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歪んだ天球儀か外つ国の古き太后のくしゃみなのか異形の夏はその影をずるずる引きずって条里はもう立秋だというビーグルの犬よお前はお前の天真の赴くままいらくさに戯れるもよいだが お前の鼻面やら猫じゃらしの穂先に揺れるこの秋の相は石女(うまずめ)豊かな稔りをもたらすことのない逃亡者犬 ビーグルの犬よやがて来る一直線にやって来る冬の悪い前触れがこの俺をせめるのだ
2014.08.18
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つつめども隠れぬものは夏虫の 身よりあまれる思いなりけり (後撰集)あだし野の露のいのち蛍どのに一筆 ふみことづけを頼むとしてもアイラブ ユーラブなど浮いたことばのひとつもさらさら これなく古風にして 控え目しかし それなりに思いのたけを託すからには奏者蛍の尊称をばたてまつることとしたかえしぶみ 心待ちに 三日過ぎたが蛍どのの余命もあと二日とやらされば 心せかるる今宵なのです 昼ながら幽かにひかる蛍一つ 孟宗の藪を出でて消えたり 北原白秋
2014.08.11
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その夜甍は月光の底に沈み街は青い寂しさに包まれていた死ぬべき運命を背負った人たちの時間はその日を期して截然生きるべき季節を迎えたのだが 八月一五日の夜は余りにもひっそりしていた「耐エ難キヲ耐エ 忍ビ難キヲ忍ビ・・・」曽てなくいや それ以後にもなく一億人が一つの思念をかみしめ反芻し また かみしめ取り敢えずの生をみつめるそれは静かな 静かな夜であった
2014.08.09
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灼けつく季節のランナーは狂乱の思い出を背にマラソン・ゲートをいま やっと 潜ったばかりホモ・サピエンス生きとし生けるものの一匹にしか過ぎないこのわたしの原点は夕焼けた今日の地平に埋没するのかいや少し傾いだ座標の軸を修正するときは今しかない未練気な夏雲の彼方から寄せるさやかには見えぬ一陣の涼風がそこばくの勇気と決断をきっと わたしに与えてくれるだろう
2014.08.08
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「ご冥福を心よりお祈り申し上げます」理化学研究所、発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長の死についての関係者の異口同音のコメント「冥福」とは死後の幸福のこと死者に対して死後の幸福を祈るくらいならば何故 生前正当な評価、処遇を用意できなかったのか 「冥福を祈る」とは生き残った者の 死者に対する免罪符的文言のような匂いがして好きになれない「STAP現象は最有力な仮説」との主張のどこが不正なのか正直よくわからないそもそも笹井氏や小保方氏の論文にマスコミの記者たちは何人目を通しているのか大いに疑問であるいまこそ「千の風になって」の歌唱が思い出される私のお墓の前で泣かないでくださいそこに私はいません 眠ってなんかいません千の風になって あの大きな空を吹きわたっていますI am a thousand winds that blow.ですから「冥福など祈らないで下さい」
2014.08.07
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新暦の8月2日から8月6日ごろは七十二候の上では大暑末候「大雨時行る」(たいうときどきふる)文字通り大雨は四国地方に災害をもたらしたがまだまだ炎暑はつづきそう蝉の木に登らんとして見上げをり 高浜 虚子いづこより礫うちけむ夏木立 蕪 村夏木立たのしき雨のふることよ 高田風人子丘陵地帯を開発してできた住宅地のせいでここらへんの高層マンションの間々には夏木立がまだまだのこっているのがうれしいそのなかに一本のユーカリの木を見つけた幹回りの割に上へ上へとよく伸びたものだ周りの木に負けじと日照を求めて伸びるしかなかったのか下枝はあまりなくててっぺん近くにだけ葉が茂っている夏雲の果てに何が見えるのかおーい ユーカリの大樹よ
2014.08.06
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セロやピアノよりおれは ドラムやマラカスの方がずっと好きだったさらに それよりコンクリート・ミキサーの回転音を遙かに愛したミレーやシャガールのどの作品よりもゴッホのサイプレスが好きだった太陽は夏中おれを焼きつづけおれは 手帳にCHAOS(混沌)と記入した燃える銅鑼のような夏よ季節はいづれ遠く往き過ぎやがて今度は月がおれを照らすだろうおれは青白い光を浴びて法律と哲学を勉強しようあゝ それから手帳には忘れずにORDNUNG(秩序)と記入しよう
2014.08.05
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くらい くらい 泉・・・そこからもかなしく金色ののぞみは噴き上げるそんな日は雲鳥も通わぬりんどう色のたかあい空で埴輪のように無想でいたいのだプロメテウスの劫火が髪の毛を焦がすだろう蝋細工のように身体は融けるだろうだがかなしい一つののぞみだけは天に泛ばせたいのだ
2014.08.04
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「無いもの」が「ひとつ有ってね」おじさん嘘でしょ こんな立派な門構えして安くサービスしとくから買ってよそんなこんなで何軒門前払いを食ったことやらへーお隣さんはそんなこと言ったかい なにせケチだからなうちだったらはっきり言うけどな「うちはいまお金がありませんから」とねだいたい「無い」ものが「有る」ちゅうのがおかしい「無いものは無い」「有るものは有る」というのが世の中の真実だろうが「うーん」つまり「無いもの」が「有る」ってことは「お金が無いという状態」が「いま我が家に厳然として存在している」という意味なんだろうが・・・その嘘を論破して売り込めないのが悲しい営業成績ゼロで国語の勉強ばっかりそんな日もあるさ
2014.08.03
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