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本作は、望月麻衣さんが小説投稿サイト「エブリスタ」に投稿した 『花散る桜の園』を改題、大幅に加筆・修正したもので、2023年5月の発行。 『わが家は祇園の拝み屋さん』の世界観を大正時代に移したような感じの作品で、 私は「賀茂家」や「審神者(さにわ)」の言葉に激しく反応してしまいました。 ***八咫烏の子孫と伝えられる賀茂家の右腕と言われた梅咲家と左腕と呼ばれた桜小路家。昔から対立するこの両家、梅咲家は流刑者・規貴が出て失脚、桜小路家も資金難に陥っていた。そこで、梅咲家の娘・菖蒲と桜小路家の三男・立夏の縁談を進めることで、梅咲家は名誉の回復を図り、桜小路家は没落の危機を免れようとしていた。かねてより立夏に思いを寄せていた菖蒲は、予定より早く15歳で桜小路家に入ることに。しかし、20歳の立夏を始め、周囲の人々の言動は辛辣で冷酷なものばかりで、菖蒲を苦しめる。さらに、立夏が使用人の千花に思いを寄せていることが明らかになり、菖蒲は自らが婚約解消されるように仕向けるべく、計画を練るのだった。しかし、菖蒲の付添い・桂子から事情を知らされた立夏は、その計画を事前に阻止。さらに、ピアノの恩師から菖蒲の人となりや辛い過去の傷について聞かされた立夏は、これまでの行動を恥じて菖蒲に謝罪すると共に、自分が千花と駆け落ちしようと決意する。ところが千花は態度を一変、これまでの行動は長男・喜一の妻・蓉子の指示だったと暴露する。蓉子は、結婚後冷たくなった夫や次男・慶二に恨みを持ち、桜小路家に復讐を謀っていた。それは、立夏の縁談を失敗させることで梅咲家から桜小路家への援助を断ち切り没落させること。しかし、自分の部屋に夫が他の女を連れ込んで、戯れているところを目にした途端、そのベッドに向かってランタンランプを投げつける。炎に包まれる桜小路邸の中で、菖蒲は立夏と妹・撫子の母親の肖像画を手に、立夏を探していた。そして、煙に包み込まれる危機に際し、『麒麟』の力を発現させたことで一躍『斎王』候補者に。「審神者」となっていた兄・藤馬は、候補者となった菖蒲の護衛者を募り、白虎の力を持つ秋成、青龍の力を持つ春鷹、玄武の力を持つ冬生、朱雀の力を持つ立夏の4人が選ばれる。『斎王』候補者として4人に護衛されながら、籠に乗って鞍馬寺に到着した菖蒲は、『斎王』に相応しいか、出雲に集う神に問う儀式の中で、兄と蓉子の関係を知る。そして、蓉子こそが斎王の器だと気付き、兄に喜一と離縁した綾小路蓉子を迎えに行かせる。その後、菖蒲と立夏は、それぞれの思いを語り合い、遂に菖蒲の恋が成就する時を迎える。
2024.10.13
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「冷凍トイレ」これは、博士が、ルートの国語の宿題のために考えた回文。博士は、どんな長い文章でも易々と逆さまから言い換えることができる。ま、確かに博士が言うように、あまり世間の役には立たない能力かな。でも、ルートが言うように、皆を驚かしたり、わくわくさせたり、喜ばすことはできそう。それに比べると、もう一つの才能、誰よりも早く一番星を見つけられることの方は、ちょっとインパクトが薄いような……。ある日、主人公が書斎の本棚を整理していると、数学書の山の中にクッキーの缶を見つける。中には、一つ一つ丁寧に保管された、阪神タイガースの選手たちのカード。吉田義男、村山実、若林忠志、景浦将……中でも江夏豊は別格の扱い。そして、それとは別に、大学ノートに見つけた走り書き。『14:00図書館前、Nと』なかなか、怪しい感じが出てきましたね。6月2日、対広島戦に三人で出かける。主人公たちが住む町に阪神が遠征してくるのは年に2回ほどなので貴重な機会。江夏の登板を気にする博士。江夏が引退したことが、ばれないよう気遣う主人公とルート。当時の背番号28は中田良弘投手。入団した頃は、阪神投手陣の中では球速が速いほうで、セーブもかなりあげました。ルックスの良さから「トラボルタ」と呼ばれて女性からの人気もあり、1985年には12勝、優勝の原動力となる活躍ぶりでした。1992年時点では、肩を壊して登板機会がほとんど無かったと文中にあるように故障が多かったのが残念な選手でした。さて、スタンドでの博士といえば、一番かわいらしい女性の売り子さんからジュースを買うように主張したり、塁間の距離やマウンドの高さ、打率データ、捕手が盗塁の走者を刺殺するのに要する時間等々、さすがに数学者の発言の連続。そして試合は9回裏。8回まで広島打線をノーヒットに押さえ込んできた中込が、最終回のマウンドへ。「あと三人……」と誰かが漏らした言葉に、「ノーヒットノーランが達成される確率は、0.18%」と返す博士。初球はファールボール。その打球が、ルートの膝をかすめる。ルートを庇い、覆い被さる博士。その後、博士がファールボールの衝撃を数値で言い表しているうちに、打者は2球目を、あっけなくライト前に運んだのでした。
2006.08.30
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最近、私の贔屓にしているチームが、相手のカウンター攻撃を受けると、 ディフェンスが戻りきれずに失点するパターンが続き、 近年では記憶にないほどの連敗を喫してしまった。 それで思ったのは、「本当にディフェンスは難しいなぁ」ということ。 本著の副題は「ゾーンディフェンス論」。 著者は、ヴィッセル神戸でプレーしていた松田浩氏。 現役引退後、神戸でコーチ、福岡や神戸、栃木で監督を務めた経験を持つ、 確固たる守備戦術を駆使できる、希少な指導者である。そして、彼が推奨する「ゾーンディフェンス」とは、次のようなものだ。 ボールの位置、次に味方の位置を見ながらそれぞれの守備のポジションが決まる- これが欧州では当たり前に共有される守備の考え方であり、 スタンダードに用いられるゾーンディフェンスの守備の肝である。(p.020)さて、本著の中で、私が特に興味を持ったのは、『セレッソ大阪 最少失点の要因 鍵となるリトリートを読み解く』。初出は『フットボールサミット第17回』(カンゼン社)で、2013年12月に掲載された記事である。 やはり、柿谷の動き出しは、初速の速さ、タイミング、駆け引き、 いずれも日本でトップクラスですよ。 セレッソにボールを奪われた瞬間はこちらの守備も脆弱だし、 ディフェンダーも対応する時間がないので 相手の速いカウンターに対する判断を誤ることがある。 それにカウンターに対する守備は練習ではできても、試合ではできないことが多いんです。 試合では練習のときほど冷静でいられないし、 自分たちの攻撃中の準備ができていないことが多い。 練習では2対2でもゴールは奪われないのに、試合では一瞬でもパニックに陥ると 4対2の数的優位な状況ですらやられてしまうことがあります。 やはり、セレッソが志向するリトリートの守備はサッカーでは強いんです。(p.160)リトリートとは、ほとんどの選手が自陣に下がりゴールを堅く守る戦術のこと。私の贔屓にしているチームは、ポゼッションフットボール志向で、見ている分には、やはりその方が楽しい。でも、痛い目にあうのは、リトリートのチームを相手にした時なんだなぁ。次は『日本代表の守備はなぜ崩壊したのか? ポジショニングから見る4失点の要因』。日本がブラジルに0対4で敗れた試合についての内容で、初出は『サッカー批評issue59』(双葉社)に、2012年11月に掲載された記事である。 ゾーンディフェンスであれ、マンツーマンディフェンスであれ、 カウンターの局面ではいかに早く十分な数の体を帰陣させるか、 それだけしかないんです。 僕はその意識付けを促すためにDのポジションの重要性を選手に伝えている。 ペナルティーアークがDの形をしているから僕はDと呼んでいるんだけど、 DF3枚とボランチ1枚で3と1の形を作る。 クロスに対してこぼれ球を拾われてズドンなんて場面があるからDを押さえるわけです。 カウンターの局面ならば『誰でもいいからDに戻れ』と。(p.169)やはり、全員で攻め、全員で守るという意識が大事。攻守の切り替えを、どれだけ素早くできるかが問題。求められるのは、『ボール周辺の雲行き』を読み、ハードワークをすること。でも、皆が皆、センスに溢れ、無尽蔵のスタミナを持つ選手ばかりではない。続いては『2013コンフェデレーションズカップ 日本代表の守備はなぜ崩壊したのか?』。これも日本がブラジルに0対3で敗れた試合を振り返ったもので、初出は『フットボールチャンネル』(カンゼン社)で、2013年7月に配信されたものである。 最初の5分は”クリティカルフェイズ”と呼ばれる、重要な局面。 僕は前半開始5分と前半終わりの5分、後半開始5分と後半終わりの5分、 それと得点でも失点でもゴール後の5分間。 それをクリティカルフェイズと呼んでいる。 失点しても相手がフワッとしていればすぐに同点にすることもできるし、 逆にこっちがしょぼんと沈んでしまったら、相手が傘になって攻撃をしかけてきて、 そこで連続失点して試合が終わってしまうこともある。 だからその時間帯は気をつけないといけない(p.186)これは、昨日観戦していた試合が、まさにこれだった。相手の攻撃を粘り強く耐えていたのが、前半終了間際にとうとう先制点を許すと、その直後、さらに得点を重ねられて、前半を終えたため、後半には、どうにも立て直しようがない状況になってしまった。まぁ、これはサッカーに限らず、日常の色々なことについても言える。「最初が肝心」とか「終わり良ければ総て良し」とか。車の運転なんかでも、出発直後や到着間近のトラブルは結構多い気がするので、私は、結構気を付けるよう心掛けている。 日本人が日々、温室と形容される甘やかされる環境のなかで、 ぬくぬくと育ってきたことも大きな影響を与えていると個人的には考えています。 日本の社会環境そのものが温室で、それがサッカーの現場にも相通じてしまうものがある。 一方で、海外の育成の現場では、温室とはまるで真逆、 ボールの奪い合いを激しくやっています。 それをメッシやハメス・ロドリゲスらはくぐり抜けてトップ選手になっている。 日本にその激しさを持ち込もうものなら、『子どものうちはそこまでやるなよ』 という反応が返ってきてしまうのが現状の日本サッカーに携わる人たちの感覚であって、 つまりそれが日本サッカー文化なのだと思うのです。(p.232)これも、サッカーだけの話ではないような気がする。世界を相手にするときは、どんな分野でも、国内で発揮する以上のタフさが求められる。
2016.06.26
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『マツダ 心を燃やす逆転の経営』に次の一文がありました。 現場に無理難題が降ってくる時点でその計画は失敗であり、 やらなくてもいい仕事をさせられただけなのに……。 「英雄の誕生とは兵站の失敗にすぎない」という言葉を思い出す。(p.66) これは、著者の山中さんが、まとめのページに書いていた文章ですが、 この言葉の出所が本著であり、本著ではこのように記されています。 「貴官らに自由裁量を与えた以上、責任を負うのが小職の仕事だ。 忘れるな、英雄などというものは、戦争では不要だ。 為すべき手順と準備が万全なら、英雄が生まれる余地はない。 勝つべき戦に勝つだけだ。 英雄の誕生とは、兵站の失敗に過ぎん」 そして火伏は続ける。 「小職の部下に、英雄はいらんからな」(p.240)出雲星系防衛軍軍務局第1部兵站監兼軍需部長の火伏礼二が、部下である同主計少佐兼兵站監補佐の音羽定信に述べた言葉です。 どんな状況で、どのようにしてこの言葉が出てきたのかを知りたくて、本著を手にすることになりました(既に完結巻まで手元にありますが)。この作品は、戦闘のアクションシーンで魅了するタイプのお話ではなく、その基盤となる政治的、経済的、軍事的駆け引きが最大の見所となるようです。それ故、SFとは言いながらも、それぞれの人々が属する部署の背景について、しっかりと把握しておく必要がありそうです。 伝承を信じるなら、4000年前に地球人類は、 異星人の脅威から地球を守る防波堤として、 恒星間宇宙船に人類や家畜などの凍結受精卵を載せ、 複数の恒星系に送り出したという。 これは播種船計画と呼ばれた。(中略) 出雲星系に到達した播種船は、2000年前に惑星出雲に着陸し、 人類を増やし、社会を築き、文明を発達させ、 ついに植民した人類は宇宙に到達し、さらに星系内の惑星にも拠点を築いた。(p.14)これが、出雲星系について説明した箇所。続いては、出雲星系と共にある4つの星系、八島・周防・瑞穂・壱岐について説明した箇所。 出雲星系は人類コンソーシアムの中で、文明発祥の地だ。 他の4つの星系は、出雲星系からの植民の結果だ。 そして我らが壱岐星系は、出雲星系から20光年も離れた辺境の地であり、 同時に人類コンソーシアムの中で、2番目の経済力・工業技術力を有する星系だ。 原則として、人類コンソーシアムの5星系は対等な政治的権限を持ちはするが、 国力の差は如何ともし難く、特に軍事面で人類コンソーシアム艦隊は、 実質的に出雲星系艦隊といっても過言ではない。 壱岐星系以外の八島・周防・瑞穂の3星系は、 出雲の庇護下に置かれているようなものだ。 壱岐星系に独立志向が強いのは、出雲星系からもっとも遠いために、 輸送コストが馬鹿にならず、否応なく地場産業を発展させねばならなかったためだ。 (p.24)5つの星系のパワーバランスが、簡潔に記されています。出雲と壱岐は、ちょっとしたライバル関係にあることが伺われます。そして、人類コンソーシアム(consortium)艦隊について説明したのが次の箇所。やはり、ここにおいても出雲星系が幅を利かせていることが分かります。 コンソーシアム艦隊は、 出雲星系にしか人類が居住していない時代に編成された歴史から、 ながらく出雲星系防衛軍そのものだった。 その後、複数の星系に植民が行われ、各星系政府が誕生すると、 軍令系統は各星系政府との連合形態となった。 しかし、工業力・経済力から、 軍政系統はそのまま出雲星系防衛軍軍務局が担当することとなっていた。(p.33)このような状況下、壱岐星系で異星人が作ったと思われる無人衛星が発見されます。「ガイナス」と呼ばれることになった異星人の拠点と思われる準惑星天涯に向けて、危機管理委員会の命令でコンソーシアム艦隊が派遣されることになり、その司令長官に水上魁吾が、兵站監に火伏礼二が着任します。その艦上会議で、壱岐星系統合政府筆頭執政官のタオ迫水は、コンソーシアム艦隊が、戦時体制を口実に壱岐星系を直接管理することの阻止に成功。それに対し、水上と火伏は、壱岐を戦争に耐えられる兵站基地とするため、壱岐星にある北方特殊機械製造所に降下猟兵第7中隊を派遣し、占領させます。タオは、コンソーシアム艦隊所属壱岐星系根拠地隊指令・相賀祐輔に抗議しますが、相賀の口から出た「兵站の保証の見返りとしての主権の保証」には同意を示します。一方、壱岐派遣艦隊の強襲艦ゲンブで、降下猟兵を率いたシャロン紫壇中隊長は、マイア先任兵曹長の活躍も相まって、天涯でのガイナス戦に勝利したのでした。 ***SFということで、様々な独自設定が現実世界のものとは大きく異なるため、それらを理解しながら読み進める必要があり、その速度は鈍りがちでした。それでも、その世界観や筆者の文体にも次第に慣れてきて、天涯でのガイナス戦は、かなり楽しむことが出来ました。 「ならば、軍隊を組織化する理由。 それは暴力装置で凡人を戦力化するためだ。 歴史を見ればわかる。 少数精鋭のエリート部隊では、戦闘では勝てても、 戦争という大きな枠組みでは勝てない。 少数精鋭と言うと聞こえはいいが、 要するに組織の不備を、 少数の有能な人間への負荷で凌いでいるに過ぎない。 勝てる軍隊とは、凡人を戦力化できる組織なんだよ。 機構がしっかりしていれば、凡人が粛々と与えられた仕事をするだけで、 組織は目的を達成でき、つまりは勝利することができる。 兵站とは、凡人による軍隊組織を、正常に機能させるための機構だ。 だから軍の組織が健全であり、兵站が機能しているなら、 英雄など生まれない」(p.361)これも火伏が水上に語った言葉です。それでは、第2巻の読書に突入します。
2020.08.13
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『週刊新潮』に2022年5月~23年6月に連載された 「この連載はミスリードです」や 23年5月に配信されたデイリー新潮に、加筆・修正して発行された一冊。 著者は、『謝罪大国ニッポン』の中川淳一郎さん。 *** 私も長年ネット編集者をやっているため、 「勝ち馬に乗れ」の法則はよーく分かっています。 つまり、今現在、世間の「風」として流行っているものの続報を 出せば出すほどアクセス数を稼げ、儲かる、という理論です。 雑誌・新聞の部数、テレビの視聴率も同じで、 メディアは、「本当に報道する価値があるもの」よりも 「とりあえず数字が取れて会社が儲かるもの」を重視する傾向があります。(p.73)まぁ、今更感もありますが、そういうことなのでしょう。メディア各社は、利益を上げないことには、存在し続けることが出来ないわけですから。ただ、真偽不明のいい加減な情報が飛び交い、あっという間にデマが拡散していく現状には、営利追及を目的とするプロだけではなく、純情無垢な(?)素人も大いに加担しています。 ***全編を通じて、コロナに対する中川さんの立ち位置が鮮明に伝わって来る一冊でした。その他の話題については、バラエティに富んでおり、興味深いものが多かったです。また、述べておられる内容についても、大いに頷けるところがありました。ところで、中川さん、どういうきっかけで阪神タイガースのファンになられたのですか?
2024.11.30
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『沈黙のパレード』に続くガリレオシリーズ第10弾(長編は6作目)。 巻末には短篇「重命る(かさなる)」が特別収録されています。 これは「オール読物」2023年12月号に掲載された40頁程のお話で、 水死体となった末期癌患者の、遺産相続に対する執念を描いたものです。 ***秋田県の小さな村の高校を卒業後、千葉の紡績工場で働き始めた女性。都会生活にも慣れ、20歳を過ぎた頃、銀座でハンドバッグをひったくられてしまう。それを取り戻してくれた弘司との交際が始まり、やがて身籠るが、弘司は脳出血で急死。女性は出産した女児を手作りの人形と共に籠の中に入れ、児童養護施設前に置いて立ち去る。上野の生花店で働く島内園香は、母・千鶴子と木造アパートに二人で住んでいた。千鶴子は、かつて児童福祉施設に勤めていたシングルマザーだったが、クモ膜下出血で急死。園香は生花店の顧客・上辻亮太と交際するようになり、その後アパートで二人の生活が始まる。時は流れ、上辻の遺体が南房総沖で見つかるが、行方不明届を出した園香は姿を消していた。草薙俊平と内海薫は、園香の行方を追って、アパートの大家・田村、生花店の店長・青山、園香と共に京都旅行に行っていた岡谷真紀を訪ね、アパートで3冊の絵本が見つかったことから、園香が絵本作家のアサヒ・ナナ(本名・松永奈江)と行動を共にしているのではないかと考える。そして、出版社の編集者・藤崎から見せられた絵本の参考文献欄に湯川学の名を見つけることに。その頃、湯川は実家に戻り、病状が悪化した母親を世話する父親のサポートをしていた。草薙は湯川を訪ね捜査協力を依頼、湯川は薫と共に千鶴子が務めていた児童養護施設を訪ね、10歳の園香が写った画像について、半年程前に調査に来た中年女性がいたことを知る。一方、草薙は上辻に繋がる銀座のクラブ『VOWM』のママ・根岸秀美を訪ねていた。 ***この後、島内園香と松永奈江の逃避行の背景が明らかとなり、さらには、根岸秀美と上辻との間で何が起こっていたのかも明らかになっていきます。そして、大どんでん返しの、千鶴子と人形の関係判明。しかし何より驚かされたのは、湯川の出自公開ですね。
2024.12.01
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