音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2021年08月20日
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テーマ: 洋楽(3405)
名プレイヤー追悼


 マイク・フィニガン(Mike Finnigan)は、1945年オハイオ州出身のミュージシャンである。ハモンド・オルガンを得意とし、セッション・ミュージシャンとして様々なアーティスト(ジミヘン、エタ・ジェイムズ、ジョー・コッカー、CS&N、デイヴ・メイスン、バディ・ガイ、ピーター・フランプトン、レナード・コーエンなど挙げだすときりがない)の録音に参加したほか、自身のアルバム作品も残した。

 残念ながら、そんな彼の訃報が届いた( 外部参考記事 )。2021年8月11日、腎臓がんにより76歳で逝去したとのこと。本ブログでは、以前にセルフ・タイトルの名作 『マイク・フィニガン』 を取り上げている。その時以来、さらに彼の別の作品も取り上げたいと考えていたのだけれど、それが叶わないまま、彼の訃報を知ることになってしまった。そうしたわけで、マイク・フィニガンの追悼ということで、取り上げようと思っていた作品である『ブラック&ホワイト(Black & White)』(1978年リリース)を見ていきたいと思う。

 2年前の盤ではカウボーイ風の帽子姿の写真がジャケットになっていたが、本盤ではスーツを着てピアノの前にいるという、ダンディな雰囲気のジャケット写真となっている。アルバム全体のトーンはAORあるいはアダルト・コンテンポラリー風である。泥臭いというよりはお洒落、田舎っぽいというよりは都会的な感じと言えばよいだろうか。1.「ジャスト・ワン・ミニット・モア」の現代的な曲調、美バラードの3.「ザ・ワーズ」が醸し出すきらきらした感じ、4.「キャント・キープ・ア・シークレット」の滑らかなミドル・テンポのヴォーカル…。こうしたところだけを見ると、確かにマイク・フィニガンがルーツを捨て、時代に流されていったのかと思ってしまいそうである。

 けれども、アルバム収録の各曲をよくよく聴いてみれば、どうもその考えは違うのではないかと、個人的には思い至った。R&B、ソウル、カントリー、スワンプといった要素の表面に被せられたヴェールのようなものがAOR風なだけで、彼の音楽的本質はちゃんと維持されているように思えてきたのである。わかりやすいところでは、6.「セイルフィッシュ」や9.「レット・ミー・ラヴ・ユー」なんかはその例だと言える。

 そのようなわけで、本盤は、フィニガンが“スタイルを変えた”というものではなかったような気がする。『マイク・フィニガン』の項でも書いたように、AOR風の歌唱に彼のヴォーカルはそもそも向いている節があった。それも取り込みながら新たな作品を制作すれば、本盤のようなアルバムができ上るのは、案外、自然なことだったのかもしれないと思ったりする。

 ともあれ、たくさんのセッションをこなしてきたマイク・フィニガンの訃報。いまはただ、安らかなる永眠を心からお祈りしたい。R.I.P.




1. Just One Minute More
2. How Wrong Can You Be
3. The Words
4. Can't Keep a Secret
5. I Could Never Leave You
6. Sailfish
7. Expressway to Your Heart
8. Love Might Keep Us Forever
9. Let Me Love You
10. Hideaway from Love

1978年リリース。





マイク・フィニガン / ブラック&ホワイト(期間生産限定盤) [CD]

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ブラック&ホワイト [ マイク・フィニガン ]




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Last updated  2021年08月20日 05時20分15秒
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