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alex99 @ Re:塩野七生『ギリシア人の物語』(46/52)(12/18) 塩野さんの文章が簡潔なのは ラテン語から…
Julia3835 @ Re[1]:塩野七生『ギリシア人の物語』(46/52)(12/18) alex99さん >明けましてお目出度う御座い…
alex99 @ Re:塩野七生『ギリシア人の物語』(46/52)(12/18) 明けましてお目出度う御座います 本年もよ…
Julia3835 @ Re[1]:中川毅『時を刻む湖』(41/52)(12/02) alex99さん、コメントありがとうございま…
alex99 @ Re:中川毅『時を刻む湖』(41/52)(12/02) ダーウィンが神を殺したと思います それだ…
2017.07.10
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カテゴリ: 読書
縄文時代は、なぜか心惹かれます。
ユニークな土器や、土盤に描かれた顔など博物館で眺めるのが好きです。
また、黒曜石を使って精巧に作られた鏃などは
芸術品のような美しさを持っています。

その「縄文」がタイトルにある本は基本的には
手に取ってみることにしていますが
この本は、今までとはちょっと違っています。

なにしろケルトと比較するというのですから。

松木武彦著
縄文とケルト  ――辺境の比較考古学
ちくま新書

目次

はじめに
第一章 非文明の景観
1旧石器時代から新石器時代へ
 氷河の終わりと定住の始まり/人類史における環境要因/新石器「芸術」の発展/危機を乗り
 切る二つの道
2世界遺産を訪ねて
 遺跡の歩き方/エーヴベリー周辺の記念物群/さえないルックスの重要遺跡――ウィンドミ
 ル・ヒル/謎の遺跡/コーズウェイド・エンクロージャーの正体/遺跡の再利用/五六〇〇年
 前の石室/死者たちの会所/巨大な土木建造物/歩みと巡りのまつり/悪魔と新石器時代記念
 物/謎の大円丘「非文明型」社会の本質

第二章 死者世界を旅する
1ロング・バロウの世界
 エーヴベリーからの旅立ち/丘陵の石室墳/十字架形石室の好例/日本人考古学者の疑問
2巨石と図文
 ウェールズのパワースポット/巨石をめぐる論争/臨死体験と石室墳
3北への旅
 森と入江の石室墳/荒野の積石塚/死者の長屋/在地化した羨道墓/石室墳
 の二系統/放射性炭素革命

第三章 「先ケルト」から縄文へ
1北辺の世界遺産
 羨道墓発達の極致/世界遺産の羨道墓/生者の家と死者の家/真冬のまつり/最北のストー
 ン・サークル
2往来と交流の舞台
 メキシコ湾流が洗う島/集いの象徴/新石器の航海者たち/南北交流の接点/ストーン・サー
 クルと磨製石斧
3太陽と季節のまつり
 完成型としてのストーンヘンジ/ストーンヘンジの仕掛け/縄文の太陽
4生と死の円環
 北のサークルとヘンジ/盛土と貝塚/貝塚の本質/遺骸をめぐる儀礼/非文明の本質

第四章 ケルトの基層、弥生の原像
1斧と文明
 奇妙な積石塚/彫られた斧/斧のシンボル化/文明を開く斧/斧と剣の世界
2原ケルトの登場
 「ストーンヘンジの王」/個人と階層の演出/酒のきずな/鋳物師たちのネットワーク/原ケルトの
 広がり/集団から個人へ/文明への敷居
3東方の「原ケルト」
 東アジアの青銅器/個人を際立たせる墓/縄文から弥生へ

第五章 帝国の周縁で
1弥生の国々
 弥生時代の大集落/国々の発展/市民が守った出雲の国/近畿と東日本の国々/王の出現/王
 族の発展
2ケルトの部族たち
 ブリテン島の環濠集落/巨大環濠集落の内部/東の「国」と西の「部族」/環濠集落の変遷/「ム
 ラからクニ」へそしてローマへ/ウェールズの石塁集落/スコットランドの石造住宅/旅の終
 わりに
3歴史の分かれ目
 ケルトの繁栄と衰亡/「渡来人」とケルト/ケルトと騎馬民族/侵略説への批判/ブリテン島の
 ローマ化/古墳と民族アイデンティティ/分岐の要因

おわりに
図版出典一覧
引用・参考文献

本書の目的は、
1.ユーラシア大陸の東西両端にある日本とイギリスの共通性を明らかにすること
2.ケルトと縄文の正体をはっきりさせること
3.遺跡を巡る旅を楽しむこと
と著者は記しています。

もう亡くなってしまいましたが、私が個人的にとてもお世話になった
考古学の先生は、「考古学は歩けオロジー」(archaeology)と言っていました。
実際にその土地を訪ねることが大切ということです。

著者が足を運んで調査した遺跡の数々は、相当数にのぼります。

ケルトと縄文の共通点を見出すことはとても面白いです。

中でもケルトと縄文を「非文明」としてとらえた考察は
なるほどと納得できるものでした。
もちろん全く同じということはありませんが
ストーンヘンジなどに見られる精神性という点では、


また、お墓について貝塚と石室墳を比較していますが、
イヌなどの家畜や鳥などの野生動物の骨が見つかることなど
似ているところがあって興味深かったです。
貝塚について本書では、人間のほかにも家畜や狩りの対象となった
野生動物や魚などの遺骸を、役目(生命)を終えた印として意図して集め
形成した構造物であると書いています。
私たちが使う「ゴミ」という概念はなかった時代でした。
貝塚=昔のゴミ捨て場という言い方には私も違和感があったので
著者のこの言葉は、とくに印象に残っています。

二つの「非文明」のどこが同じでどのように変わっていったのか
この本で遠い昔に旅するのも面白いと思います。





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Last updated  2017.07.14 21:39:12
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