私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2017年10月12日
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カテゴリ: 千の朝


 人間の尊厳や道徳(美徳)がなくなる社会を
 理想としたのではない。

 その逆であって、人間の尊厳とか道徳そのものを憎み、
 これらの存在しない社会を追求したのである。

 「平等」な政治社会とは
 人間が動物化された結果としての社会のことである。

 だから、人間が尊厳とか知性とか徳とかの
 人間であるための証であるもの一切を

 これをもってルソーは
 「美徳ある人間」になったと
 心底から感じるのである。

 これがルソーの『学問・芸術論』の主旨である。

 一七五〇年出版の『学問・芸術論』とは、
 四年後に書きあげた
 『人間不平等起源論』の前編をなすもので、
 ルソーの政治哲学に関する処女作である。

 ここにおいてルソーは、「学問、文学、芸術は、
 人々がつながれている鉄鎖の上に花飾りをひろげ、
 ……彼らにその奴隷状態を好ませ」るものだ、

 あろうことか逆転させて激越に断罪し、
 人間の知性や美をことごとくゼロの水準にする
 未開化とその極限をもって
 人間の理想だと主張したのである。

 また、仁慈や礼譲あるいは節度などの

 (疑心、冷酷、嫉妬、裏切り、……などの)
 「悪徳」であり人間の「内的腐敗」であると、
 倒錯して糾弾したのである。

 つまり、ルソーは、
 「戦争は平和である」など転倒語法の
 もう一人の名人であるレーニンと同じく、
 (一般の通念上の)道徳の完全ゼロをもって
 「美徳」と定義している。

「正統の哲学 異端の思想」 中川八洋 徳間書店





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最終更新日  2017年10月12日 07時21分56秒
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