音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2022年11月29日
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テーマ: ラテン音楽(411)
オーケストラをバックにし、アレンジが光るライヴ作品


 ジョアン・マヌエル・セラー(Joan Manuel Serrat)は、1943年バルセロナ生まれのシンガーソングライター。地元のことばであるカタルーニャ語が禁じられていた時期(フランコ独裁下)から活動を重ね、スペインだけでなく、スペイン語圏各地で人気を獲得した有名シンガーである。

 そんなセラーが還暦を迎えた年(2003年)にリリースされたライヴ・アルバムが、この『セラー・シンフォニコ(Serrat Sinfónico)』であった。ライヴ盤と言っても、通常のライヴ盤ではなく、表題(“シンフォニコ”は、英語で“symphonic”)が示す通り、交響楽団とのコラボによるライヴ演奏盤である。

 演奏をしているのは、地元カタルーニャのバルセロナ交響楽団。アレンジを担当したのは、同じくバルセロナ出身のジョアン・アルベルト・アマルゴス。普段とは異なる演奏形式、アレンジにもかかわらず、セラーは貫禄一杯に淡々と1曲1曲を歌いこなしていく。

 個人的な見解も含め、本盤の聴きどころを見ていきたい。1.「エル・カルセル・デル・フロ」は、冒頭の幻想的かついかにもオーケストラルなアレンジが、本盤のコンセプトへ聴き手を引き込むのに十分な効果を持っていると思う。中盤では、セラーの語りがうまく楽団の演奏と溶け合っているという感じがする(聴く人によっては、若干間延びしているように感じられるかもしれないが、個人的には聴き入ってしまう)。例えば、5.「ラ・ベジャ・イ・エル・メトロ」、8.「プエブロ・ブランコ」、9.「エリード・デル・アモール」なんかが筆者には特に印象に残る。

 そして、圧巻は終盤の静かな盛り上がり。11.「パレ」の辺りからそれは始まっているような気もするのだけれど、具体的には、有名曲の13. 「メディテラネオ」 以降の楽曲である。15.「ファ・ビンタン・アニス・ク・ディク・ク・ティンク・ビンタン」(カタルーニャ語がよくわからないので、表記がおかしくてもご容赦を)では、オーケストラも盛り上がり、しかもカタルーニャ語での歌唱となっている。この長ったらしい表題は、1984年発表のアルバムの表題曲をもとにしていて、“20歳だと言ってから20年が経つと言ってから20年が経つ”というもの。つまりは、40歳を過ぎて発表した楽曲(20歳+20年)が60歳(20歳+20年+さらに20年)の曲として提示されている。アルバムを締めくくるのは、やはり代表曲の16. 「カンターレス」 。この歌唱は、淡々としながらも、ファン的には噛みしめて盛り上がるタイプのものに仕上がっていると思う。


[収録曲]


2. Bendita música
3. Cançó de matinada
4. Barquito de papel
5. La bella y el metro
6. Princesa
7. Aquellas pequeñas cosas
8. Pueblo blanco
9. Herido de amor
10. De cartón piedra
11. Pare
12. Es caprichoso el azar
Mediterráneo
14. Mi niñez
15. Fa vint anys que dic que fa vint anys que tinc vint anys
16. Cantares

2003年リリース。





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Last updated  2022年11月29日 22時30分53秒
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