うたたねの詩
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関羽の死後、劉備は悲しみの中にいたが、ついに仇を取るため諸葛亮らの反対を押し切り、孫権領へ突入。私怨に駆られる劉備軍の勢いはすさまじく、誰にも止めることができない。子明の後任にあたった武将も「孫権様、申し訳ありません」「よい。今は敵に勢いがある。これを止めるのは難しいことぐらいわかる」「しかし、私には荷が重すぎます。どうか代わりの者を立ててください」「簡単に言うが、他に誰がいるというのだ?」「呂蒙殿の右腕として働いていた、陸遜がいいかと」「陸遜か、まぁ適任だとは思うがな・・・」孫権は気がかりに思うところがあった。「経験値、ですか。ですが、こんな時は例外があってしかるべきかと」その言葉に孫権はうなずく。「わかった。この窮地、陸遜に託す」陸遜は任を受け、前線に赴くと、空気が重苦しかった。「陸遜、来てそうそう悪いが軍議を開く」「はっ」「陸遜、策を聞かせてくれ」「今対抗することは得策ではありません。 このまま下がり続けます」「それでは敵の士気は上がり、我々の士気が下がる一方ではないか。 勝てるものも勝てなくなるぞ」「状況が打開できないから私が呼ばれたのではないのですか?」「・・・じゃぁ、その先の策があるというのか?」陸遜は衣を正して答える。「敵の陣形が長く伸びた時、数か所に火をつけ分断させます」「・・・本当にうまくいくのか?」実戦経験の少ない陸遜に不安の声が投げかけられる。「これは荊州を攻めると決めた時から呂蒙様が考えていたことです。 皆が力を合わせれば間違いなく勝てます」「わかった。退却の準備を」数日後、劉備軍の侵攻は続き、その陣形は長蛇を成した。「時は来た、火を放て!」風に舞う火は瞬く間に劉備軍を散り散りにさせる。状況は一転、孫権軍は今までの抑圧を解放。劉備軍はただただ劉備を守るため、多くの犠牲を払っていった。劉備が逃げ切ったことで、陸遜たちも退却を決めた。「陸遜、よくやってくれた」「いえ、呂蒙様から授かった策のおかげです」「その呂蒙も言っておったぞ。 そなたの才は呂蒙を越えている。 あとは将たちを率いる経験値だけだ、と。 これで皆もそなたのことを認めざるを得なくなったな。 今後は心置きなく都督としての使命を果たしてもらうぞ」「はっ、ご期待に添えられるよう精進いたします」「そんなに気負うな。呂蒙にはずいぶん無理をさせてしまった。 早死にさせてしまった一因は私にある・・・」孫権は子明に勉学をするように勧めたことを思い出していた。「そんなことはありません。 呂蒙様はそのことを常に感謝していました。 あの言葉が無ければ、今が存在していないのだから、と」二人は改めて子明を思い、涙に暮れた。
2014/11/03
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