ザ・スーパー・ポップ宣言

スーパーポップ4

洋楽スーパーポップの世界(4)

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YOU CAN'T HURRY LOVE (恋はあせらず) トラックの世界 へジャンプ

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【 ポップ偏差値 63

REVILLOS / MOTOR BIKE BEAT '80



1980年代初頭に活躍したイギリスのロカビリー/パワーポップ系バンドのシングル曲。オートバイの効果音が入るなどタイトル通りバイク狂に向けて作ったようで、能天気な世界を実現。スピード感、グルーヴ感もなかなかのもので如何にも大貫憲章氏主宰のロンドンナイトなどのクラブで受けそうな曲ですね。女性ヴォーカルと2人の女性コーラスを伴う形態はこの後に活躍したGo-Go'sを彷彿させます。明るくポップな内容なのは好感が持てるんだけど、そう奥深い内容ではなく、キャッチーな出来故に飽きやすいのが玉に瑕。それと能天気というよりはお馬鹿そのものと感じてしまうのは気のせいだろうか?個人的には可愛らしい女性コーラスがなかなかの萌えでお気に入り。

「YOU TUBE」 でPVが見れます。60年代のゴーゴーガールのような女性のダンスが楽しい。これはクラブで真似して踊りたくなりますね。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ サウンド 瑞々しさ ボーナス(能天気) ポップ偏差値合計
9
8 7 9 7 7 7 7 2 63


RICK NELSON / NIGHT TRAIN TO MEMPHIS '66 「Bright Lights And Country Music」



1961年のTravelin' Manのヒットで知られるリック・ネルソンによるカントリー・カバー。オリジナルは1942年の「キング・オブ・カントリー」とも言われるRoy Acuff and His Smoky Mountain Boysによる素朴な雰囲気のカントリー。後に同名の映画も公開されています。secondhandsongsによると54曲ものカバーが存在するようです。曲はオリジナルの明るい雰囲気は継承しつつも、かなりテンションとスピードをあげ、明るくポップな内容。リックの歌声の魅力もあるけれど、数多いカバーの中でもかなりキャッチー。特に手拍子、バンジョー、高速ピアノなどで派手に盛り上げスピード&グルーヴ感いっぱいな感じは将に疾走する列車って感じですね。それほどスマートで洗練されたメロディではなく、「ハレルヤ」という言葉も個人的に気に障りますがカントリー系ポップとしては極上の部類かと。シングルカットされておらず山下達郎SSBでも未オンエアということで日本では完全に埋没してしまっていて実にもったいない感じです。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ サウンド 瑞々しさ ボーナス(高速カントリー) ポップ偏差値合計
9
8 7 8 7 7 7 7 3 63


Claudine Longet / Let It Be Me (Je T’Appartiens) 「Colours」'68



ソフトロック系ということで人気のある60年代後半のA&Mレコード中心に活躍したフランス出身の女性歌手クロディーヌ・ロンジェの3rdアルバム「Colours」収録曲。曲はEverly Brothersの1959年のヒットで有名なLet It Be Meのカバー。オリジナルは1955年のジルベール・ベコーによるフランス語バージョンの Je T’Appartiens で英語版を中心に385曲ものカバーが存在する。名メロディに名唱に名アレンジと三拍子揃ったバラード系名曲というと個人的には最近発見した Jackie Trent and Tony Hatch / GOIN' BACK が真っ先に思い浮かぶがこの曲にも同じ印象を受ける。アコースティックで繊細なサウンドをバックに甘く切ないメロディをクロディーヌのヴォーカルを重ねた一人ハーモニー形式などで展開。か細い女性ヴォーカルで力を抜いてしっとりと歌うことにより、オリジナルの持つメロディの良質さがより際立った感じ。そして圧巻なのが一番最後にフランス語で歌うところ。多くの愛好家に馴染みの英語ではなく拙い感じのフランス語で歌うところに意表を突かれ、その衝撃は破壊力抜群です。クロディーヌにとっては母国語である訳ですが、あたかも外人歌手が慣れない日本語で歌うことによる妙味を感じさせます。(例: ベッツィー&クリスの白い色は恋人の色 )この展開は泣けるでしょう?2分38秒と短いのが残念で欲を言えば全編フランス語バージョンも聴いてみたいですね。

「YOU TUBE」 で聴けます。

ANGELS / THE NIGHT HAS A THOUSAND EYES '63



アメリカの男性歌手ボビー・ヴィーの1962年の世界的ヒット曲のガールグループ・カバー。オリジナルは明るく軽快なポップスで日本盤も「燃ゆる瞳」として出ていたようです。このエンジェルスのカバーは、翌1963年のアルバム「My Boyfriend's Back」収録曲でシングルカットはされていないみたいですね。それだけに埋もれた名曲ということになりそうです。曲は原曲に概ね忠実な軽快なカバーですが、女性3人でユニゾンやハーモニーを交えて明るく元気に歌いまくるので、男性のBOBBY VEEの歌声に慣れた耳には実に新鮮に聴こえます。歌詞的には「夜は千の眼を持つ(何でも見抜いてしまう)」という意味のようですが、ガールグループ・カバーということでより軽快でひたすら能天気に変換された感じ。その瑞々しく弾けた若く可愛らしい女性の萌え萌えな歌声には「60年代初頭にもこんな萌えがあったのか!」と驚かされます。メロディの出来も良いので聴きごたえ十分。これ、最近の日本の女性アイドルグループが歌っても受けるんじゃないかなあ。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(萌え) ポップ偏差値合計
8
8 7 8 6 8 6 8 4 63


LESLEY GORE / YOUNG LOVE '65



Sonny Jamesの1956年のヒット で有名なオールディーズを女性歌手レスリーゴーアがカバーしたバージョン。オリジナルはRic Cartey with The Jiva-Tonesで、いまいち出来が悪いので、実質ソニージェームス版のカバーと言ってよいかも。牧歌的で平和な空気が漂いながらも、若さ故のつたない愛の姿を歌ったものでしょうか、少しほろ苦い味わいが魅力的な曲です。(意外なことに山下達郎SSBでは未オンエアのようです。)メロディはどこも秀逸ですが、特に抑揚の少ない低めのラインから高揚感のある高めのラインへ展開する様が実に素晴らしいですね。レスリーゴーアのカバーは、ソニー版から9年後の1966年産でバックに流麗なストリングスなどを従え、より洗練されたサウンド。ソニージェームスの男性的な温かみとは違い、女性ならではの線の細さが儚い雰囲気を醸し、より曲に説得力を持たせた感じで良い。特筆すべきはソニー版と微妙に変えた「ヤング・ラーブ♪」というサビの歌いまわしで、少し気張った感じが魅力的です。また、Ray Conniffの1973年のアルバム「Harmony」収録のバージョンも繊細な女性ヴォーカルが魅力的なバージョン。(61年のバージョンとは別) 特に終盤に「ダッタラッタラッタラッタ♪」と入る切ないスキャットが素晴らしい。あまりにもソニー版が有名なので、どちらの曲もソニー版に慣れきってしまった人にはかなり新鮮に聴こえると思いますよ。

「YOU TUBE」 で聴けます。

ソニージェームス版

Ray Conniffの1973年版

FLOGGING MOLLY / Drunken Lullabies '02 「Drunken Lullabies」収録

Flogging Molly - Drunken Lullabies.jpg

アイリッシュ・パンク・バンドのフロッギング・モリーのアルバム収録曲。アイリッシュと言ってもアメリカのバンドらしいですが、バンジョーとかアコーディオンとか言った伝統楽器を用いているところが特徴的ですね。

この曲は如何にもパンクっぽいスピード感のあるリズムや暴力的なドラム、ヴォーカル・スタイルをとっていながら、バンジョーやアコーディオン等の温かみのある明るくひょうきんな楽器群がサウンドに味わい深さを加えています。「酔っ払いララバイ」というタイトル通り、どこか投げやりでいい加減で無責任な姿勢も、その明朗さ故に許せてしまいそうな雰囲気。元気の良いコーラス、キャッチーなメロディ、大人数バンド故の厚みのあるサウンドもいい。 ライブ も楽しそうだネ。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ひょうきん) ポップ偏差値合計
9
8 7 8 7 6 8 7 3 63


COMMUNARDS / NEVER CAN SAY GOODBYE '87

COMMUNARDS  NEVER CAN SAY GOODBYE 7.jpgNEVER CAN SAY GOODBYE GLORIA.jpg

JACKSON 5 による71年のヒット曲のカバー。と言うよりも、静かなバラードだったオリジナルをディスコ・アレンジしてカバーした GLORIA GAYNOR 版のカバーと言った方が正確でしょうね。グロリア版はフィリー風に華やかなホーン等で味付けされ、スピード、グルーヴ感にも優れた傑作で、将にディスコ時代の幕開けといった仕上り。

それから約13年後にイギリスのポップ・デュオのCOMMUNARDSがカバーしたのが本作。(コミュナーズはゲイ三人組グループのBronski Beatのリーダー、Jimmy Somervilleが作ったグループです。)基本的にはグロリア版に忠実なカバーですが、シンセ等によりエレクトロな味付けがなされ、所謂ユーロビートに近いノリかも。だから一聴すると軟弱で白っぽい印象を受けますが、そのポップな味付けはゲイならではの特異な感受性が活かされた味わい深い趣の有るもの。

また、リードはゲイらしく甘く柔らかなファルセット(裏声)で、グロリア版に無い不健康な妖艶さを加味。唱法もより陶酔感のある淫靡な雰囲気で、甘茶ソウルなどファルセット好きには堪らないでしょう。更に効果的に使用される「ノノノ、ノノノ、ノノノ、フゥー、フゥー」というブレイクビーツは、グロリア版では既に完成されていたけれども、より「フゥー、フゥー」を強調し昂揚感を増幅させていますネ。そのキャッチーさ故に「モーニング娘 / ザ☆ピ~ス!」とか、果ては 「BABY POP / LOVE★DRIVIN'」 なんかにも使われる人気のブレイクビーツとなっています。(他にもご存知でしたら教えて下さい。)

「YOU TUBE」 で聴けます。このPVはダンスが楽しくていいんですよねー。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ブレイクビーツ) ポップ偏差値合計
7
7 8 8 8 8 6 6 5 63


SQUEEZE / ANOTHER NAIL IN MY HEART '80 LP「ARGYBARGY」

SQUEEZE ARGYBARGY.jpgSQUEEZE ARGYBARGY 2.jpg

このアンディ・ウォーホルのポップアート風なジャケがイカしてます。画像2はチェゲバラ、他にもっとこのジャケに近い作品があった気もする。何れにしてもサウンドの方も軽快でポップでちょっとヒネリが入っているところがいいネ。シンセも入ってるけどシンプルで控えめな使い方がいい、というかこの時代の使い方としたらこんな程度が普通だったのかな。タイトル部分のメロディなどいかにも英国風で洒落てるね。大掛かりなポップさはないけど小洒落た粋なセンスを感じさせてくれる曲。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(粋なセンス) ポップ偏差値合計
7
6 8 7 7 9 7 7 5 63


RUBINOOS / I WANNA BE YOUR BOYFRIEND '79 「BACK TO THE DRAWING BOARD」収録

RUBINOOS I WANNA BE YOUR BOYFRIEND.jpgRUBINOOS backtothedrawingboard.jpg

カリフォルニアのパワーポップバンドの2ND ALBUM収録曲。成る程西海岸らしい乾いた空気が爽やかです。軽快な掛け声や手拍子などを交えながら明るくポップに奏でます。見事に突き抜けたメロディはカリフォルニアの青い空を彷彿させ、70年代な能天気な雰囲気も楽しい。「パワーポップ 渡辺睦夫監修 シンコーミュージック刊」によると2000年初頭にイギリスのグループ「ファラー」がカバーしヒットさせたらしいです。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(西海岸の青い空) ポップ偏差値合計
9
8 8 7 6 7 6 8 4 63


【 ポップ偏差値 62

LESLEY GORE / BABY THAT'S ME '65



1960年代に活躍したアメリカのアイドル女性歌手レスリーゴーアの1965年のアルバム「My Town, My Guy & Me」収録曲。Jackie DeShannonとJack Nitzscheの共作でオリジナルは1964年の女性グループのFashionsで本作はそのカバーということになります。良曲ながら本曲のカバーは少ないのですが、何と言っても1967年のThe Cakeによるウォール・オブ・サウンド仕様のカバーがマニアには有名で、山下達郎SSBでも何度も紹介されていますね(LESLEY GORE版は未)。当ブログでも 重厚で奥行のある神々しいサウンド The Cake / BABY THAT'S ME として紹介済みです。レスリー版は音壁仕様ではないものの、曲の出来としてはThe Cake版に勝るとも劣らなく素晴らしい。しっとりとした物悲しい曲調に合ったレスリーの歌唱は、丁寧に丹精込めて歌いこまれていますが、特にねっとりと粘着質に唄われている点が心に染み入ります。また微妙に音程を外しているのか、その豊かな表現力も特筆すべき点ですね。サウンドも派手さはないけれど、なかなかのもの。特に間奏のストリングスの優雅ながらも物悲しい響きは素晴らしい。本作もThe Cake版同様のウォール・オブ・サウンド仕様だったらどんな感じになったことでしょう。

「YOU TUBE」 で聴けます。

The Cake / BABY THAT'S ME

Paris Sisters / Baby That's Me

儚く切ない女性版名カバー LESLEY GORE / YOUNG LOVE

KING ODOM FOUR / ALL OF ME '51



戦前1931年製作の悲し気なバラードを20年後の1951年にDOO-WOPグループがカバーしたバージョン。オリジナルはPaul Whiteman and His Orchestra (Vocal Refrain by Mildred Bailey)で、古き時代の名曲ということで、secondhandsongs.comによるとFrank Sinatra、Paul Anka、Diana Rossといったポピュラーなカバーなど、実に628ものカバーが存在する。中でも個人的に一番気に入っているのが、このニューヨークの黒人DOO-WOPグループKING ODOM FOURのカバー。オリジナルのテンポを速めたことで、かなり現代的かつポップに仕上がっている。リードに絡むコーラスが様々な表情を見せて楽しいが、低く太めのリードの声質と唱法が一番の魅力かな。こってりと歌い込むことでオリジナルの淡白なイメージを一新した感じ。2分未満と短いのが残念で、もう少しリードの歌声や展開を楽しみたかったところ。山下達郎SSBでは未オンエアだけどDOO-WOPの名曲の一つと言っていいでしょう。他にDOO-WOPカバーが無いのが惜しい。他では78年の WILLIE NELSON によるカントリー風カバーもなかなか相性の良さをみせた好カバー。また、CAFE APRES-MIDI ROUGEにも収録されていたブラジルの大御所三人による78年のボサノバ風カバー JOAO GILBERTO, CAETANO VELOSO, GILBERTO GIL / DISSE ALGUEM も雰囲気があって良い。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(DOO-WOP) ポップ偏差値合計
7
7 7 7 7 8 7 7 5 62


Glen Campbell / I Love How You Love Me '82 「Old Home Town」



60年代後半に「By The Time I get To Phoenix」、「Wichita Lineman」などのヒット曲で一世を風靡したカントリー系歌手グレンキャンベルの82年のアルバム収録のカバー曲。オリジナルはBarry Mann作曲で、フィルスペクターPによる Paris Sisters の1961年のヒット曲。元歌はかなりゆったりとした静かなバラードで淡いヴォーカルとフィルスペクターによるエコー感のある品の良いサウンドが特徴的。一方のグレンキャンベル版はドラムやギターなどバンド演奏を意識したかのようなミディアム・カントリーなアレンジ。しっかりとリズムがついたことで曲にメリハリがつき、また違った側面を表現できた感じ。グレンの甘い歌声も魅力的だけど、カントリー風味が実に新鮮で曲に新たな魅力が吹き込まれた感じがします。このように全く違ったアレンジでも共に魅力的な出来となったのは、やはりバリーマンによる心に深く沁みわたるメロディの素晴らしさでしょうね。山下達郎SSBでも未オンエア、全盛期を過ぎた82年の作品ということで、ほとんど脚光を浴びてない曲のようだけど是非多くの人に聴いてもらいたい良曲です。

「YOU TUBE」 で聴けます。
スタジオライブ
ライブテイク(映像は別物)
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(美メロ) ポップ偏差値合計
7
6 7 6 6 10 8 7 5 62


Mike Love / Calendar Girl '81 「Looking Back With Love」



ビーチ・ボーイズのヴォーカル、マイクラブによる1960年のNeil Sedakaのポピュラーヒットのカバー曲。オリジナルは音頭風でいまいちスマートさに欠けるけど、81年のマイクによるカバーはスマートさの増した内容。元々明るく元気な曲だけれど、ひょうきんなコーラスや現代風のアレンジ、マイクの陽性なヴォーカルにより、かなりポップに磨きがかかってますね。スピード感もあるし手拍子を入れたりとグルーヴ感も悪くない。あまりにポップなアレンジで一般受けは悪い気もするけれど、ポップ好きには堪らない内容です。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(陽気) ポップ偏差値合計
9
9 7 6 6 7 7 7 4 62


CLASH / POLICE ON MY BACK '80 「SANDINISTA!」収録

SANDINISTA

パンクグループ、ザ・クラッシュの80年のアルバム「SANDINISTA!」収録曲。オリジナルはポップス系黒人歌手EDDIE GRANTが在籍していたイギリスの60年代のロックグループ、EQUALSの1968年の作品。結構人気のある曲で日本でもB'Zの稲葉浩志なんかもカバーしているようです。

クラッシュはパンクバンドとして周知されているけど、実はポップな名曲を数多く作ったグループでもあります。当ブログでも既にハリーラブ古典の HITSVILLE U.K. を初め、 GATES OF THE WEST SOMEBODY GOT MURDERED STAY FREE と合計4曲も取り上げています。パンクということで敬遠しているポップ好きの方がいたら是非偏見を持たずに一通り聴いてみて欲しいですね。

曲は明るく元気なロック調ポップ。テンションの高いイントロのギター・フレーズ、明るく溌剌としたミックジョーンズのヴォーカル、そして月曜日から日曜日までを連呼するサビのキャッチーさ等で元気一杯。歌詞的には「警察に追われ逃げ続ける俺」みたいな内容で暗いと言えば暗いんだけど、その辺を微塵も感じさせない楽観的で前向きな感じがイイね!もっさりとしたオリジナルと比べてクラッシュ版の垢抜けた弾けっぷりで、改めて彼らのポップセンスの素晴らしさに気づかされます。

「YOU TUBE」 で聴けます。

EQUALS / POLICE ON MY BACK
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(溌剌さ) ポップ偏差値合計
9
9 7 7 6 6 7 7 4 62


TRACEY ULLMAN / TERRY '84 (Stiff Records)



スーパーポップな名曲「Breakaway」を持つイギリスの女性歌手、女優、コメディアンであるトレイシー・ウルマン。日本で言うと森口博子辺りの立ち位置か。彼女は他にも「They Don't Know」、「Long Live Love」、「Bobby's Girl」といったポップな名曲があるけど何れもカバーソングなのは彼女個人の趣味?はたまたStiff Recordsの意向?この「Terry」も同じStiff Recordsの女性歌手Kirsty MacCollの83年のヒット曲のカバー。どうやらトラックは同じもので、すぐ翌年にカバーされたりと製作背景は安易な感じ。然しながら曲の方は全体を通してキーもテンションも高い明るく元気なスーパーポップな内容。トレイシーの歌声はクリスティよりも陽性で、透明感と突き抜けるようなポップ感が断然良い。この彼女の歌声が数々のオールディーズ・リバイバル・ヒットを生んだ秘訣になっているのかも。因みにこの曲は当時とんねるず出演の「トライアングル・ブルー」という深夜ドラマの中での 「理恵とともみの突然DJ」 (川上麻衣子 可愛かずみ)というコーナーのBGMに効果的に使われていました。

「YOU TUBE」 で聴けます。

Kirsty MacColl / Terry
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(突き抜け感) ポップ偏差値合計
9
9 7 7 7 6 6 7 4 62


New Edition / Duke of earl '86 「Under the Blue moon」収録



軽めのR&Bグループのニューエディションが86年に出したDOO-WOP系名曲のカバー・アルバム「Under the Blue moon」収録曲。オリジナルは62年の Gene Chandler 版。このNew Editionの新エディションは原曲からグッと派手にアレンジしたサウンドが機械臭こそすれメリハリと重量感があり、ある意味聴き応えがある。(同じオールディーズ・カバーものとしては「竹内まりや / Longtime Favorites」というのが有るけど、あまりのバックのショボさにガッカリ・・・)「侯爵」とか出てくるテーマや曲調にもマッチしてるんじゃないかな。そしてリードの明るく伸びやかな唱法、声質で原曲からずっとポップに仕上がりました。

因みにこのアルバムは他にも「Earth Angel」、Blue Moon」といったDOO-WOP名曲がやはり現代風に味付けされ、なかなかポップに仕上がっておりお勧めです。是非全曲聴いてみて下さい。アルバム全体に言えることだけど、原曲から四半世紀が過ぎ、ソウルの時代もとうに終焉を迎えた時代だからこその軽めの解釈が却って良かったんじゃないかな。その意味では正統派のDOO-WOP、SOUL、R&Bのどちらのファンからもあまり歓迎されなかったのでは?とも思いますが。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(DOO-WOP) ポップ偏差値合計
7
8 8 6 6 8 7 7 5 62


PAULINE MURRAY & THE INVISIBLE GIRLS / THUNDER TUNES '80 LP「PAULINE MURRAY & THE INVISIBLE GIRLS」

pauline.jpg

「SHOOT YOU DOWN」 「WHEN WILL WE LEARN」 と既に2曲取り上げたポーリンマレーだけど、皆さんお聴き頂けてますでしょうか。この曲も同じアルバム収録曲で同様にポップな内容。明るい曲調とカラリと乾いた空気にドラムのバシャバシャ音が瑞々しく、夏の高原の爽やかな朝なんかを感じさせます。リードの声質も明朗快活で魅力的ですが、そこは元パンクということで強い意志をも垣間見せ、自立した女性といった印象があります。 LUCHICA嬢 のような可愛らしさを前面に押し出した女性ヴォーカルもいいけれど、ポーリンマレーのような「強い」女性というのもまたいいものです。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(明朗快活) ポップ偏差値合計
8
7 7 6 6 7 7 9 5 62


RCサクセション / トランジスタ・ラジオ '80 作曲忌野清志郎、G.1,238,471 編曲RCサクセション 「PLEASE」収録

RC RADIO.jpg

日本のロックバンド、RCサクセションの80年のヒット曲。久保講堂でのノリの良いライブアルバム「RHAPSODY」を出した後の人気が急上昇してきていた頃の作品。私も高校生だったこの当時、某地方都市の小さな会場で彼等のライブを体験しましたが、オープニングと同時に観客が(私も)ステージ下まで殺到し、オープニングを二度やり直すという凄まじさで圧倒されました。

この曲は、そんなノリに乗っていた時期の作品で、彼等のポップ感覚と瑞々しさがうまく凝縮されたポップロック。イントロの軽やかなシンセの音色はほぼ同時期に発売された Orchestra Manoeuvres In The Dark / Enola Gay に似た感じ。「屋上」、「陽のあたる場所」といった歌詞を伴う曲調は明るく乾いた空気が漂い平和なムード。「トランジスタ・ラジオ」から外国のヒット曲が聴こえてくるという状況も異国情緒があるし、少し懐古的でのんびりとした雰囲気がいいのです。軽やかなギターや爽やかなコーラスに載って歌う忌野清志郎のとぼけ気味のヴォーカルは面白く曲調にも合ってますネ。全体として、ちょっと非日本的な所が魅力的な曲で、将に屋上で寝そべりながら聴きたい曲です。 「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(乾いた空気感) ポップ偏差値合計
7
7 8 6 6 7 7 9 5 62


CLASH / STAY FREE 「GIVE'EM ENOUGH ROPE」'78

CLASH GIVE EM.jpg

クラッシュの2NDアルバム収録曲で、アルバム中唯一ミック・ジョーンズがヴォーカルをとっている曲。古い親友に向けて学生時代の思い出を語っていくという内容。この設定自体泣きの要素が強いのですがメロディも甘く優しくノスタルジックな雰囲気いっぱい。更にミックの素朴で実直な人柄を感じさせるヴォーカルも相まって、全体的に青春時代の甘酸っぱい香りが充満している良曲です。パンクな彼等だけどメロディアスで甘くポップなこの曲は、同じイギリスのネオアコ・グループに通じるものがありますね。(そういえばアズテック・カメラもクラッシュ(ジョー・ストラマー)のこと歌っていました。)それと歌が終わってから更に1分ほどもギター中心のインストが入る構成が、曲の甘酢っぱさを反芻できる感じでイイ。

「YOU TUBE」 で聴けます。歌詞つきでどうぞ。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(甘酢っぱさ) ポップ偏差値合計
7
7 6 6 6 9 8 8 5 62


DON CAMPBELL featuring GENERAL SAINT / OH CAROL! '94

REGGAE HITS 16.jpgDON CAMPBELL 7.jpg

NEIL SEDAKAの59年のヒット曲 「OH! CAROL」 のレゲエカバー。1960年前後のアメリカン・ポップスの誰にでも愛される単純明快さが魅力の原曲は、その陽性で乾いたヴォーカルと爽やかなコーラスが素晴らしい曲ですね。私も大好き!そんな永遠の名曲を35年後にジャマイカのレゲエ/ダンスホール・スタイルでカバーしたのが、このシンガー&DJ(ジャマイカのラッパー)のユニット。

原曲のニールセダカに負けず劣らず明るく陽性な声質のヴォーカルの第一声が聴こえた瞬間、「これはイケル!」って感じましたネ。ちょっと甘味と哀愁を帯びた唱法もグッド。そしてそれに絡む、超ダミ声なDJの低音ヴォイスも愛嬌があって曲の陽気な雰囲気をますます盛り上げます。ダンスホールものとしてトラックはもう一つグルーヴ不足という感じですが、シンガー&DJスタイルという情報量の多さからも個人的には原曲よりも飽きにくく長く愛聴出来てます。

この曲は12インチシングルも出ているのですが(「YOU TUBE」にアップされてる)、少し間延びしたミックスで内容はいまいち。私のオススメは英JETSTARの名コンピ「REGGAE HITS VOL.16」収録の3分37秒の短いバージョン(おそらくRADIO EDIT)。 こちら で聴くことが出来ます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(シンガー&DJ) ポップ偏差値合計
9
8 7 5 6 8 6 8 5 62


FICTION FACTORY / (FEELS LIKE) HEAVEN '84 「Throw the Warped Wheel Out」収録

fiction factory Throw the Warped Wheel Out.jpg

イギリスのニューウェイブ系バンドでスペクター/ナイアガラ系音壁サウンドが聴ける歌は?と考えてみると、これがほとんど思い浮かばない。私が思い浮かぶ唯一それっぽいのがこのフィクションファクトリーの84年のヒット曲。イントロのエコーのかかった澄んだエレピの響きがちょっとナイアガラっぽいかなあと思いますがいかがでしょう。そこの部分のメロディラインはかなり甘く情緒的で美味。全体のメロディはチト大味で繊細さに欠け飽きやすい嫌いがありますが、爽やかで透明感もあり、空気の冷たさも心地よい。他にはグロッケンっぽい音が入る程度でサウンド的に音壁っぽい部分は無いけれど、エレピの部分だけでも十分満足いきません?

「YOU TUBE」で この曲のPV が見れます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(エレピの響き) ポップ偏差値合計
6
6 8 6 6 8 9 8 5 62


XTC / GENERALS AND MAJORS '80 「BLACK SEA」収録

XTC  GENERALS  MAJORS.jpgxtc black sea.jpg

イギリスのパワーポップ・バンドの80年のアルバム第4作目「BLACK SEA」収録曲。一聴して明るくポップな曲なのですが、アメリカ西海岸の何も考えてないような能天気さとは違った明るさ、元気さを持つ。一番の魅力は全体のキャッチーなメロディライン。かと言って過度にポップ(大衆性)を指向していない作りであるところがマニア受けする理由か。

途中「HEY! HEY! HEY! HEY! (OI! OI! OI! OI!か?)」と掛け声が入ったりする元気の良さや如何にもイギリスっぽい「しゃがれた」味のあるギター・フレーズなども魅力。どこか知性を感じさせるところもこのグループが受ける要素だと思うけど、その辺はSCRITTI POLITTIにも似た印象ですネ。スピード感と若さ故の弾けっぷりも加わり小気味良いパワーポップに仕上がってマス。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(パワーポップ) ポップ偏差値合計
7
8 6 7 6 8 7 8 5 62


PAULINE MURRAY & THE INVISIBLE GIRLS / SHOOT YOU DOWN '80 LP「PAULINE MURRAY & THE INVISIBLE GIRLS」

pauline.jpg

パンクバンドPENETRATIONSのリード、ポーリンマレーのソロアルバム収録。明るく瑞々しい軽快なポップだけど一般受けするような軟弱な大衆性は無く、そこにはダイヤモンドのように固く光る個性的な輝きがあります。歌詞も「お前を倒す」です。こんな歌詞を明るく歌うところなんかは「BOB MARLEY & THE WAILERS / SMALL AXE」を彷彿させますね。そしてそこに強い不屈の意志を感じさせるところも一緒です。聴く人を選ぶパンク・ポップ。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(不屈の意志) ポップ偏差値合計
7
8 7 6 6 8 6 9 5 62



洋楽スーパーポップの世界(5)


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