは自分だけではないと叫んだ。「清廉な者がいるとお思いですか?!」しかし必死な訴えも虚しく、皇帝が毓瑚に薬を飲ませろと命じてしまう。侍衛たちは皇貴妃を拘束、さらに進保(シンホウ)が無理やり口をこじ開けた。「皇貴妃、牽機薬は飲むと身体を折り曲げるほどに苦しみます 皇上はあまり賜ることのない毒です」衛嬿婉は毒を飲まされ、開き直った。「皇上の恩情で私は女官から妃になりました…皇上に育てられたも同然 私を罰すれば皇上に見る目がなかったと認めることになりますね ←まさかの任命責任w …この数年、皇上のお心は決して得られませんでした、フッフッ、でも構いません 皇上は男として夫として私の心を得られずじまいですから!ウウウ…イテテテ…」「朕には皆が心から服従する!」←ええーっここで?w「服従していても心はどうでしょう?ゼエゼエ…私はともかく誠心誠意、仕える妃はいるかしら? そうだ、1人いたわ、翊坤宮のにゃんにゃんが…でも断髪して禁足を命じられたけど!」さすがに激怒した弘暦は急に席を立ち、衛嬿婉に歩み寄った。嬿婉は怯えていたが、すでに毒を飲まされ身、早く殺せと挑発する。「薄氷を踏む思いで暮らして来たけど、それも終りね~」「楽に死ねると思うな、覚悟せよ」すると弘暦は侍衛につまみ出せと命じた。「養心殿が汚れる!」翌朝、如懿が枯れた緑梅の鉢に水をやっていると、翊坤宮の扉が開いた。海蘭たち妃嬪は早速、皇后への挨拶にやって来たが、容珮は全てが終わって休んでいると断る。そこで海蘭が代表して面会しようと思ったが、容珮に止められた。「私とも会わないと?」その時、寝殿から如懿の咳き込む音が聞こえた。李玉(リギョク)は円明園から呼び戻され、早速、大役を任された。晴れ晴れしい気持ちで翊坤宮を訪ねた李玉、しかし如懿は誰とも会わないと門前払いされてしまう。結局、皇后の金冊(キンサク)と印璽(インジ)は再び養心殿に戻った。弘暦は頭を抱えたが、そこへ皇太后が現れる。すると皇太后は安華殿で如懿と会った時のことを話して聞かせた。皇太后は衛嬿婉が懐妊中の舒(ジョ)妃に毒を盛ったことは知っていたが、如懿から聞くまでこれほど多くの皇子や公主を死に至らしめたとは知らなかったという。しかもここへ来て皇后の座まで狙っていたとは…。如懿は衛嬿婉が巧妙に事を進めていたため、今となっては立証が難しい件もあると説明した。そこで危険を伴うが、弘暦が万が一の時に衛嬿婉がどう動くのか確かめたいと言ったという。「皇帝にはこの件を伏せていました、でもそれは真実を暴くためだったのです 今や悪行は明らかとなり報いを受けました、如懿の苦心が無にならずに済んだ… 無念の死を遂げた者たちも成仏できるでしょう」弘暦は皇太后の話を聞きながら、うなだれた。「経幡を安華殿に供えながら、あいじゃーは如懿に敬服しました 朝廷や後宮では権勢や寵愛を巡り、争いが繰り広げられています 如懿は寵愛、権勢、皇后の位、一切、目もくれませんでした ただ皇帝への情を貫き、善には善の、悪には悪の報いをと願った …あいじゃーは思うのです 権勢のために躍起になっていた私と良心を忘れなかった如懿、どちらが幸福なのだろうかと」一方、永寿(エイジュ)宮に捨て置かれた衛嬿婉はようやく目を覚ました。「私、まだ生きてるの?」 そばにはなぜか春嬋と王蟾がいる。「皇上が死なせぬと仰せになり、毓瑚姑姑に解毒薬を与えるよう命じました」「そうね、永琰の母である私を皇上が殺すわけないわ…」嬿婉は安堵したが、急に自分を裏切った2人に激高する。しかし王蟾に腕をつかまれ、春嬋に再び毒を飲まされた。「皇上からのご褒美です、毎日、飲んでください」「皇上の下賜品ですから残さずに…」禁足が解かれた如懿は中庭で枯れた緑梅の世話をしていた。そこへついに弘暦が現れる。如懿は背を向けていたが、その足音で弘暦だと分かった。「ルーイーや、そなたは翊坤宮から出ず、誰とも会わぬそうだな だからこうして会いに来た、体の具合は?」「おかげさまで」すると弘暦は慣例に従い木蘭へ秋の狩猟へ行くと伝え、少し照れ臭そうに如懿を誘った。しかし如懿は長旅に耐えられそうもないという。弘暦は仕方なく自分の代わりに後宮の留守を守って欲しいと頼んだが、次の言葉が出るまで時間がかかった。「…ルーイーや、そなたには度々、苦労をかけた、だが過ぎたことは水に流せ、忘れろ」「私の記憶も薄れています」「ならば良い…朕が木蘭から戻ったら金冊と印璽を受け取って欲しい、待ってるぞ」如懿は返事をする代わりにある言葉を送った。「皇上、″蘭因絮果(ランインジョカ)″という言葉をご存知? 昔は悲しい言葉だと思っていたけれど、今はよく分かります、咲き誇る花もいずれ散るのだと… 木蘭への道中、どうかお気をつけて」「…ああ」如懿は弘暦の背中が見えなくなるまで、名残惜しそうに見ていた。弘暦は養心殿に戻り、″蘭因絮果″と書いたまま考え込んでいた。そこへ李玉が茶を献上し、どういう意味なのか尋ねる。「男女の情が美しいのは最初だけ、やがて尽きる…」容珮は主人に頼まれ、郎世寧(ロウセイネイ)から弘暦と如懿の肖像画をもらって来た。如懿はまだ幸せだった頃の2人の笑顔を見ていたが、決心がついてハサミを手にする。するといきなり自分の絵だけを切り取り、燃やした。つづく( ತ _ತ)ちょっと何?この後半の総集編wそれにしてもこの長い長い嬿婉のターン!これが最大の苦行だったのね(笑後半のあいじゃーの話から如懿と弘暦の再会、何とも切ない、と言うか虚しい気持ちになりました来週は最終回!
2020.03.30
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo最終話「国土と結ばれた運命」聖宗(セイソウ)・耶律隆緒(ヤリツリュウショ)が祝勝の席で皇太妃・蕭胡輦(ショウコレン)から兵権を奪おうとした。散会後、皇太后・蕭燕燕(ショウエンエン)は大姐の面目を潰した息子に腹を立てたが、韓徳譲(カントクジョウ)は聖宗の立場に理解を示す。すでに各部族の兵権は集約され軍が再編されたが、国阿輦(コクアレン)斡魯朶(オルド)だけが返上されず、批判の的になっていた。しかしこうなってしまった以上は仕方がない。燕燕はこの件を自分に任せて欲しいと言った。(  ̄꒳ ̄)いや~朕に任せたからこのザマなんですけど~翌朝、胡輦が荷物をまとめていると燕燕がやって来た。「ちょうど良かったわ、別れの挨拶に行こうと思っていたの」胡輦は姉妹の情で上京に戻ったが、妹は権謀術数に長けた皇太后になっていたと嫌味を言う。「罨撒葛(エンサーグァ)も烏骨里(ウグリ)もあなたを警戒しろと言っていた それでも妹を信じようとした私にこんな仕打ちを? …罨撒葛は国阿輦を最後の切り札だと言い残したわ、決して渡してはならぬとね…」胡輦は国阿輦を連れて北方へ戻ると言った。しかしそこへ血相を変えた高六(コウリク)が駆けつける。実は燕燕に反発した撻覧阿鉢(タツランアハツ)が数人の兵と一緒に聖宗を襲い、投獄されていた。(  ̄꒳ ̄)え___「俺たちが君主になろう」って本気だったのね___聖宗は負傷したが命に別状はなかった。しかし侍医の話では聖宗がかわしていなければ命も危うかったという。胡輦はひざまついて撻覧阿鉢をかばい、命だけは助けて欲しいと嘆願した。「国阿輦を返上し、私が罰を受けます」これには燕燕も聖宗も開いた口が塞がらない。「大姐、命乞いをするなんてどうかしている!陛下の命も蕭家も顧みないというの?」「…全てを差し出しても救いたいのです」「何を申すか!」聖宗は憤慨し、皇太妃を追い返した。(  ̄꒳ ̄)だーじぇぇぇぇマジかぁぁぁ___撻覧阿鉢は激しい拷問の末、聖宗を襲った罪で斬首を言い渡された。すると胡輦が配下たちと天牢を襲撃、楚補(ソホ)を殺害して撻覧阿鉢の救出に成功する。その頃、韓徳譲も知らせを聞いて聖宗を見舞った。聖宗は軽症なので心配ないと母を安心させたが、韓徳譲は母にとって息子の怪我は重大事だと笑う。しかし思わぬ急報が舞い込んだ。皇太妃が牢を破り、撻覧阿鉢を連れ去って上京を脱出したという。「…大姐を失ってしまう」燕燕はこのままでは姉を守れなくなると胸が痛んだ。胡輦たちは一路、可敦(カトン)城へ戻った。「帰って来たわ、もう大丈夫よ」深手を負った撻覧阿鉢を自分の寝宮へ運び入れ軍医を呼んだ胡輦、すると高六が駆けつける。「蕭継先(ショウケイセン)が城に迫り、勅命を伝えました、″降伏すれば殺さぬ″と」「そう言って皆殺しにするのよ…国阿輦を招集し、応戦せよ!」(  ̄꒳ ̄)大姐暴走~胡輦は城楼から朝廷の大軍を見下ろした。そこには幼い頃から手塩にかけて後継者に育てた蕭継先の姿が見える。すると継先は手を振り下ろし、ついに兵を動かした。大軍は容赦なく攻め込み、高六は皇太妃を逃がして城楼で絶命してしまう。(  ̄꒳ ̄)まさか___ラスボスが大姐___南朝とは何だったのか?胡輦は福慧(フクケイ)と南宮へ戻った。そこで撻覧阿鉢を連れて避難することにしたが、朝廷軍に包囲されてしまう。「太后の命により皇太妃を連れ戻す!」「…俺が全て悪いんだ、俺だけ行く」「ダメよ!決して離れないわ」すると撻覧阿鉢は胡輦を守るため反撃に出た。しかし多勢に無勢、結局、その場で刺し殺されてしまう。(  ̄꒳ ̄)ぁぁぁ____若い燕ががががが___胡輦は上京に連れ戻された。するとその夜、燕燕がやって来る。「大姐…」「…私は臣下です、姐だとは思わないでください」燕燕は昔に戻ろうと言ったが、胡輦は戻りたくても燕燕はもはや昔の妹ではないという。「私にはもう妹妹などいない、あなたを愛し、何事も譲った…これがその報いなの? 罨撒葛も烏骨里もあなたのせいで死んだ…そして撻覧阿鉢まで奪うなんて…」「謀反を起こしたのよ?私の咎だと?」「己の過ちにまだ気づかない?」(  ̄꒳ ̄)気づかないわ___「家族の情を捨て、天下のことしか頭にない、それで心が休まる?」(  ̄꒳ ̄)ってか姉さんたちが男のことしか頭にないからじゃ___胡輦に責められた燕燕は困惑した。皇太妃を断罪する奏状が山積みになる中、何とか大姐を救おうと必死で闘っている。すると胡輦は燕燕に国阿輦の兵符を突き返した。「奪えばいい!これが欲しかったのでしょう?!」「まさか…私にとってこの兵符が大姐より大切だと思っているの?」「私に会いに来たのは兵符のため、自分でも分かっているはずよ 今のあなたはすでに私の妹ではない…私のために悩まなくて結構!」コケコッコ〜🐔「私にはもう大姐しかいない…何があっても三姉妹は一心同体だと言ったでしょう? 私がいる限り誰にも大姐を傷つけさせない」「私を傷つけているのはあなたよ、いっそ殺してちょうだい!これ以上、顔も見たくない」(O_O)え___だぁぁじぇぇぇぇ___どうしちゃったの___韓徳譲は政務から戻らない燕燕を心配して様子を見に来た。すると燕燕が疲れ切って居眠りしている。机にはたくさんの奏状があった。徳譲は燕燕に自分の上着を掛けて奏状を確認していると、ふと燕燕が目を覚ます。「皆が大姐を殺せと言うの…」「天下の声に応え、我々は何らかの決断を下さねばならぬ」「…命を下す、皇太妃・蕭胡輦は独立を企て、謀反の大罪を犯した しかし過去の功績を鑑みて死罪は免じ、身柄を懐(カイ)州に留めて幽閉、永久に解放せぬこと」統和27年、皇太后・蕭燕燕は聖宗に政の実権を渡し、摂政の座を退いた。そんなある日、病にむしばまれていた燕燕がついに倒れてしまう。「大姐…大姐……」「燕燕?」韓徳譲がうなされる燕燕に声をかけると、ようやく燕燕が目を覚ました。寝所には知らせを聞いた聖宗と皇后・蕭菩薩哥(ショウボサツカ)、耶律観音女(ヤリツカンノンジョ)、耶律隆祐(ヤリツリュウユウ)が揃っている。「私は大丈夫、誰もがいつかこの日を迎える、恐れはしない…ただ…」燕燕は徳譲にひとつだけ気がかりがあると訴えた。(  ̄꒳ ̄)そう言えば別腹の皇子がもう1人…ってまさかぁぁぁ___あ、只没と出家?違うかその頃、幽閉された胡輦は雪の舞う中、剣の稽古に没頭していた。すると懐かしい旧友が現れる。「何年ぶりかしら?…韓大人が急に来るなんて、太后に何かあったのね? ふっ、己の死期を悟り、隆緒では私を抑えきれぬからあなたを寄越したの?そうでしょう?」「燕燕は遼を揺るがすことを望まぬ、私も同じだ」「ふふふ、まさかそこまで私を脅威に感じているなんてね」胡輦と韓徳譲は幼なじみだった。ふと思い出す徳譲への淡い初恋、あれからずい分と遠くに来てしまったようだ。「燕燕が羨ましくなる、愛した人に誠実に尽くされて、老いるまで共に歩んだ そんな幸せは滅多にない…特に私には…」徳譲はそんな胡輦の無念の思いを全て自分が受け止めると言った。すると胡輦は初めて自分の本心を赤裸々に告白する。「燕燕が後宮に入る前、父に訴えたの、燕燕のため私が代わりに嫁ぐと… 妹の幸せを願ったからよ、でも思い返してみるとそんな理由じゃなかった」胡輦は自分にも燕燕に負けないくらい野心があったと言った。人前ではおくびにも出さず品行方正に振る舞いながら、自分自身でさえその存在を認めていなかったという。しかし長公主を母に持ち、后族の宰相の娘、皇子に嫁ぐと定められ、国母としての振る舞いを自分に強いて来た。「ふっ、この変化と結末を誰が予想したかしら?」権力とは恐ろしい。まるで全ての者をのみ込み、逃れられない渦のようだ。↓ちょっと何言ってるか分からないですぅ___胡輦はもし罨撒葛が先に黒山に到着して自分が権力を握っていたら、烏骨里は死ななかったと言った。しかし徳譲は罨撒葛が皇帝になったら漢制改革が進まず、遼の民政と軍政は全く違うものになり、″澶淵(センエン)の盟″もなし得なかったと断言する。「遼の行く末は分からないわ、この世は変幻無常だから…私たちのようにね 燕燕より先に出会い、年齢も近い私ではなく、あなたは燕燕を愛した」「…我々は共に考えを隠し、人に動かされ、大局を前に用心し過ぎるきらいがある しかし燕燕は己が求めるものも、最も大事なことも一貫して明確だ」胡輦は父から感情で動くなと言われて納得できなかったことを思い出した。心任せに動く燕燕とは違い自分は大局を見てきたつもりだったが、なぜ父の評価は正反対なのかと。「やはり見抜いていたのね… 生涯、慎重に過ごした私はたった一度、己の心に従い、引き返せなくなった でも生涯、我を通した燕燕は自由に生きる権力を得たわ …気心の知れたあなたが私を見届けてくれるなら、円満な解決ね?」すると徳譲は大きなため息をついた。「胡輦、考えすぎだ… 燕燕は君に伝えたかっただけだ、今生、君と姉妹でいられてとても幸せだったと…」(  ̄꒳ ̄)ここってもしやポンポンの家?アーボーつながり?考えすぎ?燕燕と韓徳譲は幽州に立ち寄り、燕雲台に立った。( ๑≧ꇴ≦)<って燕燕、生きてたんかーい!「18歳のあの年、大姐は私を燕雲台から連れ戻した あの時から私の運命はこの国土と固く結ばれている 帝王とは孤独なもの、愛する人たちは次々と離れていったわ 今そばにいるのは徳譲、あなただけ」「君と南へ向かったあの年、目にしたのは貧困にあえぐ民の姿だった しかし今は平和な光景が広がっている…私たちは生涯、遼のために生きたのだ」すると徳譲は燕燕の手を取った。「君と共に末永い功績を残せた…この人生に悔いはない」↓(  ̄꒳ ̄)まあ2人にはないよね___…統和27年12月、蕭綽(ショウシャク)は捺鉢(ナバ)への道中、病により逝去した息子・隆緒が贈った尊号は″睿徳神略応運啓化承天(エイトクシンリャクオウウンケイカショウテン)皇太后″であるそして蕭綽の逝去の15ヶ月後、韓徳譲も病で世を去り、蕭綽が眠る乾陵の隣に埋葬された…完…そして今も燕雲台の板石の下には二人の髪の毛が挟まっている…ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノって オカルトかっwそんなわけで(ってどんなわけ?)だーじぇの恨み節で終わりました何だか思ってたんと違うw
2021.11.21
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长歌行 The Long Ballad第48話「決死の逃走」四方館で李長歌(リチャングァ)の正体を暴き、裏切り者と思われていた弥弥古麗(ミミクリ)。しかしあの時、弥弥は事前に奕承(エキショウ)公主に脅されていると長歌へ打ち明けていた…『どうしたらいいの?』『そのまま指示に従って…私の正体が暴かれても唐皇は私事に過ぎないと一笑するわ そうすれば穆金(ムージン)と歩真(ブジェン)を救えるし、あなたは奕承から信頼を得られる もちろん無理にやる必要はないの』弥弥は自分を信用してくれる長歌のため間者になると決意、定襄(テイジョウ)へ向かった…すると誰かが長歌たちの客室の戸を叩く。羅十八(ラジュウハチ)が戸を開けると、幼い少年がいた。「月餅を届けてくれって…」阿詩勒隼(アシラシュン)は処刑台に連行された。「草原に埋葬してくれ、草原の平和を見届けたい」奕承は阿隼の最後の望みを了承し、雷蒙(レイモン)に執行するよう命じる。一方、長歌と緒風は弥弥の指示通り、王宮の裏門にいた。すると弥弥ではなく阿詩勒渉爾(アシラシャアル)がやって来る。渉爾が信用できるかどうか判断に迷う長歌、しかし渉爾は自分を信じる他ないと言った。「阿隼は大殿だ…方法はひとつしかない」「緒風、計画変更よ、師父たちに伝えて来て」阿隼はひざまずき、天を仰いだ。固唾をのんで見守る奕承、しかし処刑人が曲刀を振り下げようとしたまさにその時、渉爾を人質にした長歌が現れる。「待った!」「長歌…」長歌は渉爾と引き換えに阿隼を解放しろと迫った。しかし奕承は阿隼を解放したところで逃げられないと指摘する。その時、雷蒙の足元に矢が飛んできた。「私が独りで来るとでも?今度、動けば誰の首が飛ぶかしら?」緒風と羅十八は屋根の上に身を隠し、伏兵がいると見せかける。実はこの機に乗じ、魏淑玉(ギシュクギョク)と司徒郎郎(シトロウロウ)が雁行(ガンコウ)門の仲間たちと潜入、蕭(ショウ)皇后・隋王・歩真を救出していた。長歌は渉爾の首に短剣を突きつけた。しかし実際は渉爾に直接、刃は当たっていない。渉爾は心配そうに見つめる阿隼に自分なら平気だと言った。動揺した奕承は息子の命には変えられず阿隼を解放、すると長歌も渉爾を手放す。「…悪いな」阿隼は渉爾が自ら人質になってくれたと知り、すれ違いざまに礼を言った。長歌と阿隼は緒風たちの援護でその場を逃げ出した。激怒した奕承は追撃を命じたが、渉爾に短剣を突きつけられてしまう。「阿娜、逃してやって!」「まさか…阿娜に刃を向けるとは…」衝撃を受ける奕承だったが、息子に実母を殺す勇気などないと分かっていた。「雷蒙!追って!」すると渉爾が自分の胸を刺してしまう。「阿娜は殺せない…でも息子なら奪える、全て私のためでしょう?ならもう必要ない」奕承はようやく渉爾が李長歌と示し合わせ、自分を騙したと気づいた。深く失望した奕承は渉爾の胸から剣を抜き、その手で自分を殺せと迫る。しかし揉み合っているうちに短剣が落下、奕承は心がひとつでなければ立ち去れと言い放った。「雷蒙…2人を追うのよ…やっておしまいっ!」一方、弥弥は逃げて来た長歌たちと合流し、脱出できる門へ案内することにした。しかし衛兵が立ちふさがり、長歌と阿隼は弥弥を避難させて応戦する。すると追跡していた雷蒙が回廊で戦う2人を見つけ、弓を構えた。唯一、雷蒙に気づいた弥弥は咄嗟に長歌を突き飛ばし、身代わりになって胸を刺されてしまう。長歌は倒れた弥弥を抱き留めた。激高した阿隼は迫り来る雷蒙たちに立ち向かう。「弥弥…」「長歌、無事でよかった…」すると緒風と十八が駆けつけ、阿隼を援護した。緒風はひとまず長歌の元へ急ぎ、歩真たちが無事に脱出したと伝えて戦いに戻る。ちょうど同じ頃、阿隼を救うため引き返した鷹団が正門を破ろうと体当たりしていた。鷹団が王宮になだれ込んだ。阿隼は穆金たちの姿に驚いたが、これで形勢が逆転する。しかし穆金は戦いの最中、回廊で倒れている弥弥の姿を見つけ、愕然となった。弥弥は弟の無事を知って安心した。「長歌…どうしても…最後に彼に会いたい…」すると穆金が駆けつけ、長歌の腕から弥弥を預かる。「弥弥…俺だ」「穆金…本当にあなたなのね…約束して…私の代わりに歩真の世話をすると… 私…私、あなたが…好き…」「弥弥、俺も君が好きだ、初めて見た時から君が好きだった」弥弥はやっと素直な気持ちを伝えて安堵すると、最後まで弟の身を案じながら愛する人の腕の中で息を引き取った。雷蒙は劣勢となるや否や逃げ出した。阿隼たちは深追いせず、弥弥を連れて王宮を脱出することにする。すると宮道で独りさまよう渉爾と出くわした。渉爾は穆金が抱きかかえている弥弥の姿を見て驚愕、しかし穆金の激しい憎悪を前に触れることも叶わない。「どうして守ってやらなかった?弥弥は全てを捧げたのに…なぜ守らなかったんだ!」やり場のない怒りをぶつける渉爾、そこで阿隼は弥弥を殺したのは雷蒙だと教えた。「李靖(リセイ)の軍が来る、奕承は終わりだ、一緒に来い!」「俺は唐に投降したわけじゃないぞ?!干渉はしないから俺にも干渉するな」渉爾は愛する弥弥の敵を撃つべく、走って行ってしまう。鷹団に逃げられた奕承、すると伝令兵が駆けつけ、李靖が定襄に迫っていると報告した。雷蒙は10万の大軍が一夜で到着するはずないと疑ったが、実は李靖が自ら率いている騎兵3000だという。大殿に集まっていた各部族は騒然、しかし雷蒙は妄言だと一蹴し、伝令兵を処刑した。恐れおののいた首領たちは逃げようとしたが、衛兵に阻まれ、一歩でも離れたら即刻、斬り捨てると脅されてしまう。その時、渉爾が駆けつけ、いきなり雷蒙に斬りかかった。↓ママずっとこんな顔( ̄▽ ̄;)渉爾は雷蒙に襲い掛かるも取り押さえられ、引きずり出された。すると奕承は雷蒙に全軍を承啓門外で待機させ、渉爾の狼師は雷蒙が率いるよう命じる。「各首領を護衛し定襄を離れる!」奕承はある決意を胸に、捕縛された渉爾の元へ向かった。まさか最後の最後で息子の裏切りにより敗れるとは、何と滑稽だろうか。そこで奕承は母子の縁を切ると言い放ち、渉爾を連れて行くよう命じた。奕承はわざと渉爾を突き放し、雷蒙に渉爾を託した。「各部首領と民を盾にすれば私も逃げられるから心配ない」しかし雷蒙は公主が自分に敵を惹きつけて小可汗を逃すつもりだと気づく。「こたびは命令には従えません…私が隋からはるか遠くの草原へと公主を護送しました あれから30年~♪どうかずっとお守りさせてください!」奕承は雷蒙の気持ちに応えることはできなかったが、渉爾を命懸けで守って欲しいと哀願した。「すぐ発って…遠ければ遠いいほどいい」「分かりました」渉爾は母の気持ちも知らず脱出を拒んだ。しかし雷蒙から公主の願いだと聞いてようやく母が自分を逃すために突き放したのだと気づく。一方、長歌と阿隼は李靖の軍営に到着していた。真っ先に可汗の様子を見に行った阿隼は、戦は無理でも養生すれば生き長らえると知って安堵する。「…わしの…わしの…息子よ…」可汗は何とか阿隼の手を握りしめた。「阿塔…定襄を倒すには唐軍と組むしかありませんでした 草原は争いが絶えず、多くの血が流れ、みんな疲れています ゆっくり休ませて太平を取り戻さねば…阿塔、戦をやめましょう」長歌たちは弥弥と別れの儀式を行った。弥弥は美しい顔のまま、今にも目を覚ましそうに見える。すると穆金が2人だけにして欲しいと頼み、最後にそっと口づけした。李靖は蕭皇后と瑞王の護送を李淑玉に頼んだ。そこで長歌は念のため緒風と十八にも護衛を頼み、これを最後に十八を自由するという。「私に一生、従うのは無理よ、これからどうしたいの?十八?」「…友と一緒に自由に暮らしたい」その友とは緒風だった。すると任務を終えた司徒も退散すると告げ、実は二番弟子を迎えたと報告する。「小師妹?いつの間に?!」何も聞いていなかった長歌は驚いた。緒風の話では長歌たちが紫草を探していた頃、媛娘(エンジョウ)の面倒を見ていた司徒は武芸の奇才だと気づき、弟子入りさせたという。「大弟子のお前は剣を修練する暇などないだろう? 祖師から越女剣の伝承を途絶えさせてはならないと言われているゆえ、媛娘に託すのだ では各位、また会おう」そして図伽郡主も漠南に帰ることになった。つづく( ๑≧ꇴ≦)司徒、越女剣なのか?!
2022.06.11
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第21話劉啓(リュウケイ)の供述書を読み、泣き崩れた皇北霜(コウホクソウ)。霍擎雲(カクケイウン)は皇北霜が落ち着くまで回廊で待っていたが、日が暮れる頃になってやっと皇北霜が出てきた。「まだいたの?」「君に会いたかった、でも怖かった、君に信じてもらえず、許されないかと…私と来てくれ、頼む」「私たちは結ばれない運命なの、あらがうべきじゃない」「どちらにしても汾天(フンテン)にいてはだめだ」しかし皇北霜はまた部屋にこもってしまう。一方、若問(ジャクモン)は皇北霜の瞳をどこかで見たことがあると気づいたが、どうしても思い出せずにいた。皇北霜は霍擎雲への想いを断ち切れず、硬貨を投げて運に任せようと決めた。…どうか導いて、あの人と今世で結ばれるのか…皇北霜は硬貨を投げた。…模様の面なら敵討ちのあと中原に行って戻らない、文字の面なら…しかし硬貨が落ちた時、突然、若問が現れた。皇北霜は咄嗟に硬貨を隠し、若問を追い返そうとした。しかし若問は皇北霜の腕をつかんで迫ってくる。「お前の瞳は俺を困惑させる…」その時、霍擎雲が現れ、皇北霜を解放した。「彼女に手を出すな!」「莽流(モウリュウ)門主がどれほどの腕前か見せてもらおう、お前が勝てば従う」霍擎雲と若問の手合わせは互角だった。やがて互いに反発して倒れ、若問は運悪く机に頭をぶつけてしまう。その時、ついに若問は皇北霜の瞳に惹かれる手がかりを見つけた。…安(アン)児、どうか生き延びて…実は皇北霜の目は蓉安(ヨウアン)の母の瞳と似ていた。若問を探していた格心微(カクシンビ)が現れた。「どうしたの?しっかりして?」格心微は倒れていた若問に手を貸して寝閣に連れ帰ったが、明らかに若問の様子がおかしい。「お前は誰だ?!早く答えろ!」若問は急に格心微の首を締め上げたが、ふいに我に返って苦しそうに寝台に倒れてしまう。一方、独りになった皇北霜は敷物の下に隠した硬貨を取り出した。模様の面を見た皇北霜は…。その頃、霍擎雲は沙曲(サキョク)から報告を聞いていた。雲沛(ウンハイ)はすでに城主夫人がさらわれたと知っているはずだが、依然、動きはないという。「それからここへ来る途中、霜姑娘が承恩(ショウオン)閣の方へ行くのを見かけました」霍擎雲は情愛など二の次だと強がっていたが、沙曲を下げると早速、様子を見に行った。しかし皇北霜は霍擎雲に気がついても挨拶もしてくれない。「建築篇を探しているのだろう? 大漠奇巻(タイバクキカン)以外に危険を犯してここに残る理由はないからね 探すから書写させてくれるか?」「…交渉成立ね」皇北霜の態度は相変わらずそっけなかったが、霍擎雲は建築篇ならここにないと断言した。「知っているの?!」「今夜は休め、明日、教える」格心微は意識を失った若問を心配して医者を呼んだが、医者はただの酒の飲み過ぎだと言った。結局、翌朝になっても若問は目覚めず、格心微は城主に代わって祝福に来た小部族たちの対応に追われる。一方、霍擎雲は皇北霜に朝食を差し入れた。皇北霜は受け取って追い返すつもりだったが、霍擎雲は一緒に食べると言って強引に部屋へ入ってしまう。「食べたら建築篇の在りかを教えるよ」「…食べたわよ?本当は知らないのでしょう?」「実は在りかを知らない、やつれている君に食事と睡眠を取らせたかったんだ」怒った皇北霜は霍擎雲の手を引いて追い出そうとしたが、突然、抱きしめられてしまう。「放して!放してったら!」「ようやく君らしくなった」すると霍擎雲はようやく真面目な話を始めた。先主が皇北霜の幼い頃に草薬篇を渡したのなら、建築篇もいずれ渡す準備をしていたはずだという。「君が成長するのを待って…」頭を打って昏迷した若問は幼い頃の記憶を思い出していた。…那戦(ナセン)が反逆し、弟を連れてこいと命じたあの日蓉若(ヨウジャク)は馬を駆けて屋敷へ戻り、妻と息子・蓉安を逃すことにした『麻随の九夫人に助けを乞え!同族の姉妹だろう?裏門から出ろ!那戦の兵が来る!』蓉若は2人を連れて砂漠へ飛び出した巫将軍たちに追われた3人は落馬、砂丘から転げ落ちた。その時、巫将軍が放った武器が蓉安の肩に刺さってしまう蓉若は何とか外すことに成功し逃げ出したが、やがて夫人が転んで足をくじいた『私はいいから安児を連れて逃げて!早く!』蓉安は父に手を引っ張られながら、母が巫将軍に殺される様子を目撃した悲しみに暮れる中、やがて父も蓉安を逃そうとして兵の前に立ちはだかり殺されてしまう必死に逃げ惑う蓉安、すると運良く兵士たちが流砂に巻き込まれた蓉安は何とか兵を振り切り、やがて樹林で盗賊に殺された一行の骸を発見したそこで死んだふりをして遺体に紛れ、追っ手をやり過ごす…霍擎雲の話を聞いた皇北霜は自分の部屋にある隠し扉から建築篇と家族の絵姿を発見した。幸せだった子供の頃を思い出して顔がほころぶ皇北霜。すると霍擎雲はようやく自分の生い立ちを明かした。「私は母親を知らない、私を産んですぐ亡くなった 8歳の時、那戦に父を殺されたんだ」実は天都の先主は叔父だという。沙曲や莽流(モウリュウ)門の仲間も那戦の反逆に巻き込まれて殺され、那戦に激しい恨みを抱いていた。「君は命懸けで決着をつけるつもりだろう?冷たい態度を取るのは私を巻き込まぬためだ 早まるな、私は15年も耐え忍んだ、一緒に敵を討とう」皇北霜と霍擎雲は那戦が未だ目を覚さないと聞いて駆けつけた。ちょうど格心微が名医たちを集めて若問を診察させていたが、特に問題はないという。格心微は激怒して医者を追い返すと、霍擎雲が雲沛で皇北霜を救った神医を思い出した。神医の到着を待ちながら、若問の無事を祈り続ける格心微。一方、霍擎雲は建築篇を見つけた皇北霜に今後の身の振り方を聞いた。「次の巻を探すわ」「奇書のことじゃない」皇北霜は何を言いたいのか分かっていたが、あえて無視した。「再び取り引きしたい、私と来てくれるなら最終巻を渡そう」実は水源篇は天都にあった。「天都に?!」「私が全て手配する、那戦のことも私に任せてくれ」「よく考えなくちゃ、あなたの印象は悪いから…フ」その夜、皇北霜は格心微に夜食を差し入れた。「もう3日も付ききりで何も食べていないわ、あなたが倒れてしまう」「彼が死ねば私も一緒に死ぬだけよ」するとようやく沙曲が神医を連れて戻ってきた。神医の話では若問の体から魂が抜けているという。「今、魂は夢の中の過去にある、本人に戻る気があれば目を覚ます」そこで神医は若問の好物を作るよう頼み、やっと食事にありつけたと食べ始めた。驚いたことに若問は料理の匂いがきっかけで目を覚ました。しかし本人はなぜ皆が集まっているのか分からず困惑する。皇北霜たちは若問と格心微を2人だけにしようと出て行ったが、若問は矢も盾もたまらず出かけてしまう。「ついてくるな」つづく( ˙꒳˙ )つまり…みんな親戚?
2025.11.27
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace第85話「口封じ」烏拉那拉(ウラナラ)如懿(ニョイ)は永琪(エイキ)の百日忌で安華殿へ出かける許可をもらった。そこでこれを機に皇太后と接触、無念の思いを伝える。実は皇太后を呼び出すために渡した密書の言葉、″心毒(心を殺す毒)″とは叔母の臨終の言葉だった。「宮中の毒は″身体でなく心を殺す″と… 私にも分からぬゆえ何もできず、叔母と同じ窮地に落ちました」如懿は自分の無能さを嘆き、我が子を守れなかったと後悔する。まさか永琪まで逝ってしまい、残ったのは第12皇子・永璂(エイキ)だけ…。しかし如懿は禁足となり、金冊(キンサク)と印璽(インジ)も没収され、もはや息子を守る術がなかった。そこで皇太后に永琪を守って欲しいと懇願する。「守る?どう言う意味だ?」実はその頃、如懿の侍女・容珮(ヨウハイ)と愉妃(ユヒ)の侍女・葉心(ヨウシン)は、回廊を歩いていた皇貴妃の侍女·春嬋(シュンセン)をいきなり連行していた。如懿は皇太后を見送ると、最後に丁重に平伏した。果たして如懿は皇太后に何を頼んだのか…。一方、永寿(エイジュ)宮では太監・王蟾(オウセン)が容珮と葉心が春嬋を連れ去ったと報告していた。衛嬿婉(エイエンエン)は信じられなかったが目撃者がいると知り、秘密裏に捜索するよう命じる。その頃、春嬋は安華殿の柱に縛りつけられ、如懿のもとで詰問されていた。容珮は皇貴妃の秘密を知る瀾翠(ランスイ)、進忠(シンチュウ)、胡蕓角(コウンカク)が亡くなり、次に消させるのは春嬋だと脅す。しかし春嬋は何を聞かれても口を割らず、そのまま夜まで拘束されることになった。乾隆帝(ケンリュウテイ)・弘暦(コウレキ)は偶然、安華殿帰りの如懿が門を曲がる姿を見かけた。思わず輿を止めて如懿の背中を見ていたが、如懿が振り返ることはない。実は容珮が皇帝がいると気づいて声をかけたが、如懿は無視して歩いて行った。その夜、葉心に解放された春嬋がようやく永寿宮に帰って来た。春嬋は正直に安華殿で拘束されていたと話し、数々の件が皇貴妃の仕業ではないかと如懿の前で詰問されたという。「私は何も話していません!話せば命に関わりますから!」嬿婉は春嬋を信じていると言って休ませたが、疑心は拭えなかった。一方、如懿は夜が更けてもなお経幡(キョウバン)を作り続けていた。容珮は休むよう勧めるが、如懿が手を休める様子はない。「今日、翊坤(ヨクコン)宮に戻る途中、後ろに皇上がいらっしゃいました」「……」「それなのに振り向こうともなさらない」「…会えばつらいだけよ」主人の胸の内を知った容珮はそれ以上、何も言えなくなり、黙って経幡作りを手伝った。翌日、春嬋は皇太后が第12皇子の養育をすることになったと報告した。衛嬿婉は皇太后が何か勘づいて第12皇子を慈寧(ジネイ)宮に引き取ったのではないかと不安に駆られるが、春嬋はただ哀れんだだけだと安心させる。ただこれから食事は慈寧宮の厨房になるため、御膳房の料理が皇子に出せなくなった。「苦労して仕掛けたのに、こんな形で頓挫とは…努力が水の泡ね」嬿婉は落胆したが、春嬋は皇太后が高齢のため、しばらくの辛抱だとなだめた。皇太后は慈寧宮の食事が合わない永璂を心配し、今日は養心殿で皇帝と3人で食卓を囲んだ。しかし尚書房と同じ御膳房が作った養心殿の食事でも合わないという。そこで皇太后は永璂の好物を作らせようと、侍女・福珈(フクカ)に尚書房の料理人を調べてくるよう命じた。衛嬿婉は皇太后が料理人を調べていると知って焦った。春嬋の話では第12皇子が尚書房で食べた料理にこだわり、皇太后が何やら怪しんだという。「あれは大量に食べると幻覚を見て、少量なら徐々に内臓を蝕む食材のはず… なぜ12阿哥がこだわるの?」「とりこになると無性に食べたくなるのやも…」「愚か者!私を陥れるつもり?!」主人を怒らせた春嬋は調べても茸が原因と分からないはずだとなだめたが、嬿婉は春嬋が安華殿で何か話したせいだと疑った。慌てた春嬋は指を立て、天に誓って何も話さなかったと訴える。そこへちょうど王蟾が第15皇子が戻る時間だと知らせにやって来た。冷静になった衛嬿婉はそれ以上、追求はしなかったが、御膳房の例の料理人を見張るよう命じる。「しばらくしたら追い出して始末して」衛嬿婉は永琰(エイエン)と寝宮へ戻る道すがら、何を学んだのか聞いていた。すると永琰は皇帝の命で師傅から″孝経(コウキョウ)″を教わったと話し、皇家の子は子である前に臣下だと告げる。しかし嬿婉は確かに皇帝は正しいが、常に父の命令に従う必要はないと言った。「私たち母子は血が繋がっている、まずは額娘を大切にね この先、何があっても額娘を守るのよ?」皇貴妃を見張っていた小徳子(ショウトクシ)は早速、不用意な発言を和敬(ワケイ)公主・璟瑟(ケイシツ)に報告した。どうやら穎(エイ)妃・巴林(バリン)湄若(ビジャク)の懸念は本当だったらしい@84話。そこですぐ皇帝に報告し、皇貴妃のそばにいては永琰に悪い影響がでると危惧した。驚いた弘暦は永琪が逝去した今、皇太子候補が永璂か永琰しかおらず、事態を重く見る。実は永璂は年が上だが性格が屈折し、今さら皇太后が養育しても性格が直るとは思えなかった。一方、賢い子だが永琰はまだ幼く、このまま母親が誤って導けば取り返しがつかなくなる。そこで皇帝は永寿宮にいる永璘(エイリン)は穎妃に、第9公主・璟妘(ケイウン)は恪嬪(カクヒン)・拝爾果斯(バイルガス)氏に、永琰は寿康(ジュコウ)宮で太妃たちに養育させると決めた。すると弘暦は政務の疲れか、立ちくらみを起こしてしまう。永寿宮に突然、皇帝の侍女・毓瑚(イクコ)が現れた。すると衛嬿婉はいきなり手元で育てていた我が子を連れ去られ、自分の発言が原因だったと知る。なぜ烏拉那拉氏の子供は皇太后に守られ、自分は子供と引き離されてしまうのか…。これが如懿の策略だと思い込んだ嬿婉は、禁足となった身でもまだ自分の邪魔をすると泣き叫んだ。春嬋は髪を切って金冊も没収された人間では何もできないとなぐさめたが、その瞬間、嬿婉に引っ叩かれてしまう。「お前ね!やはり私を裏切ったのよ!」逆上した嬿婉は春嬋の首をつかんで締め上げたが、春嬋は涙ながらに信じて欲しいと訴えた。嬿婉は結局、手を離したが、急に過呼吸になって倒れてしまう。衛嬿婉は薬を飲んで眠ったものの、数時間で目が覚めた。春嬋は主人の髪をすいていたが、嬿婉は急に春嬋の手を握りしめ、昨夜のことを謝る。「あなたを叩いたのなんて初めてね…唇が青ざめているわ、紅を差してあげる」嬿婉は春嬋の唇に赤い口紅を塗ってやると、春嬋は主人の誤解が解けたのだと安堵の涙を流した。「そうだ、長いこと母の墓参りをしていない、私の代わりに墓の掃除をして来てくれる?」春嬋がガニ股で宮中を出る姿を珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)が見ていた。そこで葉心に江与彬(コウヨヒン)に後をつけさせるよう命じる。すると春嬋は墓地へ向かう山道で急に具合が悪くなり、立てなくなった。その時、皇貴妃が塗ってくれた紅に毒が入っていたことに気づく。「容珮は正しかった…私も消される…」その時、江与彬が現れ、春嬋に薬を飲ませて連れて帰った。海蘭は偶然を装って王蟾の前に現れた。「知らせがあるの、春嬋が死んだわ…」「まさか!″遺体を見るまで訃報は信じるな″と言います、何かの間違いでは?」「ふっ…下手人は王公公の身近にいるわ 春嬋がどうして死ぬことになったのか、私より詳しいはずよ? 皇貴妃に仕えた者は皆、同じ道をたどる 瀾翠も春嬋も死んだ、そして進忠も…今や残ったのは王公公だけ だからこれは忠告よ、命を大切にね(ニッコリ)」王蟾は恐れおののき、その場でへたり込んでしまう。その夜、毓瑚は体調がすぐれない皇帝のため、進保(シンホウ)と一緒に人参汁を差し入れに来た。すると皇帝は机にうつぶしたまま意識がない。驚いた進保は咄嗟に侍医を呼ぶよう叫んだが、毓瑚が慌てて止めた。「お黙りっ!騒がずに、まずは江侍医を…」衛嬿婉は皇帝が倒れたと聞いてすぐ養心殿に駆けつけた。江侍医の話では永純(エイジュン)親王の逝去の時と同じ発作だが、今回の病状は深刻で気血が頭に集中し危険だという。そこで嬿婉はその夜、養心殿で皇帝に付き添うことにした。翌朝、衛嬿婉はひとまず永寿宮に戻ることにした。するとちょうど侍医たちが集まって治療方針の相談をしている。嬿婉は主治医の方(ホウ)侍医に目配せし、養心殿の外で待つことにした。方侍医は皇帝が決して楽観できない状況だと報告した。皇帝の病は脳の内部で生じているため、なす術ないという。衛嬿婉は怪しまれぬよう方侍医をすぐ下げ、突然の状況に頭を悩ませた。すると王蟾が先帝もまさに働き盛りで突然、崩御したと心配する。「こうなった以上、万一に備えるべきでは?事が起きてからでは遅すぎます 先帝の崩御の時、景仁(ケイジン)宮の娘娘は廃后ではなく、母后皇太后の尊号でもめたのです 景仁宮にお子がいたら、今の皇太后の座もどうなっていたか… でも翊坤宮の娘娘には12阿哥がいます、しかも15阿哥より年上です、手を打つ必要があります」「そうね、分かったわ…」今日の王蟾は饒舌で、まるで切れ者のようだった。江与彬が皇帝の寝所へ戻ると、進保が煎じ薬を持っていた。進保はただ手伝いたいだけだったが、江与彬は慌てて取り戻し、皇帝の薬に間違いは許されないと注意する。「もし何かあれば斬首では済まぬかも…お手伝い願えるなら炭の補充を頼みます」そこで進保はすぐ取りに向かったが、その間に江与彬は隠し持っていた薬を加えておいた。如懿の薬の量は次第に増えていた。診察に来た江与彬は時間通りに薬を欠かさず飲むよう念を押し、皇帝なら自分が常に側にいると安心させる。皇貴妃も予想通り方侍医から皇帝の病状を聞き出していたが、実は方侍医にだけ嘘の見立てを教えていた。「皇上の件、自信はあるの?」「私の医術はご存知のはず、全て私の監視下です、間違いは起きません」「お願いね…」衛嬿婉が養心殿に戻ると、ちょうど皇太后が見舞いに来ていた。するとちょうど皇太后と毓瑚が皇太子の話をしている。「かくも深刻な状況なら皇太子を決めねば帝位争いが起きる…」「太后がおわすのに争いなど…」「永琪が逝去した後、皇太子はどうなったのか… ″扁額の裏″と″養心殿の箱の中″に誰の名を納めたのか分からぬ…」立ち聞きしていた嬿婉は先日、毓瑚が片付けていた箱のことだと分かった。すると毓瑚が嫡子で最年長の第12皇子が慈寧宮にいると安心させている。皇太后は密建書に書かれた名前が永琰でないよう願い、あるいは白紙ならその方が良いと言った。その夜、如懿はついに全ての経幡を完成させた。最後の経幡の名前は″胡蕓角″…。一方、衛嬿婉は今夜の付き添いである婉嬪・陳婉茵(チンエンイン)と交代すると伝え、誰もいない皇帝の寝殿に入った。すると寝台の側で付き添っていた江侍医が急に視界に入り、嬿婉は驚いて息をのむ。つづく(๑ŏ _ ŏ)↷そうだった…確かに辛い山は越えたけど、その先は嬿婉祭りだった…_(┐「ε:)_
2020.03.29
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第32話「亀裂」皇子が原因不明の高熱を出した。景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)と皇后・燕燕(エンエン)は太平王妃・胡輦(コレン)の勧めで薩満(シャーマン)の祈祷を頼み、皇族の王や王妃も共に祈りを捧げる。宮中には祭壇が設けられ、皇族たちはその夜、用意された天幕で休んだ。罨撒葛は胡輦が熟睡したことを確認、密かに太妃たちの天幕を訪ねた。しかししばらくすると胡輦が目を覚まし、罨撒葛を探しに天幕を出てしまう。その頃、太妃たちの天幕では祈祷師が木彫りの人形を置いて皇子に呪いをかけていた。すると罨撒葛はなぜ皇子がまだ生きているのかいぶかしむ。蕭蒲哥(ショウホカ)は空になった小瓶を見せ、薬に問題があったのではないかとごまかした。そこで罨撒葛は3日のうちに効果が出なければ祈祷師の命をもらうと脅す。「誰だっ!」罨撒葛は気配を感じて天幕を出ると、驚いたことに胡輦がいた。罨撒葛は人目につかないよう咄嗟に胡輦を天幕へ入れた。すると胡輦は罨撒葛が帝位欲しさにこんな卑劣な手段を使ったのかと憤る。しかも2人の太妃まで、何の不満があって恩知らずな真似をするのか。蕭啜里(ショウセツリ)は慌てて釈明しようとしたが取り付く島がなかった。憤慨した胡輦はいきなり祭壇をひっくり返し、燭台を倒して天幕に火をつけてしまう。罨撒葛は慌てて配下に後始末を任せ、胡輦を連れて逃げた。天幕で小火が出た。どうやら太妃が祈祷中に祭壇が倒れて火事になり、啜里太妃が亡くなったという。報告を聞いた燕燕と景宗は翌朝、鎮火した現場へ向かった。そこで景宗は木の人形を発見、さらに燕王・韓匡嗣(カンキョウシ)が空の薬瓶を拾い、すぐ成分を調べに向かう。楚補(ソホ)の話では駆けつけた時に2人の賊が逃げ出し、追跡して1人は捕まえたものの自害していた。太妃たちは賊に刺され啜里太妃が死亡、深手を負った浦哥太妃は昏迷しているという。すると楚補が倒れた燭台を見ながら首を傾げた。火事の原因は火のついたろうそくだが、あの俊敏な賊が燭台にぶつかるとは思えないという。「故意に火をつけたと?…つまり誰かが警告のため火を放ったのね でも口封じなら関わった者を全員、殺すはずよ?…(はっ)」「罨撒葛か」「…大姐ね」景宗と燕燕はすぐに気がついた。そこへ婆児(ハジ)が駆けつけ、皇太叔は王妃の体調が悪くなり、夜半頃に帰ったと伝える。「予想通りね」その頃、太平王府では胡輦が罨撒葛を激しく責めていた。「子を授かったのにあんなことをして…騰里(テングリ)の罰が下るわ! …私の家族には手出ししないと約束したはずよ?! 罨撒葛、あなたは私を裏切り、子孫は傷つけない契丹の伝統に背いた!」「納得がいかないというなら、我が子から父親を奪うのか?罪人の子として生きろと? …腹の子供のためだと思って冷静になって欲しい」罨撒葛は今の家族は自分と胡輦、そして腹の子だと指摘する。しかし胡輦はどうしても罨撒葛を許せず、黙って悲しみをこらえていた。すると罨撒葛は仕方なく寝殿を出てそのまま胡輦を閉じ込めてしまう。燕燕は胡輦が無理やり屋敷へ戻されたと知った。恐らく胡輦は何かを知ったのだろう。焦った燕燕は姉を救出するため、近衛軍と皮室(ヒシツ)軍を出せば罨撒葛に対抗できると考えた。しかし景宗は女里(ジョリ)と高勲(コウクン)が組めば厄介なことになるという。そこで罨撒葛の警戒を解くため、皇子の厄払いに家族の宴を開こうと提案した。燕燕はその間に二姐・烏骨里(ウグリ)の兵を借りることにする。すると宮中に取り残された胡輦の侍女・安熙(アンキ)と福慧(フクケイ)が訪ねて来た。燕燕は2人の侍女に太平王府に戻って胡輦を助け出すよう頼んだ。侍女たちは夫である皇太叔が危害を加えるとは思えなかったが、燕燕は父を殺した黒幕の可能性があると教える。「くれぐれも内密に、お腹の子に障るわ…後のことは任せなさい」罨撒葛は女里と高勲と結託、家族の宴の日に反旗を翻すと決めた。家職・高六(コウリク)には胡輦を見張るよう命じ、2人の侍女にも注意するよう釘を刺す。また内外で呼応するため、寧(ネイ)王妃・安只(アンシ)にも一報を届けていた。一命を取り留めた浦哥はようやく意識を取り戻した。しかしもはや余命いくばくもない。そこで浦哥は最期に景宗と2人だけで話がしたいと嘆願し、これまでの罪を明かした。「私はあなたたち父子に顔向けできない…そうよ、罨撒葛に脅されたの 十数年前も同じ…あの時も罨撒葛に脅されてあなたの薬をこっそりすり替えた…」「つまり、朕が長年、薬を飲み続けても治らなかったのは…あなたのせいか? 罨撒葛に脅されてやっただと?本当か?!」浦哥は命が惜しくて罨撒葛の傀儡となり、次々と過ちを重ねたと泣き崩れた。許してもらえるとは思っていないが、せめて死ぬ前に罪を償いたかったという。すると浦哥は、皇子に飲ませた薬を少し手元に残して厨子(ズシ)の中に隠してあると教えた。「あなたの助けに…な…」浦哥はそこで力尽きてしまう。胡輦は食事も喉を通らず、眠れなかった。すると罨撒葛が現れ、2人の侍女に世話を任せて出て行く。そこで安熙と福慧は逃げる気力を養うためにも食事をするよう勧めた。「高六によると皇太叔は明日、国阿輦(コクアレン)斡魯朶(オルド)の招集に行くそうです 決起なさるおつもりです、だからその前に急いで逃げましょう もし決起が失敗したら、お怒りになって王妃を…」「私と子供は大丈夫、でもここを出たいわ」胡輦たちは罨撒葛の留守を狙い、太平王府を脱出することにした。そこで王妃が病だと嘘をつき、門が開いたところで侍女たちが見張りを角材で殴りつける。こうして3人は裏門から逃げ出し、すでに準備していた馬車に乗り込もうとした。しかし突然、兵士たちが現れ、馬車は取り囲まれてしまう。その時、罨撒葛が姿を現した。「胡輦…私のもとを去るのか?私の側近を買収したくらいで逃げられると?」実は罠にはまったのは胡輦たちだった。安熙は王妃に逃げるよう訴え、自ら皇太叔に向かって行った。すると粘木袞(デンボクコン)が立ちはだかり、安熙の腹をひと突きして殺してしまう。「安熙ィィィ!」ちょうど馬車に乗り込もうしていた胡輦は急いで足場から降りようとした。しかしうっかり踏み外して腹から転落、激しい腹痛を起こしてしまう。胡輦は流産した。罨撒葛は生涯、子供を持てない運命なのかと絶望、胡輦の言葉を思い出して涙に暮れる。「胡輦…全て私のせいなのか…」罨撒葛は胡輦の前では気丈に振舞った。「子供はいなくなったが君が無事でよかった…また…子をなせば良い」しかしその言葉はかえって胡輦を傷つけてしまう。「″よかった″ですって?…あの子は確かに私のお腹の中にいた 大きくなって行くのを感じていたのよ…罨撒葛、ひど過ぎるわ!出て行って!顔も見たくない!」罨撒葛はこらえきれず、胡輦が自分から逃げようとしたせいで子を失ったと非難してしまう。すると胡輦は手段を選ばず帝位を求める罨撒葛に人の心があるのかとなじった。「私は君に皇后の冠をかぶせたいのだ…だが君の心に私がいたことはない」「…汚い手で得た皇后の冠などいらないわ」「胡輦…私は時々、君を殺してしまいたくなる…」罨撒葛と胡輦の絆は子を失ったことでもろくも崩れ始めた。一方、高勲は小妃・喜哥(キカ)から準備ができたと知らせを受けた。「ふっ…この遼が再び変わるのだ」そしていよいよ皇子の厄祓いと称した家族の宴の日を迎えた。安只は参内するため寧王・耶律只没(ヤリツシボツ)を迎えに来た。しかし只没は勅命とは言え家族の宴なら病だと断れという。皇族の一員として堂々と宴に参加したい安只、すると只没は名声が望みなら他の拠り所を探せと言い放った。「どういう意味?! …あなたは一日中こもって経を読むだけ、私のことなどただの俗物だと思っている 何の情もないのね?こんなことならあの時、暗君に殺されてしまえばよかった!」その時、侍女が王妃を呼びに来た。侍女の目配せに気づいた安只は話を合わせ、景宗への贈り物を確認に行くと嘘をつく。「…小善を積まぬ者は聖人になれぬ、小悪を積む者は身を滅ぼす 安只、今日は家族の宴だ、贈り物など必要なかろう」只没の言葉はまるで安只の裏切りを見透かしているようだ。安只は不満そうに出て行くと、只没も重い腰をあげた。胡輦は兵馬の足音に気づいて目を覚ました。すると鎧姿の罨撒葛が現れ、今日で全てを終わらせるという。「この天下は私のもの、すでに手はずは整えた 見込みがなければ上京(ジョウケイ)に戻っては来ない、私が戻ったのは皇太叔になるためだと?」「…あなたは私を殺しに来たのね?」「君を殺すわけがないだろう、君は私の王妃、将来の皇后だ」「いっそ殺してください…ゥッ…」つづく|ω・`)ジョーいない…
2021.09.30
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第26話「縁談ぶち壊しのすゝめ」楼何(ローハー)両家の成婚の宴。凌不疑(リンブーイー)は掟を破って女家族の宴席に乗り込み、あらぬ中傷を受ける許嫁・程少商(チォンシャオシャン)を守った。凌将軍の権勢におののいて口をつぐむ招待客たち、そんな中、袁慎(ユエンシェン)だけは独り歯ぎしりしている。しかし少商もまた何とも言いようのない苛立ちを感じていた。帰りの馬車の中、凌不疑は浮かない顔をして押し黙っている少商を訝しんだ。「なぜ黙っている?」「…今日、権勢とは何かを見たわ」少商は何を言ってもしつこく絡んでくる令嬢たちに手を焼いていたが、凌将軍は一瞥をくれるだけで容易に黙らせることができた。「権勢は嫌いか?」「だってあなたの権勢だわ」「夫婦は一心同体、成婚後、私のものは君のものだ、それが悪いと?」確かに悪いとは言わないが、そんな風に夫に従い生きて行くなら、もはやそれは程少商ではない。少商は気を紛らせるため焼餅(シャオビン)を出して食べようとした。しかし不疑が腕をつかんで止める。「もう遅い、就寝前に食べるともたれる」少商は正論でねじ伏せる不疑に反感を抱き、例え自分のためであっても束縛されるのが一番嫌いだと訴えた。そこで焼餅を持ち替えて食べようとしたが、不疑が再び腕をつかんで制し、身体に悪いと知りながらなぜ食べるのか教えて欲しいという。「全てに理由があるわけじゃない、あなたが求婚したのも同じ、その理由は何?」不疑が言葉に詰まると、護衛の梁邱起(リャンチゥチー)が車に声をかけた。「若主公、西(サイ)村から急報です」不疑はそこで車を降りたが、少商は結局、焼餅を食べる気分ではなくなった。西村へ向かった韓武(ハンウー)が約束の3日を過ぎても戻らなかった。梁邱起が調査したところ、不審者の痕跡があったという。凌不疑はその足で西村へ行くことにしたが、明日は程家で聘礼(ヘイレイ)だった。「…私に考えがある」今日は凌家と程家の聘礼の儀。程老夫人董(ドン)氏は早朝から中庭を片付け、凌家から届く聘礼品を楽しみに待っていた。すると凌家から城陽(ジョウヨウ)侯夫人淳于(チュンユー)氏の体調が悪いため訪問できないと知らせが届く。ガーン!(꒪ꇴ꒪〣)<オワタ…せっかく決まった縁談がまた壊れるかも…私の聘礼品ががが…しかし老夫人の落胆を他所に蕭元漪(シャオユエンイー)は淳于氏の仮病だと気づいていた。案の定、その頃、淳于氏は汝陽(ジョヨウ)王府で子晟(ズーション)の縁談をいかに壊すか浅知恵を絞っていた。裕昌(ユーチャン)郡主は勅命では断りようがないと落胆したが、汝陽王妃は孫のため皇帝に直談判すると意気込む。すると侍女がやって来た。何でも凌不疑は自分に父がいないと称して皇帝に婚儀の進行を嘆願、皇帝も応じたという。「老王が礼官として明日、聘礼品を届けるとか…」( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)<何だって!汝陽王妃はよりによって夫が礼官として程家に行くと知り激怒した。「あなたと山に入り、田を耕してどれだけ苦労したか…私なくして夫と陛下を養えたと?! 朝臣も農民上がりの頃から知っています! 陛下とて私が米一口、水一口惜しんで立派に育てたのよ! 文(ウェン)家の男どもは良心もないのね!」悍婦(カンプ)に罵られ、孫娘からは出家すると脅され、汝陽王はやむなく縁談を壊すと安請け合いした。翌日、曲陵(キョクリョウ)侯府に城陽王がやって来た。婚姻に不満が募る少商は蓮房(リエンファン)を手伝いに行かせて大工仕事で鬱憤を晴らしていたが、そこへ汝陽王が現れる。汝陽王はまさか座卓を力任せに壊しているのが女公子だとは思わず、程少商がどこにいるのか聞いた。「孫娘は昨夜、夫を奪われ泣き腫らしておった、なぜ玉の輿に乗りたがるのか聞きたくてな」「誰もが凌不疑に嫁ぐのは玉の輿だと言う、でも私はこんな不公平な婚姻、惜しくもないわ!」実はその粗暴な娘が程少商だった。程少商は驚いたことに都中の女子が慕う子晟との縁談を自ら壊そうとしていた。何でも最初から不公平な婚姻で、平等に尊重し合えないのなら独りの方がましだという。そこで汝陽王は必ずしも平等とは限らないと諭した。「私と女房は成婚して50年だが少しも話が合わん、互いに敬いも尊重もせずだ ただ長年の修行で悟った、無為に争わぬ道を追究せよと…ゆえに耐えるしかない」「王爺、離縁できないのを修行のせいにしませんように 明らかに権勢が怖いだけでは?陛下のご不興を買うと…」「そなたこそ、不公平な婚姻だと思うなら、なぜ断らぬ?」「ゥッ…私も怖いのです、権勢が…(はっ!) 王爺?!郡主を助けたいなら聘礼品を全部、持ち帰っては? 婚姻はぶち壊しになり、どちらも満足です」しかし汝陽王は自分をそそのかして破談にさせようとしても無駄だと笑った。「私も子晟の成長を見て来た、婚姻を是非、実現させてやりたい」こうして汝陽王は無事に聘礼品を届け、皇宮へ報告に向かった。(; ゚ェ゚)<…まだ耄碌(モウロク)してないわ(ボソッ汝陽王妃は縁談を壊さなかった夫に激怒した。しかし少商の話を聞いて吹っ切れたのか、汝陽王はこれから自分のために生きたいと願い、離縁するという。もはや祖母の脅しさえ効かなくなったと知った裕昌は御前で首を吊ると言い出した。これに汝陽王は激高、始めて孫娘に手を挙げてしまう。「バカもん!両親が早世し哀れに思って甘やかして来たが、不満がある度に死ぬと騒ぐとは… 自分を大切にしなければ夫に尊重されるわけがない! 凌不疑のことはあきらめよ、程少商とは雲泥の差だ、勝てぬ!」思わぬ夫の反乱に汝陽王妃は呆然となった。そこで夫に殴りかかりながら、皇帝に恩を思い出させてやるとわめき散らす。「もうたくさんだ!何かにつけ一口、食わせて救ったと言うが、天地は知っているぞ? あれは腐っだ飯、お前も食わぬ飯だった! それと引き換えに十余年の栄華を得たなら元は取れたであろう?」すると汝陽王は裕昌に別の相手に嫁ぐか出家するか、自分で選べと言い放った。一方、西村に到着した凌不疑たちは依然、韓武の消息をつかめずにいた。しかし軍医の屋敷の周りには足跡どころか馬蹄の跡もない。不疑は短時間で跡形もなく片付けられるのは軍だと気づき、韓武が残した手がかりを探すことにした。その時、やけに土が柔らかい場所を見つける。「掘れ…」すると土に埋められた包みを発見、中から折れた枝が出て来た。「長短2本ずつ…つまり韓武は無事だ」不疑は追っ手に気づいた韓武が合図を残して逃げたと知り、安堵して急いで都へ引き返すことにした。「聘礼に伺えなかった詫びに行かねば…」「若主公…その殺気では詫びというより断罪に行くような…」梁邱起が申し訳なさそうに指摘すると、梁邱飛(リャンチゥフェイ)も思わず頷いてしまう。「もっと笑ってみては?」「…お前、笑い話はあるか?」翌朝、程家の食卓はどこか殺伐としていた。程頌児(チォンソンアル)と程少宮(チォンシャオゴン)は聘礼に凌不疑が来なかったせいで嫋嫋(ニャオニャオ)の機嫌が悪いと誤解している。「私のことなんてどうせ二の次よ、だから阿母は破談を口にもしなくなった ねえ、権勢がどんなものか分かる?!知らないでしょう?!」少商は今さら母に八つ当たりし、兄たちに噛みついた。驚いた程姎(チォンヤン)は伯母なら心配で眠れず食欲もないとかばったが、蕭元漪は話を止めただけでいつもの勢いはない。その時、突然、屋敷が黒甲衛(コクコウエイ)に包囲された。程家の食卓に凌不疑が現れた。その迫力に度肝を抜かれる程家の面々、すると不疑は軍務で聘礼に間に合わなかったと謝罪する。蕭元漪は青蓯(チンツォン)に九騅(キュウスイ)堂を片付けて凌将軍の食事を用意するよう命じたが、不疑はここで一緒に食べると座った。(  ̄꒳ ̄)<皆さん、どうぞ堅苦しくならず、子晟、こう見えて気さくなんです( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)ぉおうすると不疑は早速、阿飛から教えてもらった笑い話を披露した。全く面白くない上、落ちがない話、仕方なく少宮が切り出してみる。「で最後、舟に乗っていた書生はどうなったのです?」「もちろん溺死しました、わっはははは!」しかし笑ったのは不疑と梁邱飛だけだった。その時、唯一、凌不疑を恐れない強者が現れる。「アイヨー!あなたが凌家の郎君?!眉も目も鼻も口もやっぱり際立ってるわ~」老夫人は馴れ馴れしく不疑の隣に座って上機嫌、少商は目も当てられず、そっぽを向いた。「程老夫人はさすが叡智(エイチ)があります」「そう!そのエイチ~!ぶっははははは~♪」(・Д・)<…って何それ?美味しいの?少商は父や兄たちと買い物に出かけ、沢山の荷物を抱えて屋敷に戻った。すると突然、正門で門衛に止められ、包みを確認するという。困惑する少商たち、そこへ凌不疑が現れた。「少商と婚約したからには程家は私の家族です これからは私の親衛が毎日、出入りを調べて安全を守ります(キリッ!」つづく( ๑≧ꇴ≦)VIPアルソック!見ているこっちまで息苦しくなって来たわ…やっぱりルースー上手いね~
2023.09.09
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长相思 lost you forever第36話赤水豊隆(セキスイホウリュウ)が塗山璟(トザンケイ)を見つけてくれたおかげで西炎瑲玹(セイエンソウゲン)は検分前に帳簿の整理を終えていた。結局、帳簿を調べても何も見つけられなかった西炎岳梁(セイエンガクリョウ)。瑲玹も小夭(ショウヨウ)も岳梁がこのまま引き下がるとは思えなかったが、ひとまず乗り切った。そこで小夭は塗山璟の祖母を治療するため青丘へ出かけたいと頼む。実は小夭は皓翎(コウレイ)で医書や処方箋を調べ尽くし、ある治療法を見つけていた。しかし縁談のための取り引きではなく、あくまで医者としての本分を果たすためだという。瑲玹はうっかり防風意映(ボウフウイエイ)が婚約解消に応じずとも退婚させる方法があると口を滑らせた。「つまり防風意映が命を落とせばって言いたいのね… 私が欲しいのは添い遂げてくれる人、心の善良な人でなければ私を大切にできない 突然、私が冷たくなっても受け入れてくれる人じゃなきゃ」「冷酷無比だと恐れられていても身内には情が深い者もいるだろう?@俺」小夭はもちろん哥哥だけは違うと笑い、すぐに戻ってくると言った。仕方なく瑲玹は小夭を送り出したが…。塗山府では塗山璟が小夭を迎えてくれた。小夭は塗山璟が瑲玹のために手を尽くしてくれることに感謝し、思わず自分から唇を重ねてしまう。「璟って本当に優しいのね」「…優しくなんかない」塗山璟は小夭に大事な話があったが、その時、薬籠(ヤクロウ)の準備ができたと声がかかり、結局、伝えられずに終わってしまう。一方、西炎の朝廷では瑲玹の帳簿に問題がなかったことから、擁護の声が上がり始めた。岳梁は応龍(オウリュウ)将軍のせいだと恨みを募らせたが、思いがけず朗報が入る。「樊彰(ハンショウ)が来ました、瑲玹の秘密をお話ししたいと…」小夭は塗山璟の祖母に霊薬を飲ませた。病を根本から治すことはできないが、2年は延命できるはずだという。「はっ!本当だ、気分がいいわ!王姫、ありがとうございます!」太夫人は感激もひとしおだったが、その時、機を見計らっていた防風意映が急に立ちくらみを起こした。驚いた太夫人は名医である王姫に診て欲しいと懇願、すると脈診した小夭は呆然となる。実は意映は懐妊していた。…あなたが違うと言えば信じる、塗山璟、違うと言って…小夭は心の中で願いながら塗山璟の言葉を待ったが、弁解しないことが答えだと分かった。太夫人が跡継ぎができたと大喜びする中、小夭は独り寝殿を出た。塗山璟は慌てて後を追いかけ、小雪の舞う中庭で小夭に事情を説明する。「三月前、防風意映が自害しようとして看病を任されたんだ」その翌朝、目を覚ました塗山璟は防雨意映の隣で寝ていたという。罠にはめられたと気づいた塗山璟は思わず意映に斬りかかろうとしたが、結局、殺せなかった。経緯を聞いた小夭は防風意映が意識を朦朧とさせて色欲をかき立てる媚薬を使ったと分かった。「でもなぜ?私のもとで医術を学んだあなたがこんな毒牙に引っ掛かるなんて…」「薬を入れたのは奶奶(ナイナイ)だ…」実はあの夜、塗山璟は祖母に勧められた汁物を疑いもせず飲み干していた。「太夫人だったのね…あなたを責めないわ、でも私たちの縁はここまで」すると小夭は塗山璟からもらった魚丹の首飾りを返して帰ってしまう。阿念(アネン)は退屈で小夭が帰るのを今か今かと待っていた。するとようやく小夭の姿が見える。「姐姐!お帰り!哥哥ったら手伝わせてと言っても子供みたいにあしらうの! 姐姐から哥哥に話して!ね?姐姐~姐姐~!」阿音は小夭の腕をつかんで懇願したが、そこへ突然、瑲玹が血相を変えて駆けて来た。「阿念!やめろ!」その時、小夭が激しく血を吐いて倒れてしまう。( ゚д゚)・・・@阿念小夭は悲しみを我慢し過ぎて心脈が傷ついていた。医者は薬よりも気持ちを静めて穏やかに過ごすことが大事だという。小夭は平静を装っていたが、瑲玹は無理に笑う必要ないと言った。「そうしたいわけじゃない、慣れてしまったの 同じ1日なら笑顔の方がいい、心が傷ついてもせめて気丈に振る舞いたいから 少し眠れば平気よ…もう行って」すると小夭は目を閉じてしまう。瑲玹は塗山璟に関わる物すべてを紫金宮から排除した。その夜も心配で小夭の寝所を訪ねたが、ちょうど目を覚ました小夭から大袈裟だと呆れられてしまう。「男を理由に死んだりしないわ、大したことない」「私も何度も自分にそう言い聞かせたよ、″大したことない″と…」瑲玹は小夭が強がっていると分かっていたが、そうしなければ耐えられないことも身をもって知っていた。「悲しむな。塗山璟よりいい男はいる」すると小夭は背を向けてしまう。「悲しんでなんかいないわ」瑲玹は小夭が泣いていると気づいたが、黙って帰ることにした。その時、ふいに小夭が腕をつかんで引き止める。「哥哥…離れないでね」「離れない、ずっとそばにいるよ」岳梁は樊彰の告発で瑲玹が辰栄山陵園に私兵を隠していると知った。そこで氏族たちを集め、辰栄王の墓を守る陣を勝手に破ってしまう。静養していた小夭は外の騒ぎに気づき、弓を招喚して寝殿を飛び出した。一方、赤水豊隆(セキスイホウリュウ)は岳梁の暴挙に猛反発。しかし岳梁は氏族たちに面白いものを見せると笑う。陵墓に駆けつけた小夭は物陰から弓を構え、岳梁に狙いを定めた。すると瑲玹が急に岳梁に歩み寄り、わざと自分が盾になる。結局、小夭は岳梁を仕留められなかったが、実は瑲玹はすでに手を打っていた。陵墓に隠されていたのは私兵ではなく辰栄炎灷(シンエイヒエン)の霊位だった。実は赤水豊隆が隠れて祖父を祭っていたという。「洵(シュン)山の役で敗れた祖父の亡骸はなく、墓もない 悲嘆に暮れた私は一族に黙って祭壇を作り、祖父を祭った、過ちを認め、罰を受ける」すると辰栄熠(ユウ)は息子の孝行心に思わず涙し、自分が代わりに罰を受けると言った。しかし辰栄王の墓地に押し入ったことの説明を求め、西炎王の判断を仰ぐという。紫金宮に戻った瑲玹は小夭の寝殿を訪ねた。「ごめんなさい、哥哥の策を台無しにするところだった」「西炎王の孫を殺せばどうなるか考えたのか?」「分かってる…でもあなたを失う方が嫌なの」すると瑲玹は小夭の肩を抱き寄せた。「私を失うことなどない」「そうね、今の哥哥なら何が起きても自分の身を守れる」小夭との強い絆を感じ、久しぶりに心が満たされる瑲玹。しかしその夜、西炎から思わぬ報告が届いた。岳梁が瑲玹を罷免し、辰栄山には別の者を送るよう上奏したという。瑲玹と赤水豊隆はいつもの峰で待ち合わせした。すると豊隆は中原に残れる方法があると伝え、妹が渡しそびれた劄記(サッキ)を勝手に贈ってしまう。瑲玹は驚いたが、これは無事に施工の儀を終えてこそ受け取れた物だと気づいた。「馨悦(ケイエツ)を娶れば氏族たちもお前を家族とみなすさ、お前への想いは明白だ」「…たやすく決められぬ、まずは馨悦の考えを聞こう」馨悦は今の瑲玹に嫁ぐのは嫌だと断った。確かに瑲玹に思いを寄せていたが、中原を追われそうなった今、一緒に危険を犯す勇気はないという。赤水豊隆は申し訳なさそうに瑲玹に報告したが、実は婚姻の件で別の提案があった。瑲玹が紫金宮へ戻ると、ちょうど小夭と阿念が談笑していた。2人の笑顔を見た瑲玹はふと応龍(オウリュウ)将軍からの返信を思い出す。…確かに第一王姫の出生の噂を聞いたことがありますが、真相は分かりませんただ王姫大将軍は兵士たちの前で赤宸(セキシン)と心を通わせていると公言したことがあります″赤宸を好いている″と…瑲玹は小夭が赤宸の娘だと確信していた。…いつかこの秘密が世に知られたら小夭を守れるのはこの世で私しかいない小夭、私を失えばお前は耐えられぬお前には幸せで生きて欲しい、他には何も望まぬ…つづく(  ̄꒳ ̄)馨悦、お前もかw
2024.10.12
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace第74話「剣と琴」後宮の差配を任された炩妃(レイヒ)・衛嬿婉(エイエンエン)は皆に付け届けを渡して人脈作りに余念がなかった。そのおかげで第15皇子の満1ヶ月の祝いには取り巻きが駆けつけ、ご機嫌とりに精を出す。今や嬿婉の権勢は容嬪(ヨウヒン)以上だが、皇帝が今も変わらず第12皇子を気にかけていると知って面白くなかった。その頃、永璂(エイキ)は養心殿で蘭亭序(ランテイジョ)を暗唱していた。しかし途中で言葉に詰まり、父から第5皇子・永琪(エイキ)は同じ8歳の時に3回読んだだけで暗唱できたと比較されてしまう。さらに永琪ならその年に矢を的に9連続で当てていたと言われ、永璂は5回が精一杯だと萎縮した。すると父は見栄を張らず正直に答えたと褒めてくれる。「嘘をついてもあとで恥をかくだけですから…ショボーン」「そなたの心がけは見上げたものだ(ヨシヨシ)嘘をつかぬことは最大の美徳である」(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン時にペットの死が人の死より悲しいのはペットが嘘をつかないからだ…って名言があったわ(꒦ິ⌑꒦ີ)ダー…え?どうでもいい情報?w御前侍衛・凌雲徹(リョウウンテツ)は第12皇子を無事に翊坤(ヨクコン)宮へ送り届け、下がった。永璂は母に父と食事を済ませたと報告し、夕餉に出た乳菓子を土産に持って来たという。「母上の好物でしょう?」如懿は喜び、早速、食べた。すると永璂は父から5兄のことを聞かれたと教え、自分は5兄より劣るかと聞く。如懿は永璂には永璂の良さがあると話し、嫡子なので皇帝の期待が大きいだけだと安心させた。「品行方正でいれば一生、平穏無事に過ごせるはずよ だから永琪の方が優れていると父上が仰せでも気にしないこと、比べる意味はないの」永璂は父も母も5兄が好きなのだと分かった。確かに永琪も如懿が養育したので当然ではあったが、そう言えば永琪から贈り物は届いても訪問は途絶えている。如懿はこれも宮中を生き抜く術であり、むしろ永琪を巻き込まずに済むと理解を示していた。一方、胡蕓角(コウンカク)は炩妃と呼応し、貝勒(ベイレ)にいくら養母でも寵愛を失った皇后とは距離を置くべきだと進言した。慎ましい蕓角の思いがけない苦言に永琪は驚いたが、自分の難しい立場を理解するよう頼む。その時、急に足が痛み永琪は顔を歪めたが、大したことはないと言った。衛嬿婉は皇后に追い討ちをかけるため、孝賢(コウケン)皇后を利用しようと思いついた。そこで和敬(コリンワケイ)公主・璟瑟(ケイシツ)を訪ね、現皇后が孝賢皇后の足元にも及ばぬと知らしめるべきだと進言する。計画を聞いた璟瑟は飛びつき、目立たぬ者を選んで早速、動くよう指示した。長春(チョウシュン)宮は孝賢皇后が住んでいた当時のままになっていた。衛嬿婉は婉嬪・陳婉茵(チンエンイン)を呼び出し、ある大役を任せる。「もうすぐ孝賢皇后の命日ね、皇上は孝賢皇后の死をしのび、多数の詩をお詠みなの だけど詩集にまとめてお供えするに至っていない…あなたにお願いできないかしら?」「私が皇上の詩を?せっかくだけど無学な私には荷が重すぎる…ごめんなさい」陳婉茵は上位の妃を押しのけてでしゃばることはできず、帰ることにした。すると嬿婉は皇帝のためなのに断るのかと引き留める。「あなたは長らく寵愛を得ていない、一方的に想いを募らせているだけ 役目を果たせばきっと皇上の寵愛を得られるはずよ?」嬿婉は孝賢皇后を偲ぶ詩を写し、詩集を2冊つくるだけのことだと安心させた。これはあくまで皇帝の孝賢皇后に対する情愛と妃嬪の孝賢皇后への敬愛の証し、皇帝の心も慰められるという。「他の者に頼んでもいいのよ? 長らく仕えていながら報われぬあなたにとって皇上のお心を得る絶好の機会だと思っただけ」結局、陳婉茵は引き受け、寝る間も惜しんで皇帝の詩を編纂した。侍女・順心(ジュンシン)は完成したら一人娘の和敬公主に渡すよう進言し、陳婉茵も了承する。こうして陳婉茵が作った詩集は璟瑟の手で皇帝の元へ渡り、1冊は孝賢皇后の供物となった。詩集を見た弘暦は感激し、璟瑟の提案で後宮だけでなく皇族にまで配布すると決まる。そんな事とはつゆ知らず、皇帝のお渡りが叶った陳婉茵はすっかり舞い上がっていた。愉(ユ)妃・珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)が翊坤宮にやって来た。寝宮にこもりきりの如懿と言えば永璂によもぎの枕を作るため、傷んだ枝が混じっていないか1本1本、確かめている。「まさに母の慈愛ね」海蘭は感心しながら、実は後宮で新しい動きがあったと教えた。これまでずっと寵愛が薄かった陳婉茵だったが、この数日、夜伽を務めているという。陳婉茵の想いが報われたのは良かったが、ただこの寵愛にはある理由があった。そこで海蘭は例の詩集を渡し、これを編纂したのが陳婉茵だと教える。「だけど…婉嬪の筆跡じゃないわ?」「婉嬪が写した正本は長春宮と養心殿にあるの その詩集は皇上が永琪と和敬公主に命じて同じ物を複数作らせた 後宮の妃嬪だけでなく皇族にも配っているわ」これにより宮中では孝賢皇后を称える声が高まり、現皇后は遠く及ばないとささやかれていた。すると詩集を見ていた如懿はある一節に目を留める。「″新たな琴も古い剣には及ばぬ″…皇上がこう詠んでいる以上、仕方がないわね」しかし海蘭が気がかりなのは陳婉茵がこの詩集を和敬公主に届けたことだった。あの気位の高い和敬公主が側室と親しくするとは思えない。陳婉茵が純粋な気持ちで詩集をまとめたにしても、皇后の評判を落とすと分かっていながら和敬公主に届けるだろうか。「何者かに利用されたのかも?」「炩妃では?」侍女・容珮(ヨウハイ)は数日前、長春宮から炩妃と婉嬪が出て来たと思い出した。確かに衛嬿婉ならやりそうなことだ。衛嬿婉が和敬公主の息子を助けて以来、2人は親密、恐らく衛嬿婉が婉嬪と和敬公主の間を取り持つ役割をしたのだろう。容珮は愉妃の推察通りなら警戒すべきだと主人に訴えたが、海蘭は大切なのは皇帝の考えだと言った。「姐姐、炩妃と取り巻きたちは寵愛が薄れた隙を突いている 姐姐?皇上ときちんと仲直りしなくては…姐姐?」 永琪は疲れのせいか持病である足の腐骨疽(フコツソ)が悪化していた。そこで今度、侍医・江与彬(コウヨヒン)に診てもらうことにしたが、胡蕓角が反対する。「江侍医は皇后娘娘の腹心です、孝賢皇后を偲ぶ詩集が私にまで配られました そのせいで皇后娘娘の評判は良くありません」しかし永琪は義母が公然と面目を潰されたと憤慨し、放ってはおけないとかばった。そこで胡蕓角は皇后には嫡子がいると持ち出し、離間させようと企む。「貝勒は皇上の信頼も厚く、太子位に近いと言えます、皇后娘娘も焦っているはず」永琪は呆れて席を立ったが、胡蕓角は最後に自分の将来を一番に考えるべきだと釘を刺した。そんなある日、永璂を尚書房まで送った如懿は運悪く弘暦と鉢合わせになった。呼び止められた如懿は挨拶はしたが、目も合わさない。「永璂を送りに?」「( ತ _ತ)…」「師傅が変わったと聞いて様子を見に来たのだ」「(そりゃどーも)お気遣いに感謝します」 「息子を気にかけるのは当然だ、幼い頃の永琪と比べて永璂は見劣りするのでな」「( ತ _ತ)…至りませんで、臣妾(チェンチィェ)失礼いたします」憤慨した如懿は拝礼してさっさと帰ろうとしたが、弘暦が引き留めた。「誤解するな、久々に会ったのだ、ゆっくり話そう」「皇上を不愉快にさせるだけなのでいない方が良いでしょう?」「…容嬪の件は悪かった、子を産めぬと知り冷静さを欠いた ルーイーや、もう半年も経つのだ、なぜ養心殿に来ぬ? ←( ゚д゚)え?お前が来いや~w 意地を張るのはよせ、皇后なのだから冷静にならぬか! ←なぜか逆ギレw 孝賢皇后はもっと分別があった…」←NGワードktkr「″新たな琴も古い剣には及ばぬ″…私は孝賢皇后には到底、及びません」「ルーイーや、そなたと孝賢皇后を比べたのではない ←じゃ何だよ? 詩集については婉嬪がまとめてくれたから、供養のために皆に配ったのだ」←人のせい「(ハイハイハイ…)孝賢皇后は皇上の最初の正室でした、皇上の追慕もとぉ~然です 孝賢皇后は早世しても報われましたね~あの世でさぞお喜びでしょう~」「皇后、口を慎め」←お 前 が 「反省のため謹慎しま〜す」如懿は我慢ならず、さっさと歩き出した。頑な如懿の態度に腹を立てた弘暦は思わず謹慎するなら子供は邪魔だろうと、永璂を愉妃に預けると言ってしまう。如懿は驚いて立ち止まり振り返ると、弘暦が暴言を吐いた。「そなたは母親失格だ!愉妃は永琪の母だけに永璂を優秀に育てるはずだ!」すると如懿は怒りに震えながらきびすを返し、足早にその場を去った。帰りの道すがら容珮は本当に第12皇子を愉妃のもとへ送るのか聞いた。如懿は仕方がないとあきらめ、海蘭が養育するなら安心だという。「…孝賢皇后という剣が皇上と娘娘の仲を裂きました」「私は剣など気にしないけど、皇上がその剣で私を傷つけている…」すると突然、陳婉茵が一行を止め、その場にひざまずいた。「皇后娘娘…申し訳ありません、私はただ皇上のために尽くしたかっただけでした 私の存在を皇上に知って欲しかったのです、こんな結果になるとは思いませんでした」「あなたの純粋な心を利用されたとしたら残念に思う」「炩妃は私を哀れに思い、声をかけたのでしょう… 私は皇上に気づいて欲しかった、そして私を見て欲しかったのです…本当に申し訳ありません」「分かってるわ、あなたは優しい心の持ち主だもの…望みが叶うと信じてるわ、立ちなさい」陳婉茵は寛大な皇后の言葉に感謝し、いつか必ず償うと誓って見送った。豫(ヨ)妃・博爾済吉特(ボルジギト)氏が禁足の罰を受けて2年が経っていた。今年も8月に秋の狩猟が行われるが、今回は蒙古の王公も参加する。当然、姻戚であるホルチン部も来ることから、豫妃が不在では体面が悪かった。こうして豫妃はようやく寝宮から出られる日を迎える。「炩妃が頼んだからこそ、皇上は禁足を解いたのですよ、しかも木蘭への同行もお許しに…」侍女・春嬋(シュンセン)が恩着せがましく教えると、衛嬿婉も今回の狩猟では豫妃の寝所を皇帝の近くにすると喜ばせた。豫妃は炩妃に心から感謝したが、自分を陥れた皇后への恨みを募らせる。「相手には嫡子がいるのよ?あなたの後ろ盾は遠く離れた父親だけでしょう?」「そうだけど、娘の窮状を知ったら父は黙っていないわ」嬿婉はそれとなく豫妃をけしかけたが…。秋の狩猟が皇室の狩り場・木蘭囲場で始まった。弘暦はあからさまに皇后を冷遇し、自分が仕留めた熊の肝は皇太后に、毛皮を炩妃に下賜する。つづく( ๑≧ꇴ≦)ここに来てまさかの豫妃〜ぶははは〜またあの謎の踊りが見られるのか?それともただの捨て駒か?(  ̄꒳ ̄)まあ〜婉嬪は悪くないかな?仕方ないもんねそれに弘暦はどうしようもないけど、今回は如懿もやり過ぎだな後宮で生き抜くには如懿が折れないとね~←ちょっと冷静になってるwww
2020.02.17
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace第84話「残された時間」如懿(ニョイ)が実子のように目をかけてきた第5皇子・永琪(エイキ)が亡くなった。宮中が悲しみに包まれる中、今度は烏拉那拉(ウラナラ)氏の生母・承恩(ショウオン)公夫人の訃報が届く。如懿は涙ひとつこぼさなかったが、寝宮の祭壇で一晩中、ひざまずいていた。朝方、このままでは体が持たないと侍女・容珮(ヨウハイ)は水を勧めたが、如懿は全く反応しない。仕方なく容珮は粥を作ることにして下がると、如懿はこらえ切れず咳き込んだ。同じ頃、養心殿でも愉妃(ユヒ)・珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)が嘆願を続けていた。すると進保(シンホウ)が現れ、皇帝の伝言を伝える。「翊坤宮の娘娘のためなら帰るようにと…」しかし海蘭は決して諦めなかった。容珮が粥を作って戻ってみると、激しく咳き込んでいた如懿がようやく立ち上がると言った。すると箪笥から生地を取り出し、何やら作り始める。一方、養心殿では朝議のため寝殿を出た乾隆帝(ケンリュウテイ)弘暦(コウレキ)がまだひざまずいている海蘭に呆れていた。「皇上、亡くなった承恩公夫人が後事(コウジ)を託せるのは姐姐のみです 翊坤宮に立ち入ることをどうかお許しください…」海蘭は平伏して懇願したが、弘暦は黙ってその横を通り過ぎようとする。しかし弘暦は急に立ち止まった。「会ったら、すぐ円明園へ…」「臣妾(チェンチィェ)、感謝、申し上げます」海蘭はようやく如懿と面会が叶い、永琪の葬儀の準備でこの後すぐ円明園へ発つと報告した。第12皇子・永璂(エイキ)なら擷芳殿(ケツホウデン)に移り、容(ヨウ)妃・寒香見(カンコウケン)も世話してくれているという。例の胡蕓角(コウンカク)だが、王府にいる全ての人間に尋ねてみたところ、どこか妙だと言った。胡蕓角は王府に来てから一度も帰省するどころか、外部の誰とも親交がなかったという。たまに後宮の自分を訪ねる以外、ずっと屋敷にいたようで、黒幕の影すらなかった。ただ延禧(エンキ)宮へ来ても挨拶程度ですぐ帰ってしまうのに、なぜか王府へ戻るのはいつも遅かったという。御花園でも散策していたのか、それとも他に用があったのか…。その時、如懿が急にひどく咳き込んだ。海蘭は驚いたが、如懿は心配させまいと大きく深呼吸して息を整える。「大丈夫よ、で胡蕓角と永琪の仲は?」「とても良かったわ、でも1つだけ腹の立つことが…永琪は福晋といる時はお湯で沐浴していた でも胡蕓角と一緒の時はわがままを言って水で沐浴していたの いつも薄着して、時には冷たい物を食べていたとか… 永琪の持病は冷えがたたり悪化したのよ、胡蕓角が死なせたも同然だわっ!」すると海蘭が胡蕓角の遺品の中から見つけた処方箋を渡した。数年前に書かれたようで、署名もなく、不可解に思って持って来たという。如懿も確かに妙だと怪しみ、円明園へ発つ前に侍医・江与彬(コウヨヒン)に調べてもらうよう指示した。また胡蕓角の遺品は捨てず、他に手がかりがないか改めて調べるよう助言する。「それから胡蕓角の件とは別に頼みたいことがあるの…ゥッ…ゴホゴホ!」「姐姐の頼みなら何でも聞くわ…ずっとこんな咳を?」しかし主人の手前、容珮は何とも答えられず、ただ目で訴えるしかなかった。翊坤宮を後にした海蘭は密かに江侍医に接触、処方箋を渡した。また如懿の頼みは寒香見に任せることにする。そこで寒香見は礼拝堂にいる寒(カン)部の者に父への伝言を託し、使いに出すことにした。「辺地にいるこの人物を探し出したいの…」海蘭は永琪の嫡福晋・西林覚羅(シリンギョロ)氏から胡氏の遺品を全て受け取った。そこで円明園に異動になった太監・李玉(リギョク)に遺品の調査を頼み、紫禁城との連絡係を任せる。その頃、弘暦は寒香見と一緒にいた。すると皇帝付き侍女・毓瑚(イクコ)が円明園に発った愉妃からの伝言を伝える。「翊坤宮の娘娘は傷心から病を患っているため、侍医を遣わして欲しいと…」弘暦は思わず何の病だと確認したが、寒香見が診断を下すのは侍医だと釘を刺した。「皇上、まさか診察も許さないのですか?」「…診察くらい構わぬ」「では万全を期して信頼できる侍医を遣わしてくださいませ」そこですかさず毓瑚が江侍医に頼もうと提案し、弘暦は仕方なく認めた。寒香見の機転で江与彬が翊坤宮にやって来た。そこで胡蕓角の遺品の調査について報告する。処方箋は筆跡を調べたところ包(ホウ)侍医だと分かった。しかし本人に探りを入れても、身に覚えがないとしらばくれているという。包侍医と言えば炩皇貴妃(レイコウキヒ)・衛嬿婉(エイエンエン)の主治医、如懿は胡蕓角が衛嬿婉とつながっていたと知った。またこの処方を見る限り珍しい血液の病で、発症すれば根治は難しく、若くして亡くなるという。処方薬はかなり高額になるが、あくまで延命治療に過ぎなかった。「衛嬿婉は処方を与えることで胡蕓角を利用したのね…」さらに江与彬は遺品の中にもうひとつ妙な物があったと伝えた。それは空になった入れ物で、一見すると使い終わった白粉のようだったが、調べてみると無味無臭の毒物だったという。確かにこの毒を傷口につけると少量でも死に至るが、栄親王の臨終の時に中毒反応は出ていなかった。しかし如懿は胡蕓角が何の理由もなく永琪のそばに毒物を置くとは思えない。「つぶさに思い出してみると、胡蕓角は永琪の病が悪化するようなことばかりさせていた…」「この毒は宮中でしか入手できません」「宮中?」如懿は江与彬の言葉でようやく合点がいった。胡蕓角が延禧宮に長居していないにも関わらず王府に戻るのが遅かったのは、衛嬿婉と会っていたからだろう。「敵は私だけじゃなく永琪も狙っていた…次の標的は永琪やも…ゥッ!」如懿は動揺したせいか激しく咳き込んだ。驚いた江与彬は慌てて脈診したが、もはや手遅れだと分かる。如懿はあの冷静な江与彬が珍しく動揺している姿で全てを察し、余命を教えて欲しいと頼んだ。「労咳(結核)を発症しています…恐らく3ヶ月か4ヶ月かと…」あまりの衝撃に容珮は力が抜け、その場にへたり込んだ。「十分よ…江与彬、私にはやるべきことがある、力になってくれるなら言うことを聞いて」「もちろん…ウッ…お支えいたします、薬を飲めば活力は保てるでしょう」「はお、私の症状は誰にも明かさないでね…悲しみが高じて具合が悪いとだけ」「…はい」すると江与彬と容珮はこらえきれず、しばし涙に暮れた。衛嬿婉は第17皇子・永璘(エイリン)を産んだ。弘暦は永寿(エイジュ)宮での養育を認め、毎日のように顔を見に来てくれる。何とか我が子を皇太子にしたい嬿婉は、折を見て第15皇子・永琰(エイエン)を連れて養心殿を訪ねていたが、皇帝のそばには永璂がいた。そこで嬿婉は皇帝や乳母がどれだけ手をかけても子供は母親の元へ戻るものだと揺さぶりをかける。しかし弘暦は目を細め、永璂を自分のそばで育てると教えた。面白くない嬿婉は標的を永璂に変え、聞こえよがしに如懿の話をしてみる。「皇上、もうすぐ栄親王の百日忌です、嫡母である翊坤宮の娘娘に仕切らせては?」墨絵を書いていた永璂は母を持ち出され、思わず筆を止める。「嫡母だと?永琪を死なせた疑いがあるのだぞ?」「はい、でも愉妃は生母とは言え、翊坤宮の娘娘をかばい皇上を怒らせました もしお怒りが収まったのなら、愉妃に仕切らせますか?」弘暦は生母の愉妃は参列するだけでいいと告げ、結局、皇貴妃に任せることにした。衛嬿婉は未だ翊坤宮の娘娘が廃后にならないのは第12皇子のためだと確信した。そこで寝宮へ戻ると、侍女・春嬋(シュンセン)に引き続き永璂の食事に気を配れと指示する。春嬋は御膳房にちゃんと頼んであると安心させたが、そこへ太監・王蟾(オウセン)が慌ててやって来た。実はいつもの方法で皇貴妃の弟・左禄(サロク)に銀子を送ったが、先月から受け取っていないという。「聞けば辺地にはもういないとか…」すると驚いた嬿婉は面倒が起きる前に探し出せと命じた。如懿は江与彬の薬のおかげで病状が落ち着いてきたが、やはり永璂のことが気がかりだった。そこで江与彬に自分の代わりに永璂を守ってやって欲しいと頼む。江与彬は拝命すると、容妃が誰にも知られぬよう第12皇子の面倒を見ていると教えた。また穎(エイ)妃・巴林(バリン)湄若(ビジャク)たち蒙古出身の妃たちは皇貴妃と仲が悪く、鳴りを潜めているという。「衛嬿婉は飛ぶ鳥を落とす勢い、7公主の養母・穎妃が目障りなはず 愉妃に伝えて、穎妃と7公主に注意を払うように…」とにかく狡猾な衛嬿婉のこと、警戒を怠るわけにはいかない。すると如懿は永琪の百日忌には安華殿で祈りを捧げたいと話し、容珮に養心殿の許可をもらうよう頼んだ。如懿の懸念は的中した。衛嬿婉は皇帝に第7公主・璟妧(ケイゲン)だけが離れて暮らしているため、このままでは兄弟の情を知らぬまま成長してしまうと訴える。そこで絆を深めるために一度、永寿宮で預かりたいと懇願した。弘暦は難色を示したものの、嬿婉にせがまれ折れてしまう。「分かった分かった、ただし璟妧が嫌がったら諦めよ」王蟾たちは穎妃が留守の間に第7公主を無理やり抱きかかえ、連れ去った。衛嬿婉は娘との再会を心待ちにして門の前まで迎えに出たが、璟妧の悲痛な叫び声が聞こえて来る。「私の母は穎妃よ!帰らせて!皇貴妃は皇額娘を陥れた悪人よ!」「…この子ったら、何てことを言うの?」嬿婉は娘の暴言に動揺した。「間違ったことは言ってない!」「お黙り!」養母に似て正義感が強い璟妧は思わず皇貴妃に楯突き、生意気だと頰をつねられてしまう。そこへ知らせを聞いた巴林湄若が慌てて駆けつけた。衛嬿婉は穎妃にしがみついて泣きじゃくる璟妧も姿に愕然となった。「…璟妧は私の娘よ!私の悪口を吹き込むなんて!」「璟妧はあなたの本性を見抜いているわ、この子だけじゃない 妃嬪の皆も汚い手でのし上がった人など大嫌いよ!」「そうよ!悪いことばかりしているから14弟と16弟は幼くして亡くなった…グスン」「実の母に向かって何てことを!」激高した嬿婉は高位の立場を利用し、不敬な穎妃を杖刑(ジョウケイ)に処すと命じた。しかしさすがに皇帝の妃に罰を与えるなど恐れ多く、太監や侍女たちは一斉にひざまずいて嘆願する。「娘娘、お鎮まりください」そこへ偶然、皇太后がやって来た。皇太后は永琪に祈りを捧げた帰り道で、とんだ騒ぎに出くわした。巴林湄若は確かに礼儀を欠いたと認めて許しを請うと、璟妧は皇貴妃が自分の頰をつねったせいだとかばう。そこで皇太后は生みの母である皇貴妃に少しは優しくしてやれないかと諭した。しかし璟妧は自分の母は穎妃だけだと断言する。皇太后はならば引き続き穎妃が育てるよう認めたが、慌てた衛嬿婉は璟妧の気性が激し過ぎるため、やはり自分がしつけたいと訴えた。憤慨した巴林湄若は璟妧は良い子だと言い返し、気性が激しいなら皇帝に気に入られるはずがないと反論する。すると嬿婉は娘を取り戻したいあまり、思わぬ暴言を吐いた。「実子ではないでしょう?養母が注げる愛情など知れているわ」「そうなの?」↓思いっきり養母ですが、何か?嬿婉は皇太后が皇帝の養母だと思い出し、慌ててひざまずいて前言撤回した。「やはり″生みの親より育ての親″です!」「フ…落ち着け、勘ぐり過ぎだ」( ๑≧ꇴ≦)あいじゃーwwwすると皇太后は子供が一緒にいたいと思う者こそ親の資格があると話し、結局、璟妧の希望通り穎妃に養育を任せた。毓瑚は皇貴妃が無理やり第7公主を連れ去ろうとして騒ぎになったと報告した。あれでは穎妃の無礼も責められず、皇貴妃の言動も非難されて当然、しかも皇太后の怒りまで買うことになったという。話を聞いた弘暦は性急に衛嬿婉を昇格させてしまったことを後悔した。まさかこれほど無能なうえに、皇太后に浅はかな発言までしようとは…。そこで弘暦はやはり永琪の百日忌を愉妃に仕切らせると決めた。永琪の百日忌、巴林湄若は弟の死を心から悲しむ和敬(ワケイ)公主・璟瑟(ケイシツ)の姿に気づいた。法事でもない限り会う機会がないため、湄若はちょうど安華殿を出て1人になった公主に声をかける。すると例の騒ぎを知っていた璟瑟は、皇貴妃が第7公主を連れ去ろうとして非難され、蒙古の妃嬪たちのご機嫌伺いも拒否しているとは情けないことだと言った。湄若は皇帝に媚びるしか能がない人だと蔑み、皇太后を怒らせて子供の教育もできないと呆れる。「子供の教育もできないとは?」「皇后になることしか頭にない人に子供の教育ができると? 信じられぬなら、ご自分で確かめてみては?」如懿はまず早逝した第10皇子の経幡(キョウバン)を完成させた。すると容珮がそろそろ安華殿へ行く時間だと告げる。弘暦は如懿に1日だけ祈りを捧げることを許し、ただし他の妃嬪との接触を禁じていた。如懿は薬を飲んでから安華殿にやって来た。するとまだ海蘭だけが残っている。2人は言葉を交わさなかったが、並んで″和碩(ホショ)永純親王″の霊位に手を合わせた。「永琪…私たちを見守って、あなたの敵を討ち、姐姐の無実を証明してみせるわ」海蘭が誓いを立てると、横にいた如懿の頰を涙が伝う。一方、皇太后は如懿からの密書を受け取っていた。「毒心(心を殺す毒)」皇太后が安華殿にやって来た。するとすでに片付けも済んだ殿内で如懿がひとり経をあげている。如懿と会うのは杭州(コウシュウ)以来だろうか。「ウラナラ氏は2人の皇后を輩出したが、2人とも夫の心をつなぎ止められなかったな」「…フッ、ウラナラ氏の娘は皇后に向かないようです」「そなたを嫡福晋にすると聞いた時、あいじゃーは言った ″不和が生じた時は後悔するかもしれぬ″と…」「先見の明がおありです」「当時はそうだったとしても、今は先のことが分からぬ… ″心を殺す毒″とはどういう意味だ?」つづく‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/›› やったーっ!谷底に突き落とされましたが、来週はようやく安心して見られそうですねいよいよ残り3話!
2020.03.22
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第12話「半歩の距離」方海市(ホウハイシー)は師匠への想いを断ち切ろうとするあまり訓練に没頭、殿選での古傷を悪化させた。心配した陳哨子(チンショウシ)は清海(セイカイ)公に小公子の様子を伝えたが、方鑑明(ホウカンメイ)は新兵には過酷な訓練が必要だと厳しい。そこで方卓英(ホウタクエイ)が軍営に駆けつけ、無茶をする海市を連れて帰ろうとした。「都で努めに励み、師父に孝行すればいいだろう?」「孝行?ふっ…清海公・方鑑明は私の父親なんかじゃない!」卓英は海市の激しい感情に戸惑い、無理強いせず帰ることにした。その夜、海市は開いた傷口のせいで熱を出し、うなされていた。心の奥底に封じ込めた方鑑明への恋心、しかし夢の中ではごまかすことができない。海市はふと目を覚ますと、枕元に立つ師匠の姿があった。「師父…あなたがとても好きなの…思いが強くて離ればなれになるのは辛い… この気持ちをあなたは知っているかしら?…師父…」しかし海市は再び深い眠りに落ちてしまう。翌朝、目を覚ました海市は慌てて外へ飛び出した。すると心配した任勇(ジンユウ)たち4人が幕舎の前に集まっている。「粥が置いてあったが誰か来たのか?!」「我らが作りました」「朝からここにいましたが、粥を運んだ呉恙(ゴヨウ)以外、誰も入っていません」海市は夢を見たのかと思ったが、あれは確かに師匠の姿だった。黄泉関への出発を明日に控え、兵士たちは一度、家に戻ることになった。そこで海市も師匠に別れの挨拶をするため、昭明宮を訪ねる。するとちょうど棋譜を解いていた方鑑明が一局、対戦しようと誘った。一方、緹蘭(テイラン)のウサギ・小乖(ショウカイ)は鞠柘榴(キクシャリュウ)の進言のおかげですっかり元気を取り戻していた。今では金城宮(キンジョウキュウ)の人気者になっていたが、急に李(リ)侍医が謁見を願い出る。聞けば淑容(シュクヨウ)妃が頑なに彫り物を続けているため怪我が悪化の一途を辿り、薬を使っても根治しなくなっていた。方鑑明と海市は対局しながら互いに牽制し合った。鑑明は海市の一手を焦り過ぎだと指摘、強引に進めるなと諭せば、海市は師匠が一思いに自分を下す自信もなく、かと言って手放すこともできないとやり返す。その時、回廊から錦服が届いたので受け取るようにと報告が聞こえた。そこで海市は最後の石を置き、別れの挨拶代わりに思いの丈をぶちまける。「私にとって師父は特別です、だからこそ半歩の距離を保って欲しい たとえ養父としての情であれ、師弟愛であれ、踏みとどまってください あと半歩近づけば、海市は言うべきではない言葉を吐き、すべきでない事をする… もしそうなれば、海市は一生、辺境にとどまり師父を避けなければならなくなります」すると鑑明も石を置いたが、やはり局面はこう着したまま動かなかった。「…どうしても白黒つけるとしたら、私に勝算がある」海市は自ら決着をつけて出ていった。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は南宮に淑容妃の様子を見に行った。すると緹蘭はすでに半数の龍尾神を完成させ、あと10日もあれば彫り終わると報告する。「…惜しいな、血がにじみ汚れている」褚仲旭は遠回しに休ませようとしたが、緹蘭は頑なだった。「すぐ手を洗って彫り直します」驚いた褚仲旭は自分への当てつけかと憤慨、思わず緹蘭を引き止めようとしたが、その時、緹蘭が握りしめていた小刀でうっかり手を切ってしまう。しかし褚仲旭の身体は傷を負うことがないため、咄嗟に手を隠してごまかした。褚仲旭は腹いせに侍女を死罪にすると命じた。すると緹蘭は皇帝に逆らう気など毛頭ないと謝罪、褚仲旭のために彫った龍尾神のお守りを贈る。「大徴(ダイチョウ)に来た頃は孤独で苦しみばかりの自分の人生を恨めしく思いました でも今はそんな恨みも消えました、陛下の苦渋を察したからです 陛下も私も運命に幸福を奪い取られてしまった…陛下と私は相容れない運命なのでしょう でも緹蘭、せめて紫簪(シサン)阿姐を想うよすがになればと龍尾神を彫りました 少しでも陛下の苦しみが和らぐようお祈りしております」褚仲旭は緹蘭に自分の心を見透かされたようで居ても立っても居られなくなった。そこで龍尾神を捨て、彫刻はもう必要ないと免じる。「淑容妃と侍女を愈安(ユアン)宮に戻せ」海市は方卓英と一緒に錦服を受け取った。確かに海市の錦服も洗練され美しかったが、卓英の錦服は鋭い目をした鷹が刺繍され、最上の技巧が凝られているという。実は少府監に来た皇弟・褚季昶(チョリチョウ)が鞠柘榴の鷹の刺繍を気に入り、衣を寄こせと駄駄を捏ねていた。しかし注輦(チュウレン)から献上された銅線で刺繍したため非常に重く、武人でなければ着こなせないと説得して諦めてもらったという。「哥?ふっ、″花の盛りに手折らねば欲する頃には枝ばかり″…」「…知った口を」そこへ師匠の使いがやって来た。清海公が公務で帰れないため、海市に自分の部屋へ泊まって行けという。↓鋭い目…鋭い目…👀師匠の寝殿にはすでに海市の鎧が準備されていた。海市は師匠の寝台に腰掛けると、思わず枕を腕に抱いて香りを確かめる。↓フレーメン反応w一方、宮中では方鑑明が月を眺めながら海市の言葉を思い出していた。…海市、近づこうにも我が身の自由が利かぬ私に何ができようか…鑑明の手のひらには小刀で切られた傷があった。あの年、儀(ギ)王は逆賊討伐を掲げて宗室を殺し、庶民を苦しめ、忠臣を害した。皇太子・伯曜(ハクヨウ)は亡国を愁い自死、褚仲旭と方鑑明は自分たちの力だけを頼りに起死回生を図ろうと踏ん張る。しかし手探りで進んでいた道の半ばで方家が滅ぼされ、我を失った鑑明は命令を無視した。その結果、紫簪が亡くなり、褚仲旭をも危機に陥れることになってしまう。鑑明は軍の士気を高め、戦局を掌握すると、大事な友を生かすため、褚仲旭の″柏奚(ハクケイ)″になった。この時から2人の運命はひとつ、鑑明は褚仲旭の病や傷を代わりに引き受ける身体になる。…海市、お前と会わなければこの一生を淡々と全うしただろう…お前という存在によって後悔ではなく、無念な思いがもたげてきた…海市、許してくれ翌朝、海市が錦服に着替えた頃、師匠が現れた。海市の気持ちに応えることはできない鑑明、そこでせめて軍装の支度を手伝い、送り出してやることにする。すると海市は師匠からもらった玉板指を返した。「戦場で壊してしまいそうなので… 師父、以前に″行行重行行(行き行きて重ねて行き行く)″という詩を教わりました」海市は師匠の言葉を待ったが、鑑明は思わず目線を外してしまう。それが答えだと分かった海市はあきらめがついた。「…では師父、お体に気をつけて」その時、鑑明が思わず海市の背中に声をかけた。「海市…」海市はかすかな期待を抱いて足を止めたが、鑑明は″行行重行行″の最後の一節を引用する。「海市、″棄捐勿復道 努力餐飯(思いを捨てよ、しっかり食事をせよ)″」「…師父、保重」海市は振り返らず、涙をこらえて出て行った。一方、褚仲旭は鑑明に出征の儀を任せ、身支度もしないまま紫簪の部屋にこもっていた。これまで弱みを見せまいと虚勢を張って来たが、思いがけず緹蘭に孤独を見抜かれ動揺が隠せない。「そなたと共に年を重ねたかった…そなたを失ってから苦しさだけが募る… もう力尽きそうだ!紫簪…強い姿を見たいのだろう?だが誰と生きていけというのだ…」方鑑明は夕暮れ時、皇帝と一緒に楼上に立った。いつになく感傷的な褚仲旭はふと紫簪が天啓の秋の落日を愛していたと思い出す。「黄金色に染まって繁栄を祝うかのようだと…」「美しい夕日です」鑑明は誰しも平穏な日常を望むものだと話し、互いに定められた運命がある以上、多くは望めないと諭した。「執着せず、折り合いをつけることも必要かと…」「お前は変わったな…お前の心には執着するものがないと?」「あります、胸に秘める想念が…」実は大徴建国以来、歴代の君主は方家と柏奚の契りを結んできた。鑑明は多くのことを共有し近づきすぎては傷つけ合うだけだと吐露する。驚いた褚仲旭は鑑明を柏奚にしたいと望んだことはないと訴えたが、鑑明は自分が望んだと言った。つづく( ˙꒳˙ )なぜか全然、入ってこないちゃんと見てないのか?いやヤンミーの声かw
2022.08.07
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第26話)第53話「長秋からの旅立ち」霍不疑(フォブーイー)に嫁ぎたいと願うも手酷く追い返された駱済通(ルオジートン)。これも全て程少商(チォンシャオシャン)のせいだと逆恨みし、長秋(チョウシュウ)宮に少商を訪ねた。少商は殊勝にも先のぶしつけな態度を謝罪する駱済通を追い返せなかったが、どちらにしても助けることはできない。「彼とはもう関わりたくないし、とりなす気もない、成婚を勧めることもね…あなたの問題よ」「今日はあなたに伝えに来ただけ、北西に戻って余生を過ごすわ、これで永遠にお別れよ 明日にも出発する、ただやり残したことがあるの…」宣神諳(シュエンシェンアン)の心疾(シンツウ)は悪化の一途をたどり、今朝は身体を起こすこともできなくなった。そんな宣神諳の元に帰京した霍不疑が見舞いにやって来る。「子晟(ズーション)なの?」「私です」不疑は宣皇后が力無く伸ばした手を取り、頬に当てた。「少商ならまだ婚約していない…少商の心の中にはまだあなたがいるわ」「知っています、私の過ちです、一生かけて贖罪すると決めました」その時、宣皇后が重い身体をどうにか起こした。「少商は幼き頃、最も愛が必要な時に家族がそばにいなかった 愛しているなら少商の心に欠けたものを補ってあげて… あなたの決断を理解させるのではなく、相談し合って初めて肩を並べて進めるのよ?」「はい、今後、少商には全てを明かし、語り尽くします、隠し事はしません」「だけどもう私には時間がない、2人の成婚を見届けられないわ」「私は不肖者です…ご心配をかけて…」不疑は育ての親でもある宣皇后への不孝を思うと涙があふれ出した。すると宣神諳は子晟の涙を拭い、来世では子晟と少商を息子と娘にしたいという。「そして長生きして2人に養ってもらいながら笑顔で晩年を送るの これこそ満ち足りた人生というものよ」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)が現れた。「霍将軍に急務だと…」宣神諳は最後に少商としっかり話すよう念を押し、必ず許してくれると励ました。不疑が寝殿を出ると翟媪が待っていた。梁邱起(リャンチゥチー)から知らせがあり、少商が都を離れる駱済通の馬車に同乗して郊外に向かったという。実は駱済通は宣皇后の心疾を治せる神医に心当たりがあると嘘をつき、少商を連れ出していた。少商はなかなか到着しないことを訝しんでいたが、やがて駱済通が本性を現す。「…幼き頃より彼を慕うも身分の差で明かす勇気はなかった その後、互いに婚約して望みは絶えた、でも天は私を哀れみ北西で再会させてくれたの あなたに分かる?愛する人がいながら別の人を世話する気持ちが…」駱済通は不疑への思いの丈をぶちまけると、少商に隠し持っていた短剣を突きつけた。「彼は女に目もくれないのにあなただけは別、なぜ霍不疑の目にはあなたしか映らないの?! 彼のためなら何だってやる、夫だって殺したのよ?でも彼は私を愛してくれない でもあなたを殺せば彼は私を忘れられなくなる、恨まれても本望よ」御者は崖に向かって馬を走らせた。しかし背後から凌不疑の馬が追いつき、驚いた御者は飛び降りてしまう。その時、短剣を振り上げる駱済通の姿が窓から見えた。不疑は無我夢中で手を伸ばし、素手で短剣をつかんで取り上げる。その間も馬の暴走は止まらなかった。不疑は何とか馬車に飛び移ったものの間に合わず、咄嗟に車から少商を抱きかかえ脱出、駱済通は馬車と共に谷底へ転落してしまう。( ;∀;)ァァァ~ウマーの扱いィィィィィ~不疑は少商の手をつかみ、かろうじて岩肌にしがみついた。しかし少商は不疑の手から流れる鮮血で真っ赤になった自分の手に気づき、覚悟を決める。「手を放して、あなた独りなら登ることができる」少商は自ら手を放したが、不疑は少商の手を握りしめて決して放さなかった。「独りで生きるつもりはない、君に許してもらえるとも思っていない だが歯形の誓いから君は私の妻になった、君が生きれば私も生きる、君が死ぬなら私も死ぬ!」その時、2人を探していた黒甲衛(コクコウエイ)が到着、不疑と少商は無事に引き上げられた。少商は不疑の手の傷を心配してくれた。不疑は包帯を巻けば支障はないと安心させ、皇宮まで送りたいと申し出る。しかし少商は必要ないと断った。落胆しながら馬の元へ歩き出した不疑、その時、宮中から早馬が駆けつける。「霍将軍!程娘子!すぐ皇宮へ!宣皇后が危篤です!」少商と不疑が長秋宮に戻る頃には激しい雨となった。2人はびしょ濡れのまま寝殿に駆けつけ、一番後ろで静かにひざまずく。文(ウェン)帝は枕元で付き添いながら、自分が宣神諳の一生を台無しにしたと涙した。しかし宣神諳は皇帝と出会えて幸せだったという。「分かっています…阿姮(ホン)妹妹が流した涙が私より多いことを… これからは彼女と手を取り合い暮らして欲しい…私という存在がなかった頃のように… 陛下、阿姮と話をさせてください」越姮(ユエホン)は宣氏一族のことなら心配ないと安心させた。しかし宣神諳が話したいのは自分たちのことだという。「我が子は19歳の時に襲われたけれど、あなたを疑ったことはないわ」「分かっています…あの年、私の息子も4ヶ月で夭折しました でも疑ったことはありませんでした」「分かってる、決して私を疑わないから外の流言も恐れることなく子供たちを受け入れてくれた」「…私たちは姉妹同然でした」「普通の家の姉妹だったらどれだけ良かったか…」すると宣神諳は子供たちを呼ぶよう頼んだ。皇帝は宣神諳を抱き起こして子供たちの顔を見せた。すると宣神諳は最後の望みとして父が隠居した山で眠りたいという。「この身体は皇陵に葬るしかない…だからお願いです 私の髪を一束ほど切って少商に燃やさせてください、その灰を埋めて欲しい」「分かった、全て望みのままにしよう」そして東海(トウカイ)王には闊達に生きるよう諭し、翟媪の面倒を頼んだ。嫁いだ五公主にはしっかり生きて欲しいと願い、美しい歳月を大切にして欲しいという。「子晟…」不疑は宣皇后に負い目があった。しかし宣神諳は子晟も苦汁をなめて生きて来たと理解を示す。「私が逝った後は過去のことは水に流すといいわ…あなたも自分を許してあげて… 少商、ここへ…」少商は寝台へ近づくと、宣皇后の手を握りしめた。「少商、あなたを巻き添えにし、5年も無駄にさせたわ…」「巻き添えなんて…少商が望んだのです、5年でも10年でも…」「バカな子ね…私のために多くを犠牲にしてしまった だから将来の日々は自分のために生きなさい…私のように無意味な余生を送らないで欲しい 母としてはあなたたち2人の縁がそのまま続いて欲しい… ただ情理を知る目上の者としては婚姻が強引に求められないことも分かる だから万事、心に従えとしか忠告はできない…今を大切にして悔いなきように…」すると宣神諳は苦しくなったのか大きく息を吸い込んだ。「陛下…来世では太平な盛世に生まれ、放浪の苦を免れますように… 来世では両親が健康で長生きして憂患の苦を免れますように…ハァ… あなた…あなたに嫁げて幸せでした… でもどうか来世では…あなたと会うこともないように…」宣神諳は夫婦の情を得られぬまま不遇の人生を終えた。悲しみに包まれる長秋宮、その頃、心の支えを失った少商は呆然と宮中を歩いていた。やがて憔悴した少商は激しい雨の中で倒れてしまう。不疑は意識を失った少商を曲陵(キョクリョウ)侯府へ送り届けた。突然のことに困惑する程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)、聞けば宣皇后が逝去したという。「…私は送って来ただけ、すぐ失礼します」「霍不疑、待たんか!」程始は娘を簡単に捨てた霍将軍への怒りが爆発、5年前に娘は死にかけたと明かした。今でも裏庭の離れには作りかけの棺が残っているという。不疑は思わずその場にひざまずき、少商を傷つけたことを謝罪した。「ゆえに2度と邪魔はしません…」しかしどんなに謝られても失った5年間は戻ってこない。蕭元漪は長秋宮にこもっていた嫋嫋を思うと胸が痛んだ。「私が重病を患った時も、阿兄が妻を娶る時も、堂姉が嫁ぐ時にさえあの子は帰らなかった 嫋嫋の選択はあなたのためよ、霍不疑!」不疑は床に頭を打ちつけるように叩頭した。「私の過ちです、少商の一途な情を裏切り、程家の信頼を裏切った 少商と程家には負い目があります、その償いは一生かけても終わらない 北西で戦死できればと思っていたが死ぬ勇気もなく、彼女の恨みも消せず… 私には死ぬ資格さえない」しかし蕭元漪も決して霍将軍に自責の念を植え付けたいわけではないという。そもそも自分たちにも娘が幼い頃に構ってやれなかった苦い経験があった。「今後は嫋嫋の望み通りにさせるわ あなたと娘は互いに情があっても天に翻弄されてしまった 今後も縁が続くかどうかはいずれ答えが出る」つづく( ;∀;)宣皇后…泣けたわ〜
2023.12.22
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安乐传 The Legend Of Anle最終話韓燁(ハンイェ)の目の治療に不可欠だった長思花が見つかった。喜んだ帝梓元(ディヅユアン)は伏翎(フクレイ)山に駆けつけたが、大伯母・帝盛天(ディセイテン)の話ではいつの間にか開花した長思花が置いてあったという。しかしこの都で長思花を咲かせることができる真摯な心と根気強さを持ち合わせる人物は1人だけだった。梓元は翎湘楼(レイショウロウ)に洛銘西(ルォミンシー)を訪ねた。何と切り出して良いか分からない梓元、その時、洛銘西の手にいつも大事そうに眺めている玉佩があると気づく。「その玉佩は特別なものなの?」「玉佩の謂れは君にある…」あれは大雪の日だった。洛銘西は靖安(セイアン)侯に連れられて屋敷を訪ねたが、ちょうどその日に梓元が生まれたという。喜んだ靖安侯は祝われるたび褒美を与え、洛銘西も父に尻を叩かれて祝辞を述べた。すると靖安侯が自分の腰から玉佩を外して洛銘西に与えたという。「その時、靖安侯はこうおっしゃった…″梓元をお前の妹とする証しだ、守ってくれ″と」洛銘西は梓元に真実を打ち明けられなかった。すると梓元が露台にある小さな囲いに気づいて中を見る。「ここに鉢植えの花があったのね?何の花だったの?」「…海棠(カイドウ)だ、暗殺に来た冷北(ランベイ)が鉢を割ってしまった」梓元は洛銘西の優しい嘘に気づき、何とも言えない罪悪感に襲われた。「銘西哥哥…私はあなたに謝らないといけない…」「私に謝る必要はない、私が望んでやったことだ」しかし梓元は居たたまれなくなり、逃げるように帰ってしまう。「梓元、来世があるなら君と共にいたい…」帝盛天の治療が功を奏し、韓燁はついに見えるようになった。梓元のもとにも早速、知らせが届いたが、韓燁は光を取り戻してもなお考えを改めないという。想像以上に頑固な韓燁、すると焦った帝燼言(ディジンイェン)が伏翎山に駆けつけた。「これで姐姐を娶れますね!」しかし韓燁は梓元を韓家の皇太子妃にすれば不幸にしてしまうという。「もう守れる自信がない…昔から梓元を守ってきた洛銘西こそ相応しい」帝燼言は弱音を漏らす皇太子に深く失望し、下山してしまう。任(レン)府の婚礼の日。梓元が身支度を終えた頃、皇太子の説得に失敗した帝燼言が申し訳なさそうにやってきた。しかし梓元は最後の手段で大伯母を頼ったという。その頃、帝盛天はこれまで誰にも明かせなかった韓子安(ハンシアン)への秘めた想いを韓燁に告白していた。帝盛天と韓子安は蒼(ソウ)山で出会い意気投合、帝盛天は韓子安を死ぬまで支えると決めたという。自由に生き、欲しいものを手に入れ、どんな望みも叶えてきた帝盛天。それが韓子安にだけは最後まで近づくことができなかった。出会いの時を間違えたのか、出会った人を間違えたのか、もしくはどちらも間違いだったのか。何にせよ韓子安との出会いを後悔したことはないという。「友にしかなれず、気持ちを隠したはずが、まさか誰かを傷つけるとは思わなかった 孫瑜君(ソンユクン)の言う通り、私は身勝手だった そんな私の身勝手さが両家の確執を生み、取り返しのつかない悲劇を招いたの でもあなたと梓元は違う、同じ轍を踏まないで欲しい」すると帝盛天は嫁ぐ梓元に譲りたいと碧璽(ヘキジ)剣を韓燁に託した。「あなたの父上はやっと過去を手放した、あなたも手放して」「しかし…もう手遅れです、何もかも終わった」「いいえ!」その声は馬を引いて現れた帝燼言だった。帝燼言は安楽(アンルー)を真似て姉の口調のまま、皇太子に言づてを伝えた。「″来ないなら碧璽剣を持って靖南へ帰るわ、帝家と洛家は同盟を結ぶ 皇帝になりたいなら妃選びは慎重にね″と…」「荒唐(ファンタン)!」「″韓燁?私は3万の水軍を差し出したのよ?国か太子のどちらかをもらう″だそうです」「…大理寺卿を1年、務めたくらいでは海賊くささが抜けぬな」すると帝盛天は韓燁が思う以上に梓元は鼻っ柱が強いと笑った。「あの日、青南山で燼言が弟だと明かされなければ、あの子はあなたの後を追っていたのよ?」帝盛天の思わぬ言葉に韓燁は呆然となった。「殿下…ご覧ください、姐姐はあなたを失い、一晩で白髪になったのです」帝燼言が広げた手巾の間には梓元の白髪が挟んであった。日が暮れる頃、任府で婚儀が始まった。洛銘西と並んで入場した梓元、その時、ついに韓燁が現れる。「待ってくれ!」梓元が振り返ると韓燁が立っていた。「帝家の娘・梓元、天の定めた重責を担わせ、太子妃に封ずる 中原一の美形たる太子に差し出す嫁荷は3万の水軍、望みはひとつ太子妃の位を欲す …帝梓元、任安楽、太祖の遺詔と3万の水軍が証しとなる どんな名であろうと君が私の太子妃だ、梓元、待たせてすまない」すると洛銘西がそろそろ婚儀を再開したいと申し出た。韓燁は長思花の恩があっても自分の花嫁を渡せないと言ったが、そこへ本当の新郎新婦が現れる。「殿下、私から花嫁を奪うつもりですか? 父親代わりの殿下を立ち合わせるため遅刻しかけましたよ」韓燁はようやく新郎新婦が帝燼言と苑琴(エンキン)だと知り、まんまと騙されたと分かった。実は帝燼言も自分の婚儀だとついさっき知ったばかりだという。「この世で帝家の姉弟だけだ、平気で太子を欺くのは…」しかしこれは洛銘西の策略だった。「頑固な韓燁を連れ出すには仕方なかった、だが梓元が最初に考えた方法は捕縛だぞ?」(´⊙౪⊙)テヘ( ー̀ωー́ )<…太子殿下と呼べ洛銘西は最後の役目を果たし、梓元を韓燁に託してひとり翎湘楼に戻った。「今となっては賭けをするのも独りだ…」あの時、任安楽が皇太子妃になれるかどうか賭けをしたのがまるで昨日のことのように思い出される。「梓元よ、君の勝ちだな」韓燁は梓元を連れて蒼(ソウ)山の太祖の墓参りに来た。「太子たる私は己を律して生きてきた、ままならぬ人生ではある その中で最も喜んだことは祖父が決めた婚姻だ」「両家の間にどんな確執があろうと、運命によって結ばれた2人は引き離せない」「奇遇だな、心を動かされた任安楽が私が守りたい帝梓元だったとは」すると韓燁は碧璽剣を納めることにした。「帝家の栄光と天下の権勢を象徴する剣だ、父皇がとらわれた剣ゆえに置いていく」実は箱の中の碧璽剣の刃は二つに斬り割れていた。その夜、力尽きた洛銘西は翎湘楼の露台の長椅子に横になっていた。…私は靖安侯の期待に応えた帝家の名誉は回復し、君と歩む者が現れた君と長思花を見られぬのは残念だが悔いはない…韓燁と梓元の婚礼の夜、洛銘西はうっすら笑みを浮かべながら静かに目を閉じた。あれから7年が経った。韓燁は密かに育てていた長思花畑に梓元を案内し、満開の花を見せて驚かせる。「10年以上も前、ある少女が私に言った 長思花は凛とした美しさで、一斉に咲き誇る姿は満点の星のようだと… あの時、私はまだ年若く、種を集めさせ東宮の庭園にまいた 満開の花を見せて驚かせたかったが、その後、少女は都を離れた 私はこの場所でいつか少女の慰めになるようせっせと種をまいた 言うまでもなく寒い都ではずっと咲かなかった」「実は一度だけ都で長思花を見たことがあるわ」「…私もだ、初めて蕾を見たのは洛銘西の部屋だった」あの時、韓燁は心を込めれば奇跡が起こると希望を与えられたという。梓元は洛銘西の願いが靖南に帰って長思花を見ることだったと話し、結局、叶わなかったと嘆いた。しかし韓燁はこうして都でも咲くようになり、洛銘西も天下の民も見ることができると慰める。…帝梓元は天からの重責をその身に担う靖の皇帝・韓燁を支え、50年にわたり共に苦難を乗り越えたそして築かれるは輝ける太平の世、久しく天候に恵まれ、民は平和に暮らした…完( ゚ェ゚)公式では見つかりませんでしたが、番外編で2人の幸せな宮中生活も見られます興味のある方は動画サイトで探してみてください
2024.06.07
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace第78話「御花園の幻」皇后・烏拉那拉(ウラナラ)如懿(ニョイ)と凌雲徹(リョウウンテツ)の醜聞はまだ幼い第12皇子・永璂(エイキ)の心にも暗い影を落としていた。そんな弟を心配し、第五皇子の貝勒(ベイレ)・永琪(エイキ)は久しぶりに尚書房へ永璂を迎えに行ってやる。「以前なら凌侍衛が迎えに来たのに…」永璂はため息をつき、5兄に母と凌雲徹が恋仲だと言う噂があると嘆く。しかし永琪は噂など信じるなとなだめ、皇后を信じていると言った。乾隆帝(ケンリュウテイ)・弘暦(コウレキ)が足繁く翊坤(ヨクコン)宮に通うようになり、風見鶏の内務府総管太監・秦立(シンリツ)はわざわざ俸禄を直接、届けに来た。翊坤宮の太監・三宝(サンポウ)は総管の見送りに出たが、そこへちょうど使いに出ていた凌雲徹が戻って来る。秦立は侍衛から宦官になった小凌子(ショウリョウシ)に興味津々、思わず呼び止めてからかい出した。そこで三宝は早く花を届けるよう指示して逃がそうとしたが、運悪く養心殿の太監・進忠(シンチュウ)がやって来る。「秦公公(ゴンゴン)、何のお話を?」「いや~小凌子が翊坤宮に勤めて誇らしげだと話していただけだ」「あぁ~翊坤宮ですからね~想い人のそばで働くの楽しいでしょう~w」「小凌子、愚か者ゆえおっしゃる意味が分かりません」「大した意味はない…ふっ では皇上に代わって命じる、皇后娘娘によくお仕えしてご満足させるように…」秦立と進忠は思わず失笑したが、凌雲徹も黙っていなかった。「…皇上のご命令なら皇后娘娘の面前にて改めてお伝えください あなたも宮中の掟はよくご存知のはず もし進忠公公の私的なご意向なら、皇上をかたる偽の命令となり、重罪に当たります」進忠は思いがけず凌雲徹にやり込められた。凌雲徹は容珮(ヨウハイ)に頼んで寝殿内の仕事は避けていた。皇后との距離を保つことで守ってくれていることは如懿も容珮も承知している。しかしこれで終わるのだろうか。今や弘暦の考えが読めなくなり、如懿は不安に駆られていた。一方、炩妃(レイヒ)・衛嬿婉(エイエンエン)は、初めての懐妊でもないのに激しいつわりに苦しんでいた。「凌雲徹が皇后のそばにいる…そう思うと吐き気が…」嬿婉はせめて翊坤宮から凌雲徹を追い出せれば楽になると吐露する。すると侍女・春嬋(シュンセン)は主人がまだ凌雲徹に未練があるのかと驚いた。「ハア~…忘れられない人はいるものよ…」そんなある日、弘暦は如懿と芝居を見ることにした。演目は″墻頭馬上(ショウトウバジョウ)″だったが、2人の席の後ろには凌雲徹が控えている。寝殿に戻った如懿は疲れ果て、横になった。容珮は主人の身体をあんましながら、わざわざ思い出の芝居を選ぶとは皇后と小凌子への当てつけだと呆れる。かつて愛し合う2人はこの芝居を仲睦まじく見たものだった。如懿は弘暦の仕打ちに打ちひしがれ、思わず涙が溢れてしまう。今や2人は床を共にしても、ただ黙って朝が来るのを待つだけだった。翊坤宮で朝餉を済ませた弘暦は、ふいに翊坤宮に手癖の悪い者がいると言った。「凌雲徹が朕の宝を盗んだ…進忠?小凌子を清掃係に配置換えを、最低位の清掃太監に」すると進忠は拝命し、直ちに出て行く。如懿が黙っているのを不審に思った弘暦はどうしたのかと聞いた。「許しを請うか?」「請えば許してくださると?…皇上はこの芝居に飽きて凌雲徹を退場させるのですね?」「楽しんでいたとでも?」「(プイッ)」「そなたが気詰まりのようゆえ、これは朕の厚意だ」「(そりゃどうも)ご厚意に感謝します」如懿の冷ややかな目は、無言の剣のように弘暦に突き刺さった。弘暦は居たたまれなくなり足早に帰ってしまう。すると激情に駆られた如懿は思わず箸をつかんで机に投げつけ、皿の割れる音が殿内に響いた。内務府が翊坤宮の奴婢を減らした。容珮はこれが皇帝の意向だと気づいて主人に報告したが、如懿は好きにさせろという。そこへ愉妃(ユヒ)・珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)がやって来た。実は永琪夫婦が菓子を持って訪ねて来たのでお福分けだと勧めたが、食欲がない如懿は後でいいと断ってしまう。海蘭は配置換えになった凌雲徹のことが気がかりなのだと分かった。すると如懿は皇上の疑念が晴れない限り、この件に終わりはないと落胆する。凌雲徹を苦しめるのが弘暦の鬱憤ばらしなら、如懿には何の手立てもなかった。「1年ほど過ぎたら、都から遠い離宮にでも行かせたい… 皇上から距離を置けば、少なくとも命の危険はないはず」「…実現できるといいわね」海蘭はそう答えるほかなかった。凌雲徹は食事もさせてもらえず、雨の中で掃除を続けていた。ふと視線を感じて顔を上げると、容珮を見つける。容珮はそれとなく凌雲徹に合図し、人目のつかない場所で手作りの枕を渡した。「感謝します、毎日、雨続きなのでお風邪など召しませぬよう、皇后娘娘にお伝えください」「必ず伝えます、その枕の中身は皇后娘娘が手ずから選った抗白菊よ あなたの苦しみを知って心を痛めてる」「私は単に体が辛いだけですが、皇后娘娘はお心に苦痛を… 私が去って皇上はお優しくなりましたか?」「表面的には…」「すべて私の罪です…」「皇后娘娘は違う考えよ…」その夜、容珮が作ってくれた枕に頭を乗せながら、凌雲徹は皇后への思いを募らせた。御花園の掃除中、偶然、散策する皇后を見かければ、ふと目で追ってしまう。しかしその姿を貝勒に見咎められ、もはや陰ながら見守ることも許されないと落胆した。夏が過ぎ、あっという間に冬がやって来た。如懿は慈寧(ジネイ)宮で皇太后と写経に没頭していたが、そこへ侍女・福珈(フクカ)がやって来る。炩妃が無事に第16皇子を産み、皇帝が永㻇(エイセン)と名付けたという。皇太后は多産の炩妃に褒美を出すことにしたが、今回は掟に従って寿康(ジュコウ)宮の太妃(タイヒ)に育てさせるよう命じた。「さもなくば炩妃が図に乗る…」皇太后はさすがに如懿が不憫だった。しかし古来より皇后は苦しみと背中合わせ、むしろ早死にした孝賢(コウケン)皇后は幸せかもしれない。如懿は確かにその通りだと同意し、しみじみ早死にと長寿ではどちらが幸せか分からないと言った。如懿は炩妃の皇子が無事に誕生し、間もなく臘八(ロウハチ)のため、臘八粥を奴婢に施したいと提案した。すると皇太后は粥の施しに群がるのは最下層の奴婢たちだと気づき、皆に行き渡るよう食材を惜しまぬよう助言する。こうして如懿の恩情はかろうじて凌雲徹の元へ届けられた。皇太后の決定で永㻇を手放した衛嬿婉は悲しみに暮れた。皇后が寵愛を失い、自分の子供は手元におけると思っていただけに落胆も大きい。侍女・春嬋(シュンセン)は冷遇されても皇后は皇后だと言った。すると嬿婉は如懿の差し金だと深読みする。「もう皇后は何もできないと思ってた…まさか太后をそそのかす力が残っていたなんて…」格格(ゲゲ)・胡蕓角(コウンカク)は炩妃の計画通り、永琪の心をしっかりつかんでいた。しかし永琪は最近、持病の足の痛みが度々ぶり返している。「江(コウ)侍医に診てもらいましょう」「心配ない、大丈夫だ」「…蕓角が今日あるのも貝勒のおかげです…それなのに申し訳ありません」「蕓角?何を言ってるんだ?そなたはよく仕えてくれる だがずっと子ができぬ、それが残念だ…もし子ができればこの上なく幸せだ」「そうですね(ゥッ…)お子を授かれたらどんなに良いか」永琪は急に泣き出した胡蕓角を心配した。確かに時々、体調が悪いように見える。胡蕓角は咄嗟に月の障りだと笑って水風呂の準備に向かったが、何も知らずに自分を愛してくれる永琪を思うと忍びなかった。皇帝は重用する永琪を栄(エイ)郡王に封じた。しかしすでに第5皇子には田蕓児(デンウンジ)を送り込んでいることから、進忠は次に嫡子の第12皇子を狙うよう炩妃に進言する。「母と子は一蓮托生、皇后が倒れれば12阿哥も終わる…」「…実の子が母親を陥れたら最高ね、私の恨みも晴らせるわ」すると進忠は凌雲徹を殺すべきだと言った。いつか皇帝と皇后がまたよりを戻せば、皇后の逆襲が始まって今までの苦労が水の泡になる。皇帝と皇后の間に溝を作った凌雲徹をもう一度、利用し、2人を完全に決裂させるのだ。「…難しいわ」「嫌なら忘れてください」進忠はまだ炩妃が凌雲徹に未練があると疑った。「嫌とは言ってない…誤解しないで、死なせるなら私たちに有利な死に方でと…」「そういうことです♪」急死した叔母の葬儀に出かけていた春嬋が帰って来た。叔母は南粤(ナンエツ)で採れる野生の茸(キノコ)を食べた後、朦朧として誤って池に落ちて死んだという。実はその茸が毒茸で、どうやら食べ過ぎると幻覚症状が現れると分かった。しかし茸を売った本人は毒茸だと知らなかったと責任逃れ、春嬋は茸と一緒に牢に入ればいいのにと悔しさをにじませる。すると衛嬿婉はふと思いつき、ならばその毒茸を証拠品として手に入れるよう指示した。第12皇子付きの太監・小栗子(ショウリツシ)は食事の給仕をしていた。すると永璂は今ごろ母が御花園で花を観ているはずだと思い出し、予定を変えて母と一緒に花を観たいという。小栗子は母思いの皇子に感心し、思わず凌雲徹の悪口を言った。「あいつのせいで12阿哥は皇后娘娘とお会いになれません… 噂を聞くたび耐えられなくなります 皇后と小凌子が抱き合っていたとか…」「でたらめを言うと許さぬぞ!」小栗子は口が滑ったと謝罪し、咄嗟に料理を進めた。「この茸料理は特に作らせたものです、南方から取り寄せた珍しい食材です」「うん、美味だ、もっとくれ」永璂は好みの味付けも相まって、その茸を食べ続けてしまい…。一方、掃除係の凌雲徹は急に御花園の落ち葉の掃除を言いつけられた。「特に梅の木の下はきれいにしろ、そろそろ花の季節だからな」「はい」如懿は容珮と2人で御花園にやって来た。以前は必ず誰かが皇后に梅の花を届けに来たものだが、去年の冬から如懿は自ら御花園に赴き、梅の花を手折っている。如懿は梅の花を選別していたが、その時、掃き掃除をしている凌雲徹の姿を見つけた。「…凌雲徹?凌雲徹?」凌雲徹は驚いて振り返ると、梅の木の下に如懿が立っていた。「皇后娘娘、ご機嫌麗しゅうございます」「ちーらい…元気だった?」「お気遣いに感謝を…はぉ、元気です あの日、お別れの挨拶もできず翊坤宮を離れました…お元気そうなお姿を拝見し安心しました」「凌雲徹、ずっと謝りたかったの、私のせいであなたを苦しめてしまった」「滅相もない、苦しくなどありません、私の願いはひとつ、皇后娘娘が平穏な日々を送られること」「あなたも平穏な日々を…」「はい」すると凌雲徹はかつてそうしていたように、皇后に梅の花を手折らせて欲しいと申し出た。恐らくこれが愛しい人に梅の花を贈れる最後の機会になるだろう。如懿は喜んで待っていると、凌雲徹が梅の枝を折って持って来た。しかしちょうどその様子を母を探していた永璂が目撃する。小栗子は炩妃の指示で第12皇子に毒茸を食べさせていた。すでに幻覚症状が現れていた永璂は母と凌雲徹が抱き合っていると誤解、慌ててその場を立ち去ってしまう。容珮は凌雲徹が差し出した梅の枝を受け取ると、主人の元へ戻った。するとそこで凌雲徹は下がることにする。「体を大切にね」「はい…」2人は常に一定の距離を保ち、決して近づくことなく別れた。凌雲徹の後ろ姿にはかつての精悍だった侍衛の面影はなく、背中は丸くなっている。その哀れな姿を目の当たりにした如懿は無性に悲しくなり、涙をこらえられなかった。その頃、衛嬿婉は第12皇子の養育に必要な品があれば手配したいと口実をつけ、皇帝と一緒に延禧(エンキ)宮へ向かっていた。すると急に永璂が一目散に逃げてくる。弘暦は永璂を呼び止め、宮中を走り回るなと叱ったが、永璂の様子がおかしかった。そこへわざとらしく小栗子が現れ、皇帝と炩妃に拝礼する。「12阿哥が御花園に入ると急に叫び声が聞こえて…皇后娘娘と小凌子が抱き合っていると…」弘暦は驚愕し、永璂に何を見たのか問いただした。混乱した永璂は激しく動揺し、頭を抱える。「あり得ない…(フルフル)…本当に額娘と小凌子が…そんなの嘘だ!」永璂は小栗子に抱きついて号泣してしまう。つづく。゚(∩ω∩`)゚。凌雲徹の愛が…ってか、嫡子のお付きがこれって…如懿も海蘭も何してたのかと…
2020.03.02
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三生三世十里桃花 Eternal Love第51話「照歌と白浅」墨淵(ボクエン)が中庭から絶景を眺めていると、第17番弟子・司音(シイン)@白浅(ハクセン)がやって来た。「師父、煉丹(レンタン)房の掃除も終わりました」「…そなた達のおかげで崑崙虚(コンロンキョ)は昔の面影を取り戻した」「毎日、皆が一緒であの頃に戻ったようです…実は先ほど思い出していました 師父がここで私に代わり天劫(テンゴウ)を受けてくださったことを…」「そんな取るに足らぬ事をまだ覚えていたのか」「ウル…師父から受けたご恩は一生、忘れません、今後は必ずや師父に孝行を尽くします」「孝行…か」墨淵は改めて自分が白浅にとってただの恩師でしかないと思い知らされ、落胆した。そんな師匠の苦しい胸の内など知る由もない白浅は、四兄・白真(ハクシン)に夜華(ヤカ)の様子を人知れず見に行きたいと懇願していた。白真は色恋に夢中なことを兄弟子に知られたくないのかとからかい、線香1本分ならと条件を出す。その時、ちょうど崑崙山に雪が舞い落ちて来た。「四哥、折顔(セツガン)と裏山に行って雪景色を堪能して来たら?」白浅はなるべく長い時間、人間界に留まろうとしたが、白真は線香1本分だと念を押して送り出す。それにしても人間界の夜華はまだ10歳、白浅は一体、何のために行ったのだろうか。白真は急に興味が湧き、結局、折顔との碁を放って追いかけて行った。人間界も崑崙虚と同じように粉雪が舞っていた。白浅は学堂に忍び込み、夜華の生まれ変わりである照歌(ショウカ)を発見する。照歌は名家の神童として育っていたが、驚いたことに右腕を失っていた。…天君は自分の孫に容赦ないのね、人間界でも右腕がないなんて…その夜、白浅はすでに眠っていた照歌の部屋を訪ねた。急に灯りがついたことで目を覚ました照歌は、枕元に美しい女性が座っていることに気づく。「まだ夢の中か…」照歌は再び寝ることにしたが、白浅に起こされた。「え?夢じゃないの?…あなたは誰?どうやって入ったの?」「私は青丘の小仙よ、天機を盗み見て10年後に私たちが結ばれることを知ったの だから未来の夫を見に来たのよ?」白浅は照歌が自分のことを忘れないよう、数珠を贈ることにした。そこで手首にはめてやりながら、自分の代わりにそばにいると教える。すると照歌は数珠のお返しに首から下げていた玉佩(ギョクハイ)を贈った。「ありがとう、毎日、身に着けるわね」「僕も毎日、着けるよ」「絶対に他の女子を娶っちゃ駄目よ?じゃあ、暇ができたらまた来る、将来あなたに嫁ぐわ」「あぁ?」白浅が屋敷の中庭に出ると、白真が待っていた。「興味半分で見に来たが、まったく驚いたな~かくも幼い少年さえ束縛するとは…」「女難に遭わないようにしただけよ」「白家で一番、嫉妬深い白鳳九(ハクホウキュウ)の母親をしのぐな~」翌朝、目を覚ました照歌は手首にある数珠を見て驚いた。どうやら昨夜の神仙はただの夢ではなかったらしい。そこで早速、青丘という場所を探してみたが書物では見つからず、学堂の師匠に聞いても知らないという。一方、人間界から戻った白浅と白真は、崑崙虚の正門でうなだれて座っている白鳳九を見つけた。「私の小姑奶奶、なぜここへ?」白浅は鳳九に降り積もった雪を払いながら、二兄に見つかればまた折檻されてしまうと心配する。しかし鳳九は心配無用だと言った。「父上は帝君が絶対に私を娶らないと知って、もう止めなくなったのです」白浅は深く傷ついた鳳九を思わず抱きしめた。「バカな子ね、未だに東華帝君を諦められないなんて…」そこへ運悪く墨淵と折顔が正門に現れ、白浅は思わず何も言わないよう合図する。(´ ・3)b<シー「諦めるなんて無理です…ゥッ…罵られても苛められてもやっぱり忘れられません…ウワーン 姑姑だって太子殿下を忘れろと言われたら忘れられますか?」( ̄▽ ̄;).oO(師父たちの前で何てことを…「姑姑が言いすぎたわ…ヨシヨシ」「ちゃんと答えてください…忘れられますか?」「…いいえ」白浅の答えを聞いた折顔は思わず失笑、鳳九は慌てて後ろを振り向いた。「老鳳凰!なぜ立ち聞きを?!」「小殿下、私と墨淵はずっとここにいたぞ?」「なら遠慮してよ、女子の会話をこっそり聞くなんて…失礼よ!ってか、目覚めたの?」鳳九は炎華洞(エンカドウ)の仙体しか見たことがない墨淵を指差し、うっかり暴言を吐いてしまう。「鳳九!師父に無礼なことを…」「はっ!鳳九をお許しください、その~突然、生身のお姿を拝見したもので…あ、違うっ! お元気で堂々たるお姿に目を奪われただけです」「良いのだ」寛大な墨淵はまだ年若い鳳九の失態など気にしなかった。折顔は昔、墨淵に贈った数万年物の古酒があると話し、蓮池の前に酒席を設けた。酒に弱い白鳳九はすっかり酔っ払い、折顔に東華帝君の過去を知りたいとせがむ。「東華か~墨淵よりも色恋に無縁だな~」「どうして無縁なの?帝君も男でしょう?」「小九よ、現実をよく見ろ~帝君はかつての四海八荒の主、並の男ではない まったく~よりによってあのような男を選ぶとは…」「文句つけないで~」鳳九は悪態をついたかと思うと、うとうとして来た。折顔は鳳九が白浅に似ず酒に弱いと笑ったが、白浅は弱い方がすぐ酔えるという。「それで帝君が色恋に無縁な訳を知っている?」すると黙っていた墨淵が急に口を開いた。「四海八荒のためだ」「いかにも、世を守るためだ」翼(ヨク)王・離鏡(リケイ)は天宮を訪ねた帰り、崑崙山のふもとにやって来た。臙脂(エンジ)と煉丹炉を借りに来た時は難なく登れた山も、今は霊気が強いため近づくことさえ難しい。「墨淵が戻ったのだな…」崑崙虚で目を覚ました白鳳九、すると白浅が現れ、白真が待っていると教えた。そこで改めて女帝の座を継いで欲しいと頼んだが、鳳九は帝君をあきらめろと言う意味だと気づく。「姑姑が譲位するのは天宮に嫁げば青丘の民を守れないからでしょう? 私だって帝君に嫁げば青丘の民を守れません、それなのに… 私に譲位するのは青丘に私を留めるため?」「…帝君を忘れなさい」「でも姑姑だって太子殿下を忘れられないと言いました 自分ができないことを私にやらせるの?!」「よく聞いて、あなたと帝君は結ばれない運命にあるの」「姑姑は私の味方だと思っていたのに… 白家の皆が私を縛り付けても姑姑だけは帝君の心をつかめと応援してくれると信じてた ウッ…女君にはなりたくない、だって2度と九重天に行けなくなっちゃうもの!」すると鳳九は号泣しながら飛び出して行ってしまう。翼界では先王が戻ると言う噂が広まり、ついに各地で反乱が起こり始めた。臙脂は応児(オウジ)をあやしながら二兄の帰りを首を長くして待っていたが、いざ戻って来た離鏡は天族太子はもちろん天君にも東華帝君にも会わなかったという。「知っているか?阿音と太子殿下は間もなく婚儀を行う 天族と青丘の婚姻でもあるから、四海八荒で最も盛大な婚儀となる ふっ、かつて俺は翼族の王子として最高の婚儀を行えると思っていた だが殿下と比べれば滑稽でしかない…」「二哥…白浅上神のことがまだ好きなのね、でも…」「墨淵上神の元神がすでに戻った、崑崙虚にいる阿音は大喜びしているはずだ」「元神が戻ったの?二哥、それなら墨淵上神に話しましょう? 私たち兄妹の命こそ父上の功力の法宝、大哥が死んで父上は仙力が大きく増しているから、 じき封印を破ってしまうと…」しかし離鏡は駄目だと言った。擎蒼(ケイソウ)が東皇鐘(トウコウショウ)を出たら誰かが封印しなくてはならない。そうなれば司音が再び墨淵に元神を離散させるとは到底、考えられず、必ずや自ら封印に行くはずだ。離鏡は嫁入り前の司音に何かあってはならないと訴え、急に臙脂の前にひざまずく。「臙脂…我が子を頼む、父上の子はじきお前1人だけになる、翼界もお前に任せたぞ」すると離鏡は臙脂をいきなり眠らせ、東皇鐘の件が済むまで極寒の地に監禁するよう命じる。火麒麟(カキリン)は主のそばにいたいと懇願したが、離鏡は我が子と臙脂を託せるのは火麒麟だけだとなだめた。「俺が死んだら臙脂を次の君主にしろ、神獣のお前が臙脂のそばにいれば誰も臙脂を傷つけない 父上と俺が死ねば、皆、臙脂を君主として認める…早く連れて行け!」離鏡は背を向けたまま突き放すように火麒麟を追い出し、決して見送ろうとしなかった。「…7日だ、あと7日あれば、俺は必ずやり遂げる」一方、夜華から東皇鐘を見張るよう命じられていた天枢(テンスウ)は土地神から一報を受けて若水河畔にいた。ここ数日、若水はなぜか激しく波打っているという。「用心しなければ…」その夜、毎日、忙しく立ち働いていた白浅は、正殿でうたた寝していた。すると折顔が現れ、また客人だと脅かす。「はっ!お茶を出して~!(なんだ〜)折顔~もっと寝かせてよ~昨日は休めなかったの」「大事な用で来た」折顔は墨淵が7日後から閉関すると教えた。その際、療養もできるよう丹薬を作るため、白浅にも手伝って欲しいという。墨淵が戻って11日になるが、夜華の修為でどうにか目覚めたものの、身体はまだ弱っていた。「今日は師父に会いに行け、またしばらく会えなくなるぞ?…半年、あるいは10年かもな」墨淵は房間で琴を奏でていた。かつて自分の琴の音を聞くと心が安らぐと言った司音…。その時の司音の笑顔を思い出しながら弦を弾いていると、白浅が桃の花を持ってやって来た。「師父、明日から丹薬作りを手伝うのであいさつに来られません 今日は桃の花を換えに来ました、16師兄に頼んだので今後も毎日、換えてくれるはずです」「そのためにここへ?」「師父…師父が戻ってから毎日が忙しくて、ゆっくりお話もできませんでした 折顔の話だと閉関されるとか…だから会いに来たのです…お邪魔でしたか?」「めいよー」「私は入門したての頃、駄々っ子で、師父が琴の名人だと知ると毎日、弾いてとせがみました ご記憶ですか?」「覚えている」「そう言えば夜華の琴は聞いたことがないわ」「…夜華はよくしてくれるか?」「彼は師匠の優しさとは違いますが、真心で接してくれます」「…それはよかった」「あ、雪だわ」その頃、正殿でひとり碁を解いていた折顔は再び聞こえて来た墨淵の琴の音に気づいた。「…すれ違いだな、上手くいかないものだ」すると第2番弟子・長衫(チョウサン)がやって来る。そこで折顔は崑崙虚で作る桃の花の蜂蜜を土産にもらうことにした。「甘すぎて子供しか好みません…上神のお子様に?いつのまに所帯を?」「あ…いや、白真上神のことだ」「確かに上神にとって白真上神はまだ子供ですね、今すぐ持って参ります」白浅は窓から雪をながめながら師匠の琴を聞いていた。「あ、寒いですか?窓を閉めますね」「必要ない…夜も更けた、17ももう戻って休め」「すみません、師父には静養が必要なのに…17先告退了」つづく( ;∀;)しふぉ〜!
2020.09.09
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三千鸦杀 Love of Thousand Years最終話「再会の日を願って」覃川(タンセン)が目を覚ますと朝になっていた。しかし傅九雲(フキュウウン)の姿が見えない。「九雲?…九雲?!」覃川は九雲を探して出雲(シュツウン)閣を飛び出すと、竹林へやって来た。そこには決戦の前に2人で名前を刻んだあの竹がある。覃川は竹の名前を眺めながら、昨日の記憶をたぐり寄せた。確か玄珠(ゲンシュ)が自分の身代わりとなって霊灯に魂を捧げたところまでは覚えている。あの時、必死で止めようとしたが間に合わず、吹き飛ばされたところで記憶は止まっていた。覃川はその時、全てを悟る。玄珠が魂を捧げて霊灯をともしたのなら、灯心の九雲は…。(´-ω-。` )おぅ…覃川は竹にもたれかかり1人で泣いた。そこへ眉山(ビザン)君が迎えにやって来る。眉山は妖王の呪いを解かねば1年以内に死んでしまうと警告したが、九雲が消散してしまった今、覃川にはもはや生きてる意味などなかった。「九雲に会えるなら、今すぐ死にたい…(涙」「生きていればまた会えるかもしれないぞ?これが永遠の別れではない」覃川は眉山の気休めだと分かっていた。しかし眉山は覃川の居場所を九雲から聞いたという。確かに灯心として魂は飛散したが、時が経てば再び姿を取り戻すかもしれない。眉山は全て九雲から伝えられた話だと教え、覃川の治療も託されたと言った。「生きろ、九雲は必ず戻って来る、あいつを待て」覃川は眉山の山荘に身を寄せた。幸せだった思い出を胸に九雲の帰りを待つ日々、やがて季節も流れ1年が経ったが、結局、九雲は戻って来ない。そんなある夜、覃川が竹林で物思いにふけっていると、すでに酔っ払った眉山が現れた。「お前はもう大丈夫だ、飲め、呪いは全て解けた、快気祝いだ」眉山は覃川にひょうたんを渡した。しかし覃川は中身が薬だと分かって投げ返してしまう。「この1年、飲み過ぎよ?」「俺はわざと酔っているんだ~お前の嘆きを聞かずに済むようにな?」覃川は小さくため息をつき、ただ黙って遠くを見つめていた。「この竹林は鳳眠(ホウミン)山にあったものだ、ここでおとなしく九雲を待っていればいい」すると覃川は竹に刻まれた2人の名前を袖で拭き始める。「なんだ?まだ疑っているのか?九雲は約束したんだ、必ず帰るとな あいつが元の姿に戻るまで…ふっ、あはははは~」「元の姿ですって?彼は燃え尽きて消えたのよ?もう嘘はつかないで…いいの、分かってる 私に生きて欲しいのよね?九雲もそう願っていた、幸せになって欲しいのね ふっ…でも無理なの、彼のいない世界では生きる価値もない」「よく聞け、九雲は必ず戻る、絶対に…」「そう信じているなら、なぜお酒ばかり飲むの?!」覃川は眉山が毎日ひとりになると泣いていたことを知っていた。「分かってるわ…九雲にはもう会えないって…2度と…」「…九雲め、俺たちを悲しませるなんて、許せん!お前なんか待つものか!」眉山はまた酒をあおった。「私、もう…あなたを待つのはやめる」この世界から妖魔が消え去り、人々は平穏を取り戻していた。その日、師匠の墓参りに来た桃小令(トウショウレイ)、ふと懐かしい人の気配を感じて振り返ったが、誰もいない。一方、桃源(トウゲン)鎮では酥油餅(スーユービン)屋の店主がいつの間にか″仙客 来たる″と看板を掲げていた。店主は焼き立ての酥油餅を客の席まで届けて戻ったが、いつの間にか酥油餅が1枚消え、銭が置いてある。その頃、左相国(サショウコク)と左紫辰(サシシン)は学堂を開いていた。紫辰はちょうど子供たちを教えていたが、ふいに門の外を懐かしい人が通り過ぎたような気がする。そこへ秋華(シュウカ)夫人がやって来た。「どうかした?」「いいえ…何でもありません」すると秋華夫人は子供たちの服を洗ったので皆に返すよう頼んだ。皋都(コウト)の燕燕(エンエン)飯店は今日も繁盛していた。すると郭(カク)大婶がふと誰かを探すように通りを眺めている。そこへ老板娘がやって来た。「何を見ているの?」「何でもないわ」その夜、宮殿では皇帝となった亭渊(テイエン)が政務に追われていた。趙(チョウ)管事は帝位に就いて以来、働きづめの亭渊を心配し、そろそろ休んではどうかと進言する。「大丈夫だ」疲れた亭渊を癒すのはふと漂う龍涎香(リュウバンコウ)の香り、亭渊は今でも腰に下げている香袋を手に取ると顔をほころばせた。その時、ふと予感がして突然、席を立ち、慌てて書斎を出て行ってしまう。「陛下?どうなさいました?!」覃川は九雲を待つのをやめて自ら会いに来た。宮殿に保管されている霊灯の前に立つ覃川、まるで九雲と過ごした幸せな日々が昨日のことのように思える。すると急に霊灯が輝き出した。覃川は愛おしそうに霊灯に触れると、ちょうどそこへ亭渊が駆けつける。「川兒っ!」しかし門を開けた瞬間、霊灯からまばゆい光が放たれ、驚いた亭渊は思わず目を覆う。そして再び目を開けた時にはすでに覃川と霊灯が消えていた。…ここは驪国帝女の寝殿風邪で寝込んでいた帝女が目を覚ますと、両親の顔があったすると帝女が突然、泣き出してしまう『私は燕燕(エンエン)じゃない…燕燕じゃない…うわ~ん!』何事かと思えば帝女はおかしな夢を見ていた『夢の中である老先生に言われたの、私は川兒(センジ)として新しい生活を始めるんだって 父皇と母后と離れたくない!うわ~ん!』皇后は娘が高熱で幻覚を見たのかと慌てたが、皇帝は心配ないと言った…やがて美しく成長した燕燕、しかし帝女は阿満(アマン)の顔になった覃川だった。…燕燕は久しぶりに宮中を訪ねた従姉妹・玄珠(ゲンシュ)をもてなしたすると玄珠は急に優しくなった燕燕の変わり様に驚く『燕燕も大人になったと母亲は褒めていたけど、どうせまた悪巧みでしょう?』『玄珠姐姐と姨娘のことが本当に好きなだけよ』そこへ兄が文才を誇る左紫辰を連れてやって来た互いに好印象を持つ玄珠と紫辰、すると燕燕は音楽の才能があるなら玄珠とお似合いだと行って早々に退散してしまう燕燕は遠目から琴を奏でる紫辰と耳を傾ける玄珠の姿を見たが、なぜかとても幸せな気持ちになった燕燕が寝殿に戻ると侍女が出迎えたそこで燕燕は自分も琴を弾くことにしたが、なぜか弾き方が思い出せない『阿満?』『公主?私の名は小翠(ショウスイ)ですよ?』『あ、そうだった…ねえ、″東風桃花曲(トウフウトウカキョク)″の弾き方を忘れてしまったの』『それは大変ですね~』『…昨日のあの曲よ、曲名は東…何だっけ?』『公主、私に聞かないでください、音楽のことなんて分かりません』そんなある日、燕燕は兄と書房にいた兄が書写している間、画を見ていた燕燕、しかしこの桃の木の画になぜか違和感がある確かこの絵には詩と琵琶が書いてあったような…『琵琶が…』『燕燕?何だ独り言なんか言って』『独り言?私が何か言った?』『琵琶がどうとか?』『琵琶?聞き間違えじゃないの?この絵には琵琶なんてないもの』すると燕燕の脳裏にふと絵の中に飛び込んだ時の記憶が蘇るあの時、確かに絵の中には琵琶が置いてあった…この絵を返そう…燕燕は振り返ったが、そこにいるのが誰かは思い出せないその時、突然、涙があふれ出した燕燕は自分でもなぜ泣いたのか分からず、困惑するある夜、燕燕が急に泣き出した夜番だった小翠は慌てて駆けつけると、燕燕は白衣の男の夢を見たという『その人に言われたの、″そなたはもうすぐ私を忘れ去ってしまう″って… 思い出したいのにどうしても思い出せないの!」小翠は悲しみに暮れる公主を抱きしめ、夢など忘れるようなだめた皇后の誕生日、皇帝は燕燕の許嫁である天原国太子・亭渊を招いた亭渊は皇帝と皇后に挨拶を済ませると、新婚祝いに父が集めてくれた宝物を燕燕に届けに行くその中には香取(コウシュ)山主からの贈り物があった『どういうわけか絵を贈って来たらしい』亭渊は燕燕が興味を示した仙画を早速、広げて見せる画集は色々な人物が描かれていたが、一番最後に白衣を来た男の姿絵があったすると燕燕は急に涙を流したかと思うと、やっと大切なものを見つけたかの様に微笑む全ての記憶を取り戻した燕燕、その時、急に絵の中に吸い込まれて行った覃川は気がつくと桃花の絵の中にいたすると椅子の上に確かに琵琶がある『あなたなのね?』桃の木の下では白衣の男が琴を弾いていた『川兒…』覃川はついに九雲と再会を果たし、固く抱き合った…完工エエェェ(;╹⌓╹)ェェエエ工何度も言ってますけど、最終回で全ての印象が変わるわけですよせっかく後半で盛り上がったのにねえ~何これ?(笑それとも本国では原作を知っていることが前提でドラマを見るものなの?それなら失礼しました( ̄▽ ̄;)ではココノコボ的最終話考察です!突然、霊灯と共に消えた覃川、覃川が戻ったのは過去の驪国でしたそもそも妖王は妖神を復活させて三界を掌握するのが目的そのため人間たちの本来の命数を改ざんして妖神を広めて来たのですしかし霊灯がともって妖界が消滅したため、人間たちは元の正しい運命に戻ったと予想恐らく燕燕が戻ったのは妖王が命数を変える前の世界、もちろん今後、燕燕にあの悲惨な運命が訪れることはありません正しい世界では当然、妖王が送り込んだ靂渊もいない、亭渊が大皇子として燕燕の許嫁として登場しますそして帝女は本来、阿満の顔でした〜というオチで次に傅九雲です九雲に関しては眉山君の言葉にヒントがありましたドラマでは眉山君が覃川に「灯心として魂は飛散したが、時が経てば再び姿を取り戻すかもしれない」と言っています実は原作ではもう少し詳しく説明があるそうで「もし霊灯がともされたら彼の魂は飛散し、どこかで眠りにつく、そしていつか誰かが霊灯を消すことができれば、彼はまだ戻ってくるだろう」と…(  ̄꒳ ̄)はて、霊灯を消す?何が?そこで思い出したのが覃川のセリフです確かに覃川が亭渊に「霊灯は燃え続け、苦しみも永遠に続く」って言ってましたね~覃川の深い愛情が消したのか、ともかくw覃川が霊灯を消したことで九雲も目覚めたのでは?(灯心九雲=霊灯、九雲も霊灯の中で一緒にいられると言ってましたし、霊灯で寝ていたと予想)ここで忘れてはならないのが、記憶が消えたのは人間だけで仙人たちは全て覚えているという点です香取山主は心を入れ替えて修行に出ましたが、恐らく九雲のために燕燕にわざわざ画集を贈ったのでしょうそれを見た燕燕はほとんど忘れかけていた記憶を取り戻し、九雲がこもっている仙画の中へ引き込まれたのです…もし映像化したとすると…覃川が霊灯の前に立ち、実は燃え続けていた霊灯を消す覃川と霊灯が消える→この後、亭渊や左紫辰たちも砂の様に消散→物語の世界も全て消散その頃、天界では司命星君が人間界の命運簿を見て、無事に正しい命数に戻ったと安堵天君に「妖王が歪める直前の時間に戻しました」と報告…こんなイメージです以上が管理人の解釈になります、主観につきご容赦ください(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾ペコ
2021.05.10
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第1話「波乱を起こす少女」『契丹(キッタン)は″精鋼(セイコウ)″を意味する 広大な草原で生きる者は願う、鉄のごとく強靭でありたいと…』統和(トウワ)27年、蕭綽(ショウシャク)は幽(ユウ)州の城壁にある燕雲台(エンウンダイ)に立ち、広大な草原を眺めていた『我ら遊牧民は風雪に耐え、ある伝説を残した…』時を遡ること天禄(テンロク)5年、帰化(キカ)州祥古(ショウコ)山、物語はここから始まる『世宗皇帝は掟を破り、漢人の女子を皇后に立てた 漢制(漢族の制度)に倣うという決意を示したのである、しかし守旧派の反対を甘く見たため、 祭祀は血に染められ、私に関わる人たちの運命がかき乱された』守旧派は祭祀を襲撃、遼の世宗・耶律阮(ヤリツゲン)と甄(シン)氏は惨殺され、蕭(ショウ)皇后と大皇子も巻き込まれてしまうそれから18年が経った『私は当時、女子の強さを証明したくて草原一の馬を手に入れようと躍起になっていた…』蕭燕燕(ショウエンエン)は馬を賭けて耶律磨魯古(ヤリツマロコ)に戦いを挑んだ。すると燕燕は軽やかな身のこなしで見事に立ち回り、ついに屈強な男を押さえ込むことに成功する。一方、幽州の軍営では統領の韓徳譲(カントクジョウ)が烏合の衆を短期間で見事に鍛え上げていた。そこへ軍馬が到着したが、ちょうど雷鳴がとどろき、漆黒の馬が暴れ出してしまう。兵士たちは暴れ馬を止めようとしたが、片っ端から跳ね返された。その時、韓徳譲が暴れ馬にまたがり見事に手なずけ、その褒美として馬を譲り受けることが許される。「馬体は真っ黒だが蹄は白い、烏雲(ウウン)が残雪を蓋(オオ)うかのよう…名は烏雲蓋雪(ウウンガイセツ)だ」そんな韓徳譲に上京(ジョウケイ)から一通の文が届いた。…徳譲、懐かしき我が友よ、別れて早くも数年が経つ、早く上京に戻ってこい…それは旧友・明扆(メイイ)からだった。韓徳譲はまだ幼い頃、耶律磨魯古たちにいじめられたことがあった。その時、まだ幼名で″明扆大王″と呼ばれていた耶律賢(ヤリツケン)が助けてくれる。二人はそれ以来の朋友、そこで韓徳譲は耶律賢のため上京へ戻ることにした。街に戻った蕭燕燕は偶然、美しい漆黒の馬を見かけた。…耳が尖っている、草原一の馬だわ!…そこで燕燕は密かにつぶてを投げて馬の額に命中させた。韓徳譲は突然、興奮した烏雲蓋雪馬をなだめた。仕方なく馬から降りて巻き込まれた娘に謝罪する。「あなたのせいで私の馬が驚いたわ、その馬で弁償して」「驚かせてすまなかった、ただこの馬は気性が荒いのでね…チッ」韓徳譲は面倒な娘に絡まれたと思い、早々に立ち去ろうとする。「ちょっと、ゆすりじゃないわ、私に売ってくれない?」「…本気か?都で最高の馬は金2両はする、この馬は6両だ」すると娘は失笑し、10両入った銭袋をつかませ、烏雲蓋雪にまたがってしまう。「ダメだ!御せないぞ!」「私に御せない馬はない…って、ぅわあぁぁぁぁーっ!」烏雲蓋雪は娘を乗せて暴走、韓徳譲は慌てて娘の馬に乗って追いかけた。燕燕を乗せた烏雲蓋雪は運悪く死刑執行中の刑場に飛び込んだ。図らずも刑場を襲撃した燕燕は官兵たちに包囲され、烏雲蓋雪から振り落とされてしまう。しかし危ないところで韓徳譲が現れ、燕燕を抱き止めた。官吏は激怒し二人を捕らえるよう命じたが、韓徳譲は娘が落とした腰牌を拾い、起点を利かせる。「実は…我らは宰相(サイショウ)家の者です」仕方なく燕燕は男から自分の令牌を取り返し、身分を利用した。「私は北府(ホクフ)宰相・蕭思温(ショウシオン)の娘・蕭燕燕よ」燕燕はこの男なら自分の馬丁(バテイ)だと嘘をつき、見逃してくれるなら父もこの恩を忘れないだろうとほのめかした。燕燕と韓徳譲は無事に解放された。しかし燕燕はなぜ男が令牌の家紋を見ただけで宰相と分かったのか怪しむ。韓徳譲は蕭家が名族のため見たことがあるとごまかし、先を急ぐことにした。すると燕燕は男を引き止め、刑場で助けた代わりに馬を譲れと迫る。「救ってくださり感謝いたす、この10両は返そう」「どうしても買いたいの」「君の命を奪いかけた馬だろう?」「気性が荒いから気に入ったのよ?…助けたのに恩知らずね?あなたは南方の軍隊の者でしょう? 平服を着ているけれど、鞍(クラ)と鎧(アブミ)を見るに辺境部隊か留守部隊の者ね? 身分証がないなら通行手形も持っていないはず、つまり無断で都へ入った 人に言えない秘密があるんだわ」韓徳譲はなかなか観察眼に優れた娘に根負けし、馬を譲ることにする。「じゃあ遠慮なく!」喜んだ燕燕は馬にまたがると、颯爽と駆けて行った。その頃、草原では蕭家の二小姐・烏骨里(ウグリ)がもめ事を起こしていた。烏骨里は謎かけでひとり勝ち、装身具を奪われた娘たちは不満を募らせる。するとある高官の娘が負けを認めず、謎かけを終わりにしようと言い出した。「ただの遊びでしょう?后族(代々皇后を輩出している一族)の娘は欲が深いわね」憤慨した烏骨里はかんざしを奪おうと娘に手を出し、その場は大騒ぎになってしまう。「おやめなさい!」その声は蕭家の大小姐・胡輦(コレン)だった。胡輦は装身具を全て娘たちに返した。「蕭家は強欲ではないけれど、侮らないで…それにあなたが謎かけを提案したのに、とぼけたわね?」すると娘は確かに自分が装身具を賭けようと提案したと認める。ただし自分が負けたのは烏骨里がお題を出したからに過ぎないと言い返した。「蕭家の大小姐は聡明だと評判だわ、是非ここで証明して」「私が勝ったら烏骨里に謝りなさい」「はお」しかし娘たちは大小姐の評判が事実だと思い知ることになった。蕭家を揶揄した娘は潔く負けを認めた。しかし胡輦も妹が失礼だったと謝罪する。「賭けはおしまいに…私たちは高官の娘よ、お互いに言動に気をつけましょう さもないと家族に迷惑をかけることになる」すると娘は丁重に拝礼して帰って行った。上京の王宮、再会を果たした耶律賢と韓徳譲は熱い抱擁を交わし、旧情を温めた。「お前は10代で幽州へ、きっと辛酸をなめたであろう」「この通り元気だ、明扆こそ辛い思いをしたのでは?」「耶律璟(ヤリツケイ)は祥古山で察割(サツカツ)の乱を利用し、父上の帝位を奪った… 私は敵を討つために生きている」「私が戻った以上、今後は必ず力になる」一方、蕭家の三姉妹は願掛けに来ていた。胡輦は燕燕が連れて来た馬を見ると、すぐ並の馬ではないと気づく。鼻が高い燕燕は10両で買ったと教えたが、殿方とお洒落にしか興味のない烏骨里にはその価値が分からなかった。「馬が何の役に立つの?」「まあ見てて、射柳(シャリュウ)大会のあと、この馬は草原中に名を馳せるわよ!」しかし胡輦から皇帝が視察に来る大会で問題を起こさぬよう釘を刺されてしまう。胡輦は妹たちに帯を渡した。実はこの帯を木に結んでからひと月後に持ち帰ると願いが叶うと言われている。命の源であり希望でもある水、木のそばには必ず水源があるため、契丹人は木を祭って子孫繁栄と平和に感謝して来たのだ。胡輦は早速、家族の幸せを祈り始めたが、燕燕は二姐の祈願が殿方との良縁しかないと分かっている。「それ以外に何を祈るって言うの?結婚は女子にとって一番、大切でしょう? 燕燕、ならあなたは誰かに心が動いたことはないの?ほんの少しでも…」すると燕燕の脳裏にふと刑場で自分を抱き止めてくれた男の顔が浮かんだ。韓徳譲は権力の中枢に近づくため、身分が必要だった。そこで耶律賢はまず射柳大会で優勝し、郎君(ロウクン)軍の統領になるよう指示する。(郎君軍:皇族の子弟を中心とする禁兵)「すでに機は熟した、私は先帝・耶律阮の子だが、帝位の奪還には后族の支持が必要だ ますはその鍵となる者に会いたい」すると耶律賢は父の形見を預け、これを見せれば分かるはずだと言った。燕燕は結局、願掛けを止めた。ここで帯を結ぶだけで何もしなければ、何も得られない。「述律(ジュツリツ)太后は14歳で太祖の阿保機(アホキ)様に嫁ぎ、その若さで政務を執った …確かに私は幸せだけど、こんな暮らしはつまらない 私は大姐や二姐を見習えない、私は毎日この大草原で狩りをして戦をしたいの! 述律太后のようになりたいわ」胡輦は空想ばかりしている妹を父が案じていると知っていた。そこで亡くなった母も燕燕の平穏を願っていると言い聞かせたが、燕燕は射柳大会に女が出場できないのは不公平だとふて腐れてしまう。后族の支持が必要なのは皇太叔(コウタイシュク)・耶律李胡(ヤリツリコ)も同じだった。すでに一部の皇族と接触し支持を得ていたが、息子の喜隠(キイン)に何としてでも明日の射柳大会で優勝を果たしてもらう必要がある。「さもなければ兵権を奪う機会はない」「父上、ご安心を…手は打ちました」蕭思温は耶律李胡からの文を読んでいた。…じき春㮈鉢(ナバ)が始まる、できることならその時、蕭殿と二人で語り合いたい…目を通した蕭思温はすぐ文を燃やすと、そこへ三姉妹がやって来た。「お前たちに伝えておく、春㮈鉢の期間はみだりに出歩くな」当然、射柳大会の見学も禁止され、特に腕白で面倒ばかり起こす燕燕は父から念を押されてしまう。すると家職が現れ、客人が来たと報告した。「春㮈鉢の前には誰にもお会いにならないと伝えましたが、客人がある言葉で翻意なさるはずだと… ″祥古山″です」驚いた蕭思温は娘たちに下がるよう命じ、虎思(コシ)に客人を通すよう指示した。父はなぜ″祥古山″と聞いて顔色を一変させたのか。燕燕が首を傾げていると、胡輦は余計な詮索はしないよう叱る。「父上だけでなく、皇族の禁句でもあるの、身の破滅を招くわ」その時、前から馬を売ってくれた男が歩いて来た。燕燕は馬の件で訪ねて来たと誤解、銭なら払ったはずだと迫る。そこで韓徳譲は燕燕が強引に馬を奪ったので文句を言いに来たと嘘をつき、銭袋を返して失礼した。「徳譲では?」胡輦はその男に見覚えがあったが、帳簿の照合を頼まれたせいでうやむやになってしまう。韓徳譲は蕭思温との面会が叶った。そこで耶律賢から託された先帝の形見を差し出し、決断を促す。宰相も先帝と同じく漢制の推進を願っているはず、察割の乱を制圧した宰相が国の危機を見逃すはずはないだろう。「玉佩(ギョクハイ)の主が仰せです、春㮈鉢の時に会いたいと…」蕭思温は玉佩をつかむと、あの時の記憶が蘇った。当時、蕭思温は皇帝に漢人である甄皇后の祭司への参加を反対した。耶律屋質(ヤリツオクシツ)も改革を焦ればつまづく恐れがあると諫言、甄皇后も一理あると同意する。ふもとには南征を控えた大軍もいたことから、蕭思温はこの機に乗じて異心を抱く者もいると守旧派を牽制した。『漢制の推進は太祖の時代に始まった… 屋質、そなたは朕のために障壁を除け、他の輩と共に邪魔立てするな』すると世宗皇帝は甄皇后の手を取り、祖廟に入ってしまう。「分かっておるのか?私が玉佩の持ち主と会えばどうなるかを…」「遼の未来が決まります」そこへ突然、燕燕が入って来た。「父上!この人の話を信じないで!とんだ嘘つきなの!銭を渡しちゃダメよ!…来てっ!」燕燕は男の手をつかんで無理やり連れ出し、街まで逃げた。燕燕は男が父に告げ口したと思い込み、あの馬が惜しいなら返すと言った。しかし射柳大会が終わるまで待って欲しいと頼む。すると韓徳譲はあの馬なら刑場で救ってもらったお礼だと笑った。「くれるの?ぁぁ…返さないと思ったのね?大会が終わったら返すから」「どうか受け取ってくれ、君子に二言はない」そこで韓徳譲は馬の名前を教えた。「烏雲蓋雪?…烏雲が残雪を蓋うかのよう…良い名前ね、気に入ったわ」「今から言うことを忘れないでくれ 今日のことを誰かに聞かれても、私は馬の件で屋敷を訪ねたと答えて欲しい そうするのは君と蕭家のためだ」喜んだ燕燕は心を込めて烏雲蓋雪の世話をすると伝えた。つづく(  ̄꒳ ̄)またしても年齢詐称問題w<史劇ものでは恒例となりましたが、3人揃うとちとキツ…ゲフンゲフンそんなわけで(←どんな訳?)二小姐は″うこつり″表記ですが″うこっけい″みたいなのでピンインの″ウーグーリ″を採用します
2021.06.17
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第34話「去りゆく人々」蕭胡輦(ショウコレン)は草原で耶律罨撒葛(ヤリツエンサーグァ)の葬儀を行っていた。そこへ皇后・蕭燕燕(エンエン)が現れる。景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)は皇太叔への礼をもって罨撒葛に供物を贈り、胡輦を皇太妃に封じて国阿輦(コクアレン)斡魯朶(オルド)を託すと決めた。すると燕燕は流産のことを知ったばかりだったと胡輦を気遣い、また授かれるだろうと励ます。しかし胡輦には再婚など到底、考えられなかった。「今まで人のために生きて来た、これからは自分のために生きていきたい…もう嫁ぐ気はないわ 分かっているの、罨撒葛は大罪を犯し、決して許されぬと 頭では分かっていても心は恨みを捨てられない」「そんな価値もないわ、大姐には優しい人だったけれど父上を殺した黒幕なのよ?」「ごうら!価値は自分で決める…罨撒葛は死んだ、どんな大罪も共に天に昇り土へと還る もう言い争いたくもないわ」胡輦は気持ちの整理がつくまで斡魯朶を率いて不穏な北方を守りたいという。驚いた燕燕は危険だと反対したが、胡輦はまさか自分を疑っているのかと聞いた。「北方で独立するとでも?」「…思ってもいないわ」燕燕は胡輦の北方行きを認めるしかなかった。韓徳譲(カントクジョウ)は反旗を翻しかけた冀(ギ)王・耶律敵烈(ヤリツテキレツ)が守る南方を心配し、幽州へ戻りたいと嘆願した。景宗は確かに最大の憂いが解かれると理解を示したが、やはり燕燕は新政の好機に離れることを反対する。「新政は焦らず少しずつ進めるべきでしょう、官職の改革はすでに手がけられた 次は農耕の推進を…」徳譲の進言を聞いた景宗は、十分な兵糧を得れば遼の鉄騎も天下を駆け巡ることができると期待した。しかし燕燕は契丹人に農耕の習慣自体がないと指摘する。確かにそこが大きな問題だったが、徳譲はそれでも遼で最も重要な漢人定住地の幽州に行くことを譲らなかった。↓(꒦ິ⌑꒦ີ)ジョ〜行かないでジョ〜景宗は弟の寧(ネイ)王・耶律只没(ヤリツシボツ)を心配し、迎えに行った。しかし妻の大罪に深く傷ついた只没は俗世に見切りをつけ、余生は全身全霊で仏に仕えたいという。「皇兄、お引き取りを」こうして胡輦は高六(コウリク)、福慧(フクケイ)と共に国阿輦斡魯朶を率いて北へ発った。また韓徳譲も燕王府を離れ、妻の李思(リシ)と共に南へ出発する。その頃、頭にグサグサかんざしを刺したサンタクロースの燕燕は城楼で物思いにふけっていた。「上京が突然、空になった…一夜で全てが変わってしまったみたい…」それから11年の歳月が流れた…Σ( ̄。 ̄ノ)ノ えっ?!皇宮で景宗の再生儀が行われた。再生儀とは12年に一度、皇帝の再生を祝う儀式で、これにより皇帝は病や憂いが消えて魂が安らかとなり、生まれ変わったとされる。間もなく春捺鉢(ナバ)の季節、耶律休暇(ヤリツキュウカ)は北方の各部族が黒(コク)山の行宮へ向かっていると報告した。景宗は懐妊中の燕燕に留守番を勧めたが、燕燕は安定期になったと安心させ、この機会に北方の部族長にも会いたいという。何より自分がいなければ子供たちの世話は難しいだろう。皇子・隆緒(リュウショ)幼名・文殊奴(モンジュド)と妹の観音女(カンノンジョ)は今がやんちゃ盛りだった。その夜、参内した趙(チョウ)王・耶律喜隠(ヤリツキイン)が泥酔して帰って来た。「11年たってもあの軟弱者は生きてるっ!」王妃・烏骨里(ウグリ)は暴言を吐く夫に驚き、慌てて息子と側仕えを下げた。すると喜隠は漢制を進める景宗への不満が爆発、このままでは父との約束も果たせないと嘆き、酔い潰れてしまう。景宗と燕燕は黒山に到着、北方の部族とようやく顔を合わせることが叶った。しかし宴席で景宗が急に咳き込み、喜隠は早速、具合が悪いのかと揶揄する。燕燕は再生儀を終えた景宗なら壮健さを増したと公言し、遼の国と同じく末長く君臨するだろうと安心させた。こうして燕燕の助力により祝宴は滞りなく散会したが、天幕に戻った景宗は倒れてしまう。太妃の毒に冒された皇子はすぐ快癒したが、景宗は治療の時期を逃していた。もはや根本から治すことは不可能、そのため時に頭痛やめまいなどの症状が現れるという。景宗は燕燕に心配ばかりかけると気遣い、皇太妃に来るよう頼んでおいたと教えた。一方、幽州では韓徳譲と耶律敵烈がもめていた。敵烈はたった2ヶ月で太原(タイゲン)の包囲を許した北漢軍に呆れ、このままでは幽州が危険にさらされると訴える。しかし徳譲は守りの固い太原府より案ずるべきは幽州だと指摘した。鎮(チン)州に留まる南朝の精鋭軍が攻めて来る危険性もある。敵烈は属国である北漢を見捨てるのかと激怒したが、幽州防衛の精鋭軍は1万8000騎に過ぎず、石嶺(セキレイ)関の敵軍の約3万には遠く及ばなかった。「軽挙を慎み、陛下の援軍を待つべきです」徳譲の判断はどうてみても正しかったが敵烈たちは猛反発、石嶺関を攻めて郭進(カクシン)の部隊を全滅させてみせると意気込んだ。「ならぬ!我らの役目は幽州を守護すること!兵の南下は陛下の北巡が済んでからだ! それまで勝手な真似は許さぬ!私には南京留守(ナンケイルス)として無謀な行動を阻む権利がある!」「ワナワナ…私は堂々たる遼の冀王であり、南京の鎮守を任された! たかが南京留守が私に指図するのか?!」すると敵烈は憤慨して出て行ってしまう。胡輦が黒山に到着、燕燕は姉と再会を果たした。胡輦は痩せていたが、生き生きとして美しい。燕燕はそんな姉の姿を喜び、実はお腹に3人目がいると教えた。そこで北方に心を動かされる人がいないか聞いたが、胡輦は独りでも自由を謳歌していると笑う。景宗は病を押して北方の部族長をもてなし、あとは各首領を見送るだけとなった。一安心する燕燕だったが、その頃、幽州で敵烈が不穏な動きを見せる。敵烈は漢人臣下びいきの景宗にも不満があり、この好機に出征して息子・蛙哥(ワカ)に手柄を立てさせようと企んだ。黒山の行宮で蕭家の三姉妹が久しぶりに集まった。胡輦はすっかり大きくなった甥や姪と楽しい時間を過ごしていたが、燕燕は政務に忙しい。そんな皇后の様子を気にしながら、烏骨里(ウグリ)は姉も一緒に上京に戻ってしばらく一緒に過ごせると知り喜んだ。そこへ婆児(ハジ)が慌てた様子でやって来る。「皇后、北漢から急報です、南朝の北伐を知らせ、我らに援軍を送るよう求めています」幽州に隣接する北漢は南朝を牽制する存在、もし北漢が滅びれば遼は盾もなく南朝と戦うことになる。「南朝の皇帝が親征するとは…幽州の危機だわ」冀王と耶律沙(ヤリツサ)将軍が勝手に出兵した。しかも精鋭を1万も連れて行ってしまったという。信寧(シンネイ)から報告を聞いた韓徳譲は動揺を隠せず、南朝軍に今、攻められたら太刀打ちできないと焦った。ともかく守りを固めて南朝軍の奇襲に備えるしかない。一方、黒山では援軍の要請について協議が始まった。景宗は幽州から兵を動かすことに難色を示したが、実は燕燕も遼が兵を動かすべきではないという。「南朝軍は太原を落とせば太行山を越え鎮州に迫ります 戦線の拡大により糧食や武器など輸送に問題が生じるはず 北漢が再度、南朝と戦うなら南朝軍が疲弊するまで待つのです そこで我らの兵を南下させ新帝に打撃を…」景宗と休暇は素晴らしい作戦だと称賛、燕燕は早速、休暇惕隠(テキイン)に皮室(ヒシツ)軍の準備を任せた。耶律喜隠は烏骨里から北漢の話を聞いて飛びついた。そこで景宗の天幕に駆けつけ、出兵したいと嘆願する。しかし景宗は耶律李胡(ヤリツリコ)の系統でただ1人の喜隠を守らねばならないと反対、認めなかった。幽州に深傷を負った兵士が戻って来た。実は出征した冀王たちが待ち伏せに遭ったという。「冀王は白馬嶺で郭進の攻撃に遭い、苦戦を強いられ助けを求めています…どうか援軍を…」「まずい…」すると徳譲が恐れていた通り、南朝軍が攻めて来た。韓徳譲は最初から謀られていたと気づいた。無能な将一人で千の兵が無駄になり、冀王の身勝手な出兵で将兵を失うとは…。もはや北漢の太原に留まらず、幽州も危機に陥った。蕭討古(ショウトウコ)は景宗に援軍を求めるよう進言したが、徳譲は手遅れだという。「先日、兵の増員を求める文を送ったが…どうやら南朝軍は早くから謀っていたらしい」徳譲は早馬が敵に襲われ文が届いていないと気づいた。恐らく南朝軍は燕雲十六州を狙う気だろう。しかし遼の南の門戸である幽州を決して失うわけにいかなかった。つづく( ๑≧ꇴ≦)あははは~喜隠、全く成長してないのねwでも確かに死ぬ死ぬ詐欺だよねwさて来週はヒゲジョーの出番でしょうか?!
2021.10.02
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长歌行 The Long Ballad第40話「母の真実」漠北の使節団として故郷に舞い戻った李長歌(リチャングァ)。一行は長安の四方館に滞在することになったが、長歌は早々に会いたい人がいるという。「俺も行く」阿詩勒隼(アシラシュン)はそれが誰かを察し、思わず微笑んだ。李楽嫣(リラクエン)は魏(ギ)府の前でちょうど帰京した淑玉(シュクギョク)を見かけた。しかし淑玉は家に入る間も無く馬を引き返し、楽嫣にも気づかず走り去ってしまう。楽嫣は従者に声をかけ、淑玉が急いでどこへ行ったのか聞いた。従者の話では漠北の使者が滞在する四方館から戻り、すぐ参内したという。「何でも漠北で旧友に会ったとか…」楽嫣は漠北郡主が長歌ではないかと期待し、四方館を訪ねた。すると部屋から見覚えのある娘が出て来る。それは雲州で自分のウサギの袋を取り上げた娘だった。弥弥古麗(ミミクリ)は楽嫣との再会を喜んだが、実は唐の公主だと知り困惑する。…この人が長歌の旧友?でも長歌は皇宮を恨んでいるのよね…「あなたが漠北郡主だったのね?」楽嫣は鎌をかけ、雲州での件が誤解だったようだと言った。そこであの時、なぜ″兎″という文字が刺繍されていると分かったのか聞いてみる。弥弥は自分の銭袋にも刺繍があったとごまかし、楽嫣を警戒して長歌のことは教えなかった。楽嫣は四方館をあとにした。咄嗟に嘘をついてしまった弥弥は後ろめたさから公主を追いかけたが、ちょうど馬車が走り出してしまう。門前で馬車を見送りながらため息をつく弥弥、その姿を偶然、牙張の男が見かけた。…まだ生きていたのか、公主がさぞお喜びになるだろう…一方、長歌は阿隼を連れて母が眠る栄恩(エイオン)寺を訪ねた。今でも瑾(キン)夫人の霊堂は掃除が行き届き、供物も新鮮な物が置かれている。長歌は楽嫣か淑玉のおかげだと考え、こうして母を覚えてくれている人がいることに感激した。そして2人は霊前に拝礼、長歌は母に阿隼を紹介する。阿隼は夫人に挨拶して献杯すると、これからは自分が長歌を守り愛しむと誓った。「草原の男は見染めた女を一生、愛し守り続けます」「阿隼…ありがとう」「俺たちの間に感謝は不要だ」しかしそこへ運悪く李世民(リセイミン)たちがやって来た。( ๑≧ꇴ≦)あすぁん!母を弔っていたのは李世民だった。長歌は叔父の偽善に怒り心頭、いつか必ず殺すと脅してしまう。しかし李世民は長歌が本当に自分を殺すつもりなら渭水(イスイ)で射抜いていたはずだと指摘した。「助けたかったのは唐の民よ」「唐に重きを置き、民に重きを置ける、私怨で国を害しはしない… それでいい、幼い永寧(エイネイ)も成長したな」すると李世民は今や長歌のそばにも守ってくれる男がいると気づき、安堵して先に帰って行った。「ふっ、あの人が供養していたなんて…どうしたら阿娘の無念を晴らせるの」長歌と阿隼が霊堂を出ると、魏徴(ギチョウ)が待っていた。魏徴は長歌に新しい戸籍を渡し、新たな身分で唐で暮らせるという。しかし長歌はまだ使命が残っていると言った。魏徴はやはり密書が長歌の仕業だと気づき、砂漠の使者になる覚悟だと気づく。「各部が心から平和を求めるのではなく、危機を恐れて結盟を決めたならどうなる? その結盟は机上の空論に過ぎない」「試す価値はあるわ!…先生こそ、更なる強者に仕えることにしたのは危機を恐れてでしょう?」「長歌、君の阿爺と斉(セイ)王は陛下を排除しようとした、それは極秘だったはず なぜ陛下が知り得たと思う?」「東宮の内偵が報告したのでは?」「…陛下が書房の中まで探れると思うか?」そこで魏徴はある物語として真実を明かすことにした。…ある年、隋(ズイ)の煬帝(ヨウダイ)が北巡に向かったしかし雁門(ガンモン)関を通る際に阿詩勒部に包囲されてしまう1人の若き将軍が救援に向かう中、偶然にも若く美しい娘を救った程なくして若き将軍は出征することになり、娘を家族に託して留守をさせたという…長歌は母の命の恩人が叔父だったと知った。てっきり父が母を助けて見染めたとばかり、ではなぜ母は父に嫁いだのだろうか。実は魏徴の物語にはまだ続きがあった。…若将軍は初めての出征で大手柄を上げ、重任を託されたその後も事あるごとに出征したが、ある時、酒に酔った兄が娘を手込めにしてしまう将軍が出征から戻ると娘は兄の子を身ごもっていた…長歌はその子供が自分だと分かった。魏徴の話では将軍は誕生した姪をいたく可愛がり、父親には笑わない赤子もなぜか将軍を見ると笑みが絶えなかったという。「長歌、この世で誠にお前たち母娘を案じたのはその方だけだ」「阿娘が阿爺を避けていた理由はそれだったのね? 阿爺はいつも不満そうで、てっきり私が悪いのだとばかり… 阿娘の気持ちも知らないで…なんて娘なの…」阿隼は深く傷ついた長歌を優しく慰めた。「長歌、阿娘は幸せだった、君がいたから寂しくなかったんだ」それならなぜ李世民は危機を知らせた母を殺したのだろうか。すると魏徴は時に目で見た事柄が全ての真相とは限らないと諭して帰って行った。長歌は阿隼と国境へやって来た。あの時、唐を裏切った郡主として命からがら長安を脱出した長歌、次に戻るときは兵馬を率いて父の名誉を取り戻すと誓ったが、今や何が正しいのか分からない。「仇敵を前にしても一方で良い皇帝だと認めている… 恨むべきなのに、あの人は阿爺より近しい存在だった」「分かるよ、俺も阿娜を殺された時、渉爾(シャアル)に復讐しようとした でも手をかけようとした時、躊躇したんだ」阿隼は復讐と大義が相反すればうろたえて当然だとなだめた。ましてや相手は皇帝、その背後にいる大勢の民の幸せを考えて戸惑うのも無理はない。長歌はふと第2話で母が仏前に自分をひざまずかせたことを思い出し、ようやく母の想いに気づいた。…誓いを立てなさい、今から何が起きてもどんな目に遭っても決して恨みを抱いてはならない…「予想していたのね」「君の阿娘は立派な女子であり、素晴らしい母親だ だから君も強い心を持ち、しっかり生きなくては…」「阿隼…結盟がまとまれば太平を迎えられるはず、その時は静かに暮らしましょう?」「君が行くところへ俺も行くよ」見つめ合う2人、やがて阿隼は長歌に腕を伸ばして抱き寄せた。すると手前の木に留まっていたつがいのカナリアがクチバシを重ね合わせ…って何で?!( ̄▽ ̄;)翌朝、朝食を届けに来た弥弥は元気のない長歌を見て心配した。長歌は自分の執念深さから危うく大切な人を殺めるところだったと反省、正誤を判断できないこともあるという。「なら伝えれば良かった、昨日、唐の公主が来たの、例の銭袋を持っていた公主よ 私を郡主だと勘違いしていろいろ聞いてきたけれど、本当のことを話せなかった」実は楽嫣は弥弥の装いから郡主ではなく侍女だと気づいていた。弥弥があえて身分を否定しなかったのはやはり長歌を知っているのかもしれない。そこで楽嫣は今日も四方館を訪ねることにした。すると大街で突然、皓都(コウト)が現れる。「馬車も使わず、お忍びでお出かけですか」しかし皓都は心配せずとも遠くから見守るだけだと言った。長歌は自分から楽嫣に会いに行こうと決めたが、偶然にも楽嫣が訪ねて来た。再会を喜ぶ長歌と楽嫣、その様子を見ていた皓都は思わず笑みがこぼれる。長歌は楽嫣に阿隼と弥弥を紹介し、大切な盟友たちに囲まれる喜びをかみしめた。その時、外から饗食(キョウショク)の曲が聞こえて来る。唐では饗食の礼で賓客をもてなすのが慣例で、この曲は使者の到着時に奏でることになっていた。「各部の使者はもう集まっているわ、誰が来たのかしら?」弥弥が首を傾げると、長歌は楽嫣と様子を見に行くことにした。正殿に集まった使者たちは騒然としていた。何でも阿詩勒部の使者が来たという。「結盟のことが阿詩勒部に知られた、とにかく我らはすぐここを去る!」楽嫣は公主として唐が砂漠を守ると宣言したが、使者たちは戦になれば見捨てられると信じなかった。そこで長歌は阿詩勒部が四方館に迎えられたのは正式に関所を通り、使者として来たからだと訴える。するとそこへ阿詩勒渉爾がやって来た。小可汗?!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<ざわざわ…一方、弥弥も偶然、回廊での立ち話を耳にした。阿詩勒部の小可汗が自ら可敦(カトゥン)を護送して長安に乗り込んで来たという。「可敦が?!…どうやっても逃げられないのね」渉爾は漠北公主になりすました長歌に歩み寄り、身分をバラすと脅した。しかしそこへ死んだと思っていた阿隼がやって来る。( ತ _ತ) <渉爾( ゚ロ゚)ハッ!!<生きていたのか?!…なぜ騙した?!てっきり死んだとばかり…渉爾は思わず阿隼の胸ぐらをつかみ、勇士碑に名前を刻もうとまで思ったことを後悔した。すると阿隼は渉爾の手を振り払い、背後から自分を襲っておきながら被害者ぶるなと言い返す。( ー̀ωー́ )<今後はもう兄弟ではないその時、ついに奕承が姿を現した。「久しぶりね、李長歌」一方、穆金(ムージン)は使用人になりすまして定襄を探っていた。すると侍女たちが噂話をしながら歩いてくる。(* ゚ェ゚)<可汗、今日はやけに静かね~ここに移った頃とは随分と違うわ(^ꇴ^)<薬が効いておとなしくなったのよ~あれほど恐い顔なのに…「何を話している?!」その声は雷蒙(レイモン)だった。雷蒙はかんこう令を破った侍女たちに激怒、その場で舌を切ってしまう。穆金は可汗の病には何か裏があると疑った。そこで可汗の部屋から出て来た侍女を尾行、すると侍女は可汗の薬材を全て焼却している。穆金は侍女が出て行くと慌ててかまどに駆けつけ、薬材の残りかすを手に入れた。正殿に各部の使者が揃い、ひとまず席についた。阿詩勒部の参加に動揺を隠せない砂漠の部族、すると奕承は可汗が病となり、自分と息子を遣わしたと嘘をつく。「唐と各部に善意を示すよう仰せになったわ、もちろん目的は以前、唐と交わした縁談についてよ」楽嫣は急に昔の縁談話を持ち出され動揺を隠せなかった。そこで長歌は皓都に楽嫣を連れて先に帰るよう勧める。奕承は思わず立ち上がり引き止めようとしたが、長歌が邪魔をした。「可敦と小可汗のお越しよ、漠北を代表して一献、捧げます!」「待って…あなたの侍衛に飲んでもらいましょう」すると阿隼が立ち上がり、長歌の杯を代わりに空けた。「可敦が阿詩勒部の代表だとは…牙張をしっかり管理しているようだな」「…漠北の侍衛が口を出すことではない!」奕承は阿隼の嫌味に憤慨して座った。つづく(´-ω-`)うむ…公主ねえ…
2022.05.15
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长歌行 The Long Ballad第41話「矜持を示す時」再び持ち上がった阿詩勒(アシラ)部と唐の和親。李長歌(リチャングァ)はひとまず李楽嫣(リラクエン)を宮殿に帰したが、楽嫣は今度こそ逃げられないと怯えていた。心配した皓都(コウト)は勇気を振り絞り、救いの手を差し伸べようとする。しかし宮中に戻った楽嫣は迷わず愛する魏淑玉(ギシュクギョク)に泣きついた。追い詰められた楽嫣は死を装えば逃げ出せると言い出した。しかし淑玉は困惑し、他に何か方法があるはずだという。楽嫣は自分を連れて逃げると言ってくれない淑玉に苛立ちを隠せず、自分の縁談などどうでもいいのかと迫った。「当然、違う!僕にとって君は幼なじみであり、実の妹のように…」「実の妹…って」楽嫣は深く傷つき、寝殿から淑玉を追い返してしまう。↓自分の首を絞めるイールン皓都は回廊に出て来た淑玉を引き止め、和親をどうするつもりか尋ねた。煮え切らない態度の淑玉、憤慨した皓都は公主が一途に淑玉を想い続けて来たと詰め寄る。すると突然、寝殿の戸が開いて楽嫣が顔を出した。「やめて!…もう戻って、独りで考えたいの」一方、長歌は弥弥古麗(ミミクリ)に牙張が来たと知らせていた。弥弥はいずれ自分が生きていることも気づかれると腹をくくり、逃げも隠れもしないという。すると阿詩勒隼(アシラシュン)が戻って来た。穆金(ムージン)は無事に牙張へ潜入、今頃は定襄(テイジョウ)の旧宮殿にいるはずだろう。実は穆金はかつて牙張の兵を助けたことがあった。阿隼はおそらくその兵士を頼ったのだと安心させる。気が気でない弥弥だったが、今は天狼(テンロウ)神に穆金の無事を祈るしかなかった。その夜、楽嫣は涼亭で独り物思いにふけっていた。すると背後から誰かがそっと外套をかけてくれる。楽嫣は淑玉かと期待したが、皓都だった。「私があいつを捕まえてくるので2人でお逃げください、私が責任を取ります!」「…逃げないわ、私は永安公主よ、唐の公主に恥じない人間になると誓った」楽嫣は小五(ショウゴ)との約束を守るため、誰にも頼らずこの難局に立ち向かうと決めた。「皓都…私を支えてくれる?」皓都は公主の言葉に笑みを浮かべ、力強くうなずいた。奕承(エキショウ)公主は阿詩勒部の居所に阿隼を呼んだ。阿隼が鷹団を引き連れて草原に貢献すれば、可汗が改めて牙張に迎え入れるという。しかし阿隼は可敦の裏切りを見抜き、決して可敦の思い通りにはさせないと宣戦布告した。そこで奕承は阿隼の弱点である長歌の名を出して脅す。阿隼は憤慨、もし長歌に指一本でも触れたら葬り去ると言い放ち帰って行った。阿隼と入れ違いに配下が駆けつけた。「可敦、弥弥古麗が生きていました、北漠の使節団に紛れています!」すると奕承は定襄の雷蒙(レイモン)に伝言を命じた。「…1人も始末できていなかったとね」一方、可汗の薬材を手に入れた穆金は味方の兵士に調査を頼んでいた。兵士の話では致命傷にならないが徐々に五臓六腑を侵し、いずれ死に至らしめる薬だったという。「あともう一つだけ…歩真(ブジェン)という子供の捕虜を知っているか?」「牢に子供はいない、考えられるのは隋(ズイ)の寝宮だろうな、それ以上は知らない」阿詩勒渉爾(アシラシャアル)は中庭で阿隼を引き止めた。阿隼に騙されて怒り心頭の渉爾、しかし牙張の変化に何の疑いも持っていないらしい。「相変わらず愚かだな、強靭な父汗が急に病に倒れると思うか? 父汗が倒れて拠点が定襄に移った、これが自然な成り行きだとでも?」渉爾は自分たちへの中傷だと言い返したが、阿隼は呆れて帰ってしまう。阿詩勒部はすでに奕承が掌握していた。長歌まで標的となり責任を感じる阿隼、しかし長歌はそのおかげで阿隼が守ってくれるといたずらっぽく笑う。「唐の反逆者が特勤に見初められるとはね~」その頃、奕承は弥弥を呼びつけていた。すると配下が弥弥に切り落とした指を見せる。弥弥はまだ幼い弟への残虐な仕打ちに激怒したが、奕承は裏切り者への報復だと容赦なかった。翌朝、淑玉は朝議へ向かう父を引き止め、和親の反対を訴えた。すると魏徴(ギチョウ)は公主を助けられる身分は駙馬(フバ)しかないという。↓またしても墓穴を掘るイールン一方、弥弥は泣きながら中庭に弟の指を埋めていた。「私と再会するまで生きていてね…ごめん」「…弟に会いたければおとなしく従うんだな」その声は可敦の配下だった。配下は毒を渡し、指示通りにしなければ指だけでは済まないと脅して帰ってしまう。そこへ偶然、渉爾がやって来た。「弥弥?…弥弥!やっぱり生きていた!阿詩勒隼も生きていたしな!」喜んだ渉爾は公主を娶っても気持ちはないと言い訳し、自分のところへ戻れという。「君が好きだ!…君さえいれば俺は楽しい!」しかし弥弥の態度は冷たかった。「楽しいって…(このお花畑め!)それが私の務めだったからよ! あなたの機嫌を損ねれば私と弟は罰を受ける、だからあなたに会うのが怖かった!」弥弥は人の気も知らず浮かれる小可汗に激しい憤りを覚え、狼団には戻らないと断って部屋に帰ってしまう。その際、うっかり薬瓶を落としたが、弥弥は慌てて拾っていた。長歌は回廊で弥弥を見つけた。「どこにいたの?探したのよ?」長歌は弥弥が牙張に怯えていると誤解し、自分たちがついているとなだめる。そこへ突然、淑玉が訪ねて来た。淑玉は父から和議を止めるには駙馬になるしかないと言われたと話した。「実は…告白された」「何を迷うの?縁談を阻止する一番の方法だわ?(はっ!)」長歌は淑玉の心が楽嫣にないことに気づき、思わず押し黙ってしまう。すると淑玉は自分が相手では楽嫣を別の地獄に追いやることになると吐露した。「私にとって楽嫣は妹でしかない」さすがに長歌も愛情を強要することなどできず、今は静観するよう勧めた。悲観せずとも楽嫣には娘の幸せを一番に考えてくれる李世民(リセイミン)がいる。「あとはきっかけね…状況を見ましょう」↓結局、長歌頼みのイールン朝廷は公主を嫁がせるかどうかで紛糾した。すると公主自ら朝議に現れ、皇帝の臣下の1人として進言したいと訴える。大臣は政への干渉に眉をひそめたが、李世民は娘の上奏を認めた。「…この世に生を受け、父と君主そして大義のために生きる、 ただそれだけではなく、国ある所に家あり、民を守れてこそ豊かな唐がある… もし唐の繁栄が妥協の結果なら国とは何でしょう?家とは何だと?」しかし陳(チン)侍郎は隋から嫁いだ奕承公主を持ち出し、その壮挙に万人が感服したと言った。楽嫣は唐の男を貶めるものだと反発、隋は阿詩勒部を恐れてか弱き女子を犠牲にしたに過ぎないと指摘する。「唐が自分の娘さえ守れないなら、砂漠各部も安心して唐を頼れるでしょうか?」そこへ皓都に付き添われ、療養中の杜如晦(トジョカイ)が現れた。杜如晦は草原の強者に屈しないとする公主の確固たる意志に感銘したという。「はお、阿詩勒部のひと言で唐が公主を献上しようものなら投降したも同じだ」李世民は片時の安定のために女子を犠牲にしないと宣言し、3日後に楽嫣を連れて四方館へ行くと決めた。四方館に唐の皇帝と永安公主がやって来た。正殿では砂漠の各部族が揃っていたが、早々に奕承が渉爾と公主の縁談を申し出る。しかし楽嫣はきっぱり辞退すると答えた。「まさか唐皇は砂漠各部と結盟するゆえ、我が部との約束を反故にすると? …今後、情勢が変われば同じくように砂漠各部への態度を翻すやも…」ザワザワ…>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<ザワザワ…奕承の言葉に動揺が広がる各部族、するとふいに長歌が立ち上がった。「婚姻は友好の証しでしょう?ここにいる皆様も友好を望むのでは? ならば腕比べで婿の座を競ってはどうでしょう?我らにとっても公平です …どうしました小可汗?怖いのかしら?」焦った奕承は渉爾に目配せしたが、煽られた渉爾はうっかり比武招親に同意してしまう。「はお!では明日ここに舞台を設けよう! 参加者の身分は問わぬ、戦いを勝ち抜いた者こそ朕の永安に値する!」李世民は長歌の妙策に賛成した。つづく(  ̄꒳ ̄)春のイールン祭り♪
2022.05.21
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse最終話「終わらない伝説」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が誘拐された。やきもきしながら一報を待つ旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)、すると捜索していた陳哨子(チンショウシ)が戻って来る。陳哨子は昶(チョウ)王府で監禁されている淑容妃を発見していた。しかし中には大勢の反乱軍がおり、淑容妃が身重のため下手に動けなかったという。「淑容妃は無事です、首謀者は索蘭(サクラン)王子でした」褚仲旭は自ら緹蘭を救出に向かうと決めた。陳哨子と穆徳慶(ボクトクケイ)は皇宮で待つよう諌めたが、褚仲旭は2度と妻を失えないという。そこで皇宮の指揮を陳哨子に任せ、意表をついて裏門から20人の精鋭だけ連れて出ることにした。褚仲旭はこれまで尽くしてくれた穆徳慶に別れを告げ、万一の時は財宝を持って故郷へ戻れという。しかし穆徳慶は最後まで皇帝に仕える覚悟だった。「陛下…私は長年、陛下のおそばで過ごし、故郷などとうに忘れてしまいました 帰る場所などありません」緹蘭の侍女・碧紫(ヘキシ)は注輦(チュウレン)王に命じられ、公主の情報を密かに送っていた。実は宮女が落とした薬に毒を入れたも碧紫だという。あの時、皇帝が懐妊した淑容妃を守るため愈安(ユアン)宮を禁足とした。注輦に知らせを送れなくなった碧紫は気が急き、毒騒ぎを起こせば皇帝が公主を移動させると考えたという。「信じられないかもしれませんが何もかも公主のためです! 公主を大徴(ダイチョウ)で最も尊い女性にすると言われて…それで王子に手を貸したのです まさか謀反のために公主を利用するなんて…」緹蘭は浅はかな碧紫に激高したが、今は逃げ道を探すことが先決だった。「…碧紫、まだ私の命に従う気はある?」碧紫は見張り番に公主が苦しんでいると訴えた。驚いた兵士が中へ入ると、碧紫が後ろから殴りつけて倒すことに成功する。しかし物音に気づいたもう1人の兵士が駆けつけた。緹蘭と碧紫は呆然、すると兵士は突然、矢に射られて死んでしまう。その時、驚いたことに褚仲旭が自ら緹蘭を助けにやって来た。「びーしゃあ?!」褚仲旭は緹蘭を馬車に乗せて皇宮へ急いだ。しかし反乱軍を率いた施霖(シリン)が現れ、道をふさぐ。実は施霖は注輦の人間、今日のためにこれまで屈辱に耐え忍んできたという。「旭帝よ、もう逃げられぬぞ…殺(シャー)っ!」褚仲旭はわずかな精鋭たちと反乱軍に応戦した。その時、白い影が飛び込んで来たかと思うと、敵を蹴散らして褚仲旭の隣に方鑑明(ホウカンメイ)が立つ。生きてたのかーい!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<ザワザワ…死んだはずの清海公(セイカイコウ)の姿にその場は騒然となった。すると馬車の中から緹蘭の悲鳴が聞こえる。「お急ぎください、ここは私が」方鑑明は施霖たちを引き受け、褚仲旭を先に逃した。↓\\\\٩( ‘ω’ )و ////バーン!褚仲旭は産気づいた緹蘭を民家に避難させた。しかし安心したのも束の間、索蘭率いる注輦軍が追いついてしまう。覚悟を決めた褚仲旭は穆徳慶と碧紫に緹蘭を任せ、戦いの渦へ飛び込んだ。わずかな精鋭たちが全滅、褚仲旭は孤軍奮闘した。やがて日も暮れる頃、民家から元気な産声が聞こえる。緹蘭は産後の身体を引きずりながら何とか外へ出たが、そこには致命傷を負って血まみれとなった褚仲旭がいた。驚いた緹蘭は褚仲旭に抱きつくと、褚仲旭は碧紫の腕に抱かれた元気そうな男の子に気づく。「…我らに…そっくりだ…」その時、索蘭はこの機に姉と子を奪えと命じた。褚仲旭は緹蘭を守ろうとしたが、緹蘭が身を挺してかばい、褚仲旭の代わりに刺されてしまう。「緹蘭?…緹蘭!!うわあぁぁぁぁーっ?!」その時、白い影が現れ、一瞬の隙に索蘭の首をかっ切った。方鑑明は一刻も早く褚仲旭を皇宮へ連れ帰ろうとした。しかし褚仲旭は絶命した緹蘭を離そうとしない。「緹蘭が言った…朕のいない世を生きるつもりはないと… もう疲れた…このまま何もしたくない…」すると褚仲旭は大徴の民と息子を方鑑明に託し、愛する緹蘭と一緒に旅立った。城門を死守していた張承謙(チョウショウケン)だったが、いよいよ限界に近づいていた。その時、夜空に照明弾が上がる。反乱軍を指揮していた湯乾自(トウカンジ)は後ろを振り返り、先頭を駆けてくる方海市(ホウハイシー)の姿に気づいて驚愕した。援軍の到着に気づいた張承謙は開門を指示、突撃を命じて援軍と合流する。海市たちは城外で反乱軍と交戦し、湯乾自を生捕りにして決着した。すると任勇(ジンユウ)が駆けつけ、城内の状況を報告する。「索蘭が死にました!しかし…淑容妃も争いの中でお亡くなりに…」海市は任勇から龍尾神の護符を受け取り、湯乾自を激しく責めた。「お前は索蘭と手を組み、緹蘭を死に追いやって天啓の民を不安にさせた!」その時、愛する緹蘭の死に絶望した湯乾自は兵士の長槍を握って自ら身体を突き刺し、自害した。緹蘭の子供は早産のせいか生まれつき身体が弱く、李(リ)侍医は長くは生きられないと診断した。一方、海市はようやく皇宮に駆けつけ、城門で待っていた穆徳慶から旭帝の崩御を知る。「陛下は淑容妃と旅立たれました、混乱と動揺を招かぬよう清海公がまだ内密にせよと… しかも清海公は皇子のため、再び柏奚(ハクケイ)の契りを結ばれたのです」海市は無我夢中で昭明宮に向かった。すると憔悴した方鑑明が寝台に寄りかかって座っている。「来てくれたのか…」海市は鑑明の隣に腰を下ろしたが、何も言えずにいた。「越(エツ)州には戻れない…皇子がお生まれになった…朝廷が不安定な今、正当な補佐が必要になる」「…斛珠(コクジュ)夫人として私が支えるわ」「優しいのだな」鑑明はしみじみ海市にもっと早く会いたかったと漏らした。「私が若い頃に出会えていたら…良かったのに…」「ある書物で読んだわ、この世界には並行する別の世界が存在していると… 別の世界では私たちは同じくらいの年でもっと早くに出会っているかもしれないわ」…別の世界にいる海市と鑑明は宮中で行われた投壺(トウコ)の試合で初めて出会った海市の投げた矢が鑑明の頭を直撃、負けず嫌いの2人は言い争いになってしまう初めこそ鑑明は海市に意地悪だったが、やがて互いを意識するようになり、年頃になると2人は婚姻を約束した…「そして私は何人か子供を産むの、2人で子供を育てゆっくり年老いて行く」「卓英(タクエイ)を忘れているぞ?」「忘れていないわ、この世界では私が年上だから…卓英には師娘(シジョウ)と呼ばせる」鑑明は出会いが遅くなったことを謝り、まだやり残したことがたくさんあると言った。しかし自分でもこれからどうなってしまうのか分からないという。「…海市、少し疲れた、眠らせてくれ」鑑明は横になり、愛する海市の膝枕で眠ることにした。「必ず起こしてくれ…長く眠らないように…」天享(テンキョウ)16年、大徴の順武(ジュンブ)帝が崩御、元号は景恒(ケイコウ)と改められた。忘れ形見となった皇子・惟允(イイン)は淳容(ジュンヨウ)妃を皇太后と呼んで敬っている。やがて順武皇帝は陵墓に葬られ、宗廟の前で大徴高祖の名が贈られた。一方、鵠庫(コクコ)では右王の額爾済(ガクジセイ)が病で逝去した。後継者の奪罕(ダツカン)は他部の帰順を受け入れ瀚(カン)州を統一、自ら渤拉哈汗(ボツラコウハン)と名乗る。″渤拉哈″とは黒いたてがみ″烏鬃(ウソウ)″を意味していた。奪還は早速、大徴と同盟を結びたいと書簡を届け、摂政である皇太后宛に直筆の文を送る。「そうだ、哥哥からひとつ知らせがある」実は方卓英はついに鞠柘榴(キクシャリュウ)と再会を果たしていた。それから5年が経った。惟允は母后がかつて龍尾神を天啓に呼んだと師匠から聞いたが、鮫が怖くなかったかと尋ねる。「鮫人のいるところには鮫が出没するとか、鮫は怒ると船まで噛んで壊すそうですね」「鮫は怖いわ、でも守りたい人がいたから仕方がなかったの」海市は惟允にも困難や危険に立ち向かい、自分の信念に従って民を守って欲しいという。すると惟允は師匠と同じ言葉だと笑った。「今から老師に会いに行きます、母后も一緒に行きましょう!」「老師はお身体の具合が悪い、独りで行きなさい」「以前より回復されました…母后が行けば老師も喜びますよ?」「そうね」その頃、昭明宮では仮面をつけた老師が満開の霽風の花をながめていた。完( ̄▽ ̄;)意地でも海市と師父を一緒にしないという執念だけは伝わったw何だかんだ言いながらも、いざ終わってみると寂しい〜(´・ω・)
2022.12.16
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第29話)最終話「輝く星河の下」程少商(チォンシャオシャン)は梁邱起(リャンチゥチー)たちと郭(カク)村に入った。郭村は天下の食糧庫、1年の生産でいくつもの都城を養うことができる。少商は貯蔵された油を回収して水源を探すよう命じたが、ふと王延姫(ワンイエンジー)の言葉が頭をよぎった。…皇太子が訪ねる郭村の道中に油を撒いたわ…少商は火が起これば高所から吹いてくる風に煽られ、村だけに留まらないと気づく。「田朔(ティエンシュオ)は峪(ヨク)州の食糧を焼き尽くし、民を飢えさせて国の根幹を崩すつもりね」その時、突然、村に火矢が飛んできた。一方、霍不疑(フォブーイー)は梁邱飛(リャンチゥフェイ)たちと皇太子を援護し、田朔を追いつめていた。しかし山の向こうから黒い煙が上がるのが見える。「霍不疑、私の術中にハマったな? 郭村には勇者200人がいる、油で広大な田畑を焼けば天下の民は死ぬしかない、ふふ 確か皇帝は仁義に篤いのであろう? 息子を救って民を見捨てたとなれば、衆口にどう向き合うのか見ものだな!」田朔は勝ち誇ったように笑ったが、不疑は郭村なら少商が守ると自信を見せた。驚いた皇太子は再び少商を失えば一生、後悔すると訴えたが、不疑は退こうとしない。「霍不疑…国や民を思う忠良を気取りながら、結局、権貴を選ぶのか?! 文(ウェン)賊に取り入り、無能な太子は救うが自分の女は見殺しか?!この偽善者め!」「少商と約束した、天下を第一に夫婦で肩を並べ戦うと… 少商は知恵と勇気で必ず郭村を守り抜く、私はそう信じている」不疑は田朔に襲いかかり、胸を突き刺した。「グッ…お前の手で死ねたら忠義の名に恥じぬ」「殺せと挑発を?…戻帝が臨終の際、名のある官員や宮人は全て殉死したな お前が生き延びたのは無名の虫ケラに過ぎぬからでは?」「黙れ!忠臣が虫ケラなわけがない!敵討ちのために私を生かしたのだ!」田朔は不疑を出し抜いたつもりだったが、逆に足下を見られ激しく動揺してしまう。「敵討ちを託したか…それとも名を覚えていないだけか?」結局、不疑は止めを刺さず、田朔から剣を引き抜いた。「郭村へ!」その頃、焼き討ちをかけられた郭村では少商や梁邱起たちが身を挺して民を守っていた。じりじりと迫る残党たち、しかし間一髪のところで知らせを受けた程家が駆けつける。「嫋嫋(ニャオニャオ)に指一本、触れるな!」少商が父の声に気づいて振り返ると、激しい煙の合間から両親や兄夫婦たちの姿が見えた。「嫋嫋!阿母が来たわ!」こうして程家は一丸となり郭村の民と田畑を守り抜く。霍不疑は必死に郭村まで馬を駆けたが、到着した時にはすでに戦いが終わっていた。「郭村は無事よ、私たちは勝った…」「勝ったんだな」再会を果たした2人は固く抱き合い、ようやく夫婦一心となった。深傷を負った袁慎(ユエンシェン)は軍営で静養していた。すると幕舎に不疑が現れ、いつまで寝ているのかとしつこく聞いてくる。「私はお前の家の居候か?口うるさいぞ?」「妻を心配させるからだ」袁慎は大事ないと安心させたが、最後に伝えたいことがあった。「私と少商は似ていると思って来たが、間違いだった 両親の影響で私は深い情愛を嫌悪していた 幼心にも誠実すぎる情愛は刃や劇毒も同じだと感じたのだ 前途ある己の足を引っ張り、志を奪ってしまうと… だが少商は違った、だからお前たちは情愛が深いのだな」「…お前が気に食わなかった、だがこの5年、少商が最も辛い時に見守ってくれた だが安心してくれ、もう彼女を辛い目には遭わせない」「どうだかな、さもなくば…」「その心配はない」袁慎は即答する不疑に失笑し、これで少商への想いにけじめをつけた。子晟(ズーション)と少商の復縁は皇帝の耳にも届いた。その夜、皇帝は越(ユエ)皇后と夜空を見上げながら、これも宣神諳(シュエンシェンアン)が静かに2人を見守ってくれたおかげだと感慨深い。一方、軍営でも少商と不疑が満天の星空を見上げていた。「故人は本当に星になるの?」「昔、私もこうして星河を見上げたものだ、父母や兄妹が星に姿を変えて私を見ていないかと… それで分かったんだ、彼らに語りかけていると、声が届いた時には星が瞬く」「…皇后?私です、少商です、聞こえますか?」すると驚いたことにある星が瞬いた。「皇后だ…阿父、阿母、彼女が一生を共にする相手です、見えますか?」不疑が家族に少商を紹介すると、いくつもの星が一斉に輝いた。「皇后は私たちの復縁を望んでいたわ、だからきっと喜んでいるはずよ」不疑は少商の手を取り、愛おしそうに見つめた。すると少商は不疑の手首にある″少商の弦″に目を留め、これを見るたびに胸が熱くなるのを感じたと明かす。「子晟、あなたは情が深く感情豊かで純粋な心を持っている、この天下で一番の郎君だわ あなたとの出会いはこの上ない幸せよ」「少商、君は最も純粋で善良だ、確固たる意志を持ち、この天下で誰より勝る女子だ 君に出会えて私もこの上なく幸せだ」2人は互いの真心を捧げ合い、唇を重ねた。しかしちょうど幕舎から出て来た程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)に見られてしまう。程始は父として何とも複雑な気持ちだったが、愛妻に諌められて目をつぶるしかなかった。「えっへん…霍不疑よ、娘を託したぞ だがうちの嫋嫋に不義理をしたら程家が一丸となって殴り込む」「…ぜひ」その時、程頌(チォンソン)と万萋萋(ワンチーチー)、程少宮(チォンシャオゴン)、程姎(チォンヤン)、青蓯(チンツォン)も天幕から出て来た。曲陵(キョクリョウ)侯府では老夫人が夜空に手を合わせ、天の加護に感謝していた。少宮の手紙によれば大郎と嫁が再び功績をあげ、頌児夫妻まで手柄を立てたという。しかも霍将軍と四娘子はそのまま驊(カ)県で成婚するとあった。「婚約ではない、成婚よ?これで聘礼(ヘイレイ)の品も逃げないわね、ぶははははは~! 孫娘の成婚を阻む度胸のある者はいるかしら?!」実は2人の成婚を阻む者が宮中にいた。「驊県で成婚だと?!だが朕がその場におらぬぞ?!無効だ!絶対に許さぬ! 今すぐ2人を呼び戻せ!都で再度、婚礼をやり直す! あんまりではないか!この日のために長年、苦心して来たのは朕だ!」すると越皇后は呆れ果て、寝殿に戻ってしまう。そんな皇帝の嘆きなど知る由もなく、程家は揃って星河を見上げながら幸せに包まれた。完( ˙꒳˙ )2ターン目も終わったw配信の時はあっという間に挫折しかし明蘭の時と同樣、10話まで我慢すれば面白いと聞いて日本上陸を機に再度チャレンジいや〜諦めないで良かった!ただこれ原作ではタイムスリップものなんですよねそれを知った上で見ると嫋嫋の心情も分かりやすかったかなさて管理人的最終話は54となりました追憶のような最後を期待していたので、この安易なまとめ方にちょっと肩透かし途中でまさかの必殺早送りが出そうになりましたが、ここでウマーで駆けるウーレイ登場!ウーレイがコーナー攻める!攻める!wwwなるほど、全てはこの瞬間のためにあったのね! ←いや違うwもう内容はどうでもいい! ←え?wだってウーレイがカッコいいんだもの♡( ˶´꒳`˵ )
2024.01.03
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岁岁青莲 Blooming Days第35話「黒幕 大旦那の正体」安(アン)王に手厚くもてなされるも黙秘を続ける鄭(テイ)。実は賀連信(ガレンシン)は黒幕が家族を盾にして脅していると踏み、すでに鄭家をかくまっていた。「機会は1度だけ、ここで死ぬか、家族と再会するか」すると鄭大人はひざまずき、家族に会いたいと頼んだ。「黒幕は″大旦那″です」大旦那は前科のある官吏たちの証拠をなぜか握っており、認罪書を書かせていた。どれも家族に累を及ぼす大罪だという。「大旦那とは…ゥッ!」鄭大人の食事に毒を盛ったのは沈静妍(シンセイケン)の侍女だった。阮之湄(ゲンシビ)の指示に従った沈静妍は毒を飲んでわざと駱青蓮(ラクセイレン)の前で倒れ、騒ぎのどさくさに紛れて侍女がこっそり毒を盛ってしまう。結局、鄭大人は黒幕の名を明かす前に絶命した。食事を作った駱青蓮と届けた慕海瑶(ボカイヨウ)は安王の審問を受けたが、当然、身に覚えはない。しかし同席していた方懐蕊(ホウカイズイ)が他に触れた人間はおらず、自分さえ断られたと証言した。「今、考えれば妙だわ…まあ青蓮が毒を入れずとも、他者の手を借りられる」遠回しに疑われた慕海瑶は憤慨した。そもそも鄭大人を殺す理由がない。すると審議の場に鄭夫人を名乗る女が現れた。↓おまえか…鄭夫人は慕海瑶が黒幕の大旦那だと告発、朗月閣で認罪書を渡したと証言した。「寝殿の化粧台の横にある箪笥の中に赤い箱があるはずです!」「確かに化粧台の横に箪笥がある、夫人が朗月閣に行った証拠ね」方懐蕊は間髪入れず夫人に同調、すると驚いたことに朗月閣で認罪書が発見されてしまう。慕海瑶は方懐蕊に陥れられたと気付いた。慕天殊(ボテンシュ)も駱青蓮も慕海瑶の無実を訴えたが、賀連信は調査が終わるまで禁足を命じてしまう。すると衝撃のあまり慕海瑶は激しく喀血した。賀連信は慕海瑶が自分を決して害さないと知っていた。しかし今回の黒幕は計算高く緻密、手がかりもない。「調査は困難を極めるだろう」駱青蓮は方懐蕊が黒幕だと訴えたが、賀連信は否定した。実は事件が起きた夜、新政にあたって方家を徹底的に調べたという。この数年、自害した官吏たちは暴利をむさぼっていたが、方家の資産はわずかだった。肺を患っていた慕海瑶は傷心により病が急速に悪化した。するとその夜、駱青蓮が朗月閣を訪ねてくれる。「姐姐、私の過ちよ、ごめんなさい…とにかく今は身体を大切にして」「悪いのは仕組んだ人よ」慕海瑶は青蓮との新たな関係が生きる希望となったが、思い出を語り合う美しい日々がもう来ないことを分かっていた。「疲れた…もう疲れたわ」侍従・徐良川(ジョリョウセン)が嬉しそうに安王の来訪を伝えた。しかし慕海瑶は会いたくないという。徐良川は仕方なく引き返したが、その時、慕海瑶と駱青蓮の話が漏れ聞こえた。「姐姐、王爺は一度もあなたを疑ったことがない、禁足も仕方なかったの」「そうじゃない、己を恨もうとも公子のことは…」すると慕海瑶はかつて不注意で暉児(キジ)を殺してしまったと明かし、賀連信に優しさを求める資格などないという。青蓮はてっきり慕海瑶が自分を排除するため企んだと思っていたが、慕海瑶は否定した。「まさか!愛する公子の子供を手にかけるはずない! あの日、ちょっと押しただけだったのに…天意ね、全ては天意」驚いた青蓮は賀連信に説明して誤解を解くと言ったが、慕海瑶は止めた。「どちらにせよもう昔には戻れない…もちろん会いたいわ 月が欠けては想い、雪が降っては想う 恨んでいる時でさえ想っているけれど、会いたいのは20年前の公子 まだ私を愛してくれた時の公子よ」慕海瑶の視線の先には幸せだった頃の賀連信と自分の姿があった。駱青蓮が呆然としながら寝殿を出ると賀連信たちが中庭で待っていた。すると青蓮は賀連信の腕の中で泣き崩れ、誰もが慕海瑶が旅立ったことを知る。一方、知らせを聞いた阮之湄は沈静妍の働きを喜び、褒美の銀子を贈るよう命じた。妹の死で慕天殊は激高、必ず新政反対派に回るだろう。「これで方懐蕊への借りは返した、あとは静観すればいい、曲涼の天はじきに変わるわね」翌朝、賀元雪(ガゲンセツ)は手作りの食事を携え、呂北逸(リョホクイツ)を王府まで送った。あれから18年、元雪のおかげで心を取り戻せた呂北逸。「あと少しだ、新政が敷かれて賎民から解放されたら堂々と君を妻に迎えるよ」一方、賀連信と駱青蓮は主を失った朗月閣で慕海瑶を偲んでいた。賀連信は慕海瑶が不注意で暉児を殺し、十数年も苦しんできたと知ったが、すでに過去のことだと許す。「朗月閣の物は全てこのままにしておこう」…瑶姐姐、来世は誰かに愛され、共白髪になれますように…安王と側妃は朗月閣をあとにした。侍女・如画(ジョガ)は安王の優しさを知って主の心も慰められると安堵したが、徐良川はわだかまりが残る。「優しさなのか、負い目なのか…」駱青蓮は道すがらふと黒幕がなぜ自分ではなく慕海瑶を利用したのか不思議だった。すると賀連信は標的が慕海瑶ではなく慕天殊だと気づく。そこへ総管・蘇南春(ソナンシュン)が駆けつけた。「王爺!慕大人が新政細則を燃やそうとしています!」呂北逸が王府に到着すると、ちょうど慕天殊が新政に関わる重要な書類を清康(セイコウ)殿の中院に持ち出していた。驚いた呂北逸は妹を失って自棄になっている慕天殊を鎮めようとしたが、慕天殊は兄妹で安王に尽くしても報われなかったと逆恨み、新政細則を全て燃やすという。「邪魔をするなら…斬る!」慕天殊は剣を抜いて呂北逸に襲いかかった。その時、侍女から知らせを聞いて王府に引き返した賀元雪が駆けつける。するとちょうど衛兵と応戦している呂北逸に狙いを定める慕天殊の姿を目撃した「北逸っ!」元雪は思わず駆け出し、呂北逸をかばって慕天殊に刺されてしまう。呂北逸は賀元雪を治療しようとしたが、賀元雪は最後の時間を無駄にしたくなかった。「来世があったら私を娶ってくれる?」「今ここで君を妻にする、現世でも来世でも君を裏切らぬと誓う」「来世があるかしら?駱青蓮が言っていた、いつかきっと雲が晴れると… 確かに雲は晴れたけれど、太陽は見えない」その時、ちょうど賀連信と駱青蓮が駆けつけた。しかし元雪は呂北逸の腕の中で息絶えてしまう。阮之湄の予想通り慕天殊は安王を見限った。賀連値(ガレンチ)は兄嫁に慕天殊一派の名簿を渡し、賀元雪殺害の罪で慕天殊が処刑されれば配下は四兄につくという。すると我慢の限界に来た賀連佐(ガレンサ)はついに袂を分かつことにした。「新政は悪くない、老三のどこが悪いんだ? 嫂嫂(サオサオ)、老五はこれまで四哥に味方して来たが、今回は共に戦えません」「五哥!知っているぞ?!父親の臨終の日は三哥を逃がし、霊薇の時も助けたな?」賀連値は五兄を責めたが、賀連佐ももはや隠そうとしなかった。「そうだ、私がやった、私が生涯で最も尊敬するのは四哥だった だが四哥が心から望むものは何だ?本当に安王の椅子なのか?! …ジカル戦を図った時、尊敬の念は消えたよ」その時、すっかり蚊帳の外だった賀連修が現れた。かつて賀連修も強くて豊かな曲涼を願い、王座を目指していた。確かに王座は三兄に奪われたが、その願いを成し遂げている。「四哥、申し訳ありません、これからはお供できない…どうかお考え直しを」賀連佐は丁重に拝礼して帰った。すると賀連値も居たたまれなくなり、引き上げてしまう。賀連修は大旦那が阮之湄だと分かった。阮之湄は隠し事ならたくさんあると認めたが、決して賀連修を裏切っていないという。「資金があればこそ我ら一党は支えられた まさか忠誠心だけで共闘してくれたとでも?ふっ、世間は薄情なもの 公子のために心を砕き尽くせるのは私だけよ」「…元雪は?私の妹妹だぞ?」「忘れないで、以前、雷公藤(ライコウトウ)を盛ったのは誰?」賀連修は縁談が決まった賀元雪に毒薬を渡したことを思い出した。「そうだな、確かに君を責められる立場ではない… 今から王爺に会い、爵位を返上して政から身を引くよ」しかし阮之湄は引き止めた。「まさに千載一遇の機会なの!公子が決起すれば必ず王になれます!」つづく(´-ω-`)結局、阮之湄がラスボス?
2024.12.04
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岁岁青莲 Blooming Days第36話「それぞれの執念」「賀家は私を裏切ったぁぁぁぁぁ!」慕天殊(ボテンシュ)は刑場で安(アン)王への恨みをぶちまけ、賀元雪(ガゲンセツ)を殺めた罪で処刑された。慕天殊がいなくなれば三兄は孤立無援。賀連修(ガレンシュウ)は六弟・賀連値(ガレンチ)と新政反対派の臣下たちを引き連れ、賀連信(ガレンシン)に譲位を迫った。その時、七弟・賀連倚(ガレンイ)が慕天殊の配下を従え駆けつける。「王爺の号令で逆賊を捕らえます!」実は慕天殊の遺命は安王を守ることだった。…慕天殊が思わぬ事件を起こし、驚いた徐良川(ジョリョウセン)は急ぎ主の遺書を届けた『哥、賀連信は私を見捨てたけれど、一瞬たりとも恨んだことはない 私を哀れに思うなら、あの人を守り、支えて欲しい』徐良川はなぜ冷遇されても安王をかばうのか分からず、主に尋ねたすると慕海瑶(ボカイヨウ)は賀連信に負い目を感じて欲しいと答えたという『私を思い出すたび後悔して欲しい、それが海瑶からあの人への懲罰よ』実は徐良川は薄情な安王を恨み、これまで遺書を渡さなかったと説明した慕天殊は自ら極刑を嘆願、安王を孤立無援と思わせて黒幕の大旦那を誘き出すよう提案したしかし賀連信はどうしても決断できず、しばし昔話に花を咲かせる2人は酒を飲みながら出会った当時を懐かしんだが、やがて慕天殊は一献したいと杯を掲げてひざまずいた『来世があるなら、私は再び王爺にお仕えします…どうかお聞き入れください!』賀連信は涙があふれて声が出せず、震える手で杯を空けた『感謝します!王爺』…三兄はやはり一枚上手だった。賀連修は負けを認め、六弟や臣下たちもひざまずいて罰を請う。しかし賀連信は万死に値するのは賀連修ではないと言った。「大旦那のことなら、それも私です」賀連修は独りで罪を背負ったが、そこへ駱青蓮(ラクセイレン)が現れた。「嘘よ、ここ最近、礼(レイ)郡王は酒に溺れ政に関わっていなかった」「人の目を欺くためだ」「守りたい人がいるようね? でも多くの官吏が自害し、民が苦しんできた、海瑶姐姐も濡れ衣を着せられ死んだのよ? 無実の罪で死んだ人たちに申し訳が立つの?」賀連修が愛する阮之湄(ゲンシビ)をかばっているのは明らかだったが、結局、賀連修は妻を守り通した。「どうか私に処罰を…」賀連修は解放され、急いで屋敷に戻った。しかし阮之湄の姿がない。実は阮之湄は全て賀連信と慕天殊が仕組んだ計略だったと知り、自ら証拠を持って王府へ参上した。阮之湄は罪を認め、賀連修は無関係であったと証言した。「私の宿願は叶い難く、もはや生きる意味もない 王爺、どうか私を死罪に…骨を砕き、灰にして王府にまいてください 風に乗って潜み、決して消えません」賀連信はかつて自分を見限った想い人に会おうとしなかった。すると総管・蘇南春(ソナンシュン)が奥殿から現れる。「王爺はお認めになりました」「…感謝いたします、王爺」阮之湄は覚悟を決めて毒酒を手にした。そこへ突然、方懐蕊(ホウカイズイ)が現れる。「方家は勢いを失い、私だけが頼りだと勘違いした、まさか早々に手を引くとはね でも丞相が攻めてきたら方家もおしまいよ?」「あなたの讒言を信じて弟を犠牲にした、明日、王爺に真相を話すわ」阮之湄は刑部で毒酒を賜り息絶えた。妻を失った賀連修は絶えきれず、礼郡王邸で毒を飲み絶命してしまう。一方、呂北逸(リョホクイツ)は故郷へ戻り、家族が眠る場所へ賀元雪を埋葬した。…愛妻 賀元雪之墓 夫呂北逸泣立…呂北逸は長史処の左長史に任命されたが、勅命を固辞した。賀連信は呂北逸が妹の死の責任を感じていると考え、賀元雪も呂北逸が功成り名を遂げることを願うはずだと説得する。「″功成り名を遂げる″…人生は短い、大切な人のそばにいようと頑張ってきました でも気づいたのです、やり遂げる前から疲れていたと…では失礼します」方懐蕊は思い出の糖水を安王に差し入れた。しかし安王はまだ自分に怒っているのか、飲みたくないと冷たく突き放されてしまう。「阮之湄に利用されていたのです、まだ挽回の余地が?」そこで方懐蕊は急にひざまずき、王妃を廃して欲しいと嘆願する。実は糖水は嫁いで来た頃にいつも作っていた賀連信の好物だった。「廃妃を認めてくださるならどうかお飲み下さい」「立つがよい」すると賀連信は糖水を飲んでみせた。賀連信は駱青蓮に王妃の座を与えると決めた。しかし冊封当日、青蓮は礼服に袖を通さず、様子を見に来た安王に辞退を申し出る。「私の幸せは王爺の最愛の女人になること、その願いはとうに叶いました」青蓮はこれまで出会った人たちには皆、執念があったという。慕海瑶の執念は″情″、阮之湄は″名″、方懐蕊は″氏族″、呂北逸は″尊厳″。これら執念は首かせのように人を縛りつけ、一生、抜け出せなくなる。思えば青蓮は過去と決別して信宅に入った時から、執念はなくなっていた。「もしかするとそれが幸いしたのかも、でも王妃の座は特別です 人は高みに立つと思い通りにならぬもの、やがて初心を取り戻せなくなってしまう」賀連信は青蓮の決断に理解を示したが、そこへ蘇南春が慌てて駆けつけた。「王爺!丞相が曲涼討伐の兵を挙げました!」賀連信は久しぶりに駱青蓮を連れて城楼に登った。「私の執念は″曲涼″だ、お前は首かせのようだと言ったが、私は外そうと思ったことはない …新政が始まり、曲涼はこれからもっと繁栄する この戦で投降して丞相に帰順すれば信義に背くことになるだろう だが父親に誓いを立てた」「でも丞相の出兵は予想外です 先王が見たいのは誓いに縛られるあなたの姿ではなく、万民が心を1つにした曲涼です」賀連信は先王との誓いに青蓮を賭けたと明かした。すると青蓮は賀連信がいる限り孤独など感じないという。「2人ならどんな険しい山も乗り越えられます」…宰相討伐の檄古来、明君あれば栄えるが、陛下の仁徳と裏腹に大穆(ボク)では綱紀が廃れ、民は塗炭の苦しみをなめている全ては宰相が朝堂を我が物とし、策を弄して陛下を蔑ろにした結果だ君主が忘れ去られ宰相が国を牛耳る、これぞまさに国辱である国賊の宰相の軍にあらがわねばならぬこの賀連信、賀家先祖の名にかけて歃血して誓う逆賊討伐の決意をここに布告、もって天下に檄を発する…皇帝は丞相が曲涼へ出兵したと聞いた。しかし皇帝は賀家の子孫ならもちこたえられると信じ、何年経とうともその信頼は揺らがないという。「賀家は忠義にあつい、必ず国と民を守る」敵が迫る中、曲涼の軍民は勇敢に立ち上がった。2代にわたり民を思う安王の真心が伝わったのだろう。君主を敬う気持ちと郷土愛が1つとなり、天に通じる大きな力となって曲涼の地を駆け巡った。賀連信は娘が嫁いだジカルの軍と手を組んだ。そして丞相の10万の大軍を撃破、大きな痛手を与え、曲涼の安寧を取り戻す。終( ˙꒳˙ )え?全然、意味が分からないまま終わったwwwwww
2024.12.06
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace第39話「皇后の死」皇后・富察(フチャ)琅嬅(ロウカ)が寄港先で河に落ちた。侍医・斉汝(セイジョ)は手の施しようがなく、すでに命の火が消えかかっていると報告する。そこで皇太后は万一に備え内務府に使いを送ると決め、嫻貴妃(カンキヒ)と純貴妃(ジュンキヒ)に皇后の代わりを務めるよう命じて散会した。純貴妃・蘇緑筠(ソリョクイン)は動揺していた。そのせいか桟橋でかんざしを落としたことに気付かず、ちょうど後ろから来た嘉妃(カヒ)・金玉妍(キンギョクケン)が拾ってしまう。船室に戻ってようやく侍女・可心(カシン)が主人の絹鞠(キヌマリ)のかんざしがないことに気づいたが、こんな時にかんざしなど探していたら皇帝の不興を買うと考え、蘇緑筠は放っておいた。そこへ愉妃(ユヒ)・珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)がやって来る。すると蘇緑筠はひどく怯え、もしや皇后は自分たちの話を聞いて気が動転し、河に落ちたのではないかと訴えた。海蘭はふと玫嬪(マイヒン)・白蕊姫(ハクズイキ)がなぜ今日に限ってあのような放言をしたのか首をかしげたが、失言したのは玫嬪で自分たちは関係ないと安心させる。「皇后はあなたを責めないわ、皇后が河に落ちたのは玫嬪の言葉が原因でしょう それでうわ言を繰り返している… 皇上もそれを聞いて密かに皇后を疑っているはずよ、皇后は何をしたのかとね だから皇后は手出しできないわ」海蘭の理路整然とした話を聞くと、蘇緑筠はようやく胸をなでおろした。乾隆帝(ケンリュウテイ)・弘暦(コウレキ)は皇后の意識が戻ったと知り、2人だけで面会した。琅嬅は最期に弘暦に会えたことを喜び、娘の璟瑟(ケイシツ)には服喪を免除して早く嫁がせてやって欲しいと懇願する。するともう1つだけ願いがあると訴え、次期皇后にふさわしいのは純貴妃だと推した。しかし皇帝から伴侶を決めるのは自分の問題だと退けられ、琅嬅は思わず本音が出てしまう。「他のどの妃(キサキ)を選んでも構いません、ですが選んではならぬ者が1人います 烏拉那拉(ウラナラ)氏の血を引く嫻貴妃です、嫻貴妃の叔母はひどい皇后でした 同じ血を引く嫻貴妃を皇后にしてはなりません」その頃、桟橋では我が子の敵を討った白蕊姫が皇后の船を眺めていた。すると復讐に手を貸した金玉妍がやって来る。白蕊姫は皇后も長くないと笑みを浮かべ、本当に皇后への恐怖心だけで自分に協力したのかと尋ねた。「そうよ、哲憫皇貴妃(テツビンコウキヒ)の死は皇后の仕業だと聞いたわ あなたや儀嬪(ギヒン)の子、慧賢(ケイケン)皇貴妃の死で怖くなったの…」金玉妍はこれまで臆病で何もできなかったと話し、白蕊姫の協力がなければ成し遂げられなかったと言った。死期を悟った琅嬅はようやく悔しさと不安だらけの胸の内を吐露した。初めから弘暦の心にいたのは烏拉那拉氏、しかし先帝と皇太后の意向を汲んでやむなく自分を選んだと知っている。結局、皇帝とは心を通わせられず、名目上の伴侶でしかなかった。たとえそうであっても皇后として良き妻になる努力をしてきたが、やはり1人の女として愛されたかったという。確かに弘暦は十分、尽くしてくれたが、それは愛する女への情とは違った。「後宮には妃が大勢います、皇后はその長ですが、それが何になりましょう 皇上のお心次第で地位も栄誉も一瞬にして消え失せるのですから…」初めて琅嬅の本音を聞いた弘暦は驚いた。正室であり2人の皇子を産んでくれた母親として琅嬅を尊重し、守ってきたつもりだったが、これほど不安に苛まれていたとは。弘暦は琅嬅の思わぬ一面を知り、一度は目をつぶった皇后への疑いが再燃した。「そなたに尋ねたい、哲憫皇貴妃の死についてだ、表向きの死因は難産だ だが本当は何者かに殺されたのではないか?」琅嬅は皇帝まで自分を疑っていると知り、愕然となる。そこで指を立て嘘を言わないと誓い、哲憫皇貴妃の死には関わっていないと断言した。しかし弘暦の追求は終わらない。「慧賢皇貴妃は儀嬪と玫嬪の子を死産に至らしめた、そしてその罪を如懿(ニョイ)に着せた 違うか?如懿に何をした?」「何もしていません、私には嫻貴妃の野心が透けて見えたため、阿箬(アジャク)の嘘を信じてしまった 誓って真実です!」琅嬅は理由もなく人を陥れたりしないと訴えたが、弘暦は自分が最初に選んだ如懿を琅嬅が目の敵にしていたと勘ぐる。「慧賢皇貴妃の父・高斌(コウヒン)が富察氏の邪魔になる だから不妊の薬をしのばせた腕輪を贈ったのだな? 冷宮にいた如懿の命を狙わせたのもそなたか?」琅嬅は弘暦が何もかも知っていながら知らないふりをしていたのだと気づき、急に力が抜けた。「そうです、慧賢皇貴妃と嫻貴妃の懐妊を阻みました 永璉(エイレン)を呪い殺した嫻貴妃を許すことができず、冷宮に入ってからも虐げました ですが冷宮に出た毒蛇と砒素のことは誓って知りません」弘暦はこの数年、琅嬅の所業を全て把握していた。しかし真実が公になれば自分の治世における汚点となり、皇室の恥をさらすことになってしまう。弘暦は皇室と富察氏、そして自分と子供の名誉のために公表はしないと言った。「…フフフ、うっ…皇上、なんと寛大な処置でしょう… 皇上は聡明ですが冷たいお方です、その非情さが恨めしいのです 分かりました、私が犯した罪はこの身で償います」そして最後に琅嬅は恨みを込めて言った。「次期皇后となる者が誰であれ、より悲惨な末路を歩むことでしょう… 私はこの目で見ています…天上から…しかと見届けます…」すると弘暦はため息をつき、立ち上がった。「″因果応報″とうなされていたな 報いは誰が受けたのだ?自業自得ではないか?あとの祭りだ…」弘暦は落胆を隠せず、ゆっくり休めと言って出て行った。琅嬅は引き止めようとしたが寝台から落下し、結局、その背中が最後に見た弘暦の姿となってしまう。弘暦は琅嬅との間に猜疑と憎しみしか残らないと思うと虚くなった。すると船に戻って早々、皇后の訃報が届く。妃嬪たちが悲しみに暮れる中、蘇緑筠は率先して皆を束ね、すぐ葬儀の準備にかかった。喪服に着替えた侍女・蓮心(レンシン)は、素練(ソレン)が慌ててどこかへ出かける姿を見かけた。実は嘉妃から皇后の死に疑念が生じたと言われ、素練は人気のない場所におびき出されてしまう。すると外套をまとった侍女・貞淑(テイシュク)が待っていた。←貞淑だと思ったけど定かではない(汗貞淑は素練にかんざしを渡し、皇后が河に落ちた場所で拾ったと教えたが…。如懿は純貴妃に葬儀の準備を任せ、弘暦のそばにいることにした。すると弘暦は皇后が多くを認めぬまま亡くなり、そのうちいくつかの件について潔白を主張したと教える。如懿は到底、信じられず、素練と蓮心に尋問するよう嘆願した。しかし太監・李玉(リギョク)が駆けつけ、素練がすでに殉死したと報告する。葬儀の準備で忙しくなるため蓮心と一緒に素練を探していたが、その後、変わり果てた姿で発見されたという。突然のことに驚いた弘暦は侍女・毓瑚(イクコ)に遺体を改めるよう命じ、ひとまず蓮心から話を聞くことにした。蓮心は素練が以前から母親の元に帰りたいと話していたと証言、自害を疑った。しかし如懿は素練が処罰を恐れて自害したと怪しみ、皇后と素練が何をしていたのか知っているか尋ねる。すると蓮心は王欽(オウキン)との一件以来、自分は遠ざけられていたので分からないと答えた。「ですが皇后娘娘のお人柄はよく存じています 亡くなった端慧(タンケイ)太子を思うあまり嫻貴妃娘娘を逆恨みしました しかし皇后娘娘は事を起こせません 私心から誰かを陥れれば富察氏の名が傷つきます 自身のお子の前途を閉ざすような愚行は犯さぬかと…」そこで弘暦は蓮心と2人で素練の処遇を話し合うことにする。先に下がることになった如懿は帰り際、思わず蓮心に声をかけた。「蓮心、皇后娘娘はいい侍女を持ったわね…」その頃、毓瑚は素練の遺体を調べていた。素練は橋の欄干に頭をぶつけて死んでいたが、その手にはかんざしが…。金玉妍は身重の身体ながら葬儀の準備に顔を出した。驚いた蘇緑筠は身体に触ると心配したが、金玉妍は悲しくて眠れないと涙する。殊勝なその姿に太監・趙一泰(チョウイッタイ)はすっかり騙され、嘉妃の皇后への敬愛は妃嬪の鏡だと感激した。すると金玉妍は葬儀については純貴妃に従うと告げ、趙一泰が下がってから蘇緑筠をけしかける。「…姐姐、皇后の亡き後、ここで活躍した者が次期皇后となります 同じ貴妃でも子をなした分、あなたが有利よ…」「ありがとう、もしその日が来たらあなたの助言に報いるわ …可心、嫻貴妃に葬儀の準備は明日にして早めに休むよう伝えて」可心の伝言を聞いた海蘭は、純貴妃が皇后の後釜を狙って張り切っていると分かった。相変わらず如懿は権力争いに興味がなさそうだが、それより皇后の罪業をこのまま見逃すつもりだろうか。しかし蓮心の話を聞いた如懿はふと濡れ衣かもしれないと言った。確かに琅嬅は富察氏の繁栄を第一に考えていたという。「死者を裁くことはできないでしょう?争ってきた日々を思うと虚しいわね…」海蘭は自分も疲れてしまったと嘆いた。ただし民のように欲を捨てて穏やかに暮らせないことも重々、承知している。「この先ずっと心の休まる時など来ないわ 勝ち抜かなければ自分自身の命が奪われてしまうもの…」この戒めは奇しくも如懿が教えてくれた教訓だった。蓮心は皇帝だけに素練が皇后に知らせず一連の悪事を行なった可能性があると証言した。そもそも食べ物の寒熱や蛇が蛇苺を好むことなど皇后は知らないという。すると素練と皇后の他に背後で指示していた黒幕がいたのだろうか。しかし蓮心もそれ以上は知らず、ただ慧賢皇貴妃の他に皇后は純貴妃や嘉妃と親しかったと話した。また嘉妃と慧賢皇貴妃はうわべだけの仲だったという。弘暦は蓮心に暇を許して下げた。尋問を終えた蓮心は桟橋で叩頭し、皇后に最後の挨拶をする。「皇后娘娘、あなたと王欽が幸せを奪った… 私はあなたを見殺しにしました、あの世で謝罪させてください」すると蓮心は河に身を投げた。つづく(๑・᷄ὢ・᷅๑)ぁぁぁ…蓮心蓮心はいずれ如懿の側近になると思ってたのに…でも兄妹たちはどうするの?
2019.10.06
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※あらすじには過激な内容や表現が含まれています、ご注意ください扶摇 Legend Of FuYao最終話「最後の封印」九天の頂…。弑神釘(シシンテイ)で懲罰を受ける長孫無極(チョウソンムキョク)は太妍(タイケン)が持っていた師祖・長青子(チョウセイシ)の鏡でついに扶揺(フーヤオ)と五州を生かす方法にたどり着いた。『…私に始まり、私によって生き…私によって生きて、私に終わる…』全て最初から定められていたことなら、もし変えられぬ天意なら、扶揺と共に行くまで…。無極の選択を聞いた太妍は、ならば自分は最後まで無極を助けると言った。驚いた無極はすぐここを離れるよう必死に訴えるが、太妍の決意は変わらない。「だめだ!太妍!…だめだ!太妍ーーーっ!」しかし太妍は黙って姿を隠した。一方、桟橋にひとり残った小七(ショウシチ)は縄を切り、橋の片側に細工を施した。やがて弟子たちが小七に気づいて橋を渡り始め、その途端、縄が切れて橋と共に落下してしまう。小七は追っ手の足止めに成功し、皆の後を追うことにしたが、その時、落ちたはずの弟子の1人が舞い戻って来た。「お前を止めなきゃ、男がすたる…」何者も恐れず、屈強な男に立ち向かう小七、しかし力の差は歴然だった。「フーヤオ姐…俺はここまでだ…」小七は刀を全身で受け止めながら最後の力を振り絞り、男を巻き添えにして谷底へ消えた。天機(テンキ)上師と長老たちが待ち構えているとも知らず、扶揺はついに無極の元へたどり着いた。気を失っていた無極は扶揺の呼びかけで目を覚まし、愛しい人の姿に思わず笑みがこぼれる。しかしすぐ現実に引き戻され、扶揺を追い返した。「ここを離れろ!すぐにだ!師尊は君を許しはしない、行け!早く行けっ!」必死に説得する無極、しかしついに天機上師たちが現れる。「逃がそうとしても無駄だ」すると扶揺は覚悟を決め、天機上師と対峙した。扶揺は無極を解放するなら自分を好きにすればいいと条件を出した。すると天機は無極が手を下せないなら自分たちが妖女を封ずるまでと言い放つ。「やめてくれー!やめろ!師尊!お願いです!こんなことはやめてくれぇぇぇ~!」無極がいくら全身で叫んでも、もはや師尊を止めることはできなかった。「お前は義に厚い女子だが、しょせんは災いをもたらす妖女、五州天下のため死んでくれ!」ついに妖女を封じるため放たれた天機上師たちの神気…。扶揺は激しい衝撃を受け、その場にばったりと倒れてしまう。「やーとうーっ(丫头)!うわあああああああーーーっ!」虚しく響く無極の悲痛な叫び…。その時、非煙(ヒエン)の一撃が天機上師たちを襲い、危機一髪のところで扶揺を救った。天機上師たちはちょうど気を巡らす隙を突かれ、思いがけず深手を負った。そこへ非煙と太妍が現れる。「幻生(ゲンショウ)殿はそもそも帝非天(テイヒテン)のもの、我は帝非天の唯一の血族 かつて捲土重来(ケンドチョウライ)を期して、お前たちが帝非天を封印するのを見逃してやった そして千百年の間、妖女の出現を待った」天機はようやく非煙の目的を知ることになった。まさか非煙の真意が帝非天の復活だったとは…。「扶揺を封印石に生贄として捧げ、囚われの帝非天を再び降臨させる その時、妖女の体内の邪火が帝非天に戻る、邪火さえ戻れば帝非天は昔日の力を取り戻す まもなくこの五州は我らのものになる…ウェ~ハッハッハッハ!」天機上師は非煙に謀られたと気づいて激高し戦いを挑んだが、あっけなく敗れてしまう。無極は目の前の惨劇になす術なく、放心状態だった。すると非煙は太妍に邪魔者の無極を殺せと命じる。太妍は拝命したが、ふいをついて背後から非煙に襲いかかった。しかし非煙は瞬時に剣先をつかみ、自分の言いつけに背いた太妍を吹き飛ばしてしまう。実は太妍の企みなどお見通しだった。非煙は太妍が幾度も独断で動き、任務を装って無極に会っていたと知っている。「太妍よ、お前は実に単純だ、無極がお前を愛するとでも?あり得ぬのになぜ無極を助ける? 言ったはずだ、お前の剣は情を断ち切れば無敵と…何度も教えたのに、なぜ聞いてくれぬ?」挑発された太妍は敵うはずのない非煙に突撃し、無残にも散って行った。非煙は倒れている扶揺に近づいた。その時、無極が急に高笑いし、非煙の死期が近いと教える。驚いた非煙は無極の前にやって来た。「お前の脈は乱れ、呼吸も弱い、どうやら幻生殿の殿主にも昇天の時が来たな?」「でたらめを…」「でたらめじゃない、確かな見立てだ、死が迫っている… その美しい顔(カンバセ)を保っているのはすべて他人の寿命を奪ったからだ! 幻術で維持した命は天寿が来たなら、一瞬のうちに衰え、崩れ去る!」「黙れ!」非煙は恐れていたことを指摘され、激高して無極を殺そうとした。その時、倒れていた扶揺の意識が戻る。無極は扶揺を守るため全神経を集中させ弑神釘を抜き出すと、鎖を引きちぎって非煙に頭突きした。非煙は無極に吹き飛ばされ、ちょうど目を覚ました扶揺にまで切りつけられた。そこへちょうど宗越(ソウエツ)、戦北野(センホクヤ)、雅蘭珠(ガランジュ)が駆けつける。非煙は身の程知らずの凡愚(ボング)どもと蔑むが、3人は扶揺と無極を守るため戦いを挑んだ。3人は次々と非煙の前に倒れて行った。扶揺は仲間を救うため無極を置いて加勢、しかし圧倒的な力に対抗できるはずもない。扶揺が吹き飛ばされると、無極は咄嗟に非煙に襲い掛かった。しかしあっけなく殴り飛ばされてしまう。その時だった。非煙が無極に気を取られているその一瞬の隙をつき、扶揺の剣が非煙の身体を突き刺す。すると非煙は不敵な笑みを浮かべた。「クックックッ…幻生殿を見くびるな、ただでは逝かぬ この命をもってお前の最後の封印を解き、我が宿願を成就せん!あはははは~!」非煙は不気味な黒い煙に姿を変えると、あっという間に扶揺の身体へ侵入してしまう。宙に舞い上がった扶揺は絶叫、すると両目が赤く妖しく光った。無極は扶揺が着地すると急いで駆けつけたが、すでに最後の封印を解かれた扶揺は妖女に変貌し、無極の声は届かない。宗越は扶揺が妖女に変化(ヘンゲ)したと気づき、もはや帝非天の復活は阻止できないと嘆いた。すると妖女が目の前の無極の首をつかみ、2人で姿を消してしまう。妖女は無極を連れて長青殿にやって来た。導かれるように封印石に近づいていく妖女、すると無極が必死に扶揺を引き止める。すると妖女は苛立ち、振り向きざまにいきなり無極を刺した。「うっ…最初に刺したのも…ここだったな…」無極は太淵(タイエン)の奴闘場でも扶揺が胸を刺したことを持ち出し、扶揺の心に訴えかけた。その時、妖女に扶揺の記憶が断片的に蘇る。妖女は混乱し、無極と扶揺の情を振り払うかのように再び無極に斬りかかって行った。しかし無極をいたぶればいたぶる程、妖女は無極と扶揺の絆に苦しめられてしまう。そしてついに扶揺の心が妖女を凌駕、扶揺は自ら腹を刺して邪火を抑え込むと、封印石は爆発した。傷だらけでその場に倒れこんだ扶揺と無極…。無極は精一杯、腕を伸ばして扶揺の手を握ると、2人は安堵の涙を流す。「無極…ついにやったわ」扶揺は全ての元凶が自分だったことから、自分で終わらせたかったと言った。自分1人が死ぬことで人々を生かしたかったのだと…。しかしこの世にはもはや妖女などいない、扶揺がいるだけだ。「私たちついに勝ったのね…運命の鎖を断ち切った…」「天地に仁なくも蒼天に道はある…心に天下を抱けば、死への命でも決して後悔などしない…」「私は願ってた、この世から殺戮がなくなればいいと…」「君の言う通りだ、私もこの世が平和でいて欲しい…そうしたら私は君を… 五州天権の皇后にする…幸せな皇后に…」無極は扶揺の手を精一杯握りしめると、扶揺は満面の笑みを浮かべた。「私たち…もう十分、浮き世の苦しみをなめ尽くした… これからはあらゆる喜びを味わうの…いいわね?」「もちろん」「私たち…これからは永遠に一緒よ…」「…私は…とても幸せだ…この人生で君に巡り会えた」「私もよ…」庭園で仲睦まじく過ごす無極と扶揺「なぜ苦難の道を?」「君のためなら、世界を敵に回しても苦しみを跳ね返せる」2人の眼下には平和な五州天権国が広がっていた。完終わった~っ!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››本国放送でさっぱり意味が分からずw答え合わせ視聴でしたが、どちらにしても解決できませんでした(笑設定なんてどうでもよくなったのか、え?結局、自害でもいいんだ?みたいなwそうそう、太妍=漣児のはずだけど、ネタバレはありませんでしたね~違うのかな?そう言えばBSで十里桃花が再放送です、立ち直るためにもまた視聴しようっとwww問題のラストシーン当時は本国でも扶揺と無極は死んだのか、ここはどこなのか、話題でした本国の方の書き込みで2人は死んでない設定と確認、本当ならこの後に2人の婚儀のシーンがあったはずだったとか(…あ、中文なので定かではありませんw)そのためあらすじでは天権で終わったことにしましたが、最後に管理人の解釈を追記して終わりにしたいと思います(←勝手にw【ラストシーン考察】まずはラストシーンの解釈無極と扶揺は死亡→歴劫を終えて天界へ天界に戻った2人は俗世での無極と扶揺から長青子と帝非天に戻っています管理人的考察その1:無極→長青子、扶揺→帝非天無極が璇璣で再び師尊に召喚された時のことを覚えていますか?無極は千年前に師祖・長青子が修行したという穹蒼の禁忌の地に連れて行かれましたすると蓮の花に師祖の姿が現れ、それが自分だと知って驚きますこの時、師尊が当時、長青子も無極と同じように苦しんだはずだが決断したのだー!みたいなことを言ってましたつまり長青子も愛する人を封印するのは辛かったけどやり遂げたという意味だと予想同様に蓮の花の中にいた妖女=扶揺=帝非天でその2:鏡からのヒント『…私に始まり、私によって生き…私によって生きて、私に終わる…』俗世を妖女から救うのが天界の仙人である長青子の天劫とだと予想その3:三十三宮で離恨天が最高扶揺が隠れ家で見た無極が書き残していた詩を最後にもう一度、持ち出しています実は管理人にとってこれが最大のヒントでした扶揺の顔が「あ~そう言えば俗世で書いてたわね~」と言った表情にも見えます離恨天と言えば道教でいう太一君と言う神様セリフにあった通り、今回の歴劫が一番辛いと言われる情の劫だったのでは?その4:たー?中文に造詣ゼロの管理人が困ったのが無極のセリフ字幕では「″君″が俗世に行くなら僕も行くよ~」とありますが、中文では「君=她」つまり「彼女が」と言っています無極=長青子だと仮定すれば「彼女=扶揺」がまた俗世に行くなら自分も行くことになる、と解釈できますただその3に示した通り、その際は情とは違う歴劫で…この流れなら最後に扶揺が「(今回)なぜ苦難の道を選んだの?」と聞いたのも理解できますがどうでしょうか終わり
2019.11.29
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三生三世十里桃花 Eternal Love第52話「三生石の悲劇」素錦(ソキン)は照歌(ショウカ)の様子を見ようと人間界にやって来た。幼い頃の夜華を見た素錦は、あの頃は自分だけが夜華(ヤカ)のそばにいられたと懐かしむ。「夜華は昔から見目麗しく、無口でおとなしかった、なかなか笑わないから苦労したわ …私はずっと夜華のそばにいた 夜華は私の唯一の家族、自分の命より大切にして真心を尽くして来た あの女どもの比じゃないわっ!」照歌は約束通り美しい神仙からもらった数珠を肌身離さず持っていた。そんなある夜、父が従姉・素錦を連れて来る。父は素錦が数日ほど滞在するため、一緒に遊ぶよう勧めたが、照歌は素錦にまったく興味を示さなかった。一方、崑崙虚(コンロンキョ)では白浅(ハクセン)が埃まみれの酒蔵を掃除していた。「男たちは皆、不精者なんだから…ブツブツ」「…怠け者だった17が別人のようだ」「師父!きれになりましたか?」「きれいだ」墨淵(ボクエン)は思わず司音(シイン)の頰についた汚れをぬぐい取った。「師父、覚えておいでですか? 離鏡(リケイ)に裏切られ、深酒した私のために、師父は修行を早めに切り上げて ここで寄り添ってくださいました 師父?当時、私が娘だとお気づきでしたか?」「そなたが崑崙虚の大殿に足を踏み入れた瞬間に狐帝白止の娘だと分かった」「?!ではなぜ私を弟子に?女弟子を取らないはずでは?…ふっ、折顔ですね?そうでしょう? もし拒めば折顔に絡まれますからね~」思えば自分を弟子にとった結果、師匠はもっと面倒なことになった。何せ上仙になる時、自分の代わりに天劫を受けることになったのだから。白浅はふとあの時、泣いてばかりで感謝もしていなかったことを思い出した。そこで改めて拝礼しようとしたが、墨淵が咄嗟に止める。「そなたは私のために7万年も心の血を抜いたと聞いたが誠か?」「師父には大恩があります、たとえ命を差し出しても構いません 私の心の血で師父の仙体を守れれば、私は本望です」「…もし私が東皇鐘(トウコウショウ)の生贄にならなかったら、そなたはまだ崑崙虚にいたか?」「もちろんです!17はずっと崑崙虚にいるつもりでした」「ずっと崑崙虚に?!」「実は離鏡とのことで感傷的になっていた頃、思ったんです いつまでも崑崙虚にいて師父のもとで修行したいなって…」「だが女子はいずれ嫁がねば…ご両親もそう考えるはずだ」「当時はまだ夜華がいなくて…誰かと添い遂げたいとも思いませんでした」「そうだな、夜華はいなかった… 17よ、私が7万年もの間、己の元神を修復させていたのはなぜだと思う?」「17には分かります、弟子たちを失望させないためですね? 師父が若水で″私を待て″と言ったので、必ず戻ると信じていました、全て私たちのためですね?」「″弟子たちを失望させない″か…その通り、確かに私の弟子のためだ」しかし白浅にはやはりその意味が伝わっていないようだった。すると墨淵は思わず司音を抱きしめてしまう。白浅は師父の背中に手を回し、かつて翼(ヨク)界に救出に来てくれた時もこうして抱きしめてくれたことを思い出した。「師父が戻られて本当に良かった~」「そうだ、師父は戻って来た」墨淵はそっと司音を離すと、そこに第16番弟子・子闌(シラン)がやって来た。司音に″賓客″だという。正殿では師兄たちに囲まれて楽しそうに笑っている阿離(アリ)の姿があった。阿離は白浅の姿に気づくと嬉しそうに駆け寄って来る。「にゃんちーん(娘亲)!」「どうしてここに?あ、私の師父・墨淵上神よ」阿離は父と瓜二つの戦神の姿に目を丸くしていたが、すぐひざまずいて拝礼した。「本当は父の代わりに阿離と東華帝君(トウカテイクン)が来るはずでした でも帝君が仙力を失ってしまったので、阿離が1人で来たのです」「そなたのふーちん(父亲)とは…」「天族太子・夜華です」そこで白浅は実は夜華が墨淵の弟で、父神(フシン)の息子だと教えた。阿離の父は生まれた時に身体が弱く、金蓮になって蓮池で眠り、それから太子・夜華として生まれたという。「ふーちんがにゃんちんのしふのでぃでぃ(弟弟)?では墨淵上神をどう呼べばいいの? 大伯?それとも太師父?にゃんちん、よく分かりません」「うーん…父上に聞いてみましょう?」「おう」墨淵は思いがけず甥と対面し、聡明な阿離に目を細めた。すると子闌が白浅には嫁入り前から子供がいると揶揄する。第2番弟子・長衫(チョウサン)は司音が最初に跡継ぎを作ったと驚き、いまだ独り身の大師兄・疊風(チョウホウ)に少しは遠慮しろと笑った。(  ̄꒳ ̄)<師父も独り身だぞ?@大師兄(´゚艸゚)<あ…人間界、その夜は激しい雪になった。素錦は照歌の部屋に駆けつけ、雪を見に行こうと誘ったが、照歌は相変わらず黙ったまま書を読んでいる。「秘密を教えてあげる、私たちの縁談が決まったの!」「そんな馬鹿な、今すぐ断りに行く」「駄目よ!私は夜華に嫁ぐの!」素錦は照歌の腕をつかんで引き止めたが、その時、照歌の手首から数珠が抜けてしまう。「誰からもらったの?!」「返せ!」「嫌!」2人が数珠の取り合いをしていると、照歌の従者が駆けつけた。すると照歌はようやく数珠を取り返し、憤慨して部屋を出て行ってしまう。「夜華!戻ってらっしゃい!」「…小姐?″夜華″とは誰のことですか?なぜ少爺にあんな口を利いたので? しかも少爺の命も同然の数珠に触れるとは…」「誰からもらったの?!答えなさい!」「私も存じません、ただ青丘に関係があるとか…」照歌は青丘について長いこと必死に調べているという。「青丘ですって?」従者は青丘を知っているなら照歌に教えて欲しいと頼んだが、素錦はなぜか癇癪を起こして教えないと拒んだ。洗梧宮(センゴキュウ)に戻った素錦は素素(ソソ)の木彫り人形を作り始めた。せめて9割方は素素に似ていないと夜華を欺くことはできないだろう。辛奴(シンド)は根を詰めないよう諌めたが、素錦は早く作り終えないと間に合わないと焦った。一方、青丘に帰った白鳳九(ハクホウキュウ)は飲まず食わずで泣いてばかりだった。迷谷(メイコク)は心配し、誰に恋するかは自分次第、女帝になることと何の関係があるのかという。「だって女帝になったら青丘を離れられないっ!姑姑が退位するのは九重天に嫁ぐからだわ!」「違います、姑姑のお相手は将来、天君に即位する太子夜華ですよ? つまり姑姑が青丘を離れるのは、いずれ天后になるからです でも東華帝君はとうに退位しています、だからどこへ行こうと文句を言われません だから小殿下が青丘女君になっても何の問題もない、むしろ女君になった方がいいですよ? 青丘の女君は九重天の朝議に出る機会が多い」迷谷の話を聞いた鳳九はかえって帝君と会える機会が増えると知り、急に女帝になる覚悟を決めた。善は急げ、白鳳九は礼法の書物や青丘の史籍をかき集め、女帝になる準備を始めた。すると突然、狐狸洞に司命星君(シメイセイクン)が現れる。司命は鳳九が女帝を継ぐことになった祝いに、ある興味深い天族の史籍を見せたいと言った。それは通常の史籍ではなく、東華帝君が四海八荒を治めていた頃の記録だという。鳳九は早速、その史籍を読んだが、そこでついに″三生石″の真相を知った。「だから姑姑まで帝君を忘れろと言ったのね…」司命星君は東華帝君が決して冷酷なわけではなく、鳳九への情もあるとかばった。実は人間界での修練は人生の六苦を味わうためではなく、鳳九の願いを叶えるためだったという。天宮では天命に縛られて鳳九と結ばれないが、人間界なら修練の名目で天に逆らえた。「東華帝君はわずか数年でも小殿下に真心を捧げました、これが小殿下に伝えたかった真相です」「帝君が私のために修練を?」鳳九は東華帝君の思いを知って号泣、狐狸洞を飛び出して行った。墨淵が現れると同時に翼界が荒れ始めた。報告を聞いた東華帝君は皇太子がなぜ人間界に行く前、天枢(テンスウ)に若水(ジャクスイ)を見張るよう命じて行ったのか気づく。…もしや何か起こるのか?…その時、太晨宮(タイシンキュウ)の門のところで座り込んでいる白鳳九を見つけた。東華帝君は白鳳九にもう来ないよう釘を刺し、門を閉めることにした。焦った鳳九は咄嗟に九尾狐に戻り、隙間から中へ飛び込んでしまう。すると鳳九に飛びかかられた東華帝君があっさり倒れ、喀血した。「帝君?!…帝君!大丈夫ですか?」「そなたは3割もの仙力で私に飛びかかったな」「まさか人間界から戻ったあと、本当に仙力を失ったなんて…なぜ私に隠していたのです?!」「大したことではない」東華帝君は天宮にいれば危険もないと言ったが、鳳九は心配で泣き出してしまう。「60年と定めた修練を最後まで終えなかったゆえ仙力を失ったのだ この私さえ天に逆らえないのだ、だが2年ほどで回復する、説明は以上だ、帰るが良い」東華帝君はきびすを返したが、その時、鳳九が後ろからいきなり抱きついた。「私を拒むのは…三生石に私たちの名がないからですか?」「なぜそれを?!折顔か墨淵が言ったのか?あるいはそなたの父か? 他言しないと私に約束したのに…」「違います、司命が天族の史籍を届けてくれたのです、三生石の己の名を自ら削ったのですか? ゥッ…もう打つ手はないと?…グスン…信じません!」「そなたが信じなくとも、三生石に私の名は現れないのだ、私はそなたばかりか誰とも結ばれない」白鳳九はどうしても納得できなかった。そこで東華帝君の宝剣を仙力で引き寄せ、自分の九尾を一本、切り落としてしまう。「うっ!…青丘の狐の尾は執念を神器にできる、三生石に帝君の名を刻みます」すると鳳九は呆然と立ちすくむ東華帝君を残し、誅仙台(チュウセンダイ)へ向かった。白鳳九は階段を駆け上がったが、三生石の目前で転んだ。司命星君の話では当時、四海八荒で戦が絶えず、その主として天地を治めていた東華帝君は己の弱みをなくそうと三生石から自分の名前を削ってしまったという。婚姻の縁を定めるという三生石、そこに名がなければ今生、誰とも結ばれなかった。つまり東華帝君がどんなに長命でも、生涯、独り身と決まっている。そのため誰かを愛しても悪縁にしかならず、人間界での修練と同じように鳳九との愛は実らないのだ。それでも白鳳九は傷ついた身体で起き上がり、三生石までたどり着く。しかしやはりいくら探しても東華帝君の名前はなかった。そこで自分の名前を探してみたが、思いがけず自分には別の縁があると知る。…白鳳九…文昌(ブンショウ)帝君「不可能…そんなはずない…どうしてこうなの?…私が愛しているのは東華帝君よ」司命星君はこれ以上、執着して天に逆らっても何も良いことはないと忠告していた。東華帝君と白鳳九の人間界での縁は天上ではわずか数日のこと、それでも帝君は仙力を失うことになってしまう。「これは警告です、小殿下が執着し続ければ、どんな報いがあるか分かりません 小殿下、あきらめるのです」鳳九は司命の言葉を思い出し、泣き崩れた。その時、九尾で作った短剣を思い出し、自分の名前の隣に″東華帝君″と刻むことにする。しかし何度、彫っても彫っても、東華帝君の名前は風のように消えて行った。やがて鳳九は尾を失った衝撃の大きさから気を失ってしまう。その姿を東華帝君が見ていた。東華帝君は白鳳九を腕に抱き、太晨宮に向かった。そこで司命星君に鳳九を託し、直ちに青丘へ送るよう頼む。「自ら尾を断った… 掟では天族の史籍は持ち出し厳禁、戻った後、普化天尊(フカテンソン)のもとで罰を受けよ」「小仙、拝命しました」司命星君はすぐ白鳳九を連れて青丘へ向かった。そこで迷谷に鳳九を渡し、尾を断ったと伝える。「何だって?!心の臓をえぐるような痛みだぞ?!」「それほど深刻か?」憤慨した迷谷は司命星君を追い返し、急いで十里桃花へ向かった。折顔も白真も崑崙虚へ出かけたまま、十里桃花には誰もいなかった。そこで迷谷は白鳳九を抱えて崑崙虚へ向かい、ちょうど門に出てきた子闌に助けを求める。「小殿下は尾を断った後、ずっと高熱が…折顔上神が見当たらないのでここに来ました」知らせを受けた白浅たちは慌てて房間に駆けつけた。迷谷の話を聞いた白浅はさすがに動揺を隠せず、白真も白鳳九が命を粗末にしたことに愕然となる。折顔はともかく鳳九に丹薬を飲ませた。このまま痛みを止めてやらねば、激痛で死ぬ恐れもある。すると折顔がしばらく鳳九を1人で静かに休ませようと言った。白浅たちが中庭に降りると、ちょうど墨淵が東華帝君を連れてやって来た。すると怒り心頭の白浅は東華帝君に拝礼もせず、何の用かと突っかかる。「小五、無礼な口を利くな、この件は帝君の過ちではない」折顔は白浅をとがめたが、白浅は鳳九をここまで追い詰めた東華帝君を許せなかった。「帝君、あなたはもっと早く小九を拒むべきだった 私たち九尾狐族は一度、心に決めた相手を永遠に愛するわ 小九を深みにはめたくせに、あの子を拒むなんて…何のお遊びかしら?」「…すまない」「今さら謝っても、あの子の痛みは取れません!」白浅は思わず声を荒げると、墨淵が止めた。「17…帝君もつらいのだ」「はお、もうやめるわ」さすがに師匠に止められた白浅はそこで退くしかない。すると折顔が鳳九も目覚めた頃だと教え、様子を見に行こうと言った。意識が戻った白鳳九の前に東華帝君が立っていた。白浅は鳳九が幻覚と間違えていると気づき、2人のために黙って房間をあとにする。すると東華帝君は枕元に座り、そっと鳳九の頰に触れた。つづく( ー̀ωー́ )帝君も辛いのだ…(」゚ロ゚)」俺も~@師父
2020.09.10
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东宫 Goodbye my princess第37話「賭場での殺人事件」皇太子妃の寝殿・承恩(ショウオン)殿、曲小楓(キョクショウフウ)と良娣(リョウテイ)・趙瑟瑟(チョウシツシツ)は札遊びで交流を深めていた。「殿下が昨夜は承恩殿で過ごされたとか…」「あぁ?ああ~そのことが気になって訪ねて来たのね?」「いえいえ…お二人が仲睦まじいのは良いことです」小楓は他意はないと断り、東宮で皇太子に仕える者同士、今後は仲良くしようと言った。すると寛大さを見せたい瑟瑟はさらに緒娘(ショジョウ)をいつ東宮に迎えるのかと尋ねる。困惑した小楓は皇太子に直接、聞いたらどうかと答えたが、咄嗟に女官・永娘(エイジョウ)が補足した。「緒娘は今、皇后娘娘のもとにいます、太子妃が勝手に迎えることはできません」「ぁ…そうなの…」潜龍使(センリュウシ)の若頭となった顧剣(コケン)は郊外の竹林で胡嘯(コショウ)と接触した。実は配下を高家の三男・高震(コウシン)の賭場に潜り込ませるよう命じてある。すると胡嘯はすでに陶倹(トウケン)が潜入したと報告した。永娘は皇太子妃に良娣に用心するよう警告した。実は小楓も瑟瑟の様子がおかしいと気づいたという。緒娘の懐妊であれほど絶望したように慟哭していた瑟瑟が、なぜ急に寛大になったのか。「前に東宮は複雑だと李承鄞(リショウギン)が言っていたわ、陰謀だらけだって」一方、李承鄞も瑟瑟が承恩殿を訪ねたと聞いて驚いていた。時恩(ジオン)が永娘から聞いた話では、半日ほど皇太子妃と過ごし、札遊びをして帰ったという。何でも良娣は緒娘の東宮入りについても尋ねていたとか。李承鄞はひとまず時恩を下げると、今度は裴照(ハイショウ)があの晩の曲者は瑩児(エイジ)という侍女だったと報告した。どうやら清寧宮から金銭を受け取って探っているらしい。「皇太子妃を陰で守っていると勘づかれたのでは?」「だとしても我々はそしらぬふりを通す…そうだ、明月(メイゲツ)の方は?」「陛下は足繁く会いに通われています」以前は深夜には帰っていた皇帝だったが、近頃は夜が明けるまで過ごしていた。その夜、顧剣は鳴玉坊(メイギョクボウ)に明月を訪ねた。しかし顧剣の言いたいことを察したのか、明月は話を聞こうとしない。「何も言わないで…″あの人″は安全なところに?」「都を出たんだ、しばらく危険はないだろう 明月、何より大切なのは命だ、生きていてこそ、やり直す機会もある」顧剣は義父が長年、名誉回復を目指してきたのは、正義のみならず失った家族のためだと訴えた。もしも再び同じ選択を迫られたら、義父は迷わず母娘を助けるだろう。顧剣は当時、家族の安否も知れぬ状況だったと義父をかばったが、その時、小楓の声が聞こえた。「明月姐姐(ジェジェ)!」すると顧剣は小楓が現れる前に姿を消してしまう。「明月姐姐!遊びに来たわ!ずっと顔を見せないから心配になって…」「…実は、良くしてくださるお客様ができたの」「恋してるのね~ふふふっ!どんな人なの?」「仙人みたいな人よ、機会があれば紹介するわ」「はお、私がこの目で確かめるわ!明月姐姐にふさわしい人かをね~」賭場に潜入した陶倹は、この数ヶ月で店に来た客の名簿を若頭に届けた。その場で確認した顧剣は、奇しくも張参(チョウサン)に目を留める。陶倹は張参なら羽林軍の者で、調べたところ皇后の再従弟(ハトコ)だと報告した。「では皇后が高家を見張るために送り込んだのか?」「まさか!賭けに溺れ、借金を重ねる愚か者ですよ?品行も悪い あんな男を使うはずがありません」顧剣は高震が張参の素性に気づいていないと知り、これが利用できると思いついた。小楓が男装でちょうど出かけようとしていた時、瑟瑟が寝殿にやって来た。「姐姐…宮外へお出かけですか?」「ぁ…いいえ、試しに着てみただけよ?」「殿方にも引けを取らぬ凛々しいお姿ですね~羨ましいです」「なら李承鄞に頼むといいわ」「もしや殿下からの贈り物ですか?」「あぁ」すると瑟瑟は腰から香袋を外し、小楓に贈った。「新しい衣は工房の匂いがしますから…私が昔から使っている香です、太子殿下もお好きですよ?」しかし怒ったアドゥが公主から香袋を取り上げ、瑟瑟に投げ返してしまう。驚いた永娘は代わりに謝罪したが、実は瑟瑟の行動を怪しんでいた。そこへ急に李承鄞が現れる。「瑟瑟、青鸞(セイラン)殿を訪ねたら君はここにいると聞いてな…何もされていないか?」「ちょっと!どういう意味よ?!」小楓が憤慨すると、李承鄞は瑟瑟が持っている香袋に気がついた。「香袋なら私にくれないか、太子妃に香りなど分からぬ、瑟瑟、行くぞ」李承鄞は野蛮な者など放っておけと捨て台詞を吐いて瑟瑟を連れて行ってしまう。李承鄞は瑟瑟を迎えに来たと見せかけて承恩殿から引き離し、結局、青鸞殿へ行かずに東宮へ戻った。すると時恩に香袋を渡し、中身を調べるよう命じる。一方、冷遇された小楓は李承鄞が実は自分を守っているとも知らず、孤独に苛まれた。「美人で優しい良娣を李承鄞は愛している… 相思相愛なのに、太子になったことで仕方なく私を娶った 私はあの2人の間に割り込んだただの邪魔者ね…李承鄞が私を疎むのも当然よ 良娣が羨ましい…あんなに想ってくれる人がいて羨ましいわ」小楓は西州での幸せだった日々に想いを馳せ、冷え冷えとした東宮での生活に嫌気が差すと嘆いた。夜が更けた頃、顧剣が東宮へ報告にやって来た。李承鄞はようやく緒娘のお腹にいる子の父親が張参だと知る。実は張参は皇后の再従弟で、羽林軍に配属後、その地位を利用して悪行の限りを尽くしていた。賭博に殺人、緒娘も力ずくで乱暴されたという。そこで顧剣は趙参を利用し、高家と皇后の離間を図ることにした。賭場に潜入させた陶倹はすでに高震の信用を得ており、内情を熟知していた。実は張参は数日前、賭場で多額の借金をしたという。そこで張参が返済に窮した頃を狙い、胡嘯を使って借金の解決策を持ちかけることにした。胡嘯は高家の賭場が非合法だと教え、密告すれば調査が入って借金も帳消しになると吹き込む。すると早速、役人が乗り込んだが、表向き茶楼を営んでいるため、何事もなく引き上げた。実は高震には官府に内通者がいた。あらかじめ調査が入ると聞いた高震は先手を打って難を逃れたものの、誰が密告したのかと恨みを募らせる。陶倹はすかさず必ず密告者を捕えると約束し、高震の前に張参を突き出した。激昂した高震は一心不乱に張参を棒打ちしたが、やがて張参の意識がなくなってしまう。ふと我に帰った高震は恐ろしくなって陶倹に助けを求め、張参が生きているか確かめるよう頼んだ。張参はまだ息があったが、陶倹は脈を確認するふりをして息の根を止めてしまう。高震もさすがに殺人を犯したとあって激しく動揺した。陶倹は怯える高震に代わって張参の後始末を引き受け、張参の亡骸を川に捨てるが、官府に手を回して欲しいと頼む。「酔って足を滑らせたことにすれば追求されません 公子、今すぐお発ちに、公子は狩りに出ており都にはいなかった、いいですね? たとえ捜査されても客同士の揉め事で公子とは無関係です」その朝、李承鄞は皇帝を待ち伏せし、偶然を装い清寧宮へ誘った。皇后は皇帝と皇太子の急な来訪を知ると、中庭まで2人を迎えに出る。「陛下、突然、どうしてこちらに?」「皇祖母を訪問後に太子と出くわしてな、太子が言うには清寧宮の茶が美味いとか それで味見に来たと言うわけだ」喜んだ皇后は早速、用意させると言ったが、その時、慌てた様子で太監が駆けつけた。「沛国(ハイコク)夫人が訪ねて参りました」皇后の母・沛国夫人は亡き夫の親類筋に当たる張夫人を連れていた。思いがけず皇帝に謁見した張夫人は泣き崩れ、実は息子の張参が不審な死を遂げたと訴える。川から上がった遺体は傷だらけで明らかに他殺にも関わらず、官府は″酔って溺死″だと断定していた。張夫人は頼る当てもなく、沛国夫人のつてで皇后に嘆願に来たという。「皇上!息子は殺されたのです!賭場の男が遺体を捨てるのを見た者もいます!」困惑した皇后は法で解決すべき問題だと退けたが、張夫人は皇后のために働いて来た張参を見捨てるのかと号泣する。すると李承鄞が自分が真相を突き止めると皇帝に申し出た。張参を羽林軍に入れたのは皇后だった。皇太子の監視役として叔父の高于明(コウウメイ)にも内緒だったことから、皇后も無下にはできない。しかし漠然とこの件には何か裏があると感じていた。皇帝は張参の件を李承鄞に任せて戻ったが、どこか釈然としなかった。すると太監・曹芨(ソウキュウ)もずい分と間が良かったと首をかしげる。「あ、陛下がお茶を飲みに皇后をお訪ねにならなければ、何も知らぬままでした」「…一体、誰がこの芝居を用意したのか、見てみることにしよう」高于明は高震が姿を消したせいで詳しい事情が分からなかった。高坤(コウコン)の話では3日前に霊州へ狩りに出たという。「死んだ張参の身元を調べたところ、皇后娘娘の親戚で下女が生んだ庶子でした 張家では公にできぬ存在だったようです 素行の悪いろくでなしで、皇后娘娘は親戚だと名乗ることを禁じていました 伯母上が突然、押しかけたのも、やむなく調査を請うためかと…」「ならば高家は動かぬ方が良いな…落ち着くまで戻るなと震に伝えろ」「それからもう1つ、例の緒娘は張参と関係があったようです」その夜、青鸞殿で夕餉を取っていた李承鄞は食が進まなかった。実は張参の事件で協力者が見つからず、行き詰まっているという。瑟瑟はならば兄の趙士玄(チョウシゲン)はどうかと推薦、李承鄞は確かに瑟瑟の兄なら安心して任せられると喜んだ。李承鄞の目論見通り、趙士玄は宿敵である高震を追い詰めるには最適の人物だった。早速、調査を始めた趙士玄は高震が事件の夜、密かに都を離れたと知る。そこで配下に調査を命じたが、大理寺に全ての証拠を提出するまで皇太子にも伏せるよう指示した。高家は皇太子の後ろ盾、もし李承鄞に知られれば高震の罪はもみ消されてしまうだろう。「高家が皆の前でどうやって高震をかばうのか、見ものだな」瑟瑟は刺繍に没頭していた。もうすぐ七夕、李承鄞に贈る香袋だという。錦児は皇太子もきっと喜ぶと話し、何より皇太子は張家を頼りにしていると言った。その証拠に最近は趙士玄に会うため、皇太子は毎日、侯府を訪れているという。しかし七夕当日、李承鄞は瑟瑟の目を盗んで承恩殿に向かった。李承鄞は小楓が七夕で賑わう市中に必ず出かけると踏んで待ち伏せした。すると思った通り、小楓とアドゥが中庭に現れる。李承鄞は自分と一緒に出かけなければ皇后に告げ口すると脅し、小楓は仕方なくアドゥを残して付いて行くしかなかった。李承鄞は小楓が以前、舟に乗りたいと言っていたことを覚えていた。そこで船頭に銀子を渡して舟を借り、2人で川に出る。「おい、織姫に七夕の願い事はしたのか?」「はっ!( ̄人 ̄)どうかこの人を遠ざけてください…鬱陶しくて仕方ないのです」「こっちの台詞だよ、愚かでまぬけな君にはうんざりだ」「なら美人で優しい良娣と来ればいいでしょう?!」「君は私の正妻なんだ、好きなようにするさ」小楓は思いがけない李承鄞の言葉に頰を赤らめた。急に恥ずかしくなった小楓は手持ち無沙汰で川の水をもてあそび始める。するとふと思い立って李承鄞に水を浴びせかけた。驚いた李承鄞だったが咄嗟に水をすくってやり返し、2人は自然と笑い合う。「何か歌を聴かせてくれよ」「なぜ私が歌わなきゃならないの?」「舟を漕いでやってるだろう?」小楓はまさかこれが2回目だとも知らず、狐狸の歌を聴かせた。「♪一匹の狐狸が砂丘にポツリと座ってる~中天にかかる月を眺めている~ ♪でも本当は月を眺めているわけじゃない~放牧に出た姑娘の帰りを待っているだけ~」「あ~他の歌にしてくれないか?早く」「だってこれしか知らないもん」李承鄞は記憶を失くしてもやはり″他の歌にしろ″と言った。小楓は櫓(ロ)を見ているうち、自分が漕ぎたいと言い出した。2人は場所を交代、小楓は初めて舟を動かして喜ぶ。こうして2人は今までのわだかまりが全て嘘だったように楽しい夜を過ごした。つづく|ω-`)<一体、誰がこの芝居を用意したのか…ってLCYしかいないんですけどw
2021.01.07
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燕云台 The Legend of Xiao Chuo第29話「摂政の座」景宗(ケイソウ)・耶律賢(ヤリツケン)が倒れた。皇后・燕燕(エンエン)はなぜこれほど悪化する前に知らせなかったのかと憤ったが、ともかく急ぎ室昉(シツホウ)、耶律休哥(ヤリツキュウカ)、耶律賢適(ヤリツケンテキ)、そして韓徳譲(カントクジョウ)と蕭達凛(ショウタツリン)を招集する。すると楚補(ソホ)が皇太叔夫妻と耶律敵烈(ヤリツテキレツ)一家が見舞いに来たと知らせた。燕燕は罨撒葛(エンサーグァ)を警戒し、燕王・韓匡嗣(カンキョウシ)の見立てを理由に面会を断った。仕方なく引き下がることにした罨撒葛だったが、太平王妃・胡輦(コレン)は頑なに拒否した燕燕の様子に困惑する。一方、耶律喜隠(ヤリツキイン)は趙(チョウ)王妃・烏骨里(ウグリ)に自分を摂政にするよう皇后に口添えを頼んでいた。しかし燕燕は″射鬼箭(シャキセン)″の一件が喜隠の仕業と知りながら姉妹の情で見逃してくれたばかり、烏骨里は調子に乗るなと呆れる。すると喜隠は燕燕が許してくれたのは情ではなく、今の状況下では自分を頼るしかないからだと吹き込んだ。病の景宗を支えるには誰かの助けが必要だが、兄弟は姉2人、かと言って罨撒葛に頼めば地位が危うくなり、自分と手を組んで対抗するしかないという。「私は燕燕を助けたいんだよ~」「分かった、頼んでみるわ」その夜、燕燕は腹心を集めて明日の朝議について話し合った。明日は自分ひとり、罨撒葛と喜隠を同時に対処することは難しい。そこで燕燕はまず喜隠を抑えると決め、休哥には景宗と皇子の警固を命じた。また経験豊富な室昉と賢適には朝議で自分の支えとなるよう頼み、達凛は郎君(ロウクン)軍を率いて大殿の外で待機、万一の時は臨機応変に動くことを認める。燕燕はそこで散会したが、徳譲だけ残した。粘木袞(デンボクコン)は皇太叔に皇后が腹心を集めて朝政の相談をしたと報告した。景宗が倒れて大慌ての皇后、罨撒葛は愚かな喜隠ならこの機にすぐさま動くと分かる。そこで女里(ジョリ)と高勲(コウクン)に明日の朝議で喜隠と皇后の対立を煽るよう指示した。燕燕は何か言いたそうだった韓徳譲を引き止め、策があるのか聞いた。すると徳譲は喜隠が尊大で傲慢な男だと指摘、抑えるより逆の手段を取るよう提案する。実権のないうわべの職を与えれば喜隠は必ず居丈高(イタケダカ)に振る舞うはず、周囲の者も自然と離れて行くだろう。翌朝、皇后が初めて独りで執り仕切る朝議が始まった。予想通り喜隠が真っ先に御前に立ち、景宗が療養する間、朝政をどうするつもりか尋ねる。燕燕は景宗の指示により自分が代行して秦(シン)王・高勲が補佐し、女里・賢適・室昉が宰相と協力して事務を取り仕切ると答えた。そこで高勲は真っ先に拝命したが、喜隠は異論を唱える。皇后なら景宗のそばで尽くし回復を助け、摂政は太祖の子孫が行うべきだという。すると罨撒葛の指示通り高勲は皇后をかばい、わざと喜隠と対立した。女里も高勲に追従し、趙王は二心ありと疑う。ザワザワ… ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ ザワザワ…朝議は紛糾した。「騒ぐでない!」その時、驚いたことに皇后が確かに自分では景宗の代行として力不足だと認めた。燕燕は今の状況では確かに趙王の方が朝政を担うのに適切だと言った。予想外の展開に顔がこわばる罨撒葛、すると韓徳譲も趙王が摂政となることが民の望みだと賛同する。ただし景宗の聖旨に背くことになるため、今日のところは保留にして景宗の決断を待ってはどうかと上奏した。喜隠は徳譲のまさかの援護に鼻高、異論はないという。「ならばそうしよう、この件は朕と陛下で相談する」景宗は病床で燕燕から朝議の報告を聞いた。「釣りには餌が必要だもの」「ふっ…事を荒立てずに喜隠を始末するわけか?妙策だな」正直なところ燕燕独りで朝議に出すことを案じていた景宗だったが、驚いたことにわずかな計略を用いてたやすく事態を収めた。「つまり朕は苦い薬を飲まずともゆっくり養生できる」「…もし飲まないなら燕王に頼んでもっと苦い薬を出してもらうわよ?」景宗は仕方なく薬を飲んだ。すると燕燕は実はこの妙策が韓徳譲の発案だと教える。旅から戻った徳譲は以前より着実で周到になっていた。「徳譲哥は朝政についても深い見識を持っている、あなたも回復したら意見を聞くといいわ」高勲と女里は皇后の判断に動揺し、太平王府を訪ねた。罨撒葛も皇后があえて喜隠を摂政にしたことに違和感があり、静観していたという。思えば皇后の腹心が1人も擁護しなかったのは話がついていたからだ。あれは見せかけの譲歩に違いない。「蕭燕燕を侮っていたな、思ったより手強い…」しかし高勲は手強いのは皇后に裏で献策している韓徳譲だと指摘した。すると罨撒葛は自分に策があると安心させる。「大した敵ではない、だがまず喜隠を片付けなければ…」本来ならまだ動く気はなかったが、罨撒葛は情勢が変わったため打って出ることにした。女里から奏状が届いた。皇子の儀式に紛れ込んだ刺客・玉宛(ギョクエン)は趙王の配下だったという。その証拠として趙王が命じた文が居室で見つかっていた。しかし喜隠に逃げ道を与えないよう、燕燕はまだ追及しないことにする。一方、韓徳譲の右腕・信寧(シンネイ)はついに刺客の靴の中敷をつきとめた。中敷を作ったのはやはり喜隠に仕えている梁(リョウ)州の者だったという。梁州では棕櫚(シュロ)の生産が盛んだが、上京(ジョウケイ)では売られていなかった。上京でこの中敷を作れるのはこの男だけ、しかし男はなぜ自分が捕まったのか分からず困惑している。そこで徳譲は正直に話せば悪いようにしないと安心させた。男の話では自分が作った物は全て喜隠大王の屋敷へ納めており、靴の中敷を作る前には足の寸法を測っていたという。すると徳譲は人相書きを見せて知っている顔を教えるよう命じた。「あ…見た顔です!頬に刀傷があったので覚えています、この方は喜隠大王の配下でした」景宗は気分転換に散歩がてら皇后の様子を見に来た。しかし韓徳譲から報告を聞いていた燕燕はやけに沈んだ顔をしている。実は閭(リョ)山で景宗と蕭思温(ショウシオン)を襲わせた真犯人が喜隠だと分かった。ただ奇妙なことに一晩のうちに証拠が出て来たという。燕燕は自分たちの策が奏功し、誰かが喜隠の摂政を阻止するため隠し持っていた証拠を出したのだと気づいた。すると徳譲は別の目的も考えられると指摘、ともかく兵馬を持っている喜隠の身柄を押さえようと提案する。景宗はすぐ許可したが、燕燕は姉と甥を傷つけないで欲しいと頼んだ。その夜、喜隠はすっかり舞い上がり、ひとり祝宴をあげていた。まさかその時、屋敷の周りをすでに郎君軍が包囲しているとは夢にも思うまい。すると韓徳譲たちが乗り込んできた。蕭達凛は王府を封鎖するよう命じ、韓徳譲が聖旨を告げる。「お許しがあるまで趙王は禁足だ」すでに摂政気分だった喜隠は泥酔して悪態をつくと、徳譲と達凛はその姿に呆れて引き上げて行った。翌朝、宮中でも趙王の禁足が知れ渡った。証拠があるため皇族からも不満はなく、燕燕もこれでひと段落ついたと安堵する。実は高勲と女里が喜隠の件を調べたいと申し出たため、これを認めていた。「喜隠と近かった2人が手の平を返すように反撃に出たのね… 韓大人、血を流さず喜隠を捕らえられたのはあなたのおかげよ、心から感謝します 父上の件はこれで片づいたわ…やはり去るの?」すると韓徳譲は黙って拝礼した。( ;∀;)ジョー高勲と女里は喜隠が以前より簒奪を企てていたと報告、厳罰を求めた。しかし罨撒葛は遼が皇子を得た今、徳を積むべきだと進言し、王妃と屋敷の者は免罪とし、喜隠は軟禁してはどうかという。すると燕燕は皇太叔に従い趙王は祖(ソ)州へ流し、祖陵を守らせると決めた。そんなある日、罨撒葛は冷宮の蒲哥(ホカ)太妃を訪ねた。「あのことを誰かに話したの?!」罨撒葛は浦哥の弱みを握っていた。つづく(  ̄꒳ ̄)え___ジョーの献策ってバレバレじゃ…でもジョーしか見所ないから許すw
2021.09.17
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长歌行 The Long Ballad第4話「長安脱出」李長歌(リチャングァ)は皇太子璽(ジ)を盗んで弘義宮から脱出した。しかしその夜、追っ手に見つかり、夜の街を逃げ惑う。そんな長歌を救ったのは品香斎(ヒンコウサイ)で知り合った少年・阿竇(アトウ)だった。阿竇はすっかり長歌に傾倒し、弘義宮に侵入した刺客が長歌だと察して2日も待っていたという。そこで侠客の弟子になりたいと懇願したが、長歌は命を落とすことになると警告した。「人はいつか死ぬ、師父の信念を共に貫けるなら本望だ! もちろん死ぬのは怖いよ…でも惰性で生きて行く方がもっと怖い」「ふっ…死んでも恨むなよ?」阿竇は初めて長歌の笑顔を見た。一方、阿詩勒隼(アシラシュン)は監禁された少年が弘義宮から逃げたと聞いて驚いた。「逃げ足が速い、ますます興味が湧くな、もしや李建成(リケンセイ)のゆかりの者か?」しかし蘇伊舎(スーイーシャー)の話では李建成の息子は皆殺しになり、将領も投降しているという。「東宮の下っ端ですよ」「ふっ、どうやら他にも長安を脱出したい者がいるらしい」杜如晦(トジョカイ)は房玄齢(ボウゲンレイ)が永安(エイアン)郡主をそそのかして長歌を逃したと疑っていた。白々しく否定する玄齢だったが、確かに皇太子璽を盗むとは想像以上に大胆不敵だと舌を巻く。皇太子・李世民(リセイミン)は今回の非は楽嫣(ラクエン)にあるとして禁足を命じ、玄齢に助け舟を出した。長歌については精鋭を平伏に着替えさせ、密かに捜索するよう指示する。「騒ぎは避けたい、必ず生かして連れ戻せ」杜如晦は皇太子が幼い頃から可愛がって来た長歌を見捨てられないと分かっていた。しかし長歌はまるで皇子のように文武の教えを受け、幼少から独断専行、ここで禍根を絶たねば手遅れになる。全ては天下の安泰のため、如晦は皇太子の命に反して長歌を抹殺すると決めた。そこで従順な養子の皓都(コウト)に任務を任せる。「ついでに常何(ジョウカ)に噂の出どころの件を確かめよ…進展がなければ後任を置くまでだ」如晦は阿詩勒部の工作まで長歌の仕業だと誤解していた。常何はまだ手がかりを掴んでいなかった。呆れた皓都は証拠となる文を取り上げたが、紙から魚のような生臭い匂いがする。実は粛清の噂を広めた文は魚の腹の中に入っていた。常何は宮中に出入りしている魚屋の男を捕らえて詰問、すると男は見知らぬ男から金をもらって紙を詰めただけだと訴える。皓都は端正な顔立ちで目元に黒子があったか聞いたが、男は否定した。「いいえ、背の高い男で口数が少なく、特徴は何も…」長歌と阿竇は運悪く捜索中の方義(ホウギ)に見つかった。そこで長歌は合流場所を決め、ひとまず二手に分かれて逃げることにする。一方、買い出しから戻った亜羅(ヤールォ)は、例の魚売りが晒し刑になっていたと特勤(テギン)に報告した。もしや蘇伊舎のことをバラしたかもしれない。しかし阿詩勒隼は慌ててここから離れると命じた。わざわざ大街で晒し者にしたのは見物人の反応を見て手がかりをつかむため、恐らく亜羅は尾行されているだろう。「官兵が来るぞ」その時、客桟へ常何たちが到着した。阿詩勒隼は亜羅を逃すためおとりになった。そこで外見が分からないよう外套をすっぽりかぶり、2階から飛び降りて馬を駆けて行く。すると前からあの少年が現れた。「長安は広いのにいつも遭遇するな…」しかし長歌は渡りに船とばかりに青年を引きずり下ろし、馬を奪って逃げて行ってしまう。「感謝するよ!」呆気に取られる隼だったが、咄嗟に外套を脱ぎ、何食わぬ顔で常何たちが通り過ぎるのを待った。長歌は途中で馬を乗り捨て、塀を乗り越えて追っ手をまいた。しかしうっかり魏叔玉(ギシュクギョク)から奪った魚符を落として行ってしまう。その頃、常何と方義は同じ馬を追って思いがけず合流していた。方義は永寧郡主を見なかったか聞いたが、常何は知らないという。一方、阿詩勒隼は無事に配下と合流していた。すると蘇伊舎が長安を脱出する方法を見つけたという。常何は怪しい男をみすみす逃したが、思いがけず魚符を拾っていた。手柄を奪われぬよう方義には教えず、皓都に渡す。皓都は魏叔玉の魚符だと気づき、叔玉が幼なじみの長歌を逃したと疑った。そこで魏家に出向き、長歌がこの魚符で弘義宮に潜入して皇太子を襲い、その上、皇太子璽を盗んで逃亡したと教える。「共謀罪は九族皆殺しだぞ?」叔玉は皓都に弱みを握られ、長歌の捕縛に協力するよう脅されてしまう。長歌は阿竇と合流、長安を脱出する手立てを模索した。すると街を行き交う胡商(コショウ)を見た阿竇が商隊に紛れ込む方法があると思い出す。阿竇は早速、ある商店に入って店主に暗語(アンゴ)で頼んだが、すでに商隊の空きはなかった。その時、ちょうど店の前をある商隊が通りかかる。急いで後を追った長歌は一緒に連れて行って欲しいと声をかけたが、振り返った胡商の男は阿詩勒隼だった。阿詩勒隼は東宮の残党ならお尋ね者だと指摘、捕らわれれば斬首になると鎌をかけた。「なぜ知っている?」「ふっ、読み通りか」長歌はうっかり口を滑らせ動揺したが、ともかく機嫌を直してもらおうと馬を奪ったことを謝罪した。すると隼は謝罪より物々交換だと迫り、長歌が持っている短剣が欲しいという。宝剣を手放したくない長歌、しかし阿竇は脱出が優先だと訴え、取り戻す機会ならあると耳打ちした。「分かった…ただし城門を出てから渡す」「いいだろう」そこで長歌は危険を冒すのは自分だけで良いと、先に阿竇を逃がすことにした。「城外の十里亭で待て、ただし3日過ぎたら諦めろ」( °_°)<特勤、東宮の小僧相手だとよく話すんだよな~@亜羅阿詩勒隼たちの商隊は通化(ツウカ)門で通行証を提示、荷物の検査も終えた。無事に長安の脱出に成功した長歌、郊外まで来たところで荷台の下から解放されたが、途端に宝剣を奪われてしまう。「名前を教えて、しばらく預けておくがいつか取り戻す、名前が分からないと…」すると隼は馬を譲った。「取引としては十分だろう、つきまとうな」皓都は長歌がすでに長安を脱出したと考えた。そこで叔玉を連れて捜索に出たが、ちょうど山道で長歌と出くわす。「さすがは郡主の盟友だ、ここを通ると予想した…知らせに感謝するよ」長歌は淑玉の裏切りに深く傷つき、とっさに馬を反転して逃げ出した。背後から飛んでくる弓矢を何とかかわしながら疾走する長歌、しかしやがて行き止まりになる。「もう逃げ道はない、観念して我らと戻り罪を認めよ!」ついに皓都と叔玉が追いついた。すると長歌は無謀にも腐食した吊り橋に向かって飛び出してしまう。馬は川に転落し、長歌はかろうじて吊り橋に捕まった。皓都は矢をつがえ長歌に狙いを定めたが、淑玉が急いで矢をつがえる様子を見て思わずほくそ笑む。まさか叔玉にそんな勇気があるだろうか。その時、ついに叔玉が矢を放った。長歌は耐えきれず手を離したが、叔玉の矢が背中に命中、真っ逆さまに川へ転落してしまう。「…長歌、すまない」房玄齢は魏徴(ギチョウ)を復職させるため、皇太子に説得を頼んだ。しかし李世民の顔を見た魏徴は怒りが爆発する。実は魏徴は再三、李建成に李世民を長安から追い出すよう進言していた。「当時、再度、進言しなかったことが悔やまれる…禍根を取り除けなかった! 出ていけ!ここで沙汰を待つっ!」玄齢は慌てて2人の間に割って入ったが、李世民は憤慨して帰ってしまう。一方、阿詩勒隼は商隊の身代わりたちと別れ、幽州に向かおうとしていた。「水を汲みました、他の者は道の下調べに…」亜羅の話では幽州に着くのは半月後だという。「遅すぎる、先を急ぐぞ…」その時、隼は岸に流れ着いた人影を見つけた。つづく|ω・`)チャンガ…お尋ね者なのに派手な衣装に着替えるのねwさてようやくプロローグが終わり本番です!(^ꇴ^)
2021.12.27
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第11話「龍尾神への祈り」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は3万の新兵のため、黙々と龍尾神(リュウビシン)を彫り続けていた。やがて夜も更けた頃、手元が狂った緹蘭は誤って親指に小刀を刺してしまう。侍女が慌てて門衛に知らせると、すぐ穆徳慶(ボクトクケイ)の耳に入った。そこで穆徳慶は軟禁中のため侍医を派遣するにも皇帝の許可が必要だと伺いを立てたが、皇帝は苛々しながら報告など不要だという。「掟の通り対処せよ…チッ、頑固な女だ」一方、なかなか引っ越しを決断できずにいた清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)は方海市(ホウハイシー)も連れて行くと決心、晴れて霽風(セイフウ)館は皇宮へ移った。片付けが遅れていた海市は翌日に引っ越すことにしたが、今日は官服の採寸のため綾錦司(リョウキンシ)へ向かう。すると海市は寸法を測ってくれた鞠柘榴(キクシャリュウ)の手首に方卓英(ホウタクエイ)が越州の母からもらったと話していた真珠の腕輪があると気づいた。そうとは知らず柘榴は友からもらったものだとごまかしたが、その時、偶然にも少府監の内侍・施霖(シリン)が官服の生地を届けにやってくる。「お?もしや新しい殿中郎の方海市方大人では? …私は清海公と懇意にしておりまして、施叔叔と呼んでください」「施叔叔」「方大人の武挙の合格、霽風館の移動、これで清海公の婚姻が続けば3つの吉事が重なりますな~」実は方鑑明には父が決めた婚姻があり、相手は幼なじみで綾錦司の典衣である鞠七七(キクシツシツ)だった。″儀(ギ)王の乱″のせいで婚姻が遅れてしまったが、皇帝が自ら采配するという。寝耳に水だった海市は顔色が一変、そこで帰ることにした。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は緹蘭の怪我が気になっていたが、自分から尋ねるのも癪だった。そこで医官院を訪ね、自分の治療記録を見たいと口実をつけて緹蘭の様子を探ろうとする。山積みの治療記録に困惑する褚仲旭、その時、回廊から女官と医官が言い争う声が聞こえて来た。聞いてみれば愈安(ユアン)宮のウサギが具合が悪くなり、医官に診せに来たが断られたという。そこで褚仲旭は緹蘭のウサギの世話を穆徳慶に任せ、ひとまず昨日の治療記録を報告するよう命じた。「陛下…昨日の治療は一件のみでした、淑容妃が小指を負傷され、薬を出しました 休息を取るように伝えたのですが…薬を塗って簡単に包帯を巻いただけで彫刻の続きを…」その夜、方鑑明が昭明宮に戻ると土砂降りの中、海市が門の前でうずくまっていた。驚いた鑑明は海市を連れて殿内に入り、急いで濡れた身体を拭いてやる。「師父、まるで子供扱いですね…そんなに年上だと?」「そうだ、世代が1つ違う」鑑明は茶を入れて温まるよう言ったが、海市の様子はどこかおかしかった。「私と卓英が師父の幸せを邪魔したのですね?私たちがいなければ家庭を持って子供もいたでしょう」「何があった?…とにかく今日はここに残れ」鑑明はひとまず着替えを取りに出て行ったが、回廊でばったり方卓英と会った。そこで卓英に海市の着替えと薬湯を届けるよう命じる。卓英は昭明宮に海市がいると知って喜んだが、着替えと薬を持って行った時にはもういなかった。海市は誰もいなくなった霽風館に戻った。すると翌朝、方卓英がやって来る。「昨夜、薬を届けに行ったらいなかったが、やっぱり帰っていたのか」しかし海市はいつのも無邪気さが消え、急に大人びて見えた。「何か悩み事か?」海市は何も言わなかったが、用事があるので卓英と一緒に皇宮に行くという。海市は一大決心して皇帝に謁見した。先の真珠税の件では誤解していたと謝罪、実は黄泉関(コウセンカン)へ派遣して欲しいと嘆願する。黄泉関と言えば北部の要衝だが極寒の地、流行病はもちろん食料の補給も滞りがちだった。それでも海市は黄泉関を守ることが国を守ることであり、出世や俸禄を求めていないという。「陛下の恩に報い、朝廷に尽くしたいだけです」「いいだろう、師匠と同じく志が高い…ならば師父の婚儀が終わったら出立せよ」「陛下、私も新しい兵士たちと一緒に出発したいと思います 遅れて出発するという特別扱いは許されません、さもなくば兵士との関係構築に影響が出ます」「分かった」海市が下がると、入れ違いで太監が駆けつけた。李侍医の薬で回復したと思っていたウサギの小乖(ショウカイ)が下痢をして弱っているという。褚仲旭はふとウサギを飼っている女官がいたことを思い出し、金城宮(キンジョウキュウ)に呼ぶよう命じた。褚仲旭は鞠柘榴にウサギを見せた。確かにウサギはひどく弱っている。柘榴は小乖が清潔で新鮮な野菜や果物を与えられていると聞いて原因に気づいた。「陛下、洗った野菜を時々食べるのは構いませんが、食べ続けると下痢してしまいます ウサギの餌に向いているのは干草やオオアワガエリ、苜蓿草(モクシュクソウ)などです ともかく果物や野菜は与えず、水もあげないでください 今、申し上げた草の粉末に蜜柑の皮と生姜を加えて食べさせてください 回復したら普通の餌に戻します」すると褚仲旭は鞠柘榴に自分のウサギを連れて来るよう命じて帰した。(  ̄꒳ ̄)ノ″🐰<病を治してやる、遊び相手も見つけてやったぞ?穆徳慶は珍しく機嫌の良い皇帝の姿に目を細めたが、褚仲旭が急に顔をしかめた。「ウサギの世話もできぬとは、役立たずめ!」海市は左衛(サエイ)に師匠を訪ね、黄泉関への派遣を皇帝に願い出たと報告した。驚いた方鑑明はなぜ自分に相談もなく決めたのかと困惑し、理由を尋ねる。すると海市は師匠のように一切の私欲を捨てて国と陛下に尽くすためだと言った。「都より辺境の地で鍛錬したいと考えました 大徴(ダイチョウ)の要衝である黄泉関で鵠庫(コクコ)という強敵を食い止めたいのです」理路整然と説明する海市、さすがに鑑明も師匠として引き止められなくなってしまう。「いいだろう、お前にとって良い経験になる」海市は呆気なく了解した師匠に落胆しながら下がることにした。しかし去り際、つい師匠の婚儀には参加できそうにないと断ってしまう。鑑明は独りになると海市からもらった香り袋を手に取った。昨夜、海市の様子がおかしかった理由は自分の婚姻を知ったからなのか。互いに惹かれ合う2人、しかし鑑明は自分の気持ちを認めることができなかった。霽風館に戻った海市は早速、荷物をまとめ始めた。すると馬射の試験の前にもらった師匠の玉板指を見つけ、感傷的になってしまう。そこへ知らせを聞いた方卓英が駆けつけた。卓英はてっきり海市が嫌がらせで辺境に送られると誤解、しかし海市は自分で希望したという。必ず大事を成し遂げるつもりだが、都にいるだけでは経験をつめないというのだ。「鞠典衣が屋敷に来るまでは師父の世話を頼む」「鞠典衣?」卓英は師匠と鞠典衣の縁談話を知り、なぜ海市が無謀な決断をしたのか気づいた。昭明宮に戻った方卓英は師匠を訪ねた。しかし師匠は海市が黄泉営の参軍に封じられたことを了承し、かえって永遠に一緒にはいられないと諭されてしまう。「ここはもう皆の家ではなくなるのですね…海市は荷物をまとめながら涙をこぼしていました」「泣いていた?」「師父!師父の婚姻が原因ですよ!いや変な意味ではなく…私たちと距離を感じたのかも きっと寂しいんじゃ…海市が不びんです!」「出て行け…」「師父?!」卓英は師匠に追い出され、自然と綾錦司に足が向いていた。するとちょうで中庭でウサギの小白(ショウハク)を連れた鞠柘榴を見かける。「明日は小乖のところへ行くのよ?…小乖は危ないところだったの」卓英は屋根の上で柘榴の話を聞きながら、いつの間にか嫌なことも忘れていた。「…風神大人、小乖は具合が悪くかわいそうでした、早く回復するようお守り下さい」翌朝、海市は黄泉営参軍として軍営に向かった。すると門の前に武挙で同期だった任勇(ジンユウ)たちがいる。4人は大兄が黄泉関へ発つと聞き、一緒について行くと決めていた。張承謙(チョウショウケン)と符義(フギ)は清海公の弟子である海市を暖かく迎えた。「で出自は?」「…流觴(リュウショウ)の方氏です」師匠の故郷である流觴(リュウショウ)の方氏は代々、英傑を輩出している名家だが、″儀王の乱″により一族の大勢が犠牲になっていた。張軍候は″方″という姓を聞くと寂しい思いがすると吐露し、ひとまず休むよう勧める。しかし海市は疲れていないのですぐ練武場へ行きたいと頼んだ。つづく(´-ω-`)うむ…こういう微妙な場面になるとヤンミー社長の声がねえ…
2022.08.06
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驭鲛记之与君初相识 The Blue Whisper第4話雪三月(セツサンゲツ)の仙侍・離殊(リシュ)を追って結界に入った紀雲禾(ジーユンファ)と洛錦桑(ルオジンサン)。2人はそこで三月と離殊の密会を目撃した。まさか堅物で凄腕の頭領が掟を破り、仙侍と恋仲だったとは。何でも今日は三月と離殊が出会って3年目の記念日、すると離殊は大きな藤の木に術をかけて花を咲かせた。「あの時も藤が満開だったな」2人は雲禾たちが見ているとも知らず、口づけを交わしてしまう。翌朝、三月の弱みを握った雲禾は早速、三月を懐柔することにした。しかし交渉の余地はなく、三月は秘密を知った雲禾と洛洛を始末しようとする。「見られたのなら生かしてはおけないわ」雲禾は慌てて思過窟(シカクツ)へ逃げ込んだが、三月に追いつかれてしまう。すると雲禾にわだかまりがあるはずの鮫人(コウジン)が反撃、雲禾を守った。「彼女に手を出すな!」「口を利いたぞ?!」離殊は驚いて思わず叫んだ。その時、門で見張っていた洛洛が駆けつけ、もうすぐ林昊青(リンコウセイ)たちがやって来ると報告する。追い詰められた雲禾、そこで咄嗟に長意(チャンイー)を引っ張り、唇を重ねた。( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)ぽかーん雲禾は実は自分と長意も恋仲になったと嘘をついて情に訴えた。しかしちょうど林昊青たちが現れ、雲禾が抜け駆けしたと疑う。すると三月は鮫人が話すのか確認したくて雲禾を立ち合わせたとごまかした。三月は雲禾を見逃したが、自分に協力させる目的は何かと訝しんだ。実は万花谷(バンカコク)の御霊師は全員、谷主が忠誠の証しとしてうなじに霜花(ソウカ)の印を付ける。しかしその忠誠がどんなものなのか知る者は少なかった。雲禾は三月たちを連れて岩山を登った。そこは何とも薄気味悪い場所で、凍てつく寒さ、実はここが寒霜を持つ者たちの末路だという。「寒霜?」「うなじの印のことです、極寒の地に咲く霜花にちなみ″寒霜″と呼ばれています 印をつけられると身体は制約され、発作が起こるたびに経脈が凍り、霊力を封じられ苦悶するのです 林滄瀾(リンソウラン)はこの手法で御霊師を支配しています」谷主が雲禾に技を伝授するというのは口実、実は雲禾の体内の寒霜を始動させ、毎回、激痛に耐えないと解毒薬をもらえなかった。しかし三月は寒霜で苦しんだことなどないという。「服従する者にはこっそり解毒薬を服用させていますから… でも生涯、束縛されたままでいいのですか?」三月は谷主に育ててもらった恩があった。確か以前、御霊師が何人かいなくなったことがあったが、自ら霜花の印を消して去るなら問題ないはずだという。すると雲禾は消せるかどうか試してみれば分かると言った。三月は霊力を使って早速、印を消すことにしたが、その時、初めて発作を経験する。「これでお分かりに?印を付けられた日から私たちは永遠に林滄瀾の手駒になるのです 逆らった者は全員ここに連行され、凍死させられます だからここは″氷墓″と呼ばれる…」雲禾はまだ幼い頃、ここで処刑される御霊師を無理やり見せられた。…雲禾、裏切ればこうなる…「なぜ今頃になって私に話したの?」「友が欲しいのです、信頼できる友とここから脱出したい 逃げたくありませんか?気ままに生きて愛する人と結ばれたいと思わないと?」三月は心が揺れたが、まだ雲禾と鮫人が本当に恋人なのか半信半疑だった。そこで鮫人との情を証明して欲しいという。「3日後に証明します、私たちが信頼に値すると…」「いいわ、じゃあ思過窟で会うことを認める」洛洛は安請け合いした雲禾を心配した。しかし雲禾は有能な雪統領と手を組めば脱出できる可能性が高まるという。…大尾巴魚(ダーウェイバーユー)、今日の件は仕方がなかったの…協力してくれたら悪いようにはしない、毎日ご馳走を食べさせてあげるから翌朝、雲禾は思過窟を訪ねた。すると長意が結界の中でしょぼんとしている。「昨日のこと怒っている?確かに強引だったわ、気持ちは分かる、でも急なことだったから… 機嫌を直してよ~犬に噛まれたと思って、ね?」」「犬?!」「もしかして初めてだったの?私もそうだけど… (Ŏ艸Ŏ) ウッ!生臭い!」雲禾は長意の身体を拭いてやることにした。しかし無神経にも衣に手を突っ込み、怒った長意に吹き飛ばされてしまう。林昊青は洞窟で見た雲禾と雪統領の様子を訝しんでいた。2人は一体、何を企んでいるのか。一方、雲禾は懸命に長意の機嫌を取ってみたが、徒労に終わった。心を御すことに自信があっただけに雲禾の落胆は大きい。「今回は失敗するかも…」しかし洛洛は強情な者同士、どうすれば喜ぶか雲禾なら分かるはずだと励ました。「似た者同士?」「さ、汁粉ができた!鮫人にも届けてあげて、仲間と引き離されて寂しいに決まってるわ」「(それだ!)あなたって利口ね!妙案を思いついた!」雲禾は長意に貝殻の法器を贈った。大した法器ではないが、海の音が聞こえるという。するとついに長意の顔がほころび、貝殻を耳に当てた。「どうしてこんなに親切にしてくれるんだい?」「なぜって…好きだから、あなたの恋人になりたい、一緒にいたいの」「まだ知り合ったばかりなのに?」「大尾巴魚、好き嫌いに時間は関係ない、気持ちの問題でしょう?あなたはどう?」長意は思わず言葉に詰まった。そこで雲禾はもう一度、口づけすれば気持ちが分かるかもしれないという。しかし長意は慌てて雲禾から離れた。「父上が言っていた…好きな人とはまず抱き合い、口づけはそのあとだって…」雲禾は思わず長意に抱きつくと、長意も雲禾の背中に手を回した。その様子をちょうど洞窟へ来た三月と離殊が目撃する。三月は雲禾と鮫人が恋仲だと信じ、手を組むことに決めた。雲禾は長意と和解し、教化も佳境に入った。今日から3日間、洛洛と共に陸の魅力を説明して海に帰るのをあきらめさせ、尾を切らせるしかない。しかし長意は陸の生活に興味を持てず、むしろいかに海の生活が素晴らしいか教えた。「君を連れて行ってあげるよ」「じゃあ陸上にしかない物は何もないの?」「父上によれば魚の尾を狙う狡猾な者は陸にしかいないと…」魚にとって尾ひれは霊力の源だった。自分で望まないかぎり刀を使おうと切ることはできないという。もし1度でも切られたら霊力を損ねられ、2度と海には戻れなかった。尾を断たれた鮫人は裏切り者になるため、父から何としてでも死守するよう言われているという。「…戻るわ」雲禾は急に顔を曇らせ帰ってしまう。ϵ(´・Θ・`)϶<何か悪いこと言っちゃったのかな…雲禾は独り思い悩んでいた。長意が尾を失えば故郷に戻れないと知り、こんなに胸が痛むとは。一方、洛洛は離殊を頼った。長意がもっと雲禾を好きになれば海に戻りたくないはずだという。そこで離殊は思過窟に長意を訪ねた。しかし山猫族は鮫人の天敵、いきなり攻撃されてしまう。離殊は三月を連れて万花谷を脱出したいだけだと訴え、三月との馴れ初めを教えた。…かつて離殊は山の覇者として崇められていたある日、猛獣と戦って重傷を負った三月が穹陵峰(キュウリョウホウ)の藤の木で倒れているのを発見、捕縛して山小屋に連れ帰る三月は仙縄で拘束されていたものの、離殊は献身的に面倒を見て、大切に守っていたしかしやがて配下に三月をかくまっていることがばれてしまう地仙にとって御霊師は災いの種、仲間たちは山小屋に押しかけ、三月を差し出すよう迫ったその時、ちょうど傷が癒えた三月の霊力が復活、自ら仙縄を切って外の様子をうかがうすると仲間たちは三月をかばう離殊を殴りつけ、愛想を尽かして出て行った離殊が部屋に戻ると三月の姿はなかったこれを機に離殊も穹陵峰を離れると決め、最後に三月と出会った思い出の藤の大木を見に行くその時、三月が現れた「なぜ戻った?!」「どこへ行くつもりなの?」「ついて行っていいか?君のために山を捨てたようなもんだからな~これからは一生離れない」つづく( ̄▽ ̄;)何この演出wそれにしても雲禾の長意の扱いってペットだよね〜だからこそ#アレン可愛い〜なんだろうけどw
2023.03.26
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覆流年 Lost Track of Time第30話穆澤(ムーヅー)は陸安然(ルーアンラン)の心を手に入れられず、せめて身体だけでも我が物にしようと寝台に押し倒した。しかし安然の空虚な目を見ると、なぜか無性に後ろめたさに苛まれる。「輿入れの日もそんな心のない目をしていたな」「失うものが何もないから…あなたに嫁ぐ時、子が産めなくなる薬を飲んだの」穆澤はなぜ安然がそこまで自分を嫌うのか分からず、激情に駆られて首を絞めた。「私が口にした脅し文句も睦言も全て本心だったのに…そなたは嘘ばかりだ!」すると安然は卒倒してしまう。一方、穆川(ムーチュアン)は二兄を刺激しないよう営造坊(エイゾウボウ)に戻って軍に指示を出していた。そこへ衫越(サンエツ)が駆けつけ、うさぎの燭台を届ける。「小姐が万が一の時にこれだけは守るようにと…」安然は大晦日に皇宮へ向かう前、衫越に穆川への伝言を託していた。「″決して自分を曲げないで、私は死んでも信念を貫く、同じ過ちを繰り返さないように″と…」すると衫越は安然を探しに行くと言って帰って行った。安然はまだ意識が戻らなかった。穆澤は自分の運命を受け入れる覚悟を決めたが、まだ1つだけ自分で選べる事があると気づく。…この生涯にいかに幕を下ろすかだ…安然、ゆっくり眠れ、そなたが目覚める頃には、全て終わっている穆澤は安然を独り残して外へ出た。南星(ナンセイ)はそろそろ移動した方が良いと進言したが、穆澤は逆賊の名を背負って隠れて生きるより、潔く散りたいという。そこでこれまで戦場で生死を共にしてきた兄弟たちを解放することにした。「我が命は今日で尽きる、そなたたちには家族がいるだろう、ここで去るが良い」しかし南星は最後まで慶(ケイ)王のそばにいたいと嘆願、慶王軍も一斉にひざまずき、忠誠を誓った。( ๑≧ꇴ≦)ノ<将士們! ←言いたかっただけw安然の決意を知った穆川は矢も盾もたまらず、自ら軍を率いて二兄の捜索へ向かった。やがて山中で灯りがついた小屋を発見、穆川は寝台に取り残された安然を見つける。「安然?!安然!大丈夫か?」「穆川…どうしてここに?」「町へ向かう蹄の音が聞こえた」「まずいわ…穆澤は皇宮を攻める気よ…」驚いた穆川は慌てて引き返したが、すでに慶王軍は全滅、穆澤は胸に矢を受けていた。将軍は謀反を起こした慶王に止めを刺すべく弓を引いた。その時、穆川が駆けつけ、二兄をかばう。すると皇帝の馬車が現れた。「穆澤…言い残したいことはあるか?」「あなたは万民の上に立つ皇帝、一度も父親だったことはない! 私に与えられるのは評価だけ、愛情などなかった! この命は父皇より賜ったもの、ここに謹んでお返しする!」皇帝は穆澤の言葉に胸が痛み、穆川に任せることにした。「行かせてやれ」穆澤は穆川に支えられながら、母が投げ捨てられた井戸までたどり着いた。「娘(ニャン)…許してください、娘を救えなかった… 九弟、頼みがある…私が死んだら娘の墓の隣に埋葬してくれ」すると穆澤は九弟に短剣を渡し、一思いに殺すよう促した。穆川は二兄を刺すことなどできなかったが、その時、穆澤は最後の力を振り絞って起き上がり、自ら胸を突き刺してしまう。「二哥ァァァァァァァァァァァァァァ!うわあぁぁぁぁぁ!」子供のように泣きじゃくる穆川、その時、ばったり倒れた穆澤の目にちょうど結末を見届けにきた安然の姿が映っていた。朝臣たちは謀反人である穆澤をさらし首にすべきと上奏した。すると皇帝はならば大晦日の騒ぎの時、即座に慶王にひれ伏した者たちも同罪かと牽制する。驚いた朝臣たちはそれ以上、追及できず、皇帝は罪を犯しても自分の息子であると恩情を与えた。皇帝は斉王を皇太子に決めた。冬青(ドンチン)はこれで安然も陸家も安泰だと言ったが、安然は素直に喜べない。「それは穆川が望んだことかしら?」すると安然は慶王府に別れを告げるため、独りで出かけて行った。安然はゆっくり王府を眺めながら書斎へ入った。その時、ふいに穆澤の声が聞こえる。…陸安然、激しくも有意義な人生だった、お別れだ…安然は窓際に立つ穆澤の姿を見たような気がしたが、すぐに消えてしまう。一方、穆川は約束通り二兄を墨(ボク)氏の墓の隣に埋葬した。しかし墓石には何も彫られていない。「二哥、どうか安らかに…また会いに来るよ」穆澤は安然に離縁状と文を残していた。…あの夜、昏睡中だったそなたがうわ言である物語を聞かせてくれたその残酷な悪夢が私を憎む理由なら、夢の中の私になってそなたに謝りたいだがそれほどまでに深く愛された私を羨ましく思う…すると安然は文を燃やしてしまう。「この世は荘周(ソウシュウ)が見る胡蝶(コチョウ)の夢か、胡蝶が見る荘周の夢か…」瀚京(カンケイ)は雨になった。皇太子に封じられた穆川はお忍びで街に出かけ、安然と茶屋で落ち合う。「蘇城へ帰るわ」「決めたんだな」「瀚京は私にとって悪夢の都…ここにいたら悲劇を思い出してしまう 人生をやり直すには離れるしかない」「分かるよ、その傷を癒すには時間が必要だ」「あなたも苦しんだ、でも勇敢だったわ」「安然…君の幸せを祈っている、どんな日もどんな時も笑っていて欲しい」「過去に縛られず、未来を恐れず、今を大事に生きるわ」「会いに来てくれ、待っている」安然は穆川と別れの杯を交わすと、未練を断ち切るように先に席を立った。「行くわ」「元気で」『この世は荘周が見る胡蝶の夢か、胡蝶が見る荘周の夢か』…穆川、昨日の夜、夢を見たわそこは陽光に照らされ、まばゆく輝く世界あなたが微笑み、私も笑っていた…終わり※胡蝶の夢:″荘子斉物論″より、蝶となって百年も遊んだという夢を見た荘周、目覚めてみると自分が夢で蝶となったのか,今の自分が蝶の見ている夢なのか分からなくなったという故事、この世の生のはかない例え( ๑≧ꇴ≦)BS放送も終了しました!やっぱり面白かった!実は番外編があり、5年後に再会する話だったと思います(まだ見られるかどうか不明)管理人は最後が安易なまとめに走らない点も胡蝶の夢でまとめてくるあたりも、パラレルワールド全開でお気に入りです皆さんはいかがだったでしょうか
2024.02.21
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长相思 lost you forever第32話赤水豊隆(セキスイホウリュウ)は西炎瑲玹(セイエンソウゲン)がなぜ禺彊(グウキョウ)を何度も見逃したのか分からなかった。しかし瑲玹はもう襲われることはないと自信を見せる。「小夭(ショウヨウ)の命を狙った者には容赦ないのに、己を狙う刺客には寛容だな」「私が苦難を受け入れるのは小夭に苦痛も屈辱も味わせないためだ」「ふっ、自分は後回しか、皆が忠義を尽くすわけだ」すると豊隆は自分もその1人だと言った。一方、海底で療養する小夭は相柳(ソウリュウ)のおかげでゆっくりと快方に向かっていた。「小夭…目覚めた後に私を恨むなよ」元神の小夭にはその意味が分からなかったが、相柳は退屈そうな小夭のため海上へ出てくれる。小夭の治療のため満月の時は海底から離れられず、相柳も満月を見るのは久しぶりだった。しかし急に暗雲がたれこめ、穏やかだった海が荒れて巨大な渦ができる。相柳は眠っている小夭に怖くないと声をかけ、珍しく自分の過去を明かした。あれはまだ辰栄(シンエイ)国が滅ぶ前のこと。相柳は闘技場から逃げ出し、渦の中で死にかけたところを大将軍の義父に救われた。義父は相柳に傷を癒す術を教え、辰栄王に治療させるとまで言ってくれたが、相柳は逃げてしまう。極北の地へたどり着いた相柳は思いがけず雪に救われ、結局、100年以上も隠れ住んだ。雪に気づきを得た相柳は義父から学んだ功法から修練法を編み出し、そのため霊力を使う時には雪が降るのだという。実は白い衣を好むのも保身の術のなごりだった。相柳の話はそこで終わった。しかしそれからどうなったのか、小夭にも見当がつく。西炎との戦の末に辰栄は滅び、洪江(コウコウ)も凋落、恐らく相柳は恩返しのため養子になったのだ。奇しくも軍師となり、従兄と敵同士人なってしまった相柳。その時、肉体の小夭が悲しそうな表情になり、相柳は困惑した。「どうした?…幻術でも見るか?」そこで相柳は雪を降らせた。元神の小夭は自分が眉間に皺を寄せていると気づき、慌てて皺を伸ばして口を緩ませる。すると肉体の小夭の顔も穏やかになり、それを見た相柳は安心した。小夭が襲撃されてから37年が経った。今や辰栄山にも見事な鳳凰樹林が広がり、瑲玹は母から受け取った若木(ジャクボク)花を眺めながら小夭の帰りを今か今かと待っている。…いつか愛する人にこの若木花を贈りなさい…しかし一方で紫金(シキン)宮の資金繰りは苦しくなっていた。塗山璟(トザンケイ)が倒れて以来、帳簿の管理が塗山篌(トザンコウ)に代わり、銭をごまかすことができない。実はその頃、辰栄府では塗山璟が死の淵をさまよっていた。塗山璟はいよいよ薬もまともに飲めなくなった。静夜(セイヤ)は王姫が回復すれば主人も助かるはずだと期待したが、王姫の消息が分からぬまま、ついに命灯(メイトウ)の炎が消えかかり、揺れ始める。赤水豊隆は中原の神医を連れて駆けつけたが、あと数日の命だと宣告された。鳳凰樹が大きく育ち、瑲玹は朝雲峰と同じ鞦韆(シュウセン)を掛けた。その時、毛球(ケダマ)の鳴き声が響き渡り、相柳が来たことに気づく。相柳は峰で瑲玹を待っていた。「私の条件をのめば小夭を帰らせる」相柳は辰栄山の峰のひとつを要求した。瑲玹が西炎王となった暁には放浪の末に亡くなった反乱軍の兵士を故郷で眠らせ、その峰を禁地にして欲しいという。「約束しよう、だが私が王になれずとも、そのことで小夭を煩わせるな」「いいだろう」その頃、小夭は暇を持て余していた。この十数年、瑲玹は何かと贈り物をくれたが、塗山璟からはなしのつぶて。もしや防風意映(ボウフウイエイ)を娶ったのかもしれない。疑心暗鬼になる小夭だったが、貝殻に戻ってきた相柳から耳を疑うような話を聞いた。実は自分が昏睡してから塗山璟も眠ったまま意識が戻らず、命は残りわずかだという。驚いた小夭は塗山璟を助けたい一心で懸命に相柳に語りかけたが、突然、自分の身体に引き戻された。元神が肉体へ戻り、小夭はついに目を覚ました。しかし相柳の姿はなく、後ろ髪を引かれる思いで毛球の背中に乗る。相柳は密かに小夭が無事に飛び立つ様子を見守ると、誰もいなくなった貝殻に戻った。すると寝台の上に小夭がこぼした涙がある。相柳は小夭が名残惜しんでいたことに気づき、思わず涙を集めて大事そうに握りしめた。紫月宮に小夭が戻ると知らせが届いた。喜んだ瑲玹は小夭の寝殿を掃除させ、調度品を全て対にするよう命じる。しかし小夭が真っ先に向かったのは辰栄府だった。辰栄馨悦(ケイエツ)は小夭が訪ねてきたと聞いて慌てて正門に駆けつけた。「小夭!本当にあなたなのね!」馨悦は思わず小夭に抱きついて涙したが、小夭がまだ瑲玹に会っていないと聞いて困惑する。「璟が重病だと聞いたわ、青丘へ見舞いに行きたいの、一緒に来てくれる?」「先に辰栄府に来て正解よ、璟哥哥はここにいるの」馨悦は小夭を木樨(モクセイ)園に案内した。しかし塗山璟の命灯が燃え尽きたと知り、馨悦は慌てて兄を探しに向かう。悲しみに暮れていた静夜だったが、王姫の姿に気づき、一縷の望みに懸けた。「少主は悲嘆のあまり気が散じ、五臓を傷つけて自ら死を選ばれました 王姫!どうかお助けください!」「死を選んだ?一体、何があったの?生きる気力を失うなんて…」「お分かりにならないのですか?! 梅林で少主は息絶えた王姫を抱き、燃え盛る陣の中に座っておいででした 陣法に精通する少主なら怪我をしていなければ逃げられないはずありません 自ら逃げなかったのです!猛火に焼かれても王姫と離れまいとしたのです! そのお気持ちが分からぬのですか?!少主は死んでも王姫と共にと願われたのです!」瑲玹は小夭の寝殿の出来栄えに満足していた。しかし鈞亦(キンエキ)が駆けつけ、王姫が辰栄府にいると知る。「無事に戻ったのならいい」憮然としながらもあからさまに嫉妬できない瑲玹。一方、小夭は塗山璟に自分の血を飲ませるため、ひとまず胡珍(コチン)と静夜を下げていた。もはや薬も受け付けない塗山璟だったが、小夭は自分の血を入れた薬湯を口移しで飲ませてみる。その時、命灯に小さな炎が戻った。「早く目を覚まして」小夭は塗山璟の胸に顔をうずめた。すると主人が息を吹き返したことで式神が現れ、仲睦まじい2人の様子を見て照れてしまう。辰栄府に瑲玹が到着した。静夜は主人の寝殿に王孫が入ることをためらったが、瑲玹は無視して入ってしまう。すると看病で疲れた小夭が寝台にもたれて居眠りしていた。「…小夭」つづく( ๑≧ꇴ≦)さすが17!あざと過ぎるwこれは夢見る乙女の心を鷲づかみだわ~
2024.10.02
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惜花芷 Blossoms in Adversity第33話七宿(シチシュク)司に連行される沈(シン)家を呆然と見送る花芷(カシ)。その時、捜査を終えた仮面の司使が出てきた。顧晏惜(コアンセキ)は鋭い視線を向ける花芷に気づいたが、そのまま通り過ぎて引き上げてしまう。実は次の行き先は花府だった。花家は屋敷に乗り込んできた七宿司に騒然、すると静養していた沈煥(シンカン)が引きずり出されて行く。「ひどいわ!沈煥を返して!」芍薬(シャクヤク)は自分の兄だと知らず、腹いせに仮面の司使に向かって石を投げてしまう。投獄された沈中行(シンチュウコウ)父子は顧晏恭(コアンキョウ)に取り入るため沈淇(シンキ)に書かせた招待状が災いを招いたと知った。しかし沈家を救えるとすれば榜眼(ボウガン)の沈淇だけ、そこで弟の沈煥に身代わりを頼む。沈煥は祖父と父の仕打ちに愕然としながらも、家のため犠牲になるしかなかった。一方、家族と引き離され、独り監獄にいた沈淇は弟のうめき声で拷問に気づいた。そこへ思いがけず馴染みの顔が現れる。「晏兄?(はっ!)七宿司使だったのか?花芷は知っているのか?!」顧晏惜は黙って頷き、沈煥が顧晏恭への文を書いたと自白したと教えた。驚いた沈淇は文を書いたのが自分だと訴え、筆跡で証明して弟を救う。実は顧晏恭の件を尋問しているのは皇帝の密使だった。顧晏惜も手をこまねいていたが、その時、鄭虎(テイコ)が駆けつける。「司使、花芷姑娘がお越しです」顧晏惜は花芷が沈家の件で自分を責めていると分かっていた。「ここには来るな…陛下を裏切ることはできない、君も家族を裏切れないだろう?」「沈家の大郎はいい人よ?二郎は芍薬の朋友だわ、無実の一家だと分かっているはず」「分かっている、だが私には他の選択肢がない」「知ってる、あなたが沈家を思ってかばったこと、これはその罰なのね」花芷は皇帝の意図を察し、自分と顧晏惜が一緒にいることで再び皇帝が罰を与えることを恐れた。「イエンシー、沈家は始まりに過ぎない、これからも多くの人が私たちの犠牲になる 私にも他に選択肢はない」「時間をくれ!」顧晏惜は花芷の選択の意味に気づいて激しく動揺したが、花芷は黙って腕輪をはずした。「ごめんなさい」すると花芷は腕輪を顧晏惜に返して帰ってしまう。。・゜・(ノД`)・゜・。翌日、顧晏惜は憔悴したまま皇帝に謁見した。「イエンシー、どうした?浮かない顔をして?花芷と喧嘩でもしたのか?」「…彼女とは別れました」「早かったな、そうか、では沈淇を釈放してやれ、沈家父子以外は全員だ」顧晏惜はこれが花芷を愛したことへの報復だと改めて思い知らされ、ただ呆然とたちすくんだ。花府に釈放された沈淇と沈煥がやって来た。芍薬は仮面の司使を激しく罵倒したが、花芷から司使は悪くないと叱られてしまう。「どうして?」その理由を知っている沈淇は話題を変え、実は沈煥が芍薬に無事を知らせたいと言うので連れてきたと説明した。「私はこれで…」「待って、ちょっとお邪魔してもいい?」花芷は財産を没収された沈家に当面の食料と薬を差し入れた。しかし老夫人は宝物の箱に気づき、これを受け取るわけにはいかないという。「誰もが沈家と距離を置きたがる中、訪ねてくれた気持ちは黄金にも換えがたいものよ」「老夫人、借用書をお忘れですか?」かつて林婉(リンエン)が沈家との退婚を申し出た時、沈家の結納品が没収されて返せず、借用書を渡していた。花芷は当時、自分たちの状況を知って破談を言い出せずに帰った老夫人の優しさに感謝しているという。「今日はその時のご恩をお返ししたまで…くれぐれもご自愛ください」( ;∀;) イイハナシダナー花芷は沈淇に花家の学堂を任せることにした。一方、沈煥も一念発起、自立して家族を養える仕事を探すことにする。すると沈煥の手当をしていた芍薬は一緒に止明(シメイ)楼へ行こうと提案した。「そんな銭はもうない…」「稼ぎに行くのよ、阿撿(アケン)も授業後に働いて給金をもらってる、あなたにもできるはず!」蒋徴之(ショウチシ)との縁談がまとまった花蓉(カヨウ)は嫁ぐ前夜、母と一緒に寝ることにした。すると邱(キュウ)氏がこれまで貯めた銭や装飾品を娘に持たせたいという。花容は母を心配し、嫁荷なら花芷が準備してくれたと断ったが、邱氏は受け取って欲しいと訴えた。「母としては心配なの、粗相のないようにね…」邱氏はまだ幼い娘が名家に嫁ぐ怖さを知らず、いつか夫の心が離れた時のために居場所を作るよう忠告した。「ひどい扱いをされたら離縁すればいいわ、芷姐姐なら許してくれる、ふふ」こうして花容は愛しい人と共に皇都から遠く離れた金陽(キンヨウ)へ旅立った。花芷は昼も夜も働き詰めだった。流石に今夜は抱夏(ホウカ)が強引に寝台で寝かせたが、目を閉じると顧晏惜との幸せな思い出ばかりが蘇ってしまう。結局、花芷は寝台を出て窓から月を見上げた。顧晏惜もどこかで同じ月を見ているだろうか。その時、顧晏惜は七宿司の矢倉で月を眺めながら、花芷から戻ってきた腕輪を見つめていた。翌日、顧晏惜は芍薬を花府の外へ呼び出し、凌王府へ戻ると伝えた。「哥哥、行かないで、あの仮面の悪党が来た時だって、哥哥がいなくて抵抗できなかったの」「芍薬…すまない」一方、花芷は四叔の酒と豪華な寝台を運び出し、全て北の倉庫に移した。娘の婚姻を楽しみにしていた朱盈貞(シュエイテイ)は花芷に何も聞けず、自分の早合点だったと落胆してしまう。沈煥は昼も夜も身を粉にして働いた。花芷は沈煥が迎春も感心するほど勤勉だと知り、月末に賞与を出すと決める。そんなある日、かつての悪友たちが止明楼にやって来た。3人は沈煥が玄関番になってぺこぺこ頭を下げていると笑ったが、沈煥は接客に徹し、心づけの銭もありがたく受け取って席に案内する。悪友たちは拍子抜けしたが、その様子を芍薬が見ていた。芍薬は3人の馬の鞍に針を仕込み、知らずにまたがった3人は尻に針が刺さって絶叫してしまう。その夜、沈煥がくたくたになって沈府に帰ると、まだ兄の部屋に明かりがついていた。「こんな遅くまで授業の準備?」「生徒は質問好きなんでね」すると沈煥は疲れてもう1歩も歩けないと寝台に横になってしまう。「今夜は一緒に寝ていいだろう?」思いがけず災いが降りかかった沈煥。ずっと気楽な日々が続くと思っていたが、永遠に自由でいられないと分かったという。「生きるのは大変なことだね」「私がいるだろう?」「今後は2人で頑張っていこう…俺が楽させてあげる…ムニャムニャ…」沈淇は弟がすっかり大人になったと知り、疲れ果てて眠り込んだ沈煥に布団をかけてやった。鄭知(テイチ)は沈淇の体面を考え、花家が準備した祝宴を断り、故郷の桂渓(ケイケイ)に出発することにした。花霊(カレイ)は花芷と見送りに出かけたが、自分の気持ちを伝えられぬまま別れを告げる。すると鄭知はその場で恩人に叩頭し、再会を願って馬に乗った。花芷と顧晏惜が別れたことは明らかだったが、花家でも七宿司でも誰もその話題に触れることができなかった。鍛錬場で無敵だった顧晏惜は鄭虎(テイコ)に投げ飛ばされる始末。陳情(チンセイ)は司使を励まそうと花記(カキ)の菓子を差し入れるが、逃げるように引き上げる。一方、花芷は独りで凧揚げを楽しむことにした。しかしうわの空で紐から手を離していたせいで戻せなくなり、そのまま手放してしまう。そんなある日、皇都の物価が急上昇した。止明楼でも食品が手に入らず、品書きを変えざるを得なくなってしまう。つづく(:3[__]
2025.08.02
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第19話霍擎雲(カクケイウン)に毒の耐性があるとも知らず、じっと義弟の死を待つ天都(テント)城主・霍言斉(カクゲンセイ)。すると内官・劉啓(リュウケイ)が油断しないよう煽り、使える者がいると吹き込んだ。実は城主の側近・劉啓こそ那戦(ナセン)の密偵。…占別(センベツ)が霍擎雲を殺す、協力せよ…鳥文で密命を受けた劉啓は城主をそそのかし、砂漠一の名医を連れて氷刺(ヒョウシ)府を訪ねた。霍擎雲はすでに7割ほど回復していた。沙曲(サキョク)の報告では雲沛(ウンハイ)の援軍が鴣劾(コガイ)を撃退、厄娜泣(ヤクナキ)族を救出して雲沛に向かったという。「それから城主が名医を連れて来ました、断りますか?目的は恐らく…」「あと何日もつか見たいのだろう、最後まで芝居を演じるさ」脈診した医者は北靖領主の脈は弱く、死期が近い証拠だと言った。「鍼を打ちましょう、数日、延命できるだけですが…」すると助手に扮した占別が寝台へ近づき霍擎雲を襲撃、しかし霍擎雲に阻止され、沙曲に捕まってしまう。占別は霍擎雲が母を殺したと訴え、その証拠に莽流(モウリュウ)の令牌を示した。驚いた沙曲は莽流に何か異変が起こったと警戒、霍擎雲はともかく殺したのは自分ではないと否定する。「お前を殺すつもりもない、私の居場所を教えたのは誰だ?」その時、背後にいた霍言斉が証拠隠滅のため、衛兵の佩剣を抜いていきなり占別を殺してしまう。「お前は優しすぎる!生かせば天都の災いにもなるのだぞ?!」「…私の考えが至りませんでした」霍擎雲は義兄の顔を立てたが、何より占別の武器が皇北霜(コウホクソウ)の匕首だったことに衝撃を受けていた。霍擎雲は傷が深いため静養が必要だと説明したが、回復したのは明らかだった。寝閣に戻った霍言斉は激怒、またも生き延びてしまったと嘆く。すると劉啓が占別の持っていた莽流の令牌を思い出し、霍擎雲との関係を疑った。「北靖領主が人の下につくとは思えません、もしや門主なのでは? ただ城主への情は残っている様子、手は出さないはずです、辛抱強く待ては機は訪れます」しかし幼い頃に毒を盛られ、足が不自由になった霍言斉にとって、霍擎雲の排除こそが心の安寧だった。沙曲が鴣劾族を調べたところ、武器は全て雲沛が提供したと分かった。実は盟約を結んで定期的に小部族を襲い、緑地と金銀の7割を雲沛に納めていたという。霍擎雲は那戦が北漠の混乱に乗じて領地を広げようと画策していると分かった。「ならば厄娜泣族を途上で足止めしろ」その頃、那戦は占別が暗殺に失敗、霍擎雲が無事だと知った。「役立たずの劉啓めっ!」城主夫人となった皇北霜は厄娜泣族が無事かどうか確認に向かった。するとちょうど奉天(ホウテン)閣から那戦が現れ、護衛兵も厄娜泣族も全て天都に捕まったと知る。「なぜ天都が?」「霍擎雲が条件を出してきた、言わずとも分かるであろう?だが応じるつもりはない」焦った皇北霜は雲沛夫人として自ら兵を率いて救出に向かうと嘆願した。「どうせ私を名指ししたのでしょう?」「霍擎雲の首を持ち帰ることができれば、お前の欲しいものは全て与えよう」那戦は出兵を認めたが、その裏で密かに刺客を放った。「夫人に怪しい動きがあればその場で殺せ」那戦は表立って皇北霜と霍擎雲を対立させることにした。皇北霜が本当に霍擎雲を殺せれば後顧の憂いが断たれ、逆に霍擎雲が皇北霜を手中に収めれば出兵する口実にもなる。「もし夫人が手ぶらで戻ったとしても、霍擎雲は最愛の女を雲沛に置くことになる…ふっ」一方、若問(ジャクモン)は唐突に蘇った幼い頃の記憶に戸惑っていた。思い出そうとしてもかえって混乱し、頭が痛くなってしまう。そうとは知らず、格心薇(カクシンビ)は若問が準備した衣を素直に着てくれたと喜んでいた。すると配下が駆けつけ、若問は何も言わず急いで出かけてしまう。「何をこそこそしているのかしら?」雲沛と天都は砂漠で人質の交渉を行うことになった。霍擎雲は沙曲を通じて皇北霜と2人きりで会いたいと伝えたが、明日の約束の時刻まで来る必要はないと断られてしまう。しかし矢も盾もたまらず霍擎雲はその夜、皇北霜の天幕に駆けつけた。「話せないか?少しでいい、君と静かに話したい」「入ってこないで」「顔が見たいんだ」皇北霜は思わず窓に近づこうとしたが、涙をのんで霍擎雲を突き放した。「明日の和議は北靖領主として私情は挟まず、天都に有利な決断を下すことね」その時、霍擎雲が天幕にずかずか入って来たかと思うと、皇北霜をかついで強引に連れ出してしまう。霍擎雲は緑地を出たところで皇北霜を降ろした。「私が麻随(マズイ)の九公主だといつ気づいたの?!」「雲沛に来てからだ…君の母親の死は私の過ちだが、君への想いは本物だ」「想いですって?!この後に及んでもまだ言うの?!」霍擎雲は全て片付いた暁には死を以って償うと訴え、占別が持っていた匕首を突きつけた。「占別が君に贈った短剣で私を殺しに来た、君の差し金か?」「そうよ、あなたを殺したかった」皇北霜は霍擎雲が自分を疑ったことに傷つき、強がって嘘をついてしまう。肩を落とした霍擎雲は匕首を皇北霜に渡した。「君の手に戻った、殺せばいい」皇北霜は匕首をつかんで霍擎雲の首に当てたが、どうしても愛する人を殺すことができなかった。すると霍擎雲は皇北霜の心にまだ自分がいるのだと気づき、思わず押し倒して唇を重ねてしまう。しかし皇北霜の頑な心を開くことはできず、その冷静な態度は霍擎雲を惨めにさせた。「飛踏(ヒトウ)@馬に送らせる」霍擎雲は居たたまれなくなり、逃げるように帰ってしまう。( ゚д゚)え?見た?イールンの鼻の穴が…え?!何?オカルト?!翌朝、雲沛と天都の和議の交渉で皇北霜と霍擎雲が対峙した。霍擎雲は人質と皇北霜の交換を要求。「どんなに恨まれようと罵られようと私のそばにいてもらう!雲沛と戦になっても構わない!」すると皇北霜が口笛を吹いて飛踏を自分の元へ呼び寄せ、首に匕首を突きつけた。「(いい子ね、ごめん)人質を解放して!さもないと飛踏を殺す!」「従うと思うか?」「従わざるを得ないはずよ?」「本気か?!」「…この遺書はもう預かれない、他の人に託して」皇北霜は書簡を投げ返した。「君を奪うためなら武力行使も辞さない」「私の心から完全に消えたいのなら領主の威厳を見せつければいいわ」霍擎雲は結局、愛する皇北霜に無理強いできず、思い出の笛を取り出して剣で真っ二つに割った。「明日、辰の刻、軍営に人を送る」「これで私たちの縁は切れた、もう2度と会うことはない」皇北霜は飛踏を愛おしそうになでて脅したことを謝罪し、引き上げた。( ;∀;)ァァァァァァァ~翌日、霍擎雲が涼亭で割れた笛を眺めていると容豁(ヨウカツ)がやって来た。「白馬と人質の交換に応じた話は末長く人々の記憶に残るでしょうなw」「からかわないでください…彼女を巻き込むべきではありませんでした、でももう縁は切れた」すると容豁はいずれ皇北霜が霍擎雲の弱みとなり、必ず足枷になったはずだとなだめた。「すでに子供が1人、犠牲になっているのです、その死を無駄にせぬよう」その子供とは容豁の兄・蓉若(ヨウジャク)の息子だった。先主が亡くなった時、霍擎雲は容豁と衣装棚に隠れて寝閣の様子を見ていた。雲芳閣へ乗り込んだ若き那戦は偽造した那啓達(ナケイタツ)の遺詔を盾に自分が城主を継承すると宣言。兵士に拘束された蓉若は猛反発したが、那戦は父の葬儀を行うため巫将軍に弟を連れてこいと命じた。『いいか、弟の肩には梅の花のあざがある』実は蓉若は霍擎雲を救うため自分の息子を身代わりにしていた。霍擎雲は梅の花のあざと聞いて見覚えがあった。確か第2話で若問に襲われそうになった皇北霜を救おうとした時のこと。霍擎雲は背後から若問に短剣を突きつけたが、その時、若問の肩には確かに梅の花のあざがあった。「豁伯、安(アン)児は生きているかもしれません」一方、任務を果たして帰途についた皇北霜たちは待ち伏せしていた黄天狂(コウテンキョウ)兵団に襲われていた。すると若問が軍から皇北霜を引き離して連れ去ってしまう。∑(⊙∀⊙)えーっ!そっち?!w翌日、沙曲が劉啓が那戦と結託している証拠を発見、霍擎雲に報告した。「やはりな…」霍擎雲はむやみに動くのは得策ではないと判断したが、そこへちょうど劉啓が現れる。「領主、城主が雲刺泉(ウンシセン)で政のご相談があると…」虚無・・・つづく( ๑≧ꇴ≦)イールンのパジャマ姿がいい!w
2025.11.25
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琅琊榜之風起長林 Nirvana in Fire II第1話「風雲来る長林軍」荒野に陽が昇った。城楼から戦況をうかがうのは梁(リョウ)の長林(チョウリン)王府世子(セイシ)・蕭平章(ショウヘイショウ)。すでに多くの兵士を失い、補給を断たれた孤城には援軍が来る気配もない。ここは梁と渝(ユ)の辺境、甘州(カンシュウ)。蕭平章の親衛・東青(トウセイ)は世子を守るため、敵軍が再び動く前に南門から撤退するよう説得した。甘州は確かに要地だが、長林王府の世子に万が一のことがあってはならない。「長林軍の戦旗を掲げて退くことは許されぬ…」蕭平章は戦地に身を置く以上、兵と運命を共にする覚悟を決めていた。幸い父上のもとには弟がいる…。蕭平章の視線の先には北風にはためく長林軍の旗があった。三月(ミツキ)前のこと、蕭平章は琅琊(ロウヤ)山を登った。目指すは琅琊閣。琅琊閣と言えば天下のあらゆる疑問を解き、才子や英雄に序列をつける場所である。そして弟の長林王府次子(ジシ)・蕭平旌(ショウヘイセイ)が自由気ままに修行している地でもあった。琅琊閣閣主・藺晨(リンシン)は蕭平章の求めに応じて答えを渡した。しかし若閣主・藺九(リンキュウ)は、果たして長林王府世子に全てを伝えて良いものか疑問が残る。すると藺晨は本人が調べ始めた以上いずれは知ることになると言った。ただ気掛かりなのは北の国境が危ういこの時期にわざわざ立ち寄ったことだという。「面立ち心より生まれ、局面は心が左右する(相由心生 境随心転) 国境での戦いは危険が待ち受けよう…」蕭平章は問いの答えにしばし呆然となった。するとそこへ兄が来たと知った蕭平旌が急いで駆けつける。平章は咄嗟に答えの紙を帯に隠すと、平旌は部屋に入るなり大好きな兄に飛びついた。しかし兄弟の再会もつかの間、平章はすぐ下山するという。実は国境で戦が起こると判断した父から甘州左路を守れと命じられたからだった。章「とにかく国境に着く前にお前と直接、話しておきたかった」旌「また戻れって言うのかい?」章「お前ももうじき21歳なのだぞ?もう1年経てば陛下も新たな縁談を促す 大人になれ!一生、気ままには過ごせぬ 長林王府の重責を…」旌「長林王府なら…っ、兄上がいる」平旌は気まずそうにうつむくと、平章は自分がこの先も無事という保証はないと釘を刺した。章「国境が平定したら、どんな状況でも必ず金陵(キンリョウ)に戻って来い」そう言って平章は笑顔で出発したが、平旌は兄の忠告がどこか気掛かりだった。梁の帝都・金陵。渝の不穏な動きをつかんだ長林王・蕭庭生(ショウテイセイ)は、朝議で西国境に駐留する軍の派兵を訴えた。朝臣たちは必死に阻止しようとしたが、義兄に全幅の信頼を寄せる梁帝はこれを許可、躊躇なく兵符を預けてしまう。こうして長林王は息子の平章が待つ甘州へ出立した。長林軍を見送った朝臣たちは憂いを募らせたが、内閣首輔(シュホ)・荀白水(ジュンハクスイ)だけは冷ややかに見える。中書令(チュウショレイ)・宋浮(ソウフ)は思わず、荀白水だけが出兵に異を唱えなかったと恨めしそうに言った。しかし荀白水は今さら憂いて何になるとこぼす。「長林王が口を開けば、たとえこじつけの理由でも陛下は必ず兵符をお渡しになろう 目下の状況で懸念すべきことは行き過ぎた寵愛だけではない 陛下が長寿を全うできるかどうかである、皇太子はまだ10歳であるぞ」すると宋浮は災いの芽を摘み取るのが忠臣の勤めだと意味ありげに言った。「お忘れか?こたび動員された大軍に補給を行う任務は私が主導することを…」今朝も琅琊閣には各地からあらゆる情報が届いていた。伝書鳩から回収した密書は弟子が若閣主の元へ届けるが、その日はちょうど途中で老閣主と出くわす。すると藺晨は密書の中身を確認した。「大同(ダイドウ)府… 人心は読めぬもの、己が信じられぬ時は他人までも信じられぬ ついにその一歩にまで至ったか…」その朝、戦で追い込まれる兄の夢を見た蕭平旌は慌てて藺九のもとへ駆けつけた。北の辺境についての知らせはなかったが、やがて弟弟子が新しい密書を持ってやって来る。平旌は藺九より早く老閣主が見たという密書を手に取ると、そこには″大同府の補給船3艘が左水路で謎の沈没″と書かれていた。大同府から左水路と言えばその先は甘州…。「大哥…」兄の窮地を悟った平旌はすぐ荷物をまとめて飛び出して行った。藺九は老閣主に蕭平旌が下山したと報告した。しかし今さら山を降りたところで何もできないだろう。すると藺晨は、琅琊閣へ知らせが届く前に国境の蕭庭生には伝わっているはずだと言った。「軍陣の才においては″あの者″を幾分と彷彿させる、反応も遅くはあるまい 最後は蕭平章次第であろう、持ちこたえられるか…」蕭庭生が援軍を率いて馬を駆けている頃、甘州は再び激しい戦火に包まれていた。満身創痍の長林軍は城門を死守していたが、ついに敵軍の砲弾によって城壁が崩れてしまう。すると渝軍が城内になだれ込み、待ち構えていた弓隊が一斉に矢を放った。敵軍の猛攻撃は長林軍の兵士を次々となぎ倒し、やがて流れ矢が蕭平章の左胸に突き刺さる。「うっ…」平章は何とかこらえたが、無情にも2本目の矢が右胸に命中した。後方にバッタリ倒れる平章…。長林軍の動きは止まり、もはやこれまでかとあきらめた。しかしその時、平章の手が一度は放した剣を再び握りしめ、無念にも生き絶えた兄弟たちの屍の上に姿を見せる。「ここは梁の民の砦!長林軍の男は死しても退かぬっ!」平章の言葉に劣勢を強いられていた長林軍は奮起し、再び立ち上がった。蕭平旌が甘州に到着する頃には戦が終わっていた。城内の惨状を目の当たりにしながら兄を探していると、ちょうど東青の姿を見つける。「東青!兄上は?!」「衙門(ガモン)です、長林王がおそばに…」父が甘州にいると聞いた平旌は兄の身に何か起こったのだと分かった。蕭平章は出血がひどく、もはや一刻の猶予も許さなかった。蕭庭生は危険を承知でギリギリまで清風堂の黎(レイ)老堂主の到着を待つ。するとようやく使いが戻って来たが、連れて来たのは若い娘だった。実は黎老堂主が先に弟子である清風堂堂主・林奚(リンケイ)を行かせて処置するよう指示したという。そこへ動揺した蕭平旌が現れた。林奚は手際よく準備すると、矢じりを抜くことにした。「矢はわずかに心臓を逸れており、かろうじて心肺の損傷は免れましたが、 傷を開いて矢を抜く必要があります、ただその際に血脈を傷つける恐れがあり…」「兄上の身体をこんな小娘に任せられるか!」蕭平旌はカッとなって声を荒らげると、林奚は仕方なく長林王に師匠を待つかと聞いてみる。蕭庭生はいささか面食らっていたが、これ以上は平章の身体が保たないと分かり、林奚の判断に従うと決めた。すると林奚は鮮やかな手さばきで、あっという間に矢じりを抜いてみせる。平旌は矢継ぎ早に兄の様子を尋ねたが、林奚は何も答えずに平旌を外に出すよう頼んだ。つづく(^ꇴ^)いよいよ始まりました!蕭平章が瑯琊閣に尋ねた問いとは何だったのか?その答えは蕭平章を動揺させ、それが戦にも影響しているようですが・・・ちなみに前作を見ていなくても大丈夫ですが、懐かしいので簡単な関係図をご紹介します(  ̄꒳ ̄)本当に簡単w
2019.05.08
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如懿传 Ruyi's Royal Love in the Palace第35話「女官の野望」第5皇子・永琪(エイキ)は嫻貴妃(カンキヒ)・烏拉那拉(ウラナラ)如懿(ニョイ)と愉妃(ユヒ)・珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)、2人の母に愛され、賢く活発な男の子に育っていた。一方、宿願を叶えて嫡子を産んだ皇后・富察(フチャ)琅嬅(ロウカ)だったが、第7皇子・永琮(エイソウ)は病弱で、満一月の頃から母乳に薬を混ぜて与えているという。生後3ヶ月になっても身体が大きくなる様子もなく、夏だというのに2度も風邪を引いていた。侍医・斉汝(セイジョ)を頼るしかない琅嬅と富察夫人だが、早産が原因で病弱な王子は10歳まで予断を許さない状態だと宣告されてしまう。その上、産後の肥立ちが悪い琅嬅は再び懐妊できる可能性がなかった。斉汝は養心殿で皇帝に謁見した。皇后は病弱な第7皇子と後宮の諸事により、心労で健康をひどく損なっているという。今日は七夕で次は中元、万寿(バンジュ)、中秋、重陽(チョウヨウ)と式典が続く。乾隆帝(ケンリュウテイ)・弘暦(コウレキ)は皇后にとって重い負担となると懸念し、代役を立てることにした。その夜、弘暦は如懿と2人で星空を見上げながら、皇后の代わりに差配役を任せたいと頼んだ。如懿は純貴妃(ジュンキヒ)・蘇緑筠(ソリョクイン)に依頼して欲しいと辞退したが、弘暦は純貴妃には判断力が欠けるため何の助力も得られないと認めない。すると実はすでに褒美があると言って化粧箱を渡した。中には七夕の祝いに真珠で作らせた美しい薔薇のかんざしが入っている。「皇后は仏手柑(ブッシュカン)の花、純貴妃には紫陽花 それに嘉妃(カヒ)、愉妃、舒嬪(ジョヒン)皆に1つずつ贈った だが薔薇はそなただけだ、そなたは特別だからな、大切に想う証だ」弘暦は如懿の髪に挿してやると、その手を握りしめた。「如懿よ、朕のそばから離れないでくれ…」中元の朝は見事な快晴だった。しかし夜になると急に激しい雷雨となる。「中元節は霊が戻る日よ、死者の霊は湿った場所を好むわ…」「驚かせないでよ~」侍女たちは結局、灯籠流しをあきらめた。そんな嵐の夜、金玉妍(キンギョクケン)のお産が始まる。侍女・麗心(レイシン)は長春(チョウシュン)宮に駆けつけ難産だと訴えたが、琅嬅は泣き止まない第7皇子に掛り切り、産婆と侍医に頼めと追い返してしまう。啓祥(ケイショウ)宮では金玉妍の苦しそうな悲鳴が響き渡っていた。侍女の桜児(オウジ)こと衛嬿婉(エイエンエン)は物陰に身をひそめ、もっと苦しめと呪いをかける。すると侍女・貞淑(テイシュク)に呼びつけられ、この大雨の中、皇帝を呼んで来いと命じられた。衛嬿婉はびしょ濡れになって養心殿に到着し、事情を説明した。李玉(リギョク)は高斌(コウヒン)が謁見中のため、終わったら皇帝に知らせると約束する。「ずぶ濡れだな、進忠(シンチュウ)?桜児を送ってやれ」「はい…」進忠は美しく哀れな桜児に目をつけた。進忠はひと目見ただけで桜児が虐められていると分かった。この大雨なのに使い走りを命じられ、腕にはあざがある。そこで道すがら、一生を女官で終えるには惜しい顔立ちだと褒めた。「王欽(オウキン)の一件以来、女官と太監は通婚できぬ、だがひそかにむつみ合う者も多い」驚いた嬿婉は進忠の傘から逃げるように飛び出したが、進忠は思わぬ提案を持ちかけた。「私の上役・李玉は嫻貴妃の力で出世した…桜児、その美貌を使って賭けに出ぬか? お膳立てをしてやるから皇上の寵愛を得るが良い、失敗したら私の女になれ 誰からもいじめられぬ、どうだ?」嬿婉はふと立ち止まると、その場にひざまずいて教えを請うた。金玉妍は難産の末、第8皇子・永璇(エイセン)を産んだ。しかし誕生祝いは規定通り、名前を決めたのも内閣と、全てにおいて嫡子と差をつけられ不満を募らせる。「永璇の″璇″の意味は美しい石よ?玉ですらない!皇上ったらうちの子に会いにも来ないっ!」「まったくです、″霊が戻る中元節に生まれた8阿哥は不吉な子だ″と皆が噂を…」「黙りなさいっ!」麗心はうっかり口を滑らせ主人の逆鱗に触れてしまう。金玉妍はその怒りを桜児に向けたが、嬿婉にとってもはやそれが原動力となった。中秋節の夜、弘暦は第8皇子の満一月の祝いに啓祥宮を訪ねた。ようやく機嫌を直した金玉妍だったが、そんなある日、皇子を連れて長春宮へ行く途中、御花園でばったり如懿と出くわす。そこで金玉妍は如懿への当てつけに早速、桜児を呼びつけ、まともに扇ぐこともできないのかと頰をつねった。しかしちょうど長春宮に向かう皇帝の一行が通りかかる。貞淑は慌てて桜児を後ろに隠し、皇帝の目に留まらないよう侍女たちが壁になった。その時、嬿婉はわざと声を発する…「ァィョ~」進忠はすかさず女官が叩かれたようだと進言、日頃から目下の者に寛容にと言い聞かせてきた弘暦はその女官を呼んだ。弘暦は嬿婉がどこか如懿に似ていると顔をほころばせた。しかし女官が本名は衛嬿婉だが嘉妃から″桜児″と言う名をもらったと聞いて顔色が一変する。さらに嬿婉の頰はつねられて真っ赤になり、腕はあざだらけだった。慌てた金玉妍は謝罪し、懐妊中で苛立っていたと言い訳したが、皇帝はごまかされない。「無礼者!嫻貴妃の幼名は青桜だと知っておろう?! …これより衛嬿婉と名を戻せ、啓祥宮にも戻るな!」そこで如懿はこの機会にすでに22歳だという嬿婉を家に帰し、侍衛と結婚を認めてはどうかと提案した。ところが弘暦は嬿婉が気に入ったので御前女官としたいという。如懿は凌雲徹(リョウウンテツ)との約束を果たすため嬿婉本人に選ばせようと言ったが、予想外の答えが待っていた。嬿婉は少し考えていたが踏ん切りがついたのか、皇帝に仕えるという。喜んだ弘暦は進忠に嬿婉の面倒を任せ、金玉妍にすぐ寝宮に帰って反省するよう命じて長春宮へ向かった。恩人である凌雲徹が想い女と結ばれるよう願っていた如懿…。結局、その厚意は嬿婉の野望を前に無となってしまう。如懿は惢心(ズイシン)に今日の一件を凌雲徹に伝えるよう頼んだが、凌雲徹がひどく落ち込むことは分かっていた。進忠の思惑通り、衛嬿婉はまんまと養心殿に入った。しかし道が開けるのは嬿婉が皇帝の妃になってからの話…。進忠は嬿婉に皇帝の心をつかむよう指示し、早速、着替えさせて皇帝の書斎に送り込んだ。「これより先はお前自身の力で切り開け…」衛嬿婉は皇帝に平伏し、助けてもらった感謝を伝えた。弘暦は嬿婉を特別扱いしたわけではなく、嘉妃が嫻貴妃の幼名と同じ字を与えて虐げたことに憤ったと教える。すると嬿婉は第23話で皇帝と話したことがあると訴え、その時のことを叶えるためではなかったのかと戸惑った。「思い出した、永璜(エイコウ)の侍女をしていた女官か」「思い出してくださいましたか? 皇上はあの時、もしかしたら私といつか″嬿婉と良時に及ぶこともあろう″と…」弘暦は自分の言葉を誤解するなと否定し、今となってはそう言ったのかも定かではないとわざと冷たくする。そこで嬿婉はおしゃべりが過ぎたと謝罪し、それより痩せたようなので衣を仕立て直さねばと言った。「以前は四執(シシツ)庫で皇上の衣にお仕えしており、毎日、体つきを思い浮かべていました …私は皇上をお慕いして女官になりました 遠くからでもお姿を拝見するだけで、心が温かくなりました 今、陛下は目の前にいます…私の胸は燃え盛っています…」弘暦はすっかり嬿婉に魅了され、衣を作り直したいので採寸してくれと手を広げる。華奢な手で皇帝の胴回りを計り始める嬿婉…。ちょうど皇帝を抱きしめる格好となった時、頃合いを見計らっていた進忠が差し入れを持って入ってきた。「申し訳ございません!」「ちょうど良い、勅命を伝えよ 衛嬿婉を答応とする、永寿(エイジュ)宮と侍女2名を下賜し、夜伽を命じる」その夜、衛答応となった衛嬿婉は馬車を断り、歩き慣れた道を妃として歩いておくことにした。しかしその途中、石段に座り込んでいる凌雲徹に気づく。嬿婉は侍女たちを先に行かせ、凌雲徹の元へ向かった。「夜伽を務めるの…長くは話せない、言いたいことは何?」「無理強いか?」「いいえ」「よりを戻したいと言ったよな?あの時の言葉は全部、嘘か?」「違うわ、あの時はそれが唯一の逃げ道だった」あの頃は嘉妃に虐げられ一刻も早く逃げ出したかったが、やはり自分を守れるのは自分だけだと気づいたという。かつて父は内管領(ナイカンレイ)だったが、失脚して罰せられ、このままでは女官でいるしかない。毎日、虐げられ蔑まれる、そんな日々はまっぴらだった。すると凌雲徹は寵愛などいずれ尽きると釘を刺す。全てを失ってから後悔しても遅いのだ。しかしもはや何を言っても嬿婉には届かない…。「四執庫にいた時は美しい着物を眺めるだけだった きれいに整えても袖に手も通せない、でも今はこの通りよ! 夜伽の時は特別な馬車が迎えに来るの、でも私は歩いて向かう 妃としての第一歩を自分の足で確かめたい、寵妃となるまでの道のりがどれほどかを…」凌雲徹は吹っ切れたのか、ようやく立ち上がって選んだ道をしっかり歩めと言った。「後悔しないよう祈っている…」「あなたの邪魔がなければ私は栄華を極められる…ごめんなさい、雲徹哥哥」「…衛答応、滅相もございません」凌雲徹のわきまえた挨拶に嬿婉は言葉を失い、しばし動けずにいた。ここから先に進んだらもう引き返せない。その時、侍女が呼ぶ声が聞こえた。嬿婉はついに決心し、過去に別れを告げる。「さようなら…」「衛答応、どうか息災で…」凌雲徹は侍衛として拝跪し、衛答応を見送った。衛嬿婉は決して振り返らなかった。やがて養心殿に足を踏み入れると、もはや迷いなど感じられない。その頃には凌雲徹のために流した涙もすっかり乾いていた。つづく(  ̄꒳ ̄)もう、男って…w雲徹哥哥ったら、美人は真心より権力になびく…って読まなかったのかしら?
2019.09.23
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长歌行 The Long Ballad第5話「北の要地」阿詩勒隼(アシラシュン)は商隊の身代わりたちと別れ、幽州に向かおうとしていた。すると川辺に流れ着いた人影を見つける。亜羅(ヤールォ)は死体だと思ったが、隼が仰向けにすると例の東宮の少年だった。驚いた隼はまだ息があると気づいて岸に運び、肩に刺さった矢を抜くことにする。しかし思いがけず胸の膨らみに触れ、隼はこの少年が実は女だったと気づいた。一方、皓都(コウト)と魏淑玉(ギシュクギョク)は川へ落ちた李長歌(リチャングァ)を探していた。淑玉は皓都の強引なやり方を非難したが、皓都は魏家を守りたくばおとなしく義父・杜如晦(トジョカイ)に従えという。隼は誰もいない猟師の休憩所へ長歌を運び込み、亜羅に酒・薬・衣を用意するよう命じた。相手が少女だと分かり思わず頭を抱える隼、しかし早く矢を抜かねばならない。仕方なく隼は布を裂いて目隠しし、手探りで手当てを始めた。しかし長歌の意識が戻り、いきなり引っ叩かれてしまう。バシッ!⊂彡☆))Д´) 「恥知らず!…見たんだな?」長歌は青年が目隠しをしていることを訝しんだ。すると隼は傷口を見たくなかっただけだとごまかし、ならば自分で矢を抜けという。そこへちょうど亜羅が戻ってきた。淑玉が屋敷に戻ると父・魏徴(ギチョウ)が朝服に着替え、書斎に座っていた。実は先ほど李世民(リセイミン)を罵り追い出したことから、程なく死を賜るはずだという。驚いた淑玉は故郷・曲陽(キョクヨウ)へ逃げるよう促したが、そこへ方義(ホウギ)が皇太子からの差し入れを持って来た。魏徴は毒酒だと覚悟して蓋を開けるも、なぜか中には芹(セリ)の酢の物が入っている。李世民の文には房玄齢(ボウゲンレイ)から好物だと聞いて皇太子妃・長孫(チョウソン)氏が自ら腕を振るったとあった。…今日の失態を許していただきたい…魏徴は自分の狭量さに気づかされ、誰に付くかではなく唐へ力を尽くそうと思い直した。長歌は激痛に耐え自分で治療し、衣を着替えた。中庭では青年の配下たちが暖を取っている。「ありがとう…」長歌は別棟にいた青年に感謝した。「私が誤解していた、この恩はいつか必ず…」「必要はない、貸し借りはないしな」そこで隼と長歌は酒の肴に互いに質問し、答えられなければ酒を飲むと決める。「その肩の矢は誰にやられた?」「朝廷の追手だ…私の番だ、貴殿の名前は?」「姓は秦(シン)名は準(ジュン)、阿準(アジュン)でいい…お前は?」「姓は李、14番目の子だ、十四郎でいい…なぜ私の短剣に執着を?」「お前を困らせるためだ」「ふっ…腹黒いやつだ、出身は?」「中原人だが塞外で生まれた…この後どこへ?」「…敵討ちに、貴殿はどこへ?」「北だ、敵討ちとは?」すると長歌は黙って酒を飲んだ。「北では何を?」「大きな商いだ…どんな商売かは言えない」隼は長歌の質問を見越して先に酒を飲んでしまう。「最後の質問だ…本当に阿準というのか?」「十四郎こそ、本当に十四郎というのか?」2人は思わず失笑し、一緒に酒を飲んだ。隼と長歌の笑い声は外まで漏れていた。亜羅は特勤(テギン)が笑っていると驚いたが、蘇伊舎(スーイーシャー)は取り合ってくれない。阿詩勒部の鷹(ヨウ)師を束ねる隼は可汗から警戒され、政敵には牽制されていた。そんな状況で特勤が心から笑えるとは思えないという。それにしても孤高の特勤がこれほど意気投合するとは、あの少年は何者だろうか。翌朝、酔い潰れた隼が目を覚ますと、すでに十四郎の姿はなかった。外へ出るとすでに準備を整えた配下たちが挨拶する。「出立だ」そこで蘇伊舎に鷹師への連絡と可汗への密書を任せ、先に行かせた。一方、李世民は粛清の噂と李長歌が無関係だと報告を受けた。しかし皇太子璽は朝廷の重器、李世民は杜如晦に何があっても誰の手にも渡すなと命じる。その言葉を聞いた杜如晦は皇太子もようやく踏ん切りがついたと安堵し、書斎を後にした。杜如晦が下がると入れ違いで永安(エイアン)郡主・李楽嫣(リラクエン)現れた。楽嫣は長歌を罰しないよう嘆願したが、李世民は長歌の存在を忘れろという。しかしそこへ思いがけず皇帝から聖旨が届いた。皇帝は阿詩勒部との和親を決め、楽嫣を公主に封じて嫁がせるという。杜如晦は皓都に魏淑玉を見張るよう命じた。淑玉は長歌を慕っており、長歌が生きていれば必ず淑玉と接触を持つと確信している。「太子璽を奪い返し禍根を除け」如晦は皓都にくれぐれも情にほだされ躊躇してはならないと釘を刺した。一方、長歌はついに長安の国境へ到着した。…ここが長安との別れの地ね…その時、突然、阿竇(アトウ)が現れる。阿竇は約束通り十里亭で待っていたが長歌が現れず、北へ行くなら必ず″長安″の石碑を通ると考え、待ち伏せしていた。しかし長歌は改めて阿竇には未来があると言い聞かせる。すると阿竇は長歌こそ自分の未来であり、生死を共にしたいと訴えた。「俺の目に狂いはない、師父は英雄だ! 英雄には補佐が必要だろう?俺が大将軍になる!(๑•̀ㅂ•́)و✧」長歌は阿竇の熱意にほだされ、照れ臭そうに弟子入りの儀式をするよう言った。喜んだ阿竇は師匠に拝礼し、今度こそ正式に弟子入りが叶う。「師父!で、これからどこへ?」「幽州だ、父の旧兵がいる」長歌は復讐を果たすため、父と昵懇(ジッコン)だった幽州都督・李瑗(リエン)に出兵を頼もうと考えた。李世民は娘を守るため、魏徴の知恵を借りることにした。すでに魏徴も永安公主の縁談話を聞き及び、ひとつ考えがあるという。李世民は弘義宮へ帰ると、早速、楽嫣を呼んだ。実は楽嫣が奇病を患ったと偽り、洛陽(ラクヨウ)で静養させることにしたという。すると楽嫣は心細くなり思わず泣き出した。李世民はうっかり長歌のように強い心を持てと叱り、慌てて言葉を飲み込む。「楽嫣、これでしばらくは嫁がずに済む…いいな? 魏の郎君と親しいのだろう?洛陽までの護送を命じた、安心せよ」その頃、商人になりすました亜羅は幽州の城門で王将軍に止められていた。すると積荷に隠していた石の山が見つかってしまう。「連行しろ!」王将軍は亜羅たちを引っ立て、部下たちには石を見なかったことにするよう命じておく。その様子を物陰から眺めながら、隼は計画が上手くいったとほくそ笑んだ。ちょうど同じ頃、長歌と阿竇も幽州へ入った。長歌と隼は偶然にも同じ宿舎に決めたが、隼は上階の豪華な部屋、片や長歌たちは雨がしのげる物置小屋を借りる。一方、長安を発った楽嫣は最後の宿となる南安(ナンアン)駅館に到着した。明日には洛陽の行宮に着く。楽嫣にとって想い人の淑玉との旅路は束の間の幸せだった。今や皆が大人になって離れ離れとなり、各自の道を行かねばならない。「淑玉哥哥、文を送ってくれる?…長歌の行方が分かったら知らせて?」「必ず長歌を見つけるよ」淑玉は部屋へ向かった楽嫣を見送った。すると後を追って来た皓都が到着する。皓都は皇太子の命により淑玉が長安特使に任じられ、長安へは戻らず自分と一緒に幽州へ行って盧江(ロコウ)王・李瑗を入京させるよう伝えた。淑玉は長歌の行方が分かったと気づいたが、皓都はどちらにしても使者として命令以外のことに干渉しないよう警告する。実は幽州への官道で長歌と少年らしき二人連れが目撃されていた。皓都は配下に淑玉をしっかり見張るよう命じ、幽州で長歌と接触した時は問答無用で長歌を殺せと指示する。「淑玉が阻んできたら…奴も始末を」その話をちょうど部屋にいた楽嫣が聞いていた…|ω・`)つづく( ๑≧ꇴ≦)イールン! ←言いたいだけw
2022.01.10
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长歌行 The Long Ballad第28話「あの頃のように」永安(エイアン)公主・李楽嫣(リラクエン)は弟の代わりに南山の視察へ向かった。すると道すがら弟の亡骸にすがりつく少女・五娘(ゴジョウ)と出会い、自分の姿を重ねて胸を痛める。一方、流雲観(リュウウンカン)では阿碧(アヘキ)が阿離(アリ)と名を変えた李長歌(リチョウカ)に食事を届けていた。「あすぁん!」長歌は阿詩勒隼(アシラシュン)の夢を見て飛び起きると、阿碧が心配そうにやって来る。「阿離、悪い夢でも見たの?…″あすゎん(阿孫)″って誰?飼っていたサルの名前?」「…阿隼よ」「すぁん?じゃあ鳥を飼っていたのね?」「…昔の連れだった、でも私がひどいことをしたの、恨んで会いに来ない方が私も気が楽だわ」その頃、阿隼は中原人の衣に着替え、秦(シン)老たちと行動を共にしていた。偵察から戻った緒風(ショフウ)は長歌らしき女子が確かに医者と若い男と一緒にロバで洛陽(ラクヨウ)に向かったと秦老に報告したが、阿詩勒隼が幼い媛娘(エンジョウ)をあやしている姿を見て激高する。媛娘を親の敵から引き離そうとする緒風、しかし秦老が咄嗟に間に入った。秦老は阿詩勒隼に媛娘を寝かせつけて欲しいと頼むと、興奮する緒風を叱る。「媛娘を第二の小公主のように憎しみの中で生きて行かせるつもりかっ?!」洛陽府衙に戻った楽嫣は皇太子・李承乾(リショウケン)が街へ出かけたと聞いた。視察をさぼって遊んでいる弟に呆れる楽嫣、しかし民の惨状を見るのも勉強になると思い、騒ぎを起こしさえしなければ構わないという。しかしその頃、流民を煽っていた逆賊が街をかっぽする皇太子を狙っていた。「晟辛(セイシン)?夫人がお前を選んだのだ、この先はお前の腕次第だぞ」承乾は大道で見た雑技を気に入り、腕比べが終わると喜んで褒美を撒き散らした。すると群衆が銀子に群がり大混乱、承乾はもみくちゃにされてしまう。護衛たちは皇太子を見失い、騒ぎに乗じた逆賊が皇太子を押し倒してわざと手を踏みつけた。その時、年の頃も近い少年が現れ、承乾を助け出してくれる。承乾はわざわざ薬まで塗ってくれた少年に感謝したが、護衛たちが現れると少年は名前も告げずに逃げて行った。イケメン好きの媛娘はすっかり阿準(アジュン)哥哥に懐いた。しかし阿隼はやはり緒風の言う通りだと気づき、自分に近づいては駄目だと言い聞かせる。「…これは狼笛だ、草原だけにある 償いはできないが困ったらこれを吹け、ご両親に代わって見守る」( ˙³˙♟༄ ピィ~プゥ〜皇太子の評判は人里離れた流雲観にも届いた。慰問に来た皇太子が雑技を見て金をばら撒き、街は大混乱になったという。そのせいで大勢の怪我人を出し、流雲観も手当てに大忙しだった。長歌は相変わらずの皇太子に呆れたが、そこへ司徒郎郎(シトロウロウ)が現れ、これから南山へ行くという。承乾は府衙に帰るなり長安に戻りたいとわめいた。そこで皓都は公主に太子の世話を任せ、騒ぎ立てた物乞いを捕まえに向かう。今までならすぐ切り捨てていた皓都、しかしふと公主の言葉を思い出し、明府に処置を任せた。その夜、野宿していた秦老たちは媛娘がいないと気づいた。緒風たちは手分けして探すことになったが、その時、どこからともなく笛の音が聞こえる。狼笛だと分かった阿隼は慌てて駆け出すと、花を摘んで高台に上がれなくなった媛娘を発見した。安堵した秦老だったが、なぜこんな所まで来たのかと尋ねる。すると媛娘は明日が母の誕生日だと言った。( ˙꒳˙ )<木にちゃいているはにゃには手が届かにゃくて…穴に落ちちったの楽嫣は自ら皇太子の手当てをした。すると魏淑玉(ギシュクギョク)が負傷者の数と戸籍を調べ、一軒ごと慰問に行こうと提案する。しかし承乾はせっかく金をまいたのに仇で返されたと憤慨した。「そうだ、阿姐が代わりに行ってよ!怪我をしたんだ、数日、休ませて」「はあ~今回だけよ」楽嫣は仕方なく弟を許し、部屋を出た。承乾は怪我を理由に流民の慰撫を姉に押し付けた。しかしまた街に出る勇気はなく、淑玉に隋(ズイ)の梓微(シビ)宮に行ってみたいと頼む。梓微宮とは煬帝(ヨウダイ)が民からの搾取で建てた宮殿、淑玉は民の反感を恐れ、それより視察すべきだと諌めた。すると承乾はいかに贅を尽くした宮殿かを見て己を戒めると屁理屈を並べ、強引に出かけてしまう。長歌は今日も南山へ出かけた。すると流民の五娘が静澹(セイタン)真人に頼まれて付近を案内してくれる。五娘は元気がない阿離を心配し、自分の飴をあげた。「阿離姐姐?家族は?」「…いないわ」「私の家族ももういないの… 家は雲州にあって、冬が近くなると草原の人たちが強奪に来たわ その後、災害が重なって生きて行けなくなって、両親は私たちを連れて逃げたの 南へ行くと助かるって…でも父さんは病にかかって死に、母さんも病で… 私たち民は天にすがるしかない、天が命を奪う気なら従うしかないの」五娘は結局、弟と2人で流雲観に流れ着いたが、先日ついに弟まで病で失っていた。「みんなこれで弟はもう辛くないって言うの…阿離姐姐、本当にそうなの?」「…そうよ、もう辛くない、きっと両親と一緒にいるわ」「でも私はちっとも嬉しくない…やっぱり辛い…」長歌は五娘の涙を見て心が締めつけられる思いだった。かつては農民の家に生まれて平穏に暮らしたいと願うこともあったが、どうやら大きな間違いだったらしい。「今頃、気がつくなんて…」長歌はやはり飴を五娘に返し、一緒に観主の元へ戻った。その頃、秦老たちは無事に洛陽へ到着、大普客桟(ダイフキャクサン)に落ち着いた。一方、長歌は五娘のおかげで迷いが消え、観主に自分も流民を救いたいと申し出る。そこへ偶然にも楽嫣が慰問にやって来た。五娘は公主が来たと聞いて喜んで出迎えた。すると楽嫣は民を救済している弟子たちの中に懐かしい従姉の顔を見つける。ついに再会を果たした長歌と楽嫣、2人は互いの無事を喜び、旧情を温めた。「チャングァ…私を恨んでいる?」「過去の私は執着し過ぎるあまり拒み続けた、楽嫣、許してくれる?」「許すも何も…」2人は手を取り合い、再び姉妹の絆を取り戻した。長歌はウサギの刺繍の袋を思い出し、雲州に楽嫣を探しに行ったと話した。しかし皓都に先を越されてしまったという。楽嫣はあの娘が勘違いしたのも仕方がなかったと合点がいったが、その時、雲柔が駆けつけた。「公主!皓郎君が来ました!」驚いた楽嫣は明日あらためて市場で会おうと約束し、長歌を逃がす。長歌は不自然にならないよう早歩きで山荘に向かうと、楽嫣が皓都を引き止めてくれた。「皓都!ちょうどもう行くところよ」「お待ちを…」皓都は長歌に似た後ろ姿が気になって追いかけようとしたが、楽嫣は咄嗟に腹痛を訴える。「月のものが…って、ぁ…( ̄▽ ̄;)」すると皓都は安柔に剣を預け、公主を抱き上げて引き返して行った。|ω・`).oO(あの2人、どうなってるん?!阿隼と緒風はなかなかわだかまりが解けなかった。しかし洛陽にはちょうど視察で皇太子が来訪、しかも城内で暴動も起きているという。その夜、秦老はこんな時こそ力を合わせるべきだと訴え、思い切って阿詩勒隼と緒風に決着を付けるよう勧めた。「宿を壊さんでくれよ」つづく( ;∀;) ユェンニャン…可愛すぎる…
2022.03.27
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长歌行 The Long Ballad第45話「郡主の正体」毒殺されたはずの鉄勒(ティエラ)部の稚西(ジーシー)が生きていた。実は阿詩勒(アシラ)部が西へ侵攻したという知らせも偽物で、裏で画策していたのは奕承(エキショウ)公主だという。一方、阿詩勒隼(シュン)と阿詩勒渉爾(シャアル)は独房で夜を明かした。ふと隣の牢から聞こえる渉爾の指笛…。阿隼は懐かしい調べを聞きながら、渉爾が母と引き離されて孤独だった自分に手を差し伸べてくれたことを思い出す。すると渉爾が弥弥古麗(ミミクリ)を利用して自分から情報を聞き出した阿隼を非難した。「これも李長歌(リチャングァ)のためだ」「一体、李長歌とはどんな女なんだ?お前も弥弥も命まで捧げるとは…」長歌は李楽嫣(リラクエン)と皓都(コウト)の協力で奕承の陰謀を暴き、使者たちを納得させた。しかし奕承が家族を人質にして脅す手口を使う以上、まだ油断は禁物だと警戒する。「別の計画を講じていて、長安で他にも勢力を擁しているかも…」そこで長歌は赤合(チーハー)から赤鯢(セキゲイ)の所在を聞き出し、皓都が兵を動員して隋(ズイ)の残党を捕らえた。長歌は残党の中に肝心の楊成(ヨウセイ)がないと気づいた。しかしすでに夜も更けてきたことから、先に楽嫣を宮中へ帰そうと決める。四方館に戻った長歌と皓都、すると楊成が楽嫣を人質にして待ち構えていた。長歌は仕方なく残党を解放すると決め、要求された魚符をわざと高く放り投げる。その時、楽嫣が一瞬の隙をついて逃げ出し、皓都は見事に楊成を生捕りにした。楽嫣は楊成の短刀で首を切っていたが軽傷だった。心配そうに手当てする皓都、すると長歌は気を使って部屋を出る。空を見上げると美しい月が出ていた。…阿隼、牢でどうしているかしら?…皓都が屋敷に戻ると杜如晦(トジョカイ)が待っていた。無断で兵を動かしたことを叱責されると覚悟する皓都、しかし杜如晦は果敢な決断だったと称賛する。そこで皓都を連れて霊廟に向かい、祖先の位牌の前で叩頭させた。「今日からお前は我ら杜家の人間だ、族譜にもお前の名前が加わる」杜如晦は皓都を正式に息子として迎え入れ、駙馬になれるよう道を敷いてやった。杜如晦は皓都を連れて参内し、皇帝に暗躍していた隋の残党を捕らえたと報告した。しかし黒幕が奕承だと証言できるのは接触していた楊成だけ、その楊成が黙秘を続けており、今回、奕承を罪に問うことは難しいと落胆する。「まあ焦るな…翼をもがれては抵抗も時間の問題だ」李世民(リセイミン)は赤鯢を掃討した手柄を認め、皓都を駙馬にすると命じた。「皓都、いや杜郎君、楽嫣をそちに託したぞ、大切にするのだ」その頃、長歌は楊成を使者たちの前に引っぱり出し、奕承から直接、命令を受ける数少ない独りだと暴露していた。すると何食わぬ顔で奕承が現れる。「それだけの説明で私に疑念を向けるとは…和議のために嫁いだか弱い女が黒幕であるわけがない」証拠がないと分かっている奕承は強気だった。(´゚艸゚)∴ブッ<か弱いって笑うトコ?…安心してください、楊成は黙ってますよ~長歌は奕承のしらじらしい態度に呆れたが、そこへ礼部特使として魏淑玉(ギシュクギョク)がやってきた。淑玉は皇帝の盟約書を携えていた。唐皇の条件を聞いた使者たちは公平だと喜んだが、突然、弥弥が李長歌は漠北郡主ではないと暴露してしまう。長歌や使者たちは騒然、すると弥弥は李長歌の本当の正体は唐の元皇太子の娘だと明かした。その時、楊成が急に長歌の計画を壊すなと叫び、衛兵の剣で自害してしまう。これではまるで楊成が長歌の配下だと認めたようなもの、そこで奕承は弥弥に目配せし、さらに長歌を追い詰めた。「赤鯢は李長歌に従っていたの! 結盟は各部を戦に巻き込む口実で、狙いは唐皇が親征に向かうことよ! それなら唐軍を消耗させられる、そして唐皇を殺し、復讐を果たす…結盟は李長歌の陰謀よ!」…実は弥弥は直前に奕承に呼び出されていた『断れば穆金(ムージン)と歩真(ブジェン)がどうなると思う?』『穆金?!』弥弥は弟だけでなく愛する人まで人質になったと知り、奕承に忠誠を誓ってしまう…こうして淑玉の懸念は現実のものとなった。「李長歌を拘束せよ、陛下の判断を仰ぐ」李世民は淑玉が盟約書を持ち帰ったら娘の婚儀の日取りを決めるつもりだった。しかし淑玉から思わぬ報告が届く。李世民は奕承が小可汗を解放させるために講じた策だと気づき、再び淑玉を遣わせることにした。「何を要求されてもこう答えよ、朕は阿詩勒部の手中にある各部捕虜の解放を求めると」翌朝、奕承の予想通り唐の使者が現れた。皇帝からの過分な要求に難色を示す奕承、しかし淑玉は人心が不穏となった今、各部の使者をなだめるためには小可汗を懲らしめ、唐の威厳を示すのが最善の策だと脅しをかける。すると奕承はその代わりある条件を出した。淑玉は長歌を解放、しかし結盟は事実上、決裂した。阿隼の身が心配で仕方がない長歌だったが、特別な身分ゆえ面会は許されず、淑玉でも様子は分からないという。それにしても長歌を守るため、阿隼が自分の身分を明かしてまで奕承を引きずり込むとは驚きだった。「一度や二度じゃないの、彼がいなければ崖から落ちた時に死んでいたわ」「君を救ったのは彼だったのか…」すると淑玉は兄として長歌を阿隼に託すと言った。阿隼と渉爾が投獄されて4日、思いがけず2人はわだかまりのない時間を過ごしていた。そこで渉爾はここを出たら許してやってもいいと笑う。しかし可汗の養子と奕承の息子、阿隼は和解できるのは来世だと言った。すると突然、李承乾(リショウケン)が現れ、配下に阿詩勒隼を拘束させる。「ついに盟友の敵を討てるぞ」承乾は短剣を出して阿隼に襲い掛かろうとしたが、淑玉が駆けつけ阻止した。「阿詩勒隼、陛下がお呼びだ」阿隼は唐の皇帝を目の前にしても礼を尽くさなかった。「李長歌の男としても二叔に頭を下げるわけにはいきません」「ふっ、では姪のためにお前はどこまでできる?」そこで李世民は長歌と阿隼のために新しい戸籍を差し出した。今後は名前を変えて長安に残り、阿詩勒部と往来を絶てば一生、憂慮なく暮らせるという。しかし阿隼はすでに長歌が拒んでいると訴え、阿詩勒部を捨てることもできないと固辞した。李世民は2つ目の道は容易くないと警告したが、阿隼は長歌のため命をかけることも厭わないという。「…では長安を離れる前にある者に会え」淑玉は傷心の皇太子を東宮まで送り届けた。晟辛(セイシン)の正体を知って自分の愚かさを実感する承乾、初めて誰かのために立ち上がったが、そんな自分が滑稽だという。「殿下、では今後は誰かに全幅の信頼を置けなくなりますか?」「置くだろうな…ただ盲目的ではならぬ」「なら良かった、成長した証しかと…殿下、人は往時にこだわらず、前を向かねばなりません」つづく( ๑≧ꇴ≦)イールンがようやく良いこと言ってめでたしめでたし…ってまだ続いてた〜w
2022.06.05
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风起陇西(ふうきろうせい)第十七計「反間の計」陳恭(チンキョウ)は紫煙(シエン)閣に柳瑩(リュウエイ)を訪ね、自分が燭龍(ショクリュウ)だと明かした。自分たちがこの重要な位置まで来れたのも、郭淮(カクワイ)将軍が五仙道と高堂秉(コウドウヘイ)を犠牲にして導いてくれたおかげだという。「…ただ犠牲も大きかった」「将来得る結果に比べれば些細なことだ…」「では翟悦(テキエツ)は?」「…柳姑娘、李厳(リゲン)のそばにいるそなたに死なれては困る ゆえに今日は殺さぬが、今後その名を出すことは許さぬ」「失言でした…しかし組む以上、弱点があってはならない、同じ船に乗る者同士、信頼が大切では?」すると陳恭の殺気が消え、腹が減ったと言った。陳恭は食事を済ませ、次の標的が馮膺(フウヨウ)だと示唆した。恐らく李厳は楊儀(ヨウギ)の復職と引き換えに馮膺を残すはず、しかし馮膺が死なねば青萍(セイヒョウ)計画はついえる。「極端な手を使うやもしれぬ、準備を整えろ」「覚悟はできているわ」すると陳恭は次の連絡を待つよう伝え、席を立った。青萍計画の本当の目的は連弩(レンド)の設計図ではなく、真の燭龍を敵の上層部へ送り込むことだった。しかし郭剛(カクゴウ)は叔父から陳恭が燭龍だと聞いてもにわかに信じられない。陳恭が己の使命に背き、西蜀を裏切って大魏につくだろうか。実は郭淮は陳恭が潜入した当初から西蜀の間諜だと気づいていた。そこで陳恭をわざと侍衛長に昇進させ、初めて情報を盗んだ時に現場を取り押さえたという。「お前を長安で学ばせているのは罰ではない、知って欲しいのだ 最も落としがたいのは人の心だと、だが最強の武器となるのもまた人の心なのだ」正確には陳恭は裏切ったと言うより、裏切りを憎悪していた。郭剛もそんな陳恭の律儀さを知っており、だからこそ天水(テンスイ)で疑ったことなどなかったという。すると郭淮はそのこだわりこそが弱点になったと言った。「奴に馮膺との取り引きの記録を見せた」郭淮はかつて馮膺と情報を取り引きしていた。もちろん機密に関する情報ではなく、ある種の取り引きは互いの出世に役に立つ。つまり密偵の命だ。郭剛は憤慨、陳恭も当然、受け入れられるはずがない。すると郭淮は諜報というものを徐々に理解すればいいとなだめた。「よいか、この世には正義も悪もなく、天はかくも非情だ」10年前、当時、漢中を守っていた夏侯淵(カコウエン)は劉備(リュウビ)率いる10万の兵と対峙した。郭淮は夏侯淵を助けるため囲魏救趙(イギキュウチョウ)の計を思いつく。そこで秘密裏に西蜀の馬秦(バシン)・高勝(コウショウ)を説いて挙兵させ、資中(シチュウ)県を包囲させた。実は資中県の情報を郭淮に渡したのが馮膺だという。李厳はほぼ全軍を失った。しかし危機に立ち向かったのは李厳ではなく、影武者の陳黻(チンフツ)だったという。…陳恭は馮膺が情報を漏洩したせいで父が命を落としたと知ったしかも郭淮から情報を得る見返りに密偵を差し出していたという陳恭は呆然としていたが、郭淮は証拠となる取り引きの一覧を示した『司聞曹の状況と一致するか確かめてみろ』『…馮膺は建威(ケンイ)の王善人(オウゼンニン)まで売ったのですか?』王善人と言えば家は裕福で3代も曹魏の官職を務めていた馮膺の情報がなければ西蜀の密偵だと気づかなかっただろう結局、王善人は一族皆殺しとなり、江湖の仇打ちに遭ったと処理された陳恭は父の仇討ちを決意、指示を仰いだすると郭淮は3年は動かなくて良いという馮膺の目を欺くため任務をこなし、司聞曹で手柄を上げて馮膺に尽くせというのだ『予感がするのだ、お前は間諜というものを根底から変えられる男だと… 私の使命はお前をそのように育てることだ』しかし陳恭の才は郭淮の予想をはるかに超えていた…郭剛は叔父の計画に敬服した。しかし何も知らなかった自分を哀れみ、今後は欺かないで欲しいと懇願する。郭淮は言える時機ではなかったとなだめ、街亭(ガイテイ)の事案が西蜀を大きく揺るがした後、陳恭に2つ目の指令を出したと教えた。「″帰国せよ″と…」「つまりそれが青萍計画の本当の始まりだったのですね」「そうだ」南鄭(ナンテイ)では荀詡(ジュンク)が日々、歩く練習を重ねていた。一方、馮膺には朗報が届く。陰輯(インシュウ)の報告によれば丞相が楊儀復帰の条件として馮膺の免責を許し、李厳も応じたという。俸禄1年分の剥奪だけで済んだ馮膺は幸運を喜んだが、まだ微妙な状況なのは事実、そこで陰輯に高堂秉の件を注視するよう頼んだ。「扱いを誤れば別の災いを招く…例えばお前は高堂秉と仲が良かったな?」実は陳恭を国外へ行かせたのは友の荀詡と離すためだったという。「今は司聞曹内部で揉め事は起こせぬ」皇帝が北伐を許した。不満げな李厳だったが、朝議の後、単独で参内せよと勅が下る。狐忠(コチュウ)は馬車をひと回りさせてから皇宮の北門へ向かい、李厳は偏殿で知らせを待った。すると祈祷中の皇帝に代わり太監が密勅を届けにやって来る。「先帝が崩御の際、つけていた玉帯を陛下より授けます ″生姜と酢″をすする思いで耐え、陛下を支えて漢の復興を頓挫させぬように…」役所に戻った李厳は早速、先帝の玉帯を念入りに調べた。一見すると何も分からなかったが、帯を切り開いてみると小さく折りたたんだ紙が出て来る。しかし紙には何も書かれていなかった。その時、李厳はふと太監の言葉を思い出し、生姜水と酢を混ぜた汁を紙に塗ってみる。すると驚いたことに文字が浮き上がった。…朕は即位した後、諸葛亮(ショカツリョウ)を武郷(ブキョウ)侯に任じ、益州を任せ、朝廷での決定権を与えた、だがいまだ天下は不穏で朕は安心できぬ、しかも諸葛亮は専横を極め重大事案も上奏せず、皇太后も罪を問いたがっている、さらに諸葛亮は張飛(チョウヒ)の娘を勝手に皇后に立てた、献帝に対する曹操(ソウソウ)さえこうも酷くはなかった、先帝いわく″諸葛亮には曹丕(ソウヒ)の10倍の才がある、朕に価値なくば諸葛亮が国を奪え″と言ったが、その言葉は先帝の疑念を表す…荀詡が取り調べにやって来た。しかし高堂秉は2つの条件を呑まない限り話さないという。荀詡は仕方なく谷正(コクセイ)の件を後回しにし、設計図を盗み出したとしても定軍山からどうやって脱出つもりだったのか聞いた。「それなら話せる、軍謀司は朝廷の掟により漢中の兵糧と輸送を点検している こたび武都に兵糧を運ぶこととなり、成藩(セイハン)校尉が責任者だった」山を封鎖しても全ての輸送車を調べるのは不可能、高堂秉は設計図を兵糧の中に隠すつもりだったという。そこで高堂秉は話せることなら全て話したと訴え、肝心な話を聞きたいなら赦免が先だと言った。すると荀詡はそこで切り上げることにする。「安心しろ、私はそんな取り引きには応じない…殺された翟悦のためにも決してお前を許さぬ あと1日やろう、話すかどうかは任せる、ただし口を割らなければ生き地獄が待っていると思え」南鄭への道中、狐忠は将軍の内弟子である陳恭が戻った今、馮膺と楊儀の交換は割に合わないと訝しんだ。しかし李厳は一極集中を嫌い、忠誠心のある陳恭と経験がある馮膺2人を抱えてこそ安定するという。すると急に馬車が止まった。「司聞曹の馮膺がいます」馮膺は命の恩人である李厳の帰りを平伏して待っていた。そこで李厳が柳瑩と気兼ねなく過ごせるよう、贅を凝らした別宅に案内する。「ここは周囲5里が司聞曹の土地なので静かで安全です」「馮曹掾(ソウエン)がそこまで言うなら…なあ?」荀詡は陳恭に訓練の成果を見せた。陳恭は足の回復ぶりに驚きながら、実は陰輯に頼んで高堂秉に会ったと伝える。「尋問では私情を挟まず冷静になれ、いっそ私に任せるか?」荀詡は陳恭が本気なのか冗談なのか分からなかった。つづく※囲魏救趙=魏を囲んで趙を救う兵法のひとつ、敵を一箇所に集中させず奔走させて疲れさせてから撃破する戦略のこと
2022.11.18
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第14話「私の選び方」殉職した驊(カ)県県令は二等関内侯に追封され、多くの民に見守れながら出棺した。楼垚(ロウヤオ)は程少商(チォンシャオシャン)と一緒に県令を見送りながら、自分も家門を汚さぬ父母官を目指し、2度と家族を失う子を生まないと誓う。少商も両親が自分を捨てたのではなく、民を守るために出征したと理解し、母に対する思いも変化していた。そんな2人の様子を詔書を届けにきた凌不疑(リンブーイー)が複雑な面持ちで眺めている。一方、師匠に同行した袁慎(ユエンシェン)も横道からこっそり少商を見つめていた。するといつの間にか師匠の姿がない。皇甫儀(ホワンフーイー)は夫に寄り添う桑舜華(サンシュンホワ)の姿を見て居たたまれなくなり、結局、2度と会うまいと決めて帰ることにした。そんな中、何とか生き長らえていた県令の孫娘が少商と楼垚に看取られ亡くなった。…私が持っている幸運を阿姉にあげる、きっと幸せになれる…少商は雨の中、孫娘の墓前で笛を吹いた。すると楼垚が駆けつけ、傘を差し出す。結局、阿妙(アーミャオ)も県令も助けられず、孫娘の命も守れなかったと嘆く少商。「両手を血に染めている人たちが憎い…でも私に何ができるというの?!私は非力だわ」しかし楼垚は民を奮起させ、町を立て直した少商を非力だとは思わないと励ました。何より少商に最も影響を受けた楼垚は、外地での仕官が叶った暁には少商と共に太平の地を築きたいという。「少商、君を敬慕している…これからは己の足で立ち、弱々しい自分を捨てるよ」少商と楼垚は同じ志を持つ者同士、互いに信頼し合い、同じ道を歩もうと約束した。「過去や是非は問わない、肩を並べて進むんだ」「はお」凌不疑は少商を探して程家の墓に向かった。しかしそこで思いがけず少商と楼垚の誓いを聞いてしまう。結局、不疑は引き返し、そのまま驊県をあとにした。「彼女も私に会いたがらないだろう、殺戮に明け暮れる者にはな… この両手は血で染まっている」。・゜・(ノД`)・゜・。ウーレイが失恋なんて…楼垚は早速、県丞夫婦に少商との縁談を申し込んだ。程止(チォンジー)はさすがに時期尚早だと困惑したが、楼垚はすでに兄に文を送り、母の代理を頼んだという。(; ̄▽ ̄)<普段と違って手際がよいな…すると知らせを聞いた程始(チォンシー)が馬を駆けて驊県へ駆けつけた。程始は娘の無事な姿を見て安堵した。すでに都で楼太傅と話はついていたが、まずは娘婿がどんな郎君なのか気になる。そこで程始は楼垚と2人きりで話すことにした。正直なところ程氏が名家の河東(カトウ)楼氏と釣り合うとは思えない。しかし思いがけず楼垚は少商の良さを理解している好青年だった。「夫婦になれたら私の幸であり、楼氏の幸です!」「見る目があるな!」夫からの知らせを読んだ程伯夫人・蕭元漪(シャオユエンイー)は怒り心頭だった。自分の意見を聞くと言いながらまるで事後報告、すでに曲陵(キョクリョウ)侯府には楼家から聘礼(ヘイレイ)の品が届いている。「母である私には文だけで終わり?!だいたい楼垚は二房の息子よ?!」楼氏一族は大房が強く、楼垚の父も早逝していた。夫は大房の楼太傅が楼垚の父代わりとでも思って話をつけたのだろうか。「二房がどんな立場か考えなかったのかしら?どこが良い縁談よ!」相変わらず手厳しい蕭元漪、しかし実は楼家が虎狼の巣だと知っていた。程老夫人は楼家から届いた聘礼品に大喜び、早速、金のかんざしを挿せるだけ挿してみた。すると蕭元漪が現れ、この縁談に反対なので全て送り返すという。老夫人は激怒、意地でも聘礼を返すものかと箱の上に座り込んで抵抗した。しかし蕭元漪の命令で武婢たちに羽交い締めにされ、部屋に連れて行かれてしまう。↓老太太wwwww少商は三叔母から母まで驊県に来ると聞いて度胆を抜かれた。すると舜華は本当に楼垚の求婚に応えるつもりなのかと心配する。「もっと良い人がいると考えたことはない?」「私は一番を選んだことはない、その時に合うものを選ぶの」一方、凌不疑の追撃で捕まった樊昌(ファンチャン)は自供し、死を以って謝罪したいと血書を書いた。かつては皇帝と共に敵を陥落させた樊昌、それがまさか十数年に反逆するとは皇帝も衝撃を隠しきれない。結局、情が厚い皇帝は再度、機会を与えようとしたが、凌不疑は反対した。「樊昌が家族を隠してもいないのは、暗殺に出ても一族皆殺しを恐れなかったからだ つまりこたびの暗殺が成功して朝廷が混乱し、責を逃れられると踏んだ 最初から策を講じていたのです」不疑は樊昌を都へ護送し、必ず黒幕を捕らえると進言したが、皇帝はそれよりまず傷を治せと叱った。「戦いや拷問ばかりでは娶った妻を震えさせるぞ?」すると供述書を届けた紀(ジー)大人が凌将軍も慶事かと聞いた。「何?他家にも慶事があるのか?」「楼家二房の二公子です、程娘子を追って驊県へ行き、その美談は県中に伝わりました 程将軍と楼太傅はすでに縁談を決め、聘礼を届けたとか…」皇帝は子晟(ズーション)が難しい顔をしている理由を知った。そこで子晟が下がったあと、紀大人に程始には何人、娘がいるのか尋ねる。「1人だけです」「なぜ1人なのだ!程始、使えぬヤツめ!」蕭元漪は驊県見庭に到着、するとちょうど中庭にいた少商と楼垚に噛みついた。「楼公子、どうか伯父上と母上に縁談を断るよう伝えてください これもあなたと少商のためです …今後は楼公子との仲を疑われぬよう、会うことは禁じます!」一方的にまくし立てられる少商と楼垚、仕方なく程始はひとまず楼垚を帰したが、蕭元漪の怒りは収まらない。「将軍、やってくれたわね?!」「…阿母が嫌いなのは阿垚?それとも私?なぜ邪魔するんです?」「私の娘でなければ自由に嫁いで結構!」少商は今回の生死を経て、少しは母との距離が近づいたと思っていた。しかし結局、母は何も変わらない。その夜、少商は部屋を抜け出し、こっそり楼垚と会った。「阿母はあなたを責めているわけじゃないの、私を許せないだけ、誰に嫁ごうと同じ態度よ」しかし運悪くちょうど三叔母と回廊を歩いてきた母に見つかってしまう。楼垚は自分が軽率だったと程夫人に謝罪、少商に母親と良く話し合うよう言い聞かせて帰った。桑舜華は嫋嫋(ニャオニャオ)を必死にかばった。驊県への道中では命も危うかったが、嫋嫋のおかげで生き延びることができたという。さらに嫋嫋は町の再興を助け、家を建て直したり、農具まで改造していた。しかし蕭元漪は娘の功績を認めず、運が良かったに過ぎないという。「三叔母、無駄です、阿母の目には堂姉だけ、私の小手先など認めやしません でもなぜ嫁ぐなと強いるのですか?」「嫁ぐなとは言ってない、嫁ぐ時期と相手を考えて…」「では堂姉でもこれほど反対しますか?」「姎姎(ヤンヤン)ほど心配をかけなければ反対はしないわ!」「私がいつ心配をかけましたか?!…いえ、阿母にとって私に心配する価値がありますか?」驚いた蕭元漪はならば楼垚に本当の情があるのかと聞いた。2人の馴れ初めは舜華の文で知ったが、とても夫婦の持つべき真の情とは程遠いという。少商は夫婦の情と言っても千差万別、相棒のように手を携えて生きるのもまた情だと言い返した。「何も分かっていないくせに!」「いつもそれですね、何も分かっていない… 確かに私は無知です、躾けられなかったのですから 娘を捨てておきながら、今頃、戻ってきて躾ける資格があるとでも?」「はお、では見せてもらう、あの楼垚とどうやって人生を歩むのか!」 つづく( ತ _ತ)あ___せっかく楽しかったのに、ママンのキンキン声を聞いていると滅入るわ___というか娘が戦に巻き込まれたのに、全然、心配するシーンがはないことに驚くw
2023.07.29
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第25話)第52話「歳月を経て」15年前の孤城陥落の真実と凌不疑(リンブーイー)の出自が明らかとなり、大きな節目を迎えた宮中。文(ウェン)帝は宣神諳(シュエンシェンアン)の希望を叶え廃后とし、皇太子も降格となった。これで越姮(ユエホン)が皇后に冊封されれば、三皇子は滞りなく東宮へ入れるだろう。一方、程少商(チォンシャオシャン)は恩人である宣皇后に終生、付き添うと決めて長秋宮へ戻った。淡々と流れていく歳月、その頃、北西に駐留する霍不疑(フォブーイー)は再び殺戮に明け暮れていた。しかし今でもその右腕には少商の弦がある…。そんなある日、少商は父からの書簡を受け取った。程家で慶事があり、二兄・程頌児(チォンソンアル)と万萋萋(ワンチーチー)、堂姉・程姎(チォンヤン)と班嘉(バンジア)、そして使用人の蓮房(リエンファン)と符登(フードン)、さらに姎姎の父で二叔父・程承(チォンチョン)と青蓯(チンツォン)が成婚したという。やがて二兄夫妻は双子に恵まれた。長秋宮でも嫁ぐ五公主を送り出し、穏やかな日々が続く。こうして5年が経った。正月の夜は雪となった。宣皇后は今年も家に帰らない少商を心配したが、少商の話では程家でそれぞれの夫婦に子が生まれ、自分が戻っても座る場所さえないという。すると宣皇后は新年の願い事で少商が良人と出会い、嫁いで子を産む姿が見たいと言った。しかし少商は一生、嫁ぐつもりはないという。「まだ吹っ切れないの?」「いいえ、ただ許せないだけ…縁が切れて別れたのです、もう有り得ません」宣皇后は少商と子晟(ズーション)の復縁を願っていたが、やはり少商は簡単に自分を曲げることはない。「ではこう願うわ、私の死後、あなたの余生に同伴がいるようにと…」「縁起でもない…」「少五が嫁いで行った今、1番の心残りがあなたなの…あ、見て、こんなに雪が降って来たわ」宣皇后は寝殿に入ることにしたが、その時、ついに倒れてしまう。孫(スン)医官は宣皇后の余命を早くて1ヶ月、長くても春までと診断した。しかし頑なに皇帝と越皇后の見舞いを拒み、長秋宮を明け渡したいと申し出る。「本来なら東海(トウカイ)王と属地に移り、東海太后と名乗るべきだと…」少商は越皇后に長秋宮を返したい旨を伝えたが、越皇后は住み慣れた永楽(エイラク)宮を移動したくないと断った。「呼び名も変えなくていい、これ以上、蒸し返すことがあれば私を不快にさせるだけよ」「越皇后に感謝します」 袁慎(ユエンシェン)が回廊で待っていると少商がやって来た。この5年、袁慎は宮中に留まる少商に付き添って縁談を全て断って来たが、待っていた甲斐はあったのだろうか。「少商、宣皇后も望んでいる、伴侶を持つ気はないか?ならば私を選べ 家柄も合うし、互いに伴侶が必要だ、いっそ宣皇后を安心させるため一芝居、打つのはどうだ」「袁善見(シャンジエン)、あなたの想いには応えられない」「少商、そなたの縁談が潰れてばかりなのは目先が利かぬからだ 私は両親からも放任されて育った、自由を望むなら都で私ほど自由な者がいるか? 我らこそ最適なのに私の望みに応えられぬと?」袁慎は互いに生まれながら誰にも関心を持たれず、病友であり盟友でもあると訴えた。利が一致すれば互いに信頼し合い、裏切ることはないという。「私は某人より自分を大切にするし、危険にも近寄らぬ、ゆえに私の方が最適だ」病床の宣皇后が薬を飲んでいると、少商が戻って来た。何やら考え事をしているのか、衝立て越しでも上の空だと分かる。実は皇帝は余命わずかとなった宣皇后のため、北西にいる霍不疑を呼び戻していた。…近いうちに到着する…複雑な面持ちで寝殿に入った少商、確かに宣皇后の言う通り、わだかまりに捉われていては更なる苦しみに陥ってしまうだろう。…過去は過ぎ去るもの、今と将来を大切にして、そのためにはわだかまりを突き破る必要がある…少商は袁慎に自分の心に″彼″がいても娶るのか聞いていた。…待つよ、そなたが奴を忘れるまで待ち続ける、いつか振り向いてくれるまで…「皇后、皇宮を出る許可をください、袁善見と婚約しようと思います」霍不疑が5年ぶりに宮中へ戻った。ますます義兄に似て来た子晟の姿に思わず目が潤む皇帝、しかし軍装でも生傷が絶えない身体だと察しがつく。「なぜ1番の精鋭を都に残したのだ?皇宮を出られない少商には必要ないであろう?」不疑は梁邱起(リャンチゥチー)を少商の護衛のために残し、梁邱飛(リャンチゥフェイ)だけをそばに置いていた。邱飛の報告では5年前、王(ワン)将軍が戾(レイ)帝の残党に襲われ、若主公が救出に向かうも敵は死士、多勢に無勢で負傷したという。「袁善見の父親が兵を率いたはずだが?」「分かりません、そして2年も経たぬうちに若主公は蜀へ討伐に行きました その時、襲撃に遭った程頌(チョンソン)将軍を…」「もういい」不疑は邱飛の話を遮ったが、皇帝は凱旋した程頌が褒美をもらいに来ない理由が分かった。「少商は知っているのか?…もしや兄を助ければ復縁できると期待したのか?」「…私は過ちを犯しました、少商の許しなど求めるはずがありません 少商に知られたら、かえってもっと疎まれてしまうでしょう」皇帝は子晟に下心がないと知って安堵し、今後は度田令を監督している皇太子を補佐して欲しいという。実は少商は5年ぶりに皇宮を出ていた。袁善見との縁談を進めるためで、近々、成婚するという。「お前はどうする?崔祐(ツイヨウ)さえ正室の座は空けて妾を取ると決めたぞ?」「皇父、ご心配には及ばぬかと…」皇太子は北西の軍営で駱済通(ルオジートン)が献身的に子晟の面倒を見ていたらしいと伝えた。噂では駱済通が都へ戻って子晟と成婚すると宣言しているという。しかし不疑は憤慨、成婚などあり得ないと否定した。霍不疑は阿飛と宮中を後にした。これから直ちに霍氏の墓と祠堂を修繕し、妻は娶らず子もなさぬと祖先に報告するという。(´ ・ω・)<若主公~それってどうみても吹っ切れてないっていうか~するとちょうど外出していた袁慎たちが城門に入って来た。袁慎は馬を降りて少商を馬車から降ろしたが、その時、2人は子晟の姿に気づいて呆然となる。しばし見つめ合ったまま立ちすくむ少商と不疑、袁慎はただ黙って待つほかなかった。霍不疑は意を決して少商に向かって歩き始めた。すると少商はどう接したら良いのか分からず、咄嗟に袁慎の馬に飛び乗ってしまう。その時、不疑がまたがった少商の足を支え、大事そうにあぶみに乗せた。まるで第9話で初めて馬にまたがった少商の足をあぶみの中に通してくれた時のように…。「感謝します、霍将軍…でももう昔の程少商ではない、あぶみがなくても乗れる」少商は馬を駆けて去って行った。安堵した袁慎だったが、霍将軍が戻ったからには少商を諦めないつもりだと疑う。「少商の中で私はお前に及ばぬ、しかし少商の性分ならお前を選ぶとは限らない」しかし不疑は黙ったまま拝礼して帰って行った。北西の賈(ジア)家に嫁いだ駱済通が長秋宮に挨拶にやって来た。宣皇后と少商は都に戻った駱済通を歓迎したが、どこか言葉の端々に棘がある。「あなたは幸運ね、私なんて不遇の身… 夫が重病で四六時中、世話ばかり、再嫁を狙っていると陰口まで叩かれたわ だから私も意地になって夫の死後も賈家の君舅君姑に奉仕した でも子晟にも前を向けと言われたの 厳しい人だけれど私には寛容で、私だけ天幕に入らせ、酒や食事を届けさせた その後、天幕に入れなくなったけれど、私に苦労させないためね」駱済通は恐らく子晟が都で求婚してくれると自慢したが、宣皇后も少商も当てつけだと分かった。「…皇后が病となり吉事に水を差しましたね?」「いいえ、そういう意味では…」「分かっています、皇后が在位中は駱家を何度も庇護してきました 恩人の前で恨み言など言えるはずない、もし本音なら畜生も同然です」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)がやって来た。「駱娘子、早く実家へ戻らないと…先ほど実家から連絡がありました 霍将軍が2台分の嫁荷に加え、巨大な銅鏡を届けて長老に命じたそうです ″駱娘子の嫁ぎ先をすぐ探すように″と…」「銅鏡?鏡とはね…」少商は思わず失笑した。翌日、霍不疑が屋敷へ戻ると駱済通が待っていた。駱済通は北西で連れ合った自分への仕打ちに憤ったが、不疑は確かにかつて連れ合いがいたことはあったという。あの時、駱済通は負傷した子晟の意識がないのを良い事に勝手に介抱していた。結局、すぐ軍営から追い出されたが、駱済通は外に住み着き、再び忍び込んで洗濯をしたという。「私は顔も見ていない 都へ戻る時も軍の後ろを追って来たそなたとは話もしていないぞ? それのどこが連れ合いだ?」「でも3年前、天幕にも入れてもらえなかった私が今はこうして顔を見てもらえます」駱済通は妾でも構わないと食い下がった。すると不疑が馬から降りて来る。実は不疑はとうに気づいていた。駱済通の亡夫・賈七郎(ジアチーラン)は病弱だったが、20歳の若さで死ぬほどの病ではない。「お前が謀って殺したな?その方法は言うまでもない」子晟が北西に駐留すると知った駱済通は夫の薬湯に毒を盛っていた。「…程少商のため?だから私を拒むの?」「程少商がいなくてもお前に情はなかった」つづく(ˇ꒳ˇ *)今回もいい話だったわ〜でもここにきてラクダさんが闇堕ち?せっかくしみじみしてたのにな〜
2023.12.09
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第28話)第55話「肩を並べる時」楼縭(ローリー)は程少商(チォンシャオシャン)に協力を頼み、産気づいた何昭君(ハージャオジュン)を連れてなぜか廟に案内した。違和感を感じて殿内を見回す少商、するとふと安置された神像に目が留まる。その時、楼縭が隠し持っていた短剣を取り出し、突然、少商に襲いかかった。「程少商!あなたが従兄を自害に追い込み楼家は没落した、命をもらう!」少商は間一髪で楼縭の腕をつかみ助かったが、そのまま揉み合いとなった。「何昭君!神像を調べて!隠し扉があるかも!」少商の予想通り何昭君が神像を動かすと後ろの壁が開いた。少商は楼縭の足を思い切り踏みつけ、楼縭が怯んだ隙に何昭君と一緒に密室へ逃げ込んだ。すると思いがけず鉄鎖で拘束された傷だらけの袁慎(ユエンシェン)を発見する。度田令の推進中だった袁慎は油の買い占めに気づき、巡察中の皇太子が通過する郭(カク)村に貯蔵されていると突き止めた。そこで急いで知らせに向かうはずが、途中で戻(レイ)帝の残党に捕まってしまったという。少商はともかく袁慎を解放するため鍵を解錠することにしたが、袁慎は無駄だと止めた。「最も難解な連環鎖(レンカンサ)だ、解けやしない、早く逃げろ、私のために命を捨てるな」「この天下に私の解けない仕掛けはない、だから黙っていて」ちょうどその頃、外套を目深にかぶった女が廟に入って来た。楼縭は復讐を果たせなかったが、女は少商を誘い込めただけで上出来だと労う。「でも全てやり遂げてくれたのならもう用なしね…」女はいきなり楼縭の腹を刺した。「霍不疑(フォブーイー)と程少商以上に楼大房が憎い…あの世で父や母と再会するが良いわ」「阿父と阿母を殺したのは…あなた…」楼縭はようやく両親の敵に気づいたが、そこで事切れた。霍不疑一行は急遽、驊(カ)県に入った。一見、穏やかに見える城内、すると民に成りすましていた残党がいきなり襲いかかり、不疑を配下から引き離して孤立させてしまう。その頃、少商は解錠に成功し、何昭君と袁慎を連れて密室から脱出しようとしていた。しかし突然、床が開いて地下室へ落下してしまう。袁慎は自分に構わず逃げろと言ったが、天井が閉まる寸前に誰かが飛び降りて来た。「少商?!無事か?!」「なぜあなたがここに?」不疑は巡察中に異常を察知、驊県に駆けつけたところ戻帝の残党に県庭へ追い込まれたという。「ここに私を誘い込んだのは私の一番、大切な者が罠にかかったからだ」「罠だと知りながら飛び込むなんて…救援を求めてから敵を討てばいいのに!」「失ってからでは敵討ちに意味はない…生きていることが重要なんだ」その時、楼縭を殺した女が現れた。「餌には釣られないと思ったのに…ふっ、情愛にどっぷり浸かると英雄も愚鈍になるのね」少商は女の声で行方知れずとなった王延姫(ワンイエンジー)だと分かった。王延姫は面紗を外して正体を明かした。「今日、お前たちには私が作った墓場で死んでもらう 川で救われたあの瞬間から敵討ちを誓った、やっと果たせる…」地下室には楼犇(ロウベン)の位牌が安置され、床には藁が敷き詰められていた。どうやら王延姫は不疑だけでなく少商たちまで道連れにして死ぬつもりらしい。「少商、楼家で良くしてあげたのに、どうして夫を追い詰めたの? 袁慎、お前は知り過ぎたわ、計画を阻止する者は殺すしかない」少商は自分たちを逆恨みする気持ちは分かったが、身重の何昭君は無関係だと憤る。しかし王延姫は楼垚(ロウヤオ)を自由にするためだと言った。「楼垚は彼女を愛していない、無理やり娶らされたの、夫は死ぬ間際まで弟を案じていたわ 義姉として助けてやらなくては…子なら別の女が産む」その頃、楼垚は楼縭に騙されたとも知らず、従者と清(セイ)県にいた。産婆は夫の実家へ戻ったと聞いて訪ねてみたが見当たらず、従者は楼縭の勘違いではないかという。仕方なく楼垚は激しい雨の中、片っ端から医師をあたり、ようやく対応してくれた医師をなかば強引に連れ出した。夫の後を追って入水した王延姫を救ったのは田朔(ティエンシュオ)だった。復讐のため賊に寝返った王延姫、すでに皇太子が訪ねる郭村の道中にも油を撒いたという。「妻より野心を選んだ男だ、そんな者のために命を懸ける価値があるのか?」「あなたこそ少商より痛快に報復することを選んだくせに」「凌益(リンイー)を殺した後、少商を一目見て後悔した、夫婦は同心で肩を並べるべきだと… この5年、後悔しない日はない、復讐が難しくとも成婚すべきだった 共に明るい道を歩むべきだった」不疑の言葉を聞いた王延姫は夫もこうして悔い改めてくれたらと思うとやるせなくなった。「あなた…どうして私だけ置いていったの?」すると少商が楼犇も後悔していたと明かした。楼犇は少商に地形図を贈る際、窮地の時は心を縛られず天地を見いだせるようにと戒めたという。「その言葉をあなたに送るわ」しかしもはや夫の言葉も心に響かず、王延姫はついに火を放ってしまう。王延姫は積み上げておいた油を次々に倒し、地下室はあっという間に激しい炎に包まれた。すると王延姫は自ら煙に巻かれて倒れてしまう。その時、黒甲衛が駆けつけ、天井をこじ開けた。「若主公!」梁邱起(リャンチゥチー)は縄梯子を下ろし、身重の何昭君と負傷した袁慎を次々と引っ張り上げる。そして2人に続いて少商も無事に脱出、登ってくる不疑に手を伸ばしたが、突然、不疑の足に王延姫がしがみついて邪魔した。「…連れて行け、彼女を連れて行くんだ!」少商を守るため苦渋の決断を下した不疑。梁邱起は涙をのんで少商を床から引き離すと、ついに黒甲衛も力尽き、床は再び固く閉ざされてしまう。「子晟!子晟nnnnnnnnnnnnnnnn!」梁邱飛は少商を密室から逃がし、仲間たちも一斉に避難した。その時、地下室が爆発、少商たちは吹き飛ばされながらも九死に一生を得る。しかし不疑は…。少商は絶望の中、頑なだった自分を責めた。「子晟、後悔しているのでしょう?私の手を離さないと言ったのに! 私を散々つらい目に遭わせたから、この先はずっと私に尽くすのでしょう? 分かった、もう許すわ、だから返事をして、お願いよ!」不疑を失った悲しみに耐えられず絶叫しながら泣き崩れる少商、しかし、うなだれていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が物音に気づいて門を見た。「若主公…」霍不疑は生きていた。不疑は王延姫が中へ入れたのなら出られると判断、激しい煙の中で抜け道を探し当て、はい出したという。「少商…私を許してくれるのか?撤回しないでくれ」少商と不疑は硬く抱き合い、5年間のわだかまりが溶けて行くのが分かった。その時、ようやく清県から戻った楼垚が飛び込んで来る。「昭君!私と連れ添うと約束しただろう?共に子を育てると…約束を破ってはダメだ?!」崩れた密室の前で呆然となる楼垚、しかし何昭君は無事だった。「…楼垚?私ならここよ」「(はっ!)良かった!」楼垚は妻の手を握りしめ涙を流し、何昭君も楼垚の心に自分がいると分かって安堵した。田朔の陰謀を阻止するため、霍不疑と少商は共に立ち上がった。しかし不疑は道中の皇太子の元へ、少商は郭村で民を守ることになる。「少商、危険な任務になるぞ?」「大勢の民や天下に比べたら私たちの愛憎なんて微々たるものよ」「少商、君は唯一、私と肩を並べる者だ」こうして2人は県庭の前で別れた。郭村を目指してた皇太子一行の前に田朔が立ちふさがった。「三皇子、息災のようだな?」皇太子は今度こそ田朔を捕えようと意気込んだが、その時、伏兵が現れ、包囲されてしまう。劣勢を強いられた皇太子は自ら剣を抜き応戦するも負傷、満身創痍で田朔と対峙した。「国の後継者として死ぬのは戦場のみ…決して退かぬ!」「では主公に代わり正義の鉄槌を下す!」しかし危機一髪のところで霍不疑が駆けつけ、皇太子を守った。「霍不疑?!生きていたのか!王延姫の役立たずめが!」田朔は計画が失敗したと気づいて悪態をついたが…。つづく( ̄▽ ̄;)ちょっと田朔の声www最終話が不安になって来たw
2024.01.03
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