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月升沧海 Love Like the Galaxy(第29話)最終話「輝く星河の下」程少商(チォンシャオシャン)は梁邱起(リャンチゥチー)たちと郭(カク)村に入った。郭村は天下の食糧庫、1年の生産でいくつもの都城を養うことができる。少商は貯蔵された油を回収して水源を探すよう命じたが、ふと王延姫(ワンイエンジー)の言葉が頭をよぎった。…皇太子が訪ねる郭村の道中に油を撒いたわ…少商は火が起これば高所から吹いてくる風に煽られ、村だけに留まらないと気づく。「田朔(ティエンシュオ)は峪(ヨク)州の食糧を焼き尽くし、民を飢えさせて国の根幹を崩すつもりね」その時、突然、村に火矢が飛んできた。一方、霍不疑(フォブーイー)は梁邱飛(リャンチゥフェイ)たちと皇太子を援護し、田朔を追いつめていた。しかし山の向こうから黒い煙が上がるのが見える。「霍不疑、私の術中にハマったな? 郭村には勇者200人がいる、油で広大な田畑を焼けば天下の民は死ぬしかない、ふふ 確か皇帝は仁義に篤いのであろう? 息子を救って民を見捨てたとなれば、衆口にどう向き合うのか見ものだな!」田朔は勝ち誇ったように笑ったが、不疑は郭村なら少商が守ると自信を見せた。驚いた皇太子は再び少商を失えば一生、後悔すると訴えたが、不疑は退こうとしない。「霍不疑…国や民を思う忠良を気取りながら、結局、権貴を選ぶのか?! 文(ウェン)賊に取り入り、無能な太子は救うが自分の女は見殺しか?!この偽善者め!」「少商と約束した、天下を第一に夫婦で肩を並べ戦うと… 少商は知恵と勇気で必ず郭村を守り抜く、私はそう信じている」不疑は田朔に襲いかかり、胸を突き刺した。「グッ…お前の手で死ねたら忠義の名に恥じぬ」「殺せと挑発を?…戻帝が臨終の際、名のある官員や宮人は全て殉死したな お前が生き延びたのは無名の虫ケラに過ぎぬからでは?」「黙れ!忠臣が虫ケラなわけがない!敵討ちのために私を生かしたのだ!」田朔は不疑を出し抜いたつもりだったが、逆に足下を見られ激しく動揺してしまう。「敵討ちを託したか…それとも名を覚えていないだけか?」結局、不疑は止めを刺さず、田朔から剣を引き抜いた。「郭村へ!」その頃、焼き討ちをかけられた郭村では少商や梁邱起たちが身を挺して民を守っていた。じりじりと迫る残党たち、しかし間一髪のところで知らせを受けた程家が駆けつける。「嫋嫋(ニャオニャオ)に指一本、触れるな!」少商が父の声に気づいて振り返ると、激しい煙の合間から両親や兄夫婦たちの姿が見えた。「嫋嫋!阿母が来たわ!」こうして程家は一丸となり郭村の民と田畑を守り抜く。霍不疑は必死に郭村まで馬を駆けたが、到着した時にはすでに戦いが終わっていた。「郭村は無事よ、私たちは勝った…」「勝ったんだな」再会を果たした2人は固く抱き合い、ようやく夫婦一心となった。深傷を負った袁慎(ユエンシェン)は軍営で静養していた。すると幕舎に不疑が現れ、いつまで寝ているのかとしつこく聞いてくる。「私はお前の家の居候か?口うるさいぞ?」「妻を心配させるからだ」袁慎は大事ないと安心させたが、最後に伝えたいことがあった。「私と少商は似ていると思って来たが、間違いだった 両親の影響で私は深い情愛を嫌悪していた 幼心にも誠実すぎる情愛は刃や劇毒も同じだと感じたのだ 前途ある己の足を引っ張り、志を奪ってしまうと… だが少商は違った、だからお前たちは情愛が深いのだな」「…お前が気に食わなかった、だがこの5年、少商が最も辛い時に見守ってくれた だが安心してくれ、もう彼女を辛い目には遭わせない」「どうだかな、さもなくば…」「その心配はない」袁慎は即答する不疑に失笑し、これで少商への想いにけじめをつけた。子晟(ズーション)と少商の復縁は皇帝の耳にも届いた。その夜、皇帝は越(ユエ)皇后と夜空を見上げながら、これも宣神諳(シュエンシェンアン)が静かに2人を見守ってくれたおかげだと感慨深い。一方、軍営でも少商と不疑が満天の星空を見上げていた。「故人は本当に星になるの?」「昔、私もこうして星河を見上げたものだ、父母や兄妹が星に姿を変えて私を見ていないかと… それで分かったんだ、彼らに語りかけていると、声が届いた時には星が瞬く」「…皇后?私です、少商です、聞こえますか?」すると驚いたことにある星が瞬いた。「皇后だ…阿父、阿母、彼女が一生を共にする相手です、見えますか?」不疑が家族に少商を紹介すると、いくつもの星が一斉に輝いた。「皇后は私たちの復縁を望んでいたわ、だからきっと喜んでいるはずよ」不疑は少商の手を取り、愛おしそうに見つめた。すると少商は不疑の手首にある″少商の弦″に目を留め、これを見るたびに胸が熱くなるのを感じたと明かす。「子晟、あなたは情が深く感情豊かで純粋な心を持っている、この天下で一番の郎君だわ あなたとの出会いはこの上ない幸せよ」「少商、君は最も純粋で善良だ、確固たる意志を持ち、この天下で誰より勝る女子だ 君に出会えて私もこの上なく幸せだ」2人は互いの真心を捧げ合い、唇を重ねた。しかしちょうど幕舎から出て来た程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)に見られてしまう。程始は父として何とも複雑な気持ちだったが、愛妻に諌められて目をつぶるしかなかった。「えっへん…霍不疑よ、娘を託したぞ だがうちの嫋嫋に不義理をしたら程家が一丸となって殴り込む」「…ぜひ」その時、程頌(チォンソン)と万萋萋(ワンチーチー)、程少宮(チォンシャオゴン)、程姎(チォンヤン)、青蓯(チンツォン)も天幕から出て来た。曲陵(キョクリョウ)侯府では老夫人が夜空に手を合わせ、天の加護に感謝していた。少宮の手紙によれば大郎と嫁が再び功績をあげ、頌児夫妻まで手柄を立てたという。しかも霍将軍と四娘子はそのまま驊(カ)県で成婚するとあった。「婚約ではない、成婚よ?これで聘礼(ヘイレイ)の品も逃げないわね、ぶははははは~! 孫娘の成婚を阻む度胸のある者はいるかしら?!」実は2人の成婚を阻む者が宮中にいた。「驊県で成婚だと?!だが朕がその場におらぬぞ?!無効だ!絶対に許さぬ! 今すぐ2人を呼び戻せ!都で再度、婚礼をやり直す! あんまりではないか!この日のために長年、苦心して来たのは朕だ!」すると越皇后は呆れ果て、寝殿に戻ってしまう。そんな皇帝の嘆きなど知る由もなく、程家は揃って星河を見上げながら幸せに包まれた。完( ˙꒳˙ )終わった…ここはやはり不疑と少商の復縁てめでたしめでたし~♪と納得すべきでしょうかしかし管理人はそんな多数派の歓喜とは裏腹に…( ˙꒳˙ )え?こんな感じ?管理人的最終話は54となりました追憶のような最後を期待していたので、この安易なまとめ方にちょっと肩透かし途中でまさかの必殺早送りが出そうになりましたが、ここでウマーで駆けるウーレイ登場!ウーレイがコーナー攻める!攻める!wwwなるほど、全てはこの瞬間のためにあったのね! ←いや違うwもう内容はどうでもいい! ←え?wだってウーレイがカッコいいんだもの♡( ˶´꒳`˵ )
2024.01.03
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风起陇西(ふうきろうせい)第二十四計(最終話)「 李(スモモ) 桃に代わりて僵(タオ)る」荀詡(ジュンク)は司聞曹(シブンソウ)の部隊を率いて陳恭(チンキョウ)がいる李厳(リゲン)の別荘へ乗り込んだ。成藩(セイハン)は楊儀(ヨウギ)たちが機密について話し合っていると制したが、興奮した荀詡をこれ以上、止める術がない。その時、楊儀が現れた。「嫌疑人から供述を引き出したところだ、急いで丞相に報告する…では失礼」荀詡は不自由な足を引きずりながら陳恭の元へゆっくり歩いて行った。「なぜだ?…なぜだと聞いている?!」しかし陳恭は何も答えず、むしろどこかほっとしているように見える。「連れて行け!」荀詡は陳恭が連行されるのを見ながら、ふと床に広げられた地図があることに気づいた。一方、李厳は楊儀が成都への道をすべて封鎖したため、陳恭の言葉通り漢城を通るしかなくなった。すると待ち伏せしていた馬岱(バタイ)将軍が立ちふさがる。李厳は先帝に従ってから忠誠を尽くしてきたと嘆いて一度は剣を抜いたが、結局、捨ててしまう。「よかろう、諸葛(ショカツ)に会わせろぉぉぉ!」ひと月後、李厳の事変により諸葛亮(ショカツリョウ)の第二次北伐は曹魏(ソウギ)大将軍・王双(オウソウ)の斬殺、陰平(インペイ)と武都(ブト)の回復で終結し、20万の大軍が粛々と漢中へ撤収した。成都に戻った楊儀は諸葛亮に理路整然と事の顛末を報告、しかし諸葛亮は楊儀が司聞曹を利用して李厳を失脚させたことに憤慨する。楊儀は李厳を排除せねば朝廷に災いが起きると訴えたが、諸葛亮は政争にも限度があり、人には守るべき原則があると戒めた。「…よく考えよ、よく考えるのだ、何をしでかしたのかをな」「お待ちを!丞相!全て漢の復興のためにしたことです!」諸葛亮は李厳と面会した。すると李厳は諸葛亮が楊儀に命じて司聞曹を動かし、自分を死地へ追い込んだと責める。しかし諸葛亮は何も知らなかったと答えた。「確かに不当な手段だ…しかし手段は不当でも結果は正しい こたびの事変は楊儀が仕組んだものだった だが二心あって司聞曹に唆され曹魏と手を組み、東呉の侵略を偽って兵糧を断ったのであろう? そなたは徒党を組んで南征を主張し、蜀漢と東呉の同盟を破ろうとした 国の根本を揺るがしたのだ! そなたを捕えてこそ国は滅亡を免れる、これは国家存亡の危機、我々の私怨は関係ない!」「南征か北伐かは国策の争いだ、おぬしが北伐を断行して曹魏を滅ぼせる保証がどこにある?」「この世に万全の策はない…だが東呉と結べば蜀漢は少なくとも30年、平和を保てる もし東呉との同盟に背き荆襄(ケイジョウ)に侵攻すれば、曹魏は機に乗じ漢中を奪うだろう 敵に挟まれた蜀漢は3年もせずに間違いなく滅亡する! そうなればあの世で先帝に合わせる顔が?!そなたが言う天下の民はよりどころを失うのだ 我ら2人は大漢のために命を懸けて尽くすべき、己の名誉に何の価値があろうか?」李厳は諸葛亮の言葉にがっくり肩を落とし、力なく首を垂れた。↓(゚∀゚ノノ゙8888888888〜荀詡は事変に関わることを禁じられたまま、何の情報もなくひと月が経った。するとようやく楊儀が現れ、陳恭の事案が結審し、斬首の後さらし首が決まったと報告する。荀詡は呆然、どうしても陳恭に会わねばならないと懇願し、面会する機会を得た。大罪人の陳恭は牢の中でも拘束具で自由が利かなかった。「判決が下りた…斬首だ、陽長史が見守る」「そうか…遠路はるばる苦労をかけたな」「なぜだ?…聞かせてみろ」すると陳恭は燭龍となった経緯について明かした。郭淮(カクワイ)は陳恭が機密を盗む現場を押さえながらも咎めず、馮膺(フウヨウ)が父を売ったという証拠を見せたという。「お前も同じ文章を見て私を疑ったのだろう?」陳恭は青萍(セイヒョウ)計画に最適の人材だった。そこで折りよく天水に来た荀詡を騙して協力させ、南鄭に戻ることに成功したという。「南鄭に戻ったら馮膺を殺して李厳を裏切らせ、父を害した奴らを始末するつもりだった…」しかし荀詡は信じられないと言った。荀詡はこの1ヶ月、何度も繰り返し考え、ある結論を導き出していた。「街亭(ガイテイ)の事案を機に郭淮は青萍計画を発動 お前は父君を殺した馮膺に恨みを抱いたことで郭淮の信頼を得た 五仙道へ行く表向きの目的は連弩(レンド)の設計図を盗むこと だが真の目的は高堂秉(コウドウヘイ)と五仙道を犠牲にして馮膺の地位に取って代わることだ まさしく私の協力があったから青萍計画を遂行できた 郭淮は一層、お前を信頼した、だが思いがけぬことに楊儀と馮膺がお前に反間計を授けていた 青萍計画は最初からお前たちが目的を果たすための表看板 本当の目的は李厳を陥れて失脚させることだった、だがここで妨害が入る…それが私だ 郭淮が命じたのだろう、手ずから私を殺せと…曹魏に従う最後の証拠だ だから黄預(コウヨ)は西郷(セイキョウ)関を襲撃した、そうすれば私を誘き出し、殺す機会を作れる そこまでは想定内だったが、困ったことに楊儀も私を殺せと命じた 燭龍について捜査をやめない私が反間計を脅かしていたからだ 私が燭龍の事案を追求すれば李厳の失脚は合理性を疑われてしまう、丞相にも影響が及ぶだろう …確かにこれは憶測だ、だが私は誰よりもお前を理解している!」荀詡はあの日、双方に自分の殺害を迫られた陳恭が同時に林良(リンリョウ)にも矢を射させたと気づいた。林良は裴緒(ハイショ)が隠した自分を監禁、陳恭は任務さえ完遂すれば自分を殺さずに済むと考えたのだろう。しかし負傷した自分が逃げ出し、陳恭の作戦は破綻した。本来は馮膺が死ぬはずだったが陳恭は作戦を変更せざるを得なくなる。「私のせいで己を犠牲にするしかなくなったんだな?!」「…間諜には墓場まで持って行く秘密がある 兄弟同士で殺し合い、夫婦も共に暮らせぬ…そんな日々にはうんざりだ」「私の見立て通りか?…これでは…私がお前を殺したのと変わらぬぅぅぅ…」「考えすぎるな」荀詡は陳恭を死に追いやったのが自分だと知り泣き崩れた。すると陳恭は頼みがあるという。「もう捜査しないでくれ…ここまでにしろ、打ち切りにするんだ…もう終わりだ」…荀詡が別荘に乗り込んできた時、陳恭は楊儀に自ら馮膺の代わりに黒幕になると申し出た『曹掾の罪は全て私に着せてください、そうすれば曹掾は汚名をすすぎ復職できる』楊儀は反対した実は李厳を失脚させた後、陳恭を曹魏の上層部に潜り込ませる仕上げの計画があるしかし確かにこの方法なら誰も巻き込まず、全ての事態に説明がついた…荀詡たちは楊儀と共に陳恭の処刑に立ち会った。すると晴れて無罪となり、復職した馮膺が遅れてやって来る。馮膺は荀詡の隣に立ち、丞相からの任務を伝えた。「東呉へ向かい、建鄴(ケンギョウ)で新たな情報網を作れ」その時、いよいよ処刑の刻限が来た。陳恭は大きく息を吐いて執行台に身体を預けると、最後に荀詡へ笑顔を見せる。「…ひとつ頼みがあります」荀詡は馮膺に陳恭と翟悦を同じ墓へ埋葬するよう頼んだ。その時、ついに執行人が剣を振り下ろす。次に処刑場に向かっていたのは狐忠(コチュウ)だった。馮膺が司聞曹に戻ると、部屋を掃除していた孫令(ソンレイ)が出迎えた。「姐夫(ジェフー)…」一方、郭淮は陳恭が処刑されたと報告を受け、計画が全て台無しになったと知り茫然自失となる。また無事に南鄭から離れた柳瑩(リュウエイ)は荀詡と陳恭それぞれからもらった二つの令牌を眺めながら、物思いにふけっていた。荀詡は東呉へ発つ前、翟悦と陳恭の墓に寄った。…阿妹翟悦の墓…妹夫 の墓大罪人として死んだ陳恭の名前はなかったが、馮膺は約束通り夫婦を同じ墓で眠らせ、木碑を建てている。荀詡は献杯して立ち上がると、ふと翟悦と陳恭が仲良く手を繋いで旅立つ姿が見えた。荀詡は林良と一緒に水路で東呉へ向かった。「風が強いゆえ中で休んでは?」「いや構わない」すると林良は陳恭からの言づてを明かすことにした。陳恭は荀詡がひと月後も葛藤しているようなら真実を伝えるよう頼んでいたという。実は荀詡が穴蔵から脱出することは陳恭の思惑通りだった。穴蔵に茶碗を残したのも火打ち石を落としたのも、全て陳恭の指示だったという。陳恭は始めから抜け道がある穴蔵を見つけ、荀詡なら必ず見つけ出すと分かっていた。翟悦を死なせてから陳恭は己を責め、その時から死を求め出したという。この暮らしにへき易していた陳恭は燭龍を捕らえた後、翟悦と隠居するつもりだった。「…しかし悦児が死んだ日を境に計画を変えたのだな」「そうです」あの日から陳恭は己が決めた通りに動き、計画通りの結末を迎えた。荀詡は林良に船を降りる支度をするよう命じた。「こたびお前の立場は従者ではない 大鴻臚(コウロ)の治礼郎(チレイロウ)、つまり役人だ、礼儀に気を配れ」「承知した、手筈は整えている」完( ๑≧ꇴ≦)えー?!なぜ最後にこんな曲?! ←そこ?!
2022.12.17
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第24話「一世一代の決断」長秋(チョウシュウ)宮で五公主からいきなり罰を受けそうになった程少商(チォンシャオシャン)。すると駱済通(ルオジートン)が現れ、皇帝が程娘子を宴に呼んでいるため遅れてしまうととりなした。おかげで難を逃れた少商だったが、穏やかな皇帝や皇后を思うと五公主がなぜあれほど横暴なのか分からない。実は駱済通は長水校尉・駱住(ルオジュー)の娘で数年前から五公主の伴読だった。五公主は天下平定後に生まれた末娘のため兄姉ほど苦労を知らず、裕福に育ったせいでわがままなのだという。「宮中は掟に厳しい、貴人の噂話はこの辺で…家族にも災いが降りかかるわ」「ご教示ありがとうございます、でも幸い2度と宮中に来ることはありません」駱済通は少商を宴の席に案内して下がった。隣の席にはあの意地悪な王姈(ワンリン)が座っていたが、もはや少商にとって嫌味な王姈を負かすのは朝飯前。すると思いがけず犬猿の仲の五公主と三公主が舌戦になった。少商は手持ち無沙汰で隠し持っていた焼餅(シャオビン)を食べ始めたが、五公主に見つかり、焼瓶の盗み食いとは何事かと叱責されてしまう。これに乗じて王姈は出征した両親が娘を躾けず少商はただの野生児だと蔑み、初めての参内で宮中の掟など知らないと馬鹿にした。しかし少商は怯まず、開き直ってさらに焼瓶を頬張る。「これは瓶ではなく黍(キビ)ナンです、皇帝と皇后が倹約されているのにご存じないと? 確かに公主は驕(オゴ)り高ぶる尊い娘、毎日、宮中に閉じこもっていれば見識も狭くなりましょう(うっ)何だかお腹が痛くなって来た…失礼します」少商は公主をやり込め回廊へ出た。しかし後を追いかけて来た侍女が少商の履き物を取り上げ、放り投げてしまう。少商は相手にするまいと胸を張って堂々と取りに向かったが、侍女がさらに遠くへ投げた。すると前と後ろから現れた侍女がいきなり花瓶を放り投げ、少商の足元は割れた破片だらけになってしまう。その様子を公主たちが笑いながら見ていた。少商は破片を避けて行こうとしたが、突然、背後から侍女に蹴られてしまう。「あっ!」破片の上に顔から落ちていく少商、その時、凌不疑(リンブーイー)が現れ、危ないところで少商を抱き留めた。( ๑≧ꇴ≦)アルソック発動!凌不疑は少商を欄干に座らせ、自ら履き物を履かせた。思わぬ援軍の登場にざわつく公主たち、しかし偶然その様子を見ていた駱済通は心中おだやかでない。実は以前、皇后は駱済通を凌不疑に嫁がせたいと明かしたことがあった。凌不疑は悔しがる公主たちを尻目に少商を自分の横の席に座らせた。三皇子は皇太子のそばに若い娘を座らせるとは何事かと呆れたが、五皇子は愛らしい少商が気に入り、自分の妾にならないかという。「五殿下、ご心配なく、少商にはもう縁談話があります」「子晟(ズーション)偽るな、楼(ルオ)家とは破談になったであろう?」「そうです、つまり私が娶れるようになったのです」(´゚ω゚):;*.’:;.. ブハッ!<凌将軍、落ち着いて…少商は凌将軍の発言に思わず咳き込むと、ちょうどそこへ皇帝が両親や万(ワン)伯父たちを引き連れてやって来る。程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)は娘の姿を見つけて仰天、少商も目で父に助けを求めたが、話は意外な方向へ進んだ。凌不疑は席を立っていきなり御前で跪くと、皇帝に嘆願した。「陛下、陛下は私の親代わり、程四娘子へ縁談の申し込みを…」( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)ジェットストリームポカーン@程家皇帝は意外にも早い展開に大喜びし、早速、程将軍に縁談を申し込んだ。言葉に詰まる程始、その時、蕭元漪が撤回を求めた。蕭元漪は夫と共に跪くと、若き英雄である凌将軍に娘は不釣り合いだと訴えた。「娘は幼少より躾に欠け、目も当てられません 私の帰還後も学問、練武、どれもだめで、女徳にかけ、口さがない 厳格にしたくとも目上の者に従おうとしません もし娘が他人なら、こんな嫁を程氏は決して迎えないでしょう 程氏の他の娘が陛下のご厚情を賜れば、我らは心から誇りに思います 陛下、少商は好戦的で容赦ありません もし凌将軍に嫁いだら大きな災いを起こし、程氏一家に累を及ぼすやも… 陛下、素晴らしい縁談でも少商にとっては身に余ります」程始はそもそも出征で娘の躾を疎かにした自分たちの責任だと少商をかばったが、蕭元漪は容赦無く娘を貶めた。「凌将軍は娘と出会って日も浅い、娘は聡明そうに見えて口八丁で軽率でもあります」傍観していた三皇子もさすがに驚きを隠せず、思わず口を挟んだ。「子晟に嫁がせまいとこれほど我が子を貶めるとは… 都中の女子が競って子晟に嫁ぎたがるが、程家だけが皇命に逆らってまで拒む 程夫人が悩み抜いたあげくか、子晟を恐れているからか」すると衆人の前で顔を潰された皇帝は憤慨、程始に罰を与えようとしたが、慌てて皇后と凌不疑が止めた。少商はこのままでは家族を巻き込んでしまうと焦った。「陛下、母の言うように私は問題児です、到底、従順な妻にはなれません 凌将軍、あなたは将来、私より何千倍も素敵な妻を娶れるはずです 私は強情で人の話に耳を貸さず、服従もしない、それでも妻にしたいと望みますか?」「もちろん、君にとって私がそんなに立派に見えていたとは…君とて同じ 私にとって程少商はこの都城で最も素晴らしい女子だ」不疑は少商が世間の理想の妻と違っても、自分にとっては誰より勝る女子だと訴えた。「君は純粋で果敢、感情を惜しみなく表し、唯一、自分と肩を並べて歩める女子だ この凌不疑、生涯、他の女子を娶ることはない」すると少商は一世一代の決断を下した。「臣女、厚かましくも凌将軍に応じます!」皇帝はすっかり機嫌を直し、これで誰も2人の縁談を反故にできないと釘を刺した。曲陵(キョクリョウ)侯府へ戻った少商、すると蕭元漪は勝手に縁談を承諾した娘への怒りがふつふつと沸き上がった。しかし少商は楼垚(ロウヤオ)との縁談を壊すため凌将軍を持ち出し、凌将軍が求婚すればまた不満なのかと呆れる。「不満なのは私が選んだ相手?それとも娘の私ですか?」蕭元漪は激高して机を叩いたが、程始が鎮めて代わりに説明した。実は凌不疑の実母・霍君華(フォジュンホワ)は霍翀(フォチョン)の妹として栄華を誇っていたが、哀れな末路を迎えていた。15年前、霍将軍は皇帝が危機の際、孤城で戾(レイ)帝の20万軍を足止めしたという。しかし城門が破られ霍家はほぼ全滅、霍夫人と凌不疑は行方不明になった。城陽(ジョウヨウ)侯は結局、寄宿中の母方の従妹・淳于(チュンユー)氏を後添えに迎えたが、成婚後1年も経たずに霍夫人が凌不疑を連れて戻って来たという。霍家の功績を思えば本来、離縁させるところだが、淳于氏が汝陽(ジョヨウ)王妃と昵懇(ジッコン)のためできなかった。蕭元漪は淳于氏という姑など心配の種の一つに過ぎないと言った。むしろ心配なのは凌不疑本人、楼垚と違って揺るがぬ意志を持ち、決めたことは貫くという。「あなたも強情なのに、頑固者同士で夫婦になれると思う?」確かに城陽侯府は虎穴なのだろう。しかし少商はあの時、他に選択肢などなかったと言った。「阿母は厄介な婿を拒みたいあまり、私を価値がないほどまでに貶めた でも私にも自尊心や誇りがあり、堂々と生きたい …阿母、縁談の相手が堂姉なら今日のように衆人の前で辱めましたか?」「ゥッ…姎姎(ヤンヤン)は心配する必要もない!」蕭元漪は自分でもやり過ぎだったと分かっていたが、娘に煽られやり返してしまう。そこで程始はこれも皇帝を説得するための苦肉の策だったと言い訳した。「いくら傷ついたからと言って意地になって応じるとは…」「意地じゃない、真剣に考えました」少商は例え誰に嫁ごうと母の心配が絶えないのなら、早く嫁いで憂いをなくしたいという。「嫁ぐ相手を間違えたら一生、不幸になるのよ?!」「皇命に背いて一門が没落するより私一人が不幸な方がましです …放置されたことを恨んだこともありました、でも分かったのです、私も孝行娘ではありません だからお互いに負い目はない、私を置き去りにして得た栄華を壊す必要はないわ それでは私が生まれたこと自体、滑稽に思えて来る…」少商の言葉を聞いた蕭元漪は何も言い返せなかった。「自分で決めた縁談に悔いはない、迷惑はかけません」「はお…はお!いいわ、凌不疑に嫁ぎたいなら希望を叶えましょう」つづく(´-ω-。` )おう…少商があまりに不憫で初めて挫折しそうになった…善見が出てこなかったのにwでも原作通り中身がタイムスリップ?した人だと思うと腑に落ちるわ
2023.09.02
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第25話「妻のお披露目」凌不疑(リンブーイー)の母・霍君華(フォジュンホワ)は孤城での凄まじい体験から正気を失い、今も少女時代を生きていた。「もし真相を伝えたら文(ウェン)家阿兄は我らの無念を晴らしてくれるかしら?」不疑は祠堂にいる母に外套をかけ、因果は応報するもの、いずれ画策した者に罰が下ると安心させる。「悪人はまだ世にのさばっている…逃がさないで」「阿母…妻を娶ることにしました」その時、回廊から招かれざる客の声が聞こえた。「子晟(ズーション)、縁談の話を阿父が最後に知るとは…まだ私を恨んでいるのか?」凌不疑が回廊へ出ると父がいた。護衛の梁(リョウ)兄弟が止めるのも聞かず上がり込んだ城陽(ジョウヨウ)侯・凌益(リンイー)は、今日になって夫人・淳于(チュンユー)氏から息子が程(チォン)娘子に求婚したと聞いたという。当然、何の権勢もない曲陵(キョクリョウ)侯の娘など反対、それより家柄も血筋も良い裕昌(ユーチャン)郡主を選ぶべきだと諭した。しかし不疑はとりつく島もなく、けんもほろろに追い返されてしまう。「阿母が言ったはずだ、己の視界の中に入ってくれるなと…お見送りを」その時、突然、母が祠堂から出てきた。すると霍君華は夫の前まで歩いて来たかと思うと、いきなり凌益を引っ叩いてしまう。「何様のつもり?!基盤もない無名の輩が求婚だなんて… 私は霍氏の一人娘、お前など私の履物取りにも値しない!懲らしめてやる!」凌益は興奮した霍君華に何度も殴られ、顔を真っ赤に腫らして帰って行った。その夜、凌不疑は霍家軍伝令官・韓武(ハンウー)を祠堂に案内した。「将軍…参上しました…15年も遅れて…」←見事なジャンピング土下座!韓武は位牌の前で泣き崩れたが、孤城の真相を突き止めることで亡魂の無念を晴らせという若主公の言葉で奮起する。あれから小越(ユエ)侯の麾下(キカ)の軍医を追っていた韓武、実は行方を突き止めていた。その軍医は早々に名を変え、都の郊外にある西(サイ)村で隠居中だという。不疑は配下を一緒に行かせると言ったが、韓武は慎重を期して独りで行くと断った。「3日以内に戻ります、しかし戦況は瞬時に変化するもの 霍将軍は身近な物で隠密裏に伝達させました 例えば枝を4本折り、そのうち1本だけ短ければ危険、長短2本ずつなら無事です」すると韓武はなぜ慌てて孤城の生き残りを探しているのか聞いた。不疑は孤城陥落に裏があると踏んでいたが、実は急ぐのには別の理由があるという。「慕う者ができた、調査から戻れば結納に間に合うだろう」「成婚なさると?…めでたい!将軍もあの世でお喜びでしょう」不疑は許嫁が普通の女子ではないと教えた。「私のように過去に縛られる人間は本来は孤独の身 だがもしこの苦難の道を共に歩める人がいるなら彼女だ…試す価値はある」但倘若一路艰辛里 同行之人是她( ;∀;)やだ、そうだったの〜って…イヤイヤイヤ~何も知らずに試される方の身にもなってよwその頃、蕭元漪(シャオユエンイー)はなかなか寝付けずにいた。すると少商(シャオシャン)が吹く笛の音が聞こえて来る。まさか娘が冷徹な凌将軍より母親である自分を何万倍も恐れていようとは…。親の苦心など子に分かるはずもないが、母娘ともに強情で一歩も引かず、最も人を傷つける物言いを選び、容赦がない。蕭元漪は娘を置き去りにしたことが全ての元凶だと分かっていたが、これも因果応報なのだろう。縁談が決まった以上、あとは娘が凌将軍と仲睦まじく、共に白髪になれるよう祈るしかなかった。( ゚ェ゚)うーん、どうもママンの心情がつかみ切れない言ってることも何となく的外れなような…字幕だと端折られちゃうせいかな~明日はいよいよ楼何(ローハー)両家の成婚、袁慎(ユエンシェン)は一緒に行かないかと母を誘った。すると袁夫人梁(リャン)氏は他家の縁談など興味ないという。「では私の婚姻は?」袁慎は程家のように干渉する親を羨んだ。そこで自ら縁談相手の絵姿を持って来たが、母は息子の婚姻にも無関心、自分で決めろと冷たく突き放されてしまう。( ゚ェ゚)そうか、善見も親が仮面夫婦で屈折してたっけ…ってだからって同情するかゴルァ!w翌朝、凌不疑はまだ寝ていた少商を起こし、楼何両家の成婚の宴に同行させた。久しぶりに顔を合わせた少商と楼垚(ローヤオ)、すると早速、袁慎がからんでくる。「少商も鞍替えが早い、たった数日で新しい相手とは… 怖いもの知らずの程娘子がついに権勢に屈する日が来るとはね〜「あなたには関係ない」すると不疑は少商から袁慎を遠ざけるため、席に案内して欲しいと頼んだ。( ๑≧ꇴ≦)殴ってくれ、頼む!w楼垚は凌将軍と善見(シャンジエン)を男家族の部屋に案内することにした。そこで安成(アンセイ)君・何昭君(ハージャオジュン)が少商を女家族の宴席に連れて行くことにしたが、少し話がしたいと回廊を遠回りする。「阿垚を返してくれたこと、感謝しているわ」かつては横暴でわがままだった何昭君、しかし馮翊(ヒョウヨク)郡での壮絶な体験で人を見る目もすっかり変わったという。「今なら分かる、男は性根が良く温厚な人がいい、あなたも…多少は誠実ね」「分かればいいの…今や阿垚は私の兄長、虐げたら許さないから」「私にとって弟を除けば阿垚だけが家族、うまくやっていける、あなたと凌不疑もね」すると何昭君は喪中のため宴席には顔を出せないと断り、そこで引き返した。一方、凌不疑は何かと突っかかる袁慎を警戒した。「今後、程家の家塾は私に任せよ、もし暇で仕方がないなら仕官に推薦しよう」「必要ない、すでに恩師・皇甫儀(ホワンフーイー)が推薦してくれた」/(^o^)\オワター!凌不疑と袁慎はこれから朝堂で顔を合わせることになった。不疑は少商との成婚には祝い酒を飲んで欲しいと優位に立ったが、袁慎は少商と楼垚が破談したことを持ち出し、成婚するまで何があるか分からないと牽制する。「袁公子は程氏で師を務め、今度は私と少商の縁談を聞きつけた… まさか私の妻に邪(ヨコシマ)な思いがあるのではあるまいな?」「ふっ、程少商に男女の情など分からぬ、計算ずくなだけ 私は婚姻に打算的な者が一番嫌いだ、程少商には何の私情もない」「と言うことは標的は私だけか?」「見てみたいだけだ、腹に一物ある女を好む男がどんな末路を辿るか…」「私と少商の心は一つ、末長く添い遂げる 袁公子のごとく狭量で口さがない者にそんな日は訪れまい」「凌将軍、私は文官、あなたより長生きだ、本当に添い遂げられるとでも?」一触即発の様相となる不疑と袁慎、そこで楼垚が割って入り話を止めた。(  ̄꒳ ̄)ここで一服の清涼剤少商は宴席に到着、万萋萋(ワンチーチー)や程姎(チォンヤン)と合流した。すると早速、王姈(ワンリン)と楼縭(ロウリー)が次の縁談が決まった少商を中傷、言い争いになってしまう。破談にしたそばから婚約なんて…>(*´・ω・)(・ω・`*)ネー( ತ _ತ)<お前は皇帝から賜った縁談を断れんのかバカ!一方、凌不疑は楼犇(ロウベン)と再会、改めて仕官を勧めた。しかし楼太傅が聞きつけ、楼垚が何昭君を娶れたことが皇帝の一番の恩寵だと圧力をかける。楼犇も伯父に反発できず、仕官は望んでいないと断るしかなかった。そこへ王延姫(ワンイエンジー)がやって来る。「阿延?なぜ男客の席へ?」「程四娘子に頼まれたの、凌将軍の馬車に外套を忘れたと…」不疑は大公子夫人の目配せで少商に助けが必要だと気づいた。王姈は萋萋から凌不疑に相手にもされないと馬鹿にされ、思わず少商を女狐と蔑んだ。その時、宴の席に突然、黒甲衛(コクコウエイ)が現れ、騒然となる。すると向かいの男客の宴席から凌不疑が出て来た。「恥を知り礼儀を知るは何か教えてやろう」男の客人たちは凌将軍に守られる程娘子は幸運だと噂した。しかしそれを聞いた袁慎は急に不機嫌になり、わざと料理をひっくり返して客人の衣を汚してしまう。(  ̄꒳ ̄)ホント、器の小さいヤツw凌不疑は男女の宴席を隔てる衝立を倒し、少商を女狐と呼んだ王姈を非難した。「そう言えば先月、五皇子に2人の美女を贈られてな 君の兄長王が羨んでいたため譲ったが、数日後、君の阿父が2人を受け取ったと聞いたよ 狐媚風情と言うならこの2人に使うべきでは? 私の妻を貶めようとする前に考えたらどうだ?その2人を阿嫂と呼ぶのか、阿母と呼ぶのか…」王姈は家族の恥を晒され笑い者になった。しかし少商は黙ったまま視線を落とし、不疑と目を合わせようとしない。そこで不疑は少商の杯を持ち、堂々と妻を紹介した。「私と程娘子の婚約の件は聞き及びのはず、成婚の暁にはどうか各位の来臨を賜りたい」( ๑≧ꇴ≦)アルソックの圧が強いのよwwwつづく
2023.09.08
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第26話「縁談ぶち壊しのすゝめ」楼何(ローハー)両家の成婚の宴。凌不疑(リンブーイー)は掟を破って女家族の宴席に乗り込み、あらぬ中傷を受ける許嫁・程少商(チォンシャオシャン)を守った。凌将軍の権勢におののいて口をつぐむ招待客たち、そんな中、袁慎(ユエンシェン)だけは独り歯ぎしりしている。しかし少商もまた何とも言いようのない苛立ちを感じていた。帰りの馬車の中、凌不疑は浮かない顔をして押し黙っている少商を訝しんだ。「なぜ黙っている?」「…今日、権勢とは何かを見たわ」少商は何を言ってもしつこく絡んでくる令嬢たちに手を焼いていたが、凌将軍は一瞥をくれるだけで容易に黙らせることができた。「権勢は嫌いか?」「だってあなたの権勢だわ」「夫婦は一心同体、成婚後、私のものは君のものだ、それが悪いと?」確かに悪いとは言わないが、そんな風に夫に従い生きて行くなら、もはやそれは程少商ではない。少商は気を紛らせるため焼餅(シャオビン)を出して食べようとした。しかし不疑が腕をつかんで止める。「もう遅い、就寝前に食べるともたれる」少商は正論でねじ伏せる不疑に反感を抱き、例え自分のためであっても束縛されるのが一番嫌いだと訴えた。そこで焼餅を持ち替えて食べようとしたが、不疑が再び腕をつかんで制し、身体に悪いと知りながらなぜ食べるのか教えて欲しいという。「全てに理由があるわけじゃない、あなたが求婚したのも同じ、その理由は何?」不疑が言葉に詰まると、護衛の梁邱起(リャンチゥチー)が車に声をかけた。「若主公、西(サイ)村から急報です」不疑はそこで車を降りたが、少商は結局、焼餅を食べる気分ではなくなった。西村へ向かった韓武(ハンウー)が約束の3日を過ぎても戻らなかった。梁邱起が調査したところ、不審者の痕跡があったという。凌不疑はその足で西村へ行くことにしたが、明日は程家で聘礼(ヘイレイ)だった。「…私に考えがある」今日は凌家と程家の聘礼の儀。程老夫人董(ドン)氏は早朝から中庭を片付け、凌家から届く聘礼品を楽しみに待っていた。すると凌家から城陽(ジョウヨウ)侯夫人淳于(チュンユー)氏の体調が悪いため訪問できないと知らせが届く。ガーン!(꒪ꇴ꒪〣)<オワタ…せっかく決まった縁談がまた壊れるかも…私の聘礼品ががが…しかし老夫人の落胆を他所に蕭元漪(シャオユエンイー)は淳于氏の仮病だと気づいていた。案の定、その頃、淳于氏は汝陽(ジョヨウ)王府で子晟(ズーション)の縁談をいかに壊すか浅知恵を絞っていた。裕昌(ユーチャン)郡主は勅命では断りようがないと落胆したが、汝陽王妃は孫のため皇帝に直談判すると意気込む。すると侍女がやって来た。何でも凌不疑は自分に父がいないと称して皇帝に婚儀の進行を嘆願、皇帝も応じたという。「老王が礼官として明日、聘礼品を届けるとか…」( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)<何だって!汝陽王妃はよりによって夫が礼官として程家に行くと知り激怒した。「あなたと山に入り、田を耕してどれだけ苦労したか…私なくして夫と陛下を養えたと?! 朝臣も農民上がりの頃から知っています! 陛下とて私が米一口、水一口惜しんで立派に育てたのよ! 文(ウェン)家の男どもは良心もないのね!」悍婦(カンプ)に罵られ、孫娘からは出家すると脅され、汝陽王はやむなく縁談を壊すと安請け合いした。翌日、曲陵(キョクリョウ)侯府に城陽王がやって来た。婚姻に不満が募る少商は蓮房(リエンファン)を手伝いに行かせて大工仕事で鬱憤を晴らしていたが、そこへ汝陽王が現れる。汝陽王はまさか座卓を力任せに壊しているのが女公子だとは思わず、程少商がどこにいるのか聞いた。「孫娘は昨夜、夫を奪われ泣き腫らしておった、なぜ玉の輿に乗りたがるのか聞きたくてな」「誰もが凌不疑に嫁ぐのは玉の輿だと言う、でも私はこんな不公平な婚姻、惜しくもないわ!」実はその粗暴な娘が程少商だった。程少商は驚いたことに都中の女子が慕う子晟との縁談を自ら壊そうとしていた。何でも最初から不公平な婚姻で、平等に尊重し合えないのなら独りの方がましだという。そこで汝陽王は必ずしも平等とは限らないと諭した。「私と女房は成婚して50年だが少しも話が合わん、互いに敬いも尊重もせずだ ただ長年の修行で悟った、無為に争わぬ道を追究せよと…ゆえに耐えるしかない」「王爺、離縁できないのを修行のせいにしませんように 明らかに権勢が怖いだけでは?陛下のご不興を買うと…」「そなたこそ、不公平な婚姻だと思うなら、なぜ断らぬ?」「ゥッ…私も怖いのです、権勢が…(はっ!) 王爺?!郡主を助けたいなら聘礼品を全部、持ち帰っては? 婚姻はぶち壊しになり、どちらも満足です」しかし汝陽王は自分をそそのかして破談にさせようとしても無駄だと笑った。「私も子晟の成長を見て来た、婚姻を是非、実現させてやりたい」こうして汝陽王は無事に聘礼品を届け、皇宮へ報告に向かった。(; ゚ェ゚)<…まだ耄碌(モウロク)してないわ(ボソッ汝陽王妃は縁談を壊さなかった夫に激怒した。しかし少商の話を聞いて吹っ切れたのか、汝陽王はこれから自分のために生きたいと願い、離縁するという。もはや祖母の脅しさえ効かなくなったと知った裕昌は御前で首を吊ると言い出した。これに汝陽王は激高、始めて孫娘に手を挙げてしまう。「バカもん!両親が早世し哀れに思って甘やかして来たが、不満がある度に死ぬと騒ぐとは… 自分を大切にしなければ夫に尊重されるわけがない! 凌不疑のことはあきらめよ、程少商とは雲泥の差だ、勝てぬ!」思わぬ夫の反乱に汝陽王妃は呆然となった。そこで夫に殴りかかりながら、皇帝に恩を思い出させてやるとわめき散らす。「もうたくさんだ!何かにつけ一口、食わせて救ったと言うが、天地は知っているぞ? あれは腐っだ飯、お前も食わぬ飯だった! それと引き換えに十余年の栄華を得たなら元は取れたであろう?」すると汝陽王は裕昌に別の相手に嫁ぐか出家するか、自分で選べと言い放った。一方、西村に到着した凌不疑たちは依然、韓武の消息をつかめずにいた。しかし軍医の屋敷の周りには足跡どころか馬蹄の跡もない。不疑は短時間で跡形もなく片付けられるのは軍だと気づき、韓武が残した手がかりを探すことにした。その時、やけに土が柔らかい場所を見つける。「掘れ…」すると土に埋められた包みを発見、中から折れた枝が出て来た。「長短2本ずつ…つまり韓武は無事だ」不疑は追っ手に気づいた韓武が合図を残して逃げたと知り、安堵して急いで都へ引き返すことにした。「聘礼に伺えなかった詫びに行かねば…」「若主公…その殺気では詫びというより断罪に行くような…」梁邱起が申し訳なさそうに指摘すると、梁邱飛(リャンチゥフェイ)も思わず頷いてしまう。「もっと笑ってみては?」「…お前、笑い話はあるか?」翌朝、程家の食卓はどこか殺伐としていた。程頌児(チォンソンアル)と程少宮(チォンシャオゴン)は聘礼に凌不疑が来なかったせいで嫋嫋(ニャオニャオ)の機嫌が悪いと誤解している。「私のことなんてどうせ二の次よ、だから阿母は破談を口にもしなくなった ねえ、権勢がどんなものか分かる?!知らないでしょう?!」少商は今さら母に八つ当たりし、兄たちに噛みついた。驚いた程姎(チォンヤン)は伯母なら心配で眠れず食欲もないとかばったが、蕭元漪は話を止めただけでいつもの勢いはない。その時、突然、屋敷が黒甲衛(コクコウエイ)に包囲された。程家の食卓に凌不疑が現れた。その迫力に度肝を抜かれる程家の面々、すると不疑は軍務で聘礼に間に合わなかったと謝罪する。蕭元漪は青蓯(チンツォン)に九騅(キュウスイ)堂を片付けて凌将軍の食事を用意するよう命じたが、不疑はここで一緒に食べると座った。(  ̄꒳ ̄)<皆さん、どうぞ堅苦しくならず、子晟、こう見えて気さくなんです( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)ぉおうすると不疑は早速、阿飛から教えてもらった笑い話を披露した。全く面白くない上、落ちがない話、仕方なく少宮が切り出してみる。「で最後、舟に乗っていた書生はどうなったのです?」「もちろん溺死しました、わっはははは!」しかし笑ったのは不疑と梁邱飛だけだった。その時、唯一、凌不疑を恐れない強者が現れる。「アイヨー!あなたが凌家の郎君?!眉も目も鼻も口もやっぱり際立ってるわ~」老夫人は馴れ馴れしく不疑の隣に座って上機嫌、少商は目も当てられず、そっぽを向いた。「程老夫人はさすが叡智(エイチ)があります」「そう!そのエイチ~!ぶっははははは~♪」(・Д・)<…って何それ?美味しいの?少商は父や兄たちと買い物に出かけ、沢山の荷物を抱えて屋敷に戻った。すると突然、正門で門衛に止められ、包みを確認するという。困惑する少商たち、そこへ凌不疑が現れた。「少商と婚約したからには程家は私の家族です これからは私の親衛が毎日、出入りを調べて安全を守ります(キリッ!」つづく( ๑≧ꇴ≦)VIPアルソック!見ているこっちまで息苦しくなって来たわ…やっぱりルースー上手いね~
2023.09.09
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第23話「皇宮へ参上」療養中の凌不疑(リンブーイー)を見舞うため父と凌府を訪ねた程少商(チォンシャオシャン)。しかし広大な屋敷はいかつい黒甲衛(コクコウエイ)が警固し、殺伐とした正殿はさながら軍営のようだ。「女子の使用人もいない…」「君が女子では?」その時、ふいに凌不疑が現れ、程始(チォンシー)と少商は緊張のあまり身体を硬直させた。「…女子は君一人で十分だ」(°_°)ハイ?凌不疑は少商の来訪を喜んだが、程将軍を見ると不機嫌になった。少商は足が震えてどうにも落ち着かず、早々に引き上げようと父に目配せする。そこで程始はゆっくり静養するよう社交辞令でごまかし、娘を連れて逃げるように帰った。しかしあと少しで門というところで梁邱起(リャンチゥチー)に呼び止められてしまう。「これは女公子の落とし物ですか?半分が見つからぬため探して欲しいと…」少商は例の割れた玉佩だと気づき、仕方なく引き返した。すると父だけ黒甲衛に囲まれ、足止めされてしまう。「程将軍は怪力の持ち主で十人力だとか、教えを乞うても?」程始は自分が邪魔なのだと察し、家で用事があると断って娘を置き去りにした。(^ꇴ^)ノ″<嫋嫋(ニャオニャオ)~気をつけるんだぞ!(°_°).oO(そういう感じ?凌不疑は玉佩で少商を脅し、連れ戻した。「私が怖いのか?父親を連れて見舞いに来るとは…」少商は自分一人で来なかったことが不服なのだと気づき、うつむいてしまう。「古傷を痛めたのに見舞いも渋々か…」「…まだ痛みますか?」「武術に支障がないか聞かないのか?」「武術ができるかどうかは二の次でしょう?」凌不疑は驊(カ)県でも痛いかどうか聞いてくれたのは少商だけだったという。「君は特別だな」すると思いがけず皇太子が裕昌(ユーチャン)郡主たちを連れて見舞いにやって来た。少商はこの機に乗じて帰ろうとしたが、皇太子たちがすぐ正殿に到着し、逃げる機会を失ってしまう。袁慎(ユエンシェン)は皇太子をけしかけ、一緒に見舞いにやって来た。すると王姈(ワンリン)が皇太子に楼(ロウ)家と破談になった程四娘子だと紹介し、次の目当ては凌不疑かと毒づく。しかも自分の奴婢が程氏客桟のそばで少商と男が密会しているのを見たと辱めた。袁慎は自分のことだと思い出し、師匠の伝言を少商に託しただけで他意はないと釈明する。ただでさえ居心地が悪い中、王姈に侮辱され踏んだり蹴ったりの少商。「男女の卑猥なことしか頭にないから誰もが淫らだと思うのかしら? 袁公子とやましいことがあれば馬車にひかれて死ぬわ! 凌将軍、どうぞお大事に!失礼します!」袁慎も袁氏の栄誉に関わる流言だと憤慨、改めて説明を求めると言って帰ってしまう。不疑は少商との時間を邪魔され怒りが収まらず、王姈を節穴だと罵しり追い返した。その頃、凌府にちょうど三皇子と側近の小越(ユエ)侯が到着した。すると正門から皇太子が慌てて出て来る。「何かあったのですか?」「裕昌が子晟(ズーション)のことで傷ついてな…思い詰めるやもしれぬ」三皇子たちは皇太子を見送ったが、その間に医者らしき男が凌府へ入ったかと思うと正門が閉められてしまう。「若主公は休んだばかりのためお待ちを…」「ならば戻るとしよう、舅父が上等の薬を求めた、子晟に煎じてくれ」実はその医者は15年も行方知れずだった霍(フォ)家軍の伝令官だった。韓武(ハンウー)は凌不疑と面会、逃亡兵としてどんな罰でも受けると拝跪した。しかし逃げ回っていたわけではなく、同袍と接触すれば殺される危険があり、名を隠して市井に紛れていたという。「″凌 将 軍″…ご無事で何よりです」孤城が破られ霍家が全滅した時、韓武は救援を求め城外にいた。当時、孤城の兵器は劣悪な物にすり替えられ、抵抗するのも困難だったという。霍将軍は仕方なく伝令官を近くの越氏部曲と乾安(ケンアン)王の軍に派遣したが、結局、援軍は到着せず、孤城は陥落した。実はあの日、城外に瘴気(ショウキ)がこもり、越氏と乾安王が進軍不能となって3日遅れたという。確かに小越侯は一隊を率いて瘴気を探りに行くも全滅したと報告したが、韓武は後日、出動した戦馬が兵営にいたという目撃証言を得ていた。「瘴気に毒あらば、なぜ人は死に馬だけ無事だったのでしょうか?」妙なことはもう一つあった。瘴気が散ってから軍医たちが検視のため林に入ったが、なぜか軍医たちは全員、失踪したという。「私に軍医たちの捜索をお命じください」「許可しよう」少商と袁慎の噂は皇帝の耳にも届いていた。すると文(ウェン)帝は立ち話だけで噂になる袁公子に比べ、命を助けた子晟とはなぜ噂が立たないのかと苛立つ。( ゚ェ゚)<いやそこですか?@皇后「ようやく子晟の目に適う女子が現れたのだ、仲を取り持ちたい」そこで早速、程娘子に参内を命じ、接見することにした。翌朝、程始と蕭元漪(シャオユエンイー)は少商を連れて参内することになった。凌不疑を見舞ったと思えばいきなり皇帝との謁見、蕭元漪は嫋嫋が何かやらかしたのではないかと気が気でない。そんな母の心配などどこ拭く風、少商は馬車に揺られながらこっそり持って来た焼餅(シャオビン)をつまんでいた。皇帝と皇后は正直で素直な少商を気に入った。蕭元漪は出征している十数年の間、娘の躾けが疎かになったと謝罪したが、皇后は学業が疎かになっていても賢いのかと感心する。「お褒めに感謝します、皇后ってなんて美しいのかしら…」少商は母と違ってありのままの自分を受け入れてくれる皇后を敬愛し、思わず口を滑らせた。慌てる蕭元漪だったが、皇帝はならば母と皇后ではどちらが綺麗かと聞く。「皇后!」「なかなか面白い子だ」皇帝は喜び、一家を家族の昼餉に招いた。そこへ万(ワン)将軍が参内して崇徳(スウトク)殿で待機していると知らせが来る。皇帝は程始たちも同行するよう命じ、少商は皇后の長秋(チョウシュウ)宮で休むことになった。長秋宮の偏殿、少商は普通の民家とは全く違う造りの宮殿に興味津々だった。書卓はどうやら楡(ニレ)の木で作られているらしい。「皇后は倹約しているのね…」その時、五公主がすごい剣幕で皇后の寝殿に入って行った。五公主は父皇が決めた縁談に不満があり、母を訪ねた。「父皇は越姮(ユエホン)とその子供しか眼中にない、朝廷内外でも越姮が真の皇后だと噂してるわ」「ふぁんすー(放肆)!」皇后は思わず声を荒らげ、人払いした。「誰が離間させるようあなたをそそのかしたの?」実は自由奔放な五公主は幕僚と称してお気に入りの郎君の出入りさせており、何かと噂が耳に入って来るという。皇后は縁談が決まった娘が郎君たちと往来することを叱責したが、五公主は縁談を断ると言い出した。「越姮の甥は三公主の宣(シュエン)氏駙馬にも劣ります、私には放蕩息子をあてがうなんて…」皇帝は娘を皇后の宣氏と越妃の越氏に嫁がせることで帝家の結束を強めたいと願っていた。三公主は母の寝宮を訪ね、五公主が慌てて長秋宮に駆け込んだと失笑した。自分が子晟を慕いながら父皇に命じられ泣く泣く嫁いだ以上、当然、五公主も断って良いはずがない。しかし宣氏駙馬は功績もあり清く正しい家門で人柄も立派、三公主にはもったいない相手だった。片や小越侯の息子は四六時中、花街に入り浸り、五公主でなくても嫁ぎたくないだろう。越妃は五公主に同情し、舅父の家で育った三公主が長秋宮への恨み言を吹聴されたせいで敵対するのだと分かっていた。「私の願いは静かで平穏な日々よ、騒ぎを起こさないで…でないと守ってやれないわ」五公主は凌不疑も身を固めていないと訴え、不公平だと言い出した。「実の子以上に寛容なんて…もしや凌不疑は父皇が外に作った子なのでは?!」皇后は娘の妄言に激高したが、わがままな五公主の暴言は止まらない。「霍翀(フォチョン)はたかが舅父ですよ?大勢死んでもそれは母方 自分の両親は生きているのに近づこうともせず、宮中に居座って私の両親を奪うなんて…」「お黙り!本当に罰を与えるわよ!」少商が偏殿の装飾品を見ていると、急に皇后の寝殿の門が開いて大きな声が聞こえた。<私は男子のごとく功績を立て、大事を成し遂げたいのです!婚姻を強要するなら死にます!<何ですって?!少商は何事かと様子を見てみたが、ちょうど激怒した皇后が五公主を置いてどこかへ行ってしまう。すると五公主が偏殿にいる少商に気づいた。「ちょっと!盗み聞きしたわね!…無礼者!」五公主は見知らぬ娘に罰を与えようとしたが、そこへ五公主の伴読が現れ、とりなした。つづく( ๑≧ꇴ≦)あははははは~腹抱えて笑った!パパが好きだわ〜
2023.09.01
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第1話)第28話「神像に嫁ぐ心得」自分の気持ちと向き合い、改めて凌不疑(リンブーイー)との婚姻を決めた程少商(チォンシャオシャン)。そうとは知らず、少商にこっ酷く追い返された不疑は城楼で独り、少商のために作った悪酔いしない酒をあおっていた。すると眼下で刺客から逃げ惑う韓武(ハンウー)の姿を見つける。不疑は急いで駆けつけ韓武を助けたが、刺客の最後の1人を始末しようとしたところで止められた。「生き証人にっ!」韓武は当時、小越(ユエ)侯の陣営にいた軍医を発見、接触していた。思った通り軍医は瘴気(ショウキ)を調査した将士の馬を陣営で目撃したという。瘴気を浴びて馬だけ無事とは考えられず調べを進めてみると、実は将兵たちが刀で斬られて死んでいたと分かった。恐れた軍医は名を隠して帰耕(キコウ)していたが、結局、若主公と会わせる前に殺されてしまう。「一体、何者だ?」韓武は若公主が踏みつけている刺客の覆面を外して顔を見た。その時、刺客が口に含んでいた毒針を放ち韓武の額に命中、不疑も驚いた一瞬の隙を突かれて足を斬られてしまう。しかし不疑は落ちていた剣を咄嗟に蹴り飛ばし、刺客を殺した。韓武は即死だった。刺客は身分を示す物を何も持っていなかったが、暗器の針には毒を入れる空洞があり、普通の鉄匠(テツショウ)が作れるとは思えない。「軍で使われる物だ…」当時、小越侯は瘴気が消えてから救援するよう乾安(ケンアン)王に提案していた。自軍の兵士を口封じしてまで瘴気があると主張したのは、孤城への救援を遅らせて陥落させるためだろう。「韓武が殺されたのも小越侯が察知したからだ、この先はあからさまに調査できなくなった さらに慎重を期さねば…」その夜、文(ウェン)帝は寵姫・越姮(ユエホン)の永楽宮で過ごしながら、怪我をした子晟(ズーション)を心配していた。いつも無駄口を叩かない子晟が驚くことに″落馬した″と見え見えの嘘をついたという。「6歳から自在に馬を走らせていた子晟が落馬だと? 実は負傷する前、程娘子(ニャンズー)に会っていたらしい」皇帝は怪我の原因が程娘子だと考え、自分が罰するのを恐れて子晟が程娘子をかばったのだと深読みした。「今や子晟の心には程娘子だけ…朕は排除された(ボソッ」するとは越妃はそれが若さだと懐かしんだ。かつて皇帝も首を蚊に刺されただけで、あらゆる手段を使って自分に知らせようとしたことがあったという。「でももし程娘子が何も知らないなら…子晟は負傷したかいがないですね」「( °◊° )ピコーン!なら朕が知らしめてやろう!」そこで皇帝は早速、少商と子晟を参内させることにした。「程娘子には朕と同じくらい子晟を愛おしんでもらわんとな!」参内した少商を案内してくれたのは五公主の伴読・駱済通(ルオジートン)だった。すると運悪く回廊で三公主と出くわしてしまう。「程娘子、また会ったわね、その顔で十一郎を誘惑したのね」「…誘惑とはどういう意味でしょうか?」掟を知らない少商はうっかり聞き返し、三公主を怒らせた。「口答えしたわね、誰か、頬を叩いて」「やめないか!」その声は凌不疑だった。アルソック不疑キタわ~!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››三公主は少商など十一郎の妻に相応しくないと訴え、人を惑わせ、足まで怪我をさせたと非難した。許嫁に因縁をつけられた不疑は嫌悪感をあらわにし、三公主こそ倹約する皇帝と皇后を顧みず強欲だと非難する。「私も今年で齢21、少商と出会ってやっと妻帯する気になった この生涯で少商以外の誰かに心が動くことはない」すると不疑は呆然と立ちすくんでいる少商の手をつかみ、連れて行ってしまう。凌不疑の仕打ちに憤慨する三公主、実は駱済通も人知れず深く傷ついていた。凌不疑は少商が縁談を辞退するつもりだと誤解していた。しかし少商は自分が足を怪我したと知って心配してくれる。「一応、未婚妻として気遣わないと陛下の怒りを買うでしょう?」少商の物言いは相変わらず容赦ない。「あなたは熱過ぎる、修造?…違う、神像みたい、畏怖され崇められる その神像と成婚して一緒に住むのよ?誰だって躊躇するわ」「少商、妻と決めた以上、私には君しかいない 破談にしたいなら陛下に申し出よ、だが私は決して応じない」すると少商はあっけらかんと破談にするつもりはないと言った。「幼い頃から愛されず、愛することも知らない、だから下心を疑ってしまうの でもあなたは私によくしてくれたわ」「…少商、君は私の妻、私の持つ全ては君のものだ…全力で君を守る、いずれ信じてもらえる」「信じるかどうかはあなた次第ね~」そこで不疑は少商の好物の焼餅(シャオビン)を出した。「今後は好きな時に食べるといい」皇帝と皇后は皇太子夫妻を同席させ、少商と引見した。すると心配した凌不疑が現れ、一緒に話を聞くという。皇帝は不疑を静養させるつもりで呼んだが、不疑は頑として動かず、仕方なく2人に足を崩すよう促した。皇帝は少商を皇后に預け、花嫁修行させることにした。しかし少商はうつむいたまま黙ってしまう。不疑は何でも正直に言えば良いと助言したが、少商は何を思ったのか急に訴えたい人がいると言い出した。朝廷では皇帝への諫言や上奏は大ごと、一つ間違えば重罪となる。「朝廷のことは分かりません、でも凌将軍は陛下が寛大で実父も同然だと… あ、礼に適っていないのなら言いません」すると不疑が大丈夫だと答えたため、皇帝も認めざるを得なかった。「…臣女が訴えたいのは車騎将軍・王淳(ワンチュン)の娘・王姈(ワンリン)です 楼(ロウ)家の婚礼で私を中傷したからです」皇太子妃は少商の思わぬ訴えに目を白黒させた。まさかよりによって皇后の従姉妹・文修君(ウェンシウジュン)の娘を訴えるとは。文修君と言えば、ちょうど屋敷を訪ねてきた寿春(ジュシュン)の使者から鋳造権を無心されていた。かつては権勢を誇った乾安王府も皇帝の天下取りで老王が亡くなり没落、弟の小王が地盤となる寿春で不遇の日々を送っているが、それを支えているのが使者の家主である彭坤(ポンクン)だった。「天下は本来、乾安文氏のものだった、なのに我ら姉弟がかくも苦労するとは…」そこへ客人とは知らず王姈が現れた。すると使者は美しい王姈を気に入り、父親ほど歳の離れた家主に嫁がせたいという。「…お忘れなきよう、家主がなぜあんな身体になったのか 家主が瘴気も顧みずに乾安王を背負って戻ったからでは?! ずっと子宝に恵まれぬのもそれが原因です!」少商は王姈たちから大勢の前で女狐だと中傷されたと訴えた。もし自分が訴え出なければ凌将軍は女狐に惑わされたとの名折れになるという。「陛下の家は国に関わる、家が乱れれば国も危うい、国のために訴えるのです 私も根に持ちたくはありませんが、王娘子は子晟のことで絡むのをやめません」すると皇太子も確かに王姈が人目もはばからず子晟の縁談に何度も憤慨していたようだと明かした。皇帝は更なる災いを防ぐため王姈に戒めを与えると言ってくれた。少商も皇后の長秋宮に住み込むことになったが、まだ幼い少商は戸惑いを隠せない。そこで不疑は少商がようやく両親と過ごせるようになったことから、自宅から通わせてはどうかと提案した。「また別れを経験させたくありません、私が毎日、送り迎えします」「子晟自ら送迎とは…」皇帝は仕方なく許可した。「では毎日、辰時前に長秋宮に入って申時末に皇宮を出る、10日に1日が休みよ」一方、王姈は母から舅父のいる寿春へ嫁げと言われ、号泣していた。「程少商は凌不疑に嫁ぐのに、なぜ私は未開の地の年寄りに嫁ぐのですか!」しかし彭坤は乾安王一族の恩人、無下にはできない。将軍は娘をかばい婚姻に反対したが、文修君は未だ自分の境遇に納得できなかった。「我ら乾安王一族がいなければ陛下は大軍を得て戾(レイ)帝を平定できたと思う? 皇后とて我が家に身を寄せたから今日があるのよ! 我が一族が犠牲となり、残っているのはお前の舅父だけ…天下が我が家に恩があるの!」その時、曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)が皇帝の命を伝えにやって来た。気位の高い文修君は皇帝の言葉とは言え、決して宦官の前で跪こうとはしなかった。仕方なく曹常侍は程少商を辱めた王姈に父娘で自省するよう伝えたが、これに激怒した文修君は娘を引っ叩いてしまう。「横暴でも何でも良いが恥をさらすのだけは許さない!」文修君は程氏をかばった皇帝だけでなく、それを諌めない皇后への怒りが爆発した。「もし私と陛下が同族でなかったら、私が皇后だった!」つづく( ತ _ತ)文修君の金切り声でテンションが下がるわ___それにしてもずーしょん21歳なのか?!にゃおにゃおが15歳だから、せいぜい18歳くらいかと思ってたェェェェェ…( ̄◇ ̄)( ̄◇:;.:... ( ̄:;....::;.:. :::;…
2023.09.16
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第27話)第54話「母娘の雪解け」宣(シュエン)皇后は程少商(チォンシャオシャン)と霍不疑(フォブーイー)の縁が再び結ばれることを祈って旅立った。主を失った長秋(チョウシュウ)宮の夜。不疑は少商の飴糖(トウイ)作りを手伝いながら、彼女の言葉を待っていた。やがて少商は静かに自分の胸の内を明かす。「捨てられて恨んだわ、独断専行で死を選んでも共に歩もうとしなかった 私は本音で接したのにあなたは嘘ばかり…でも5年が経ち、苦労の末に吹っ切れた 今はどうしても心を預けられない、信頼できないの」「少商…すまない、君がどう決めようと尊重するよ 君が捨てられることを何より恐れていると知りながら、私は最も傷つける方法を選んでしまった これまでの20年間は恨みの中で生きて来たが、この先の余生は悔恨の中で生きる できることなら心を取り出し、君にあげたい…でも私にはその資格がない…」すると少商は居たたまれなくなり、黙って部屋を出て行った。少商は回廊から満天の星空を見上げた。すると霍不疑が現れ、隣に並ぶ。「以前、皇后に言ったの、郎君が陽光で万里を照らすなら、私たち女は明るい星、星河に輝く 日月と星河に高低は関係なく、互いが欠かせない、共存することでこの天地を成すと… 私もしっかり生きるわ、皇后の髪を埋めたら遊歴に出る、私も天地の広さを見たいから」「私も度田令の任務が終わったら北西に戻って国境を守る、世の星河を守るために… これからは自分を大切にする、お互いにしっかり生きよう」少商と不疑は笑顔で別れた。しかし互いに相手の姿が見えなくなると立ち止まり、こらえ切れず涙してしまう。。゚(∩ω∩`)゚。少商は曲陵(キョクリョウ)侯府に戻った。すると母が初めて少商の好物を手作りしたという。5年の月日が流れ、ようやく親子3人で過ごす穏やかな時間、しかし蕭元漪(シャオユエンイー)は急に点心を食べている娘の手を止めてしまう。「もういいわ、どうせ上手じゃないから」「嫋嫋(ニャオニャオ)は何も言っていないだろう?」程始(チォンシー)は相変わらず自分に厳しい妻に失笑した。「嫋嫋、阿母が悪かった…初めての女の子だったから… 兵の指導とどう違うかも分からなかった、息子を育てるのとはもっと違うし… 娘の成長はあまりに早過ぎた、どう改めていいのかも分からなかったの 私が間違っていた、もう一度やり直せるなら決してあなたを置き去りにしない 自分のそばに置くわ、家族で生死を共にするのよ」少商は母の涙にほだされ、長年のわだかまりがゆっくり解けて行くのを感じた。少商は母の手作りの点心を甘い物に目がない祖母に届けることにした。すると偶然にも過去を悔やむ祖母の話が聞こえてくる。当時は二房の葛(ゴー)氏にそそのかされ、老夫人は父と母を支配しようと躍起になっていた。その結果、幼い嫋嫋が最も被害を被ることになったという。「やり直せるなら嫋嫋によくしてあげたい、だって私の孫だもの… 私が死んだら蓄えた金銀財宝は全てあの子に残すわ もし一生、嫁がなくても暮らしていけるようにね、本当にあの子に申し訳ない…」少商は複雑な心境になり、結局、引き返した。少商は蓮房(リエンファン)と東屋に腰掛けた。思えば田舎の別宅に送られた時、蓮房の献身的な世話がなければ今頃、自分の墓が建っていたはずだ。「あなたは私が唯一、信頼できる人だった」「もう昔のことです」少商は祖母とも仲良くなりたかったが、どうにも近寄りがたかった。程家の危機では祖母も身を投げ打ち、徐々に家族になれたと思ったが、やはりまだどう向き合えば良いのか分からない。しかしこれからは誰が自分を憎み、嫌うのかではなく、自分を大切にしてくれる人のことを考えようと決めた。「それが生きる活力になる…人は良い事を考えないと… そうしないと余生をしかと生きられなくなってしまう」蓮房はすっかり大人になった女公子の言葉に大粒の涙をこぼした。。゚(∩ω∩`)゚。 少商は宣皇后の故郷に向かう前に参内、袁慎(ユエンシェン)に別れを告げた。実は善見(シャンジエン)も外地に赴任することになり、皇帝に挨拶したところだという。「2年前、父が義兄を救出するため部隊を離れ、味方が不利な状況に陥ってな 霍不疑は父を助けるため駆けつけ、死にかけたんだ しかし陛下の恩情で父は降格の上、膠東(コウトウ)に戻るだけで済んだよ」父は祖先に面目ないと身体を壊したが、これを機に母も夫を気遣うようになってすっかり夫婦仲が改善されたという。「2人は出発前、我らの縁談を案じていた」「…ごめんなさい、望みには応えられない」「残念だな~将来、私は三公に並び称される、三公夫人になり損ねたな?」袁慎はかつてのように茶化して笑ったが、初めから不疑に勝つ見込みがないと分かっていた。この5年、少商を見守り続けた袁慎、最後は少商の立ち去る姿を見送りながら未練を断ち切った。袁慎が城楼から都を眺めていると霍不疑がやって来た。「決めたのか?」「そうだ、父のためお前は死にかけた、これ以上、競っては恩知らずになる」実は不疑も度田令の推進のため、各地を巡察し、監督すると申し出たという。袁慎は不疑が程将軍の代わりに戾(レイ)帝の残党を掃討するつもりだと気づいた。しかし少商の父や兄を助けるのはまだ分かるが、なぜ恋敵の自分の父を命懸けで救ってくれたのだろうか。すると不疑は少商が袁慎を案じているからだと明かした。「お前が達者でなければ少商は安心できない、楼垚(ロウヤオ)を推挙したのも同じ 彼女は口とは裏腹に情に篤いからな…関心を持つ者が達者なら彼女は安心できる 私がお前たちを守れば、彼女はようやく自分の道を模索できる」「お前は私より情が深く、愚かだ…彼女の愛に値する」袁慎は最後まで少商に寄り添える者がいるとしたら、不疑であって欲しいと願った。。゚(∩ω∩`)゚。不疑…サイコーか宣皇后の四十九日が過ぎ、少商は双子の兄・程少宮(チォンシャオゴン)と一緒に宣皇后の故郷へ向かった。やがて驊(カ)県から十数里の山道を進んでいたが、その時、待ち伏せしていた馬車が一行を足止めする。馬車に乗っていたのは都を追われた楼太傅の娘・楼縭(ロウリー)だった。楼縭は楼垚が少商に今の驊県を見てもらいたいと願い、招待したいという。「ありがとう、でも宣皇后の郷里に向かっているのでごめんなさい」しかし少宮はここで待っているので行ってこいと背中を押した。楼垚と何昭君(ハージャオジュン)は少商の来訪に驚いていた。どうやら自分は招待されたわけではなく、楼縭が勝手に連れて来たらしい。しかし夫婦は両親を相次いで亡くした楼縭を気遣っていた。すると空席がひとつある。何かおかしいと警戒する少商、その時、身重の何昭君が急に苦しみ出した。「お腹が痛い…産まれそう」予定日はまだ先のはずだったが、楼垚はともかく産婆に連絡するため慌てて出ていってしまう。一方、巡察に出発した霍不疑一行は道中の山林で襲撃に遭った。黒甲衛(コクコウエイ)は賊を一掃、すると付近の溝で数十人の死体が見つかる。「驊県の侍衛の鎧を着ていました、他には…袁家の部曲の身なりに酷似を…」驚いた不疑は行き先を驊県に変更した。楼縭は少商に手伝いを頼み、何昭君を連れてなぜか廟に入った。「県衙(ケンガ)に廟を立てるなんて、誰かが修行でもしているの?」少商は困惑したが、その時、突然、楼縭が隠し持っていた短剣を抜き、襲いかかって来る。「少商!」つづく( ;∀;)イイハナシダ〜って、え?これが最終回かってくらい良かったのに今さらローリーって…ないわ___w
2023.12.23
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第23話)第50話「我が名は…」文(ウェン)帝の命を受け、崖から落ちた凌不疑(リンブーイー)の捜索に向かった三皇子。深手を負った不疑はかろうじて山肌の蔓に絡まり生きていた。三皇子は懸命な救出作業を見守っていたが、程少商(チォンシャオシャン)の心配が的中し、左(ズオ)将軍が引き上げを手伝うふりをして縄を切ろうとする。しかし目を光らせていた三皇子が気づき、あっけなく捕まった。「…呼応する仲間を待っているのか?だが奴らは永遠に来ないぞ 収監して拷問せよ!死んでも構わぬ!」凌不疑は崖から引き上げられ、三皇子が急いで宮中に運び込んだ。皇帝と三皇子が見守る中、医官たちの懸命な治療が続いたが、不疑は琴の弦を握りしめたまま離さず、なかなか手当が進まない。「琴の弦?」「少商の弦です…意識を失っても誰にも触らせないとは…」皇帝は老三の話を聞いて少商がいないことを思い出し、すぐ呼ぶよう命じた。曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)は程娘子ならすでに回廊にいると伝えたが、本人曰く凌将軍とは縁が尽きたので会えないという。「首に縄をつけても連れてこい!」しかしその時、殿外から少商の笛の音が聞こえてきた。凌不疑は叶わなかった少商との成婚の夢を見た。…もし私を独りにするなら一生許さない、来世も、来来世も許さないから!…このまま死を選べば2度と少商は許してくれないだろう。走馬灯のように蘇る少商との思い出、それが不疑の生きる希望となった。…それから別院に花畑を作る、琴と笛で合奏するの、私たち2人で共白髪となり生死を共に…すると不疑は弦から手を離し、それまで無意識に受け付けなかった薬を飲み始めた。こうして不疑は峠を越え、夜が明ける。「もう凌将軍は大丈夫です!」医官の声を聞いた少商は部屋の中をのぞき、不疑の無事を見届けてから倒れた。少商が目を覚ますと皇后が付き添っていた。「せっかく子晟が目覚めたのに、そんな様子では心配になる」「…彼とはもう終わりです」少商は自分が子晟でも同じ選択をしたと理解を示したが、何が真心で何が計略なのか分からなくなったという。「あんな仕打ちは承服できない、敵を殺したいのなら、そう言って欲しかった 私も一緒に行く、たとえ黄泉だとしても一緒に行くのに… でも私を独りにするのは許せない、しかも私のためだなんて… 幼い頃は両親に捨てられ、今度は愛する人に捨てられた 陛下と皇后から教わりました、夫婦は一心同体だと…そうでしょう? でも私だけが一心で彼は隠し事ばかり、一心だったことがあったのでしょうか?」「…もう決めたのね?」「決めました」すると皇后は納得できるまで調べるよう勧めた。全てが分かった時、少商がどんな選択をしても支持するという。「余とは違ってあなたの人生は順当であって欲しい、余の分までしっかり生きるの」少商は袁慎(ユエンシェン)に頼んで淳于(チュンユー)氏と会うことにした。実は淳于氏は血の海の城陽侯符を目撃し、衝撃のあまり錯乱してしまったという。人を見ても暴れるだけで会話もできず、今は廷尉獄に収監されていた。実は少商は兼ねてから城陽侯夫妻が仲睦まじく見えず、凌益(リンイー)がなぜ非難されると知りながら後添えを迎えたのか疑問だったという。「そうか、弱みを握られ、娶るしかなかったと…」少商は淳于氏に凌益が死んだと教えた。「当時、あなたが流産した理由を知ってる?家職に聞いたの 凌益はあなたの飲食に薬を盛らせた、長年、服用すれば身ごもれなくなるわ 彭坤(ポンクン)と結託した証拠を握れば城陽侯夫人になれると思ったの? 凌益のごとき奸人が脅されたままで甘んじるはずない あなたが寄る辺もなく孤独に死ぬのを望んでいたのよ、そうしてこそ脅す気力も失せる …でも錯乱しているなら真相を知っても苦痛じゃないわね」淳于氏は激しく動揺すると、ふいに凌益に叩かれた時の事を思い出した。あの時、あまりの理不尽さに憤り、いつも手を合わせていた神像を三才観の汝陽(ジョヨウ)王妃に届けるよう頼んでいる。すると淳于氏は急にその場にひざまずき、手を合わせて一心不乱に祈りを捧げ始めた。「三才観の女媧様!私にどうか子供をお授けください…」袁慎は結局、淳于氏が錯乱しているのか偽りなのか分からなかった。すると少商はどちらにせよ生き延びるには錯乱するしかないという。「因果応報よ、これから三才観へ行く」意識を取り戻した凌不疑は朝堂で15年前の孤城陥落について証言することになった。皇帝は念のため医官を待機させ、その場で薬を煎じさせている。すると廷尉(テイイ)府・紀遵(ジーズン)が口火を切った。「教えてくれないか、当時、孤城で一体、何が起きたのか…凌将軍?」「私は霍(フォ)だ、凌ではない」今も忘れられない、あれは杏の実がなる頃だった…あの日、阿猙(アージョン)は身体が弱い阿狸(アーリー)のため、木に登って好物の杏を採ってやったしかし木から降りる時、うっかり衣が引っかかって破れてしまう『阿母が用意してくれた衣なのに…見つかったら罰を与えられる』『見せて…大丈夫、僕と衣を替えよう』阿狸は衣を交換して舅父・霍翀(フォチョン)が気づくかどうか試そうと提案した衣なら自分が破ったと言えばいいという『この杏は舅父と舅母に渡して、そうすれば阿母の前で僕をかばってくれる』阿猙は阿狸の衣を着て父の部屋に入り、書卓に杏を入れた袋を置いたすると外から父たちの声が聞こえ、咄嗟に衝立ての裏に身を隠す衝立ての隙間から見えたのは父の背中の傷を手当しながら撤退するよう説得している姑父・凌益の姿だった『援軍が遅すぎる、文氏は我らを見捨てた…将軍、孤城を守ってやる必要はありません』しかし霍翀は一蹴し、妹婿という立場に免じて聞かなかったことにすると言ったその時、阿猙は凌益が背後からいきなり父を刺すところを目撃する『ぐっ…やはり敵と通じていたか…』『なぜ降伏せぬのだ?英雄になるため我らまで道連れにすると?! 援軍は来ない、いや来られぬのだ、誰も来ない…』阿猙は父の最期を目の当たりにしながら、嗚咽が漏れないよう必死に自分の口を押さえた…「凌益の結託した相手が誰なのか謎のままでした しかし寿春(ジュシュン)で突き止めたのです、凌益と共に孤城を陥れたのが彭坤だと…」…阿猙が息を潜めて隠れていると、誰かが入って来た『投降の説得では?なぜ殺した?!』『霍翀は強情だ、絶対に投降などしない…殺さねばいつか報復される だが家族は見逃せるだろう?』『誰が見逃すと?霍翀がいなくなったのなら攻める絶好の機会だ 孤城が陥落すれば文帝の敗北を決定づける、共に主公を入城させるぞ』『騙したのか?!家族は見逃すという約束だ』『お前だけだ、どちらにせよ兵が殺す』すると凌益たちは出て行った阿猙の足元まで流れて来た霍翀の鮮血、すると建物に火が放たれ、阿猙は煙を吸い込んで気を失ってしまうしかし運良く、その日は孤城に大雨が降った阿猙が目覚める頃にはすっかり日も暮れ、外は見渡す限りの骸と血の海が広がっていたすると突然、父の妹・霍君華(フォジュンホワ)が現れ、生き残った2人は身を隠すことにするその時、稲光が暗闇を照らし、城門が見えた霍君華は悲鳴を上げ、咄嗟に甥の顔を手で覆ったが、阿猙は姑母の指の隙間からその情景を見てしまう城楼には父や叔父たちの生首が並び、その中に阿狸の顔があった…「衣を替えた阿狸は私の代わりに死んだのです」2人は賊軍がいなくなるまで丸二日、飲まず食わずで死人の山に隠れ、城門を逃げ出した。我が子の無惨な姿を見た霍君華は時に錯乱し、時に呆け、ずっと息子の名を叫びながら、都へ戻ろうと言い続けたという。そして2人は何度となく死にかけること2年、やっと都へ到着し、皇帝に謁見した。実は当時、霍君華は甥が凌益に殺されないよう阿狸と呼んでいたという。『童よ、そなたは…』皇帝はあの時、不疑に名を聞いた。しかし錯乱した婦女と幼子に過ぎない自分たちに闘う術などなく、不疑は身分を偽ったという。『私の名は…凌不疑』不疑は敵を討つために阿狸の身分でいるしかなかった。賊を父と見なし、本名を隠したのも全ては仇を葬り去るためだったという。「父のため、霍一族のため、孤城の民のため、孤城陥落に関わった者には代償を払わせる! それも達成間近と思えた… 都へ戻った私は密かに探り始めるも、凌益が次々と証拠を隠滅、そして結局、私は負けた 凌益は関わった者を彭坤も含めて全て殺害、姑母も身体が持たずに無念のうちに病死した… こうして証人が全て消え、望みは潰えた 正当に凌賊を捕らえられぬなら、自ら手を下すのみ…」「これぞ同害報復…」皇帝は不疑の前まで歩いて行くと、もう一度、あの時と同じように聞いた。「童よ、自ら言ってみよ、お前の名は?」「私の名は…霍無傷(フォウーシャン)」つづく。゚(∩ω∩`)゚。 しゃんしゃ〜ん!
2023.12.03
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第27話「本当の気持ち」凌不疑(リンブーイー)の権勢に反発しながらも聘礼(ヘイレイ)の儀を済ませた程少商(チォンシャオシャン)。すると不疑は程家も自分の家族だと言って黒甲衛(コクコウエイ)に曲陵(キョクリョウ)侯府を警固させた。「これからは私の親衛が毎日、出入りを調べて安全を守ります(キリッ!」(๑•̀ㅂ•́)و✧<お任せください!( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)アルソック?さらに翌日は早朝から屋敷の人間が中庭に集められ、厳しい訓練が始まった。2人の兄はもちろん、堂姉・程姎(チォンヤン)や侍女まで体力作りのためだと鍛錬を強いられてしまう。凌将軍の威光に程始(チォンシー)も逆らえず、穏やかな姎姎さえ生まれて初めて反抗したくなったと嘆いた。喉が渇いても身体が冷えるからと白湯しか飲ませてもらえず、夜になっても護衛の目が光り気が休まる時がない。やがて家族は限界に達し、凌将軍の対応を嫋嫋(ニャオニャオ)独りに任せると決めた。その夜、少商は塀をよじ登って脱出、万萋萋(ワンチーチー)と酒を飲んで憂さ晴らしした。「以前は書を読めと見張られたけど、今はみんな凌不疑から隠れるのに必死でそれどころじゃない 今や阿母の代わりに凌不疑が干渉するの、母の干渉なんて凌不疑に比べたら可愛いもんだったわ 鍛錬って…ケッ!屋敷中を集めて訓練を始めたのよ?!(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ バンバン!」しかし軍生活に慣れている萋萋は確かにその病弱で非力な姿を見れば鍛えるべきだと失笑した。少商は何も指図しなかった楼垚(ロウヤオ)を懐かしみ、食事にまで口を出す凌不疑への不満が爆発する。「あの笑い話、何なの?あれは嫁がなければ一家が死ぬっていうおどしよ!凌不疑は極悪非道!」「でも…凌不疑は色々と尽くしてる…で、あんたは凌不疑が好きなの?嫌いなの?」「好きってどんな感情?」「そうね〜たとえば目を閉じても顔が浮かんでくるとか…」少商は目を閉じて考えてみたが、ふと目を開けると凌不疑の顔があった。凌不疑が泥酔した少商を背負って帰って来た。家族は凌将軍が少商を酔わせたと誤解して非難したが、聞けば少商が屋敷を抜け出して萋萋と酒を飲んでいたという。「少商だけでなく馬車で万娘子が寝ています」すると驚いた程頌児(チォンソンアル)が馬車の様子を見に行った。蕭元漪(シャオユエンイー)はいくら許嫁とは言え成婚前だと指摘、ともかく夫に少商を渡すよう頼んだ。しかし凌不疑は無理だという。「離したくないわけではなく、ご覧ください」すると不疑は両手を離してみせた。どうやら少商は凌不疑を馬だと思い込んでいる様子、しがみついて離れようとしない。「程夫人、私が運びます」一方、馬車でも泥酔した萋萋が程頌児に絡んでいた。手を焼いた程頌児は萋萋を押さえつけ、静かにさせるため口づけしてしまう。↓(*≧∀≦)ノ<ジィァ! ヒッ!(゚ロ゚ノ)(゚ロ゚ノ)ノ翌朝、少商は蓮房(リエンファン)から凌不疑におぶさって帰って来たと聞いた。すると早速、凌不疑が酔い覚ましの汁物を届けに来る。「私が酒を止めるのが気に食わなくて痛飲したのか?」そこで凌不疑は宮中の医官に生薬で作らせた桃花釀(トウカジョウ)を差し入れた。「これなら悪酔いしない、酒を飲みたい時はこれを… 自由を奪う気はない、身体を大切にして欲しいだけだ」「これは嫌い…生薬配合なら養命酒の方が好き」←とは言ってないw「もしや嫌いなのは酒ではなく私か?…少商、私は努力している、なぜ避けるのだ?」蓮房は仕方なく女公子の代わりに酔い覚ましと桃花釀を受け取り、出て行った。少商は自分たちの住む世界が違うと訴えた。「こればかりはどうにもならないわ、それにここは私の家で私の家族、あなたのものじゃない」「確かに…」不疑は幼少より軍で育ったため、命令を第一に考えるきらいがあった。決して強制したり支配するつもりはなく、ただ相談する習慣がないという。不疑には長年、家族もおらず、誰かと打ち解ける機会もなかった。「だから学びたい、私が権勢で抑圧したと言うが、私も普通の人間だ 君と普通の暮らしを送りたいと願っている」「でも私にとっては抑圧なの、桃花釀もいらない、私や家族への過剰な気遣いも不要よ そもそもあなたは普通の人じゃないし、私たちは平等じゃなかった あなたは私の気持ちも確認せず陛下に婚姻を頼んだわ、私を尊重していると言える? あなたのやり方は息が詰まるの…」すると凌不疑は何より自分のことをどう思っているのか聞いた。「私を好きか?…好きではないのか?!」しかし少商はこれまでの不満が一気に爆発してしまう。「あなたの言う″好き″とはあなたに服従して監視されることなの? 行動や食べる物も管理され、朝から一家中で鍛錬を強いられ怯えることが? それが″好き″だと言うなら私には耐えられない!永遠に望まぬ日々よ!」「では君が望む日々とは?」「それはあなたのいなぃ…(はっ!)」「それが本音か…」「嘘偽りなくね…私の家から出て行って、ここで別れてお互いに別々の道を行きましょう」「…帰るよ」蓮房は女公子に朝餉を運んだ。「あれだけ吐いたらさすがに空腹でしょう?」聞けば凌不疑は昨夜から一睡もせず少商を介抱していたという。その上、少商は一晩中、笑ったり泣いたり、しまいには凌不疑を叩くは蹴るは噛みつくはで、蓮房は激怒した凌将軍に殺されやしないかと怖かったと笑った。少商は何も覚えていなかったが、ともかく両親の部屋を訪ねることにする。すると寝殿の前に新しい履き物が置いてあった。「あ、これは女公子の足が冷えないように凌将軍が大蛇の皮で作らせたそうです 熱がこもらず、四季を通して履けるとか」程始は凌不疑に何ら非はないとかばった。そもそも人生はままならぬもの、凌不疑に嫁がなくても自分の望むまま生きて行けるとは限らない。蕭元漪は自分で応じておきながら躊躇するのは君子の所業ではないと呆れたが、ただ娘の幸せのためなら全てを捨てて縁談を断る覚悟はあると言った。「だから阿母にあなたの本音を聞かせて。凌不疑が本当に嫌いなの? この世に完璧な人間などいない、好きになっても全て意に沿うとは限らないわ 阿母と阿父さえ、ぶつかり合いながら円満な夫婦になったの 心を動かせる人に嫁げることだけで貴重なのよ?ちゃんと考えてから決めなさい」すると最後に程始は嫋嫋がどんな結論を出そうと賛成すると言った。少商は部屋に戻り、初めて凌不疑とのことを真面目に考えた。やがて日も暮れ、蝋燭に火を灯す。確かに凌不疑は不器用だが常に自分を守り、尊重してくれた。あの優しいまなざしも大きな背中も、いつの間にか少商の心の中に深く刻み込まれている。すると少商は凌不疑への本当の気持ちに気づき、部屋を飛び出して母屋へ走って行った。「阿母、阿父!決めました!…嫁ぎます!」つづく( ;∀;)やっぱり親の愛を越える愛はないのね~
2023.09.15
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第28話)第55話「肩を並べる時」楼縭(ローリー)は程少商(チォンシャオシャン)に協力を頼み、産気づいた何昭君(ハージャオジュン)を連れてなぜか廟に案内した。違和感を感じて殿内を見回す少商、するとふと安置された神像に目が留まる。その時、楼縭が隠し持っていた短剣を取り出し、突然、少商に襲いかかった。「程少商!あなたが従兄を自害に追い込み楼家は没落した、命をもらう!」少商は間一髪で楼縭の腕をつかみ助かったが、そのまま揉み合いとなった。「何昭君!神像を調べて!隠し扉があるかも!」少商の予想通り何昭君が神像を動かすと後ろの壁が開いた。少商は楼縭の足を思い切り踏みつけ、楼縭が怯んだ隙に何昭君と一緒に密室へ逃げ込んだ。すると思いがけず鉄鎖で拘束された傷だらけの袁慎(ユエンシェン)を発見する。度田令の推進中だった袁慎は油の買い占めに気づき、巡察中の皇太子が通過する郭(カク)村に貯蔵されていると突き止めた。そこで急いで知らせに向かうはずが、途中で戻(レイ)帝の残党に捕まってしまったという。少商はともかく袁慎を解放するため鍵を解錠することにしたが、袁慎は無駄だと止めた。「最も難解な連環鎖(レンカンサ)だ、解けやしない、早く逃げろ、私のために命を捨てるな」「この天下に私の解けない仕掛けはない、だから黙っていて」ちょうどその頃、外套を目深にかぶった女が廟に入って来た。楼縭は復讐を果たせなかったが、女は少商を誘い込めただけで上出来だと労う。「でも全てやり遂げてくれたのならもう用なしね…」女はいきなり楼縭の腹を刺した。「霍不疑(フォブーイー)と程少商以上に楼大房が憎い…あの世で父や母と再会するが良いわ」「阿父と阿母を殺したのは…あなた…」楼縭はようやく両親の敵に気づいたが、そこで事切れた。霍不疑一行は急遽、驊(カ)県に入った。一見、穏やかに見える城内、すると民に成りすましていた残党がいきなり襲いかかり、不疑を配下から引き離して孤立させてしまう。その頃、少商は解錠に成功し、何昭君と袁慎を連れて密室から脱出しようとしていた。しかし突然、床が開いて地下室へ落下してしまう。袁慎は自分に構わず逃げろと言ったが、天井が閉まる寸前に誰かが飛び降りて来た。「少商?!無事か?!」「なぜあなたがここに?」不疑は巡察中に異常を察知、驊県に駆けつけたところ戻帝の残党に県庭へ追い込まれたという。「ここに私を誘い込んだのは私の一番、大切な者が罠にかかったからだ」「罠だと知りながら飛び込むなんて…救援を求めてから敵を討てばいいのに!」「失ってからでは敵討ちに意味はない…生きていることが重要なんだ」その時、楼縭を殺した女が現れた。「餌には釣られないと思ったのに…ふっ、情愛にどっぷり浸かると英雄も愚鈍になるのね」少商は女の声で行方知れずとなった王延姫(ワンイエンジー)だと分かった。王延姫は面紗を外して正体を明かした。「今日、お前たちには私が作った墓場で死んでもらう 川で救われたあの瞬間から敵討ちを誓った、やっと果たせる…」地下室には楼犇(ロウベン)の位牌が安置され、床には藁が敷き詰められていた。どうやら王延姫は不疑だけでなく少商たちまで道連れにして死ぬつもりらしい。「少商、楼家で良くしてあげたのに、どうして夫を追い詰めたの? 袁慎、お前は知り過ぎたわ、計画を阻止する者は殺すしかない」少商は自分たちを逆恨みする気持ちは分かったが、身重の何昭君は無関係だと憤る。しかし王延姫は楼垚(ロウヤオ)を自由にするためだと言った。「楼垚は彼女を愛していない、無理やり娶らされたの、夫は死ぬ間際まで弟を案じていたわ 義姉として助けてやらなくては…子なら別の女が産む」その頃、楼垚は楼縭に騙されたとも知らず、従者と清(セイ)県にいた。産婆は夫の実家へ戻ったと聞いて訪ねてみたが見当たらず、従者は楼縭の勘違いではないかという。仕方なく楼垚は激しい雨の中、片っ端から医師をあたり、ようやく対応してくれた医師をなかば強引に連れ出した。夫の後を追って入水した王延姫を救ったのは田朔(ティエンシュオ)だった。復讐のため賊に寝返った王延姫、すでに皇太子が訪ねる郭村の道中にも油を撒いたという。「妻より野心を選んだ男だ、そんな者のために命を懸ける価値があるのか?」「あなたこそ少商より痛快に報復することを選んだくせに」「凌益(リンイー)を殺した後、少商を一目見て後悔した、夫婦は同心で肩を並べるべきだと… この5年、後悔しない日はない、復讐が難しくとも成婚すべきだった 共に明るい道を歩むべきだった」不疑の言葉を聞いた王延姫は夫もこうして悔い改めてくれたらと思うとやるせなくなった。「あなた…どうして私だけ置いていったの?」すると少商が楼犇も後悔していたと明かした。楼犇は少商に地形図を贈る際、窮地の時は心を縛られず天地を見いだせるようにと戒めたという。「その言葉をあなたに送るわ」しかしもはや夫の言葉も心に響かず、王延姫はついに火を放ってしまう。王延姫は積み上げておいた油を次々に倒し、地下室はあっという間に激しい炎に包まれた。すると王延姫は自ら煙に巻かれて倒れてしまう。その時、黒甲衛が駆けつけ、天井をこじ開けた。「若主公!」梁邱起(リャンチゥチー)は縄梯子を下ろし、身重の何昭君と負傷した袁慎を次々と引っ張り上げる。そして2人に続いて少商も無事に脱出、登ってくる不疑に手を伸ばしたが、突然、不疑の足に王延姫がしがみついて邪魔した。「…連れて行け、彼女を連れて行くんだ!」少商を守るため苦渋の決断を下した不疑。梁邱起は涙をのんで少商を床から引き離すと、ついに黒甲衛も力尽き、床は再び固く閉ざされてしまう。「子晟!子晟nnnnnnnnnnnnnnnn!」梁邱飛は少商を密室から逃がし、仲間たちも一斉に避難した。その時、地下室が爆発、少商たちは吹き飛ばされながらも九死に一生を得る。しかし不疑は…。少商は絶望の中、頑なだった自分を責めた。「子晟、後悔しているのでしょう?私の手を離さないと言ったのに! 私を散々つらい目に遭わせたから、この先はずっと私に尽くすのでしょう? 分かった、もう許すわ、だから返事をして、お願いよ!」不疑を失った悲しみに耐えられず絶叫しながら泣き崩れる少商、しかし、うなだれていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が物音に気づいて門を見た。「若主公…」霍不疑は生きていた。不疑は王延姫が中へ入れたのなら出られると判断、激しい煙の中で抜け道を探し当て、はい出したという。「少商…私を許してくれるのか?撤回しないでくれ」少商と不疑は硬く抱き合い、5年間のわだかまりが溶けて行くのが分かった。その時、ようやく清県から戻った楼垚が飛び込んで来る。「昭君!私と連れ添うと約束しただろう?共に子を育てると…約束を破ってはダメだ?!」崩れた密室の前で呆然となる楼垚、しかし何昭君は無事だった。「…楼垚?私ならここよ」「(はっ!)良かった!」楼垚は妻の手を握りしめ涙を流し、何昭君も楼垚の心に自分がいると分かって安堵した。田朔の陰謀を阻止するため、霍不疑と少商は共に立ち上がった。しかし不疑は道中の皇太子の元へ、少商は郭村で民を守ることになる。「少商、危険な任務になるぞ?」「大勢の民や天下に比べたら私たちの愛憎なんて微々たるものよ」「少商、君は唯一、私と肩を並べる者だ」こうして2人は県庭の前で別れた。郭村を目指してた皇太子一行の前に田朔が立ちふさがった。「三皇子、息災のようだな?」皇太子は今度こそ田朔を捕えようと意気込んだが、その時、伏兵が現れ、包囲されてしまう。劣勢を強いられた皇太子は自ら剣を抜き応戦するも負傷、満身創痍で田朔と対峙した。「国の後継者として死ぬのは戦場のみ…決して退かぬ!」「では主公に代わり正義の鉄槌を下す!」しかし危機一髪のところで霍不疑が駆けつけ、皇太子を守った。「霍不疑?!生きていたのか!王延姫の役立たずめが!」田朔は計画が失敗したと気づいて悪態をついたが…。つづく( ̄▽ ̄;)ちょっと田朔の声www最終話が不安になって来たw
2024.01.03
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第26話)第53話「長秋からの旅立ち」霍不疑(フォブーイー)に嫁ぎたいと願うも手酷く追い返された駱済通(ルオジートン)。これも全て程少商(チォンシャオシャン)のせいだと逆恨みし、長秋(チョウシュウ)宮に少商を訪ねた。少商は殊勝にも先のぶしつけな態度を謝罪する駱済通を追い返せなかったが、どちらにしても助けることはできない。「彼とはもう関わりたくないし、とりなす気もない、成婚を勧めることもね…あなたの問題よ」「今日はあなたに伝えに来ただけ、北西に戻って余生を過ごすわ、これで永遠にお別れよ 明日にも出発する、ただやり残したことがあるの…」宣神諳(シュエンシェンアン)の心疾(シンツウ)は悪化の一途をたどり、今朝は身体を起こすこともできなくなった。そんな宣神諳の元に帰京した霍不疑が見舞いにやって来る。「子晟(ズーション)なの?」「私です」不疑は宣皇后が力無く伸ばした手を取り、頬に当てた。「少商ならまだ婚約していない…少商の心の中にはまだあなたがいるわ」「知っています、私の過ちです、一生かけて贖罪すると決めました」その時、宣皇后が重い身体をどうにか起こした。「少商は幼き頃、最も愛が必要な時に家族がそばにいなかった 愛しているなら少商の心に欠けたものを補ってあげて… あなたの決断を理解させるのではなく、相談し合って初めて肩を並べて進めるのよ?」「はい、今後、少商には全てを明かし、語り尽くします、隠し事はしません」「だけどもう私には時間がない、2人の成婚を見届けられないわ」「私は不肖者です…ご心配をかけて…」不疑は育ての親でもある宣皇后への不孝を思うと涙があふれ出した。すると宣神諳は子晟の涙を拭い、来世では子晟と少商を息子と娘にしたいという。「そして長生きして2人に養ってもらいながら笑顔で晩年を送るの これこそ満ち足りた人生というものよ」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)が現れた。「霍将軍に急務だと…」宣神諳は最後に少商としっかり話すよう念を押し、必ず許してくれると励ました。不疑が寝殿を出ると翟媪が待っていた。梁邱起(リャンチゥチー)から知らせがあり、少商が都を離れる駱済通の馬車に同乗して郊外に向かったという。実は駱済通は宣皇后の心疾を治せる神医に心当たりがあると嘘をつき、少商を連れ出していた。少商はなかなか到着しないことを訝しんでいたが、やがて駱済通が本性を現す。「…幼き頃より彼を慕うも身分の差で明かす勇気はなかった その後、互いに婚約して望みは絶えた、でも天は私を哀れみ北西で再会させてくれたの あなたに分かる?愛する人がいながら別の人を世話する気持ちが…」駱済通は不疑への思いの丈をぶちまけると、少商に隠し持っていた短剣を突きつけた。「彼は女に目もくれないのにあなただけは別、なぜ霍不疑の目にはあなたしか映らないの?! 彼のためなら何だってやる、夫だって殺したのよ?でも彼は私を愛してくれない でもあなたを殺せば彼は私を忘れられなくなる、恨まれても本望よ」御者は崖に向かって馬を走らせた。しかし背後から凌不疑の馬が追いつき、驚いた御者は飛び降りてしまう。その時、短剣を振り上げる駱済通の姿が窓から見えた。不疑は無我夢中で手を伸ばし、素手で短剣をつかんで取り上げる。その間も馬の暴走は止まらなかった。不疑は何とか馬車に飛び移ったものの間に合わず、咄嗟に車から少商を抱きかかえ脱出、駱済通は馬車と共に谷底へ転落してしまう。( ;∀;)ァァァ~ウマーの扱いィィィィィ~不疑は少商の手をつかみ、かろうじて岩肌にしがみついた。しかし少商は不疑の手から流れる鮮血で真っ赤になった自分の手に気づき、覚悟を決める。「手を放して、あなた独りなら登ることができる」少商は自ら手を放したが、不疑は少商の手を握りしめて決して放さなかった。「独りで生きるつもりはない、君に許してもらえるとも思っていない だが歯形の誓いから君は私の妻になった、君が生きれば私も生きる、君が死ぬなら私も死ぬ!」その時、2人を探していた黒甲衛(コクコウエイ)が到着、不疑と少商は無事に引き上げられた。少商は不疑の手の傷を心配してくれた。不疑は包帯を巻けば支障はないと安心させ、皇宮まで送りたいと申し出る。しかし少商は必要ないと断った。落胆しながら馬の元へ歩き出した不疑、その時、宮中から早馬が駆けつける。「霍将軍!程娘子!すぐ皇宮へ!宣皇后が危篤です!」少商と不疑が長秋宮に戻る頃には激しい雨となった。2人はびしょ濡れのまま寝殿に駆けつけ、一番後ろで静かにひざまずく。文(ウェン)帝は枕元で付き添いながら、自分が宣神諳の一生を台無しにしたと涙した。しかし宣神諳は皇帝と出会えて幸せだったという。「分かっています…阿姮(ホン)妹妹が流した涙が私より多いことを… これからは彼女と手を取り合い暮らして欲しい…私という存在がなかった頃のように… 陛下、阿姮と話をさせてください」越姮(ユエホン)は宣氏一族のことなら心配ないと安心させた。しかし宣神諳が話したいのは自分たちのことだという。「我が子は19歳の時に襲われたけれど、あなたを疑ったことはないわ」「分かっています…あの年、私の息子も4ヶ月で夭折しました でも疑ったことはありませんでした」「分かってる、決して私を疑わないから外の流言も恐れることなく子供たちを受け入れてくれた」「…私たちは姉妹同然でした」「普通の家の姉妹だったらどれだけ良かったか…」すると宣神諳は子供たちを呼ぶよう頼んだ。皇帝は宣神諳を抱き起こして子供たちの顔を見せた。すると宣神諳は最後の望みとして父が隠居した山で眠りたいという。「この身体は皇陵に葬るしかない…だからお願いです 私の髪を一束ほど切って少商に燃やさせてください、その灰を埋めて欲しい」「分かった、全て望みのままにしよう」そして東海(トウカイ)王には闊達に生きるよう諭し、翟媪の面倒を頼んだ。嫁いだ五公主にはしっかり生きて欲しいと願い、美しい歳月を大切にして欲しいという。「子晟…」不疑は宣皇后に負い目があった。しかし宣神諳は子晟も苦汁をなめて生きて来たと理解を示す。「私が逝った後は過去のことは水に流すといいわ…あなたも自分を許してあげて… 少商、ここへ…」少商は寝台へ近づくと、宣皇后の手を握りしめた。「少商、あなたを巻き添えにし、5年も無駄にさせたわ…」「巻き添えなんて…少商が望んだのです、5年でも10年でも…」「バカな子ね…私のために多くを犠牲にしてしまった だから将来の日々は自分のために生きなさい…私のように無意味な余生を送らないで欲しい 母としてはあなたたち2人の縁がそのまま続いて欲しい… ただ情理を知る目上の者としては婚姻が強引に求められないことも分かる だから万事、心に従えとしか忠告はできない…今を大切にして悔いなきように…」すると宣神諳は苦しくなったのか大きく息を吸い込んだ。「陛下…来世では太平な盛世に生まれ、放浪の苦を免れますように… 来世では両親が健康で長生きして憂患の苦を免れますように…ハァ… あなた…あなたに嫁げて幸せでした… でもどうか来世では…あなたと会うこともないように…」宣神諳は夫婦の情を得られぬまま不遇の人生を終えた。悲しみに包まれる長秋宮、その頃、心の支えを失った少商は呆然と宮中を歩いていた。やがて憔悴した少商は激しい雨の中で倒れてしまう。不疑は意識を失った少商を曲陵(キョクリョウ)侯府へ送り届けた。突然のことに困惑する程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)、聞けば宣皇后が逝去したという。「…私は送って来ただけ、すぐ失礼します」「霍不疑、待たんか!」程始は娘を簡単に捨てた霍将軍への怒りが爆発、5年前に娘は死にかけたと明かした。今でも裏庭の離れには作りかけの棺が残っているという。不疑は思わずその場にひざまずき、少商を傷つけたことを謝罪した。「ゆえに2度と邪魔はしません…」しかしどんなに謝られても失った5年間は戻ってこない。蕭元漪は長秋宮にこもっていた嫋嫋を思うと胸が痛んだ。「私が重病を患った時も、阿兄が妻を娶る時も、堂姉が嫁ぐ時にさえあの子は帰らなかった 嫋嫋の選択はあなたのためよ、霍不疑!」不疑は床に頭を打ちつけるように叩頭した。「私の過ちです、少商の一途な情を裏切り、程家の信頼を裏切った 少商と程家には負い目があります、その償いは一生かけても終わらない 北西で戦死できればと思っていたが死ぬ勇気もなく、彼女の恨みも消せず… 私には死ぬ資格さえない」しかし蕭元漪も決して霍将軍に自責の念を植え付けたいわけではないという。そもそも自分たちにも娘が幼い頃に構ってやれなかった苦い経験があった。「今後は嫋嫋の望み通りにさせるわ あなたと娘は互いに情があっても天に翻弄されてしまった 今後も縁が続くかどうかはいずれ答えが出る」つづく( ;∀;)宣皇后…泣けたわ〜
2023.12.22
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第2話)第29話「偏愛される喜び」宮中での花嫁修行が決まった程少商(チォンシャオシャン)。皇后・宣神諳(シュエンシェンアン)は早速、長秋(チョウシュウ)宮に少商の部屋まで準備し、自ら案内してくれた。思わぬ厚遇に少商は母でもここまでしてはくれないと目を丸くしたが、皇后は女将軍として戦った母では子にも厳格になるものだとかばう。実は皇后は少商が凌不疑(リンブーイー)の未婚妻であること以外にも、その生い立ちに共感していた。皇后もかつて少商と同じような境遇に身を置いたことがあり、苦労が痛いほど分かるのだという。「だから哀れに思い大切にしたくなるの、たとえ言葉が過ぎたとしても無礼には感じないわ あなたを偏愛する余(ヨ)の心が分かる?」少商は皇后がなぜ一族の王姈(ワンリン)を訴えた自分に寛大なのか納得し、思わずひざまずいた。「ありがとうございます、皇后」日も暮れた頃、長秋宮を出た少商は凌不疑と一緒に城門へ向かっていた。実は不疑は少商が皇帝と皇后の出方を見ようと王姈を訴えたことに気づいていたという。まだ幼く怖いもの知らずの少商、不疑は危険を冒さず、2人の性分が知りたいのなら自分に聞けばいいと言った。しかし少商は例え殺し合いになろうとも座して死を待ったりしないと威勢が良い。「では私について何か聞きたいことはあるか? 私は長秋宮で育った、知りたくないか?私がどんな人間なのか…」そこで不疑は少商の手を引っ張って城楼へ連れて行った。凌不疑は幼い頃、何度もここに来ては眼下に広がる世の灯火と燦爛(サンラン)と輝く星を眺めた。「心から望んでいた、この灯火のうちわずかな光でもいい、自分のものであったならと…」それは一見、簡単なことのように見えて、不疑にとってはとても難しいことだった。実は従軍したのは皇帝の恩に報いるためだったが、戦場に身を置くことで、この世の星河を守りたかったという。すると少商は目を輝かせながら話す不疑の顔をまじまじと見つめた。「…どうした?」「見たいの…その瞳に映っている星が…」少商は思わず不疑の顔をのぞき込んだ。「もっと近づけばよく見えるだろう、私の瞳に映る一番、輝く星は君だ」不疑はふいに少商を抱き寄せ、おでこにそっと口づけした。その夜、少商は床に入っても不疑のことが頭から離れず、なかなか寝付けなかった。おかげで翌朝、蓮房(リエンファン)に叩き起こされ何とか迎えの馬車に乗り込んだが、護衛の梁邱飛(リャンチゥフェイ)もあくびが止まらない。「昨夜、月を眺めながら散歩する若主公にずっと付き添っていたんだ…眠いったらないよ~」「初めて口づけすれば興奮もするだろう」梁邱起(リャンチゥチー)は阿飛も口づけすれば同じようになるとなだめた。「今後も早起きは続くぞ、未婚妻を心配する方がいるからな…」( ;∀;)<誰か~助けてくれ~いつまで続くんだ~@飛凌不疑は眠い目をこすりながら毎日、少商を送迎していた。一方、少商は厳しい掟や難しい教えに戸惑い、身が入らず一向に進歩しない。確かに典籍など幼い少商が理解するには難しく、実際に役立つわけでもなかった。そこで皇后は試しに九連環を渡してみると、少商はあっという間に解いて見せる。皇后は誰にも得手不得手があるものだと考え、少商の長所を伸ばしながら、苦手な読み書きや掟は少しずつ学ばせることにした。少商は物作りの才能を伸ばし、そのおかげで詩や典籍も楽しく学べるようになった。「皇后、実は仕掛け作り以外にも得意なことがあるんです」門で控えていた皇后の側仕え・翟(ジャイ)媪(ウバ)は皇后の悲鳴を聞いて慌てて寝殿に飛び込んだ。「程娘子!なんたることです!皇后の背中を蹴るとは!」「ぁ…これは骨開きです、これで重かった腰や背中が軽くなるんです」すると皇后は確かに身体が楽になったと喜んだ。ちょうど菓子の差し入れに来た駱済通(ルオジートン)はやり方を教えて欲しいと頼んだが、翟媪から嫁ぎ先の夫のためかとからかわれてしまう。「許されるなら程娘子のように皇后にお仕えしたいわ、そうすれば遠くへ嫁がなくて済むのに… 幸運な程娘子が羨ましい」「幸運なんて初めて言われたわ」幸運とは最も縁遠い少商、まさかこれが凌不疑に未練が残る駱済通の本音だとは知る由もなかった。その時、突然、誰かのけたたましい声が聞こえてくる。「…あれは文修君(ウェンシウジュン)だわ」駱済通の言葉に皇后と翟媪の顔から急に笑顔が消えた。↓さすがにこれはダメだろうwww文修君が王姈(ワンリン)を連れて長秋宮に乗り込んできた。少商は自分が王姈を訴えたせいだと気づいて皇后を守ろうとしたが、宣神諳は人払いしてしまう。仕方なく部屋に戻った少商、すると後をつけてきた王姈が入ってきた。相変わらず傲慢な王姈だったが、少商は平然と王姈のことが好きだという。「だって愚かだから…」少商は王姈がその愚かさゆえ、口を開けば弱みを握られるのだと呆れた。文修君は宣神諳が程娘子を可愛がるのも無理はないと嘲笑った。「夫に愛されず、息子は無能、娘は良心もないと来てる… だから慈しみを他人に注ぐしかないものね」「妹妹、わざわざ余を辱めに来たの?」すると文修君は本題に入った。実は弟の小乾安(ケンアン)王から文があり、寿春(ジュシュン)での生活が苦しいため銭を鋳造したいという。宣神諳は相談する相手が違うと断ったが、突然、文洲君が怒鳴り始めた。「乾安王一族からの恩を忘れたの?!養ってやったでしょう?!」少商と王姈は文修君の怒号に驚き、寝殿に駆けつけた。外で控えていた翟媪は言い争いになっていると話したが、皇后から誰にも中に入れないよう命じられたという。しかし少商は激しく罵倒される皇后を案じて思わず中に飛び込んだ。その時、ちょうど文修君が怒って燭台を倒し、少商は咄嗟に皇后をかばって腕に怪我をしてしまう。興奮冷めやらぬ文修君は殿門を開いて恩知らずな皇后の過去を知らしめてやると叫んだ。少商は皇后が殿門を閉めたのは文修君を守るためだと言い返し、口汚い言葉が外に漏れたらただでは済まないはずだと牽制する。「…ふん、私が死を恐れるとでも?」「では直接、陛下に文句を言って死んではいかがですか?皇后は無関係です!」すると文修君はさすが凌不疑が選んだだけあって弁の立つ娘だと鼻で笑った。「程少商、何様のつもり?!お前の夫も離縁され錯乱した女の息子 宮中で育てられて皇子だと勘違いしている」「子晟(ズーション)の功績は戦場で命を懸けて勝ち取ったもの、陛下の偏愛ではないわ 一族の権勢を笠に長秋宮で無礼を働くよりはましです!」その話をちょうど長秋宮を訪ねた文(ウェン)帝と凌不疑が聞いていた。文修君は新参者の少商の無礼に激高し、掟を教えてやると手を振り上げた。しかし皇后に腕をつかまれ止められてしまう。「鋳造権も渡さず、小娘さえ懲らしめられないと?やはりあなたは恩義を忘れた裏切り者よ!」「もうよい」そこへ皇帝が凌不疑を連れて現れた。( ๑≧ꇴ≦)まさかのアルソック皇帝皇帝はなぜそこまで執拗に皇后へ恩を着せるのか理解に苦しんだ。確かに皇后の父が亡くなった時、乾安王が夫人を哀れんで母子を引き取ったが、そもそも文修君の祖父が難に遭った時に死線を潜り抜けられたのは宣氏全族の助けのおかげ、乾安王はその時の恩を返したに過ぎない。「奏上したければなぜ車騎(シャキ)将軍を通して朝堂で訴えぬ? 長秋宮で皇后を困らせるのは、皇后がそなたに寛容だと知っているからだ 今日の皇后への不遜、行き過ぎた言動と不敬の数々はどんな罪になる?」驚いた皇后はそれとなく不疑に助けを求めた。「では文修君、お選びください、ここで陛下の処罰を待つか、私と共に皇宮を出るか」文修君は凌不疑と宮中を出たが、全く懲りていないように見えた。しかし不疑は城門への道すがら思わぬ情報を得る。「あなたのように両親の情も解さず冷酷な者には私のやり方は理解できないでしょうね? 陛下が父を孤城へ救援に行かせねば、勝利する前に父が死んだと思う?」「文修君はご存知なのか?乾安王が亡くなった理由を…」「もちろんよ」文修君の話では小越(ユエ)侯が乾安王に先んじて瘴気(ショウキ)を調査させるも、調べた兵士が死んだので報告してきたという。それでも乾安王は孤城を救おうと危険を冒して瘴気の中へ入り、結局、命を落とした。「あなたの舅父(キュウフ)を助けるために父は荒れ地で死んでいったのね 父が生きていたら今頃、天下は誰の手にあったかしら」「この件には裏がありそうだ、これ以上、利用されぬことです 小越侯と宣氏は不仲、小越侯の言葉は鵜呑みにできない それに陛下は小乾安王に義理を尽くしている、鉱山があれば困らぬはずだ 過分な望みは持たず、一方だけの言葉を信じぬように…」しかし文修君は不機嫌そうに帰ってしまう。実は小越侯は宣氏が皇帝に嫁いだせいで妹が后位を逃し、乾安王を恨んでいた。「…小越侯を見張り、調査を続けよ」三公主はちょうど馬車に乗ろうとしていた文修君母娘を見かけた。「長秋宮を追い出されたのは文修君だったのね~ 鋳造権の件で嘆願に来たとか…よほど切羽詰まっているのかしらん」「三公主こそ足元を見られませんように」すると文修君は逃げるように帰ってしまう。その様子を城楼から凌不疑が見ていた。つづく( ゚ェ゚)え?ずーしょんのママは離縁されてたのか…今さら?w
2023.09.24
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love最終話「嫁ぐ日」上元節、庫狄琉璃(コテキルリ)と裴行倹(ハイコウケン)は一緒に過ごせない代わりに手作りの切り絵を交換した。于(ウ)夫人はこれでは自分がまるで2人の仲を引き裂く西王母(セイオウボ)だと苦笑い、そこへ蘇定方(ソテイホウ)がやって来る。「実は守約(シュヤク)と賭けをした、守約が勝てば2人で外出してもいいぞ」蘇定方は琉璃と背格好が同じ侍女を4人ほど集めさせた。そこで琉璃を入れて5人にすっかり同じ白い外套を着せ、仮面をつけさせる。一見すると誰が琉璃か全く分からないが、これが裴行倹との賭けだった。「誰がお前か見抜ければ守約の勝ちだ」すると于夫人は琉璃のかんざしを外し、別の娘の髪に挿してしまう。蘇家は揃って灯籠祭りに出かけた。仮面のせいで美しい夜景が堪能できず落胆する琉璃、その時、舞を披露する一団が一行を取り囲む。その時、蘇定方は琉璃を連れ去ろうとする裴行倹に気づいた。「(はっ)こわっぱめ!」蘇定方は見事な軽功で裴行倹の行く手を阻んだが、仮面を剥ぎ取ってみると裴行倹の従者・阿成(アセイ)だと知る。実は本物の裴行倹はすでに琉璃を連れて姿を消していた。琉璃は裴行倹がなぜかんざしを挿していなくても自分だと見抜けたのか不思議だった。しかし裴行倹はどんな格好をしていようと琉璃の姿はすぐ分かるという。「君に会えない苦痛に耐えて来たが、こうして会うともっと苦しくなる…」「苦しい?苦しいなら耐えなければいいわ」すると裴行倹は琉璃に口づけした。裴行倹は臨海(リンカイ)大長公主が琉璃に屋敷を贈ったことを知っていた。確執があるとは言え河東(カトウ)公府に恩があるのも事実、別に屋敷を買えば盾をつくことになってしまう。何より吏部(リブ)に移動すれば配下の宿舎も必要になり、今の屋敷ではまかなえなかった。「屋敷を買おうと思っていたが手間が省けた、この件は私に任せてくれ」屋敷も決まり婚礼を待つだけとなった琉璃、しかしまだ側仕えの侍女が見つからなかった。そこで顔の広い伯父・安四郎(アンシロウ)に相談する。確かに中眷裴(チュウケンハイ)家の一族と河東公府の難しい関係を思えば如才ない侍女が必要だった。さらに琉璃は洛陽にある裴行倹の資産を密かに調査して欲しいと頼む。一覧を見た安四郎は莫大な資産に驚いたが、洛陽で長年、店を営んでいる琉璃の大叔父に現状を調べてもらうと安心させた。琉璃は実家から嫁ぐため、婚礼の前日に庫狄府に戻った。河東公府に嫁ぐと決まった珊瑚(サンゴ)は媵妾(ヨウショウ)とは言え県令の妻より上だと無視していたが、曹(ソウ)氏が娘の尻を叩く。「大長公主の命があるでしょう?」「(はっ!)そうだった!忘れてた!」庫狄延忠(コテキエンチュウ)は今頃になってやっと珊瑚が裴如琢(ハイジョタク)に嫁ぐと伝えた。琉璃は父が決めれば良いことだとあえて何も言わなかったが、珊瑚には嫁いでも分を守るよう釘を刺しておく。すると曹氏がこれまでの償いとして婚礼祝いに侍女を贈ると言い出した。しかし阿春(アシュン)と阿桃(アトウ)は身なりも身のこなしも上品で明らかにただの奴婢ではない。珊瑚は伯父が探してくれたと嘘をついたが、琉璃はこれが珊瑚に縁談を持ち込んだ大長公主の目的だと分かった。「伯父上が仕込んだ侍女なら琉璃が頂くわけにはいかないわ、珊瑚が連れて行くべきです」その時、安四郎が琉璃を訪ねて来た。明日の婚礼を前に安四郎も琉璃に侍女2人を贈った。焦った珊瑚は反対したが、安四郎になぜだめなのかと怪しまれ、口ごもってしまう。その時、琉璃は侍女が阿霓(アゲイ)と小檀(ショウダン)だと気づいて驚いた。阿霓は如意衣装店の番頭、琉璃は侍女にできないと断ったが、安四郎は阿霓が自ら申し出たと教える。実は阿霓は以前、高陽(コウヨウ)公主の側仕えの宮女として公主府を管理していた。しかし駙馬(フバ)の夜伽を断ったせいで不興を買い、人買いに売られたところを安四郎に救われたという。臨海大長公主は琉璃が自分の間者となる侍女を断ったと聞いて激怒した。崔(サイ)夫人はこれで珊瑚との縁談を破棄できると期待したが、大長公主は琉璃と犬猿の仲なら使い道があるという。「どうやら庫狄琉璃は痛い目に遭いたいようね…」翌日、裴行倹は花嫁を迎えに庫狄府へ向かった。琉璃は皇帝から賜った宝飾品で美しく着飾ったが、最後に母の形見である腕輪と耳飾りをつける。…喜びの日なのに阿母がそばにいないなんて、この心の痛みは言葉にできない…天から見守っていてね、愛する人と出会えて私は幸せよその頃、花婿一行が庫狄府に到着した。しかし花婿が迎えに来ても、慣例によりなかなか花嫁とは会わせてもらえない。まずは花嫁の部屋を探し出し、次に立派な雁(カリ)を贈る。そして美しい詩を詠んで客人たちが認めると、やっと美しい花嫁が姿を現した。裴行倹と琉璃は裴府に入り、拝礼の儀が執り行われた。そこへ宮中から孫徳成(ソントクセイ)と順子(ジュンシ)が駆けつけ、昭儀・武媚娘(ブメイニャン)からの祝辞と祝いの品を届ける。「しっかりやるのだぞ、もう義父も武昭儀もいないのだからな」「ご安心を、琉璃はこの裴行倹が守ります」琉璃は義父に拝礼して感謝を伝えることにしたが、孫徳成はひざまずこうとした琉璃を止めた。琉璃と裴行倹は晴れて夫婦となった。2人は固い絆で結ばれ、永遠に離れることはない。終わり終わった~!・:*+.\(( °ω° ))/.:+/.*・ って…え?!終わってねぇぇぇぇ~!そうです!実は2季があるんです!しかしまだ配信されていない?もしかすると裴行倹が実在の人物だけに検閲でダメだったのかもしれませんねえ~( ゚ェ゚)ま、いいか ←いいのかいw
2023.08.20
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第3話)第30話「招かれざる客」皇后をかばって手首を痛めた程少商(チォンシャオシャン)。帰りの車の中、凌不疑(リンブーイー)は少商を手当てしながら、今後は己の力の及ばぬことに首を突っ込まないよう釘を刺した。いくら文修君(ウェンシウジュン)が愚かでも限度はわきまえているはず、燭台を倒すにしても皇后に当たらない方向だったはずだ。「高貴な2人の争いに君の保護が必要だと思うか?」しかし少商はカチンと来てつい言い返してしまう。「つまり皇后は私の保護など必要としていないと?確かに皇后はこの上なく尊いわ でも彼女が文修君(ウェンシウジュン)に蔑まれていた時、あなたと陛下はどこにいたの? なぜ強い人は守る必要がないって思うの?」「では君はどうなんだ?少商、君のように強い人はなぜ私の保護など必要ないと思う?」その時、馬車が曲陵(キョクリョウ)侯府に到着した。少商は馬車を降りると、不貞腐れたまま門に向かった。すると不疑が少商を呼び止める。「君が私と話をする時の縛られぬ姿が好きだ、権勢も苦難も恐れぬ君が好きだ 覚えておいてくれ、君が先に仕掛けたと…」少商は慌てて言い訳しようとしたが不疑に遮られた。「私は簡単に真心を委ねぬ、だが一度、委ねたら撤回はしない だが君が私に真心を委ねることができないというなら、私の真心を引き払うこともできる」結局、翌日の朝、凌不疑は用事があって少商を迎えに来なかった。一方、三公主は舅父(キュウフ)・小越(ユエ)侯と酒楼で密談していた。何も知らず皇宮から逃げるように帰っていった文修君、まさか舅父の妙策で小乾安(ケンアン)王が鋳造(チュウゾウ)権に食いついたとも知らず皇后に無心に来たのだろう。実は舅父はすでに文修君の腹心も手なずけていた。「いずれ贋金(ガンキン)は安値で我らの手に入る、その際はお前も封地で使うがよい」貨幣の偽造は謀反と同罪だった。しかし鉱山があるのは寿春(ジュシュン)で鋳造するのは小乾安王、もし追求されても過って贋金を使ってしまったとごまかせば良いという。独りで参内した今日に限って少商は意地悪な三公主と遭遇した。少商は掟通り拝礼したが、三公主は自分の許可なく頭をあげたと難癖をつけ、ひざまずけと命じる。「私は身の程知らずが一番嫌いなの」すると侍女たちが少商を無理やり平伏させ手を踏みつけ、頬を引っ叩いた。しかし運良く皇太子妃が通りかかり、少商を助けてくれる。「宴が始まるのに程娘子(ニャンズー)がいないと母后が案じていたわ、何と説明するつもり?!」「それほど慌てること?ちょっとふざけていただけよ~」皇太子妃は東宮で少商の腫れた手首を冷やしてくれた。2度も同じ手を負傷した少商、しかし多忙な皇后を煩わせることはできず、かと言って凌不疑には意地でも頼りたくない。すると皇太子妃が三公主の性分を教えてくれた。三公主は皇帝の寵姫である越妃の娘で、兄の三皇子も有能なため長秋(チョウシュウ)宮も東宮も眼中にないという。小越侯のもとで育ったせいか贅沢を好み、傍若無人なのも仕方がないのだろう。幼い頃は子晟(ズーション)を見下していたが、功績を残すようになると急に気に留めるようになった。恐らく子晟を好きというより、容貌と権勢に執着しているだけだという。「子晟も宮中に入った時は蔑まれ、あなた以上に酷い目に遭ったのよ? ある時、川に突き落とされてね…幸い太子が助けたの その頃の子晟は宮女を連れて食事に付き合わせるのが好きだった 家族と座して食事をしたことがなかったから… 幼い頃は毎年、必ず灯会(トウエ)に出かけ、灯火の見える高台で世の人々の団らんを見渡していたわ」一方、皇太子は長秋宮での騒ぎを知り、凌不疑を呼び出していた。車騎(シャキ)将軍・王淳(ワンチュン)も凌不疑も大事な右腕、婦人の諍いで離間して欲しくないという。しかし不疑は恨みではなく、王淳の能力では任に耐えられないと諫言した。「後継者として親族を重用するのではなく、国事を第一にお考えください 太子妃の従兄も遊びにかまけ酒で事を誤る、東宮侍衛の首領など務まりません できるだけ早く最適な人選を…では他に用件もありますのでこれで」「あ、お前の未婚妻が東宮に来ているぞ?」皇太子妃の寝殿に侍女が礼品の受け取りにやって来た。皇太子妃はすでに準備していた礼品を渡したが、ふと思い立って自分のかんざしを外し、梁(リャン)夫人に渡すよう頼む。「太子妃、それは殿下への朝貢の品では?」「殿下の物なら功績ある大臣に与えるのが一番だわ」やり取りを見ていた少商はしみじみ皇家の妻を務めるのは至難の業だと漏らした。「確かに宮中など身を置かぬ方が良い、でも今となっては突き進むしかありません 彼がここで成長したのなら、私も同じ道を歩んでみたいのです」その話をちょうど皇太子と凌不疑が聞いていた。凌不疑は少商の言葉が内心、嬉しかった。そこで手を取って連れて帰ろうとしたが、少商は思わず顔を歪ませてしまう。驚いた不疑が袖をまくってみると、少商の手はひどく腫れていた。気が強い少商は相変わらずなぜ負傷したか言おうとしなかった。すると凌不疑は少商を欄干に座らせ、隠しても自分で調べれば分かることだという。「それからもうひとつ、少商、今後、東宮や太子妃とは距離を取れ」「なぜ?太子妃は威張らず、東宮では侮辱されたりしないわ」「参内して日の浅い君にはまだ分からないことがある 宮中の内情はそう簡単ではないし、心の善悪も一目では見抜けないものだ 利害がなければ誰もが善良だが、権勢が絡むとそうもいかない」東宮と言えば争いの渦中、雁回(ガンカイ)塔での一件もあり、不疑は宮中のもめ事から少商を遠ざけたいという。しかし少商は凌不疑の未婚妻になって遠ざけられるのかと聞いた。「あなたのために順応しているのよ?あなたの直面する全てに私も直面するのだから あなたが宮中で経験したことを私も少しずつ理解するつもり だって未来の夫がどんな人か知りたいから…」「それはつまり…全ては私のためだと?」「違う、自分のためってことよ」「分かった、望むままやってみればいい、私が守る」すると2人はわだかまりが解け、見つめ合った。( ๑≧ꇴ≦)アップデートしたアルソックw三公主が真紅の衣に豪華な装飾品で永楽宮に現れた。越姮(ユエホン)はつくづく皇帝に追随して出征するため娘を三舅母(キュウボ)に預けたことを後悔し、俗っぽく山猫のようだと揶揄する。「でもなぜ急に豊かになったの?」「ささやかな商売を始めただけ、都の酒楼よ」三公主は母に牡丹の金のかんざしを献上したが、越姮は全く興味がなかった。「今日は霍(フォ)将軍の命日よ、昼は長秋宮で宴があり、午後は陛下が弔いを行う お前も奉先(ホウセン)殿へ…」すると越姮は侍女に命じ、三公主を白い衣に着替えさせろと命じた。長秋宮での宴、少商も凌不疑の未婚妻として列席した。少商の斜め後ろには相変わらず風来坊のような五皇子がいる。当時、皇帝が酔った勢いで徐(シュ)美人を寵愛し産ませたのが五皇子、その過ちを深く反省した皇帝はそれ以来、后妃と曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)しかそばに置かなくなった。他にも駙馬や皇子の夫人たちも顔を揃えていたが、気性の激しい三公主や五公主と違い、二公主や五皇子妃は穏やかで少商を家族として歓迎してくれる。しかしその様子を見た三皇子が思わず失笑した。「今や誰もが子晟に擦り寄るとはな…」皇帝は亡き義兄を思うと酒を飲む気分にもなれず、沈み込んでいた。そんな中、宴に招かれざる客が現れる。汝陽(ジョヨウ)王妃は家族の宴を理由に参内し、愛孫の裕昌(ユーチャン)を出家に追い込んだ少商と孫を捨てた凌不疑への鬱憤を晴らしにやって来た。そこで普段は宴に参加しない越妃の席に勝手に座ったが、珍しく越姮がやって来る。「叔母(シュームー)、そこは私の席です、空けていただけますか?」越姮は叔母の席を用意するよう命じ、汝陽王妃を移動させた。越姮は孫を甘やかす汝陽王妃を牽制するため、子女たちに厳しい戒めを与えた。三公主には騒ぎを起こせば食邑(ショクユウ)や奴婢を全て召し上げると脅し、二公主が妹をかばえば、女媧(ジョカ)に頼んで三妹のような愚かな娘を産ませると容赦ない。皇太子妃に至っては自分の手の内を管理しろと叱られ泣き出す始末、五公主はひどいクマができていると指摘され、今夜は独りで過ごしたらどうかと揶揄された。さすがに汝陽王妃は残酷過ぎると呆れたが、越姮は子女たちを教育しているだけだという。すると越姮は駙馬や公主たちを下げてから昔話を始めた。「当時、長公主は懐妊中で身体が弱るも、叔母は肉を買う金も貸さなかった 陛下は姉のために獲物を狩ろうと凍える雪の日、山に入るしかなかったのです 霍翀(フォチョン)兄が駆けつけた時、陛下は凍えていたとか その後、霍翀兄が金を出して長公主と凍傷の陛下を世話してくれました…」汝陽は慌てて皇帝が山に入ったことなど知らなかったと言い訳したが、皇子たちの目は冷たい。「…子晟、私と陛下はあなたの成婚を待ちわびてきた 子孫がいれば舅父一族を供養し、亡き彼らの魂が孤独にさまようこともない あなたの妻に難癖をつける者など、くそ食らえよっ」つづく( ;∀;)ずーしょん…やっぱり相当、拗らせてるね〜 ←そっちwそれにしてもこの手の長台詞は耳触りが合わないとキツいわ( ̄▽ ̄;)
2023.09.24
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第25話)第52話「歳月を経て」15年前の孤城陥落の真実と凌不疑(リンブーイー)の出自が明らかとなり、大きな節目を迎えた宮中。文(ウェン)帝は宣神諳(シュエンシェンアン)の希望を叶え廃后とし、皇太子も降格となった。これで越姮(ユエホン)が皇后に冊封されれば、三皇子は滞りなく東宮へ入れるだろう。一方、程少商(チォンシャオシャン)は恩人である宣皇后に終生、付き添うと決めて長秋宮へ戻った。淡々と流れていく歳月、その頃、北西に駐留する霍不疑(フォブーイー)は再び殺戮に明け暮れていた。しかし今でもその右腕には少商の弦がある…。そんなある日、少商は父からの書簡を受け取った。程家で慶事があり、二兄・程頌児(チォンソンアル)と万萋萋(ワンチーチー)、堂姉・程姎(チォンヤン)と班嘉(バンジア)、そして使用人の蓮房(リエンファン)と符登(フードン)、さらに姎姎の父で二叔父・程承(チォンチョン)と青蓯(チンツォン)が成婚したという。やがて二兄夫妻は双子に恵まれた。長秋宮でも嫁ぐ五公主を送り出し、穏やかな日々が続く。こうして5年が経った。正月の夜は雪となった。宣皇后は今年も家に帰らない少商を心配したが、少商の話では程家でそれぞれの夫婦に子が生まれ、自分が戻っても座る場所さえないという。すると宣皇后は新年の願い事で少商が良人と出会い、嫁いで子を産む姿が見たいと言った。しかし少商は一生、嫁ぐつもりはないという。「まだ吹っ切れないの?」「いいえ、ただ許せないだけ…縁が切れて別れたのです、もう有り得ません」宣皇后は少商と子晟(ズーション)の復縁を願っていたが、やはり少商は簡単に自分を曲げることはない。「ではこう願うわ、私の死後、あなたの余生に同伴がいるようにと…」「縁起でもない…」「少五が嫁いで行った今、1番の心残りがあなたなの…あ、見て、こんなに雪が降って来たわ」宣皇后は寝殿に入ることにしたが、その時、ついに倒れてしまう。孫(スン)医官は宣皇后の余命を早くて1ヶ月、長くても春までと診断した。しかし頑なに皇帝と越皇后の見舞いを拒み、長秋宮を明け渡したいと申し出る。「本来なら東海(トウカイ)王と属地に移り、東海太后と名乗るべきだと…」少商は越皇后に長秋宮を返したい旨を伝えたが、越皇后は住み慣れた永楽(エイラク)宮を移動したくないと断った。「呼び名も変えなくていい、これ以上、蒸し返すことがあれば私を不快にさせるだけよ」「越皇后に感謝します」 袁慎(ユエンシェン)が回廊で待っていると少商がやって来た。この5年、袁慎は宮中に留まる少商に付き添って縁談を全て断って来たが、待っていた甲斐はあったのだろうか。「少商、宣皇后も望んでいる、伴侶を持つ気はないか?ならば私を選べ 家柄も合うし、互いに伴侶が必要だ、いっそ宣皇后を安心させるため一芝居、打つのはどうだ」「袁善見(シャンジエン)、あなたの想いには応えられない」「少商、そなたの縁談が潰れてばかりなのは目先が利かぬからだ 私は両親からも放任されて育った、自由を望むなら都で私ほど自由な者がいるか? 我らこそ最適なのに私の望みに応えられぬと?」袁慎は互いに生まれながら誰にも関心を持たれず、病友であり盟友でもあると訴えた。利が一致すれば互いに信頼し合い、裏切ることはないという。「私は某人より自分を大切にするし、危険にも近寄らぬ、ゆえに私の方が最適だ」病床の宣皇后が薬を飲んでいると、少商が戻って来た。何やら考え事をしているのか、衝立て越しでも上の空だと分かる。実は皇帝は余命わずかとなった宣皇后のため、北西にいる霍不疑を呼び戻していた。…近いうちに到着する…複雑な面持ちで寝殿に入った少商、確かに宣皇后の言う通り、わだかまりに捉われていては更なる苦しみに陥ってしまうだろう。…過去は過ぎ去るもの、今と将来を大切にして、そのためにはわだかまりを突き破る必要がある…少商は袁慎に自分の心に″彼″がいても娶るのか聞いていた。…待つよ、そなたが奴を忘れるまで待ち続ける、いつか振り向いてくれるまで…「皇后、皇宮を出る許可をください、袁善見と婚約しようと思います」霍不疑が5年ぶりに宮中へ戻った。ますます義兄に似て来た子晟の姿に思わず目が潤む皇帝、しかし軍装でも生傷が絶えない身体だと察しがつく。「なぜ1番の精鋭を都に残したのだ?皇宮を出られない少商には必要ないであろう?」不疑は梁邱起(リャンチゥチー)を少商の護衛のために残し、梁邱飛(リャンチゥフェイ)だけをそばに置いていた。邱飛の報告では5年前、王(ワン)将軍が戾(レイ)帝の残党に襲われ、若主公が救出に向かうも敵は死士、多勢に無勢で負傷したという。「袁善見の父親が兵を率いたはずだが?」「分かりません、そして2年も経たぬうちに若主公は蜀へ討伐に行きました その時、襲撃に遭った程頌(チョンソン)将軍を…」「もういい」不疑は邱飛の話を遮ったが、皇帝は凱旋した程頌が褒美をもらいに来ない理由が分かった。「少商は知っているのか?…もしや兄を助ければ復縁できると期待したのか?」「…私は過ちを犯しました、少商の許しなど求めるはずがありません 少商に知られたら、かえってもっと疎まれてしまうでしょう」皇帝は子晟に下心がないと知って安堵し、今後は度田令を監督している皇太子を補佐して欲しいという。実は少商は5年ぶりに皇宮を出ていた。袁善見との縁談を進めるためで、近々、成婚するという。「お前はどうする?崔祐(ツイヨウ)さえ正室の座は空けて妾を取ると決めたぞ?」「皇父、ご心配には及ばぬかと…」皇太子は北西の軍営で駱済通(ルオジートン)が献身的に子晟の面倒を見ていたらしいと伝えた。噂では駱済通が都へ戻って子晟と成婚すると宣言しているという。しかし不疑は憤慨、成婚などあり得ないと否定した。霍不疑は阿飛と宮中を後にした。これから直ちに霍氏の墓と祠堂を修繕し、妻は娶らず子もなさぬと祖先に報告するという。(´ ・ω・)<若主公~それってどうみても吹っ切れてないっていうか~するとちょうど外出していた袁慎たちが城門に入って来た。袁慎は馬を降りて少商を馬車から降ろしたが、その時、2人は子晟の姿に気づいて呆然となる。しばし見つめ合ったまま立ちすくむ少商と不疑、袁慎はただ黙って待つほかなかった。霍不疑は意を決して少商に向かって歩き始めた。すると少商はどう接したら良いのか分からず、咄嗟に袁慎の馬に飛び乗ってしまう。その時、不疑がまたがった少商の足を支え、大事そうにあぶみに乗せた。まるで第9話で初めて馬にまたがった少商の足をあぶみの中に通してくれた時のように…。「感謝します、霍将軍…でももう昔の程少商ではない、あぶみがなくても乗れる」少商は馬を駆けて去って行った。安堵した袁慎だったが、霍将軍が戻ったからには少商を諦めないつもりだと疑う。「少商の中で私はお前に及ばぬ、しかし少商の性分ならお前を選ぶとは限らない」しかし不疑は黙ったまま拝礼して帰って行った。北西の賈(ジア)家に嫁いだ駱済通が長秋宮に挨拶にやって来た。宣皇后と少商は都に戻った駱済通を歓迎したが、どこか言葉の端々に棘がある。「あなたは幸運ね、私なんて不遇の身… 夫が重病で四六時中、世話ばかり、再嫁を狙っていると陰口まで叩かれたわ だから私も意地になって夫の死後も賈家の君舅君姑に奉仕した でも子晟にも前を向けと言われたの 厳しい人だけれど私には寛容で、私だけ天幕に入らせ、酒や食事を届けさせた その後、天幕に入れなくなったけれど、私に苦労させないためね」駱済通は恐らく子晟が都で求婚してくれると自慢したが、宣皇后も少商も当てつけだと分かった。「…皇后が病となり吉事に水を差しましたね?」「いいえ、そういう意味では…」「分かっています、皇后が在位中は駱家を何度も庇護してきました 恩人の前で恨み言など言えるはずない、もし本音なら畜生も同然です」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)がやって来た。「駱娘子、早く実家へ戻らないと…先ほど実家から連絡がありました 霍将軍が2台分の嫁荷に加え、巨大な銅鏡を届けて長老に命じたそうです ″駱娘子の嫁ぎ先をすぐ探すように″と…」「銅鏡?鏡とはね…」少商は思わず失笑した。翌日、霍不疑が屋敷へ戻ると駱済通が待っていた。駱済通は北西で連れ合った自分への仕打ちに憤ったが、不疑は確かにかつて連れ合いがいたことはあったという。あの時、駱済通は負傷した子晟の意識がないのを良い事に勝手に介抱していた。結局、すぐ軍営から追い出されたが、駱済通は外に住み着き、再び忍び込んで洗濯をしたという。「私は顔も見ていない 都へ戻る時も軍の後ろを追って来たそなたとは話もしていないぞ? それのどこが連れ合いだ?」「でも3年前、天幕にも入れてもらえなかった私が今はこうして顔を見てもらえます」駱済通は妾でも構わないと食い下がった。すると不疑が馬から降りて来る。実は不疑はとうに気づいていた。駱済通の亡夫・賈七郎(ジアチーラン)は病弱だったが、20歳の若さで死ぬほどの病ではない。「お前が謀って殺したな?その方法は言うまでもない」子晟が北西に駐留すると知った駱済通は夫の薬湯に毒を盛っていた。「…程少商のため?だから私を拒むの?」「程少商がいなくてもお前に情はなかった」つづく(ˇ꒳ˇ *)今回もいい話だったわ〜でもここにきてラクダさんが闇堕ち?せっかくしみじみしてたのにな〜
2023.12.09
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第7話)第34話「役者揃う婚約の宴」婚約前に程少商(チォンシャオシャン)を母に会わせた凌不疑(リンブーイー)。しかし急に錯乱した霍君華(フォジュンホワ)から激しく手を噛まれてしまう。少商は中庭で手当てしながら、不疑がなぜ冷酷無情で親不孝と噂されても城陽(ジョウヨウ)侯と夫人を嫌うのか分かった。「子晟(ズーション)、あなたは無情なんかじゃない… それに心配しなくても阿母(アームウ)のそばには優しい叔父(シューフー)がいるじゃない」その叔父とは崔祐(ツイヨウ)将軍だった。実は将軍は霍君華を娶ると心に決めながら、母親に成婚を強いられて諦めたという。結局、夫人は難産で亡くなり、程なくして霍君華も凌益(リンイー)から離縁された。「それで崔叔父は誓ったのだ、後添えは取らず、母のために独り身を貫くと…」「そんな一途な郎君がいるのね…その篤い情義は万金でも代え難い」「少商、君への情義もかくの如しだ」不疑は今後、頻繁に母に会う必要はないと安心させた。しかし少商は未来の君姑(クンコ)に覚えてもらえるよう杏花(キョウカ)別院を訪ねたいという。不疑はそんな少商の気遣いが嬉しかった。すると少商はこれから宮中への送迎なら不要だと断り、代わりに自分が早起きして宮門で落ち合おうと提案する。「だがそれでは君が早起きしないと…」「皇后の前で居眠りすればいいわ」「私のために支障が出たら…」「心は2つに割れない、宮中の任務だけに捧げるか、あなたに捧げるか、あなたが選んで」「私に捧げてくれ」不疑はそんな少商が愛しくなり、明日にでも婚約の宴を開きたいと言った。「いいわ」「ふっ、ちょっとからかっただけだ、さすがに宴の準備には最低でも3日はかかる 早く当日になって欲しい、婚約すれば安心できるよ」「安心?どうかしら、以前も大勢の人を招いたのに、結局、縁談は…」その時、突然、不疑が少商に口づけした。「もし耳障りな話をしたら、また口を塞いでやる」( *´꒳`* )ふふふ… ←勝手に参加している気分w屋敷に戻った少商は婚約の宴が3日後に決まったと報告した。蕭元漪(シャオユエンイー)や程姎(チォンヤン)は慌ただしすぎると難色を示したが、少商は全て凌不疑に任せれば大丈夫だと太鼓判を押す。すると耳ざとい城陽侯夫人・淳于(チュンユー)氏が早速、曲陵(キョクリョウ)侯府にやって来た。淳于氏はすっかり態度を軟化させ、婚約の宴について相談したいと切り出した。どういう風の吹き回しかと思えば、礼品として少商に2人の侍女を贈るという。「城陽夫人って面白い人…ふふ 私が子晟の寝所も触っていないうちから美しい侍女と夫の寝所を享受しろと?」淳于氏の魂胆は見え見えだった。呆れた少商は城陽侯夫人が姉も同然だった霍君華から夫を寝取ったと言い放ち、淳于氏は激怒して帰ってしまう。蕭元漪は娘がわざと城陽侯夫人を挑発したと分かった。しかし凌不疑の実母でなくても名義が立つため、家に面倒を招くかもしれないと嫌味を言う。侍女・蓮房(リエンファン)も未婚妻が婚約の宴で門前払いされたら笑い物になると心配した。「阿母、昨日、霍夫人に会いました、あの人のせいで子晟母子は苦しんでいます 私は横恋慕が大嫌い、あんな人におべっかは使えません …見てなさい、どちらがどちらの家で門前払いされるか」婚約の宴の当日、淳于氏は少商に凌府の敷居をまたがせまいと意気込んで出かけた。しかし婚約の宴が行われるのは曲陵侯府、しかも招状を持っていなければ入れないと知る。その頃、曲陵侯府にはすでに多くの招待客が集まっていた。凌不疑の姿はまだなかったが、その時、蓮房が宴席にいる女公子の元へ駆けつける。「凌将軍から伝言です、すぐ着くので焦らなくて良いと、それから… ″今日、誰に会い、何が起きても怖がらず、好きなだけ啖呵を切れ″と…」少商は何のことか分からなかったが、その意味をすぐ知ることになった。曲陵侯府に袁慎(ユエンシェン)の馬車が到着した。従者は賑やかな場所を嫌う主がなぜ他人の婚儀の見物に来たのか分からなかったが、袁慎は師匠として弟子を苦海から救いに来たという。「この世で人を溺れさせるのが成婚、このまま危険に飛び込ませられぬ」公子の屁理屈に呆れる従者、その時、ちょうど汝陽(ジョヨウ)王妃が淳于氏を連れて曲陵侯府にやって来た。門衛は招状を確認しようとしたが、王妃の侍衛に追い払われてしまう。「…これで私が手を出すまでもないな、ふっ」宴席に汝陽王妃と淳于氏が乗り込んできた。汝陽王妃は少商を見つけるなり跪けと命じ、未来の君姑である淳于氏への無礼を罰するという。しかし少商は拒否、蕭元漪と万萋萋(ワンチーチー)が咄嗟に盾となって少商を守った。「君姑なら2日前にお会いしました、今は杏花別院で療養中です 今日、来た君姑とはどなた?…ああ~外従兄の寝床に入り込んだ人のこと?」「何て言い草なの?!しかと指導してやらなくては…誰が私を阻めると?!」「叔母(シュームウ)?…余(ヨ)が阻むと言ったら?」その時、皇后が現れた。↓( ๑≧ꇴ≦)アルソック皇后!少商は皇后の顔を見ると自然と笑顔になった。その様子を見た蕭元漪は2人の間に深い絆があると気づき、何とも複雑な気分になる。「今日は子晟と少商の婚約を祝いに来ました 程伯夫人、他に静かな場所はある?ここでは客人たちの興を削いでしまうわ」「はい、ご案内します」「叔母、城陽侯夫人(フーレン)、行きましょう…少商、あなたもよ?」「はい」蕭元漪が偏殿を出ると戸が閉まった。程家も客人たちも露台に集まり固唾をのんで見守ったが、その時、皇帝が越(ユエ)妃や凌不疑を連れてやって来る。慌てて平伏する程家と客人たち、すると皇帝は礼を免じて偏殿に入った。汝陽王妃は皇帝に程少商の無礼を告発、放任してはならないと訴えた。ちょうど汝陽王も一緒にいたことから自分に加勢するようけしかけたが、けんもほろろに断られてしまう。汝陽王妃は仕方なく数日前、城陽侯夫人を辱めた落とし前をつけるよう少商に迫った。その時、越姮(ユエホン)が凌不疑の未婚妻である少商に立つことを許す。皇帝も目配せして少商を立たせた。「感謝します…陛下にお答えします、私は事実を述べたまで、辱めたりしていません」「陛下!本当です!命を懸けて誓います!」焦った淳于氏が泣きつくと、汝陽王妃も城陽侯夫人の方が信頼できるという。「…王妃、それは違います 私は目上の方に従い婚約しました、自ら画策して嫁いだ人とは違います 長年、霍家の世話になりながら機を見てその地位を奪った… 私の誓いは信じられても、あの方は信じないように」「程少商にここまで侮辱される謂れはありません、陛下が咎めぬのなら私は命を断つしか…」「城陽侯夫人…十数年前もなぜ同じように振る舞わなかったのですか? そうすれば霍夫人も離縁されず、様々なことが今とは違っていたのに…」越姮は少商の言葉に深く感銘を受けた。確かに霍君華とは因縁があったが、成婚後の霍君華は凌家に尽くし、夫にも情義は深く、惜しみなく支えていたという。それに比べ凌益は妻子が行方知れずとなって1年も経たずに淳于氏と深い仲になった。「母子でさまよっていた時、霍君華は皮衣を子晟に着せ、わずかな食物も子晟に与えた 戻った時の霍君華は骨と皮だけで誰か分からないほどだったのよ? 良い母親だったことに違いない」越姮は淳于氏を嫌って参内を禁止すると命じた。しかし汝陽王妃が反発、自分の命の恩人である淳于氏への侮辱は自分への侮辱だと訴える。「もし納得のいく説明がなければ…」「(はっ!)死ぬのか?死ぬのか?それは良かった!」汝陽王は早合点して喜ぶと、王妃は外で嘆願するだけだと慌てて否定した。汝陽王はもはや癇癪持ちの王妃に耐えられなかった。「陛下、ご覧の通り、手がつけられません! 少しでも気に食わぬと叫びまくる!当時もそうでした」実は汝陽王が修行に出たのは皇帝からの提案だった。当時、皇帝は糟糠(ソウコウ)の妻を捨てないよう汝陽王を説き伏せ、修行と称して別居させたという。しかし王妃は相変わらず、汝陽王も我慢の限界だった。「縁を切る!これで終わりだ!」「こんな仕打ちをするとは!」王妃はひとしきり汝陽王を叩きまくると、その場で泣き崩れた。すると皇帝は儒教が盛んな今、離縁を持ち出せば儒生たちに非難されるのは必至だと叔父をなだめる。その時、越姮に名案が浮かんだ。「世俗を好む叔父が修行してどうします?むしろ叔母が三才観で修行すべきでは?」皇帝は汝陽王妃が耄碌(モウロク)して暴挙を重ね、御前で失態を犯すに至ったとし、三才観での静養を命じた。また淳于氏は禁足を命じられ、今後は屋敷から出られなくなってしまう。程家の面々は偏殿から連れ出される汝陽王妃と城陽侯夫人の姿を見送りながら、少商の無事を確信して胸を撫で下ろした。つづく( ๑≧ꇴ≦)キィャアァァァァァァ〜!ウーレイ!思うところは色々あったのですが、ウーレイがカッコよすぎて全て吹っ飛びましたwww
2023.10.09
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第10話)第37話「報復の流儀」程少商(チォンシャオシャン)は池に落ちてびしょ濡れになった五皇子を長秋(チョウシュウ)宮で着替えさせることにした。五皇子は誰かに見られたらあらぬ誤解を受けると心配したが、嫌な予感は的中する。「あらあら、本当に皇兄と程娘子が密会していたのね~」五公主の勝ち誇った顔を見た少商はこれが五公主の仕業だとすぐに分かった。五公主は父皇と母后の前で五皇子と少商を追及した。焦った五皇子は五公主の取り巻きから鏡心(キョウシン)池で佳人が待っていると聞いたと訴えたが、肝心の証人の姿がない。少商も池に落ちた五皇子を助けただけだと釈明したが、五公主はそんな言い訳を誰が信じるかと鼻で笑った。「ごぅら(够了)っ!」皇后は思わぬ騒ぎに不快感をあらわにし、宴に戻らず長秋宮に帰ってしまう。皇帝は祝宴を台無しにされ怒り心頭だった。しかし皇后の寿誕に免じて今日のところは不問に付すという。こうして一同が引き上げ、五皇子も逃げるように帰って行った。すると凌不疑(リンブーイー)がやっと少商に声をかける。「大丈夫か?」「私を信じる?」「もちろん」「よかった、私は皇后のところへ行くわね」少商はそれ以上、何も言わずに急いで戻って行った。皇后は結局、寝付けないまま朝を迎え、付き添ってくれた皇帝を見送りに出た。するとまだ夜が明けたばかりというのにどこへ出かけていたのか、少商が長秋宮に戻ってくる。「少商、宴の準備で大変だったわね…早く支度して家に帰りなさい」「ありがとうございます、陛下、皇后」その時、五公主が凄まじい剣幕で長秋宮に乗り込んできた。「程少商!殺してやる!」五公主はなぜかびしょ濡れで、全身が真っ黒に汚れていた。五公主は息女たちと飲み明かし、朝方に瓏園(ロウエン)へ戻った。しかし息女が扉を開けた途端、仕掛けてあった桶が飛び出し汚水をぶちまけ、さらに勢いよく放たれた荊が身体を打ち、最後には灰を浴びせられたという。五公主は全て少商の仕業だと訴えたが、皇后は証拠がないと退けた。これに五公主は憤怒、なぜ娘ではなく少商の肩を持つのかと嘆く。そこへ越(ユエ)妃が現れた。「母后の干渉を嫌がって公主府で悠々自適に暮らし、孝行することもなかったくせに 何を今さら…」越姮(ユエホン)は自分の瓏園で起きた騒ぎのため座視できないという。すると五公主は日頃の越妃への鬱憤が爆発、暴言を吐いた。「母が皇后だと忘れている!四六時中、父皇と睦み合い、長秋宮を…」その時、越妃が五公主を平手打ちした。「私を叩いたわね…ワナワナ」「母親の寿誕の宴で程少商を陥れたのよ?ぶたれて当然では?」「嘘よ!証拠があるの?!」「あるとも!」凌不疑が五皇子を池に誘い出した息女を連行した。すでに息女は全て五公主の所業だと白状したという。「五公主は我が新婦が池に行くと知り、五皇子を誘い出して彼女の名声を辱めようとしました」しかし御前に突き出された息女は恐怖のあまり、証言する前に気絶してしまう。五皇子は全て五妹の指示だったと告発した。これに激怒した五公主は兄である五皇子を″雑種″呼ばわりしてしまう。「父皇、私は長秋宮の嫡出、なぜ卑しい者の言葉を信じるのですか?!」皇后は傍若無人な娘の姿に唖然とし、全ては自分の過ちだと嘆いた。「余は若い頃、苦労を重ねた分、子には楽をさせたかった…まさかここまで思い上がるとは… 兄弟への情がなく、越妃に不敬を働き、父皇も尊ばない しかも余の寿誕の宴で少商を陥れるなんて…誰かっ!」驚いた五公主はひざまずき、悪いのは何の因縁もない自分に報復した程少商だと訴えた。しかし五皇子が因縁ならあるとばらしてしまう。「先日、息女たちと程少商を池に落としたくせによく言うよ」何も知らなかった凌不疑は驚愕、少商がまた独りで行動を起こしたと知った。少商は自分が罠を仕掛けたと認めて謝罪した。確かに五公主に池に落とされたが、皇后の寿誕の宴を目前に控えていたため、終わるのを待って報復したという。「池に落とされたから汚水をかけ、宴をぶち壊しにしたから″荊の杖を背負う罰″を負わせたのです 五公主、少しは目が覚めました?…どうやら無駄だったようですね」「程少商っ!こんなことなら毒蛇を放って殺しておけば良かった!(はっ!)」激情に駆られた五公主はうっかり口を滑らせたが、開き直って武将の娘など死なせれば済むことだと言い放った。「公主の私が殺すのは蟻を潰すも同じ、彼らの命に価値はない! 父皇、母后、娘ではなく他人に味方するのですか?!」「…お前はどうかしている、どうかしているぞ!」増長した五公主の悪辣な行動は皇帝と皇后の逆鱗に触れた。皇后はすぐに消えろと叫び、怒りのあまり卒倒してしまう。そこで皇帝は五公主を皇陵に閉じ込め半日ほど反省させるよう命じ、今後は許可なく公主府を出るなと厳命した。皇帝は人払し、皇后を心配して寝殿に入った。すると越姮が引き上げようとした駱済通(ルオジートン)を引き止める。「五公主は帝后が罰する、では密会だと騒ぎ立てた春笤(チュンティアオ)は?」「心ある奴婢を留めて置くことはできません、父兄に頼んで辺境へ売ってもらいます」「ふっ…あなたを侮っていたわ、これほど果敢だったとはね」凌不疑は少商を連れて長秋宮を出た。「あの夜、泣いていたのは辱められて悔しかったからだったのか…いつまで隠すつもりだった? なぜ自分だけで動く?私が信じられないのか?」不疑は縁談が決まった時、これからは少商の後ろ盾となり、知己となって、少商の恐怖や孤独を共有しようと思っていたという。しかし結局、少商にとって自分は恐れ多く、近づきがたい存在のままだった。「楼垚(ロウヤオ)なら君は怯えずに済み、自由気ままでいられた だが私は君を宮中に閉じ込め、恐れを抱かせてしまう…嫌悪感すらも…」不疑は今さらながら少商を留めるべきではなかったと後悔し、独りで行ってしまう。「凌子晟(ズーション)!私は一匹狼、やられたらやり返す!そんな私が好きなのよね?! なのになぜ急に変われと強いるの?!私は程少商よ!凌子晟の新婦というだけじゃない!」すると不疑がふと立ち止まって振り向いた。「分かっている、そのままでいい」少商は皇宮も不疑も受け入れているつもりだった。…それなのになぜこのままの私を受け止めてくれないの?…少商は長秋宮に戻り、改めて皇帝と皇后に謝罪した。すると自分がめちゃくちゃにした瓏園を凌不疑がすでに配下に命じて修復させたと知る。驚いた少商は自分で責任を取ると言ったが、その時、ふせっていた皇后が身体を起こした。「少商、子晟があなたの未婚夫なら余と陛下はあなたの君姑(クンコ)であり君舅(クンキュウ) 誰かに陥れられたのに相談もせず自分で動くとは… 私や陛下を親とも思わず、子晟に愛も注がぬのなら、皆の心を失望させるだけよ?」「…もっと早く教えてくださればいいのに、今さら手遅れです(ボソッ」少商は思わず恨み言を漏らしたが、皇帝は不疑への真心を学ぶことなら今からでも間に合うと諭した。一方、凌不疑は五皇子を待ち伏せし、少商を池に落とした息女たちを全て教えるよう迫った。すると不疑は宮中にいる息女の父親を次々と捕らえ、引き回しの刑にしてしまう。「世に知らしめなければならぬ、これが我が子を躾けぬ親の末路だとな」その夜、曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)は皇帝の命で五公主を公主府まで送り届けた。しかし五公主に反省の色は見えず、父皇と母后の容赦ない罰もしょせんは自分を怯えさせたいだけだと侮っている。その余裕も屋敷に入るまでだった。前庭には公主をそそのかして愚行たらしめた罪により死を賜った幕僚たちの亡骸が並んでいる。五公主はようやく自分の過ちの大きさに気づき、その場で泣き崩れた。五公主の″情夫″に死を賜るよう上奏したのは凌不疑だった。そのせいで都中に五公主が情夫を囲っていたと噂が広まり、小越侯は将来の君舅として面目丸潰れとなる。怒り心頭で酒楼に閉じこもった小越侯、すると番頭の田朔(ティエンシュオ)が現れ、いずれ吉報が届くとなだめた。「三皇子は品行方正で厳正中立、陛下も絶賛しておられるとか 君子とは真っ直ぐで邪のない者、三皇子は天子になる運命かと…」「…だが太子という邪魔者がいるかぎり、吉報が届くのは無理だろうな」皇太子と皇太子妃は母后を見舞った。すると皇太子妃が五妹の悪い噂が都に広まっていると報告、皇太子と少商は眉をひそめる。「…母后、どうか気に留めないでください」皇太子は五妹も少しずつ改めるはずだと安心させたが、皇太子妃は罰してこそ教訓になるため溺愛は禁物だと諫言した。「儲妃、少し遠慮しては?良かれと思っても、その言い方は人を不愉快にさせるだけ 慈悲深い皇后は怒りませんが、もし越妃だったらどうなると?」見かねた少商が釘を刺すと、皇太子妃は気まずくなって口をつぐんだ。皇太子妃は東宮に戻ってから皇太子に叱責された。いくら五妹と確執があるとは言え、父母が娘のことで胸を痛めている時に火に油を注ぐなという。皇太子妃は失言を詫びたが、皇太子はあきらかに悪意があったと指摘した。すると皇太子妃は報復するとすれば相手は五妹ではなく、我が子を死なせた曲泠君(チューリンジュン)だという。「曲泠君と殿下が怪しい仲でなければ、私も体調を崩して子を失いませんでした… 彼女は宴であなたに何度か視線を向けた、それだけでこの数日、殿下は心ここにあらずです」皇太子妃はそもそも自分を娶ったのが間違いだと嘆いた。曲泠君に未練があるなら入内(ジュダイ)させて良娣(リョウテイ)に封じれば自分も苦しまずに済むという。皇太子は疑心暗鬼に陥った皇太子妃を持て余し、無益な争いは好まないと言い捨て出て行った。つづく( ゚ェ゚)え?また振り出しに戻るの?ってか今さら阿垚を持ち出すとかエェェェ…そもそも不疑ソックの不具合が原因なのに…w
2023.10.22
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那年花开月正圆 Nothing Gold Can Stay最終話「愛を貫いて」周瑩(シュウエイ)は西太后と光緒(コウショ)帝に拝謁した。最初は上々だったが、最後にうっかり″変法″の標語を引用してしまう。「太后のご不興を買ったかも…」謁見を終えた周瑩は趙白石(チョウハクセキ)に申し訳なさそうに伝えたが、そこへ崔(サイ)太監が駆けつけた。皇太后が周瑩を気に入って褒美に東阿阿膠(トウアアキョウ)を与え、さらに爵位を授けると命じたという。周瑩は安堵すると、次は趙白石が拝謁する番となった。趙白石はこの機に沈星移(シンセイイ)から託された日昌和(ニッショウワ)の仕訳帳を提出、これを見た西太后と皇帝は郡王が戸部を利用して私腹を肥やしていたと知る。憤慨した西太后はこの件について他言無用と告げ、帰りに汴梁(ベンリョウ)を通る際に対策を講じると言った。趙白石は別院に周瑩を訪ねた。ついに皇太后が郡王を排除するという。周瑩はこれで死んだ人たちも浮かばれると感慨無量だったが、話はそれだけではなかった。「もう1つ、深刻な知らせだ… 沈星移が涇陽(ケイヨウ)の街で目撃された、奴から連絡は?」フル(・_・ ))(( ・_・)フル周瑩は沈星移が自分に会いに来ると期待したが、趙白石は恐らく狙いは皇太后と皇帝だと教えた。皇太后と皇帝の暗殺を企てている組織があるが、その組織の中心人物が沈星移だという。「いいか、これは一大事だ、決して感情で動くなよ? 沈星移の情報が入ったらすぐに知らせろ もし両陛下が東院で暗殺されれば、我らや懐先(カイセン)はもちろん、 呉家にいる全ての人間が打ち首になる」すると趙白石は懐先を自分の屋敷に連れて行くと決めた。「にゃん?!」「一緒に行って」「明日、両陛下が発御されたら懐先を返す」周瑩は没落した沈家を訪ねた。しかし荒れ果てた実家に沈星移の姿はない。周瑩は侍女として暮らしていた沈星移の寝殿に入ると、しみじみあれからずい分と遠くへ来てしまったと実感した。その頃、呉家の厨房に野菜を搬入する使用人の姿があった。男は野菜を届けると、こっそり身を隠す。その使用人とは西院の呉沢(ゴタク)だった。その夜、周瑩は胸騒ぎがして眠れなかった。なぜか沈星移が来る気がしてふと戸の前に立ってみたが、その時、使用人になりすました沈星移が本当に入ってくる。2人は固く抱き合い、再会をかみしめた。しかし周瑩はふと冷静になり、暗殺を思いとどまるよう説得する。「星移、革命のために私や自分を顧みずとも、他の人のことは考えて 暗殺は止めないけど、東院では手を下さないで」周瑩は呉家の人間が皆殺しになると心配したが、沈星移は策なら考えてあるという。「君や懐先はもちろん、東院の者にも害は及ばない…」すると突然、沈星移は短刀で周瑩の肩を突き刺し、衝撃を受けた周瑩に口づけした。沈星移は怪我をした周瑩を椅子に座らせ、縄で縛り始めた。これなら暗殺事件が起こっても、周瑩が責められることはない。しかしその時、夜回りしていた趙白石が周瑩の部屋の灯りに気がついた。「周瑩、まだ起きているのか?」「ぁ…もう休むわ、大哥も休んで!」「分かった、では行くよ」一方、時を同じくして、呉沢も西太后を暗殺すべく、東院へ向かっていた。沈星移は周瑩を縛り付け、ついに出て行くことにした。しかし戸を開けると、帳(トバリ)の内側で待ち構えていた趙白石が剣を突きつけ入ってくる。趙白石は先ほど周瑩が懐先のことを何も聞かなかったため、異変を感じたという。「趙白石、戸を閉めろ」すると沈星移は趙白石に銃を向けた。趙白石は仕方なく戸を閉めて剣を捨てた。そこで沈星移は正房まで案内するよう脅したが、趙白石は自分を撃てという。驚いた周瑩は沈星移にあきらめるよう訴えた。趙白石の性分なら自分の命に代えても暗殺を阻止するだろう。周瑩はこれ以上、家族を失いたくないと訴え、このままでは二人とも死んでしまうと嘆いた。「大哥、これは私からの最初で最後のお願いよ、星移を逃してあげて」周瑩の悲痛な叫びに沈星移は銃を下ろし、趙白石も沈星移を逃すと決める。しかし趙白石が戸を開けると、帳の向こうから官兵たちが刺客が現れたと話している声が聞こえた。(#≧ꇴ≦)もぉぉぉ!呉沢ーーーっ💢刺客が別院へ逃げ込んできた。趙白石は自ら刺客と剣を交え、刺客の覆面を外したが、その正体が呉沢だと知る。すると呉沢は趙白石が驚いて手を止めた隙に、周瑩の部屋に逃げ込んだ。趙白石は焦って官兵たちを制止、自分に任せろと叫んで部屋に入る。こうして周瑩の寝殿には奇しくも沈星移と呉沢、そして趙白石が揃うことになった。趙白石は呉沢を突き飛ばし、軽率な行動をとがめた。「呉家の人間が東院で暗殺だと?!」「陛下を救う最後の機会だ、行かせてくれ、皇上が政権を握れば国は救われる」しかしすでに屋敷は官兵が包囲していた。呉沢はもはや殺されるか捕まるかの二択しかない。このまま呉家の人間が刺客として捕まれば一族連座となり、呉家が滅ぼされること必至だ。「もう誰も逃げられぬ」趙白石は最悪の事態を覚悟したが、その時、沈星移が方法があると言った。沈星移は呉沢の覆面を外して自分の顔につけ、呉沢の剣を手にした。そして趙白石に銃を投げ渡すと、いきなり手刀で趙白石の首を突き、意識を失わせる。「星移…行ってはダメよ…」しかし沈星移は何も言わず、いきなり外へ飛び出してしまう。周瑩は呆然としたまま庭から聞こえる剣戟(ケンゲキ)の音や、官兵たちの怒号に胸が痛んだ。やがて外は静かになる。周瑩は沈星移の最期を悟り、ひとり涙に暮れた。翌朝、呉家一族は西太后と光緒帝の見送りに出た。すると皇太后はひざまつく周瑩に気づき、声をかける。「何年、寡婦を貫いた?」「お答えいたします、太后、14年です」「…私は39年だ」西太后は共に女として一族を支えてきた周瑩の苦労に共鳴し、呉家をあとにした。趙白石は呉沢を人知れず呉家から出し、埠頭まで送った。呉沢や呉家数百人の命を救った沈星移、趙白石はそんな沈星移の死を無駄にしないよう、これからは自身を大切にしろと助言する。「お前は?まだこの泥沼の中を漂い続けるのか?」「これからもこの道で踏ん張り続けようと思う」「…行くよ」「元気でな」周瑩は懐先(カイセン)の見送りで上海の埠頭にいた。すると一緒に来ていた趙白石から端郡王・載漪(サイイ)一家が新疆(シンキョウ)へ流刑処分になったと聞く。周瑩はふとあの時、東院でもし皇太后が殺されていたら、懐先をどうしていたのか尋ねた。しかし趙白石はただ懐先を我が子同然に思っているとだけ答える。そこへ懐先が戻ってきた。「にゃん!舅舅!そろそろ乗船します!」周瑩は懐先を船の入り口まで送ったが、複雑な心境だった。「私はこれまで多くの別れを経験してきたの、呉聘(ゴヘイ)、父上、私の父、そしてあの人… 今度はあなたとお別れするのね」「安心してください、僕はまた帰って来ます」「早く帰ってきて」「母上、2年などあっという間です!その時には僕もこの国も変わっているはずです!」こうして懐先は旅立って行った。…周瑩は1869年、陝西三原(センセイサンゲン)県の周家に生まれた…幼い頃から才知と人徳を兼ね備え…17歳で涇陽(ケイヨウ)安呉堡(アンゴホウ)村の呉家に嫁ぎ、呉聘の妻となる…結婚後は夫と義父を相次いで亡くし、幼い養子の懐先を抱え、呉家の商いを一手に担った…周瑩は仁義や信用を重んじ…人材を上手に使う柔軟な経営手腕で呉家東院を比類なき大商家にのし上げる…また学業支援や廟の建築、道路および橋の修繕、造船などに貢献…さらに災民や貧民を救済し、多くの慈善事業を行った…そして1908年、周瑩は40歳でこの世を去り、一品の誥命(コウメイ)夫人に封じられる…周瑩が商売で起こした奇跡や人助けの心…それらは陝西商人の新しい道を切り開く勇気や、信用を守る精神として今日まで伝えられている完( ๑≧ꇴ≦)長かった~!女子学堂の開校で終わりで良かったと思うな〜それにしても上海埠頭が小さ過ぎない?←最後の感想がこれかw
2020.04.21
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第24話)第51話「それぞれの区切り」凌不疑(リンブーイー)は15年間という長い歳月を耐え、ついに本当の名を明かした。「私の名は霍無傷(フォウーシャン)」「霍兄、すまなかった、今まで気づかぬとは…許してくれ」文(ウェン)帝は亡き義兄の忘形見を抱きしめ号泣したが、不疑は己の罪を認め、死を望むという。すると左(ズオ)御史中丞がこれ幸いと即座に死を賜るよう上奏、皇帝の逆鱗に触れても追及の手を緩めなかった。そもそも凌益(リンイー)が敵と通じた証拠がないという。しかし思いがけず廷尉府の袁慎(ユエンシェン)が証拠を持ってやって来た。凌益の妻・淳于(チュンユー)氏は職人に作らせた女媧像を汝陽(ジョヨウ)王妃に贈っていた。「その中に彭坤(ポンクン)と凌益の書簡が隠してありました、孤城を占領した証拠になるかと…」皇帝は書簡を確認、左御史に投げ渡した。しかし左御史は霍将軍にはまだ東宮の虎符を盗んで軍を動かした大罪があると食い下がる。すると今度は三皇子が駆けつけた。左御史の弟である左将軍は子晟(ズーション)の救出を邪魔しようとして捕まっていた。将軍は拷問により何もかも自供、左家は田(ティエン)家酒楼の番頭・田朔(ティエンシュオ)に大金で抱き込まれていたという。実は田朔は戾(レイ)帝付きの内侍で、腹心中の腹心だった。朝廷から戦神・凌不疑が消えれば安心して山河を奪い返せると考えたのだろう。内侍は田朔と名を変えて商人として潜伏、この数年は酒楼を隠れ蓑にしていたが、朝廷の官員も多く往来していた。「雍(ヨウ)王や小越(ユエ)侯とも結託していたのです! 父皇、彼らは田朔にそそのかされ、国と民に害を及ぼしたかと…」「田朔は霍将軍に恨みがあると言っただけ…戾帝の内侍など知りませぬ!」左御史は無実を訴えるも後の祭り、朝堂から引きずり出されてしまう。「厳しく拷問を科せ!死んでも構わん!」しかし三皇子の報告で田家酒楼はすでにもぬけの殻、謀反の証拠をつかむも田朔に逃げられてしまったという。( ๑≧ꇴ≦)ノ″ さようなら、おじいちゃ~ん!皇帝は奥殿に子晟と三皇子を呼んだ。確かに今回、子晟が虎符を使ったせいで皇太子は弾劾され、名声まで地に落ちている。三皇子は必要に駆られて使ったのだろうと庇ったが、皇帝はすでに気づいていた。「太子の手にあった虎符は偽物だ、小越侯に盗まれた虎符を子晟が取り戻し、そのまま持っていた お前たち2人は最初から…」「そうです」もはや隠し立てできないと悟った三皇子は皇兄ではこの国を担えないと訴え、楼犇(ロウベン)の事件も正しく賞罰しなかった皇兄が原因だという。実は子晟も同じ意見だった。子晟の話では皇太子のそばにいたわずか数ヶ月で東宮の全てを掌握できてしまったという。「太子が即位後、私さえ望めばすぐにでも政を乗っ取れる…そんな場面を見たいと? もちろん二心などありません、しかし私が思うに太子では重責を担えません」「よく言ったわ」すると皇后・宣神諳(シュエンシェンアン)が現れた。皇后は確かに子晟の言葉は理に適っていると認めた。一連の事件は立太子を誤った皇帝、凡庸で才のない皇太子、志を抱く三皇子、深い恨みを持った子晟、そして息子を溺愛した自分自身に関係があるという。「しかし少商(シャオシャン)は?この件と何の関係が?なぜ巻き込んだの?まさかこれも国のためだと? あなたの言葉は全て正しい、小さな情を捨て、天下を潤す なら聞くわ、あの日、城陽(ジョウヨウ)侯府に赴いた時、少商を捨てると決意していたの?」その時、子晟の頬を一筋の涙が流れた。「…はい」「今の言葉は本心?今回の件を悔いてはいないと?」「悔いていません」皇后は不疑の返答に深く失望し、そこで少商を呼んだ。「少商…」子晟は少商が自分の答えを聞いていたと知り、動揺した。「少商、許しを求めるつもりはない、だが信じている、分かってくれると…」「分かっています…でもあなたは私を分かっていたかしら?」すると少商は皇帝と皇后に破談を申し出た。「少商、聞いてくれ…」「今度はあなたが聞く番よ…私は昔から運が悪かった、真心なんて信じなかったわ でもあなたに出会い、言われるがまま好きになり、頼れと言うから頼った 信じろと言うから信じたのよ?でもあなたは? あの時、伝えたはず、私を捨てたら一生、許さないと… 霍将軍、どうか旧情に免じて私を解放してください」( ;∀;)シャンシャン…崇徳(スウトク)宮を出た少商は後宮へ続く長い回廊を歩いていた。すると途中で少商を心配して待っていた袁慎と出くわす。「少商、家に帰るんだ、奴が虎符を使った以上、太子と皇后も廃されるだろう」「廃されてもそれは皇后が自ら願い出たからよ、きっとお疲れのはず… 私も疲れたわ、もう家に帰りたい」少商はとりつく島もなく、会話をさっさと切り上げて行ってしまう。一方、宣神諳は皇帝に皇后の印璽を差し出していた。皇太子を廃し、母としての責任を取って皇后の座を降りたいという。「これまで流されるまま生きて来ました… その昔、陛下に妻がいると知りながら、舅父に言われるまま嫁いだ 私を皇后に立てると言われた時も、后位が荊の道だと知りながら受け入れたのです 太子は父の性格によく似ていました 本来なら書や学説で名を馳せられたはず、でも太子となったばかりに毎日、寝食もままなりません どうか国のために私たちを廃してください 越姮(ユエホン)が皇后なら三皇子も正当に東宮へ入れるでしょう」しかし皇帝は廃后だけはどうしても認められないと拒んだ。「太子に比べて皇后の非がどこにあるのだ?!廃す理由があるか?!」すると宣神諳は初めて思いの丈をぶちまけた。「もし私にも恨みがあったと言えば? この数十年、陛下と阿姮が笑ってふざけ合う姿を見るたび、心が蝕まれる思いでした 本当はいつも嫉妬と恨みに駆られていたのです! もううんざりです、后位に就く限りこの苦しみを味わう! 想い合える夫の愛を望んでいたのに、私は仲睦まじい2人を鷹揚として受け入れるしかなかった もし陛下が私に少しでも夫婦の情があるなら、これ以上、苦しめないでください 一度でいい、宣神諳として生きてみたいのです!陛下!」( ;∀;)皇后ォォォォ~皇太子は東海(トウカイ)王に降格、皇帝は宣神諳の望み通り長秋宮での軟禁を命じた。また凌家は取り潰しとなり、凌益の三兄弟は斬首になったという。霍無傷は凌不疑の分も生きたいと名を引き継ぎ″霍不疑″と改名、償いとして北西に7年の駐留を申し出た。そんな中、曲陵(キョクリョウ)侯府に梁邱起(リャンチゥチー)を通して不疑からの伝言が届く。本日、北西に発つため少商にひと目だけでも会いたいというのだ。しかし少商は双子の兄・程少宮(チォンシャオゴン)に見送りを頼み、巾着袋を託した。「遠き地にいればもう会わなくて済む、過去は断ち切るわ」少商は父と兄たちに散歩に行くと言って出かけた。蕭元漪(シャオユエンイー)と青蓯(チンツォン)は偶然、正門へ向かう少商の後ろ姿を見かける。「女公子はすっかり変わりましたね」「以前は少しでも落ち着いて欲しいと思ったのに、今やあそこまで落ち着き払って別人のよう 何だか以前のように勝ち気で他人を圧倒し、騒ぎを起こしている方が安心する 青蓯、初めから私が間違っていたのかしら?」「成長したのです、母ならば誰もが離れゆく子の姿を見る、一生は付き添えません」少商が馬車に乗ろうとすると、母たちが追いかけて来た。「少商?どこへ行くの?」「長秋宮です」「宣皇后は廃后後、自ら軟禁を申し出た、行ってどうするの?」「そんな時こそおそばにいなくては…阿父と阿母が孤城救援のため私を家に置いたのと同じです どうか忠義を全うできるよう私を長秋宮へ」一方、霍不疑は城門で少商が来るのを待っていた。梁邱飛(リャンチゥフェイ)はそろそろ出立するよう伝えたが、不疑は動こうとしない。その時、馬を駈けて程少宮がやって来た。「少宮、少商は?」少宮は黙って巾着を投げ渡すと、縁が切れた以上は強引に求めないで欲しいという。「…少商は他に何か?」「″もう会うこともない″と…」巾着には不疑が出征する時に託した凌府の印が入っていた。…裏切れば一生許さない、それが彼女だ…不疑は涙を拭うと、北西に出発した。( ;∀;)ウーレイィィィィィィィィィィ! ←違うw少商は母と程姎(チォンヤン)に別れを告げ、宮中に向かった。黙って馬車を見送る蕭元漪、しかし長秋宮が冷宮同然だと知りながら忠義を尽くすと言った嫋嫋(ニャオニャオ)の様子が引っかかる。…まさか、戻らないつもりでは?永遠に冷宮に留まると…「早く!馬車を準備して!」蕭元漪は急いで娘の馬車を追いかけたが、嫋嫋はすでに城内へ入っていた。その時、ちょうど馬車から降りてくる嫋嫋が見える。「嫋嫋!嫋嫋!行ってはダメ!母が間違ってた!母が謝るから…嫋嫋…」蕭元漪は必死に叫んだが、虚しくも城門は閉まってしまう。つづく(⸝⸝ ˘ω˘ )いやあぁぁぁぁ~良かったこれは琅琊榜ep26と東宮最終話に続く名場面かも〜何より皇后が良かったわママ?うーん、ママは…w
2023.12.08
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第5話)第32話「予期せぬ波紋」文修君(ウェンシウジュン)が独断で息子に山賊の討伐を命じ失敗、全軍が捕虜となった。皇太子は凌不疑(リンブーイー)から身びいきを諌められたが結局、王淳(ワンチュン)を罷免できず、皇帝からも厳しく叱責されてしまう。これをきっかけににわかに廃太子の憶測が流れ、途端に小越(ユエ)侯に取り入ろうとする輩が増えた。皇后の寿誕の宴の差配を任された程少商(チォンシャオシャン)は東宮で皇太子妃の協力を仰いだ。何事もてきぱきこなせる少商だが、さすがに文武百官の家族の席順まで決めようがない。( ;∀;)<十一郎の妻になるのは驊(カ)県の管理より大変よ〜皇太子妃は思わず自分も夫が皇太子になるとは思わなかったと吐露した。実家の一族は娘を当てに出世を望むが、自分にそんな力などない。「祖先を捨てたと罵られようと、誰が私の苦しい胸の内を分かってくれるというの…」しかし少商は優しい皇太子夫婦をかばい、周りが欲深いだけだと慰めた。その時、東宮に五公主が現れる。実は昨夜、五公主は酒楼で偶然、小越侯と出くわした。小越侯は息子の未婚妻が幕僚と称する男たちと遊んでいる様子に眉をひそめたが、ふと思い立ち、番頭に頼んで廃太子の噂を吹き込むよう頼む。寝耳に水だった五公主は憤怒、早速、東宮へ駆けつけ、優柔不断な皇兄を厳しく追求した。「王隆(ワンロン)なんて死なせておけばいい!父皇を怒らせて廃されたいの?! 太子でなくなったら我ら長秋宮の子女は何を拠り所にしろと?! 私が男だった皇兄に役目は回ってこなかったのに!」皇太子は妹の暴言にも罰を与えることはなかったが、その代わり越氏に嫁ぐ時には嫁荷を奮発すると嫌味を言った。皇兄と話してもらちが明かない五公主は長秋宮で母后に不満をぶちまけた。これに皇后は激高、娘を追い出すと寝込んでしまう。駱済通(ルオジートン)が差し入れた粥にも口をつけず、翟(ジャイ)媪(ウバ)もお手上げだった。しかし東宮から戻った少商が事情を知り、一計を案じる。「皇后にお願いが…これは家で育ててみた胡瓜(キュウリ)です 胡瓜は西域の朝貢品、皇后なら味をご存知のはずです 西域の胡瓜と同じ味か比べてみてもらえませんか?」皇后は仕方なく一欠片だけ食べてみたが、塩気が強過ぎた。そこで少商は塩辛ければ粥で薄めるよう提案、見事に粥を食べさせることに成功する。「悪知恵が働く子ね…まだしょっぱいわ」皇后は少商の機転で笑顔になり、不思議と食欲が戻った。安堵した翟媪は駱済通を連れて寝殿を出た。「2人の邪魔をしないようにね、皇后が宮中で心を開ける人に出会えて良かった 十一郎も良い妻を選んだわね」嬉しそうに仕事へ戻った翟媪、しかし駱済通の侍女・春笤(チュンティアオ)は程娘子が主から皇后と凌将軍を奪ったと恨みを募らせた。駱済通も心中穏やかではないが噯(オクビ)にも出さず、これも運命だとなだめる。「実に幸運な人ね…想い人に嫁ぎ、帝后の庇護も得られるなんて」少商を幸運だと羨む者がいれば、皇后はどうすれば少商のような利口な子に育つか両親に教えて欲しいと羨んだ。すると少商はすぐ両親を呼び寄せ、2人の前で思い切り自分を褒めて欲しいと懇願する。「そうすれば悪いのは私ではなく、我が子を大切にせず他人の子を羨んでいると気づくはずです 皇后のように我慢強く諭すのがいい親だと知らしめなくては…」しかし皇后は少商も間違っていると諭した。「世の親は我が子が一番だと思うものよ、他の家の子を羨むのは教えの一環に過ぎない」親も当然、子から恨まれると分かっているが、人生に2度目はなく、やり直しができないという。「子が強くなる分、親も安心できるの、子に強いることは自分に強いることも同じなのよ」少商が寝殿を出ると皇太子が中庭で待っていた。皇太子は父皇を失望させて母后を傷つけたと意気消沈し、合わせる顔がないという。しかし少商は皇后が傷ついているのは自分が息子を守ってやれないためだと話した。「殿下は太子である前に陛下と皇后の息子です 太子として王将軍を助けるのではなく、子の立場で従兄の嘆願をすることはできます 確かに陛下は冷徹になれない太子に失望するでしょう でも父親なら情け深い子に失望するはずがない この件で両親と疎遠になれば、かえって子の指導が誤っていたと失望させるだけです」「…程娘子、ありがとう」朝臣たちは先走って後継者の交代を上奏し始めた。その夜、皇帝は野心をあらわにした臣下たちに怒り心頭だったが、そこへ皇太子がやって来る。皇帝は息子もようやく尻に火がついたと思ったが、皇太子は碁盤を運んできた。「寝付けないので一局どうかと…」すると皇帝はまだ幼い皇太子に碁を教え始めた頃を懐かしんだ。当時は皇太子が少しもじっとしておらず、碁盤のそばに貼り付けようと必死だったという。一方、少商を迎えに行った凌不疑は少商の様子がいつもと違うことに気づいた。「機嫌が良さそうだ、何か良いことでもあったか?」「そうでもないわ、ただ問題を解決できて痛快なの」すると不疑は三公主が禁足になったことも痛快かと聞いた。少商はやはり自分の仕業だとばれていたと知り、法事をぶち壊したことを謝罪する。「君は私が強引だと怒るが、君こそ独断で決める、あまり無茶をされると心配になる」「…怒らないの?」「私を信じるならやりたいことは私に任せて欲しい、敵への報復も…」確かに必ず守ると約束はしたが、不疑はせめて機会が欲しいという。そこで少商は皇后が廃太子の噂を聞いて心を痛めていたと報告し、雁回(ガンカイ)塔で皇太子を悪く言っていた人と関係があるのかと訝しんだ。不疑は驚き、皇太子に不満を抱く者も多く、広範囲に及ぶため関わるなと釘を刺す。「君も東宮へは行かないほうがいい…で、痛快だったとは何のことだ?」「ぁ…皇后が粥を食べてくれたの…」少商は皇太子に助言したことを言い出せなかった。皇太子は途中で手を緩め、わざと負けた。もちろん皇帝には見抜かれていたが、皇太子は囲碁を学び始めた当初、父も同じように手加減して負けてくれたという。「父皇は勝ち負けより私の気持ちを考えてくださった、今日の私も同じです」皇太子は勝敗より家族の気持ちが大切だと訴え、全てに負けたとしても我が手に悔いはないと言った。翌日、皇帝は朝儀の場で皇太子に虎符の管理を任せると宣言した。皇太子は事実上、全軍を動かすことが可能となり、皇帝は暗に廃太子の意思がないと示したことになる。結局、皇帝は大軍を危険にさらした王隆(ワンロン)を罷免するに留め、父の王淳には罪を問わなかった。匪賊の討伐については凌不疑と将軍たちに任せ、出征の時には皇太子が点将(テンショウ)台で将兵を遣わすよう指示する。しかし不疑はなぜ皇帝が急に譲歩したのか分からなかった。朝儀が散会、子晟(ズーション)を連れて東宮に戻った皇太子はようやく従兄を救出できると喜んだ。すると子晟が皇帝をどうやって説得したのかと訝しむ。皇太子は少商から助言されたことを明かし、昨夜、父皇と碁を打ちながら昔話をしたと教えた。「父皇は我ら父子の情に免じて王将軍と私に機会を与えてくれた お前たち夫婦は余(ヨ)の幸運の星だな」凌不疑は昨夜、少商の機嫌が良かった理由を知った。その夜、少商を迎えに行った凌不疑は改めて皇太子に助言したのかと確認する。少商は認めたが、皇太子を助けたのではなく、皇后の力になりたかったと説明した。しかし皇后のためを思ってしたことが、実は皇后と皇太子を追い込むことになると知る。「君の献策のおかげで陛下は王家を見逃した 少商、何度も言ったはずだ、宮中や朝廷の争いに巻き込まれるなと…なぜ耳を貸さない? もう一度だけ言っておく、宮中では少し触れても全体に及ぶ、簡単なことではない」不疑は厳しく戒めておいたが、少商は最も難儀なのは宮中ではなく凌不疑だと反発した。「あなたの計算や考えを何も教えないくせに何を気をつけろって言うの? そもそも私は関わる必要などなかった 普通の夫に嫁いで普通に暮らせるはずだったのに、あなたが引き入れたのよ? それでも一緒になると決めてから受け入れようとしてる でもあなたは複雑な世界に愚かな私は関与するなという」「君を思ってのことだ」「阿母からもよく言われたわ、あなたのだめだと…私が不十分だからそう言うのね?」少商はまた分からなくなった。ありのままの自分でいながら周りの期待に応えるためにはどうしたら良いのだろうか。「…失望させたわね」すると少商は不疑が引き止めるのも聞かず、独りで帰ってしまう。 屋敷に戻った少商は凌不疑の話を思い出し、悶々とした。…少商、自分は正しいとでも?…陛下が王家を追及しないことで朝臣らの恨みや不満が皇后と太子に向けられる…東宮位を狙う者がいる以上、君の行動は太子を助けるどころか不利にする…しかも皇后も巻き込む、彼らを生贄にするも同じだ「はあ〜凌不疑との成婚は面倒ね」つづく( ゚ェ゚)うむ、確かに少商の不満は分かるな
2023.09.30
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第8話)第35話「月と星の関係」袁慎(ユエンシェン)は程少商(チォンシャオシャン)と凌不疑(リンブーイー)の婚約の宴から追い出される汝陽(ジョヨウ)王妃と城陽(ジョウヨウ)侯夫人を目の当たりにした。「程娘子の婚約は慶事と言えなくもないが、汝陽王にとっては大慶事だな…」「″言えなくもない″って何よ?」少商は回廊にいた袁慎の失礼な物言いを聞き逃さなかった。「そんなに嫌味ったらしいのは嫉妬しているから?前の縁談が潰れてもすぐ次が決まった 善見(シャンジエン)公子なんて子晟(ズーション)と同年代なのに妻もいない 今日は世家の娘が大勢来ているから私が取り持ってあげましょうか?」すると憤慨した袁慎は低俗だと言い捨てて行ってしまう。万松柏(ワンソンバイ)が凱旋、匪賊を討伐して無事に人質だった王隆(ワンロン)を解放した。事情を聞かれた王隆は、持ち場を勝手に離れたのも父・王淳(ワンチュン)の軍令に従ったからだと釈明したという。皇太子は自分が慎重に調査すると申し出たが、その時、廷尉(テイイ)府・紀遵(ジーズン)が自分たちに任せて欲しいと嘆願した。「善見、陛下にご挨拶を…」仕官した袁慎は御前で拝礼し、見解を述べようとした。すると凌不疑が話を遮り、実は昨夜のうちに調査を済ませたという。実は王隆への軍令は文修君(ウェンシウジュン)が夫の文として偽造し、印章も偽物だった。しかも文修君は寿春(ジュシュン)にいる弟・小乾安(ケンアン)王を援助するため、銭の鋳造をそそのかしたという。皇帝もこれ以上かばい立てできず、文修君の封号を剥奪して自害を命じ、また王父子は官位を剥奪され庶民に落とされた。朝議が散会した。すると朝堂を出た凌不疑に少商からの差し入れが届く。何とも微笑ましい様子に紀遵は目を細めたが、袁慎は内心、面白くなかった。「善見、お前もいい年だ、身を固めないのか?」「縁談に興味はありません」↓善見ザマアァァァwww王姈(ワンリン)は長秋(チョウシュウ)宮へ駆けつけ、皇后に母の命乞いを続けた。しかしちょうど母の見舞いに来ていた五公主が現れ、立ち去らなければ宮廷を騒がせた罪で打ち据えると脅す。驚いた少商はそこまでせずとも自分が追い払うと約束し、王姈を助けた。「死にたくなければ黙って…事は重大よ、私たちでは何もできない」その夜、少商は寿春料理を作って皇帝に届けた。皇帝は舌鼓を打ちながら老乾安王を懐かしんだが、少商が遠回しに嘆願に来たと見抜く。すると少主は嘆願が皇后のためでもあると言った。「皇后は乾安王に養育されました 文修君がどれほど横暴で不敬な態度でも耐えて来たのは、ひとえに故人を偲んでのこと 文修君が死を賜ることになり、皇后はまた病に伏されました、きっとお辛いはずです」皇帝は子晟からも同じことを言われたと明かした。老乾安王は霍(フォ)兄のために亡くなり、文修君と弟はその乾安王が残した唯一の血脈だという。「…いいだろう、幸いひどい事態は招いておらぬ、死は免じよう」 王姈は彭坤(ポンクン)へ嫁ぐことが決まり、その前に生涯軟禁となった母を訪ねた。夫や娘を顧みず大罪を犯した母、しかし未だ過ちを認めず、気概がない娘を引っ叩いてしまう。すると王姈はついに母を見限った。「阿母、舅父は陛下への書状で全ての罪を阿母に着せたわ 自分は貨幣のことも知らず、軍を動員したこともないと… 最初、陛下は自害を命じた、でも皇后に免じて監禁に留めてくださったのよ」結局、文修君は自分が守ろうとした弟に裏切られ、恨んでいた相手に命を救われることになった。それでも文修君は弟をかばい、全ては大局を考えてのことだと訴える。王姈は哀れな母に深くし失望し、寿春へ行ったら毎日、皇帝と皇后のために祈ると言った。「あなたは永遠に実現しない夢を見ながら、この部屋で一生、過ごすのね」五公主は病み上がりの母后を訪ね、寿誕の宴を自分に任せて欲しいと頼んだ。父皇は少商を指名したが、母后から推薦して欲しいという。しかし皇后は娘が宴の予算に目をつけ、自分の懐を潤すつもりだと分かっていた。五公主は悪びれる様子もなく、幕僚たちを養う元金が必要だと訴える。その時、どこからともなく甘い匂いが漂って来た。「(クンクンクン…)何の匂いですか?」少商が新しい甘味を作っていると、皇后と五公主が様子を見にやって来た。「また子晟に食べ物を?」実は大臣たちも少商が子晟の馬車に差し入れを運ばせているのを目撃し、今や賢妻と評判になっているという。「でも孝行者とは聞かないわね~」皇后が遠回しに嫉妬すると、少商は今回の試作が皇后のためだと教えた。早速、試食した皇后は甘くて美味しいと笑顔、そこへ皇帝が凌不疑を連れてやって来る。「…誰かさんは朕より皇后を喜ばせられるようだな」少商は皇帝にも新しい甘味を勧めた。飴糖(イトウ)は高価なため甘蔗(カンシャ@サトウキビ)を絞り、小豆と糖汁を煮詰めたという。すると少商は五公主を尻目に不疑にも甘味を渡した。「ご安心を、甘蔗は自腹で買いました、皇后を喜ばせるため一文なしです、ふふふ~」「そなたは孝行者だな、子晟、お前の新婦は出来がいい」皇帝は喜んで不疑に食邑200戸を授けたが、少商はなぜ自分ではなく不疑が褒美をもらえるのか分からなかった。↓(๑・᷄ὢ・᷅๑)何でなん?五公主は娘の自分を差し置いて父皇と母后に寵愛される少商が面白くなかった。すると帰りの道すがら回廊で偶然、駱済通(ルオジートン)と出くわす。「あなたは私の伴読を務め、翟(ジャイ)媪(ウバ)を支えて宮中の雑務を行って来たわ でも母后は差配を程少商に任せるそうよ? …母后はあなたを十一郎に与えると思ったのに、まさか先を越されてしまうなんてね~」駱済通は寛容な対応を見せたが、内心は少商に激しく嫉妬していた。その気持ちを見透かすように侍女の春笤(チュンティアオ)は皇后の寵愛があっさり少商に移ったことに不満を漏らす。しかし何にせよ誰が皇后の意向に異論を唱えられるというのか。その夜、少商は皇后に今日の皇帝の褒賞について尋ねた。「陛下は私を褒めたのに、子晟に褒美を与えました… 200戸が惜しいわけではなく、私の出来が良かったのになぜ子晟の手柄になるのですか?」すると皇后はかつて楼(ロウ)家で少商が皇帝から表彰されたのは子晟が願い出たからだと明かした。当時、子晟は自分の褒賞を求めず、少商が楼家で見下されぬよう嘆願したという。何も知らなかった少商は驚いたが、ただ周りから子晟の妻としか見られず、自分自身がないことに納得できなかった。皇后はならば皇帝の麾下(キカ)である将士や大臣たちなど自分の居場所すらなくなるという。「良策を立て戦に勝利しても陛下の領土を広げただけ、自分たちとは何も関係ない 策が悪く、破れれば陛下の落ち度になる…でも古(イニシエ)よりこの満天の星の下では 合従(ガッショウ)や連衡を唱えて来た名将や策士も同じ星の河に名を連ね、明るくその輝きを放つ…」皇后は孤独に育った少商がこれまで自分の栄辱ばかり考えて来たが、成婚すれば別のやり方が必要だと諭した。「…皇后の言うとおりです、郎君が陽光で万里を照らすなら、私たち女は明るい星、星河に輝く」少商は日月と星河に高低は関係なく、互いが欠かせない、共存することでこの天地を成すのだと理解した。程家では一家が宮中から戻らない嫋嫋(ニャオニャオ)を恋しがっていた。嫋嫋がいない食卓は火が消えたようだったが、老夫人だけは気にかける様子もなく食欲が落ちることもない。すると朝餉の時間というのに突然、凌不疑が尋ねて来た。実は少商が皇后の寿誕の宴を仕切ることになり、皇帝に命じられて宮中に留まることになったという。「宴が終われば帰れるかと… それで少商が暮らしに困らぬよう、使い慣れた小物を取りに伺いました」程始(チォンシー)は了承したが、凌将軍は全ての荷物を運び出し、少商の部屋は空っぽになってしまう。つづく( ゚ェ゚)そしてまた独り消えた…ようやく原題の意味が出て来ましたね
2023.10.14
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第11話)第38話「愛を叫んで」凌不疑(リンブーイー)の企みにより情夫を囲っていたことが都中に知れ渡ってしまった五公主。程少商(チォンシャオシャン)は五公主の噂をわざわざ皇后の耳に入れた皇太子妃に憤ったが、皇后は皇太子妃の胸中をおもんばかった。思えば皇太子妃は五公主から日常的に侮辱を受けており、平静でいられないのも仕方がない。何より寿誕の宴で美しい曲泠君(チューリンジュン)の姿を見れば心中、穏やかではいられないだろう。実は皇太子にはもともと想い人がいた。曲泠君は皇太子妃より家柄や品格に優れ、当時は頻繁に宮中に来て皇太子ら兄妹と遊んでいたという。「2人が想い合っていることは誰の目にも明らかだった ただ陛下が故郷にいた頃に婚約を決めていたの、権力を得た後に破棄すれば信用を失う だから太子は約束通り孫(スン)氏を娶るしかなかった」「太子は約束を守らなければ良かったのに…」「子晟(ズーション)も同じことを言ったわ… 幼いながらも私や陛下にこの縁談は太子にとって害になるとね」しかし結局、皇太子は孫氏を娶り、曲泠君も別の人に嫁いでしまう。「聞くけれどあなたは心から子晟のことが好きなの?」「…好きです、以前は彼のことを天上の明月のような遠い存在だと思っていました でも彼も私と同じように血が通い、喜怒哀楽もある、想いは深まりました」「陛下は子晟が身を固めぬことを案じ続け、余は子晟を理解できる者が現れるだろうかと案じた 子晟があなたを選んだのは正解だったわ」その時、翟(ジャイ)媪(ウバ)が血相を変えて寝所に駆けつけた。「皇后!大変です!十一郎が陛下を怒らせ、杖(ジョウ)刑に処されると…」少商が駆けつけるとちょうど凌不疑が皇帝から叱責されていた。何でも不疑は少商を落水させた八家の息女を突き止め、その父兄を殴打したという。実は皇帝は五公主に加担した息女たちが普段から傍若無人に振る舞っているのではと懸念した。そこで父兄らが権勢を笠に着ていないか調査させていたが、賄賂をもらっていたことが発覚する。すると不疑はこの機会を利用し、廷尉府を無視して自ら制裁を加えていた。皇帝は皇権を乱用した私刑だと激怒、厳しく罰すると怒号を響かせた。驚いた少商は許しを乞うたが、不疑は嘆願なら必要ないと冷たい。「己の罪は己で償う…君と同じように私にも矜持(キョウジ)がある、これが凌不疑だ」少商は自分への当てつけだと気づき、無茶をして婚約を台無しにするつもりかと言いかけた。その時、不疑の口から思わぬ言葉が飛び出す。「辞官して君と隠居したい、君の求める田舎でな」凌不疑の無謀な行動は全て少商のためだった。そこで少商は昨日、自分と言い争ったことが原因だとかばったが、かえって皇帝からなぜ喧嘩ばかりするのかと責められてしまう。「今度、言い争ったら何だ、朕の崇徳(スウトク)殿を襲うのか?!」すると皇帝は罰として杖刑100回後、流刑に処すと命じた。少商は何とか見逃してもらおうと必死だったが、不疑はあっさり拝命すると告げて出て行ってしまう。「ちょ…凌不疑っ!」刑場はちらちらと雪が舞い始めた。少商は皇帝と共に城楼から刑の執行を見守ったが、やがて耐えられなくなり刑場へ降りてしまう。すると知らせを聞いた皇后と越(ユエ)妃が城楼へ駆けつけた。皇后は皇帝の非情な仕打ちに心を痛めたが、越姮(ユエホン)はこれが皇帝の謀だと気づく。実は軍営での杖刑には一見、血みどろに見えても大して支障のない打ち方があった。そうとは知らず刑場に入ろうとした少商は衛兵に止められながら、なりふり構わず叫んでいる。「子晟!誓うわ!2度とあなたと喧嘩しない! いくら私に怒っていても自分の身体を犠牲にしてまで意地を張るなんて馬鹿なことしないで!」そこで皇帝は少商を止めている衛兵の手を緩ませ、子晟に近づかせるよう命じた。少商は執行台へたどり着くと、杖を振り下ろそうとした衛兵を突き飛ばして刑を止めた。「子晟、今後は何事もあなたに相談すると約束するから… これからは真心をあなたに捧げる、私のために馬鹿な真似はやめて、いいわね?」すると少商は思わず凌不疑を抱きしめた。「もうとっくにあなたを愛していた…なぜ気づかないの?」「…今、何と言った?朕は聞こえなかったぞ?!何だって?!」城楼では皇帝が少商の気持ちを確認しようと必死だった。しかし越姮は聞こえずとも見れば分かると呆れる。安堵した皇帝は刑の中止を命じたが、皇后は皇帝のやり方に反発して帰ってしまう。凌不疑は幼い頃に過ごした長秋宮で静養することになった。夜になっても不疑が心配で落ち着かない少商、しかし皇后は医官がついているとなだめる。「翟媪に安神薬を用意させたわ、ずっと泣き続けて声も枯れたでしょう? 薬を飲んで早く眠りなさい」しかし少商は矢も盾もたまらず、こっそり不疑の部屋へ行ってしまう。不疑は少商の姿を見ると嬉しそうに身体を起こした。負傷した割には元気そうな不疑、少商は思えばあの時、子晟があまりにあっさり皇帝の罰を拝命したことに気づく。「負傷したのは芝居なの?」「なぜ芝居だと?」「私が心を傷めれば目的を果たせる」「…少商に心を痛めてもらえるなんて、こんな幸せはない」少商は子晟が愛しくなり、おでこに口づけした。すると2人は見つめ合い、自然と顔を近づけて唇を重ねる。「こんなことは成婚まで待つべきか?」「それは私の台詞でしょう?」少商は子晟に笛を吹いて聴かせた。すると不疑は灯会(トウエ)で初めて少商の顔を見た時のことを思い出す。「あの時も今のように君は美しかった」「だったらなぜ後日、会いに来なかったの?」「あることを遂げるまで娶る決断ができなかった」「一目見ただけで娶ると?」「一目で十分だ…一度、見ただけで分かった、余生を共にするのは君だけだとね」「この先、欺かれない限りこの少商、あなたを裏切らないわ」こうして何度もぶつかり合いながら愛が深まった少商と不疑。その頃、曲陵(キョクリョウ)侯府では蕭元漪(シャオユエンイー)がなかなか戻ってこない嫋嫋(ニャオニャオ)に苛立っていた。少商は皇后から賜った外套を母に届けたが、蕭元漪は皇后に懐いてすっかり母を忘れた娘からの贈り物に見向きもしない。程始(チォンシー)は思わず失笑し、会えなくなると気がかりになるのかと揶揄した。「夫人、嫋嫋は凌不疑と一緒になってから、さほど問題は起こしていない」「そうね、誰が予測できた?凌不疑の方が嫋嫋より常軌を逸しているなんて…」凌不疑が報復した八家のひとりは御史中丞だった。皇帝は不疑が乗り込んでめちゃくちゃにした御史台の修理を命じたが、不疑はこの機に乗じて15年前の越氏の軍報を持ち出すことに成功する。すると予想通り軍報には戦馬の損傷は記載されていなかった。「恐らく兵の死因も瘴気ではない、小越侯は嘘をついている」しかし証人の軍医が死んで韓武(ハンウー)も殺され、当の小越侯は狡猾でなかなか尻尾を出さない。「奴がボロを出さねば…仕向けるまでだ」つづく( ˘ω˘ )さすがに真心うんぬんはもう飽きてきた…それにしても今回は上手い人が多いね~
2023.10.24
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第22話)第49話「捨てられし者の矜持」自ら凌益(リンイー)に手を下し、宿願の復讐を果たした凌不疑(リンブーイー)。しかし静まり返った城陽(ジョウヨウ)侯府に突然、程少商(チォンシャオシャン)が現れる。寝殿は骸で埋め尽くされ、おびただしい鮮血が窓紗を染めていた。「…なぜ来た?」「あなたは誰?凌不疑?それとも霍無傷(フォウーシャン)?」「私が誰であろうと君への真心は変わらない」「でもなぜ今日だったの?…なぜ私に教えてくれなかったの?」一族を殺された仇は必ず討たねばならなかった。しかし成婚してから敵を討てば程氏一族を巻き込んでしまう。凌不疑は自分の始末は自分でつけると言ったが、その時、外から左(ズオ)将軍の怒号が聞こえた。「凌不疑!勝手に虎符を使い兵を動員したな?!謀反を画策した罪は許されぬ! 今日、この門を出ようものなら容赦なく殺す!」退路を断った凌不疑はすでに自分の命で贖うと覚悟していた。「少商…ここでお別れだ、もう会うこともない」すると不疑は満身創痍の梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)には生きて欲しいと伝え、独りで屋敷から出て行ってしまう。少商は引き止めることもできず呆然と立ちすくみ、ただ泣きじゃくっていた。門前では凌不疑と因縁のある左将軍がすでに兵を率いて待ち構えていた。そこには捕縛された程家の姿もある。不疑は深手を負いながらも警告を無視して門から出た。すると弩から放たれた弓が不疑の肩に命中する。不疑はそれでも無視して一歩ずつ左将軍へ近づくと、今度は膝に弓が刺さった。「来啊っ!」「殺ーっ!」その時、馬のいななきとともに少商が現れた。門前は騒然、さらに梁兄弟が駆けつけ馬に体当たり、左将軍を落馬させてしまう。少商は凌不疑を連れて逃亡、しかしやがて崖に追い詰められた。「少商…これは私一人で進んだ道、同行させるわけにいかない」「なら答えて、歯型の誓いは何だったの?!私たちは生死を共にすると約束した 程家もあなたを救うために来たわ…今は恨みを捨てて私のことを考えて!」「少商、君には15年前の国の悲劇だろう、だが私には長年、心に巣食ってきた深い恨みなのだ 毎夜、眠りに就く時はいつも亡魂の叫び声が耳に響く そして目の前には無惨に殺された一族と血の海が広がっている あまりに重すぎる…あまりに重すぎて捨てることができない…きっとこの先も… すまなかった、君には本当にすまないことをした 天下の大罪人となった今、私が死んでこそ君や家族を守れる…」「…もし私を独りにするなら一生許さない、来世も、来来世も許さないから!」「許してくれとは言わない…程少商、私と君の縁は尽きたのだ」その時、じりじりと迫っていた左将軍が程娘子ともども殺せと命じた。「少商…しかと生きろ、すまない」すると不疑は少商の背中を押し、独りで崖に落ちてしまう。「リンブーイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」程家は屋敷での軟禁を命じられた。少商は衝撃のあまり意識を失って運び込まれたが、家族の懸命の介抱もむなしく目を覚まさない。すると三皇子が兵を連れて曲陵(キョクリョウ)侯府に乗り込み、程少商を渡せと迫った。家族は嫋嫋(ニャオニャオ)の部屋の前に立ちはだかり抵抗、蕭元漪(シャオユエンイー)は娘の閨(ネヤ)に外部の男を立ち入らせることはできないと拒否する。しかし三皇子は会えるまで帰らないと食い下がった。「子晟(ズーション)が程娘子にどれだけ尽くしたと?今日は何が何でも子晟を助けてもらう!」「裏切ったのは向こうだ!」娘を傷つけた凌不疑に憤懣やるかたない程始(チォンシー)、その時、寝台の少商がようやく長い夢から目覚めていた。三皇子が家族と対峙していると、少商が青白い顔でふらふらとやって来た。すると三皇子は子晟の父殺し、兵の動員、虎符の使用で朝廷に激震が走り、重臣18名が連名で弾劾、死罪を上奏していると教える。しかし少商は三皇子が来なくても参内するつもりだった。家族は止めたが、少商は自分に与えられた大役を果たさねばならないという。少商は皇宮に到着、輿を降りて三皇子と長い宮道を歩いた。「三皇子と子晟はいつから良朋に?」実は少商は雁回(ガンカイ)塔で密談していたのが三皇子と子晟だったと気づいていた。三皇子の話では幼い頃、池に落とされた子晟を救ったのは皇太子ではなく自分だったという。「私も子晟も独りを好み群れを嫌った、あの時も独りでいる時に溺れている子晟に気づいたのだ」「つまり幼い頃から2人は手を組んでいたと?」すると三皇子は人払いした。「バカを言うな!皇后と母妃は対立したこともない!」雁回塔では舅父の小越(エツ)侯が子晟に補佐を勧めたが、子晟は断ったという。それにしても程娘子はなぜ自分たち2人がいたと気づいたのだろうか。少商は凌不疑が杏仁を食べて倒れた時に看病したと明かした。その時、不疑が首から下げている玉佩を見たという。よく見るとその玉佩は少商が雁回塔で失くしたものだった。「あの時、2人の声が聞こえた、だから2人だと思っていたけれど、実は3人だったのね 3人目が子晟だった…」少商はようやく分かった。凌不疑が今回、皇太子の虎符で兵を動かせば当然、皇太子の位も危うくなる。つまり不疑が宿願を果たしたことで、図らずも三皇子の念願が叶ったのだ。少商はさすが抜け目のない凌不疑だと嫌味を言いながら歩き始めた。「それで?子晟を助けられるのか?」三皇子は程娘子があまりに冷静で淡々としている様子に困惑してしまう。「取り乱したり、共に尽きる気概はないのか?!」すると少商は急に立ち止まり、鬱憤を爆発させた。「いくら女でも自分の夫が何者かも知らず、蚊帳の外に置いてもいいと?! 成婚の2日前に気づいた、でも彼が話してくれるのを待ったわ もう憤ることも恨むこともできないのに、さもなければ薄情で身勝手だと思われる… 私の身体を切り開いて彼に心を見せてあげたい、彼が真心を捧げたなら、私とて彼に心を捧げた 彼に救われた命だからこの命で報いる、彼が助からないのならこの命で相殺する 死など恐れていなかったのに… 死ぬとしても生きているのに飽きたから、決して誰かと生死を共にするわけじゃない 凌不疑はこの世で最も好きな人よ、でも私は…やっぱり私なんです」その頃、朝堂では崔祐(ツイヨウ)が凌不疑への恩情を求めていた。しかし不疑に恨みがある左御史中丞は凌不疑が亡くなった母のために父を殺したと断罪する。袁慎(ユエンシェン)は左大人が早々に経緯を知っていたことを訝しんだが、返って廷尉府は凌不疑を庇うのかと非難を浴びた。寵愛する子晟の思わぬ暴挙に頭を抱える文(ウェン)帝、すると三皇子が程娘子を連れて現れる。左大人はここぞとばかりに凌不疑の父親殺しは明白であり、酌量の余地などないと訴えた。「…凌不疑は父親を殺していません、大層な意気込みですが最初から間違っているわ」「程氏、未来の夫のために嘆願に来たのだろうが、凌不疑ならやりかねん」御史台で散々な目にあった左大人は程氏も収監して尋問するべきだと訴えたが、皇帝は少商の言葉が引っかかった。「今、何と言った?なぜ父親を殺していないと?」「陛下にお答えします…なぜなら凌益は子晟の父親ではないからです 子晟の実父は霍翀(フォチョン)将軍、子晟は霍翀将軍の忘形見である霍無傷です」(O_O)言ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~子晟は確かに城陽侯に似ておらず、どこか霍将軍の面影があった。少商の話では杏子が好物のはずの子晟が霍君華(フォジュンホワ)の手作りの杏仁菓子を食べ、熱を出したことがあったという。「霍無傷は杏仁に触っただけでも赤く腫れるとか、それで私は疑念を持ったのです そして宴の夜、本人から告げられました、自分は霍侯の息子・無傷だと… 陛下、凌益は孤城の陥落を企て、霍将軍を惨殺した黒幕、子晟は父の敵を討っただけなのです」全てを聞いた皇帝は呆然、腰が抜けるように少商の前で座り込んだ。崔祐は何も知らなかった霍君華を思うとやるせなくなったが、少商は臨終の時を思い出せば分かるという。あの時、霍君華は子晟に自分たちの敵を忘れるなと遺言を残した。そして最期は確かに天を見つめながら我が子の名を呼んでいる。「阿狸(アリ)や…阿母も行きますよ…」霍君華は全て分かっていた。すると左御史中丞が新婦である程氏の言葉では証拠にならないという。少商はようやく凌不疑の苦悩を理解した。自分が誰の子かも証明できず、城陽侯が死ねば証人も消え、生かしておいても実子だと断定すれば反論しても無駄になる。「陛下、子晟は仕方なくあんな下策を…」しかし皇帝には凌不疑が阿狸か阿猙(アージョン)か証明する方法があった。「阿猙が子供の頃に見たことがある、身体に変わった形のあざがあった」「虎の頭では?!耳が3つある…子晟の腰の半寸下にありました 子晟の身体を拭こうとした時に偶然、見たのです!」「そうとも、3つの耳がついていた!ぁぁぁぁ〜早く捜索に遣わせ! あの青二才を崖から救うのだ!医官も連れて行け!食料もだ!」三皇子は直ちに崖へ向かうことにした。すると少商が追いかけて引き止める。「子晟の命を狙う者がいます あの日、左将軍は私たちを追い詰めて矢を放てと命じ、それで子晟は崖に…」「分かった…今日のことは感謝する 今後、子晟は愛するそなたのいいなりだな、ふっ」しかし少商の顔に笑顔はなかった。一方、崖から身を投げた凌不疑は蔓にからまり、かろうじて岩肌に留まっていた。どうやら不疑が手首に巻いていた少商の弦が蔓に引っかかり、運良く助かったのだろう。「少商…」つづく( ́ඉ .̫ ඉ ̀)ァゥァゥァゥァゥァゥァゥァゥァゥ…私のガオハン、美しかったわ~ ←そっちw
2023.12.01
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第4話)第31話「天下の母の苦悩」霍(フォ)将軍の命日。汝陽(ジョヨウ)王妃は愛孫を出家へ追い込んだ程少商(チォンシャオシャン)と凌不疑(リンブーイー)への腹いせに家族の宴へ乗り込んだが、皇帝の寵姫・越姮(ユエホン)から辛辣な言葉を浴びせられてしまう。「子晟(ズーション)、あなたの妻に難癖をつける者などくそ食らえよっ」文(ウェン)帝も子晟が望む者を娶れば良いとかばったが、汝陽の怒りは収まらない。「確かに陛下が決めた縁談なら誰も口を挟めません ただ淳于(チュンユー)氏にはしかるべき対応があっても…」すると越妃は急に話を遮り、子晟と少商だけを残して皇太子夫婦と皇子たちを下げた。汝陽は霍君華(フォジュンホワ)と因縁がある越妃がなぜ淳于氏の肩を持たないのか分からなかった。当時、霍君華は越妃を誘き出して匪賊(ヒゾク)に襲わせたことまであったという。しかし越姮は淳于氏も劣らずろくでもないと言い放った。「叔母、まだ淳于氏をかばうなら叔母の″功績″を評価させてもらいますよ?」すると頃合いを見ていた皇后・宣神諳(シュエンシェンアン)が助け舟を出した。「昔の出来事は私も口を挟めないわ…食事を中断したことだし、そろそろ奉先(ホウセン)殿へ…」こうして人騒がせな汝陽王妃も退散するしかなくなった。少商は祭壇に供物を並べながら霍将軍の絵姿に見入っていた。そこへ皇太子妃が薫物(タキモノ)を届けにやってくる。「子晟は霍将軍によく似ていますね…」「舅夫に似ることは珍しくないわ…すぐ気づくとは子晟と情が深いのね」「太子と太子妃には到底、及びません 殿下は朝臣から側妃を娶るよう進言されても応じないとか…」皇太子妃は愛想笑いで誤魔化したが、運悪く三公主が現れた。「皇兄が応じないのは夫婦の情が深いからではなく、″旧知″が忘れ難いからよ~」すると三公主は少商が持っている薫物に目をつけた。「母后は宮中の倹約を求めているけれど、儲妃の実家は普通の農民… 用度品を削られ困窮しているのでは? 供養向けのも薫物も安くはない、銭をかき集めても足りないかと心配したほどよ? 夫に嫌われているから助けてもらえないものね~」三公主は勝ち誇ったように偏殿へ向かうことにしたが、その時、少商が咄嗟に薫物を床にばら撒き、足を滑らせた三公主は転倒してしまう。その時、少商は三公主のめくれた裾の下からちらりとのぞく赤色を見逃さなかった。(´・ω・`)<三公主、お怪我はありませんか?(`ω´ )o<しらじらしい…程少商、いずれ片をつける!霍将軍の法要が始まった。皇帝は改めて今日の栄華を与えてくれたのが霍氏であると知らしめ、粛々と焼香が始まる。抹香(マッコウ)を渡す役目の少商は祭壇の横に控えていた。やがて三公主の順番になると、三公主は差し出された抹香にわざと息を吹きかけ、少商の顔に浴びせかける。「あら、少商妹妹、気をつけて〜粉は目に入りやすいわ」少商は黙って耐えたが、三公主が焼香している間にこっそり腰飾りの紐を燭台の足に絡ませておいた。すると焼香を済ませた三公主が立ち去ろうとしたその時、引っ張られた燭台が倒れ、衣に飛び火してしまう。火はすぐ消されたが、皇后は侍女たちに急いで三公主の上着を脱がせるよう指示した。しかし三公主は慌てふためき、自分に触るなと拒む。越妃は実は娘が着替えていなかったと気づいて激怒、すぐ上着を脱がせろと命じた。すると案の定、上着の下から赤い衣が現れる。五公主は犬猿の仲である三公主の失態を喜び、ここぞとばかりに追い詰めた。「父皇、三駙馬の表哥の俸禄は1年で300貫ほど、でもその身なりは百金は下らぬはず 最近の三姉は羽振りが良いようで、新品の装飾品も多いわ〜」金の出どころを怪しまれた三公主は酒楼を開いたと誤魔化した。しかし思いがけず同腹の三皇子に裏切られてしまう。「父皇…これは三妹の領地で流通した贋金(ガンキン)です」実は貨幣を運搬する者を捕らえて尋問したところ、贋金は寿春(ジュシュン)で鋳造されたものだと分かった。三公主は知らずに使ったと言い訳し、寿春は小乾安(ケンアン)王の封地で管理しているのも配下の彭坤(ポンクン)、つまり宣家の仕業だと訴える。すると皇帝は凌不疑に紀遵(ジーズン)と共に調査するよう命じ、小乾安王から鉱山を召し上げるよう指示した。「父皇!小乾安王を殺さないのは皇后の恩人だからですか?!」舅父から入知恵されて育った三公主は思わず口を滑らせた。「黙れ!この後に及んで反省もせず、他人を巻き込むとは…ワナワナワナ…」皇帝は激怒して三公主を引っ叩き、杖罰を命じた。小越侯は知らせを聞いて慌てて永安宮に駆けつけた。三公主は程少商が罠にはめたと泣きわめいたが、越姮は娘を心配するどころか、そのおかげで面汚しが止まったと感謝する。実は越姮は三公主が贋金を意図的に使ったと見抜き、愚かな娘が文修君(ウェンシウジュン)を利用して金を稼ぐ方法など思いつくはずないと分かっていた。「陛下が厳しく追及せぬのは私たち越氏の面目を残してくれたからよ」しかし小越侯は長秋宮の顔を立てて小乾安王を許した皇帝への不満を募らせた。当時、越氏が追随した時、皇帝は無一文で、挙兵した時も越氏が支えた。皇帝は妹に一目惚れして妻にすると誓ったが、幼馴染の情も天下の偉業には勝てず、宣氏の財を借りて兵馬を使うため宣神諳も娶ることになる。それだけならいざ知らず、天下平定後、皇帝は宣氏を立后し、妹は妃嬪に成り下がった。「不公平だ!」「…宣氏は陛下の覇業のため身代まで潰した、追随した霍氏も一族は死に絶えたわ でも越氏は我ら兄妹が残った それに陛下は私を慰めるため両宮を同位と命じたわ、天下の母である皇后にとって公平かしら? 錯乱した霍君華にとって公平だと思う?」越姮は自分の望みなら叶ったと話し、また面倒を起こせば兄妹の情を断ち切るとまで言い放った。一方、凌不疑は母が暮らす杏花(キョウカ)別院の祠堂にいた。母と越妃に因縁があると知った不疑は母に越氏を怒らせたのか聞いたが、霍君華は悪びれる様子もない。「越姮を襲わせたの、二兄と文兄が助けなければ終わりだったのに… でもあの日から文兄は私を避けるようになったわ」←当たり前w不疑は実は母が小越侯の恨みを買っていたと知り、顔を曇らせた。梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)は庭で若主公を待ちながら、少商を絶賛していた。「程四娘子が暴いてくれて幸いだ」「こんな報復上手な若女君は実に痛快だ!」実は三皇子に贋金の情報を流したのは不疑だった。梁兄弟に調べさせたところ予想通り文修君は小越侯に利用され、小乾安王に貨幣を鋳造させるよう指示したと分かる。結局、皇帝は三公主、文修君、小越侯に関わることから公平さを鑑みて軽い処分に留め、小越侯を追い詰める事はできなかった。ただ乾安王の子女が死罪を免れたことを思えば、これで舅夫への恩は返せたことになる。しかし不疑は命拾いした文修君が全く懲りていないと知った。そんなある日、少商は皇后が皇帝と囲碁に興じている間、苦手な刺繍に手こずっていた。皇帝は皇后から自分の寿誕の宴の差配を少商に任せたいと聞いたが、嫁荷の刺繍さえままならない少商では心配になってしまう。「そんな手際で務まるのか?」「陛下、もちろん無理です! それに私は陛下の指導を毎日、胸に刻み、凌将軍とも愛を語り合いませんと…」少商はとても重積に耐えられないと訴えたが、かえって皇帝から責任逃れのために自分を言い訳にしたと叱られてしまう。「決めたぞ!嫌でもそなたに仕切らせる!」一方、梁兄弟から報告を聞いた凌不疑は皇太子を訪ねていた。実は文修君が息子・王隆(ワンロン)に名を上げさせるため勝手に山賊の討伐を命じ、全軍が捕虜になってしまったという。不疑はこの機に乗じ、車騎将軍・王淳(ワンチュン)に責任を取らせて辞官させるよう提案した。しかし皇太子は壮年の王将軍が官を辞するのは忍びないと難色を示し、不疑にこっそり救出して欲しいという。「殿下、独断で出征するのは君主を欺く大罪ですぞ?」「だが王将軍は親戚でもある」「殿下、天子は群臣を操るもの、操られてはなりません そもそも王淳は将の器ではなく、殿下が職位を与えねば遠く値しない 皇位を継ぐのなら、一家や一族だけ顧みるのではなく、天下の民を見なければ… 君主として身びいきは御法度です」少商は皇帝から差配を命じられ、慌てて辞退しようとした。すると皇后はいずれ凌府の差配を一手に担うことになり、避けて通れないと説得する。「あなたならできるわ、もう辞退しないで」(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコクその時、皇太子が駆けつけ、急用のため謁見したいと願い出た。皇后は少商と自分の寝殿に戻ったが、正殿から皇帝の怒鳴り声が聞こえてくる。心配そうに正殿を眺める皇后、実は皇帝の叱責は初めてではないと明かした。「太子は優柔不断で身内に甘く、母譲りの性分に育ってしまったわ」少商にはそれのどこが悪いのか分からなかったが、皇后はしみじみ普通の母子でいられたらどれだけ良いかとため息をついた。その夜、蕭元漪(シャオユエンイー)は宮中から戻った娘が回廊で物思いにふけっている姿を見かけた。「どうしたの?何も羽織らないで…」蕭元漪は娘に外套をかけた。すると少商は自分が産まれる前、娘がどんな子になるのか考えたことがあるかと聞いてみる。「急になぜそんなことを?」「皇后が言ったの、太子が普通の子ならたとえ凡庸でも、楽しく平穏に暮らせれば一番だって(あっ)阿母は堂姉のような物分かりのいい子が好きだったわ 阿母を失望させましたね…ではもう寝ます」程始(チォンシー)は回廊で物思いにふけっている夫人を見つけた。「どうした?こんなところで」蕭元漪は娘が皇后から聞いた話を伝え、嫋嫋(ニャオニャオ)もようやく親の苦労が分かるようになったと感慨深い。しかしその苦労が自分たちの苦労ではないと思うと複雑だった。「夫人?…親の苦労を感じ取らせた皇后に嫉妬しているのか?」すると図星だった蕭元漪は怒って寝殿に戻ってしまう。つづく( ˘ω˘ )皇后と少商のシーンはいいわ〜
2023.09.29
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第6話)第33話「夫婦のあり方とは」皇帝から虎符の管理を任された皇太子。しかしその重責から寝食もままならなくなってしまう。見かねた皇太子妃は人の多い宮中ではなく、紫桂(シケイ)別院に預けてはどうかと提案した。皇太子は妙案だと喜んだが、これが思わぬ事件を引き起こしてしまう。凌不疑(リンブーイー)に叱られた程少商(チォンシャオシャン)は書卓で考え込んだままいつのまにか眠っていた。すると朝の支度にやって来た侍女・蓮房(リエンファン)が床で倒れている少商を見つける。「女公子?どうしたんですか?そんなところに寝て…今日は凌将軍とお出かけですよね」「…行かない」「また喧嘩ですか?…ふふ、都で誰もが知る″鉄面将軍″と喧嘩できるのは女公子だけですよ~」そこへ使用人の符登(フードン)が現れた。皇太子妃の使いから連絡があり、すぐ参内して欲しいという。皇太子は皇太子妃の従兄・孫勝(スンション)に命じて虎符を別院へ運ばせた。しかし道中で虎符が紛失、万(ワン)将軍の出征は2日後に迫っている。知らせを聞いた凌不疑は慌てて東宮へ駆けつけた。「なぜ動かしたのですか?!東宮に置くよう念を押したはずです!」不疑は全て皇太子の身びいきが招いた結果だと呆れたが、そこへ皇太子妃が現れた。「私たちにはお手上げでも、陛下が溺愛する子晟(ズーション)なら造作ないのでは?」「確かに難しくはない、ですが太子妃から陛下に謝罪してください 全ては己の過ちで太子を巻き込んだと…」その話をちょうど東宮に到着した少商が聞いていた。「男が揃って責任転嫁ですか?」「少商?休みの日だろう?なぜ東宮に?…出ていろ」不疑は皇太子妃がこの大事に少商を巻き込んだと知って驚き、思わず語気を強めた。すると憤慨した少商は自分を呼んだのは皇太子妃だと反発、焦った皇太子妃は母后から信頼されている少商に力になってもらいたかったとかばう。「私のせいで争わないで…少商、行きましょう」皇太子妃は少商を連れて回廊へ出た。自分を追い出した凌不疑への不満を漏らす少商、すると皇太子妃は同情を引くため自分が罪を認めれば済むと漏らす。「殿下には想い人がいたの、私が座を譲れば想いを遂げられるわ…」「儲妃…」少商が何か言いかけた時、不疑が回廊に現れた。しかし不疑は黙って城門の方へ歩いて行ってしまう。珍しく不疑に無視された少商は困惑、急いで後を追いかけたが、城門で待っていたのは馬車だけだった。梁邱起(リャンチゥチー)は若主公から命で少商を送ると伝えた。若公主は王隆(ワンロン)救出の件で万将軍に呼ばれたという。しかし少商は車に上がる踏み台がないことに気づいた。「なぜ踏み台がないの?」「踏み台があると若主公が若女君を抱き上げることができません…ぁ!」梁邱飛(リャンチゥフェイ)は慌てて口をつぐみ、自分の背中を使うよう促した。困惑した少商は必要ないと拒否、歩いて帰るという。するとふいに引き返して来た不疑が少商を片手で抱え、馬車まで連れ戻した。「うわっ!りんぶーいー!降ろして!」「…少商、君を責めたことは謝る、ただ虎符の件は一大事だ 語気を荒らげたのも君を巻き込まないため、この件は私に任せてくれ、いいな?」しかし少商は横暴な不疑に憤慨して返事もせず、宮中に戻ってしまう。( ・ノェ・)コショッ<若女君、怒ってる?@飛(# ー̀ωー́ )<シッ!@起梁兄弟は2人の仲を心配したが、不疑は簡単に納得したら少商ではないと言った。「東宮を見張れ、特に儲妃をな…」少商は長秋(チョウシュウ)宮を訪ねた。すると寝殿からちょうど皇后と翟(ジャイ)媪(ウバ)の昔話が聞こえてくる。皇后は二子三女を出産したが、皇太子が生まれた時は皇帝の大業がまだ道半ばで、10時(トキ)もの難産でようやく生まれたという。「陛下が虎符を授け、異論がある者を震撼させた…これで太子の座も安泰ね 確かに太子が後継者にふさわしいとは思わない でも廃された皇家の子の末路は自害するか殺されるかよ お腹を痛めて産んだ子が後継争いで非業の死を遂げたら、私の余生もそこで終わりとなる…」少商は敬愛する皇后を案じ、結局、そのまま引き返して太子妃を訪ねた。「虎符の形を見たことはありますか?」いよいよ万将軍が匪賊討伐へ出征する朝、皇太子は皇帝の前で万将軍に虎符の片割れを授けた。その様子を遠目から少商と皇太子妃が固唾をのんで見守っている。すると小越(ユエ)侯が万将軍を呼び止めた。「虎符には磁石が入っており、ぴたりと合う…念のため調べてはどうか」小越侯は明らかに虎符が偽物だと疑っていたが、不疑が皇太子の虎符と万将軍の虎符を合わせると、驚いたことにぴたりと吸いついた。皇太子は大役を果たし、万将軍を見送った。しかし少商は困惑する。…私が作った虎符は形だけが同じで磁石は入っていない、なぜぴたりと合ったのかしら…その時、少商は点将(テンショウ)台にいた凌不疑と目が合った。『私に任せておけ』昨夜、凌不疑は梁兄弟から少商がやはり東宮を訪ねたと聞いた。『彼女らしい、自分の敵は許さず、よくしてくれた者に報いる…』実は小越侯は孫勝を抱き込み、難なく虎符を手に入れていた。不疑はもはや皇太子では収拾できないと考え、かつて皇帝が溺愛する霍(フォ)家だけに授けた虎符を使うことにする。『若主公、霍将軍の唯一の遺品ですよ?渡せば霍氏の遺物がなくなってしまいます』梁兄弟はさすがにそこまでする必要があるのかと訴えたが、不疑は虎符が偽物だと露呈すれば少商に行き着くと分かっていた。『少商と約束した、何をしようと私が守ると…そしてこたびも例外ではない』少商は再び凌不疑に救われた。しかし2人の関係は一進一退、自分の意思を通すこともできず、もはや成婚そのものに疑問が湧いてくる。そんな中、少商の堂姉・程姎(チォンヤン)にも縁談が舞い込んでいた。実は22話で姎姎に一目惚れした班嘉(バンジア)が毎日のように屋敷を訪ねて来るという。蕭元漪(シャオユエンイー)は良縁を喜んで姎姎の気持ちを確認したが、姎姎は自分の意思で何かを決めたことがなかった。「好きな人には好かれていないし…(ボソッ)でも伯母が嫁げというなら喜んで嫁ぐわ」(・Д・)<それでいいの?!@嫋嫋一方、万萋萋(ワンチーチー)と少商の二兄・程頌児(チォンソンアル)は口づけ以来、急接近、2人は婚姻の約束を交わしていた。萋萋は自分が嫁ぐのではなく婿を娶ると話し、夫唱婦随(フショウフズイ)ならぬ婦唱夫随だと笑う。( ー̀ωー́ )<…聞くだけ無駄だった@嫋嫋すると萋萋はあれこれ悩むなど少商らしくないと鼓舞し、男女の間柄など本来は至極、単純なものだと諭した。「好きなら一緒にいる、嫌いなら別れる…で、凌不疑が好きなの?よく考えてみて 相手といる時、嬉しいと感じる方が多いか、それともあんたを怒らせる方が多いか」少商は早速、良いことと悪いことを順番に思い出しながら数え始めた。しかし早々に萋萋から止められてしまう。「ちょっと~それじゃ不公平よ? 惚れた弱みにつけ込んで相手だけ尽くすのが当然のことだと思っているの?」萋萋は命を懸けて少商を救った凌不疑と比べれば、少商の不満など大したことではないという。姎姎も自分が危険な時に命を顧みず救ってくれたり、助けがない時に守ってくれる人なら好きになるに値する人だと言った。「絆を築くのは真心を捧げ合うことよ?深い情を無下にしないで」少商は萋萋と姎姎の言葉で目が覚めた。そこで慌てて凌不疑に会いに行こうと決めたが、門を飛び出すと不疑の姿がある。少商は今さらながら不疑がこうしていつも自分を見守っていたのだと気づいた。「これまで妥協して譲歩した気でいた、でも妥協して譲歩していたのはあなたの方だったのね」「私が好きなのは勇敢な君なのに、君を束縛して干渉してしまった… 嫋嫋、私が好きなのはありのままの君だ」「…実はふたつ伝えたいことがあったの、この先は精一杯、あなたによくする」「はお、ひとつ目は覚えておく、でふたつ目は?」「共白髪になるまであなたの優しさと今日のことを忘れない」すると不疑は少商を抱き寄せ、婚姻を早めたいと言った。凌不疑は少商を連れて杏花(キョウカ)別院の母を訪ねることにした。「少商、中に入って何を見聞きしようと、まずは黙って合わせてくれ あとで説明するよ、いいね?」屋敷に入った2人はちょうど中庭にいる霍君華(フォジュンホワ)と崔祐(ツイヨウ)を見つけた。しかし不疑は母を女公子と呼び、甥として挨拶する。どうやら霍君華は錯乱し、自分が16歳だと思い込んでいるらしい。「待ってるがいいわ!越姮(ユエホン)の顔に泥を塗って笑い物にしてやる!」少商は越妃の昔話を思い出し、2人の間に因縁があったのが事実だと分かった。そこで崔祐は天下には文(ウェン)兄以外にも男がいるとなだめる。「他の男にも嫁げるぞ?」「そうね、あの″凌″って男、顔は見るに堪え得る… でも田舎から避難して来て薬代もままならないほど貧乏よ あ、兄長が援助すればいいわ!兄長?…兄長はどこかしら…兄長…(はっ!)兄長は死んだ!」霍君華は兄が亡くなったことを思い出し、急に興奮した。すると不疑を凌益(リンイー)だと勘違いして激高、不疑の手に噛みついてしまう。崔祐は慌てて霍君華を不疑から引き離すと、あとは自分に任せて手当てをしろと言った。つづく( ๑≧ꇴ≦)念願の片手抱っこ来たわ!やっと想いが通じ合いめでたしめでたし?とはいかないのでしょうな〜
2023.10.07
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第13話)第40話「首謀の尻尾」梁尚(リャンシャン)殺害事件は私事として袁(ユエン)夫人が審理を取り仕切ることになった。曲泠君(チューリンジュン)は無実を主張、あの日、夫の部屋に食事を届けたのは自分の外套を来た侍女・幼桐(ヨウトン)だったという。そのため下僕たちはてっきり夫人が部屋に入ったと誤解したのだ。程少商(チォンシャオシャン)は審理を見守っていたが、自分に調べさせて欲しいと嘆願し、袁夫人も認めてくれる。すると袁慎(ユエンシェン)がまた難癖をつけて少商を挑発した。「自分を有能だと思っているのか?…学もないのに捜査したいとは笑わせる、ふっ」しかし少商は言い返しもせず、袁夫人に拝礼して出て行ってしまう。「おい!本気なのか?!」肩透かしを食った袁慎は自分も調べてくると母に断り、慌てて少商を追いかけた。袁慎は相変わらず減らず口を叩いていたが、内心では女子の身で現場に入った少商が心配だった。「あいつの捜査を待ったらどうだ? …それにしても穏やかになったな、以前ならすぐ言い争いになったのに」「子晟(ズーション)のおかげね、彼は私を溺愛し、大切にしてくれる、だから私も他人と争わなくなった 彼に嫁ぐなんて想像もできなかったけれど、でも考えてみたの もし彼と出会えなければ一生の心残りだとね…って、あなたに言っても無駄よね」少商は袁慎も早く妻を見つけるよう勧めた。意中の相手がいないため、自分たちのように仲睦まじい夫婦が気に食わないのだという。「あ、でも理想は下げた方がいいわ、私のような優秀な娘は見つからないから」袁慎の気持ちを知ってか知らずか痛い所を突く少商、すると捜査の妨げとばかりに袁慎は部屋から追い出されてしまう。少商は現場の部屋が外観に比べてやけに狭いと気づいた。そこで回廊を歩いて外周を図ってみたところ26歩、しかし部屋の中は20歩だと判明する。「残りの6歩はどこ?」壁には梁尚が大事にしていた金石で作った彫刻が飾られていた。その頃、凌不疑(リンブーイー)は真犯人に目星をつけ、梁家の男全員を集めていた。「梁尚は梁家家主、家主が死んで夫人が犯人となれば梁尚の子は家主の座を継げない つまり取って代われる者こそ、犯人の可能性がある…梁州牧(シュウボク)、あなたが真犯人では?」「私は梁家の養子に過ぎぬ、梁尚に代わり家主を務めているだけ 梁尚と梁遐(リャンシア)は同腹の兄弟で梁太公の血脈だ 梁尚を埋葬してから家主の位は三弟の梁遐に引き継がれる…」梁無忌(リャンウージー)は三弟に話を振ろうとしたが、梁遐はいつの間にか姿を消していた。少商は壁を叩きながら歩いているうち、音が違う場所を見つけた。そこで力一杯、壁を押してみると、隠し部屋に潜んでいた梁遐に引き込まれてしまう。「三公子…あなたが犯人ね?」隠し部屋には血だらけの衣があった。梁遐は凌将軍の捜査が自分に及ぶと恐れて密かに隠し部屋へ戻り、証拠となる衣を処分しようとしたのだろう。すると梁遐は少商の首に短刀を突きつけ、少商を殺して逃げると言い出した。少商は咄嗟に自分を人質にして交渉すれば逃げられると提案したが、梁遐は信じようとしない。その時、突然、外から凌将軍の号令が聞こえた。「部屋を壊せ!」現場を捜査していた少商がこつぜんと姿を消した。報告を受けた凌不疑は黒甲衛(コクコウエイ)に離れを破壊するよう命令、追い詰められた梁遐は仕方なく少商を人質にして外へ出る。驚いた袁慎は思わず身を乗り出したが、袁夫人は息子を止めた。「君子、危うきに近寄らずよ…行っては駄目」すると凌不疑はちょうど集まっていた梁一族を包囲し、少商を放せば一族も母親も見逃すと条件を出す。その時、少商が真犯人は三公子だと暴露した。退路を失った梁遐は少商を道連れにすると言い放ち、母親など殺せばいいと開き直る。そこで凌不疑は梁母を引きずり出し、目の前で腕を捻り上げた。母の悲鳴を聞いた梁遐はさすがに気が動転、その隙を突いて凌不疑が短剣を放ち、見事に梁遐の手に命中させる。少商は梁遐の手が離れた瞬間に逃げ出し、不疑は無事に少商を奪還した。↓少商、いつの間に護身用の刀を出したの?黒甲衛は梁遐の両膝に矢を放ち、逃亡を阻止した。老夫人は溺愛する梁遐に抱きついて悲しみに暮れたが、当の息子は母が自分のために何もしてくれなかったと嘆く。父は養子である長兄の無忌を州牧に推挙し、家主には二兄の梁尚を指名した。これも一族に有能な子弟がいなかったせいだが、梁遐は嫡子で志もある自分だけ何も手に入らなかったと母に八つ当たりする。「俺がこうなったのもお前のせいだ!いちいち騒ぎ立てるから収拾がつかなくなっただろう?!」凌不疑も少商も梁遐が誰かにそそのかされて急に事を起こしたと分かっていた。そこで不疑は廷尉府に梁遐を連行し、首謀者の名を聞き出すことにする。しかし梁遐が何か言いかけた時、上階から梁無忌が放った矢が喉を貫通した。皇帝は梁州牧が証人の口を封じをしたと知り激怒した。これでは自ら首謀者だと明かしているようなものだが、梁無忌はこの件を追及しても大局にとって利なしだと訴える。皇帝も子晟もその意味を悟っていた。そこで皇帝はひとまず梁州牧を下げる。「子晟…首謀者はもしや太子妃の従兄では?別院の警護を任されておるし」「孫勝(スンション)ならもう捕らえました、解放すれば数日も生きられないでしょう 首謀者が誰なのか、陛下もすでにお気づきかと…」その夜、越姮(ユエホン)は永楽宮に三兄を呼びつけ、厳しく追及した。「亡き大兄の半分でも知恵があったら太子を陥れようなんて愚かなことはしない!」「不服だったのだ… もともと饟(ジョウ)県越氏は安泰だったのに、なぜ文(ウェン)氏と共に造反せねばならなかったのか」小越侯は妹から何度、諌められても諦めがつかず、恨み言を漏らした。本来なら妹が皇后となり、三皇子が世継ぎとなって次の皇帝になれたはずだという。しかし越姮は三兄が自分たち母子のためではなく、自分が国舅(コッキュウ)になりたいだけだと分かっていた。「霍翀(フォチョン)に代わって不満を言える立場?! 三兄、なぜ孤城に遅れて到着したの?瘴気(ショウキ)を口実に霍翀を死に追いやろうとしたのでは?」「言いがかりだ!」すると越姮は凌不疑のこと、貨幣の鋳造の件も韓武(ハンウー)に刺客を送り込んだことも、少なからず証拠を揃えているはずだという。それでも上奏しないのは越氏の面子を考えて三兄の自首の機会を与えてくれたのだろう。「なぜ瘴気に毒があると言いながら馬だけは無事だったの?なぜ軍報には記されてなかったの? 答えなさいっ!」「…救援の要請を受け出征後、道中で前方に瘴気があると知ってな しかし調査した斥候が瘴気は問題ないと報告した ちょうどその頃、乾安(ケンアン)王の軍も急いで向かっていた そこで考えた、乾安王の救援の時間を遅らせることができたら陛下は宣(シュエン)氏を咎めるとな だから斥候を殺した」その話を皇帝と凌不疑が聞いていた。凌不疑は越妃の公正な判断のおかげでついに小越侯の尻尾をつかんだ。あの時、乾安王は長年、不仲だった小越侯を信じられず、自ら一隊を率いて瘴気を調べに向かったという。やがて配下の彭坤(ポンクン)から乾安王が瘴気に侵され、密林で死んだと報告を受けた。しかし瘴気に毒はなかったはず、つまり彭坤がこの機に乗じて乾安王を殺害し、兵権を奪ったのだろう。一方、孤城は雍(ヨウ)王が兵器をすり替えたせいで10日は持ちこたえられる所、2日で陥落していた。孤城の惨劇は奇しくもそれぞれの私心が重なり招いた結果だった。小越侯は武器のすり替えなど知らなかったと否定、確かに援軍が遅れるよう画策したが、たとえ数日、遅れても間に合うと確信していたからだという。「乾安王を殺してなどおりません!ましてや兵器のすり替えなど… 陛下、私は孤城陥落とは無関係です!」しかし15年前ならいざ知らず、皇太子を失脚させるべく罠にはめたことが皇帝の逆鱗に触れた。兄との今生の別れを覚悟し、そっと目を閉じる越姮。すると皇帝は越氏一族の忠誠と生き残った兄妹に免じて命は奪わず、爵位を剥奪して皇陵の墓守を命じるという。越姮はむしろ皇帝の優柔不断さに驚いたが、凌不疑は反発する様子もなく、ただ黙っていた。凌不疑が長秋宮に戻るとまだ少商がいた。少商は今日のことを両親が知れば説教されるため、帰らなかったという。「無茶をするなと言ったのに、なぜ危険を侵す?」「私でなければ誰が皇后と太子の汚名をそそぐの?…助けたかったの、だから怒らないで」「はぁお、責めないよ、でも君に何かあったら自分を許せない」すると少商は凌不疑の眉間の皺を伸ばした。「孤城の件は決着したのに嬉しくないの?」「少商…家族を傷つけた相手を法で裁けないとしたらどうする?」「まだ敵がいるの?」「いや、仮定の話だ」「私はやられたら必ずやり返す、家族を傷つけた人は許さない、千倍にして返すわ」「ではもし復讐することで愛する人を傷つけるとしたら?」「…人生は取捨選択、重要な方を選ぶ」その答えを聞いた不疑は思わず少商を抱きしめた。一方、屋敷へ戻った袁夫人は息子に妻を選ぶよう勧めていた。母の思わぬ言葉に驚く袁慎、実は夫人は息子の意中の相手が程娘子だと気づいたという。袁慎は少商が婚約してから何度も縁談を探したが、満足する相手が見つからなかったと話した。「今になって思えば、面影が重ならぬからかも…一手の遅れが運の尽きでした しかし程少商が成婚しても私は日々を生きていかねば」↓(´ω`)しょぼん凌不疑は越妃に呼ばれて再び永楽宮を訪ねた。実は越姮が兄を誘導して処罰させたのは霍家と霍兄、そして何より子晟のためだという。「兄に対する処罰に不満でしょうね… でもあなたには長年のわだかまりを捨て成婚して欲しい、普通の暮らしをするべきよ」しかし不疑は小越侯の処分に不満はなかった。舅父は小越氏の手で死んだわけではなく、越氏とて大勢が亡くなっている。「皇帝が厳罰を避けた心情を子晟も理解できます 今後は越氏に償いは求めません、ただし黒幕の罪は一生を費やしても償いきれないでしょう」すると不疑は帰ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)うわっ!不吉な予感!w子晟、どうやら黒幕を知っているみたいだねそれにしても袁慎がらしくなくてちょっとつまらないw
2023.10.30
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第9話)第36話「負けず嫌いの涙」凌不疑(リンブーイー)は宮中に留まる程少商(チォンシャオシャン)を気遣い、曲陵(キョクリョウ)侯府から少商の荷物を運び込んだ。少商は届いた荷物を見ると家が恋しくなる一方だとぼやいたが、皇后は単に宮中での暮らしが窮屈なだけだと見抜く。思わず顔を見合わせて失笑する皇后と少商、しかしそこへ五公主が現れ、寝殿のなごやかな空気は一変した。五公主は珍しく殊勝な様子だった。「どんな貴重な礼品も父皇と母后の権勢を借りて得たもの そこで自ら舞人を招いて演舞を編成し、長く練習しました」「母后はあなたの孝心を知っているわ」少商の前で褒められ得意げな五公主、しかし喜んだのも束の間、母后から弘農(コウノウ)郡で広大な田畑を荘園にしたことを咎められてしまう。「でも放置されている荒れ地です 荘園にして水路を開き流民に開墾させれば、食糧も増え、民も安心かと…」「天下は王の領地ゆえおのずと開墾する民もいる、心配には及ばない」しかし五公主は少商のすることには援助しても自分は叱責されると恨み言を漏らした。皇后は少商なら自腹であり私欲でもないと呆れ果て、話をそこで終わらせてしまう。病み上がりの皇后は五公主が宴に招いた世家の息女たちが煩わしく、越(ユエ)妃の永楽宮へ預けることにした。少商は駱済通(ルオジートン)と一緒に五公主たちを瓏園(ロウエン)まで案内することになったが、庭園の橋を渡っている時、五公主の取り巻きに突き飛ばされて池に落ちてしまう。すると五公主は少商を怖がらせようと池に蛇を投げ込ませた。驚いた少商は必死に逃げ惑いながら岸に上がったものの、足首をかまれてしまう。蛇には毒がなく少商は無事だった。五公主はびしょ濡れのまま逃げるように長秋宮へ戻った少商の姿を見て溜飲を下げ、駱済通に口止めしておく。「嫁ぐ前に公主を怒らせて騒ぎを起こせばどうなるかしら…」思わず口ごもる駱済通、その時、物陰から音が聞こえた。「何の音?!出て来なさい!」全てを見ていた五皇子は申し訳なさそうに姿を現したが、嫡子の五公主には頭があがらない。五公主も父皇が過って宮人に産ませた五皇子など歯牙にも掛けず、余計なことは言うなと釘を刺しておいた。少商が湯浴みから上がる頃にはすでに夜になっていた。すると急に凌不疑が訪ねてくる。「宮中なら昼夜、会えると思ったが、君はずっと忙しくて差し入れも使いをよこす 以前よりも会うのが難しくなるとはな…それで今夜はどうにも恋しくなって会いに来た」少商はかろうじて笑みを浮かべたが、涙があふれそうになって背を向けた。「今や朝堂では誰もが私を羨む、賢恵な女子を妻にできると… 陛下すらも君が賢く有能だと褒めた、長秋宮を見事に差配しているとね 君は誰かに尽くすと決めたら全身全霊でその人のために献身する、たとえ自分が辛くても…」不疑の称賛の言葉を聞いた少商はかえって悔しさと惨めさが募り、ついに泣き出した。「嫋嫋(ニャオニャオ)?どうした?」少商は思わず不疑に抱きつき、泣きじゃくってしまう。驚いた不疑は少商を強く抱きしめながら理由を聞いたが、少商は家が恋しいだけだと嘘をついた。凌不疑はそれ以上、追求しなかった。その代わり少商を抱き寄せる口実に、背中にある急所・命門(メイモン)の場所を教える。「…他に教えられることがある?例えば誰かに虐げられた時、応戦する方法よ」「私がいる、誰も虐げない」「でもいない時は?!」「何を学びたい?」「こんな風に後ろから押されたら?」少商が不疑の背中を押そうとすると、不疑はあっさり避けて少商の腕をつかんで見せる。「じゃあこうしたら?」すると不疑は攻撃を華麗にかわし、少商を捕まえて寝台の上に押し倒した。「どうだ?」「…使えるのは手一本よ」「はお」不疑は片手だけでも軽々と少商の手を封じてしまう。「手一本も使わないで」そこで不疑は両手を使わず、少商に覆い被さった。思いがけず唇と唇が触れ合いそうなほど接近してしまう2人…。少商は恥ずかしくて視線をそらしたが、その時、不疑が少商の手を取って自分の背中に回した。「この先、私の命門は君に託した…嫋嫋、何が起きたんだ?」「…ひとつお願いがあるの」「君が望むなら全て叶える」皇后の寿誕を祝う宴、少商は見事に取り仕切って見せた。最初の余興は意表をついて凌将軍が琴を披露、実は不疑は皇帝に頼まれても腕が鈍っているからと断り続けて来たという。どうやら不疑を弾かせる気にさせるのは少商だけらしい。次に三皇子がちょうど皇后の寿誕前に封土で新たな鉱脈を発見したと報告した。「これも母后の福がもたらしたものでしょう」皇帝が上機嫌になったところで今度は皇太子と皇太子妃が西域で購入した玉麒麟(ギョクキリン)一対を献上した。しかし皇太子妃がうっかり銀銭をつぎ込んだと口を滑らせ、失笑を買ってしまう。倹約を推奨する皇帝の前での失言に顔を引きつらせる皇后と皇太子、その時、少商が助け船を出した。少商は皇太子妃の隣にひざまずき、皇太子からの祝いは他にもあると上奏した。実は今日の酒は皇太子が西域から取り寄せた種から実った果実で作ったという。「果実酒なら浪費にならず存分に飲めます」また料理も皇太子が求めた胡桃の油を使っていた。「胡桃は腹持ちするため欠かせぬ食物なのです、太子に感謝します」少商の機転で皇太子は面目を保ち、皇帝も民の心が分かる皇太子だと喜んで褒賞を授けた。安堵して席に戻った皇太子、しかしふいに向かいの席にいる想い人に気づく。2人はしばし見つめあったが、それを見た皇太子妃は激しい嫉妬に苛まれた。五公主は二公主と駙馬(フバ)が奏でる音楽に合わせて群舞を披露した。しかし人数が多すぎたせいか途中でぶつかり合い、転んでしまう。皇帝は意気消沈する小五を慰めるため褒美を出すと言ったが、宴席は何とも言えない微妙な雰囲気に包まれた。凌不疑と少商からの祝いの品は書簡だった。皇后は献上された書簡を早速、開いてみると、それが亡き父が記した詩文だと分かり、思わず涙ぐむ。宣(シュエン)太公は詩文を好んでいたが、記した詩文を惜しむことなく友に贈り、屋敷には書簡が残っていなかった。「…父の墨宝は2度と見られないと思っていたわ」皇帝は心がこもった礼品だと感激し、皇后も子晟(ズーション)と少商が自分を心から気にかけていることを知っていると感謝した。宴席で並んで座る凌不疑と少商はすでに夫婦のように仲睦まじかった。皇帝はそんな2人の様子を見て目を細めたが、袁慎(ユエンシェン)や駱済通は内心、穏やかでない。そうとは知らず、少商と不疑は同じ杯の酒を分け合いながら飲んでいた。その時、少商は不疑の右薬指に巻いた包帯に気づき、琴の練習のせいかと尋ねる。しかし不疑はなぜか黙ったまま何も答えなかった。少商はふいに昨夜、不疑が自分を押し倒した時のことを思い出し、何とも言えない愛おしさが湧き上がる。すると少商は衝動的に不疑の横顔に口づけし、照れくさそうに宴席を出て行った。駱済通の侍女・春笤(チュンティアオ)は五公主が取り巻きの娘を呼んで悪巧みしていることに気づいた。すると令嬢が早速、五皇子に何やら耳打ち、五皇子は千鳥足で宴席から出て行ってしまう。春笤はこっそりあとをついていくと、五皇子が庭園で少商を待ち伏せしていた。五皇子は酔った勢いで少商にちょっかいを出そうとしたが、少商は凌不疑を真似て五皇子の腕をつかむと池に落としてしまう。「俺は泳げないんだぞ!助けてくれ!」しかし少商は泳げなくても岸へたどり着けることを知っていた。すっかり酔いが覚めた五皇子は激怒、少商の悪辣さは凌不疑と同じだと批判した。実は五皇子は幼い頃から凌不疑にいじめられていたという。「奴は陰湿で必ず報復する、手段も選ばない、そなたとお似合いだな!冷酷で無慈悲だ!」出自のせいで卑屈な五皇子は少商まで軽視すると嘆いたが、少商は五皇子が独特な見解を持っていると知っていた。「五皇子は異国の風土の話がお好きだとか? …朝堂に無益と知りながら探求しようとするのは純粋な心からです 誰にも称賛されないからって何です?自分が好きならそれでいい その点で私と五皇子はよく似ています」「…そこまで言うならもう難癖はつけまい」「はお、では今日から私たちは友ですね」駱済通はせめてもの思い出に凌不疑と別れの杯を交わしたかった。そこでちょうど少商が席を離れた隙に凌将軍に声をかける。「北西に嫁いだら今度はいつ会えるか…私から将軍に一献を…」すると春笤が慌てた様子で戻ってきた。「大変です!…五皇子と程娘子が鏡心(キョウシン)池で密会しています!」つづく。゚(∩ω∩`)゚。 にゃおにゃお〜それにしても3も5も声が上手いわ、意地悪だけどw
2023.10.16
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第12話)第39話「積もる痴情のもつれ」皇帝に呼ばれて参内した小越(ユエ)侯。すると崇徳(スウトク)宮には杖刑で負傷した凌不疑(リンブーイー)の姿もあった。「越卿、実はそちに相談があってな…五公主とそちの末息子を早く成婚させたい」小越侯は困惑した。今や都中が五公主の噂でもちきり、そんな中で成婚すれば越氏まで影響を受け兼ねない。しかし皇帝は越氏があえて今、五公主を嫁に迎えることで噂が嘘だと示し、五公主の名誉を守りたいという。小越侯は皇帝の命に背くこともできず拝命するしかなかったが、これが凌不疑の差し金だと分かった。一方、皇太子の想い人だった曲泠君(チューリンジュン)は旧友と積もる話もできないまま慌ただしく宮中を出た。夫・梁尚(リャンシャン)が曲泠君をぞんざいに扱う様子を目の当たりにした五皇子妃は、かつて仲良く遊んでいた友の境遇が気がかりでならない。しかし程少商(チォンシャオシャン)は常識的で誠実だと評判の梁(リャン)州牧(シュウボク)が義兄なら夫人も大丈夫だと安心させた。その頃、梁尚は苛立ちながら曲泠君を連れて城門を出ようとしていた。すると東宮の使いが現れ、辞別の品を届ける。曲泠君は夫の手前、辞退したが、使いは皇太子が別れを惜しんで自ら授けた品だと釘を刺した。そこで代わりに梁尚が化粧箱を受け取ったが、中身が皇太子の手巾だと知るや馬車に乗り込むなり曲泠君に暴行してしまう。走り去る馬車から漏れ聞こえる曲泠君の悲鳴、皇太子妃はその声を城楼で耳にしながらほくそ笑んでいた。そんなある日、凌不疑が長秋宮にやって来た。少商はちょうど皇后や皇太子夫妻と談笑していたが、驚いたことに曲泠君が夫を殺したという一報が入ったという。「廷尉府が捕らえに向かいました、殺めたのは昨日の午の時の頃だとか 曲泠君が食事を届け、その後、刺された梁尚を下僕が発見しました」しかし皇太子が殺したのは曲泠君ではないと断言した。実はその時間、皇太子と曲泠君は紫桂(シケイ)別院で会っていたという。一方、梁府では廷尉府侍郎である袁慎(ユエンシェン)が舅父・梁無忌(リャンウージー)と対峙していた。袁慎は不明な点が多いため廷尉府が遺体と容疑者を預かると決めたが、公にしたくない舅父に邪魔されてしまう。「お前の母も梁家の嫡女だ、母方の名声にも関わる、連行はさせられん」結局、袁慎は伯父に阻まれ断念、改めて人を遣わすことにした。皇太子妃は皇太子と曲泠君が密会していたと知り深く傷ついた。「それほど彼女は魅力的ですか?再会しただけで理性を失わせ、醜聞を引き起こすとは… しかも死人まで出して、とても取り繕えない」皇太子妃は曲泠君が皇太子と復縁するため夫を殺したと決めつけると、ついに皇太子は堪忍袋の尾が切れた。「彼女と会ったのは梁尚から十余年も乱暴されていたからだ 曲泠君の悲惨な境遇もそなたのせいだ!答えよ、余の手巾がなぜ曲泠君の手に?」実は皇太子妃の嫌がらせは今日に限ったことではなかった。皇太子は皇太子妃がこの十余年、自分の名義で梁家に事ありげな品を贈り続けていたことを把握していたという。これでは梁尚が自分たちの関係を疑い、乱暴するのも当然だった。少商は衝撃の事実に驚愕、その時、初めて東宮を訪れた時のことを思い出し、はっとする。あの時、確かに皇太子妃は自分のかんざしを外し、梁夫人に渡すよう指示していた。しかし皇太子妃は原因なら皇太子にあると反発する。「曲泠君にとってこの十余年は生き地獄だったしょう、では私はどうだったと? 枕を同じくしても殿下の心は遠く離れていた…私の心が痛まないとでも思いますか?」「縁は切れたと言ったであろう?!成婚した時に誓った、そなたと余生を歩むと… だかそなたは改めもせず、結果、今に至り、余が好まぬばかりか、宮中の誰にも尊敬されぬ」すると皇太子は皇太子妃に最後の機会を与えた。「望むなら曲泠君のために陛下の前で余と一緒に嘆願するのだ 望まぬのならすぐに消えうせろ!」「…曲泠君はまるで私と殿下の心に刺さる棘のよう あんな女、今すぐ廷尉府の牢に入れられ死ねばいいのよ!絶対に嘆願などしない」皇太子妃は積年の恨みをぶちまけ、皇后に拝礼して長秋宮を出た。その夜、皇太子は父皇に事情を説明し、廷尉府に曲泠君の潔白を証明してほしいと嘆願した。皇帝は臣下の妻と密会していた皇太子に激怒、すぐ廃することもできると怒号を響かせる。「男女が別院で密かに会いながら潔白だと主張して誰が信じるというのだ?! 天下の見本になるべき太子が男女の情などで己の名声を壊すとは!」すると皇后が矢も盾もたまらず、涙ながらに母として子を信じると訴えた。「陛下は父として息子を信じてくださいますか?」結局、皇帝は東宮と天下のために示しをつけるとし、子晟(ズーション)に真相解明を命じた。凌不疑は拝命して寝殿を出た。すると物陰で聞き耳を立てている少商を見つける。ばつが悪い少商だったが、調査に行くなら一緒に行きたいと頼んだ。本当のところ不疑は嫁選びを誤り、自分の首を絞める結果になった皇太子に呆れているという。しかし少商は皇太子の果敢な決断に敬服すると言った。「太子が自分の名誉のために曲泠君の苦難を見過ごせば、それこそ失望するわ …ねえ、行ってもいいでしょう?」「分かった、だがかき乱さないと約束してくれ」「いつ私がかき乱したの?」「いつもだろう?」凌不疑は黒甲衛(コクコウエイ)を引き連れ、梁家の捜査にやって来た。梁州牧と梁尚の同腹の弟・梁遐(リャンシア)が現場となる部屋に案内したが、まだ生々しい血の痕が残っている。不疑は同行した少商を気遣い、曲泠君の様子を見て来るよう頼んで外へ出した。「私は梁州牧に話がある、事は梁府の男全員に関わる…全員に同席してもらおう」その頃、曲泠君は子供たちと引き離され、君姑から容赦ない制裁を受けていた。「お前を打ち殺してくれる!息子の敵討ちだ!」驚いた侍女・幼桐(ヨウトン)は咄嗟に主に覆い被さってかばったが、そこへ少商が駆けつけ止めた。「老夫人、調査中なのに私刑に処すとは…」しかし老夫人は少商が皇后付きだと知り、皇后が息子を助けるため送り込んだと誤解してしまう。「自分の息子は大事で、私の息子は死ねばいいというの?そんな理不尽なことがあると?」老夫人は興奮して再び曲泠君を打ち据えろと叫んだが、その時、袁慎が母を連れてやって来た。袁夫人は早速、長老を呼び集め、嫡女として一族の掟に従い審理を始めた。当時はまだ父の側女だった庶母、寒門の出なのはともかく、狭量で私心しかなく、到底、父の妻とは認められないという。すると老夫人は正妻となっても一族に見下されていたと不満を漏らした。溺愛する梁遐を仕官させたくても一族が推挙してくれず、家主にしようとしても年功序列だと言って機会を与えてくれなかったという。しかし袁夫人はそもそもこんな騒動となった発端は老夫人にあると指摘した。実は老夫人が正妻になったのは梁尚を産んだ時ではなく、梁遐を産んだ時だったという。そのため老夫人は梁尚が庶出だと知られるを嫌って梁遐にばかり目をかけ、そのせいで梁尚は神経質で疑り深い性格に育っていた。「末子に家主を継がせたいから曲泠君の断罪を急いだのね 梁家がなければ甲斐性なしの2人の息子の命など何の価値もないけれど…」袁夫人は聡明な曲泠君がなぜ虐げられても訴え出なかったのか訝しんだ。実は曲泠君は何度か離縁を申し出たが、梁尚から皇太子との醜聞を言いふらすと脅され断念したという。子ができてからも離縁を考えたが、出て行くなら子を置いて行けと迫られ諦めていた。すると袁夫人は事件当日、梁尚に食事を届けたのは誰なのか確認する。「侍女の幼桐です」その頃、凌不疑は梁家の男たちを集め、この中に犯人がいると踏んでいた。女が背後から一太刀(ヒトタチ)で胸を刺し、命を取るのは難しい。しかも梁尚は交友がなく、終日、部屋に閉じこもって金石の彫刻に没頭していた。「彼に恨みがあり、利害を争うのは外部の人間ではない、梁家の者だけだ 本件は太子に関わり、たった1日で都中に広まった 犯人の手際がいいのも呼応する者がいたからだ それに梁尚は梁家家主、家主が死んで夫人が犯人となれば梁尚の子は家主の座を継げない つまり取って代われる者こそ、犯人の可能性がある…梁州牧、あなたが真犯人では?」つづく( ゚ェ゚)… ←皇后も所在なさげw
2023.10.28
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第16話)第43話「鴛鴦将軍」越姮(ユエホン)は雨に濡れた皇后を心配し、生姜汁を準備させた。宣神諳(シュエンシェンアン)は皇帝が程少商(チォンシャオシャン)に接見してくれたのも越妃の助け舟のおかげだと感謝したが、越姮は自分の功績ではないと否定する。「陛下が嘆願している皇后を案じたからですよ」「慰めてくれなくていいわ、陛下とあなたは幼い頃からの誼 当時、天下のため乾安(ケンアン)王と結盟しなければ余を娶らなかった…」宣神諳は越姮の夫を横取りしてしまった後ろめたさに苛まれて来たが、越姮は20年も前のことだと笑った。当時は確かに激怒して皇帝を罵倒し、叩いたりもしたが、怒りはとうに消えたという。「余もそんなあなたの性格を大好きになった、どうりで陛下が深い情を寄せるわけね」「皇后、確かに私と陛下には幼なじみの情義があります でも皇后と陛下も苦難を共にして来た情義がある どちらが真の夫婦か、区別する必要がありますか?」越姮は皇后を実の姉のように気遣い、くれぐれも身体を大事にして欲しいと言った。そこへ長秋宮の翟(ジャイ)媪(ウバ)が駆けつけ、少商が戻ったと報告する。しかし皇帝は少商が勝手に動かないよう禁足を命じていた。皇后は悲しみに暮れる少商のため、皇帝に背いても投獄された家族に会わせてやろうと決めた。しかし意志の固い少商のこと、誰が反対しても父親を探しに行くつもりだろう。皇后は少商を阻む関となるより後ろ盾になってやりたいと願い、外出許可の命令書と一緒に令牌を持たせて見送った。「もう戻って来ないつもりね…」皇后は自ら皇帝に罰を請うつもりだったが、少商は皇后を巻き込まぬよう命令書と令牌を部屋に残していた。少商は家族との面会を求めて廷尉府にやって来た。恐る恐る偽造した令牌を出す少商、その時、ちょうど廷尉府侍郎の袁慎(ユエンシェン)が現れ、中に入れてくれる。「偽物の令牌で守衛を騙せると思ったのか?今夜、慌てて作ったのだろう?塗料が乾いていない 次も私に会えると思うn…」「次はない、今回はありがとう」袁慎はここで待っていると伝えようとしたが、少商は家族の元へ一目散に駆けて行った。地下牢では蕭元漪(シャオユエンイー)が君姑に手を焼いていた。老夫人は食べたくもない粥を無理やり飲まされ憤慨、嫋嫋(ニャオニャオ)を放任した復讐なのかと口を滑らせてしまう。しかし蕭元漪はそれでも夫の母だからこそ我慢して敬ってきたと本音を漏らした。すると突然、嫋嫋が現れる。蕭元漪は長秋宮に戻って父が帰るのを待てと言ったが、老夫人は嫋嫋にへそくりの場所を教え、その金で父と叔父たちを助けるよう頼んだ。「大母…身勝手な人だと誤解していました」「救えるだけ救うのよ、忘れないで、男たちが先だと…」↓( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)・・・一方、出征した凌不疑(リンブーイー)は被害を最小限に抑えるため情報戦を仕掛けた。寿春(ジュシュン)に立てこもる彭坤(ポンクン)は凌軍が山賊と交戦中だと信じ、この機に乗じて食料を奪うことにする。しかし補給部隊は帰り道で黒甲衛(コクコウエイ)の奇襲に遭い、将軍・梁毅(リャンイー)は生け捕りとなった。「凌不疑!こざかしい真似を!何だ?!その鶏の羽をつけた鎧は!」(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ <鶏ではない!鴛鴦だっ! ←そこ?wすると不疑は役立つ情報を吐かねば助けられないと脅し、ひとまず梁将軍を投獄した。寿春は四方を守りで固め、城門は懸門(ケンモン)で縄で吊り橋を上下させていた。梁邱起(リャンチゥチー)は城外に堀があるため門が開かねば大軍が入れないと言ったが、梁邱飛(リャンチゥフェイ)は壕橋(ゴウキョウ)を架けて突入すればいいという。しかし凌不疑は犠牲者を出さないためにも戦わないと決めた。「補給を断てば一月余りも経たず自滅するだろう」そこへ伝令兵が駆けつけた。銅牛(ドウギュウ)県で県令の顔忠(イエンジョン)と程始(チォンシー)が精銅を携え投降し失踪、程家は投獄され、程娘子は都を出て行方知れずだという。夜も更けた頃、少商はついに銅牛県に到着した。するとちょうど糞尿の回収へ向かう老人と一緒になる。聞けば父は家族を連れた県令と一緒に荷車を引いて城門を出たまま行方不明になっていた。半日後に戻ったのは県令の印を持った賊軍の将軍・馬栄(マーロン)。投降を拒み続けた県丞・李逢(リーフォン)と尹嶗(インラオ)は引き回しにされたという。その際、李逢が顔忠と程将軍が敵に投降したと叫んだため、見物人たちの間で噂が広まった。「で李逢は殺されたの?」「投獄されたと聞いたが、殺されたかは知らんな」「…検問でこの荷車は調べられるかしら?」凌不疑は寿春を兵糧攻めで落とすつもりだったが、一刻の猶予もなくなった。しかし自分のために全軍の将兵を道連れにできず、梁将軍を利用して単身、乗り込むことにする。寿春では厳しい検問が待っていたが、梁将軍は大事な食料を大切に扱うよう厳命した。「異常はありません!」「…ひとつ聞きたいんだが、鶏と鴛鴦は似ているか?」「似ていません!」「俺もそう思う…どうかしているぞ」こうして不疑は梁将軍が運び込んだ食料の中に身を隠し、無事に城内へ潜入した。キリッ!( ・`ω・´)<これは鴛鴦彭坤はその夜もなかなか寝付けずにいた。その時、誰かの気配を感じて飛び起きる。彭坤の首に剣を突きつけたのは凌不疑だった。「文(ウェン)帝は私の討伐にお前をよこしたのか、だが早くここから離れろ 私に何かあればお前の父も窮地に立たされるぞ?」「どういう意味だ?!」驚いた不疑が彭坤の首に刃を立てると、運悪く王姈(ワンリン)が現れた。「まだ寝ていないの?(はっ!)誰か!刺客よ!」凌不疑は彭坤を人質にして城門まで辿り着いた。すると彭坤は自分が死ねば孤城陥落の真相を知る者がいなくなると開き直る。「父親から何も聞いていないのか?我らは同じ穴の狢、私が死んであの男に何の得がある?」不疑はすでに賊兵たちに包囲され身動きが取れなくなった。そこで彭坤は不疑が寿春から一歩でも出たら自分もろとも殺せと命じる。しかしその時、外から梁兄弟の叫び声が聞こえた。「若公主は中にいるはずだ!突入するぞ!」驚いた不疑は咄嗟に彭坤を蹴り飛ばし、城門を開けるべく孤軍奮闘した。凌不疑は独りで賊軍たちを蹴散らしながら橋の仕掛けを破壊、ついに城門が開いた。その時、彭坤が落ちていた剣を拾って背後から不疑に襲いかかる。不疑は振り返りざまに刺されたが反撃、彭坤を退けた。黒甲衛たちが城内に雪崩れ込み、寿春は平定された。凌不疑は少商の鎖帷子のお陰で命を救われ、被害も最小限で済んだと分かる。そこで彭坤を都まで護送するよう命じ、急いで銅牛県へ向かうことにした。阿起の報告では銅牛県を落とした彭坤の副将・馬栄が楼犇(ロウベン)の説得により投降したという。しかし不疑は行方不明の少商を探さねばならなかった。「程将軍が失踪し程家は投獄、少商が黙っているはずがない、必ず銅牛県にいる!」つづく( ๑≧ꇴ≦)ヤメロー!ハライタイィィィィィィィィィィ!おしどり将軍の破壊力が凄すぎてwww全ての感想がふっとんでしまった!wwwww
2023.11.10
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第20話)第47話「歯形の誓い」孤城陥落の真相を知る彭坤(ポンクン)を北軍獄に連れ去り、拷問を続ける凌不疑(リンブーイー)。すると翌朝、廷尉府侍郎・袁慎(ユエンシェン)が駆けつけ、国の法を守り、掟に従うべきだと諫言した。「程少商(チォンシャオシャン)との成婚も間近であろう?朝堂で口実を与えるな 妻に迷惑しかかけぬのなら、私が取って代わっても構わんぞ?」実はその頃、少商は御前で左(ズオ)御史中丞から追及されていた。凌不疑が彭坤の身柄を勝手に奪ったことが発覚、崇徳(スウトク)宮に皇太子や三皇子、城陽(ジョウヨウ)侯・凌益(リンイー)らが集まった。左御史中丞の話では程娘子が夫のため嘆願に来た身重の王姈(ワンリン)に乱暴したという。しかし少商は子晟(ズーション)を貶められて手巾で口を塞いだだけだと釈明した。皇帝は頭を抱えたが、そこへ凌不疑が現れる。「左大人は打たれ足らず、私の新婦に難癖を?」左御史中丞は凌不疑が勝手に彭坤を拷問したと非難した。するとすかさず少商が彭坤も孤城陥落に関わっているからだと反論する。驚いた左御史中丞は城陽侯の顔色をうかがったが、凌益は視線を逸らした。「小越(ユエ)侯が捕らわれたのが引き金です 乾安(ケンアン)王を陥れた彭坤は孤城の件も隠せないと悟り、造反したのです でも当時、一介の副将に主帥を陥れる度胸があるでしょうか?首謀者は別にいるはずです」少商は全て王姈から聞いたと明かした。夫は都の者と往来があり、密かに夫と接触し続けた者こそ黒幕だという。事情を知った皇帝は子晟も廷尉府と一緒に捜査することを認めたが、拷問させないよう三皇子に監督を任せた。凌不疑は自分を無視して足早に帰って行く少商を何とか引き留めた。「少商!」「…小越侯を泳がせていたのね? 文修君(ウェンシウジュン)への仕打ちも、御史台への報復も、全て私のためだと思っていた でも実際は私はただの口実だった」少商は裏で画策していたのが不疑とも知らず、皇后や皇太子を救うため奔走していたと思うと悔しくて涙が出た。しかし不疑がいくら諌めても皇太子は王淳(ワンチュン)や楼(ロウ)太傅を重用し、このままでは過ちを繰り返すだけだったという。「少商、誤解しないでくれ…君への行動は全て真心からだ」「なら教えて、将来、枕を共にし、子をなす相手の真の姿を…成婚するのに私はあなたを知らない 子晟、大切なことを隠していない?話してくれたら信じる」少商は核心に迫った。しかし不疑が何か言おうとしたところで東宮の侍従が駆けつける。「凌将軍、太子殿下がお呼びです」凌益は皇太子に頼んで東宮に子晟を呼んだ。皇太子は親切心で父子の対面に協力したが、父の顔を見た凌不疑は捜査があると断って引き返すことにする。すると凌益は息子を引き留め、成婚前に父子で話がしたかっただけだと訴えた。「私が彭坤を調べることになぜそれほど焦っている?審理を引き延ばしたいと?」「お前の身体を心配しているだけだ」しかし不疑は偽善など必要ないと捨て台詞を吐いて出て行ってしまう。皇太子は力になれなかったと落胆したが、凌益にはこの短い時間で十分だった。王姈は少商の嘆願のお陰で夫との面会が認められた。しかし独房ですでに息絶えた夫の無惨な姿を発見する。検視の結果、彭坤は独房に舞い込んだ花びらで喘息発作を起こし、急死していた。王姈の話では夫は重度の喘息持ちで、草花も嗅げなかったという。凌不疑が呆然と亡骸を見ていると、知らせを聞いた凌益が皇太子と一緒にやって来た。「明らかに報いだな、乾安王を陥れたことで孤城の陥落を招き、お前の舅父一族は惨殺された …これで肩の荷が降りたであろう、少商と成婚して憂なく暮らせ」その時、激情に駆られた不疑が凌益の胸ぐらをつかんだ。「お前だな!お前が殺したんだ!」驚いた皇太子が慌てて子晟を止めると、不疑は皇太子の手を払い退けて出て行った。その夜は激しい雨になった。憤懣やる方ない凌不疑は人けのない大街で酒をあおりながら、怒号を響かせる。その時、少商がやって来た。少商はへたり込んだ子晟に寄り添い、自分がそばにいるとなだめる。しかし不疑はもはや望みは絶たれたと泣き崩れた。「結局、私は何もできなかった…少商、目を閉じると見えるんだ 全身が血まみれになった彼らが私を責め続ける、なぜ敵を討ってくれないのかと… 本当は私も死んでいた、十数年も耐え続けたのに…全て無意味だった… 退路は絶たれた、少商、それでも私のそばにいてくれるか?」「何が起きてもあなたを助ける、どんな時もあなたの味方でいる」「程少商…実は…私の名は…」「若主公ォォォォォォォォォォォ~ッ!」その時、梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)が駆けつけた。「大変です!夫人が…夫人が…」凌不疑と少商が杏花(キョウカ)別院に駆けつけると、崔祐(ツイヨウ)が霍君華(フォジュンホワ)に付き添っていた。霍君華はもはや虫の息だったが、驚いたことに我を取り戻している。「思えばあの時、あなたに嫁ぐべきだった、あなたに嫁いでいたらこんな末路は迎えなかったわ」その時、霍君華は崔祐の肩越しに凌不疑の姿を見つけた。「…こちらへ」霍君華は不疑をそばに呼ぶと、最後の力を振り絞って身体を起こし、顔を近づけた。「…忘れてはならない、我らの仇を」「約束します、決して忘れません、この仇は必ず討ちます」すると安心したのか、霍君華は最期に阿狸(アリ)の名を呼んで旅立った。凌不疑は一睡もせず母の棺に付き添った。心配した少商は薬湯を届けたが、不疑はどこか達観しているように見える。「少商、私が驚天動地の挙に出ても私への気持ちは変わらないか?」「棺の前で誓うわ、私、程少商は凌不疑を決して裏切らず、彼が離れない限り諦めないと誓います」すると少商と不疑は互いの腕を噛んで歯形を残し、誓いの印とした。「互いに噛んで誓った、この傷が互いの心を結んでる、改めて聞くわ、私に何か話はない?」不疑は喉まで出かかったが、結局、真相を明かすことはできなかった。「…何もない」≡≡≡ ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ズコッ!言わないのかーい!中庭から崔祐の怒鳴り声が聞こえた。凌不疑が外へ出てみると、崔祐が凌益と淳于(チュンユー)氏に激怒している。崔祐は思わず凌益を殴りつけたが、不疑に止められ、その場を離れた。「母の霊前に何か用か?」聞けば7日後は凌益の五十路の生辰、凌氏一族も集まるため霍君華を招待に来たが、思いがけず訃報を知ったという。凌益は宴を中止にすると言ったが、不疑は決まっているなら開けばいいと勧めた。「当日は私も礼品を持って伺おう」その話を回廊で少商が聞いていた。つづく(Ŏ艸Ŏ)息を止めて子晟の告白を待ち…(๑≧ꇴ≦)その度にプハーッとなって…そしてまさかの3段落ちw
2023.11.24
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安乐传 The Legend Of Anle第37話莫霜(モーシュァン)公主と天灯をあげた韓燁(ハンイェ)。帝梓元(ディヅユアン)を愛するが故に結ばれぬ運命を受け入れながら、帝家の安泰を心から願った。その頃、すっかり憔悴した嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は帝梓元と接見していた。「そちに謝りたい、英寧(エイネイ)にも帝家にも」「君臣が憎み合うのはどうかこれきりに…」すると皇帝は皇太子が戻ったら2人で今後のことを決めれば良いと笑った。梓元は翎湘楼(レイショウロウ)を訪ねた。洛銘西(ルォミンシー)は梓元を心配させまいと笑顔を見せたが、実はちょうど喀血したばかりだった。すると琳琅(リンロウ)はこらえ切れず、うっかり口を滑らせてしまう。「大丈夫ではありません!大人(ダーレン)はあなたのせいで…あの玉佩の約束は…」「琳琅!下がれっ!」梓元は珍しく声を荒らげた洛銘西に困惑した。「琳琅は心配なのよ、怒ることないのに… これまで何年も私のために無理をさせた、ごめんなさい」「梓元、気にするな、私のことなら心配無用だ」その夜、琳琅はひざまずいて洛銘西に許しを請うた。「琳琅…お前は分をわきまえ道理を知る女子だ、だが今日はどうした?」「帝小姐への想いは太子殿下より勝っているのに、なぜ明かさぬのですか?」「余命わずかの私が明かしたところで何になる?」「でもお二人は許嫁です」しかし洛銘西は太祖の勅命で梓元との縁は切れたと言った。莫霜は献身的に韓燁の目を治療していたが、結局、視力は戻らなかった。そんなある日、莫霜の侍女が駆けつけ、靖国で嘉昌帝の危篤の噂が流れていると報告する。韓燁は父皇が自分を探し出すため、わざと噂を流したと気づいた。国を揺るがしかねない皇帝の健康状態、皇帝の意思がなければ表沙汰になることはない。「戻らねば…馬車を用意してくれないか?」「はお!これで安楽(アンルー)姐姐も喜ぶわね!」夜も更けた宮中、人払いした御宸(ゴシン)殿に吉利(キツリ)の付き添いで韓燁が現れた。皇帝は思わず息子を抱きしめ涙したが、目を負傷して見えないと知る。「安心しろ、必ずその目を治してやる、そう言えば梓元には会ったか?」「いいえ、二度と会うつもりはありません」すると皇帝は父としての願いはひとつ、悔いだけは残すなと諭した。韓燁は吉利に頼んで洛銘西にだけ会うことにした。しかし運悪く翎湘楼から洛銘西が梓元と一緒に出て来る。実は洛銘西は梓元を見送りがてら秘めた想いを告白しようとしていた。「好きなのは…」「あ!気をつけて」荷車に気づいた梓元は咄嗟に道を譲り、洛銘西から離れてしまう。「何て言ったの?」「いいや…私のことはいいから君も無理をするな…」韓燁は吉利と一緒に露店の後ろに隠れていた。「殿下、2人が通り過ぎました、追いますか?」「いいや、やはりやめておこう」韓燁は諦めて引き返すことにしたが、そこに思いがけない男が現れた。「殿下…簡宋(カンソウ)です」簡宋は帝盛天(ディセイテン)に命じられ、皇太子を伏翎(フクレイ)山へ案内した。帝盛天は韓燁の目を治せるかもしれないと話し、梓元がずっと韓燁を探していると教える。しかし韓燁は梓元からも朝廷からも離れると決めていた。「韓燁、私たちの轍を踏まないでちょうだい」「梓元は国にとって必要な人材、ならば敵の私はいない方がいい、過去のことは忘れるべきです」「それは本心なの?…梓元のために死をも恐れず青南(セイナン)山で戦ったのに?」「前輩、梓元のため以上に国のためでした」帝盛天は頑な韓燁に呆れたが、ともかく治療のため山に逗留するよう勧めた。皇帝が危篤の噂を流したせいで、都ではついに帝家が天下を覆すのではと憶測が広まった。梓元は歯牙にも掛けない様子だったが、その日、苑琴(エンキン)が朗報を届けてくれる。「小姐!太子殿下がお戻りになりました!」しかし韓燁は梓元に会いたくないと言っているという。「そんなの関係ないわ」梓元はやつれて見えないよう念入りに化粧して伏翎山に駆けつけた。韓燁はちょうど帝盛天と碁を打っていたが、梓元は韓燁の目が見えないと気づいて呆然となる。すると梓元に気づいた帝盛天は目のことで梓元に会わないのかと聞いた。「体裁を気にするような娘ではないわ」「前輩、彼女は太子の容姿に惹かれて都に来たんですよ?」韓燁は俗っぽい安楽を揶揄したが、ふいに厳しい顔になった。「梓元との間には障害が多すぎます、情勢も不安定な今、梓元に会っても苦しませるだけでしょう」その時、韓燁がうっかり茶碗を落としそうになった。梓元は思わず飛び出し、韓燁に気づかれてしまう。「誰だ?」焦った帝盛天は咄嗟に吉利に目配せ、そこで吉利は帝盛天が連れてきた侍女だと嘘をついた。梓元は新しい茶を入れて韓燁に届けた。すると韓燁から名前を聞かれ、吉利が咄嗟に口がきけないと誤魔化してくれる。梓元は韓燁の手のひらを指でなぞり、子規(ズーグゥイ)と名乗った。しかし侍女も吉利も下がれと追い払われてしまう。韓燁は何やら考え込みながらお茶に口をつけた。すると一口ですぐ侍女の正体に気づいてしまう。「(子規…)ふっ、梓元よ梓元、君が入れたお茶は苦いうえに渋い」洛銘西は韓燁に会うため伏翎山を訪ねた。しかし梓元から目が見えないと聞いて面会を断念、帝盛天に挨拶して行くという。帝盛天は洛銘西との再会を喜んだが、差し入れのお茶を見ると韓燁に会いに来たのだと分かった。「梓元、それで韓燁の様子はどうなの?」「相変わらず″侍女″を下げてばかりよ」すると洛銘西が韓燁は侍女が梓元だと気づいているという。「指摘されない限り侍女でいるわ、それより姑祖母…」「韓燁の目のことね?治るかどうかは薬引の有無にかかっている、開花した長思花(チョウシカ)よ 長思花は靖南でも希少だけれど、どちらにしても都へ運ぶ間に枯れてしまう 北方の気候では種をまいたとしても育てるのは難しい」「でも試してみる、たとえ治らなくても一生、そばにいるわ」帝盛天は洛銘西が淹れてくれた茶を韓燁に届けた。茶を飲んだ韓燁はすぐ洛銘西が来たと分かったが、会いたくないという。「それより前輩からあの侍女に宿下りを命じてくださいませんか?」「私の言葉なら聞くとでも?…あの子の出生以降、私は姿を消していた 苦しい時にも手を貸していない、私に何が言えるというの? 韓燁、立ち去らせたいなら自分で何とかして」帝盛天は仕方なく戻ることにした。その時、一心不乱に駆けてきた帝燼言(ディジンイェン)とぶつかってしまう。「(ドン!)あ、姑祖母…殿下ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」帝燼言は大伯母そっちのけで皇太子と感激の再会を果たした。しかし韓燁の目が見えないと気づいて涙する。「だから今まで戻らなかったのですね…」一方、洛銘西は梓元から昔話を聞いていた。「子供の頃は上京が不満だった、屈辱だと思っていたから… 半月も父に泣いて頼んであなたに付いてきてもらったのよ?ふふっ」そんな梓元を待っていたのは令嬢たちからの嫌がらせだった。子供の頃から眉目秀麗の皇太子は令嬢たちの憧れの的、そこである切り札を使って令嬢たちを撃退したという。「実はね、宗祠(ソウシ)から太祖の遺詔を持ち出して、令嬢たちの前で読み上げさせたの 忠義(チュウギ)侯の娘をやり込めた時は韓燁に見られちゃってね、クスッ 娘が帰った後、韓燁に言われたわ ″おい、君は靖南で太子妃を嫌がって泣いたと聞いた、芝居だったのか?″ ″太祖の遺詔を見せびらかすのは私に満足したからか?″って…」「あの韓燁が皮肉を言うとはな~」「私は恥じ入って逃げ出そうとしたの、でも韓燁が引き止めて言ったわ ″君みたいな女子が好きだ″って…それなのに今は私を遠ざけてる」韓燁は帝燼言には本音を吐露した。「誰にも会いたくなかった、でも日が経つとお前が恋しくなった 私がいなくてもしっかり勉強していたか?」帝燼言は思わず目のせいで姉を避けるのかと聞いたが…。翎湘楼では洛銘西が大事に育てた長思花が蕾を膨らませていた。「もうすぐ咲きそうだな…」洛銘西はぬか喜びさせないよう、開花してから届けるという。しかし琳琅は洛銘西が梓元のために心血を注いで育てたことを知っていた。「確かに梓元を喜ばせるために育てた…だがもし韓燁の目が治ればもっと喜ぶ それがこの花の天命かもしれぬ」その時、洛銘西は激しく血を吐いて倒れてしまう。洛銘西が目を覚ました。琳琅はただの風邪だとごまかしたが、洛銘西は自分がもう長くないと分かっている。つづく※子規(zigui)=子帰(gui)=梓帰(zigui)=梓(元のもとへ)帰
2024.06.01
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第14話)第41話「約束の地」皇太子妃孫(スン)氏は庶民に降格、北宮送りとなった。もはや孫氏を気に掛ける者などいなかったが、程少商(チォンシャオシャン)だけが最後の別れにやって来る。「…約束を守って成婚した太子殿下と支え合いながら縁を大事にするべきでした 殿下が曲泠君(チューリンジュン)を忘れられなかったのではない、あなたが思い出させたのよ? 自分の不幸を人のせいにしないで」しかし孫氏は非を認めず、反省すべきことなどないと頑なだった。少商は話しても無駄だとあきらめ、帰ることにする。「あなたを縛り付けているのは宮中ではない、あなたの心よ?」こうして冷宮の門は堅く閉じられた。少商はようやく皇太子と曲泠君が結ばれると思ったが、驚いたことに曲泠君は梁無忌(リャンウージー)に再嫁すると知る。確かに梁州牧(シュウボク)はこれまで身を挺して曲泠君を庇っていた。凌不疑(リンブーイー)は磊落(ライラク)な梁州牧のこと、成婚後は曲泠君の子を我が子とみなしてくれるはずだという。すると少商はしみじみ子晟(ズーション)と巡り会えたことに感謝した。「自分は不運だと思っていたけれど、これまでの運をためてあなたに出会えたのね… 私は運が良く、見る目もある、ふふ」「見る目があるのは私だろう?」そんなある日、寿春(ジュシュン)に有事との急報が舞い込んだ。文(ウェン)帝は早速、寿春平定のため策を練ることにした。集まったのは凌不疑と将軍の万松柏(ワンソンバイ)、崔祐(ツイヨウ)の3人、どちらにしても寿春は挙兵に適さない土地のため、孤立させれば落とすのは早い。そうと知ってか、今回は朝臣や世家が適齢の子息たちを軍に入れて鍛えたいと嘆願する上奏が絶えなかった。とは言えひ弱な子息たちを率いるのは難儀だろう。すると成婚を控えた凌不疑が出征したいと名乗りを上げ、皇帝の逆鱗に触れた。少商は戦術会議に手作りの甘酒を差し入れるつもりだった。しかし凌不疑が皇帝を怒らせてしまい、届けられそうにない。不疑が心配で心ここに在らずの少商、そこで皇后は皇帝を説得する知恵を授けた。皇帝は将軍2人を追い返し、子晟の首根っ子を捕まえて部屋の隅に立たせた。「この青二才め!寿春などお前が案じるまでもない!」「彭坤(ポンクン)も孤城の陥落を招いた一因、戾(レイ)帝と結託していたはずです」不疑は彭坤に直接、確かめたかったが、皇帝は都でおとなしく成婚を待つよう言い聞かせた。「万が一があれば成婚できないぞ?!」少商は甘酒の差し入れを口実に崇徳(スウトク)宮にやってきた。実は皇后から皇帝に伝言があるという。「将軍は戦場へ馳せるべし、都に隠れ、怠惰であれば、子晟の徳は位負けすると指摘される…」「本当に皇后が言ったのか?」皇后は皇太子の一件から身体が衰える一方だった。皇帝もそんな中での諫言を無視できなかったが、やはり子晟を無事に成婚させなくては気が休まらない。しかし少商は子を思うなら背後から支持すべきだと諌め、親だけでなく妻も夫を支持する必要があると訴えた。皇帝は仕方なく子晟の出征を認めた。ただし彭坤を捕らえてすぐ都に戻り、必ず予定通り婚儀を上げろと命じて2人を解放する。すると少商は凌不疑の顔を両手で挟み、まじまじと見つめた。「じっくりと眺めて覚えておかなくちゃ 阿父が戻った時は目の半分と歯が白いだけで、残りは真っ黒だったから 身を粉にして戦わないで、墨と成婚するのは嫌だもの」「それほど心配ならなぜ陛下に出征を勧めたんだ?」「舅父の死と孤城の全滅はあなたの心痛であり、わだかまりでもある ご不調の皇后の世話がなければ私もあなたと敵を倒しに行っていた …子晟、あなたが彭坤を捕らえる姿を見たかった、敵討ちの痛快さを私も味わいたいもの」「はお、その言葉だけで十分だ」「早く戻ってきてね、待ってるわ、あなたが娶ってくれるのを」「最も盛大な婚礼を挙げるよ、待っていてくれ」ある夜、少商は大きな荷物を背負い、黒衣で変装して凌軍の大営に潜入した。しかし難なく将軍の天幕に到着、もしこれが敵の偵察だったらあっさり手中に落ちているだろう。少商はあきれたが、凌不疑は巡回中の兵士たちが気づかないと思うのかと笑った。実は兵士たちはわざと将軍の新婦を見逃し、それとなく将軍の天幕まで誘導してくれたという。「つまり私を笑って眺めていたの?…チッ!クソリンブーイー(ボソ」すると不疑は出発前に贈り物があると言った。凌不疑は少商を連れて櫓に登り、草原を指差した。実は皇帝に凱旋後、何が欲しいか問われ、軍営の横の土地と答えたという。不疑は少商が自分で屋敷を建てるのが夢だと覚えていた。「そこが私たちの住む屋敷になる、全て自由にしていい、今後、あの地が私たちの家だ 求めていただろう?正真正銘の自由な地を…そこなら誰にも責められず、誰からも足蹴にされない あの地で子を産み育て、老いていく、連れ添いながら…」少商は感激のあまり声が出なかった。誤解した不疑はまた勝手に決めたことを謝ったが、少商は喜んで口づけする。「気に入ったわ…」少商は自分も三叔父夫妻のように花や月を愛でながら、子晟と共白髪となり、生死を共にできると思うと万感迫る思いだった。「約束して、凱旋したら私たちの新しい家を建てると…」「はお、約束するよ」「私が危険を冒して来た理由が分かる?…贈り物を持ってきたの」凌不疑の出征の日、城門では若い未婚夫婦が別れを惜しんでいた。不疑は少商がくれた鎧をまとっていたが、少商の痛々しい指に気づいて驚く。「今後は2度と裁縫しなくていい」「鴛鴦が気に入らないの?」「鴛鴦?てっきり鶏の羽かと…」「鴛鴦よ!命を顧みない時、この羽を見れば都で待っている私を思い出すでしょう?」背後で控えていた護衛・梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)は愕然となった。まさか若公主の甲冑に鴛鴦の羽が施されていたとは…。( ̄▽ ̄;)<出征したくなくなった…敵軍に笑われる「気に入らなければ羽は外していいけれど、この帷子(カタビラ)は脱がないでね 銅の糸と麻で織ってあるから、軽いけれど刀傷を防げる…兎の刺繍も入れたのよ?」「あれは兎?…鼠だとばかり」「兎よ…私の干支だから…」「そうだ、兎だ、君が兎と言えば兎だ」「…もともと兎なんですけど(ボソッ」そんな仲睦まじい若夫婦の様子を城楼から皇帝たちが眺めていた。皇帝と越(ユエ)妃は2人にかつての自分たちの姿を重ねて懐かしんだが、そこに皇后の入る隙はない。一方、少商の父も支援部隊として銅牛(ドウギュウ)県へ銅を運ぶ任務を命じられていた。程始(チォンシー)は娘が自分には襪子(シトウズ)すら縫ってくれなかったとぼやいたが、蕭元漪(シャオユエンイー)はあの恥ずかしい鎧を着たいのかと笑う。「そうだな、鶏の羽なんぞまとったらさらす顔もないw」凌不疑は必ず生きて戻ると誓い、馬にまたがった。すると少商に小さな袋を投げ渡す。中には凌府の印章が入っていた。「世の情人が結ばれるのは最も美しいことですね」皇后は若い夫婦の姿に感銘を受けたが、ふと寂しさを覚えた。…だけど私はそんな想いを味わえなかった…つづく( ;∀;) イイハナシダナーと思っていたのに、羽のせいで台無しよwwwww
2023.11.05
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第17話)第44話「降って沸いた功労者」行方不明の程少商(チォンシャオシャン)を探すため銅牛(ドウギュウ)県に入った凌不疑(リンブーイー)。そこで待っていたのは馬栄(マーロン)を説得して城内を解放させた河東楼(カトウロウ)氏二房の楼犇(ロウベン)だった。馬栄には投降を勧めたものの、彭坤(ポンクン)の配下に殺されてしまったという。「出征前、楼兄も同行させたいと申し出たが、楼太傅は婉曲に断った まさか楼兄が危険を冒し、銅牛県で手柄を立てるとはな」「去年、寿春(ジュシュン)へ行き馬栄と面識があったゆえ、数言ほど話せただけだ」「謙遜を…一城を守る将を数言で投降させることなどできない で、楼兄は顔忠(イエンジョン)が投降したと信じるのか?」すると楼犇は県丞・李逢(リーフォン)の証言だけでなく、県衙(ガ)の書房で顔忠の詫び状が見つかったと報告した。しかし少商の父・程始(チォンシー)の行方については何も知らないという。「それで李逢は?投降を拒んで投獄されたのであろう?」「あ、この数日、慌ただしくてな…すぐ釈放する」その時、衛兵が駆けつけた。「大変です!県衙の牢が火事です」↓まさに降って湧いた感w凌不疑は直ちに県衙の地下牢に駆けつけた。大事な証人だった李逢はすでに息絶えていたが、その時、誰かの咳き込む声がする。それは火事に巻き込まれ、炭で顔が真っ黒になった少商だった。凌不疑は無事に少商と再会、安堵した。少商もようやく身なりを整え、不疑に痛めた手首を手当してもらいながら、ここへ来るまでの苦労を切々と訴える。「でね、糞尿の桶に隠れて城内に入ったの、あの臭い、今、思い出しても頭が痛くなる…(´゚艸゚)ォェッ それで考えたの、李逢が鍵を握っていると…でも牢獄でしょう? だから焼餅(シャオビン)を2枚盗んで捕まるしかなくて…」すると不疑は急に少商が愛おしくなり笑ってしまう。「笑うところじゃないわ!」「はおらはおら~、私が来ただろう?…私は君の未来の夫だ、当然、程家の人間でもある 孤軍奮闘しなくていい、君の父は私の父でもあるのだから」「大事な時にそばにいてくれなかったじゃない(ボソッ)そうだ、牢獄では収穫もあったの」その時、部屋の外に楼犇がいた。楼犇は少商が何か嗅ぎつけたと気づいて立ち聞きしようとしたが、不疑に気づかれてしまう。「誰だ?!」「私です」仕方なく楼犇は部屋に入り、火事の死傷者名簿を渡して出て行った。少商は楼犇を疑っていた。実は収監された李逢がいずれ昇進して財を成すと自慢し、楼犇が銅牛県を奪還すれば贅沢できると話していたという。李逢は朝廷の兵が来れば馬栄が投降すると知っていたのだ。さらに火事で大騒ぎになった時、″裏切り″だの″口封じ″だの叫ぶ李逢の声が聞こえたという。「誰かと結託していたのね…阿父の失踪と何か関係があるのかしら?」少商と凌不疑は李逢の葬儀に出かけた。位牌の前で悲しみにくれる李夫人、2人は中庭から哀れな夫人の姿を見ていたが、その時、楼犇が夫人に何やら耳打ちしている様子を見かける。今や楼犇は銅牛県を救った英雄となった。少商はなぜ父が県令と精銅を運び出したのか疑問だったが、参列者の話ではあの日、程将軍と顔忠は寿春に隣接する銅牛県から精銅を守るため都に戻すという名目で運び出したという。その時、顔忠はなぜか家族も一緒に連れていた。「その経緯は誰から?」「李県丞です」するとしばらくして李夫人がふらふらと外へ出て行った。少商と凌不疑は李夫人の様子を訝しみ追跡した。李夫人は家財を売り回っているだけだったが、やがてある質屋で騒ぎを起こす。店主の査定に納得できず、外に飛び出して虐げられたと通行人に訴えたのだ。李夫人は激怒した店主に突き飛ばされて転倒したが、その時、少商は夫人が巾着を落とすのを見逃さなかった。少商は人混みから李夫人の落とした巾着を拾って凌不疑と戻った。中から出て来たのは役所の書類だったが、県の区画図を見るに顔忠が水路を掘って道を舗装する予定だったと分かる。果たして城内の整備を考えていた人間が急に投降などするだろうか。恐らく顔忠の投降が疑われないよう李逢が隠したのだろう。李夫人の回りくどい演技も、焼香を口実に現れた楼犇に脅されたせいだと察しがつく。すると少商は確かに李夫人の話は辻褄が合わないと気づいた。「李夫人は30里先の実家に戻るため質に入れると言ってた でも女の足でも2日、そんなに路銀が必要かしら? それに李逢に両親はいないのに″亭長の父親″って…誰? 30里…亭長…亭・・・ハッ!」少商の予想通り黒甲衛(コクコウエイ)は30里先の山道で亭(アズマヤ)を発見、付近で埋められた遺体を発見した。掘り出された遺体は身なりからして顔忠一家だと思われ、残りの遺体も服装から程将軍に同行した護衛だと分かる。少商は不疑が止めるのも聞かず、自ら腐敗した遺体を確認して父を探した。「少商、見つからないのは生きている証拠だ」「(ハッ!)そうね、そうよね、どこかで助けを待っているのかも…」すると少商は矢も盾もたまらず父を探しに走り出してしまう。凌不疑は慌てて少商を追いかけ捕まえた。「少商!冷静になれ!」「冷静になれるはずない!早く阿父を見つけなければ手遅れになってしまうわ!」少商は泣き喚いて父を探すと暴れたが、不疑が点穴して少商を眠らせてしまう。「君の心境は誰より私が分かっている…心配ない、私が受けた苦痛を君には味わせないよ」少商が目を覚ますと寝台だった。凌不疑の話ではまだ父は見つからず、やはり遺体の中にもいなかったという。「…阿父を探さなくては」少商は引き止める不疑に激怒したが、その時、控えていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が思わず口を滑らせた。「若主公は数時も若女君を背負って帰り、まだ水も飲まず…」梁邱起(リャンチゥチー)は咄嗟に弟を制したが、阿飛は何も知らずに若主公を困らせる少商に我慢できなかった。「曲陵侯の件を聞いた若主公は単身、寿春に潜入して刺されたんですよ? それでも若女君を案じてその足で銅牛県に来た この数日、不眠不休なのに少しはいたわってくれても…」「阿起、罰を受けさせろ」すると邱起は邱飛を連れて下がった。少商はようやく冷静になった。「今後は覚えていて、私のためでも命を投げ出さないと」「君のことばかり案じていた、命など考えている暇はなかった」凌不疑は少商の鎖帷子のおかげで救われていた。「時々、思うんだ、君が優しくしてくれるなら、身体にもっと穴が開いても良いと…」舅父の霍翀(フォチョン)が亡くなって母は錯乱、この世で自分を心配してくれる者は誰もいなくなった。不疑は霍家の最後の人間である自分だからこそ、今の少商の不安が痛いほど分かるという。すると少商は不疑の胸に顔を埋めた。「もう独りじゃない、私がいるわ…これからはあなたも孤軍奮闘しなくていい 私が永遠にそばにいてあなたを守る」「少商…私は…」「何?」不疑は何か言いかけたが、しばし少商の顔を見つめてから言い直した。「私は…君が必要だ」一方、文(ウェン)帝は何かと諫言してくる御史たちにうんざりしていた。その夜も左(ズオ)御史中丞が程始や程娘子を弾劾すべく謁見を願い出ていたが、皇帝は誰とも接見しようとしない。しかし左御史中丞が先に待っていた万松柏(ワンソンバイ)と言い争いとなり、腕をひね上げられ脱臼してしまう。「陛下!万松柏を訴えます!同僚に乱暴した無法者です!陛下!」皇帝は仕方なく謁見を認めると、一緒に待っていた袁慎(ユエンシェン)と楼太傅もやって来た。万将軍は転んだ左大人(ダーレン)を支えようと腕を引いただけだと釈明した。すると袁慎はもちろん、甥の功績のことで嫌味を言われた楼太傅までその通りだと認めてしまう。左御史中丞は悔しさと肩の痛みをこらえながら、未だ行方知れずの程始こそ精銅を盗んで顔忠一家を抹殺したと弾劾、一刻も早く曲陵侯一族を死罪に処し、程娘子も罰を受けさせるよう訴えた。そこで袁慎は戦の終結で慌ただしい中、御史台だけが暇を持て余していると指摘し、程娘子を帰京させる伝令は左大人自ら行ってはどうかと提案する。「なぜ私が内侍官の仕事を?!」「それはいい、確か子晟(ズーション)と程娘子とは旧情を交わした仲であろう?決まりだ!」左御史中丞は凌将軍から罰を受けたことを揶揄され、皇帝に何も言えなくなってしまう。「それから楼太傅の甥も一緒に戻ると良い、しかと論功行賞を行わないとな」楼太傅は偶然の産物だったと謙遜して辞退しようしたが、皇帝はすでに決めたことだと取り合わなかった。翌日、凌不疑と少商は楼犇に探りを入れることにした。実は顔忠にも密かに交流のある旧友がいたという。「世家の子弟だそうだ、ただ世家に迎合したと思われるのを恐れて交流を隠していたらしい 楼兄、ご存知か?」つづく( ;∀;)パパ~どこにいるの?!ルースー上手いわ~でも今回はウーレイのウルウルしたチワワのような瞳が全て持って行ったわw※亭長:役場町の長
2023.11.13
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第19話)第46話「疑念」楼犇(ロウベン)の暗示で父が鉱山にいると突き止めた程少商(チォンシャオシャン)。こうして曲陵(キョクリョウ)侯・程始(チォンシー)は無事に救出され、屋敷へ戻った。「銅牛(ドウギュウ)県の件で家族まで巻き込むとは思わなんだ…」あの日、程始は顔忠(イエンジョン)と相談の上、陥落した場合に備えて精銅を城外に隠すことにした。しかし道中で馬忠(マーロン)の襲撃に遭い精銅を奪われ、顔忠一家は殺されてしまう。程始は応戦しながら逃げ出し、草むらで気を失った。やがて小屋の中で目を覚ますと楼犇がいたという。楼犇は鉱山で働く民が程始を救ってくれたと説明、銅牛県は李逢(リーフォン)の裏切りで陥落したと知った。何でも李逢は顔忠と程始が精銅を携え投降したと罪をなすりつけたという。驚いた程始は帰還の機会を探ったが、楼犇から止められた。馬栄の偵察に見つかれば殺されることは必至、釈明の機会を失えば程家も皆殺しになってしまうという。「汚名をすすげばまた家族団欒ができると…それで小屋に身をひそめていたんだ」それにしても楼犇はなぜ程始を見逃したのか。まだ良心が残っていたのか、それともかつて弟と婚約した嫋嫋(ニャオニャオ)への情けなのか。今となっては程始にも分からなかったが、その時、息子が目を覚ましたと聞いた老夫人が駆けつけた。母は相変わらず大袈裟で馬鹿力だった。息子の傷が癒えていなくてもお構いなし、大泣きしながら叩きまくる。「この親不孝者!お前を助けるためにへそくりまで使ったよ?! あの宝物がなければお前の娘はどうやって路銀を工面できたと?!」すると姑にいつも辛辣な夫人がなぜか母を立てた。「そうです、君姑が節約に励んだおかげで今の程家があるのです」「さすがは蕭元漪(シャオユエンイー)ね…」程始は手を取り合う母と夫人の姿に目を丸くし、自分が留守の間に一体、何があったのかと首を傾げた。その頃、少商は都を離れる楼垚(ロウヤオ)を見送るため城門にいた。皇太子も故郷へ戻ることになった楼太傅と別れを惜しんでいる。「阿垚、私、何と謝ったらいいのか」「″程娘子″、君は悪くない、全ては大兄の自業自得だ」「なぜ赴任先を驊(カ)県にしたの?」「驊県にいる時が人生で1番楽しかったから… でももう一度、選べるなら、君に出会わず、驊県にも行かない人生がいい」いくら道理の分かる楼垚でも、今はまだ少商と向き合う余裕がなかった。まさか少商が推挙したおかげで赴任が叶ったとも知らずに…。一方、楼伯夫人は実家へ帰されていた。楼犇の遺言を知った楼家の長老たちは楼太傅が子弟の前途を阻んで災いを招いたと糾弾したが、楼太傅は全て妻に責任転嫁したという。「まさに″同じ森に棲む鳥も難に遭えば各自飛ぶ″ね…」※夫妻本是同林鳥 大難臨頭各自飛しかし凌不疑は王延姫(ワンイエンジー)は違ったと教えた。実は王延姫は身ごもったまま夜の川に入水し、未だ行方知れずだという。少商は自分に良くしてくれた王延姫の末路を思うと胸が痛んだ。「私のせいね、思えばあの時、父のことばかり案じて慰めの言葉さえかけなかった… 子晟(ズーション)、栄華は求めない、平穏ならいいの、あなたは道を踏み外したりしないでね 絶対、後悔したくないから…」不疑は黙ったまま何も言わなかった。「どうかした?」「…阿母が病なんだ、一緒に来てくれるか?」凌不疑と少商が杏花(キョウカ)別院に到着する頃にはすっかり日も暮れていた。すると今日も崔祐(ツイヨウ)将軍が霍君華(フォジュンホワ)の相手をしてくれている。霍君華は息子の顔を見ると嬉しそうに手招きした。「阿狸(アーリー)!杏仁菓子を作ったわ、食べてみて!」少商と崔祐は母子水入らずにして回廊へ出た。未来の君姑は元気そうに見えたが、崔祐の話では命の灯火がすでに消えかかっているという。霍君華は早産で生まれつき病弱だった。危険を承知で凌益(リンイー)のために命懸けで息子を産み、結局、こんな末路を迎えることになったという。「子晟も早産だった、当時は皆が長生きしないと心配してな 一方、霍家の奥方の産んだ子女たちは皆、健康で身体も丈夫だった そこで験担ぎのため息子に用意した名を取り替えたのだ」こうして霍翀(フォチョン)の息子・阿猙(アージョン)は″不疑″から″無傷(ウーシャン)″へ、阿狸は″無傷″から″不疑″へ名を変えた。不疑と無傷は良く似ており、霍君華は2人にそっくりな格好をさせてはどちらが息子か当てさせたという。凌益は息子を数える程しか抱いたことがなかったせいか、時に間違えることがあった。しかしいくら外見が似ていても、性格はかけ離れていたという。一方は腕白で駆け回り、一方は物静かで理に明るく、書や習字を好んだ。「阿狸は杏仁が好きでな、阿猙は杏仁に触ると発疹が現れるのに木に登って摘んでやっていた」崔祐は改めて少商に子晟のことを頼み、自分からも嫁荷を贈りたいと申し出た。少商は嫁荷なら十分だと遠慮したが、崔祐はあの裕昌(ユーチャン)郡主に対抗するには嫁荷が多ければ多い方が良いという。「郡主は琴棋書画、料理や裁縫にも通じる、そなたは?鶏のごとき鎧を縫ったそうだな? 子晟は将官らの笑い物になっていたぞ?」崔祐は少商の地雷を踏んだ。( ー̀ωー́ )<崔舅父、あなたとは縁が切れましたので見送りは不要です…少商は鶏ではなく鴛鴦だと捨て台詞を残して帰ってしまう。「あの子娘、ふっ、面白い」すると帰りの馬車の中、不疑は身体中に発疹が現れ、倒れてしまう。凌不疑は杏仁を食べて熱を出した。梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)は明日になれば治ると聞いて安堵したが、若女君が早々に帰ってしまったことが気にかかる。「彭坤(ポンクン)が孤城の真相を白状すれば若主公もわだかまりを捨て、成婚できるさ」その時、寝所から不疑がふらつきながら現れた。「廷尉府から身柄を奪うぞ」凌不疑は廷尉獄に収監された彭坤を連れ去り、北軍獄で拷問した。彭坤は確かに出世のため乾安王を殺したと認めたが、孤城の陥落は完全に霍翀の運が尽きたからだという。これに不疑は激怒、思わず彭坤の首をつかんだ。「凌益に関係があると言ったな?!どういう意味だ?!孤城陥落は凌益が呼応したからか?!」「ふん、すっかり文(ウェン)氏の犬になったのか?実の父親にまで噛みついて功績を求めるとは」不疑は彭坤の首を締め上げたが、ぎりぎりのところで手を離した。「死んだ方がマシだと思わせてやる」すると不疑は拷問の道具を手にした。一方、少商は杏仁で熱を出した子晟を怪しみ、悶々としていた。すると夜更けというのに皇后が訪ねて来る。「最近、体調が悪くて眠りも浅くてね、まだ部屋の灯りが見えたから来てみたの」少商は皇后が皇太子を心配していると分かった。王淳(ワンチュン)、文修君(ウェンシウジュン)、五公主に続き、楼太傅まで騒動を起こして失脚、確かに東宮は無関係で済んだが、皇太子の心中は察して余りある。「私の調査のせいで殿下にご迷惑が…私を責めないのですか?」「なぜ責める必要が?…余が若い頃、そなたのように勇敢なら両親を救えたかもしれないわ」そこで少商は皇后に子晟のことを聞いてみた。「皇后…子晟は幼い頃から物静かで落ち着いていましたか?」「そうね、子晟は朗らかな子で、無傷は寡黙で大人びていたわ でもあんな事になって子晟は無傷のように笑わなくなったの 以前、子晟は死んだ無傷の分まで懸命に生きねばと陛下に言ったそうよ あの子は過酷な半生を送った、でも幸いにも余生をあなたと過ごせる」「…皇后、今夜は一緒にいても?」「もちろんよ…」翌朝、少商の部屋に王姈(ワンリン)が押しかけて来た。王姈は夫を助けて欲しいと嘆願、恥も外聞もなく少商に泣きすがる。「あの人の子を身ごもっているの…お願い、私を助けて!」高貴な育ちでも家庭の温かさを知らずに育った王姈、そんな王姈にとって彭坤は誰より情の厚い夫だった。しかし少商は今回ばかりは力になれないと冷たく追い返す。王姈は諦めて立ち上がったが、どうやら少商は十一郎のことを何も知らないのだと分かった。「凌子晟こそ、この世で最も腹が読めず、最も恐ろしい男よ? 都に夫の内偵は多い、夫が言ってたわ…」王姈の話を聞いた少商は…。つづく(Ŏ艸Ŏ)ウオオオオオオオオ~!フラグ立ちました!それにしても鶏がここまで尾を引くとはねwww
2023.11.19
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第18話)第45話「行き場なき志」誼のあった馬栄(マーロン)に投降を促し、銅牛(ドウギュウ)県を無血開城した楼犇(ロウベン)。しかしこの降って湧いた功労者に凌不疑(リンブーイー)と程少商(チォンシャオシャン)は疑いの目を向けた。不疑は顔忠(イエンジョン)にも密かに交流のある″旧友″がいたと知り、楼犇に探りを入れる。「世家の子弟だそうだ、ただ世家に迎合したと思われるのを恐れて交流を隠していたらしい 楼兄、ご存知か?」「凌将軍に隠し事はできぬな…その旧友とは私だ」楼犇は潔く認めたが、まさか顔忠が敵に投降するとは思わなかったと嘆き、かと言って友を貶めたくもないので伏せていたという。「…顔兄は家族の命を盾に脅され、馬栄と結託しただけ 精銅を渡して家族を助けるつもりが、馬栄によって一族皆殺しにされたのだ」少商は楼犇の言葉尻を捕らえようとしたが、不疑はこっそり少商の手を握りしめ制した。「楼兄は功績を得た、都へ戻れば必ずや高みに登るはず…先立ってお祝い申し上げる」すると楼犇は都へ戻るため荷物をまとめると言って部屋を出た。実は顔一族が殺された件はまだ伏せていた。どうやら楼犇は焦って口を滑らせたのだろう。凌不疑と少商も皇帝から帰京を命じられていたが、2人はこのまま証拠探しを続けることにした。一方、廷尉府の地下牢では程少宮(チォンシャオゴン)が趣味の亀卜(キボク)でこの先を占っていた。すると″絶体絶命に活路を得る″と出る。少宮は必ず出られると喜んだが、程頌児(チォンソンアル)は弟の占いが当てにならないと知っていた。「何が私の成婚は嫋嫋(ニャオニャオ)より早いだよ…」その時、突然、男装した万萋萋(ワンチーチー)が現れた。萋萋は父に頼んで看守に賄をつかませ面会にやって来た。すると外衣を脱ぎ捨て、真紅の婚礼衣装姿になる。「もう時間がない、だから今夜からこの萋萋、あなたの妻になります! もしあなたが死んだら寡婦のまま一生、再嫁しない 断るならここで髪を下ろし、出家するわ!」萋萋の思わぬ決断に言葉をつまらせる頌児、その時、向かいの牢にいる祖母が賛成すると言った。「程家の男たちが全員、斬首になろうという時にこんな忠義ある嫁を得るとは… 萋萋や、程家代々の先祖に代わってお礼を言う 2人が想い合っているなら頌児を万家の入婿にしてもいい」老夫人は感激して萋萋に自分のかんざしを贈ったが、ふと嫁の顔を見た。「あなたは…やっぱり反対するの?」しかし蕭元漪(シャオユエンイー)は珍しく素直に君姑に従った。確かに以前は真っ向から対立していたが、思えば嫁姑の諍いも程家の子女のため、家族なら根に持たず、何事も一緒に乗り越えようという。こうして頌児と萋萋の結婚は姑と嫁の溝を埋め、程家の結束を強めることになった。楼府では銅牛県で功績を上げて帰京した楼犇のため盛大な祝宴が開かれた。愛妻の王延姫(ワンイエンジー)はもちろん、二房を見下していた楼縭(ロウリー)まで急に従兄を称賛している。「この銅鏡は従兄が自ら磨いて10種の字体で蒹葭(ケンカ)を刻んだの」その時、遅れて少商が現れた。王延姫は少商の来訪を喜んだが、少商はちょうど楼縭が自慢していた誓いの銅鏡を見せて欲しいという。すると凌不疑が袁慎(ユエンシェン)と黒甲衛(コクコウエイ)を引き連れ、乗り込んだ。客人が騒然とする中、袁慎は勅命を示し、銅牛県令一家殺害の被疑者を捕らえに来たという。楼犇はひとまず場所を変えようと提案、家族たちと別室に移動した。凌不疑の話では楼犇が顔忠を騙して一家もろとも殺害、その後、馬栄に投降を促して罪を曲陵(キョクリョウ)侯になすりつけたという。恐らく彭坤(ポンクン)の義子に刺された馬栄も楼犇が殺すよう仕向けたのだろう。楼犇は筋書き頼みかと呆れたが、不疑は証拠を持っていた。馬栄は証拠の隠滅を頼まれていたが、万が一に備えて書簡を残していた。その書簡は楼犇が顔忠に宛てたもので、2人が知り合ってから実際に面会し、家族を連れて程将軍と銅を運び出すよう唆すまで克明に記されている。呆然となる楼家の面々、しかし楼犇は自分の筆跡ではないと否定した。「凌将軍、私の書簡を確認してみよ」「確かに違う」しかし少商が夫人への誓いの品である銅鏡が証拠だと言った。少商はかつて楼垚(ロウヤオ)との婚約で楼家を訪ねた時、二房夫人が自慢げに話していたのを覚えているという。『大郎は書道が得意で、銅鏡の裏に異なる字体で詩を彫ったのよ』楼犇は言い逃れできなくなり、罪を認めた。これも全て出来損ないの息子を守るため二房を押さえつけて来た楼太傅が発端だったが、だからと言って他人を殺して良い理由にはならない。少商は内輪揉めする楼家に嫌気が差し、父の居場所を聞いた。「答えて、私の阿父はどこにいるの?!」すると楼犇は知りたいなら単独で教えると言った。楼犇は少商と2人で書房に入った。すると楼犇は自分が遊歴して書き記した″十四州疆(キョウ)域全図″を広げて見せる。「罪滅ぼしとしてそなたに贈ろう…朝廷でこれを欲しがらぬ者などおらぬ」少商は父の居場所さえ教えてくれれば良いと言ったが、確かにその堪輿(カンヨ)図は見事だった。「これを陛下に献上すれば生きる道を残してくださるはずよ?」しかし楼犇は少商に剣を突きつけた。楼犇は少商を人質にして書房を出た。まさかの事態に楼家も激しく動揺し、楼太傅は一門の不幸だと嘆くあまり倒れてしまう。凌不疑は仕方なく王延姫を捕らえた。「少商を解放して程将軍の行方を吐け、陛下には酌量を嘆願しよう」「嘆願?笑わせる」楼犇は自分の志が天下をも動かすと自負し、悲しいかな皇太子が楼太傅の言いなりで日の目を見ることができなかったと嘆いた。本当なら袁慎のように若くして地位を得られたはず、それが行き場も見つからぬまま落ちぶれようとは…。自分が官職についていれば母も虐げられることはなかっただろう。これも長子として家を支え、自分や弟の子孫を蔑まれ者にしたくない一心だった。「だが妻まで巻き込めぬ、阿垚、泣くな、これからはお前が楼家を支えなくては…」「夫君!まだ引き返せる!名声も地位もいらない、あなたと生きたいだけ!」「延姫…もう君と一緒に蓬莱仙境を探しに行けないな…すまない」すると楼犇は少商を解放して突き飛ばし、自ら首を斬って自害してしまう。王延姫は夫の元へ駆けつけ、泣き崩れた。「目を覚まして!私たちの子を宿したのよ?!」しかし無情にも袁慎は亡骸を廷尉府に運ぶと告げる。少商は取り乱す王延姫の姿に胸を痛めたが、その時、楼犇の言葉を思い出した。『苦難か簡単かは全て心次第…因とは果、果とはすなわち因』すると少商は因が精銅なら果は鉱山だと気づく。「馬はある?阿父を探しに行く」つづく(´・_・`)ベン…何してるのよ…そしてまた独り闇落ちしそうな人が…
2023.11.17
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第8話「結納合戦」娘の縁談を壊されたと因縁をつけてきた曹(ソウ)氏。玉児(ギョクジ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)は珊瑚(サンゴ)の自業自得だと呆れたが、曹氏は悪態をついた。「お前のような疫病神は命があるだけで感謝すべきよ! 人目を避けて姿を消すべき身で庫狄家の娘をかたるとは何事?!」今や庫狄家は河東(カトウ)公府と都尉(トイ)府の両家から娘を側室にと望まれ、てんやわんやだという。「私も庫狄家の一員だわ、なぜ隠れる必要が? 例え私が死んでいたとしてもあなたたちの罪は消えない 黄泉の国で一家団らんしたいなら世間に聞こえるように騒いだらどう?私は構わない」すると後ろ暗い曹氏は口ごもった。「とにかく続きは奥で話しましょう」偶然にもその場に居合わせた裴行倹(ハイコウケン)はあの絵師が恐らく庶子で、日陰者として育ったのだと推察した。阿霓(アゲイ)は気まずそうに屏風の件なら自分が説得してみると伝えたが、裴行倹は話が終わる頃を見計らって出直すという。曹氏は河東公府と都尉府が縁談を申し込んだ相手が実は琉璃だと知った。世間では庫狄家の娘は珊瑚だけ、それで誤解されたのだろう。「安心して、あなたたちさえ黙っていれば私は素性を明かさないし、迷惑もかけない いずれ長安を離れるの」しかし曹氏は自分たちに尻拭いをさせるつもりかと激怒、役所へ行って琉璃が生きていたと明かすと脅した。琉璃は開き直り、全てを白日の下に晒して曹氏たちも道連れにするという。「私から役人に話すわ、庫狄家が私をかくまう代わりに母の称号を利用したとね! どんな罰を受けるかしら?どう?試してみる?」焦った曹氏は殊勝になった。琉璃は怒り心頭だったが、それでも家族であることは事実、結局、何か手立てを考えると約束する。「でも忠告しておく、私を潰そうなどと思わないことね」曹氏が帰ると再び裴行倹がやって来た。「まだいたの?!」琉璃は思わず声を荒らげたが、裴行倹は意味ありげに笑う。「私に頼み事があるかと思ったが…気が変わったら中眷(チュウケン)裴家の裴宅まで来い、では…」阿霓は目を丸くした。まさかあの男が長安の疫病神と名高い中眷裴家の跡継ぎ・裴行倹だったとは…。すると琉璃は確かに裴行倹は裴如琢(ハイジョタク)と裴炎(ハイエン)の友人だと思い出した。その夜、琉璃は人目を避けて裴宅を訪ねた。しかしいけ好かない裴行倹に頭を下げるのが嫌で、あくまでこれは商談だと言い張る。「2人に縁談をあきらめさせてくれたら屏風をの注文を引き受けるわ」「悪くない、だが…庫狄家の庶子ならなぜ玉の輿に乗って正妻を見返さぬのだ?」( ๑≧ꇴ≦)<私が庶子ですって?!ヒィッ!Σ(°∀° ノ)ノ.oO( 間違ってたぁぁぁ!琉璃は裴行倹が誤解していると気づいたが、素性がバレるのを恐れて否定しなかった。「…私には心に決めた人がいるの、だから誰にも嫁がない」「ますます意味不明だ、なぜその男に嫁がぬのだ?」「(面倒くさ~)それが…好きな人って言うのは宮中で亡くなった従兄なの」琉璃はまさか裴行倹が街で暴走した馬車の一件を全て見ていたとは知らず、嘘をついた。「(´゚ω゚):;*.’:;.. ブハッ!想い人を亡くしたばかりか…申し訳なかった で、従兄はどんな職だった?」「太医院で医官だったわ…あなたに盗られた遺品は従兄の形見よ」琉璃は遺品を今回の交渉には使わず、改めて取り戻すと断言した。裴行倹は同じ裴姓とは言え2人とは深い付き合いがなかった。そこで策は考えるが縁談は自分で断れと言って、小瓶を差し出す。「長安で一番、効く傷薬だ」裴行倹は店を訪れた時、絵師の右手が傷だらけだと気づいていた。すると琉璃は問題が解決したらこの薬を使い、屏風を作り始めるという。「貸し借りはなしよ!」翌日、庫狄延忠(エンチュウ)は助けに来てくれた琉璃を暖かく迎えた。しかし琉璃は曹氏と珊瑚が母の遺品を身につけていると気づき、やはり帰るという。曹氏はやむを得ず耳飾りを外して返したが、珊瑚は悔しまぎれに腕輪を投げ捨て、さらに踏みつけようとした。すると激怒した琉璃が珊瑚を引っ叩き、昨日の宴で珊瑚に手を踏まれたせいで思い切り叩けなかったという。廷忠は珊瑚の振る舞いを知って困惑したが、ともかく号泣する珊瑚を言い含めた。河東公府の仲人と五娘(ゴジョウ)が結納品を持って庫狄宅に到着した。曹氏は琉璃の指示通り、主なら出かけたまま戻っていないと嘘をつく。すると五娘と仲人が縁談を取り合って言い争いに発展、役所で戦うと言い出した。珊瑚は庭に並ぶ結納品を見ているうち断るのが惜しくなったが、琉璃に強引に押し出されてしまう。「…姑姑、裴炎と崔(サイ)氏は本来、仲むつまじく、側室は苦肉の策です 姑姑が苦心して私を嫁がせても崔氏は感謝しません 役所沙汰になって裴炎の前途を妨げでもしたら姑姑の立場は悪くなります 何より仲人様の障りは姑姑よりもずっと深刻です 縁談をまとめられない上、役所沙汰になって河東公府の怒りを買えば、仕事ができなくなるかも」珊瑚は涙ながらに自分のせいで両家を反目させたと詫びた。曹氏も幸薄い娘が嫁げば両家に不幸を招くと嘆き、両家の名誉を傷つけないよう珊瑚に決して両家に嫁ぐことはないと誓わせる。五娘は確かに争いの種になるような娘を娶るわけにいかないと納得、一方、仲人も裴府が捨てた娘などいらないと言って引き上げた。裴宅に屏風の注文を受けたと連絡が来た。裴行倹は絵師が嫁がずに済んだと分かり、思わず笑みがこぼれる。「お喜びのご様子ですね」従者の阿成(アセイ)に見透かされた裴行倹は珍しく動揺し、絵師に嫁がれたら困るからだと取り繕った。皇帝を怒らせてしまった皇太子・李治(リチ)は才人・武媚娘(ブメイニャン)の咸池(カンチ)殿を訪ねた。実は巣に戻した雛が人の匂いがついたせいで結局、親鳥に見捨てられてしまったという。「世話を頼めるか」媚娘は雛を引き取り、皇太子に名前を付けて欲しいと言った。「…宝児(ホウジ)と」すると媚娘はカッコウが卵からかえると他の卵を巣から落として育つ環境を確保すると例え話を聞かせた。李治は親鳥がそれを見過ごすことに驚き、なぜ兄弟を思いやれないのかと憤る。「これが自然の摂理であり、世の中には分け合えないものもあります 太子の座、皇帝の座もそうです…焦ってはなりません、時期に備えるべきです」しかし李治は武才人の忠告を聞かず、謁見を願い出てしまう。卓錦娘(タクキンジョウ)は掖庭を訪ね、守銭奴と揶揄される副総管・潘秦海(ハンシンカイ)に賄を渡して手懐けた。そこで孫徳成(ソントクセイ)を順子(ジュンシ)に会わせないよう頼み、尋問はせず拷問を続けるよう助言する。「数日も経てば師父は頼りにならないと気づくでしょう、そうなれば生きるために白状するはずです」皇帝は皇太子に会おうとしなかった。総管・高全(コウゼン)の話では科挙改革の一件で大勢の反感を買ったせいで、皇太子が酒色に溺れているという讒言まで届いているという。「お力にはなれませぬ、ひとまずお引き取りください…」その時、ちょうど武才人が皇帝の看病へやって来た。追い詰められた皇太子は思わず武才人を呼び止め、再び助言を求める。すると媚娘は逸る血気を抑えられないなら写経でもしてはどうかと言った。「修養を積むと同時に陛下のご安泰も祈願できます、言葉で訴える前に態度で示されるのです」媚娘は誠意を見せれば道が開けるはずだと諭した。掖庭では順子の拷問が続いていた。2日も眠っていない順子は体力の限界に来ていたが、それでも小豆子(トウシ)のことなど知らないとごまかす。…師父、助けてください、もう死にそうです…一方、孫徳成は内侍院で藩副総管を待ち伏せし、順子の解放を訴えた。「順子はまだ子供だ、死で償うほどの罪ではない!」「確かに重罪ではない、悪いのはお前だ、よく考えるのだな、誰を敵に回したのか…」孫徳成は卓錦娘だと気づいた。つづく( ๑≧ꇴ≦)ペイさんだらけでわけわからんw
2023.03.15
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第21話)第48話「宿願、ここに果たせり」城陽(ジョウヨウ)侯・凌益(リンイー)の五十路を祝うため、凌一族が屋敷へ到着した。凌益は15年も父子の団らんを阻んできた霍君華(フォジュンホワ)が亡くなり安堵したが、夫人の淳于(チュンユー)氏は子晟(ズーション)の父親を見る目が恐ろしかったと警戒する。「もしや君華姐姐から聞いたのでは?あなたが孤城で…」その時、激怒した凌益の平手が夫人の頬を激しく打ち付けた。「子もなせぬ不徳者めが、口を慎め!さもなければこの手で霍君華の元へ送ってやる」淳于氏は夫の仕打ちに憤った。当時、妻が行方不明でも再婚を望んだのは凌益、子をなせなくなったのは霍君華に襲われて子が流れたせいだ。「私の傷をあなたがその手でえぐるとは…やっと分かった、あなたの心には我が子のことだけ 父子で団らんすればいいわ、私は己のために別の前途を探す」一方、成婚を間近に控えた程少商(チォンシャオシャン)は自宅へ戻ることになった。本来なら凌不疑(リンブーイー)の喪が明けるまで待たねばならなかったが、3年も待てない皇帝は法要中の成婚を認める。しかし法要中ともなれば盛大な婚儀を行えず、皇后はせいぜい嫁荷を揃えてやることしかできなかった。「十分、盛大です、こんなに沢山の嫁荷、狭い部屋に入り切るかどうか」長秋宮の前には少商のための輿と嫁荷の長い列が待っていた。少商はもしや不疑が現れるのではと思ったが、皇后は子晟なら来るはずないという。「成婚前に会うのは縁起が悪いわ」少商は皇后に別れの挨拶をして輿に乗った。その時、皇后が前から歩いてくる凌不疑に気づく。「子晟?来たの?!」少商は思わず帷(トバリ)を開けて外へ出た。「どうしたの?」「家まで送る」「成婚までは会えないそうよ…私に話があるの?」しかし不疑は黙ったまま視線を落としてしまう。そこへ皇后がやって来た。「子晟、情けないわよ?成婚すれば毎日、会えるのだから…少商、早く行きなさい」少商は皇后に促され、輿に戻るしかなかった。…凌不疑、やはり話してくれないのね…結局、不疑は何も打ち明けられないまま、黙って少商の輿を見送った。その夜、曲陵(キョクリョウ)侯府では四娘子の成婚を明後日に控え、少商が花嫁衣装を試着していた。当日は長い間、重い衣装や冠をつけ続けるため慣れておかなくてはならない。程姎(チォンヤン)は皇后が特別にあつらえた豪華な冠をながめながら、実は蕭元漪(シャオユエンイー)も一式、準備していたと明かした。しかし少商は姎姎が嫁ぐ時に使えるという。「私が宮中にいる間、堂姉が家を支えた…堂姉がいれば娘を失っても阿母は寂しくない」「そんな…嫁ぐだけよ、失うなんて言わないで」「女が嫁げば残りの半生を夫に託す、夫に危険があれば私も戻らない」そんな娘の覚悟を程始(チォンシー)と蕭元漪が回廊で立ち聞きしていた。「嫋嫋(ニャオニャオ)のそばに戻って1年も満たぬ、埋め合わせをする前に嫁いでしまうとは…」程始は寂しさで涙が止まらなかったが、蕭元漪は娘の言葉がまるで惜別のようで心がざわついた。同じ頃、凌不疑は腹心の梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)の3人で城陽侯府を訪ねた。城陽侯の五十路の祝いだというのにどこか緊張感に包まれる宴席、すると不疑は外套を羽織ったまま早速、父に祝いの品を渡した。ひとつは銭が詰まった箱、しかしもうひとつの大きな箱から男の生首が現れる。「廷尉獄の裏庭の花職人だ… 数日前、城陽侯は自ら3万銭を渡し、独房内に花びらを吹き散らせたな? だから彭坤(ポンクン)は死んだ、今日は渡した銭と共に首もお返ししよう 満足いただけないなら、孤城三千の亡魂に代わって申し上げる ″享年五十″の祝いをな!」一方、少商はそろそろ城陽侯の祝宴が始まる頃だと気づき、冠を外した。「蓮房(リエンファン)、祝いを用意して符登(フードン)に届けさせて、今すぐよ、急いで」凌益は息子の暴挙に深く落胆した。「確かにお前の母には負い目がある、だが祖先の位牌をよく見てみよ? 教えてくれ、お前は凌氏一族なのか霍一族なのか?」「…本当に知りたいと?」「本当だ、今日、お前の剣で死のうとも疑念を晴らしたい」「では疑念を晴らさず殺すとしたら?」凌不疑の言葉が引き金になり、宴席にいた客人らは一斉に外衣を脱ぎ捨て、隠し持っていた剣を抜いた。すると凌益もゆっくり立ち上がり、剣を抜く。「せがれよ、ここまで生き抜いて来た私が退路を残していないと思うか? …この父のために疑念を晴らす気はないと?」「黄泉にて霍氏一族が語るだろう、お前が死ぬべき理由を…」一方、門前払いされた符登は急ぎ屋敷に引き返していた。「女公子、城陽侯の私兵に遮られ礼品を渡せませんでした 招状がなければ入れないと、屋敷から物音ひとつ聞こえなかったので戻りました」凌不疑は外套を脱ぎ捨て、隠し持っていた剣を梁兄弟に投げ渡した。すると私兵たちも宴席に雪崩れ込み3人を包囲、門を閉じてしまう。宴席は修羅場と化した。窓紗に映る人影は激しく争い、やがておびただしい鮮血が飛び散る。一方、少商は花嫁衣装のまま部屋を出た。しかし中庭で家族が待ち構えている。実はすでに外出禁止令が出て軍営が交代していた。「何か知っているの?」「凌不疑が大変なの、行かないと…彼に関わることなら放っておけない」蕭元漪は帝后に任せるようなだめたが、少商は例え非力でも一度きりの人生で何かを成し遂げたいという。少商は馬で城陽侯府へ急いだ。しかしすでに屋敷への道が封鎖されている。その時、軍装した家族が駆けつけ、衛兵を阻んで道を開けた。「嫋嫋!早く行きなさい!」城陽侯府は静寂に包まれた。亡骸で埋め尽くされた寝殿、凌益は薄明かりの中、決着がついたことを確認する。しかしその時、部屋の片隅から凌不疑が血を流しながら現れた。「父親殺しの汚名を着せられるぞ…」凌益は万が一に備え、皇帝に知らせていた。「何か勘違いしているのでは?お前の子とは従兄・阿狸(アリ)のことか? だったら人違いだ…阿狸はお前に殺された! お前がその手で城門を開け、敵を入城させ、骸を城壁に掛けさせた もう忘れたのか? 姑 父 大 人 !」「まさか…信じられぬ…なぜ知っている?お前は誰だ?!」「まだあるぞ…お前がその手で阿父を殺したことも知っている 叔母と都へ戻った時から決意していた、いつかお前の命を取ると… そして今日がその日だ!」「凌不疑…どちらにしても名義上は私の息子だ…独断で私を殺せば自分の命が代償となる 誰もお前を守れぬぞ!」すると不疑は血まみれの顔で不気味に笑った。「雍(ヨウ)王、小越(ユエ)侯、彭坤…一歩一歩、進みながら今日に至った 霍氏の敵を討てたら死して悔いなし…」凌益は焦って不疑の胸に剣を突き刺したが、不疑は決して退かなかった。凌不疑に徐々に迫られた凌益は足を取られて後ろへ倒れた。背後ではようやく梁兄弟が立ち上がる。「それから…」実はあの時、孤城にいた幼い不疑は偶然、父が凌益に殺される様子を目撃していた。不疑は父の無念を思いながら、ついに凌益の胸に剣を突き刺す。「…私の姓は凌ではない、私の姓は霍だ」その時、不疑が剣を深く差し込み、凌益の身体を貫く鈍い音が聞こえた。「私の名は…霍…無(ウー)」「グハッ…」「…傷(シャン)」凌不疑は霍翀(フォチョン)の息子・霍無傷だった。宿願を果たし万感胸に迫る無傷、その時、突然、門が開き、少商が現れる。つづく( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)ウワッ!かなりトラウマになりそう〜だってウーレイが上手過ぎるのよせめてパンダのシャンシャンだったら良かったのに…( ;∀;)って何が?w
2023.11.25
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第15話)第42話「家門の災い」凌不疑(リンブーイー)は寿春(ジュシュン)に出征。程少商(チォンシャオシャン)は成婚の準備をしながら不疑の凱旋を待つことになった。曲陵(キョクリョウ)侯府では老夫人と蕭元漪(シャオユエンイー)が新婦のかんざし選びで揉めていたが、少商は心配無用だと止める。「皇后が早くから宮中の繍女や匠に作らせたのがあるから…へへ」実は子晟(ズーション)の成婚を心待ちにしていた皇帝と皇后は毎年のように準備していたため、すでに十分に揃っていた。「予定通りなら私は宮中で嫁ぎます、皇后が閨(ネヤ)も用意しているそうです」老夫人はそれならお金もかからないと喜んだが、全く出番のない母はどこか寂しそうに見えた。袁慎(ユエンシェン)は宮中で偶然、回廊で物思いにふけっている少商を見つけた。花嫁衣装や装飾品の試着でくたくただという少商、しかしふと袁慎に話しても無駄だと思い出す。「あなたは成婚と無縁だものね」「成婚できるのは自分だけだとでも言いたいのか?…だいたい成婚に何の利がある?」「あなたには″一日三秋″がどんな心情か分からないでしょうね 成婚すれば毎日、会えるし、帰りを待ちわびずに済むわ」すると負けず嫌いの袁慎は自分が先に成婚してみせると啖呵を切って行ってしまう。(」゚ロ゚)」<善見(シャンジエン)!無理しないで~!官媒(カンバイ)は袁慎に釣り合うよう才女と評判の蔡(ツァイ)氏の娘を斡旋してくれた。しかし袁慎は文句ばかり、従者は何が不満なのか分からない。「私の理想はそれほど高くない 頭は程娘子より鈍くなく、性格は程娘子より素直、容貌は程娘子より優れていれば…」「なぜどの条件も程娘子が基準なのですか?」ぁ..,..( ̄◇ ̄)(; ̄◇:;.:... (; ̄:;..,..::;.:. :::;.. .. .「程娘子に侮られたくない」すると袁慎は成婚の日取りを少商と同じにすると言い出した。そうすれば朝廷中の賓客が袁家に祝いへ来るため、少商が慌てふためくはずだという。( ゚ェ゚)…公子、あんたどうかしてるわ@従者袁慎はめかし込んで参内、早速、宮中にいる少商を見つけて自慢げに婚約したと報告した。しかし少商は袁慎が単に自分に対抗しているだけだと見抜いている。「私は子晟と巡り会えた、あなたも出会えるといいわね…あっ間違えた 婚約したのよね?じゃあもう出会えないんだ〜 でも悪くないわ、家柄の合う縁談でも満足しなくちゃね」少商は我関せず、袁慎は肩透かしを食ってしまう。↓( ˘ω˘ )<ま、せいぜい頑張れよ的な余裕w一方、寿春に出征する班(バン)侯は孫を心配し、班嘉(バンジア)の面倒を曲陵侯府に頼んだ。班嘉は一目惚れした程姎(チォンヤン)と毎日、食事を共にするようになったが、姎姎は嫁がずに伯母のそばにいたいという。そんなある日、突然、程家に災難が降りかかった。勅命で銅牛(ドウギュウ)県に向かった少商の父・程始(チォンシー)。しかし銅牛県は陥落、曲陵侯と県令・顔忠(イエンジョン)が敵と通じていたと報告が来た。朝臣たちは見せしめに曲陵侯を九族皆殺しするよう奏上し、激高した皇帝は誰とも会わず、食事も絶ってしまう。皇后は謁見できず外で待つことにしたが、そこへ越(ユエ)妃が駆けつけた。「妹妹、良いところに来てくれたわ」「…私が見て来ます」するとさすがに皇帝も寵愛する越姮(ユエホン)だけは追い返せなかった。越姮は皇帝の怒りが領土を失ったことではなく、天下の寒門のためだと分かっていた。実は程始と顔忠は皇帝が群臣の反対を押し切って選んだ寒門、その2人が敵に投降したとなれば世襲の打破は更に難しくなってしまう。「しかし両県丞(ケンジョウ)が見たのだ、2人が精銅2千斤を携え、敵に投降したと… だが当人がおらぬゆえ朕が濡れ衣だとかばったところで証明できぬ 父を処刑されたら程娘子は?子晟は?2人の婚姻はどうなる?!」越姮は皇帝の気掛かりが成婚だと知り、ひとまず表向きは法に従って公正に処理し、内情を少しずつ調べるよう助言した。皇后は皇帝と越妃の絆に割って入ることができず、黙って回廊で待っていた。やがて越姮が現れ、曲陵侯の家族は投獄され、審問を受けると報告する。「曲陵侯の件は陛下がお調べになります、ただ国の法に私情は挟めません 程娘子なら十一郎と婚約し凌家の人間とみなされ、放免されるでしょう」銅牛陥落の噂が朝廷中に広まった。何も知らなかった少商は父が処罰されると知り、勝手に宮中を飛び出してしまう。すると城門でちょうど参内した袁慎と出くわした。「少商、私の馬車を使え…私は御前で嘆願する、そなたの父親を放ってはおけない」「ありがとう」しかし曲陵侯府にはすでに太尉府の左(ズオ)将軍が程家の捕縛に来ていた。蕭元漪たちは強引に屋敷に乗り込んだ左将軍に憤慨、前庭で対峙した。聞けば夫が銅牛県令を惑わし、精銅2千を盗んで敵に投降したという。「曲陵侯府を封鎖し、共犯を捕らえるのだ!」驚いた程頌児(チォンソンアル)と程少宮(チォンシャオゴン)は剣を抜いたが、その時、少商が駆けつけた。「程氏が背いたかは陛下が判断する、この機に乗じて私怨を晴らすつもり? 私があなたの姪に汚水をかけ、夫があなたの兄の足を折った… だからあなたも殴られに来たの?」一触即発の様相となる少商と左将軍、しかし危ないところで袁慎が勅令を携えて現れた。「陛下は程娘子を巻き込むなと仰せだ」皇帝は本件を廷尉府に託し、被疑者の家族は廷尉府に護送して審問することに決めたという。蕭元漪は夫の無実を信じ、潔く一族で廷尉府の審問を受けると決めた。しかし少商だけは凌家の嫁と見なされ、無関係と判断されたという。袁慎は長秋宮に戻るよう伝えたが、少商は家族と一緒に行くと拒んだ。「嫁ぐまでは程家の娘なのよ?一人だけ生き延びるなんてできない」すると少商の言葉を聞いた蕭元漪がいきなり娘の頬を引っ叩いた。「程少商、程家がどうなろうとあなたは生き続けるの! 生き延びなければ程家の祖先が許さない!もちろん私も阿父もよ…分かるわね?」その夜は激しい雨となった。宮中に戻った少商は崇徳(スウトク)宮でずぶ濡れになりながら嘆願を始めたが、拝謁は叶わない。曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)は戻るよう説得していたが、少商はあきらめなかった。すると皇太子が駆けつけ、少商の隣にひざまずく。「余も曲陵侯を信じる」少商はようやく禁足が解けた皇太子まで巻き込めないと言ったが、そこへ皇后までやって来た。「私も一緒に立つわ」「お体を壊してしまいます!」その時、見かねた越姮が皇帝を強引に外へ押し出した。廷尉府の地下牢に袁慎が食事の差し入れにやって来た。しかし程老婦人は二郎と三郎も拘束されたと知り、絶望する。「首を斬られてバラバラになるより餓死すれば亡骸だけは欠けずに残るわ」「私たちは食べます、潔白を証明する前に餓死してたまるもんですか」蕭元漪たちは程始を信じて必死に生きようとしていた。皇帝は渋々、少商の話を聞くことにした。「阿母や兄たちは都にいて生活に不自由などなく、私も子晟に嫁ぎます 阿父は何も不満がないのになぜ敵に通じる必要が?…つまり濡れ衣です」少商は目下、行方知れずとなった父と消えた精銅2千を探すため銅牛県へ行きたいと嘆願した。しかし皇帝が認めてくれるはずもなく、長秋宮での禁足を命じられてしまう。つづく工エエェェ(;╹⌓╹)ェェエエ工急に何なの?!
2023.11.06
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安乐传 The Legend Of Anle第36話韓燁(ハンイェ)を失った衝撃から昏睡状態となった帝梓元(ディヅユアン)。苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)は付き切りで介抱していたが、梓元は薬も受け付けようとしなかった。すると知らせを聞いた洛銘西(ルォミンシー)が密かに任(レン)府へ見舞いにやってくる。「君には心配ばかりさせられる」洛銘西の手には肌身離さず持っている玉佩があった。梓元はこの玉佩の意味を知らなかったが、実はこれは梓元が生まれた日、靖安(セイアン)侯・帝永寧(ディエイネイ)が″娘を妻とする証し″として洛銘西に渡したものだという。まだ幼かった洛銘西はいつか梓元を妻として迎える日を楽しみにしていたが、思いがけず太祖が崩御、梓元を皇太子妃にすると遺詔を残していた。父は慌てて玉佩を帝家に返そうとしたが洛銘西は反対、そして今も大切な思い出として手元に残してある。「十分に休んだら私と靖南へ帰ろう」そんなある日、ついに梓元が目を覚ます。しかし梓元は想像を絶する苦しみに晒されたせいで、美しい黒髪が真っ白になっていた。回復した梓元は皇帝に謁見した。嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は白髪の帝梓元に驚き、韓燁への想いがこれほど深かったことを知る。すると梓元は洛銘西だけでなく弟・帝燼言(ディジンイェン)も生きていると明かし、身分回復を嘆願した。「太子殿下が五柳街から救い出し、温朔(ウェンショウ)と命名を…」実は梓元も韓燁の失踪後に本人から素性を明かされたばかりだという。皇帝は帝家の継承者が生きていたことに激しく動揺したが、皇太子に欺かれたとあっては梓元を責めようがなかった。「いいだろう、帝燼言と名を戻すが良い、だが朕からも1つ条件がある」皇帝は帝燼言を人質として生涯、都に留め、帝梓元は今後一切、都へ入ることを禁ずると命じた。「…まだそんなことを?」梓元は皇帝が未だ帝家の台頭を恐れて猜疑心にとらわれていることにへき易してしまう。「幼い頃、私は父にじゃじゃ馬でも婚家で気に入られるかと聞いたことがあります すると父は陛下の話をしてくれた 私が生まれてすぐ頻繁に会いに来るほど陛下は気に入っていたと… 父がなぜ言い訳もせず自刎したのか分かりませんでした でも父の言葉を思い出してやっと分かったのです、″嘉昌帝は徳があつく英明な方だ″と… 父は死ぬまで陛下に忠誠を尽くし、陛下を信じていた、玉座を望んだことなどありません!」梓元は皇帝がまだ見ぬ混乱を恐れて帝家を断罪したのかと思うとやるせなくなった。「帝梓元は靖国の臣下となりましょう、帝家が簒奪を企てることなどないと誓います 太子殿下の目指す天下太平と民の幸せのために… ただし、私たち姉弟の今後は自分たちで決めます」梓元は弟を連れて伏翎(フクレイ)山の帝盛天(ディセイテン)を訪ねた。「燼言、姑祖母よ、ご挨拶して」大伯母と初対面した燼言はその場で叩頭し、礼を尽くした。「梓元、その髪は…簡宋(カンソウ)を迎えにやったのに遅かったのね」「昏迷していたのです、簡宋は生きていると?」簡宋は蒼(ソウ)山で身を投げたが、偶然にも帝盛天に助けられ、生涯、仕えることになったという。「梓元、今までよく頑張ったわね」帝盛天は眼下に広がる美しい都を眺めながら、かつて韓子安(ハンシアン)と共に力を尽くして太平の世を作り上げるはずだったと話した。しかし韓子安は早世し、その夢は叶わなかったという。「それで良かったのよ…でもあなたたちは違う、韓燁が生きていたら手を携えて歩みなさい」その頃、韓燁も長い昏睡からようやく目覚めていた。韓燁を救ったのは北秦の莫霜(モーシュァン)公主。しかし莫北(モーベイ)の目潰しで光を失った韓燁は恩人の姿が見えなかった。「誰だ?ここはどこだ?」「私よ、莫霜よ?ここは人里離れた庵なの…まさか、見えていないの?」莫霜は目が見えない韓燁に付き添うことにした。実は莫霜は自分が戦の元凶となり、姉のように慕ってた安寧(アンニン)を死に追いやってしまったと責任を感じている。しかし韓燁は皇族に生まれた以上、国のために役目を課せられると理解を示し、それより家族を失って各地をさまよう両国の民のため、責任を果たすべきだと諭した。「ウン!安心して、罪を償うため戦禍を被った民を救うわ」莫霜の献身的な看病にもかかわらず、韓燁の目は治らなかった。韓燁はそろそろ帰るよう促したが、莫霜は韓燁をひとり残してはいけないと拒む。「見えるようになるまでお世話します、せめて安楽(アンルー)姐姐が迎えに来るまで…」「知らせたのか?!」「いいえ、戦の後は両国の往来が途絶えたから伝える術がなくて…」すると韓燁は自分の生存を漏らさないで欲しいと頼んだ。皇帝は梓元の動向を探らせていた。そんなある日、趙福(チョウフク)から梓元が弟を連れて伏翎山へ出かけたと聞く。「伏翎山?…あの者が戻ったのか?!」すると皇帝はじかに聞きたいことがあると言って、趙福が止めるのも聞かず出かけてしまう。10年ぶりに再会した帝盛天は当時と変わらぬ姿だった。「皇帝としての務めをよく果たしているわね…韓子安が今の靖国を見たら安堵するでしょう」しかしそんな帝盛天の素直な称賛も韓仲遠をさらに疑心暗鬼に陥らせてしまう。「心にもないこと…皇帝を廃する取り決めがなければ帝永寧を恐れることはなかった そなたたちが朕を追い詰めたのだ!」「誤解よ、そんな勅書はなかったわ」その時、帝盛天は気づいた。当時、病に侵された韓子安は息子に帝王学を施す余裕がなく、あらゆる状況を想定して策を講じたのだろう。「どうやらあなたの疑い深さまでは想像できなかったようね… しかも臣下を疑ったあげくに帝家を取り潰しにするとは!」「ではなぜ皇帝を廃する権利をそなたに与えたのだ?!」「…あの時、帝家が滅ぼされても私は敵討ちに行かなかった 韓子安と約束したからよ、今後一切、都に足を踏み入れないとね!」皇帝はにわかに信じられなかった。しかし帝盛天は帝家の宝剣に真実があるとだけ教え、帰ってしまう。宮中に戻った韓仲遠は洛銘西が献上した帝家の宝剣を自分の剣で真っ二つに割った。すると刃の間から太祖の勅書が出てくる。…帝盛天の都への立ち入りを禁ず…先帝が残したのは帝盛天に皇帝を廃する権利を与える勅書ではなく、韓仲遠の皇位を守るための勅命だった。「朕は思い違いをしていたのか」…私と韓子安は初めからあなたを靖国の世継ぎとすると決めていたのよ…韓仲遠は帝盛天の言葉を思い出し、呆然となった。「朕は間違っていた…」莫霜の別苑、韓燁はその日、莫霜が天灯を作っていると知った。「願いを込めて飛ばすと天が思いを受け取って願いを叶えてくれるって だから目が治るよう願掛けするわ」「ありがとう、私も飛ばしたい」その夜、2人は天灯を飛ばした。莫霜は何を願ったのか聞いたが、韓燁は黙ったまま飛ばしてしまう。実は天灯には″帝″とあった。つづく( ๑≧ꇴ≦)簡宋まで生きてんのかーい!wもう途中からずっと皇帝に「お前のせいやん」って言い続けてたわwそれより莫霜はどういう経緯で韓燁を助けたんだろう?まさか下で待ってたのか?( ̄▽ ̄;)
2024.05.30
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第9話「善なる謀」結納騒動で琉璃(ルリ)の生存が庫狄(コテキ)家の知るところとなった。安四郎(アンシロウ)は万が一のことを考え、琉璃を店に出すのをやめて屋敷にいるよう命じる。一方、曹(ソウ)記衣装店では玉の輿に乗り損ねた珊瑚(サンゴ)が鬱々としていた。母は胡(コ)商大会で優勝して名誉を回復すれば縁談も沢山来ると言うが、琉璃と阿霓(アゲイ)擁する如意衣装店に勝てるはずがない。しかし曹氏は尚服局にいる遠縁の鄧七娘(トウシチジョウ)から宮中の衣の図案を聞き出し、すでに同じ物を作っていた。「さすが母上ね!」曹氏は自分たちの話を聞いていた甥・曹吾(ソウゴ)を警戒した。すると思った通り曹吾が大会用の衣をこっそり持ち出そうとする。曹氏は阿霓に見せるつもりだと知り激怒、しかし曹吾は自分が阿霓を娶れば商売敵の番頭を引き抜くことになると釈明した。「確かにその通りだわ」そこで曹氏は自ら阿霓に縁談を持ちかけ、安氏の技を嫁入り道具にしろと迫る。阿霓はふざけた物言いに呆れ果て、有無を言わせず曹氏を店から叩き出した。一方、宮中では皇太子・李治(リチ)が今日も皇帝への挨拶に来ていなかった。すでに後宮にも皇帝と皇太子の関係悪化が知れ渡り、自暴自棄になった皇太子が酒浸りだという噂まで流れている。才人・武媚娘(ブメイニャン)は皇帝が楊(ヨウ)妃と曹王・李明(リメイ)だけを残して全員を下げたことから、嫌な予感がして皇太子を訪ねた。皇帝は曹王府に今や東宮を凌ぐほどの人が集まっていると耳にした。すると李明は誤解を招かぬよう、皇太子が科挙の改革案を出したせいで不安を覚えた貴族たちが訪ねてくると釈明する。「改革の志は良いと思います、ですが…改革は民の向学心をあおる反面、貴族たちの忠心を失います」李明は皇太子が部屋にこもって酒を飲んでいるため、諫言もできないと嘘をついた。媚娘の予想通り総管・高全(コウゼン)が皇太子を迎えに来た。亡き皇后に恩があり皇太子に忠誠を誓う高全、そこで皇帝が噂を信じて皇太子に不信感を募らせていると警告しておく。「では外でお待ちしております…」高全が出ていくと脇殿に隠れていた媚娘が現れた。皇太子は父皇に謁見、先日から断酒していると報告した。安堵した皇帝だったが、隣に立っていた李明は皇太子から酒の匂いがすると気づく。その時、ちょうど皇帝の薬湯が届いた。李明はわざわざ李治に薬を渡して父皇のそばへ行くよう仕向けると、案の定、李治は手の震えから薬をこぼしてしまう。「断酒して部屋にこもり修養していただと?!」皇帝は酒臭い李治に激怒、ついに皇太子に唐の将来を任せられないとまで口走った。すると李治は手が震えた原因は写経だと釈明し、一心に書き続けたため右手の筋を痛めたという。酒臭いのは震えを抑えようと側仕えに勧められた薬酒を使ったせいだった。「まさか今日、拝謁するとは思わず、手に塗ってしまいました」そこで皇帝はすぐ太医を呼ぶよう命じた。皇太子に策を授け、薬酒を渡したのは媚娘だった。皇太子への誤解が解けることを願いながら朗報を待つ媚娘、その時、大事なことを思い出す。「玉柳(ギョクリュウ)、宗(ソウ)太医を呼んできて…陛下から薦められたと言えば断れないはずよ」李明は宗太医を呼ぶよう手を回したが、あいにく咸池(カンチ)殿に呼ばれて留守だった。代わりに駆けつけた蒋(ショウ)太医は確かに皇太子の手の震えは酷使したことが原因だと診断する。皇帝は皇太子の孝行心に感激し、噂だけで疑ったことを反省した。すると李明がたった数日で100編も書けたのかと疑う。李治は今日までに88編を書き終えたと答えたが、李明はぜひ見てみたいと頼んだ。その時、すでに準備していた王伏勝(オウフクショウ)が現れ、皇太子の写経を持って来たと報告する。「陛下、是非ともご覧ください」皇子たちは皇帝から勅諭を賜った。李治が寝食も忘れて写経に励み、右手を痛めるほどの孝行は天地を感動させるという。…太子はおごらず、また不屈の精神を持つ…聖賢の気風があり、朕の心を安らかにした…ここに皇太子の孝行を広く天下に知らしめる…皇子たちは太子を模範とし、天下の民も太子を見習うべし李明は皇帝と皇太子の離間を企んだが、奇しくも皇太子を模範にすると頭を下げる羽目になった。曹吾は阿霓を怒らせたと知り、屋敷の前で大声で謝罪していた。「阿霓!今日は君に曹記の衣を見せるつもりだったんだ!胡商大会で優勝したいんだろう?! 君に味方するよ!」気がつけば屋敷の前には人だかりが出きていた。焦った阿霓は仕方なく門を開け、妙な小細工などいらないと怒鳴って追い返してしまう。「あなたに好意はないわ!」琉璃は曹記衣装店の曹吾が阿霓を好きだと知った。しかし阿霓は店の評判を落として妨害するつもりだと憤慨する。その時、琉璃はその手があったと思い付いた。商売人にとって店の評判が大切なように、官人である裴行倹(ハイコウケン)も評判はこけんに関わる。琉璃は裴行倹が盗みを働いたと公にすれば四学門を追い出されるはずだと考えた。一方、媚娘は皇帝の政務に付き添っていた。皇帝の裁定が終わった奏状を片付ける媚娘、その時、ちょうど積み上げられた冊子の上に皇太子の奏状を見つける。そこでわざとぶつかって床に落とすと、皇帝が皇太子の奏状だと気づいて見たいと言った。媚娘の賭けは吉と出るか凶と出るか。すると皇帝は気が進まなかったはずの科挙の改革に前向きになった。「確かに道理にかなう、唐の百年の計と言えよう、太子は学識が深い さすが朕と亡き皇后の息子だ」皇太子は誠実で志があり、自信に満ちている姿は入内した頃の媚娘とよく似ていた。しかし志だけでは理想を実現することはできない。媚娘は皇太子がこのまま埋もれてしまうのが忍びなく、つい肩入れしていた。皇太子の奏上のおかげで皇帝は科挙の旧弊を改めると決めた。裴行倹は唐にとって喜ばしいことだと浮かれていたが、四門学の雰囲気は重苦しい。実は四門学は曹王の勢力圏であり、曹王は科挙の改革に大反対していた。裴行倹は偶然、薛旭(セツキョク)と博士の話を立ち聞きした。「例の物が届きます、四門学で受け取りましょう」「薛助教は耳が早いようだな」「私は曹王派に身を投じたばかりですが、博士のために働く機会をお与えください」「あれは重要な物なのだ、慎重に頼むぞ」「もちろんです!」つづく
2023.03.16
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第35話「玄武門の変」皇太子・李治(リチ)に謀反の罪を着せ、玄武門で捕らえるつもりだった曹(ソウ)王・李明(リメイ)。しかし玄武門で待っていたのは曹王謀反の知らせを聞いて待ち構えていた大臣たちだった。そこへ李治が裴行倹(ハイコウケン)たちと玄武門に到着、曹王たちを包囲する。「曹王・李明よ、許可なく兵を動かし玄武門を占拠した…逆賊は例外なく討つ!捕らえよ!」そうとは知らず、甘露之殿では曹王府から届いた鳥文に呼応し、楊(ヨウ)妃が動き始めていた。李明は裴行倹の裏切りに困惑しながらも、咄嗟に討たれるべきは李治だと言い返した。皇帝もすでに李治の本性に気づき、皇位を自分に譲ると言う聖旨を下したという。「信じられぬなら共に陛下に拝謁を賜ろうではないか!」すると大臣たちも賛同、皇帝に判断を仰ぐと決めた。楊妃は皇帝に毒薬を飲ませるよう総管・潘秦海(ハンシンカイ)に命じた。その時、侍女・丹青(タンセイ)が駆けつけ、曹王が皇太子や大臣たちを連れて向かっていると報告する。藩秦海はその隙に薬湯を置き、結局、皇帝に飲ませることはできなかった。曹王府の地下牢では琉璃(ルリ)たちが蒲巴弩(ホハド)に協力し、隠し部屋を探していた。するとついに密室にとらわれた老人を発見する。蒲巴弩は事情を話して解毒薬が欲しいと頼んだが、老人は解毒する術はないと明かした。「毒を作れと強要されたが、解毒薬は作らせてもらえぬ」もはや生ける屍となった老人は今さら自由になりたいとも思わないという。想定外に曹王が皇太子や大臣たちを連れて甘露之殿に駆けつけた。楊妃は計画を変更、聖旨を持って外に出ると、自ら皇帝の命を告げる。「李治には謀反と弑逆(シイギャク)の意あり、太子の位を廃し、掖庭に生涯幽閉とする… 朕は臨終にあたり国の危機を救わんがため聖旨を下し、印を授け、李明を太子に立し、帝位を譲る」寝耳に水の李治は猛反発、皇帝に謁見すると言ったが、楊妃は皇帝なら崩御したと伝えた。皇帝崩御の知らせにその場は騒然となった。楊妃は筋書き通り李治が前総管の高全(コウゼン)に毒を盛らせ皇帝暗殺を企てたと訴え、大臣たちに動揺が広がる。しかし褚遂良(チョスイリョウ)と長孫無忌(チョウソンムキ)は顧命大臣に任命された自分たちが皇帝から何も聞いていないと怪しんだ。何よりまず聖旨の真偽を調査すべきだという。楊妃は総管が証人だと訴えたが、藩秦海は恐ろしさのあまりその場にひざまずき、黄泉の国でも皇帝に仕えたいと涙ながらに訴えることしかできなかった。その頃、地下牢では琉璃が老人に助けを請うていた。すると老人は琉璃が母である安(アン)大家の敵を討つため、こんな目に遭ったと知る。「安氏の娘?…なんと、実は年こそ離れているが、安大家は親しい友人だった」実は老人はかつて宮中一の薬師で、安大家とは共に宮中暮らしに嫌気が差し、皇宮を出て普通の暮らしをしたいと願う同志だった。安大家が去ったあと老人も職を辞したが、皇宮を出た途端に曹王に捕まり、それ以来、地下牢で毒を作らされていたという。そのうちすっかり目が見なくなり、命じられるまま毒を作ってきたのだ。「あなたが薬王だったのか?!私は不禄(フロク)院の孫徳成(ソントクセイ)だ」「孫内侍?!覚えているとも!」しかし今は旧情を温める時間はない。琉璃は一緒にここを出て皇帝の前で悪事を暴こうと説得した。「陛下?!…確か曹王は陛下を暗殺するための毒を私に作らせた、今日がその日だ」甘露之殿の前で楊妃と皇太子たちは一触即発の様相となった。藩秦海は怯えて証言などできず、大臣たちも皇太子が謀反を企むなど考えられないとかばう。その時、思いがけず豆子(トウシ)が現れた。「陛下の崩御は嘘です…陛下の御前に行けば誰が謀反を企んだのか分かります」焦った楊妃はでたらめを言った豆子を打ち殺せと命じたが、李治が止める。「楊妃、公然と悪事の口封じをする気か?」すると李治は立ちふさがる衛兵を一喝し、殿内に入った。皇帝・李世民(リセイミン)は寝殿で安らかに眠っていた。やはり李治や大臣の呼びかけに反応がなく、崩御は事実らしい。楊妃は勝ち誇った様子で皇太子たちの嘆く姿を見ていた。それもそのはず、楊妃は怖気付いて薬湯を飲ませることができない藩秦海に業を煮やし、自ら皇帝に毒を飲ませていた。すると李明が皇帝崩御を皇宮に告げ、弔いの準備をするよう命じる。その時、豆子が医官として脈診したいと申し出た。…薬王は曹王から皇帝暗殺のための毒を作るよう強要されていたしかし医者として人を殺めることなどできず、曹王には眠り薬を渡したというただどちらにしても皇帝の寿命はわずか、いつ崩御してもおかしくなかった薬王はこれから参内しても、運悪く陛下が崩じていたら命がないと警告する『それでも行かなくては、太子を見捨てることはできません!』…李明は豆子の申し出を退けた。しかし李治が豆子をそばに呼んで皇帝の脈を見るよう頼む。「…はっ!陛下にはまだ脈があります!」その時、あまりの騒々しさに皇帝が目を覚ました。楊妃は思わず偽の聖旨を床に落とし、へたり込むようにその場で平伏する。すると長孫無忌が楊妃と曹王の暴挙を報告、驚いた皇帝は重い身体を何とか起こした。「…偽の聖旨で治児の廃太子をもくろみ、朕の崩御を宣言したと? このあとはどうする?朕を絞め殺すか?毒殺するのか?!」「陛下、お静まりヲヲヲヲヲ~無知とあまりの悲しみゆえに崩御されたと思い込みました 聖旨は大臣たちが太子の逆心と不孝を信じようとせず、それでやむを得ず… 私が代わりに反徒を罰しようとしただけなのです!」楊妃は皇太子の逆心の証しがあると訴え、外套の下には龍袍を着ていると告発した。そこで李治は皇帝の前で堂々と外套を脱いでみせる。息をのんで見守る琉璃、しかし李治がまとっていたのは確かに四爪蠎袍(シソウボウホウ)だった。…琉璃の別れの言葉の意味を悟った裴行倹は書き付けを改めて確認したおかしなところはなかったが、ろうそくで透かして見ると″計あり″と浮かび上がる東宮へ報告に向かったところ、豆子が届けた四爪蠎袍があった確かに″豆″の刺繍が入っていたが、裴行倹はこれまでの刺繍と違うことに気づき、しかも点が1つ多いと分かる『はっ!蟒(ウワバミ)の爪が5本になっています!』…李治は豆子の機転と裴行倹の知恵に助けられ、危機を乗り越えた。もはや申し開きできなくなった楊妃、その頃、密かに抜け出した李明は宮外に合図を送ろうとしたが、裴行倹に捕まってしまう。陽妃は全て自分が考えたと嘘をつき、李明をかばった。「重病に侵され、もう長くありません…ゲホッゲホッ! 私が死ねば誰が明児の命を守るのでしょうか?どうか息子の命だけはお助けください…」皇帝は最も恐れていたことが起こったと肩を落とした。そこで調査を皇太子に任せ、楊妃と曹王を別々に幽閉するよう命じる。しかし皇家の醜聞が世に漏れ聞こえれば威厳に関わるとし、かん口令を敷いた。李治は豆子を連れて甘露之殿を出た。外では孫徳成と順子が待っていたが、豆子が急に卒倒してしまう。驚いた李治は恩人である豆子を東宮へ引き取り、太医を呼んだ。しかしそこで思わぬ事実が発覚する。「殿下、豆子は女子なので?…重病となると性別を確認せず治療するわけにまいりません」そこへ後始末を終えた裴行倹が現れた。裴行倹は豆子が女子だと明かし、ひとまず治療を頼んだ。驚いた李治は裴行倹を中庭に連れ出し、ようやく琉璃の素性を知る。「どうか琉璃をお許しください」しかし李治は豆子が女子と聞いて嬉しいと笑った。「誰が咎めたりするものか、阿母の敵討ちと冤罪を晴らせるよう手を貸そう …2人にそれぞれ頼みがある」李治はうなされている琉璃に付き添った。「陛下は生きてる…陛下は生きてる…太子の謀反は陰謀なの…」「琉璃、私も陛下も無事だ」すると李治は琉璃のかんざしを抜いて黒髪をほどき、美しい寝顔にそっと触れた。「お前が女子だと気づかぬとは…早く気づくべきだった、こんな美しい男がいるはずないのに」つづく( ゚ェ゚)…で、刺繍ネタは?尚服局はどうなった?どうでもいいのか?w
2023.08.10
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第36話「最後の賭け」皇太子・李治(リチ)は医官の豆子(トウシ)が実は安(アン)大家の娘・庫狄琉璃(コテキルリ)だと知った。これまで内侍の豆子に惹かれる気持ちに戸惑っていたが、女子だと分かり喜びを隠しきれない。しかし中毒を起こしていた琉璃は無理な断薬が祟って昏睡状態となり、太医令の蒋(ショウ)太医でも解毒は不可能だった。裴行倹(ハイコウケン)は曹(ソウ)王府から助け出された薬王を皇太子に紹介した。薬王はこれまでの罪滅ぼしに琉璃の解毒薬を作ると約束したが、そのためには書物でしか見たことがない希少な薬草・絶壁雷公藤(ゼッペキライコウトウ)が必要だという。この薬草はその名の通り人が到達できるとは思えない断崖絶壁に生えていた。裴行倹は迷わず自分が取りに行くと申し出たが、李治はあまりに危険な任務のため即断できない。その時、王伏勝(オウフクショウ)が駆けつけた。実は断薬していた蒲巴弩(ホハド)が亡くなったという。「殿下、薬草を探しに行く許可を!」「守約(シュヤク)、そなたに琉璃の命を託そう」琉璃は薬王の薬のおかげで病状が安定した。その夜、裴行倹は出発前に琉璃の顔を見に来たが、偶然にも琉璃が目を覚ます。「琉璃、安心しろ、絶壁雷公藤という薬草があれば解毒できるそうだ」琉璃は険しい道だと察し、自分のために危険を冒さないで欲しいと訴えた。楊(ヨウ)妃と曹(ソウ)王が失脚した今、皇太子が後ろ盾となり母の冤罪を晴らしてくれるはずだという。「もう思い残すことはない…裴行倹、ありがとう、理解し合える人と出会えて幸せだったわ」しかし裴行倹はこれからも琉璃と一緒にいたいと願い、必ず薬草を見つけて戻ると誓った。そこで肌身離さず持っていた玉を琉璃の首にかけ、曹王から取り戻した香袋を返す。琉璃は母の形見を愛おしそうにながめたが、幸運のお守り代わりだった香袋を裴行倹に贈った。「…琉璃、待っていてくれ」すると裴行倹は香袋を大事そうに懐にしまい、琉璃に口づけした。尚服局に皇太子の御言(ミコト)が下った。実は豆子の正体は貞観(ジョウガン)11年に自害した安(アン)氏の娘・琉璃だという。琉璃は非業の死を遂げた母の霊を慰めるため身分を隠し、10年の歳月をかけて真相を明らかにしていた。こうして当時、安氏に謀反の罪をなすりつけた卓錦娘(タクキンジョウ)と林(リン)尚服は掖庭に収監、尚服局は当面、鄧七娘(トウシチジョウ)に管理させるという。一方、如意衣装店にも思わぬ知らせが舞い込んだ。「大変です、太子が安氏の謀反について大理寺に再審を命じたそうです!」小檀(ショウダン)の知らせを聞いた安四郎(アンシロウ)と阿霓(アゲイ)はついに琉璃が敵を討ったと喜んだが、話には続きがあった。「琉璃は生きていたのですね!ただ… 琉璃は重傷を負って昏睡状態のため、正式な判決は回復を待ってからだとか」確かに元気なら自分から報告に来るはず、安四郎と阿霓は琉璃の身を案じた。肺病を患っていた楊妃が亡くなった。皇帝も病が悪化の一途を辿り、今のうち李明(リメイ)の処分をどうするつもりか皇太子に確認する。李治は判断を決めかねていたが、兄弟の情をかんがみ、14弟に機会を与えると答えた。「分を守って生きるなら命は助けましょう」「やはり治児には人徳がある…朕の目は確かだった しかし再び二心を抱いた時は大唐のために容赦なく手を下すのだ」琉璃は少し目覚めては昏睡を繰り返していた。薬王の話では毒が心臓まで達しているため、例の毒薬を飲めば数日の延命が可能だという。王伏勝は皇太子の判断を仰いだ。「最後の賭けだな…毒の回りと守約の帰り、どちらが早いか」孫徳成(ソントクセイ)と順子(ジュンシ)は琉璃を不禄院で静養させることにした。そこで東宮を訪ねたが、移動どころか顔を見ることも許されないという。実は皇太子は琉璃を後宮に移し、妃嬪の待遇で養生させていた。後宮には宮女と太医以外が入ることしかできず、当然、孫徳成たちは近寄ることもままならない。仕方なく孫徳成と順子は引き返したが、皇太子が琉璃を妃嬪に迎えるつもりだと気づき、裴行倹を想う琉璃の気持ちを考えるとやり切れなかった。皇太子はわずかな暇を見つけては琉璃を見舞った。しかし琉璃は半分が胡人で父親も官職がなく、妃嬪としてそばに置くのは難しい。李治はまず父親の庫狄延忠(コテキエンチュウ)に手を回すことにしたが、その時、琉璃がうなされながら裴行倹の名を呼んでしまう。聞けば裴行倹は薬草を採りに向かう前、琉璃に会いに来ていた。驚いた李治は琉璃が首飾りをつけていることに気づき、そっと紐を引っ張り出してみる。すると見覚えのある玉がぶら下がっていた。これは確か裴行倹の腰牌…。李治は琉璃と裴行倹の関係に気づき、思わず玉を奪い取ってしまう。慌てた王伏勝は裴行倹には想い人がいるはずだと安心させた。実は以前の腕比べて負傷した時、うわごとで何度も″玉児(ギョクジ)″という名前を口にしていたという。李治は琉璃が街にいる間、女子の姿だったのか、どんな名前を使っていたのか調べるよう命じたが、やはり真実を知るのが怖くなってやめた。その頃、裴行倹は激しい雨の中、岩山の絶壁を登っていた。すでに手は血だらけ、時には足を滑らせ落下しそうになりながら、琉璃のために必死に薬草を探す。やがてついに裴行倹は絶壁雷公藤を発見、手に入れた。翌朝、李治はいつものように皇帝の見舞いに訪れた。そこへちょうど総管・藩秦海(ハンシンカイ)が太医を連れて朝の脈診にやってくる。李治は上掛けから父の手を出したが、皇帝の手はやけに冷たくなっていた。つづく( ゚ェ゚)分かりやすい薬草の名前w
2023.08.14
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse最終話「終わらない伝説」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が誘拐された。やきもきしながら一報を待つ旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)、すると捜索していた陳哨子(チンショウシ)が戻って来る。陳哨子は昶(チョウ)王府で監禁されている淑容妃を発見していた。しかし中には大勢の反乱軍がおり、淑容妃が身重のため下手に動けなかったという。「淑容妃は無事です、首謀者は索蘭(サクラン)王子でした」褚仲旭は自ら緹蘭を救出に向かうと決めた。陳哨子と穆徳慶(ボクトクケイ)は皇宮で待つよう諌めたが、褚仲旭は2度と妻を失えないという。そこで皇宮の指揮を陳哨子に任せ、意表をついて裏門から20人の精鋭だけ連れて出ることにした。褚仲旭はこれまで尽くしてくれた穆徳慶に別れを告げ、万一の時は財宝を持って故郷へ戻れという。しかし穆徳慶は最後まで皇帝に仕える覚悟だった。「陛下…私は長年、陛下のおそばで過ごし、故郷などとうに忘れてしまいました 帰る場所などありません」緹蘭の侍女・碧紫(ヘキシ)は注輦(チュウレン)王に命じられ、公主の情報を密かに送っていた。実は宮女が落とした薬に毒を入れたも碧紫だという。あの時、皇帝が懐妊した淑容妃を守るため愈安(ユアン)宮を禁足とした。注輦に知らせを送れなくなった碧紫は気が急き、毒騒ぎを起こせば皇帝が公主を移動させると考えたという。「信じられないかもしれませんが何もかも公主のためです! 公主を大徴(ダイチョウ)で最も尊い女性にすると言われて…それで王子に手を貸したのです まさか謀反のために公主を利用するなんて…」緹蘭は浅はかな碧紫に激高したが、今は逃げ道を探すことが先決だった。「…碧紫、まだ私の命に従う気はある?」碧紫は見張り番に公主が苦しんでいると訴えた。驚いた兵士が中へ入ると、碧紫が後ろから殴りつけて倒すことに成功する。しかし物音に気づいたもう1人の兵士が駆けつけた。緹蘭と碧紫は呆然、すると兵士は突然、矢に射られて死んでしまう。その時、驚いたことに褚仲旭が自ら緹蘭を助けにやって来た。「びーしゃあ?!」褚仲旭は緹蘭を馬車に乗せて皇宮へ急いだ。しかし反乱軍を率いた施霖(シリン)が現れ、道をふさぐ。実は施霖は注輦の人間、今日のためにこれまで屈辱に耐え忍んできたという。「旭帝よ、もう逃げられぬぞ…殺(シャー)っ!」褚仲旭はわずかな精鋭たちと反乱軍に応戦した。その時、白い影が飛び込んで来たかと思うと、敵を蹴散らして褚仲旭の隣に方鑑明(ホウカンメイ)が立つ。生きてたのかーい!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<ザワザワ…死んだはずの清海公(セイカイコウ)の姿にその場は騒然となった。すると馬車の中から緹蘭の悲鳴が聞こえる。「お急ぎください、ここは私が」方鑑明は施霖たちを引き受け、褚仲旭を先に逃した。↓\\\\٩( ‘ω’ )و ////バーン!褚仲旭は産気づいた緹蘭を民家に避難させた。しかし安心したのも束の間、索蘭率いる注輦軍が追いついてしまう。覚悟を決めた褚仲旭は穆徳慶と碧紫に緹蘭を任せ、戦いの渦へ飛び込んだ。わずかな精鋭たちが全滅、褚仲旭は孤軍奮闘した。やがて日も暮れる頃、民家から元気な産声が聞こえる。緹蘭は産後の身体を引きずりながら何とか外へ出たが、そこには致命傷を負って血まみれとなった褚仲旭がいた。驚いた緹蘭は褚仲旭に抱きつくと、褚仲旭は碧紫の腕に抱かれた元気そうな男の子に気づく。「…我らに…そっくりだ…」その時、索蘭はこの機に姉と子を奪えと命じた。褚仲旭は緹蘭を守ろうとしたが、緹蘭が身を挺してかばい、褚仲旭の代わりに刺されてしまう。「緹蘭?…緹蘭!!うわあぁぁぁぁーっ?!」その時、白い影が現れ、一瞬の隙に索蘭の首をかっ切った。方鑑明は一刻も早く褚仲旭を皇宮へ連れ帰ろうとした。しかし褚仲旭は絶命した緹蘭を離そうとしない。「緹蘭が言った…朕のいない世を生きるつもりはないと… もう疲れた…このまま何もしたくない…」すると褚仲旭は大徴の民と息子を方鑑明に託し、愛する緹蘭と一緒に旅立った。城門を死守していた張承謙(チョウショウケン)だったが、いよいよ限界に近づいていた。その時、夜空に照明弾が上がる。反乱軍を指揮していた湯乾自(トウカンジ)は後ろを振り返り、先頭を駆けてくる方海市(ホウハイシー)の姿に気づいて驚愕した。援軍の到着に気づいた張承謙は開門を指示、突撃を命じて援軍と合流する。海市たちは城外で反乱軍と交戦し、湯乾自を生捕りにして決着した。すると任勇(ジンユウ)が駆けつけ、城内の状況を報告する。「索蘭が死にました!しかし…淑容妃も争いの中でお亡くなりに…」海市は任勇から龍尾神の護符を受け取り、湯乾自を激しく責めた。「お前は索蘭と手を組み、緹蘭を死に追いやって天啓の民を不安にさせた!」その時、愛する緹蘭の死に絶望した湯乾自は兵士の長槍を握って自ら身体を突き刺し、自害した。緹蘭の子供は早産のせいか生まれつき身体が弱く、李(リ)侍医は長くは生きられないと診断した。一方、海市はようやく皇宮に駆けつけ、城門で待っていた穆徳慶から旭帝の崩御を知る。「陛下は淑容妃と旅立たれました、混乱と動揺を招かぬよう清海公がまだ内密にせよと… しかも清海公は皇子のため、再び柏奚(ハクケイ)の契りを結ばれたのです」海市は無我夢中で昭明宮に向かった。すると憔悴した方鑑明が寝台に寄りかかって座っている。「来てくれたのか…」海市は鑑明の隣に腰を下ろしたが、何も言えずにいた。「越(エツ)州には戻れない…皇子がお生まれになった…朝廷が不安定な今、正当な補佐が必要になる」「…斛珠(コクジュ)夫人として私が支えるわ」「優しいのだな」鑑明はしみじみ海市にもっと早く会いたかったと漏らした。「私が若い頃に出会えていたら…良かったのに…」「ある書物で読んだわ、この世界には並行する別の世界が存在していると… 別の世界では私たちは同じくらいの年でもっと早くに出会っているかもしれないわ」…別の世界にいる海市と鑑明は宮中で行われた投壺(トウコ)の試合で初めて出会った海市の投げた矢が鑑明の頭を直撃、負けず嫌いの2人は言い争いになってしまう初めこそ鑑明は海市に意地悪だったが、やがて互いを意識するようになり、年頃になると2人は婚姻を約束した…「そして私は何人か子供を産むの、2人で子供を育てゆっくり年老いて行く」「卓英(タクエイ)を忘れているぞ?」「忘れていないわ、この世界では私が年上だから…卓英には師娘(シジョウ)と呼ばせる」鑑明は出会いが遅くなったことを謝り、まだやり残したことがたくさんあると言った。しかし自分でもこれからどうなってしまうのか分からないという。「…海市、少し疲れた、眠らせてくれ」鑑明は横になり、愛する海市の膝枕で眠ることにした。「必ず起こしてくれ…長く眠らないように…」天享(テンキョウ)16年、大徴の順武(ジュンブ)帝が崩御、元号は景恒(ケイコウ)と改められた。忘れ形見となった皇子・惟允(イイン)は淳容(ジュンヨウ)妃を皇太后と呼んで敬っている。やがて順武皇帝は陵墓に葬られ、宗廟の前で大徴高祖の名が贈られた。一方、鵠庫(コクコ)では右王の額爾済(ガクジセイ)が病で逝去した。後継者の奪罕(ダツカン)は他部の帰順を受け入れ瀚(カン)州を統一、自ら渤拉哈汗(ボツラコウハン)と名乗る。″渤拉哈″とは黒いたてがみ″烏鬃(ウソウ)″を意味していた。奪還は早速、大徴と同盟を結びたいと書簡を届け、摂政である皇太后宛に直筆の文を送る。「そうだ、哥哥からひとつ知らせがある」実は方卓英はついに鞠柘榴(キクシャリュウ)と再会を果たしていた。それから5年が経った。惟允は母后がかつて龍尾神を天啓に呼んだと師匠から聞いたが、鮫が怖くなかったかと尋ねる。「鮫人のいるところには鮫が出没するとか、鮫は怒ると船まで噛んで壊すそうですね」「鮫は怖いわ、でも守りたい人がいたから仕方がなかったの」海市は惟允にも困難や危険に立ち向かい、自分の信念に従って民を守って欲しいという。すると惟允は師匠と同じ言葉だと笑った。「今から老師に会いに行きます、母后も一緒に行きましょう!」「老師はお身体の具合が悪い、独りで行きなさい」「以前より回復されました…母后が行けば老師も喜びますよ?」「そうね」その頃、昭明宮では仮面をつけた老師が満開の霽風の花をながめていた。完( ̄▽ ̄;)意地でも海市と師父を一緒にしないという執念だけは伝わったw何だかんだ言いながらも、いざ終わってみると寂しい〜(´・ω・)
2022.12.16
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第11話「忍び寄る謀反の影」胡(コ)商大会の当日、作品を紛失した如意衣装店は棄権を余儀なくされた。落胆する玉児(ギョクジ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)、しかし思いがけず裴行倹(ハイコウケン)が駆けつける。「衣ならここにある!」その頃、壇上では曹(ソウ)記衣装店の作品が宮廷の風格を漂わせる衣だと好評を博していた。これで優勝は間違いないと確信する曹氏と珊瑚(サンゴ)だったが、棄権したと思っていた如意衣装店が壇上に現れる。琉璃は歓声に迎えられた阿霓(アゲイ)を見守りながら、衣を取り戻してくれた裴行倹に感謝を伝えた。その美しい笑顔に裴行倹は思わず見惚れてしまったが、慌てて自制心を取り戻す。「いいか?私たちはまだ敵同士だからな」「分かってる、取られた物は必ず取り戻す、今日は利子を返してもらっただけよ」琉璃と裴行倹は会場に出て如意衣装店と曹記衣装店の一騎打ちを見守った。すると珊瑚が曹記の宮廷風に比べると如意の衣は俗っぽいと指摘する。驚いた琉璃は咄嗟に壇上へ駆け上がり、曹記の衣装は物静かな漢人の女子には似合うが、如意の衣は活発で踊りが好きな胡人の女子のために考えたと説明した。「この衣は胡人が来てこそ真価が分かるというもの… 私は唐で生まれ育ったけれど胡人の血を引いています 今日は自らこの衣を着て皆さんに披露しましょう」琉璃の舞いは商人たちを魅了、一等を獲得した。壇上にいた琉璃は立ち去って行く裴行倹の姿を見つけ、なぜか不思議と寂しさを感じてしまう。しかし控え室に戻ってみると、机の上に裴行倹にねだったしんこ細工の人形が置いてあった。その夜、阿霓は優勝の喜びに浸っていたが、琉璃はなぜか冴えない様子だった。「私、裴行倹のことを誤解していたのかしら…」「確かに悪い人には思えないわね」実は琉璃は裴行倹に濡れ衣を着せてしまったのではないかと不安になっていた。…そう言えば阿翁と順子(ジュンシ)は無事かしら…掖庭(エキテイ)では卓錦娘(タクキンジョウ)が手を回し、順子の拷問が続いていた。水も飲めず意識が朦朧としてきた順子、そこへ頃合いを見計らっていた卓錦娘が現れる。「師父はお前と縁を切ったと聞いたわ、見捨てたのね…」卓錦娘は嘘をついて水をちらつかせながら豆子(トウシ)の居場所を白状するよう迫った。すると順子は水欲しさについに豆子が皇宮を出たと白状してしまう。しかし居場所はもちろん、他には何も知らなかった。「幼なじみでしょう?親が誰か、なぜ衣が作れるのか知っているはずよ?!」「知りません、確かに衣は作れるけれど師父はいない…ぁ、前に言っていました ある妃嬪の副葬品の中に裁縫の奥義書があり、読んでから焼き捨てたと…」薛旭(セツキョク)はその夜、密かに荷物を曹(ソウ)王府に届けた。四門学を見張っていた裴行倹と莫坤(バクコン)は荷物を追跡、王府の屋根に登って殿内の様子を探る。すると曹王が開けた荷物の中から甲冑(カッチュウ)が出て来た。甲冑の闇取引は謀反も同罪だった。莫坤の話ではまだ濮(ボク)州から巻紙が届くという。しかし裴行倹は自分たちが訴え出たところで権力者に揉み消されるのがおちだと分かっていた。皇帝に伝えるためには信頼できる人物を通さねばならない。「…太子だ」裴行倹は莫坤に濮州の動向を探るよう頼み、皇太子との接触は自分に任せて欲しいと言った。卓錦娘は内侍院に頼んで豆子に追っ手を差し向けることにした。それにしてもなぜ皇宮を逃げ出すほど尚服局へ来るのが嫌なのか。卓錦娘は何か裏があると疑い、孫徳成(ソントクセイ)なら豆子の居場所を知っていると考えた。安四郎(アンシロウ)は大会で優勝した衣装を展示、如意衣装店は大盛況となった。すると庫狄五娘(コテキゴジョウ)が現れ、自分も評判の絵師に衣を注文したいという。安四郎は玉児ならすでに店を辞めたと嘘をついてごまかしたが、五娘はその帰り、曹氏に捕まった。曹氏は縁談の一件で機嫌を損ねてしまった義妹を何とかなだめようと必死だった。しかし五娘は曹氏が″天下第一針″を名乗のりながら阿霓に負けたと揶揄する。「ふん、一介の奴婢に何ができるというの?あの娘のせいよ!」「あの娘?…あの絵師のことね?!」うっかり口を滑らせた曹氏は動揺し、急に話を切り上げ、店に戻ってしまう。その時、ちょうど通りかかった娘たちが絵師の噂話をするのが聞こえた。「…絵師のおかげで勝てたそうね」「知ってるわ、安宅で阿霓と一緒に住んでいる人でしょう? 胡人だからてっきり安家の親族かと思ったわ」五娘は安四郎と曹氏がなぜ絵師を隠すのか訝しみ、まさか琉璃ではないかと疑った。一方、裴行倹は皇太子に上奏しようと皇宮へ向かった。しかしやはり腰牌がなければ検問を通れず、かと言って簡単に手に入るものでもない。裴行倹はあきらめて帰ることにしたが、その時、手配書を見て驚いた。「彼は…玉児の従兄か?」安宅に五娘が訪ねてきた。阿霓は琉璃に隠れるよう伝えてから門を開けたが、五娘は強引に入ってしまう。すると屋敷から声が聞こえた。「構わぬ、どうぞ部屋の中へ」しかし中にいたのは医官の衣に着替えた琉璃だった。男装した琉璃は如意衣装店の評判を聞いて宮中から仕入れに来たと説明した。阿霓も咄嗟に話を合わせ、店では人が多く、曹記の目もあるため屋敷まで来てもらったという。「夫人から曹記に伝わるのも心配で、店の秘密を隠さずにはいられなかったのです」驚いた五娘は無礼を謝罪、こうして琉璃は堂々と安宅を出て行った。琉璃は時間をつぶすため西市に出かけた。そこへ偶然にも皇宮から引き返した裴行倹が通りかかる。裴行倹は豆医官だと気づいて呼び止めたが、驚いた琉璃は逃げ出した。しかし馬の後ろに隠れていたところで捕まってしまう。裴行倹は豆医官を連れて酒楼の個室に入った。「お前は従妹の絵師にそっくりだな?」どうやら裴行倹は豆医官が玉児だと気づいていないらしい。すると裴行倹は豆医官の包みを拾って玉児に返したが、玉児は自分が中身をすり替えたと疑っていると訴えた。「開いてすらいないのに…財物を返せと責め立てる どうやらお前たち、共謀して銭を巻き上げようとしたな?!」驚いた琉璃は誤解だと訴えた。従妹に会うため棺に隠れて皇宮を出たが、門を出た所で棺がひっくり返り、慌てて逃げたので包みを忘れてしまったという。包みの中は確かに自分の全財産が入っていたはず、玉児が書き置きを見て四門学へ行ってくれたが、中身がすり替えられていた。「だが落とし主から逃げないばかりか逆に追い回すとは…確かに盗んだとは思えないな」琉璃はもし誤解だったなら訴状を取り下げると伝え、帰ることにした。しかし裴行倹は訴状を撤回するより、誣告(ブコク)の償いとして腰牌を貸して欲しいという。つづく( ゚ェ゚)あれ?裴行倹は棺から逃げて行く医官を見たと思っていたけど違うんだw
2023.03.21
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第14話「刺繍に隠された文字」掖庭(エキテイ)に捕らわれた医官の豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)。記憶を頼りに図案を書き出すという約束でようやく食事にありつけたが、ふと裴行倹(ハイコウケン)との約束を思い出して慌て出した。このままでは皇太子に身の危険を伝える手立てがない。一方、後宮では武媚娘(ブメイニャン)が皇帝の見舞いにも行かず写経に勤しんでいた。それにしてもたった二時(フタトキ)の写経で腰が痛むとは、皇太子はさぞ疲れているのだろう。武媚娘はふと思い立って筆を走らせ、尚服局に腰当ての図案を届けるよう命じた。「そうだわ、やはりこの図案は不禄(フロク)院に届けて、豆子に作らせてちょうだい」しかし侍女・松涛(ショウトウ)の話では豆医官はその腕を見込まれて尚服局へ移動したという。松涛は図案を届ける道すがら、偶然、尚服局の鄧七娘(トウシチジョウ)を見かけた。そこで七娘に図案を託して豆子を指名したが、豆子は今、掖庭に入っているという。松涛は仕方なく誰が作るか任せると言って帰ったが、七娘はこの機会に豆子を助けようと思いついた。しかし卓錦娘(タクキンジョウ)は武才人の指名だと聞いても、豆子が自分に従わない限り掖庭から出られないという。琉璃は卓錦娘に急かされ、図案を書き出した帳面を渡した。喜んだ卓錦娘だったが、よく見てみると、どの題材も死装束に使う図案だと気づく。「豆子、どうしてくれようか…」その時、庭園で宦官が今が盛りの牡丹を刈り取っているのを見た。聞けば潘(ハン)副総管の指示だという。実は楊妃(ヨウヒ)の宮殿に最も美しい牡丹を植えるよう指示したが、後に庭園で咲いた牡丹の方が見事だった。植え替えるには時期が悪く、潘副総管はやむを得ず庭園の牡丹を掘り起こすことにしたという。「そうすれば錦楽(キンガク)宮の牡丹が最高になり、楊妃娘娘の不興も買いません」その話を聞いた卓錦娘は急に機嫌が良くなった。…豆子がいなくなれば私が宮中一の腕を持つ存在でいられる…七娘はこっそり掖庭の豆子を訪ねた。琉璃は卓大家の側近を警戒したが、七娘は親戚の友人である裴行倹と阿霓(アゲイ)に頼まれたと明かす。驚いた琉璃は2人に危険を冒さないよう言付けを託し、それより皇太子を呼んできて欲しいと頼んだ。七娘はさすがに皇太子への伝言など無理だと断ったが、ふと才人から引き受けた仕事があったと思い出す。「才人にあなたの事情を伝えれば助けてくれるかも?」しかし琉璃は恩人である武媚娘を巻き込むことを恐れ、断った。「分かったわ、何とか仕事を引き受けてここに持って来る」「ありがとう」「曹吾の友人の頼みだから、これで曹吾にも顔向できるわ」卓錦娘は自ら武才人の腰当てを作り始めた。そこで七娘は大家が夜なべしてまで作ることはないと訴え、自分が代わると申し出る。「私が直接、才人にお届けし、その際に忙しい師父が寝ずに作ったと報告します」喜んだ卓錦娘はそこで切り上げ、続きを七娘に任せて休んだ。琉璃は七娘から腰当ての材料を受け取った。しかし胸当ての鳩の刺繍を見て、あの時、母が直すことになった褘衣(キイ)の刺繍と同じだと気づく。…阿娘に刺繍を直させたのは卓錦娘だったのね、そのせいで阿娘は死んだ…翌朝、七娘は豆子が仕上げた刺繍を受け取り、そのまま咸池(カンチ)殿に届けた。武媚娘は出来栄えに満足し、豆子の代わりに誰が作ってくれたのか尋ねる。すると七娘はひざまずき、豆子が恩返ししたいと訴えたため、掖庭で作らせたと明かした。驚いた武媚娘は改めて刺繍を確認すると、鳩がとまっている木の模様が文字になっていると気づく。…太子に難あり…武媚娘は慌てて掖庭に豆子を訪ねた。「あれはどういう意味なの?」「宮外で裴行倹と知り合い、太子の危機を知りました 裴行倹の身分では宮中に上がれず、私が医官だと知ると僅かな可能性に賭け、伝言を託したのです でも私は捕まってしまい…」「すぐ太子に会うわ」皇太子・李治(リチ)は武家と裴家に交遊があり、武才人が裴行倹と幼馴染だと知った。武媚娘は裴行倹の人柄を良く知っていると訴え、信じられない話だが、全く根拠がないとは思えないという。一方、卓錦娘は潘副総管に賂を届け、豆子に死罪を申し渡すよう頼んでいた。しかし潘副総管は流石に命までは取れないと銭を返し、どうしても手を下すなら目をつぶるという。「ただし証拠は残さないでくれ」すると卓錦娘は結局、口止めに賂を渡し、魏林(ギリン)を使うことにした。居眠りしていた琉璃は裴行倹の夢を見た…『玉児!玉児!私だ!』裴行倹は皇太子に伝言が届き、面会を許してもらえたという琉璃は上手くいったと喜んだが、裴行倹は浮かない顔をした実は獄卒から今日の午時に豆子が死罪だと聞いたという『阿翁も順子も救えた、太子に危機を伝えることもができた 戻ったかいはあったわ、これで死んでも琉璃に悔いはない…』琉璃はうっかり口を滑らせた驚いた裴行倹だったが、そこへ獄卒が来て連れて行かれてしまう『君は誰なんだ!秘密を抱えたまま逝く気なのか?!本当に悔いはないのか?』…そこで琉璃は目を覚ました。「そうよ、このまま死ぬわけにいかない」琉璃は母の敵を討ち、無実の罪を晴らすと誓った。そしていつか全てを白日の下に晒し、自分こそ″天下第一針″の真の後継者だと知らしめるのだ。玉児を救出できずに悶々としていた裴行倹、すると裴宅に突然、華天(カテン)が訪ねてきた。「主がお話があるそうで、まもなくこちらに…」裴行倹は酒や詩作に付き合う気分ではないと断ったが、そこへ白馬にまたがった男が侍衛を引き連れて駆けつける。「久しぶりだな、火急の事態を伝えたのはお前の方だが?」「九公子、酒も飲まぬうちから酔っているのか?」「無礼な!学生ふぜいが太子殿下の御前で何と偉そうに…」従者に叱られた裴行倹はようやく酔香楼で知り合った九ちゃんの正体が皇太子だと知った。裴行倹は曹(ソウ)王・李明(リメイ)が密かに甲冑を入手していると密告した。実はこれまで権力におもねる者を軽蔑してきたが、こうして国家の危機に際し、主君の役に立ちたいと切望しながらも、この身分のため拝謁の術もなかったと嘆く。「″真に才ある者は隠居せず″という」李治は俗世を離れれば身を清く保てるが、正義を貫いてこそ真の男だと言った。「今回の手柄に褒美を取らす」すると裴行倹はその場で平伏し、豆医官を掖庭より救って欲しいと嘆願した。「手柄を立てたのは私ではなく豆医官なのです、私は何も頂けません」李治は豆子が武才人に伝言を託した医官だと気づいた。「武才人でしたか…豆子は一介の医官でありながら大義の前には死も恐れない その気概には頭が下がります 嘘がつけないお人好しで、優れた裁縫の腕を持っています 宮中に馴染めず逃げ出そうとしたのですが、私と出会って太子殿下の危機を知り、自首したのです まさか本当にやり遂げるとは…」「分かった、必ず助けよう」つづく( ゚ェ゚)松涛の方がメイニャンっぽいのにね~
2023.06.21
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第16話「皇太子の賭け」阿碧(アヘキ)と刺繍の腕前を競うことになった豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)。この勝負に何としてでも勝って尚服局に残り、母の敵を討つ術を見つけなくてはならない。繍女たちの注目が集まる中、2人は日暮れまでに課題を完成させ、いよいよ作品を披露することになった。尚服局2番手の阿碧は短時間ながら見事な薔薇の刺繍を完成させた。卓錦娘(タクキンジョウ)もその腕前を褒めたが、豆子の刺繍が阿碧をしのぐ。豆子の薔薇は本物と見まごうほど美しく刺繍され、その構図も見事だった。「お題は″花の王″、それに妃嬪の枕覆いに使われるという点も考慮しました 中央の花を他より美しく全面に配したのは、ひと目で花の王だと分かるからです また後宮で抜きん出るという夢を花で表現しています」豆子は見事に勝負に勝ち、一番前の席を与えられた。そのせいで阿碧たちは1つずつ席を下がることになり、恨みを買ってしまう。琉璃は鄧七娘(トウシチジョウ)と再会、何かの時は必ず恩返しすると約束した。しかし七娘は師匠に知られたら困ると焦り、繍女たちを敵に回してしまった豆子を遠ざける。そんなある日、卓錦娘は内侍院の銀糸が細すぎるため、誰かに買い出しを頼むことにした。滅多に皇宮を出られない繡女たちは全員が手を挙げたが、卓錦娘は目利きの豆子を指名する。そのせいで再び繡女たちからやっかまれる琉璃、そこで卓大家に席順を戻し、買い出しも他の者にして欲しいと頼んだ。すると卓錦娘は実力があれば妬まれるのは当然だという。「受け入れてもらうには実力を見せつけて、皆を納得させなさい」「…私は人と争わず、自分の役目を果たしたいだけです」その言葉を聞いた卓錦娘はみるみる顔がこわばった。尚服局は実力が物を言う世界、かつて師匠が豆子と同じことを言って官職を辞したが、結局、全てを失ったという。「名誉は地に落ち、命を失い、娘さえ守れなかった、天下第一針ですらこの始末なのよ?!」「安(アン)氏は大罪を犯して自害したと聞いています、その口ぶりでは何か裏があるのでは?」「何が言いたいの?!覚えておきなさい、向上心がなければ安氏のような末路を辿ることになるとね」琉璃は大人しく引き下がったが、卓錦娘への恨みを募らせた。…必ず復讐してやる、たとえ差し違えようと母上の潔白を証明し、名誉を回復させる!… 琉璃が突然、安宅に戻って来た。阿霓(アゲイ)は再会を喜んだが、また抜け出しのかと心配する。しかし琉璃は買い物の役目を命じられたと説明し、時間がないのですぐ着替えをして出かけたいと頼んだ。阿霓は琉璃が裴行倹のために美しく着飾りたいのだと分かったが、琉璃は気持ちを悟られまいと否定する。「宮中に戻れば女として装える機会がないから…」琉璃は裴行倹への訴状を撤回するため四門学を訪ねた。しかし裴行倹も助教・薛旭(セツキョク)も留守だという。仕方なく琉璃は冤罪について書いた文を託し、結局、裴行倹とは会えずに帰った。すると道すがら、しんこ細工の露天を見かけ、裴行倹に似た人形を手に取る。「これ誰かに似ていると思わない?ふふふ」その時、ちょうど四門学へ帰る裴行倹が通りかかったが、2人に気づかなかった。裴行倹は玉児からの文を受け取り、慌てて安宅に向かった。しかし阿霓からすでに宮中に戻ってしまったと聞く。急いで城門へ駆けつけた裴行倹、すると偶然にもたくさんの土産物を抱えて歩いて来た玉児とぶつかった。「間に合った…」裴行倹は玉児が落とした荷物の中にしんこ細工の人形を見つけた。慌てた琉璃は後ろ手に人形を隠してもじもじしていたが、その時、疾走する馬車が迫って来る。琉璃は咄嗟に避けたものの、勢い余って後ろに倒れそうになった。ちょうど背後にいた男が助けようとしたが、それを見た裴行倹は慌てて駆けつけ、男を蹴り飛ばして玉児を抱き止める。「なぜ蹴ったの?」「君は女だぞ?簡単に男に触らせるな」「あなたも男でしょう?」すると裴行倹は急いで手を離した。「君を殺そうとした者がいたと聞いたが…」「私の荷物を盗んだ犯人だったわ、口封じに私を殺そうとしたみたい でも自尽した、私の件は太子殿下が処理してくれたの」驚いた裴行倹は皇太子に頼んで玉児を恐ろしい宮中から出してもらうと言ったが、琉璃は断った。「私には宮中でやるべきことがあるの」「命より大事なことなのか?!」「…今は言えない」裴行倹は仕方なく自分が持っていた護身用の短剣を譲り、念のため警告しておいた。「もし宮中で争いが起きたら曹(ソウ)王たちには絶対、近づくな、楊(ヨウ)妃にもな」皇太子・李治(リチ)は裴行倹と呼応して曹王の陰謀を暴こうとしていた。莫坤(バクコン)の報告では新しい巻紙を積んだ荷車が明日の昼に長安へ到着するという。恐らく曹王は今晩、貨物に甲冑を紛れ込ませ、明日、四門学に収めた後、曹王府へ運ぶはずだ。そこで皇太子は四門学で甲冑の存在を暴くと決める。一方、荷物を誤送している莫坤は腹痛を装って後退し、曹王の配下を牽制していた。陳(チン)参軍は野営で莫参軍と同じ天幕で休むことにした。そして深夜、莫坤が寝入ったのを確認して天幕を抜け出し、予定通り巻紙の荷車をすり替える。陳参軍は天幕に戻ると、莫参軍はまだよく眠っていた。しかし念のためまいておいた小さな豆が割れていることに気づく。陳参軍は莫坤に知られたと分かり、慌てて曹王府に報告した。皇太子の護衛・華天(カテン)が裴宅を訪ねた。今日は皇帝が盂蘭盆(ウラボンエ)の相談で皇子や妃嬪を召集する。皇太子はその場で曹王の陰謀を上奏し、皇帝の許可を得てから荷物を開けて証拠の甲冑を出すという計画だという。四門学に荷車が到着して皇太子が謁見するまで二(フタ)時、裴行倹と華天はその間、荷物を見張ることにしたが、曹王はすでに手を打っていた。四門学に荷物が届いた。陳参軍は薛旭と倉庫に入り、皇太子に甲冑の運搬が気づかれたため、曹王が裏をかいて皇太子を陥れると教える。「莫坤は前から知っていたようだ…内通者を知らないか?」すると薛旭は以前、裴行倹が倉庫にいたことを思い出し、内通者だと気づいた。甘露之殿に皇子や妃嬪、大臣たちが集まった。才人・武媚娘(ブメイニャン)は曹王の様子を訝しみながら、皇太子の側仕え・王伏勝(オウフクショウ)の話を思い出す。実は李治はあらかじめ王伏勝を咸池(カンチ)殿に使いに出し、武才人にだけ計画を伝えておいた。つづく( ๑≧ꇴ≦)何も親切な人を蹴らなくてもw
2023.06.27
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皎若云间月 Bright as the moon第40話「時を超えて」…時をさかのぼるには3つの宝を集めるべし…醒世異聞録(セイセイイブンロク)を読んだ雲浅月(ウンセンゲツ)は″白玉の神龍″と″千年の寒鉄″を手に入れたが、最後の宝が何か分からず断念していた。しかしついに3つ目の宝が鳳凰のかんざしだと判明する。それは容景(ヨウケイ)が折ってしまった母の形見のかんざしだった。その夜、浅月と容景は思い出の裏山に席を設け、別れを惜しんだ。容景はやはり浅月と離れたくないと本音を漏らしたが、息子を放り出して後を追うこともできないという。「君に生きていて欲しい…」「でも私が去ったら、残されたあなたはどうするの?」「辛い…胸が張り裂けそうだ、しかし君が生きていると思えば支えになる 浅月、どこへ行っても忘れないでくれ、君を愛している どんなに遠く隔てられ、未来永劫めぐり会えずとも、私は君と孤独を分かち合う」「全ての出会いは深い縁があるからこそ…だからきっとまた会えるわ」「思いが通じていれば千年の時を隔ててもこの愛は変わらない…心はひとつだ」その時、浅月の全身が急に消えかかった。容景は一刻の猶予もないと知り、慌ててかんざしの片割れを取り出す。「約束してくれ、必ずしっかり生きると…」すると浅月もかんざしの片割れを手にした。「容景、あなたを愛している、千年後の世界で待っているわ」2人は折れたかんざしをつなげて鳳凰のかんざしを復活させると、浅月の身体は光となって消散した。容景は浅月を失い、その場で泣き崩れた。すると走馬灯が回り始め、2人の思い出が帳(トバリ)に映し出される。…容景、あなたとの思い出をすべてこの走馬灯に刻んでおくわ…私からの最後の贈り物よ、元気で、悲しまないでそれは浅月が密かに作っておいた走馬灯だった。浅月が消えて10年が経った。皇太后は景世子に後添いを迎えるよう勧めたが、容景は辞退して隠居を申し出る。「栄王府の妃は生涯、雲浅月ひとりです」「容景っ?!…はっ!」李蕓(リウン)はマンションの寝室で目を覚ました。…何てこと?夢だったなんて…すると消し忘れたPCに穆小七(ボクショウシチ)の失踪を伝えるニュースが映っている。…もう二度と会えないのね、とても長くて悲しい夢だった…李蕓は孤独を紛らすように執筆に没頭した。こうして書き上げた″紈絝(ガンコ)世子妃″は新人賞を獲得、李蕓は時の人となる。容景と浅月を題材にしたラブストーリーは映画化も決定したが、その版権を買ったのは穆グループの映画会社だった。「この作家に投資だと?…金をドブに捨てるようなものだ!」失踪と報道された穆小七は無事だった。何も聞いていなかった秘書が勝手に誘拐と誤解して大騒ぎになったが、実は施工停止の大損で父から3ヶ月の外出禁止を言い渡されただけだった。缶詰生活に飽きた穆小七は秘書に頼んで気晴らしに外へ出た。すると驚いたことに李蕓が現れる。「あの日のダサい格好とは大違いだな」李蕓はこの機会を利用してライブ配信を始めると、小説の容景のモデルは穆小七だと明かした。このライブ動画がSNSで大バズり、映画の効果的な宣伝となったが、秘書はこの件で奇華(キカ)グループの社長が怒っていると報告する。「縁談と提携に影響が出てはまずいと…」「分かった、ではスキャンダルを事実に変えよう」穆小七は李蕓のマンションを訪ねた。「あなたの失踪で大変な目に遭ったのよ?」「あの件か、思いがけず迷惑をかけて悪かったね」「もういいわ」すると小七は動画のせいで自分の名声が傷ついたと難癖をつけ、恋人契約を結びたいという。しかし条件は李蕓が自分の家に同居することだった。「心配ない、君を女として見ていないから…ただ両親が身を固めろとうるさくてな」2人は会社公認のカップルとして1ヶ月の契約を結び、李蕓は小七の豪邸に引っ越すことになった。穆小七は李蕓との交際を公にし、奇華グループの令嬢との縁談を破談することに成功した。こうして始まった李蕓と小七の同居生活、2人は容景と浅月がそうだったように反発し合いながらも惹かれていく。「以前のことはすまなかった、よく考えると君も悪くはないな」「あなたこそ噂ほどひどくないわ」すると小七は家族さえ自分を見る目は世間と大差なく、もう慣れっこだという。しかし李蕓は小七の本当の姿を知っていた。「あなたは陰で正しいことをしている、知っているの…タネを明かすわ」実は小七の友人・林(リン)社長は李蕓の親戚だった。李蕓は林社長から穆小七の情報を集めていた。小説が現実になったのは小七の行動を事前に知っていたからだという。「段取りは全部、従兄が組んでくれたの、もちろんあの偶然の出会いも…」「最初から計画していたと?」「そうよ、わざと近づいた、あなたが好きだから」李蕓は小七が恋人を取っ替え引っ替えしているのはスキャンダルで縁談を流すためだと分かっていた。しかし一方で忙しい中、毎月、複数の施設へ慰問しているのも知っている。「遊び人に見せているけれどあなたは善良な人よ、父親の決めた道を歩くのが嫌なだけ …私はあなたを理解している、だって知り合ったのはずっと昔だから」かつて李蕓はアルバイト先のバーで客にからまれているところを小七に助けられていた。「…私は人にはめられるのが大嫌いだ、李蕓小姐、私たちの契約は今日で終わりだ」「ごめんなさい、騙して…でもこれだけは言わせて、小説のモデルは本当に私とあなたなの …帰るわね、この本は置いていくわ、最後のプレゼントよ」李蕓と穆小七はそれぞれの生活に戻った。小七は仕事に復帰、漢代の墓が出土して頓挫した計画を変更し、文化遺産を保護して再開発を進める。そんな忙しい毎日の中、暇を見つけては李蕓が置いていった″紈絝世子妃″を読みふけった。一方、李蕓は執筆活動を続け、新刊も売り切れとなった。するとある日、麗麗(レイレイ)から連絡があり、良い男を紹介するという。「今度は間違いないわ、私の顔を潰さないでよね」「いいわ、どこへ行けばいいの?」李蕓が指定された場所で待っていると、ランボルギ〇ニが停まった。「穆小七?…私をブロックしたくせに、なぜあなたがここに?」「いいから乗れ」「なぜ今頃になって誘いに来たの?」「…あんなゲームを仕組まれてやられっぱなしじゃ男として失格だ」「もう許してくれないかと…」すると小七はこれから民政局に行くという。「えっ?!…結婚登記?!」喜んだ李蕓は思わず運転中の小七にしがみついて怒られてしまう。「″私から3尺離れるのだ、よいな?″」その時、李蕓は流れる景色の中で、巨大スクリーンに映し出された容景と息子の姿に気づいた。…ディエディエ、きれいな蛍がいっぱいだね、にゃんちんもどこかで見ているかな?…そうだな、どこかで見ている「…どうした?何かあったのか?」小七はイタズラっぽく笑うと、李蕓はそっと小七の肩に頭を乗せた。おわり( ๑≧ꇴ≦)ちょwwwwwかんざし版″トモダチ″で現代に戻ったぁぁぁ〜久しぶりにミルクティ吹き出したわ(´゚艸゚)∴ブッちょっと最終回は肩透かしを食ったような…まあ〜折り返しからエグい展開だったので、これくらいライトな終わり方でもいいのかも?
2023.02.19
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第27話「″天下第一針″を懸けた戦い」庵(イオリ)で″天下第一針″の証しである金針を手に入れた卓錦娘(タクキンジョウ)。ならば奥義書もあったはずだと迫ったが、尼僧は琉璃(ルリ)が持っていたのは金針だけで、奥義書はなかったという。一方、裴行倹(ハイコウケン)は興奮した琉璃を点穴して寝かせ、日が暮れる頃に起こした。そこで金針は必ず自分が取り戻すと誓い、尚服局ではくれぐれも注意するよう警告する。しかし琉璃は母の形見を黙って敵に渡した裴行倹への怒りが収まらず、今後は自分に関わるなと突き放した。卓錦娘と鄧七娘(トウシチジョウ)は夜になって宮中へ戻った。すると宮道にふいに不禄(フロク)院の孫徳成(ソントクセイ)が現れる。「腰牌を返してくれないか?」孫徳成は弔いをしているところに卓錦娘が現れ、慌てて立ち去る時に腰牌を落としたと嘘をついた。あの日は安氏の命日、豆子が夢の中で弈心(エキシン)宮の仙女から刺繍の技を伝授してもらったと聞き、安氏が成仏していないと分かったという。「安氏に負い目があり弔ったのだ、まあ~あんたのせいだがな 11年前、あんたが安氏の火葬を強いたせいで五体満足で土に返してやれなかった」「腰牌など知らないわ、他を探して」卓錦娘は激しく動揺し、逃げるように帰ってしまう。鄧七娘は去り際に孫徳成に挨拶した。すると孫徳成は七娘の協力に感謝し、金針のために危険を冒さないよう豆子へ伝言を託す。尚服局に戻った七娘は早速、豆子を説得することにしたが、豆子は聞く耳を持たなかった。…裴行倹、阿翁、七娘姉姉、信頼する人たちが私を騙して親不孝をさせた…味方を失い孤独に苛まれる琉璃。その夜、裴行倹は琉璃を慰めるように尚服局の屋根の上で笛を吹いたが、今の琉璃には苦痛でしかなかった。林(リン)尚服は急に卓大家に招かれ、采章(サイショウ)署にやって来た。実は師匠亡き後、紛失していた金針が見つかり、金針を祭る儀式を行うことにしたという。「待ってください!」琉璃は母の敵が″天下第一針″の称号を名乗ることがどうしても我慢できず、皇帝が″天下第一針″と認めたのは安大家の絶技であり、金針を継承した者ではないと指摘した。「最も才能がある者が″天下第一針″となるべきです! …安大家はあなたに奥義を伝授しなかった、なのに尚服局で一番の腕だというのですか?」激怒した卓錦娘は豆子を追い出せと命じたが、琉璃は一歩も引かなかった。「尚服局を納得させたいのなら私と勝負してください!まさか私の挑戦が怖いと? …林尚服、尚服局の長として公正にご判断ください」林尚服は豆子の後ろ盾が皇太子と才人・武媚娘(ブビジョウ)だと思い出した。何より金針を手に入れた卓大家は鼻持ちならない。そこで確かに豆子の暴言と反抗的な態度は罰に値するが、公然と挑戦を受けながら断れば世の中が納得しないと言った。「堂々と戦って勝ってから豆子を罰すればいいわ…それで丸く収まる 儀式はひとまず中止よ、金針と称号が誰に帰するかは腕比べで公正に決めましょう」七娘は真っ先に裴行倹に報告した。すでに内侍院にも報告され、高全(コウゼン)総管はこれが繍女たちの技の向上にもつながると評価しているという。腕比べは2日後、染め・刺繍・仕立ての技を競い、2勝した者を勝ちとする。審判は人望の厚い後宮の太妃に頼むらしい。裴行倹はむしろ正々堂々と琉璃が金針を取り返せる好機だと喜んだが、七娘は師匠が必ず策を弄するはずだと警告した。そこで裴行倹は豆子が危険な時には知らせて欲しいと頼んでおく。しかし七娘が予想していた通り、豆子は卓錦娘の嫌がらせで早速、行き詰まっていた。第1戦の染めのお題は「赤」だった。琉璃は正しい染料と工程で染めていたが、なぜか思うような色が出ない。すると材料庫で受け取った紫膠(シコウ)がしけっていると分かった。そこで取り替えてもらうよう交渉したが、尹(イン)内侍は保管庫に責任はないの一点張り、しかも在庫は切らしているという。「なら最近、紫膠を受け取った人は誰ですか?」「お前だけだ」その話をちょうど師匠の染料を取りに来た七娘が聞いていた。…おかしいわ、さっき師父の部屋に行った時、確かに紫膠の箱があった…豆子は七娘が声をかける間もなく帰って行った。そこで試しに七娘も紫膠を頼んでみたが、尹内侍はやはりないと言う。「困るわ、紫膠がなければ赤が出せない、師父に叱られてしまう」「大丈夫ですよ」七娘は慌てて豆子を追いかけ引き止めた。「紫膠がある場所が分かったわよ」しかし豆子はすでに卓錦娘の企みだと気づいていた。「自分で何とかします」琉璃は東宮を訪ねた。皇太子は留守だったが、王伏勝(オウフクショウ)は豆子の思わぬ頼み事に笑ってしまう。「お前というやつは…太子殿下に果物をねだるなどお前だけだぞ?」すると王内時は喜んで葡萄を分けてくれた。琉璃が幼い頃、母はどんな困難にぶつかっても、必ず解決の手段が見つかると教えてくれた。…阿娘、知恵と勇気をありがとう、天から見守っていてね…そして翌日、卓大家と豆子の腕比べが始まった。琉璃は腕比べの際、誰の作品かを明かさず判断を頼みたいと嘆願、すると卓錦娘は太妃たちの公平性を疑うのかと非難する。「まさか!…負けた際に″豆子をひいきした″と卓大家に言われないためです」太妃たちは思わず失笑し、確かに名前を聞かない方が公平であり、面白みも増すと了承した。皇太子・李池(リチ)はあれ以来、豆子と距離を置いていた。今日は裴行倹と修練に励んでいたが、王伏勝が駆けつけ、皇帝が高熱のため寝台から降りることができないと報告する。李池は着替えてから見舞いに行くことにしたが、その時、王伏勝がふと思い出した。「そうだ!豆子が天下第一針の称号を賭けて卓大家に挑んだそうです」何も知らなかった李池は驚いた。王伏勝の話では先日、豆子が訪ねてきた際に何も言ってくれなかったという。「太子殿下に心配をかけたくなかったのでしょう」「そうだったか…気概も度胸もあるな、結果を恐れず存分に戦えと伝えよ」すると裴行倹が忙しい王内侍に代わって自分が行ってくると申し出た。裴行倹が尚服局を訪ねると、ちょうど第1戦が終わったところだった。どうやら名前を明かさぬ勝負のため、繡女たちは恐らく勝ったのは卓大家だと噂している。そこで裴行倹はこっそり采章署の2階に上がってみた。すると、卓錦娘が負けて激怒している。「小豆子!お前が何か策を使ったわね?!」「もちろん勝つために策を考えました でも私が紫膠を使えないよう材料庫番と結託したのは卓大家の策では?」「出まかせよ!…大体しけった紫膠でこんな美しい茜色が出せるはずないわ!」卓錦娘は興奮してうっかり口を滑らせた。「白状しましたね?でも紫膠が手に入らなかったおかげで葡萄の汁を使う手法を思いつきました」林尚服は度量の狭い卓大家に呆れる一方、豆子の知恵に脱帽した。卓錦娘は豆子が太妃たちを誤解させるため、わざと名前を隠そうと提案したのだと分かった。すると琉璃は高みから落ちれば傷が深いからだという。「高みに登らせてから一気に谷底へ突き落とします」「ふん、今日は油断しただけよ」琉璃は下作を練る暇があったら真面目に作業してはどうかと挑発し、自分の披帛(ヒハク)を回収して出て行った。琉璃が居所へ戻ると中庭で裴行倹が待っていた。「今の話を聞いていた、卓大家はまた陰謀を画策するぞ? 近々、太子殿下の命で出かけるから守ってやれぬ、心配で見に来たのだ」裴行倹は意地を張らず七娘の力を借りるよう勧めたが、琉璃はこうなったのも裴行倹のせいだと冷たかった。「私にはもう関わらないで」皇帝の病状は悪化の一途をたどった。ようやく目を覚ました李世民(リセイミン)は枕元に集まった皇太子たちに気づいて大袈裟だと呆れたが、実は丸3日も眠っていたと知る。李世民は太医院の薬では効果がないと落胆し、以前に服用した純陽散人(ジュンヨウサンジン)の丹薬を所望した。太医院を手中に収める楊(ヨウ)妃と曹(ソウ)王・李明(リメイ)は皇帝の死期が近いことを知った。焦った楊妃は皇太子を支える武媚娘と裴行倹を始末しようと決めたが、寵愛を失って久しい。そこで李明は純陽散人を取り込むことにした。純陽散人は皇帝に丹薬を献上した。そこで明日の子時が100年に一度の吉時のため、未来を占ってはどうかと進言する。つづく( ゚ェ゚)無駄に挟まれる裴行倹と皇太子の修練シーンw
2023.07.20
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第31話「曹王の駒」豆子(トウシ)が刺繍した龍袍(リュウホウ)を奪って腕比べに勝利した卓錦娘(タクキンジョウ)。いよいよ采章(サイショウ)署で金針を祭る儀式が始まり、豆子の目の前で″天下第一針″の称号を得る時が来た。琉璃(ルリ)は最後の最後まで抵抗、何があっても卓錦娘の″天下第一針″を認めないと反発し、卓錦娘から板打ち20回を命じられてしまう。一方、裴行倹(ハイコウケン)は琉璃を救うため、急ぎ皇太子に助けを求めた。しかし皇帝の見舞いで妃嬪や皇子らが甘露之殿に集まる中、皇太子の李治(リチ)が抜け出すことはできない。裴行倹は諦めて尚服局へ駆けつけたが、すでに豆子は板打ちの罰を受け、意識が朦朧としていた。裴行倹は皇太子が豆子を呼んでいると嘘をつき、罰を止めた。しかし今日から妃嬪と皇子たちが御前に詰めていると知っていた卓錦娘は嘘だと見抜く。琉璃も裴行倹への恨みが深く、自分に関わるなと突き放した。そこで裴行倹は豆子が皇太子から頼まれた皇帝に贈る外套の龍の刺繍ができなくなると訴え、林(リン)尚服を牽制する。「互いに譲歩するべきでは?強行な姿勢が尚服の特になるとは思えぬが…」その意味を悟った林尚服は豆子の罰がちょうど済んだと認め、解放した。裴行倹は琉璃の安全のため不禄(フロク)院で静養させることにした。心身ともに深い傷を負い、うなされ続ける琉璃。そこへ鄧七娘(トウシチジョウ)が豆子の着替えと寝台の下に隠してあった化粧箱を届けてくれる。箱の中に入っていたのは琉璃と裴行倹に良く似たしんこ細工の人形だった。琉璃の心にも自分がいると知って思わず笑顔になる裴行倹、その時、ようやく琉璃の意識が戻る。安堵した裴行倹は早速、薬を飲ませることにしたが、琉璃は器を払いのけた。「帰って…顔も見たくない」曹(ソウ)王・李明(リメイ)は潘秦海(ハンシンカイ)を総管に登用し、皇帝の毒殺を命じていた。しかし怖気づいた潘秦海はなかなか手を下せず、業を煮やした李明は蒲巴弩(ホハド)に命じて脅しをかける。すると蒲巴弩が潘秦海に褒美と称して父親の指を渡した。潘秦海は親不孝を嘆き、必ず任務を果たすと誓ったが、蒲巴弩にも警告する。「事が成就すれば曹王は禍根を残さぬため口封じする 私も覚悟はしているが、だがお前も無事ではいられまい、お前も曹王の駒でしかないのだから…」裴行倹は皇太子に豆子のため街の名医を呼びたいと頼んだ。豆子は身体の傷より心の傷が深く、何でもその名医は外傷だけでなく心の病も治せるという。李治は許可したが、実は最近、曹王が頻繁に甘露之殿に来ていると話した。「曹王が暴挙に出るやもしれぬ…用心が必要だ」すると裴行倹は前総管・高全(コウゼン)が急死し、すぐ楊(ヨウ)妃が潘秦海を推挙したことも怪しいと指摘する。その時、侍女がやって来た。今日に限ってわざわざ藩総管から皇帝が目覚めたため、甘露之殿に来て欲しいと連絡がきたという。実は追い詰められた潘秦海は皇太子を呼び出し、全てを明かすことにした。裴行倹は腹心の莫坤(バクコン)に留守を頼み、街に出かけることにした。その時、城門で錯乱し暴れている蒲巴弩を目撃、手を焼いている衛兵に加勢し捕縛する。「陛下がご病気の間、秩序を乱す者は厳罰に処す、則を破った蒲巴弩は太子に差し出す」李明は今日も甘露之殿に現れた。皇太子が皇帝に薬湯を飲ませる様子を見守る李明、すると李治が急に思い立ったように手を止める。「ご快復を願って写経をしているせいで、また手が震えてしまって… そうだ、これから陛下のお世話は14弟に任せよう」李明は断ることもできず、薬湯を受け取ったが、咄嗟に器を落とした。李明が甘露之殿を出ると六子(リクシ)が待っていた。「殿下、蒲巴弩が面倒を…薬のせいで暴れ、裴行倹に捕らえられました」「あの役立たずめ!」蒲巴弩は薬の禁断症状が出ていた。裴行倹は曹王が来るまでに蒲巴弩の口から証言を引き出そうとしたが、蒲巴弩も口が硬い。つづく(  ̄꒳ ̄)太子の返し、上手い!まあ〜琉璃の怒りは仕方ないな~裴行倹もせめて最初に説明しておけばね
2023.08.01
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