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コウです。242回めの日記です。今、日本の自宅のパソコンでこの日記を書いています。ビザの関係で一時帰国しており、9月2日に再びバンコクに戻る予定です。コウがタイに渡ってから一年弱の時間が経ちました。コウはタイ国内で、洪水、ワニとの遭遇、軍事クーデター、自宅への空き巣の侵入、タイ式のお葬式への参列、カンボジアやミャンマーへの陸路での渡航、中国正月、タイ正月の水かけ祭り、灯篭流し、そして、かつて愛した女性との関係の断絶を経験しました。その間に日本では、首相が橋本氏になり、ギター侍やレイザーラモンHGが姿を消し、原子力発電所のある地域に地震が起こり、コウの母方の祖母と飼い猫の一匹がこの世を去り、妹が女児を出産しました。いろいろなことが次から次へと起こり、コウはそれに対応するだけで精一杯でした。しかし、それでもコウはタイで生きていくことを選択しました。今、コウは、かつての恋人であった中華系タイ人の女性とは別の女性を好きになり、タイ語がある程度は話せるようになり、その結果、コウはタイ人の思想に深く根を降ろしているいくつかのタイ語を、魂の奥の深い部分で理解しました。そしてそれは、コウが「典型的な日本人」ではなくなったことを意味しました。コウは変わったでしょうか。変わったかもしれません。変わらないかもしれません。ただ、コウはこの一年の間に、とても重要なことを学んだような気がします。それは「マイ・カウチャイ」。和訳すると「分からない」。分からないことを「分からない」とはっきり言うこと、それはとても勇気のいることです。誰にだってプライドがあります。「分からない」とはっきり言って他者から馬鹿にされたりはしたくないでしょう。しかし、はっきり言わなければいけない、逃げてはいけない状況というのが存在します。コウの元恋人は、異常なまでにプライドの高い人でした。そして、それ以上に臆病な人でした。分からないこと、知らないことを分からない、知らないと言えず、見え透いた嘘を並べ立て、自分の殻に閉じこもり、罵声と暴力で身を守り、その結果として他者からの信頼や尊敬を失い、それによって起きる精神的なストレスを、自分より弱い者を攻撃することで発散させようとする人でした。彼女は自分にとって都合の良い事実、あるいは作り話だけを寄せ集めて、自分という人間を演じていました。そのことに気づいた時から、コウは彼女の存在を、現実のものと思えなくなりました。彼女の表情や言葉の全てが作り物としか思えなくなったのです。そして今、コウは再びタイに向かうために、少しずつ準備を進めようとしています。恋人と別れてからのコウの前には、「現実」が広がっていました。ごっこ遊びではもはやない、本物の体験でした。そして、現実というのはコウが思うほど恐ろしくはないのだ、ということに気づきました。次にタイに行った時には、一体なにが起こるんだろう。今から一年後、コウは何をしているのだろう。オカマの集団スリに囲まれて財布を抜き取られるのか、暴走バイクタクシーに乗ってバンコクの町を爆走する羽目になるのか。タイ北部の田舎町でトウモロコシでも栽培しているのか、それともバンコクの日本料理店で、タイ人相手に寿司を握っているのか。頭を剃り、黄色い衣に身を包んで托鉢に出向くのか、それともスーツを着込み、冷房の効いた部屋で書類を読んでいるのか。どんなことでもいい。それが作り物でないなら、何が起こってもいい。さあ来い、現実よ。ぼくは無知だ。何にも知らないし、何にも分からない。 だからこそ、ぼくは自由だ。
2007年07月20日
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