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漠风吟 Love In The Desert 全26話第21話劉啓(リュウケイ)の供述書を読み、泣き崩れた皇北霜(コウホクソウ)。霍擎雲(カクケイウン)は皇北霜が落ち着くまで回廊で待っていたが、日が暮れる頃になってやっと皇北霜が出てきた。「まだいたの?」「君に会いたかった、でも怖かった、君に信じてもらえず、許されないかと…私と来てくれ、頼む」「私たちは結ばれない運命なの、あらがうべきじゃない」「どちらにしても汾天(フンテン)にいてはだめだ」しかし皇北霜はまた部屋にこもってしまう。一方、若問(ジャクモン)は皇北霜の瞳をどこかで見たことがあると気づいたが、どうしても思い出せずにいた。皇北霜は霍擎雲への想いを断ち切れず、硬貨を投げて運に任せようと決めた。…どうか導いて、あの人と今世で結ばれるのか…皇北霜は硬貨を投げた。…模様の面なら敵討ちのあと中原に行って戻らない、文字の面なら…しかし硬貨が落ちた時、突然、若問が現れた。皇北霜は咄嗟に硬貨を隠し、若問を追い返そうとした。しかし若問は皇北霜の腕をつかんで迫ってくる。「お前の瞳は俺を困惑させる…」その時、霍擎雲が現れ、皇北霜を解放した。「彼女に手を出すな!」「莽流(モウリュウ)門主がどれほどの腕前か見せてもらおう、お前が勝てば従う」霍擎雲と若問の手合わせは互角だった。やがて互いに反発して倒れ、若問は運悪く机に頭をぶつけてしまう。その時、ついに若問は皇北霜の瞳に惹かれる手がかりを見つけた。…安(アン)児、どうか生き延びて…実は皇北霜の目は蓉安(ヨウアン)の母の瞳と似ていた。若問を探していた格心微(カクシンビ)が現れた。「どうしたの?しっかりして?」格心微は倒れていた若問に手を貸して寝閣に連れ帰ったが、明らかに若問の様子がおかしい。「お前は誰だ?!早く答えろ!」若問は急に格心微の首を締め上げたが、ふいに我に返って苦しそうに寝台に倒れてしまう。一方、独りになった皇北霜は敷物の下に隠した硬貨を取り出した。模様の面を見た皇北霜は…。その頃、霍擎雲は沙曲(サキョク)から報告を聞いていた。雲沛(ウンハイ)はすでに城主夫人がさらわれたと知っているはずだが、依然、動きはないという。「それからここへ来る途中、霜姑娘が承恩(ショウオン)閣の方へ行くのを見かけました」霍擎雲は情愛など二の次だと強がっていたが、沙曲を下げると早速、様子を見に行った。しかし皇北霜は霍擎雲に気がついても挨拶もしてくれない。「建築篇を探しているのだろう? 大漠奇巻(タイバクキカン)以外に危険を犯してここに残る理由はないからね 探すから書写させてくれるか?」「…交渉成立ね」皇北霜の態度は相変わらずそっけなかったが、霍擎雲は建築篇ならここにないと断言した。「知っているの?!」「今夜は休め、明日、教える」格心微は意識を失った若問を心配して医者を呼んだが、医者はただの酒の飲み過ぎだと言った。結局、翌朝になっても若問は目覚めず、格心微は城主に代わって祝福に来た小部族たちの対応に追われる。一方、霍擎雲は皇北霜に朝食を差し入れた。皇北霜は受け取って追い返すつもりだったが、霍擎雲は一緒に食べると言って強引に部屋へ入ってしまう。「食べたら建築篇の在りかを教えるよ」「…食べたわよ?本当は知らないのでしょう?」「実は在りかを知らない、やつれている君に食事と睡眠を取らせたかったんだ」怒った皇北霜は霍擎雲の手を引いて追い出そうとしたが、突然、抱きしめられてしまう。「放して!放してったら!」「ようやく君らしくなった」すると霍擎雲はようやく真面目な話を始めた。先主が皇北霜の幼い頃に草薬篇を渡したのなら、建築篇もいずれ渡す準備をしていたはずだという。「君が成長するのを待って…」頭を打って昏迷した若問は幼い頃の記憶を思い出していた。…那戦(ナセン)が反逆し、弟を連れてこいと命じたあの日蓉若(ヨウジャク)は馬を駆けて屋敷へ戻り、妻と息子・蓉安を逃すことにした『麻随の九夫人に助けを乞え!同族の姉妹だろう?裏門から出ろ!那戦の兵が来る!』蓉若は2人を連れて砂漠へ飛び出した巫将軍たちに追われた3人は落馬、砂丘から転げ落ちた。その時、巫将軍が放った武器が蓉安の肩に刺さってしまう蓉若は何とか外すことに成功し逃げ出したが、やがて夫人が転んで足をくじいた『私はいいから安児を連れて逃げて!早く!』蓉安は父に手を引っ張られながら、母が巫将軍に殺される様子を目撃した悲しみに暮れる中、やがて父も蓉安を逃そうとして兵の前に立ちはだかり殺されてしまう必死に逃げ惑う蓉安、すると運良く兵士たちが流砂に巻き込まれた蓉安は何とか兵を振り切り、やがて樹林で盗賊に殺された一行の骸を発見したそこで死んだふりをして遺体に紛れ、追っ手をやり過ごす…霍擎雲の話を聞いた皇北霜は自分の部屋にある隠し扉から建築篇と家族の絵姿を発見した。幸せだった子供の頃を思い出して顔がほころぶ皇北霜。すると霍擎雲はようやく自分の生い立ちを明かした。「私は母親を知らない、私を産んですぐ亡くなった 8歳の時、那戦に父を殺されたんだ」実は天都の先主は叔父だという。沙曲や莽流(モウリュウ)門の仲間も那戦の反逆に巻き込まれて殺され、那戦に激しい恨みを抱いていた。「君は命懸けで決着をつけるつもりだろう?冷たい態度を取るのは私を巻き込まぬためだ 早まるな、私は15年も耐え忍んだ、一緒に敵を討とう」皇北霜と霍擎雲は那戦が未だ目を覚さないと聞いて駆けつけた。ちょうど格心微が名医たちを集めて若問を診察させていたが、特に問題はないという。格心微は激怒して医者を追い返すと、霍擎雲が雲沛で皇北霜を救った神医を思い出した。神医の到着を待ちながら、若問の無事を祈り続ける格心微。一方、霍擎雲は建築篇を見つけた皇北霜に今後の身の振り方を聞いた。「次の巻を探すわ」「奇書のことじゃない」皇北霜は何を言いたいのか分かっていたが、あえて無視した。「再び取り引きしたい、私と来てくれるなら最終巻を渡そう」実は水源篇は天都にあった。「天都に?!」「私が全て手配する、那戦のことも私に任せてくれ」「よく考えなくちゃ、あなたの印象は悪いから…フ」その夜、皇北霜は格心微に夜食を差し入れた。「もう3日も付ききりで何も食べていないわ、あなたが倒れてしまう」「彼が死ねば私も一緒に死ぬだけよ」するとようやく沙曲が神医を連れて戻ってきた。神医の話では若問の体から魂が抜けているという。「今、魂は夢の中の過去にある、本人に戻る気があれば目を覚ます」そこで神医は若問の好物を作るよう頼み、やっと食事にありつけたと食べ始めた。驚いたことに若問は料理の匂いがきっかけで目を覚ました。しかし本人はなぜ皆が集まっているのか分からず困惑する。皇北霜たちは若問と格心微を2人だけにしようと出て行ったが、若問は矢も盾もたまらず出かけてしまう。「ついてくるな」つづく( ˙꒳˙ )つまり…みんな親戚?
2025.11.27
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第20話義兄の霍言斉(カクゲンセイ)から雲刺泉(ウンシセン)に呼び出された霍擎雲(カクケイウン)。細やかな酒席を準備していた霍言斉は子供の頃を懐かしみながら、かつて兄弟喧嘩して弟から奪い取った玉佩を今さらながら返した。「たかが玉佩、必要ありません」「これは父親がお前に贈ったものだ」「兄長の物は他の誰の物でもない、私は奪いません」霍擎雲はそれとなく自分が脅威になり得ないと伝えたが、霍言斉は頑なだった。「もし来世で再び兄弟の縁を得たら、その時は平民の家の子になろう」すると劉啓(リュウケイ)の号令で衛兵が剣を抜いて霍擎雲を包囲した。「兄長、惑わされてはなりません…皆の者!」実は兄の襲撃を予測した霍擎雲は沙曲(サキョク)たちを潜ませていた。沙曲たちが駆けつけ形勢が逆転。霍言斉はやはり義弟に裏切られたと憤ったが、霍擎雲から思わぬ事実を知らされた。「私からも兄長にお渡ししたい物が…」それは那戦(ナセン)から劉啓に届いた密書だった。霍言斉は腹心が裏切り者だと知り逆上、しかし霍擎雲は大事な証人を殺さぬよう止め、劉啓を投獄するよう命じる。「我らは城主大人に忠誠を誓います」霍擎雲は義兄の不安を払拭するため、その場で配下と共に拝跪した。劉啓は両親を人質にされ、雲沛(ウンハイ)と2年ほど内通していた。全ての密書を手に入れた霍擎雲だったが、そこで思いがけない文を見つける。…麻随(マズイ)の九夫人と九公主が天都に向かった、2人が到着したら機をうかがい殺せ…当時、縁談を断ち切ろうと考えた霍擎雲は劉啓に追っ手に矢を放って2人を救うよう命じ、九公主との対面を避けた。九夫人の死はてっきり混乱に巻き込まれた事故だと思っていたが、実際は劉啓が那戦の密書により皆殺しにするよう指示、九夫人が犠牲になったと分かる。霍擎雲は愕然、激情に駆られて劉啓に襲いかかったが、沙曲が寸でのところで制止した。「門主!大事な証人です!」その夜、沙曲は氷刺(ヒョウシ)府へ劉啓の供述書を届けた。しかし霍擎雲は折を見て沙曲から皇北霜(コウホクソウ)に渡し、事情を説明して欲しいという。「今は情愛に溺れている時間はない」「実は霜姑娘が厄娜泣(ヤクナキ)を見送って雲沛へ帰る途中、若問(ジャクモン)にさらわれました」(꒪ꇴ꒪〣)早く言ってよ!@イールン一方、若問は皇北霜を連れ去り、汾天(フンテン)へ戻った。まだ建築編は見つかっていなかったが、先に贈り物があるという。実は14話で若問が麻随を1ヶ月で落とすと約束した時、皇北霜は麻随の内情と引き換えにある条件を出していた。『これは麻随城の各府の位置と侍衛の交代時刻…大漠奇巻(タイバクキカン)の建築篇を見つけて』『交渉成立だ』若問は皇北霜を和煙(ワエン)府に案内し、格爾勁勤(カクジケイキン)を引き渡して短剣を貸した。しかし叔父はすでに気が触れている様子、今も自分を麻随城主だと訴え、簒奪したことも正当化する。「ぶははは~あいつは優柔不断な奴だった!善人だとしても良い城主じゃない! 那戦から何度も和議を求められても拒み続けたのだ、だから代わってやった!」「那戦ですって?」皇北霜は叔父に簒奪をそそのかしたのが那戦だと知り呆然、格爾勁勤に止めを刺して父の敵を討った。皇北霜は自分の寝閣に父と母の位牌を祀った。…父親、母親、私の目が曇っていたせいで本当の敵が誰なのか見抜けませんでした、必ず敵を討って血で償わせる、全て終えたら孝行に努めます、でも霍擎雲との愛憎は簡単には断てません、母親の敵だと分かっていても霍擎雲を殺せませんでした、こんな私を許してくれる?…その時、若問が現れた。すると若問はいきなり皇北霜を寝台に押し倒し、その瞳から目が離せなくなる。なぜ取り憑かれたように皇北霜の瞳に惹かれるのか自分でも分からない若問。しかし格心微(カクシンビ)が駆けつけ、皇北霜をかばって若問を追い出してしまう。格心微はやはり皇北霜が故郷へ帰りたいのだと誤解した。しかし皇北霜はもう格心微ではないと否定、大漠奇巻さえ手に入れたら出て行くという。「はお、手を貸すわ」その頃、雲沛に巫(フ)将軍が帰還、若問に城主夫人を連れ去られたと報告した。那戦は想定外の結果に激怒し、対面を保つため情報を決して漏らすなと厳命する。しかし夫人を取り戻そうにも大々的に軍を派遣することもできず、皇北霜が今回も自分で逃げ出してくることを期待した。霍擎雲は天都の使者として堂々と汾天に乗り込んだ。「汾天の誕生を祝いに参りました…歓迎してくれないのか?」若問は仕方なく場所を変え、霍擎雲と2人きりで話すことにした。2人は酒を飲んでこれまでの恩讐を水に流したが、霍擎雲は皇北霜と引き換えに容豁(ヨウカツ)に会わせるという。しかし若問はなぜ見ず知らずの老臣に会う必要があるのかさっぱり分からなかった。…若問は知らないふりをしているのか?それとも容安(ヨウアン)ではないと?…「お前の叔父だと聞いたのだが…」「子供の頃の怪我で記憶が曖昧なんだ」「会ってみるか?」「必要ない」仕方なく霍擎雲は莽流(モウリュウ)の令牌と皇北霜を交換するよう迫った。「これがあれば莽流からの情報を得られるぞ?」「いいだろう、だが会わせるだけだ」皇北霜は顔を見せてくれたが、相変わらず冷たかった。「九夫人のことで話がある、殺した者が他にいたんだ」霍擎雲の言葉を聞いた皇北霜はにわかに信じられなかったが、両親の前で話を聞くことにした。霍擎雲は麻随先主と九夫人の霊位に拝礼し、皇北霜に劉啓の供述書を渡した。…那戦の誘惑にあらがえず雲沛と内通していましたあの時、城楼で麻随夫人と公主を射たのは那戦の指示でした…その証拠に当時、那戦が劉啓に送った鳥文がある。…九夫人と九公主が天都に向かった、2人が来たら殺せ、那戦…「でも確かに北靖領主の命だと聞いたわ」「私は追っ手を射て2人を救えと命じたのだ、だが劉啓が偽りの命を 私には誤って殺したと言い訳した、どちらにしても私のせいだ、すまない」両親を殺したのは那戦だった。全てを知った皇北霜は呆然、霊位の前で泣き崩れてしまう。霍擎雲はかける言葉もなく、黙って寝閣を出て行った。つづく(´-ω-`)うーん、離ればなれだとつまらんw
2025.11.26
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第19話霍擎雲(カクケイウン)に毒の耐性があるとも知らず、じっと義弟の死を待つ天都(テント)城主・霍言斉(カクゲンセイ)。すると内官・劉啓(リュウケイ)が油断しないよう煽り、使える者がいると吹き込んだ。実は城主の側近・劉啓こそ那戦(ナセン)の密偵。…占別(センベツ)が霍擎雲を殺す、協力せよ…鳥文で密命を受けた劉啓は城主をそそのかし、砂漠一の名医を連れて氷刺(ヒョウシ)府を訪ねた。霍擎雲はすでに7割ほど回復していた。沙曲(サキョク)の報告では雲沛(ウンハイ)の援軍が鴣劾(コガイ)を撃退、厄娜泣(ヤクナキ)族を救出して雲沛に向かったという。「それから城主が名医を連れて来ました、断りますか?目的は恐らく…」「あと何日もつか見たいのだろう、最後まで芝居を演じるさ」脈診した医者は北靖領主の脈は弱く、死期が近い証拠だと言った。「鍼を打ちましょう、数日、延命できるだけですが…」すると助手に扮した占別が寝台へ近づき霍擎雲を襲撃、しかし霍擎雲に阻止され、沙曲に捕まってしまう。占別は霍擎雲が母を殺したと訴え、その証拠に莽流(モウリュウ)の令牌を示した。驚いた沙曲は莽流に何か異変が起こったと警戒、霍擎雲はともかく殺したのは自分ではないと否定する。「お前を殺すつもりもない、私の居場所を教えたのは誰だ?」その時、背後にいた霍言斉が証拠隠滅のため、衛兵の佩剣を抜いていきなり占別を殺してしまう。「お前は優しすぎる!生かせば天都の災いにもなるのだぞ?!」「…私の考えが至りませんでした」霍擎雲は義兄の顔を立てたが、何より占別の武器が皇北霜(コウホクソウ)の匕首だったことに衝撃を受けていた。霍擎雲は傷が深いため静養が必要だと説明したが、回復したのは明らかだった。寝閣に戻った霍言斉は激怒、またも生き延びてしまったと嘆く。すると劉啓が占別の持っていた莽流の令牌を思い出し、霍擎雲との関係を疑った。「北靖領主が人の下につくとは思えません、もしや門主なのでは? ただ城主への情は残っている様子、手は出さないはずです、辛抱強く待ては機は訪れます」しかし幼い頃に毒を盛られ、足が不自由になった霍言斉にとって、霍擎雲の排除こそが心の安寧だった。沙曲が鴣劾族を調べたところ、武器は全て雲沛が提供したと分かった。実は盟約を結んで定期的に小部族を襲い、緑地と金銀の7割を雲沛に納めていたという。霍擎雲は那戦が北漠の混乱に乗じて領地を広げようと画策していると分かった。「ならば厄娜泣族を途上で足止めしろ」その頃、那戦は占別が暗殺に失敗、霍擎雲が無事だと知った。「役立たずの劉啓めっ!」城主夫人となった皇北霜は厄娜泣族が無事かどうか確認に向かった。するとちょうど奉天(ホウテン)閣から那戦が現れ、護衛兵も厄娜泣族も全て天都に捕まったと知る。「なぜ天都が?」「霍擎雲が条件を出してきた、言わずとも分かるであろう?だが応じるつもりはない」焦った皇北霜は雲沛夫人として自ら兵を率いて救出に向かうと嘆願した。「どうせ私を名指ししたのでしょう?」「霍擎雲の首を持ち帰ることができれば、お前の欲しいものは全て与えよう」那戦は出兵を認めたが、その裏で密かに刺客を放った。「夫人に怪しい動きがあればその場で殺せ」那戦は表立って皇北霜と霍擎雲を対立させることにした。皇北霜が本当に霍擎雲を殺せれば後顧の憂いが断たれ、逆に霍擎雲が皇北霜を手中に収めれば出兵する口実にもなる。「もし夫人が手ぶらで戻ったとしても、霍擎雲は最愛の女を雲沛に置くことになる…ふっ」一方、若問(ジャクモン)は唐突に蘇った幼い頃の記憶に戸惑っていた。思い出そうとしてもかえって混乱し、頭が痛くなってしまう。そうとは知らず、格心薇(カクシンビ)は若問が準備した衣を素直に着てくれたと喜んでいた。すると配下が駆けつけ、若問は何も言わず急いで出かけてしまう。「何をこそこそしているのかしら?」雲沛と天都は砂漠で人質の交渉を行うことになった。霍擎雲は沙曲を通じて皇北霜と2人きりで会いたいと伝えたが、明日の約束の時刻まで来る必要はないと断られてしまう。しかし矢も盾もたまらず霍擎雲はその夜、皇北霜の天幕に駆けつけた。「話せないか?少しでいい、君と静かに話したい」「入ってこないで」「顔が見たいんだ」皇北霜は思わず窓に近づこうとしたが、涙をのんで霍擎雲を突き放した。「明日の和議は北靖領主として私情は挟まず、天都に有利な決断を下すことね」その時、霍擎雲が天幕にずかずか入って来たかと思うと、皇北霜をかついで強引に連れ出してしまう。霍擎雲は緑地を出たところで皇北霜を降ろした。「私が麻随(マズイ)の九公主だといつ気づいたの?!」「雲沛に来てからだ…君の母親の死は私の過ちだが、君への想いは本物だ」「想いですって?!この後に及んでもまだ言うの?!」霍擎雲は全て片付いた暁には死を以って償うと訴え、占別が持っていた匕首を突きつけた。「占別が君に贈った短剣で私を殺しに来た、君の差し金か?」「そうよ、あなたを殺したかった」皇北霜は霍擎雲が自分を疑ったことに傷つき、強がって嘘をついてしまう。肩を落とした霍擎雲は匕首を皇北霜に渡した。「君の手に戻った、殺せばいい」皇北霜は匕首をつかんで霍擎雲の首に当てたが、どうしても愛する人を殺すことができなかった。すると霍擎雲は皇北霜の心にまだ自分がいるのだと気づき、思わず押し倒して唇を重ねてしまう。しかし皇北霜の頑な心を開くことはできず、その冷静な態度は霍擎雲を惨めにさせた。「飛踏(ヒトウ)@馬に送らせる」霍擎雲は居たたまれなくなり、逃げるように帰ってしまう。( ゚д゚)え?見た?イールンの鼻の穴が…え?!何?オカルト?!翌朝、雲沛と天都の和議の交渉で皇北霜と霍擎雲が対峙した。霍擎雲は人質と皇北霜の交換を要求。「どんなに恨まれようと罵られようと私のそばにいてもらう!雲沛と戦になっても構わない!」すると皇北霜が口笛を吹いて飛踏を自分の元へ呼び寄せ、首に匕首を突きつけた。「(いい子ね、ごめん)人質を解放して!さもないと飛踏を殺す!」「従うと思うか?」「従わざるを得ないはずよ?」「本気か?!」「…この遺書はもう預かれない、他の人に託して」皇北霜は書簡を投げ返した。「君を奪うためなら武力行使も辞さない」「私の心から完全に消えたいのなら領主の威厳を見せつければいいわ」霍擎雲は結局、愛する皇北霜に無理強いできず、思い出の笛を取り出して剣で真っ二つに割った。「明日、辰の刻、軍営に人を送る」「これで私たちの縁は切れた、もう2度と会うことはない」皇北霜は飛踏を愛おしそうになでて脅したことを謝罪し、引き上げた。( ;∀;)ァァァァァァァ~翌日、霍擎雲が涼亭で割れた笛を眺めていると容豁(ヨウカツ)がやって来た。「白馬と人質の交換に応じた話は末長く人々の記憶に残るでしょうなw」「からかわないでください…彼女を巻き込むべきではありませんでした、でももう縁は切れた」すると容豁はいずれ皇北霜が霍擎雲の弱みとなり、必ず足枷になったはずだとなだめた。「すでに子供が1人、犠牲になっているのです、その死を無駄にせぬよう」その子供とは容豁の兄・蓉若(ヨウジャク)の息子だった。先主が亡くなった時、霍擎雲は容豁と衣装棚に隠れて寝閣の様子を見ていた。雲芳閣へ乗り込んだ若き那戦は偽造した那啓達(ナケイタツ)の遺詔を盾に自分が城主を継承すると宣言。兵士に拘束された蓉若は猛反発したが、那戦は父の葬儀を行うため巫将軍に弟を連れてこいと命じた。『いいか、弟の肩には梅の花のあざがある』実は蓉若は霍擎雲を救うため自分の息子を身代わりにしていた。霍擎雲は梅の花のあざと聞いて見覚えがあった。確か第2話で若問に襲われそうになった皇北霜を救おうとした時のこと。霍擎雲は背後から若問に短剣を突きつけたが、その時、若問の肩には確かに梅の花のあざがあった。「豁伯、安(アン)児は生きているかもしれません」一方、任務を果たして帰途についた皇北霜たちは待ち伏せしていた黄天狂(コウテンキョウ)兵団に襲われていた。すると若問が軍から皇北霜を引き離して連れ去ってしまう。∑(⊙∀⊙)えーっ!そっち?!w翌日、沙曲が劉啓が那戦と結託している証拠を発見、霍擎雲に報告した。「やはりな…」霍擎雲はむやみに動くのは得策ではないと判断したが、そこへちょうど劉啓が現れる。「領主、城主が雲刺泉(ウンシセン)で政のご相談があると…」虚無・・・つづく( ๑≧ꇴ≦)イールンのパジャマ姿がいい!w
2025.11.25
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第18話若問(ジャクモン)が未だ砂漠一の美女に執着していると知った格心微(カクシンビ)。その夜、格心微は城主の寝閣に居座り、ついに本当の身分を明かした。「私は厄娜泣(ヤクナキ)の娜袖(ナシュウ)、九公主と身分を交換したの 彼女は麻随(マズイ)を心底、恨んでる、だから公主の座も捨てた、この地を欲しがると思う? 私に麻随を頂戴、自由には憧れるけどやっぱり家が欲しい これからはあなたのいる場所が、私の帰る場所よ」一方、皇北霜(コウホクソウ)に刺されて深手を負った霍擎雲(カクケイウン)は天都(テント)で目を覚ました。沙曲(サキョク)は事情が分からないまま門主を救出して連れ帰ったが、ようやく皇北霜が母の敵が霍擎雲だと知ってしまったと聞く。しかし皇北霜からもらった胸当てのおかげで命拾いしたのも事実だった。「自業自得さ…私を憎むのも当然だ」そこへ一足先に天都に到着していた容豁(ヨウカツ)が駆けつけた。霍擎雲は沙曲を下げると、ずっと引っかかっていた疑問を容豁にぶつけた。「私の母親は天都の華明(カメイ)公主、なぜ雲沛や天都の者は私を知らないのか」「あの頃、私と兄は先主の遊歴にお供していました 先主が砂漠で怪我を負った時、偶然、華明公主に救われたのです 公主もちょうど自分の医術を砂漠に広めようとしており、旅に同行することになりました その旅路で先主と公主は愛情を育み、大漠奇巻を書き終えたら雲沛で冊封するはずでした しかし公主は難産の果てに命を落としてしまったのです 公主の願いは権力争いから少主を遠ざけることでした、うまくいかないものですな」「戦を始めるつもりはありません、300年続く雲沛の秩序を壊す気もない ですが詔書がなければ那戦(ナセン)の転覆は…」すると容豁は那戦の圧政に苦しむ砂漠の民を思い、犠牲を恐れていては何もできないと諫言した。那戦は密偵からの密書で霍擎雲が生きていることを知った。若問が難攻不落と言われた麻随を簡単に落とせたのも恐らく霍擎雲が関わっているのだろう。そこで那戦は北漠が混乱している隙を狙い、鴣劾(コガイ)族を使って火に油を注ぐことにした。…大漠344年、麻随が滅び、若問が城主となった黄天狂(コウテンキョウ)兵団は護城軍となり、新号を″汾天(フンテン)″と定める…皇北霜は寝閣に閉じこもり、食事も喉を通らない日々が続いた。しかしその夜、麻随の政変に乗じて鴣劾族が厄娜泣(ヤクナキ)を包囲、水源を絶って緑地の献上を迫っていると知る。夜佩(ヨハイ)から報告を聞いた皇北霜は一念発起、沐浴して食事を頼み、翌朝には城主を訪ねた。「褒美を下さるとおっしゃいました、私を城主夫人にしてください」「その褒美は過分であろう?霍擎雲は運良く生きている」「…あの悪党、刺し方が甘かったようね」すると那戦は手を貸すので仇怨を終わらせるよう提案した。「城主夫人にしてもよい、だがその意味を分かっているのか?」「より強固な同盟になるかと」皇北霜はわざとはぐらかし、厄娜泣を急ぎ移動させて欲しいと頼んだ。霍擎雲は義兄である城主・霍言斉(カクゲンセイ)に帰還の挨拶に向かった。そこで厄娜泣のために援軍を出すよう嘆願したが、那戦の側室の部族を守る筋合いはないと冷たい。「兵符を持っているのはお前だがよく考えるが良い 沙曲に氷蟾(ヒョウセン)を盗ませた件は私で止めている、もし勝手に援軍を出せば…」天都城を守る至宝を盗んだとなれば大罪、公になれば鞭打ち200回の刑となる。しかし霍擎雲は援軍を出す代わりに法の裁きを受けると嘆願した。霍擎雲は雪が舞う寒空の下、鞭打ち刑に処された。一方、晴天に恵まれた雲沛では冊封の儀が執り行われ、皇北霜は那戦の正室となる。しかしその夜、皇北霜は城主の寝閣に入ってもひざまずいたまま、決して寝台に上がろうとしなかった。「拒めば死罪に問えるのだぞ?」「死罪にはできないはず、大漠奇巻を読み解くまでは」足下を見られた那戦はそれ以上、強要できなくなった。「奴の許嫁だと知っていた、まさか奴を捨てて雲沛へ来るとは… 厄娜泣を守って欲しければ夜が明けるまでずっとそうしてひざまずいていろ」刑罰を耐え抜いた霍擎雲は翌朝、ようやく目を覚ました。しかし薬湯を運んできた沙曲の様子がおかしいことに気づく。「隠せずに話せ」「…霜姑娘が城主夫人に冊封されました」体だけでなく心まで深く傷ついてしまった霍擎雲、そこへ城主の内官・劉啓(リュウケイ)が薬の差し入れにやって来た。すると応対に出た沙曲は内官が門主の様子を探りに来たと気づき、追い返してしまう。実は霍擎雲を打った鞭には医者でも見抜けない毒が仕込まれていた。那戦は密偵から霍擎雲が鞭打ちの刑で瀕死だと知り、ご満悦だった。どうせならとどめを刺して逝かせてやれと指示、ある男に白羽の矢が立つ。その頃、若問と格心微は身分を隠して町を散策していた。しかし無能な格爾勁勤(カクジケイキン)を排除してさぞ喜ばれているかと思いきや、民は盗賊に統治などできないと蔑み、盗賊の新城主などばちが当たると嘆いている。若問は強がっていたが、格心微は民思いの若問が珍しく落ち込んでいると分かった。「私を早く城主夫人にしてよ~婚儀は盛大にやるの!」「…夢でも見てろ」「婚礼衣装は私が選ぶから!」そこで格心微はまず外見から城主らしくさせようと、成衣房で若問の衣を揃えた。若問は衣などいらないと言ったが、格心微に懇願されて着替えることにした。すると着替えを手伝った格心微は若問の背中の大きな傷跡を見つける。「この傷、どうしたの?」「さあな」格心微は相変わらずぶっきらぼうな若問にふざけて頭から衣をかぶせた。その時、若問は暗闇の中で幼い頃の恐ろしい記憶が蘇り、動揺して衣を剥ぎ取ってしまう。「どうしたの?驚かせないで」「いや何でもない…」そこへ蛮狐(バンコ)が駆けつけた。厄娜泣が包囲され、那戦と天都が援軍を出したという。「それから…ゴニョゴニョ」麻随の使者・占別(センベツ)の母親が亡くなった。占別は城主のおかげで母を埋葬できたと感謝したが、那戦は母を殺したのが莽流(モウリュウ)だと吹き込む。「莽流の門主は霍擎雲だ、だが霍擎雲は北靖領主、すでに天都に戻ったので報復は難しいな」「敵を打たねば生きる意味はない!」占別は母を人質に取られた経緯から霍擎雲の仕業だと信じて疑わなかった。そこで那戦は何でも斬れるという匕首を授け、報復を果たした暁には自分に仕えて欲しいと頼み送り出す。…霍擎雲よ、愛する女に裏切られる苦しみを味わうのだな…実は那戦が占別に渡した匕首は皇北霜が霍擎雲を刺したあの匕首だった。つづく( ꒪ω꒪)・・・急激に楽しくないw
2025.11.24
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第17話祭酉節(サイユウセツ)の祝宴で皇北霜(コウホクソウ)が麻随(マズイ)の九公主だと暴いた果児(カジ)。雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)は麻随の使者・占別(センベツ)に証言を命じたが、占別は否定した。「我らの九公主は親しみやすく善良、霜夫人のような気高く冷たい人ではない」果児は嘘だと声を荒らげたが、逆に那戦から追及されてしまう。「誰の指示だ?なぜ華玉(カギョク)府に入れた?…答えよ!」果児は言葉に詰まり、結局、那戦から虚言を吐いた罪で処刑を命じられてしまう。悔しそうな真渠幼佳(シンキョヨウカ)の表情を見て思わずほくそ笑む皇北霜。その時、果児が衛兵に引きずり出されながら恐怖のあまりうっかり口を滑らせた。「お助けください!佳夫人、お助けを!」焦った幼佳は釈明しようとしたが、那戦はかん口令を敷いて切り上げてしまう。実は那戦にとって皇北霜の身分が何であろうと関係なかった。大漠奇巻(タイバクキカン)を理解できる天に選ばれし女人を手放すはずがない。しかし散会後、那戦は巫(フ)将軍に占別を追跡させた。霍擎雲(カクケイウン)は母親を人質にして占別に九公主の秘密を守るよう脅していた。占別は居所で待っていた霍擎雲に約束を守ったと報告、母親の解放を迫る。すると霍擎雲は主が変われば麻随も生まれ変わると懐柔した。「お前が判断を誤らねば母親を返してやる」2人の話を盗み聞きしていた巫将軍は部屋から出てきた男を追跡した。真渠幼佳は那戦の書房に押しかけ、皇北霜が嘘をついているのは事実だと訴えた。しかし那戦から若問の姿絵を投げつけられてしまう。城主はすでに例の料理人に成りすました盗賊の正体が若問だと知っていた。「そなたを見る目も改めなければな…」すると那戦は玉芙(ギョクフ)閣での禁足を命じ、幼佳を追い出してしまう。書房に巫将軍が慌てて駆けつけた。占別を追って不審な人物を発見、後をつけると雲芳閣の庭に到着し、そこで姿を消したという。「雲芳閣だと?」「もしや隠し通路でもあるのでは?」「どんな男だった?」「体格は私と同じくらい、色白で顎にほくろが…」那戦はどこか見覚えがあると気づき、天都(テント)の密偵から届いた肖像画を持ってこいと命じた。「はっ!城主!この者でした!」「天都の北靖(ホクセイ)領主・霍擎雲nnnnnnnnnn!」那戦は祭りの演者や通渠工の中によく似た男がいたと思い出し、激怒した。「護衛軍は何をしている!役立たずめ!盗賊が自由自在に出入りしていたとは!」∑(⊙∀⊙)ヒャーーー!イールン危うし!一方、若問たちは華羽(カウ)将軍の手引きで難なく麻随に侵攻、和煙(ワエン)府を落とした。承恩閣では伏兵に囲まれるも若問は見事な武功で一掃する。そこへ蛮狐(バンコ)たちが生け捕りにした格爾勁勤(カクジケイキン)を連行してきた。格爾勁勤は麻随の城印を差し出して命乞いしたが、隙をついて隠し持っていた短剣を取り出し、格心微を人質にしてしまう。しかし若問は首を傾げた。「ん?待て、お前の姪だろう?」「姪だと?…私が格心微と母親の顔を間違えると思うか?!」焦った格心微は短剣を奪って反撃しようとしたが、若問に止められてしまう。「あとで役立つかもしれぬ」色々ご活躍でしたが…カットでw霍擎雲は若問たちが麻随を攻略したと知った。これで皇北霜の願いが叶ったが、次は母の敵である天都を狙うだろう。一方、那戦も麻随が陥落したと聞いた。確かに予想より早かったが、特に慌てる必要はない。その時、隠し通路を探していた巫将軍が駆けつけた。華玉府の地下には密道が張り巡らされていた。那戦は15年も隠し通路を知らなかったことに衝撃を受けたが、何より西側の通路が雲芳閣の衣装棚に通じていると分かって呆然となる。その頃、皇北霜は中庭で天を仰ぎながら、父に敵を討ったことを報告していた。…父親、この乱世で私を助け、守り、大事に愛してくれる人がいる彼に惹かれる気持ちを止められない…すると霍擎雲が現れた。「もう行こう」手に手を取って幸せな未来への第一歩を踏み出そうと決めた2人。しかしそんな2人の様子を那戦がこっそり見ていた。「君が危険な道を歩む必要はない、君の望みは私が代わりに叶える」「でもいいの?チンユン、私といれば雲沛も天都も敵になるのよ?」「天都もか…でも君さえいればいい、天下を敵に回しても構わないよ」しかし今は雲沛を脱出することが先決、霍擎雲は天都に戻ってから全て明かそうと決めた。「すぐに出よう!」「いいえ、明日、居雲閣(キョウンカク)で」皇北霜は荷物をまとめ、これまで支えてくれた廉幻(レンゲン)と夜佩(ヨハイ)に有り金を全て持たせた。「ここを去ればさすらいの日々が始まる、あなたたちには自分のために生きて欲しい」夜佩は離れたくないと泣きついたが、廉幻は黙って従おうと諭す。「娜袖、私たちは後から出ます、もし城主が来ても時間を稼げますから」「どうか無事で」翌朝、霍擎雲は願掛けの木を眺めながら皇北霜が来るのを今か今かと待っていた。「擎雲!」「霜R!」すると皇北霜が身一つで居雲閣へ続く水廊を駆けてくる。霍擎雲は皇北霜を抱きしめ喜んだが、その時、右胸に激痛が走った。「北靖領主、いつまで騙すつもりだったの?」実は皇北霜が隠し通路から府外へ脱出した時、那戦が待ち伏せしていた…『恐れるな、お前の望みは知っている、引き止めはしない、だがその前に伝えたいことがある』あれは1年前のこと、麻随の城主・格爾勁勤から文が届いたという″九夫人と公主が助けを求めてきた際、2人を殺せば麻随は永遠に雲沛に従う″天都が同じ文を受け取ったかは定かでないが、後に九夫人が天都で矢に射られて亡くなったと聞いたその命令を下したのは、確か天都の北靖領主だという『お前はまだ知らぬのだろう、その北靖領主の名は霍擎雲だ』…霍擎雲は皇北霜が自分を母の敵だと知ったと分かった。まさか皇北霜へ贈った護身用の短剣で自分が刺されることになるとは。その時、皇北霜が短剣を抜き出し、鮮血が顔に飛び散った。「最初から私を利用していたのね、全て策略だった」「言い逃れはしない、ともかくここを去るんだ、雲沛を出たら私を好きにすればいい」しかしこのままでは居雲閣を包囲している射手が矢を放つだろう。そこで皇北霜は霍擎雲をじりじり追い詰め、再び胸を刺して池につき落とした。「ファンジィェン(放箭)!」↓yeah!からのグサッ!Σ(꒪꒫꒪ )オゥフ…霜夫人の合図で射手が駆けつけ、池に向かって一斉に矢を放った。そこへ那戦が現れる。「実に喜ばしい、敵を討てたな」帰りの馬車の中、那戦は皇北霜の顔についた血を拭き取りながら、褒美を授けると言った。皇北霜は自分の裏切りを知りながら責めないのか聞いたが、那戦は全て水に流してもいいという。「今まで通り…協力相手だ」「私を信じられるのですか?」「信じる、それともまだ奴に愛情が?」「私の情があなたに関係ある?」「質問に答えてくれ」「もう答えたわ」一方、麻随では若問たちが祝杯を上げていた。配下たちは若問を城主と呼ぼうと盛り上がったが、若問に止められてしまう。「俺に考えがある」「老大?まさか…」その時、格心微は若問がまだ皇北霜に執着していると気づいた。雲芳閣へ戻った皇北霜。心のどこかで霍擎雲が生き延びていると信じ、やはりまだ遺言を開けられない。一方、巫将軍は居雲閣の池をさらっても霍擎雲の亡骸が発見できなかったと報告した。しかし池とつながる川沿いを捜索中に別の発見があったという。「居雲閣は莽流(モウリュウ)の拠点だそうです」那戦は霍擎雲が北靖領主であり莽流の門主だと知った。「生死は問わぬ、必ず見つけろ、隠し通路もふさげ、存在を誰にも知られずにな」つづく(ノ*>∀
2025.11.23
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第16話容豁(ヨウカツ)を連れ出したのは巫季海(フキカイ)に変装した明智小五郎…否、イールンだったwあの日、互いにまだやり残したことがあると雲芳(ウンホウ)閣へ戻った皇北霜(コウホクソウ)。そこで霍擎雲(カクケイウン)の任務に協力し、巫将軍になり済まして容豁を救出する計画を思いついた。『草薬篇によるとこのお面は水で溶けるから注意して 那戦(ナセン)は毎晩、亥の刻に巫季海を相手に一局だけ碁を打つわ 巫季海は碁が苦手だからすぐ負ける、長くても線香が燃え尽きるまでよ この機を狙うの、油断しないで…』皇北霜は将軍の甲冑と佩剣の模造品、城主の偽の令状を用意した。しかし問題は令牌だという。すると霍擎雲がかつて巫将軍に追撃された際、令牌を見たことがあると言った。『莽流(モウリュウ)門なら準備できる』そして当日の夜、皇北霜は露台から成功の合図となる花火が上がるのを見た。霍擎雲の尽力によりついに解放された容豁。しかし再会の喜びも束の間、霍擎雲から北靖領主宛てに届いた奏状を見せられ憤った。実は那戦は私欲を満たすため小部族に重税を課し、さらに盗賊に扮した紅衣騎兵に略奪させているという。「これからどうするつもりです?」「この恨みは血で償わせる、砂漠の民のために… 豁伯、私の本当の身分を知るのはあなただけ、詔書を見つけましょう」「分かりました」とは言ったものの、詔書の在りかを知っているのは15年前に砂漠で姿を消した兄・蓉若(ヨウジャク)だけだった。一方、那戦は容豁が連れ去られたと知り激怒。偽物の巫将軍と気づかず通してしまった衛兵を殴り殺し、直ちに城門を閉めて捜索するよう命じた。すると麻随(マズイ)から援軍を請う親書が届く。しかし那戦は目を通すと燃やした。「1度、助けてやった、あとは運に任せよう」その頃、若問(ジャクモン)率いる黄天狂(コウテンキョウ)が麻随に迫っていた。雲沛(ウンハイ)から何の返答もなく、追い詰められる城主の格爾勁勤(カクジケイキン)。そこで雲沛に直接、使者を送って援軍を頼む一方、若問には和議の印として重臣の美しい姉妹を献上すると決めた。「もし娘たちに何かあれば華羽(カウ)将軍が黙ってはおるまい…」皇北霜は霍擎雲と居雲閣(キョウンカク)で接触した。容豁はすでに城外へ出たという。「もう心配ない…」すると霍擎雲が中庭の願掛けの木に掛けた赤い布を皇北霜に見られてしまう。「可愛いところもあるのね」「笑うな…君こそ、あの縫い付けていた布は?」「夜佩(ヨハイ)に聞いたわよ?私が死ぬと思って泣き崩れてたって」しかし2人の穏やかな時間も終わりが近づいていた。「じきに出て行く、君も一緒に来ないか?」「やるべきことがある、行けない」霍擎雲は皇北霜を独りで残すことはできなかった。「望み通り麻随は落ちる、緑地も大漠奇巻(タイバクキカン)も私が手に入れる」「母の故郷である厄娜泣(ヤクナキ)の救済は私の使命、あなたの命も守らなくては もし私がついて行ったら那戦は私たちを殺すわ」「構わない!」「…もう戻るわね」巫将軍が若問の絵姿を持って来た。那戦は玉芙(ギョクフ)閣にいた料理人だと思い出して怒り心頭、しかし若問が麻随攻めに向かっているなら容豁を連れ去ったのが別人だと分かる。巫将軍はすでに当時の衛兵を調べたが、何も見つからなかった。「つまりまだ府内にいるのか?」その時、麻随からの使者・占別(センベツ)が駆けつけた。占別は援軍を嘆願、しかし城主と巫将軍はかえって若問を奮い立たせてしまうと警告する。「見捨てるつもりはないが、周到に準備しなくてはな」那戦は適当にあしらって寝閣を出て行ってしまう。占別は回廊で偶然、九公主・格心微(カクシンビ)を見かけた。喜んだ占別は九公主に口利きを頼もうと声をかけたが、人違いだとあしらわれてしまう。その様子を運悪く真渠幼佳(シンキョヨウカ)の侍女・小怜(ショウレイ)が見ていた。真渠幼佳は占別の部屋を訪ね、自分と手を組まないかと持ちかけた。霜夫人が九公主だと暴いてくれるなら真渠から援軍を送って時間を稼いでもいいという。占別は何の話か分からないとごまかしたが、幼佳はもし寵愛される夫人の故郷が危険だと分かれば城主も助けてくれると懐柔した。「だが…九公主が欺瞞の罪に問われてしまう」「罪を逃れる方法などいくらでもあるわ、それとも民を見捨ててまで公主を守るの?」若問の軍営に麻随の使者が現れた。使者は和議を申し出て美人姉妹を献上、若問は和議を一蹴したが、姉妹だけ受け入れる。嫉妬した格心微は矢も盾もたまらず若問の天幕を探りに行った。すると若問がちょうど自分の寝首を搔こうとした2人を捕まえる。姉妹は若問の暗殺に失敗、死を覚悟した。しかし若問の女が格心微だと知り、態度が一変する。「あなたが九公主?!…我が一家は公主のお帰りを待ち望んでいました!」実は華羽将軍は格爾勁勤への忠誠を拒んでいた。娘たちを守るため従順なふりをしながら、父娘の確執を演じていたという。「父親は公主が麻随に戻ったら共に奸臣を一掃するつもりでした! …でも公主はなぜここに?」「父親も母親もこの世を去り、絶望の淵にいた私は敵討ちを誓ったわ そんな時、若問と出会ったの…ウッ…」若問は笑いをこらえるのに必死だったが、これで麻随に入城できる手はずが整った。その夜、霍擎雲は隠し通路からこっそり雲芳閣へ潜入、眠っている皇北霜を抱き上げて連れ去ることにした。しかし寝たふりをしていた皇北霜にばれてしまう。「やはりダメか…」「香は自分で調合しているの、催眠香が入っているとバレバレよ~ふふ」霍擎雲は仕方なく皇北霜を降ろしたが、占別は危険だと警告した。すると皇北霜は彼の弱みを知っているという。( ・ノェ・)<ゴニョゴニョゴニョ…祭酉節(サイユウセツ)までにお願い2日後の祭酉節の祝宴。真渠幼佳は何も知らずに列席している霜夫人の様子を見てほくそ笑んだ。すると計画通りある娘が宴席に飛び込んでくる。「城主大人!厄娜泣使節団の果児(カジ)です!黄天狂(コウテンキョウ)から逃げて来ました! ご報告したいことが…和親に来た娜袖の身分は偽りです!」果児は絵姿を示し、これが厄娜泣の娜袖だと訴えた。「城主のおそばにいる厄娜泣の娜袖は替え玉なんです!」ザワザワ…>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<ザワザワ…果児は皇北霜を指差し、彼女の本当の身分は麻随の九公主だと暴いた。しかし皇北霜は顔色ひとつ変えず、叱られた腹いせなのかと呆れる。「同じ使節団の廉幻(レンゲン)と夜佩を呼んでください」廉幻と夜佩が宴席に呼ばれた。果児の姿を見た2人は驚愕、黄天狂に下った裏切り者だと激しく非難する。すると旗色が悪くなった果児は麻随の使者なら証明できると訴えた。那戦は早速、占別を御前に呼び、事実を明らかにするよう迫ったが…。つづく( ˶´꒳`˵ )イールンとハニーちゃん可愛いわ~好きだわ〜♡
2025.11.22
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第15話ようやく若問(ジャクモン)から解放された真渠幼佳(シンキョヨウカ)。しかし玉芙(ギョクフ)閣の金目の物を全て奪われ、城主に知られる前に親告すると決めた。幼佳は中秋節の祭りの後、賊が真渠の料理人を装って府内に侵入、料理対決に勝たせると言われてすっかり騙されたという。「何ということだ…何者だ?」「分かりません」幼佳は若問だと知れたら殺されると怯え、嘘をついてしまう。すると那戦は一線を越えたのかと疑った。幼佳は命に代えても密通していないと否定し、追及されずに済む。一方、雲沛(ウンハイ)を去ろうとしていた若問は莽流(モウリュウ)門から麻随(マズイ)の情報を受け取っていた。砂漠にしては珍しく雨が続いた。霍擎雲(カクケイウン)は恵みの雨を喜び、蜃気楼を見た者もいると話したが、皇北霜(コウホクソウ)の表情が一変する。実は気候篇に長雨は陰陽の均衡を崩すとあった。砂漠が湿地のようになると瘴気が広がり、蜃気楼が起こりやすいという。「疫病が蔓延するかも…」皇北霜の嫌な予感は的中した。洗衣坊の奴婢たちの間で流行り病が広がり、2日と経たず大半が倒れてしまう。報告を聞いた那戦は各府を封鎖、その知らせはすぐ雲芳(ウンホウ)閣に届いた。その夜、皇北霜は衛兵に成りすました霍擎雲と一緒に洗衣坊へ向かった。隔離された患者の様子をのぞき見た皇北霜は傷寒病(チフス)だと気づき、雲芳閣で自ら薬を準備する。しかし各府が封鎖されたにも関わらず、病は広がり続けた。霍擎雲はふと水が原因ではないかと思いつき、洗衣坊から出る汚水が感染源だと気づく。「溜まり水を取り除かないと触れれば移ってしまう、排水路が必要だ」霍擎雲は莽流門に任せろと言って出かけてしまう。皇北霜は隔離された患者たちを独りで介抱した。一方、沙曲(サキョク)は那戦が募った通渠工と配下をすり替えることに成功、霍擎雲はこの機に乗じて容豁(ヨウカツ)の居場所を探ることにする。すると地下牢に雨水が流れ込んだせいで巫(フ)将軍が容豁を別の場所へ移動させているところを目撃した。容豁の居場所を突き止めた霍擎雲は雲芳閣へ戻ることにした。しかし隠し扉が開かず、仕方なく別の通路から潜入して雲芳閣へ駆けつける。すると廉幻(レンゲン)と夜佩(ヨハイ)が回廊で心配そうに控えていた。「薬を研究するから誰も近づくなと…実は城主が洗衣坊の奴婢を殺すと言ったのです 娜袖(ナシュウ)が助けに向かい、7日以内に根絶させると誓約しました」その時、部屋から物音がした。霍擎雲が慌てて駆けつけると皇北霜が倒れている。「大丈夫か?!」「近寄らないで、どうやら感染したみたい」「私は覇酒を飲んでいるから平気だ…君に何かあったら気が変になる どうしたら良いか教えてくれ」すると皇北霜は机の上にある薬箋を煎じて飲ませて欲しいと頼んだ。しかし薬を飲ませても皇北霜の熱は下がらず、霍擎雲は沙曲に居雲閣(キョウンカク)へ神医を呼ぶよう指示する。「廉幻、夜佩、万一の時は戻らない、君たちは…」「一緒に行きます」居雲閣では神医とは思えない風貌の男が待っていた。医者によれば皇北霜は流行り病ではなく、短期間に薬を多用したせいで五臓に毒が溜まっているという。確かに皇北霜は奴婢たちのために薬を調合しては試飲を繰り返していた。すると医者は霍擎雲が天都(テント)の絹糸で織られた高価な外套をまとっていることに気づく。「天都の氷蟾(ヒョウセン)をもらおう」氷蟾と言えば天都の至宝、しかし皇北霜の命には換えられず、霍擎雲は沙曲に急ぎ持ってくるよう命じた。あれから5日が経った。筑俊(チクシュン)は雲芳閣に動きがないことから、もしや霜夫人も感染したのではと懸念する。しかし那戦はまだ2日、残っていると言った。「もう少し待て」その夜、目を覚ました皇北霜は外の空気が吸いたいと頼んだ。憔悴した皇北霜を連れて中庭に出た霍擎雲。皇北霜は自分の命がわずかだと悟り、緑地で霍擎雲と共に暮らしたかったと吐露した。「はお、君が治ったら新しい緑地へ連れて行く 種を撒き、作物を収穫し、家を建て、部屋からは赤子の鳴き声が聞こえる やがて部屋にいる私は年を取って足腰が衰えるんだ」「ふふ、長い年月を一緒に過ごしたわね…老いた私はもう立てない…」皇北霜は自分たちの未来を想像しながら、袂から文を取り出した。「私が見つけた大漠奇巻(タイバクキカン)の秘密よ、あなたの役に立つかも…まだ半分だけれど」「残りの半分を待つよ」「ずっと隠していたことがあるの…私は厄娜泣(ヤクナキ)の娜袖じゃない、麻随の九公主よ 雲沛に来たのは敵討ちのため、私の母は天都の城壁の外で死んだわ チンユン…私の望みはひとつ、どうか私に代わって厄娜泣族の面倒を見て これでようやく胸のつかえが取れた、もう隠し事はない」その時、皇北霜は急に意識を失ってしまう。「皇北霜、もし恨みを手放してくれるなら、どこへ行こうと君を見つけよう 何があろうと君から離れない」( ;∀;)アァァァァァァァ~絵になるわ♡霍擎雲は虫の息となった皇北霜を寝台に寝かせた。すると夜佩が皇北霜の衣に縫い付けてあった″君を想う″の布切れを見せてくれる。その時、神医が氷蟾を手に入れた沙曲と一緒に戻ってきた。「お主は知らぬのだな、氷蟾を要求したのは欲からではない、薬効を増強させるからだ」翌朝、皇北霜の熱が下がった。すると目が覚めると同時に喀血、毒を吐き出すことに成功する。喜んだ霍擎雲はこの機に雲沛を離れようと提案したが、皇北霜は拒んだ。「まだ行けない、お互いにやり残したことがあるわ」約束の7日が過ぎた。那戦は皇北霜が元気な姿で奴婢たちを脈診する様子を眺めながら、すでに各府の病人たちもほぼ全快したと知る。那戦の期待通り、やはり皇北霜は天に選ばれし者だった。その夜、巫季海(フキカイ)が容豁の軟禁場所に現れた。「巫将軍?…今時分は城主と対局しているはずでは?なぜ見回りに?」「開けろ、城主が容豁と話したいそうだ」巫季海は将軍の令牌と城主の命令書を渡し、隠し部屋へ向かった。巫季海は容豁を馬車に乗せて密かに華玉府を出た。やがて馬車から降ろされた容豁は、出迎えた沙曲たちの姿に困惑する。すると霍擎雲は巫将軍のお面を剥がした。つづく( ๑≧ꇴ≦)ここでお約束の疫病と明智小五郎がwww
2025.11.21
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第14話その夜、真渠幼佳(シンキョヨウカ)は若問(ジャクモン)の指示で雲芳(ウンホウ)閣の様子を探りに行った。夜佩(ヨハイ)は主なら沐浴中だと断ったが、幼佳は女同士なら問題ないはずだと強引に入ってしまう。実は沐浴していたのは霍擎雲(カクケイウン)だった。皇北霜は咄嗟に霍擎雲を湯の中に沈め、佳夫人を追い返そうとした。しかし幼佳は霜夫人が料理対決の秘策を隠していると疑って居座ってしまう。その時、息が苦しくなった霍擎雲が顔を出した。皇北霜は思わず霍擎雲に口移しで息を吹き込みながら沈め、何とかやり過ごし難を逃れる。すると霍擎雲は危うく死ぬところだったと笑った。「死にたくなければもう出て行って」「また戻って来ても?」「その必要はないはずよ」「料理対決に勝って緑地を得たくないと?」( ๑≧ꇴ≦)イールンwww若問が麻随(マズイ)攻略法を考えていると真渠幼佳が戻って来た。皇北霜はちょうど沐浴中だったが、慌てている様子だったという。「早々に追い出されました、もうすぐ対決なのに何も準備していなかった、何か小細工でも?」「気にするな、どうせ勝てやしない」翌日、霍擎雲は隠し通路から皇北霜を連れ出し、ある民家を訪ねた。民家にいたのは那戦(ナセン)の元厨師・谷(コク)。腕は良かったが気難しい性格を疎まれて隠居したという。霍擎雲は城主の好きな料理を教えて欲しいと頼んだが、門前払いだった。「強硬手段に出るしかないか…」「無理強いしないで、別の方法を」皇北霜は帰ることにしたが、その時、庭先にある薬草を見て足を止めた。「これは…藿葉(カクヨウ)ね、草薬篇で見たわ、熱を下げる薬草よ、食材にもなる 砂漠ではめったに見かけないわ、土壌の通気性が悪いから生育がよくないのね」その話を耳にした谷先生が部屋から出て来た。「土のせいなのか?」すると谷先生は助言を得たお返しに那戦が好きだった千絲貴(センシキ)の作り方を教えてくれた。( ˶´꒳`˵ )好きだわ~楽しいわ〜♡霍擎雲は皇北霜としばし町を散策することにした。すると泥人形の露店にはなぜか2人とそっくりな人形、掛け物の店には出会った頃の2人の絵姿に皇北霜の詩を入れた書画がある。「ふふ、よく準備したわね」「まだある、連れて行きたい場所が」↓泥人形?w霍擎雲は皇北霜を砂漠の樹林へ案内、かんざしを贈った。「チンユン、出会ってくれてありがとう、今日のことは一生忘れないわ」霍擎雲はさらに書簡を渡した。「ベイシュァン、今は開けないでくれ、これは私の遺書だ 私にはもう親族がいない、託せるのは君だけ、約束してくれ、私が死ぬまでは開けないと」「約束する、もう言わないで」霍擎雲は皇北霜を抱きしめ、唇を重ねようと顔を近づけたが、そこへ格心微(カクシンビ)が現れた。「いいところだったのに(ボソッ)彼女が君への最後の贈り物だ」すると霍擎雲は華玉(カギョク)府へ入れても若問を連れ出せるかは格心微次第だと言った。「大丈夫よ、じゃあ彼女を借りるわね!」久しぶりに再会した格心微と皇北霜は楽しそうに城内へ戻って行った。「麻随城で極楽鳥を飼い慣らしていたの、用がある時は鳥文を使って」「麻随城?もうお世話になることはないわ~」「ふふ、きっとすぐ行くことになるわよ?」明日の料理対決を前に皇北霜は雲芳閣に大きな箱を運び込んだ。様子をうかがっていた若問はその夜、こっそり中身を調べに向かったが、食材の魚だと分かる。拍子抜けして嫌がらせに持っていた酒を入れて帰った若問。すると道すがら侍女になりすました格心微に捕まった。「何しに来た?」「私がいなくて困っているのでは?…私は料理が得意なの」翌朝、廉幻と夜佩が箱を開けると魚が死んでいた。砂漠で魚を手に入れるのは一苦労、今から探しても間に合わない。しかし皇北霜は酒の匂いに気づいてある方法を思いついた。格心微の料理の腕は本物だった。邪険にしながらも不思議と格心微と息が合う若問。こうして格心微が作った蒲盧鴨(ホロカモ)は佳夫人の料理として城主に献上された。那戦も納得のいく味わいだったが、次に千絲貴が運ばれる。懐かしそうに顔をほころばせる那戦。「だがやはり味が違う…これも佳夫人か?」「いえ、これは霜夫人です」那戦は皇北霜を呼んで話を聞いた。「酒の風味を感じるな」「千絲貴は粘りが出るまで魚をたたいて麺にしますが、半刻ほど酒に浸して乾燥させました 風味は損ないますが、保存が利きます、これなら食べたい時に蒸して食べることができます」この麺が決め手となって勝負はついた。しかしそこへ巫(フ)将軍が慌てて駆けつけ、盗賊に緑地を奪われてしまったと報告する。「討伐兵を出しました、勝者に緑地を与える件はひとまず延期に…」「仕方がない、夫人には褒美の品を出そう」那戦は表向き巫将軍を叱ったが、皇北霜は城主の思惑に気づいていた。…雲沛(ウンハイ)には他にも緑地がある、私を警戒しているから与えないのね…一方、霍擎雲は居雲閣(キョウンカク)で沙曲(サキョク)の報告を聞いていた。実は黄天狂(コウテンキョウ)が兵馬を集め、武器庫を襲う以前から麻随に精鋭隊を潜ませていたという。「北へ進軍するつもりです、阻止しますか?」「諸刃の剣も使い方次第だ、麻随の情報を与えてやれ」霍擎雲は麻随城主の首をすげかえて雲沛を牽制できる勢力を増やそうと企んだ。皇北霜が雲芳閣に戻ると若問が待っていた。「魚を死なせたのはあなたね」「こうなった以上、勝敗はどうでもいいだろう?どうせ那戦は何も与えやしない」若問は那戦といても皇北霜の望みは叶わないと説得、自分と一緒に行こうと懐柔した。しかし皇北霜はまず自分と対局して欲しいという。「碁を打てばその人となりが分かるのよ」皇北霜は敵討ちに若問を利用しようと麻随への侵攻を煽った。和南客桟で麻随の地図を手に入れ、祭りで襲撃を計画したのも強い野心があるからだろう。すると若問は確かにずっと計画を練っていたと認めた。「私は手助けしたいだけ…いつ動くつもり?」「10日以内」「1ヶ月で落ちる?」「そうしたら迎えに来る、だが言っておく、俺を意のままに操れると思うな」巫将軍は今さらながら東の武器庫が襲われ、箱の中身が空だと知った。早速、城主に報告、秦奪(シンダツ)が殴り殺された酔香楼を調査したところ、女将が蛮狐(バンコ)という名前を聞いたという。「城主、蛮狐とは黄天狂の副頭目です」巫将軍は祭りの時の口笛や蔵書閣の一件に若問が関与していると気づいた。「徹底的に調べよ、我が雲沛で盗賊が問題を起こすなど許せぬ…」一方、華玉府に留まる理由がなくなった若問は出て行くことにした。そこで格心微と一緒に寝閣にある金目の物を箱に詰め始める。真渠幼佳は必死に止めようとしたが、若問は料理対決の報酬だと言って取り付く島がない。つづく
2025.11.20
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第13話霍擎雲(カクケイウン)は皇北霜(コウホクソウ)が酔い潰れている間に隠し通路で密かに沙曲(サキョク)と接触した。やはり容豁(ヨウカツ)はもう蔵書閣にいないという。沙曲は皇北霜と縁を切らねばいずれ災いになると心配したが、霍擎雲はそんな日は来ないとはぐらかした。「ついでに麻随(マズイ)で岳記(ガクキ)の蒸し菓子を買って来てくれ、急いで」皇北霜は二日酔いで目を覚ました。そこへ霍擎雲が酔い覚ましを持ってやって来る。「昨夜の話を覚えているか?」「あなたが郎君を探しているとか…私が母親に隠れて岳記米酒を飲んだとか… その店の蒸し菓子が食べたいとか…?」皇北霜は本音を明かしたことを覚えていたが、失態をごまかすため知らないふりをした。すると霍擎雲は急に皇北霜を抱き寄せ、いたずらっぽく笑う。「思い出させてやる」「お互いに使命を果たすべきだと言われたことは覚えてる」「酔っぱらいの戯言だ」「ええ、私も戯言だったの」その頃、真渠幼佳(シンキョヨウカ)は本性を現した若問(ジャクモン)に脅され、こき使われていた。侍女は蔵書閣の一件も若問ではないかと疑い、城主に報告するよう進言したが、幼佳は自分まで巻き込まれると反対する。そこで矛先を皇北霜へ向けようと思いついた。「機転が利く者を厄娜泣(ヤクナキ)へ送って、皇北霜の内情を探らせるの」一方、酔香(スイコウ)楼では格心微(カクシンビ)が酒楼に出す料理を試食していた。「…華玉(カギョク)府の老大も美味い物にありつけているかな」狼頭(ロウトウ)はうっかり口を滑らせ、格心微に若問の居場所を知られてしまう。皇北霜は霍擎雲に料理の味見を頼むことにした。「出来たわ」「行くよ」すると霍擎雲は廉幻(レンゲン)が落としてばらけてしまった積み木を球体に戻して持ってきた。「前の住人が残した玩具みたい、何度やっても駄目だったの」「簡単さ」まさかこの玩具が霍擎雲が遊んだ物だと知る由もなく、皇北霜は早速、霍擎雲の口に料理を運んだ。「君にも苦手なことがあるんだな…でもどちらかができるなら問題ない」那戦(ナセン)は巫(フ)将軍に麻随と天都(テント)の様子を聞いていた。特に異常はなかったが、ただ黄天狂(コウテンキョウ)の若問が砂漠に姿を見せなくなったという。雲芳閣にも変わった様子はなく、毒矢が刺さった賊も今夜が峠のはずだった。「今夜か…」その夜、霍擎雲は出かけたきり雲芳閣に戻ってこなかった。廉幻から今夜は侍衛や射手が多いと聞いた皇北霜は心配になって探しに行こうとしたが、前触れもなく那戦が現れる。「お急ぎか?」「料理対決に備えて膳房へ食材を取りに…」「寒いから明日にしておけ」すると那戦は皇北霜の手を取り、部屋に連れて行った。那戦は皇北霜に夜伽を強要した。「あの夜のことを私が知らぬと?…おとなしく仕えれば過ぎたことは咎めぬ」「城主、本当に何も知りません」驚いた皇北霜はかんざしを抜いて首に突きつけ、身の潔白を証明すると言った。那戦は戯言だと失笑、無事に夜伽を済ませたら緑地と気候篇を与えるという。寝台に押し倒され、絶体絶命の皇北霜。その時、手の平の傷が開き、包帯に血がにじんでいることに気づいた。皇北霜はわざと那戦の手に触れ、血をつけてしまう。縁起が悪いとされる血のせいで那戦は興が覚めた。「夫人としての自覚に欠けているようだ、この婚姻が屈辱とでも?」「城主にお仕えする夫人は千差万別、私は大漠奇巻(タイバクキカン)についてお役に立てるかと それぞれ異なる花を咲かせ、寂しい屋敷を彩るのです、どうか最後の誇りを守らせてください」確かに皇北霜は那戦にとって得難い存在だった。「はお、大漠奇巻を読み解けたら厄娜泣の平和を約束する 今日限りお前は妻ではない、夫人とは名ばかりの協力相手となる」その話を偶然にも酒を手に入れ戻って来た霍擎雲が聞いていた。霍擎雲は那戦が帰ると慌てて寝所に入った。しかし皇北霜から拒まれてしまう。「来ないで、独りにして」霍擎雲は床に落ちていた腰紐に気づき、結局、差し入れの酒だけ置いて引き上げるしかなかった。霍擎雲は皇北霜を案じながら気候篇を書写し、気がつくと朝になっていた。そんな門主を案じながら、沙曲はふと2人の出会いを思い出す。当時、沙曲の和南客桟に突如、正体不明の男が現れた。男は沙曲の父親が曲震(キョクシン)で、追っ手から逃れるために沙曲と改名したことも知っているという。『那啓達(ナケイタツ)の側近だった曲震は那戦が簒奪したと疑い、臣下100余人の血書を携え公に抗議 しかしその夜、曲震一家は斬殺された、血書に名を連ねた者も相次いで死亡…』『あんた、誰だ?』『復讐を手伝いにきた』その日は珍しく雨になった。回廊でしばし雨を眺めていた皇北霜、やがて部屋に戻ると岳記の蒸し菓子がある。喜んだ皇北霜は早速、口に運ぼうとしたが、その時、雷鳴がとどろき、驚いて菓子を放してしまう。「心配ない、私がいる」背後から不意に現れた霍擎雲はそっと皇北霜の肩を抱き、書写した気候篇を贈った。霍擎雲は皇北霜の機嫌が直っていると知って安心した。そこで沙曲が辺境で討った盗賊の一団から手に入れた密書を渡す。…皇北霜の身分は偽り…密書には真渠の印章があった。霍擎雲は莽流(モウリュウ)がいるので問題ないと安心させたが、皇北霜は霍擎雲が自分を正体に気づいていたことに困惑する。その時、中庭から夜佩が若問が来たと叫んだ。「今は争わないで」皇北霜には何か計画があるのか、霍擎雲は衝立の後ろに追いやられてしまう。突然、若問が現れた。若問は霍擎雲が聞いているとも知らず、門主を救った見返りに自分についてくるよう迫る。「なぜ奴を助けたと思う?俺が殺すからだ」若問は料理対決に自信を見せて帰ることにしたが、運悪く那戦がやって来た。驚いた若問は咄嗟に脇の部屋に逃げ込み、霍擎雲と鉢合わせしてしまう。那戦は皇北霜に気候篇を届けた。そこで皇北霜は麻随なら解馬樹(ゲバジュ)を大量に栽培できると訴え、麻随を攻めてはどうかと進言する。那戦は樹木のために戦など馬鹿げていると一蹴、事を急いている皇北霜を訝しんだ。「なぜ急に政に興味が?…格爾勁勤(カクジケイキン)など小物に過ぎぬ」「無用な口出しでした」「気候篇はお前にやろう、失望させるな」皇北霜は復讐に那戦を使えないと分かり、他の方法を考えることにした。その時、衝立の後ろで一触即発になっていた霍擎雲と若問が現れる。呆れた皇北霜は自分を不快にさせるなら若問も道連れだと脅して追い返したが、霍擎雲にも冷たい視線を向けた。(´・_・`)<いや…あっちが最初に手を出したんだわ真渠幼佳は若問に料理対決で負けてしまうと泣きついた。すると若問は自分に不可能などないと安心させる。「…そうだ、皇北霜の寝閣を見てこい」つづく( ๑≧ꇴ≦)イールン、すっかり住み着いちゃってるしw明らかに話がおかしな方向へ行ってるwwwでもいいの、ハニーちゃんとイールンだから〜
2025.11.19
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第12話軟禁された容豁(ヨウカツ)を連れて密室から脱出した霍擎雲(カクケイウン)。しかし待ち伏せしていた巫(フ)将軍が立ちはだかった。「やはりかかったな…」実は日中、容豁を訪ねた那戦(ナセン)は帰り際、踏み台に残った足跡を見逃さなかった。罠だと知った霍擎雲は咄嗟に容豁を密室へ戻し、逃げ惑う。その様子を物陰から若問(ジャクモン)が見ていた。巫将軍は霍擎雲の腕を斬りつけたところで射手を呼んだ。絶体絶命の霍擎雲、その時、若問が本棚を倒して巫将軍たちの気を引いて脱出。霍擎雲はその隙に窓から逃げ出したが、背中に兵士の放った毒矢が命中した。那戦は巫将軍から報告を聞いて黒装束の賊を追った。すると雲芳(ウンホウ)閣の庭で血痕が途切れている。その頃、皇北霜(コウホクソウ)は中庭に逃げ込んで来た霍擎雲を保護、夜佩(ヨハイ)と廉幻(レンゲン)に頼んで屋敷に運び込んでいた。しかし手当てする間もなく那戦が乗り込んでくる。「賊が侵入した、無事か?」「部屋にいたので気づきませんでした」那戦は部屋の中を見回していたが、その時、衣装棚の中で物音が聞こえる。「ねずみでしょうか?」焦った皇北霜は那戦が棚を調べに向かったわずかな隙にかんざしで自分の手の平を切りつけた。那戦は衣装棚を開けてみたが、怪しい点は見つからなかった。しかし扉に血がついていることに気づき、思わず皇北霜の腕をつかんで追及する。すると皇北霜の手の平から血が出ていることに気づいた。「棚を開ける際、金具で切ってしまったのです」その頃、危ないところで隠し扉から脱出した霍擎雲は秘密の通路で倒れていた。皇北霜は霍擎雲を部屋に連れ戻して手当てした。しかし霍擎雲は自分を助けるために皇北霜が手を切ったと知って良心が痛む。「私にそんな価値はない、誰のためでも危険を冒すな、私は善人ではない…」すると霍擎雲は気を失ってしまう。一方、千載一遇の機会を逃した那戦は怒り心頭だった。こつ然と姿を消した黒装束の男。巫将軍の話では蔵書閣で賊の脱出を助けた者がいたという。那戦は雲芳閣への疑念を拭えずにいたが、ともかく今夜中に容豁を地下牢へ移すよう命じた。皇北霜は霍擎雲がやはり今回も毒に侵されていないと気付いた。その時、霍擎雲が目を覚ます。「君は那戦に疑われている、危険だ、すぐ出て行くよ」「このまま野垂れ死されても気分が悪いわ、完治したら出て行って でもどうして私があげた防具をつけていないの? これからは常に着用して、必要ないなら返して」「…分かった」それから2日が経っても賊の消息はつかめなかった。那戦は念のため玉芙(ギョクフ)閣の様子を見に行ったが、真渠幼佳(シンキョヨウカ)が料理を並べて何やら激怒している。実は父が送ってくれた料理人は包丁さばきこそ見事だったが、味付けは酷かった。しかし城主の姿に気づき、幼佳は急に猫なで声を出して甘える。すると那戦は見慣れない料理人を訝しみ、手を見せるよう命じた。「武器を扱う手だな」「ご冗談を~包丁や鍋を使うのでまめだらけなだけです」若問は咄嗟に佳夫人が作った料理だと嘘をついて話題をそらした。喜んだ那戦は塩辛い料理と知らず試食してしまったが、料理を褒めて帰ってしまう。その夜、床を離れた霍擎雲はいつも皇北霜を盗み見していた楼閣で酒を飲んでいた。「やはりあなただったのね…」姿が見えずとも笛を吹いたり、茶を入れてくれる謎の侵入者をようやく突き止めた皇北霜。「重症なのにお酒なんて飲んで…」「これは薬だ、覇酒は百害に効くが常人が飲むと1杯で3日は酔う 私は子供の頃から飲んでいるから毒に耐性があるんだ」皇北霜は試しに一口、飲ませてもらったが良薬口に苦し、激しくむせてしまう。しかし霍擎雲は生きるために飲むしかなかったと吐露した。「子供の頃、命を狙われていた、油断すればあの世行きだった…」霍擎雲は天都(テント)の城主に預けられた時のことを思い出した。城主は今日から自分の庶子・霍擎雲として生きるよう言ったが、それでも命の保障はないと警告する。「…同じ年頃の子の末路を見た、毒を盛られ、血を吐いて足が不自由になった それ以来、覇酒を飲むようになったよ」「ご両親は?」「いない」「…ごめんなさい」「なぜ謝る?君のせいじゃない」「私も両親はもういない」「すまない」「ふふ、なぜ謝るの?あなたのせいじゃない」霍擎雲は何も知らずに微笑む皇北霜を見ると胸が締め付けられる思いだった。霍擎雲はある老君を救うため雲沛に来たと明かした。すると皇北霜は祭りの夜に同席していたあの男だと気づく。「彼の名は容豁…あの日、彼を救おうとして那戦の罠にはまった 若問が現れなければ逃げられなかった」「若問が?…私にできることがある?」しかし霍擎雲は自分の問題だと突き放した。「君を理解者だと思っている、だがお互い使命がある、それぞれの道を進む時だ」「はお、それぞれの道ね」落胆した皇北霜は寝所に戻ることにしたが、急に酔いが回って倒れてしまう。霍擎雲は皇北霜を寝台まで運んだ。ふいに目を覚ました皇北霜はすっかり酔っ払い、霍擎雲に絡んでしまう。急に押し倒され、顔をすりすりされる霍擎雲。∑(⊙∀⊙)ヒャーーー!すると皇北霜が酔った勢いで本音を漏らした。「どうして急に現れたの?忘れようと決心したのに… どうしてまた現れたのよ!(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ 胸バンバン! あなたがそばにいると安心するの、あなたがいないと心にぽっかり穴が空いたよう 私を愛し守ってくれた人たちは皆いなくなった、私は風に吹かれて寄る辺もない草 もう誰にも頼らないと思っていたのに… でもあなたと出会った、誰かを頼り、守られる幸せをまた取り戻した だけどやっぱりあなたも皆と同じように私を置いていくのね」すると皇北霜は眠ってしまう。「私も君のそばにいたい、君を幸せにしたい…」( ߹꒳ ߹ )ちょっとウルっと来るイールン…君もいつか真実を知るだろう、その時、君は私を恨んで許さないはずだだがその日が来るまで近くに居させてくれ、償いとして…あっさり前言撤回するイールンw一方、格心微(カクシンビ)は娘をさらっては酔香(スイコウ)楼で働かせていた女将を追及していた。女将は2度としないと約束したが、格心微に店を取り上げられてしまう。黄天狂(コウテンキョウ)の後ろ盾がある格心微には抵抗できず、泣く泣く権利書を手放した女将。するとこれまで女将にこき使われてきた娘たちは喜んだ。「店を酒楼にする、みんなで楽しくやりましょう!…って若問はどこに行ったの?!」その頃、若問は自分について行くと言った皇北霜の真意を図りかねていた。しかし佳夫人の侍女・小怜(ショウレイ)から朝餉を作るよう急かされ、苛立った若問はついに正体を明かしてしまう。「俺が料理人だと?見る目がないな、俺は黄天狂の若問だ」料理人の態度は一変、真渠幼佳は匕首を突きつけられてしまう。「あなたが若問?!皇北霜をさらった?」こうしてあっという間に立場は逆転、幼佳は不本意ながら若問の言いなりになるしかなかった。つづく
2025.11.18
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第11話中秋節の騒ぎからすっかり鳴りを潜めた盗賊たち。しかし雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)は盗賊たちがこのまま諦めるとは到底、思えなかった。すると巫(フ)将軍が蔵書閣と祈年閣の兵士を寺院に移動させ、容豁(ヨウカツ)がいると見せかけてはどうかと献策する。「開けた場所にある寺院なら盗賊が現れた時に一網打尽にできます」「手配しろ…もう1つの駒も動く頃合いだな」真渠幼佳(シンキョヨウカ)は料理対決に備え、父に頼んで真渠の料理人を送ってもらうことにした。一方、皇北霜(コウホクソウ)も料理の献立に頭を悩ませながら、ふと気がつくと霍擎雲(カクケイウン)のことばかり考えてしまう。「怒らせたのかしら?」ともかく廉幻(レンゲン)に膳房で城主の食の好みを聞いてくるよう頼んだが、焦らずとも自分には大漠奇巻(タイバクキカン)があった。三番勝負で勝って緑地をもらえるのも幸運だが、城主に父や母の敵を討たせるためには奇書を読み解いて褒美をもらうしかない。そこで皇北霜は城主を訪ねることにした。那戦は政務中だったが霜夫人の来訪を喜んだ。そこで皇北霜は刺繍対決のことで罰を請いたいという。確かに解馬樹(ゲバジュ)で甲冑を作れば無敵だが、実は大規模な栽培は困難だと知っていた。雲芳(ウンホウ)閣で採った根ではせいぜい腕当て1組、気候が安定しない雲沛では自生も難しい。「しかし砂丘篇と草薬篇を読み、解馬樹の自生地と育つのに適した土壌が分りました たださらに詳しく調べるには気候篇がなくては…」「焦るな、手元にある2冊を研究し尽くしたら気候篇を贈ろう」…やはり気候篇も那戦が持っていたのね…その頃、武器庫の鍵を手に入れた若問(ジャクモン)は蛮狐(バンコ)の調査から雲沛の武器庫が東西南北4ヶ所あると知った。秦奪(シンダツ)は東の武器庫の庫使で門番が交代で手薄になる亥の刻が狙い目だという。そこで今夜、決行しろと命じ、格心微(カクシンビ)に一緒に行くか聞いてみた。しかし格心微は他にやることがあるという。若問は格心微が酔香(スイコウ)楼を気に入ったと気づき、雲沛での拠点にすると決めた。那戦が寺院に兵を集中させたせいで莽流(モウリュウ)門は隠れ場所を失い、府内を探れなくなった。安全な経路は雲芳閣だったが、霍擎雲は隠し扉の前まで行ったものの、引き返してしまう。一方、黄天狂(コウテンキョウ)は武器を盗み出すことに成功していた。蛮狐と狼頭(ロウトウ)は警備が厳しくなったことから撤収してはどうかと提案したが、若問はどうしても皇北霜を諦めきれない。「あの瞳が気になる…麻随(マズイ)へ攻める準備もしなければ」若問は茶屋で独り、何とか華玉(カギョク)府へ侵入できないものかと考えあぐねていた。その時、偶然、隣の席に座った客から面白い話を小耳にはさむ。「早いとこ真渠の料理人を引き渡せば佳夫人も褒美を弾んでくれるだろう」若問は男たちが店を離れたところで拘束し、料理人になりすまして玉芙(ギョクフ)閣を訪ねた。すると若問は見事な包丁さばきで佳夫人の信頼を得ることに成功する。一方、皇北霜は膳房で聞いた城主の好きな料理を作ってみたが、どれも満足の行く出来ではなかった。その頃、霍擎雲は蔵書閣に忍び込んで奇書を探していた。すると偶然、史実の書を見つける。…雲沛310年、身重の素(ソ)夫人が流刑となり、君主の血が民間へ流出しかし捜索の末、神のご加護があった雲沛320年、庶子・那戦が華玉府へ戻り、若き君主として冊封された…実は蔵書閣は当時、三日三晩燃え続け、記録は焼滅していた。「うまいことやったものだ」やがて霍擎雲は奇書を発見した。その時、偶然にも皇北霜が入ってくる。霍擎雲は慌てて身を隠したが、書を探しながら歩き回る皇北霜から目が離せなくなった。皇北霜は踏み台に上がって本棚の上を探していた。するとお目当ての″雲沛食経″を発見、喜んだ皇北霜だったが、うっかり足を踏み外して落下してしまう。しかし思いがけず霍擎雲が現れ、皇北霜を抱き止めた。「どうしてここに?」「君こそ」その時、外から那戦たちの声が聞こえた。霍擎雲は咄嗟に皇北霜を腕を引っ張って物陰に連れ込んだが、驚いたことに那戦と巫将軍が本棚の仕掛けを開けて密室に入って行くのを目撃する。思いがけず容豁の居場所を突き止めた霍擎雲。一方、皇北霜は自分を避けていながら身勝手な振る舞いをする霍擎雲に腹を立て、帰ってしまう。皇北霜は居所に戻って一息つこうとしたが、ふと気配を感じて奥の間をのぞいた。するといつの間にか霍擎雲がいる。「忙しいのでしょう?」「忘れ物だ」霍擎雲は皇北霜が落としていった雲沛食経を渡したが、皇北霜は自分より後に蔵書閣を出た霍擎雲がなぜ先に着いたのか解せない。「ん…隠し通路があるのね?」しかしまさか衣装棚の裏が地下道に繋がっているとは思うまい。霍擎雲は失笑したが、皇北霜の心を傷つけていたと知って胸が痛んだ。「ここ数日、何かあったの?それとも私のせい?あなたを怒らせた?」「違うよ」「…聞くべきじゃなかったわ」その時、中庭から突然、若問の声が聞こえた。霍擎雲は思わず出て行こうとしたが、皇北霜に止められてしまう。「放っておいて、おせっかいね」中庭では廉幻と夜佩が渡り橋で若問の行手を阻んでいた。すると皇北霜が現れる。「皇北霜、仕返しに来たぞ?荷をまとめろ、手間が省ける」「あなたと一緒に行ってもいいわ、いつ出発するの?でも拠点を失ったのにどこへ?」出鼻を挫かれた若問はひとまず引き上げることにしたが、実は上階の人影に気づいていた。そこで帰ったと見せかけ、こっそり物陰から様子をうかがっていると、莽流(モウリュウ)門の門主が現れる。「若問は君の手には負えない、ただでさえ危険なのに君が心配だ」「冷たくしたり優しくしたり、態度がころころ変わるのね…ふっ 千面郎君だもの、今度はどんな役を演じているの?」「君とは苦労を共にした、だから傷ついて欲しくない」「自分の心配をしたら?…もう来ないで」。・゜・(ノД`)・゜・。皇北霜は夜佩と廉幻と一緒に隠し通路を探した。結局、突き止められなかったが、夜佩が見慣れない木箱を見つける。しかし中に入っていたのは古めかしい子供の玩具だった。その夜、黒装束に覆面姿の霍擎雲が蔵書閣に忍び込み、ついに密室で容豁と再会した。…当時、幼い霍擎雲を連れて隠し通路から脱出した容豁『今日のことは全て忘れるのです!雲沛で起きたことは何も話してはなりません! ご自分の名も、そうしなければ生き延びることができません!』容豁は霍擎雲を天都(テント)へ送り届け、独りで去ることにした『私が近くにいるとあなたに危険が及ぶ、必ず生き延びてください』『また会える?』『いつか準備が整ったら迎えに来てください』…容豁は立派に成長した姿を見て涙した。しかしゆっくり旧情を温めている時間はなく、霍擎雲は急いで脱出しようという。一方、門主をつけてきた若問は必死にからくり扉を開けようとしていた。本棚はびくともしなかったが、その時、物音が聞こえて慌てて身を隠す。つづく( ߹꒳ ߹ )イールン、切ない
2025.11.17
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第10話雲芳(ウンホウ)閣からこつ然と消えた刺繍糸。皇北霜(コウホクソウ)は中庭で草薬篇を読みながら廉幻(レンゲン)の帰りを待った。やがて廉幻が戻ってきたが、どの店にも刺繍糸がなかったと報告する。恐らく真渠幼佳(シンキョヨウカ)が手を回したのだろう。その時、廉幻がうっかり解馬樹(ゲバジュ)の根っこに足を引っ掛け、転びそうになった。実は解馬樹の根はしなやかで非常に丈夫、そこで皇北霜はこの根を使うことを思いつく。「解馬樹の根を掘り起こして」その夜、皇北霜たちは解馬樹の根で糸を作ることにした。まず力の強い廉幻が皮をそぎ、皇北霜と夜佩(ヨハイ)が根を細く裂いて撚(ヨ)って糸にする。その様子を今夜もこっそり霍擎雲(カクケイウン)が眺めていた。ひと段落して休みを取った皇北霜。やがてふと目を覚ますと、豆だらけの手に包帯が巻かれていた。訝しみながら体を起こしてみると、いつの間にか解馬樹の根の糸が置いてある。皇北霜は霍擎雲が来たと気づき、誘き出すことにした。( ๑≧ꇴ≦)働くイールン!中庭に解馬樹の根が干してあった。すると黒い外套をすっぽりかぶった曲者が現れ、根にろうそくを近づける。駆けつけた霍擎雲は犯人の手首を捕まえたが、曲者の正体は皇北霜だった。霍擎雲は騙されたと気づき、慌てて楼閣に逃げ込んだ。すると追いかけてきた皇北霜は霍擎雲の姿を探しながら部屋をゆっくり歩き回る。その時、皇北霜がわざと後ろへ倒れた。霍擎雲は咄嗟に皇北霜を抱き止め、結局、雲芳閣に自由に出入りしていることがばれてしまう。「なぜ忍び込んだのか教えて」「ある出来事とある人のため、昔のことだ」「嘘つき」「私への恋慕の情を認めないのも嘘つきでは?」霍擎雲は雲芳閣に潜入した時、偶然、目にした皇北霜の書画の詩を詠んだ。「風は″雲″を散らし″霜″が大地を覆う…」霍擎雲は皇北霜の頬に触れ顔を近づけたが、その時、夜佩の声が聞こえて慌てて逃げた。「娜袖(ナシュウ)?!誰かいるのですか?!」「…いいえ、もう休んでる」皇北霜が露台で防具を編んでいると霍擎雲が再び現れた。霍擎雲は針仕事のために嫁いだのかとからかったが、皇北霜が急に抱きついてくる。大胆な皇北霜に戸惑いながらもそっと背中に手を回す霍擎雲。しかし抱きしめる前に皇北霜は離れてしまう。実は皇北霜は霍擎雲に腕を回して胸囲を図っていただけだった。「あとはあなたに任せる…ちゃんとお礼はするわ」( ๑≧ꇴ≦)うっかりイールンwなぜか仕事を押し付けられるイールンw霜夫人と佳夫人の刺繍対決。那戦(ナセン)は佳夫人の狩猟図を喜び、次に届いた霜夫人の粗末な腕当てを見て落胆した。すると皇北霜が廉幻を連れて説明にやって来る。「巫(フ)将軍は武芸に秀でており、太刀筋もよいとか…私の腕当てを斬ってみてください」巫将軍は早速、廉幻がはめた腕当てを斬りつけたが、驚いたことに腕当ては無事だった。「解馬樹の根で作りました、水や火にも強く、猟師はこの根で作った防具で獣から身を守ります」実は草薬篇に″刃も通さない″と書いてあったという。那戦は感心して腕当てを着けたが、刺繍対決と銘打った以上、皇北霜を勝たせるわけにいかなかった。「決着つかずだな」真渠幼佳は墓穴を掘った。姑息な手段を使わず皇北霜が刺繍していたら勝ったのは自分だっただろう。「まさかの発想でしてやられた!…次の料理対決は絶対に油断できないわ」一方、若問(ジャクモン)は武器庫の前で秦奪(シンダツ)が出てくるのを待っていた。すると莽流(モウリュウ)門から情報が入り、格心微(カクシンビ)は酔香(スイコウ)楼という妓楼に売られたと分かる。実はその頃、酔香楼では女主も用心棒も凶暴な格心微に手を焼いていた。若問たちは酔香楼に乗り込んだ。横暴な客に困惑した女主は例の娘がちょうどいいと思いつき、格心微が暴れないよう手首を縛って連れてくる。「若問!どこにいたの?!食事も与えられず、客を取れって言われたの!」若問はにこやかだったが、格心微を傷つけようとした女将に内心怒り心頭だった。「気性が激しいお前に手を出せるか?…何をされたか見せてみろ」そこで若問は格心微を解放、すると格心微は女将たちを叩いて憂さ晴らしした。「気が済んだか?なら俺に礼をしてもらわないとな」第4話で厄娜泣(ヤクナキ)と麻随(マズイ)で格心微の人相書きを確認させるよう指示していた霍擎雲。沙曲(サキョク)はようやく情報が届いたと報告に来たが、そこで衝撃の事実を知ることになった。格心微の人相書きを見た厄娜泣族は揃って自分たちの娜袖だと証言、麻随での調査ではあの時、亡くなったのが九夫人だという。( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)<やはり2人は身分を入れ替えていたのか…私が彼女の母親を…( ߹꒳ ߹ )ここにきてイールンのピンチその夜、皇北霜もある事実に気づいた。草薬篇によれば双果樹は原生地の北漠で毒性がなく、南に移され水を好むようになると果汁に幻覚作用が現れるという。「植物は気候に左右される…つまり第2巻は気候篇だわ」皇北霜は夜更けまで奇書を読みふけっていたが、結局、霍擎雲は現れなかった。一方、若問はしばらく妓楼に居座ることにした。すると予想通り好色家の秦奪が店にやって来る。若問は新しい給仕のふりをして挨拶し、実は新入りに絶世の美女がいると吹き込んだ。案内した閨房にいたのは格心微。すっかり気を良くした秦奪は自分に従えば官職をやると言って若問を追い出した。格心微は秦奪をもてあそびながら武器庫の鍵を奪う作戦だったが、あっさり見抜かれてしまう。「分かっているぞ?あの男と謀った美人局だろう?…満足させてくれれば望みを叶えてやる」回廊で待っていた若問は格心微の悲鳴を聞いて慌てて乗り込んだ。秦奪に押し倒され、危機一髪の格心微。若問は急いで秦奪を格心微から引き離したが、格心微の怯えた様子を見て胸が痛んだ。すると若問は秦奪を何度も何度も激しく殴りつけ、気を失わせてしまう。霍擎雲は寝静まった雲芳閣にやって来た。…私はこの世で最も君を愛する資格がない男だ、先主が決めた縁談は私の足枷だった断ち切りろうとしてまさか君の母親を闇へ突き落としてしまうとは運命が君を連れてきてくれたのに自ら失った、もう君のそばにはいられない…皇北霜の美しい寝顔を見つめながら、皮肉な運命を嘆く霍擎雲。後ろ髪を引かれる思いで立ち去ろうとしたが、その時、皇北霜に手をつかまれた。「来ると思ったわ…何かあった?」「いいや、もう遅い、行かないと」「待って」( ˶´꒳`˵ )ハニーちゃん、美しい♪皇北霜は寝台を降りると、棚から解馬樹の防具を出した。「これをあなたに…」「ありがとう」複雑な心境の霍擎雲、その時、ふと皇北霜が裸足だと気づいた。霍擎雲は触れてはいけないと分かっていながら、咄嗟に皇北霜を抱き上げ寝台まで運んでしまう。「もう休んで」「今日は様子がおかしいわね?…悩みがあるなら私に話して?」しかし霍擎雲は居たたまれなくなって逃げるように去ってしまう。つづく( ;∀;)えーっ!イールン振り出しに戻るw
2025.11.16
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第9話互いの身分を忘れ、中秋節の祭りを楽しんだ皇北霜(コウホクソウ)と霍擎雲(カクケイウン)。しかしこれが儚い夢だと思うと皇北霜の表情は急に曇った。その時、霜夫人を探す巫(フ)将軍の声が聞こえてくる。霍擎雲は一瞬で姿を消し、皇北霜は嫌でも現実に引き戻された。雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)は市井に会場を設け、2人の夫人だけでなく容豁(ヨウカツ)を同席させた。舞の演者に成り済ました霍擎雲は容豁の姿を確認して合図の暗器を投げ、配下たちは民衆に紛れてその時を待つ。一方、若問(ジャクモン)も皇北霜を手に入れるべく騒ぎを起こそうと手下を会場に送り込んでいた。那戦はこの機に免税や恩赦を発表し、民を喜ばせた。出番を待つ間、霍擎雲は衣をちぎると、指先を噛んで血を出し、何やら書いておく。そしていよいよ舞の演者の出番が来た。皇北霜は演者が霍擎雲だと気づいた。…なぜ演者に?駄目だわ、下手すぎるw…そこで皇北霜は城主の目をそらすため、準備しておいた薬茶を献上した。薬茶は5種類、それぞれ五蔵の働きを補う効果があるという。「いずれも五穀が含まれており、五穀豊穣と天下泰平を表しています」那戦は薬茶が嫌いなはずだったが、皇北霜の茶を気に入った。その時、若問の口笛が鳴る。すると黄天狂(コウテンキョウ)だけでなく莽流(モウリュウ)門も攻撃の合図だと誤解した。霍擎雲は誰が笛を吹いたのか分からず、舞いながら付近を見回したが、雲沛の伏兵の影を見つける。罠だと気づいた霍擎雲は咄嗟に撤収の笛を吹いて計画を中止、莽流門は群衆から離れたが、黄天狂もまた引き上げた。霍擎雲が手を引いたと分かった皇北霜は安堵し、真渠幼佳(シンキョヨウカ)に何を献上するのか聞いた。幼佳は薄茶しか用意していなかったが、真渠族の至宝である白虎玉盞(タマウキ)という見事な杯に注いだお茶を献上する。上質な薬茶と素晴らしい杯、那戦は2人の夫人を絶賛、その時、何事もなく演者の舞が終わった。那戦は演者に褒美を出すことにした。しかし霍擎雲は褒美など恐れ多いと辞退し、可能なら霜夫人が入れたお茶で喉を潤したいと嘆願する。「風変わりな要求だな、ならば急須ごと渡そう」皇北霜は城主の指示で自ら舞台まで急須を届けた。そこで霍擎雲は茶を飲み干し、急須を返す時に密かに血書を忍ばせる。何食わぬ顔で壇上へ戻った皇北霜、すると巫将軍が本日、肥沃な緑地を接収し、盗賊を数百人も討伐したと報告した。「城主、緑地の接収はめったにない機会です 両夫人を競わせ、三番勝負で勝者に緑地を与えては?」「名案だな」一方、自分たちの他にも玄人が紛れ込んでいると気づいた若問も今夜のところは諦め、撤収していた。茶社に戻った霍擎雲は合図の笛の正体を訝しんだ。確かに那戦の伏兵は大勢いたが、あの口笛は那戦の仕業ではない。「沙曲、黄天狂の状況を探れ、若問の居場所もだ」寝支度をしていた皇北霜は枕の下に隠した霍擎雲の血書を取り出した。…想你(君を想っている)…(ˇ꒳ˇ *)<ふふ、バカね~イールンたらw翌朝、巫将軍は祭りの片付け中に高所に刺さっていた暗器を発見、城主に届けた。「雲沛産の鉄ではないようです」口笛に関しては盗賊の合図のため、巫将軍も門外で分からないという。すると不機嫌になった那戦は祭りで免除した徴収の穴埋めとして小部族から全て取り戻してくるよう命じた。蛮狐(バンコ)の調べで雲沛にも莽流がいると分かった。どうやら城西にある茶社が拠点で、普段は普通の茶屋だが、戌の刻になると情報を得た者たちが集まってくるという。やはり昨夜の邪魔は莽流だったのか。若問はとにかく茶社に乗り込むことにした。( ゚ロ゚)ハッ!!<そう言えば格心微(カクシンビ)は?え?(*´・ω)(ω・`*)<老大と一緒にいたんじゃ?案の定、茶社の老板は和南客桟にいた男だった。「門主に用がある、呼べ」沙曲は若問と手合わせになったが、そこへ霍擎雲が現れ、止めた。すると若問は死風区を爆破した落とし前をつけろと迫り、短剣をちらつかせる。しかし霍擎雲に争う気はなかった。「拠点が必要だろう?このまま放浪する気か?」「ふん、人を増やして城都を攻めればいい、雲沛の城主が変わるかもな」「襲撃するなら武器が必要だろう?」霍擎雲は城東の柳月巷(リュウゲツコウ)に住む好色家の秦奪(シンダツ)が雲沛の武器庫を管理していると教えた。矛を収めた若問は引き上げることにしたが、ふと思い出して格心微の姿絵を渡しておく。「あとこの女を探してくれ、これで帳消しだ」その頃、大道芸人に騙されて箱に入った格心微は妓楼に売られていた。その夜、皇北霜は霍擎雲がくれた血書を衣に縫い付けていた。するとどこからともなく笛の音が聞こえてくる。皇北霜は霍擎雲だと気づき、応えるように露台で笛を吹いた。笛で合奏し、しばし心を通わせる皇北霜と霍擎雲。その時、皇北霜は人の気配に気づき、霍擎雲だと喜んで階段を駆け降りた。しかし門を開けてみると、待っていたのは刺繍糸を届けにきた筑俊だった。「今、笛の音が聞こえましたが…」「厄娜泣(ヤクナキ)の曲です」「遠くからも音が聞こえたような…」「古い笛はよく響くのでそう聞こえるのかと」実は三番勝負の初戦は刺繍対決だった。那戦は蔵書閣の容豁を訪ね、今度は情に訴えた。「あの子が生きていると直感で分かる、探し出して共に平安を享受したい」「あの子はお前の剣で命を落とした、城主が亡霊に振り回されているとは…何を恐れる?」「誤解です、私は行方不明の血族を探したいだけだ、この目で死体を見るまでは探し続ける」しかし懐柔作戦も無駄に終わった。「その執念深さにはつくづく関心するよ、天下は広い、気長に探すことだな」霍擎雲は夜更けまで刺繍に精を出す皇北霜を眺めていた。すると皇北霜が急須が空だと気づいて出て行ってしまう。しかし部屋に戻ってみるとお茶の入った急須があった。皇北霜は恐らく霍擎雲が届けてくれたと気づき、お礼に菓子を置いて窓を閉めておく。霍擎雲は早速、菓子に手を伸ばしたが、その時、皇北霜が窓を開けた。驚いて咄嗟に息を潜めた霍擎雲。皇北霜は菓子が減っていることに気づき、やはり霍擎雲が来たと察してほくそ笑んだ。翌朝、雲芳(ウンホウ)閣に届いた刺繍糸が消えていた。皇北霜は夜佩(ヨハイ)にくまなく探すよう指示、廉幻(レンゲン)には町で買い集めるよう頼んだが…。つづく( ๑≧ꇴ≦)イールンwwwいちいち笑ってしまうの何で?w
2025.11.15
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第8話中秋節は民と共に祝うため町に出ると決めた雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)。城主の侍従・筑俊(チクシュン)は中秋節を前に玉芙(ギョクフ)閣へ灯籠用の芯を届けた。真渠幼佳(シンキョヨウカ)はお礼と称して宝飾品を渡すと、喜んだ筑俊は城主が夜茶を好むと教えてくれる。次に筑俊は雲芳(ウンホウ)閣へ灯芯を届けた。皇北霜(コウホクソウ)は感謝の印に菓子を渡したが、面白くない筑俊から城主が薬茶を好むと吹き込まれてしまう。一方、霍擎雲(カクケイウン)は莽流(モウリュウ)門の雲沛の拠点である茶社に配下を集めた。那戦が中秋節に華玉(カギョク)府を留守にすると分かり、警備が手薄になった隙に容豁(ヨウカツ)を急ぎ救出するという。「沙曲(サキョク)は私と今から華玉府へ、他の者は引き続き捜索を、祭の夜に王府の西北で合流だ」しかし那戦にはある企みがあった。今日も熱心に大漠奇巻(タイバクキカン)を読み込む皇北霜。すると茶を届けにきた夜佩(ヨハイ)に勧められ、軽く体を動かすことした。その時、偶然、中庭の木にいつの間にか祈願の赤い布が垂れ下がっていることに気づく。あれは倒れた霍擎雲を沙曲に任せて居雲閣(キョウンカク)を去った時のこと。『莽流は任務に出る時、無事な帰還を願ってこの木に赤い布を結ぶのです』沙曲から意味を聞いた皇北霜は″雲″と書いた赤い布を枝に結んだ。…今世で縁はないけれど無事を祈っている…風にはためく赤い布を見上げながら、いるはずのない霍擎雲を身近に感じる皇北霜。そこへ廉幻(レンゲン)がやって来た。「娜袖(ナシュウ)、城主がお見えに…」那戦は霜夫人を昼餉に誘いにきた。そこへ巫(フ)将軍が駆けつけ、祭りで舞を披露する演者が決まったと報告、また麻随(マズイ)から祝いの品が届いたが、わずかな品だったという。すると皇北霜は砂丘篇を解読するため昼餉は今度にしたいと断った。「感心な口実だな、吉報を待っている」那戦はあっさり引き上げた。那戦の反応を見るに麻随の新城主・格爾勁勤(カクジケイキン)を見下していることは明らか、しかし双方の関係はまだ詳しく分からない。…機会をうかがって探ってみよう…一方、若問(ジャクモン)は雲沛に逃げた砂漠一の美女を追っていた。そこで目立たぬよう変装させた手下を数人ずつに分けて城内に潜入させるよう命じ、蛮狐(バンコ)と狼頭(ロウトウ)を先に行かせる。若問は砂漠で見つけた樹林で一休みしていたが、その時、思いがけず格心微(カクシンビ)が現れた。「若問!やっと追いついたわ!なぜ置き去りにしたの?!」「ままごとはごめんだ」しかし格心微は狙った相手を決して逃さないという。「あなたが好きよ、信じないなら自害して証明する」「俺は情を捨てた、命をかけても無駄だぞ」若問は馬を連れて歩き出したが、まつわりつく格心微を邪険にできなかった。中秋節当日、莽流門は計画変更を余儀なくされた。実は那戦が今夜の祭りに容豁を連れて行くことが分かったという。そこで沙曲は舞の練習をしていた演者を襲って眠らせ、門主と2人で密かに入れ替わることにした。「舞台に上がって奪還する機会を作る、門主の笛の合図で動け」「ラジャー!」しかしこれが那戦の罠だった。那戦は会場近くに兵600人を配備、容豁を餌にして標的を誘き出そうと企む。その頃、雲沛に到着した若問と格心微は賑やかな中秋祭りを楽しんでいた。霍擎雲は黄天狂(コウテンキョウ)が雲沛に潜入しているとは知らず、沙曲と町へ出かけた。そこで偶然、夜店を楽しむ皇北霜の後ろ姿を見つける。「川を見てくる、舞台で合流しよう」霍擎雲は沙曲と別れて皇北霜を追った。霜夫人の護衛を頼まれた巫将軍はちょうど警戒中の部隊と遭遇した。そこで巡回を強化するよう声をかけたが、ちょっと目を離した隙に人混みに紛れた皇北霜と夜佩を見失ってしまう。一方、皇北霜と夜佩は夜店で仮面を購入し、2人で灯籠を流すことにした。皇北霜は川に灯籠を放ち、必ず母の敵を討つと誓った。すると筏に乗って皇北霜を探していた霍擎雲が通りかかる。皇北霜は仮面の男が霍擎雲だと気づき、まだ手を合わせて祈っている夜佩を置き去りにして筏を追いかけた。しかし橋を登って下をのぞくと、もう筏も仮面の男の姿もない。「私を探しているのか?」皇北霜が振り向くと筏の男が立っている。仮面の男の正体はやはり霍擎雲だった。霍擎雲は皇北霜の手をつかむと走り出し、物陰に引きずり込む。「安らかな心で来世、再会しようと言ったな?…私が恋しかったかい?」思わず皇北霜を抱き寄せる霍擎雲。その時、皇北霜を探し回る夜佩の声が聞こえた。「娜袖!娜袖!」霍擎雲と皇北霜は慌ててその場を離れた。まるで逃避行のように手に手を取って夜の町を駆け抜ける2人。そこで今だけは互いの身分を忘れようと仮面をつけて顔を隠し、民族舞踏の輪に入った。まさかその輪の中に仮面をつけた若問と格心微がいるとも知らず…。( ˶´꒳`˵ )キャッキャウフフ〜若問は仮面をつけた皇北霜に既視感を覚えたが、舞踏が終ると輪は散り散りになった。すると蛮狐が現れる。若問は格心微に銭を渡して買い物に行かせてから報告を聞いた。実は皇北霜が冊封されて那戦の夫人となり、奇しくも今夜の祭りに那戦と一緒に来るという。「仲間を配置しました、合図で動けます」「はお」そこで若問は足枷になる格心微をまくため、大道芸人の″中原の秘術″に目をつけた。中原の秘術とは箱の中に入った人が仙人のように姿を消してしまうという見世物だった。若問は好奇心旺盛な格心微に試して見ろと勧め、見守る。すると箱の中に入った格心微が本当に消えた。つづく( ๑≧ꇴ≦)腹が痛すぎるwwwいかだで流れてくるイールンwマイムマイムを踊るイールンw( ˊᵕˋ*و(و “しかし急にチベスナの目になってしまう若問の花冠w
2025.11.14
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第7話冊封され、夜伽を命じられた皇北霜(コウホクソウ)と真渠幼佳(シンキョヨウカ)。皇北霜の心にいるのは霍擎雲(カクケイウン)だったが、雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)の命を拒めるはずもない。一方、皇北霜が夜伽を命じられるのを聞いた霍擎雲は傷心のまま隠し通路へ戻った。沙曲(サキョク)たちはすでに東と南北の通路に印をつけ、地図を作成できるという。「…門主?何かありました?」しかし霍擎雲は小さく首を横に振っただけで何も言わなかった。皇北霜が城主の寝閣へ到着すると、ちょうど門前で真渠幼佳と出くわした。当初、友好的に見えた幼佳だったが、寵愛を争う相手が皇北霜1人になるや対抗心をむき出しにする。しかし幼佳がいたおかげで皇北霜は何とか夜伽を回避することができた。「城主、月の物が来たため私は近づくことができません」那戦は幼佳を抱き上げ、寝台へ向かった。手持ち無沙汰の皇北霜は初めて入った城主の部屋を見回していたが、その時、机の上に無造作に置かれた大漠奇巻(タイバクキカン)を見つける。皇北霜は段差に腰掛けて砂丘篇を夢中で読んでいたが、気がつくと寝台で幼佳と睦み合っているはずの那戦が立っていた。「何を見ている?…返せ」那戦は大漠奇巻を好む女子を見るのは初めてだった。実は皇北霜は草薬篇をすでに読破し、砂丘篇も第6章まで読んだところだという。「内容を覚えたと?」「大体は」驚いたことに皇北霜には一度見たら忘れない特殊な能力があった。「そなたは面白い、さすがあの若問(ジャクモン)と対峙しても恐れないはずだ なのになぜ私の前では萎縮する?」「若問と一戦を交えたとしても使節団を失うだけ、城主を怒らせれば厄娜泣(ヤクナキ)に未来はない」「…私に心を開いてくれる日まで待とう」すると那戦は皇北霜に雲芳(ウンホウ)閣へ戻ることを許した。( ˶´꒳`˵ )ハニーちゃん、質素な出で立ちでも隠せない美しさ〜一方、憂さ晴らしで酒をあおるも全く酔えないイールンwすると沙曲はやさぐれた門主から早く地図を作れと八つ当たりされてしまう。( •︠ˍ•︡ )<やけに機嫌が悪いな…ボソッしかしその原因はすぐ分かることになった。その頃、死風区(シフウク)を失った若問たち黄天狂(コウテンキョウ)は侗巴赫(トウハカク)の根城を襲っていた。侗老を殺して仕返しはするも配下は全て引き受ける若問。俺ってかっけー!しかし血生臭い光景を初めて見た格心微(カクシンビ)は嫌悪感を抱いた。「拠点をなくしてこれからどうするの?いつまで盗賊でいるつもり?」すると格心微は酔い潰れて眠ってしまう。翌朝、若問は手下に地図を渡し、麻随(マズイ)城を探るよう命じた。麻随の新城主と言えば女色に溺れていると評判。蛮狐(バンコ)と狼頭(ロウトウ)は探らずとも簡単に奪えると強気だったが、若問は慎重だった。「城攻めは遊びじゃない、お前たちは俺と雲沛へ行くぞ」「あの女人はどうします?」深酒した格心微はまだ熟睡していた。すると若問は財宝だけ残し、出発してしまう。一方、雲沛では夜伽を済ませた真渠幼佳に城主から恩賞が届いた。府内ではすでに寵愛を受けたのが佳夫人だけだったと噂が広まっていたが、廉幻(レンゲン)と夜佩(ヨハイ)は娜袖(ナシュウ)の面目を心配しつつも、無事だったことを喜ぶ。すると皇北霜は府内での言動をくれぐれも注意するよう釘を刺した。実は若問との一件を城主が知っていたという。その時、城主の来訪を知らせる前触れが聞こえた。那戦は玉芙(ギョクフ)閣には筑俊(チクシュン)に命じて宝飾品や金子を下賜したが、雲芳閣には自ら足を運んで大漠奇卷の砂丘篇と草薬篇を届けた。すると那戦は人払いしてから皇北霜に砂丘篇のある一節を読ませ、解釈させる。「″雨の下に寒い月、馬革が見える、王ではあるが帝ではない″ 雨・革・月を合わせると″覇″という文字です つまりこの砂漠では一角を牛耳る王はいても統一する帝はいないという意味かと 砂漠の緑地は分散しており、移動する人々もいます この散らばった土地と人を統一するのは困難を極めます」「その通りだ、これは雲沛の先主・那啓達(ナケイタツ)が砂漠を遊歴したのち、出した結論だ それを言い当てるとはな…ゆっくり読め、また来る」皇北霜は那戦の旺盛な野心を知った。…父親、母親、使える人物を見つけました、必ず敵を討ってみせます…府内を探っていた沙曲が報告に戻ってきた。実は皇北霜が夜伽を命じられたが、夜中に雲芳閣へ戻ったという。「昨夜は佳夫人だけが那戦の相手をしたそうです」「本当に?そんなことが…」渋面だった霍擎雲の表情は一変、急に顔を綻ばせたが、慌てて真面目な顔に戻した。沙曲は門主の不機嫌だった理由を知って失笑、しかし容豁(ヨウカツ)の行方は依然、分からないという。その頃、皇北霜は中庭の長椅子で砂丘篇を読みながら母の話を思い出していた…麻随は城主が知人からもらった草薬篇のおかげで疫病の難を逃れたしかしこれは一部に過ぎず、残りの4巻には砂漠の奇妙な現象から誰も知らない緑地の水源まで記されているという母は大漠奇巻が全巻そろえば厄娜泣の運命が変わり、大国に頼らずとも済むと期待した確か建築篇ももらったが、父が管理しているため母はどこにあるか分からないという『何でも大漠奇巻には隠された秘密があり、5巻そろうと解けると聞いたわ この草薬篇は最初の巻でとても大事な1冊なの 中でも一番重要な記述は双果樹(ソウカジュ)の自生地について 次巻でも重要な語句が双果樹の紹介に隠されているわ』…皇北霜は砂丘篇が第2巻ではないと気づいた。奇書を読みながらいつの間にか眠っていた皇北霜。ふと目を覚ますといつのまにか誰かが薄毯を掛けてくれていた。するとちょうど夜佩がお茶と菓子を差し入れに来る。「夜佩、あなたが掛けてくれたの?」「先ほど城主がお見えに…娜袖が眠っていたのでお戻りになりましたが、その時では?」城主がそんな気遣いをするとは到底、思えない皇北霜。実は皇北霜にこっそり薄毯を掛けたのは霍擎雲だった。その頃、隠し通路から戻った霍擎雲は居雲閣(キョウンカク)の願掛けの木を眺めていた。皇北霜が無事だと知り、並んだ願掛けの赤い布を見ながら思いを募らせるイールンw…″雲″…″霜″…那戦は賢い皇北霜の才能に期待した。奇書は全5巻で互いに連なり合い、全てに目を通して本質を理解することが肝心だという。「彼女にそれができるだろうか、可能ならば私の役に立つ女人だ 将来、砂漠を統一する時の重要な駒となる」すると上機嫌の那戦は今年の中秋節を民と共に祝うと決め、城外で祭りを楽しむことにした。つづく( ๑≧ꇴ≦)膝掛け抱えてこっそり立ってるイールンがシュールw
2025.11.13
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第6話雲沛(ウンハイ)の和親祭典が閉幕。皇北霜(コウホクソウ)は真渠(シンキョ)族公主・真渠幼佳(シンキョヨウカ)、弥賛(ミサン)族公主・弥賛雨薇(ミサンウビ)と共に冊封された。しかし夫人と呼ばれるのを嫌い、廉幻(レンゲン)と夜佩(ヨハイ)には今まで通り″娜袖(ナシュウ)″と呼ぶよう頼む。一方、居雲閣(キョウンカク)では霍擎雲(カクケイウン)が華玉(カギョク)府の地図を眺めていた。すると隠し通路を探しに向かった沙曲(サキョク)が戻って来る。「当時は府内も火の海で通路付近も焼けました、探すのは困難かと… 実は霜娘子が冊封されました、あの美貌と知性では見初められるのも当然ですね」「そこではない」霍擎雲は那戦(ナセン)が大漠奇巻(タイバクキカン)を手に入れるため和親祭典を開いたと気づいていた。「彼女が選んだ道だ…それより雲芳閣(ウンホウカク)の西南を探せ、通用門があるはずだ」実は玉芳閣は奇しくも霜夫人の居所だった。その夜、那戦は側仕えの内官・筑俊(チクシュン)から夫人たちの様子を聞いた。今日は城主の寝閣に最も近い玉芙(ギョクフ)閣を巡って真渠幼佳と弥賛雨薇が口論となったが、皇北霜が手を上げようとした雨薇をたしなめたという。『揉め事はやめましょう?城主の耳に入ったら気性を誤解されるわ』筑俊は皇北霜をみくびっていたが、那戦は奇書を献上し、若問(ジャクモン)からも逃げ切った皇北霜に一目置いた。「それにしても30余りの部族が和親に応えながら、奇書が一冊しか手に入らぬとは」「城主、お言葉ではございますが、探していた3冊のうち1冊でも見つかったのは幸運です」目下の問題は薇夫人と佳夫人の寝閣が決まっていないことだった。そこで筑俊は弥賛雨薇が和親祭典の記録にある特徴とかけ離れており、むしろ傲慢だという姉・雨薔(ウショウ)に似ているという。「急ぎ調べよ、替え玉なら殺せ…それで皇北霜の寝閣は?」「それが…」皇北霜が選んだのは城主の寝閣から最も遠く、人が寄りつかない雲芳閣だった。実は雲芳閣は先の城主の寝閣、筑俊は那戦も忌み嫌っていると説明し、霊が出るかもしれないと脅したが、皇北霜は気にしないと笑ったという。「そう言えば和親祭典の後、皇北霜は供を連れて創天建城墓と通天塔へ行きました」「…雲沛の歴史に関心があるようだな、大したものだ」すると那戦は冊封しなかった娜袖の帰郷を認め、もし残るなら名家との縁談を下賜すると決めた。筑俊は拝命したが、その時、うっかり皇北霜からもらった心付けを落としてしまう。「筑俊…和親祭典では懐がさぞ暖まったであろうな?…全て返上せよ」( ;∀;)<はいっ!うわーん翌朝、霍擎雲は皇北霜が願掛けの木にかけた赤い布を眺めていた。そこへ沙曲が駆けつけ、ついに通路が見つかったと報告する。「でも那戦が調べをつけたのでは?」「いや、当時のことを知る者はいない」すると霍擎雲は″雲″と書かれた赤い布の隣に″霜″と書いた赤い布を結んだ。その夜、霍擎雲は単身、隠し通路へ入った。密道は古びていたが、確かに幼い頃、容豁(ヨウカツ)に手を引かれて華玉府から脱出した道だと分かる。やがて霍擎雲は府内へ侵入、思い出深い先主の寝閣に向かった。すると露台にいる皇北霜を見つける。実はその時、皇北霜は夜佩から思わぬ報告を聞いていた。「大変です、娜袖!薇夫人が妹の身代わりだと分かり、打たれて死んだと…」「慌てないで、厄娜泣(ヤクナキ)は雲沛と交流がなかった、問題を起こさない限り大丈夫」しかし皇北霜は心が落ち着かず、露台に出た。霍擎雲は皇北霜が雲芳閣を居所に選んだと知り、不思議な縁を感じた。そこでこっそり屋根伝いに皇北霜が立っている露台の下まで行ってみる。「娜袖、後悔していませんか?霍公子が好きなのでしょう? だって寝言で霍公子の名を呼んでいましたよ?しかも何度も…ふふ」盗み聞きしていた霍擎雲は思わず笑顔になったが、皇北霜の答えを聞いて何とも切なくなった。「好きでも仕方がない…夜佩、2度と霍公子の話をしないと約束して ここに身を置くと決めたの、気を抜かぬよう肝に銘じて、忘れるしかない」屋根で聞き耳を立てるネコみたいなイールン一方、若問と格心微(カクシンビ)は地図のおかげで無事、麻随(マズイ)に到着していた。何とか時間稼ぎしていた格心微だったが、痺れを切らした若問がいきなり格心微をかついで城主府に連れていってしまう。しかし今日は祭天があると門衛に追い返された。格心微は助かったと思ったが、若問が勝手に格心微の印章を示してしまう。「はっ!九公主?!…九公主が戻ったぞ!」若問は格心微が本当に公主だと知ってあっさり引き渡した。するとあれよあれよという間に格心微は衛兵に連行され、祭天の生け贄としてはりつけにされてしまう。「誤解よ!やめて!人違いなの!…若問?!出てきなさいよ!」思わず秘密をばらして助けを乞う格心微、その時、若問が現れた。若問にとって麻随の衛兵など赤子の腕を捻るようなものだった。格心微を取り返し、再び砂漠へ戻った若問。しかし格心微がやはり偽物だったと知り、手首を縛って置き去りにしてしまう。「財宝がないならもうお前に用はない」若問が馬を駆けていると、首領を探しに来た蛮狐(バンコ)と狼頭(ロウトウ)に出くわした。実は例の娜袖が侗巴赫(トウハカク)と結託し、死風区(シフウク)を爆破したという。「協力者の男の猿芝居にだまされて…」すると人相書きを見た若問は和南客桟にいた男だと気づいた。「しかし女と雲沛へ向かう道中で毒矢を食らわせました」「ギギギギ…まずは侗巴赫を探すぞ!」その時、縄を解いた格心微が追いついた。「しつこい女だな」那戦は書庫の密室に閉じ込めた容豁(ヨウカツ)を訪ねた。そこで大漠奇巻(タイバクキカン)草薬篇をちらつかせ、この書の秘密を知りたいという。容豁はしらばくれたが、実はこの奇書は容豁と兄・容若(ヨウジャク)が先主に従って記したものだった。「あの世へ行って先主に聞けと?面白いことをおっしゃる、疑問はまだ他にもあります あの時の子供はどこへ?」すると焦った容豁は急に激しく咳き込み、寝たふりをした。霍擎雲は沙曲たちと一緒に再び隠し通路へ入った。今夜は手分けして各通路がどこへ続いているのか確認したいという。「先主は敵襲に備えてこの隠し通路を作った、府内に侵入された時、家族が逃げられるようにな 道は東西南北に分かれている、お前たちは南北へ、沙曲は東へ… 地上に出たら衛兵に注意しろ、急ぎ容豁を探せ」すると霍擎雲はさっさと独りで西へ行ってしまう。( ・ノェ・)<例の女子が西の雲芳閣を選んだらしいあ~あ>(*´・ω)(ω・`*)<そういうこと西の隠し通路は雲芳閣の衣装棚に続いていた。あの時、まだ幼かった霍擎雲を救うため、咄嗟にこの衣装棚の中に逃げ込んだ容豁。実は霍擎雲はその時、窓紗から先主が亡くなる一部始終を見ていた。雲芳閣に潜入した霍擎雲は机に広げたままになっていた皇北霜の書画を見た。2人の名が入った詩を見て、彼女の心にも自分がいると知る霍擎雲。その時、皇北霜と夜佩が戻ってきた。皇北霜は書画の続きを書くため書机の前に座った。するとふと気配を感じて衝立を見つめる。しかし確認する前に筑俊の声が聞こえ、急いで出迎えた。「おめでとうございます、霜夫人、今夜は桂夫人と一緒に夜伽です」Σ(꒪꒫꒪ )よっ夜伽?しかも2人?!つづく( ๑≧ꇴ≦)またしても報われないのかイールン!
2025.11.12
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第5話皇北霜(コウホクソウ)は負傷した霍擎雲(カクケイウン)に付き添いながら、寝顔にそっと触れた。腹に一物がある相手と知りながら惹かれ合う2人。一方、麻随(マズイ)の地図を手に入れた若問(ジャクモン)は格心微(カクシンビ)の振る舞いから偽者ではないかと疑い始めていた。地図も読めなければ、荒っぽい食べ方、箱入り娘とは聞いて呆れる。「公主とは思えん!」その時、同じ店にいた盗賊が辺疆には珍しい美しい娘に目を付けた。「兄ちゃん、女を置いて消えな!」若問は涼しい顔で席を立ち、成り行きを見守ることにした。すると盗賊たちに拘束された格心微が激怒する。「それでも男なの!若問!」「若問?!」盗賊は男が黄天狂(コウテンキョウ)の首領と知って驚愕、戦利品を置いて逃げ出してしまう。「やってくれたわね!」「これは教訓だ、麻随の財宝の話が嘘なら容赦しないぞ!」翌朝、皇北霜は中庭の願掛けの木を眺めていた。そこへまだ青白い顔をした霍擎雲がやって来る。「そろそろ行かないと遅れる」「残って欲しい?」「いいのか?」すると皇北霜は霍擎雲に歩み寄り、彼の胸に顔をうずめた。「今日でお別れよ、守ってくれてありがとう…どうかお元気で」(*°ㅁ°)ドキッ!とするイールンイールンwに別れを告げて和親祭典に向かうことにした皇北霜。その時、霍擎雲が皇北霜の腕をつかんで引き寄せ、強引に唇を重ねてしまう。(๑و•̀ω•́)و やる時はやるイールン皇北霜は思わず霍擎雲を引っ叩いたが、イールンwは本気だった。「私も君を守れる、厄娜泣(ヤクナキ)のことだって…」「それだけではダメなの」「何を背負っていようと私が全て解決する」再び皇北霜に顔を近づける霍擎雲…。皇北霜は拒まなかったが、自分の使命を決して忘れることはなかった。「何もかも夢なの、目覚めたら全て忘れる」「だが縁は尽きない、約束したことを忘れるな、君は返すと言った、守ってくれ」霍擎雲は皇北霜を見送ることにしたが、激しく喀血して倒れてしまう。(* ノωノ)ヒャァー!霍擎雲が目を覚ますと腹心の沙曲(サキョク)が付き添っていた。皇北霜は霍擎雲の命に別状はないと話し、薬の説明をして去ったという。すると沙曲は皇北霜から預かった笛と文を渡した。…来世で再会しましょう、互いに安らかな心で…皇北霜が華玉(カギョク)府へ駆けつけると、東門で廉幻(レンゲン)と夜佩(ヨハイ)が待っていた。衣装を持っていた廉幻は急いで着替えるよう伝えたが、夜佩は献上品が何もないという。すると皇北霜は廉幻から空の銭袋をもらい、咄嗟に地面の砂を入れた。身支度を整えた皇北霜は東門の前に立ち、ふと振り返った。府内に足を踏み入れたら最後、もう引き返すことはできない。しかし父や母の復讐を果たすため、皇北霜はついに敷居をまたいで歩き始めた。その時、馬を駆けて来た霍擎雲が皇北霜を呼び止める。「待て!君に渡すものがある!」皇北霜は足を止めたが微動だにしなかった。そこで廉幻が引き返し、霍擎雲から古びた書を受け取って戻って来る。「娜袖(ナシュウ)、この書を返すそうです、それから″元気で″と…」「しまっておいて」皇北霜の手元に再び戻った大漠奇巻(タイバクキカン)草薬篇。霍擎雲は小さくなる皇北霜の背中を見送っていたが、再び喀血してしまう。奉天(ホウテン)閣ではすでに和親祭典が始まっていた。各部族から集まった娜袖たちは1人ずつ雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)に接見、するとさすがに疲れたのか那戦は次が最後だと聞いて安堵する。その時、遅刻した皇北霜が石段を駆け上がって来た。広間の外で控えていた内官は祭典なら終わったと追い返そうとしたが、皇北霜は門衛の帯剣を抜いて自分の首に当て、自害すると脅す。するとさすがに驚いた内官は仕方なく城主へ報告に向かった。那戦は北漠から娜袖が到着したと聞いて感慨深い。ここ雲沛まで辿り着いた厄娜泣(ヤクナキ)族は初めてだ。「まあいい、謁見を認める」厄娜泣の娜袖は決して豪華な装いとは言えなかったが、その顔立ちはまさに砂漠一の美女だった。皇北霜は城主に拝礼して銭袋と大漠奇巻を献上、道中で盗賊に襲われ自分たち3人だけ生き残り、献上品も全て奪われたと釈明する。「これは土か?」「それは厄娜泣から持参した土、城主への忠誠と服従を示します …実はもう1つ献上したいものが、舞を披露しても?那戦は失笑した。雲沛には舞の達人など腐るほどいる。「笑い物になる覚悟はあるのか?」「一笑でもご提供できれば光栄に存じます」皇北霜の舞が始まった。その妖艶さんに誰もが息をのむ中、裾を持った皇北霜が高速で回転する。すると衣装がちりちりと燃えて真紅のきらびやかな衣が姿を現した。那戦はすっかり皇北霜に目を奪われ、見事な舞に拍手を送る。「今のは″鳳凰涅槃(ホウオウネハン)の舞″か?火打石の粉を仕込んだ衣装だな?」「さすがは博識な城主、燃焼後に新たな衣が現れる″再生の舞″です」つづく( ๑≧ꇴ≦)あー!ハニーちゃんの手のピロピロピロピロ〜が入っていなかったわ〜ゴメン!
2025.11.11
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墨雨云间 The Double 全40話最終話「蝋梅が咲く頃」沈玉容(シンギョクヨウ)の合図で弓兵が蕭蘅(ショウコウ)に狙いを定めた。「蕭蘅!お前は見捨てられたのだ!」しかしその時、馬にまたがった薛芳菲(セツホウヒ)が駆けて来た。「見捨てるものですか!」李家に監禁しているはずの薛芳菲が城門に現れた。驚いた沈玉容は慌てて弓兵を止めたが、薛芳菲は蕭蘅と共に大燕(ダイエン)に殉ずるという。「シェンユーロン!もう一度、私を殺すがいい!」「阿狸(アリ)、皇族どもは我らを虫けらのように潰す…どうせ忘れ去られる運命だ 蕭蘅を葬り、かつてのように2人で暮らそう!」「思い違いもはなはだしい、人々は決して忘れない!」薛芳菲は望(ボウ)城を守って戦死した100名の誇り高き兵士の名を挙げ始めた。すると龍武軍の将兵は北境で散った蕭将軍や彭(ホウ)副将、父や兄弟を思い出して目頭が熱くなり、次第に戦意を喪失してしまう。「大燕の臣、蕭蘅も忠義を貫く!」「…薛芳菲と共に!」薛芳菲と蕭蘅の絆を目の当たりにした沈玉容は愕然となった。その時、ちょうど城外に出ようとしていた司徒九月が精鋭を引き連れやって来る。沈玉容から応戦を命じられた龍武軍の総領将軍・楊青(ヨウセイ)は不本意ながらも部下を連れて城楼を降り、蕭蘅たちと対峙した。「父親が率いた龍武軍を殺せるのか?ぶははは~結局、お前は誰のことも守れぬ!」すると薛芳菲が弓を構え、城楼の沈玉容に矢を放った。弓矢は右腕をかすめ、沈玉容は衝撃で魚符を落としたが、運良く左でつかむ。「…楊青、軍命に反すれば死すのみ!」沈玉容は城楼で魚符を掲げた。その時、薛芳菲が2本目の矢を放ち、今度は見事、左手に命中させる。沈玉容は転倒、魚符が城楼から落下した。すると司徒九月が馬から飛び出し、魚符を確保して蕭蘅に投げ渡す。蕭蘅は父の龍武軍を取り戻し、司徒九月に城外の逆徒の始末を頼んだ。「阿狸…」「待っているわ」「龍武軍に命ず!北境の謀反軍を制す!」沈玉容は射抜かれた手をかばいながら呆然としゃがみ込んでいた。すると薛芳菲が城楼に上がってくる。「…殺してくれ、この命で償う、お前の手で死ねるのなら悔いはない」「あなたを殺せば私の手が汚れる、謀反人は国の法で裁かれるべきよ」「阿狸…私が状元に受からなければ今も平穏に暮らしていただろう 私たちは選ぶ道を誤った、私の誤ちは生涯であの一歩だけ… その一歩で後戻りできぬ道に足を踏み入れてしまった」「沈玉容、来世でその罪を償って、今度は冨貴な家に生まれて真の善人として生きてほしい」薛芳菲と入れ替わるように衛兵が城楼に駆け上がって来た。沈玉容は城楼の縁に上がると、眼下に見える薛芳菲の背中を見つめながら″芳菲散りて梨花白く″を吹く。しかし薛芳菲が立ち止まることはなかった。すると全てを失った沈玉容は身を投げてしまう。薛芳菲は背後で大きな音を聞いたが、結局、最後まで振り返ることはなかった。成王たちは国公府に逃げ込んだ皇帝を追い詰めていた。しかし思いがけず魚符を取り戻した蕭蘅が龍武軍を率いて駆けつけ、逆に包囲されてしまう。絶体絶命に陥った成王、そこで趙鄴の寵姫である麗(レイ)妃を人質にして逃げることにした。「趙鄴に伝えよ、来年こそ必ずその首を討ち取ってやるとな」←( ˙꒳˙ )え?wすると誇り高い麗妃は皇帝の足枷になるより自ら死を望んだ。「粛(シュク)国公、宮女のことはどうか陛下には内密に…私が墓場まで持って行く」麗妃は成王が突きつけていた剣で自ら首を切りつけ絶命、成王は突然の事に動揺してしまう。その隙をついて蕭蘅が成王に斬りかかり、止めを刺して父の敵を討った。激動の一夜が明け、大燕に平穏が戻った。しかし成王の死後、北境軍の残党が復讐を掲げ兵を起こし、朝廷は逆賊鎮圧を掲げて正式に出兵を決める。李仲南一家は投獄され死罪が確定。沈家は取りつぶしとなり、郷里に避難していた沈夫人と沈如雲(シンジョウン)も捕まった。また姜元興(キョウゲンコウ)と楊(ヨウ)氏は姜家から追放され、国公府では蕭大川(ショウダイセン)が姜梨(キョウリ)の救出を笠に着て孫を顎で使っていた。蕭蘅は出征を前に皇帝へ挨拶に向かった。すると洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は御書房に飾った麗妃の姿絵を眺めている。「麗妃は死に際に言葉を残したとか」「宮女の件を陛下には内密にと…」←いやバラすのかーいw皇帝はこの機に代国が侵攻してくると心配し、龍武軍だけでなく禁軍と城南軍も連れて行くよう勧めたが、都を守る兵が必要だと蕭蘅は断った。薛芳菲は海棠(カイドウ)から朗報を聞いた。司徒九月の見立て通り薛懐遠(セツカイエン)が記憶を取り戻したという。苦難を乗り越え、再び揃った薛一家。薛懐遠はいつ淮郷(ワイキョウ)へ帰るのか聞いたが、薛芳菲は姜家の二娘子という身分ゆえ帰る口実がないと説明した。しかし薛昭(セツショウ)に本音を見抜かれてしまう。「姐夫を置いて帰郷できないんです」「阿昭!」すると薛懐遠は蕭蘅の人柄を褒め、自分の心に従って進めと励ました。薛芳菲と蕭蘅は夫婦になると決めた。そこで2人で姜梨(キョウリ)と桐児(トウジ)の墓へ報告に向かう。姜梨が失ったものを全て取り戻し、自分の復讐も果たした薛芳菲。するとふいに風が吹いて梨の花が雪のように舞い散った。…姐姐?……梨R?……姐姐謝謝、私の汚名をすっかり晴らしてくれた…薛芳菲は母の形見の玉佩に値する男と出会い、床入りの儀で蕭蘅に狸の玉佩を贈った。2人は夫婦になった記念に蝋梅を植樹、しかし嫁いで早々、薛芳菲は城楼から姜元柏(キョウゲンハク)と一緒に出征する蕭蘅を見送ることになった。姜元柏は姜梨を連れて屋敷に戻った。この機に官職を辞した姜元柏は都を離れ、姜若瑶(キョウジャクヨウ)が待つ永(エイ)州へ越すという。「お前はどうする?粛国公が戻らなかったら?」「戻って来なければ一生、寡を守ります、でも必ず戻ると約束を… 父親、実は明かさねばならないことが…」「もしやお前が姜梨でないということか?お前は薛芳菲なのだろう? 私の娘、梨Rの最期は安らかだったろうか?」姜元柏はこらえ切れずに嗚咽を漏らした。「私と桐児が見守る中、静かに眠りにつきました 今頃は葉(ヨウ)氏とむつまじく過ごしているはずです」すると姜元柏は高齢の母に与える衝撃を心配し、この秘密を誰にも知られたくないと頼んだ。薛芳菲と葉世傑(ヨウセイケツ)は姜家の見送りに来た。姜景睿(キョウケイエイ)は想い人の柳絮(リュウジョ)と結ばれ、共に永州へ向かう。すると最後に姜元柏が薛芳菲の肩に手を置いた。「困ったことが起きたら永州の我々を頼りなさい…無事を祈っている」その時、薛芳菲は不思議と自分の中で生き続ける姜梨と姜元柏の父娘の絆を感じた。「父親…寒くなりますから風邪など召しませぬよう、暖かくしてください」姜元柏は娘の言葉にうっすら笑みを浮かべ、馬車に乗り込んだ。葉世傑は姜梨を国公府まで送って行くことにした。都にはまだ自分という身内がいると安心させ、何かの時には頼って欲しいという。「私を実の兄と思ってくれ」「…哥」薛芳菲は姜家だけではなく、葉家との縁も繋がっていることを実感し、笑顔を見せた。薛芳菲は蕭蘅の無事を祈りながら、夫婦で植えた蝋梅を世話していた。その頃、北境では成王の死を好機と見た代国軍が国境に侵攻、蕭蘅は龍武軍を率いて格闘するも、腹心の文紀(ブンキ)と陸璣(リクキ)は討ち死にしてしまう。戦は凄惨を極め、龍武軍は壊滅した。しかし蕭蘅は孤軍奮闘、敵将を仕留めたが、さらに敵軍が襲いかかる…↓これがやりたいがための最終話w早朝、薛芳菲はなぜか矢も盾もたまらず、国公府を飛び出して蝋梅の木を見に行った『蝋梅が咲く頃には無事に凱旋する』薛芳菲は蕭蘅の約束を思い出しながら、見事に開花した梅の花を眺めたその時、白馬にまたがった蕭蘅が蝋梅の木を目指して馬を掛けてくる…終わり( ๑≧ꇴ≦)終わったぁぁぁぁぁ!話数を短くするためなのか1話が長い長いw最終話も酷い酷いwww配信ではサクサク進んだ印象でしたが、そうそう、忘れていたわ〜早送りで見ていたことをwwwwwそれにしても正面カットの乱用は何なの?別々に撮影している弊害かしら?オカルトカップルのおかげで無事に完走できましたが、さすがに女主の作品はもう打ち止めかなさて配信当時、本国でも最後のあいまいなシーンのせいで解釈が分かれていました「これ夢なの?」「結局、蕭蘅はどうなったの?」しかし短い番外編が登場、論争は収まりました…めでたしめでたしってことで
2025.11.10
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墨雨云间 The Double 全40話第39話「最後の戦いへ」姜元柏(キョウゲンハク)の弟・姜元興(キョウゲンコウ)が妻を人質にされ婉寧(エンネイ)公主に加担。姜梨(キョウリ)を偽物の趙珂(チョウカ)に引き渡した。「姜梨、許してくれ」一方、薛芳菲(セツホウヒ)を閉じ込めた婉寧は上機嫌で地下牢を出た。すると永安(エイアン)閣の前に兄の姿がある。趙晟(チョウセイ)は謀反の準備に万全を期していながら、未だ蕭蘅(ショウコウ)を恐れていた。「蕭蘅を誘き出す″餌″だ、間違いがあってはならぬ」「安心して、蕭蘅が来たら公主府から生きて帰さないから」その頃、蕭蘅も今夜の反乱に備え、策を巡らせていた。すると姜元興の目を盗んで脱出した趙珂が駆けつけ、姜梨が行方不明だと報告する。「恐らく長公主が…」蕭蘅は罠だと気づいて単身で乗り込むことにしたが、思いがけず軍装した蕭大川(ショウダイセン)が現れた。「大戦を前に大将が離れてはならん!嫁は私が助けに行く!」( ๑≧ꇴ≦)おじーちゃーん!w婉寧の侍女・梅香(バイコウ)は沈玉容(シンギョクヨウ)から届いた差し入れを運んだ。まさか裏で自分の知らない計画が進んでいるなど露も思わず、婉寧は嬉しそうに羹(アツモノ)を飲んでしまう。その頃、沈玉容は阿狸(アリ)を救うため地下牢に駆けつけていた。全ての過ちは長公主に強いられたせいだと責任転嫁する沈玉容、しかし薛芳菲は死を恐れて自分で選んだ道に過ぎないと指摘する。すると沈玉容は阿狸に薬を嗅がせ、気を失わせて運び出した。沈玉容が薛芳菲を抱えて永安閣を出ると、激しい雨の中、びしょ濡れになった婉寧が立ちすくんでいた。そこで沈玉容は一旦、薛芳菲を下ろし、婉寧と相対する。婉寧は羹を食べて喀血、沈玉容に毒を盛られたと気づいていた。「その女を救うために私を殺すのね? 私はその女を殺させたけれど、最後にはやっぱりその女を選ぶの? あなたに尽くしたのに、その私に毒を盛るなんて…哥哥が許さないから!」「殿下も承知の上だ、成王の挙兵には大義名分が必要だからな」「沈玉容…私を愛していた?」しかし沈玉容は何も言ってくれない。兄と情夫の裏切りを知った婉寧は絶望した。「あなたからもらったかんざし…今、返すわ」すると婉寧は沈玉容の手に菊のかんざしを握らせ、その手をつかんで自分の胸を突き刺してしまう。「沈玉容…これであなたが公主殺しの罪人になる…先に地獄で待っているわ」その様子をちょうど意識が戻った薛芳菲が見ていた。沈玉容は薛芳菲を連れ、婉寧の亡骸を届けに李(リ)家に向かった。痺れ薬で体が動かない薛芳菲は揺れる馬車の中、沈玉容の恐ろしい計画を知る。実は沈玉容は軍営で成王に謁見した際、兵馬が入城できた暁には魚符が欲しいと頼んでいた。『蕭蘅をこの手で殺したいのです』沈玉容は薛芳菲の心を奪った蕭蘅を骨の髄まで恨んでいた。太極殿で成王の凱旋を祝う宴が始まった。城楼から宮中を警戒する陸璣(リクキ)、城外では楚嵐(ソラン)が臨戦態勢で合図を待っている。一方、侍衛親軍司(ジエイシングンシ)でも衛兵が集結していた。すると徐直(ジョチョク)が駆けつけ、都指揮使(トシキシ)・張巍(チョウギ)の逮捕令を示す。「北境と通じ武器を密輸、謀反の意図あり、縄に就け!」しかし誰も従わず、逆に徐直が捕まってしまう。実は張巍は徐直が蕭大川の密偵だと知っていた。「だから泳がせていたのだ、自分たちが優位だと思わせるためにな」( ๑≧ꇴ≦)おじーちゃーん!w沈玉容は李瑾(リキン)に婉寧の亡骸を届け、本当に死んだと明かした。「長公主は私に毒を盛られたと誤解し、悲憤の中で自害した だが成王殿下の大計どおり進めれば良い、事が成った後、私が自ら罪を請う」李瑾は長公主の亡骸に付き添い、急逝を嘆きながら李宅を出発した。その様子を眺めながらほくそ笑む沈玉容。すると入れ違いに薛芳菲が連行されて来る。「もう後戻りできないわよ?」「…ここで待っていろ」沈玉容は兵士に薛芳菲を見張るよう命じ、馬で出かけて行った。薛芳菲が屋敷に引きずり込まれそうになっていると蕭大川が乗り込んで来た。「老将軍!蕭蘅を助けに行って!沈玉容が魚符を持っている!」「まずはそなたを助けてからだ!」しかし李家の侍衛たちが駆けつけ多勢に無勢、蕭大川に勝ち目はない。その時、驚いたことに闇市の頼彪(ライヒョウ)たちが雪崩れ込んで来た。実は蕭蘅が大昭(ダイショウ)へ出かけていた時、陸璣が密かに闇市へやって来たという。『主君から伝言です、″時は来れり″と…』文紀(ブンキ)は回廊で控えている蘇(ソ)内官に反乱が始まると報告、皇帝を脱出させるよう頼んだ。蘇内官から耳打ちされた洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は麗(レイ)妃を連れて中座しようとしたが、成王に邪魔されてしまう。「雪隠へ参る、すぐ戻る」「この曲が終わったら私も付き合おう」「ふふ、成王殿下、私がいるのに陛下が戻らないはずありません」麗妃は皇帝を逃がすため宴に残ると決意、一献したいと言って成王の席へ向かった。後ろ髪を引かれる思いで太極殿を出た皇帝は蕭蘅と合流した。しかし蕭蘅は追っ手を阻むため、皇帝の警護を陸璣に任せるという。「明日、生きて必ず会おう」「御意」その頃、宴席に婉寧公主の亡骸を抱いた李瑾が現れた。「殿下!殿下!長公主が殺されました!皇帝の仕業です! 皇帝は殿下の功を妬み、都から生きて出さぬと… 暗衛に長公主の捕縛を命じ、騒ぎの中で長公主が命を落としたのです」成王は妹が本当に死んだと知り驚愕したが、大義名分を得て挙兵、麗妃を共犯者として拘束してしまう。朝臣たちは突然の政変に動揺した。中には明らかに謀反だと弾劾する大臣がいたが、その場で呆気なく殺されてしまう。すると李仲南(リチュウナン)が成王に忠誠を誓い、長公主の仇を討つと賛同した。朝臣たちは成王を恐れ、やむなく追従するしかない。こうして成王が皇帝誅殺を掲げ、ついに謀反の火の手が上がった。城内から合図の照明弾が上がった。楚嵐は軍営を出発、宮中では張巍率いる侍衛親軍を文紀たちが阻む。「謀反人、張巍を捕えろ!」一方、皇帝を追いかける成王ら北境軍の前には蕭蘅と国公府の暗衛が立ちはだかった。楚嵐たち北境軍は城門で足止めされていた。すると城楼に沈玉容が現れ、魚符を示して城門を開けるよう命じる。軍令は絶対、龍武軍の総領将軍・楊青(ヨウセイ)は好む好まざるに関係なく、従うしかなかった。文紀たちは張巍を殺害、侍衛親軍を平定した。しかしそこへ楚嵐率いる北境軍が雪崩れ込み、形勢は逆転する。「やはり大昭の加勢は役に立たなかったか…」「何を言う!早見優!」すると司徒九月(シトキュウゲツ)が代昭軍を率いて駆けつけた。「外はおとりよ!精鋭は隠しておいたの」「よし、ここであの時の決着をつけよう!」一方、陸璣は暗衛たちをおとりにしながら皇帝を誘導していた。しかし李仲南率いる反乱軍に見つかってしまう。「陛下、お迎えに上がりました、協力して頂けるなら成王に命乞いしましょう」その時、城楼に現れた伏兵が一斉に矢を放ち、反乱軍は壊滅する。「遅くなりました!」禁軍を率いて現れたのは姜元柏(キョウゲンハク)だった。李仲南は一緒に趙鄴を捕らえてくれるなら成王に口添えすると懐柔したが、激怒した姜元柏に蹴り飛ばされてしまう。「捕らえよ!」文紀は司徒九月の助太刀で楚嵐を生け捕りにした。すると九月は精鋭たちと城外の支援に向かう。一方、蕭蘅は亡き父の宝剣を抜いて成王と死闘を繰り広げていた。決着がつかないまま対峙する蕭蘅と成王、その時、北境軍の兵士が思わず″龍武軍はまだか″とぼやいてしまう。皇帝を案じた蕭蘅は暗衛に門を死守するよう号令、屋根に飛び上がって消えた。姜元柏は先帝との誓いを守り皇帝を救った。そこで急いで城門へ向かうことにしたが、突然、蕭蘅が駆けつける。「姜相国、陛下を国公府へ」「分かった」しかし龍武軍がこちらに向かってくると知らせが届く。蕭蘅は自分が止めると言ったが、その時、蕭大川が薛芳菲を連れて戻って来た。蕭蘅は愛しい薛芳菲を馬から降ろし、2人はしばし抱き合った。しかし別れを惜しむ時はなく、蕭蘅は陸璣たちに皇帝を必ず守るよう頼んで馬で駆けて行ってしまう。「蕭蘅はどこへ?」「陛下、粛国公は龍武軍を引きつけ、城外に出るつもりです」すると薛芳菲は老将軍に弓を貸して欲しいと頼んだ。疾走する蕭蘅の前に龍武軍を手中に収めた沈玉容が現れた。「蕭蘅!探していたぞ!自らやって来るとな!…放箭(ファンジィェン)!」蕭蘅は父の宝剣で弓矢を弾き飛ばし、城外を目指した。しかしあと一歩のところで城門を閉められてしまう。馬を捨て孤軍奮闘する蕭蘅。すると城楼へ上がった沈玉容は龍武軍を下げた。「蕭蘅!…お前を殺す気はなかったが、阿狸が惚れたようだ お前のせいで私の顔も見たくないと…」「沈学士!阿狸が愚か者だと蔑んでいたが、本当だな」(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ <お前が阿狸と呼ぶなぁぁぁぁぁぁ!蕭蘅はふと背後を気にした。しかし愛する人への未練を断ち切り、城楼を見上げる。「これは決死の戦い!もとより生還は望まぬ!」つづく( ˙꒳˙ )ユーロンは仮死薬じゃなくて本当に毒を入れたんだろうね
2025.11.10
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墨雨云间 The Double 全40話第38話「反乱の足音」沈玉容(シンギョクヨウ)は母と妹を故郷へ戻すことにした。贅沢な暮らしに慣れた2人は貧しい町に戻りたくないと反発、母はせめて理由を知りたいという。「都で何が起こるのか知る勇気があると?」その意味を悟った沈夫人は青ざめ、急いで荷造りすると決めた。洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は成(セイ)王・趙晟(チョウセイ)が多数の兵馬を従えて帰京すると知り激怒した。それにしても俘虜(フリョ)を口実に押送と称して兵を増やすとはよく考えたものだ。蕭蘅(ショウコウ)は成王と婉寧(エンネイ)では考えつかない妙策だと感心し、裏に参謀がいると怪しむ。実は成王に入れ知恵したのは沈玉容だった。その夜、沈玉容は京城郊外の軍営で密かに成王と接触した。沈玉容の策により大軍で都に迫ることができたとご満悦の成王。すると沈玉容は次に挙兵の大義名分が必要になるという。「最良の名目は長公主の死」沈玉容は婉寧を殺して皇帝に罪を被せるよう献策したが、激怒した成王から剣を突きつけられてしまう。「殿下の運命はこの挙兵で決まる、殿下は果敢なお方だと信じています」冷静になった成王は剣を収め、ならば死を装ってはどうかと提案した。そこで沈玉容は婉寧に知らせず仮死薬を与えて一芝居打つという。成王は確かに妹の気性では惨めな役回りを拒むと考え、婉寧には事が済んでから自分が言い聞かせると約束した。「感謝いたします、殿下、こたびの功労として殿下に所望したき物が…」ヒイィィィ~!(゚ロ゚ノ)ノ帰還した成王率いる北境軍は民衆の熱狂的な歓声を受けた。太極殿では皇帝と文武百官が総出で成王を出迎え、その偉大な戦功を称賛する。「祭祀後も都に滞在しては?」「明日の祭祀の後すぐ引き上げるつもりです 北疆は一見、平穏ながら少しも油断できません、ご理解ください」儀礼を交わしながら互いを牽制する皇帝と成王、その様子を見ていた蕭蘅と沈玉容も火花を散らしていた。成王は公主府に婉寧を訪ね、李家での身勝手な振る舞いを嘆いた。「李仲南(リチュウナン)との関係が切れたら宿願が遠のくのだぞ?」「哥哥…妹妹を責めるのね?城を捨てて一目散に逃げた昔とは大違い」「蕭暝寒(ショウメイカン)さえ邪魔しなければ、今、玉座にいるのは私だった」「まさかその息子があれほど情に溺れるなんて、兵権より女子を選んだ」すると婉寧は一緒に母妃の参拝へ行こうと誘った…劉(リュウ)氏はまだ幼い趙晟と趙婧(チョウセイ)を残して逝くことになった2人の子に恵まれたおかげで身分は低くとも貴妃に封じられたが、すでに皇帝からの寵愛を失い、薄氷を履む思いで慎重に生きてきたと吐露する『私が死んだら兄妹で助け合いなさい、いいわね? 宮中では弱き者が蹴落とされる、勝ってこそ生きられるの 皇権を手に入れることは己を守る何よりの武器になる』…趙晟は母妃の遺言を思い出し、優しい兄の顔に戻った。すると永安(エイアン)閣に李仲南がやって来る。「明晩の宴の刻限に動きます」3人は京城の地図を眺めながら改めて計画を確認すると、婉寧は沈玉容を呼んで兄に紹介した。「″お初にお目にかかります、陛下″」(((((((゚ロ゚ノ)ノ ヒイィィィーッ!一方、蕭蘅(ショウコウ)も成王の謀反に備えて万全の準備を整えていた。采配を終えた蕭蘅は中庭で薛芳菲と一息つきながら、ついにこの日が来たと感慨深い。「大理寺の牢で私に尋ねたな?もう一度、尋ねるがよい」「…身近に冤罪で亡くなった人はいる?」「いる、父は龍武軍を率いていたが、私利を図る成王に見捨てられて辺境で果てた 父のために登聞鼓(トウブンコ)を打ったが正義を取り戻せなかった この8年間ずっと考えていた 非業の死を前に父は何を思っただろうか、人に裏切られ後悔はなかっただろうかと」すると薛芳菲はもし蕭将軍が存命なら、民を慈しみ生きてきた父と盟友になれただろうと言った。「蕭蘅、きっと蕭将軍があなたを守ってくれる…あなたを信じてる、だから私を信じて 私はあなたを決して見捨てない」姜宅に三娘子の若瑶(ジャクヨウ)から文が届いた。若瑶は永(エイ)州で元気に暮らしているという。老夫人は安堵したが、姜元柏(キョウゲンハク)が急に中書令としての日々を振り返った。あれは先帝が病床についた時のこと。先帝は趙鄴の師・姜元柏を呼んで急に中書令に封じ、自分の死後に趙鄴を支えるよう頼んだ。しかし生真面目な姜元柏は太傅として権力をふるえば疎まれると考え、親政が始まるとあえて李仲南と権力を二分していた。それ以来、李仲南とは時に対立し、時にかばい合ってきたという。すると姜元柏は家中の不穏な空気に気づきながら構う余裕がなかったと吐露し、全て自分の過ちだと嘆いた。老夫人は息子が珍しく宮中の話題に触れたことから、政変が近いと気づく。「今日は母親(ムーチン)に心の準備をして頂くために参りました もし私に何かがあれば母親に姜家を託します」「心配ないわ、お前には長年、苦労をかけたね」老夫人は息子との別れを嘆くより、先代の気骨が備わった息子が誇らしかった。老夫人たちの話をちょうど晩鳳堂を訪ねた楊(ヨウ)氏が立ち聞きしていた。驚いた楊氏は慌てて引き返し、屋敷にいた姜元興(キョウゲンコウ)に反乱が起こると知らせる。すると姜元興は戦功が華々しく大軍を率いる成王が勝つと踏み、荷物をまとめて母の里に逃げると決めた。皇帝は明日の祭祀を前に麗(レイ)妃と側仕えの蘇(ソ)内官を宮中から逃がすことにした。しかし2人とも皇帝のそばを離れないと拒否、運命を共にするという。こうしてそれぞれの思惑が絡み合う中、ついに祭祀当日を迎えた。隆孝(リュウコウ)皇帝の位牌が祀られた壇上に並んだ3人の子供たち。趙鄴は父皇が与えてくれた皇位を必ず守ると誓い、趙晟は自分を選んでくれなかった父皇への恨みを募らせる。そんな中、婉寧は心ここに在らずだった。あの日、代国から戻った婉寧は病床の父皇を見舞った。人払いして枕元へ薬湯を届けた婉寧。父皇は目を潤ませ再会を喜んだが、婉寧は代国では人以下の扱いだったと嘆いた。それでもいつか父皇が迎えに来てくれると信じていたという。『お前には申し訳ないことした』『あなたは自分自身や息子を愛するように私のことを…』『もう言うな、あの時、代国のやつらは朕をあぶり焼きにすると脅してきた、朕はやむなく…』『父皇、私を愛していたのか聞いたのです』しかし父皇は急に激しく咳き込み、答えをはぐらかした。すると婉寧は枕で父の顔を力の限り押さえつけ、殺めてしまう。…悪いのはあなたよ?だから私に報いてもらう…∑(⊙∀⊙)ヒャーーー!婉寧!マジか!祭祀が終わり、成王と蕭蘅は皇帝を見送った。「粛国公、9年ぶりか?私が都を出た時はまだこんなに小さかったな 両親が存命ならさぞ喜んだであろう」「父親は運悪く戦死しました、今の殿下のご活躍を見ればさぞ喜んだでしょう」成王は蕭蘅が真相を知っているのか探ろうとしたが、蕭蘅は昔の話だと遮った。「そなたは父親の前轍を踏むでないぞ」「危険は御免です」2人の立ち話は一見和やかに終わったが、互いに腹の内は見せなかった。趙珂(チョウカ)は姜梨の安全を守るため姜宅で警戒していた。すると回廊で姜元興に呼び止められ、枯れた植木を見て欲しいと懇願される。仕方なく一緒に姜元興の屋敷まで同行、そこに突然、曲者が飛び込んできた。使い手の趙珂は曲者を殴り飛ばし、生け取りにしようと近づいたが、背後から姜元興に襲われ、薬を嗅がされて倒れてしまう。ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ まさかの三叔父!蕭蘅を心配する薛芳菲のもとに白雪(ハクセツ)が密書を届けた。…相談したき事あり、すぐ国公府へ来られたし、蕭蘅…白雪は明日にするよう止めたが、薛芳菲は居ても立ってもいられなかった。そこで白雪を下げ、呼び笛で趙珂を呼ぶ。「国公府へ行きたいの」「はい」趙珂は拱手して拝命したが、薛芳菲が自分の指を見ていることに気づいて慌てて腕を下ろした。姜元興は姜梨が出かけたのを確認すると伝書鳩を飛ばした。手首には縛られた痕が残っている。一方、薛芳菲は馬車に揺られながら、父と弟に何かあったのかと気が急いた。「趙珂?!まだ到着しないの?」「もうすぐです、Rニャンズー」…二娘子?…趙珂は姜梨をいつも″娘子″と呼んでいた。薛芳菲はふと趙珂の指が1本だけ短かったことを思い出し、偽物だと見抜く。そこで馬車を止めて逃げようとしたが、趙珂に首を突かれて意識を失った。薛芳菲が目を覚ますと、薛昭(セツショウ)が閉じ込められていた地下牢だった。すると婉寧公主が趙珂を連れてやって来る。「彼は何者?!」「見破ったのはあなたが初めてよ~」薛芳菲をさらったのは変装の達人・明智小五郎だった。←違うw「蕭蘅が来るのを待ってお前の末路をゆっくり見てもらうことにする~」婉寧は偽の懐妊を仕組んだ薛芳菲に怒りが爆発、その細い首をつかんだ。「子を失った痛みや夢が破れた辛さがお前に分かる?!」「愛する人に生き埋めにされた絶望なら分かるわ!」「ふっ、シュェファンフェィ…たまにお前が好きになる、沈玉容がいなければ友になれたかも あら、清らかな夫が不幸にも私に毒されたと思った?もともと私と同類なのよ」すると婉寧は長い袂を翻しながら嬉しそうに帰って行った。つづく( ๑≧ꇴ≦)婉寧!薛パパと婉寧はユーロンの本性に気づいていたのねw
2025.11.10
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墨雨云间 The Double 全40話第37話「死の真相」国公府に捕らわれた冑曹(チュウソウ)参軍・徐直(ジョチョク)は釈放、侍衛親軍司(ジエイシングンシ)に復帰した。都指揮使(トシキシ)・張巍(チョウギ)は徐直を労い、これを乗り切れば名誉と冨貴を手にできると鼓舞する。一方、何も知らずに国公府を訪ねた薛芳菲(セツホウヒ)は薛昭(セツショウ)から昨日の騒ぎを聞いた。蕭蘅(ショウコウ)は皇帝に禁足を命じられ、面会も許されないという。そこで薛芳菲は粛(シュク)国公への差し入れを口実に衛兵から許しをもらって奥殿へ入った。あの風流な蕭蘅が身なりも整えず、のんきに短剣を研いでいた。薛芳菲はこれも策略だと気づき、今度は″君臣の離反劇″かとからかう。さすがに禁足が2日では短過ぎると指摘したが、蕭蘅はやり過ぎはかえって疑われると言った。「老将軍との諍いも?」「祖父の話はするな」すると薛芳菲は何を思いついたのかさっさと帰ってしまう。「差し入れは?!」「これは阿昭のよー」奥殿を出た薛芳菲は回廊で暇そうに控えている陸璣(リクキ)と文紀(ブンキ)を見つけた。皇帝が禁軍を派遣したため、禁足が解けるまで蕭蘅と接触できないという。「蕭蘅と老将軍が衆目の中で揉めたとか、どうして祖父と孫が反発を?」陸璣は口が堅かったが、文紀は姜梨(キョウリ)なら仲裁できるかも知れないと期待した。…蕭蘅にとって父・蕭暝寒(ショウメイカン)の死は大きなしこりだったあれは龍武軍の生き残りである副将・彭広(ホウコウ)が蕭大川を訪ねてきた時のこと小蕭蘅は回廊でこっそり2人の会話を盗み聞きしてしまう『奴らが見捨てなければ蕭将軍は生き延びられたのです 奴らは援軍を出そうとせず、唯一の退路を封じた』成王・趙晟(チョウセイ)は葬儀で蕭暝寒を師と仰ぎながら涙を流した彭広は老将軍が必ず成王の陰謀を明かしてくれると信じていたが、思いがけず蕭大川は龍武軍の再建のため復帰を決めてしまう諦め切れない彭広は自分で真相を洗い出すことにしたしかし逆に誣告され、汚職の罪を着せられ斬首されてしまう真相を知る唯一の人物が亡くなり、打ちひしがられる小蕭蘅正義を求めて長安門の登聞鼓(トウブンコ)を叩くも、祖父に連れ戻され、国公府に閉じ込められてしまう龍武軍と言えば禁軍の選り抜きで編成する精鋭部隊だった小蕭蘅は隠居していた祖父が突如、軍事の要職に就いたことを訝しみ、息子より名声を得たと非難、この日を境に祖父と決裂してしまう…蕭蘅は国公府に5年も閉じ込められた。父の死の真相を調べることもできず、植物を育て、戯曲を楽しむだけの生活だったという。「気性も変わってしまったそうです」「そうだったの…私、老将軍に会ってくるわ」薛芳菲は蕭大川の屋敷を訪ねた。老将軍の部屋には息子夫婦や孫の思い出の品が並び、いかに家族を愛していたのかが分かる。「老将軍、過去の話をお聞きしたいのです」「そなたにどんな関係が?」すると薛芳菲は蕭蘅と想い合っていると伝えた。そんな率直な姜梨を気に入った蕭大川は昔話を伝える代わりに、ある人物を紹介するという。「だが内密にな、蕭蘅に言ってはならぬ、悲しませる」「知るかどうかは蕭蘅本人が決めることでは?」一方、婉寧(エンネイ)公主は自分が下手に出た途端、つけ上がった李瑾(リキン)に怒りを募らせていた。「やはり調教しなくては…」そこで李瑾を呼びつけてはあごで使い、自分に従わせようとした。しかし自尊心の高い李瑾はついに堪忍袋の緒が切れてしまう。婉寧は李瑾に食事の給仕をさせ、わざと海老を落として拾って食べろと迫った。すると李瑾は自棄になって海老を口に放り込みながら不敵な笑みを浮かべる。「ふっ…私は沈玉容のような犬に成り下がるつもりはない!」「無礼者!」婉寧は逆上、李瑾を引っ叩いたが、李瑾は沈玉容のもとへ行けと冷たく突き放し、出て行ってしまう。蕭大川が姜梨に紹介したのは蕭蘅の乳母だった王(オウ)氏だった。薛芳菲は衛兵に賂を渡して王氏と一緒に蕭蘅に面会、蕭蘅はひと目見ただけで幼い時の乳母だと気づく。「王媽媽じゃないか!両親亡きあと世話をしてくれたが、突然、姿を消したな」「それは…小公子、高熱を出して苦しんだことを覚えていらっしゃいますか? 実は私が毒を盛ったのです」「何だって?!」当時、王氏は成王に我が子を人質にされ脅されていた。医者の手当てで蕭蘅は事なきを得たが、老将軍に毒を盛ったと見破られてしまう。しかし事情を聞いた蕭大川は追及するどころか、路銀を持たせて都から逃がしてくれた。「老将軍に蕭将軍の死の真相を明かす際に証言すると約束しました まさか老将軍との再会より先に小公子に会うことになるとは… 老将軍はこれまでずっと援助してくださいました」話を聞いた薛芳菲は成王が老将軍への警告の意味で蕭蘅に毒を盛ったのだと気づき、禁足が解けたら一緒に老将軍を訪ねようと提案した。祖父の屋敷は今も家族の思い出の品であふれていた。蕭蘅は驚きを隠せなかったが、ならばなぜ大切な家族を害されながら成王と結託したのかと嘆く。「我が子を殺した敵と結託するものか!」すると蕭大川はようやく重い口を開いた…息子を祖父のもとへ帰し、南疆の軍営から北疆の望(ボウ)城へ出征した蕭暝寒しかし成王は死を恐れ、援軍を待たず民を見捨てて撤退すると決める蕭暝寒は猛反発するも成王は決定を下すのは総帥である自分だと譲らなかった軍命は絶対、蕭暝寒はやむなく龍武軍も撤退させ、親衛兵200名足らずで望城に残るやがて敵軍が30里に迫った蕭暝寒は援軍が間に合わないと分かり、親衛兵100名を民と共に逃すよう命じる蕭暝寒は民たちを避難させる時間を稼ぐため、山あいの間道で敵軍を迎え撃つことにしたわずか100名で挑んだ大軍との戦いは死闘を極めたが、その時、避難を終えた彭副将が駆けつける『将軍!我々も撤退しましょう!』しかしすでに敵の後方部隊が目前に迫っていた逃げ道をふさがれた親衛兵たちは望城へ戻ろうと提案したが、彭副将の話では成王の命で城門が閉じられたという蕭暝寒は成王を誅するべきだったと後悔したが遅かった『将士們!生還の希望を捨てよ!』すると蕭暝寒は彭副将に100人の名を覚えて必ず帰還し、自分たちが大燕のため散ったと報告するよう命じた彭広は自分も残ると拒んだが、強引に連れ出されてしまう『将軍nnnnnnnnnn!』…蕭蘅は成王が望城の民を犠牲にしたと露見するのを恐れ、父の退路を断ったと知った。祖父は成王が王氏に近づいて孫を殺めようとしたと気づき、蕭蘅と蕭家を守るため息子の戦死を認めて龍武軍に復帰したという。「幼いお前が理解できないのも無理はない、だが大人になっても頑迷だとは」蕭大川は浅はかな孫に呆れた。実は徐直は蕭大川が侍衛親軍司に送り込んだ間者だという。徐直は張巍と成王の繋がり突き止め、すでに1年も張巍を監視していた。彭広が殺されたあと蕭蘅を国公府に閉じ込めたのは、真相に迫って幼くして汚い大人の世界を知るのが忍びなかったという。「説明すれば済むことなのに!…それで100人の将兵の名を覚えているのか?」「もちろん1人残らず」「名誉を取り戻す、姜梨は父の冤罪を晴らした、私にできぬはずがない…帰るぞ」祖父への誤解が解けた蕭蘅は祖父を国公府へ引き取ることにした。「成王が祭祀で帰京する、骸を引き取るのはごめんだからな」その頃、珍しい草薬を調べていた沈玉容は書の中で見つけたある薬材を入手した。家職の話では大昭(ダイショウ)が採取地で、かつて寒証の治療に用いられていたという。しかし過剰に摂取するとつわりのような膨満感や吐き気が見られ、脈にまで懐妊の相が現れて誤解を招くことになった。そのため利よりも害が多い薬とみなされ、次第に使われなくなったという。「薬効が切れるのは一月後です」一方、李瑾と口論になった婉寧は激しい腹痛で倒れ、流産した。これで名門の李家も終わりだと涙に暮れる李仲南(リチュウナン)。李瑾はせめて父だけでも守ろうと自分の首を差し出す覚悟で長公主を訪ねたが、慌てて李仲南が駆けつけた。「殿下、次男は出家し、残された子は1人だけ、どうかご容赦ください」すると婉寧は衛兵の帯剣を抜いて李仲南に突きつけた。「息子が可愛いのね、ならば私の子は?!親子共々首を落としてやる!」婉寧は剣を振り上げたが、李仲南と李瑾は病み上がりでふらふらの長公主をあっさり退けた。「殿下、ご乱心ですか?たとえ成王に知られようと息子を殺めることは許さぬ!」激情に駆られた李仲南は私兵を呼んで長公主を包囲、その時、沈玉容が現れた。沈玉容は人払いしてから婉寧の懐妊が偽装だったと明かした。にわかに信じられない婉寧だったが、確かに麗(レイ)妃の宴で毒味させずに酒を飲んでしまったことを思い出す。この薬材が採取できるのは大昭のみ、恐らく司徒九月(シトキュウゲツ)と麗妃が蕭蘅と姜梨に加担したのだ。「我ら全員、謀られたのですな…」李仲南は咄嗟に不敬を詫びたが、婉寧に消えろと追い出されてしまう。「梅香(バイコウ)、成王に文を…挙兵を促して」すると婉寧はその場で崩れ落ちた。「天からの贈り物だと思ったのに…子は消えた、いなくなった…」沈玉容はまた授かれると励ましたが、婉寧はその日が来ないことを知っていた。成王は婉寧が蕭蘅に魚符を出させたと知って上機嫌だった。思えば蕭暝寒の龍武軍さえいなければ何年も北の辺境で苦労せずに済んだだろう。当時、趙晟は自分が父皇のために戦っている隙に幼い趙鄴(チョウギョウ)が即位したと知って激怒、暗殺を試みた。しかし蕭暝寒に計画を阻止され、煮え湯を飲まされる。「ようやくこの日を迎えられた…祭祀の機に奇襲をかける」楚嵐(ソラン)は祭祀に大軍を率いて向かうことは無理だと思ったが、成王には切れ者の参謀がいた。文紀の報告により薛芳菲の策が見破られたと分かった。薛芳菲は蕭蘅の役に立てなかったと落胆したが、蕭蘅はむしろ戦わずに済む方が稀だという。「安心しろ、こたびは私がお前の駒となる、お前は高みの見物でいい」「死なないでね」「嵐が来る、姜家にこもれ、父親と弟のことは私に任せろ、お前さえ無事なら私は大丈夫だ」すると薛芳菲は蕭蘅に抱きついた。つづく_| ̄|○ ガクッ!って婉寧ー!婉寧がオカルトじゃないとこっちがガッカリなのよ ←違う方向へ行ってるw
2025.11.06
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墨雨云间 The Double 全40話第36話「老将軍の思惑」久しぶりに晴れやかな朝を迎えた沈玉容(シンギョクヨウ)。実はその頃、婉寧(エンネイ)公主は腹の子を守るため李瑾(リキン)に嫁いでいた。李瑾は殊勝な様子で拝礼の儀に挑む長公主に戸惑いながらも床入りの儀へ、すると婉寧の態度が一変、夫婦の杯をわざとこぼして李瑾を追い出してしまう。「疲れたわ…駙馬、聞こえなかった?」婉寧は納得のいかない婚姻に苛立ちを隠せず、独りになると沈玉容からもらった菊のかんざしを眺めて涙に暮れた。一方、薛芳菲(セツホウヒ)は今日も弟の世話を焼いていた。すると薛昭(セツショウ)が全て片付いたら淮郷(ワイキョウ)に帰り、瓊枝(ケイシ)に会いたいという。薛芳菲は瓊枝が非業の死を遂げたと言えず、薛昭が死んだと聞いて悲しんでいたが、良い相手が見つかって遠方へ嫁いで行ったと嘘をついた。「そうか…彼女が幸せならいいんだ」その頃、大昭(ダイショウ)では蕭蘅(ショウコウ)が司徒九月(シトキュウゲツ)の毒蜘蛛探しに付き合わされていた。九月は蕭蘅と2人だけの時間が嬉しかったが、蕭蘅は相変わらずつれない。「まだか?!暑くて敵わん!」九月は仕方なく切り上げ、兄との交渉が上手くいったか聞いた。すると蕭蘅は九月の駙馬になることが条件だったと明かし、九月から断って欲しいと頼む。「率直に言おう、兵を借りられねば困るが婚姻はできぬ」「今日、付き合ってくれたのは下心があったからね?!」「駄目なら帰国して死を待つのみ」九月は呆れたが、助けるのはこれが最後だと言った。薛芳菲は蕭蘅が帰ってくると知って肉を焼いて待っていた。宴の準備を手伝っていた薛昭と海棠(カイドウ)は2人の邪魔にならないよう退散、その時、帰ってきたと知らせが来る。薛芳菲は喜んで迎えに出たが、現れたのは蕭蘅の祖父・蕭大川(ショウダイセン)だった。すると慌てて文紀(ブンキ)が駆けつけ、蕭蘅が戻ったら連絡するという。「どうせ私に会いたくないのだろう?…仕込んだ酒が余った、飲め、帰る!」「先帝と山河を平定した誉れ高き蕭老将軍ですね!」姜梨(キョウリ)の言葉を聞いた蕭大川は機嫌良く出て行ったが、門前でちょうど屋敷に到着した孫と出くわす。しかし蕭蘅は挨拶どころか祖父に一瞥もくれず通り過ぎた。蕭蘅が屋敷へ入ると、ちょうど薛芳菲が老将軍の届けた酒甕を持ち上げようと苦戦しているところだった。「良いところに…この酒を」「分かっている、毎年届き、毎年捨てている」蕭蘅はせっかくの再会が祖父のせいで台無しになったと落胆したが、阿狸(アリ)が帰国の宴に肉を焼いてくれたと聞いて笑顔を見せた。蕭蘅は兵を借りる条件が駙馬になることだったと話した。しかし薛芳菲は蕭蘅が承諾しないと分かっていながらわざとつれなくする。「そうなの…だったら行けば?早馬を準備する?」「私が承諾したらお前が許さない…私には分かる」薛芳菲は失笑し、実は婉寧が李瑾に嫁いだと教えた。計画とは違ったが、思いがけぬ収穫もあったという。李瑾は気位が高いため婉寧といては心穏やかでないはず、表面上は静かに見えても実は激しく波打っているはずだ。「薬効が消えたら大騒ぎになる」一方、沈玉容は婉寧の懐妊を訝しみ、草薬の書を調べ始めていた。粛清された皇城司の残りの将たちは辺境へ異動となった。しかし武器庫担当者が命乞いのため自供、三月前に申請数を超える武器を受領したが、超過分は入庫しなかったという。恐らく皇城司と武庫署が通じて成(セイ)王に武器を横流ししていたのだろう。蕭蘅は早速、皇珹司の武器支給を審査した武庫署の曹斌(ソウヒン)を訪ねたが一足遅く、曹斌は汚職を認める遺書を残して自害していた。すると武庫署の署令・黄賢松(オウケンショウ)が駆けつける。蕭蘅は曹斌が武器を横流ししていたと弾劾したが、黄署令は何も知らなかったと訴えた。「では曹斌が担当していたのは皇城司の他にどこだ?」「確か…侍衛親軍司(ジエイシングンシ)です」黄署令の話では曹斌が見直したいので侍衛親軍司と皇城司の文書を持ち帰ったという。確かに書斎には紙の燃えかすがあった。そんなある日、突然、沈家に婉寧がやって来た。婉寧は李家での生活にへき易していたが、沈玉容は自分たちの子供ためだと言い聞かせる。「私のように接する人は他にいません お坊ちゃんの李瑾は辛抱を知らない、あまり追い詰めませんように 今は静かに時を過ごすことが重要なのです」「はいはい、分かったわ」沈玉容が婉寧の肩を抱き寄せると、婉寧は子の名前を考えようと提案した。「安寧で穏やかに暮らせるよう殿下の寧と、雪のように純潔であれと願って…」「沈・寧・雪…?では呼び名は小雪にする」婉寧は母となる幸せをかみしめながら沈玉容の肩にもたれていたが、沈玉容の氷のように冷たい表情には気づかなかった。蕭蘅は侍衛親軍司を訪ねた。都指揮使(トシキシ)・張巍(チョウギ)は蕭大川の元部下、蕭蘅から武器の横流しの件を聞いて武器担当の冑曹(チュウソウ)参軍・徐直(ジョチョク)を呼んでくれる。「我々の武器を調べたいそうだ、協力してやれ」しかし張巍と徐直の対応は完璧すぎてむしろ不自然だった。武庫署の記録と照合するため書類を借りて侍衛親軍司を後にした蕭蘅と陸璣(リクキ)。すると武器署を調べていた文紀が駆けつけた。「武器生産量が出庫量を上回っています 曹斌は侍衛親軍司とも通じて余分な武器を出庫していました!」「監視せよ、徐直は捕らえる」一方、張巍は早速、蕭大川を牽制した。実は皇城司が武庫署と組んで武器を横領していたことが発覚、粛国公が侍衛親軍司にも疑いをかけているという。「捜査は構いません、しかし証拠もなく部下を捕まえ拷問したなら…黙っておれません」李瑾は長公主が沈玉容に会いに行ったと知っていた。追跡されたと知った婉寧は逆上するところだったが、ふと沈玉容の言葉を思い出して落ち着きを取り戻す。「これも一種の協力関係よ、助けてくれれば十分な褒美をあげる」「お守りしたいだけです、あなたのお子を… 結局、沈玉容のことが漏れたら皆が困ることになる、ふっ」婉寧は子のためにこらえたが、増長した李瑾へ怒りを募らせた。国公府に捕らわれた徐直は超過分など知らないと否定したが、文紀は一晩、責めれば白状すると踏んだ。しかし蕭蘅は明日まで待てないという。その時、門衛が慌てて駆けつけた。「侍衛親軍が国公府を包囲しました!」張巍は徐直を無断で連れ去ったと激怒、半刻以内に解放しろと要求した。国公府の前で睨み合う蕭蘅の暗衛と張巍率いる侍衛親軍、すると慌てて蕭大川がやって来る。「張巍、私の顔を立ててここは退いてくれ、今日中に部下を送り届ける」すると張巍は剣を納め、撤退した。蕭大川は武器の横流しの案件なら徐直を三衙で審理させるよう提案した。しかし蕭蘅は皇帝に従うと拒否、かつて父の変死を調べず、今さら部下の肩を持つのかと非難する。「ともかく徐直を解放しろ、家で話そう」「私に家などない」すると蕭蘅は屋敷へ入り、門を閉めてしまう。皇帝のもとに横暴な蕭蘅を弾劾する奏状が山のように届いた。皇帝はさすがにやり過ぎだと激怒、自分でもかばい切れないという。「限度を知れ!2日間の禁足を命じる!」つづく( ๑≧ꇴ≦)ゆーろーん!ゾクゾクする壊れっぷりですw
2025.11.04
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第4話黄天狂(コウテンキョウ)に追われ、咄嗟に穴蔵に逃げ込んだ皇北霜(コウホクソウ)と霍擎雲(カクケイウン)。すると愛馬の飛踏(ヒトウ)が追っ手を引きつけてくれたおかげで2人は難を逃れた。安堵した霍擎雲だったが、その時、上を見上げた皇北霜は目に砂が入ってしまう。「私が取ってやる」霍擎雲は皇北霜の目に息を吹きかけて砂を払った。思いがけず顔と顔が接近して気恥ずかしくなる2人。「…出よう」「はお」一方、若問(ジャクモン)は道に迷った格心微(カクシンビ)のため、地図を求めて宿場町に到着した。霍擎雲は皇北霜を休ませるため宿場にある和南(ワナン)客桟に到着した。追われているというのに人目につく場所だと困惑する皇北霜、しかし霍擎雲は″灯台下暗し″だと笑って入ってしまう。実は和南客桟は莽流(モウリュウ)の拠点だった。皇北霜は部屋へ案内してくれた沙曲(サキョク)の腰にある莽流の令牌に気づいたが、まさか霍擎雲が莽流の門主だとは知る由もない。皇北霜が寝床を整えていると、霍擎雲は大漠奇巻(タイバクキカン)をめくりながら、どこで手に入れたのか聞いた。「幼い頃、父の旧友から頂いたの」「どんな人物だった?」「10年以上も前のことで忘れてしまった…なぜ書が欲しいの?」「集めたら大成するという噂だ、カネに換えて妻を娶るんだ」「良縁に恵まれるといいわね」「そう簡単じゃない、巡り合わせだからな、困難や挫折を乗り越えた先に見つかるものだ じゃあお休み」すると霍擎雲はこっそり香炉にある香を入れて出て行った。…莽流を率いる霍擎雲は容豁(ヨウカツ)という男を探していた容豁の情報を得た霍擎雲は沙曲と雲沛へ向かったが、砂漠で刺客に襲撃されてしまう実は一掃した刺客は天都(テント)の隠密だった『行動が読まれている、間者の捜索を頼む、5日後に和南客桟で…』こうして沙曲と別れた霍擎雲は皇北霜の一行に助けられることになる…皇北霜がぐっすり眠っている間に霍擎雲は門下と合流した。沙曲はすでに間者を洗い出したと報告、直ちに一掃する。一方、夜も更けた頃、若問と格心微はようやく客桟を見つけた。残念ながら満室を知らせる赤い旗が掛かっていたが、若問は赤い旗の下にある黒い旗に気づく。「莽流の合図だろう、恐らくここは奴らの諜報活動の拠点だ」若問はここなら地図が手に入ると喜び、ひと芝居打つことにした。沙曲は容豁が雲沛城主・那戦(ナセン)に捕らわれていると報告した。「ところで門主、あの娘は?」「ついでに助けた」「女子を連れているのを初めて見ました」すると店番が慌てて部屋に駆けつけた。実は目が不自由な妻が赤い旗だと知らず夫を連れて乗り込んできたという。夫は馬商人だと言ったが、どうもただの商人には見えなかった。そこで霍擎雲が戸の隙間からこっそり覗いてみる。「はっ!若問だ!まずいぞ、足止めしろ」霍擎雲は皇北霜を抱きかかえ、自分の部屋へ移した。一方、沙曲は若問に裏庭の小屋なら無料で貸すと持ちかけたが、激怒した若問に腕をひねりあげられてしまう。すると格心微がその隙に階段を上がって行った。「空いてる部屋があったわ!」喜んだ若問は沙曲を解放して2階へ、沙曲は慌てて追いかけたが皇北霜の姿はなかった。「そう言えばお客さん、目が不自由なのでは?」「あ…たまに見える時があるの」翌朝、皇北霜が目を覚ますと霍擎雲の部屋だった。「迷香をたいた?」「安神香だ、よく眠れただろう?迷香ならまだ寝ているさ」霍擎雲は客桟に若問がいると教え、食事を持ってくると言った。しかし部屋へ戻ろうとした時、霍擎雲は運悪く若問たちとすれ違ってしまう。若問はどこか見覚えがあると気づいて男を引き止めたが、思い出せなかった。そこで麻随の地図を探す間、格心微に今の男の連れが誰か確認してこいと命じる。すると格心微は思いがけず皇北霜と再会した。霍擎雲は皇北霜の友人が麻随の九公主だと聞いて2人の関係を怪しんだ。あの時、実は格心微も若問に捕まって死風区の牢で使節団と一緒になったという。格心微は皇北霜が逃げたと聞いて助けに戻ってくると確信、時間稼ぎに若問を連れ出していた。「麻随の財宝があると嘘をついたわ、でも道が分からなくて地図を探しにきたの」「一緒に逃げましょう!」「実はもう若問は私の男なの、安心して」すると霍擎雲は麻随の地図なら自分が持っていると言った。霍擎雲は沙曲に帳簿の間に麻随の地図を挟ませた。すると精算に来た若問が気づいて咳払いで合図、格心微はわざと酒瓶を落として沙曲を自分の方へ誘導する。その間に若問は帳簿の中に隠してあった麻随の地図を抜き取り、酒を弁償して格心微と帰って行った。霍擎雲は厄娜泣(ヤクナキ)と麻随で格心微の人相書きを確認するよう指示し、沙曲と別れた。すると皇北霜は沙曲が莽流の門下だと知っていると明かす。「令牌に″莽″とあった、どこにでも入り込む″莽″…だから莽流よ、知り合いなの?」「旧友だ…そっちこそ、なぜ麻随の九公主と?」「ただの旧友よ」互いに相手の正体を怪しみながら雲沛へ出発した皇北霜と霍擎雲。しかし砂漠ではすでに黄天狂(コウテンキョウ)が2人を待ち伏せしていた。皇北霜と霍擎雲は再び蛮狐(バンコ)たちに追われた。逃げきれないと気づいた皇北霜は霍擎雲だけでも逃げるよう言ったが霍擎雲は拒否、すると霍擎雲の背中に弓矢が命中し落馬してしまう。「私に構わず行け!」敵に暗器を放ち、時間を稼ぐ霍擎雲、しかし皇北霜は飛踏(ヒトウ)を止めて引き返し、霍擎雲を馬に乗せた。「なぜ戻った?!」「私を雲沛まで送ってくれる約束よ!あともう少し!雲沛へ入ればあきらめるわ!」2人は無事に砂漠を出て雲沛に入った。すると霍擎雲は居雲閣(キョウンカク)へ案内、皇北霜が傷の手当てをしてくれるという。しかし矢傷は思ったより深く、毒矢だった。…それなのになぜ脈が弱っていないの?中毒症状も出ていない…皇北霜は戸惑いながらも霍擎雲の背中の毒を吸い出し、包帯を巻いた。「これでお互い借りは返したわね」「ちゃんと覚えてる、まだ返してもらっていない」皇北霜が薬湯を持ってきた。すると上着を脱いだせいで門主の令牌が外れたことに気づかず、皇北霜に見つかってしまう。「あの時は傷を負った身で明かすことはできなかった、砂漠は危険な場所だ、分かるだろう?」「悪名高いことで有名よね、草薬篇を狙ってついてきたの?」「あの時はね…」「今は?」「どう思う?」皇北霜はあえて答えなかった。莽流と言えば砂漠をさまよう謎の集団、各城都の機密情報を握っていると言われる。しかしどうやら各々、別の思惑があるらしい。「あの時、砂漠で独り何をしようとしていたの?」その時、急に熱が上がった霍擎雲は意識を失ってしまう。一方、容豁を監禁した那戰は莽流を警戒していた。そんな中、和親祭典の通牒の受付が終わる。小さな部族では雲沛まで辿り着けない娜袖も少なくなかったが、天都は誰も送ってこなかったという。最後に受付を済ませたのは締め切りの1刻前に到着した厄娜泣だった。しかし道中で盗賊に襲われ献上品がなく、肝心の娜袖の姿も見えなかったという。「まあよい、死人に用はない」皇北霜は霍擎雲に付き添っていた。すると悪夢にうなされた霍擎雲が皇北霜の手を握りしめる。「そばにいてくれ…」皇北霜は霍擎雲を落ち着かせると、そっと彼の頬に手を伸ばした。つづく
2025.11.03
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第3話解毒薬を拒み、媚薬による高熱で苦しみ始めた皇北霜(コウホクソウ)。彼女を救うためにはもはや情を交わすしかない。霍擎雲(カクケイウン)はついに皇北霜を押し倒したが、皇北霜はふと我に返って制止した。すると皇北霜は熱った体を冷ますため、上掛けを脱いで湖へ入ってしまう。霍擎雲は背を向けていたが、気がついた時には皇北霜の姿は消えていた。一方、死風区(シフウク)でも媚薬を飲まされた若問(ジャクモン)が体内にこもった熱に苦しめられていた。奴婢から抜け出したい皇北霜の侍女・果児(カジ)はこの機に若問に取り入ろうとしたが相手にされない。結局、若問は格心微(カクシンビ)を今夜の相手に選んだ。すると自由を愛する格心微は荒くれ者の若問に惹かれ、反発しながらも若問と枕をともにしてしまう。翌朝、皇北霜が目を覚ますと霍擎雲の腕の中にいた。霍擎雲の話では皇北霜が意識を失って湖に沈んでしまったという。「また助けられたわね…」「岸まで運んだだけさ」すると皇北霜はようやく名を教え、必ずこの恩を返すと約束した。初めて見せる皇北霜の柔らかな笑顔、しかし皇北霜はここでお別れだという。「仲間を見放せない」そこで霍擎雲は死風区で取り戻した大漠奇巻(タイバクキカン)を皇北霜へ返し、取り引きを持ちかけた。「手伝うからこの書を譲ってくれないか?」「はお」一方、若問と情を交わした格心微もまたようやく自分の名を教えていた。「覚えておいて、あなたがこの格心微の男になったのよ」しかし若問は砂漠一の美女に執着し、名残惜しそうに皇北霜から奪ったかんざしを眺めている。格心微は身分を入れ替えた皇北霜が無事に逃げたと気づき、恐らく仲間を助けに戻ってくると踏んだ。…うまく事が運ぶよう若問を引き離さなくては…そこで格心微は自分が麻随(マズイ)の九公主だと明かし、送り届けてくれるなら城主の陵墓に案内すると懐柔した。「財宝がたくさんあるわよ?」霍擎雲は皇北霜を連れて弱小の盗賊の根城にやって来た。頭目の侗巴赫(トウハカク)は女だけ残して男を殺せと命じたが、霍擎雲に剣を突きつけられてしまう。その時、侗老は男の腰に莽流(モウリュウ)の令牌があることに気づき、急にしおらしくなった。盗賊での生活に限界を感じていた若問はさらなる高みを目指し、麻随へ出かけることにした。しかし娜袖(ナシュウ)が仲間を助けに来るかもしれないと警戒。格心微の期待に反して若問は配下を全て残し、ひとりで同行すると決めた。侗老たちの協力を取りつけ死風区に向かった霍擎雲と皇北霜。探ってみたところ運良く若問が留守だと分かる。霍擎雲は付近に爆薬を仕掛け、念のため皇北霜に護身用の短剣を渡した。死風区に顔馴染みの侗老たちがやって来た。すると盗賊に扮装した霍擎雲は侗老が病で口が利けなくなり、自分が後継者になったと報告する。「黄天狂(コウテンキョウ)は砂漠でも屈指の存在、だから仲間を連れて身を寄せたい」霍擎雲は投降の手土産として皇北霜を差し出した。霍擎雲たちは黄天狂に迎え入れられ、宴会が始まった。一方、皇北霜は牢で仲間たちと再会したが、残っているのはわずか。「私が必ず助けるわ」皇北霜は霍擎雲が若問の腹心・蛮狐(バンコ)から密かに盗んだ鍵を受け取っていた。皇北霜は脱出の機会をうかがっていた。しかし給仕していた果児が霍擎雲の正体に気づき、娜袖の仲間だと暴いてしまう。和やかだった宴は一転、戦場と化し、霍擎雲は合図の照明弾を放って火薬を爆発させた。皇北霜たちも急いで牢を脱出、馬に乗ったが、爆発のせいで追撃できなくなった蛮狐が矢を放つよう命じ、朶再(ダサイ)の背中に命中してしまう。その頃、格心微は知らない土地のせいで道に迷ったとごまかし、時間を稼いでいた。…助けられたかしら…ようやく逃げ切った皇北霜たち。しかし生き残れたのは護衛・廉幻(レンゲン)と侍女・夜佩(ヨハイ)だけだった。霍擎雲は虫の息となった朶再を抱きしめ涙に暮れる皇北霜を見守っていたが、その時、朶再が″九公主″と呼ぶのを聞いてしまう。「…何事にも終わりがあります、これだけは覚えていてください、 知恵で全てを取り戻し、決して欲望にのまれないと…最後に呼ばせてください…小九公主 もうおそばにいられません、夫人を探しに参ります…そして一緒に故郷へ… 家に帰りたい…私のためにあの曲を吹いてくれませんか…厄娜泣(ヤクナキ)の歌を…」すると皇北霜の笛の音を聞いた朶再はついに事切れてしまう。皇北霜はこの機に廉幻と夜佩を自由にすると決めた。しかし2人は娜袖に忠誠を近い、雲沛(ウンハイ)へ同行するという。約束を果たした霍擎雲は大漠奇巻を手に入れ、最後に侗巴赫から頂戴した衣装を渡して出発しようとしたが、皇北霜は雲沛まで護衛して欲しいと頼んだ。「まだ取り引きできる物があるのか?」「もう価値のあるものは残っていない」「あとで返すと約束してくれ」霍擎雲は承諾したが、その時、皇北霜が立ちくらみを起こしてしまう。まだ毒が抜けたばかり、そのうえ緊張状態が続いて限界が来たのだろう。そこで霍擎雲は廉幻と夜佩を先に行かせ、通牒を渡して手続きを済ませておくよう頼んだ。「私たちは翌日、到着する」霍擎雲は皇北霜を乗せた馬を引いて砂漠を進んだ。皇北霜の正体が九公主と気づいた霍擎雲はそれとなく探りを入れてみる。「なぜ遠く旅してまで運に頼るんだ?雲沛の他にも城はある」「他の2つは駄目なの、麻随は心がすさみ落ちぶれた、自身の立場も危ういのに庇護する力はない 天都(テント)なんて願い下げよ」「なぜ天都は駄目なんだ?」すると皇北霜は先を急ぐため馬に乗るよう告げ、そこで話を終わらせてしまう。黄天狂が2人を追って来た。皇北霜は近くの樹林へ行こうと提案、そこで馬を降りると霍擎雲が穴蔵へと誘う。「なぜ樹林のことを?」「昔、河床があった地形だもの、河沿いに進めば植生する場所がある あなたこそ、なぜ穴蔵があると分かったの?」「ただの感さ、大規模な隊商は天幕を張るが、個人の行商人は樹林の穴蔵で野獣を避ける」その時、樹林に追っ手が現れた。霍擎雲は皇北霜をかばうように引き寄せたが、ふいに抱きしめられた皇北霜は緊張してしまう。つづく( ˶´꒳`˵ )ハニーちゃんイイ!
2025.11.02
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墨雨云间 The Double 全40話第35話「懐妊の誤算」国公府で静養していた薛昭(セツショウ)が回復。薛芳菲(セツホウヒ)は弟に肩を貸し、杖を使って歩く練習をさせていた。すると薛昭がつまずき、ちょうど中庭へ出てきた蕭蘅(ショウコウ)が慌てて駆けつけ手を貸してくれる。「謝謝、姐夫」薛昭から思いがけず″兄さん″と呼ばれ、目を丸くしながらも悪い気はしない蕭蘅。薛芳菲ははにかみながら、蕭蘅に何か用かと聞いた。「まずは私の小舅子を部屋まで送ってこよう」↓(*°ㅁ°)ジェフゥ?!一方、公主府では婉寧(エンネイ)が体調を崩して起きられずにいた。侍女は早速、太医を呼んで薬をもらうことにしたが、脈診した章(ショウ)太医は激しく動揺してしまう。「私では分からないので他の太医を…」「信用できるのはあなただけ、何の病か言いなさい」「…殿下、月の障りはありましたか?どうやらご懐妊かと」しかし代(タイ)国から戻った婉寧の診察をした時、懐妊する可能性はないと診断したのは章太医だった。「ゆえに驚いているのです、まさに天恩か奇跡です」「では堕胎してもまた懐妊できるの?」「そのような運が再び向くかは何とも…」蕭蘅は今夜、大昭(ダイショウ)国へ発つと伝えた。阿狸(アリ)に言われた通り公主府を見張らせていたが、懐妊が発覚し、診断した太医を殺したという。実は薛芳菲が司徒九月(シトキュウゲツ)から受け取った薬は懐妊を装う毒だった。薛芳菲はあらかじめ自分の体で確認し、懐柔した麗(レイ)妃に頼んで誕辰の宴席で婉寧の酒に入れてもらったという。蕭蘅は身体に障りがないと聞いて安堵したが、これからどうするつもりか聞いた。すると薛芳菲は沈玉容(シンギョクヨウ)と婉寧の悪行を白日の下に晒し、成(セイ)王の牙を抜くという。「私が不在の間に無謀なことはするな」「分かっています、粛国公」薛芳菲は改めて自分を都へ連れ帰り、最初から最後まで見捨てずにいてくれた蕭蘅に感謝した。「私の成功は近い、次は恩返しをする番ね」「まだそんなことを…お前には心のまま生きて欲しい」こうして蕭蘅は単身、大昭国に乗り込んだ。懐妊した婉寧の心は揺れていた。大燕のため代国に人質として送られた過去を持つ婉寧。しかし歓待どころか野蛮な国王に乱暴され、最も下等な側女と蔑まれて羊小屋に放り込まれてしまう。暴力を受けては羊小屋で死んだように眠る日々の中、懐妊すれば自ら冷たい湖に浸かって堕胎するしかなかった。このおぞましい経験により婉寧は子供を望めない体になってしまう。未婚の長公主が懐妊したとなれば一大事だと分かっていたが、婉寧はこれが最後の機会だと悟り、子を残すと決めた。「梅香(バイコウ)、今すぐ沈玉容を呼んできて」沈玉容は婉寧の懐妊に驚いた。すると婉寧は皇帝に沈玉容との婚姻を願い出るという。沈玉容は自分との密通が知られれば長公主の名声が傷つくと難色を示したが、婉寧は腹の子に正当な父親が欲しいと訴えた。「私は何も恐れない、ただ好いた男と添い遂げたいの!」「では私は何をすれば?」「私たち母子を快く沈家に迎え入れて」沈玉容の胸に顔を埋める婉寧、しかし沈玉容の目は死んでいた。薛芳菲は趙珂(チョウカ)から沈玉容が公主府を訪ねたと聞いた。「つがえた矢を放つ時が来たようね」一方、大昭へ侵入した蕭蘅は衛兵に追われ負傷したが、危ないところで司徒九月からもらった鈴を示して無事だった。蕭蘅が密かに会いに来てくれたと喜ぶ九月、しかし蕭蘅からあっさり国君に会いに来たと言われてしまう。蕭蘅は国君に大昭の軍隊を借りたいと頼んだ。実はひと足先に楚嵐(ソラン)も成王に与するよう説得に来たという。このまま洪孝(コウコウ)帝との結盟を守って油断させ、いざ成王が挙兵した際に寝返るという筋書きだ。蕭蘅は国君が成王を信じていないと推察、協力してくれるなら皇帝は必ず恩を返すと訴えた。すると国君は皇帝を信用できないが、蕭蘅のことは信じているという。一方、大燕では長公主懐妊の噂が都中に広まり、あっという間に宮中まで届いた。麗妃は早速、皇帝の耳に入れ、皇家の面目を潰さぬよう太医に確かめさせるべきだと進言する。「だが太医を送っても追い返されるだけであろう?」「私が同行して長公主に会ってきましょう」「そなたに頼む」麗妃が太医を連れて長公主懐妊の真相を確かめに来た。しかし婉寧は脈診を拒否、麗妃と2人だけで話したいと太医たちを下げてしまう。「賢(ケン)妃のことを忘れたの?」「人を脅す前に手中にある者をよく確かめるのね」婉寧はもはや切り札が使えなくなったと知り、姜梨(キョウリ)側に立つつもりかと迫る。すると麗妃はどちらの肩も持たないと言った。「あなたが先に私を追い詰めたのよ?私は人に脅されるのが大嫌い 陛下にはありのままを報告するわ」婉寧は焦燥感を募らせた。そこへ翰林院で広まる噂を耳にした沈玉容が駆けつける。婉寧はこれから謁見して沈玉容の子だと釈明すると訴えた。噂を調べに来た麗妃から脅され、すでに皇帝も懐妊を知っているという。しかし沈玉容は全てがあまりに早すぎると違和感を覚えた。長公主が懐妊した途端に噂が広まり宮中まで届き、早々に麗妃が太医を連れて乗り込んで来るとはおかしい。「誰かの仕業としか思えない、とにかく冷静に」沈玉容は恐らく自分たちに密通を認めさせ、薛家の案件に道を開くことが目的だと考えた。何より大事な局面で騒ぎを起こせば成王が足元をすくわれてしまう。「哥哥…」「成王が大業を成して即位すれば私たちを咎める者はいなくなる、次々と子宝に恵まれます」「沈玉容!この子がどれほど得がたいか…命に変えてもこの子を守る!」「では殿下、屈辱に耐えるお覚悟が?」すると沈玉容は家柄が釣り合う李瑾(リキン)の子だと嘘をついて守るのが唯一の方法だと言い放った。婉寧は呆然、やはり沈玉容は駙馬になるつもりなどなかったのだろう。沈玉容は否定しなかった。「この命を捧げます、どの道を選ぼうと私は殿下と一緒です」「残酷ね…何もかも知っているくせに…」婉寧はその場で泣き崩れたが、沈玉容は突き放すように黙って見ているだけだった。長公主との縁談は失脚した李仲南(リチュウナン)にとって成王に取り入る千載一遇の機会となった。李瑾はいきなり身重の長公主の駙馬になれと厳命され、気が遠くなってしまう。一方、薛芳菲は侍女から婉寧が李家に嫁ぐという噂だと聞いた。「李家?…沈玉容の仕業ね、思いのほか狡猾だわ」つづく( ๑≧ꇴ≦)李瑾wwwwwwwwもはやネタ要員
2025.11.01
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墨雨云间 The Double 全40話第34話「魚符の効力」麗(レイ)妃は姜元柏(キョウゲンハク)から文を受け取った。姉の件だと知った麗妃は姜家を訪ねたが、正気を失い少女に戻った季淑然(キシュクゼン)は妹も夫のことも覚えていない。哀れな姉の様子を見て涙する麗妃、すると姜元柏が姜梨(キョウリ)から話があると伝えた。薛芳菲(セツホウヒ)は婉寧(エンネイ)公主の手駒となった麗妃を懐柔した。「私と沈玉容(シンギョクヨウ)の縁談は麗妃娘娘の提案だとか、かつての私のように脅されたのでは? 娘娘、長公主は脅しを繰り返しますよ? もし私と組んでくださるならお悩みを解決いたしましょう、それで恨みは帳消しに」麗妃は姉に安らかな暮らしを与えてくれた姜家へのわだかまりは消えた。しかし一筋縄ではいかない姜梨をかえって警戒する。「たとえ姐の過ちだったとしても、姜梨にはつけを払わせなくては…」婉寧は麗妃の誕辰の宴を利用し、皇帝から姜梨と沈玉容の縁談を賜るよう画策した。そこで麗妃は贈り物より大昭(ダイショウ)外交団の歓迎の宴で好評だった姜梨と沈玉容の合奏を聞きたいと皇帝にねだる。「禁足で聴けなかった長公主も招待しましょう」一方、薛芳菲は趙珂(チョウカ)から司徒九月(シトキュウゲツ)の薬を受け取った。しかし薬を飲み始めたところで姜景睿(キョウケイエイ)と柳絮(リュウジョ)が飛び込んでくる。縁談を知って心配で駆けつけたが、葉世傑(ヨウセイケツ)は姜元柏に呼ばれて協議しているという。麗妃の説得に失敗した姜元柏は信頼できる葉世傑を姜梨の許婚に仕立てようと思いついた。しかしこれは姜梨のためではなく自分の私怨、薛芳菲は葉家を巻き込めないと反対する。姜梨の正体を知っていながら自ら望んで火中の栗を拾うという葉世傑。その時、思いがけず文紀(ブンキ)が現れた。「姜ニ娘子、主君がお待ちです、外でお話がしたいと」「父親、行ってきます!」蕭蘅は姜宅に葉世傑が呼ばれたと知り、姜元柏が思いついた窮余の策に気づいた。そこで急いで阿狸(アリ)を連れ出し、これから皇宮へ行くと教える。「陛下に婚姻を賜る」「・・・粛(シュク)国公?ふざけている時間はありませんよ?」すると蕭蘅は賢(ケン)妃の一件に関わった宮女の供述書を渡した。「私の暗衛は婉寧の手下とは違って有能でな」証人の宮女はすでに蕭蘅の手中にあり、婉寧には気づかれないよう宮女に似せた身代わりを配していた。「お前は麗妃に、私は陛下に会う」「陛下にどんな相談を?」「私たちの婚姻だ」後宮に突然、姜梨が現れた。麗妃は明らかに苛立っていたが、姜梨から例の宮女の供述書を見せられ驚きを隠せない。「お悩みは解決しましたので信じていただけますか? …長い間、策を練ってきました、あと一歩なのです、どうかお力添えを」「どうすればいい?」一方、御書房では皇帝と蕭蘅の言い争う声が門の外まで聞こえていた。控えていた内官や侍女たちは困惑していたが、どうやら粛国公が想いを寄せる姜家の令嬢の縁談を決めた皇帝に激怒しているらしい。「蕭蘅、諦めるがよい!」「帰るっ!」薛芳菲は蕭蘅に麗妃を味方につけたと報告した。何をするかは秘密だが、もし聖旨が下っても婚儀までのひと月の間に沈玉容から断らせるという。「それはならぬ」「形だけよ」「それでもならぬ!」一方、明日の麗妃の祝宴を前に婉寧はどこか不安に襲われていた。沈玉容は長公主との関係は永遠だとなだめたが、それでも婉寧は落ち着かないという。そこへ粛国公が訪ねてきたと知らせが来た。「珍客ね、確か粛国公って獄中の薛芳菲に会いに行ったのよね?…あなたは隠れていて」すると粛国公は姜梨の縁談を取り消して欲しいと頼み、その見返りとして驚いたことに魚符を差し出した。麗妃の誕辰当日。皇帝は寵姫の願いを叶え、婉寧を招いて姜梨と沈玉容の合奏を聴くことになった。「まずは食事をして演奏を…」すると麗妃はそれとなく姜梨に目配せした。薛芳菲と沈玉容は合奏の準備のため庭園で待つことになった。長公主のために縁談を強要する沈玉容を激しく嫌悪する薛芳菲。沈玉容は自分を信じてくれない薛芳菲に落胆し、高貴な蕭蘅に嫉妬した。「蕭蘅と同じ身分に生まれていたら、私とて龍武軍を差し出し妻を守れた!」薛芳菲は蕭蘅が婉寧に縁談を取り消す交換条件として龍武軍の魚符を差し出したと聞いた。『愚かな、これを渡せば国の主が変わるのよ?!』『天下など私にはどうでもよいこと、欲しいのは彼女のみ』沈玉容はすでに薛芳菲は安泰だと教えた。しかし皇帝が事実を知れば蕭蘅を潰すか、一族皆殺しになってもおかしくないという。姜梨と沈玉容は池に浮かぶ小舟に乗って合奏した。2人の息のあった演奏を聞いて焦燥感を募らせる婉寧、しかし蕭蘅を心配する薛芳菲がうっかり間違えてしまう。婉寧は沈玉容と薛芳菲がもはや知音ではないと知って安堵した。しかし姜梨が思いがけない理由で気が散ったと釈明、婉寧と沈玉容の顔色は一変する。「陛下、麗妃娘娘、申し訳ありませんでした 実は淮郷から連れてきた薛懐遠(セツカイエン)の息子・薛昭(セツショウ)が発見されたのです 発端は長公主のあのお言葉でした、薛芳菲は死んでおらず、私が彼女であると… ならば県令の息子も存命なのではないかと思い、粛国公に捜索をお願いしていたのです 本日、参内する前に発見されたと聞きました 薛昭が目を覚ましたら分かるはずです、沈学士の岳父と義弟が誰に害されたのか」すると皇帝は粛国公に調査を任せると命じた。「解決したらまたそなたの手柄だな」「お詫びに淮郷の小曲を合奏させてください」沈玉容は急に取り乱し、吹いたことがない曲だと偽って断った。薛芳菲は小舟で独り琴を弾いた。動揺を悟られまいと酒に手を伸ばす沈玉容、その様子を見た婉寧もやけになって酒をあおってしまう。すると麗妃は婉寧が杯を空けたことに気づき、ほくそ笑んだ。祝宴が終わると薛芳菲は国公府に蕭蘅を訪ねた。「大事な魚符を差し出すなんて…自分で解決できたのに!」「九月から届いたものでか?」「知っていながらどうして渡したの?!」「当てずっぽうだ、中身までは知らぬ」薛芳菲は右往左往しながら魚符を取り戻す方法を考え始めたが、蕭蘅はなぜか嬉しそうだった。「いつになく取り乱している…お前にとって私は重要なのだな」実は長公主に魚符を差し出したのは蕭蘅と皇帝の策だった。皇帝は帝位を狙う成(セイ)王を排除するまで安らげることはないだろう。しかし北方を守る成王の声望は今や皇帝をしのぎ、闇雲に排除すれば皇帝の嫉妬だと疑われてしまう。成王一派という喉に刺さった棘はそう簡単に抜くことができなかった。その隙に着々と勢力を拡大している成王、蕭蘅と皇帝は行き詰まったが、そんな時、姜梨という駒が現れ、ついに局面を打開してくれたという。姜梨は葉家を李家から守って金鉱を叩き潰し、淮郷でも李仲南(リチュウナン)の力を削ぐ結果になった。また薛芳菲自身も沈玉容に一矢報いることが叶う。ただし今回の婚姻では薛芳菲も窮地に追い込まれ、そこで次の一手に出ることにした…蕭蘅から龍武軍を婉寧に渡すと聞いた皇帝はさすがに反対したしかし蕭蘅は資金源を失った成王が国庫が枯れるまで兵糧を要求し、拒めば暴動を起こすはずだという『来月の祭祀は成王、陛下、双方にとって好機となります 龍武軍を渡して謀反の誘発を…成王は必ず攻めてきます』『龍武軍を渡したら他に手はあるのか?朕の安危は?!』←ミッキー小さいwすると蕭蘅は″大昭″があると言った『私を信じてください、最小限の犠牲で勝利を収めます』『朕は何をすれば良い?』『芝居です』そこで2人は外まで聞こえるように大声で喧嘩、蕭蘅が姜梨の縁談にいかに不服なのか広めておいた…薛芳菲は大昭が本当に援護してくれるのか心配だった。実は蕭蘅は数日中に大昭へ向かうことにしたという。「その前に芝居を見せてあげる、公主府を見張らせて」「私は手の内を明かしたのにまだ秘密か」「あなたの前ではもう何も隠せないわ」「お前の私への真心は知っている、だが私のお前への真心に気づいているか?」2人は自然と顔を近づけ…。↓∑(⊙∀⊙)ヒャーーー!と目を覆いそうになったら、ろうそくのアップになったw愛する人を守るため魚符を差し出した蕭蘅と生きるために妻を殺した沈玉容。どちらが本当の真心かは火を見るより明らかだったが、沈玉容は魚符を渡すなど裏があるに違いないと怪しんだ。「蕭蘅は薛芳菲のために死ねるのね…るねるねるね 怒っているの?縁談を壊されて不満?、どうしてあの女にそこまで執着するの?」「ふっ、私は妻を殺して厚顔無恥になった、そう仕向けておいて今さらどうしろと?」「はぐらかさないで!あなたの答弁、全然、信じられません!!!」「…殿下が私の答弁を信じられないとおっしゃるなら、もう質問なさらないでください」すると沈玉容は疲れたと言って帰ってしまう。(屮゚Д゚)屮 <沈玉容!家族が断頭台に送られてもいいの?!( ´ ▽ ` )ノ<お望みとあらばご自由に~!つづく( ๑≧ꇴ≦)ユーロン、ついに壊れる?!あ、早苗ちゃんの答弁ネタは分かる人だけでw
2025.10.31
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墨雨云间 The Double 全40話第33話「公主の切り札」沈玉容(シンギョクヨウ)を利用してついに黒幕の婉寧(エンネイ)公主を追い詰めた薛芳菲(セツホウヒ)。しかし婉寧にはまだ切り札が残っていた。「会わせたい人がいるの、お前がよく知る者よ?」永安(エイアン)閣と密道でつながっている謎の地下牢。実はそこに死んだと思っていた薛芳菲の弟・薛昭(セツショウ)が捕らわれていた。薛芳菲は拷問されてボロボロになった弟の姿に驚愕、長公主の要求を聞くしかない。「沈玉容と薛昭を交換よ、審問で証言を翻せば釈放する、お前に交渉の余地はない」「…約束は守って」薛芳菲は姜元柏(キョウゲンハク)に長公主とのわだかまりが解け、今回の件でも慰めてもらったと取り繕った。しかしその夜、薛芳菲は弟が酷くいたぶられる悪夢に襲われ飛び起きてしまう。そこで急いで墨を用意させ、文をしたためた。蕭蘅(ショウコウ)は文紀(ブンキ)から報告を聞いた。姜梨が趙珂(チョウカ)に頼んで司徒九月(シトキュウゲツ)に文を送ったという。何でも公主府から戻ってから様子がおかしいとか。蕭蘅は長公主の監視を強め、姜家の動向も報告するよう命じた。沈玉容の審理が終わり、薛芳菲は姜元柏と大理寺に呼ばれた。証拠と証人が揃い、あとは姜梨が署名すれば沈玉容の有罪が確定するという。しかし姜梨が突然、証言を翻した。「実は…私はずっと沈学士を敬愛していました、宴が好機と沈学士に想いを告げたのです ですが拒まれあんなことを…突然のことで気が動転し、お話しできませんでした 日が経つにつれ後悔が募りました、沈学士を罪に問うことはできません 今日は沈学士の潔白を証明しに来たのです、これは全て私ひとりの責任です」朝廷の官吏を誣告するのは重罪、姜梨は沈玉容と入れ替わりに投獄されてしまう。解放された沈玉容は牢獄を出る道すがら、薛芳菲と出くわした。「何がなんでも救ってくれる良い後ろ盾を見つけたわね 婉寧は弟を監禁し、日夜、責めさいなんでいた」「生きているのか?!」「あなたが知らないはずないでしょう? 沈玉容、私はあなたと弟の命を交換することにした 覚えておいて、あなたの一瞬、一瞬は薛家の苦痛 良心が残っているか機会を与えたけれど、あなたは婉寧を選んだ お二人の末長い幸せをお祈りするわ。」「選んだのは私ではない、母と妹を捨てられなかった」「そうね、だから私を捨て、父と弟を見捨てた…もうあなたに期待しない いつか必ずあなたたちの悪事を暴いてやる」「阿狸(アリ)…」「今後はその名で呼ばないで、吐き気がする」蕭蘅は文紀から報告を聞いて大理寺に駆けつけた。すると牢獄の門を入った所で釈放された沈玉容とすれ違う。沈玉容を一瞥して通り過ぎ、収監された阿狸の元へやって来た蕭蘅。「これがお前の言う″やむに止まれず″か?」「粛(シュク)国公にお願いがあります、あなたにしか頼めない、長公主府から弟を受け取って」「薛昭が生きていたと?弟を引き取ったらどうするつもりだ?」「司徒娘子の返事を待っている、できれば粛国公からも催促してほしい」思わず涙ぐむ薛芳菲。「泣いても可愛くはないぞ?」蕭蘅は憎まれ口をたたいたが、阿狸が自分を頼ってくれたことに内心よろこんでいた。蕭蘅は薛昭を引き取るため自ら公主府を訪ねた。しかし婉寧はすでに国公府へ届けたという。実はその頃、国公府の前を通りかかった馬車から薛昭が放り出されていた。「長公主は切り札を手放さぬと思っていたが…」「私は約束した事は必ず守る、それに芝居の幕はまだ上がったばかり、ふふ あの女に歩くこともできなくなった役立たずの弟の姿を見せるの、殺すよりもずっと残酷よ」「それは残念だ、阿狸は弟が生きていただけで満足なのだから」すると蕭蘅は帰ってしまう。沈玉容は屋敷に戻っても牢獄ですれ違った粛国公の顔が頭から離れなかった。…今後はその名で呼ばないで…薛芳菲の言葉の意味に気づいた沈玉容はある決意を固め、妹に鍵を渡して寝室の掃除をするよう頼む。「あの部屋に戻る」その夜、沈玉容は婉寧を訪ねた。姜家と蕭蘅が何としても姜梨を救い出すはず、その前に身柄を押さえて沈家に置きたいという。「陛下に彼女との婚姻を願い出ます、殿下からもお願いを…」「初めから元夫人と復縁するつもりだったの?!」「彼女は私の名誉を著しく傷つけた、その私に殿下が未来を与えてくれたのです 私は復縁を望むほど愚かではない」「では、どうやって私の駙馬に?」「私に嫁いだ後、彼女を下女に落とせば永遠に殿下のしもべです あの女が足元にひれ伏す姿を見たくありませんか?…今の私には殿下だけです」沈玉容は詩にちなんだ菊のかんざしを結納品として長公主の髪に挿した。「あなたから初めての贈り物ね…私に婚姻を認めさせる手段じゃないの?」しかし人並みの幸せを手に入れた婉寧は嬉しそうだった。「でも姜家の同意がなければ陛下も婚姻を無理強いできない、どうするつもり?」「麗(レイ)妃に口添えを頼みましょう」「…良い手駒があったわね」後宮で突然死が相次ぎ、怨霊の仕業だと噂が広まって太卜令が破邪の術を行ったことがあった。結果、ある妃に怨霊が取り憑いていると判明し、妃は皇帝から毒酒を賜っている。実は麗妃が邪魔になった賢(ケン)妃を殺めるために打った芝居だった。麗妃は関係者を全て里に帰していたが、暇を出した宮女を婉寧が探し出したと知る。すると婉寧は宮女と引き換えに沈玉容と姜梨の婚姻を陛下に願い出るよう迫った。姜元柏も蕭蘅も姜梨の救出に奔走していたが手立てはなかった。このまま手をこまねいてもられず蕭蘅は皇帝を頼ったが、皇帝は″自分の駒なら自分で守れ″と言ったはずだと冷たい。「のめり込むとしくじるぞ?」すると太監が麗妃から御花園へ誘いだと知らせた。麗妃は姪も同然の姜梨が気掛かりだと訴え、実は沈学士の話では全て誤解らしいと伝えた。そこで沈学士を呼んで釈明させてはどうかと進言する。皇帝は沈玉容の接見を認めたが、内心ではどんな芝居が始まるのか興味津々だった。沈玉容が御花園にやって来た。沈玉容は姜梨が動揺しただけで悪意はなかったと説明し、姜梨を追及せぬよう嘆願する。すると麗妃は姜梨の名声が損われてしまったため、騒ぎを静めるためにも沈玉容に嫁がせてはどうかと提案した。「それでは沈卿に申し訳なかろう」「姜ニ娘子の名声が保てるなら麗妃娘娘のお言葉に従います」「だが中書令の意見も聞かねば、ともかく罪を追求せぬのなら大理寺に伝えよう 一件落着したゆえ姜梨を釈放し、屋敷へ返すように」薛芳菲は突然、解放された。てっきり蕭蘅のおかげだと思ったが、牢門で思いがけず沈玉容の姿を見つける。「私が送ろう、私に嫁がぬか?実は陛下に婚姻を賜った 2人が思い合っている仲ならこの件は無罪となる、君を守るためだ」「私がそれを信じると?聞くだけで吐き気がする」沈玉容は足早に正門へ向かった薛芳菲を追いかけた。「何にせよ歩いては帰れぬだろう?」「人殺しの馬車など乗れないわ」薛芳菲は追いすがる沈玉容を拒んで門を出たが、その時、馬車を降りて待っている蕭蘅を見つけた。すると薛芳菲は嬉しそうに駆け出し、蕭蘅の馬車に乗って帰ってしまう。蕭蘅は馬車の中でも阿狸の手を離さなかった。「私の婚姻の件を聞いた?」「聞いている、麗妃が取り持つそうだ」「なぜ麗妃が?婉寧の一味なの?」「以前は違ったが…今、探らせている、密偵の報告を待とう」薛芳菲は弟と涙の再会を果たした。積もる話もあったが、まずはゆっくり静養させ、追い追い話すと決める。「それより阿昭、今の私は薛芳菲ではない、新しい身分を手に入れたの、中書令の娘・姜梨よ」薛昭は姉の壮絶な経緯を聞いて胸が痛んだ。実はあの日、薛昭は姉の一件を文で知ったという。父に心配をかけまいと深夜、単身で都へ、京兆尹にはこの件が怪しいと訴え出ていた。しかし山道で刺客に囲まれ、応戦するも倒れてしまう。やがて目覚めると長公主の牢獄に捕らわれ、黒幕が長公主だと知ることになった。薛芳菲は国公府に弟を預け、姜家に戻った。姜元柏は迎えに行ったが無駄足だったと嘆いたが、姜梨が粛国公を信頼しているのなら口を出さないという。「だが本当は長公主に迫られ、証言を翻したのでは? 過去のことでお前は私を信頼できないのだろう、だが親子なのだ、私を頼ってくれ」薛芳菲は叱られるのを覚悟していたが、意外にも姜元柏は寛容だった。「長公主との件は解決しました、それより大事なことが…」姜元柏は麗妃が姜梨と沈玉容の婚姻をまとめたと聞いた。しかしあまりに突然過ぎる縁談ゆえ何か裏があると疑う。そこで薛芳菲は季淑然(キシュクゼン)を麗妃に会わせるよう頼んだ。「姉の様子を見れば麗妃の情け心が動くと?」「試してみましょう」文紀は密偵から届いた報告を伝えた。実は婉寧と麗妃の会見で例の宮中の祟りの話題が出たという。「暇を出された宮女がいます」「婉寧が麗妃を訪ねたのはその女を押さえたからだな」蕭蘅は皇帝への報告は無用と伝え、続報を待つことした。「阿狸にも伝えておけ」つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ!意外に婉寧がチョロい実はミッキーが一番くせ者じゃないのw
2025.10.30
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墨雨云间 The Double 全40話第32話「贖罪の行方」「前世も今生も思うままに生きろ、他人のために己を曲げて別人となるな」蕭蘅(ショウコウ)は阿狸(アリ)にそう助言して大昭(ダイショウ)国の見送りに出かけて行った。その様子を見ていた司徒九月(シトキュウゲツ)は蕭蘅の心に誰がいるのか確信し、これまで避けていた姜梨(キョウリ)の元へ向かう。「薬の処方を置いて行く、薛県令はそのうち全快するわ」「やっとお礼が言える…私が必要な時は全力で手助けすると約束するわ」「私を助けたいならそばにいる人を大切にして」蕭蘅が国公府の前で待っていると司徒九月がようやく出てきた。「あの鈴は?」「文紀(ブンキ)にやった、女子が身につける物だろう?」「信じられない!あげるんじゃなかった!」すると九月は怒って兄の馬車に乗り込んでしまう。実は九月が蕭蘅に贈った鈴は母の形見で、愛する人に渡せと言われていた。帰途に着いた国君は妹のため皇帝に蕭蘅との縁談を申し入れると言ったが、九月は必要ないという。「いくら求めても無駄だもの」沈玉容(シンギョクヨウ)は外交団の歓待に尽力した学士たちを招いて祝宴を開くことになった。沈夫人は朝から準備に追われていたが、来客名簿の中に姜梨の名前を見つけて憤慨、姜梨を呼ぶのは危険だと反対する。すると沈玉容はあっさり断ると答え、安心した母に薬入りの茶を飲ませて眠らせてしまう。妹には母が風邪気味で寝ていると嘘をつき、起こさぬよう釘を刺した。その晩、薛芳菲(セツホウヒ)はあのおぞましい事件が起こった沈宅に舞い戻った。一見、和やかに始まった宴、すると薛芳菲は皆が歓談している隙に席を立ち、独り奥殿に消えてしまう。薛芳菲は夫婦の閨房に向かった。しかし内戸には錠がかかっている。すると薛芳菲の思惑通り沈玉容が現れた。「初めて訪れた屋敷なのに詳しいのだな…入りたければ開けよう」「私がこの部屋を懐かしむとでも?」「…もう隠さぬのか?」沈玉容は芝居を続けるよう勧めたが、薛芳菲はその必要がなくなったという。薛芳菲は沈玉容が刺客から救ってくれようと、芳菲苑で愛を語ろうと、今や寒気がするだけだと言い捨てた。しかし少なくとも沈玉容が己を恥じている証しだと気づき、まだ引き返せると説得する。「唯一の贖罪の方法は御前であなたと婉寧(エンネイ)が薛家を陥れたと白状することよ」「急に正体を明かしたのは贖罪を求めるためか」沈玉容は確かに愛する妻に手をかけたことを悔やんでいたが、母と妹を巻き添えにすれば先祖に顔向けできず、たとえ自分の命は取られても沈家を守らねばならないという。その身勝手な言い分に薛芳菲は呆れ果てた。「もう何も望まない、罪を重ねればいいわ、私が報いを受けさせる!」「婉寧の後ろには成(セイ)王がいるんだぞ?!」すると沈玉容は感情的になった阿狸を引き止めようと思わず抱きしめてしまう。「離して!沈玉容!」その時、戻ってこない姜梨を心配して探していた葉世傑(ヨウセイケツ)が現れ、背後から沈玉容を殴った。薛芳菲は葉家まで巻き込まれることを恐れ、襲われてやむなく沈玉容を殴ったと罪を被ることにした。「表立って関わるのは得策じゃない、裏から力を貸して」「表からでも力になれる」実は葉世傑もすでに姜梨が薛芳菲だと気づいていた。「私は心から君を助けたいんだ」「ならここから出て行って、それが私のためなの…お願いよ」沈夫人が目を覚ました。息子に謀られたと気づいた沈夫人は慌てて沈玉容を探し始めたが、騒ぎに気づいた学士たちも後を追う。すると棒を持って立ちすくむ姜梨の横で沈玉容が倒れていた。「辱められそうになって…それで…」沈玉容は中書令の令嬢に無礼を働いた罪で連行された。姜家からの知らせで姜元柏(キョウゲンハク)は慌てて帰京、すでに噂は町の酒屋にまで広まっているという。姜元柏は今回こそ父親の務めを果たしたいと腹をくくり、訴状を書くことにした。翌朝、皇帝は婉寧を寝宮に呼んで禁足を解いた。そこで皇城司が司徒九月を襲った刺客をかくまっていたと明かし、大燕と大昭の友好を望まぬ者がいると牽制する。婉寧は作り笑顔で望まぬ者などいるはずないと否定したが、皇帝から姜梨と沈玉容の合奏の話を持ち出され、心中穏やかでない。「そう言えば皇姐は姜二娘子が沈玉容の亡き妻とうり二つと言ったな? 沈玉容は大理寺に連行された、姜二娘子への不行状の罪でな」婉寧はその足で大理寺に向かい、沈玉容の牢獄を訪ねた。すると沈玉容はすでに覚悟を決め、殺してくれと頼む。「殿下にはこれからも生き続けて欲しい、母と妹は見逃してください」沈玉容はむしろこれで自由になれると安堵したが、婉寧は沈玉容の生死を決めるのは朝廷ではなく自分だと言った。「あなたを助ける」その夜、薛芳菲が涼亭で棋譜を解いていると、蕭蘅が中庭に突然、飛び降りてきた。「茶…で次の布石は?」薛芳菲は蕭蘅に茶を出すと、沈玉容が引き返すのを拒んだと報告した。「ならば沈玉容を手駒として使い、長公主との汚れた関係を世に晒す」婉寧は必ず沈玉容を救おうとするはず、あの傲慢な婉寧のこと、必ず石を進めてくるだろう。「沈玉容を潰すため己の名誉を傷つけて、それで勝ったことになるか?」「沈玉容を殴ったのは私ではなく本当は葉世傑なの」蕭蘅はどちらにせよ一歩間違えれば牢にいたのは薛芳菲の方だったと一喝、約束を破ったと嘆く。「不本意だけど仕方がなかった」「阿狸…私はどうすればいい」「知ってる、あなたは国を支えながら私まで気にかけてくれる 私はあなたに身を投じると決めた、あなたの弱みではなく力になるために」すると人の気配に気づいた蕭蘅は姿を消してしまう。芳菲苑に趙珂(チョウカ)がやって来た。「文紀からです、こたびの件を知って主君は国境から早馬で駆け戻ったそうです」すると薛芳菲は思わず失笑した。「分かってる、出発した時と同じ衣だったから…」一方、李仲南(リチュウナン)は成王からの知らせを婉寧公主に報告した。失脚した沈玉容を自害に見せかけ始末しろという。しかし婉寧は朝廷のことを自分に任せて兄は強兵に励めばいいと突っぱねた。蕭蘅は皇帝に沈玉容をどうするつもりか聞いた。姜家は恐らく許さないはず、皇帝は望み通り事が運び、婉寧の出方が見ものだという。「姜ニ娘子は辣腕だな、男なら重用できたものを…」「これ以上、先に進めば姜梨が危険です」「蕭蘅…姜梨に惚れたのか?!」「はい」皇帝は憤慨、自分たちが大業を成し遂げるためには姜梨を犠牲にしなければならないという。すると蕭蘅は初めての朝議を覚えているか聞いた。…幼くして帝位についた趙鄴(チョウギョウ)庭園で巣から落ちた小鳥を助けた趙鄴は朝議より小鳥の方が大切だと訴えた『朕にはまだあやつらに立ち向かえる力がない、相応しい者がやればよい 父皇は朕のどこを見込んだのだ?』『恐らく陛下の誠実なお気持ちでしょう、世を慈しむお心です そのお心を忘れずに国事に臨めば必ず天の助けがあります』すると蕭蘅は自分がずっとそばにいると励ました…蕭蘅は常に形勢をうかがっている成王と婉寧に惑わされ、初心を忘れないよう諫言した。「何があろうと私がそばにいます 陛下が良き皇帝である限り、私と蕭一族は誓って忠義を尽くします」「…自分の手駒は自分で守るが良い」沈玉容の審理が迫っていた。葉世傑は姜梨が心配で様子を見に来たが、薛芳菲は自分の正体を知って怖くないのかと尋ねる。「怖くなどない、お前が誰であろうと私や葉家を助けてくれた その情義は本物だった、それにお前の過去を知ってから私は思い知ったよ お前への理解が浅過ぎた、だからお前は思う通りにすればいい」「何をするか聞かないの?」「ただこれだけは言っておく、お前が何をしようと私は味方だ」すると侍女の白雪(ハクセツ)がやって来た。「長公主府から招状が届きました」姜元柏は姜梨が長公主の誘いを受けると聞いて同行すると決めた。しかし招待したのは姜梨だけだと姜元柏は門前払いされてしまう。姜梨は仕方なく父に待つよう頼み、侍女の案内で婉寧のもとへ向かった。寝殿では婉寧が″芳菲散りて梨花白く″を弾いていた。すると姜梨がやって来る。「殿下の琴は横暴で冷酷無情、凄まじい遺恨さえ感じます 大燕の長公主とあがめられ、錦衣をまとい贅を尽くしているのに一体どんな恨みが?」「何も知らないくせに…極寒の代(タイ)国で人質となり、辛酸をなめたのは当然だと?」 「だから人を殺してもいいの?私は恨みを心の支えに蘇った でも己の勝手で人を殺めたり、一家を滅ぼしてなどいない」婉寧は生意気な薛芳菲の首をつかんだが、薛芳菲は怯むことなく腕をつかみ返してきた。そこで婉寧は沈玉容との出会いを語ることにする。「沈玉容のことは好きよ」…あの日、皇帝を訪ねた婉寧は偶然、その年の状元となった沈玉容を見かけた太監の話では翰林院に配属が決まり、典籍の編纂を任されたという婉寧は翰林院の中庭に手巾を落として隠れたすると沈玉容が現れ、誰が落としたかも知れない手巾を拾ってしまう『沈学士、私の手巾に触れるとは罰当たりね』その声は婉寧公主だった沈玉容は長公主に気づき、丁重に拝礼する…「あの頃、彼を面白い男だと思ったわ 誰もが私を避け、陰で侮辱していたけれど、彼だけは礼儀正しく接してくれた」…沈玉容は長公主に手巾を返そうとした『私の手巾を拾ったということは私たち縁があるのね?』『恐れながら私は妻帯しております』沈玉容は仕方なく侍女に手巾を返して行ってしまう…「沈玉容はひたむきで清廉だった、私とはあまりに違う、清らかだった それゆえ想像がついた、寄り添う女子もきっと清らかだろうとね」当時、婉寧は偶然、仲睦まじい沈玉容と妻の姿を見たことがあった。「代国に送られなければ私も同じようによい男に嫁いで幸せだったかも知れない どうして私は駄目だったの?私は幸せと無縁だったのに、なぜ幸せな者がいるの? 自分の運命を呪ったわ、だから沈玉容を泥沼に引きずり込んだの、私たちが一緒になるために」薛芳菲は妻殺しの沈玉容にかつての清らかさなどないと言い捨てた。そんな男に未練などなく、いずれ沈玉容と長公主は報いを受けると断言する。「どうせ沈玉容を助けられない」「救えるわ、沈玉容を助けるには1人の自供で十分、あなたよ」「はいはい、お望み通り証言いたします~」薛芳菲は長公主の負け惜しみを受け流して帰ることにしたが、婉寧はいきなり薛芳菲の手をつかんで引き止めた。「帰るのは早い、会わせたい人がいるの、お前がよく知る者よ?」つづく( ๑≧ꇴ≦)盛り上がってまいりましたー!
2025.10.30
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墨雨云间 The Double 全40話第31話「外交団の到来」成(セイ)王の腹心・楚嵐(ソラン)に襲われ、やむなく毒弾を爆発させてしまった司徒九月(シトキュウゲツ)。楚嵐は毒を吸い込みばったり倒れたが、同時に九月と文紀(ブンキ)も意識を失ってしまう。すると武功の高い楚嵐が最初に目を覚まし、大昭(ダイショウ)公主に狙いを定めた。その時、葉世傑(ヨウセイケツ)から知らせを聞いた蕭蘅(ショウコウ)が駆けつけ楚嵐を阻止する。しかし楚嵐は煙玉を放ち、逃げてしまう。薛芳菲(セツホウヒ)は葉宅での騒ぎを知って国公府へ駆けつけた。すると中庭で葉世傑を見つけ、司徒九月が薛懐遠(セツカイエン)の治療に来たが、刺客に襲われたと聞く。薛芳菲は父が無事だと聞いて安堵、念のため国公府が薛懐遠を預かってくれることになったと知った。「あなたは大丈夫なの?」「大丈夫だ」薛芳菲は回廊で心配そうに待っている蕭蘅を見つけた。その時、ちょうど診察を終えた女医官が出てくる。「命に別状はありませんが、数日は休息を…」薛芳菲は初めてみる蕭蘅の不安そうな表情に気づき、思わず凝視した。殺気を感じた蕭蘅は阿里(アリ)が誤解していると焦り、虎視眈々と狙う敵から大昭公主を守らねばならないと慌てて釈明する。薛芳菲は会盟を望まぬ者がいることを知り、父の治療に来て襲われた九月に責任を感じた。「彼女が回復するまで毎日、お見舞いに来るわ」「当真?!」「何ですって?」「お前が毎日、屋敷に来るんだな!」厳戒態勢の中、逃走した楚嵐は一向に見つからなかった。城外へ脱出することなど不可能、婉寧(エンネイ)公主も禁足中、隠れるなら李家を頼るしかない。一方、姜梨(キョウリ)の相手に指名された杜石(トセキ)は祖母が危篤のため梧(ゴ)州に帰省、再び共演者がいなくなった。趙斉(チョウセイ)は学士たちに姜梨に相応しい才子は沈玉容だが、姜梨が亡き妻とうり二つのため沈玉容が避けていると吹き込む。ここで薛芳菲はもう一押し、最後の仕上げに姜景睿(キョウケイエイ)にも協力を頼んだ。「沈学士に演奏の辞退を申し出る、沈学士は姜家の者に事情を聞くはずよ」「それが私だな?」「私を訪ねるよう誘導して」翌日、姜梨の辞退の申し出を聞いた沈玉容が礼部の様子を見に来た。すると薛芳菲の予想通り沈玉は姜景睿に姜梨の辞退の理由を尋ねる。そこで姜景睿は場所を変えて話したいと頼んだ。姜景睿と柳絮(リュウジョ)は姜梨が流言のせいで気を病んでしまったと報告した。噂によれば姜梨が沈学士の妻とうり二つのため、沈学士が必死に避けているという。柳絮は嫁入り前の娘には残酷な噂だと嘆き、自分たちでも説得できないと落胆した。そこで姜景睿は沈学士なら姜梨の心をほどけると訴える。歓迎の宴まであとわずか、沈玉容はやむなく芳菲苑に姜梨を訪ねた。薛芳菲は噂を否定するためにも沈玉容と組みたいと頼んだ。姜梨と前妻を混同していないと示し、姜梨を避けていないという証しになる。「何が怖いのですか?亡き夫人を憎んでいたのね だから私に夫人への憎しみを転嫁し、目の敵にして避けた 人も羨む夫婦の間にあったのは憎しみよ!」「黙れ!」沈玉容は珍しく興奮して机を叩き、声を荒らげた。「無礼でした…部屋に戻ります」薛芳菲は席を立って涼亭をあとにした。「恨んでなどいない」「…今なんて?」「愛していた」すると沈玉容は姜梨との共演を承諾した。薛芳菲は約束通り毎日、司徒九月と父の見舞いに国公府を訪ねた。しかし2人の仲睦まじい姿がかえって九月の機嫌を損ねてしまう。蕭蘅もまた阿狸が沈玉容と共演すると知って嫉妬、一方、沈玉容も母から薛芳菲に未練があるのかと責められていた。「長公主に知られたらどうするの?」「ご心配なく、よく分かっています」2人の共演はもちろん婉寧の耳にも届いていた。「何がいけないのか思い知らせないとね」姜梨と沈玉容は人目につく翰林院の中庭で練習を続けた。そんなある晩、翰林院からの帰り道、薛芳菲の前に突然、黒衣の刺客が現れる。物陰に隠れていた姜梨の護衛・趙珂(チョウカ)が飛び出そうとしたが、その時、沈玉容が現れ、咄嗟に姜梨をかばって肩を刺されてしまう。刺客は逃亡、趙珂が追跡したが逃げられた。芳菲苑に戻った薛芳菲は趙珂の報告から刺客が婉寧の仕業だと分かった。「…惜しかったわ、証人にできたのに」すると突然、蕭蘅が屋根から飛び降りて来た。「それがお前の狙いか」蕭蘅は阿狸が沈玉容だけでなく婉寧まで揺さぶるつもりだと知り顔をしかめた。「自ら身を投じるなと言ったのを忘れたか?」「身を投じるのは得策ではない、でも今はこうせねばならないの 安心して、もう危ない真似はしない」「口ばかりだな、共演はやめろ」蕭蘅は思わず扇で阿狸の頭を叩いた。「粛(シュク)国公、自分を信じるように私も信じて」婉寧は負傷した沈玉容をいたぶっていた。「刺客が私の配下と知りながらあの子を守ったわね?」「殿下、翰林院の前で殺しがあれば私の責任になります」「どうやら私を怒らせたいようね?勝手に姜梨との共演を決めるなんて」「わだかまりがないから共演できるのです、避ける方がやましく見える」「綺麗ごとばかり言うのね~本当にやましくないか見てあげる」婉寧はわざと沈玉容の傷口を押しながら、禁足が解けたら真っ先に姜梨に会いに行くと言った。楚嵐は李仲南(リチュウナン)が掌握する皇城司(コウジョウシ)に隠れていた。会盟を前に司徒九月を襲った刺客が野放しとあっては大燕の誠意が疑われる上、成王の蜂起も未知数。蕭蘅の話を聞いた皇帝はこの機に皇城司を落とすと決めた。すると蕭蘅は皇帝直属の龍武軍の出番だという。皇城司に蕭蘅たちが乗り込んだ。袁疆(エンキョウ)は国公府の威光など通用しないと反発、兵士を呼んで剣を抜いたが、その時、蕭蘅の暗衛ではなく龍武軍が雪崩れ込んでくる。「袁将軍、勅命である、営門を開けよ!」「聖旨はどこだ!」すると蕭蘅は事後承諾が龍武軍の特権だと言い放った。「捜索せよ!遮る者は斬り捨てて構わぬ!」しかし成王の刺客が援護し、またしても惜しいところで楚嵐に逃げられてしまう。李仲南は部下に罪を着せ、引責辞任した。ひとまず皇城司を取り戻したことで成王の駒を減らした皇帝、片をつけるのは大昭国との会盟を終えてからにする。一方、李仲南は李瑾(リキン)の失態に激怒していた。楚嵐が皇城司にいると知っているのは自分と楚嵐本人と李瑾だけ、李瑾が漏らしたとしか考えられない。実は李瑾は楚嵐を餌に蕭蘅を皇城司におびき寄せていた。国公府の暗衛の数などたかが知れている上、皇城司の忠誠心を試せると期待したが、蕭蘅がまさか龍武軍を使うとは…。李瑾は挽回の機会が欲しいとすがったが、父の怒りは収まらなかった。「皇城司を失った今、どう挽回できると?!…この役立たずめ! お前にもう機会はない!」大昭国の外交団が到着、国君は離ればなれになっていた妹と再会した。祝宴ではついに姜梨と沈玉容による笛と琴の合奏が始まり、それぞれの思惑が絡み合う中、無事に宴はお開きとなる。翌日、姜梨が国公府を訪ねると、蕭蘅は機嫌が悪かった。「大昭国君と九月を国境まで送る」「いつお戻りに?」「分からぬ、プイッ!」「昨夜の演奏は今までで一番ひどかったわ、次はもっといい曲を弾いてあげます」「覚えておこう」「ふふ、だからお早いお戻りを」「出かける前に言っておく、前世も今生も思うままに生きろ 他人のために己を曲げて別人となるな、他人とは私も含めてだ」すると蕭蘅は出かけてしまう。その様子を九月が見ていた。つづく( ̄▽ ̄;)あれ?婉寧の乱入はないんだ…オカルトカップルが気になって男主と女主の話がなおざりにw
2025.10.28
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墨雨云间 The Double 全40話第30話「それぞれの思惑」姜景睿(キョウケイエイ)が姜梨(キョウリ)に届いた接待使の名刺を持ってきた。すると姜景睿、柳絮(リュウジョ)、葉世傑(ヨウセイケツ)が礼部に配属されたにも関わらず、姜梨だけ楽工部に配属されたと分かる。…沈玉容(シンギョクヨウ)は私が近づくのを極度に恐れている、私に何か弱みを握られるのが怖い?もしくは婉寧(エンネイ)がまた理性を失うのを恐れてるの?…ともかく薛芳菲(セツホウヒ)は楽工の練習に顔を出したが。一方、蕭蘅(ショウコウ)の命で司徒九月(シトキュウゲツ)を探していた文紀(ブンキ)がついに九月を発見、国公府へ連れ帰った。実は司徒九月こそ大昭(ダイショウ)国公主。蕭蘅は九月の兄である国君が迎えに来ると教え、恐らく成(セイ)王に狙われると踏んで国公府で暮らすよう勧めた。蕭蘅の思いがけない気遣いが嬉しい九月、しかしその優しさに裏があると分かる。「それから治して欲しい者が2人いる」「その2人は誰のために治したいの?また姜二娘子とやらのため?」すると九月は蕭蘅の誠意を見たいと蜘蛛狩りに付き合えという。山に入った九月は落水したふりをして蕭蘅の気持ちを確かめようとした。九月の叫び声を聞いて駆けつけた蕭蘅は湖面の波紋を見て飛び込もうとしたが、突然、九月が現れ止める。「心配してくれたのね」「私を愚弄して楽しいか?」蕭蘅を怒らせたと気づいた九月はお互い様だと言い返した。かつて毒にあたった蕭蘅を救った九月。『その毒矢の毒は私にしか解けない…助けて欲しいならその身を捧げてもらう』『色恋に興味はない、見捨てるがよい』九月は姜梨に嫉妬、自分には色恋に関心がないと言ったはずだと憤慨し、治療するかしないかは自分で決めると言って戻ってしまう。その様子を楚嵐(ソラン)が見ていた。( ๑≧ꇴ≦)ソランwwwww報告書の提出で沈玉容を訪ねた葉世傑はちょうど楽工部の蕭徳音(ショウトクイン)と一緒になった。すると蕭徳音は姜梨が体調を崩して2日も稽古に来ないと訴え、このままでは演目を完成できないという。葉世傑は心配して芳菲苑に薬を差し入れた。しかしなぜ姜梨が琴の稽古くらいで病になったのか分からないと首を傾げる。実は皇帝が姜梨の琴の独奏を所望したと聞いていたが、実際は楽団の中の1人で、新曲の楽譜を渡されていた。翌日、沈玉容と葉世傑は皇帝に謁見した。すると案の定、沈玉容が楽工部に預けた姜梨が病になり、静養に専念させたいと申し出る。葉世傑は従妹によると初めての曲のため稽古に励み過ぎて倒れたと説明、数日で治るとかばった。そこで姜梨の指示に従い、翰林院の学士の吟詩と合わせる演目ではどうかと進言する。皇帝は面白い提案だと喜んで沈玉容に試すよう指示、沈玉容は断れなくなった。沈玉容は姜梨と組む相手にかつての見合い相手・趙斉(チョウセイ)を指名した。趙斉の弱みを握っている薛芳菲は情婦がいることをばらすと脅して断らせたが、沈玉容は聞く耳を持たない。そこで薛芳菲は練習中に趙斉と大喧嘩を演じて仲間割れを装った。趙斉が怒って帰るのを見た沈玉容は仕方なく練習部屋に向かう。「…故意に私と見合い相手を組ませて辞退するよう仕向けたのでしょう?」「誤解だ、優秀だから選んだ、さもなければ葉員外への姜二娘子の献策に見合わない」「あなたが私を追い払おうとしたのが先よ?」「そなたの仮病が先だ」薛芳菲は国と姜家の威信にかけて絶対に辞退しないと断言、自分の足を引っ張れば国の尊厳を失うことになると警告した。翌日、沈玉容は姜梨の次の相手に杜(ト)家公子を選んだ。杜公子からなぜ大役を辞退したのか聞かれた趙斉は姜梨に頼まれた通り悪口を吹き込み、言い訳を考えて辞退するよう助言する。すると杜公子は仕事が終わるや腹を下したと訴え、練習どころではないと慌てて帰ってしまう。その晩は雨になった。薛芳菲は馬車が壊れて歩いて来たため練習時間に遅れたが、沈玉容の様子で相手が決まらなかったと悟る。「…私と組みたい者などいない、ふっ、ずぶ濡れになり相手にも逃げられ、私ったら滑稽ね」「姜梨、愚弄したわけではない、杜公子は本当に体調が悪くて…」「沈学士は正しかった、この会盟で名声を得たいと望むなど浅はかでした」沈玉容は姜梨に雨が止んでから帰るよう勧めた。そこで火鉢の前に座らせ、冷えないよう自分の外套をかけてやる。薛芳菲はその時、沈玉容がうっかり落とした書巻を拾った。「劉向の″説苑″ですか?…大部分が散逸したのに、よくこんなに集められましたね」実は説苑の復元を沈玉容に進言したのは亡き妻・薛芳菲だった。「苦労したが編纂して残せば後世で役立つだろう、一目見て説苑と分かるとは恐れ入ったよ」沈玉容はそれとなく牽制しながら、説苑の教えに従って六正の道を守っていると言った。「臣の中には″六正六邪″がいるとか、″六正は栄なり、六邪は蓐なり″ もしある者が行いは正なるも邪を犯せば、その者は正か邪か、どちらですか?」「…善行を積もうとも良心に反すれば天雷に打たれるだろう」その時、激しい雷鳴が轟いた。すると薛芳菲は沈玉容が汚点なき正義の人だと信じていると嫌味を言って帰ってしまう。翰林院を出た薛芳菲は悪心に耐えきれず、しゃがみ込んでえずいた。すると蕭蘅が現れる。「気味の悪いものでも見たのか?」「なぜここに?」薛芳菲は蕭蘅の顔を見ると緊張が解けたのか、ふと笑顔を見せた。蕭蘅は阿狸(アリ)を国公府へ案内、自分の衣に着替えさせて夕食を振る舞った。「沈玉容に近づくのは危険な手だ」「必要なのです、弱みをつかんで薛芳菲の冤罪をそそぐわ 長公主は私を殺そうとしているけれど、私の賭けが破滅への道とは限らない」蕭蘅はあえて口に出すのは恐れているからだと揶揄した。すると薛芳菲は打ち明けて気が楽になったと笑って答える。「九月なら戻った、薛県令と海棠(カイドウ)のことは心配するな だが約束してくれ、今後はどんな策を行おうと自ら身を投じないと… お前は満足でも私は受け入れられない」「はお」沈玉容が屋敷へ戻ると母が待ち構えていた。どうやら妹が兄と姜梨が翰林院で2人きりだったと告げ口したらしい。すると沈夫人は貪官に苦しめられて亡くなった夫に誓った言葉を思い出させた。…必ず状元になって名臣となり、貧官を一掃する…沈夫人はせっかく登り詰めた息子が長公主の不興を買って将来を台無しにすることを恐れた。しかし沈玉容は自分の進む道なら分かっているという。翌朝、陸璣(リクキ)が泥酔した司徒九月を連れて国公府へ戻った。しかし九月が目を覚ましてみると椅子に縛り付けられている。実は九月のお目付け役を任された文紀が毒使いの九月に手を焼き、逃げられないよう拘束していた。司徒九月は解放してもらうため、薛県令の治療に行くと訴えた。文紀も葉宅に同行したが、対応に出た葉世傑は姜梨の許可がなければ案内できないという。(* ˙꒳˙ )ふーん( ゚ロ゚)ハッ!葉世傑、逃げろ!( ゚д゚)え?…あ!すると葉世傑は九月の毒蜘蛛に刺されて動けなくなってしまう。(´・_・`)だから逃げろとあれほど…司徒九月は蠍の毒を使って薛県令を治療した。文紀は動けなくなった葉世傑を連れて外で待っていたが、九月は窓からこっそり逃げ出してしまう。すると刺客が現れた。「文紀!」九月の悲鳴を聞いた文紀は葉世傑を置き去りにして駆けつけた。やはり九月を狙って現れた楚嵐たち。九月は応戦しながら隙を見て葉世傑に解毒薬を渡し、蕭蘅を呼ぶよう頼んだ。2人は配下たちを何とか始末したが、使い手の楚嵐相手にいつまでもつか分からない。「一か八かよ」九月は背に腹はかえられず、毒弾を爆発させた。楚嵐は毒を吸い込みばったり倒れたが、九月と文紀も意識を失ってしまう。つづく
2025.10.27
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墨雨云间 The Double 全40話第29話「父の罪」姜梨(キョウリ)の排除に失敗した挙げ句、これまでの罪が全て暴かれてしまった季淑然(キシュクゼン)。慌てた季彦霖(キゲンリン)は皇帝の寵姫である娘を頼ったが、麗(レイ)妃は姉妹を権力を得る道具として扱ってきた父に反発、季彦霖に責任を追わせて淑然の命を救おうとした。「今すぐ官職を辞して出家するの!…いずれ口実をつけて元の生活に戻してあげる」季彦霖はなぜ自分が犠牲になるのかと嘆いたが、麗妃は姉を見捨てるならもう1人の娘も失うことになると言い放った。姜老夫人は今夜、季淑然に毒酒を届けると決めた。すると姜梨が最後に継母と話がしたいと、その役目を買って出る。非業の死を遂げた姜梨と自分を庇って死んだ桐児(トウジ)のため、自ら決着をつけようと決めた薛芳菲(セツホウヒ)。しかし突然、姜宅に麗妃の使者がやって来た。季淑然は命による償いを免れた。実は季彦霖が娘の罪をかぶって官職を辞し、出家することになったという。「季淑然は父親の指示に抗えず罪を犯し、酌量の余地がある 姜相国、ご理解頂けましたね?」姜元柏(キョウゲンハク)と老夫人は姜梨のわだかまりを心配したが、薛芳菲はこの朗報を継母に伝えに行くと言った。物置部屋に軟禁された季淑然は雪珍珍(セツチンチン)や胡(コ)氏、柳文才(リュウブンサイ)の幻覚に怯えていた。すると思いがけず姜梨がやって来る。「胡氏から聞いたわ」これまで雪珍珍が亡くなったのは産後の肥立ちが悪かったためだと思っていた。しかし胡氏の話では季淑然が葉珍珍を診ていた医者を孫(ソン)氏に指示し、口封じに殺させたという。快方に向かっていた雪珍珍が急逝したのは恐らく、淑然が医者に金をつかませ薬を変えたからだろう。「胡姨娘は姜月(キョウゲツ)のもとへ旅立った、遺書にあなたが母親を毒死させたと書き残してね」驚愕した淑然は戸を叩きながら夫に助けを求めたが、薛芳菲は無駄だと言った。「あなたは流産して姜家を味方につけた、でももうあの惨劇が陰謀だったと証明されたの あなたが報いを受ける番よ、亡くなった人はあなたを許さない」「姜梨!私が幽鬼なったらお前に取り憑いてやる!」「なら会いにいくのね、黄泉の国で姜梨がずっと待っているはずよ!」「何ですって?!…あなた、やっぱり姜梨じゃないの?!」姜梨は貞女(テイジョ)堂で激しい折檻の末に死んでいた。薛芳菲から容赦なく責め立てられた淑然は父から強要されたと泣き崩れたが、自分の罪の重さに堪え兼ね、正気を失ってしまう。一方、意識が戻った姜若瑶(キョウジャクヨウ)もまた母の仕打ちを知って激しく動揺していた。侍女はまだ養生が必要だとなだめたが、若瑶はどうしても母に聞きたいことがあると涙する。「私に毒を飲ませた時、少しでも胸が痛んだの?」姜元柏が芳菲苑の外で待っていると姜梨がやって来た。薛芳菲は季淑然が正気を失ったと報告し、墓守りをさせて胡氏の苦しみを味わってもらいたいという。「梨R…私を恨んでいるか? あの女がこんな毒婦だと知っていたら決して姜家に迎え入れなかった!」「恨んでいません、許します…父親、そう言わせたいのでしょう?」しかし薛芳菲は壮絶な最期を遂げた姜梨の無念を思い知らせた。「本当に許せると思いますか?貞女堂での日々など想像もできないでしょう? 少しずつ希望を失い、見捨てられたのだと悟りました 姜家に帰りたい一心で努力してきたのに、その願いすら打ち砕かれた 父親、梨Rに教えていただけませんか?10年間の傷はどうすれば癒えるのか? 傷口はふさがっても痕はずっと残っているのものです 因果応報です、妻も子も失った、あなたの梨Rはもう戻ってこない…」姜元柏は休職を申し入れ、姜若瑶を連れてしばらく遊歴することにした。老夫人は姜梨との父娘の関係を修復する肝心な時だと言ったが、姜元柏はすでに時を逃してしまったと落胆する。一方、北方では成(セイ)王・趙晟(チョウセイ)が妹の失態で太卜署という駒を失ったと知った。しかし季家と姜家が失脚したおかげで今や李仲南(リチュウナン)の独壇場だと聞いて笑いが止まらない。その頃、朝堂では李仲南が意気揚々と成王の功績を称えていた。「成王が北方で大燕の土地を奪回、代(タイ)国皇帝を10里も退けました 恩賞を与え、将兵の士気を高めては?」もはや朝議で李仲南に反対する者はおらず、洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は冷静を装いながらも不満を募らせた。散会後、蕭蘅(ショウコウ)は怒り心頭の皇帝をなだめた。密偵によれば大昭(ダイショウ)の内乱の収束が近く、すでに情勢が安定し、王子が国君の座についたという。「残党の捲土(ケンド)重来を防ぐには盟友が必要なはず 我らも南方に盟友を得れば成王の増強を危惧せずに済みます 国君は若く、子はいませんが妹が1人おります 迫害を恐れ逃亡中のところ、私が南方で救出しました」「ふっ、先手を打ったな」皇帝は早速、大昭国君の即位を祝って外交団を招き、盟約を結ぶと決めた。しかし礼部と儀を仕切ってきた中書令が休職中のため、沈玉容(シンギョクヨウ)に任せることにする。「お前の駒は沈玉容に近づく機会を回避するまいな?」「例の駒を危険にさらせと?」皇帝は失笑、蕭蘅の一瞬の迷いを見逃さなかった。「蕭蘅?お前も劇中に?」「入るものですか」「それなら良い」一方、成王も腹心の楚嵐(ソラン)から大昭国君が大燕との会盟のため、自ら外交団を率いてやって来ると知った。楚嵐の推察では国君の本当の目的は内乱で大燕に逃亡した公主を迎えに来ることだという。「趙鄴が公主を発見し、こたびの来訪となったのやも…」「ふっ、もし大燕で公主が命を落とせば?」成王は楚嵐に蕭蘅を見張り、接触相手を全て調べるよう命じた。薛芳菲は桐児を失った悲しみを紛らすように葉(ヨウ)宅に身を寄せる父の面倒を見ていた。姜景睿(キョウケイエイ)と柳絮(リュウジョ)は姜梨を心配して差し入れを届けたが、姜梨は顔も見せない。そこで葉世傑(ヨウセイケツ)は姜梨に気晴らしさせようと、大昭の外交団をもてなす接待使に志願してはどうかと勧めた。しかし姜梨はしばらく休みたいと断り、そっとしておいて欲しいという。心にぽっかり穴が空いてしまった薛芳菲。弟の墓参りに出かけ、死んだと思っていた父とも再会し、苦楽を共にする友もできたが、この寂しさだけは誰にも埋めることはできないと吐露した。すると蕭蘅が現れ、阿狸(アリ)が探していた娘を趙珂(チョウカ)が連れてきたと知らせてくれる。「だが心を閉ざしている、注意深く接するのだぞ」海棠(カイドウ)は雷に怯えて部屋の隅で丸まっていた。「海棠?私よ?薛芳菲よ?」海棠は恐怖に震えていたが、かつての主の声だと分かって顔を上げた。「娘子(ニャンズー)…生きていたんですね…」すると文にあった通り海棠の頬には大きな刀傷が残っていた。あの時、海棠は監禁された薛芳菲を助けようと沈玉容に文を渡したが、その後、麻袋に入れられ暴行を受け、死んだと思われたのか墓地に捨てられた。また見つかって捕まることを恐れ家に戻れず、隣の県で数月さまよっていたという。残飯で食いつなぎながら生き延びて故郷へ戻り、弟と再会、そこでやっと薛家の惨劇を知ったのだった。「海棠、酷い目に遭わせてごめんね」「悪いのはあの人たちです!」こうして海棠との再会が叶った薛芳菲。姜梨の復讐を果たし、いよいよ自分の恨みを晴らす時が来た。薛芳菲は蕭蘅から外交団の采配が沈玉容だと聞いて早速、志願すると決めた。しかし沈玉容は明義(メイギ)堂から届いた自薦の名刺の中に姜梨の名前を見つけ、勝手に保留にしてしまう。沈如雲(シンジョウン)は兄が隠した姜梨の名刺に気づいて母に報告した。すると沈夫人は自分たちが贅沢に暮らせるのも長公主のおかげだとそれとなく諭し、決して長公主の機嫌を損ねてはならないと釘を刺す。沈玉容は母の言葉に激高、沈家は長公主の犬ではないと怒号を響かせ出て行ってしまう。薛芳菲は選抜の結果が自分にだけ届いていないと知った。沈玉容が渋っていると気づいた薛芳菲は葉世傑に口添えを頼み、沈玉容を姜家に呼びよせることにする。そこで葉世傑は沈玉容と一緒に大昭外交団歓待の日程を皇帝に献上した折、歳試で大きな反響を呼んだ姜梨の琴を演目に入れてはどうかと進言した。沈玉容は姜家の騒動を考慮して許可しなかったと釈明し、仕方なく葉世傑に名刺を届けるよう頼む。しかし葉世傑は代理が届ければ保留されたこともあり、誤解を招くと断った。姜家に沈玉容がやって来た。すると沈玉容は姜梨から辞退して欲しいと頼む。「沈学士、何を恐れているの?」「君の意図は見え見えだ」沈玉容は姜梨が薛芳菲だと見抜いていた。「私は中書令の娘・姜梨であり、亡き沈夫人ではないわ」「ではなぜ接待使に執着する?」「侍女が私をかばって死んだ、実の妹も同然だった、その悲しみから逃れたいの! 落選させるなら亡き夫人の面影を求めたりしないで納得できる理由を示してください さもないと勘繰られるわ?」その夜、沈玉容は明かりも灯さず、ぼんやりと鏡を見つめていた。すると突然、笑顔の薛芳菲が映り込み、激情に駆られて鏡を投げ捨ててしまう。姜梨、婉寧、そして母と妹…。女たちの圧力はまるで真綿で首を絞めるようにじわじわと沈玉容を追い詰めていた。つづく( ˙꒳˙ )そうか!人形の九月が公主なのか!
2025.10.25
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墨雨云间 The Double 全40話第28話「破邪の儀式」粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)は中書令夫人・季淑然(キシュクゼン)が太卜令(タイボクレイ)を訪ねたと聞いた。「長公主府の外の怪火に姜(キョウ)家での破邪儀式か…」文紀(ブンキ)はすでに調べさせた太卜署の配置図を広げたが、そこへ姜梨(キョウリ)が来たと前触れが聞こえた。すると文紀と陸璣(リクキ)が急いで配置図を片付け、碁盤を置いて何食わぬ顔で姜梨を迎え入れる。「ご多忙のところをお許しを」「構わぬ、碁を打っていた…破邪の件か?」薛芳菲(セツホウヒ)は継母だけで太卜令を抱き込めると思えず、恐らく裏に婉寧(エンネイ)公主がいると疑っていた。実は腹話術の名人を貸して欲しいという。「借りが多すぎて…今ではもう返せぬほどです」「返済はいらぬ」2人は意味ありげに微笑み合うと、薛芳菲は帰って行った。(´・_・`)何この感じ?w翌朝、桐児(トウジ)は国公府から来た腹話術師に侍女の衣を着せて白雪(ハクセツ)に任せた。報告を聞いた薛芳菲は継母との因縁の対決を前に、苦楽を共にしてきた桐児に玉を贈る。「全て片付いたらどうしたい?」「私は単純だから衣食に困らない生活がしたい」薛芳菲はこれからも一緒にいてくれたら嬉しいと言った。もし出て行きたいのなら家を整えると約束、店を出すもよし、嫁ぎたいのなら縁談を探すという。「そんな…もったいない」「あなたを本当の妹だと思ってる、そんなこと言わないで」「姐姐…」ついに太卜令・柳文才(リュウブンサイ)が姜家にやって来た。柳文才は昏睡する姜若瑶(キョウジャクヨウ)のため祈祷を行ったが、突然、若瑶が苦しみ出して喀血してしまう。実は季淑然が姜元柏(キョウゲンパク)の目を盗んでこっそり娘の口に血のりを放り込んでいた。邪術に懐疑的だった姜元柏も流石に動揺、すると柳文才が魔に魅入られて精気を吸われていると説明し、根源を絶たねば若瑶の命は危ういという。「恐らく魔物は屋敷の中に…一刻も早く破邪を」( ๑≧ꇴ≦)なぜタンバリンwwwその夜、姜宅の中庭で破邪の儀式が始まった。老夫人を除く全員が集められ、柳文才が祭壇から問答を行い、魔物の宿主を探すという。目隠しして剣を構え、宿主を示すよう祈る柳文才、すると剣は迷わず姜梨を示した。思えば姜梨が習わずして琴の技に通じているのも魔がもたらした熟練の技、薛県令の冤罪をそそぎ、その娘・薛芳菲にうり二つなのは清呈(セイテイ)山で死んだ薛芳菲に宿っていた魔物が姜梨に憑依したせいだという。「急ぎ駆除せねば害は姜家全体に広まる!姜二娘子を道観に連れて行き、数月に渡り祈祷する」窮地に陥る薛芳菲、その時、趙珂(チョウカ)が侍女に扮した腹話術師を連れて近くへ移動した。薛芳菲は破邪の儀式を逆手に取った。それとなく血糊を口に含んだ薛芳菲は急に苦しみ出し、血を流しながら絶叫したかと思うと魂が抜けたように脱力する。「爹爹…ディエディエ…私よ?月Rよ?助けて!」薛芳菲の口に合わせて姜月(キョウゲツ)の声を真似る腹話術師。すると胡(コ)氏が駆けつけ、姜元柏に泣きついた。「お忘れですか?!今のは月Rの声です!」焦った柳文才と季淑然は姜梨と胡氏を引きずり出そうとしたが、そこへ騒ぎに気づいた老夫人が現れた。「放しなさい!孫の月Rに関することよ!誰も動いてはならぬ!」薛芳菲は姜月が憑依した振りをして季淑然が姜月を手にかけたことを示唆した。胡氏も季淑然が8歳の娘を殺したと激怒、その場は騒然となる。すると姜梨は気が抜けたようにへたり込み、正気に戻った。と同時に趙珂が腹話術師を連れて引き上げる。「父親、祖母…太卜令の力は本物です」薛芳菲は朦朧とした意識の中で姜月と姜若瑶の姿を見たと明かし、季淑然が娘を泣かせた姜月に怒って突き飛ばし、倒れた姜月が頭を打って死んだと暴露する。「なのに誤って池に落ち、溺れ死んだことにされたわ!」「嘘よ!姜梨は魔に乗っ取られている!太卜令!あなたの出番よ!」季淑然の叫びを聞いた柳文才は淑然が姜梨を排除したい理由を思い出した。『実は死んだ子供はあなたの子だった あの時、姜梨が身ごもっていた私を楼閣へ連れて行き、私を転ばせて子は流れた 姜梨がいなければ私たちに子があったはず 私は日夜、復讐を考えている、あなたはどう?姜梨の排除に協力してくれる?』柳文才は季淑然の言葉に惑わされ、突然、姜梨に襲いかかった。すると咄嗟に薛芳菲の前に飛び出した桐児が身代わりとなって刺されてしまう。そこへ趙珂が援軍を連れて雪崩れ込み、太卜署は制圧された。しかし柳文才は趙珂に腹を刺されながらも季淑然を人質にして逃げ出してしまう。。・゜・(ノД`)・゜・。トンR!図らずも当時の駆け落ちを体現することになった季淑然と柳文才。しかし腹を刺されていた柳文才は体力が持たず、倒れてしまう。季淑然は初恋の人を腕に抱き、呆然としていた。「淑然、最期に目にする人が君で…良かった… この私の命は貸しにしておく…来世で必ず返してもらいに行く…」すると柳文才は辛く悲しい人生を終えた。翌朝、人々は姜家から次々と運び出される骸に驚愕していた。粛々と処理が進む中、薛芳菲は独り、身なりを整えた桐児の亡骸に付き添っている。今にも目を覚ましそうな美しい桐児…。薛芳菲はそっと桐児の頬に手を伸ばし、昨夜の最期の言葉を思い出していた。『姐姐、最後まで一緒にいられなくなった でも姐姐のそばで暮らした日々は人生で一番、楽しい時間だったわ 来世でもまた姉妹として会いたい 私、嬉しいの これでやっと姜二娘子に会いに行ける お願いがあるの、私を娘子のそばに葬って欲しい』やがて姜元柏が使用人を連れて桐児を迎えにきた。薛芳菲は桐児の髪を切って形見とし、自分の髪も桐児の懐に忍ばせて見送る。『姐姐、悲しまないで 姐姐は笑っている時が一番きれいよ、私は姐姐の笑顔が好き』薛芳菲は矢も盾もたまらず、骸を追いかけて門を飛び出した。「桐児!トンR!」薛芳菲は骸に追いすがり、泣きわめいた。「連れて行かないで!連れて行かないで!」姜元柏は取り乱す娘の様子を見ていたが、何とも胸が痛んで声をかけられない。そこへ姜景睿(キョウケイエイ)から知らせを聞いた柳絮(リュウジョ)と葉世傑(ヨウセイケツ)が駆けつけた。柳絮たちは姜梨を亡骸から引き離そうとするが、薛芳菲は意地でも離れようとしない。するとたまらず姜元柏が怒号を響かせた。「梨R!行かせるのだ!生まれ変わらせてやれ!」「トンァァァァァァァァァァァァァァァァ~!」その頃、娘の復讐を果たした胡氏は血書を残し、首を吊って自害した。…月児の無念も晴れ、安らかに娘のもとへ参りますずっと胸に秘めて参りましたが、夫人を殺めたのも季淑然です己が姜家に嫁ぐためでした…蕭蘅は姜家での騒ぎを利用し、太卜署を閉鎖した。報告を聞いた皇帝は婉寧公主の手駒を粛清できたと大喜び。一方、婉寧はまたしても薛芳菲にやり込められ、恨みをいっそう募らせた。…薛芳菲、首を洗って待っていなさい、お楽しみはこれからよ…つづく( ๑≧ꇴ≦)トンRががががが
2025.10.23
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墨雨云间 The Double 全40話第27話「忌まわしき過去」頭を殴られ昏迷していた周彦邦(シュウゲンホウ)は目を覚ましたが、廃人のようだった。悲観した姜元興(キョウゲンコウ)と楊(ヨウ)氏は娘を連れ戻そうとしたが、姜玉娥(キョウギョクガ)は夫の世話を続けたいと拒む。一方、姜(キョウ)宅では姜若瑶(キョウジャクヨウ)との縁談が決まった斉(セイ)夫人が息子を連れて挨拶に来ていた。しかし若瑶は勝手に縁談を断ってしまう。晩鳳堂から姜元柏(キョウゲンハク)の怒号が響き渡った。「嫌なら早く言えば良かったのだ!なぜわざわざ斉家の体面を傷つける?!」季淑然(キシュクゼン)は老夫人の手前、何とか冷静さを保とうとしたが、初めて娘に反抗されて憤懣やる方がない。すると姜若瑶は娘の気持ちを考えない母に不満だったと明かし、これからは自分の心に従って生きたいと訴えた。「婚姻に口を出さないで欲しい… 今になって分かったの、周彦邦に夢中になったのは愛していたからじゃない 早く姜家を出て母親(ムーチン)から逃げたかっただけ、そのための婚姻だった! 私が無知だったのは母親のせいよ!」姜元柏と淑然は娘の暴言に驚きを隠せなかったが、老夫人は理解を示した。孫の中で最も自分の意思がないと持っていた若瑶がこうして変わったことを喜び、本人の好きにさせてやれという。季淑然は怒りが収まらず、姜若瑶の部屋へ押しかけた。「この家で私だけがあなたを心配してきたのに…姜梨(キョウリ)にそそのかされたのね? あなたを惑わし潰す気なのよ!」「違う、姜梨は私と周彦邦の駆け落ちをばらそうとしなかった 彼女を悪者と思わせたのは母親よ!」若瑶は母が姜梨を潰すことに執心で、姜梨を敵だと自分に教え込んだと非難した。すると淑然は思わず娘を叩いてしまう。「私の苦労も知らないくせに…」「苦労って?私のために姜梨と姜月(キョウゲツ)を片付けたこと? もうたくさんよ、私は人を踏みつけにしてまで高みに登りたくない」季淑然は後宮に妹・麗(レイ)妃を訪ね、愚痴をこぼした。麗妃は姜梨が姜若瑶にまで手を伸ばしたことに驚きを隠せなかったが、それ以上に姉が婉寧(エンネイ)公主と手を組むと聞いて困惑する。「彼女に利用されてはだめ」「敵の敵は味方と言うわ…今度こそ根こそぎ始末する」その夜、薛芳菲(セツホウヒ)は海棠(カイドウ)の情報を実家に聞いてくれた棗花(ソウカ)村出身の侍女・白雪(ハクセツ)から文を受け取った。海棠の実家は米店で、確かに官員の家に雇われ実家を出たという。「実は最近、村に来たある女子の顔には肉もえぐれるほどひどい刀傷があるとか… 同じ人でしょうか?」薛芳菲は独りになるとすぐ手紙を焼き捨てた。沈(シン)家で姦通の罪を着せられたとき、監禁された主を救い出そうとした海棠。あの時、薛芳菲は弟の薛昭(セツショウ)を呼ぶよう頼んだが、それが海棠を見た最後になった。まさか顔に傷がある女子が海棠だとしたら…。薛芳菲はふと蕭蘅(ショウコウ)から呼び笛をもらったことを思い出し、窓際で吹いてみた。するとどこからともなく男が飛び降りてくる。「ご用でしょうか」薛芳菲は男が以前、芳菲苑の中庭にも来ていた庭師だと気づいた。「趙珂(チョウカ)です」「何年ここにいるの?」「7年です」薛芳菲はどうりで蕭蘅が自分の一挙一動を知っているのか納得、そこで趙珂に季淑然の動きを見張って欲しいと頼み、ある人を都へ連れてくるよう命じた。↓New!一方、姜梨を排除するため腹を括った季淑然は実家へ出かけた。季彦霖(キゲンリン)は自分がお膳立てした斉家との縁談を壊したと憤慨、かつて淑然が貧乏絵師と駆け落ちした話を蒸し返す。当時、柳文才との仲を引き裂かれた淑然は父が選んだうつけ者に嫁がされそうになった。『しばらく我慢しろ、子さえなせば侯爵家は手中に収まる それが嫌ならさらに上位の相手を見つけろ』そんな時、姜元柏の正室・雪珍珍(セツチンチン)が病に倒れた。顔見知りだった淑然は毎日、見舞いに通っていたが、季彦霖は淑然に病を利用して姜家へ嫁げと煽る。『お前の手で悪化させれば姜家に嫁げる うつけ者の貴公子に嫁ぐか、手段を講じて相国夫人になるかどちらかだ!』季淑然は父の残忍さを受け継ぎ、今や周りは敵だらけだと言った。「残忍だと?お前はまだ甘い、側女も殺せと言ったのに従わず、姜梨も追放だけに止めた」「その通り、私は甘かった、だからもっと残忍になる…父親、そろそろ眠くなってきたのでは?」季彦霖はようやく淑然が差し入れた銘茶に薬が入っていたと気づいた。実はあの柳文才が太卜令(タイボクレイ)として戻ってきたという。柳文才は姜梨を排除する条件として過去に自分を打ち殺そうとした季彦霖への報復を要求していた。当時、画筆を持てないよう右手の指を潰された仕返しに季彦霖の右腕を切り落とし、謝罪させろという。すると淑然は短刀を取り出し、次第に動けなくなってきた父親に迫った。妻を亡くしても後添えを迎えず2人の娘を守ってきたと淑然に泣きすがる季彦霖。結局、淑然はそこまで残酷にはなれなかった。一方、薛芳菲は姜家家廟で墓守として暮らしている胡(コ)氏を訪ねた。そこで桐児(トウジ)に頼んで侍女を追い出し、2人きりになったところで本音を聞き出すことにする。「ここへ来るのはこれが最初で最後、芝居はやめて…月姐姐の死の真相が知りたいの」薛芳菲は胡氏が正気を失ったふりをしていると見抜いていた。しかし胡氏は口が重く、何も話したがらない。薛芳菲は仕方なく姜梨の辛い身の上を話した。「私は無実の罪で家族に捨てられた… 清呈(セイテイ)山で10年間、誰にも顧みられず、人の冷たさを深く思い知った それでも私は運命に逆らって生きようと決めたの 私は山を下りて都へ戻り、この世と対峙した、だけどあなたは気病みのふりをして逃げてる 恨みを抱いているなら立ち上がって欲しい、今の私なら手を貸せる力がある」すると薛芳菲に鼓舞され、胡氏はついに真実を明かした。「月Rは事故じゃない、殺されたの」実は当時、姜月の侍女が全ての経緯を目撃していた。柳文才が待っていると太卜署に季淑然が独りで現れた。淑然は父親の代わりに償うと申し出たが、柳文才は淑然の命1つでは償い切れないという…あの時、大火傷を負った柳文才は道士に助けられた道士は柳文才の天命が陰に属するため修行すれば大成するとそそのかし、破邪の術を教えて服従させるそれが次なる苦痛の始まりだった道士は柳文才なら火傷の苦痛に耐えうると考えたそこで取り憑かれた者の体から邪を払うより、地獄を見た柳文才の体を通すことで邪が完全に消えると説いては柳文才の体に焼き印を入れる客たちは柳文才が血にまみれるほど道士を信じ、道士の名声が高まったやがて道士の破邪は口伝えにより長公主の耳にも届く婉寧は捨て身の施術が気に入り、道士たちを公主府へ招いたちょうど太卜令に空きがあるが推挙できるのは1人だけ、2人で話し合えという『私はより残忍な者を好む…』すると道士が柳文才に襲いかかったしかし生への執着が強い柳文才が死に物狂いで反撃、道士を亡き者にする…こうして生き残った柳文才は長公主の庇護のもと太卜令となった。「利子を含めお前に償わせたい」「…姜梨を潰したい理由を知りたい?」一方、薛芳菲は胡氏から当時の話を聞いていた。姜月は池に落ちて死んだのではなく、季淑然に殺されたという…季淑然は一見、穏やかそうで姜月にも優しかったしかしそれが仮面のように思えた胡氏は娘を季淑然から遠ざけるようになるそんなある日、ちょうど庭園で遊んでいた姜月のもとへ姜若瑶がやってきた若瑶はでんでん太鼓を貸して欲しいと訴えたが、姜月に断られ泣き出してしまうすると季淑然が現れ、姜月からでんでん太鼓を奪い取ろうとしたその時、淑然に突き飛ばされて姜月が転倒、庭石に頭をぶつけてしまう孫(ソン)媽媽(マーマー)は姜月の息がないと気づき、急いで姜月とでんでん太鼓を池に放り込んだしかし厨房から菓子を持って戻ってきた侍女がその一部始終を見てしまう…胡氏は侍女から全てを聞いた。しかし証人の侍女は姜月が亡くなるとすぐ暇を出され、それきり姿を消したという。胡氏は身を守るため気が触れた振りをするしかなかった。墓守りとなったおかげでこうして生き延びることができたという。「悪には報いがある、月姐姐の恨みはこの私が必ず晴らす」姜梨が胡氏を訪ねたことはすぐ季淑然の耳に入った。胡氏はいたってまともで、2人は長らく話し込んでいたという。「胡氏は長年、気を病んだ芝居をしていたの?ご苦労なことね」孫媽媽は先に胡氏を始末するか聞いたが、淑然は姜梨のこと護衛がすでについているという。「あの2人が結託したところで損をするだけよ」その夜、孫媽媽は姜若瑶に安神湯を差し入れた。何も知らず薬湯を飲み干した若瑶、しかし孫媽媽の様子がおかしいことに気づいて毒を盛られたと知る。「あなたのためなんです、目が覚めたら憂いは消えていますから」「何をしたの?!」逆上した若瑶は孫媽媽の首を締め上げたが、やがて意識を失い倒れてしまう。翌朝、姜元柏は姜若瑶が豹変して孫媽媽に襲い掛かり、卒倒したと聞いた。季淑然の話では若瑶が昏迷しているにも関わらず、医者から悪いところはないと言われたという。すると孫媽媽が故郷で見た邪気に取り憑かれた者の症状に似ていると訴えた。「誰かに破邪の術を試させては?」姜元柏は半信半疑だったが、結局、母の了承を得て太卜令に文を送ることにした。姜景睿は芳菲苑に駆けつけ、姜若瑶の件で屋敷に太卜令が来ると知らせた。両親たちの話によると後宮で突然死が相次ぎ、怨霊の仕業だと噂が広まったという。そこで太卜令が破邪の術を行ったところ、ある妃に取り憑いていると判明。妃は皇帝から毒酒を賜っていた。しかし姜梨は太卜令が呼ばれた目的が破邪ではないと気づく。恐らく若瑶はまた利用され、眠らされているだけだろう。つづく(  ̄꒳ ̄)引っ張るね~
2025.10.22
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墨雨云间 The Double 全40話第26話「月とでんでん太鼓」自然発火で焼死した3人の事件に裏があると気づいた粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)。しかし阿狸(アリ)に警戒するよう知らせを出しても何の返信もなく、へそを曲げていた。一方、薛芳菲(セツホウヒ)は一家と共に姜(キョウ)家家廟を訪ねていた。掟により祭祀を行うのは男系だけ、婦女たちは中庭で見守っていたが、姜梨(キョウリ)は姜元柏(キョウゲンハク)たちの拝礼が終ると勝手に祭壇へ上がってしまう。家族が掟を破った姜梨に唖然とする中、薛芳菲は姜梨の生母・葉珍珍(ヨウチンチン)の霊位を見つけた。…葉氏、もう姜梨と再会されたことでしょう、ご安心ください、必ずや姜梨のために正義を果たします…「父親(フーチン)、長らく墓参りできなかったお詫びを母親に伝えたいのです、お許しください」姜元柏は姜梨の拝礼を見逃した。しかし三婶(シェン)の楊(ヨウ)氏が掟を破れば姜家に災いがあると猛反発する。季淑然(キシュクゼン)はたまらず祭壇へ駆けつけ姜梨を連れ戻そうとしたが、抵抗する姜梨と揉み合いになった。「立ちなさい!」「離して!」その時、突然、みすぼらしい身なりの女が乱入、季淑然につかみ掛かり、姜梨を守ろうとした。「私の月児(ゲツジ)に何するの!」驚いた姜元柏は淑然から女を引き離し、下僕に命じて奥の部屋に連れ戻した。姜元柏は巻き込まれた季淑然を気遣い、家族と一緒に引き上げた。すると姜景睿(キョウケイエイ)が姜梨のもとに駆け寄り、勇敢にも掟を破ったと称賛する。「さっきの人は誰?」「胡(コ)姨娘(イーニャン)だよ、幼い頃に遊んでくれた月姐姐(ジェジェ)は彼女の娘だ」胡氏は姜元柏の妾だったが、娘の姜月(キョウゲツ)を亡くして正気を失っていた。…当時、正室より先に懐妊した胡氏は老夫人から堕胎を強要されたしかし雪珍珍が子供に罪はないと命乞いし、胡氏は無事に姜月を出産する胡氏は正室の恩情に感謝し、ひかえめでよく尽くし、それから2年後に姜梨が生まれた仲の良い妻妾は大家族の美談となったしかし雪珍珍が亡くなり姜家の様子は一変する姜元柏は後添えとして季淑然を迎えたそんなある日、姜月は池に落ちた大切なでんでん太鼓を拾おうとして落水、遺体で発見される胡氏は深い悲しみから気を病み、娘のでんでん太鼓を持って邸内をうろつくようになったやがて裏庭の小屋に隔離されたが、姜梨が貞女堂へ送られた日、胡氏も忽然と姿を消してしまう…姜景睿の話では邸内をどんなに探しても胡氏は見つからなかったという。しかし馬車もないのになぜか胡氏がこの祖廟で発見されたというのだ。「″姜家を巻き込めない″と繰り返していたらしい 屋敷におくのも危険だからと、結局、墓守として裏の部屋に住まわせたんだ」薛芳菲は姜景睿と別れ、桐児(トウジ)と自分の馬車へ向かった。「桐児、胡氏を妙だと思わない?…観察されている気がした つまみ出される時も私をじっと見ていた」「まさか気が触れたふりをして墓守していると?」薛芳菲はいずれ胡氏に会いたいと考えながら馬車に乗り込んだ。しかしその帰り道、馬を繋いでいた縄がちぎれて馬が逃げてしまい、車が止まってしまう。すると運良く、姜若瑶(キョウジャクヨウ)の馬車が通りかかった。姜若瑶は姜梨を乗せ、侍女たちを残して出発した。すると若瑶は姜梨のせいで周彦邦(シュウゲンホウ)との縁談が壊れたと嘆き、鬱憤をぶちまける。「あなたが貞女堂にずっといれば私が何もかも失うことはなかったのに!」薛芳菲は当時、8才だった姜梨が本当に継母と腹の子を害せるはずがないと呆れた。「あれは私を貞女堂へ送る罠だった、罪を晴らすことも許されないの? あなたに恨みも偏見もない、ただ″姜梨″のものを取り戻したいだけ はっきり言わせてもらう、あなたは大事にされ過ぎて愚かになった 周家のろくでなしのために姉妹のつながりまで断って後悔はないの?」「どうであれ自分がしたことの代償を払ってもらうから」その時、馬車が人里離れた廃寺で停まった。廃寺で待っていたのは周彦邦だった。薛芳菲は逃げようとしたが、車夫に殴られ意識を失ってしまう。やがて仏堂で目を覚ました薛芳菲は手足を縛られていた。すると外から周彦邦と姜若瑶が言い争う声が聞こえてくる。あの夜、若瑶を裏道に呼び出した周彦邦は駆け落ちしようと持ちかけ、姜梨を誘拐して葉家に身代金を要求すれば安泰だと懐柔していた。しかし若瑶は周彦邦の本当の目的が姜梨の殺害だと知って驚愕、慌てて逃げ出そうとしたが、周彦邦に殴られ倒れてしまう。仏堂に周彦邦が現れた。周彦邦は姜梨に陥れられ姜玉娥(キョウギョクガ)を娶る羽目になったと激怒、姜梨を汚して恨みを晴らそうとする。その時、薛芳菲は外に捨て置かれた姜若瑶が目を覚ましたと気づいた。「こんなことをして若瑶が傷つくと思わないの?! 若瑶の望みはたったひとつ、あなたのことだけ」「あいつは幼い頃から母親に甘やかされ覇気がない、少々なだめれば必死に追いすがって来る そもそも姜元柏の娘でなければ婚約などするものか」周彦邦は姜梨の衣に手をかけたが、その時、逆上した若瑶に石で頭を殴られてしまう。姜若瑶はふと我にかえり、人を殺してしまったと泣き崩れた。しかし薛芳菲は周彦邦にまだ息があると安心させ、急いでその場を立ち去ることにする。すると姜梨と姜若瑶がいなくなった仏堂に姜玉娥が現れた。その夜、季淑然は娘から全ての経緯を聞いた。姜若瑶の愚行に激怒した淑然はしばらく灸を据えるため禁足を命じ、孫(ソン)媽媽(マーマー)に姜玉娥への伝言を託す。すると翌朝、姜玉娥から息子を襲ったのが姜梨だと吹き込まれた寧遠(ネイエン)侯夫人が姜宅に乗り込んできた。「姜梨を出して!会えるまで帰らないから!」姜元柏は仕方なく姜梨を呼んで事情を聞いた。姜梨の話では帰りの馬車で車夫に山奥へ連れて行かれ、手足を縛られ廃屋に閉じ込められたところ周彦邦に襲われそうになったが、姜若瑶が助けてくれたという。しかし季淑然は昨夜、娘を買い物に行かせたが、何も聞いていないと嘘をついた。薛芳菲は手首に残ったあざを示して事実だと訴え、三妹を呼んで欲しいと頼む。すると姜元柏は淑然に若瑶を呼んでくるよう命じた。姜若瑶は母に指示された通り、何も知らないと答えた。すると罪を認めようとしない姜梨にしびれを切らした寧遠侯夫人が姜梨を衙門へ突き出すという。薛芳菲は役所の捜査が入れば三妹が恥をかく事になると訴え、若瑶を諭した。「あなたが助けてくれた恩は忘れない、本当は勇敢なのね… ずっと口を閉ざして知らぬ存ぜぬを通すつもり? 一生、逃げ続けて慰めを待つだけでいいの?一生、自分を殺して生きていくの?」その時、若瑶は周彦邦が言い放った本音を思い出した。…あいつは幼い頃から母親に甘やかされ覇気がない…季淑然は切りの良いところで娘を下げることにした。すると姜若瑶が孫媽媽の手を振り切り、ひざまずいて自分が周彦邦を殴ったと白状する。「彼がR姐に不埒なことをしようとしたので…R姐を助けるためとっさに体が動いて…」寧遠侯夫人は呆然、どちらにしても責任を取れと姜元柏に詰め寄った。しかし姜元柏は娘を手篭めにしようとした周彦邦に激高し、衙門へ言って裁定を仰いでもいいという。動揺した寧遠侯夫人は頭に血が上って卒倒、姜元柏は娘たちに部屋へ戻るよう命じた。姜若瑶は姜梨を呼び止め、なぜ自分をかばったのか聞いた。「周彦邦と謀ったとなぜ言わなかったの?」「それを言ったらあなたは知らぬ顔を通したわ 周彦邦の悪事を暴露させて2度と惑わされぬよう誘導したの」若瑶はまんまと姜梨に乗せられ、全てを奪われた挙げ句、まだ自分を苦しめるのかと非難した。しかし姜梨から″周彦邦の本性も知らずに嫁いでいたらと思うと怖くないか″と聞かれ、ぐうの音も出なくなってしまう。若瑶は居たたまれなくなって門に入ろうとしたが、姜梨に止められた。「また逃げるの?過ちを認めず部屋にこもるだけ… でも私の言葉は本物よ、あなたは本当は勇敢な人 斉(セイ)家は周家よりずっと良い嫁ぎ先だわ、あいつのことなどもう忘れて あなたにはふさわしくない、良く考えて、本当の姜若瑶はどんな人なの?」「…本当の姜若瑶なんて、誰からも気に留められない存在よ」すると若瑶は肩を落として行ってしまう。葉世傑(ヨウセイケツ)は寧遠侯の話を聞いて慌てて姜家を訪ねた。しかし桐児が現れ、姜梨は留守だと知る。「騒ぎなら事なきを得ました」「では姜梨はどこへ?…いや答えなくていい、察しはつく」すると葉世傑は寂しそうに帰って行った。蕭蘅はご馳走を用意して阿狸を待っていた。「佟知陽(トウチヨウ)に勝った時は喜んでいなかった、こたびはどうだ?」「粛国公は私の一挙一動をご存知なのね」「自分の手駒の位置は常に把握している」「私も駒が欲しいわ…ふふ、でも籠の鳥もいつかは大空へ羽ばたけるのかも」薛芳菲は話を切り上げ、杯を手にした。「ご多忙なら私のことは捨て置いて」「そうはいかぬ」すると蕭蘅は司徒九月(シトキュウゲツ)が都にいないため、しばらく待つしかないと伝えた。2人は杯を空けたが、薛芳菲は1杯飲んだだけで頬杖をついてうとうとしてしまう。「午前中の騒ぎで疲れ過ぎて…少し休みたい」蕭蘅は阿狸を長椅子に寝かせて窓を開けた。風に吹かれて揺れる阿狸の薄衣、その姿はさながら天女のように見える。蕭蘅は椅子に腰掛け、阿狸の美しい寝顔を黙って見ていた。すると阿狸がふと目を覚ます。「いつもは眠りが浅いのに、粛国公の選んだ場所が心地よかったのね」蕭蘅は阿狸の手首にあるあざに気づき、笛を渡すことにした。「この呼び子を吹けば部下がお前を守りに行く」「まさか一日中、監視させているの?」「そう思っても構わぬ、お前は私の駒だ、誰にも渡さぬ」つづく(屮゚Д゚)屮 男主と女主はいいから早く次へ! ←え?w
2025.10.21
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第2話霍擎雲(カクケイウン)の目的地も雲沛(ウンハイ)だと知り、和親使節団への同行を許した皇北霜(コウホクソウ)。実は霍擎雲には去り難い理由があった。…厄娜泣(ヤクナキ)が大漠奇巻(タイバクキカン)を持っているのか、那戦(ナセン)に奪われるくらいなら私が…厄娜泣の和親使節団は日が暮れる前に野営を張り、皆で暖を取った。霍擎雲は一行の和から離れて座っていたが、それとなく皇北霜に腕の出血を見せ、天幕で手当してもらうことに成功する。実は皇北霜もこの機会に霍擎雲に探りを入れていた。しかし急に外が騒がしくなり、ちょうど薬を塗り終えた皇北霜は霍擎雲に包帯を自分で巻くよう伝えて様子を見に行ってしまう。霍擎雲はその隙に大漠奇巻を探し始めたが、皇北霜は皆が賭け酒で盛り上がっているだけだと知ってすぐ戻ってきた。「何をお探し?」「包帯が足りなくて…勝手に開けてごめん、巻いてもらっていいか?」霍擎雲は皇北霜に包帯を巻いてもらうと、急いで天幕を出た。すると皇北霜は袂に隠していた大事な大漠奇巻を取り出す。…やはり何か裏があるのね…その夜、皇北霜は一行と距離を置く霍擎雲に差し入れを渡し、これ以上は面倒を見れないと断った。霍擎雲は素直に明日の朝に出発すると約束、仲間の元へ戻る皇北霜を見送る。すると皇北霜は年老いた朶再(ダサイ)が独りで繕い物をしているのを見て心配した。「もう暗いは、手を刺してしまう」「縫わないと穴が広がりますよ?」「…その通りね」そもそも皇北霜が寝具の繕いを頼んだのは侍女の果児(カジ)だった。実は果児は朶再に仕事を丸投げ、こき使っていた。皇北霜は厳しく叱責したが、果児はいつ死ぬかも分からない不安から、せめて人を使う貴人の気分が知りたかったという。「朶再は年老いた身ながら、後戻りできない道を共に歩いてくれる… 誘惑に負けて役目を逃れるなど言語道断よ! それぞれが苦渋の決断でこの旅路に身を投じた、忘れないで!厄娜泣の未来のためよ?! …団結しなければ雲沛には辿り着けない、行くのが嫌なら今日中に去って! この皇北霜、決して恨んだりしない!残った者は私と一緒に雲沛へ!解散!」←とは言ってないw実はその頃、和親使節団を追う黄天狂(コウテンキョウ)の若問(ジャクモン)たちがすぐ後ろまで迫っていた。翌朝、護衛の廉幻(レンゲン)は娜袖(ナシュウ)が霍擎雲の同行を断ったと知った。「警戒しているのですか?」「商隊の護衛だというから探りを入れたの 品物の値段や産地は知っていたけれど、高価な服を着ているし、何か企みがある」廉幻は始末しようとしたが、皇北霜は止めた。「大丈夫、しばらく目を覚まさないから」和親使節団が出発すると寝たふりをしていた霍擎雲が目を開けた。「深追いしない方がよさそうだ」実は昨夜、霍擎雲は皇北霜がくれた水の匂いで薬が入っていると気づき、飲んでいなかった。和親使節団が野営で休憩していると、黄天狂の若問たちが現れた。皇北霜は献上品や水を渡すので見逃して欲しいと交渉したが、若問は一蹴、娘の面紗を外す。「お前の名は?」「名乗るほどではありません」皇北霜は故郷の家族が心配して待っていると情に訴えたが、それがかえって裏目に出た。荒くれ者たちには親も妻子もなく、欲しい物なら奪うのが常識だという。「俺はどこにも属していない、元よりこの世に居場所も未練もないんでね」その様子を高台から霍擎雲が見ていた。「飛踏(ヒトウ)@馬、機会が巡ってきたぞ」皇北霜たちは死風区(シフウク)に連行された。…若問は野蛮な男だけれど地形観察には長けている死風区を拠点に選んだのは流砂や暴風の影響を受けないからね生活必需品は略奪せざるを得ないけれど、水がなく動物も生息しないこの場所は駐屯に最も適しているわ…若問に一目置く皇北霜、すると若問たちが急に足を止め、強奪品の分配と人質たちの収監を決めた。「廉幻(レンゲン)…抵抗はしないで命を最優先に…生きていれば活路は開ける」しかし皇北霜だけ若問に連れて行かれてしまう。霍擎雲は皇北霜を連れ去った黄天狂を追跡、死風区に潜入した。するとちょうど分け前をあさっていた男の箱に大漠奇巻があると気づく。霍擎雲は背後から男に近づき殺害、大漠奇巻を手に入れた。捕らわれの身となった格心微(カクシンビ)の牢に突然、廉幻や朶再たちが放り込まれた。「なぜここに?!」話を聞いた格心微は自分と身分を替えた皇北霜が若問の探していた似顔絵の美女だと気づく。「安心して、必ず出してあげる」一方、若問はついに手に入れた砂漠一の美女をかついで寝所に入った。すると配下が差し入れた酒を娘の口に強引に流し込む。「お前のは私の女だ」「違う」皇北霜は娜袖として野蛮な男ではなく砂漠を統一する男に嫁ぐと言い放った。その時、若問が油断して机に置いた長刀を奪い、仲間を解放しろと迫る。しかし急に酒が回って刀を落とし、その場にしゃがみ込んだ。「ふっ、効いてきたようだ、双果樹(ソウカジュ)を知っているか?催淫の効果がある 教えろ、名前は?」「卑怯な…教えるものですか!」若問は上衣を脱ぎ捨て、娘に襲い掛かろうとした。その時、背後から忍び寄った霍擎雲が若問の首元に短刀を突きつける。若問は男の顔が見えず、仕方なく自分の命と引き換えに娘を見逃すことにした。そこで皇北霜は仲間も解放するよう迫ったが、若問は一対一の取り引きだと突っぱねる。霍擎雲はひとまず逃げるよう合図、すると皇北霜は若問にも双果樹の酒を飲ませ、報復した。怒った若問は思わず娘の首をつかんだが、霍擎雲に叩かれ意識を失ってしまう。牢では格心微が仲間たちに隠し持っていた宝飾品を渡し、旅費にするよう話していた。すると突然、若問が現れ、格心微を連れて行ってしまう。一方、霍擎雲は皇北霜を連れて砂漠を駆けていた。やがて水場を発見、2人はここで夜を明かすことにする。霍擎雲は媚薬に苦しむ皇北霜に水を渡したが、皇北霜からもらった水ではないと嫌みを言った。「善人とは思えない?」「でも命の恩人だわ」霍擎雲は媚薬を解毒できる永冬草(エイトウソウ)を差し出した。しかしこれを食べたら7日間は眠り続けてしまう。皇北霜は5日以内に雲沛へ着く必要があると拒否、水場で顔を濡らして気を紛らせようとした。その時、急に立ちくらみを起こして倒れてしまう。霍擎雲は咄嗟に皇北霜を抱き止めたが、すでに高熱が出ていた。「早く食べろ」「要らない…耐えられる…」「命より雲沛が大切か?」すると情欲に駆られた皇北霜が求めるように霍擎雲の顔に手を這わせてくる。美しい皇北霜に迫られた霍擎雲は…。つづく( *´꒳`* )ふぅ〜
2025.10.20
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墨雨云间 The Double 全40話第25話「死んだはずの男」季淑然(キシュクゼン)はわざと葉(ヨウ)家と同じ日程で祝宴を準備し、姜梨(キョウリ)が実家より葉家を重んじていると誤解させようとした。しかし老夫人や姜元柏(キョウゲンハク)たちは孫(ソン)媽媽(マ-マー)から姜梨が戻れないと聞いても、娘の立場を理解し、全く意に介さない。完全に目論見が外れてしまった淑然。一方、葉家には薛芳菲(セツホウヒ)を訪ねて粛(シュク)国公の使いがやってきた。薛芳菲はすぐ戻ると断って国公府を訪ねたが、どうも蕭蘅(ショウコウ)の様子がおかしい。「機嫌が悪いのですか?…祝宴に招待しなかったから?」「…御前での評定でお前が感謝すべきは誰だ?」「もちろん粛国公です、心から感謝しています、あなたなしではどうにもならなかった」そこで薛芳菲は蕭蘅に一献ささげて機嫌を取ったが、うっかり下心がばれてしまう。実は薛芳菲が祝宴を抜け出してまで呼び出しに応じたのは父を司徒九月(シトキュウゲツ)に診せるためだった。「粛国公は司徒娘子の居場所をご存知?」「…言い争いになって去ったきりだ」「なぜ怒らせたの?!」「それが目的か…」すると蕭蘅は飲もうとした杯の酒を捨て、阿狸(アリ)を追い返してしまう。「怒った顔も美男よ」悪戯っぽく笑って帰って行った薛芳菲、その背中を見送りながら蕭蘅は口元が思わずゆるんだ。季淑然は姜梨を追い出すどころか、すっかり都でも群を抜く令嬢となった姜梨に手をこまねいていた。そんな時、突然、禁足となったから婉寧(エンネイ)公主から親書が届く。公主府を訪ねた淑然は長公主が姜梨を偽物と疑い、排除したがっていると知った。「お導きいただければ感謝に堪えません」そこで婉寧は宮中で怨霊騒ぎがあったと切り出し、太卜令(タイボクレイ)がお祓いしたところ、ある妃が取り憑かれていると分かったという。「陛下はこの者に死を賜り、宮中の騒ぎは収まったの 姜梨も悪いものに取り憑かれているのでは?」「思えば殿下の言うとおりです、姜梨が戻ってから義弟の娘がおかしくなりました」実は婉寧はすでに太卜令に相談したと明かし、邸宅で破邪を起こなうよう勧めた。その夜、町中で3人の男が突然、発火した。「天の道に背けば大いなる罰が下るぞ!」3人は口々に同じ言葉を叫び、焼け死んでしまう。すると翌朝、現場検証の様子を見ていた野次馬たちの間で長公主の禁足と関係があるとの憶測が流れた。<陛下は成(セイ)王殿下を嫌ってる、だから実妹の長公主を監禁したのよ(コソッ<成王は北境を守って外敵を退けた、長公主を厚遇すべきなのにね(ヒソッその声は馬車の中にいた蕭蘅の耳にも届いていた。陸璣(リクキ)の報告では遺体は検視官が回収し、状況解明には時間を要するとのことだった。蕭蘅は真相を調べ、流言を止めるよう指示する。「しびれを切らしたようだな」季淑然は長公主の紹介状を手に太卜署を訪ねた。しかし正殿でいつまで待っても太卜令は姿を見せず、仕方なく勝手に奥殿へ入ってしまう。すると掛け物の絵を見て驚愕、かつて想い人だった絵師が描いた自分の絵姿と同じだった。その時、垂れ布の奥から太卜令が現れる。実は太卜令は死んだと思っていた絵師・柳文才(リュウブンサイ)だった。「…不可能、絶対不可能!」「火を放てば私が消えると思ったか?」若かりし頃、絵師の柳文才と恋に落ちた季淑然。しかし2人の仲を知った季彦霖(キゲンリン)は激怒し、淑然の前で見せしめに柳文才を暴行し別れさせた。淑然は結局、父の指示で姜元柏に嫁いだが、そんなある日、故郷へ追いやられた柳文才が都へ戻って来たと知る。矢も盾もたまらず柳文才の家を訪ねると、今も自分の姿絵が並んでいた。『私が姜夫人になったと知っているはず、姿を見せないで』『来ないと思ったのに君は来た…』焼け棒杭に火がつき、そのまま情を交わした2人。しかし柳文才がふと目を覚ますと手足を縛られていた。すると松明を持った淑然が現れる。『淑然…私を殺すのか?』『姿を現さなければ…無事でいられたのに…ゥッ…』太卜令として舞い戻ってきた柳文才は上衣を脱ぎ捨て、季淑然に生々しく残る傷痕を見せた。「燃え盛る炎の中、私は必死にこの顔をかばった 生き延びることができた時、お前が見間違えぬようになっ! 皮肉なものだ、お前が殺そうとしなければ、これほど出世しなかっただろう」淑然はようやく柳文才が長公主に姜家の破邪を吹き込んだと気づき、唖然となった。「復讐のためなのね」「復讐ならこんなに待っていない」柳文才はこれまで順風満帆だった淑然に手出しできなかったが、今は追い詰められて自分を頼ってきたと冷笑する。「姜梨を排除してやる、どうだうれしいか?」( ̄▽ ̄;)笑うトコじゃないのよ…でもどうしてもハイウエストがw屋敷に戻った季淑然は腹心の孫媽媽さえ突き放し、閨房に引きこもった。そんな中、周(シュウ)家に嫁いだ姜玉娥(キョウギョクガ)が里帰りする。玉娥は幸せに暮らしていると強がったが、両親は娘の腕にあざがあると気づき、冷遇されていると分かった。しかし玉娥は男子さえ産むことができれば周家を采配する立場になれると自信を見せる。実は周彦邦(シュウゲンホウ)は姜梨への未練を捨てきれず、玉娥が仲を引き裂いたと逆恨みしていた。玉娥は夫に愛されない苛立ちから思わず、宴の夜に書き付けをくれたのは姜梨だと暴露してしまう。『全て姜梨の陰謀だったのよ!姜梨はあなたを嫌って私に押し付けたの!』周彦邦は呆然、姜梨への恨みを募らせた。一方、姜若瑶(キョウジャクヨウ)も侍女から姜玉娥が周彦邦から冷遇されていると報告を聞いた。「やっぱりあの人の意中の相手は私なんだわ」周彦邦から届いたかんざしを大事そうに持っている若瑶。そこへ季淑然がやって来た。淑然は娘の周彦邦への未練を早く断ち切らせるべく、斉(セイ)家との縁談をまとめてきたという。「支度をしなさい」「また今度、疲れているの…どうせ私抜きでも決めるのでしょう?」その時、淑然は娘が隠し持っていた化粧箱を見つけた。箱の中にはかんざしと周彦邦からの書き付けが入っている。…この想い絶えることなし…淑然は娘と周彦邦が自分に隠れて連絡を取っていたと知り激怒、書付を破り捨ててしまう。「私に逆らうなら2度と娘とは思わない」姜景睿(キョウケイエイ)が定州から帰ってきた。ようやく飢饉が治まり、柳絮(リュウジョ)は父親たちと後始末をしているという。「私は墓参りに戻ったんだ、聞いたぞ!お前の武勇伝!その場にいなかったのが残念だ!」「騒ぎが見たいならなぜ定州に残ったの?ふふ」薛芳菲は姜景睿が柳絮と離れがたく残ったと知っていた。母に脅迫されて仕方なく身支度を整えることにした姜若瑶。すると侍女が周彦邦からの書き付けを持ってきた。…今日亥時、裏門の路地で会いたし…若瑶は大事なかんざしまで奪った母への怒りが爆発、孫媽媽が届けた新しい衣を放り出した。「これで私があきらめると思ったら大間違いよっ!」姜玉娥は夫の朝餉を給仕していた。しかし相変わらず周彦邦の態度はそっけなく、思わず昨夜はお楽しみだったのかと口を滑らせてしまう。「何だと?!」「私の想いを無下にしてどうして若瑶と?」周彦邦は玉娥が自分をつけていたと知り憤怒、玉娥の首をつかんでしまう。「昨夜のことは誰にも漏らすな、さもないと許さぬ!」姜景睿は姜梨が薛懐遠(セツカイエン)を治療するため医術を学び始めたと知った。そんな前向きな姜梨と比べ、望まぬ見合いに出かけた姜若瑶は哀れだと同情する。「愚かよ…反抗もせず、人を恨むだけ」「皆がお前のように思い上がりではない、まあこれでお前に手を出す暇はないな」一方、蕭蘅は突然発火の事件を調べていた。検視の結果、異常はなく、怪火の原因は不明だという。しかし蕭蘅は動物のふんや死骸の堆積物から生まれる燐粉で発火を装えると突き止めていた。「怪異など人が作り出したものに過ぎぬ、恐らく焼死した者も操られていたのだろう 死ぬ間際のあの言葉…生前の死者を調べれば共通点があるはず 怪火は前座に過ぎぬ、ここからが本当の見ものだ」つづく(  ̄꒳ ̄)え?桐児、どした?
2025.10.19
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墨雨云间 The Double 全40話第24話「公主の誤算」薛懐遠(セツカイエン)の冤罪を晴らし、自らの罪も帳消しとなった薛芳菲(セツホウヒ)。すると突如、婉寧(エンネイ)公主が現れ、姜梨(キョウリ)の正体は薛芳菲だと暴露した。「陛下、血縁なき者がうり二つなんてあり得るでしょうか?」「一家3人が同時に難に遭う偶然があれば、うり二つの偶然もあり得るのでは?」粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)は思わず嫌味を言った。しかし婉寧は確信があるのか、本物の姜梨は薛芳菲に殺されたと言い放つ。8歳から10年も貞女(テイジョ)堂にいた娘が歳試でいきなり首位に立ち、今度は縁もゆかりもない薛懐遠に肩入れして命までかける理由は明白だ。「お前は姜梨ではない、薛芳菲だからよ!」薛芳菲は落ち着いていた。もし自分が薛芳菲なら淮郷(ワイキョウ)の民たちが気づくはず、そもそもそんな出まかせをどこから聞いたのかと挑発する。「焦らないで~昔なじみに会わせてあげる」婉寧が証人として召喚したのは貞女堂の堂主だった。堂主は薛芳菲が姜梨ではないと証言、姜梨を殺したと濡れ衣を着せた。しかし薛芳菲から激しく追及されてしまう。「ならば姜梨はどうして死んだの?亡骸はどこ? 知らないの?ならなぜ柳(リュウ)夫人の前で私の正体を暴かなかったの?」「お前に丸め込まれたからよ、姜梨だと認めれば罪を隠蔽してやると言われて…」すると薛芳菲は一気に畳み掛けた。「陛下、姦通を犯した不徳義な者の証言など信用できません どうせ誰かの誘いに乗って私を中傷しに来ただけでしょう… 姜梨がいかに死んだのかも知らず、亡骸の場所も知らないのに、なぜ私が偽物だと? 管理の厳しい貞女堂で別人がどうやって貞女になりすませるの? それに共に育った侍女の桐児(トウジ)がいる 桐児の忠誠心は父親(フーチン)もよく知っているわ、主の成り済ましを許すはずがない! 誰の指図で来たのか知らないけれど、正直に話すのが唯一、救われる方法よ?」そこで薛芳菲は貞女堂から別の証人を呼んで欲しいと頼んだ。…実は薛芳菲は太極殿へ向かう途中@23話、蕭蘅から貞女堂の堂主を誰かが恵城から連れ出したと聞いていた『どう対処する?』『ある者を連れてきてくれませんか』『陸璣(リクキ)を向かわせる』そこで薛芳菲は伝言を託した…当時を知る貞女堂の貞女が召喚された。貞女は陸璣から″これが唯一の贖罪の機会だ″と伝言を聞いたことを思い出し、薛芳菲を確かに姜梨だと証言する。あの時、貞女は堂主に強制され、やむなく姜梨を打ち据えていた。すると驚いた堂主が貞女につかみかかって嘘をつくなと騒ぎ出し、2人はそこで追い出されてしまう。婉寧はこのまま引き下がれず、薛芳菲の夫である沈玉容(シンギョクヨウ)に証言を迫った。しかし沈玉容は愛妻を殺したうしろめたさから、薛芳菲ではないと否定する。「殿下、いくら顔がうり二つでも他人です、妻ではない」追い詰められた婉寧は清呈(セイテイ)山に埋められている姜梨を掘り起こして調べると言い出した。姜元柏(キョウゲンハク)は長公主の疑念に思い当たる節があった。しかし李(リ)家への反撃を今、止めれば全て水の泡になる。すると姜元柏が急に失笑した。「殿下が親しくもない姜家をこれほど気にかけてくださるとは恐れ多いことです ですがいくら何でも自分の娘を間違えるはずがありません 娘はこたびの義挙で人の恨みを買ったようですな すでに審理は終わった、娘を連れて帰ります」姜元柏は姜梨の手を引いて出て行こうとしたが、婉寧は骨を必ず調べると釘を刺した。その時、皇帝の怒号が響き渡る。「婉寧、まだ続けるなら謀反とみなす!」皇帝は婉寧を公主府へ連れ帰るよう命じた。衛兵は直ちに長公主を拘束したが、激怒した婉寧は衛兵の帯剣を抜き、衛兵の腕を斬りつけてしまう。朝堂での抜剣に官吏たちは騒然、すると婉寧が姜梨に斬りかかった。姜元柏は咄嗟に姜梨の前に飛び出して盾となったが、危ないところで蕭蘅の鉄扇が剣を阻む。すると婉寧の手から剣が落ちた。「蕭蘅!何様のつもり?!」しかし婉寧は皇帝の逆鱗に触れ、禁足を命じられてしまう。薛芳菲は姜元柏と屋敷へ到着したが、淮郷から連れてきた民の面倒を最後まで見たいと訴えた。「葉宅へ出かけても?」「騒ぎを起こしたお前が後始末をせねばな」姜元柏はどこか含みを持たせ、戻ったら話がしたいと言った。「忘れるな、お前は姜家の娘だ」その夜、薛芳菲は密かに国公府を訪ね、蕭蘅に協力を頼んだ。「清呈山にある墳墓に骨が埋まっています、掘り起こして埋葬したいのです」すると蕭蘅は清呈山までの道が遠く退屈なため、一緒に来るよう命じた。清呈山の墳墓に到着する頃には夜が明けていた。蕭蘅は姜梨が別れを告げたいと思い、同行させたという。「ここで眠っているのは薛芳菲だろう?」「薛芳菲は汚れた女子と世間に思われている、それだけでも哀れよ だから公主が掘り起こす前に移してあげたい …とても清らかな人だった そして愛した人を善人だと思い、その人と幸せに暮らすため、自分の全てを捧げた 自分の身も家族までも、でも結局はこの冷たい土の中に横たわっている …あの人は高貴な生まれで心の美しい人だった 何の罪もなく、家に帰ることだけを願っていた それなのに清呈山に10年も捨て置かれたわ、10年よ! 今はここに横たわっている…私のせいで」蕭蘅はついに姜梨の口から真実を聞いた。「お前という手駒に私は満足だ…では掘り起こさせて別の骨を入れよう」「…粛国公、感謝します、阿梨(アリ)を守ってくれて」「阿狸(アリ)、今日からは誰も恐れる必要はない」沈玉容は悶々としながら市場で買い物していた。するとかつてのように自分のそばに立つ薛芳菲の幻影が見えてしまう。その時、偶然にも露店で買い物している姜梨を見かけた。「姜ニ娘子?」「…沈学士」「今日は顔色も良く元気そうだ」「悟りを得たからよ、沈学士の亡き夫人はかつて私の命を救ってくれた ずっと分からなかったの、自分の身も危うい人がなぜ私を救ってくれたのか 世の不条理や非情な夫を恨む気持ちがそうさせたのだと思った でも分かったの、私を生かしたのはあの人の持つ気概だと 広い世を見たかったのね、薄情で哀れな男など何の足枷にもならない」「本当にそうだと?」「今に分かるでしょう」婉寧は李仲南(リチュウナン)を呼びつけ、太卜令(タイボクレイ)への密書を託した。「沈学士を呼んで」李仲南が外へ出ると、雪が舞う寒空の中、沈玉容がまだひざまずいている。「そなたの番だ」婉寧は自分に恥をかかせた沈玉容を引っ叩いた。「あの者が誰であろうと生かしておけない!」「殿下のお手を煩わさずともたやすく殺せます、こたびの様な直接の手出しはなりません …姜梨を恨む者は多い、他人の刀を借りて殺すのです」結局、皇帝は李仲南の追及をあきらめた。婉寧を初めて罰しただけでも影響があり、ここで李仲南まで叩けば事が大きくなってしまう。どちらにしても手下の魏乾(ギケン)たちを失った李仲南は思うままに動けなくなった。しかし蕭蘅は婉寧公主がまだ手札を持っていると怪しむ。その頃、北郡の軍営では野望が遠のいた成(セイ)王が苛立ちを隠せずにいた。金鉱を失って資金源を絶たれ、小桃紅(ショウトウコウ)も捕まってまともな芝居も見られやしない。すると楚嵐(ソラン)から長公主が禁足を命じられたと聞いた。「愚かな妹妹(メイメイ)よ、これほど役に立たぬとは…」そこで成王は代(タイ)国の侵略を装い、朝廷から兵を出させようと企んだ。一方、屋敷に戻った沈玉容は書斎に引きこもった。かつてこの部屋で書写しながら、夫の姿を見つけると微笑んでくれた愛妻。しかし姜梨の言葉は沈玉容の心に深く突き刺さっていた。…薄情で哀れな男など何の足枷にもならない…すると沈玉容は激情に駆られ、机の硯を床に投げつけてしまう。 季淑然(キシュクゼン)は姜家を守るため、やむを得ず姜梨を救い出すしかなかった。老夫人は姜梨を迎える祝宴の準備を頼んでいたが、薛県令や淮郷の民は葉家に身を寄せているという。孫(ソン)媽媽(マ-マー)の話では富豪らしく葉家が祝宴まで開いてくれるらしい。そこで淑然は姜家も同じ日に祝宴を開き、姜梨が葉家を選んだと思わせることにした。薛芳菲は父を医官に診せた。医官は体の傷ならいずれ癒えるが、離魂病を治すのは困難だという。「頭の中が混乱し、親しい人や過去、自分のことさえ忘れてしまう病です ご息女を失った悲しみや冤罪によって身も心も傷つき、心を病んだのでしょう 凍りついた心が溶けるのは長い時間がかかります」すると葉世傑(ヨウセイケツ)は他に名医を探してみると励ました。蕭蘅は阿狸が一向に顔を見せず面白くなかった。そこで文紀(ブンキ)に呼びに行けと命じたが、文紀は葉家での祝宴が始まったので無駄だと口答えしてしまう。「お前は杖刑を好むようだな?」一方、薛芳菲は葉家で故郷へ戻る三叔父や古(コ)兄弟たちと宴席を囲んでいた。すると姜家から使いが来たという。孫媽媽は姜家でも祝宴で皆が姜梨を待っていると知らせた。「午後、白雪(ハクセツ)に伝えたのですが、お聞きになりませんでしたか?」「私は不在なのに?どうやって伝えろと?」姜梨は夜になって急に呼びにきた孫媽媽を怪しんだ。どうせ季淑然がわざと同じ日に祝宴を設定したのだろう。「途中で抜けるわけにはいかないわ、無礼だと思われ、父親の体面が傷つくから」「では日を改めるよう伝えましょう」つづく( ˙꒳˙ )いろいろ無駄が多い…
2025.10.17
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墨雨云间 The Double 全40話第23話「御前審理」長安に鳴り響く登聞鼓(トウブンコ)の音。すると太監が聖旨(セイシ)を持って現れ、民衆は一斉に平伏した。「陛下のお言葉である… ″姜梨(キョウリ)の破牢および薛懐遠(セツカイエン)の横領事案は大理寺が刑部と共に審理を行う なお粛(シュク)国公に審理の監督を任ずる″ 10日後に朝廷にて結果を報告、陛下が裁可を下される」姜元柏(キョウゲンハク)は皇帝に謁見できず、屋敷へ戻った。姜梨の生死だけでなく姜家の名声に関わる一大事。そこで季淑然(キシュクゼン)は妹の麗(レイ)妃を頼ることにしたが、その時、ふいに″都の掟″があったと思い出した。話を聞いた姜元柏は早速、出かけることにしたが、淑然は自ら大理寺に行くと申し出る。「私が必ず梨Rを連れて帰って来ます!」その頃、薛芳菲(セツホウヒ)の監房に蕭蘅(ショウコウ)が現れた。「″おとなしくしろ″と言われたけれど…私には無理だった」「やはりな、それにしても情けない姿だ」蕭蘅は外套をひるがえし、姜梨が座っている藁敷きの床に並んで座ってしまう。「…登聞鼓を鳴らして陛下の裁可を求めた、これで相手は本気でお前を潰しに来るぞ? やり過ぎたな」「粛国公、身近に冤罪で亡くなった人はいる?もしそんな機会があったら登聞鼓を叩く?」蕭蘅は十数年前の自分の姿を思い出して感傷的になったが、ふと我に返って立ち上がった。「尋問は終わり?」「話すべきことは話した、ゆっくり休むといい」すると蕭蘅は自分の外套を脱いで投げ渡し、帰っていった。その頃、季淑然は大理寺卿・周徳昭(シュウトクショウ)に掛け合っていた。周徳昭は中書令夫人が来る場所ではないと眉をひそめ、面会ならいざ知らず連れて帰ることなどできないという。そこで淑然は都の掟を持ち出した。実は大燕の律法には″夫殺し子殺し以外の罪を犯した女子は裁定が下るまで自宅で家族が監督しても良い″という条文がある。「今日は何としてでも娘を連れて帰ります!」思いがけず季淑然の助けで帰宅できた薛芳菲、まずは祖母に謝罪し、事情を説明した。「薛県令の娘・薛芳菲は命の恩人です 貞女堂で堂主に折檻され命を落としかけたところを助けられました それで淥陽(ロクヨウ)の葉家に行ったついでに彼女を訪ねることにしたのです しかし彼女は亡くなり、父親も獄中と知って看過できなかった 淮郷(ワイキョウ)は酷い有り様でした、新任の県令が民を虐げていたのです」薛芳菲は姜家の家訓である″正義と忠義を守る″に従ったと訴え、実は新しい県令の後ろ盾が李(リ)家だと明かした。父に文で知らせた″葉家が陥れられた事件″も李家が関わっている可能性が高いという。姜元柏は母から淮郷県令が李家側の人間だったと聞いて驚愕した。しかも行き来がないとは言え、姜家と姻戚の葉家にまで手を出したという。老夫人は黙って見過ごすことはできないと訴え、何も手を打たねば面目が立たないと嘆いた。「梨Rは陛下の裁可まで取り付けた、陛下も疑いを抱いているという表れだわ 反撃の好機よ、かくなるうえは梨Rと協力して李家に対抗すればいい」一方、婉寧(エンネイ)公主は沈玉容(シンギョクヨウ)を呼び、明日の審理に着て行く衣を選んで欲しいと頼んだ。しかし沈玉容は卑しい身分ゆえ分からないという。「いいわ、その赤い衣にする」「審理になぜ殿下が?」「最後の仕上げに行くの」「遊びが過ぎると火傷しますよ?」情夫に口答えされた婉寧はへそを曲げたが、沈玉容は公主の衣の袖を整えると言って機嫌を取った。「もう一度あなたに機会を与えたら薛芳菲を埋める?私を殺す?」「私は殿下の手で死ねれば本望です」審理当日、薛芳菲が独りで太極殿に向かっていると、李仲南が呼び止めた。李仲南はひるむ様子のない姜梨を挑発、天下に自分の知らないことなどないと迫る。「姑息な策が私に通用すると思わぬことだ、父親すら手を出さぬのにこの小娘が」しかしちょうど蕭蘅が現れ、薛芳菲は運良く老臣の嫌がらせから解放された。李仲南の強気な態度を見た薛芳菲は恐らく十分、準備をしてきたのだと分かった。すると蕭蘅があらかじめ伝えておくことがあるという。「…ご助言いただいたからには私もお返ししなくてはね」薛芳菲は蕭蘅が自分をかばって斬られた時、裂けてしまった手巾を繕っていた。「刺繍が上手いな」「″元の刺繍″にはだいぶ劣るわ」どうやら薛芳菲はすでに蕭蘅の生い立ちを知ったらしい。しかしそこへ姜元柏が現れ、話は断ち切れになった。蕭蘅は中書令に拝礼して先を急いだ。すると姜元柏は姜梨を労い、自分が支えるので怖くないと励ます。「ありがとうございます、父親(フーチン)」薛懐遠の再審理が始まった。すでに大理寺卿の主導のもと刑部と合同で2回の審理を行い、本日、皇帝の御前で審議を行う。周徳昭(シュウトクショウ)はまず姜梨を召喚、薛芳菲は破牢の罪を認め、その前に薛懐遠の罪を晴らして欲しいと訴えた。刑部で審議を担当した魏乾(ギケン)は薛懐遠の自宅で銀5000両と裏帳簿が発見され、部下の馮裕堂(フウユウドウ)の証言が裏付けとなり、不審な点はなかったと報告した。周徳昭は有罪を覆す証拠を見つけたのか聞いたが、薛芳菲はあっさり何もないという。「だからこそ淮郷の民を連れて来たのです、証言のお許しを」薛懐遠に恩のある淮郷の民たちが召喚された。民は口々に薛懐遠が少ない俸禄から援助してくれたおかげで生き延びることができたと訴えたが、魏乾は証言などいくらでも金で買えるとぬかす。李仲南も3年前の青州(セイシュウ)府尹が多額の横領をしながら民にわずかな施しをして慕われていたと意見し、大理寺卿に判例を忘れぬよう釘を刺した。しかし薛芳菲はすでに御史大夫に頼んで薛家と馮家の財産を調べてもらったという。そこで皇帝は早速、御史大夫に報告するよう命じた。調査によれば薛懐遠が在任中に得た家や田畑はなく、公邸で発見された財産は横領したとされる銀5千両だけ、片や馮裕堂は40間を有する私邸に居住し、田畑に至っては多数にて調べは未了、財産の合計は銀20万両にのぼっていたという。次の証人は薛懐遠の部下だった古大(コダイ)、古二(コジ)、彭笑(ホウショウ)、何君(カクン)だった。4人は薛県令が在任中にいかなる不正も行なっていないと訴え、県令の捕縛後は鉱山に送られてしまったという。「一族の命をかけて我々は真実を述べています!」薛芳菲は誰より薛懐遠が無欲で清廉にして節度ある県政を敷いたと知っていた。民たちの証言通り、在任中は俸禄を使って水利を起こし、道や家を修繕、民を助けたという。「陛下、改めてお願い申し上げます、薛懐遠を証人として召喚してください! 今の薛懐遠の姿をお目にかけましょう」朝堂は薛懐遠の姿に呆然となった。薛懐遠は馮裕堂に投獄されて拷問の末に気を病み、幼い童のように見える。すると薛芳菲はこれこそ清廉な忠臣の成れの果てだと嘆き、巷間にこの事実が広まれば忠義を守れる官吏がいるだろうかと問う。焦った魏乾は皇帝を詰問するなど不届きだと止めたが、その時、蕭蘅がようやく口を開いた。「姜ニ娘子が言ったことは筋が通っている、忠臣を放逐し、奸臣をのさばらせるのですか?」皇帝も自分が知りたいのは″真実″だと言った。「姜相国、いい娘に育てたな」皇帝は玉座から立ち上がった。「忠臣に罪を着せるとは嘆かわしい、これは朕の過ち、大燕の損失である! 魏乾!お前が冤罪を生んだ!」そこで大理寺卿に薛懐遠の冤罪を調べ、この悪計に加担した者は全員、厳罰に処すよう命じた。姜元柏は娘が自分では救えなかった良臣を救い、慚愧に堪えないと拝跪する。すると次々と官吏たちがひざまずいて慚愧に堪えないと声を上げた。大理寺卿は薛懐遠の事案が冤罪と判明した以上、姜梨の罪も帳消しにすると奏上する。「皆、立つが良い…朕は薛懐遠の子女を厚く遇したい」皇帝の言葉に薛芳菲と沈玉容は内心、激しく動揺した。しかし大理寺卿が息子は匪賊に襲われ死亡し、娘は沈学士の亡き妻だと報告する。朝堂は騒然となった。沈玉容は仕方なく御前に出ると、岳父が陥れられたと知って胸が痛むと吐露し、薛懐遠に寄り添う。するとおとなしかった薛懐遠が急に暴れ出した。薛芳菲は慌てて葉世傑(ヨウセイケツ)に父を頼んだが、沈玉容は立つ瀬がない。なぜか沈玉容に怯える薛懐遠、そこで葉世傑は薛懐遠を休ませるため太極殿から連れ出した。朝堂はなかなか落ち着かなかった。すると蕭蘅が誰の目論見かと一石を投じる。「父親は横領、娘は姦通の汚名、息子は非業の死…一家3人を襲った悲劇には裏がありそうだ」皇帝は裏とは何かと聞いた。「濡れ衣と口封じです」「調べは粛国公に任せよう、真相を明らかにして汚名を晴らせれば沈学士の慰めになろう」「拝命します」そこへ突如、婉寧公主が現れた。(゚∀゚ノノ゙パチパチパチパチツ!「雄弁な姜ニ娘子により薛家は無罪を勝ち取りました なれど陛下、忠臣が陥れられただけでなく、ご自身も謀られたとお気づき? 私は沈学士の夫人を見たことがあるの、初めて姜二娘子と会った時、驚いたわ~ だって沈学士夫人とうり二つなんだもの」つづく(´・_・`)、何だがちんぷんかんだったかなり端折ってしまったので、詳しくは放送をご覧くださいw
2025.10.16
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墨雨云间 The Double 全40話第22話「響け、訴えの太鼓」中書令の娘・姜梨(キョウリ)の噂を聞いて定(テイ)州に絶え間なく押し寄せる各地の被災民たち。すると地図を眺めていた薛芳菲(セツホウヒ)はおかしなことに気付いた。″姜二娘子は生き仏″という噂が広まったとしても、被災民が定州に到着するのがあまりに早過ぎる。姜梨たちが定州に到着した晩に外地から来た難民が押しかけ、中には遠く離れた寧(ネイ)州から来た難民もいた。もし姜梨たちが淮郷(ワイキョウ)を出発したと同時に寧州を出て夜通し歩いたとしても、まだ州境あたりのはずだ。戸部侍郎・柳元豊(リュウゲンホウ)は城門に立って1人ずつ登記してから避難所へ向かうよう呼びかけ、名簿を作った。大きな災害にあった州は南の商都(ショウト)と西の寧州だったが、なぜかこの2つと接している唯一の県・渭(イ)県からの難民が多く、半数に上る。これだけの民が消えれば渭県の食料は余っているはず、しかし渭県県令が黙っているところをみると、やはり誰かが噂を流して渭県の民を定州に送り込んだのだろう。そこで薛芳菲は姜梨をえさにして扇動している民を誘き出そうと考え、城外に出ると決めた。皆は危険だと反対したが…。葉明煜(ヨウメイイク)は食糧を調達に行くという名目で城門を出た。すると早速、数人の男たちが姜家の令嬢が出てきたと騒ぎ出し、姜梨を人質にして食べ物と交換しようと飢民を煽る。葉明煜は馬車を降りて扇動した男たちを探し始めたが、その時、飢民に紛れていた刺客が隙を見て車に乗り込んだ。しかしいきなり蹴り飛ばされ、放り出されてしまう。実は車に乗っていたのは姜梨ではなく、粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)だった。そこへ城楼で待機していた文紀(ブンキ)と陸璣(リクキ)が飛び降りてくる。「扇動する者を捕らえよ!」…薛芳菲が自らおとりになると決めた時、突然、蕭蘅が現れた蕭蘅は足止めされた姜梨と薛懐遠(セツカイエン)を都へ護送するつもりだったが、薛芳菲は出られないのではなく、残ることを選んだという『この一件の真相が明らかになりかけているわ』薛芳菲はもはや薛一家だけの問題ではなくなったと訴え、本当の黒幕を暴かねば同じ悲劇が繰り返されてしまうと訴えた『決めたのか?』『ええ』すると蕭蘅はならば自分が代わると申し出た…薛芳菲は安心して蕭蘅が戻るのを待った。姜景睿(キョウケイエイ)と柳絮(リュウジョ)は姜梨と粛国公の関係が気になるが、姜梨にはぐらかされてしまう。しかし意外にも薛芳菲が知らない間に姜景睿と柳絮は仲良くなっていた。間者が自白、渭県県令・盧子昀(ロシイン)が救済物資を隠匿し、飢民を定州に送り込んでいたと分かった。そこで蕭蘅は柳侍郎に定州を任せて渭県に向かうことにしたが、薛芳菲に合図を送って外へ出るよう促す。やっぱり…>(;´・ω)(ω・`*)<怪しい薛芳菲は淮郷が片付いたのかと聞いた。しかし蕭蘅はまだだという。「だったらなぜ来たの?」「分からぬか?ふっ」管理人には分からなかったが、薛芳菲は照れくさそうにうつむいた。「薛懐遠を救い、気が済んだなら手を引くのもありだ、では私は行く、言っておくことは?」「うーん…気をつけて」蕭蘅はそっけない薛芳菲の言葉に思わず笑顔を見せた。「冷静にな、姜二娘子」蕭蘅たちが渭県に乗り込んだ時にはすでに盧県令は逃げていた。しかし穀倉を焼き払うわけでもなく、警護も手薄、まるで待ち受けていたように見える。その頃、葉世傑(ヨウセイケツ)も食糧の調達が難航していた。淥陽(ロクヨウ)の食糧は朝廷に徴発され購入できず、街道の検問では食糧運搬を厳しく取り締まっているため、鏢局(ヒョウキョク)も配達ができないという。これも全て姜梨が都へ戻るのを阻む李仲南(リチュウナン)の陰謀だった。李仲南は姜元柏(キョウゲンハク)が連日、幕僚と協議をするだけで娘を迎えに行かず、蕭蘅も狙い通り渭県に向かい、葉家も無駄骨を折っていると報告を聞いた。「今や姜梨は孤立無援、死を待つばかりです」定州ではわずかな食糧で粥を配給していた。すると難民に紛れた間者たちが再び騒ぎを起こし、こんな薄い粥では餓死してしまうと難民を煽る。知らせを聞いた姜景睿と柳絮が城門へ駆けつけたが、扇動された難民が暴徒化し、危険な状態に陥った。葉明煜は姜梨を県衙に避難させることにした。城外であふれ返った難民たちが中書令の令嬢を出せと騒ぎ出し、仮住まいも安全ではないという。実は粥を施していた姜景睿と柳絮が巻き込まれ、姜景睿が城外に取り残されていた。薛芳菲は桐児(トウジ)に薛懐遠を連れて県衙に避難するよう頼み、葉明煜と一緒に城門に向かった。そこで開門し、葉明煜が真っ先に煽っている男たちを捕まえようとしたが、その時、間者が隠し持っていた短刀を取り出し、捕まりそうになった仲間を刺し殺してしまう。間者は役人が殺したと騒ぎ立て、飢民の怒りの矛先を姜梨に向けた。「姜ニ娘子を捕えろ!食い物と交換だ!」ついに飢えで我を失った難民たちが姜梨をめがけて殺到、門衛が何とか阻止するも限界は近い。すると思いがけず食糧を調達した葉世傑が叔父一家と一緒に戻って来た。「食糧の到着だ!」薛芳菲は葉家と再会を果たし、協力に感謝した。聞けば李仲南が姜梨を阻むことを見越していた粛国公から事前に葉世傑と姜元柏に密書が届いていたという。葉世傑は密書を受け取り、滄(ソウ)洲で食糧を調達するよう指示されていた。淥陽で食糧を買い集めるふりをして李仲南を欺き、実は葉嘉児(ヨウカジ)が密かに滄洲で調達していたという。一方、姜元柏は粛国公の密書で葉家の食糧が滄洲から入ると知った。滄洲太守は姜元柏の味方、そこで姜元柏は直ちに葉家の食糧を警護するよう文を出してくれたという。しかしあえて芝居を打ち、李仲南に自分には打つ手なしと見せかけていた。蕭蘅もまた李仲南が渭県に自分を誘き出したと分かっていた。しかし間者に行動を起こさせるため、あえて罠にかかったふりをする。こうして蕭蘅はまた姜梨を助け、ひと足先に帰京した。婉寧(エンネイ)公主は痺れを切らして沈玉容(シンギョクヨウ)を呼び出した。「あなたは聞いた?姜梨が淮郷の民を率いて訴えに来る」「学士たちの話で耳にしました…殿下はどのように処置を?」「薛懐遠がなぜ生きていたのかも、金鉱のことも聞かずに、あの者の処置が気になるのね」婉寧は沈玉容が姜梨をまるで薛芳菲のように見ていると疑った。苛立った沈玉容はしつこいと一蹴、この手で妻を殺し、今頃は土の中だと訴える。「淮郷の事件が覆れば悪事が暴かれる!殿下はそんな時に死者にこだわるのですか?!」婉寧は口答えされ激怒、沈玉容を引っ叩いた。すると沈玉容はその場でひざまずき、いつものようにしおらしくする。「私に気に入られたからと言って思い上がらないで!お前の指示など受けぬ! ふっ、姜梨が早く戻るといい、顔を合わせるのが楽しみね」蕭蘅が先手を打ってくれたおかげで薛芳菲たちは無事に長安へ到着した。すると死刑囚を破牢させた姜梨を捕らえるべく、すでに長安門で大理寺が待ち構えている。姜梨は潔く馬車から降りたが、その様子を城楼から蕭蘅が見ていた。周徳昭(シュウトクショウ)は姜梨と薛懐遠を収監すると伝えた。驚いた古(コ)兄弟たちが姜梨を囲って守ったが、薛芳菲は明君である皇帝が必ず冤罪を晴らしてくれるとなだめる。「大人(ダーレン)、ひとつだけお願いがあります、都の登聞鼓(トウブンコ)を叩かせてください」すると騒ぎを見守っていた民は太鼓が鳴るのは十数年振りだと漏らした。「あれは蕭将軍が亡くなった時か」蕭蘅は姜梨が薛懐遠たちの無実を訴え、長安門の太鼓を叩く様子を感慨深い面持ちで見ていた。雪の舞う寒空の下、華奢な体で必死に鼓槌を振り上げる姿は、かつて父の死の真相を求めて太鼓を叩いた自分と重なる。当時、怒った祖父に無理やり抱きかかえられ、太鼓から引き離されたことが昨日のことのように思い出された。その時、太鼓の音が止まる。「皆ごめんなさい、今の私にできるのは太鼓を打つことだけ」薛芳菲はそこで大理寺の元へ戻った。「謝ることなどない!」すると一緒に上京した証人たちが姜梨に続けとばかりに登聞鼓を叩き始めた。登聞鼓の音は皇宮の皇帝の耳にも届いた。洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は早速、蕭蘅を呼ぶことにしたが、執務室へ向かうとすでに蕭蘅が待っている。すると中書令が謁見を求めていると知らせが来た。「どう思う?」「会わぬ方が良いかと…」皇帝は蕭蘅の進言通り姜元柏を追い返した。「姜相国も落ち着かぬだろうな、でどうだ?登聞鼓が鳴り、大理寺は姜梨を捕らえた 次はどうすればお前の手駒を生かせる?」「姜ニ娘子なら退路を用意しているはず 破牢と薛懐遠の冤罪を同時に審理し、薛懐遠が無罪なら破牢は成り立たない」「ふっ、実に面白い、どこであの駒を拾ってきた?」「自ら飛び込んできたのです」「朕はこの日を待っていた」皇帝は蕭蘅の駒の力を借りて、いよいよ大燕の官場の粛清が行えると意気込んだ。「聖旨を…」つづく(  ̄꒳ ̄)薛芳菲の顎クイから蕭蘅の顎クイ返し…とかそれにしても編集が回りくどいわw
2025.10.15
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墨雨云间 The Double 全40話第21話「 迫りくる陰謀」父の無実を証言してくれる民が見つからぬまま、ついに死刑執行当日を迎えた薛芳菲(セツホウヒ)。古(コ)兄弟たちはもう一度、民を説得してみると申し出たが、薛芳菲は必要ないと断った。薛芳菲たちは薛懐遠(セツカイエン)を馬車に乗せて出発、淮郷(ワイキョウ)に入った死刑執行担当の刑部侍郎(ケイブジロウ)・魏乾(ギケン)の一行を足止めした。驚いた魏乾は車から降りて激怒したが、薛芳菲は薛懐遠の無実を主張し、ひざまずいて嘆願する。「中書令の娘・姜梨(キョウリ)が死囚を連れ出したことに弁解の余地はありません 私を大理寺に渡し、薛懐遠の冤罪と合わせてどうぞ審理してください」すると古兄弟たちや葉明煜(ヨウメイイク)、桐児(トウジ)も一斉にひざまずき、審理を嘆願した。魏乾は姜梨が己の命で死囚の命をつなぐのかと驚愕したが、薛芳菲は自分が捕まろうとも冤罪を晴らすと断言する。しかし魏乾は律法を遵守すると譲らず、今ならまだ姜元柏(キョウゲンハク)の名誉は保たれると説得した。「死囚を捕らえよ!刑場へ!」薛芳菲たちは随行員に拘束され、その間に薛懐遠が捕まった。身動きが取れず途方にくれる薛芳菲たち、その時、昨日は証言を断った民たちが駆けつける。「薛県令の冤罪を訴える!」聞けば皆、家族や隣人に説得され、思い直して薛県令のために立ち上がったという。魏乾はならばまとめて捕らえるまでと言ったが、その小さな波は大きな波となって襲いかかった。薛県令の危機を聞きつけた淮郷の民が集結、暴動を起こしそうな勢いで魏乾に詰め寄って来る。すると群衆に囲まれた魏乾はさすがに恐ろしくなり、馬車に乗って逃げるように去って行った。蕭蘅(ショウコウ)は文紀(ブンキ)から姜梨の一行が出発したと聞いた。しかし都へ向かう姜梨を阻止するものが間もなく現れるだろう。「我々だけでは解決できぬ…陸璣(リクキ)、紙と筆だ、密書を2通書く」都の葉(ヨウ)宅に姜梨から文が届いた。…淮郷の件は話すと長くなるけれど、父親の耳にも届き心配しているはずよ表哥には同封の文を父親に届け、三舅が一緒なので心配ないと伝えて欲しい…すると今度は葉世傑(ヨウセイケツ)にある密書が届いた。姜梨からの文を読んだ姜元柏は烈火のごとく怒った。「淮郷の民23人が薛県令のため都で直訴する?…愚か者めっ! 民が罪臣の肩を持つことは謀反に他ならぬ!」葉世傑は民も勇敢な姜梨と姜家を称えているとかばったが、そこへ季淑然(キシュクゼン)が現れた。「葉員外、民が梨Rを称える声が刑部を刺激するとお分かり?夫の首を絞めるようなものよ」ともかく姜元柏は政敵に足をすくわれぬよう姜梨を直ちに連れ戻すと決めた。すると葉世傑がちょうど飢饉の救恤(キュウジュツ)で南下するため、自分が姜梨を説得してくると申し出る。姜元柏は娘の愚行を何としてでも止めるよう頼んで送り出したが、姜梨がしばらく都へ戻れないことを願うばかりだった。「戻ってくれば波乱が巻き起こる…」葉世傑は急ぎ姜家を後にした。しかし暇を持て余していた姜景睿(キョウケイエイ)が正門に駆けつけ、自分も一緒に行きたいと駄々をこねる。葉世傑は困惑したが、姜景睿のしつこさに負けて連れて行くことにした。姜元柏が恐れていた通り朝議で皇帝からご下問があった。その日は干ばつによる被災民のため奔走する李仲南(リチュウナン)が国の柱梁(チュウリョウ)だと称えられただけに、姜元柏は立つ瀬がない。「娘が淮郷から死囚を連れ出す愚行を犯したのは私の至らなさゆえ、万死に値します!」「そなたは先帝が決めた朕の太傅ゆえ今、断罪するのははばかれる そなたの娘に会ってから処断しよう」( ๑≧ꇴ≦)ネズミー!李瑾(リキン)の工作が失敗、淮郷の鉱山を失った。李仲南は婉寧(エンネイ)公主の怒りを鎮めようとわざわざ公主府で息子を厳しく打ち据え、自分も罪を請う。すると窓からその様子を見ていた婉寧は李瑾を許し、李仲南を呼んだ。「成(セイ)王ならとっくにお前を殺している でも長年、私に忠誠を誓ってきたから生きていられるのよ?私はどうしたらいい? このままあの者が都へ戻れば淮郷の金鉱のことが露見してしまう」「私が片をつけます!」( ̄▽ ̄;)私たちは何を見せられ…w薛芳菲たちは小さな村に立ち寄って食事を取ることにした。しかし大所帯にも関わらず、干ばつ被害のため饅頭(マントウ)しか手に入らない。村長の話では、この先はもっと酷いという。姜梨は補給しやすいよう二手に分かれることを提案、古兄弟たちには証人を任せて定(テイ)州を出たら合流することにした。「くれぐれも間違えないで、私は姜梨よ、間違えたら命取りになる」薛芳菲は父を連れ、葉明煜、桐児と一緒に定州へ入った。確かに干ばつのせいか被災民が多く、町は殺伐として見える。すると偶然にも戸部侍郎の父・柳元豊(リュウゲンホウ)の救援物資の運送に同行した柳絮(リュウジョ)と再会した。柳絮は荷を下ろせば帰れると思っていたが、定州の飢饉が深刻で炊き出しの人手が足りず、父が残留を決めたという。「そんなに酷いの?」「緊迫しているわ、朝廷からの次の物資がなかなか来ないの このまま食糧が尽きれば暴動が起こる、あなたも気をつけて」その夜、姜家の令嬢が定州にいると知った飢民たちが姜梨の滞在先に押しかけ、思わぬ騒ぎとなった。対応に出た葉明煜は令嬢などいないと否定したが、哀れな子供を見捨てられず、饅頭を渡してしまう。葉明煜が戻ると薛芳菲はすでに荷物をまとめていた。思った通り三叔父は飢民の子供にだけ食料を渡して追い返したという。しかし薛芳菲は例え食糧がたくさんあっても恵んでは駄目だと警告した。「少しでもあげたらもう歯止めが利かなくなる 聞きつけた飢民が押しかけてきたらもう出られないわ、話が広まる前に出ましょう」葉明煜は姜梨の変わり身の早さに困惑した。「お前は善意で淮郷の民を救いたいのだと思った、だが定州の民に対しては全く態度が違う」「事の重大さによるわ…ともかく早く脱出しましょう」確かに今の薛芳菲の目には最愛の父の姿しか映っていなかった。薛芳菲は柳絮の協力でこっそり城門を出た。「道中、気をつけてね」「あなたも、都で会いましょう」しかし町外れに出たところで飢民たちが現れ、林道をふさがれてしまう。姜家の馬車だ!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<姜家の令嬢が来たぞ!葉明煜は令嬢などいないと否定したが、飢民たちは食べ物があるはずだと馬車に群がった。ひるむな!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<早く奪え!その時、思いがけず都から駆けつけた葉世傑と姜景睿が現れ、食べ物なら持っていると叫んだ。飢民たちは姜景睿の包子に殺到、しかしやがて包子を取り合って喧嘩が始まった。すると薛懐遠が慌てて車から飛び出し、争わないよう訴える。薛芳菲はふと県令だった父が民を我が子のように慈しんでいたことを思い出し、自分の身勝手さに気づいた。「町に戻るわ」葉明煜は自分が食料を恵んだせいだと反省した。しかし薛芳菲は三叔父のせいではなく、策略だという。「飢民が私たちの行程を知るはずがない、定州から出さぬよう誰かが扇動したんだわ」薛芳菲は葉明煜の言う通り、淮郷と定州の別なく皆が同じ民だと言った。定州で久しぶりに顔を揃えた歳試4人組。葉世傑は中書令に頼まれて姜梨の説得に来たと話した。しかし姜梨は食糧を握っているのが救恤を統括する李仲南のため、父も下手に手を出せないという。葉世傑はともかく豪商の葉家ならまだ余力があると考え、支援を求めて淥陽(ロクヨウ)に戻ることにした。一方、都では姜元柏と李仲南が皇帝に呼ばれていた。姜梨がいると知って飢民が定州に押し寄せたせいで悲惨な状態に陥ったという。李仲南は物資の運搬方法を変える必要があると訴え、姜元柏と協議して報告すると返答した。「急ぐのだ、最も苦しむのは飢えた民だ」李仲南がわざと救援物資の運搬を遅らせているのは明らかだった。姜元柏は任務をしくじれば懲罰を受けると迫ったが、李仲南はどこか涼しい顔。「懲罰?それは怖いね~だが姜二娘子が私を救ってくれた 真っ先に処罰されるのは姜家、私ではなくなった、ふっ 実は定州に近い雲郷(ウンキョウ)に食糧がある、だが山道が険しくて運搬するのは骨が折れるのだ」李仲南は姜梨が民を連れての直訴を断念すれば、定州の飢餓も解決すると脅した。「貴殿からよくよく諭すのだな」李仲南は講談師に姜梨の武勇伝を広めさせることにした。そこで婉寧公主に実際の講談を聞いてもらうことにする。すると婉寧は褒美を出して講談師を下げた。「相国も流言飛語の効力が分かったようね~物見高い愚民どもを利用するとは」「姜梨がこれまで築き上げた名声を余すことなく使わせてもらいます」つづく( ๑≧ꇴ≦)おじいちゃん、熱々のお茶攻撃という嫁姑あるあるの罰を受けるの巻
2025.10.14
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第1話…広大な砂漠では深刻な水不足により緑地を求めて各部族間での争いが多発、戦火が広がったそして数年後、雲沛(ウンハイ)・天都(テント)・麻随(マズイ)の三大勢力が形成され、長きにわたる戦乱は終結する小部族は生き残るため毎年、美女を献上し、和親による庇護を求めるしかなかったしかし″大漠奇巻(タイバクキカン)″という奇書の出現で、再び均衡が崩れるこの書を得れば最高の資源が手に入るというのだすると雲沛城主・那戦(ナセン)が奇書を得るため贅を尽くした和親祭典を催すことになり、戦乱の気配が再び漂ってくるそんな中、麻随で政変が勃発、城主の格爾熱(カクジネツ)が実弟に殺された娘の格心薇(カクシンビ)は厄娜泣(ヤクナキ)族の母と共に麻随を逃れ、わずかな護衛だけで天都へ馬を走らせたが…天都は数年前から城門を閉じ、他の部族との交流を断っていた。格爾熱が北靖(ホクセイ)領主の許嫁だったのは昔の話、朶再(ダサイ)嬷嬷(モーモー)は縁談を決めた両城主が他界してしまった今、効力はないという。しかしもはや他に道はなかった。「あなたの父親(フーチン)が殺され厄娜泣は庇護を失った…あなたまで巻き添えに」「母親(ムーチン)のせいじゃないわ」やがて一行は城門に到着、護衛が麻随の九夫人と九公主の到着を知らせ、馬車を降りた格爾熱たちは庇護を求めた。その時、城内ではちょうど北靖領主・霍擎雲(カクケイウン)が城主を訪ねようとしていた。太監は麻随の城主夫人が庇護と謁見を求めていると報告、救うかどうかお伺いを立てる。一方、格心薇たちは雪の舞う中でひざまずきながら、″大漠奇巻″の″草薬篇″を献上するので助けて欲しいと訴えていた。するといきなり城楼から放たれた矢の雨にさらされてしまう。「北靖領主の命により皆殺しとする!」格心微たちは慌てて馬車に戻ろうとしたが九夫人の背中に矢が命中した。そこへ麻随の兵士が追いついて護衛と争いになり、城門前は混沌となる。九夫人は娘だけでも逃がそうと朶再に格心微を託し、強引に馬に乗せた。「早く行って!格心微!…雲沛へ行きなさい!」すると娘の無事を祈りながら九夫人はその場で崩れ落ちてしまう。城門前には九公主の似顔絵を持った麻随の追っ手の骸が転がっていた。格心微は砂丘で父と母の衣冠塚を作り、叩頭した。「母親、麻随の敵と天都への恨み、必ず血で償わせます、父親と母親の魂を慰めるために 必ず″大漠奇巻″を全巻そろえ、厄娜泣の民を率いて生き残って見せます」格心微は母の遺言に従い雲沛を目指すことにした。しかし雲沛には和親通牒がなければ入れない。そこで格心微はまず厄娜泣の和親使節団を探すことにした。一方、厄娜泣族は雲沛の庇護を求めて公主を和親祭典に送り出していた。しかし自由奔放な娜袖(ナシュウ)・皇北霜(コウホクソウ)は反発、道中の野営からこっそり逃げ出してしまう。「雲沛なんて行くものですか!」皇北霜は無謀にも歩いて逃げ出した。すると砂丘で格心薇と出くわし、盗賊に追われていると嘘をつく。その時、厄娜泣の侍衛が追いつき、皇北霜はあっけなく捕まった。事情が分からない格心微は娘を心配したが、実は娘の一行が厄娜泣の和親使節団だと知る。「彼女は我らの娜袖なのです」※娜袖:政略結婚に赴く公主のこと格心微は運良く厄娜泣の和親使節団と合流、野営で一行と共に暖をとった。麻随の事情を知った皇北霜は格心微に同情し、和親を結んでも一時の平安を得るに過ぎないと憤る。「でも私の望みとは違う、私は絶対に雲沛には行かないわ」「厄娜泣は100年もかけて和親の資格を得た、もし行かなければ庇護のない悲惨な状況が続く 代わってあげたいけれどできない、でも付き添ってあなたを助けるわ」その時、皇北霜は娜袖が自分でなくても構わないと気づいた。「ねえ、代わりに行ってくれない?身分を交換するの」「本当にいいの?身分を交換したら、あなたは麻随から逃げた九公主になる」「どうせ死ぬならそっちの方がいい」利害関係が一致した2人は大地に誓いを立て、血の契りを交わして名前と身分を交換した。「私、麻随の九公主・格心微と…」「私、厄娜泣の娜袖・皇北霜は…」「この風と月、砂に誓って互いの身分を交換する」そこで格心微は身分を証明する玉の飾りを、皇北霜は和親通牒と娜袖の令牌をそれぞれ交換した。格心薇は立ち会った従者たちに去ることを許したが、護衛も侍女も娜袖へついて行くと決める。こうして従者も2つに分かれ、格心微と皇北霜は翌朝、それぞれ自分で選んだ道を行くことになった。「出発したら黄天狂(コウテンキョウ)の若問(ジャクモン)が統治する死風区(シフウク)を通る 早くも命の保証がないわ」「もし命を守れたとしても厄娜泣へは戻らない、″格心微″として生きて行く」「無事を祈っているわ」「あなたも」しかし皇北霜の不安が的中してしまう。大漠一の美女と言われる公主の似顔絵を手に入れたのは黄天狂の首領・若問だった。公主を探していた若問は偽物とは知らず格心微をさらってしまう。死風区に若問たちが戻ってきた。若問は早速、略奪した物資を分け与え、公主をかついで寝所に引き上げてしまう。しかし帷帽(イボウ)の下から現れたのは似顔絵とは似ても似つかない顔だった。若問は激怒、似顔絵を拾った配下に本物を探してこいと命じる。すると格心微は何とか逃げるため嘘をついた。「私は若問の女・格心微よ?若問と言えば凶暴で人を殺しても顔色を変えない荒くれ者 分かったら早く縄をほどいてもてなすことね?」「ぶはははは~!そいつは今どこにいると思う?」若問は格心微を縛っていた縄を切って寝床に押し倒した。その時、配下が本物の似顔絵の公主を見つけたと知らせに来る。「俺が誰だと思う?…黄天狂の若問だ」若問は格心微の首を突いて眠らせ、急いで出発した。一方、皇北霜は道中、砂漠で動けなくなっている男と馬を見つけた。車の窓から顔を出した娘の美しさに息をのむ霍擎雲。すると皇北霜は馬車を止め、男に水を10袋も分け与えた。霍擎雲は砂漠にとって水は黄金の価値があると驚いたが、皇北霜は誰もが無情になる砂漠で馬に名をつけ、守っている男に感銘を受けたという。「無事に砂漠を出られることを祈っているわ」「私は霍擎雲、この恩は必ず…」しかし霍擎雲はそこで意識を失ってしまう。霍擎雲が目を覚ますと馬車の中にいた。すると恩人が″大漠奇巻″を読んでいる。皇北霜は霍擎雲が目を覚ましたと気づき、動くと傷口が化膿してしまうと助言した。「恩に着るよ、名前を聞いても?」「名前を知る必要はないわ」霍擎雲は警戒するのも無理はないと理解を示し、そこで馬車を降りることにした。霍擎雲は偶然を装って一行の駱駝にぶつかり、わざと荷物を落とした。「これは済まない…もしや君は厄娜泣なのか?」「それを見ただけで見抜くとはね」「商売で砂漠を渡り歩いているから各部族の特産品は分かる」霍擎雲は以前、厄娜泣にも行ったことがあると話した。「君は娜袖と呼ばれていたね、公主なんだ、部族の使命を背負って大変だな 道中は危険だから気をつけて、縁があれば雲沛で恩を返すよ」公主が引き止めてくれることを期待して歩き出した霍擎雲、その時、皇北霜が呼び止めた。「…あなたも雲沛へ?」つづくみんなのLaLaテレビが帰ってきた!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››【漠風吟】がまさかの日本上陸!ハニーちゃん+イールンという私得ドラマ!嬉しい!来月はウエイロン+アンジェラベイビーが待っています!
2025.10.13
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墨雨云间 The Double 全40話第20話「報われぬ善行」坑道の奥で金の採掘場を発見した薛芳菲(セツホウヒ)と蕭蘅(ショウコウ)。薛芳菲は婉寧(エンネイ)公主が自分を殺したのは横恋慕だけではなく、裏に深い闇があると知って愕然となった。その時、ある工人が転んで倒れ、かばった兄弟と共に番人から折檻される様子を目撃する。薛芳菲は工人が古(コ)兄弟だと気づいて助けに行こうとしたが、蕭蘅が止めた。すると人手不足のせいか番人は兄弟を見逃し、手当てして戻ってこいと命じる。「行くぞ」蕭蘅は姜梨(キョウリ)を兄弟たちの元へ行かせた。古大(コダイ)と古二(コジ)は突然、現れた番人に殺されると誤解したが、良く見ると県令の娘だと気づく。「薛丫头(ヤートウ)か?」「私よ、古大哥、古R…」古大と古二は薛芳菲が帰郷途中で死んだと聞いていた。薛芳菲は姜梨として生きていると明かし、詳しいことは脱出してから説明するという。しかし古兄弟は監視が厳しく逃げるのは難しいと言った。「お前は早く逃げろ!」「嫌よ!絶対に脱出させる」その時、番人の声が聞こえ、蕭蘅は急いで姜梨を迎えに行った。蕭蘅は姜梨を連れて逃げたが、その先は厠で行き止まりだった。やむを得ず悪臭をこらえながら物陰に隠れた2人。何とか難を逃れると、古兄弟が心配して薛芳菲を探しにやってきた。すると蕭蘅が鼠に驚いて背中に飛びついた薛芳菲をそのまま背負って出て来たせいで、兄弟は目のやり場に困ってしまう。「薛…いや姜梨丫头、覚悟を決めたよ」(´-ω-`)笑うところなんだろうけど笑えないw古兄弟は混み合う食事の時間に彭笑(ホウショウ)と何君(カクン)を連れ出し、坑道で薛芳菲たちと合流した。しかし見回りが蕭蘅と薛芳菲が衣を盗んだ2人が倒れているのを発見し、捜索が始まってしまう。挟み撃ちにされた蕭蘅たちだったが、陸璣(リクキ)も駆けつけ応戦、洞窟から脱出した。一方、県衙では葉明煜(ヨウメイイク)に逃げられたと知った馮裕堂(フウユウドウ)が激怒していた。しかし捕吏から思いがけず県衙に外と連絡を取っていた間者がいると知らされる。密通者とは薛芳菲を呼び出したあの老婆だった。馮裕堂は直ちに老婆を見つけ出し、姜梨の正体は薛芳菲なのかと迫る。すると老婆は一矢を報いようと馮裕堂に飛びかかって首を絞めたものの、刺し殺されてしまう。蕭蘅は薛芳菲たちを連れて東山を出ると文紀(ブンキ)が馬車と馬を用意して待っていた。そこで蕭蘅は文紀に陸璣を待つよう頼み、ひと足先に出発する。しかしすでに採掘場に何者かが侵入し、数名が脱走したと県衙に報告が届いていた。馮裕堂が放った刺客たちが蕭蘅たちの前に現れた。蕭蘅たちはわずかな人数で応戦し追い詰められたが、危ないところで文紀と陸璣が間に合い一掃する。姜梨をかばって腕を斬られた蕭蘅、石を投げて敵に囲まれた蕭蘅を救った薛芳菲。2人はまさに運命を共にして危機を乗り越え、絆を深めていた。( ̄▽ ̄;)もうお腹いっぱいなので詳しい話は放送でwその夜、馮裕堂は県衙の中庭で宴を催した。捕吏たちは埋伏たちの帰りを待ってはどうかと進言したが、この時間に戻ってこないのなら結果は目に見えている。「私の部下が粛国公に勝てるはずない、しくじった挙句、骸となって戻って来るだろう」「では逃げた方が…」「ここまで上り詰めたのに野良犬に戻るものか!」すると身なりを整えた粛国公と姜梨たちが乗り込んできた。しかし馮裕堂の合図で薛懐遠(セツカイエン)が引っ立てられ、薛芳菲は父を人質に取られてしまう。馮裕堂は薛懐遠を盾にして自分たちを逃すよう要求、蕭蘅は隣で激しく動揺する姜梨をなだめ、取り引きに応じると約束した。蕭蘅は陸璣に命じて馮裕堂の要求通り外の馬車に黄金を乗せた。準備ができたと聞いた馮裕堂は薛懐遠の首に短刀を突きつけたまま捕吏たちに囲まれ、中庭を出て行ってしまう。「…私を信じるか?」「信じるわ」すると蕭蘅の伏兵が一斉に矢を放ち、路地を歩いてきた捕吏たちを始末した。驚いた馮裕堂は薛懐遠を手放し逃げようとしたが、毒が回ったせいで動けなくなってしまう。実は捕吏に紛れた密偵が宴に出す肉にこっそり毒を塗り込んでいた。薛芳菲は父の元へ駆けつけたが、薛懐遠は娘を認識できなかった。しかも老婆がすでに馮裕堂に殺されたと知り、怒りが爆発する。「粛国公、こやつに解毒薬を…楽に死なせたくない!」「殺しはせぬ、凶悪な事案の証人だからな、刑部の処刑担当官が明日、来る」「こざかしい小娘め…明日、処刑されるのはお前の父親の方だ…お前も道連れにしてやる」すると薛芳菲は葉明煜に短刀を借りた。薛芳菲は激情に駆られ、馮裕堂の四肢を順番に刺していった。「グサッ!これは薛県令と薛昭(セツショウ)の分!グサッ!これは哑婆(ヤーポー)の分! グサッ!これはお前に虐げられた役人たちの分!グサッ!この一刀は淮郷(ワイキョウ)の民の分よ!」さすがに耐えきれなくなった馮裕堂は助けを請うた。その時、薛芳菲は短刀を振りかぶり、馮裕堂を去勢してしまう。「ギャアァァァァァァァァァァ〜!」「この一刀は瓊枝(ケイシ)の分!」すると暴走した薛芳菲が止めを刺そうと再び短刀を振りかざした。しかし蕭蘅が咄嗟に腕をつかんで止める。「止血しろ、生かしておけ」しかし屋根に現れた黒衣の刺客が矢を放ち、馮裕堂は口封じに殺されてしまう。∑(⊙∀⊙)ヒャーーー!いくら生娘じゃないとは言えw薛懐遠は錯乱し、怯えながら娘の名を呼び続けていた。哀れな父の姿を見た薛芳菲は泣き崩れ、家族を陥れた者たちへの復讐を誓う。薛芳菲が父を休ませ外へ出ると回廊で蕭蘅が待っていた。「薛県令の部下たちが無実の証人を探しているぞ」「分かったわ」しかし古兄弟たちは証人探しに行き詰まっていた。実はかつて薛県令をかばった民たちは報復を受け、家族が暴行されたという。例え馮裕堂が失脚したと知っても、民たちは2度と関わろうとしなかった。古兄弟たちは他の家も回ると言ったが、薛芳菲は必要ないという。「薛県令は善人よ?天が必ず味方してくれる」薛芳菲は強がってみたものの、心は不安でいっぱいだった。…善人だったら本当にいつか報われるの?…つづく( ・`ω・´)<止血しろ!
2025.10.12
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墨雨云间 The Double 全40話第19話「廃棄された金鉱」叔父を釈放する名目で淮郷(ワイキョウ)県衙の様子を探りに向かった薛芳菲(セツホウヒ)。葉明煜(ヨウメイイク)は無事に解放されたものの、役人たちの横暴さに怒りが収まらず、気晴らしに出かけてしまう。すると薛芳菲は桐児(トウジ)だけにあの県令を知っていると吐露した。かつて父・薛懐遠(セツカイエン)は物乞いだった馮裕堂(フウユウドウ)を哀れみ、県衙に置き役目を与えたという。確かに馮裕堂は聡明だったが心根が悪く、監督を任されていた穀倉で私服を肥やしていたことが判明、父から厳しく叱責されていた。まさか馮裕堂が父を陥れて県令になっていたとは、しかもすでに当時の父の部下は1人もいなかったという。しかし意外にも県衙の前で老婆がわざと転んで薛芳菲にこっそり手巾を手渡していた。…梨花巷(リカコウ)五舎…「私を呼び出したのは伝えたいことがあるのかも」薛芳菲は密偵を撹乱するため桐児と衣を交換、葉明煜が姜梨に成りすました桐児を馬車に乗せて出かけた。しばらくして侍女に変装した薛芳菲が独りで現れたが、用心のため残っていた密偵につけられてしまう。追跡に気づいた薛芳菲は急いで橋を渡り、物陰に隠れて密偵たちをまいた。しかし安心したのもつかの間、運悪く3人のごろつきに目をつけられ、からまれてしまう。「小美娘(シァォメイニャン)~♪俺たちと遊ぼう~♪」その時、思いがけず蕭蘅(ショウコウ)たちが現れ、ごろつきを追い払った。蕭蘅は珍しく平民の装いだった。「気に入ったか?小美娘?…私を追いかけて淮郷へ?」蕭蘅は姜梨がてっきり文紀(ブンキ)の淮郷行きを伝える文を見て来たと誤解した。(* ゚д゚)<何の話?( ̄▽ ̄;)<何でもないすると薛芳菲は話を切り上げ、先を急ぐことにした。しかし密偵に気づいた蕭蘅が引き止める。「あとは2人に任せて我々はお茶でも…」蕭蘅は姜梨と粛国公の淮郷での密会を演出した。「昔から色恋沙汰は人気の芝居だ、真偽は関係ない 皆が見たいのは人の名声が天から地へと転落する物語だ」蕭蘅は花売りの娘から買った花を姜梨の髪に挿すと、今度は姜梨が蕭蘅の髪にも花を挿した。2人の様子を見ながら思わず身震いしてしまう花売りの娘と視聴者。しかしこれも仕事と割り切って娘は別の花も勧めた。「娘子、この花もどう?きれいよ?」それは偶然にも梨の花だった。( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)何を見せられているのかw文紀と陸璣(リクキ)は4人の密偵たちを捕まえて茶楼に連行した。主は馮県令だという。「主に伝えよ、粛国公と姜二娘子が一緒にいるところを誰にも見られたくないとな」すると陸璣は密偵を追い払った。「″粛国公と姜二娘子が一緒にいるところを誰にも見られたくない″? あなたは自分の地位を利用して私を助けたのね?」「は?」薛芳菲と蕭蘅にしか通じない戯れ、その様子を見ていた文紀と陸璣は思わず顔を見合わせ、笑顔になった。蕭蘅は姜梨の護衛を陸璣に任せた。「ありがとう」おかげで薛芳菲は水路を使って無事に指定された民家に到着する。待っていたのは餓死寸前のところを薛懐遠に救われた老婆だった。老婆は口が利けないふりをしていたおかげで見逃され、県衙に唯一残ることができたという。そこで薛芳菲は今の身分が中書令の娘・姜梨だと明かした。「身分を知られたくないの、父親を陥れたのが馮裕堂だと証言してくれる人を探している」「でも彼らを救い出すことができません」実は父のかつての部下たちは東山(トウザン)の砂利採取場に送られていた。馮裕堂は粛国公に追い返された密偵たちの1人を見せしめに殺した。「それで粛国公は何をしに来た?」「姜梨という娘と一緒にいました」すると馮裕堂は今度、見破られたらあの世行きだと釘を刺した。一方、蕭蘅たちは採石場の地形を検討して潜入方法を考えていた。しかし地震のせいで坑道も変化し、地図もなく入るのは難しい。そこへ姜梨が現れた。実は東山の採石場へ一緒に行って欲しいという。「急を要するのです、粛国公」薛芳菲は蕭蘅たちが東山にある封鎖された金鉱を調べたいが、坑道図がないため行き詰まっていると知った。薛芳菲は弟の地図を蕭蘅に渡した。「これはさる者が命懸けでくれた物、必要なら大事に使って」蕭蘅は出所不明の地図を怪しんだが、薛芳菲の気迫に負けて話を聞くことにする。「私を採石場に連れて行って、薛県令の部下を助けたいの」「こちらの命をもって人の命を救えと?うむ…損な取り引きはしない」「私たちに公平な取り引きがありました? 私はあなたの手中の駒、いいえ、駒ですらなかったわ」すると蕭蘅は文紀と陸璣を下げた。「姜家に戻った私をあなたはずっと観察していた、最初は疑っていた でも李(リ)家と私が賭けを始めると煽って葉世傑(ヨウセイケツ)を渡さぬよう私に両家を離間させた 私の手を治療して歳試で勝たせたのもそのため、そうやって私が駒として使えるか観察した 淥陽(ロクヨウ)に来て葉家を守るため私が李家に対抗した時、本当の駒として使い始めた そうでしょう?」蕭蘅は自分に李家と争う意図などないとはぐらかしたが、すでに薛芳菲は知ってはならない密命に気づいていた。「清呈(セイテイ)山での塩の密売からこたびの官営金鉱まで、何を探っているのかは明らか 都で汚職事件が頻発したけれど、死者は皆、端役に過ぎない 裏で誰かが財を成している…あなたの目はずっと李家に向けられていたわね 都の財路を失うと李瑾(リキン)は淥陽に来た、淥陽には富豪の葉家 財は国の要だもの、陛下も憂慮せざるを得ない 粛国公が奔走するのは李氏一門を倒すため、それは天子の命」「姜梨…死にたいのか?」「姜梨は生きたくても生きられなかった、あなたが策に乗ってくれたから私は生き延びられた」蕭蘅は姜梨の身を案じ、知り過ぎた駒は捨てるしかないと言い放った。「私の命をあげる、この命を捧げるから駒として使って! 蕭蘅、あなたは言ったわ、″我々は運命を共にする″と…怖くなったの?!」「…で、どうやって監視の目をくらませるつもりだ?」馮裕堂が薛懐遠(セツカイエン)をいたぶっていると姜梨たちの消息が届いた。聞けば姜梨は食糧店、蕭蘅は闇市、文紀は農家にそれぞれ出かけたという。馮裕堂は姜梨たちが穀倉で何かやらかすと気づき、配下をかき集めて乗り込んだ。しかし捕まえたのは葉明煜と従者だけ、馮裕堂はただのおとりだと気づいて帰ってしまう。「閉じ込めておけ」するとそれまでおとなしくしていた葉明煜たちがいきなり反撃、捕吏たちを圧倒した。薛芳菲の読みが当たった。貪官汚吏は穀倉が襲われたとなれば大慌てになるはず、おかげで追っ手まで引き上げ、難なく東山へ到着する。採石場には見張りが8人いて近づけなかったが、淮郷で育った薛芳菲は裏山の洞窟から入れると知っていた。蕭蘅と陸璣は姜梨を連れて発炎筒の明かりを頼りに洞窟へ入った。しかししばらくすると道が二手に分かれ、蕭蘅は一方を陸璣に任せ、姜梨と2人で地下へ降りて行く。すると薛芳菲は暗く狭い洞窟のせいで沈玉容(シンギョクヨウ)に生き埋めにされた時の恐怖が蘇り、動けなくなった。その時、蕭蘅が薛芳菲の手を握りしめ、先導してくれる。蕭蘅の力強い手に導かれ、不思議と安心感に包まれ歩き始めた薛芳菲、やがて坑道にいる見張りの声が聞こえてきた。蕭蘅は2人の見張りを倒し、衣を奪って見張りになり済ますことにした。そこで見張りの衣を脱がして姜梨に渡したが、薛芳菲は内衣の悪臭に思わずえずいてしまう。すると蕭蘅は唐突に衣を脱ぎ始めると、自分の内衣を脱いで姜梨に渡した。( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)何を見せられているのか再びwその頃、帰京した李瑾は父・李仲南(リチュウナン)と一局、手合わせしていた。しかし思いがけず淮郷に粛国公がいると密書が届く。…指示を待つ…「どうした?」「蕭蘅と姜梨が淮郷に現れました、発覚したようです、金鉱の件が…手は打ちました」蕭蘅と姜梨は見張りに扮して坑道を進み、ついに金鉱を見つけた。薛芳菲は3年前の地震で朝廷が危険と判断して封鎖されたはずだと驚いたが、蕭蘅の顔を見てすでに知っていたのだと気づく。「金鉱の捜査で淮郷に来たのね?」←え?今さら?( ̄▽ ̄;)すると薛芳菲は恐ろしい事実にたどり着いてしまう。「金鉱と薛家の3人…沈玉容と婉寧(エンネイ)公主…全てが繋がっていた…」つづく(  ̄꒳ ̄)雑感片頭曲<墨雨雲間>が好きなので替わってしまって残念で、あらためて曲を聴いてみたら和訳が思っていたのと違って笑ったw墨雨雲間(モーユーユンヂィァン)って「墨色の雨と雲の間」なのね私はてっきり穴に埋められた時の女主の心情が「雲の間(から降ってくる)墨色の雨」だと思ってた
2025.10.11
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墨雨云间 The Double 全40話第18話「鬼畜のはびこる町」蕭蘅(ショウコウ)は姜梨(キョウリ)がご馳走してくれた露店で包子(パオズ)を食べていた。するとひょっこり姜梨が現れる。「葉家の祝いの夜になぜ出て来た?」「葉家の祝いゆえ…私には無縁かと」薛芳菲(セツホウヒ)は協力してくれたお礼にかつて国公府で尋問し損ねた埋め合わせをすることにした。「今日は論争しない」「お前の姓は?」「ないわ」「名は?」「名もない」「本籍は?」「清呈(セイテイ)山をさまよう亡霊…私は姜梨じゃない」「知っている、お前の正体は…小狸猫(シァォリーマォ)」蕭蘅はわざとはぐらかした。「…粛(シュク)国公、人は失ってからその大切さに気づくの?」「愚か者はそうだ」「私は愚か者なのね」すると薛芳菲は今夜の月の美しさに気づいて席を立った。しばし黙ったまま月を眺める2人。「阿狸(アリ)、罪人ならば身元を洗わねばならぬが、罪なき者が素顔をさらす必要はない 町には明かりが灯る、もし亡霊ならとうに姿が消えている」蕭蘅は姜梨が深入りすることを懸念したが、薛芳菲は笑顔を見せた。「…私は必ず生きる」屋敷に戻った薛芳菲はゆっくり沐浴しながら蕭蘅を思い出していた。少しずつ心を通わせる薛芳菲と蕭蘅。一方、蕭蘅は心の乱れを落ち着かせるように激しい雨の中で剣術の稽古に没頭していた。Σ(꒪꒫꒪ )何を見せられているのかw翌日、瓊枝(ケイシ)の使いが姜梨を呼びに来た。薛芳菲は急いで居所を訪ねたが、全身傷だらけで虫の息となった瓊枝の姿に驚愕する。実は瓊枝は惜花(セキカ)楼に遊びに来た淮郷(ワイキョウ)の県令から重大な情報を聞き出していた。「薛県令は生きているわ、投獄されてもすぐ処刑されず、半年後に延ばされたとか もうすぐ半年が経つ、私が聞き出せたのはそこまで…」瓊枝は県令が妹分・翠珠(スイシュ)を暴行して辱めた鬼畜だと知りながら、犠牲になることも厭わなかった。すると瓊枝は薛昭(セツショウ)からもらった地図を姜梨に託し、正義を取り戻して欲しいと頼んで息絶えてしまう。「…阿昭、あなたに会いに行くわ」一方、刺客養成所を調べていた蕭蘅は楚嵐(ソラン)が賃料を砂金で払っていたと知った。しかし南部の地震で朝廷は金鉱を閉じ、今も再開していないはず、もし私的に金を掘ったとすれば反逆罪に問われる。「文紀(ブンキ)、閉鎖された金鉱から川沿いに下流を探せ」葉宅に姜梨が帰って来た。しかし誰が声をかけても返事がなく、姜梨は部屋にこもって食事にも顔を出さなくなってしまう。葉嘉児(ヨウカジ)が様子を見に行くと、ちょうど姜梨が荷物を持って出て行くところだった。「何があったの?話して?味方は多い方がいい」薛芳菲は家族として姜梨を心配してくれる従姉を無視できなかった。「貞女(テイジョ)堂にいた頃、ある姐姐に出会った そのおかげで生き延びることができたわ その人が死ぬ前に語った話によると父親は淮郷の県令で、卑怯者に陥れられ命を落としたとか 私が淮郷へ行くことがあったら墓に花を供えてと頼まれたの そうすれば来世でもまた会えるからと… でも今日、人づてに聞いたわ、県令は生きていて淮郷の獄中にいると」葉嘉児は姜梨が心配で一緒に行くと言い出した。実は県令が変わった今の淮郷は役人たちの蛮行が蔓延しているという。すると立ち聞きしていた葉明煜(ヨウメイイク)が現れ、自分が同行すると申し出た。「鏢局(ヒョウキョク)は潰したが腕っぷしは鈍っていないぞ!」一方、蕭蘅は文紀から下流に砂金鉱があったと報告を聞いた。表向きは砂利の採取場で作業場は川沿いに点在、最も遠いのは官営の金鉱のそばにあったという。「金鉱はどこにある?」「淮郷です、貧官・薛懐遠(セツカイエン)が県令だった…」「つまり半年前、薛懐遠が投獄された頃に採取場ができたのか」どうやら李仲南(リチュウナン)は金鉱を手に入れるため、金で動かない薛懐遠を陥れたらしい。蕭蘅は薛姉弟の死が婉寧(エンネイ)公主だけの仕業ではないと気づいた。「薛懐遠の冤罪が漏れ出さぬよう口封じされたのか…淮郷へ行かなくては」薛芳菲はついに故郷へ帰って来た。しかし話に聞いていた以上に淮郷は荒れ果て、昔の賑やかで美しい町の面影はない。店は空き家が目立ち、子供たちの楽しそうな声も聞こえなかった。「この半年で一体、何があったの?」薛芳菲たちはひとまず客桟に向かったが、驚いたことに広間は役人が胴元の賭場になっていた。薛芳菲は1部屋十両という法外な値段に呆れ、客桟を出た。そこで記憶に残っていた空き家を葉明煜に借りてもらうことにする。薛芳菲は桐児(トウジ)とかつての住まいに向かったが、門は閉鎖されていた。葉明煜が家を借りてくれた。すると姜梨が早速、役所に行きたいという。「諸悪の根源を見たい、役所を牛耳る者がどんな輩か知りたいの」「急に乗り込めば疑われるだけだ」「三舅にお願いが…」そこで葉明煜は客桟の賭場で騒ぎを起こし、わざと捕まった。薛芳菲は叔父の解放を求めて淮郷県衙を訪ねた。すると淮郷の県令・馮裕堂(フウユウドウ)が早朝から起こされ、不満そうにやって来る。しかし面紗を外した娘を見て我が目を疑った。「私は中書令の娘・姜梨です」「ふん、罪臣の娘が何を…こやつを捕えろ!」「無礼な!私に指一本でも触れたら命がないわよ! 誰と間違おうと勝手だけれど私は中書令の娘、覚悟するのね」馮裕堂は姜梨の気迫に負け、人違いしたと謝罪した。薛芳菲は叔父の釈放を求め、客桟の修繕費を払った。馮裕堂は直ちに葉明煜を解放してくれたが、姜梨の正体を怪しんで密偵をつけることにする。一方、衙門を出た薛芳菲は今にも倒れそうになった。痛めつけられた三叔父を見れば、父がこの半年も痛ぶられたのだと分かる。その時、門前を掃除していた老婆が転んで薛芳菲にぶつかった。老婆は口がきけないのか、手振りで申し訳ないと伝えて行ってしまったが…。つづく※鏢局:今でいう宅配会社、盗賊などから荷物を守るため鏢師たちは武芸に通じている
2025.10.10
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墨雨云间 The Double 全40話第17話「包子の代償」薛芳菲(セツホウヒ)が闇市を出る頃にはすっかり夜も更け、外は雨になっていた。酩酊した姜梨(キョウリ)の三叔父・葉明煜(ヨウメイイク)は亡き姉に会いたいとくだを巻いていたが、蕭蘅(ショウコウ)の命で陸璣(リクキ)が背負って送ってくれる。すると酔っ払った姜梨が珍しく羽目を外し、傘から飛び出して雨に濡れながら楽しそうに笑った。蕭蘅はそんな無邪気な姜梨を優しく見守っていたが、急に姜梨が蕭蘅の胸ぐらをつかんで引き寄せる。「いい男ね…自覚してる?」今にも唇が触れ合いそうなほど近づく蕭蘅と薛芳菲。すると蕭蘅は思わず姜梨の顔を背けてしまう。「それほど酔っても本音を見せないな…家まで送る」「家?…私に家はない」「同じだな、私も家がない」蕭蘅は頼彪(ライヒョウ)から李(リ)家と関わらない方が良いと警告されたことを思い出していた。…さもなくば、いずれ身内を失う…蕭蘅は姜梨を葉家に送り届けてから城西の屋敷で文紀(ブンキ)と合流した。屋根から部屋にいる烏蘭(オラン)の様子を眺める蕭蘅、するとついに楚嵐(ソラン)が現れる。しかし楚嵐は代(ダイ)国語で話し始めた。烏蘭は楚嵐がすでに自分の裏切りに気づいたと知り、人質の弟のため蕭蘅がいるとばらしてしまう。<奴はどこだ?><屋根に…><何人だ?><3人、府尹(フイン)とは不和で援軍はいません>実は楚嵐とは第1話で蕭蘅が踏み込んだ塩の倉庫で番頭を口封じしようとして失敗したあの刺客だった。文紀と陸璣は中庭で賊たちに捕まり応戦していた。屋敷に踏み込んだ蕭蘅は楚嵐と手合わせになったが、楚嵐は助太刀してくれた烏蘭をどさくさに紛れて刺してしまう。「なぜ…私の弟弟(ディディ)は…」「組織に背いた者の弟を生かしておくと思うか?」すると楚嵐が屋根に飛び出し、蕭蘅が追った。蕭蘅は酒の匂いを漂わせながら楚嵐の攻撃を見事にかわし、楚嵐を蹴り飛ばした。中庭に落下し、深手を負う楚嵐。しかし蕭蘅が生け捕りにしようと飛び降りたところで伏兵が現れ、賊に囲まれてしまう。多勢に無勢、蕭蘅は背中を斬りつけられ、文紀と陸璣も満身創痍となった。その時、頼彪が配下を引き連れ加勢、賊を一掃してくれたが、楚嵐には逃げられてしまう。「これで恩は返した、父親の弔い酒を飲む時は俺を呼んでくれ」一方、府尹・佟知陽(トウチヨウ)は頼彪が姜梨に供給源を漏らしたと報告を聞いた。そこで口封じのため大封薬舗(ダイフウヤクホ)に刺客を放ち、皆殺しにしてしまう。翌朝、薛芳菲は激しい二日酔いで目を覚ました。すると葉嘉児(ヨウカジ)が現れ、蕭蘅の赤い外套をまとって姜梨をからかう。実は昨夜、蕭蘅はびしょ濡れになった姜梨に自分の赤い外套をかけ、抱きかかえて葉宅まで送り届けていた。「これは何かしら?持ち主は誰なの?」「知らない人よ、あの人のことは忘れて」薛芳菲は昨夜の失態を思い出し、今日は忙しいとごまかして出かけてしまう。薛芳菲は葉明煜(ヨウメイイク)と合流、駄羅(ダラ)の買い手である大封薬舗に向かった。しかし店は門を閉めたまま返答もない。葉明煜はひとまず阿順(アジュン)を裏道の塀から忍び込ませ、露店で包子(パオズ)を食べながら待つことにした。そこへ佟知陽が捕吏を引き連れ駆けつける。「昨夜、大封薬舗で事件があったと聞いてな」すると店に乗り込んだ朱(シュ)県尉が一家皆殺しにされていると報告、中にいた阿順が捕まってしまう。薛芳菲は織染(ショクセン)令・唐帆(トウハン)を頼ることにした。しかし唐帆は織染署の調査なら終了したと取り付く島もない。「私の任務は終わった、そなたの言う殺人については府尹に申し立てよ」すると唐帆は都へ帰ってしまう。薛芳菲は肩を落として葉家に戻った。しかし証拠がなくなったと知っても卓(タク)氏と葉嘉児は姜梨の尽力に心から感謝し、あとは自分たちに任せてくれという。「佟知陽の狙いは分かってる」そこで翌日、卓夫人は衙門を訪ねた。佟知陽は葉明軒(ヨウメイケン)の命を盾に黄金10万を要求してきた。話を聞いた薛芳菲は李家が葉家の財を奪って葉世傑(ヨウセイケツ)の退路を断つつもりだと憤慨、府尹の思い通りにはさせないと息巻く。しかし卓夫人は葉家にとって大事なのは財より家族だと言った。「あなたもその1人なのよ?」葉家は財産を手放すことにした。薛芳菲は居たたまれなくなって三叔父の大同鏢局(ダイドウヒョウキョク)を訪ねたが、葉明煜も店の処分を始めている。「二叔母の言う通りね、葉家の人は家族が一番大事」「兄弟で力を合わせて麗正堂を作った頃を思い出す、だが大哥夫婦が急逝し、私は独立した」当時、まだ若くて一途だった葉明煜は失敗を認めることができず、結局、今日まで意地を張り続けて実家と疎遠になってしまう。薛芳菲はこの機会に家に帰るよう説得したが、その時、三叔父が整理していた箱を見てある妙策が浮かんだ。戯曲に傾倒する佟知陽のこと、箱に入っている美しい舞台衣装に目がないだろう。薛芳菲は蕭蘅を呼び出し、包子をご馳走した。「あの夜は…ありがとう、外套を返すわ」「その礼が包子か?」「それからお芝居に招待する」一方、卓夫人はついに売り払った財産と蔵の鍵を全て府尹に差し出していた。蕭蘅が傷の手当てを終えて着替えていると文紀が戻って来た。成(セイ)王の刺客養成の屋敷を封鎖したが、楚嵐の行方は依然、不明だという。しかし刺客養成の屋敷は転々と移動していたため、封鎖した屋敷も賃貸だった。「持ち主に誰が賃料を払ったか聞け」すると陸璣が姜梨から届いた差し入れを持ってくる。蕭蘅は包子と一緒に入っていた書き付けを読むと早速、陸璣を観察使のもとへ行かせた。実はちょうど観察使が近くを巡察していた。淥陽はすでに調査の必要なしと報告が来ていたが、粛(シュク)国公の依頼では仕方がない。すると薛芳菲の指示で葉明煜が観察使に事情を説明、佟知陽が葉家から皇帝への献上品を横取りしたと訴える。驚いた観察使が淥陽府に乗り込むと、回廊にはちょうど葉家から届いた多くの宝箱が並び、すっかり舞い上がっていた佟知陽は献上品の衣をまとい、のん気に唄っているところだった。「官服に着替えてから話せ!」薛芳菲は佟知陽が献上品を預かっただけだと言い訳することは織り込み済みだった。しかしそれを証明するためには葉家の協力が不可欠、下手に出るしかない。薛芳菲は交渉を三叔父に任せ、佟知陽が罪を逃れようとした時は古香緞(ココウタン)で陥れたことを訴え、阿順を解放するよう助言した。「でも仕返しされないか?」「李仲南(リチュウナン)は佟知陽を府尹の座から引き下ろすはずよ」葉家に葉明煜も戻り、家族そろって釈放された葉明軒を迎えた。葉明軒は姜梨に心から感謝したが、薛芳菲はどちらにしても多くの財産を失ってしまったと落胆する。しかし卓夫人は宝物を献上したことで葉家の忠誠を示せたことは幸いだと言ってくれた。「その昔、幼かったとは言え、人の言葉を間に受けて葉家の皆さんを傷つけました こうして償う機会を得られて安堵しています」薛芳菲は姜梨の代わりに当時の後悔を吐露したが、そこへ静養中の老夫人が現れた。「生きているうちに会いに来てくれたのかい…」老夫人は姜梨を抱きしめ、しばし感激の涙を流した。…阿梨、葉家はあなたを許してくれたわ、あなたを愛する人たちがいる、母親と同じようにあなたを思う家族がこんなに沢山いるのよ?…薛芳菲は葉家の団欒を眺めながら、かつての幸せな生活を思い出した。…父親と昭Rが生きていたら阿狸の犯した過ちを許してくれたでしょう、でも私を許してくれる人はもうこの世にはいない…薛芳菲の頬を涙が伝った。すると葉嘉児がそっと姜梨の手を握る。「梨R、泣かないで、ここはあなたの家よ」「ここが私の家…」つづく( ߹꒳ ߹ )最終回よかった~え?違う?w
2025.10.09
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墨雨云间 The Double 全40話第16話「闇市の王」麗正(レイセイ)堂に押し寄せた民衆を鎮めるため、姜元柏(キョウゲンハク)の娘だと明かした薛芳菲(セツホウヒ)。すると朱(シュ)県尉は何の裏付けもなく葉(ヨウ)家を庇えば癒着のそしりは免れないと警告した。しかし証拠として死者が着た古香緞(ココウタン)が役所にあると言いながら、まだ調査中のため死因は分からないという。薛芳菲は根拠もなしに叔父を逮捕したのかと呆れた。そもそも全国に流通する葉家の古香緞で人が死ぬのなら淥陽(ロクヨウ)だけの問題ではない。本来なら検視のあと証拠と書類を揃えて都に送り、今頃は織染署から人が派遣され、調査が始まっているはずだ。「朱県尉、府尹(フイン)にお伝えを、父親(フーチン)には文で詳細を知らせました 数日以内に織染署から人が来る、そうなれば古香緞に問題があるか判明します」民衆から疑惑の目を向けられ、旗色が悪くなった朱県尉は引き上げた。そこで薛芳菲は民衆が購入した古香緞を証拠として原価に迷惑料を乗せて買い取ると伝え、騒動を収める。川の向かいにある茶楼では蕭蘅(ショウコウ)と李瑾(リキン)が事の顛末を見届けていた。李瑾は悔しそうに店をあとにした。姜梨(キョウリ)が中書令の父を持ち出したのは府尹の後ろにいるのが李(リ)家だと勘付いたからだろう。蕭蘅は姜梨が姜家と李家をとことん対立させるつもりだと分かった。すると茶楼の方を見た姜梨と目が合ってしまう。「お、気づかれたか…姜二娘子はお怒りのようだ、茶にお招きしろ」文紀(ブンキ)は怒っているなら来ないと言ったが、蕭蘅に扇で叩かれてしまう。「李公子と好い茶が飲めたと言え」姜梨は茶楼へ来たが、やはり機嫌が悪った。「芝居が終わるといつも私を呼び出すのですね 我関せずという態度を取りながら急所を突き、重点を指摘し、私に恩を着せ貸しを作る 茶楼の高みに座り今も手札を明かさない、芝居が観たいだけ?」「怒っている顔も美しい…捜査は高みからするものだ」「妓楼が高みですか?」すると姜梨は勝ち誇ったように席を立ってしまう。「あの日、妓楼で会っていたのは烏蘭(オラン)だ、小桃紅(ショウトウコウ)が供述した一味だ」「そうですか、葉家と関係が?」「関係はない、ただお前に言っておこうと思っただけだ」「ふっ、分かりました」姜梨は帰って行った。「私の話を理解したのか?」しましたよ!(´・ω・)(・ω・`)主君が妓楼の客なわけないっスその夜、葉家では葉嘉児(ヨウカジ)が姜梨の武勇伝を母に聞かせていた。卓(タク)夫人は感謝したが、中書令の機嫌を損ねやしないかと心配する。実は姜梨が文を送ったのは父ではなく、戸部員外郎の葉世傑(ヨウセイケツ)だった。「父親の名前を出したのは府尹を脅すためです…事が解決すれば父にとっても得になります」すると薛芳菲は従姉と二叔母の手を取った。「この難関は必ず乗り切れます」一方、李瑾は密かに府尹・佟知陽(トウチヨウ)に接触、発破をかけていた。「父親からの伝言です、姜相国のことは心配無用、すべきことをするようにと さすれば葉家の財の1割が貴殿のものに…」李瑾はお忍びで来訪したため、近いうち帰京すると伝えた。織染(ショクセン)令・唐帆(トウハン)は淥陽に入った。唐帆はこれまで中書令の外戚に手を出したものなどいないことから、この事件には裏があると推察する。「とばっちりはご免だ、織染署が利用されるわけにはいかん」唐帆が淥陽府に到着すると佟知陽と姜梨が待ち構えていた。佟知陽は目下、審理中のためしばし猶予が欲しいと訴えたが、薛芳菲は叔父の拘束があまりに長過ぎると嘆く。「府尹がどうしても釈放しないというなら、織染令と別の場所を調べます」「どうぞ徹底的に捜査してください」佟知陽は今から調べても何も探り出せないと高みの見物を決め込んだ。発疹が出たという民が着ていた古香緞は葉家にあった。そこで薛芳菲は織染令を葉家の機織り所に案内、織物を調べてもらう。すると生地の段階で駄羅(ダラ)が仕込まれたと分かった。駄羅は西域の植物で、汁を精製し鎮痛剤を作るが、幻覚作用と中毒性があるという。ただし未精製の駄羅は劇毒、致死量も数滴で、ただれて死ぬとか。織染令は捜査で事情が明らかになるまで葉家は嫌疑を免れないと言った。しかし葉嘉児は納得できない。西域南部の沼沢地でしか育たない駄羅は貴重で銀数両から数十両するという。古香緞で人を毒殺するには銀百両は必要だろう。「上等の古香緞でもせいぜい数十両よ?それに百両の駄羅を加えるなんて… 人命も財も失ってどんな得があると?」誰かが葉家を陥れようと毒を仕込んだのは明白だった。薛芳菲は毒の出所を明らかにすべきだと訴えたが、唐帆は織染署の仕事はここまでと帰ってしまう。薛芳菲たちは淥陽に出入りする商隊を調べることにした。しかし葉嘉児は店を切り盛りするだけ、父がいなければ商隊のことまで分からないという。すると薛芳菲は潰れかけているとは言え大同鏢局(ダイドウヒョウキョク)を営む三叔父・葉明煜(ヨウメイイク)なら商隊に詳しいと気づいた。そこで従姉に留守を任せ、早速、大同鏢局を訪ねる。「三舅、大きな取り引きがあるの、成功したら鏢局に投資するわ」葉明煜は男装した姜梨を連れて闇市に案内した。聞けば闇市の元締め・頼彪(ライヒョウ)は兵隊崩れで戦場では多くの敵を斬ったという。役所でも解決できない事も処理することができるとか。すると金をつかませたおかげであっさり元締めとの面会が叶った。葉明煜は駄羅を探していると言って銀票を積んだ。「遅かったな、ちょうど手持ちが売れてしまった」頼彪はけんもほろろで取り付く島もない。そこで薛芳菲は売り先を教えてくれれば自分で交渉に行くと言ったが、頼彪は本当の目的が買った相手だと気づいた。すると薛芳菲は元締めが元兵士だと思い出して挑発する。「実は都の官家が調べておるのだ、もし累が及んでは面白くなかろう?」「脅すつもりか?…私が役人を恐れるとでも?」頼彪は机に短剣を突き刺して脅かしたが、薛芳菲は全く怯まなかった。「見損なった、闇市の元締めが駄羅も手に入れられぬとは…」闇市で買い手を明かすのは御法度だったが、頼彪は畏れ知らずの郎君を気に入った。「特別に江湖の掟に従い機会をやる」掟とは″金水陣(キンスイジン)″だった。烏蘭(オラン)から楚嵐(ソラン)と城西の屋敷で会うと知らせが来た。蕭蘅は時間を稼がせるよう指示し、陸璣(リクキ)に準備を任せる。すると文紀が古香緞の件で姜梨が叔父と一緒に闇市へ行ったと報告した。「あの2人では目的を達成できません、金水陣の掟があるとか」金水陣とは賽の目を競う。負けた方は酒を飲み、敵を酔い潰した方が勝ちだ。酒豪の葉明煜のおかげで薛芳菲は配下たちとの戦いを制した。次はいよいよ頼彪との決戦だが、肝心の葉明煜がついに酔い潰れてしまう。「三舅?三舅?」「後でこれで起こしてくれ」すると葉明煜は姜梨に爆竹を渡して眠ってしまう。薛芳菲は全く勝てなくなった。それもそのはず、頼彪は長年、賽を振ってきた経験から賽の目を聞き分けることができるという。「お前の負けだ、酒でも賽でも俺には勝てぬ」「待った!まだ酔い潰れていないぞ!」「酔い潰れたら誰が送る?」すると蕭蘅が現れた。「私が送ろう」蕭蘅は泥酔した姜梨の代わりに自分が相手になると申し出た。「彪将軍」実は頼彪は亡き蕭蘅の父・蕭暝寒(ショウメイカン)と因縁があった。薛芳菲が賽を振り、負けると蕭蘅が酒を飲んだ。しかしこのままでは蕭蘅が何人いても勝てそうにない。その時、薛芳菲は叔父からもらった爆竹を思い出し、頼彪が賽の目の音を確認しようとした時、爆発させた。大きな音のせいで感覚が狂った頼彪はついに初めて負けてしまう。ヤッター!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››<yeah!姜梨の爆竹攻撃で五分五分の戦いとなり、やがて頼彪が負けを認めた。「これじゃ全員、耳が聞こえなくなる!」「じゃあ駄羅を買ったのは誰?!」すると蕭蘅が止めた。「その前に敗軍の将と昔話をさせてくれ」蕭蘅は頼彪に協力を頼んだ。かつて頼彪は剛直で朝廷の争いを嫌い、李仲南(リチュウナン)に陥れられ南疆(ナンキョウ)に放逐されてしまう。蕭暝寒は罪を犯して匪賊となった頼彪を捕らえたが、無罪を知って正義の士と見込み、逃した。「私が今、戦っているのは李仲南一族だ」つづく(´-ω-`)うむ…オカルトカップル出てこないとイマイチ
2025.10.08
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墨雨云间 The Double 全40話第15話「人殺しの絹織物」妓楼で弟・薛昭(セツショウ)の想い人・瓊枝(ケイシ)を見つけた薛芳菲(セツホウヒ)。奇しくも隣の部屋では蕭蘅(ショウコウ)と烏蘭(オラン)の激しい攻防が繰り広げられていた。やがて蕭蘅が隙をついて烏蘭の口に南疆(ナンキョウ)の蠱虫(コチュウ)を放り込むことに成功、解毒しなければ一月で死ぬという。一方、身分を明かせない薛芳菲は姜梨(キョウリ)と名乗り、薛昭の姉と親しかったと嘘をついた。すると瓊枝は薛昭との出会いを懐かしそうに話してくれる。瓊枝はかつて借金して出奔した父のせいで無理やり妓楼へ売られそうになったところ偶然、通りかかった薛昭に助けられた。薛昭は金貸しに毎月5両の返済を認めさせ、支払いが終わるまで立ち会うと約束したという。しかし急に音信不通になり、薛昭が来ないと分かって金貸しは瓊枝を妓楼へ売っていた。「彼と出会った頃は私も良家の娘だった…私に愛想を尽かしたのね」「会いたくても会えないの、死んだのよ」薛芳菲は薛昭が都へ向かう途中、匪賊に襲われ殺されたと教えた。「そればかりか昭Rの父親や姐も同様に死んだの 3人が立て続けに死ぬなんて何か裏がある、私はそれを調べるために来たの」すると瓊枝は薛昭と最後に会った時にもらった木箱を取り出した。中には10両と地図が入っていたが、薛芳菲が見ても何の地図か分からない。「あなたが持っていて…妓楼には名のある人が集まるはず 淮郷(ワイキョウ)の薛県令がなぜ死んだのか、どこに葬られたのか知りたいの」「私に任せて」瓊枝は想い人が非業の死を遂げたと知り、姜梨に協力すると決めた。「娘子…彼の墓は?」「都に衣冠塚がある、私が姉弟を故郷へ連れ戻し、必ず再会させる」烏蘭に蠱虫を飲ませた蕭蘅は条件を突きつけた。「道は2つ、楚嵐(ソラン)に密告するか、私と組むかだ、楚嵐を売るなら解毒薬をやろう」「あら、楚嵐を売ったらあなたが通ってくれるの?」「…お前次第だ」蕭蘅はそこで閨房をあとにした。すると驚いたことに回廊でばったり姜梨と出くわしてしまう。「蕭(シュク)国公?なぜここに?」「捜査だ…後をつけたわけじゃないぞ」その時、運悪く烏蘭が出てきてしまう。「お忘れ物よ~でも美しい玉ね、もらっておく」薛芳菲はその玉佩が確かに蕭蘅のものだと気づき、妓楼でお楽しみだったのだと誤解した。「さぞ大変な捜査だこと、失礼」「阿狸(アリ)?阿狸〜ィ?!」しかし姜梨は急いで帰ってしまう。烏蘭は痴話喧嘩に失笑し、素直に玉佩を返した。「小娘子、嫉妬しているわ、誤解を解いてあげて」「嫉妬?ファッ!」一方、葉家では思わぬ騒ぎになっていた。葉明軒(ヨウメイケン)が屋敷に戻ってみると娘・葉嘉児(ヨウカジ)が駆けつけ、父が女狐を連れ帰ったせいで母が自害すると騒いでいるという。誤解はすぐ解けた。卓(タク)氏も嘉児も女狐の正体が姜梨だと知ってひと安心、しかし姜梨がなぜ急に葉家に擦り寄って来たのか分からず、一家は困惑する。ともかく老夫人にはしばらく内緒にしておこうと決め、くじ引きで嘉児が姜梨の相手をすることになった。葉嘉児は仕方なく店に出る前に姜梨を観光へ連れて行くことにした。早朝に起こされた薛芳菲は無理にもてなす必要はないと断り、叔父夫婦には楽しかったと報告しておくという。「表妹(ビァォメイ)は率直なのね〜早く言ってくれたら店の心配をしなくて済んだのに」「表姐、私も店に行ってみたい、衣装が少ないから新調したいの」「出発は一時後よ」葉嘉児は姜梨を連れて麗正(レイセイ)堂へやって来た。すると三叔父の葉明煜(ヨウメイイク)が店の番頭と何やらもめている。嘉児は三叔父のこと、また商いをしくじって借金に来たのだと呆れたが、葉明煜は従者と一緒に座り込み、借してもらえるまで動かないと言い張った。そこへ見慣れぬ娘が現れる。「三舅、ここは表姐が切り回しているの、困らせないで」「三舅?誰だお前は?」「私は姜梨です、母は葉珍珍(ヨウチンチン)」葉明煜は大好きだった姉の名を聞いて昔を思い出した。都へ嫁いだ姉が急逝した時は自ら姉と姪を迎えに行きたいと嘆願したが、姜家に嫁いだ以上は骨も埋めるものだと母に叱られてしまう。すると葉明煜は急に感傷的になり、姉に免じて銭はいらないと帰って行った。しかし安心したのも束の間、今度は取引先が現れ、返品して欲しいという。結局、嘉児は急な仕事で出かけることになり、薛芳菲はひと足先に屋敷へ戻ることにした。薛芳菲は葉宅に戻ると、ちょうど書斎にいた葉明軒に挨拶に向かった。そこで葉家の商いに何か問題があるのか尋ねたが、葉明軒が何か言おうとした時、卓夫人が駆けつける。「佟(トウ)府尹(フイン)の捕吏が…」すると朱(シュ)県尉は理由も明かさず、葉明軒を連行してしまう。一方、烏蘭は解毒薬をもらうため蕭蘅の居所を訪ねた。「楚嵐は7日後に淥陽(ロクヨウ)へ来るわ」すると約束通り文紀(ブンキ)が解毒薬の入った小瓶を渡した。「飲ませてくれない?」烏蘭は蕭蘅をからかったが、憤慨した蕭蘅は小瓶を取り上げ、遠くへ投げてしまう。しかし烏蘭は見事な軽功で小瓶をつかみ、解毒薬を飲んで帰って行った。「暇なら惜花楼に来てね、遊んであげる」文紀は蕭蘅と姜梨の仲を揶揄した。「捜査の合間に色目を使うなんて~誰かさんと揉めても知りませんよ?」「黙れ」そこへ陸璣(リクキ)が戻って来た。「佟知陽(トウチヨウ)が動きました、葉家の当主を連行しています」夜になっても葉明軒は解放されなかった。すると使いに出した使用人が戻り、賄賂も受け取ってもらえず、当主と面会もできなかったという。薛芳菲は捕吏が押しかけ叔父を連行しながら広報もせず、審理もしないのはおかしいと気づいた。恐らく葉家が身代を差し出すまで沈黙を決め込むつもりだろう。卓夫人は律儀な商いで人の恨みを買うはずがないと嘆いたが、薛芳菲は葉世傑(ヨウセイケツ)が李(リ)家に目をつけられていたことを思い出した。「実は李相国の息子は国子監(コクシカン)で表哥(ビァォグァ)と共に学ぶ仲 李兄弟は表哥を取り込もうとしましたが、表哥は拒みました 背後で操るものが意図を示すまでは二舅舅に危険はありません、それまで私たちは冷静に」卓夫人と葉嘉児は姜梨を信頼し、ついに店が抱える問題を明かした。実はここ三月、葉家が織らせている古香緞(ココウタン)の衣を着ると死ぬという噂が流れているという。「そのせいで淥陽の布店がこぞって返品するようになったの 今、考えるとあの噂はすでに罠だったのね…」葉明軒が大勢を使って調べさせたが死人は見つからず、ただ1枚だけ問題ある布が見つかった。その布に触れると確かに赤い発疹が出たという。翌日、薛芳菲は葉嘉児と問題のある布を見に行くことにした。しかし店にいた使用人が屋敷に駆けつけ、店が襲われ、看板も壊されてしまったという。「数十人が麗正堂を取り囲み、うちの古香緞で人が死ぬと叫んでいます!」驚いた葉嘉児は独りで出かけることにしたが、薛芳菲は一緒に解決しようと言った。蕭蘅は李瑾(リキン)を見張っていた文紀たちと合流した。「相変わらず茶楼で高みの見物か…」すると給仕が駆けつけ、李公子が店の中で待っていると伝える。「″こそこそ密偵に後をつけさせず、堂々と会いに来い″と…」李瑾は麗正堂がよく見える茶楼の露台にいた。「よくお会いしますね」「よい茶にはよい芝居が合う…李公子に感謝を」その時、ちょうど店に到着した姜梨と葉嘉児の姿が見えた。葉嘉児は負傷した番頭たちを手当てに行かせ、管理者の自分が話を聞くと矢面に立った。すると群衆は一斉に嘉児に向かってごみを投げつけ、人殺しの布を売ったと激しく抗議する。嘉児は真相を調べたいと訴えたが、そこへまた朱県尉が捕吏を連れてやって来た。「麗正堂の売る布で人が死んだと通報があった、一緒に来てもらおう」その時、見かねた薛芳菲が店の横にある銅鑼を叩き、ひとまず騒ぎを静めた。薛芳菲は葉嘉児の隣に立ち、そもそも誰から人殺しの布の噂を聞いたのか尋ねた。すると男が袖をまくり、証拠とばかりに発疹だらけの腕を見せる。薛芳菲は思わず護身用の匕首を取り出して周囲を牽制すると、急に自分の袂を切り落とした。「これは麗正堂であつらえた衣服よ?私には発疹など出ていない 古香緞で人が死ぬなら私は自死しているわ」切れ端を受け取った女は確かに問題ないと分かった。男はどうせ店に雇われ演技していると群衆をあおったが、薛芳菲は鼻であしらう。「ちょw私の命は麗正堂より価値があるんですけどw 私は姜梨、父親は大燕(ダイエン)の中書令で陛下の太師!下々は黙れゴラッ!」←とは言ってない李瑾は思わず失笑した。「葉家を守るため身分をさらけ出すとは…これでは葉家をかばったと罪に問われかねない」「まあまあ〜李公子、芝居の見せ場はこれからだ」蕭蘅は芝居の続きに期待した。つづく
2025.10.06
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墨雨云间 The Double 全40話第14話「 姜家と葉家」酒宴での騒動を知った洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は、執念深い婉寧(エンネイ)公主が蕭蘅(ショウコウ)に手を出すことを心配した。「蕭蘅、お前にもしものことあれば朕の味方がいなくなってしまう」「ご安心を、私は死にません」@101回目?w婉寧は侍女・梅香(バイキョウ)に密書を託し、李(リ)家へ届けるよう命じた。…速やかに殺せ…寝所では腕に生々しい傷が残る沈玉容(シンギョクヨウ)が待っている。婉寧は沈玉容が学子たちの前で自分に逆らったと声を荒らげたが、かえって沈玉容に自分を殺すつもりだったのかと詰め寄られた。「私に死んで欲しいと?」「まさか!」「婉寧!…妻は私が殺して埋めた、その場所に行って埋まっていることも確かめた」「でも貞女(テイジョ)堂の者が都から消えたの、裏がある」実は内官から貞女堂の堂主たちが遠方の恵(ケイ)城に移送されたと聞いていた。「だとしても私はこうして殿下のそばにいる… どうしたら殿下の心を慰められるのか教えてください」「はおらはおら…私が包帯を巻いてあげる」すると婉寧は情夫の衣の紐を解いた。蕭蘅は茶楼に姜梨(キョウリ)を呼び出し、近々、麗(レイ)妃帯同の命が下ると知らせておいた。「役者が増えてますます面白くなって来た、幕引きにならぬよう助言しておく 麗妃は陛下の寵姫だ…次は何を演じる?」「ふふ、逃亡劇です」薛芳菲(セツホウヒ)は姜梨の生母の実家である葉(ヨウ)家へ逃げることを思いつき、姜梨の心残りだった葉家との和解を叶えることにした。しかも淥陽(ロクヨウ)は故郷の淮郷(ワイキョウ)に近い。薛芳菲はこの機に非業の死を遂げた父親を弔いたいと考えていた。中秋節の夜、薛芳菲は姜景睿、柳絮(リュウジョ)、葉世傑(ヨウセイケツ)と一緒に過ごすことになった。すると待ち合わせ場所に葉世傑が叔父・葉明軒(ヨウメイケン)と一緒にやって来る。実は叔父が上京中のため付き合えなくなったという葉世傑、しかし薛芳菲にとって渡りに船だった。「舅舅(ジィゥジィゥ)、せっかくなので私も一緒に…」姜梨はあとで合流すると伝え、柳絮と姜景睿を置いて行ってしまう。葉世傑と過ごせると期待した柳絮はがっかりしたが、柳絮が好きな姜景睿はまたとない好機を喜んだ。「せっかく来たんだ、2人1組の遊戯に参加しよう!」姜家とわだかまりが残る葉明軒は姪の柔軟な対応にいささか戸惑った。すっかり年頃になった姜梨は幼い頃の傲慢さが消え、殊勝にも姜家と葉家の仲立ちをして積年の後悔を晴らしたいという。「商用なら中書令の力が役に立つでしょう?姜宅にお越しください その返礼として私が舅舅に同行して淥陽へ行くというのは? 明日、舅舅から提案してください」葉明軒は嫌とも言えずあいまいに同意したが、姜梨は反故にされる前にさっさと引き上げてしまう。葉世傑は姜梨の目的が気になり、後を追った。すると薛芳菲は酒宴で罠を仕掛けたのが妹たちだったと明かし、姜家での自分の立ち位置は危ういと訴える。「だから淥陽行きを思いついたの」「そなたのことは表哥として私が守るよ、送って行こう」「私は平気、舅舅が待っているわ」一方、蕭蘅は今夜の満紅楼の演目が小桃紅(ショウトウコウ)の戯曲だと知って券を買った。文紀(ブンキ)は一座を潰して審問する方が安全だと言ったが、大物をあぶり出すため長い釣り糸を垂らす必要がある。「芝居を観に行くなら連れを探さなくてはな」蕭蘅は露台から通りを見下ろすと、ちょうど姜梨の姿を見つけた。蕭蘅が特等席で観劇していると姜梨がやって来た。「観劇にお付き合いすれば借りを1つ返したことに?」「招待されて貸しを返すとは都合のいい話だな」「貸しと認められぬのなら帰ります」「…1つ帳消しにする」「では残りは2つですね?」姜梨の淡々とした対応は興をそいだ。しかし劇に夢中になる姜梨の横顔に本来の姿が垣間見える。「阿狸(アリ)は芝居通のようだ…お楽しみはこのあとだが」すると次の演目が始まった。小桃紅の舞台は素晴らしかった。すると演目が終わった小桃紅が隠し持っていた柔剣を取り出し、蕭蘅に襲いかかる。しかし蕭蘅を仕留められず、小桃紅は咄嗟に蕭蘅の連れの娘に狙いを定めた。すんでのところで蕭蘅が小桃紅の剣を扇で防いだが、その時、薛芳菲が再び剣を振り上げた小桃紅に気づき、蕭蘅をかばって肩を斬られてしまう。文紀(ブンキ)と陸璣(リクキ)が加勢し小桃紅はようやく観念した。「黒幕を吐かせろ…連れて行け!」蕭蘅は自分を守ってくれた姜梨を愛おしそうに腕に抱き、自ら怪我の手当てをすることにした。蕭蘅は姜梨を座らせ、刀傷に薬をつけた。しかし姜梨の言葉で甘い幻想はあっさり破られてしまう。「粛国公、勝手に手当したのですから借りにはなりませんよね?」「それほど…」「借りならいずれ返さねばならない 生きているだけでも辛いのに、借財まで背負わされては…」実は姜梨は自分が蕭蘅に利用されたと気づいていた。「この劇場に呼び出し、私を連れだと思わせて目くらましに使った 腹心たちを潜ませ、一座を油断させる作戦だったのでしょう? …まるで私は粛国公の駒のようだわ、もう感謝の意は示しました」機嫌が悪い蕭蘅の尋問は容赦なかった。恐らく小桃紅は不正に集めた銭を一座に集め、巡業という名目で北の辺境に輸送、成(セイ)王の兵馬増強に充てていたのだろう。「…たかが役者が成王妃になれると本気で思ったのか?」図星だった小桃紅の表情が変わったが、それでも口を開こうとしなかった。「もうよい、陸璣、顔に入れ墨を彫り、足の筋を切って放り出せ」(꒪ꇴ꒪〣)<ちょwww待った!話す!その夜、蕭蘅は皇帝へ報告に向かった。「なんだ、賊を捕らえたのに浮かぬ顔だな?私にも言えぬことか?」蕭蘅は姜梨に責められたせいで意気消沈していたが、皇帝はそれ以上、聞かなかった。「成王が兵馬に富を使い、蓄えが減っている 中原(チュウゲン)での資金源を押さえれば命脈を断てるでしょう」「次はどう動く?」「塩密売以外にも大きな資金源があるはず、供述によれば淥陽に成王の刺客養成場があるとか…」( ๑≧ꇴ≦)これまた偶然~w姜宅に葉明軒と葉世傑が挨拶にやって来た。姜元柏(キョウゲンハク)は突然の来訪を訝しんだが、薛芳菲は偶然にも叔父と再会し招待したと説明する。すると葉明軒が約束通り母に姜梨を会わせたいと頼んでくれた。姜元柏は娘を遠出させることに難色を示し、麗妃の祈祷にも帯同しなければならないという。しかし老夫人が現れ、葉家行きを後押ししてくれた。老夫人は息子を晩鳳堂に呼んだ。姜梨からすでに相談を受けていたが、麗妃が姜梨を帯同させるのは過ちを責めるためだという。「一家の主として偏った見方はいけない、あの子にまた山の修行をさせるつもり?」老夫人は季淑然(キシュクゼン)が要らぬことまで宮中に伝えると憤り、朝臣が娘のことで取り沙汰されるのは良くないという。母に諭された姜元柏は結局、姜梨の淥陽行きを認めた。淑然は姜梨が富豪の外戚を味方にするつもりだと勘繰ったが、ともかく姜若瑶(キョウジャクヨウ)の名誉を取り戻し、留守の間に姜家での姜梨の居場所を無くそうと企む。しかし肝心の姜若瑶はまだ周彦邦(シュウゲンホウ)を諦められずにいた。「婚約は本当に取り消しに?…あの人がいいの!」「大人になれば愛情になんぞ価値がないと分かる、別の縁談があるわ」( ๑≧ꇴ≦)ママンwww一方、蕭蘅は小桃紅の供述から淥陽のしきり役が成王の腹心・楚嵐(ソラン)だと知った。しかし神出鬼没な男で、手がかりは淥陽の惜花(セキカ)楼にいる愛人・烏蘭(オラン)だけだという。すでに李(リ)家は葉家に手を出し、反応が遅れた葉家は渦中にいた。「どうやら淥陽に行くしかないか」「主君、ちょうどよかった、姜家二娘子も今日、淥陽へ向かいましたよ?外祖母を訪ねるとか」文紀は主を喜ばせたと思ったが、杖刑15回を命じられてしまう。 官吏となった葉世傑は都を離れられず、叔父と姜梨を見送った。舟と馬車を乗り継ぎ、長い旅を終えて葉家に到着した一行。しかし屋敷には夫人も娘もおらず、葉明軒はひとまず姜梨と桐児を居所に案内する。薛芳菲は仕事に戻るという叔父を見送ったが、どうやら葉家は面倒に巻き込まれているようだった。急用で店に出かけていた葉明軒の夫人・卓(タク)氏が李(リ)氏と戻ってきた。すると使用人から夫が若い娘を連れて帰ってきたと聞いて側女だと誤解してしまう。一方、薛芳菲は桐児を連れてある民家を訪ねていた。しかし瓊枝(ケイシ)という娘が惜花楼に売られてしまったと分かる。奇しくもその頃、蕭蘅が客に扮して惜花楼へ潜入、看板・烏蘭を指名していた。蕭蘅が烏蘭の部屋に入ると男が座っていた。男は烏蘭より美しい客だと揶揄し、茶でもどうかと誘う。しかし蕭蘅はその男が烏蘭だと見抜いていた。烏蘭は隠し持っていた小刀で襲いかかったが蕭蘅に阻まれ、そのまま二人の激しい攻防が始まってしまう。一方、薛芳菲は女主人に瓊枝に会いたいと頼んでいた。女主人は妓楼に現れた娘を追い返そうとしたが、銭をもらって渋々、部屋に案内する。「瓊枝娘子?」「娘子、部屋をお間違えでは?…曲を聴く?それともお酒?」その時、隣の部屋から大きな音が聞こえてきた。「激しいお客さんもいるのよ」実は瓊枝の部屋の隣は烏蘭の部屋だった。薛芳菲は瓊枝に想い人の話を聞かせて欲しいと頼んだ。「想い人なんていないわ」「淮郷の県令の息子・薛昭(セツショウ)は?」つづく( ๑≧ꇴ≦)烏蘭カッコいい!ってか烏蘭と若瑶の方が母娘っぽいからの皇帝マザコン説( ̄▽ ̄;)
2025.10.05
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墨雨云间 The Double 全40話第13話「欲望渦巻く酒宴」婉寧(エンネイ)公主に命じられ、酒瓶を頭に乗せて弓矢の的となった沈玉容(シンギョクヨウ)。薛芳菲(セツホウヒ)は困惑しながらも憎しみが募り、気がつくと元夫の顔に狙いを定めていた。その時、婉寧が姜梨(キョウリ)にぶつかり、薛芳菲は衝撃でうっかり手を放してしまう。矢は沈玉容めがけて一直線に飛んだが、間一髪のところで粛(シュク)国公・蕭蘅(ショウコウ)が現れ、扇を矢に当てた。姜梨の放った矢は沈玉容の腕をかすめていった。興をそがれた婉寧は憤怒したが、蕭蘅は本物の矢を使うとなれば自分が呼ばれるのも仕方ないという。「これも公務ゆえご容赦を、ご希望なら陛下に奏請ください 陛下がうなずけば私も武器庫を開けさせ、殿下と血の雨を降らせます」「粛国公の忠誠、成(セイ)王に伝えておくわ、皇兄も国公の公務に目を向けるようにと」すると婉寧は引き上げていった。粛国公は呆然としていた姜梨から弓を取り上げ、祝宴を続けるよう命じて出て行った。ようやく我に返った薛芳菲。「沈学士、すみませんでした…」「心配無用」すると腕を負傷した沈玉容も帰ってしまう。とある侍女が姜梨にそれとなく書き付けを渡して去って行った。こっそり開いてみると差出人が周彦邦(シュウゲンホウ)だと分かる。…東門毓秀(イクシュウ)閣にて待つ…興味がない薛芳菲はひとまず袂に隠したが、そこへ姜玉娥(キョウギョクガ)がやって来た。「二姐(Rジェ)、長公主の前ですごい勇気だったわ、一献、差し上げます」「四妹(スーメイ)、私はお酒に弱いの、もう飲めないわ、酒ではなくお茶で…」「二姐、お茶では敬慕の念を表せない」「それなら応えなくてはね」薛芳菲は仕方なく杯を空けたが、強要される酒の恐ろしさを誰よりも知っていた。姜玉娥は薬入りの酒で酩酊した姜梨を介抱しながら瓊玉(ケイギョク)閣へ送り届けた。すると帰り際、門の前に落ちていた書き付けを拾う。周彦邦が誰かと逢い引きすると知った玉娥は直ちに姜若瑶(キョウジャクヨウ)へ知らせようとしたが、ふと魔が差した。実は薛芳菲は酒を飲むふりをして中身を捨て、難を逃れていた。寝たふりをしていた薛芳菲は誰もいなくなったところで起き上がったが、今度は泥酔した葉世傑(ヨウセイケツ)が内官の案内で瓊玉閣に入ってくる。「ここで少しお休みください」しかし用心していた葉世傑もまた酔ったふりをしただけだった。安堵した薛芳菲だったが、恐らく薬を盛って自分たちに姦通させ、自分の名声を汚し、葉家の前途を断つつもりだと憤る。姜梨に惹かれる葉世傑には不名誉なことではなかったが、姜梨は不貞を責められる女子の恐ろしさなど分からないと言い放った。一方、周彦邦は既成事実を作るべく毓秀閣で姜梨が来るのを待っていた。すると薄暗い部屋に女子が入ってくる。喜んだ周彦邦は背後から抱きしめ名を呼んだが、姜玉娥は片思いを成就させるため否定しなかった。薛芳菲は先に瓊玉閣を飛び出し、誰かに見られていないか警戒しながら歩いていた。すると蕭蘅とかち合ってしまう。「また監視していたの?!」「宮中を守るのが私の役目、お前の足元の敷石のことまで知っている」薛芳菲は憤慨したが、蕭蘅は今夜の姜梨の大胆な行動が波乱を巻き起こすと警告した。「牢の中の堂主とお前は互いの命を握っている、誰かが堂主に手を回したらどうなる?」「何のこと?」「私を思うままに操れると思うな…今日のお前は感情的過ぎる これが3度目の貸しだ、代償は大きいぞ?返せるようになったら言おう」「スーグォゴン、あなたは宮中の足元の敷石のことまで分かる でも私に密偵はいない、自分の命を張って真実をつかむしかないの」「それほど真実が重要か?」「この命よりもね」一方、姜若瑶は侍女の合図で準備が整ったことを知った。そこで明義堂の友を誘って月見に出かけ、茶を飲もうと瓊玉閣へ向かう。しかし茶室には誰もいなかった。「ここは狭いわね、他の部屋を探しましょう」若瑶は仕方なく東門まで足を伸ばし、毓秀閣を見つけた。門を開けてみると脱ぎ捨てた男女の衣がある。「R姐?…R姐?」若瑶は計画通り姜梨と葉世傑の姦通現場を押さえたと思ったが、寝台であられもない姿で横になっていたのは許嫁の周彦邦と従妹の姜玉娥だった。周彦邦はてっきり姜梨と同衾したと思っていた。これで婚約破棄となるはずだったが、実は相手が姜玉娥だったと知って慌てふためく。「なぜお前がいるんだ?!若瑶、泥酔したせいだ!」周彦邦は思わず玉娥を突き放すと、逆上した若瑶が玉娥を引っ張り出して殴打した。すると突き飛ばされた玉娥が倒れ、運悪く香炉の角に顔をぶつけてしまう。翌朝、姜玉娥の顔には生々しい傷が残った。しかし庶子の父を持ったせいで貞操を奪われても周彦邦に嫁げず、顔を傷つけた姜若瑶を罰することもできない。姜元興(キョウゲンコウ)は途方に暮れたが、楊(ヨウ)氏はともかく目下の急務は本家の怒りを鎮めることだと言った。「そのためには共通の敵を作ることよ」一方、季淑然(キシュクゼン)も深く傷ついた娘をなだめていた。「なぜ人前で玉娥を傷つけたの?家に閉じ込め折檻すればいいだけ いっそお前の父親の前で死んでくれたら良かったのに~ まあ、あの顔の傷ではもう死んだも同然だけどw どちらにしても退婚よ、受け入れられなくてもこれが現実」姜若瑶は冷静な母の言葉に納得がいかなかった。「これは報いよ!母親(ムーチン)の言いなりになって姜梨と葉世傑をはめたせいだわ!」すると季淑然は娘の怒りの矛先を姜梨に向けた。「でも玉娥が周彦邦を1人で誘惑できる?あなたと玉娥の仲違いを一番喜ぶのは…」「ジャンリー…」姜元柏(キョウゲンハク)が屋敷に戻ると弟家族はすでに母の晩鳳堂でひざまずいていた。麗(レイ)妃のおかげで皇帝から何のお咎めもなかったことが幸いだが、朝議で官吏たちから嘲りの目を向けられた姜元柏の怒りは収まらない。そこで季淑然は娘と仲の良かった姜玉娥がなぜこんなことをしたのか信じられないと嘆いた。すると呼応するように楊氏が誰かにはめられたのだと訴え、玉娥も姜梨に酒を飲まされて茶室に案内されたと嘘をつく。「部屋にはすでに酔った周公子がいました、周公子は私を三姐と間違えて… 後から聞いた話では二姐が私を送って戻ってから三姐に私がいなくなったと話したとか 心配した三姐が探しにきて、そこで私たちを見つけてこんなことに…」その頃、薛芳菲は桐児(トウジ)に黒幕が婉寧公主だったと報告していた。確かに長公主の命では逆らえないのも当然、だとしても同情するつもりはない。「姐姐、これからどうするつもり?」そこへ老夫人が呼んでいると知らせが来た。晩鳳堂にはすでに家族が揃っていた。薛芳菲は自分の関与を否定し、そもそもはめられたのは自分だったと訴える。「四妹に酒を飲まされ、茶室に連れて行かれたわ するとすぐ内官が葉世傑を同じ部屋に運んできた 幸い私たちは酔っていても男女の別は知っていたからすぐ部屋を出たの そういえば三妹はなぜ部屋に入るなり″二姐″と呼んだの?一緒にいた数人が聞いている」薛芳菲は葉世傑が証言してくれると言ったが、姜玉娥は従兄なら姜梨の話に合わせるのは当然だと疑った。「手を組んでいるのかも!」「そうそう、私がその部屋に連れて行ったと言ったわね、なぜすぐ助けを呼ばなかったの?」慌てた季淑然は咄嗟に助け舟を出した。「梨R、妹たちをそんなに刺激しないで、この事件で誰より心を痛めているのよ?」「私も心を痛めています、でも全ての罪を着せられて弁明も許されないと?」追い詰められた玉娥は姜梨が歳試で通じ合った葉世傑を盾にして逃げるつもりだと非難した。そこで薛芳菲は他にも証人がいると明かす。「では粛国公は?茶室を逃げ出した時、戻り道が分からずにいると粛国公に会いました 前殿まで送っていただいたのです」若瑶は悔しくなってまた手を出した。しかし薛芳菲は咄嗟に手首をつかんで阻止、どうにもならなくなった玉娥は大泣き、収拾がつかなくなってしまう。すると老夫人は呆れて机を叩いた。「ごぅら!…もう外でおやり!私を煩わせないで!」姜元柏は自分が解決すると約束、皆で引き上げることにした。すると老夫人は姜梨だけ引き止め、実際のところ姜玉娥と周彦邦の間に何があったのか尋ねる。薛芳菲は正直に周彦邦から書き付けが届き、応じるつもりもないので衣に隠しておいたと説明した。恐らく衣から落とした書き付けを玉娥が拾ったのだろう。事情を聞いた老夫人は独りで解決する必要はないと釘を刺し、これからは自分を頼って欲しいと笑った。「あなたにも罰を与えるわ、経を10回うつしなさい、妹たちには女誡を20回うつさせる」「分かりました」寧遠(ネイエン)侯は姜家から退婚書を受け取った。父から姜玉娥を娶るよう命じられた周彦邦は抵抗したが、もう手遅れだという。「玉娥をどうしようと構わん、だがお前が操を奪った、周家がその責任を取らねばならぬ」一方、麗妃は自分が作った道筋を間違え、挙句、他人に利用されたと知って憤慨した。季淑然は尽力してくれた妹に感謝し、それとなく弱みを突いて話をそらせる。「何か変化はあるの?太医は数年、遅れたら命取りだと言った」「父親が聞けと言った?…当て外れでもないわ、焦ることではないけれど若い時とは違う」麗妃は天象寺にしばらくこもって身を清めてくると伝えた。「あなたが修行へ行くのなら頼みがあるの」つづく( ˙꒳˙ )まだ蕭蘅の良さが分からないwごめん
2025.10.02
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墨雨云间 The Double 全40話第12話「動きだした黒幕」二叔父夫婦は姜梨(キョウリ)のおかげで息子・姜景睿(キョウケイエイ)まで皇帝から褒賞にあずかれると感謝した。姜元柏(キョウゲンハク)も姜家の名声を高めた娘を尊重するようになり、周彦邦(シュウゲンホウ)と姜若瑶(キョウジャクヨウ)の破談の噂を耳にして改めて姜梨の気持ちを確認に来てくれる。しかし薛芳菲(セツホウヒ)は今も昔も周彦邦を好いていないと拒否した。こうして姜梨の汚名をすすいだ薛芳菲。桐児(トウジ)は姜梨も空の上で喜んでいると安堵したが、薛芳菲はこれから本当の危険が待っていると警戒した。一方、李仲南(リチュウナン)は賭けに負けた李廉(リレン)を寺に送ることにした。李廉は泣いて出家したくないと懇願したが、賭けが都中に知られた今、後には引けないという。「態度が良ければいずれ出してやる、性根を叩き直してもらえ!」しかし李瑾(リキン)は弟が連行される様子を見ながら失笑した。「父親(フーチン)の意向に気づかぬ弟が愚かで笑えます…これは長公主への配慮 長公主と成(セイ)王の今後のために李家は息子を捧げた もし成功すれば李家の功績は認められます」「いつ気づいた?」「父親は若造と小娘の愚にもつかぬ賭けを止めなかった、それで何か考えがあるのかと」そこで李瑾は葉(ヨウ)家を手中に収めるなら直接、淥陽(ロクヨウ)を狙ってはどうかと提案した。その頃、季淑然(キシュクゼン)は皇帝の寵妃となった妹・麗妃(レイヒ)を頼っていた。麗妃も確かに10年も貞女堂にいた姜梨が家に戻った途端に季淑然を翻弄し、歳試で首位になるとはどこか変だという。実は淑然はすでに収監されている貞女堂の堂主に探りを入れていた。しかし姜梨を恨んでいるはずの堂主は似顔絵が確かに姜梨だと断言したという。「偽物なら飛びついて告発するはずよ?」「では何としてでも潰さなくては…」麗妃は祝宴を利用し、女子にとって最も恥とされる不貞で姜梨の名声を一気に地に落とすことにした。宮中での祝宴当日。姜若瑶は母が準備した衣を引き裂き、祝宴には行きたくないと駄々をこねた。「休むことなく琴の稽古に励んできた、それなのにあんな山猿に負けたのよ?! 私に才能がないのか、もしくは琴を学ばせた母親が間違っていたのよ!」季淑然はかっとなって手を振り上げたが、すぐ冷静になって腕を下ろした。「どうやら甘やかし過ぎたようね…宴には行ってもらう 歳試の失敗に続き、また私に恥をかかせたらもう娘とは思わない」姜梨は祖母があつらえてくれた美しい衣に袖を通した。身支度を手伝っていた桐児は今夜の祝宴でどうやって黒幕を誘き出すつもりかと心配する。姜梨は少なくとも黒幕は女だと気づいていた。「彼はあの時、″こうするしかない″と言ったわ 私は小吏の娘に過ぎない、父親を恨む人もいない 恐らく高貴な身分で沈玉容を愛し、私を虫けら同然に思っているのよ」姜梨は黒幕の情を揺さぶり、引っ張り出そうと企んだ。薛芳菲が姜宅正門を出るとちょうど葉世傑(ヨウセイケツ)が馬車から降りてきた。「用があって通りかかったんだ」姜梨と一緒に宮中へ行きたい葉世傑は偶然を装ったが、姜梨から父が準備してくれた馬車があると断られてしまう。その時、運良く姜景睿が現れた。姜景睿はせっかくなので3人で行こうと姜梨に有無を言わせず馬車に乗せてしまう。聡明で美しい姜梨から目が離せない葉世傑。しかし薛芳菲の心の中は何とも言えない複雑な感情が絡み合っていた。実は和寧(ワネイ)門に来たのはこれが初めてではない。かつて薛芳菲は状元として皇帝と謁見することになった沈玉容を同じ場所で見送ったことがあった。太極殿に皇帝と麗妃がお出ましになった。麗妃は相変わらず美しく、先帝の側室だったとはいえ、皇帝が臣下の反対を押し切ってまで妃に迎えただけある。すると太監から今夜は六芸に励む学子を慰労すると共に首位に褒賞が授与されると説明があり、早速、姜梨たち4人が御前に呼ばれた。皇帝は葉世傑の志の高さを称賛、戸部員外郎に抜擢した。次に都に戻るなり首位となった姜梨に関心を示し、貞女堂にいながらいかに研鑽を積んだのか尋ねる。そこで薛芳菲は静かな山間には世俗を離れた隠者が多く、無邪気ゆえ近づいてみたところ手ほどきを受けることができたと説明した。感心した皇帝は4人に宝飾品を賜ることにしたが、その時、突然、姜梨が辞退してしまう。前のめりになっていた姜景睿は思わず顔から転倒。皇帝が呆然となる中、薛芳菲は眼識のない自分には宝の持ち腐れとなるため、沈学士に指導を受けたいと嘆願した。「沈学士が記した″徭役論(ヨウエキロン)″を読んだことがあり、敬慕の念を抱いております」実は徭役論は沈玉容が民を憐れむ薛芳菲の話を手がかりに書き上げた科挙の論文だった。皇帝は許可したが、沈玉容は姜梨にひとつ聞きたいことがあるという。「これは挙子の時分に記したもの、私さえ忘れるほど古いものをなぜ好むのですか?」「当時は沈学士もまだ庶人として純な赤心をお持ちだったかと」「″庶人として純な赤心″ですか…私も姜二娘子(Rニャンズー)と共に再び学びましょう」麗妃は頃合いを見計らい、飲み過ぎて頭が痛いと訴え、皇帝と宴席を退座した。すると去り際に侍女に目配せ、侍女はそれとなく姜若瑶に合図する。そうとは知らず、薛芳菲は沈玉容のもとへ挨拶に向かい、もう一押しすることにした。「沈学士、まだ喪中だというのにとんだ申し出を、ご寛恕(カンジョ)を請います 夫人が恋しいですか?」「生前は琴瑟の交わり、今は鏡花のごとし、悲哀を感じるのは当然です」その時、婉寧(エンネイ)公主の来訪を知らせる前触れが響き渡った。婉寧公主と言えば一筋縄ではいかない癖のある要注意人物だった。和やかだった宴席は一瞬にして静まり返ったが、長公主を見た薛芳菲は上の空になってしまう。婉寧公主は薛芳菲がかつて和寧門で夫を出迎えた時、まるで夫婦の仲を引き裂くように輿で割り込んだあの貴人だ。…まさか黒幕は公主なの?…婉寧は沈玉容に指導を願い出たのが姜梨だと聞いた。仕方なく姜梨は席を立って拝礼したが、婉寧も姜梨が薛芳菲とよく似ていることに気づく。そこで会話が聞こえないよう楽士に音楽を命じてから小声で嫌みを言った。「…沈学士、″琴瑟の交わり″とは何のこと?″鏡花″とは何のことかしら?」「殿下、宴の席では私の体面を重んじていただきたい」「知っているはずよ?あなたの対面をもてあそぶのが一番好きだと」薛芳菲は自分の正体がばれたと分かった。あの時、輿から降りた婉寧公主は沈玉容の手をつかみ、振り払った沈玉容の目線の先にいる薛芳菲を見ている。「驚いたわ~姜二娘子は沈学士の亡くなった夫人とよく似ている、双子の姉妹のようね」「夫人にお会いしたことはありません、殿下、私には分かりかねます、姉妹ならここにいますが」婉寧は亡き夫人と瓜二つの姜梨に嫉妬し、皇帝に変わって自分が首位の力量が本物かどうか確かめると言い出した。そこで弓術を披露するよう迫ったが、薛芳菲は不得手だと辞退する。しかし婉寧はやりやすいよう的を準備すると言って李瑾を指名した。その時、沈玉容が自分が的になると身代わりを申し出る。すると憤慨した婉寧は練習用の矢を折り、矢尻がついている本当の矢を準備させた。「沈学士、これを頭に」沈玉容は婉寧に言われるまま酒壺を頭に乗せて門の近くに立った。婉寧は姜梨に弓矢を渡した。その時、薛芳菲は婉寧の腰に見覚えのある飾りを見つける。あれは宮中から戻った夫の着替えを手伝った時だった。『これは何?』『帰り道で偶然、見つけて君に買ってきたんだ、驚かすつもりが見つかってしまった』薛芳菲は全てを察し、矢をつがえて構えた。すると恨みが募り、酒瓶ではなく沈玉容の顔を狙ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)婉寧きたわ!
2025.10.01
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