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“You Are My Destiny” by Paul Anka 1957
“You Mean Everything to Me” by Neil Sedaka 1960
昔から気になっていることの中に、ポール・アンカの『君はわが運命(You Are My Destiny)』とニール・セダカの『きみこそすべて(You Mean Everything to Me)』 が随分似ているなあというのがあって、一度検証する必要がありそうだと思っていたんです。
どちらもかなりのヒット曲で、ビルボードの当時のチャートで『君はわが運命(さだめ)』の方は7位、『きみこそすべて』は17位に入っていますし、カヴァーも多く、世界中でいろんな言語で歌われてきました。
それで、この2曲が似ているって、どのくらいの人が思っているかはわからないので、ネットで色々拝見しましたが、類似性を指摘するものはあっても、あまり突っ込んだ例はありませんでした。
でも、たとえば Wikipedia の “You Mean Everything to Me (Song)” の項目に「・・・ The song bears similarity to Paul Anka’s “ You Are My Destiny ”,・・・ 」の記述が。
だからこの2曲に関しては、世界中には多かれ少なかれ「似ている」と感じている人も多いんだろうなということは、わかったようなわけです。
ちょっと詳しく見てゆきましょうか。
まず、共通点として最も気になるのは、この二人は、このタイプの曲は他に書いていないということです。つまりマイナーキー(短調)のスローな三連ロッカ・バラードは他に見当たらないんです。 そもそも マイナーの曲自体がほとんど無い。
たとえば、ポールアンカ の場合、 “ Crazy Love ” は良く似ているんですが、マイナー(短調)で入ってメイジャー(長調)で終わる。つまりキーはメイジャーということで、純粋なマイナーの曲とは、とても言えない。
ニール・セダカの場合でいうと、日本で大ヒットした『恋の片道切符 (One Way Ticket to the Blues)』がマイナーの曲です。が、こちらはスロー・バラードではなく、メィディアム・アップテンポで、何よりこれに限って作曲者はニール・セダカではない。ほとんどの曲を作詞のハワード・グリーンフィールドと共に書いたニール・セダカにしては、極めて珍しいケースです。
もう一つ、どうしても指摘しておきたいのは、悲しみ或いは寂しさを表現するのにふさわしいと思われるマイナーの曲なのに、二曲とも歌詞の内容は悲しいものでも寂しいものでもなく、むしろ愛する相手に対して最大限の愛情表現を並べて朗々と訴えるという「愛情宣言の歌」になっている。
これは一体どういうことなのか。
そもそも、ラテンやシャンソン、古賀メロディーに代表される昭和歌謡などで歌われるマイナーの曲は、悲しみや寂しさをダイレクトに歌うものが多く、その延長線上にあるポップスの名曲も数多い。つまり、この点では歌詞の内容とメロディーはマッチしている。
それに対して、ブルースやカントリー&ウェスタン、スウィング・ジャズなどを基調とした1950年代以降のアメリカ生まれのポピュラー・ソングには、いわゆるマイナーの曲は非常に少ない。言い方を変えると、どんなに悲しい内容の曲も、メイジャー・キーで歌う。つまり、メロディーだけ聴くと、悲しい歌とは思えないものがほとんどなのだ。
ポール・アンカもニール・セダカも、デビュー以降このようなアメリカン・ポップスの流れの中で、自作のメイジャー・キーの歌を作り、歌っていたが、まずポール・アンカがデビュー間もない1957年に、悲しくも寂しくもない内容のマイナー・キーのバラード “You Are My Destiny” を作り、大ヒットとなる。悲しく寂しい内容の歌をメイジャー・キーで作る伝統とは正反対なところに注目したい。
これは要するに、それまでの伝統的な曲作りを敢えて打ち破ったということではないだろうか。だから、聴く方もそのユニークさに惹かれ、受け入れることになったのだと思うのは考え過ぎだろうか。
では、なぜこの路線でどんどん曲を作らなかったのかといえば、それは当然、マンネリを避けたということだと思う。とにかくこのマイナー・キーのバラードは、ワンパターンになりやすいので、その辺はポール・アンカ自身も重々承知だったのだろう。
ここで、ニール・セダカ1960年の “You Mean Everything to Me” の登場となる。
この歌も、マイナー・キーのスロー・バラードで、コード進行はほとんど “You Are My Destiny” そのままで、違うところといえば、こちらにはいわゆるサビが無い。それ以外は、転調の仕方や歌詞の内容まで、かなり似ている。
ここからは、まさに推測の域を出ないのだが、ニール・セダカは “You Are My Destiny” をはっきりと意識して “You Mean Everything to Me” を書いたのではないだろうか。
例えば、歌詞の中に ♪ …You are my life, my destiny … などとあり、これはもう所謂オマージュとも考えて良いと思う。
それで、ニール・セダカはというと、彼もやはり同じタイプの曲はその後書いていない。
書き忘れたので、ついでに書いておくと、デビュー当時のポール・アンカは英訳のシャンソンを歌った LP もあるくらいだから、“You Are My Destiny” の曲作りにはそれらの影響もあろうかと思う。
以上で、20世紀のポップスを語る上で欠かせない二人の、珠玉のマイナー・バラードについての考察は終了ですが、改めて聴いてみると、どちらも本当に良い曲で、ヒットしたのも当然だと思うのでありました。
“You Are My Destiny” by Paul Anka 1957
“You Mean Everything to Me” by Neil Sedaka 1960

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3月27日の穴沢ジョージの “Good Old Music” のオンエア曲です。
1 . 太陽を探せ (デル・シャノン) 2 . No Reply3 . Rock and Roll Music (以上、ビートルズ) 4 . バラ色の人生 (ヘルムート・ツァハリアス) 5 . 魅惑のワルツ (Jane Morgan) 6.Stand by Me ( 忌野清志郎)7 . Roll Over Beethoven (ベン E. キング)8. You Are My Destiny (ポール・アンカ) 9. You Mean Everything to Me (ニール・セダカ) 10. Passing Time (The Cookies) 11.Keep a Walking (Bobby Darin)
リクエスト曲は、7.酋長Kobaさん。8.ウィンカー・ダッソーネさん。以上、ありがとうございました。
上記以外は、穴沢選曲でした。1.2.&3.は1965年3月25日付「9500万人のポピュラーリクエスト」の上位3曲。#3.2.1.の順番でお届けしました。4.(映画「麗しのサブリナ」の挿入歌)&5.(映画「昼下がりの情事」の挿入歌)は、この日が映画監督ビリー・ワイルダーさんの命日(2002.3.27没,享年95)で。8.&9.は、本日の聴き比べ。9.~11.は、ニール・セダカ(作曲)&ハワード・グリーンフィールド(作詞)のコンビによる作品特集。
以上。4月からもよろしく。
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