心の健康と子育てを考える              ベイサイドカウンセリング  Part2

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2006.11.19
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 20数年前、東京の病院に勤め、受付業務に携わっていた頃、救急車で自殺を図った女性が運ばれてきた事があります。
 看護婦や救急隊の人たちと一緒に、意識を失った女性を運びました。救急車の中で応急処置はしてあったと思いますが、鋭利な刃物で切られた手首からは依然としておびただしい出血が見られ、看護婦の白衣が真っ赤な血に染まったのを覚えています。初めての体験に大きな衝撃を受けたものでした。
 緊急の手術を受けている間、夫や子供が不安そうに待合室で待っている姿、警察官が病院で家族に事情を聞いている姿が今でも思い出されます。その後、この女性がどうなったのかはわかりません。
 自殺は、家族を含め、様々な人たちにどんなに大きな悲しみと苦悩をもたらすかということを、その時、目の当たりにしました。 

 今、中学生の自殺問題が社会的な問題となっていますが、1年間の全年齢の死亡者総数の内、自殺者が約3万人います。
 交通事故死を減らそうと様々な取り組みがなされていますが、年間の死亡者は1万人弱、東京大空襲での死亡者数は10万人、ベトナム戦争での米軍の死亡者数は5万8千人です。
 交通事故での死亡者数を自殺者数と比較してみると、圧倒的に自殺者数の方が多いことがわかります。また、悲惨な戦争での死亡者数と比較してみても、ほんの数年分で自殺者数が戦争で死亡した人の人数を上回ることになります。これほど多くの人が、自殺している今日、子供の自殺を止めることのできるほどの説得力を大人は持っているでしょうか?大人が、社会が良い模範を示さずして、子供の自殺を食い止めるのは難しいのではないでしょうか。

 今朝のテレビ番組で、芥川賞作家で僧侶の玄侑宗久さんが、「みんな、この世は無常だということを忘れている」と言っていました。私はこれまで、「無常」とは、「はかない」という意味だと理解していましたが、「世は常じゃないということ。今の状態がいつまでも続くのではなく、良いときも悪いときもある」という意味だそうです。
 自殺を考える時、人は、今、自分が置かれている状況しか見えなくなっているので、先を見ることが難しくなっています。今の状態がいつまでも続くとしか考えられなくなってしまい、希望を失ってしまうのです。





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Last updated  2006.11.19 20:43:14
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