2006年10月02日
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カテゴリ: 回想生活

今から十数年前、神戸のSM倶楽部のような店に通っていたことがある。
店の業態は“ボンデージ・バー”ということで、ゴシックな内装の薄暗い店内には黒いヌメヌメした素材のボンデージ・ファッションに身を包んだお姉さんたちが何人もいた。店内には、貞操帯や折檻の小道具などがあちこちに配置されている他、長いバーカウンターの隅の一角には鉄製の鳥篭のような折檻コーナーがあり、天井からは吊り下げられたチェーン、壁にはあらゆる太さの鞭がかかっていた。

通っていたといっても、ワタシは特にSMの趣味があったわけではない。むしろ痛いのは本気でイヤだし、ヒトが痛がっている姿を見ても嬉しくもなんともない。そもそものきっかけは、得意先の担当者がこの店の常連で、時々「ノリ」で連れてこられているうちに、なんとなくワタシも店の空気に馴染んでしまい、得意先の担当者と同様、単なる飲み屋の常連のような関係になっていったのであった。店のスタンスとしては、あくまで“ボンデージ・バー”なので、店の内装や小道具やお姉さんたちのコスチュームも含めて、基本的には演出的要素が強く、客も、必ずしも毎晩本気のプレイを求めて来るわけではない。

ただ、本人が望めば、もちろんいつでも「調教」してもらえる体制は万全である。特に、そういう店と知らずに初めて連れてこられた初心者君の中には、常連客についそそのかされてプレイに興じているうちに、純粋にその世界にハマってしまうヒトもいた。連れてこられた初心者君(主に中年男子)は、たいていの場合、事態がよく飲み込めないまま、あっという間に身ぐるみ剥がされて手足を固定され、ボンデージのお姉さんたちから真っ赤な低温ローソクを内腿あたりにボタボタと垂らされる。熱さで「ひっ」とのけぞる初心者君は、お姉さんに「ご褒美をもらってるのに、もっと嬉しそうな顔しなさいよ!」などと罵倒されつつ、さらに鋭利な三角木馬に跨らされて重石つきの足かせを嵌められ、仕上げはすごく恥ずかしいエビ反りポーズのまま宙吊りになる。ムチでしばかれるうちに、最後は半目のまま「ううう」とか言いながらも、まんざらでもなさそうな表情を浮かべるのであった。

そんな店の中で、ひときわ暴力的なキャラクターで異彩を放っていたのが、露出度の高いコスチュームの下に、周囲を圧倒する迫力で背中一面に彫られた刺青がチャームポイントのミキさん(仮名)であった。(つづく)






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最終更新日  2006年10月25日 04時42分30秒
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自分らしい生き方・お仕事  
郡山ハルジ  さん
自分らしい生き方というのがよく分かるいいお話です
一生懸命前向きに生きていくのって結構辛い後ろ向きの方がよっぽど楽 (2006年10月25日 11時18分26秒)

Re:自分らしい生き方・お仕事(10/02)  
郡山ハルジさん
>一生懸命前向きに生きていくのって結構辛い後ろ向きの方がよっぽど楽

一生懸命仰向けに縛っていくのって結構難しいうつ伏せの方がよっぽど楽

(2006年10月25日 13時29分18秒)

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