Road to an Agriconsul

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2007年05月05日
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カテゴリ: 村のこと


 ただ、新島で端午の節句に食べられる郷土食に「しょうぶ」というのがあるが、これがいわゆる一般的な「端午の節句のちまき」に近いものではないだろうか、と私は想像している。

 新島では毎年5月3日・4日に商工会が主催する「観光朝市」が開催される。今年は新島の黒根港に近い観光協会前の駐車場スペースに約10数件の露天がたち、天候に恵まれたこともあって、大勢の村民や観光客で賑わったのだが、その中の農協のブースで販売される人気商品に「しょうぶ」がある。

 そして農園の加工調理場では、朝市の前日の5月2日から島の60代のおばさんたちが7~8人ぐらい集まって、その「しょうぶ」つくりに精を出していた。
 仕事の合間を見て「しょうぶ」つくりの中心となっているおばさんにこの作り方を尋ねたら、(1)上新粉に塩と少々の砂糖を入れて、お湯で練る、(2)それを直径2cm、長さ7~8cmの紡錘形に丸める、(3)それをカヤの葉に包み、上下を藁で縛る、(4)最後にそれを熱湯で茹で上げる、と教えてもらった。

 特に私が驚いたのが、茹で上げる熱湯には海水を使うということだった。当然お湯に塩を入れて茹で上げることもできるのだが、熟練のおばさんに言わせると、それではうまみが出ないとのことだった。そのためおばさんたちはわざわざ水がきれいな堤防の先まで行って、海水をくみ上げては、それを持ち帰り、ちょうど良い濃さに調整して沸かして利用しているのであった。

 また昔は今のように塩や砂糖などは入れずに、上新粉をお湯で練って形を整えたものをそのままカヤに包み、茹で上げていたそうだ。当然砂糖が高価だったということは言うまでもないが、海に囲まれた島でありながら、塩も貴重だったいうのがその理由らしい。だから沸かした海水で茹で上げることで、塩味を加えていたのだろう。

 ところで食べ物は何でも作りたてをいただくのが美味しいと言われるが、この「しょうぶ」も茹でたてが一番うまい。残念ながら販売会場で茹で上げることが出来ないのでアツアツのものを食べることは出来ないのだが、農園で働いている私は、時折おばさんから「味見してみない?」といって茹で立てを2~3個いただくことがある。

 鍋から取り出されたばかりで手で持つことができない「しょうぶ」を、フウフウいいながら、一枚一枚カヤを剥ぎ、口へほうばるのだが、「口の中に広がるカヤの香りと甘さ」がなんともいえず絶妙で、ついついもう一つもう一つと手を伸ばし、あっという間に全部平らげてしまう。
 まったくこういう味見ならば何回でもウェルカムである。

 ところでなぜこの練った上新粉をカヤで包んだ「ちまき」のような食べ物を「しょうぶ」と呼ぶのか私は分からないが、地理的には関東に属する新島が、端午の節句にこの「ちまき似のしょうぶ」を食べる関西的な文化を受け継いでいるところに私は興味をそそられる。
 これも西から流れる黒潮によってもたらされた、「黒潮文化」の表れなのだろうか。
 「しょうぶ」を口に頬張りながらそんなことをふと考えてしまった。

ショウブつくり
<ひとつひとつ丁寧に作り上げていきます>








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最終更新日  2007年05月07日 18時54分22秒
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