このうち一般の人がAEDを使用した例は3年間で3.7%となっており、研究開始時の1.2%から終了時には6.2%と、AEDの設置が増えるに従って利用数も増加した。患者がAEDによる処置を受けるまでの平均時間は3.7分から2.2分に短縮されたほか、神経障害をほとんど残さず回復した患者の数は人口1,000万人あたり2.4人から8.9人に増加した。この研究は、米医学誌「New England Journal of Medicine」3月18日号に掲載された。
今回の研究では、AEDおよびCPRの有用性が示される一方、いずれも躊躇(ちゅうちょ)する人が多いことが判明。AEDを積極的に使用した人は7%、CPRを実施したのは50%にとどまった。「目の前で死にそうな人を見るのは恐怖を伴うものであり、パニックになって除細動器の利用やCRPの実施を怖いと感じるかもしれないが、AEDは全く初めての人でも簡単に使うことができる。CPRも誰でも実施できる。重要なことは、やろうとすることだ」と米シカゴ大学メディカルセンターのDana Peres Edelson博士は述べている。同氏は「CPRを実施するには、まず救急に通報した後、両手を重ねて胸骨の上に置き、強く、速く押し続け、救助が到着するまで止めてはならない」と説明している。